2017年6月9日に掲載した第4報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第5報修正7として掲載します。
第4報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7199/
(2017年10月21日 修正7 ;追記)
2017年10月15日18時11分にNHK栃木から、事故の最終報告書がまとまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
検証委員会は、生徒らへの聞き取りをもとに、事故の問題点などを指摘する最終報告書をまとめ、宇田教育長に提出した。
県教委は来年1月をめどに、再発防止策をまとめることにしている。
最終報告は、およそ200ページにのぼり、ことし6月の中間報告以降、遺族からの要望で行った再調査で新たに判明した事実のほか、再発防止に向けた提言も盛り込まれた。
最終報告では、7年前の同じ訓練でも生徒たちが雪崩に巻き込まれたことについて再調査を行った結果、生徒らが頭まで雪に埋もれる重大な事故だったことが明らかになったとしている。
しかし、けが人がいなかったことから、県の高校体育連盟に報告されず、文書としても引き継がれなかったとしている。
訓練の内容を当日の朝に変更したことについては、悪天候の際の訓練の代替案が事前に準備されず、当日の朝、雪をかき分けて進む内容に訓練を変更した際に、教員や生徒に具体的な訓練の内容や行動してもよい範囲などが示されなかったのは問題だとしている。
訓練内容の変更は、客観的な気象データや専門家の助言に基づいたものではなく、危険性の十分な認識を欠いた状態だったとした。
また、教員の1人は出発前に学校の教頭に対し、「悪天候であれば訓練は中止する」と話していたことも新たに分かった。
生徒を引率した教員については、隊列の先頭付近にいて、常に雪崩などの危険に細心の注意を払うべきだったと指摘した上で、「上に行きたい」という生徒の意向に従って訓練を続けたことは、安全配慮に欠けていたと指摘した。
さらに、別の高校の教員が引率していた班もあり、生徒の名前もわからず、十分な指導・監督が行えない可能性があったとしている。
事故の発生後の対応については、訓練の本部となっていた旅館にいた教員が無線機から離れたため、現場から連絡がとれずに救助の要請が遅れ、安全への配慮が希薄だったとしている。
そして、「訓練を主催した県の高校体育連盟の危機管理意識の欠如が事故の根源的かつ最大の要因」だと指摘し、県の教育委員会のチェック体制が整備されていなかったことも要因の1つだとした。
また、生徒を引率した教員については、「斜面を進むに従って雪崩が起きる危険性を認識できたはずで、適切な状況判断に欠けるところがあった」と指摘した。
これらを踏まえて、再発防止に向けた提言として、教員への研修を専門家の協力を得て、登山の技術だけでなく気象の知識も含めてきめ細かく行うことや、県の教育委員会が各高校の登山計画を厳しくチェックすること、それに県内の教員や今回の事故経験者、専門家によって指導者と生徒向けのハンドブックを作成することなど、7つの提言を盛り込んだ。
出典
『雪崩 最終報告「危機意識欠如」』
http://www.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20171015/1090000273.html
(ブログ者コメント
報告書は下記参照。
第7回平成29年3月27日那須雪崩事故検証委員会
平成29年10月15日(日)に開催した「第7回平成29年3月27日那須雪崩事故検証委員会」の結果及び配布資料については、別紙(リンク)のとおりです。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/m01/kensyouiinkai.html
(2018年1月10日 修正8 ;追記)
2018年1月10日7時6分に産経新聞から、県教委が再発防止策を発表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教育委員会は9日、危機管理体制を強化するため、各学校への指導やチェックを行う新たな組織を県教委内に設置するなどの再発防止策を発表した。
県教委が設置した検証委員会が、昨年10月に最終報告書で指摘した組織運営における「危機管理意識の欠如」やマンネリズムなどに対応し、学校活動での安全管理の徹底を図る。
再発防止策は、学校教育活動全般と登山活動に関する5分野23項目。
新組織とは別に、高校生の登山の実施状況を確認するため、毎年3月と10月に専門家らによる連絡協議会を設置することや、教員の資質向上に向けた研修の実施、ビーコンなどの装備貸し出しなどを盛り込んだ。
昨年3月の雪崩事故から約10カ月。
県教育委員会が9日にまとめた再発防止策は、学校教育活動全般と登山活動の2つを柱に取り組みを示した。
検証委員会は、慣行に従って登山講習会が実施された「関係者全体のマンネリズム」を背景的な要因にあげており、登山活動を含めた包括的な対応も必要と判断した。
「新たに設置する組織は一元的に、広く、学校行事などに対して専門的に指導助言を行い、安全危機管理体制の強化をはかる」
宇田教育長は同日の記者会見で、雪崩事故を教訓にした学校教育活動全般の安全管理の必要性を強調した。
新組織設置のほかに、学校における危機管理マニュアルの見直しや、安全危機管理研修の充実などがあげられ、同講習会を主催した県高体連などに対する指導や助言の充実を図るとした。
一方、登山活動については、7年前に同講習会で起きた雪崩で、複数の生徒が雪に覆われるなどしたにも関わらず、高体連や県教委に報告されず、文書の引き継ぎがなかったことなどから、「高校生の登山等の安全確保に関する連絡協議会」(仮称)を設置することで、実施状況を確認し、安全な登山活動に生かす仕組みをつくるとした。
雪崩に巻き込まれた生徒らは雪崩の危険性の高い斜面を登っており、引率教員の資質が問題視されたことを踏まえ、登山部顧問らの研修会の開催や国立登山研修所への顧問の派遣などが明記された。
また、事故の教訓を伝えるため、安全登山に関する啓発の場を設けることや、スクールカウンセラーの配置などによる被害者らへの対応についても盛り込んだ。
出典
『那須雪崩 危機管理体制強化へ新組織 栃木県教委が再発防止策』
http://www.sankei.com/region/news/180110/rgn1801100025-n1.html
2017年9月7日11時56分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
滋賀県立北大津高校(大津市)で2011年、硬式野球部員の元生徒の目に打球が当たり眼球が破裂する事故があり、元生徒が申し立てていた民事調停で、県が過失を認めて調停案に応じる方針であることが分かった。
県は4100万円の損害賠償を支払う方向で、20日開会予定の県議会に関連議案を提出する。
県教委によると、事故が起きたのは、元生徒が2年生で野球部のマネジャーだった11年10月。
打撃練習中、バックネット裏にいたところ、打球がネットを突き破り、元生徒の右目を直撃した。
緊急手術も含め4回手術を受けたが、視力が0・01に低下し、後遺症が残ったという。
元生徒は14年6月、県を相手取り、損害賠償を求める民事調停を大津簡裁に申し立てた。
簡裁は調停案を示し、県教委は「老朽化したバックネットを放置した安全管理責任を認め、調停案に合意する判断をした」という。
北大津高校野球部は、春夏合わせて甲子園に6回出場している。
出典
http://www.asahi.com/articles/ASK9735ZVK97PTJB004.html
9月7日23時10分に京都新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県教委によると、11年10月、ティー打撃の練習中に打球が防球ネットの枠をそれてバックネットも突き破り、バックネット裏を歩いていた当時2年生だった生徒の右目に当たった。
出典
『元マネジャー側と滋賀県和解へ 北大津高野球部の打球事故』
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170907000200
2017年8月17日0時44分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟県の加茂暁星高校の野球部でマネジャーをしていた女子生徒(16)が練習直後に倒れ、今月5日に死亡した。
家族によると、生徒は倒れた時に心室細動を発症していた。
自動体外式除細動器(AED)を使えば、救える可能性がある症状だ。
AEDの設置が広がっても突然死が後を絶たない背景には、AEDの性能についての理解が深まっていないことや、卒倒などの場面に遭遇すると落ち着いて使いこなせない実態がある。
【認知度低い「死戦期呼吸」】
「AEDを使ってほしかった。助かったかもしれないと思うと、つらくて悔しい」。生徒の父親(42)は朝日新聞の取材に、苦しい胸の内を語った。
明るくて面倒見のいい性格。部活が大好きだったという。
生徒は7月21日午後、練習があった野球場から学校まで約3.5kmを走った後に倒れた。
野球部の監督は「呼吸はある」と判断し、AEDを使わずに救急車の到着を待った。
しかし、その呼吸は「死戦期呼吸」というものだった可能性がある。
