2016年8月1日19時49分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『精神的ショック前後のささいな記憶はなぜ残る? 富山大がメカニズム解明 PTSD治療も』
http://www.sankei.com/west/news/160801/wst1608010061-n1.html
大地震で被災した日の食事内容を覚えていることが多いように、強い精神的ショックを受けた前後のささいな出来事が長く記憶される仕組みがマウスの実験で分かったと、富山大などのチームが1日付の英科学誌に発表した。
それぞれの出来事を記憶する脳の神経細胞集団が重なることが原因という。
つらい記憶が突然よみがえる心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状は、ささいな記憶が引き金になることもある。
チームの井ノ口馨・富山大教授(脳科学)は、「トラウマ記憶と別の記憶を引き離す手法が開発されれば、PTSDの治療につながる」と期待している。
チームは、マウスに新しいおもちゃを与え、反応を調べた。
マウスにとってはささいな出来事で、1日後にはおもちゃのことを忘れたが、おもちゃを与える前後1時間以内に、圧迫感のある狭い箱に入れてマウスに強いストレスを加えると、おもちゃを覚えていた。
異なる二つの出来事は、マウスの脳内で別々に記憶されることが多いが、強いストレスを経験したマウスの脳の海馬で神経細胞を調べると、二つの出来事を記憶した細胞の領域の大部分が重なっていたという。
8月1日20時15分にNHK NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
『「フラッシュバック現象」の仕組み マウス実験で解明』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160801/k10010617101000.html
日常生活の何気ないことが引き金になって過去のつらい経験を思い出す「フラッシュバック現象」が起きる仕組みを、富山大学などのグループがマウスを使った実験で明らかにし、PTSD=心的外傷後ストレス障害の治療法の開発につながる成果として注目されている。
富山大学の井ノ口馨教授などのグループは、マウスをおちょこなど形に特徴がある物体とともに箱の中に入れ、平常の場合と怖い経験をした場合とで、物体についての記憶がどのように変わるか調べた。
その結果、平常の場合、マウスは24時間後には物体の形を忘れていたのに対し、怖い経験をした場合は、24時間後も物体の形を覚えていたという。
また、マウスの神経細胞を調べた結果、物体の形を覚えていた細胞は、怖い経験そのものを覚えていた細胞とおよそ70%重なっていることが分かり、こうした重なりが、日常生活の何気ないことが引き金になって過去のつらい経験を思い出す「フラッシュバック現象」の原因になっているとみられるという。
井ノ口教授は、「今後、さらに研究を進めて、つらい体験と、その際の何気ない経験の両方を記憶している細胞の活動を弱めて『フラッシュバック現象』が起きるのを防ぐことができれば、PTSDの症状を和らげる治療法の開発につながる可能性がある」と話している。
(ブログ者コメント)
以下は、関連研究と思われる、科学技術振興機構(JST)と富山大学の連名記事。
『恐怖記憶を思い出す時の脳内アクチビン活性が記憶の運命を制御する』
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20100323/
JST目的基礎研究事業の一環として、富山大学 大学院医学薬学研究部(医学)の井ノ口 馨 教授らは、動物が恐怖記憶を思い出す時の、脳内たんぱく質の一種アクチビオンの活性が、思い出した記憶を強化されるか消去されるか、その後の運命に対して重要な制御因子であることを突き止めました。
記憶は、学習―獲得―保持―想起という過程を経て形成されます。最近、げっ歯類(ネズミの仲間)を用いた研究から、一度形成された記憶は想起に伴って不安定化し、その後“再固定化”と呼ばれる過程を経て強固になっていくことが見いだされました。
また、“消去学習”というプロセスを経ることで恐怖記憶が弱くなる現象も知られています。
再固定化と消去学習の研究は現在盛んに行われていますが、その分子機序には未だ不明な点が多く、医学応用への展開も今後の課題として残っていました。
本研究グループは今回、アクチビンに着目し、脳内アクチビンと恐怖記憶との関係を調べました。
この研究を行うため、まず脳内アクチビン活性を人為的に制御できる遺伝子操作マウスを世界で初めて作製しました。
このマウスを用いた研究により、記憶の再固定化が起きる実験条件下では、いったん強固に形成された恐怖記憶でも想起時に脳内アクチビンを阻害すると、その後、恐怖記憶が減弱すること、また消去学習が起きる実験条件下では、想起時に脳内アクチビン量を増やすと消去学習が抑制され、いったん形成された恐怖記憶が消去されにくくなることが分かりました。
これらの結果から、脳内アクチビンは恐怖記憶の再固定化と消去学習の両方を制御していることを明らかにしました。
この成果は、アクチビンを標的として、他の記憶には影響を与えずに想起したトラウマ記憶のみを選択的に減弱させるという心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療法開発への展開が期待できます。
本研究は、藤田保健衛生大学 総合医科学研究所の上田 洋司 助教らと共同で行ったもので、本研究成果は、2010年3月23日(米国東部時間)に米国科学雑誌「Learning and Memory」のオンライン速報版で公開されます。
2016年7月8日19時6分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
会社の飲み会から仕事に戻る途中の事故で亡くなった社員の妻が起こした裁判で、最高裁は「当時の事情を総合すると会社の支配下にあったというべきだ」として、労災と認める判決を言い渡した。
飲み会の後の事故は労災と認められないケースがほとんどだが、事情によっては救済される可能性が出てきた。
6年前、福岡県苅田町でワゴン車が大型トラックに衝突し、ワゴン車を運転していた34歳の会社員の男性が死亡した。
男性は上司から会社の歓送迎会に誘われ、忙しいため断ったが、再び出席を求められたため酒を飲まずに過ごし、同僚を送って仕事に戻る途中で事故に遭った。
労災と認められなかったため、妻は国に対して裁判を起こしたが、1審と2審は「自分の意思で私的な会合に参加したので労災ではない」として退けられ、上告した。
8日の判決で、最高裁第2小法廷の小貫裁判長は、当日の男性の行動は上司の意向を受けたもので、会社からの要請といえると指摘した。
さらに、歓送迎会は上司が企画した行事だったことや、同僚の送迎は上司が行う予定だったことを挙げ、「当時の事情を総合すると、会社の支配下にあったというべきだ」として、1審と2審の判決を取り消し、労災と認めた。
飲み会の後の事故は労災と認められないケースがほとんどだが、8日の判決は、事情によっては救済される可能性を示すものとなった。
最高裁の判決について、福岡労働局労災補償課は、「国側敗訴の判決が言い渡されたので、判決の趣旨に沿って速やかに手続きを進めたい」というコメントを出した。
亡くなった男性は、社長に求められた書類の提出期限が迫っていたが、部長に誘われた飲み会を断ることもできず、再び仕事に戻る途中だった。
裁判の記録などによると、亡くなった男性は事故の4か月前に、名古屋市にある金属加工会社の本社から福岡県の従業員7人の子会社に出向していた。
事故が起きた日は、上司の部長が企画した中国人研修生の歓送迎会に誘われていたが、男性は次の日に社長に提出する書類を完成させなければならず、いったんは欠席すると伝えた。
しかし、部長から「きょうが最後になる研修生もいるから、顔を出せるなら出してくれないか」と頼まれたうえ、歓送迎会のあとで資料作りを手伝うと言われた。
結局、男性は作業着のまま、1時間半遅れで会場の居酒屋に顔を出した。
歓送迎会には、従業員全員が出席していた。
男性はビールを勧められても断り、歓送迎会のあと、会社に戻る前に、酒に酔った研修生をアパートまで送ろうとして事故が起きた。
会社にあった男性のパソコンには、営業に関する資料が作成中のまま残されていた。
男性の妻は、飲み会と残業は一連の業務だったとして裁判を起こし、1審と2審は、仕事に戻る途中だったことは認めたが、「歓送迎会が業務とは言えない」として、労災と認めなかった。
会社の飲み会に参加したあとの事故は、特別な事情がないとして、労災と認められないケースがほとんどだ。
労働問題の専門家によると、会社の飲み会に参加した後の事故が労災かどうかは、飲み会の目的や本人の立場、費用の負担が会社か個人か、そして会場が会社の中か外か、といった点から判断される。
例えば、上司に誘われて居酒屋で飲むような場合は、業務との関連性が薄いとして、労災と認めない判断が定着している。
一方、社内で開かれた飲み会で進行役を務めた男性が帰り道の駅の階段で転倒し死亡した事故では、9年前、東京地裁が労災と認める判決を言い渡した。
