2021年5月3日7時0分にYAHOOニュース(AERA dot)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新型コロナウイルス感染症の流行が続いており、医療機関でも定期的にクラスター(集団感染)が発生しています。
しかし、歯科医院でクラスターが発生したという話は、ほとんど聞きません。
歯科の治療では患者が口を開け、唾液(だえき)の飛沫も飛ぶはずですが、なぜ?
大阪府の吉村洋文知事も同じ疑問を持ったようで、「大阪には5500もの歯科医院があるが、クラスター発生はゼロ(中略)、是非分析してもらいたい」(注)と今年1月にツイートしています。
そこで、歯科医院の院長でもある、歯周病専門医の若林健史歯科医師にその理由を分析してもらいました。
* * *
吉村洋文知事のツイートは、歯科医師仲間から聞き、私もリアルタイムで読みました。
確かに、全国において歯科医院でクラスターが発生したという報告はありません(編集部注:2021年4月29日に富山県で発生)。
歯科医院のスタッフがコロナに感染した例はいくつかありますが、会食などのイベント、あるいは家族からの感染です。
では、なぜ歯科医院ではクラスターが発生しないのでしょうか?
それは「歯科は『不要不急』なのか? 新しい生活様式に求められる歯科治療とは」(2020年6月1日掲載)でもお話ししたように、やはり、コロナ前から徹底した感染対策が講じられているからだと思います。
歯科の治療は患者さんの口の中での操作です。
エアタービンで歯を削ったり、歯を抜いたりと、外科的な処置が中心です。
処置をする際に唾液だけでなく、血液が飛ぶことも珍しくありません。
唾液や血液を介して感染する病気はコロナ以外にもたくさんあります。
しっかり対策をしないと、歯科医師が病気に感染してしまう上に、治療器具などを介してほかの患者さんに病気がうつってしまいます。
これは非常に怖いことですね。
そのようなことにならないよう、関連学会や厚生労働省から、きびしい感染対策を実施することが求められ、多くの歯科医院はこれを順守しているのです。
わかりやすくいうと、歯科では感染対策をきちんとしなければ、コロナの患者さんが来たことで、あっという間に感染が広がる可能性大ですが、きちんとしていれば、リスクは限りなくゼロに近いといえます。
実は、かつての歯科医院は、もっとゆるい対策でやっていました。
今では信じられないことですが、手袋はせず、素手で患者さんの口の中を処置していました。
処置をするたびに洗浄・消毒はしていましたが、抜歯などでは手が血だらけになることもありました。
それが1983年、エイズ(AIDS)の原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)が発見されたことで、大きく変わったのです。
当時、エイズは原因不明で、死に至る病気と話題になっていましたが、その病気の原因ウイルスの感染ルートの一つが血液と判明し、歯科医師たちも「これはまずい」となりました。
また、同じ頃、血液を介してB型肝炎に感染する歯科医師が増えてきました。
多くはむし歯の治療や抜歯時などの麻酔注射による針刺し事故で、これを機に、感染対策が一挙に強化されたのです。
なお、さらにコロナの問題から昨年、ガイドラインが強化され、歯科医院はこれまで以上に感染防止対策を励行しています。
では、具体的にどのような対策がとられているのでしょうか。
すべてを伝えると膨大になってしまうのでポイントをお話しすると、まずは歯科医師がマスクをし、飛沫を防御していることだと思います。
今は医師も当たり前のようにつけていますが、コロナ前からマスクをしているのは歯科医師くらいのものでしょう。
最近は、さらにマスクの上からフェイスシールドをしている人が多いですね。
一方、患者さんには治療前に殺菌剤の入っている水でうがいをしてもらいます。
これにより、口の中の細菌の数を一定量、減らすことができるわけです。
なお、うがいによって細菌の数が減ると口の中の環境がよくなり、抜歯後に腫れが起こりにくくなるなど、治療後の回復がスムーズになります。
さらに、歯を削るときに飛沫や削りかすを吸引するために、口の中にバキュームという装置を置きます。
さらに、最近はコロナ対策として、口の外に飛んできた飛沫を吸引するための口腔外バキュームを設置している歯科医院も増えています。
