2019年3月9日18時53分にNHK新潟から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後0時15分ごろ、新潟市の新潟港から佐渡市の両津港に向かっていた佐渡汽船のジェット高速船が海洋生物とみられる物体に衝突してけが人が出ていると、佐渡汽船から警察や消防に通報があった。
海保によると、乗客のうち87人が顔や腰などの痛みを訴えてけがをしていて、このうち5人は程度が重いということだが、いずれも意識はあるという。
ジェット高速船は自力で航行を続けて、予定よりおよそ1時間遅れて午後1時半ごろ、両津港に到着し、けがをした人を随時、病院に搬送したという。
海保によると、船の後方部分に15cmほどの亀裂があったほか、水中翼の一部が曲がっているのが確認されたという。
佐渡汽船によると、ジェット高速船は定員250人で、この便は121人の乗客を乗せて午前11時半に新潟港を出港し、午後0時半ごろに両津港に到着する予定だった。
警察や海保などで、さらに詳しい原因を調べている。
佐渡汽船のジェット高速船は、昭和52年に運航をはじめた。
1階と2階に座席があり、乗客の定員は最大で250人。
船体の前と後ろにある水中翼の揚力によって船体を海面から浮かせ、最高時速80kmで航行する。
新潟と佐渡の間のおよそ80kmの航路をカーフェリーの半分以下の65分で結び、観光やビジネスなどに利用されている。
今の時期は、今回事故のあった「ぎんが」と、もう1隻の「すいせい」の合わせて2隻で、1日5往復で合わせて10便運航している。
佐渡汽船によると、平成7年にも高速船がクジラとみられる海洋生物と衝突し、乗客13人がけがをする事故があったという。
佐渡汽船では、クジラなど海洋生物との衝突を防ぐため、「水中警報装置」と呼ばれる音の発生装置を船に取り付けて、海中にクジラが嫌がる音を出したり、見張りの担当者が船上から目視でクジラがいるかどうか確認したりしているという。
また、クジラが目撃された海域ではスピードを落として運航しているという。
高速船の乗客はシートベルトを着用することになっていて、佐渡汽船によると、出航前に船内放送で着用を呼びかけているほか、乗員が巡回して着用を確認しているという。
出典
『高速船衝突 乗客87人けが』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190309/1030007050.html
3月11日14時6分にNHK新潟からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船を運航する「佐渡汽船」は、11日午前11時から新潟市で事故のあと初めて記者会見し、はじめに小川社長が、「多くの方が負傷され、乗船されたお客さまや家族の方など関係者に心より深くおわび申し上げます」と謝罪した。
小川社長は、クジラなど海洋生物との衝突を防ぐため、平成22年に高速船の運航時間を60分から65分とし、減速区域も設けたとしたうえで、「今回の事故は、減速区間を少し外れて、船が加速したところで起きた。今後、減速区間をどこまで広げ、運航時間を見直すか検討したい」と述べ、船の運航方法を見直す考えを示した。
また、シートベルトの着用を促しても多くのけが人が出たことをふまえ、クッションを入れるなど、シートベルトの改良についても検討する考えを示した。
会見で佐渡汽船は、けが人が80人にのぼったことについて、船体の前後にあって船を浮上させる水中翼のうち、後ろ側の翼に物体が衝突したことで、船が尻もちをつくように着水し、船内に大きな衝撃がかかったためではないかと説明した。
佐渡汽船によると、けが人の多くは、後部座席に座っていたという。
海保の調べによると、高速船の船長は、衝突の際の状況について、「船の左側前方の海面下に白い大きな物体が見えて減速措置をとった。かじを右に切った記憶があるが、直後に衝突した」と話しているという。
海保は、業務上過失傷害などの疑いも視野に、乗務員の対応に問題がなかったか捜査を進めている。
出典
『高速船衝突 運航会社社長が謝罪』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190311/1030007069.html
3月11日18時11分に時事ドットコムからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社では過去2回、海洋生物との接触事故で負傷者が出ているが、今回の事故は負傷者が最も多かった。
出典
『佐渡汽船社長が謝罪=高速船衝突、社内に調査委-新潟』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019031100856&g=soc
3月11日18時15分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐渡海保は11日、乗客らに聞き取った結果、事故時にシートベルトをしていたのに負傷した人が多かったと明らかにした。
同海保によると、高速船のシートベルトは腰部分を押さえる2点式。
上半身は比較的自由で、衝撃で前方の座席にぶつかって、けがをした人が多いという。
また、軽傷とされたが病院の精密検査で症状が重いと診断された負傷者がいるとも説明した。
出典
『ベルト着用も負傷多数 新潟高速船事故』
https://www.sankei.com/affairs/news/190311/afr1903110053-n1.html
3月9日18時46分に産経新聞からは、海洋生物との衝突事故に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同様の事故は、鹿児島県・佐多岬沖や島根県の隠岐諸島周辺、福岡~韓国・釜山航路など、各地で後を絶たない。
運航各社は、クジラが嫌がる音を出す装置の導入や、クジラの多い海域を避けて航行するなど、対策を強化しているが、限界が露呈した。
国交省が平成21年にまとめた対策では、衝突回避策として、海保が入手した目撃情報の提供、運航会社によるクジラのハザードマップ作成、クジラが嫌がる音を水中に流す「アンダーウオータースピーカー」と呼ばれる装置の活用が挙げられた。
06年に佐多岬沖で起きた事故では、シートベルトを着用していたにもかかわらず、重傷者が続出。
着用義務付けを徹底するだけではなく、船への緩衝材設置が進められた。
今回、事故に遭った佐渡汽船も、スピーカーをいち早く取り入れたほか、ハザードマップを作成して迂回や減速区間を設定していた。
出典
『船舶と海洋生物、後絶たぬ水中衝突』
https://www.sankei.com/affairs/news/190309/afr1903090018-n1.html
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。