2023年3月13日5時11分に YAHOOニュース(Merkmal)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【2022年5月に一部規制が緩和】
トラックに積める荷物には、さまざまな規制がある。
荷台に積載する荷物の長さや幅、重量は、決められた規定以下にしなければならない。
まず長さについては、2022年5月に一部の規制が緩和された。
道路交通法では、改正前「自動車の長さにその長さの10分の1に長さを加えたもの」であったが、「10分の1」の部分が 「10分の2」 となった。
幅の制限についても規制が緩和され、改正前「自動車の幅」までであったものが、 「自動車の幅にその幅の10分の2の幅を加えたもの」 までとなった。
例えば、トラックの車長が10mであれば長さは12mまで、車幅が2mであれば幅は2.4mが積める荷物の上限となる。
なお、高さの制限については改正はなく、以前より地面から3.8mまでとなっている(高速道路等の「高さ指定道路」といわれる道路では一部例外あり)。
ただし、鉄道の橋梁等では3.8mより低い高さしか確保されておらず、個別の規制が掛かっているところも多い。
ときどきトラックの積み荷が橋梁にぶつかったというニュースを目にするが、荷台や荷物の高さを認識しておく必要があるのはいうまでもない。
【運送会社に歓迎された制限緩和】
2022年5月に施行された長さと幅の制限緩和については、おおむね運送会社に歓迎されているようだ。
法改正に伴い公表されたパブリックコメントでは、 「積載物の幅の制限を緩和することは危険ではないか」 というものがあったが、安全を確保するうえでは特に問題はないと判断された。
なお、規定の大きさや重量を超えてしまう荷物を運搬せざるを得ない場合は、出発地を管轄する警察署長の許可が必要となっている。
【「最大積載量」とは何か】
今回の法改正との関連はないが、積み荷の制限で大きな影響を与えるのは 「重量」 である。
トラックに何tまで積むことができるのか、そして実際何t積むのかは、荷主にとっても運送会社にとっても常に気になる事柄である。
トラックに最大積むことができる重量は「最大積載量」と呼ばれる。
最大積載量は 「車両総重量 - 車両重量 - 乗員定員重量」 で計算できる。
車両重量は、ドライバーなどの乗員を含まない車両の重さのことである。
車両重量には、車体自体の重量のほか、燃料などの重さも含まれる。
乗車定員重量とは定員に55kgを掛けたもので、定員が3人なら165kgとなる。
大人ひとりの体重が55kgというのは、男性であれば少し痩せ気味ではないかと思われるが、今の規定ではそのようになっている。
車両総重量は車両ごとに決められており、一般に大型トラックと呼ばれるものは、
・車両総重量が25t以下
・中型トラックは8t未満
・小型トラックは4~5t程度
となっている。
通称、大型トラックは10t車、中型トラックは4t車などと呼ばれるが、これは最大積める重量が10tや4tということではない。
例えば、荷台にテーブルリフター(トラックの荷台の高さから地面まで昇降させることができるように荷台後部に付いている設備)やつり上げ式のクレーン、冷蔵冷凍機などが取り付けられている場合、その付属設備の重量分だけ最大積載量は少なくなる。
中型トラックであれば、車体の重量や付属設備によって3.5t程度しか積めないこともある。
トラックの仕様によっては、逆に4tを超えて積める車両もある。
つまり、最大積載量は 「トラックごとに異なる」 ということである。
【過積載を依頼する荷主も】
しかし、荷主のなかには、「大型車 = 10t、中型車 = 4t」 を積めると思い込んでいる者もいる。
そのため、最大積載量が3.5tしかない場合でも、「4tまで運べるだろう」と運送会社に輸送を依頼するケースがある。
なかには、最大積載量を知っていても、それを上回る重量の輸送(過積載)を依頼する者もいる。
「多少の重量オーバーであれば大丈夫だろう」 という認識で、無理な要求を運送会社にしているのである。
コンプライアンス順守が何より重視される昨今、過積載については運行を断る運送会社がほとんどであろう。
しかし、運送会社のなかにも、荷主からの依頼だけに限らず、自社の判断においても 「今回だけは目をつむる」 といって運行を引き受けてしまうところがある。
特に、1個の荷物のサイズが小さくて重量が重いもの(食料品であれば飲料、雑貨品であれば鉄製のものなど)は、トラックの荷台容積の半分くらい積んだだけで最大積載量をオーバーしてしまうこともある。
荷主の見た目には「もったいない」と映るのかもしれない。
もう少し積むことができたら運行台数を減らすことが可能となり、物流コストを削減できるかもしれないという発想は自然かもしれない。
しかし、法令を順守し安全を確保するうえで、それは許されない。
その場合は
・輸送を依頼するトラックを大型化する
・トレーラーを活用する
といったことを検討すべきである。
過積載を行った場合、条件によっては6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられる。
これは、過積載での運行を無理に指示した荷主にも適用される。
何より、過積載が原因で事故を発生させた場合、運送会社、荷主とも企業の存続にも関わる問題となりかねない。積み荷についての法令やコンプライアンスを守ることは当然であり、 「安全に勝る利益はない」 のである。
田村隆一郎(経営コンサルタント)
https://news.yahoo.co.jp/articles/19770c9810db146eaf8675208d5b26052df273d0
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。