患者さんの口の中に入れるドリルや鏡、ピンセットなどはほかの患者さんにも使います。
これらは、使用するたびに病原菌を無毒化するための処置をしなければなりません。
細菌やウイルスを殺す働きのある薬液につける、消毒液で洗浄するなどいくつかの方法がありますが、現在はオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)で病原菌を完全に死滅させる方法が推奨されています。
オートクレーブを使う歯科医院は、コロナ禍の影響もあって、増えてきています。
滅菌中は器具の使用ができないので、ドリルなども多めに準備しておく必要がありますが、昨年はドリルの発注に生産が追い付かない時期があったのです。
感染拡大防止支援金(コロナの感染対策のための器具などの購入に支援金が出る措置)も追い風となったようですが、結果的に患者さんのメリットにつながっているといえます。
今後も感染対策を徹底し、安心してみなさんに歯科医院に通ってもらえるようにしなければなりません。
また、何より、一日も早いコロナの収束を願うばかりです。
注:
「コロナウイルスは口の中、唾液に多く含まれている。なのでマスクが有効だし、飲食の場も指摘される。一方で利用者側がマスクができない環境に歯科医院がある。大阪には5500もの歯科医院があるが、クラスター発生はゼロ。感染対策の賜物と思うが、何かある。何か?専門家には、是非分析してもらいたい。」
(2021年1月19日 吉村洋文知事がツイート)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d5420879c45f3074b358647d756e759ec720665
2021年2月23日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11427/
(2021年4月22日 修正1 ;追記)
2021年4月15日5時30分に神戸新聞からは、病院は技師と上司を処分した、対策として専任の衛生管理者を1人配置しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
病院は14日、外部調査で有害物質の濃度が低く測定されるように不正を繰り返していたとして、同室にいた40代男性副主幹(当時主査)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。
病院によると、副主幹は半年に1度ある外部事業者の調査に際し、2011年3月~13年9月の間、排気装置の不調を知りながら、有害物質の基準値が上回らないよう、直前に換気装置を作動させたり、濃度が高くなる臓器切り出しの作業を中止させたりしていた。
病院の聞き取りに副主幹は、「どれも調査前の準備で、不正という認識はなかった」と話しているという。
また、病院は副主幹の管理監督責任を問い、当時の上司で中央検査室技師長だった参与を文書訓告、病院事業管理者、病院長、医療技術部長の3人を、いずれも文書厳重注意とした。
同病院は対策として、今春に専任の衛生管理者を1人配置した。
「産業医も選び、定期的な作業場巡視を徹底させたい」としている。
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202104/0014240852.shtml
2021年2月17日16時12分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
化学物質を扱った技師が公務災害に認定された宝塚市立病院で、病理検査室の作業環境の調査が不適切な方法で行われていたことが分かりました。
宝塚市立病院では、病理検査室で勤務した技師が化学物質によるシックハウス症候群を発症し、去年7月、民間の労災にあたる公務災害と認められました。
装置のフィルターが目詰まりして排気量が低下し、室内で化学物質のホルムアルデヒドの濃度が上昇したことが原因の1つと考えられ、病院の依頼を受けた第三者調査員が、作業環境の調査方法に不備がなかったかなどを調べて報告書にまとめました。
それによりますと、検査室は法律に基づいて半年に一度、作業環境の調査が行われていましたが、おととし9月以前はその方法が適切でない場合があったとし、平成23年3月からの少なくとも2年半は不正だったとしています。