しかし、2審の東京高等裁判所は、「仕事といえるのは、飲み会の開始からせいぜい2時間程度だ」という判断を示し、男性が2時間後も飲酒や居眠りをしていたことから1審の判決を取り消し、労災と認めなかった。
このように、過去の裁判では、飲み会のあとの事故は労災と認められないケースがほとんどだった。
8日の判決は、男性が残業と飲み会への参加を同時に要求されていたことなど、一連の経過を踏まえて、労災と認めた。
裁判の記録などによると、男性は、翌日に資料を提出するよう社長に命じられていたが、部長からは、その仕事を分かったうえで歓送迎会に参加するよう、2度にわたって求められた。
最高裁は、こうしたいきさつを踏まえ、「男性は歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ、その後、残業に戻ることを余儀なくされた」として、事故に遭うまでの一連の行動は、会社の要請によるものだと指摘した。
また、最高裁は歓送迎会の性質も重視し、すべての従業員が参加していたことや、会社が費用を負担していたことなどから、会社の行事の一環で、事業と密接に関連していたと判断した。
さらに、同僚の送迎はもともと上司が行う予定で、会社へ戻るついでに男性が送っていったことも踏まえると、会社から要請されていた行動の範囲内だったと指摘した。
最高裁は、こうした事情を総合すると、飲み会が会社の外で行われたもので、上司に同僚を送っていくよう明確に指示されていなかったことを考慮しても、労災に当たると結論づけた。
最高裁の判決について、労働問題に詳しい玉木一成弁護士は、「労働者の実態を踏まえた画期的な判断だ」と話している。
玉木弁護士は、これまでの労災を巡る裁判では、飲み会が強制参加だったかどうかなど、形式を重視して労災と認めないケースが多かったとしたうえで、「今回は、飲み会に参加したいきさつや上司のことばを受けた労働者の意識など、実態を踏まえて労災と認めた画期的な判断だ」と評価している。
そのうえで、今後の影響について、「同じような事例では労基署が慎重に実態を判断することになり、働く人たちの救済の可能性を広げることになるだろう」と指摘している。
出典
『飲み会後の事故は労災 最高裁が認める判決』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160708/k10010588071000.html
7月8日19時19分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
第二小法廷は、男性が一度は断ったが上司に促されて歓送迎会に参加したことや、会費が会社の経費で支払われたこと、送迎には社有車が使われたことなどから、会が「事業活動に密接に関連していた」と認定。
「男性は会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ、事故の際も会社の支配下にあった」と判断した。
出典
『歓送迎会から残業へ、途中の事故は「労災」 最高裁判決』
http://www.asahi.com/articles/ASJ785321J78UTIL024.html
2016年6月6日22時41分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本一高い超高層ビル「あべのハルカス」の地上約300m地点にある展望台で、夜間だけ、大阪のシンボル「通天閣」が、あるはずのない場所にくっきりと浮かび上がる不思議なスポットがある。
本物の通天閣の東に突然浮かび上がる“幻の通天閣”。
目撃した入場者は「なんで~」と驚きの声を上げ、ハルカスの関係者は、「スタッフの間でも知る人ぞ知るハルカスの『トリビア』。新たな話題のスポットになれば」と、期待を寄せる。
果たして“怪現象”の原因とは?
夜も更けた頃、通天閣が2本くっきりと浮かぶ現象が起きるのは、大阪市内が一望できる全面ガラス張りのあべのハルカス60階展望台(約1000m2)の中でも、北東角にある1~2m四方の一角だけだ。
1本は、ハルカスの北西約900mにある本物の通天閣。
そして、そこから約120°東に目を向けると、ハルカスから北東約1kmのJR寺田町駅の東側付近にも、確かに、本物そっくりの通天閣が堂々とそびえ立っているように見える。
この不思議な現象を最初に発見したのは、あべのハルカスを運営する近鉄不動産の社員、小塚さん(30)。
5月中旬ごろ、同僚と館内を巡回中に、偶然、見つけたという。
「目の前に広がる市内の夜景にふと目を落とすと、あるはずのないところに通天閣がにょきにょきっと生えていた。思わず興奮してスマホで写真を撮りまくりました」と振り返る。
通天閣がライトアップしている夜間だけの現象で、見る角度や場所を少し変えても、幻の通天閣はたちまち消えてしまう。
一体、なぜこんな現象が起きるのか。
幻の通天閣をよく見ると、確かに本物そっくりだが、タワー側面の「HITACHI」などの文字は逆さま。
このあたりにナゾを解く鍵がありそうだ。
タワーが景観にもたらす影響について詳しい近畿大理工学部の岡田昌彰教授に写真を見てもらうと、「北東方向に鏡の役割を果たすような大きな構造物はない。光の屈折などの偶然が重なってハルカスのガラスに通天閣のネオンが反射して起きる現象では」との分析。
そのうえで、「ほかのタワーでは聞いたことがない非常に珍しい現象。大阪の新しい名物になりそうな面白い話だ」と話す。
知人の男性と一緒にハルカスを訪れ、幻の通天閣を初めて目にした京都市中京区のアルバイト、小川さん(22)は、「突然、通天閣が浮かび上がってくる。不思議~」と驚きの声を上げていた。
出典
『怪現象…あり得ない場所に〝通天閣〟出現! ハルカス展望台「夜のトリビア」』
http://www.sankei.com/west/news/160606/wst1606060100-n2.html
(ブログ者コメント)
本件、安全に関する情報ではないが、たまには閑話休題的話題でもと思い、御提供・・・。
以下は、上記記事に添付されているユーチューブ映像だが、見物人の後ろを別の人が通るたび、幻の通天閣がその人の影の部分だけ消えるようにも見える。
2016年5月1日7時30分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水銀を使った製品が燃えるゴミに混入することで、東京23区のゴミ焼却施設が、過去6年間に計19回、緊急停止していたことが分かった。
23区では厳しい自主規制を設けているため、大気中に拡散した可能性は低いとみられるが、規制を設けていない自治体は多い。
分別されていない場合は、そのまま燃やされている恐れがあり、早急な対策が求められる。
「東京二十三区清掃一部事務組合」が管理する中央清掃工場(東京都中央区)の2号焼却炉は、3月11日午後2時過ぎ、排ガス中の水銀濃度が上がり始めた。
約6時間後、濃度が自主規制値(1m3あたり0.05mg)を超え、同組合は運転を停止させた。
同工場の排ガス浄化装置は、1時間に水銀を140gまで浄化できるため、少なくとも、水銀体温計200本分、蛍光灯だと2万本分が燃えた計算になる。
出典
『ゴミ焼却施設、水銀で緊急停止…6年で19回』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160430-OYT1T50136.html
(ブログ者コメント)
○「東京二十三区清掃一部事務組合」のHPに、規制値オーバーによる停止状況や各種キャンペーンなどの情報が掲載されていた。
それによると、平成23年7月から平成27年12月までの4年4ケ月の間で11回、運転を停止しており、その物的被害は50万円から350万円で、一回だけ2億円という額が記載されている。
http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kanri/haiki/kumiai/oshirase/futekise.html
○6年前にも、同趣旨の報道があった。
(2010年8月1日10時11分 朝日新聞)
東京都内4カ所のごみ焼却施設で大量の水銀が検出され、炉が停止する事態になった。
施設を管理する東京二十三区清掃一部事務組合によると、部品の交換など被害額は約3億円とみられ、3つの焼却炉が今も停止したままだ。
処理できないごみも増えている。
なぜ水銀が検出されたのか。
組合は「非常に悪質」として、警視庁にも相談し、ごみの搬入経路を調べている。
ごみの山にハエが群がる。
6月11日から約50日間、2つの焼却炉の一つが停止している足立清掃工場は、焼却を待つごみがあふれ始めている。
いつもなら、地下12mまで掘られた収集場に収まるはずのごみは、一部が高さ8mの山になっていた。
「ごみが滞留しているからハエが発生しやすくて……」と、職員は苦り切っている。
足立工場の1焼却炉のごみ処理能力は、1日300~350トン。
これが処理できないでたまり、一部を江東区の工場に運んではいるが、ごみの山はなかなか低くならない。
ハエ対策に、毎晩、15分かけて殺虫剤を散布している。
焼却炉は、排ガス中の水銀濃度を知らせるモニターの数値が急激に上昇したことに監視員が気づき、緊急停止させた。
