2022年6月19日5時0分に読売新聞から下記趣旨の記事が、事故件数などの推移グラフ付きでネット配信されていた。
主に宅配で使われる事業用軽貨物車(黒ナンバー車)が原因で死者や重傷者が出た重大事故が、2021年までの5年間で8割増えたことがわかった。
読売新聞が警察の交通事故データを分析した。
事故総数が減る中で目立って増えており、台数当たりの事故件数は車全体平均の4・5倍。
国土交通省は、ドライバーの大半が宅配を業務委託された個人事業主とみている。
労働時間の規制がなく、宅配荷物の増加が事故増の背景にあるとみられる。
警察庁や公益財団法人「交通事故総合分析センター」(東京)の10年以降の事故データを分析した。
黒ナンバー車が主たる原因の「第1当事者」となった重大事故は16年(199件)までは減少傾向にあったが、翌17年から増え、21年は16年比で83%増の365件(うち死亡21件)だった。
軽傷を含む死傷事故全体でも、21年は26%多い4616件。
この8割が業務中だった。
交通事故全体の数は16年以降で約4割減少しており、主な車種別で増えたのは黒ナンバー車と自転車だけ。
重大事故に限ると、黒ナンバー車だけが増えていた。
1万台あたりの事故件数も黒ナンバー車が際立ち、21年は151・5件と、車全体(33・6件)の4・5倍。
軽以外の事業用貨物車(緑ナンバー車、79・9件)と比べても1・9倍だった。
ネット通販の普及に伴う宅配荷物の急増で、物流業界では、個人事業主に宅配を業務委託する動きが広がっている。
黒ナンバー車は21年末で約30万台と、16年末から約7万台増えた。
黒ナンバー車での運送業は、緑ナンバー車と違って国の許可は必要なく、届け出だけで始められ、新規参入が増えているとみられる。
しかし、個人ドライバーは労働基準法の対象外で、過重労働が広がっている可能性がある。
◆事業用軽貨物車
貨物自動車運送事業法に基づき、有償で他人の荷物を運ぶ軽貨物車。
ナンバープレートは黒地。
1人でも運輸局に届け出れば始められる。
軽以外の事業用貨物車(緑ナンバー車)は、1人で営業できない。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220618-OYT1T50360/
同日同時刻に読売新聞からは、1971年に国の許認可事務見直しの一環で軽自動車が免許対象外になった、当時は軽自動車だけでの運送業が想定されていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
生活に欠かせない宅配を最前線で支える個人事業主のドライバー。
コロナ禍の巣ごもり需要で荷物が増える中、主に個人ドライバーが宅配で使う黒ナンバー車(事業用軽貨物車)の事故が急増している実態が明らかになった。
専門家からは対策を求める声が上がる。
【1日200個】
昨年10月、神奈川県内の住宅街の交差点で、帰宅中の当時小学2年の男児(8)が黒ナンバー車にはねられた。
男児は頭に大けがを負い、救急搬送された。
運転していた個人ドライバーの女性(20歳代)は4月、取材に「荷物が多くて急いでいて、よく見ていなかった」と打ち明けた。
女性が宅配の仕事を始めたのは事故1年前。
普通運転免許を取得した翌月、県内の運送会社と業務委託契約を結んだ。
「経験がなくても、ある程度の収入が得られるのが魅力」と話すが、朝から夜まで荷物は200個を超える日もあり、休憩を取る余裕はほとんどない。
事故当日も荷物が多く、交差点で一時停止したものの、右から来た男児に気づかなかったという。
女性は免許停止処分となったが、4月、仕事を再開した。
「ハンドルを握ると緊張する。でも、ほかの仕事では十分な収入が得られない」と話す。
男児の父親(38)は「息子は今も車を怖がっている。委託している運送会社も安全を考えてほしい」と話した。
【「軽だけで」想定せず】
個人ドライバーは、雇用されたドライバーと比べ、労働と運送の二つの法律で異なる扱いを受けている。
雇用されたドライバーは、労働基準法に基づき、運転時間や拘束時間の上限がある。
しかし、個人ドライバーは労基法の対象外で、労働時間の規制はない。
労働組合「軽貨物ユニオン」が個人ドライバーを対象に昨年実施した調査では、回答があった83人の4分の1が、1日の労働時間が12時間以上と回答。
半数が週6日以上働いていた。
貨物自動車運送事業法でも、普通や大型などの貨物車(緑ナンバー車)での運送業は国の許可と5台以上の車が必要で、ドライバーとは別に運行管理者を選任しなければならない。
しかし、黒ナンバー車は個人が届け出るだけで始められ、運行管理者の選任や、運輸局への事故の報告義務などもない。
1971年までは自動車運送業は一律免許制だったが、国が許認可事務を整理する中で、同年に道路運送法が改正され、軽自動車が除外された。
当時、軽自動車だけでの運送業が想定されていなかったためだ。
しかし、ネット通販の普及で、主な宅配業者の取扱個数は2020年度に約48億個と、10年前の1・5倍に増えた。
黒ナンバー車は物流業界で欠かせない存在となっている。
【都市部に集中】
参入が容易なため、事故データからは経験の浅いドライバーが事故を起こしている状況が浮かぶ。
21年に黒ナンバー車が第1当事者となった事故4616件のうち、12・4%(576件)のドライバーは運転免許取得後3年未満だった。