心停止の状態になっても、下あごだけが動いたり、しゃくり上げるようなしぐさをしたりして、呼吸をしているように見えることがある。
生徒が搬送された新潟市内の病院の医師は、「心室細動が起きていた」と生徒の家族に説明したという。
AEDは、心臓がけいれんしたような状態(心室細動)になり、血液を送り出せなくなっている状態を、電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための機器だ。
校内のAEDは、生徒が倒れた玄関に近い事務室の前など計3カ所にあった。
警察によると、病院に運ばれた生徒は今月5日、低酸素脳症で死亡した。
日本救急医学会の指導医の太田医師は、「死戦期呼吸と普通の呼吸とを見分けるのは、一般市民には難しい」と指摘する。
死戦期呼吸の認知度が低いことも、AEDでの素早い処置に思いが至らない要因の一つとみる。
日本AED財団によると、心臓が原因の突然死は、国内で年間約7万人。
倒れる瞬間を他の人が目撃した中で、AEDによる電気ショックが行われたのは4.5%にとどまる。
「呼吸をしているように見えた」など、心停止かどうかの判断に迷うケースが多いとみられている。
同財団の理事で、東京慈恵会医科大学救急医学講座の武田聡主任教授は、「AEDは、電気ショックの必要性を自動的に判断する。人間が見極める必要はなく、呼吸がない、または呼吸の有無に迷ったら、胸骨圧迫を始め、AEDを使ってほしい。正常な人にAEDを付けても、電気ショックは行われないし、体に害を及ぼすこともない」と話す。
学校での心停止は、倒れるのに出くわす人がいる場合がほとんど。
武田主任教授は「AEDで救命できる可能性も高い」という。
【AED「1分1秒でも早く」】
「心臓がけいれんしている状態の時だけ電気ショックが流れます。必要なければ流れません」。
今月10日、新発田消防署(新発田市)で行われた一般向けの救命講習で、救急救命士の松田さん(41)が受講者に強調した。
こうした講習会は各地の消防署で行われており、救命処置の方法やAEDの機能を順を追って説明していく。
倒れた人がいたら、まずは呼吸をみる。
判断に迷う場合は、普段通りの呼吸がない心停止と考え、すぐに胸骨圧迫と人工呼吸。
AEDは、ふたを開けたり電源を入れたりすると音声ガイドが流れるので、それに従って操作する――。
この日の講習には14人が参加。
高齢者施設で働く緒形さん(54)は、「お年寄りが多く、いつ何が起きるか分からない。AEDを使えるかどうかで生死が決まると思って参加した」。
音声ガイドに従えば使いこなせると感じた一方、「夜勤は職員が少なく、1人で判断しなければならない時もある。講習のことが頭に浮かべばいいけれど、気が動転してしまうかも」と不安も口にした。
加茂暁星高校によると、数年前に教員向けの講習会を実施。
2年前には防災訓練の一環で、全校生徒を対象に消防団員による実演を見せたという。
飯沼和長は、「改めてAEDの使い方を徹底し、研修も実施したい」と話す。
松田さんは、「AEDで蘇生する人は何人もいる。若い人でも、野球のボールや空手の突きが胸に当たって心停止することもある。現場はパニック状態で騒然となっていることが多いが、1分でも1秒でも早く、勇気を持って使ってほしい」と話した。
・・・・・
出典
『女子マネジャー死亡、「呼吸」誤解? AED使ってれば』
http://www.asahi.com/articles/ASK8G31QDK8GUOHB001.html
事故当時の状況は下記参照。
(8月6日17時5分 朝日新聞)
同校によると、女子生徒は7月21日午後5時半すぎ、同校から約3.5km離れた野球場での練習に参加。
午後7時半ごろに練習を終え、男子部員と一緒に走って学校に戻った直後、玄関前で倒れたという。
女子生徒は普段、球場を行き来する際は、用具などを積み込むマイクロバスに乗っていた。
この日は、けがをした部員がバスに乗るなどしたため、監督が「マネジャーはマイペースで走って帰るように」と指示していた。
女子生徒が倒れた直後、駆けつけた監督は「呼吸は弱いけれどある」と判断し、救急車が来るまでの間、AEDは使用しなかったという。
女子生徒は救急搬送された病院で治療を受けていたが、5日午後6時すぎに亡くなった。
出典
『練習後走り倒れた女子マネジャー死亡 新潟の高校野球部』
http://www.asahi.com/articles/ASK8656TGK86UOHB00S.html?iref=pc_extlink
2017年8月14日19時48分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
登山中に死亡した人の死因や状況などを分析した研究結果がまとまり、救助隊の到着時に生存していた人の割合は、わずか2.5%だったことがわかった。
分析にあたった医師は、滑落による外傷など致命的なケースが目立つ一方で、登山者自身の適切な対応により生存の可能性を高める余地もあるとしている。
分析を行ったのは、登山者のけがや病気を専門とする「山岳医」の国内での草分けで、札幌市にある北海道大野記念病院に勤務する大城和恵医師。
大城医師は、平成27年までの5年間に登山中の死者が多かった10の道と県で、警察の協力を得て、御嶽山の噴火を除いたあわせて553人の死因や死亡した状況などを分析した。
このうち、死因は滑落などによる外傷が最も多く45.4%、次いで低体温症が15.2%、心臓発作が13.2%と雪崩や脳卒中などよりも多く、これらが「登山中の3大死因」だった。
また、救助隊の到着時に生存していた人の割合は、わずか2.5%だったことがわかった。
外傷や心臓発作は致命的なケースが目立ち、事前の対策が重要となる一方、低体温症は時間をかけて症状が悪化するため、登山者自身が体調の変化に早く気づき適切な対応をとることで、生存の可能性を高める余地もあるとしている。
こうした研究は国内ではこれまで例がなく、大城医師は「山は救急医療から隔絶された厳しい場所なので、登山者は自分を守る力を身につけてほしい」と話している。
【道内で遭難事故相次ぐ】
道警本部によると、ことし7月末までに道内の山で起きた遭難事故は90件で、昭和38年以降、過去最悪の事故の数となった去年の同じ時期を上回るペースで推移している。
道警本部では、増える山岳遭難に備えるため、今年度から捜索や救助に当たる専門の部署を設置した。
月に1回のペースで訓練を行って専門的な技能を磨くほか、遭難防止に向けた啓発活動なども担当するという。
道警本部では、気象条件や自分の体力に合った安全な計画を立てるよう、呼びかけている。
出典
『救助隊到着時の生存は2.5%』
http://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20170814/3024431.html
2017年8月10日17時27分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
サッカーゴールは中学生1人でも簡単に倒れることが、研究者らによる実験でわかった。
クロスバーにぶら下がって揺れることで、転倒する力が生じる。
ゴールの転倒事故防止に向け、「絶対にぶらさがらないで」と呼びかけている。
実験をしたのは産業技術総合研究所や弁護士らで作るグループ。
27日に早稲田大学(東京都新宿区)で開かれる、学校事故の防止をテーマにしたシンポジウムで実験結果を発表する。
実験では、アルミ製のサッカーゴール(約100kg)をロープで引っ張り、倒れるのに必要な力を繰り返し計測。
重りなどで固定されていない場合、最小約25kg重で倒れた。
一方、中学生の男女10人(体重38~55kg)がゴールに見立てた装置に1人ずつぶら下がり、振り子のように体を揺らして水平方向にかかる力も測定。
平均約29kg重になり、ゴールの転倒に必要な力を上回った。
このグループが日本スポーツ振興センターの2014年度の記録を分析すると、サッカーゴールの転倒による負傷事故は29件だった。
ゴールと地面に挟まれた場合の衝撃力は、頭蓋骨が骨折する値の約3.9~5.4倍になるという。
突風で倒れる可能性もあり、重りなどでゴールを固定する対策を求めている。
シンポジウムは27日午後1時半から。
サッカーゴール転倒のほか、組み体操やムカデ競走の事故から子どもを守る方法について、学校現場で生かせる対策を提言する。
出典
『ゴール転倒、ぶら下がり1人でも 頭蓋骨折5倍の衝撃』
http://www.asahi.com/articles/ASK8941R8K89UTFL00C.html
(ブログ者コメント)
ぶら下ったりしてサッカーのゴールが倒れた事故は、本ブログでも過去に何件か紹介スミ。
2017年8月2日16時27分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
子どもがけがをする事故が相次いでいる組み体操について、技によっては土台となる1段目の人に瞬間的に最大で体重の4倍を超える力がかかることが専門家による実験でわかり、今後、実験結果を分析して、より安全な方法の提言につなげることにしている。
この実験は、子どもの事故防止に取り組んでいる産業技術総合研究所や東京工業大学、それに日本体育大学などの研究グループが行った。
特に事故が多いと指摘されている「ピラミッド」と「タワー」と呼ばれる2種類の技について、全身にセンサーを付けた大学生が10人ひと組となって組み体操を行い、力のかかり方などを調べた。