報告書では「担当者は不正行為であるとの認識が希薄で、ほかの職員から問題であることを指摘されても直ちにやめなかった。上司は不正行為の存在すら知らなかった」と指摘し、調査への理解不足と、職員の健康保持に関して意識の欠如があったと思われるとしています。
また、ホルムアルデヒドの排気や換気のための装置は、少なくとも過去2回の定期自主検査では規定された性能を満たしておらず、去年に設置された新たな装置で規定を満たすようになったとしています。
公務災害に認定された技師は「病院に不正行為を指摘してきましたが、証明されてよかったです。2度とこのようなことが起こらないよう、職員の声が届く職場になることを願います」とコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20210217/2020012103.html
2月18日5時30分に神戸新聞からは、半年毎の作業環境測定の直前に換気装置を作動させるなどして室内低濃度化を図っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
宝塚市立病院(兵庫県宝塚市小浜4)の有毒物質を扱う病理検査室で排気装置の不調などが放置され、女性技師が「シックハウス症候群」となって公務災害に認定された問題で、同室担当の男性副主幹が、化学物質の濃度測定で、直前に室内を換気するなどして低濃度となるよう操作していたことなどが17日、分かった。
同病院が指名した第三者委員の報告書で明らかになった。
検査室ではホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)などの有毒物質を使用。
技師は2019年8月にシックハウス症候群と診断され、昨年7月、公務災害に認定された。
調査は、有識者2人が昨年9~12月、職員への聞き取りなどをした。
報告書によると、少なくとも2011年3月から2年半、法律に基づく半年に1度の外部事業者による調査に際し、当時主査だった副主幹が前日や早朝に換気装置を稼働させ、濃度が高まるような作業の中止を指示した。
他の職員らは不正を指摘したが、是正されなかった。
報告書は、「不正行為による重大な悪影響」で環境整備が遅れたと指摘。
副主幹は「測定の準備だった」などと答えたという。
また報告書は、排気装置の不備についても、定期的なフィルター点検で「公務災害の発生を予防できた可能性がある」とした。
病院は「管理体制が不十分だったことを反省する」と説明。
関係職員の処分を検討するとした。
技師は「過失による明らかな人災。一人の人生を大きくゆがめた事実を強く認識してほしい」と批判。
今後、謝罪や補償を求めるという。
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202102/0014087538.shtml
(ブログ者コメント)
以下は関連情報。
〇昨年2020年9月22日付で全国労働安全衛生センター連絡会議HPに、被害者がシックハウス症候群を発症した経緯など、下記趣旨の記事が掲載されていた。
・・・・・
経緯詳細が、ひょうご労働安全衛生センター機関誌「ひょうご労働安全衛生」9月号への寄稿で明らかにされた。
本件の原因、背景には、使用者である病院側の作業環境測定不正や多くの法令違反、職場の声を無視し続けてきた実態があった。
・・・・・
被害者は4年ほど前(2016年)から、病理検査室に出勤すると鼻水が出るという症状があった。
2019年7月下旬からは、鼻水・のどの痛み・目の痛みといった症状が日に日に強く現れだした。
同年8月8日の出勤時、病理検査室内の切り出し※室入り口付近に行くと、粘性の鼻水が大量に出だし、のどに違和感を覚えた。
また、他の職員も同時期から頭痛を感じていたことが判明した。
8月30日、アレルギー科で「揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド、キシレン等)によるシックハウス症候群」、「約1ヵ月の自宅療養が必要」と診断され、医師からは「今後、日常生活(引越し、家の新築等)でも症状が出る可能性があるので注意が必要」と言われた。
被害者の通報により、2019年8月26日に西宮労働基準監督署が立ち入り検査を行い、市立病院は同年9月13日に労働安全衛生法に基づく是正勧告と改善指導を受けた。