調べると、有害物質を取り除くフィルターのほか、煙が通る道など、全体に水銀が付着していたという。
焼却を続けると、水銀を含んだ排ガスが外に出てしまうため、フィルター交換や、煙道を清掃しなければならなくなった。
修理費は2億8千万円にのぼり、停止した焼却炉で最も被害が大きかった。
復旧は9月上旬になる見込みだ。
佐藤副工場長は、「フィルターはすべて特注品で、時間がかかる。本当に頭にきている」と憤る。
23区内では、足立工場の1炉のほか、7月1日に板橋で1炉、8日に光が丘(練馬区)で2炉、18日に千歳(世田谷区)で1炉と、ほぼ1週間おきに相次いで水銀が検出され、停止した。
板橋と千歳は運転を再開したが、光が丘は復旧まであと半月程度かかる見通しだ。
組合の山田・管理課長は、「被害は深刻だ。これ以上の被害を出すわけにはいかない」として、工場のごみ収集場に監視員を増やして警戒を強めている。
しかし、なぜ焼却炉を停止させるほどの水銀が検出されたのか。
これらの工場に運ばれるのは一般家庭ごみを中心とした可燃ごみだ。
組合は、産業廃棄物の不法投棄の疑いが強いとみて、廃棄物の特定を急いでいる。
足立工場では、1時間当たり200gの水銀を取り除く排ガスの浄化装置を備えているが、今回、炉が停止される直前に、この処理能力を超える排ガスを検出した。
どの程度の量の水銀が混入されたかは不明だが、少なくとも200g以上の水銀が一度に持ち込まれたことになる。
水銀を含む製品には、蛍光灯や水銀血圧計などがある。
いずれも、産業廃棄物として細かく砕かれ、専用炉で燃やされるが、一般的な蛍光灯なら2万2000本以上に相当し、組合は、「家庭ごみと混ざったとは考えられない」。
水銀血圧計には約50gの水銀が入っており、4台で200gになることから、「可能性があるが、はっきりしたことは分からない」という。
工場へ出入りできるごみ収集車にはICカードが渡され、搬入日時が記録されている。
足立工場の場合、事故があった6月11日に持ち込まれたごみから水銀が発生している。
他の工場も、検出の数日前までに出されたごみに混ざっていたとみられるため、組合は、該当搬入業者から聞き取り調査をしている。
出典
『一体誰が…ごみ焼却炉に大量の水銀 都内4施設が停止』
http://www.asahi.com/eco/TKY201007310400.html
2016年3月29日9時49分にNHK東海NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岐阜県恵那市は、災害が発生した際、避難所でベッドや間仕切りなどとして使うことのできる段ボールを供給してもらうための協定を、市内の段ボール製造会社と結んだ。
この協定は、恵那市が、市内の段ボール製造会社からの申し出を受けて結んだもの。
協定では、災害が発生した際、避難所でベッドや間仕切りなどとして使うことのできる組み立て式の段ボールを、市の要請を受けて会社側が供給することになっている。
ベッドと間仕切りは、このメーカーが開発した製品で、このうち、ベッドは大きさが畳1畳ほどで、高さも30cmあまりと、高齢者でも比較的、楽に寝起きができるという。
ダンボール製造会社の高木社長は、「今回の締結をきっかけにほかの自治体にも提案していきたい」と話していた。
恵那市では、市の備蓄用にも、ベッド30組と間仕切りを購入することにしていて、市の消防防災センターで保管することにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20160329/4026471.html
(ブログ者コメント)
映像によると、ベッドのマット部分も段ボール製。梱包に使うクッションのような立体的スノコ状の構造になっている。
キーワード ;段ボールベッド
2016年3月5日付で共同通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地球温暖化防止の効果が期待されるバイオマス発電として日本の事業者も東南アジアで手掛ける「もみ殻発電」で、高温燃焼時に生成される「結晶質シリカ」への対応が問われている。
国際機関は、アスベスト(石綿)と同レベルの発がん性物質に分類。
共同通信は、タイの施設で独自に燃焼灰を入手し、5日までに結晶質シリカの検出を確認した。
生成自体を防ぐ実験を進める施設もあるが、対応はばらついており、識者から「全体的に危機意識が低い」と懸念も出ている。
結晶質シリカは石や砂に含まれ、粉じんとして大量に吸い込むと、呼吸機能が低下するじん肺を招く。
出典URL
http://news.mynavi.jp/news/2016/03/05/178/
2016年3月3日10時10分に読売新聞から、『「賢いネズミ」に先手の対策・・・築地移転前に駆除』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
築地市場(東京都中央区)の移転により、餌場を失ったネズミが周辺の飲食店などを荒らすのを防ぐため、中央区は東京都と連携してネズミの駆除に乗り出す。
11月に豊洲市場(東京都江東区)へ移転する前に、巣穴を封鎖したり、植え込みに捕獲用ボックスを置いたりして、大移動を事前に食い止めたい考えだ。
中央区生活衛生課によると、築地市場には主にクマネズミやドブネズミが生息している。
どれくらいの数が周辺に移動するかは未知数だが、市場が移転すると、周辺の住居や飲食店、事業所などに散らばり、感染症などを広める懸念がある。
都と区は、市場が休みとなる5月のゴールデンウィークと8月のお盆に、巣穴を埋めたり、マンホールに殺そ剤を投入したりする。
このほか、植え込みに捕獲用ボックスなどを仕掛ける。
9月から来年3月にかけては、市場周辺の住宅や飲食店、事業所などに捕獲用の粘着シートを10枚ずつ、計約8万3000枚配るという。
区は、2016年度予算案に2200万円を計上した。
同課の担当者は、「ネズミは賢いので、被害を防ぐには先手の対策が必須。移転に向けた作業が始まってネズミが異常を察知する前に数を減らしたい」と話している。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160303-OYT1T50020.html
2016年2月2日10時16分にNHK金沢から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
金沢大学の研究グループは、独自に開発した顕微鏡を使って、水で金属の内部がさびる様子を観察することに成功し、さびにくい金属の開発につながると期待されている。
研究グループによると、金属の内部がさびる様子を観察できたのは、世界で初めてだという。
金沢大学理工研究域の福間剛士教授の研究グループは、金属内部の電位の分布図を示すことで、さびているかどうかがわかる顕微鏡を独自に開発した。
この顕微鏡を使って、銅やステンレスを水につけて内部の電位がどのように変化するか調べたところ、さびて電位が高くなる部分が広がっていく様子が観察できたという。
研究グループによると、金属の内部がさびる様子を観察できたのは世界で初めてだということで、今回の研究結果は、アメリカ化学会の雑誌に掲載されることになっている。
研究グループでは、今後、半導体メーカーや自動車メーカーなどと協力して、さびにくい金属の開発を行うことにしている。
金沢大学の福間剛士教授は、「ゆくゆくは金属の耐久性がこの研究によって向上することが見込まれる。そうすると、その金属を使って作られる物の製造コストが下がるので、末端の価格が下がってくるというのが、われわれにとっての将来的なメリットになると思います」と話している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3025525371.html?t=1454452025890
(ブログ者コメント)
青、黄、薄緑、赤といった多様な色がモザイク状に写った写真の中の赤い部分が錆ということで判別できる由。
2016年2月2日7時4分にNHK広島NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北広島町では、2日午前0時まで、最大2000世帯あまりで断水したが、町では、凍結を防ぐため、多くの世帯で水道の蛇口を開けたままにしたことが原因の可能性があるとみていることが分かった。
北広島町では、厳しい冷え込みになった先月27日から町が所有する水道用のタンクの水位が下がり、町では、水道管から水が漏れているものとみて、一部の地区で水の供給を止めて対応にあたってきた。
そして、2日午前0時に最後まで断水になっていた八重地区の一部と壬生地区のあわせて687世帯と、およそ20の工場がある氏神工業団地で給水を再開し、水道は全面的に復旧した。
北広島町などによると、住宅などで少量の水漏れがあったという報告は十数件あったが、凍結によって水道管から大量の水が漏れたケースは確認できなかったという。
町では、水道管の凍結を防ぐため、多くの世帯で水道の蛇口を開いて水を出していたためにタンクの水位が下がり、水漏れと同じ現象が起きた可能性があるとみている。