3年未満の割合は年々増え、事業用大型貨物(2・5%)や中型貨物(3・5%)より高かった。
神戸市灘区では20年11月、阪急神戸線の踏切内で特急電車が黒ナンバー車と衝突し、脱線する事故が起きた。
運輸安全委員会の事故調査報告書などによると、運転していたのは宅配中の個人ドライバーの男性(43)で、仕事を始めて6日目だった。
「慣れていなかった」と話したという。
事故は宅配需要が高い都市の住宅街に集中している。
警察庁が「オープンデータ」として詳細に公表している19~20年の事故約69万件を分析したところ、黒ナンバー車が絡む事故の64%が、1平方キロ・メートル当たりの人口が4000人以上の「人口集中地区」(国土面積の3%)で発生していた。
事故の半数が市町村道で起きており、3分の1は車道の幅が5・5メートル未満の「生活道路」で起きていた。
こうした道路で、駐車と発進を頻繁に繰り返していることも事故多発の一因とみられる。
国土交通省は「黒ナンバー車の事故が増えている実態は把握していなかった。必要があれば対策を検討する」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220618-OYT1T50365/
2017年11月29日18時40分に京都新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
滋賀県警守山署は29日、道交法違反(過積載運送下命)の疑いで、守山市吉身3丁目の「おうみ冨士農業協同組合」と、同組合の男性課長(45)を書類送検した。
書類送検容疑は、9月19日~10月11日、最大積載350kgの軽トラックに収穫したコメ約1トンを積ませるなど、同市洲本町の「守山営農センター」から直売所「おうみんち」(同町)までの過積載運送を同組合の運転手に3回命じた疑い。
同署が10月12日、同組合の過積載車両を同市内で見つけ、運転手が組合の指示で運んでいたと説明したため、捜査を進めていた。
出典
『新米1トン軽トラで運送 滋賀の農協を書類送検、法定量の3倍』
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20171129000127
11月30日11時30分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、課長は9月19日から10月11日までの間に計3回、最大積載量350kgの軽トラックに1025kgの米を積んで運転するよう指示した疑いがある。
10月12日に守山市内の国道を走っていた軽トラックを取締中の署員が停車させ、発覚した。
課長は「より多く積んで業務効率を上げるために指示した」と、容疑を認めているという。
出典
『滋賀のJA、軽トラに米積み過ぎの疑い 幹部ら書類送検』
http://www.asahi.com/articles/ASKCY53T2KCYPTJB00P.html
(ブログ者コメント)
写真を見ると、横に2~3袋、縦に3~4袋で5段に積まれており、その高さは運転席の天井部より、やや低い。
2×4×5段×30kgとして計算すれば1200kgとなり、おおよそ3倍積んでいると推測できたが、写真だけではわからなった。
2015年12月17日付で毎日新聞東京版(夕刊)から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
北海道木古内町のJR江差線で2012〜14年に相次いだ3件の貨物列車脱線事故で、国の運輸安全委員会は、17日、石井国交相に対し、貨物列車の安全性を向上させるよう求める意見を出した。
3件とも、車両やレール、積み荷などの要因が複合して脱線したと分析。
貨車の設計や荷物の積み方、レールの管理について、鉄道各社や車両メーカーと連携して対策をとるよう求めた。
安全委は17日、3件のうち、既に報告書をまとめた12年4月の事故を除いた12年9月と14年6月の事故の調査報告書を公表した。
それによると、いずれの事故も急カーブ通過時に左右の揺れが続き、カーブ内側に揺れた際に貨車の外側が軽くなって車輪が浮きやすくなったうえ、カーブ外側に車輪が向かう力が強く作用し、レールを乗り越えて脱線したと結論づけた。
そのうえで、14年6月の事故は、レールのゆがみや左右の高さの差が揺れを助長したと分析。
報告書は、「レールの補修が必要かどうか決める方法が不適切だった。現場の知識が不足していた」と、JR北海道の管理のあり方を問題視した。
JR北海道は、当時、13年に起きた別の脱線事故現場のレールの不具合データの改ざんが発覚し、レールの安全管理が急務となっていた。
12年9月の事故は、レールのゆがみは基準値内だったものの、積み荷が軽かったため、車両の揺れを吸収する装置の効果が小さかったと指摘した。
12年4月の事故については、積み荷の片寄りが要因だったとする報告書を、すでにまとめている。
3件の脱線が同じ路線で相次いだ理由については、「江差線は比較的急カーブが多いなど、他の路線に比べて脱線に至りやすい」とも説明した。
複数の鉄道事故に関し、安全委がまとめて意見を出したのは初めて。
事故を受けてJR貨物は、来年3月までに、積み荷のバランスを調べる装置を北海道、岩手県、秋田県の計4駅に設置することを決めている。