被害者は労働組合とともに事故に至った不正行為を含む事実関係の確認と公表、適切な謝罪を求めてきたが、病院側は不都合な事実を隠蔽しようとし、被害者に向き合おうとしてこなかった。
それどころか、被害者の訴えに対して「環境を整備(改修工事)するのに、それ以外に何の問題があるのか」とし、他の職員に対して事実関係を説明することもなかった。
・・・・・
この事件の本質は、被害者らの職場改善要望が長年無視され、作業環境測定(ホルムアルデヒド等の濃度測定)の不正が続けられ、排気装置の不具合が放置されてきたことにある。
被害に至った原因として病院側は、
1. 当時、被害者の作業量が一時的に増加したこと
2. 換気装置の不具合により一時的に作業環境における化学物質の濃度が上昇したこと
として、一過性の問題という認識を示した
・・・・・
https://joshrc.net/archives/6174
〇2年前2019年11月4日付でChem Stationからは、検査室排気装置の風速が基準値以下だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
西宮労働基準監督署が立ち入り検査を行った結果、女性が働いていた病理検査室の排気装置の風速が法律の基準を下回り、十分に機能していなかったことが分かったということです。
そのため労働基準監督署は、病院に対して職場環境を改善するよう是正勧告しました。
合成を行う研究室には、排気装置の一種であるドラフトチャンバーが必ず設置されていると思いますが、各種法律によって必要な風速が決まっていて、自主検査を一年に一回実施し記録を保存することになっています。
ドラフトチャンバーは、囲い式フードに分類され、指定の開口部を8点あるいは16点に分割して風速を測定して下記の値以上でなくではなりません。
有機溶剤だけであれば0.4 m/sですが、ホルムアルデヒドやジクロロメタンなどの特化物を使う場合には0.5 m/s、ニッケルやコバルト無機化合物といった粒子状の特化物を使う場合には1.0 m/s必要になります。
風速が規定以下の場合、下記のような不良が考えられます。
・ドラフト内部の物が吸気を妨げている:ドラフト内部を片付ける。
・吸気フィルターが目詰まりしている:フィルターを交換する。
・モーターのファンベルトが切れている:ファンベルトを確認する。
・ファン異常:ファンの点検を依頼する
風速に異常がなくても、ドラフトのサッシが常に全開では、風速が十分に出ずに作業者が有機溶媒を吸い込んでしまいます。
ましてや、ドラフトの外で有機溶媒を取り扱うことなど、もってのほかです。
これから研究が佳境に入り、期限との戦いを強いられている人もいるかもしれませんが、頭痛やめまいといった有機溶剤による健康障害を感じたら、病院を受診するとともに、迷わずラボメンバーや先生と相談し、ドラフトのマナーを改善したり、ガスマスクの導入をすることが必要だと思います。
なお、従来型のドラフトチャンバーは常に一定量の空気を吸い込んでいるため、たくさんのドラフトが稼働している部屋では大量の空気が吸われて、エアコンが効きにくいことがあります。
そこで、ドラフトのサッシの開度に合わせて吸い込み量を調整し、空調と排気にかかる消費電量を低減するシステムが開発されています。
サッシが全開で一定時間たつとアラームが鳴り、サッシを閉めることを促すシステムもあります。
既存のラボでドラフトチャンバーを取り換えることはありませんが、ラボを新設する場合には、作業者のことを考えて、このようなシステムを導入してほしいと思います。
https://www.chem-station.com/chemistenews/2019/11/sickhouse.html
2020年12月18日16時46分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
いわゆる「エコノミークラス症候群」を発症して亡くなった会社員の男性の遺族が、長時間座ったまま仕事を強いられたのが原因だと主張して労災認定を求めていた裁判で、2審の大阪高等裁判所は「仕事と発症との関連性は認められない」として、1審に続いて訴えを退けました。
7年前、電池メーカーに勤めていた30代の男性が出張先の香港で「エコノミークラス症候群」と呼ばれる肺塞栓症(はいそくせんしょう)を発症して亡くなったことをめぐり、男性の遺族は、長時間座ったままの仕事を強いられたことが原因だと主張して裁判を起こし、労災と認めるよう求めていました。