このため、町は、凍結防止のために水を出したままにしないよう呼びかけるとともに、引き続き節水への協力を呼びかけている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20160202/5541011.html
断水の状況は、2月1日12時15分にNHK広島NEWS WEBから、下記趣旨でネット配信されていた。
広島県北広島町の断水は、6日目となった1日も、およそ690世帯で続いていて、給水所には住民が容器を持って訪れている。
北広島町では、先週の厳しい冷え込みで水道管が凍結し、水漏れが発生したことなどから、先月27日から一部の地域で断水している。
断水は徐々に解消されているが、6日目となった1日も、八重地区の一部と壬生地区の全域の合わせて687世帯、それに氏神工業団地でおよそ20の工場で断水が続いている。
このうち、壬生地区の集会所の駐車場には、北広島町からの応援要請を受けた三原市の給水車が止められ、タンクなどの容器を持った住民が水を受け取りに来ていた。
壬生地区の78歳の男性は、「水は当たり前にあると思っていましたが、断水で水のありがたみが分かりました。風呂や洗濯に困るので、早く復旧してほしいです」と話していた。
北広島町によると、町では水漏れを止めるための調査と工事を急いでいて、早期の復旧を目指している。
北広島町の空田賢治副町長は、「断水が続き申し訳ありません。水の供給が始まった世帯でも当分は節水に協力してほしい」と話している。
中国地方では、このほか、島根県の浜田市など14の市町村で断水が発生したほか、山口県でも萩市と山口市で断水が起きたが、31日までに解消している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160201/k10010392971000.html
2016年1月25日17時22分にNHK新潟から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今月に入って徐々に増え始めた雪を溶かすため、上越市では、一部の地域で地下水をくみ上げる量が大幅に増えているとして、県が今シーズン初めて「地盤沈下注意報」を出した。
県は、各地で毎日、地下水の水位を観測していて、基準値よりも下がり、地盤沈下のおそれがある地域には注意報を出している。
県によると、このうち上越市の高田地区にある2つの観測用の井戸で、25日、地下水の水位の大幅な低下が確認されたため、高田地区と周辺の地区に対して「地盤沈下注意報」を出したという。
上越市では、今月に入って徐々に雪の降る量が増えてきていて、地下水の水位の低下は、道路の雪を溶かす消雪パイプの使用が増えたためだという。
上越市に「地盤沈下注意報」が出されるのは7シーズン連続だが、ことしは例年と比べて暖冬だったため、注意報が出されるのは初めてだという。
これまでのところ、地盤の沈下は確認されていないが、県では、該当する地区の135の井戸の所有者に電話をしたり、広報車を使ったりするなどして、地下水の節水を呼びかけることにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/1035325361.html?t=1453759589445
1月25日13時19分に上越ジャーナルからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
冬型の気圧配置による降雪で、消雪用地下水の揚水量が増加したため、地盤沈下のおそれがあるとして、新潟県は2016年1月25日正午、上越地域に地盤沈下注意報を発令した。
注意報の発令は、今冬初。
地下水位を観測する井戸は、上越市本城町の高田公園内と栄町(高田)の2か所にある。
同日午前10時に、それぞれ4.90m、6.06mの地下水位低下が観測された。
このうち、栄町の観測井で注意報発令基準の6mを超える水位低下があったため、「上越地域地盤沈下緊急時対策実施方針」に基づき、注意報を発令した。
昨冬は、2014年12月18日に注意報を、15年1月12日に警報を発令している。
県と同市は、消雪用井戸の設置者に注意報の発令を通知し、節水対策の徹底と警報発令時に対処できる体制の整備を要請するほか、一般市民へ節水協力の協力を呼び掛ける。
出典URL
https://www.joetsutj.com/articles/64956900
(ブログ者コメント)
当該注意報の発令理由などが、上越市のHPに掲載されていた。
消雪に地下水が大量に使用される当地域では、冬季の地下水位は降雪量に応じて低下し、これに伴い地層が収縮することから、豪雪年には地盤沈下が大幅に進行しました。
特に昭和60年から3年連続して豪雪に見舞われ、消雪用地下水揚水量が増加して地盤沈下が著しく進行し、全国トップクラスの地盤沈下が認められました。
沈下の中心は上越市の高田市街地から稲田にかけた区域、高田市街地北部の旧国道周辺及び市街地南東部の関川右岸周辺の旧高田市街地でした。
当地域の地盤沈下対策については、昭和60年度から、緊急時対策を実施しています。
これは、地下水位の低下が著しく、地盤沈下が進行するおそれがあるときに、県が注意報や警報を発令し、地下水利用者である事業者や市民にその状況を周知し、地下水の節水・削減対策の実施を要請するものです。
http://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/kankyo/jiban-chinka-taisaku.html
2016年1月5日7時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本赤十字北海道看護大(北見市)は、16、17の両日、災害時に避難所で使われる段ボール製の簡易ベッドが、厳冬期の停電した状況下でも寒さ対策として有効かを検証する大規模な実験を行う。
同大の体育館に約100台の段ボールベッドを組み立て、実際に学生らが宿泊。
就寝可能な暖かさを確保できるかなどを調べ、改善すべき課題を探る。
段ボールベッドは2011年の東日本大震災を機に考案されて、注目を集めた。
組み立てが簡単で大量生産でき、底冷えを防いで保温性もあるため、全国の被災地で活用されているほか、一部自治体での利用準備も進む。
ただ厳寒期の道内では利用実績がなく、どこまで効果を発揮するかの詳細な研究データはなかった。
実験は、外気温が氷点下10℃を下回る中、停電した想定の屋内で行う。
停電時でも使えるジェットヒーターを使って、温度を上げたエリアと上げないエリアに分け、学生や防災関係者ら約100人に段ボールベッドの上で寝袋に入って横になってもらい、就寝できるかを試す。
ベッドの上と床に敷いたブルーシートの上の温度を比較するほか、参加者の体温や心拍数を計測し、寝心地も調べる。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0219417.html
(2016年1月21日 修正1)
2016年1月17日17時23分に北海道新聞から、実験が始まったという下記趣旨の記事が、寝ている状態の写真付きでネット配信されていた。
1月17日付で読売新聞北海道版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
日本赤十字北海道看護大(北見市)は、16日、大規模停電を伴う厳冬期の災害を想定した避難所宿泊演習を、1泊2日の日程で始めた。
演習は、大規模停電が発生する中、200人規模の避難所を体育館に開設するとの設定。
同大体育館に段ボール製の簡易ベッドを約100台組み立てて参加者が宿泊し、寒さ対策として効果があるか検証する。
学生や、全道各地から訪れた自治体などの防災関係者ら約100人が参加。
外気温は氷点下十数℃、体育館内はプラス2℃まで下がったが、停電時でも使えるジェットヒーターで室温を15℃近くに上げ、ベッドに寝た。
段ボールベッドに横になった参加者の一人は、「寒さも感じず快適。これなら一晩よく眠れそう」などと話した。
17日朝に、参加者の体温、心拍数などを確認し、課題を調べる。
段ボールベッドは2011年の東日本大震災を機に考案され、全国の被災地の避難所で活用されているが、厳寒期の道内では利用実績がない。
冬季の宿泊演習を10年から続けている同大が、床の冷気を遮断できる同ベッドに注目し、就寝可能かどうかを試すことにした。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0224023.html
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/news/20160117-OYTNT50018.html
2016年1月17日22時21分に毎日新聞からは、効果が実証されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
厳寒期の停電を伴う自然災害を想定した「厳冬期避難所訓練」が、17日まで1泊2日の日程で、北海道北見市の日本赤十字北海道看護大であった。
東日本大震災でも活用された「段ボールベッド」を使い、防寒の有効性を検証。
約90人の参加者の大半がきちんと眠れたといい、効果が実証されたという。
2010年から教官や学生らが冬の災害対応研究の一環として実施。