貨物駅周辺のレールに取り付け、貨車が通過した際のレールのわずかなゆがみをもとに片寄りを検知できるという。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20151217/dde/041/040/042000c
以下は、関連報道。
(2015年12月17日13時19分 日本経済新聞)
レール劣化など複合要因 JR北海道の貨物脱線で安全委報告
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG16HBP_X11C15A2CR0000/
(2015年12月17日13時29分 朝日新聞)
北海道の貨物車脱線、積み荷偏りなど要因 運輸安全委
http://digital.asahi.com/articles/ASHDJ7TP5HDJUTIL06L.html?rm=410
(2015年12月17日17時56分 読売新聞)
レールのゆがみ・積み荷…列車脱線、複合要因で
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151217-OYT1T50105.html
(2015年12月17日19時2分 NHK北海道NEWS WEB)
貨物列車“安全性向上求める”
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20151217/4307891.html
(ブログ者コメント)
○運輸安全委員会から出された意見は、下記プレスリリース(1ページ)参照。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/houdou151217.pdf
2012年9月に起きた事故の報告書(概要)は、下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1826
2014年6月に起きた事故の報告書(概要)は、下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1858
○今回報告書の対象外となっている2012年4月の事例は、下記参照。
2014年7月22日掲載
[昔の事例の顛末] 2012年4月 JR北海道江差線で貨物列車が脱線したのはコンテナ内の積荷の偏りが要因 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4115/
2015年11月21日2時34分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月20日付で産経フォトからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道新幹線開業に向けてJR貨物が開発した新型電気機関車EH800形が、8月21日、渡島管内福島町の青函トンネル内で車両故障を起こしていたことが、20日、同社への取材で分かった。
車体に取り入れる電圧を新幹線用と在来線用に変換する装置のボルトが締め付け不足だったため、過大な電流が流れ、絶縁体の樹脂が溶けたという。
電気系統の異常が原因とみられる。
JR貨物によると、機関車は大阪貨物ターミナル発札幌貨物ターミナル行きの列車(20両編成)を牽引していた。
8月21日午後5時半ごろ、運転士が、故障を知らせるランプが点灯したため、渡島管内知内町側の出口まで約5kmのトンネル内に緊急停車。
運転士が機関車の機関室で煙を目撃。
モーターへの電流を遮断する措置で煙が収まり、約40分後に運転を再開した。
同管内木古内町の木古内駅に到着後、同社社員が故障を確認した。
JR貨物は、トラブルの内容を国交省北海道運輸局に報告したが、「単なる車両故障と認識し、発表する内容ではないと考えた」(広報室)として、公表していなかった。
JR北海道によると、トラブルの影響で、特急列車4本が最大53分遅れた。
EH800形は、在来線(電圧2万ボルト)と新幹線(同2万5千ボルト)の両方を走れる機関車として開発。
2014年7月から、青函トンネルを含む在来線と新幹線の共用走行区間で夜間に試験走行を行っている。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0204421.html
http://www.sankei.com/photo/daily/news/151120/dly1511200033-n1.html
(2016年1月23日 修正1)
2016年1月21日21時5分に共同通信から、原因は車両メーカーのボルト締め付け状況確認ミスだったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
JR貨物は、納車前の整備不良が原因で電気系統に異常が生じた可能性が高いと判断し、国交省北海道運輸局に報告したことが、21日、分かった。
提出は18日付。運輸局は、21日に内容確認を終えた。
JR貨物によると、機関室の中にある電線と端子台を固定するボルトの締め付けが緩かった。
締め付けが適切かは、メーカーの東芝が納車前に確認することになっていたが、この車両は組み立て直しており、その際、確認項目から漏れていたのが新たに判明した。