エコノミークラス症候群は、一般の労災の認定基準では過労死の対象の病気に含まれていませんが、公務員の労災にあたる公務災害では対象になっていて、裁判所の判断が注目されていました。
18日の2審の判決で大阪高等裁判所の志田原信三 裁判長は、「日本の疫学調査ではビジネスマンや事務職員にエコノミークラス症候群が多発しているという報告はなく、労働と発症との関連性を示すデータもない。公務災害で認定対象の病気に含まれていることをもって男性の発症も仕事が原因だとは認められない」と判断し、1審に続いて訴えを退けました。
【遺族側“不合理な判決”】
判決のあとの会見で、亡くなった男性の母親は、「息子は何日も徹夜をしていた。出張がなかったら亡くなっていないと思う。今回の2審では裁判所にわかってもらえると思っていた。悔しくて、残念です」と話していました。
また、原告代理人の李暎浩弁護士は、「労災の認定対象の病気ではないという壁がものすごく高く、医学的に仕事との関係を立証しなければ、労災として認められない。公務員だったら認められたはずで、判決の結果は不合理だ」と話していました。
【厚生労働省は】
18日の判決について、厚生労働省は、「コメントは差し控える」としています。
【官民で労災扱いに差】
過労死の認定基準で厚生労働省は、認定対象とする病気に「脳梗塞」や「心筋梗塞」など、8つを指定しています。
死因がこのいずれかの病気だった場合は、発症前1か月間の時間外労働が100時間に達するなどしていれば、業務と発症に関連性があるとして、原則、労災に認定されます。
しかし、一般に「エコノミークラス症候群」と呼ばれ、長時間、同じ姿勢を続けるうちに足にできた血の塊、「血栓」が肺の血管に達して詰まる病気、「肺塞栓症」は認定対象の病気に含まれていません。
このため労災と認定されるには、業務によって発症したことを個別に証明しなければなりません。
一方、公務員の労災にあたる公務災害の認定基準では平成7年に「エコノミークラス症候群」を認定対象の病気に加えています。
今回の裁判で原告側は、民間と公務員とで差があるのはおかしく、労災認定でも長時間労働との関連性の高い病気として扱うべきだと訴えていました。
労災認定で「エコノミークラス症候群」を対象の病気に加えるべきかどうかをめぐっては、厚生労働省によりますと、ことし7月に開かれた有識者による検討会で労災の認定基準全般の見直しが議論され、検討が続いているということです。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20201218/2000038795.html
12月17日5時0分に読売新聞からは、時間外労働時間が過労死ラインを超えていたと遺族側は訴えていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
男性が死亡したのは2013年1月。
大手電池メーカー(本社・東京)で勤めており、出張先だった香港の宿泊ホテルの一室で亡くなっているのを発見された。
出張では、関西空港から約3時間かけて飛行機で渡った中国・上海や、香港に計6日間滞在。
移動には鉄道やタクシーを利用し、会議などに参加したほか、宿泊ホテルで深夜にパソコンで操作するなどした。
男性の肺や下肢には血栓(血の塊)が見つかり、死因は肺塞栓症と診断された。
・・・・・
控訴審で遺族側は、深夜のパソコンの記録などから宿泊ホテルで長時間にわたって椅子に座って仕事をしていたと主張。
出張中だけでなく、死亡前2か月の時間外労働は計約245時間に及んでおり、国の過労死ラインも超えていたと訴えた。
一方、国側は「パソコンの記録は起動と終了の時間に過ぎず、長時間労働もエコノミークラス症候群発症の要因には挙げられない」と、控訴棄却を求めている。
・・・・・
https://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20201216-OYTNT50114/
また、7月31日17時58分にYAHOOニュース(mBS NEWS)からは、仕事上のストレスとプレッシャーもかかっていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