簡易なシェルターを作り、床にアルミマットを敷いて就寝するなど試行を重ねてきたが、参加者からは、「床からの冷気でよく眠れない」との声が上がっていた。
このため、段ボールベッドの有効性を確認することになり、初日の16日夜、訓練が実施された体育館内で、参加者が手順に従って設営、就寝した。
屋外の気温が氷点下10℃以下となって冷え込みは厳しかったが、「寒さを感じなかった」と好評だった。
同大の根本昌宏教授(寒冷地防災学)は、「有用性は確認できたが、組み立てや運搬に手間がかかり過ぎとの指摘もあった。今回の教訓を生かし、寒冷地の避難所対策を実証、提言したい」と話した。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20160118/k00/00m/040/062000c
2015年12月10日5時0分に産経新聞westから、『電線が揺れない秘密は“ゴルフボールの原理”・・・関電、アルミ電線導入の節約志向』というタイトルで、下記趣旨の記事が写真や図解付きでネット配信されていた。
関西電力は、11月から、電気を送る送配電網を銅製からアルミ製に切り替えている。
アルミ電線は調達コストを2~3割カットでき、軽量で交換や保守の作業もしやすいためで、管内の電線を30年程度かけて交換していく。
導電性の問題から銅と比べ太くなってしまうため、風に揺れやすい難点があったが、表面に凸凹をつけて風の抵抗を弱めるゴルフボールの原理を応用することで克服した。
原子力発電所の長期停止で懐事情が厳しい関電は、老朽設備の更新も可能な限りの節約を徹底する。
関電が導入したアルミ電線は、古河電気工業と共同開発した。
電線を覆う樹脂にいくつも縦に溝を入れており、断面でみると歯車状に凸凹ができる。
これで風圧を弱めて揺れにくくしたのが特徴だ。
電力流通事業本部の笹岡マネジャーは、「細かい凹凸を付いているゴルフボールの原理と同じだ」と説明する。
ゴルフボールは、ディンプルと呼ばれる小さなくぼみで覆われていることで空気抵抗を弱め、飛距離を伸ばしている。
この原理を電線に応用し、細かな溝をつけることで、風を受けたときの力を弱めることに成功した。
溝の数や深さなどは特許事項で、詳細は明かせないという。
関電管内の送配電網は14万km。
多くの電線は、昭和30~40年代の高度経済成長期に集中して整備された。
更新時期を迎えているのに合わせ、低価格のアルミ電線を導入することにした。
管内14万kmが2~3割安く調達できると、数百億円規模のコスト削減効果になる。
ただ、アルミ製は、導電性の問題で、銅製に比べて電線を太くする必要がある。
高圧用電線の場合で、銅製が直径16mmに対しアルミ製は19mmと、2割ほど大きくなる。
その分、電線が受ける風圧が強くなり、強風が吹けば電線が切れたり、電柱が倒れたりする危険性が増すことになる。
このため関電は、古河電気工業と風に揺れにくいアルミ電線の共同開発に乗り出した。
ただ、風に揺れにくい電線は十数年前から銅製の電線で研究が進んできた。
溝を入れた電線について風を弱める効果は検証済みで、後はアルミ電線にも用いることが可能か確かめるだけだった。
アルミ電線も、昭和40年代を中心に大阪府南部に開発された泉北ニュータウンで検証導入していたため、アルミ電線を扱った経験がある府南部から導入を進めることになっている。
アルミは、電線にした場合で重さが3~4割軽くなるため、現場の交換や保守などの作業効率化も期待されている。
関電は、「これまでの研究や検証成果を寄せ集めた」と説明する。
裏を返せば、材料調達費だけでなく、開発費も抑えながらアルミ電線の導入を実現したわけだ。
送配電網は、関西電力だけでなく、電力小売り自由化で新規参入した新電力も使用料金(託送料)を払って借りているため、関電がアルミ電線で送配電網のコスト低減することができれば、電気代の長期的な抑制効果がありそうだ。
しかし、これは序の口にすぎない。
関電は、5年連続の最終赤字を回避するため、平成27年度には3033億円の経営効率化目標を掲げて節約に努めるが、今後、送配電部門でも節約が求められる場面が待ち構えている。
来年4月からの電力小売り全面自由化で、家庭が契約会社の切り替えるためには、スマートメーター(次世代電力計)の導入が必要だ。
メーター設置は、大手電力の送配電部門の仕事となっている。
関電は、全国に先駆け、20年度からスマートメーター設置を始めた。
だが、それでも導入数は今年9月末現在で、必要な約1300万台のうち約470万台と、4割に満たない。
全面自由化を迎えれば、メーター交換に集中して進めることが求められる。
さらに、今年6月に成立した改正電気事業法では、平成32年に大手電力の発電部門と送配電部門を分離することが決まった。
分社化に向け、送配電部門も一層のコスト意識が必要になり、節約に知恵と工夫を凝らす試練は続きそうだ。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/151210/wst1512100008-n1.html
2015年12月6日19時0分に北海道新聞から、カラー写真付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午後10時50分ごろ、札幌市西区八軒1西1、マンション「ザ・サッポロタワー琴似」(鉄筋コンクリート地上40階、地下1階建て)で、近隣住民から「40階付近で炎と煙が見える」と119番通報があった。
駆け付けた消防隊が確認したところ、火災現象はなかった。
札幌市消防局によると、風で飛ばされた雪が屋上に設置された照明に照らされ、炎や煙が出ているように見えた可能性が高いという。
市消防局の担当者は、「めったにない通報」と話している。
現場はJR琴似駅前で、飲食店やマンションが立ち並ぶ一角。
消防車両15台が出動し、一時騒然となった。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0210005.html
(ブログ者コメント)
掲載されている写真によれば、確かに、彩色したかと思うほど赤い炎があがっているかのように見える
2015年11月30日19時40分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月30日17時34分に東京新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
隣家の家庭用燃料電池「エネファーム」の運転時の低周波音で不眠などの健康被害を受けたとして、東京都練馬区の会社員男性(51)が30日、製造元のパナソニックなどに約158万円の損害賠償と、隣家の住民に運転停止を求める訴訟を起こした。提訴は11月27日付。
訴状によると、隣家は2014年11月に新築され、屋外にエネファーム1台が設置された。
男性宅の居間の外壁から2m弱で、設置直後から「ブーン」という振動を伴う音が聞こえるようになったという。
設置場所を変えるよう求めても、拒否された。
男性は、「音と振動で不眠や吐き気、頭痛などの症状が出ている」と主張している。
エネファームは、都市ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、同時に発生する熱を給湯などに利用する仕組みで、14万台以上販売されている。
消費者庁によると、エネファームに関する健康相談が12年以降、24件寄せられ、同庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、健康被害との関連を調査する。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151130-OYT1T50100.html?from=ycont_top_txt
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015113001001772.html
(ブログ者コメント)
同じパナソニック相手に、エコキュートでも同様な訴訟が起こされている。
2015年8月26日掲載
2015年8月19日報道 埼玉県所沢市の夫婦がエコキュートの低周波音で不眠などの健康被害を受けたとしてメーカー、施工業者、隣家の住人を提訴
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5153/
低周波騒音も環境問題の一つ。
両製品とも、環境にやさしいというのが売りのはずだが・・・。
それは、発電用風車にも言えることだ。
2015年11月26日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
政府は、エネルギーを多く消費する白熱灯と蛍光灯について、国内での製造と国外からの輸入を、2020年度をめどに実質的に禁止する方針を固めた。
省エネ性能が高い発光ダイオード(LED)への置き換えを促す狙いだ。
安倍晋三首相が26日に財界幹部を集めて官邸で開く「官民対話」で、省エネ対策の一環として表明する。
今月末にパリで始まる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)に向けて、日本の温室効果ガス削減への取り組みを具体化する狙いもあるとみられる。
