2018年6月6日5時0分にgooニュース(中日新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本原子力研究開発機構は5日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の原子炉補助建物で、機器の点検準備をしていた男性職員(57)が段差から落ちて、左膝の骨折など二週間のけがを負ったと発表した。
被ばくはしていないという。
機構によると、事故は1日午後3時5分ごろに発生。
建物の地下4階で空調設備を確認していた職員が、薄暗くて段差に気付かず、1.7m転落した。
照明をつけておらず、安全基準以下の落差だったために、転落防止の鎖などはなかった。
機構は、この場所を含む落下の危険がある場所に防止策をとる。
出典
『もんじゅ職員落下、全治2週間のけが 機構が発表』
https://news.goo.ne.jp/article/chuplus/region/chuplus-CK2018060602000010.html
以下は、6月5日付の機構発表記事。
1.発生状況:
高速増殖原型炉もんじゅは、廃止措置中のところ、平成30 年6 月1 日(金)15 時05 分頃、原子炉補助建物内気体廃棄物処理系配管室(A-182 室)にて、職員が換気空調設備のダクトやダンパの点検に向けて現場状況を確認していたところ、一部の区画が薄暗かったために、床の高低差に気づかず、約1.7m下の気体廃棄物処理系ドライヤ室(A-174a 室:管理区域(地下4 階))に落下し、左ひざを負傷しました。
意識があり、歩行可能な状態であり、また、汚染サーベイにおいて異常はありませんでしたので、病院にて治療を受けていました。
6 月5 日、4 日間の休業となり、また、約2週間の加療が必要と診断されました。
2.発生原因:
作業状況を確認したところ、当該職員は、A-182 室において今年度点検を行う予定のダクトの設置状況等を配置図を見ながら確認していました。
当該職員は、A-174a室付近の区画の入口でダクトを確認したことから、薄暗い状態の当該区画に入りました。
その後、当該ダクトが続いている隣接室(A-174a)へ移動しようとしたところ、約1.7mの高低差を視認できず、A-174a室の中間床に落下しました。
3.対 策:
もんじゅ全所員及び協力会社に対し、本事象について注意喚起するとともに、部屋に入室する際には必ず照明を点灯すること、及び携帯式照明を携行することを周知徹底しました。
また、もんじゅ内において、床面の高低差等により落下の可能性がある箇所を調査し、落下防止のための注意喚起表示等を実施しました。
今後、速やかに鎖等による落下防止の対応を実施します。
なお、当該事象発生箇所については、既に鎖による落下防止を実施しました。
出典
『高速増殖原型炉もんじゅ 管理区域内における負傷』
https://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2018/06/p180605.pdf
(ブログ者コメント)
〇「段差から落ちた」と報じられているが、機構発表記事中の写真や断面図を見ると、フロアーから1.7m下の中間床に上り下りするためのラダー昇降口から落ちた模様。
〇「安全基準以下の落差だったために、転落防止の鎖などはなかった」と報じられている件、本当だろうか?
ラダー昇降口であれば、高さに関係なく、鎖などの落下防止設備が必要だと思うのだが・・・。
〇ラダー昇降口から落下した事故は、3年前に柏崎刈羽原発でも
起きている。
一事が万事、原発における人身事故防止基準は緩いのだろうか?
それとも、原発での人身事故は死亡事故でなくても報じられるから目立つというだけのことだろうか?
2015年1月26日掲載
2015年1月19日 新潟県柏崎市の東京電力柏崎刈羽原発タービン建屋で機器点検中、設備の写真を撮ろうとしてグレーチング通路端のハシゴ昇降口から3.5m下に転落し重傷 (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4589/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。