【行くからには成果を残さないといけない】
男性は出張先の中国や香港で、新規取引先の開拓を求められていた。
出張前に記されたノートには「行くからには成果を残さないといけない」などと記されていて、大きなプレッシャーがかかっていることがわかる。
さらに、医師が注目したのは出張中に男性が妻と交わしたメールだ。
【出張初日のメールより】
「今日の打合わせは中国語で全く何言ってるか分かりません
でした。仕事はつらそうだけど、頑張るね。」
出張初日は前向きな言葉もみえた男性。
しかし、次の日…
【出張2日目のメールより】
「今日は最悪。少しメールしたいな。」
言葉が通じないことに、より強いストレスを感じたと綴られている。
【“わさびだけの寿司”を食べさせられ…】
このメールの翌日、会食の場で、“ある動画”が撮影された。
撮っているのは、香港で働く男性の上司だ。
男性が食べさせられているのは、わさびだけの寿司。
【会食で撮影された動画の内容】
(上司)
「わさびを、いっちゃってください。どういう反応をするか、これでおもろいかどうかで、明日からの対応は変わりますからね。」
(男性)
「ゴホゴホッ…(※わさびだけの寿司を食べて咳き込む)」
(上司)
「落ち着いたら感想を一言お願いします。」
この日、ホテルに帰った後、妻にメールを送っている。
【出張3日目のメールより】
「体調はプレッシャーと不安で慢性的な寝不足の毎日ですが、何とかやってるので心配しないで下さいね。出張来てからもずっと肩凝ってるし。体調不良まではいかないけど、しんどいね。特に精神的に。」
そして3日後、死亡しているのが見つかった。
「わさびたっぷりのお寿司を食べた時の反応によっては、明日からの対応が変わるかもしれないと。
これは業務上の評価に結びつくような言葉と受け止められても仕方がないと思います。
職務上、被災者が大変大きなストレスを感じたという風に評価できるのではないかと思います。」
(遺族の代理人 李暎浩弁護士)
・・・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/ea585c702969b6388aad1161376d9a93e758036f?page=1
2020年10月18日12時0分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、白蝋病にかかった人の指先の写真付きでネット配信されていた。
2019年12月のある朝、宮崎県国富町の井園さん(男性、80歳)は、運転していた車を急いで路肩に止めた。
「また始まった」。
井園さんは体を冷やすと、右手にある異変がよく起きた。
人さし指と中指の先が、みるみると血の気を失って白くなり、触感を失う。
数分すれば青黒くなって血色が戻るが、ジリジリとしびれる不快な痛みが10分ほど続く。
井園さんが最初にこの症状に気づいたのは1990年ごろ、50代に入ったときだ。
長年、故郷を離れてトンネルなどの工事現場に臨む「坑夫」として身を立て、当時は神奈川県内の山林をチェーンソーで伐採する日々を送っていた。
仕事仲間の男性がある日、「寒くなると白蠟(はくろう)が出るんだ」と手のひらを見せた。
人さし指から小指の根元まで、ろうそくの蠟のように白かった。
男性は、「白蠟」が現れるたび、指を自身の体や工具に打ち付け、痛みを紛らわせた。
「そういえば自分も」。
井園さんも時折、急に指先が白くなることがあった。
だが、月日がたつごとに痛みは増し、雨で体が冷えきった日は特にこたえた。
白くなった指をわきの下やズボンに入れ、温める。
20~30分ほどで消える苦痛だが、耐えるだけで1日の気力をそがれるように感じた。
それだけでなく、普段から手のしびれ、こわばり、冷えが強まった。
なぜだろう。
周りの仲間も「おれもしびれる」「手は痛いよな」と口にはするが、「現場でこれだけの作業をしているんだから」と気にとめてはいなかった。
井園さんが最後に働いたのは、3年後に全線開業を控えた都営大江戸線の工事だった。
97年、東京ドームに近い東京都文京区・春日通りの地下で、春日駅をつくるために地面を掘り下げていた。
・・・・・
残り:2837文字は有料/全文:3558文字
https://www.asahi.com/articles/ASNBJ42L8NBJULBJ009.html
(ブログ者コメント)