政府は、LEDと蛍光灯それぞれについて、品目ごとに省エネ性能が最も優れた製品の基準を満たさないと製造や輸入をできなくする「トップランナー制度」で規制してきた。
来夏をめどにつくる省エネ行動計画に、照明についての品目を一つにまとめることを盛り込む。
LED並みの省エネを達成するのが困難な白熱灯と蛍光灯は、事実上、製造や輸入ができなくなる見通しだ。
来年度にも、省エネ法の政令を改める方針。
電球で比べると、LED電球の消費電力は、60ワット形相当で白熱電球の約8分の1で、電球型の蛍光ランプよりも約3割低い。
政府は、家庭などで使われている照明のほぼ100%を、30年度までにLEDにする目標を掲げるが、割高な価格がネックとなって、LEDの比率は12年度で9%にとどまった。
白熱灯と蛍光灯の製造と輸入ができなくなれば、国内市場で在庫がなくなった時点でLEDへの置き換えが急速に進み、量産効果でコストが下がることも期待される。
ただ、割安な電灯を買う選択肢がなくなることになり、家計や企業の重荷になる可能性もある。
電球型のLEDが登場したのは09年前後。11年の東日本大震災後に省エネ意識が高まって、一気に普及した。
日本の大手電機メーカーでは、東芝ライテック、パナソニック、日立アプライアンスが、一般的な白熱電球の生産をすでに終えている。
東芝ライテックによると、一般的なLED電球の希望小売価格は、09年の発売時に約1万円だったが、いまは2千~3千円台まで下がり、「店頭の販売価格はもっと安いだろう」(広報担当者)という。
蛍光灯が中心だった天井用照明でも、10年ごろからLEDが売り出されている。
ただ、照明器具そのものをLED対応に切り替える必要があることから、電球ほどはLED化が進んでいない。
LEDへの移行を後押しする支援策を求める声が出る可能性もある。
出典URL
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12086384.html?rm=150
11月26日23時43分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
政府は26日、2020年度をメドに、照明器具に関する省エネルギー性能の基準を強化する方針を決めた。
エネルギーを多く使う蛍光灯や白熱灯の生産や輸入が、実質的にできなくなる。
製造業者と輸入業者に対し、消費電力が小さい発光ダイオード(LED)の生産や輸入を促し、温室効果ガスの削減につなげる。
甘利経済再生相は26日の記者会見で、「(生産の)禁止政策ではないが、事実上なくなるという結果になるのではないか」と述べ、LEDへの置き換えが進むとの見方を示した。
政府は、1998年以降、品目ごとに省エネ性能が高い製品の水準に目標を設定し、達成を促す「トップランナー制度」で乗用車や家電の省エネ化を進めてきた。
今回、新たに白熱灯を対象に加え、LEDと蛍光灯を合わせて、「照明」としてひとまとめにする。
白熱灯と蛍光灯は、今後、生産と輸入が減っていく見通しだ。
政府は、今後、目標水準などを詰め、来年度にも省エネ法の政令を改める方針だ。
LEDの12年度の普及率は9%にとどまる。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151126-OYT1T50188.html?from=y10
2015年9月29日9時56分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験の不正問題に関し、独DPA通信は28日、VWがディーゼル車の排ガス量を違法に操作するソフトウエアの使用を2005~06年に決めたと報じた。
当時のVWは米国事業が低迷しており、排ガス基準を満たし販売を伸ばすため、違法ソフトを使うことにしたという。
報道によると、VWのエンジン部門が、米国でコストを抑えながら現地の厳しい排ガス基準を満たす方法を検討した。
排ガス浄化装置を設置するとコストがかかりすぎると判断し、試験時だけ排ガス量を少なくする違法ソフトを使うことを決めたという。
不正問題で引責辞任したマルティン・ヴィンターコーン氏が社長に就任したのは07年。
VWにとって米国事業は、前任のベルント・ピシェツリーダー社長の時代から大きな経営課題だった。
世界で最も厳しいとされる米国の排ガス基準を満たすため、同氏の時代に違法ソフトに手を染めていたことになる。
VWの最高意思決定機関である監査役会の主要メンバーで構成する理事会は、30日、緊急会合を開く予定。
内部調査の結果として、05~06年に違法ソフトの使用を決めたことなどが、報告されるという。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H1T_Z20C15A9MM0000/
9月30日11時38分に日本経済新聞電子版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
開発部門の現トップが、2011年に一部ディーゼル車に使っていたソフトウエアの違法性の指摘を受けながら、対応をとらなかったことが明らかになった。
不正が組織ぐるみだったかが焦点となる中、問題の責任者として幹部の名前が浮上したのは初めて。
南ドイツ新聞(電子版)などが社内調査の内容として29日報じた。
11年にVWでパワートレイン(動力機構)のトップだったハインツ・ヤーコブ・ノイサー氏は、社内の技術者から、試験の時だけ排ガス量を減らす違法ソフトの指摘を受けたが、真剣に取り合わなかった。
同氏は、13年からVW乗用車部門の取締役として、グループ全体の開発部門を率いてきた。
VWの監査役会は、不正に関わった可能性がある複数の技術系幹部を停職処分にしており、同氏も対象になっている。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM30H1M_Q5A930C1MM0000/
2015年9月28日12時0分に読売新聞から、『フォルクスワーゲンの謀略と落とし穴』というタイトルで、モータージャーナリストの御堀直嗣氏の解説記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
フォルクスワーゲンは、まだ自動車が裕福な人たちのものであった時代に、自動車技術者のフェルディナント・ポルシェが構想した“庶民のための自動車”が源だ。
戦後ドイツ復興の中で槌音高く量産が開始された乗用車「タイプ1(通称ビートル)」をはじまりとし、社名も、“国民車”という意味そのままの「フォルクスワーゲン」と名付けて創業した。
そこからの70年に及ぶ歴史は質実剛健で、あえて言えば、あまり面白みはないかもしれないが、“買って損をしない確かな製品”という確固たる信頼を地道に築き上げてきた。
今回の不祥事は、その土台を一気にひっくり返すような、大きな出来事だ。
この不祥事が誘発されるに至った発端を、考えてみたい。
近年、日本国内でも人気が高まりつつあるディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて燃費が良い反面、排ガス浄化が難しいとされてきた。
ガソリンエンジンに比べ、窒素酸化物(NOx)の排出量が多いのだ。
それから、従来のポート噴射式を採用するガソリンエンジンでは問題視されなかった粒子状物質(PM)も排出される(最近、多くなってきた直噴式では少し状況が異なる)。
このNOxとPMを同時に減らすのが、実は難しい。
NOxは、燃料を高温で燃焼すると発生しやすい特徴がある。
一方、PMを減らすには、燃料の燃え残りが少なくなるよう、高温で燃やし尽くす必要がある。
しかし、高温ではNOxが多く出てしまう。
NOxを減らすには燃焼温度を下げればよいが、それでは逆に燃料の燃え残りができ、PMが生じやすくなるというジレンマが生じる。
2000年以降、欧州で急速にディーゼルエンジンの人気が高まり、市場の50%を占めるに至ったとき、誰にでもわかりやすい黒煙に通じるPM規制は厳しく行われたが、NOxに対しては規制が甘かった。
巨大都市(1000万人を超えるメガシティー)がない欧州では、NOxを要因とするスモッグが認識されることが少なかったためだ。
ところが、近年になって、欧州各国の都市で、大気汚染が問題化している。
パリ、ロンドン、ローマ……。ガソリンエンジン車に比べNOx排出量の多いディーゼルエンジン車が増えたためだ。
たとえば仏のパリの場合、市長が「2020年までにディーゼル車の市内での運行を禁止する」と発言するほどまで、事態は深刻化している。
しかし、欧州の排ガス規制も厳しさを増し、「EURO6」と呼ばれる排ガス規制を実施する今日では、日本の排ガス規制「ポスト新長期規制」とほぼ同等の基準値となっている。
この厳しい規制をクリアしたクリーンなディーゼルエンジンを搭載する新型車が、日本へも続々と輸出されるようになった。
それでも、米国の排ガス規制では、さらに高い壁が待ち受けている。NOxの排出基準がさらに厳しいという現実だ。
これが、不正の根となった一因ではないかと考えられる。
次に、なぜ不正を犯してまで、ディーゼル車を米国市場に導入しなければならなかったのか?