その結果、4段の「ピラミッド」の場合、1段目の人にかかる力は、完成した状態でおよそ180kgと、体重の3倍に及んでいたほか、上に乗っていた人が降りようとして一段目の人に足をかけた際は、瞬間的に体重の4倍を超える250kgに達していた。
この状態でバランスを崩すと、骨折などのけがに結びつくおそれがあるということで、研究グループでは、今後、体の動きをコンピューターで詳しく解析したうえで、体を密着させて互いに支え合うようにするなど、より安全な組み体操を提言したいとしている。
産業技術総合研究所の西田さんは、「技を完成させるまでに気をつけるのはもちろん、完成して『できた』という達成感のあとに気を抜くと大きなけがをする恐れがあることが分かったので、十分注意してほしい」と話していた。
出典
『組み体操 瞬間的に体重4倍の力』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170802/5584101.html
(ブログ者コメント)
組み体操時の事故については、過去に何件か記事を掲載している。
2016年7月29日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6128/
(2017年7月11日 修正2;追記)
内田准教授の寄稿記事?中、「詳細不明」と記されていた多治見市の事例に関し、下記趣旨の記事が2017年7月3日21時59分に毎日新聞からネット配信されていた。
岐阜県多治見市立小泉中学校で2015年6月、当時3年生だった男子生徒(17)が水泳授業中にプールに飛び込んで頭を打つ事故があり、同市は3日、再発防止策の実施や賠償金の支払いで生徒側と大筋合意した。
生徒の代理人弁護士らが記者会見して明らかにした。
弁護士らによると、生徒は15年6月、高さ約30cmのスタート台から飛び込み、プールの底で頭を打って頸椎骨折などの重傷を負った。
今も自律神経・感覚神経のまひや上下肢の運動障害などの後遺症が残っているという。
生徒側は、プールの水深が1.35m未満で、日本水泳連盟が公認規則でスタート台の設置を禁止していることなどを挙げ、市に昨年6月、
(1)事故の原因を公表し、再発防止策を講じる
(2)生徒と両親に対して約2750万円の賠償金を払う
ことなどを求める要望書を提出した。
市は先月30日、謝罪要求を受け入れ、損害賠償について「誠実に補償交渉に応じる」と回答した。
会見で望月弁護士は、「スタート台への禁止の貼り紙など、今できることをすぐに実施してもらいたい」と市に訴えた。
古川市長は、「再発防止、安全対策を徹底していく」とコメントした。
出典
『岐阜・プール事故 多治見市賠償へ 賠償金の支払いなど』
https://mainichi.jp/articles/20170704/k00/00m/040/082000c
2017年3月9日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報として掲載します。
第1報(2/2)は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6865/
(2017年7月6日 修正1 ;追記)
2017年6月29日12時34分にNHK鳥取から、事故報告書が提出されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故の調査にあたった調査委員会の報告書がまとまり、28日の夜、小林委員長が土海教育長に報告書を提出した。
報告書では、飛び込みの目標として水面に浮かべていたフラフープとスタート台の距離が1mあまりと近く、現場にいた男子児童が危険だと申し出たにもかかわらず、現場の教員が無視して女子児童に飛び込みをさせるなど、「不適切な指導が事故を招いた」と指摘している。
さらに、事故後の学校の対応についても、「児童自らが起こした『不慮の事故』として処理しようとした」と指摘した上で、事故の発生自体、一部の教職員にしか伝えず、「事故の隠蔽とも疑われる態度に終始した」と厳しく批判している。
また、教育委員会による学校への指導も不十分だったと指摘している。
出典
『プール事故 調査報告書提出』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4044556391.html
6月29日付で日本海新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によると、事故は、男性教諭の指示で飛び込み台からプールの中にいた別の児童が持ったフラフープめがけて飛び込みをしたが、フラフープが飛び込み台に近く、垂直に近い形で飛び込んだことが事故の原因となったと言及。
危険性は明らかだった上、女子児童が不安な気持ちを抱えながら飛び込むことになった男性教諭の言動も看過できないとした。
学校に対しては、事故後も児童自らが起こした「不慮の事故」として処理しようとし、正確性を欠いていると批判。
「隠蔽と取られかねない態度に終始した」と指摘した。
「重篤な事故」という認識がなく、町教委も、学校に注意、指導するなどの本来の機能を発揮しなかったと結論付けた。
出典
『教諭の不適切指導原因 湯梨浜プール事故』
http://www.nnn.co.jp/news/170629/20170629047.html
(2017年7月23日 修正2 ;追記)
2017年7月21日21時18分にNHK鳥取から、日本水泳連盟が定めたガイドラインは鳥取県内の小学校に浸透していないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年7月の事故を受け、NHKは鳥取県内126の小学校すべてにアンケート調査を行い、106校から回答を得た。
それによると、事故後、原則禁止となった飛び込みは、県教委が特例で認めた講習を受けた教員の指導で、依然として半数近い50校で行われていることがわかった。
また、飛び込みを行うプールについては、日本水泳連盟が平成17年に飛び込み台の高さやプールの深さなどのガイドラインを定めているが、これを満たしていない浅すぎるプールや高すぎる飛び込み台で飛び込み練習をしている学校が16校にのぼった。
個別の取材に対し学校側は、「ガイドラインの存在を知らなかった」とか「知っていたが、詳しい基準まで把握していなかった」などと答え、ガイドラインが学校現場に浸透していないことが浮き彫りになった。
出典
『規格外プールで16校指導』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/4045366111.html
2017年6月23日18時19分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4年前の平成25年8月、東大阪市内のプールで開かれた障害者向けの水泳教室で、Kさん(男性、当時24歳)が意識を失って死亡した。
Kさんの両親は、「死亡したのは熱中症のためで、指導者が適切な配慮を怠った」として、水泳教室を運営していた大阪・生野区のNPO法人などに、およそ5500万円の賠償を求め、法人側は、「原因はてんかんの発作で、指導者に責任はない」と主張していた。
23日の判決で、大阪地裁の山地裁判長は、Kさんは熱中症で亡くなったとしたうえで、「水泳教室の指導者は、水泳でも熱中症になることがあり、水分補給が重要だという知識があったのに、練習生をプールから上がらせ水を飲ませるなどの対策を怠った」と指摘した。
そのうえで、「Kさんに知的障害があったことを考えると、指導者が適切な措置をとらなかった責任は重い」として、法人側に770万円の賠償を命じた。
判決の後、Kさんの59歳の父親は記者会見で、「熱中症は、指導者の無知や怠慢で起きることを裁判所が認めてくれた。スポーツの指導者は深く自覚してほしい」と述べた。
また、58歳の母親は、「プールに入っていても熱中症になることがある。そのことを多くの人に知ってほしい」と述べた。
両親の代理人の平川弁護士は、「相当深く踏み込んだ判決で、勝訴だと思う」と述べた。
一方、NPO法人の弁護士は、「判決文を読んでいないので、コメントを控える」としている。
熱中症に詳しい医師は、プールなどでも運動を続けると熱中症になる場合があるとして、注意を呼びかけている。
「神戸市立医療センター中央市民病院」の水副医長によると、プールでは、運動して汗をかいていても気付きにくく、水分の補給を怠りがちになるという。
また、湿度の高い屋内や、水温が高いプールの中で運動を続けると、汗が蒸発しにくくなって体に熱がこもりやすく、脱水症状を起こして熱中症になりやすいという。
水副医長によると、プールの水温と気温の合計が65℃以上になると熱中症のリスクが高まるとされ、水泳には適さないという。
水副医長は、「水の中でも熱中症のリスクがあることを認識してもらい、こまめに休憩をとったり水分補給をしたりして、予防に努めてほしい。異変を感じたら涼しい場所で体を冷やし、医療機関を受診してほしい」と話している。
出典
『プールで熱中症死亡 賠償命令』
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20170623/4462051.html
6月23日17時50分に時事通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
裁判長は、てんかんの発作とする被告側の主張を退け、熱中症と推認。
一定時間ごとにプールから上げ、水分補給させる義務を怠ったと認めた。
一方で、救急搬送の依頼など、相応の対処をしたと指摘した。