出典URL
http://this.kiji.is/62868339957727232?c=39546741839462401
1月22日0時49分に北海道新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
原因の一つはモーター製造時の確認不足にあったとして、JR貨物は、メーカーのチェック体制強化を再発防止策に盛り込んだ事故報告書を、21日までに国交省北海道運輸局に提出した。
同社によると、モーターの制御装置内で配線を取り付けるボルトの締め付けが足りず、電流が流れた際に配線の被覆が焼け焦げたため、車両が緊急停止した。
製造会社に確認したところ、いったん組み立てたモーターに不具合が見つかり、再度組み直した際にボルトのチェックを怠ったという。
JR貨物は、昨年9月、モーターの過熱を確認するために、温度によって色が変わるシールを貼り付けるなどの再発防止策を盛り込んだ報告書を提出していた。
同社広報室は、「メーカーがチェック体制を整えたので、メーカー側の製造責任を明記して、報告書を再度提出した」と話している。
出典URL
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0225776.html
2014年12月10日19時2分にNHK富山から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2014年12月10日18時15分に北日本放送から、12月11日付で朝日新聞富山全県版(聞蔵)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午前11時前、高岡市二塚にある「中越パルプ工業二塚製造部」の敷地内で、原材料の輸送に使う貨物列車がコンテナをつんでバックで移動していたところ、踏切を横断していた大型トラックと衝突した。
このはずみで、誘導員として列車の先頭部に立って乗車していた会社員の男性(54)が転落し、その上に貨物列車に積まれていた重さ1.7トンのコンテナが落ちて下敷きになった。
男性は病院に運ばれたが、まもなく死亡した。
工場の関係者によると、列車は空のコンテナ40個ほどを積んで、JR城端線の二塚駅から工場に向かって、時速7km程度の非常にゆっくりとしたスピードで移動していて、踏切には大型トラックの方が先に入り、事故が起きた当時は、ほぼ渡り終えるところだったという。
この踏切には警報機などもあり、警察は、大型トラックを運転していた男性(60)が注意を怠っていたとみて、過失運転致死の疑いを視野に、事故の詳しい状況や原因を調べている。
トラックを運転していた男性は、線路を横断する前、列車の接近を知らせる警報音を聞いていたという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/toyama/3063864381.html?t=1418249855695
http://www.knb.ne.jp/news/detail/?sid=5780
2014年7月14日17時36分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR北海道の江差線で2012年4月と9月、今年6月と、北海道木古内町で貨物列車の脱線が3件相次いだ事故に絡み、最初の事故はコンテナ内の積み荷の偏りが要因だったことがわかった。
レールのゆがみも揺れを助長していた。
国の運輸安全委員会は今月中にも、調査報告書を公表する方針。
12年4月に発生した事故では、20両編成の後ろから3両目が急な左カーブで右に脱線した。
JR貨物や運輸安全委などによると、この車両のコンテナにはコピー機のトナーやタイヤが左に偏って積まれていた。
右側が軽くなって車輪が浮きやすくなり、遠心力でカーブの外側に車輪が押しつけられるうちレールに乗り上げ、脱線した可能性が高いという。
現場付近では、整備基準値内のレールのゆがみも見つかっており、脱線を助長した可能性がある。
JR貨物はコンテナ内の積み方を荷主に任せており、事故後、バランスの取れた積み方をするよう運送各社に要請した。
当時の脱線現場から約5km西で今年6月に起きた脱線事故でも、コンテナ内の新聞ロール紙が左右に偏っており、運輸安全委が脱線との関連を調べている。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG7G5HG2G7GUTIL03H.html
2014年7月16日22時41分に毎日新聞からは、今年6月に起きた事故の推定原因に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道のJR江差線で6月、脱線した貨物列車の貨車について、JR貨物は16日、積載したコンテナの左右で重量バランスが偏っていたと明らかにした。
ただ、脱線に直結する程度の偏りではなく、列車は過積載や速度オーバーした形跡もなかったといい、引き続き詳しく調べる。
JR貨物によると、脱線した貨車で左右の車輪にかかる垂直方向の荷重(輪重)を試算したところ、左が約10%重く、積み荷が最も寄った場合で約15%だった。
20%になると脱線事故につながる恐れがある。