欧州は、概して、クルマの速度域が高い交通状況にある。
市街地では時速50km規制が敷かれるが、市街地を離れると、一般道でも時速80~100kmで走れる。
高速道路では、独アウトバーンの速度無制限は有名だが、その他の国でも、時速130kmの速度規制になる。
この状況では、日本発のハイブリッド車の燃費性能は期待されるほどには発揮されないのが実情だ。
一方、米国は日本に比較的近い交通状況にあり、市街地も高速道路(フリーウェイ)も、速度に対する制約が厳しい。
したがって、日本が世界に先駆けて量産市販したハイブリッド車が、燃費性能もよく、走行性においても満足がいくのでよく売れている。
しかしながら、欧州車にはハイブリッド車が少なく、メルセデス・ベンツSクラスやBMW3シリーズの高性能車種などに限定される。
したがって、米国市場で売れ筋の日本の小型ハイブリッド車と燃費で競争できる商品はというと、ディーゼル車しかない、という状況に追い込まれるのだ。
そこにフォルクスワーゲンの場合、トヨタと世界一の販売台数を競うという経営戦略が加わってくる。
冒頭に紹介したように、そもそもフォルクスワーゲンは質実剛健、買って損のない市民のための自動車を造ってきた。
ところが、数で世界一を目指すようになったことで、台数を多く売ることに経営の重心が移ってしまい、品質は二の次に追いやられてしまったのではないだろうか。
似たようなことは、日本のホンダでも起きた。
急激な販売台数の増加を目指した結果、13年9月に発売したコンパクトカー「フィット」や小型SUV(スポーツ用多目的車)「ヴェゼル」のハイブリッド車で、大量のリコールを出してしまったのがそれだ。
ホンダの創業者、本田宗一郎は、「世のため人のため」を旨とし、三つの喜びを目指した。
すなわち、造って喜び、売って喜び、買って喜ぶ。メーカーも販売店も消費者も、三者みんなが幸せになるクルマづくり、およびバイクづくりを目指してきた。
ところが、“売って喜ぶ”が強調された結果、追いつかなくなった品質がリコールを生む結果となった。
未完成ともいえる状況で市販を余儀なくされた開発者・技術者らも、さぞかし辛い思いをしたに違いない。
フォルクスワーゲンも、フェルディナント・ポルシェが庶民のための自動車を構想した志を受け継いできたはずなのに、“売って喜ぶ”を前面に押し出したら、結果として落とし穴にはまってしまい、今回の不祥事が起こった。
自動車に限らずだが、消費者が喜ぶ製品を適正価格で売り、それが結果的に数のナンバーワンとなるなら、それは素晴らしいことであろう。
だが、数を追い、ナンバーワンになることが前面に押し出されたとたん、本田宗一郎の言うところの三つの喜びのバランスがほころびを見せるのだ。
創業の志を忘れ、売り上げ至上主義に走ったフォルクスワーゲン。
これまで真摯な汗で築き上げてきた信頼は一気に崩れ去った。
これは、フォルクスワーゲンの例にとどまらず、また自動車にとどまらず、あらゆる物づくりを源とする企業にとって、決して人ごとではない。
頂点を極めたいと思う人間の欲望と、人のために尽くす物づくりとのせめぎ合いは、常にそこに潜んでいるのである。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20150926-OYT8T50047.html?page_no=4
2015年9月27日6時30分に日本経済新聞電子版から、『VWディーゼル排ガス事件が開けた「パンドラの箱」』というタイトルで オートインサイト代表の鶴原吉郎氏の見解記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
どう考えても腑に落ちない。
独フォルクスワーゲン(VW)が、米国内で販売していたディーゼル乗用車で、排ガスに関する試験をクリアするために、違法なソフトウエアを使っていたとされる事件のことだ。
違法なソフトウエアを搭載していたとされているのは、VWが米国で販売した2009~2015年型の「ゴルフ」「ジェッタ」「ビートル」と2014~2015年型の「パサート」、そして傘下の独アウディが販売した2009~2015年型の「A3」のディーゼル仕様車の、合計約48万2000台だ。
米環境保護局(EPA)の発表によれば、これらの車種に搭載されているエンジンECU(電子制御ユニット)のソフトウエアには、“スイッチ”(EPAの呼び方)が組み込まれており、このスイッチが「ステアリングの位置」「車速」「吸気圧」などからEPAの排ガス試験中であることを検知すると、ECUが「試験用」の制御ソフトウエアを走らせて、排ガスに含まれる有害物質のレベルを基準値以下に抑える。
逆に、試験中ではないとスイッチが検知すると、ECUは「走行用」の制御ソフトウエアを走らせて、排ガス浄化装置、特にNOⅹ(窒素酸化物)の選択還元触媒(SCR)や、NOⅹ吸蔵還元触媒(LNT)の働きを弱める。
結果として、排ガスに含まれるNOⅹの量は、走行状況によって、EPAの基準値の10~40倍に達するという。
EPAの「大気浄化法(CAA)」では、通常走行時に、排ガスの浄化装置の働きを弱める「ディフィート・デバイス(無効化装置)」の搭載を禁止しており、この“スイッチ”の搭載は、法律違反だというのだ。
今回の事件で、VWが払う制裁金は約2兆円に達するとの観測もある。
筆者が「腑に落ちない」と思ったのは、VWがなぜ、これほどのリスクを犯してまで、こんな違法ソフトを搭載したのか、ということだ。
もともと、VWにとって、米国での販売台数は多くない。
同社の2015年1月~8月の米国市場での販売台数は約40万5000台で、シェアは3.5%。
このシェアは、企業規模の大きく異なる富士重工業の3.2%と同程度にすぎない。
制裁金の対象となるディーゼル乗用車の台数が、2009年から2015年までの6年間でたった48万2000台、1年あたりわずか8万台程度と聞いて、その少なさに一瞬、一桁違うのではないかと思ったほどだ。
確かに、2007年に現在のマルティン・ヴィンターコーンCEO(最高経営責任者)が就任して以来、米国市場での販売台数の拡大は、VWにとって重要命題の1つだった。
2011年5月には、1988年に米国現地生産から撤退して以来、23年ぶりとなる米国工場を稼働させ、米国専用モデルの「パサート」の生産を開始するなど、並々ならぬ努力を払ってきた。
今回、EPAから違法ソフトを搭載していると指摘を受けたジェッタのディーゼル仕様である「ジェッタTDI」は、燃費が良くパワフルなディーゼルを米国市場開拓の尖兵としたいという、VWの戦略を担うモデルだった。
実際、その狙いは当たり、ジェッタTDIは好調な販売を示した。
ジェッタTDIが米国市場に投入された2008年は、米国でトヨタ自動車の「プリウス」が、環境意識の高さを示すための“アイコン”としてハリウッドスターの人気を集めていた時期でもある。
当時、ハイブリッド車を持たなかったVWが、クリーンディーゼルを、それに代わるアイコンとして訴求しようとしたとしても、不思議はない。
このように、2008年当時、VWが米国市場で販売を伸ばすために、先行他社にない「武器」を必要としていたことは理解できる。
それでも、これほどのリスクを犯すことの動機として不足なように、筆者には感じられる。
事の真相は、今後の調査を待つしかないが、筆者が疑っているのは、今回のエンジンの開発者たちが、自分たちがそれほどのリスクを犯しているという自覚を持っていなかったのではないかということだ。
2014年11月、環境問題に取り組む非営利団体のICCTは、「REAL-WORLD EXHAUST EMISSIONS FROM MODERN DIESEL CARS」と題するレポートを発表した。
このレポートは、完成車メーカー6社15車種のディーゼル乗用車にポータブルタイプの排ガス試験装置を搭載し、実際の道路上を走行させて有害物質の排出量を測定したもの。
驚いたことに、欧州の最新の排ガス基準である「ユーロ6」のNOⅹ排出基準を満たしていたのは15車種中わずか1車種で、他の車種はすべて、ユーロ6どころか、その前の基準である「ユーロ5」の基準値すら超えていたのである。
そのうちの2車種は、ユーロ6の基準値の20倍以上を排出していた。