判決後の記者会見でKさんの父親は、「熱中症と認められて意義はあるが、練習メニューが過酷とは認められず、満足がいかない」と語り、控訴する考えを示した。
出典
『水泳教室主催者に賠償命令=男性死亡「熱中症予防怠る」-大阪地裁』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017062300999&g=soc
2017年4月28日22時2分に朝日新聞からは、事故時の詳しい状況などが、下記趣旨でネット配信されていた。
・・・・・
知的障害・発達障害のあるKさんは、給食会社で働く傍ら、障害者専門の水泳教室に通い、ジャパンパラリンピックに7回出場していた。
両親が見守る中、東大阪市の室内プールでの練習は、午後6時に始まった。
空調はなく、サウナのようだった。
母親は何げなく水に触り、「ぬるい!」と言ったのを覚えている。
クロール100mを10本、バタフライ100mを7、8本泳いだところで、コーチからフォーム修正の指示が出た。
Kさんはプールから上がり、鏡を見ながら約5分間、シャドーストロークをした。
ここで初めて水分補給をし、水中に。
指示されていたバタフライではなく、クロールで泳ぎ出した。
100m泳いでもやめない。異常行動だ。
仲間が足をつかんで止めたが、手はかき続けていた。
引き上げられると、けいれんが始まった。
午後6時55分に救急搬送。病院で亡くなった。
体温は41.9℃あった。
死体検案書には、熱中症にかかり、重いてんかんの発作を引き起こしたことが死因と書かれた。
一見、意外かもしれないが、プールでも熱中症は起こる。
14年7月には、京都市の中学の水泳部員13人が救急搬送された。
同年8月にも、東京都の中高の水泳部の合同練習で15人が病院に運ばれた。
日本水泳連盟の指導教本では、水温と室温を足して60℃前後が水泳に最適で、65℃以上は「不適」とされる。
Kさんの事故当日の午後6時の水温は32.7℃、室温は36.0℃で、計68.7℃だった。
・・・・・
出典
『プールでも熱中症の危険 水温と室温に注意が必要』
http://www.asahi.com/articles/ASK4W72GBK4WUTQP02F.html
2017年6月21日17時49分にNHK信州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3年前、坂城町の県立高校で、ハンドボール部の試合中に相手チームの選手と衝突したあと、再び試合に出場させられたことで記憶障害などの後遺症が残ったとして、当時2年生の男子生徒と両親が、学校側の安全管理に問題があったとして、県と高校の顧問の男性教諭らに対し、8400万円余りの損害賠償を求める訴えを長野地裁に起こした。
訴えによると、男子生徒は平成26年12月、ハンドボール部の試合中に相手チームの選手の膝が左の頬にぶつかって倒れ、動けなくなったという。
生徒はコートの外に運ばれたが、顧問の男性教諭に再び試合に出場させられ、帰宅後も体のしびれがおさまらず、脳震とうや頸椎損傷などと診断されて入院した。
21日会見した男子生徒の母親は、「もう二度と同じことを繰り返さないよう、指導者として知識を持ってほしい」と話していた。
出典
『部活中の事故で損害賠償請求訴訟』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/1014434111.html
6月22日付で信濃毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
原告側は、男性が入部から事故までに足首4カ所を疲労骨折し、顧問からは「ぶつかってくる相手をよける者は勇気が足りない」などと指導されたと主張。
事故の際に救急車を呼ばず、試合に再出場させたのは「不適切な指導」で、その結果、重い障害が起き、現在も後遺症がある―としている。
・・・・・
出典
『14年の坂城高ハンドボール部事故 元部員男性と両親が提訴』
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170622/KT170621FTI090022000.php
2016年10月26日付で毎日新聞長野版からは、詳細な状況などが下記趣旨でネット配信されていた。
・・・・・
坂城高校の事故報告書によると、2014年12月28日、同校の体育館でハンドボール部の練習試合があった。
午後1時45分ごろ、ゴール前で守備をしていた男性が、シュートを放とうとジャンプした相手選手の膝を顔に受け、倒れた。
男性にその後の記憶はないが、報告書では、他の選手に担がれてコート外に出され、男性顧問が意識の有無などを確認。
1人で約3分休んだ後、出場できることを顧問に伝え、約2分間、再出場したという。
試合後、顧問は家族に連絡し「脳震とうの可能性が高い」と伝え、駆けつけた家族に男性を引き渡し、病院へ行くことを勧めた。
同日午後7時半ごろ、顧問は男性宅に電話を入れ、症状に改善が見られないことを知って病院へ行くよう伝えた。
家族が男性を病院へ連れて行くと、緊急入院することになった。
病院では、男性が脳震とうを起こし、顔面を骨折、頸髄(首の神経)損傷を負っていたことが判明。
事故直後や再出場した時の記憶がないことも分かった。
男性は転院も含め約8カ月、入院。
その間、記憶力など脳の機能に障害が出る高次脳機能障害も発症した。
運動中に頭を打つ事故が起きた時の指導者の対応について、文科省の「学校における体育活動中の事故防止について」(12年7月)や日本スポーツ振興センターの「体育活動における頭頸部外傷事故防止の留意点」(13年3月)は、「脳が再び強い衝撃を受けると、危険度が極めて高まる(セカンドインパクトシンドローム)ため、正常な場合でも1日から数日は練習を休み、安静にし、状態を観察する」などとしている。
・・・・・
日本体育大の南部さおり准教授(スポーツ危機管理学)は、「再出場はさせるべきではない。セカンドインパクトシンドロームがなくても、一度頭を打てば、外見上は問題が無いように見えても容体が急変する可能性がある。首から上への打撃を受けたら、急性硬膜下血腫など脳へのダメージを疑い、可能な限り動かさず経過を観察することが必要」と指摘する。
・・・・・
出典
『坂城高 部活動ハンドボール 脳しんとう、試合再出場 識者「指導不適切」 /長野』
http://mainichi.jp/articles/20161026/ddl/k20/040/111000c
2017年6月21日11時54分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
スポーツの事故で重大な障害を負った少年の暮らしは壮絶だった。
2014年3月、沖縄県豊見城(とみぐすく)市にある町道場の柔道教室での練習中に急性硬膜下血腫となった男子の母親は、「指導者には、子どもを守る知識を備える責任がある」と、再発防止を訴える。
大阪府岸和田市に住む中学1年のH君(13)は、車いす生活で特別支援学校に通う。
脳を損傷し、左手が動かず、左目の視野が極めて狭い。
リハビリを通じ、会話はできるようになったが、歩行は短い距離に限られ、食事も介助が必要だ。
2年前からてんかんの発作が頻発。
倒れると自力で起き上がれず、母親(32)は目が離せない。
母親は事故後、H君の将来のことで意見が食い違った夫と離婚して岸和田市の実家に戻り、両親の助けを得ながら、H君と長女(6)、次男(4)を育てる。
「息子は、生きてはいるけど、あったはずのものがすべてなくなった。半分、殺されたと思っています」。
世話に追われ、次男が歩けるようになったことを、しばらく知らなかった。
事故は、1分間交互に相手を投げ続ける稽古で起こった。
小学3年のH君が組んだのは、5年生の男子。
体重差は大きくなかったが、柔道を始めて半年だったH君とは、経験、実力とも差があった。
母親が道場長から受けた説明によると、1本目の稽古が終わり、H君が泣いた。
「頭を打ったのか」と指導者が聞くと、H君が「痛い」とうなずいたものの、相手の道着をつかんで練習を続ける意思を示したために再開。
2本目、投げられた後に自分が投げる番になると、ふらふらと歩き出し、倒れた。
H君が受けた技は、大外刈り。
過去の事故事例が多いことから、全日本柔道連盟が、受け身の能力などを慎重に見極めて受けさせるよう、指導者に注意を促している技だった。
母親は病院の医師から、H君の頭には打撲の痕がなかったと聞いた。
「頭を打ったのではなく、強く揺さぶられたことで静脈が破れる加速損傷が起きて急性硬膜下血腫を発症し、さらに再び衝撃を受けて悪化したのだろう」と説明された。
道場長は朝日新聞の取材に、「(H君は)大外刈りの受け身はしっかりできていたが、実力差のある組み合わせにしたことを反省している。事故後は、学年と柔道歴を考慮して、慎重に組ませている。全柔連の指導者講習会に出るようにしている」と話した。
鏡に映る自らの姿を見て、H君が涙を流していたことがあった。
母親が思わず「一緒に死のうか」と言ったこともある。
柔道では、H君の事故後の15、16年にも、全国の中高の部活動中の事故で計3人が亡くなり、計3人が意識不明になっている。
母親は言う。「このままでは、何のためにこの子がけがをしたのか、わからない。末端の指導者が知識を持ち、教訓として生かしてもらいたい」
柔道の重大事故は頭部外傷が多い。
2003~15年に全柔連に報告された頭部の重大事故は44件。そのうち、19件が死亡している。
全柔連が分析した頭部重大事故の特徴は以下の4点。
