2018年6月8日21時53分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉大学病院(千葉市中央区)は8日、30~80代の男女9人の患者について、CT検査画像診断の報告内容を医師が見落とすなどしたため、がんの診断が最大約4年遅れ、4人の治療に影響があり、2人が腎臓や肺のがんで亡くなったと発表した。
別の2人は現在も治療を継続。
このうち1人の男性患者が昨年7月に受診した際、がんの疑いが見落とされていたことが発覚し、病院が調査していた。
病院によると、亡くなった2人は70代男性と60代女性。
70代男性は、2016年1月に皮膚がんの疑いで画像検査を受け、放射線診断の専門医が画像診断報告書で肺がんの疑いを指摘したが、担当医は報告書を十分確認しなかった。
男性は昨年4月に皮膚科で画像検査を受けて肺がんが分かったが、同年6月に亡くなった。
病院側は、「(16年の時点で)治療していれば、選択肢の幅が広がったと言える」とした。
また、60代女性は13年6月、腸の病気の経過観察でCTの画像診断を受け、報告書で腎がんが疑われると指摘されたが、担当医が十分確認していなかった。
4年後の昨年10月に、別の診療科で撮影したCT画像で腎がんが確認されたが、同年12月に亡くなったという。
病院側は、「(13年の時点で)治療していれば、その後の経過に大きな違いがあった」としている。
昨年7月、50代男性が肺がんの疑いで呼吸器内科を受診した際、約1年前に受けていた頭頸(とうけい)部のがんを確認するCT検査の報告書を医師が確認したところ、すでに肺がんの疑いが指摘されていたことが発覚。
放射線診断の専門医が報告書を提出していたのに、診療科の医師が専門領域の頭頸部だけに注目しており、肺がんについては確認不足だったことがわかったという。
その後の調査で、亡くなった2人を含む8件について、画像診断の確認不足が判明した。
病院が設けた外部調査委員会は、
▽放射線診断専門医は報告書を提出したが、診療科の医師が自分の専門領域のみに注目した
▽報告書の作成が遅れ、診療科の医師が確認しなかった
などが原因と指摘した。
病院は、再発防止策として、
▽7月に画像診断センターを新設して、放射線診断専門医を5人増やす
▽画像診断報告書を主治医が患者と一緒に確認する
ことなどを実施すると説明している。
山本病院長は記者会見で、「患者、ご家族の皆さまには多大なご負担とご心痛をおかけし、誠に申し訳ありません」と謝罪した。
医療機関での予期せぬ死亡事故の原因を調べて再発防止につなげるため、15年10月に始まった「医療事故調査制度」に基づき、第三者機関「医療事故調査・支援センター」に届け出るという。
医療安全が専門の長尾能雅・名古屋大教授は、「他の病院でも多く発生している問題だと推測される。画像診断報告書を一定期間見ていなければ電子カルテで警告する仕組みに加え、主治医と患者が一緒に確認することなどで警告を補う別の対策も必要だ」と話す。
出典
『CT報告「がん疑い」、担当医見落とす 千葉大2人死亡』
6月8日17時27分にNHK千葉からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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60代の女性は平成25年6月に、腸の病気の経過観察のためCT検査を受けた。
その際、画像診断を行った放射線の専門医が腎臓がんの疑いがあると報告書で指摘していたが、主治医らが見落としていたという。
そして、4年余りが経過した去年10月になって、改めてCT検査をした結果、腎臓がんが進行していることが分かり、女性は12月に死亡した。
70代の男性は、おととし1月に、皮膚の悪性腫瘍の疑いがあるとして、ほかの病院で受けた検査の結果を千葉大学附属病院に持参した。
その中で、肺がんの兆候があると指摘されていたにもかかわらず、主治医は問診などを行っただけで、十分な確認を行わなかったという。
その後、去年4月になって皮膚科でCT検査を行ったところ、肺がんが進行していることが分かり、男性は2か月後に死亡した。
画像診断に関する検査結果の見落としは各地の医療機関で相次いでいて、厚労省は去年11月、全国の医療機関に対して注意を促した。
具体的には、治療方針を決める主治医と画像診断を行った医師の間での連携不足を防ぐため、主治医が画像診断を行った医師に診断内容を確認することを求めている。
また、患者に対してその内容を説明することも求めた。
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出典
『CT検査見落とし2人死亡千葉大』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20180608/1080002423.html
6月8日14時25分にNHK首都圏からは、画像診断の流れなどに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉大学医学部附属病院では、患者の画像診断や検査結果の報告は、次のような流れで行われていた。
まず、診療科の医師が放射線診断の専門医と検査の担当者に、それぞれ画像診断を依頼する。
依頼を受けて検査の担当者は、撮影した画像データを診療科の医師と放射線診断の専門医の両方に送る。
そして診療科の医師は、みずからの目で画像データを確認するとともに、放射線診断の専門医が作成した診断結果の報告書も参考にして、今後の治療方針を決めていた。
この流れの中でミスが起きた原因として、外部調査委員会は4点を指摘している。
①そもそも、診療科の医師が画像診断を依頼しなかったケース
②診療科の医師が、放射線診断の専門医から提出された報告書について自分の専門領域だけに注目し、それ以外の所見を見落としたケース
③放射線診断の専門医による報告書の作成が遅れ、結果的に診療科の医師が確認しなかったケース
④放射線診断の専門医が報告書を作成しなかったケース
こうしたミスの再発を防ぐため、病院側は業務の流れを見直し、画像診断の体制を強化するとしている。
具体的には、来月1日付けで「画像診断センター」という組織を設け、放射線診断の専門医の人数を増やしていく。
また、放射線診断の専門医が作成した報告書の内容を患者も一緒に確認する仕組みを作るとしている。
さらに、来年1月にシステムを更新して、診療科の医師による報告書の確認状況の記録や管理を徹底するとしている。
出典
『画像診断の流れとミスの原因』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180608/0012788.html
(2/2に続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。