実は、今回のVWの事件に限らず、実走行時の排ガスに含まれる有害物質が排ガス基準値を超えているというのは、自動車関係者にとっては半ば「常識」である。
排ガスに含まれる有害物質が基準値に収まっているかどうかを試験するモードには、例えば、坂道は含まれていないし、日本の測定基準でいえば、時速80km以上の速度領域も含まれていない。
また、2名乗車時を想定して測定しているので、それ以上の人員が乗れば、エンジンにはそれだけ負担がかかる。
試験時の測定モードは、加速度なども決まっているが、実走行時には、それ以上にアクセルを踏み込むことも当然あり得る。
これらは皆、排ガス中の有害物質を増加させる方向に働く。
こうした“リアルワールド”での排ガスの実態は、これまであまり光の当てられることのなかった「闇」の部分だったといえるかもしれない。
排ガス測定試験の条件に外れた領域での有害物質の排出状況がどうなっているのかについては、ある意味、メーカーの良識に任されている部分がある。
例えば日本でも、いすゞ自動車のディーゼルトラックで、ディーゼルトラックの排ガス測定モードである「JE05モード」での走行では、特にNOⅹ排出量に異常が見られなかったにもかかわらず、時速60kmの定常走行で、測定開始240秒後にNOⅹ排出濃度が約4倍に上昇。
さらに、JE05モードの規定よりも急加速した場合にNOⅹ排出量が急増し、その後、定速走行に移ってもNOⅹの排出量が高いまま下がらない、というような現象が、東京都の試験で発覚した。
その後、日本でも、自動車工業会がディフィート・デバイスを禁止するガイドラインを設定するなど、対応に追われたことがある。
米国の大気浄化法でも、ディフィート・デバイスの搭載は禁止されているが、エンジン保護のため、あるいはエンジンスタートに必要な場合を除く、という規程がある。
米国の軽油は、燃料に含まれる硫黄の量の基準が、日欧の10ppmに対して15ppm以下と、やや緩い。
硫黄分は、触媒に悪影響を与えるため、少ないほど望ましい。
VWが、EPAが主張するように、排ガスの測定条件以外の実走行時に排ガス浄化装置の働きを弱めるような制御を導入していたのは、触媒保護という意味合いがあったのかもしれないし、あるいはそう言い逃れできると踏んだのかもしれない。
VWの事件は、他の完成車メーカーにとっても、決して他人ごとではない。
先ほど触れたように、市販されているほとんどのディーゼル乗用車は、基準値以上のNOⅹを排出しており、このことは、多くのメーカーが「この程度なら許容されるだろう」と考えていることを示している。
VWのエンジニアも恐らく、先に触れたような理由で、この程度の基準値からの逸脱は、許容範囲と考えていたのではないか。
そうでなければ、VWにとって小さな市場で、これほどの危険を犯した説明がつかない。
今回の事件が起こる前から、リアルワールドでの排出量と、実験室の中の測定値の違いは問題になっており、実際の公道上で排ガスレベルを計測すべきだという議論が、特に欧州で高まっている。
VWの事件は、こうしたリアルワールドでの排ガス測定の導入を、さらに加速することになるだろう。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO92073250V20C15A9000000/
2015年9月27日1時41分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス試験の不正問題で、EUが2013年の時点で、排ガス量を不正に操作するソフトウエアの問題を把握していたと、欧州の複数のメディアが報じた。
EUも、以前から違法性を認識していながら厳しく追及していなかったことになり、EU側の責任も問われそうだ。
一方、スイスの交通規制当局がVWの一部ディーゼル車の販売禁止を決めたほか、各国の当局が相次いで、不正問題の調査に乗り出した。
欧州メディアの報道によると、EUの欧州委員会共同研究センターの調査で、ディーゼル車から試験時の排ガス量を実際の走行時よりも少なくするソフトウエアが見つかった。
EUでは、こうしたソフトは07年から違法になっていたが、「規制当局は問題を追及しなかった」(英紙フィナンシャル・タイムズ)という。
別の科学者グループが、11年の時点で、VWの違法ソフトの存在を指摘していたとの報道もある。
VWの排ガス不正は、18日の米環境保護局(EPA)による発表で、公になった。
その後、14年時点で米ウェストバージニア大学が実施した試験で確認されたこともわかっている。
ただ、EUは、そのさらに前から事態を把握していたことになる。
EUは、これまで、燃費性能に優れたディーゼル車を推進する立場だった。
域内の新車販売の約5割を占めるまでになり、さらに欧州発の「エコカー」として、域外への普及も後押ししてきた。
VWの不正を長期にわたって放置していたとすれば、EUの環境規制の運用そのものが問われることになる。
一方、主要各国の当局は、排ガス試験不正問題を巡り、相次いで調査に乗り出した。
米欧に加え、韓国などのアジア諸国も、自国での車両点検の実施を表明した。
英国放送協会(BBC)によると、26日時点で、約10カ国が、既に調査の意思を示している。
米国では、司法省とニューヨーク州が、VWの刑事責任を巡って調査を始めた。
カナダの環境当局は、VWと傘下のアウディのディーゼル車を約10万台、調査する方針を示した。
欧州でも、ドイツ、フランス、イタリアが調査開始を表明、アジアでは、インドと韓国が調査開始を宣言した。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXLNSE2INK01_W5A920C1000000/
2015年9月7日付で毎日新聞西部版夕刊から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月4日12時8分に沖縄タイムズからも、同趣旨の記事が掲載されていた。
沖縄県浦添市周辺で捕獲されたハブの体内に、有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)や、毒性が高く使用が禁止されている農薬のDDTが高濃度で蓄積している例があることが、名桜大(沖縄県)と愛媛大の研究グループによる分析で明らかになった。
市北西部にある米軍基地周辺の約1平方キロの範囲内に限られ、田代豊・名桜大教授は、「基地内かその近くに汚染物質の発生源があるとみられる」と指摘。
詳細な汚染源の調査が必要になりそうだ。
グループは、行動範囲が比較的狭く、食物連鎖の上位に位置する動物の汚染状況が、生息地の有害物質汚染の指標となることに注目。
2013年10月から14年12月の間に浦添市内で捕獲された雄のハブ12匹について、DDTやPCBなどの濃度を分析した。
結果、全てのハブから有害物質が検出され、脂肪組織中のPCB濃度が1g当たり2μg(1μは100万分の1)超、DDTとその関連物質の濃度が同0.5μg超という高濃度の5匹は、全て米海兵隊基地「牧港補給地区(キャンプ・キンザー)」の近くで捕獲されたものだった。
米軍基地では、PCBを含む変圧器などの機器が多く存在するとされ、これまでも基地内のPCB漏れや返還跡地のPCB汚染が相次いでいる。
ただ、高濃度地点には民間の事業所も多く、汚染がこれらに起因する可能性もあるという。
研究グループは、13年に同補給地区周辺などで捕獲したマングースの体内にPCBなどが高濃度で蓄積していることを報告。
今回は、より行動範囲が狭いハブに注目した。
出典URL
http://mainichi.jp/area/news/20150907ddg041040004000c.html
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=131417
(ブログ者コメント)
マングースに関する調査結果は、下記記事参照。
(2013年8月20日10時11分 沖縄タイムズ)
マングースから高濃度PCB 米軍2施設周辺 沖縄
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=131466
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。