①受け身が未熟な初心者に多い
②組んだ相手との体力差、体格差が大きい場合に発生しやすい
③回転で頭が揺さぶられて脳損傷が起きる
④事故の前に頭痛を訴えている事例がある
H君の事故は、このすべてが当てはまる。
全柔連は近年、ホームページや冊子で事故の特徴の周知を図り、「初心者の時期の指導を安全に行うことで重大事故をゼロにできる」と訴えている。
また、受傷時にかけられた技をみると、03~14年の頭部外傷の重大事故で技が判明している29件のうち、大外刈りが15件で最も多かった。
全柔連は、「初心者に大外刈りをかけて投げるのは極めて危険」と、大外刈りを受ける力量があるか、受け身の習熟についての慎重な見極めも求めている。
重大事故総合対策委員会の野瀬委員長は、「事故にあわれた方やご家族にとって『事故は終わっていない』という感を強くしている。今の目的は一つ。重大事故をゼロにして、安全、安心な柔道を確立すること。現場の指導者の中には冊子を読まない人も多いようなので、さらにわかりやすい冊子が作れるかを検討中」と話す。
全柔連には、今年4月にも、経験者の高校1年男子が後頭部を打ち、急性硬膜下血腫で緊急手術をしたという報告が入っている。
出典
『大外刈りで脳損傷、車いすの中1 母「一緒に死のうか」』
http://www.asahi.com/articles/ASK6D41T8K6DUTQP00J.html
2017年6月15日12時1分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
オリンピックなどを目指す選手の強化拠点になっている東京・北区の「ナショナルトレーニングセンター」で、バレーボール男子の19歳の選手が練習中に剥がれた床板が足に突き刺さって、全治1か月の大けがをしたことがわかった。
施設を管理するJSC=日本スポーツ振興センターによると、6月10日、ナショナルトレーニングセンターでバレーボール男子の21歳以下の日本代表の強化合宿中に、19歳の選手が滑り込んでレシーブをした際に木の床板が長さおよそ26cm幅およそ2cmにわたって剥がれ、右ひざ付近に突き刺さったという。
この選手は、およそ30針を縫う全治1か月の大けがをした。
JSCによると、このコートは、バレーボールのほか、バスケットボールやバドミントンなど、それぞれの競技で、メインのコートが使えないときに利用されているという。
毎日、練習をした選手がモップをかけたり業者が清掃をしたりしていたが、異常の報告はなく、JSCでは詳しい事故の原因を調べている。
スポーツ庁によると、国内の体育館で床板が剥がれて重傷を負った事故は、おととしまでの10年間で7件起こっていて、5月末から6月初めにかけて、JSCなど各スポーツ関係団体に定期点検などを求める通知を出していたという。
JSCの担当者は、「大変残念なことで、再発防止のために取り組んでいきたい」としている。
出典
『五輪強化拠点床はがれ選手大けが』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170615/4278071.html
6月15日8時35分に読売新聞からは、下記趣旨の記事が事故時のイメージ図付きでネット配信されていた。
剥がれた床板が太ももに刺さる大けがを負っていたことが14日、明らかになった。
スポーツ庁などが先月末に同様の事故防止を関係者へ通知したばかりで、五輪選手の強化拠点での事故発生は、関係者の危機管理の甘さが問われそうだ。
出典
『バレー合宿、剥がれた床板がももに刺さり大けが』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170615-OYT1T50018.html
(ブログ者コメント)
本件、6月5日に本ブログで消費者事故調の調査結果を紹介したばかりだ。
モップがけする選手や清掃業者に、剥がれそうな場所がないかよく見ておくことなど、注意事項を説明していたのだろうか?
『2017年5月30日報道 体育館でプレー中に滑り込んだ際、床板の一部が剥がれ突き刺さる事故は本来は禁止されている水拭きやワックス掛けをしていたことが原因だと消費者事故調が発表』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7186/
2017年4月1日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6949/
(2017年6月10日 修正2 ;追記)
2017年6月2日19時39分にNHK石川から、施設設置の翌年に設けられた安全基準を市の担当者が把握していなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6月2日12時57分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
金沢市はその後、事故の原因を調べていたが、飛び込みの練習施設の底に厚さ30cmから50cmのマットを敷くという、日本水泳連盟が「公認プール施設要領」で定めている安全基準を満たしていなかったことが分かった。
金沢市によると、「金沢プール」を設計した平成25年には、この基準はまだなく、翌26年4月、日本水泳連盟が「練習場にはスポンジを敷き詰め、底に厚さ30~50cmのマットを敷く」と定めた基準を設けたが、金沢市の担当者は、このことを把握していなかったという。
女子生徒はすでに退院しているが、現在も治療を続けているということで、金沢市では、今後、けがをした女子生徒への補償を進めたいとしている。
また、市は事故後、使用を中止している飛び込みの練習施設について、6月中にマットを設置し、なるべく早く使用できるようにしたいとしている。
出典
『金沢プール事故安全基準満たさず』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/3023937721.html
『金沢の飛び込み練習場、水連規定満たさず 3月に女子中学生が骨折』
http://www.sankei.com/west/news/170602/wst1706020049-n1.html
(ブログ者コメント)
日本水泳連盟からのお知らせを、平成26年4月から8月分までチェックしたが、新基準に関するお知らせは見つからなかった。
http://www.swim.or.jp/info/index.php?pageID=44
もし、あったとしても、市の担当者がそういったHPを常時チェックしているとは限らない。
今回、新基準制定を把握していなかったとされる市の担当者だが、組織として新基準制定を把握するには、誰が何をどうすればよかったのだろうか?
これが産業界であれば、業界団体や監督官庁からの連絡、業界紙購読や講習会への参加など、情報を得る機会はいくつかあるのだが・・・。
2017年5月6日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第4報修正5として掲載します。
第3報(2/2)は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7074/
(2017年6月9日 修正5 ;追記)
2017年6月1日付で毎日新聞東京版から、足元の雪面に亀裂が見えてそこから流されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大田原高関係者によると、1班の複数の生徒は「前に(雪面の)亀裂が見えて、そこから流された」「足元あたりから崩れた」などと証言しているという。
雪崩の専門家であるアルプス雪崩研究所の若林隆三所長は、「樹木の少ない急斜面で、たくさんの人が衝撃を与えれば雪崩が起きる可能性は十分にある。衝撃が伝わり、ガラスのひび割れのように雪面にひびが入ったのではないか」と説明している。
密集した状態でラッセル訓練を実施したことで、降り固まった古い雪の上の新雪が崩れる「表層雪崩」を誘発した可能性がある。
出典
『栃木・那須の雪崩 「足元の雪面に亀裂」 生徒証言 訓練強行で誘発か』
https://mainichi.jp/articles/20170601/ddm/041/040/122000c
6月3日20時53分に毎日新聞からは、7年前の事故時に対応さえしっかりしていれば・・・といった趣旨の記事がネット配信されていた。
第2回検証委員会が3日、宇都宮市内で開かれた。
7年前にも同時期に実施した講習会で高校生が雪崩に巻き込まれた後、引率教諭らが周辺での講習会を今後実施しないことを県高体連登山専門部内で決めながら、事故の事実を含めて県教委や県高体連に報告していなかったことを明らかにした。
「どこの記録にも残っていない」という。
7年前の事故では、長さ100~200m程度の雪崩が発生。
座って休憩していた生徒が腰まで埋もれて流されたという。
ある遺族は「報告があれば事故は防げたのではないか」と話している。
また、講習会での雪上訓練が雪崩を誘発した可能性について、雪崩研究の専門家の委員が「(訓練の)刺激は400m程度なら広がる。それがつながり、支えきれなくなって上から雪崩が起きた可能性はある」との見方を示した。
出典
『栃木雪崩 7年前の事故「記録なく」 検証委』
https://mainichi.jp/articles/20170604/k00/00m/040/076000c
(2017年9月18日 修正6 ;追記)
