2022年6月4日21時16分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」沈没事故で、事故前に検査を実施した日本小型船舶検査機構(JCI)が、4年間で約1割の船舶検査員を削減していたことが4日、関係者への取材で分かった。
検査がおざなりだとの指摘もあり、国土交通省は検査体制の見直しに着手しているが、検査人員の不足が懸念される中、検査機関自らが人員を減らしていたことが明らかになった。
関係者によると、国の船舶検査を代行するJCIの常勤検査員は平成30年4月時点で152人だったが、検査対象の船舶数や検査手数料収入が減少したことを理由に、4年間で全体の約1割に当たる14人の検査員を削減したという。
国交省によると、今年4月現在、約30万隻の小型船舶を138人で検査している。
東海大の山田吉彦教授(海上安全保障)は、「検査する人員が圧倒的に足りておらず、脆弱な検査体制の中での人員削減は問題だ」と指摘。
JCIは産経新聞の取材に「業務量との兼ね合いを見て人員の適正化を図った」としている。
JCIを巡っては、沈没事故の3日前に行った船舶検査で、船長の「つながる」との申告をうのみにし、通信手段を衛星電話から携帯電話に変更。
実際は航路の大半が圏外だったのに、つながるかどうか確認せずに通信手段として認めるなど、チェック体制の甘さが指摘されている。
【船舶検査「もうからない」】
観光船沈没事故では、運航会社の杜撰な安全管理を見逃してきた甘いチェック体制が問題視された。
背景に人員不足が指摘されていたが、検査機関自ら人員を減らしていた。
検査手数料収入などの減少に即した「人員の適正化」とされるが、専門家は検査の質と実効性の維持に疑義が生じかねないと危惧している。
「今の手数料だと、船舶検査はもうからないと聞いている」。
国土交通省のある幹部が打ち明ける。
国の船舶検査を代行する日本小型船舶検査機構(JCI)は昭和49年の設立以来、業務収入の多くを検査手数料に頼ってきた。
日本海洋レジャー安全・振興協会によると、小型船舶の操縦士免許を取得する人は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うアウトドアブームを背景に増加している。
ただ、JCIの集計では、検査対象の小型船舶は平成23年度の38万519隻から令和2年度は31万8736隻と、減少傾向にある。
検査手数料は船舶安全法の施行規則で、船の長さや定員、検査の種類などによってそれぞれ規定されており、船舶の数が減れば手数料収入も減る関係にある。
運輸の安全管理に詳しい専門家は「JCIの検査手数料を引き上げることも考えるべきだ」と指摘。
手数料収入の減少が安全をチェックする検査人員の削減に直結しかねない構造を問題視する。
東海大の山田吉彦教授(海上安全保障)は、「現在の手数料収入で十分な検査体制を維持できないというのであれば、国が検査費用の一部を支援することも検討すべきだ」と訴える。
東京商工リサーチが全国の旅客船事業者95社を対象に実施した令和3年の業績動向調査では、従業員50人未満の零細事業者が多く、全体の約7割にあたる65社が赤字だった。
「コロナ禍で業績が落ち込んだ事業者が多く、安全対策強化のための資金を捻出できる事業者は限られてくる」(同社担当者)のが現状だ。
検査手数料収入の多寡にかかわらず、実効性のある検査を維持できる体制を構築することが求められる。
今回の事故を契機に顕在化した問題を検証し、事業者の「性善説」で成り立っていたといわれるJCIによる検査の在り方を見直す時期に来ている。
https://www.sankei.com/article/20220604-4DJKKOOJVFMN7EEM4CVUX37NRM/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。