2018年10月31日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海洋汚染が深刻化しているマイクロプラスチックが世界各地の塩から見つかったと、韓国・仁川大と環境保護団体グリーンピースのチームが発表した。
21の国・地域から集めた39種のうち9割から検出され、アジアの国で含有量が多い傾向にあった。
日本の塩は調査対象外。
これまでに各地の水道水や魚介類などからの検出も報告されており、世界で食卓の微小プラスチック汚染が進んでいる恐れがある。
チームは、「健康と環境のため、企業は率先して使い捨てプラスチック製品の製造や使用を減らす努力をすべきだ」と強調した。
大きさ5mm以下のマイクロプラスチックは海などに大量に存在し、表面に有害物質などを吸着する性質がある。
人の健康への影響は詳しく分かっていないが、日本や欧州など8カ国の人の便からも見つかっている。
チームは、米国や中国、オーストラリア、ブラジルなど21の国・地域の海塩や岩塩、塩湖の塩計39種を調べ、36種からマイクロプラスチックを検出した。
塩1kg当たりに含まれる数は、インドネシアの海塩が突出して多く、約1万3600個だった。
台湾の海塩の約1700個、中国の海塩の約700個と続き、上位10種のうち9種をアジアが占めた。
チームは、プラスチックごみの海への流出がアジアで多いのが要因とみている。
一方、台湾の海塩は、種類によってはマイクロプラスチックがなかった。
フランスの海塩と中国の岩塩も検出されなかった。
出典
『プラスチック危機 世界の塩9割にプラ片 日本対象外 アジア、含有量多く』
https://mainichi.jp/articles/20181031/dde/007/040/029000c
ちょっと前、10月11日7時10分にYAHOOニュース(NATIONAL GEOGRAPHIC)からは、より詳しい下記趣旨の記事がネット配信されていた。
数年前、海塩からマイクロプラスチックが初めて見つかった。
しかし、調味料として身近な塩にプラスチック微粒子がどのくらい含まれているかについては、分かっていなかった。
新たな研究で、世界の食塩の9割にマイクロプラスチックが含まれているというショッキングな結果が報告された。
この研究は、韓国の研究者グループと環境保護団体「グリーンピース東アジア」の合同チームが、塩に関する既存研究を活用してまとめたものだ。
食塩に含まれるマイクロプラスチックが地理的にどう広がっているか、プラスチック汚染が起きている場所とどんな相関関係があるのかについて世界規模で調査した研究は、これが初めてだ。
その分析によると、調査対象となった食塩39品目のうち、36品目でマイクロプラスチックが検出された。
韓国、仁川大学の海洋科学教授キム・スンギュ氏は、「海産物経由で摂取したマイクロプラスチックの量と、同じ地域から排出されたマイクロプラスチック量には、強い相関関係があると考えられます」と話す。
分析対象となったのは、欧州、北米、南米、アフリカ、アジアの合計21の国と地域から集めた塩のサンプル。
そのうち、台湾(精製海塩)、中国(精製岩塩)、フランス(天日製塩による無精製海塩)の3品目のみが、マイクロプラスチックを含んでいなかった。
この研究成果は、「Environmental Science & Technology」誌に掲載された。
マイクロプラスチックが含まれている割合は、地域ごとにも違いがあった。
密度が高かったのがアジア産の塩で、インドネシアで販売されたものが、一番、マイクロプラスチックを含んでいた。
アジアはプラスチック汚染が進んでおり、中でも5万4720kmの海岸線を持つインドネシアは、2015年の別の研究でも、世界で2番目にプラスチック汚染がひどい国とされた。
生産された場所別に見ると、マイクロプラスチックの含有レベルが一番高いのが海塩だ。
以下、湖塩、岩塩の順になる。
近年、塩に関しては、スペイン、中国、米国の各チームと、フランス・英国・マレーシアの合同チームによって、4つの研究が発表されていた。
今回の研究は、こうした流れから生まれた最新の成果だ。
米ニューヨーク州立大学フレドニア校のシェリ・メイソン教授は、今回の発見により、マイクロプラスチックの影響を評価する手段が「1つ増えた」と話す。
同教授は、過去、米ミネソタ大学の研究者グループと塩を研究している。
「アジアの塩にマイクロプラスチックの量が多く含まれていたという事実は興味深いですね。以前の研究でも、これらの国で販売されている塩製品にはマイクロプラスチックが含まれていることは知られていましたが、どの程度かまでは分かっていませんでした」
メイソン氏は、次のようにも述べている。
「マイクロプラスチックが世界中に存在することを、研究は示していま
す。英国で塩を買えば安全、というような単純な問題ではありませ
ん」
【体への影響は?】
今回の研究では、平均的な成人が食塩を通して1年間に摂取するマイクロプラスチックは約2000個だと推定している。
ただ、マイクロプラスチックの摂取が人体にどのような影響を与えるかは不明だ。
先日発表された、英ヨーク大学によるマイクロプラスチックによる環境リスク評価の研究によれば、マイクロプラスチックが人体に害であると判断する十分な知識はまだ得られていないという。
研究の共著者の1人、ヨーク大学の地理学教授アリスター・ボクソール氏は、「既存の320の研究を確認して、マイクロプラスチックの影響についての科学的理解には知識上の大きなギャップがあることが分かった」という。
研究対象となっているマイクロプラスチックも、マイクロビーズ、プラスチック片、合成繊維と異なるため、比較できないものを比較する事態が起きているという。
「私たちの分析では、マイクロプラスチックが健康に大きな害を引き起こすと言える証拠は限られています。それでも、厳密で包括的な調査が急がれます。環境中に存在するプラスチック粒子のサイズや材質について、実際の影響を研究する必要があります」
なお、この研究は米国の業界団体「パーソナルケア製品評議会」の支援によるもので、「Environmental Toxicology and Chemistry」誌に掲載されている。
ボクソール氏はさらに、マイクロプラスチックへの関心が高まることで、タイヤの粉塵など、よりたちの悪い環境汚染問題への関心が薄れてしまうかもしれないと付け加えた。
出典
『9割の食塩からマイクロプラスチックを検出』
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181022-00010000-nknatiogeo-env
(ブログ者コメント)
先日、人間の便からマイクロプラスチックが検出されたという情報を紹介したが、その原因の一つが塩だとすれば、人体への取り込みを防ぐのは、かなり難しそうだ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。