2020年4月28日16時5分に西日本新聞から下記趣旨の記事が、イメージ図付きでネット配信されていた。
浴槽で事故が起きていることから、消費者庁が注意を呼び掛けている首掛け式の乳幼児用浮輪(首浮輪)について、福岡県で0歳児の死亡事故が起きていたことが、「あなたの特命取材班」への情報提供で分かった。
新型コロナウイルス禍の中、自宅で過ごす時間が長くなり、使用頻度の高まりが予想され、同庁は「使用の際は決して目を離さないで」と呼び掛けている。
首浮輪は乳幼児が水に親しむための環状浮具で、顎を載せて使用する。
同庁によると、福岡の事故は今年3月18日に発生した。
浴槽で0歳児が使用中、保護者が目を離した間に意識を失った状態に。
病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。
福岡県警は「捜査中」としている。
首浮輪を巡っては、10年ほど前から浴槽で事故が起きている。
日本小児科学会などの調査では、2012年8月から約2年間で乳幼児が溺れる重大事故が6件発生。
このうち、生後2カ月の男児が意識不明になったケースもあった。
いずれも親の洗髪中やミルクの準備、トイレの間など、わずかな間に溺れたという。
埼玉県戸田市では17年1月、生後11カ月の娘に首浮輪を着けた状態で約1時間半にわたり浴槽に放置し、脱水状態による低酸素脳症で死亡させたとして、両親が重過失致死容疑で書類送検された。
【国レベルで調査、改善を】
福岡県宇美町の主婦(29)は、「(家事や育児を母親1人だけで担う)ワンオペ育児の助けになると人気。死亡事故が起きたのなら、国はもっと注意喚起してほしい」と話した。
写真投稿アプリ「インスタグラム」や会員制交流サイト(SNS)に、首浮輪を使った子どもの画像を投稿している人も多い。
「かわいいのは分かるけど、目を離すと危険ということは絶対に忘れないで」と別の主婦は訴える。
首浮輪は複数のメーカーが販売しており、商品説明では「あくまで浮輪形のスポーツ知育器具で、溺れるのを防ぐ救命具ではない」などとしている。
子どもの事故予防に医師らが取り組むNPO法人「セーフキッズジャパン」(東京)の山中龍宏理事長(小児科医)は、「乳児の場合、鼻と口が水に浸った状態が5分以上続けば、重症化または死亡する可能性がある」と指摘。
また、溺れる際に大きな声を出すことは難しいため、近くに親がいても気付きにくいという。
山中理事長は、「メーカーの想定と異なり、実際にはワンオペ育児や、子どもから目を離す際に使用されている。何度も同じような事故が起きており、国レベルで調査をして、警報器機能を付けるなど、改善を検討すべきだ」と語った。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/604163/
(ブログ者コメント)
〇消費者庁が呼びかけているという文書は、おそらくは下記。
『気を付けて、浴槽での首掛け式浮き輪の事故!! - 赤ちゃんは御機嫌でも一瞬も目を離してはいけません -』
(平成26年10月9日 消費者庁 独立行政法人国民生活センター)
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(2)注意表示について(例)
首浮き輪の本体や取扱説明書等には以下のような注意表示が書かれています。
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上記は、表示の一例ですが、首浮き輪は、乳幼児を一人にして使うものではなく、使用中はたとえ、自らの洗髪の間など短時間であっても、「目を離してはいけない」、「保護者 が対応できる状況で使用」する商品といえます。
2.事故概要
(1)事故件数
・前回の公表(平成 24 年7月 27 日)以降、消費者庁には、以下の6件の事故情報が寄せられました。
・被害者は、全て1歳未満。いずれも浴槽で発生しています。
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【事例1】
空気は7割くらい入れて使っていた※
自宅の浴室で、子ども(4か月)に首浮き輪を付けて子どもだけを浴槽に入れていた。
首浮き輪は、上下のベルトをはめて、空気は7割程度入れた状態だった。
母親はミルクの準備をし、トイレを使用後に浴室に戻ってみると、子どもが首浮き輪から抜け、うつ伏せになって浮かんでいた。
首浮き輪の上下のベルトは外れていなかった。
子どもを引き上げると、全身は紫色で、目は見開いており動かなかった。
胸を数回押すと口から水が出て、やがて声を出して泣き始めたが、救急車を呼んだ。
3日間入院後、退院。
最近、子どもが顎をずらして首浮き輪の内側の縁をモグモグしている様子が見られ、その都度、顎を浮き輪に乗せるようにしていた。
今回のお湯の深さは 35 ㎝で、子どものつま先が浴槽の底につく深さであった。
(事故発生月、平成 24 年 10 月、4か月、女児)
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https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/141009kouhyou_3.pdf
〇ネット調査結果、関連情報は思ったより多かった。以下はその1例。
(2019年11月13日付 東京新聞 ;乳児使用中の写真付き)
埼玉県戸田市で2017年、生後11カ月の次女に首浮輪を付けて浴槽に放置し死なせたとして、重過失致死罪に問われた両親に対し、さいたま地裁で8日、実刑判決を言い渡した伊藤吾朗裁判官は、「育児の名に値しない虐待行為」などと厳しく非難した。
一方、事件のように長時間放置した場合でなくても、浮輪が外れて乳児が溺れる事故は起きているとして、小児科医は「浴槽に乳児を一人にするのは危険」と、注意を呼び掛けている。
【親の洗髪、ミルク準備の間に…重体のケースも】
首浮輪はC字形で、開口部をベルトで固定して使う。
日本小児科学会によると、国内では2009年から水遊び用として販売され、浴槽での使用が広まった。
日本小児科学会は、事故の事例を紹介して予防に役立ててもらおうと、検索システム「障害速報」をホームページ上に掲載し、2012~2016年に6件が報告されている。
消費者庁も2012、2014年に計10件の事故が報告されたとして、使用の際に目を離さないよう呼び掛けている。
いずれも母親が洗髪していた、ミルクの準備をしていたなど、乳児から目を離したのは数分間だった。
原因は浮輪の空気が不十分だったり、ベルトを締め忘れたりして外れ、一人は重体に陥ったという。
【背景にワンオペ育児 「使わずにいられない状況」】
埼玉県立小児医療センターの植田育也医師は、事故の背景に、母親が一人で育児をこなす「ワンオペ育児」があると指摘。
「目を離すのは危険と分かっていても、使わずにいられない状況を見直してほしい」と話す。
夫や両親らと協力するなどして、乳児からは片時も目を離さないことが必要だとし、難しい場合は乳児を固定できるベルト付きの椅子で洗い場に座らせて安全を確保するなどの対応を勧めている。
https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/health/23486/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。