2017年9月17日7時35分に産経新聞からは、2人の教員がアンケートの「教員や生徒に反対や不安の声があったか」という設問に「あった」と答えたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
講習に参加した一部の教員が、当日の訓練実施について「教員や生徒に反対や不安の声があった」と遺族に伝えていたことが、16日、学校関係者への取材で分かった。
関係者によると、遺族の一部が講習に参加した教員を対象に独自のアンケートを実施。
13人が回答し、うち2人が「教員や生徒に反対や不安の声があったか」との設問に「あった」と答えた。
いずれも講習の責任者ではなく、若手教員という。
講習を主催した県高等学校体育連盟登山専門部の猪瀬委員長(当時)は、事故後の記者会見で、訓練実施の判断について、「教員や生徒から危険という意見はなかった」と説明。
県教委が設けた第三者による検証委員会が6月に公表した1次報告書も、参加した教員や生徒の見方には触れておらず、遺族は再調査を求めている。
出典
『那須雪崩、訓練実施に「教員や生徒に反対や不安の声があった」』
http://www.sankei.com/affairs/news/170917/afr1709170007-n1.html
『那須雪崩の当日「反対や不安」 訓練参加教員に遺族が調査』
https://this.kiji.is/281708505009947745?c=39546741839462401
2017年5月30日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全国の体育館で、本来避けるべき水拭きやワックス掛けによる清掃が一般的に行われ、事故の原因になっているとの報告書を、消費者安全調査委員会(消費者事故調)が29日、まとめた。
水拭きなどの水分で木製の床板が変形、木片が剥離して利用者の体に刺さる事故が起きていることから、事故調は文部科学省に対し、各施設に適切な管理方法を改めて周知するよう求めた。
事故調がこれまでに把握した重大な事故は7件。
バレーボールやフットサルをしていた利用者が床に滑り込んだ際、はがれた床板が体に刺さって大けがをした。
長さ30~40cmの木片が肺や胃を貫通する例もあった。
完成から2年の、新しい施設でも起きていた。
事故があった体育館を調べたところ、
▽水拭きやワックス掛けを行っている
▽雨漏りがある
▽湿気がこもりやすい
など、水の影響が確認された。
木は水分を吸収すると膨張し、乾くと収縮する。
この繰り返しにより、床板が反ったり割れたりし、はがれやすくなったと考えられる。
長期使用による老朽化が原因とみられるケースもあった。
木製板の体育館の水拭きやワックス掛けは、日本体育施設協会がガイドラインで禁止している。
一方、事故調が全国の学校と、学校外の公共体育館計2800施設(有効回答数2242施設)を対象にアンケートをしたところ、学校では半数近い46%、公共体育館の42%がワックス掛けをしていた。
定期点検を行っていない学校も20%、公共体育館は49%あった。
【体育館の床板による主な負傷事故】
2006年8月 岐阜市の県立高体育館
バレー部のレシーブ練習中、男子生徒の胸に刺さり、10日間入院
2011年7月 相模原市の中学校体育館
バレー部のレシーブ練習中、女子生徒の胸に刺さり、7日間入院
2013年 東京都内の中学校体育館
レシーブ練習中に生徒の腹部に刺さり、胃や腸を貫通し、27日間入院。手術後に腸閉塞(へいそく)発症
2013年5月 大阪市内の体育館
レシーブ練習中、社会人の男性の腹部に刺さり、4日間入院
2014年4月 宮崎県都城市の体育館
バレーの大会でレシーブをした高3の男子生徒の腹部に刺さり、12日間入院
2015年4月 富山県射水市の大学の体育館
フットサルの練習中、男子学生の背中に刺さり肺を貫通し、24日間入院
※事故調の報告書や過去の報道に基づき作成
出典
『体育館 床はがれ事故 水拭きやワックスがけダメ 内臓貫通も』
https://mainichi.jp/articles/20170530/ddm/012/040/081000c
5月29日20時22分に朝日新聞からも同趣旨の記事が、不具合の生じた床板の写真3枚付きでネット配信されていた。
学校や公共体育館を対象に16年に実施したアンケートでは、学校と公共の体育館それぞれ5%で日常的に水拭きをしていたという。
出典
『体育館、水拭きはしないで はがれた床材が刺さる事故も』
http://www.asahi.com/articles/ASK5Y4HN7K5YUTIL01N.html
(ブログ者コメント)
〇消費者事故調が調査を開始するという記事、ならびに毎日新聞に掲載された最近の事例のうち東京都以外の事例は、本ブログでも過去に紹介している。
〇この問題については、これで一段落した感があるので、今後は特段のものでないかぎり、掲載を割愛する。
2017年1月4日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6627/
(2017年5月30日 修正2 ;追記)
2017年5月23日23時34分に朝日新聞から、下記趣旨の続報記事がネット配信されていた。
サッカーの試合中、接触プレーで足を骨折した選手が裁判を起こした。
一審は、けがをさせた相手に250万円の支払いを命じ、現在は控訴審で係争中。
選手間で「公にけんかせず」に沿ってきたサッカー界に一石を投じている。
発端は、趣味でプレーする人が多いサッカーの東京都社会人4部リーグ。
一審判決などによると、男性が球を蹴ろうとした左足に、相手選手のスパイクシューズの裏が接触した。
ファウルにならなかったが、男性はすねを骨折し、手術などで計約1カ月間入院。
2015年5月、相手選手らに約690万円の損害賠償を求めて提訴した。
昨年12月の東京地裁判決は、故意とは認められないとする一方、「走り込んで来た勢いを維持しながら、ひざの辺りの高さまで足の裏を突き出しており、何らかの傷害を負わせることは予見できた」と指摘。
「退場処分が科されることも考えられる行為だった」として、相手選手に慰謝料や治療費など約250万円の支払いを命じた。
相手選手側は不服として控訴。
東京高裁の控訴審では、支払いに応じられないとする相手選手側と、請求した賠償金全額を求めるけがをした男性側の主張が対立した。
その裁判を日本サッカー協会の関係者が傍聴するなど、サッカー界の関心は高い。
【「提訴してはならない」規則に定め】
協会の基本規則には、例外を除き、加盟する団体やチーム、選手に対して「サッカーに関連した紛争を通常の裁判所に提訴してはならない」と、国際サッカー連盟に準じて定められている。
提訴した男性が所属する東京都社会人4部はアマチュアリーグだが、協会への選手登録が必要。
規定に沿えばルール違反といえる事例で、賠償金の支払いを命じられたことは周囲を驚かせた。
協会は今回の事例について、「係争中のため、コメントは差し控えたい」(広報)としているが、ある幹部は、「Jリーグでこれをやり出したら、プロの試合として成り立たなくなってしまうのではないか」と懸念する。
Jリーグによると、けがをした選手が相手選手に対して裁判を起こしたケースは聞いたことがないという。
都社会人3部リーグでプレーする30代の男性選手は、判決をニュースで知り「衝撃だった」。
チーム内でも話題となったという。
「自分たちも相手にけがをさせたらこうなる可能性があるのか、と少し心配になった」と話す。
【規定、競技によってまちまち】
試合中に選手同士の接触で発生したけがに関する規定は、競技団体でまちまちだ。
日本バスケットボール協会は、サッカーと同様に裁判所への提訴を禁じているが、接触プレーが多い日本ラグビーフットボール協会にはない。
同協会広報は、「専門の委員会もあり、協会内で収束できるようにする、という考えがある。裁判までのケースを想定していない」としている。
関東医歯薬大学ラグビーリーグで、ジャージーをつかまれて引き倒された選手が地面に頭を打ち、脊髄損傷で重い後遺症を負った事例では、東京地裁は14年12月、「通常生じうる範囲を超える危険までは引き受けていない」と指摘。
相手選手に約9700万円の支払いを命じている。
プロ、アマを問わず、激しい動きを伴うスポーツでは、接触プレーでけがを負うことも珍しくない。
スポーツ事故などに詳しい望月浩一郎弁護士は、「避けられない身体接触による負傷については、相互に法的責任を負わないという合意がある」と語る。
その前提で、「かみつきなど、ルール上許されない行為で法的責任を負うのは当然。今回のサッカーの訴訟の場合、一審判決は退場処分に相当する行為だったと認定した以上、賠償責任を認めたのは妥当な判断だ」と話している。
スポーツを巡る訴訟に詳しい片岡理恵子弁護士は、「中学生や高校生からプロ選手など、年齢やレベルを巡って許される行為の範囲は違い、判決にもぶれがある。これまでの判例を見ると、重いけがの場合は考慮される傾向にあるのではないか」とみている。
出典
『サッカーでけが、賠償命令の波紋 協会は「提訴禁止」』
http://www.asahi.com/articles/ASK5K1V7HK5KUTQP001.html
2017年5月5日8時39分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月4日2時42分に日テレNEWS24からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午後3時40分頃、那覇市の沖縄県立高校のグラウンドで、陸上部の部活動で槍投げの練習をしていた2年生の男子部員(16)の投げた槍(長さ約2m)が、前方にいた同部1年の女子生徒(15)の左太腿に刺さった。
