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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2018112130分に東洋経済オンラインから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

愛知県豊橋市内にある日本車輌製造(日車)豊川製作所。

今から5年前、N700系新幹線や東京メトロ銀座線、名古屋市営地下鉄鶴舞線といった国内向け車両に混じって、見慣れない先頭形状の車両が製造されていた。

 

白地に赤く彩られた車両は、台湾鉄路管理局(台鉄)向けの特急列車「プユマ号」に使われるTEMU2000型。

豊川製作所は2012年から2015年にかけて152両を製造した。

 

作業員がほぼ完成したTEMU2000型の運転席をくまなくチェックしている。

車両の上には、「品質こそ生命、一作業・一清掃の徹底」という看板が掲げられていた。

 

そのスローガンは、かけ声倒れだった・・・。

 

 

【台鉄がチェックしているはず】

 

10月21日に台湾で起きたプユマ号の脱線事故は、18人が命を落とす大惨事となった。

運転士によるスピードの出し過ぎが事故の原因とみられているが、車両の安全装置「自動列車防護装置(ATP)」に設計ミスがあったことを11月1日、日車が発表した。

 

ATPには、指示された速度を超えた場合に列車を停止させる機能がある。

 

運転士がATPを切ると、その情報は自動的に運行指令所に伝えられる。

日車は「ATP自体には問題がない」としながらも、「設計ミスで配線の接続が仕様書と一部異なり、指令所に情報を伝える機能が働かなかった」と説明する。

 

通常は、車両が完成してから鉄道会社に納入するまでに、車両が仕様書どおり造られているかどうか、入念なチェックが行われる。

 

しかし日車によれば、TEMU2000型は、ATPを切った際に指令所に情報が伝えられるかどうかのチェックは行われなかったという。

 

「台鉄の指令所に情報が伝えられるかどうかのチェックは、日本ではできない。このチェックは納車後、台鉄が行っているものと考えていた」と日車の担当者は語る。

 

作業手順のミスではなく、設計ミスであるため、日車製TEMU2000型の全編成について、今後、再整備が必要になる。

この点について日車は、「台鉄と相談しながら進めたい」としている。

 

報道によると、21日の脱線事故では、運転士は指令所の同意を得て事故が起きる30分前にATPを切ったと証言しているが、台鉄は「報告は受けていない」として、食い違いが見られる。

 

今回の設計ミスが事故の直接的な原因という可能性は低そうだが、もしATPを切った情報が指令所に伝えられていれば、速度超過に対して、より早い対応が取れていたかもしれない。

 


最近になって、車両製造時の不備による車両トラブルが頻発している。

 

2017年12月11日に起きた新幹線「のぞみ34号」の台車亀裂トラブルは、車両を製造した川崎重工業の製造ミスが原因だった。

 

日立製作所は今年10月16日夜、イギリス向け高速列車「クラス802」が、現地での試験走行時に架線を引っかけて切断し、翌日の運行ダイヤが大混乱をきたした。

 

くしくも昨年の同じ10月16日には、やはり日立製の高速車両が、運転初日の一番列車で、空調トラブルにより天井から水が流れ落ちるという失態を招いている。

 

国内では新規開業路線がほとんどなく、車両製造は更新需要くらいしか期待できない。

どの車両メーカーも、今後の成長市場として、海外に目を向けている。

 

しかし、「海外向けの車両製造はリスクが大きくて、割に合わない」と、ある鉄道メーカーの幹部は指摘する。

 

日本とは安全基準が異なるため、車両開発費がかさむ。

日本向け車両の知見が役に立たず、当初見込みよりも作業工程が増える可能性がある。

 

現地生産の場合は、鉄道技術に精通した作業員が不足している。

そして、為替リスクも忘れてはいけない。

 

計画どおり完成すれば利益を得られるが、少しでもリスクが露呈すると、すぐに赤字案件になるという。

 

 

【川重は最終赤字に転落】

 

川崎重工業は、10月30日に発表した2018年第2四半期の決算で、最終赤字に転落した。

2019年3月期の連結純利益業績見通しも、当初予想を160億円下回る310億円となった。

 

その原因は、川重が得意とするはずの北米向けの鉄道車両。

ワシントンDCの地下鉄車両では配線の施工不良が発生し、改修費用などで、当初計画から営業利益が50億円悪化。

ロングアイランド鉄道向け車両では、資材費の増加などで、同じく営業利益が85億円悪化している。

 

同社では、社長をトップとする「車両事業再建委員会」を設置して再建に取り組むが、事業撤退も視野に入れているという。

 

日車は、2016年に、総額3.5億ドルというアメリカ向け大型鉄道案件が車両強度テストをクリアできず、期限までに車両を納めることができなかった。

このため、多額の違約金を支払うとともに、鳴り物入りで開設したイリノイ州の工場が閉鎖に追い込まれている。

 

川重も日車も、海外展開の歴史は古い。

最近になってトラブルが頻発している理由について、「以前とは違う車両製造にチャレンジしたことが、結果的にはこうした結果を招いた」(日車)としている。

 

これ以上、トラブルが続けば、日本製車両の「安全神話」が揺らぎかねない。

 

出典

『台湾脱線車両「設計ミス」、海外で相次ぐ失態  鉄道メーカー大手各社、揺らぐ安全神話』

https://toyokeizai.net/articles/-/247133 

 

 

1111937分に朝日新聞からは、台湾での事故に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

日本車両製造によると、事故から2日後の10月23日、運行する台湾鉄道から、安全装置を切った際に自動的に指令に連絡が入る機能についての調査要請があった。

 

調査の結果、同29日に、設計担当者のミスで配線の接続が仕様書と一部異なり、この機能が働かなかったことが判明した。

 

10月21日に発生した事故は、列車が高速のままカーブに進入して脱線し、200人以上が死傷した。


運転士は台湾検察の調べに、事故が起きる約30分前に安全装置を自分で切ったことを認めている。

車両の動力などにトラブルがあったとしており、無理に運行を続けようとして装置を切った疑いが出ている。

 

台湾行政院(内閣)の調査チームは、無線記録などから、指令員は運転士とのやり取りを通して、事故の約3分前には装置が切れていたことを知っていたとみているが、設計ミスがなければ、より早い段階で事態を把握できた可能性がある。

 

台湾当局は、安全装置の運用に加え、なぜ車両にトラブルが発生したにもかかわらず運行を続けたのかなど、原因を幅広く調べている。

 

出典

台湾脱線事故の車両に設計ミス 製造元の日本企業が発表

https://www.asahi.com/articles/ASLC15DSNLC1OIPE023.html

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

各種設備やシステムが設計通りに機能するか、営業運転前に念入りにチェックしていたはずだが、現地でなければできないチェックが漏れていた模様。

 

現地でなければできないチェック項目の処遇は、どのように取り決めていたのだろうか?

たとえば、発注者側がチェックするとか、製造元が現地に赴いてチェックするとか・・・・。

 

それとも、そういった取り決め自体が抜けていたのだろうか?







 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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