事故は6月22日早朝に発生。後ろから2両目の貨車が進行方向右に脱線、最後尾の貨車と分離した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140717k0000m040136000c.html
2014年7月17日0時6分に北海道新聞から、再発防止策に関する、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR貨物の田村社長は16日の定例記者会見で、6月22日に木古内町のJR江差線で起きた貨物列車脱線事故の再発防止策として、走行中の積み荷の偏り具合を調べる輪重(りんじゅう)測定装置を導入する方針を明らかにした。
輪重測定装置は、2本あるレールのそれぞれに計測機器を1個ずつ計2個取り付ける。
積み荷を載せた貨車が通過すると、重量でレールが下に沈み込む。
ゆがんだ量を計って、どの程度の重さがかかったかを調べる。
機器ごとの数値が異なれば、積み荷の偏り具合が分かる。
事故後、装置の開発に着手した。
走行中の測定によるデータの信頼性などを検証したうえで、まず2カ所に設ける計画で、五稜郭駅などで検討中。
2016年3月予定の北海道新幹線開業時までの導入を目指している。
出典URL
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/551598.html
(2014年7月27日 修正1 ;追記)
2014年7月25日17時0分に北海道新聞から、4月の事故に関する調査報告書が公表されたという下記趣旨の記事が、図解付きでネット配信されていた。
2012年4月の事故では、貨車のコンテナ内の荷物の重量が進行方向の左側に偏っていたため、左カーブでバランスを崩して脱線したと結論付けた。
安全委が荷物の偏りを脱線原因と特定したケースは全国で初めて。
報告書によると、荷物の重量が偏っていたのは、先頭から18両目の貨車に積まれていた5つのコンテナのうち、最後尾と後ろから二つ目のコンテナ。
印刷機のトナー(粉状インク)を積んでおり、重量は最後尾が右側540kg、左側1980kg、後方二つ目は右側540kg、左側3600kgだった。
このため、貨車後方の右側車輪に垂直にかかる荷重(輪重)が左側より40%軽くなり、右側車輪が浮き上がりやすい状態で走行。
釜谷駅付近にある左カーブ(半径300m)で、車輪にかかる横の力が強くなり、右側車輪が浮いて脱線した。
安全委によると、左右の輪重の差が約30%を超えると脱線する危険性がある。
出典URL
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/553250.html
2014年7月25日10時40分に朝日新聞からは、トラック運送業者が積荷の偏りを確認するのを失念していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
コンテナには荷主が荷物を入れ、トラック運送業者が封印。
広島貨物ターミナル駅に運び込まれ、JR貨物が札幌貨物ターミナル駅へ輸送する途中だった。
運送約款では、運送業者が積み荷の偏りを確認するはずだったが、業者は「失念した」と話したという。
現場付近で同年9月と今年6月にあった脱線事故との関連は「検討中」として明らかにしなかった。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG7R6J5XG7RUTIL036.html
(ブログ者コメント)
公表された報告書は下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/railway/detail.php?id=1816
2013年12月15日0時32分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。また、12月15日付で毎日新聞から、同主旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
名古屋市中川区のJR関西線春田駅で14日午後、単線の行き違いのため停車していた貨物列車が駅よりも長かったため、普通電車と行き違えなくなる珍しいトラブルが起こり、上下計14本が運休、部分運休し、5本が最大約2時間遅れて乗客約2630人に影響した。
JR東海によると、同線では同日、遅れのため、予定とは異なる計画で運行。
午後6時20分頃、春田駅で上りの貨物列車(長さ約350m)が停止したが、駅(同約330m)よりも長かったためはみ出し、下りの名古屋発亀山行き普通電車(4両)と行き違えなくなった。
普通電車は同駅直前から、乗客約120人を乗せたまま約3km手前の八田駅に時速約15kmで戻り、約2時間後に行き違った。
同社は「長さの確認を怠ったのが原因」としている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131215-OYT1T00002.htm
http://mainichi.jp/shimen/news/20131215ddm041040055000c.html
(ブログ者コメント)
普段は電車とのみ行き違う場所だが、今回は遅れのため貨物列車と行き違うことになってしまった・・・そういうことだったのだろうか?