ケガの程度は軽く、病院で治療後に帰宅した。
警察が原因を調べている。
発表によると、槍は女子生徒の左太腿の内側を貫通していた。
男子生徒は、女子生徒から約20m離れた場所で練習をしていたという。
出典
『やり投げ練習中、高1女子を直撃…太もも貫通』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170505-OYT1T50003.html
『陸上部のやり、女子部員の足を貫通 沖縄』
http://www.news24.jp/articles/2017/05/04/07360581.html
(ブログ者コメント)
槍投げ練習中の事故は過去にも起きている。
2014年8月2日掲載
[昔の事例] 2014年5月7日 兵庫県尼崎市の高校のグラウンドで陸上部員の投げた槍がサッカー部員の脚に当たり数針縫うけが
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4149/
2012年7月22日掲載
2012年7月16日 福山市の大学で陸上部員の投げた槍が着地予定地そばを通っていた女子高生のこめかみに刺さり重傷 (修正2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2061/
(2017年7月23日 修正1 ;差し替え)
2017年6月5日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の詳しい記事が図解付きでネット配信されていたので、先に紹介していた5月2日の朝日新聞記事と差し替えた。
体育の水泳の授業で、学校のプールに飛び込んだ児童・生徒が首の骨を折るなどの事故が近年相次いでいる。
プール開きを前にスポーツ庁は、4月、全国の小中学校と高校に再発防止の徹底を求める通知を出した。
小中学校の学習指導要領は、授業中の飛び込みを認めていない。
事故を受け、高校でも全面禁止にする動きが広がっているが、禁止に懐疑的な意見もあり、都道府県教委の対応はばらついている。
スポーツ庁の通知は4月28日に出された。
例年、設備の点検など事故防止策の徹底や、指導上の注意などを通知で周知している。
しかし、今年度は「スタートの指導での留意点」と題した別紙で、初心者と熟練者にそれぞれ見られる危険な飛び込みの例をイラストで示し、「あごを引きすぎる」「腰が大きく曲がる」などと原因を詳しく説明した。
【11年間で36件発生】
日本スポーツ振興センターによると、2005~15年度に小中高の授業や部活などでプールに飛び込み、障害が残るけがをした事故は、少なくとも36件ある。
今回、スポーツ庁が改めて通知で注意を呼びかけたのは、昨年度、通常と異なる指導が原因の事故が相次いだためだ。
昨年7月、鳥取県湯梨浜町の町立小学校で、6年の女子児童が地域の水泳大会に向けて放課後の課外授業で練習中、プールの底で頭を打ち、頸椎捻挫の重傷を負った。
スタートの練習で、水面に浮かべたフラフープを目がけて飛び込んだという。
【小中、授業では禁止】
小中学校の学習指導要領は、水中からのスタートを指導するよう明記し、飛び込みを認めていない。
部活動や課外授業は指導要領の適用外だが、今回の通知では、高校の授業と同じように、個人の能力に応じて段階的に指導するよう求めた。
東京都江東区の都立高校でも昨年7月、3年の男子生徒がプールの底に頭をぶつけて首の骨を折った。
水泳の授業中、保健体育の教諭が、プールサイドから約1mの高さに掲げたデッキブラシの柄を越えて飛び込むよう指示し、生徒は従った。
施設の不備が原因となったケースもある。
12年8月、奈良県橿原市の県立高校で、水泳部の練習に参加した卒業生の女性が、水深1.06mのプールに37cmの高さがあるプールの端から飛び込み、頭を打って頸髄を損傷し、重度の障害が残った。
日本水泳連盟のガイドラインは、安全なスタートとして、水深が1~1.1mの場合は、スタート台の高さを20~30cmにするよう求めている。
女性は、重い障害が残ったとして県に損害賠償を求めて提訴し昨年10月、大阪高裁で、県が女性に1億円を支払うことで和解が成立した。
【対応割れる高校】
事故があった都道府県では、再発防止のため、飛び込みを原則禁止する通知を出している。
小学校で事故が起きた鳥取県教委は、今年5月に、公立小の授業での飛び込みを禁止した。
高校で起きた奈良県、東京都、長野県の教育委員会も、高校の授業での飛び込みを原則禁止とした。
一方で、事故を受けて禁止したものの、解除した例もある。
福島県教委は08年6月、会津美里町の県立高校で1年の男子生徒が死亡した事故を受け、同年7月に県立高での飛び込みを全面禁止した。
その後、プールのある70校のうち、日本水泳連盟のガイドラインに適合していない58校のスタート台を撤去し、10年度に飛び込みを再び認めたが、事故の報告はないという。
スポーツ庁は、「段階的な指導」をするよう求めている高校について、実際にどのように指導をしているのか、近く全国調査をする。
水深やスタート台の高さなどの設備面も含めた調査結果を基に、規制の是非を判断する。
「全面禁止 もやしっ子生む」 「質の高い教員確保が優先」
飛び込み禁止を巡っては、さまざまな意見がある。
今年3月には、1988年ソウル五輪競泳男子100m背泳ぎ金メダリストの鈴木大地・スポーツ庁長官が東京新聞のインタビューで、高校での全面禁止に疑問を呈し、物議を醸した。
鈴木長官はインタビューの中で、相次ぐ事故について「水深が浅く、プールの構造上の問題があった。飛び込みを思い切りできる環境や指導者の資質整備が大事」と指摘した。
その上で、高校でも禁止が広がる現状について「なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子を育てあげていくのはどうかなと思う」と述べた。
これに対し、ツイッターなどで「現実的に安全に飛び込みができる環境にない」「飛び込みができることと、もやしっ子は関係ない」などの意見が投稿された。
水泳競技の普及を目指す日本水泳連盟の立場も複雑だ。
石井事務局長は、「鈴木長官の発言もあり、何か行動に移さなければいけないのは分かっている。まずは指導者のレベルを把握することから始めたい」としている。
校内での事故のリスクに詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は、「質の高い教員のもとで正しく飛び込めば事故は起きないが、そうした教員や生徒が全員ではない以上、事故は起きてしまう。水深が十分に確保されたプールを除き、暫定的に全面禁止すべきだ」と警鐘を鳴らしている。
【プールでの主な飛び込み事故】
出典
『教育の窓 プールの事故防げるか 飛び込み指導、スポーツ庁通知』
https://mainichi.jp/articles/20170605/ddm/013/100/062000c
(ブログ者コメント)
学校プールにおける飛び込み時の事故は、本ブログでも過去に何件か紹介済。
2017年4月13日に掲載した第2報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6991/
(2017年5月6日 修正3 ;追記)
2017年4月27日17時0分にNHK栃木から、7年前の崩落後も訓練内容が見直されることはなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7年前の登山訓練の講習会で生徒を引率していた教員が、当時の状況を初めて証言した。
その時の状況について、この教員は、「無線を通じて『雪崩があった』と連絡があり、緊迫した状況になった。けが人はいなかったが、10人ほどの生徒が巻き込まれ、顔まで雪に埋まった生徒がいたり、ピッケルなどの装備が流されたりした」と話した。
また、その後の対応について、「教員どうしで集まって、雪崩があったという報告と、注意喚起が行われた。参加した生徒たちにも、雪崩に気をつけようと改めて注意した」と話した。
しかし、事故の報告は県の教育委員会には行われず、翌年以降の講習会の内容や開催場所は、特に見直されなかった。
男性は、「県の教育委員会への報告は、責任者の教員が行ったと思っていた」と述べた。
県が設置した事故の検証委員会は、過去の事故の教訓が生かされていないとみて、報告や引き継ぎが十分だったのか調べることにしている。
出典
『登山講習7年前の雪崩後変更せず』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096070291.html
2017年4月27日17時0分にNHK栃木からは、事故時の詳細な経緯について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4月27日付で毎日新聞東京版朝刊からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
雪崩事故が起きるまで、どのような経緯があったのか、県による教員への聞き取り調査や生徒などへの独自の取材で、詳細が明らかになった。
3月27日は、午前中に茶臼岳への登山を行う予定だった。
しかし、当日の朝5時ごろ教員らが起床した際、15cmほどの積雪を確認。
午前6時から6時半の間に、登山経験が豊富な3人の教員が話し合って登山を中止し、かわりに雪をかき分けて進むラッセル訓練を行うことを決めた。
