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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20224211730分にYAHOOニュース(まいどなニュース)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

大型トラックのタイヤが外れて、通行人や自動車に衝突する。

そんな事故が、よくニュースで取り上げられています。

正確には「タイヤが外れる」のではなくて、タイヤの付いたホイールごと外れてしまうのですが、いったいどうしてこのようなことが起こるのでしょうか。

 

【重く硬い塊が路上を暴走する恐怖】

大型車のタイヤといってもサイズはいろいろありますが、概ね直径1メートル、重さ100キロほどです。

また、タイヤというと幾分か柔らかいイメージもあるかも知れませんが、大型車のタイヤにはおよそ8501000キロパスカルという高圧の空気が入っています。
普通車は200250キロパスカルですから、かなりパンパンです。

つまり、思いっきり硬いです。

そんなものがトラックの走っていた速度で転がって来るのですから、とんでもない破壊力。
非常に危険です。  

実は、この件、季節性があって、冬場に多いといいます。

国土交通省が令和42月にまとめた資料によると、令和2年度の1年間では、約65%が11月から2月までの4カ月間に集中していました。

また、脱落するのはほぼ決まって左側の後輪で、全体の約95%を占めています。

単に整備不良だとしたら、同じ頻度で外れそうなものですが、なぜかいつも左の後輪です。  

さらにこの事故、平成23年度には年間11件だったのが、以後、年々増加していて、令和2年度には131件と、ほぼ12倍です。

 

【季節性と左後輪に多発する理由は?】

この資料では同時に、点検や交換で車輪を脱着する作業をしてから脱落までの期間別発生件数も調査されています。

それによると、1カ月以内が全体の58%を占めています。

脱落事故があった車輪の6割は、その前1カ月以内に取り付けられたもの、ということですね。  

車輪を取り付けたときには、もちろんホイールを固定するナットはしっかりと締めるのですが、少し(50100キロメートル)走ってホイールやハブの塗装や汚れなどが取れたり剥がれたりして馴染んでくると、「初期なじみ」といって締め付けが少し緩くなります。

そこで適切な時期に「増し締め」をしないと脱落に繋がるのですが、この資料中の「令和元年度 運送事業者向けアンケート調査結果」によると、13.1%が増し締めを実施していないといいます。  

冬場に多いのは、冬の前にタイヤ交換をすることが多いからだと推測されます。

季節にかかわらず全国を走る長距離トラックはスタッドレスタイヤを履くことが多く、また春になってもそのまま使い続けて、次の冬の前に交換というパターンが考えられます。  

左側の後輪に集中する原因として考えられるのは、日本の左側通行だといいます。  

国土交通省のサイトにある「自動車事故報告規則に基づく報告及び自動車メーカーからの報告」によると、左側通行では左折が小回りになり、特に後輪は内輪差の関係でより顕著になります。

駆動輪なのでその力も掛かります。

さらに道路は水はけなどを考えて両側が低くなっているため、左後輪はあまり回転せずに大きな荷重を支えることになります。

逆に右折の時は、左折よりもカーブが緩い分スピードが乗りやすいため、遠心力で荷物の重さがカーブの外側(左側)の車輪にかかるため、これも負担になるとみられます。

 

【全体の数が増加している理由は?】

全体的な件数の増加の原因のひとつではないかと言われているのは、ネジの規格の変更です。

もともと日本のJIS規格では、車輪の回転方向とホイールナットの緩み方向を逆にするために、大型トラックやバスなどの左側のホイールナットは左ネジ、いわゆる逆ネジが使われていました。

それが2010年以降、世界標準のISO規格に合わせて全て右ネジに統一されました。  

もちろん、その際にはいろいろとテストが実施されて、右ネジでも左ネジでも緩みやすさの差は無いという結果になったとされています。  

ただ、この変更と左後輪の脱落が増加した時期とが重なることから、その因果関係を疑う声もあります。  

また、この規格変更の際、右ネジに統一されると同時に、ナット自体もワッシャー(座金)付きのものになりました。

このワッシャーとナットはスムーズに回転するために潤滑が必要なのですが、日本自動車工業会の調べでは、脱落した車輪の一部でこのワッシャーが錆びていて、うまく締め付けられなくなっていた可能性も指摘されています。  

同じ左側でも、前輪のトラブルがあまり無いのは、もし万一緩んだ際に前輪はハンドルに異常が出るので早めに気付きやすいのが理由とされています。

 

【予防策はとにかく「早期発見と適切な増し締め」】

様々な原因が考えられるタイヤの脱落ですが、予防策はとにかく「しっかりとナットを締める」こと、つまり「緩みを早期に発見する」ことです。  

最近はホイールナットの緩みを可視化して、簡単に見つけられるインジケーターなども市販されています。  

実際にそれを導入されている画像をネットで見つけました。

乗用車から大型車まで、販売やリースを広く手がけられる橋詰商会のサイトです。

代表の橋詰さんに話を聞きました。

「近年、当該事故が多く、弊社周りを含め事故が少しでも少なくなればと思い、HPに記事をあげました」と話す橋詰さん。

現場の感覚として、規格の変更で逆ネジが廃止されたことが大きいといい、実際にネジの緩みは少なからず見つかるのだそうです。  

大きな事故に発展しかねないタイヤの脱落を防止するためには、やはり早期発見と適切な増し締めが大切なのは間違いないようです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c447c17bda0e3d5d7785a28f57798f6ac6d566e9 

 

(ブログ者コメント)

左側のタイヤが外れやすい原因について本ブログでは、過去に以下のような情報も紹介している。

2022122日掲載
2022114日報道 大型車のタイヤ脱落事故は冬用を外す時期には多くない、装着時に多いことの推定原因 時間的余裕がない ②10年にISO規格対応でタイヤの固定方式が変更された

・・・

20年度の脱輪事故の95%は左の後輪で起きている。

右折時は左折時と比べてスピードが速い傾向にあり、遠心力によって左後輪に大きな負担がかかることが原因の一つと推定される。

・・・

https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/12235/ 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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