もしそうなら、変更管理の失敗事例かも。
2013年8月3日20時20分に読売新聞から、同日19時3分に共同通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午前6時50分頃、滋賀県米原市長久寺のJR東海道線関ヶ原―柏原駅間で、走行中の新座貨物ターミナル(埼玉県)発、百済貨物ターミナル(大阪市)行き貨物列車(26両)の電気機関車の機械室から煙が出たため、緊急停車した。
運転士らが約30分後に火を消し止めた。
同列車は約8時間後に運転を再開した。けが人はなかった。
JR貨物によると、機械室内にある電流を調整する抵抗器が数10個焼損していた。
機関車は同5時35分頃にもブレーカーが作動し、運転を一時停止していたといい、警察などは関連を調べる。
火災の影響で、東海道線は特急「しらさぎ」を含む上下計25本が運休、7本が最大6時間43分遅れ、約5800人に影響した。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130803-OYT1T00865.htm
http://www.47news.jp/CN/201308/CN2013080301001752.html
2013年8月3日10時10分にmsn産経ニュースからは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
走行中だった貨物列車の電気機関車のブレーカーが作動し、列車が停止した。
約1時間半後に点検を終え、再出発しようとしたところ、電気機関車の機械室から煙が発生した。
煙は収まり、JR貨物などが原因を調べている。
機関車はEF66で、JR発足時のころから使用されているという。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130803/dst13080310110002-n1.htm
20日午前7時7分ごろ、東大阪市のJRおおさか東線河内永和~俊徳道間を走行中の貨物列車(機関車1両、貨車20両)で、貨車に搭載されているコンテナがピンで荷台に固定されていないことが判明、大阪総合指令所からの指示で緊急停止した。
列車はコンテナが固定されていない状態で約5km走行したが、落下するなどのトラブルはなかった。
JR貨物関西支社によると、列車は百済貨物ターミナル発札幌貨物ターミナル行き。
百済貨物ターミナル駅のコンテナ積み降ろし担当の男性職員(23)が、出発する列車なのに到着した列車と勘違いし、貨車の荷台のピンを解錠したことが原因という。
列車は午前7時に百済貨物ターミナル駅を出発。
職員は直後に「コンテナが固定されていない」と駅を通じて総合指令所に申告。指令所が無線で運転士に伝え、列車を緊急停止させた。
貨車には76個のコンテナが搭載されていたが、このうち72個のコンテナが固定されていなかった。
JR貨物では19日にも、吹田貨物ターミナル駅で、入れ替え作業中の電気機関車が入線してきた貨物列車と正面衝突する直前で緊急停止するトラブルがあったばかりだった。
出典URL
19日午後0時20分ごろ、JR貨物吹田貨物ターミナル駅の構内で、電気機関車(1両)が切り替わっていないポイントを乗り越えて誤進入し、約120mオーバーランして緊急停止した。
同じ線路には反対側から貨物列車(7両)が接近中だったが、機関車の接近に気付いて緊急停止。
いずれも運転士らにけがはなかった。
機関車側が信号を見落としたことが原因で、停止した際の双方の距離は15mしかなく、正面衝突寸前だった。
JR貨物関西支社によると、同駅構内では当時、直前に到着した東京貨物ターミナル発大阪貨物ターミナル行き貨物列車(機関車1両、貨車24両)の入れ替え作業中。
方向転換をするために、機関車を切り離して貨車の最後尾に付け替える作業をしていた。
機関車が誤って進入したポイントのそばには、ランプが点灯して停止、進行などを合図する「入換標識」と呼ばれる小型の地上信号機が設置されていた。
当時は機関車に対して「停止」を表示していたが、機関車に同乗していた誘導担当の男性職員(22)がこの表示を見落とし、機関車の運転士に青色の旗を振って「進め」の合図を出してしまったという。
吹田貨物ターミナル駅は、今月15日に営業を終えたJR貨物梅田駅の機能を引き継ぎ、16日に営業を始めたばかりだった。