言葉でだけ知っていた白蝋病。
その実態に迫った記事は珍しいと思い、冒頭部分だけではあるが紹介する。
2020年9月7日19時2分にYAHOOニュース(テレビ朝日)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
殺菌用の紫外線を浴び、児童100人以上がけがをしました。
中国・浙江省の病院で多くの子どもたちが目の手当てを受けています。
中国メディアによりますと、小学校の教室に設置された殺菌用の紫外線ランプを学校職員が誤って5時間以上にわたって点灯させ、授業を受けていた児童100人以上が目などにやけどを負ったということです。
中国では2009年の新型インフルエンザの流行などを経て、殺菌用の紫外線ランプは各地の学校で設置が進められてきましたが、これまでも子どもがけがをする事故が相次いでいました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/251c9eed2f7c7e613aa989dd1eec61467c82e651
9月4日18時39分にYAHOOニュース(TBS NEWS)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
病院で目の手当を受ける子どもたち。
中国国営の中央テレビなどは今月1日、浙江省の小学校で教室に設置されていた紫外線ランプが5時間以上、点けられたまま授業が行われ、100人余りの児童が目や皮膚をけがしたなどと伝えました。
小学校は、この日から登校が再開されていましたが、停電が発生し、復旧作業の過程で作業員が元々教室にあった殺菌用の紫外線ランプを誤って点灯させたということです。
児童は「目を開けられない」「顔にやけどをした」などの症状を訴えているということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3cb8ae6bbb00bc7efeba1c61ace974c138c90555
(ブログ者コメント)
〇以下は、テレビ朝日映像の1コマ。
〇類似事例がないか調べたところ、日本の病院でも紫外線室内殺菌装置導入時の業者説明会時に以下のような事例があった。
『紫外線殺菌装置による目の障害』
(職場のあんぜんサイト)
【発生状況】
本災害は、病院内の手術室、病室等の室内殺菌用として新たに導入した紫外線による移動式室内殺菌装置(以下「装置」という)の取り扱い説明を受けていた際、スイッチ類の操作説明等のため動作させた紫外線ランプから紫外線が発生し、説明を受けていた看護婦数名が目の痛みを訴えたものである。
本装置は、病院等の室内を殺菌する目的で開発された装置である。
従来、病院等の室内殺菌は、薬液等を噴霧して行っていたものであるが、本装置は、紫外線の殺菌作用を利用することにより、薬液等による健康障害をなくし殺菌効果を得るようにした装置である。
装置は、図のように、家庭用交流100V電源を使用し、長さ約80cmの露出した殺菌ランプ(30W)4本が立てられており、下部にコントロールパネルが設置された簡単な構造となっている。
その下にはキャスターが設けられ、1人で簡単に移動できるようになっている。
また、コントロールパネルには、瞬間に紫外線が発生しないようタイマー付きスイッチが内蔵されている。
これにより、スイッチを入れて約3分後に紫外線ランプが点灯する構造となっている。
災害のあった、この病院では、装置の導入に当たって実際に取り扱いに従事する看護婦等に対して、操作および取り扱いの方法を理解させるため、業者に説明をさせることとした。
災害発生当日の午後4時ごろ、装置の納入業者であるAは、病院を訪れレントゲン室に装置を持ち込み説明を行うこととなった。
病院事務長Bのほか、そのとき、たまたま手のあいていた看護婦C他6名が取り扱いの説明を受けることとなった。
説明に際しては、Aは装置の近傍で操作に当たり、それを取り巻くようにしてCら8名が半径約1.5m以内に立って説明を聞いていた。
Aは、レントゲン室内の電源コンセントに装置を接続してスイッチを入れ説明を始めた。
約3分後、殺菌ランプが点灯したものの、特に注意を喚起することもなく、点灯されたままの状態で説明が続けられた。
Aは、5分後にスイッチを切り、さらに説明を続け約10分程度で終了した。
説明終了後、各看護婦はレントゲン室を出て、それぞれ持ち場へ戻っていった。