教員の1人は、安全と判断した根拠として、「風が弱く、15cmほどの積雪で、樹林帯の尾根なら雪崩の危険はないと思った」と話している。
そして、午前7時半に集合し、訓練の実施を決めた教員3人が、ほかの教員に、ラッセル訓練への変更や雪崩の危険箇所などを説明した。
訓練を周知された時の状況について、複数の生徒や教員はNHKの取材に対し、「朝の段階で積雪もかなりあり、本当にやるのかという声もあがっていた」と証言している。
そして、午前8時前には、5つの班に分かれて訓練が始まった。
この際、教員は生徒たちに、雪崩の危険箇所には近づかないよう説明したという。
先頭の1班は、大田原高校の生徒12人と教員2人の、あわせて14人で、ゲレンデのふもとから尾根の方向に登り始めた。
2班以降も、続々と出発した。
1班は、後続の班と徐々に距離を離し、30分ほどで尾根に到達し、一度休憩をとった。
その際、引率教員の1人は、雪崩の危険性を調べるため、生徒らに雪を掘らせて、雪の層にゆるみがないか状態を確認させたと、県の調査に対して答えている。
その後、1班は樹林帯を抜け、樹木がまばらなところに到達する。
教員の1人は、「視界は、前方からふもとまでよく見えた。風もほとんどなかった」と証言している。
教員の1人は、県の調査に対し、斜面が急になることなどから、引き返すかどうか考えたタイミングが2回あったと答えている。
このとき生徒からは、「天狗の岩」と呼ばれる岩まで進みたいという声があがり、教員は、雪の状態や天候から大丈夫だろうと判断し、岩まで行って引き返すことにしたという。
その直後、午前8時半ごろに雪崩が発生。
1、2班に加え、1班から100mほど後方に、ほぼ一緒にいた3、4班も雪崩に巻き込まれた。
「7、8m流された」と証言している3、4班の教諭もおり、全員が互いに助け合うなどして脱出したという。
中には、2mほど雪に埋まった生徒もいた。
各班を引率していた教員は、本部となっているふもとの旅館に無線で何度も呼びかけたが、応答がなく、5班の教員が旅館までおりて、警察に通報した。
現場にいた教諭や高校生は、スマートフォンを持っていたものの、「寒さで作動しなかった」と話しているという。
今回の事故で、犠牲者が出た班を引率していた教員の1人が「途中で引き返そうと考えたが、天候の状況から進めると判断した」と話していることについて、自然体験での安全管理に詳しい静岡大学の村越真教授は、「部活動は正規の教育活動ではないが、引率する以上、教員には子どもの安全を守る義務があり、そこで止めるべきだった」と話している。
一方、現場で生徒から「上に見える岩まで進みたい」という声が出ていたことについては、「学校教育では、達成感や努力で得られる喜びを重視するため、生徒から『上に行きたい』という声が出たその時に、無理やり止めるのは難しい」と指摘したうえで、「雪崩の危険は、斜面の傾斜や雪の量からある程度判断できるので、あらかじめ『ここまでで帰る』というラインを設定しておく必要があったのではないか」としている。
・・・・・・
出典
『雪崩1か月 詳細な経緯明らかに』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/1096070301.html
『栃木・那須の雪崩 訓練目的地で発生 教諭ら「視界悪くなかった」』
http://mainichi.jp/articles/20170427/ddm/041/040/105000c
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
4月29日14時7分に読売新聞からは、2班は引き返すことを決めて戻り始めた時に雪崩に遭ったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ラッセル訓練中、県立真岡高校の生徒らの2班の引率教諭が、風の異変に気づき訓練を中止して戻る判断をしたと県教育委員会に話したことが、学校関係者への取材で分かった。
各班がどのコースを進むかは、それぞれの引率教諭が決めていた。
2班は、1年生5人、2年生3人、引率教諭1人の計9人。
県立大田原高校の1班より、やや北側の斜面で訓練を行っていた。
複数の関係者によると、2班を引率していた教諭は、県教委の聞き取り調査に対し、「風が嫌な感じになっているから訓練を打ち切り、引き返すことを決めた。戻り始めたとき、雪崩に巻き込まれた」と話したという。
もっとも、聞き取り調査に対し、「風はそれほど強くなかった」などと話す参加者もいるため、県教委は引き続き、当時の状況把握に努めている。
出典
『雪崩事故、2班は「嫌な風感じ」訓練中止の判断』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170428-OYT1T50054.html
4月27日10時45分に産経新聞からは、地元関係者は雪崩危険のある場所だと知っていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
雪崩事故の現場について、地元関係者の間では、もともと雪崩が起きやすい場所と指摘する声が多い。
専門家が注目する当日の気象条件に加え、場所としても警戒区域と認識されていたことが分かった。
地元関係者は、「何であそこに行ったんだ」と口をそろえる。
那須温泉ファミリースキー場もよく利用していたというスキーヤーの男性は、「那須温泉ファミリースキー場付近で雪崩といったら、あの辺りしかない。場所はすぐ想像できた」。
地元猟友会に加盟している70代男性も、「あの場所は雪崩が発生するところで、みんな知っていた。今は鳥獣保護区だが、昔はウサギが多く、猟も行われていた。ただ、春先は雪崩が多く、誰も足を踏み入れなかったらしい」と話す。
那須山岳救助隊の大高隊長(88)は、事故防止策について「立ち入り禁止しかない」と苦渋の表情。
「春先には、毎年、大小は別にして表層雪崩が起きている。あんなところは入るルートじゃない」と語った。
出典
『地元関係者ら、口々に危険性指摘 「何であそこに行ったのか…」』
http://www.sankei.com/affairs/news/170427/afr1704270008-n1.html
(2017年5月31日 修正4 ;追記)
2017年5月27日付で下野新聞から、訓練実施の判断経緯について、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
捜査関係者によると、3人は「ゲレンデの中で訓練を行おうと話し合った」などと供述しているという。
班を引率した副委員長、前委員長は「自分の判断で樹林帯を登り始めた。本部には連絡しなかった」などと説明。
現委員長は本部に残っていた。
樹林帯を抜けた斜面で副委員長は「危ないので戻ろうとした」とも説明しているというが、最終的にはさらに上部へ登り始め、雪崩が直撃したことを認めているという。
出典
『8人死亡那須雪崩事故 「現場判断で樹林帯へ」 栃木県警に責任者ら3人供述 発生から2カ月』
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20170527/2703499
2017年5月28日22時50分に産経新聞からは、地元の隊長に指示を仰がなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
犠牲者の出た班の引率教員が、危険を感じても地元の山岳救助隊長に助言を求めずに急斜面を登っていたことが28日、遺族への取材で分かった。
講習会では以前、天候が変化した際などは同隊長の指示を仰いでいたという。
遺族によると、県高等学校体育連盟登山専門部が同日、大田原高で開いた遺族や被害者への説明会で、引率教員が明らかにした。
理由について「隊長が高齢で現場に来るのが難しくなったため」などと話した。
この教員は登山歴が長いベテラン。
「(雪崩が起きた急斜面は)危ないと思ったが、生徒の意向も聞き、登ることを決めた。積雪は約15cmで、天候も晴れていたため大丈夫だと思った」と説明したという。
出典
『引率教員は危険感じても助言求めず 那須、雪崩起きた斜面で』
http://www.sankei.com/affairs/news/170528/afr1705280019-n1.html
(2017年6月2日 修正5 ;追記)
2017年6月1日付で毎日新聞東京版から、足元の雪面に亀裂が入って流されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大田原高関係者によると、1班の複数の生徒は「前に(雪面の)亀裂が見えて、そこから流された」「足元あたりから崩れた」などと証言しているという。
雪崩の専門家であるアルプス雪崩研究所の若林隆三所長は、「樹木の少ない急斜面で、たくさんの人が衝撃を与えれば雪崩が起きる可能性は十分にある。衝撃が伝わり、ガラスのひび割れのように雪面にひびが入ったのではないか」と説明している。
密集した状態でラッセル訓練を実施したことで、降り固まった古い雪の上の新雪が崩れる「表層雪崩」を誘発した可能性がある。
出典
『栃木・那須の雪崩 「足元の雪面に亀裂」 生徒証言 訓練強行で誘発か』
https://mainichi.jp/articles/20170601/ddm/041/040/122000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。