出典URL
http://mainichi.jp/area/news/20130320ddn041040016000c.html
JR貨物関西支社は7日、岡山機関区に所属する電気機関車1両が、鉄道事故の二次被害を防ぐための防護無線が約6年半機能せず、送受信できない状態になっていたと発表した。
防護無線は事故などの際、発信すると半径約1km内を走る列車に警報が届き、運行を停止させる仕組み。
2006年5月の取り付け工事の際、配線を誤ったとみられるという。
同支社によると、防護無線以外にも、音声でやりとりする無線はあるという。
JR貨物によると、機関車は防護無線が機能しないまま東海道線や山陽線などを約150万km走行していた。
先月20日、川崎市の貨物駅構内で他の列車が発した無線を受信できないことに運転士が気付き発覚。
その後も約2週間運行を続け、今月7日になってようやく修理し、国交省の近畿など3運輸局に報告した。
同支社は、「速やかに修理すべきだった」としている。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201211/CN2012110701001995.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121107-OYT1T01137.htm
(2012年12月2日 修正1 ;追記)
2012年11月26日23時23分に朝日新聞から、事例の横展開調査で出力不足の防護無線が見つかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR貨物は26日、愛知機関区に所属するディーゼル機関車1両で、緊急時に周囲の列車に危険を知らせる「防護無線」に不具合が見つかり、全機関車約660両を対象とした点検を前倒しした、と発表した。
点検は27日に終える予定だが、それまで全国の貨物列車の約半数にあたる100本前後に遅れや運休が出る見込み。旅客列車の運行に影響はないという。
不具合が見つかったのは、中部地方で運行する1両。防護無線の出力が弱く、内規で定められた半径1km以内にある列車まで無線が届かないことがわかり、機器を交換した。原因を調査している。
同社は今月、新たな試験装置を導入して防護無線の性能の確認作業に着手し、すでに約半数で終了した。今回の不具合は、16日に愛知機関区で行った試験で発覚したという。
JR貨物では、防護無線が作動しない電気機関車1両を6年半にわたって運行させていたことが10月に発覚。配線の誤りによるものだったため、全機関車で配線の確認をした。今回の機関車も配線に問題はなかったという。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/1126/TKY201211260731.html
また、2012年11月28日付の朝日新聞(聞蔵)から、新たに1両で不具合が見つかったという情報が、下記趣旨でネット配信されていた。
同社は27日に全機関車の緊急点検を終え、新たに1両の防護無線に不具合が見つかったと発表した。
(ブログ者コメント)
過去のトラブルの横展開対応が功を奏し、将来起こるかもしれないトラブルを未然に防止できた事例として紹介する。
JR石勝線東追分駅の脱線事故で、JR貨物北海道支社は22日、脱線した貨物列車の貨車全15両のブレーキパッド計120個が実用試験中の新しいパッドだったと発表した。
同社の貨車のうち新型パッドを付けていたのは15両だけで、同社はこの15両の使用を取りやめ、新しいパッドの耐雪性能に問題がなかったか詳しく調べている。
同社によると、貨車15両には2011年2月、耐雪性能を向上させるため形状や材質を変更した新型のパッドが取り付けられた。
新型パッドは雪が着きにくい形状だが、従来のパッドより車輪への接地面が一回り小さい。
新型パッドを付けていたのは15両だけで、機関車には使われていなかった。
この貨物列車は札幌貨物ターミナル駅―釧路貨物駅間だけを走り、これまでトラブルはなかったという。
脱線した貨物列車のブレーキ装置のうち、機関車全体と、貨車のブレーキ管の空気圧は正常で、貨車のブレーキパッドが全て車輪に密着した状態だったことが分かっている。
貨車15両のうち、14両に新型ブレーキパッドが取り付けられたのは今月4日で、ほとんどのパッドが事故の約2週間前に取り付けられていたことになる。
JR貨物北海道支社の発表では、脱線した貨車全15両のうち、1両については昨年2月、計8個の新型パッドが取り付けられた。今月4日になって、残りの14両に計112個を取り付けたという。
新型パッドは、車輪とパッドの間に挟まった氷雪を砕くことができるように、従来のパッドよりも硬質の素材を使用し、形状も変えていた。ただ、制動力については、従来のパッドと変わらないという。
JR北海道では2006年1月、普通列車(1両編成)のブレーキパッドと車輪の間に雪氷が挟まり、非常ブレーキでも停車できずにJR苫小牧駅にあった回送列車に衝突、乗客1人が軽傷を負う事故が発生。
寒冷地である道内の鉄道にとって、耐雪性の高い新型パッドの開発は課題だった。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120223-OYT1T00253.htm
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20120223-OYT8T00028.htm
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20120223-OYT8T00726.htm
事故当時の状況は、2012年2月17日付で苫小牧民放社から下記趣旨でネット配信されていた。
16日午後8時50分ごろ、JR石勝線東追分駅構内で、釧路貨物駅発札幌貨物ターミナル行きの貨物列車(16両編成)が赤信号を通り過ぎ、待避用の安全側線に乗り上げて、先頭の機関車と後続の貨車の計5両が脱線した。
列車は、シェルターと呼ばれる雪よけ用のトンネル状施設に衝突し停車した。運転士1人が乗車していたが、けがはなかった。
男性運転士(25)は「赤信号の前でブレーキをかけたが、思うように止まらなかった」などと話しているという。
JR貨物などは、運転士がどのタイミングでブレーキを操作したか、線路の状態はどうだったかなど、事故原因を調べている。
単線の東追分駅は通常、貨物列車の停車駅ではないが、石勝線でダイヤの遅れがあり、札幌方面からの対向列車とすれ違うため、停車する予定だった。
安全側線は、列車が誤って赤信号で進んだ場合、本線の対向列車との衝突を防ぐための引き込み線で、自動誘導のポイントが設定されている。
出典URL
http://www.tomamin.co.jp/2012t/t12021702.html
(ブログ者コメント)
変更管理がうまくいかなかったために起きた事故のような気がする。
ただ、原因を推定することは困難。
あえて推定すれば、下記程度か?
○昨年2月のテストで問題が出たのでその部分を改良したが、改良型を再び1両分でテストすることなく、一気に14両に取り付けた?
2011年12月28日12時9分にmsn産経ニュースから、29日8時44分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岐阜市のJR「岐阜貨物ターミナル」で貨物列車が脱線し、東海道線が一時運転を見合わせた事故で、JR貨物は28日、事故前のコンテナ積み下ろし作業の際にフォークリフトが貨車に引っかかり、貨車が持ち上がって脱輪した可能性があると発表した。
脱輪に気付かず発車し、貨車の連結が外れて緊急停止したとみられる。
運輸安全委員会は同日、鉄道事故調査官2人を現地に派遣した。
同社によると、脱輪したのは12両目。
同社が委託した民間業者の作業員が27日午後9時20分ごろから、10~14両目で積み下ろし作業をしていた。
作業員が過って貨車ごと持ち上げ、脱輪させたらしい。
発車直後に貨車から土煙が上がっているのを、ターミナルにいた駅員が見ていた。
作業員は積み下ろしの経験が1年程度で、まだ慣れていなかったという。
列車は午後9時51分にターミナルを出発したが、27両編成の一部が東海道線の本線に乗り入れた後に非常ブレーキが作動して緊急停止。12、13両目の脱線を確認した。けが人はなかった。
発車前にコンテナの固定は目視で確認したが、脱輪を見逃したという。
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その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。