ところが、2時間後の午後6時ごろ、まず、Cが目の痛みを訴え、その後午後10時までの間に、説明に立ち会った者が次々と目の痛みを訴えた。
発症した被災者は、その当日ないし翌日までに眼科にかかる等して目薬をさし、1日間から2日間休業の後全快した。
また、説明を行ったAと事務長Bは、発症しなかったが、居合わせた者の中で、たまたま両名だけが眼鏡(紫外線保護用眼鏡ではない。)をかけていたので、紫外線のばく露が少なくて済んだものと考えられる。
【原因】
(1) 紫外線を使用している装置のランプを何ら保護具を使用することなく肉眼で直視していたこと。
(2) 装置の取り扱い説明者が、その危険性、有害性を十分認識せず、従って説明を受ける者に対し何ら防護措置を取らせることなく、紫外線を発生させた状態で説明を行ったこと。
(3) 使用者が、従業員に装置の使用説明を受けさせるに当たって、あらかじめその危険性を認識していなかったこと。
(4) 装置本体に危険性の表示が十分なされていなかったこと。
【対策】
(1) 紫外線等の目に対して有害な光線を発する装置を取り扱う場合には、保護眼鏡等を着用させること。
(2) 使用者は、新規に機械等を導入する場合においては、あらかじめ機械製造者と連携をとり、その危険性等を十分に理解し、従業員への健康障害が起こらないような対策を講じた上で作動させること。
(3) 新規に機械を導入する場合には、当該機械の危険性、有害性等に留意の上、作業標準書を作成すること。
(4) 装置本体の見やすい個所に、危険性等が容易に分かるような表示を設けること。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/sai_det.aspx?joho_no=852
2020年8月11日17時44分にライブドアニュース(日テレNEWS24)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日、千葉県習志野市にある工場で作業していた男性が、熱中症で死亡していたことがわかりました。
千葉県内で熱中症による死者が出たのは今年度初めてです。
消防によりますと、10日午後4時半ごろ、習志野市にある工場内で、高い所で配線などの工事にあたっていた作業員の男性(48)がうつぶせに倒れているのを同僚が発見し、119番通報しました。
男性は発見された時、すでに意識がなく、救助隊が到着した時には心肺停止の状態で、搬送先の病院で死亡が確認されました。
死因は熱中症でした。
千葉県内で熱中症による死者は、今年度初めてだということです。
また、10日は県内で今年度最も多い81人が、熱中症の疑いで搬送されたということです。
https://news.livedoor.com/article/detail/18718188/
8月11日13時15分にNHK千葉からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午後4時半ごろ、習志野市東習志野にある工場で、ほかの会社から照明設備の配線工事の作業に来ていた48歳の男性が倒れているのを、一緒に作業していた同僚が見つけ、消防に通報しました。
男性は市内の病院に運ばれましたが、その後死亡し、死因は熱中症と診断されたということです。
千葉県内には10日、熱中症の危険性が極めて高くなるとして高温注意情報が発表されていました。
また銚子地方気象台によりますと、千葉県には11日も高温注意情報が出されていて、11日正午までの最高気温は茂原市で36.5度、横芝光町で36.3度、市原市の牛久で35.6度などと各地で35度以上の猛暑日となっていて、熱中症への厳重な警戒が必要です。
気象台はこまめに水分を補給し、屋外ではできるだけ日ざしを避け、十分な距離を確保できる場合には定期的にマスクを外すほか、室内では適切に冷房を使うなど十分な対策を取るよう呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20200811/1080011856.html
2020年6月4日19時5分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡県内の元看護師の女性(79)が中皮腫を発症したのは、医療用のゴム手袋を再利用する作業でアスベスト(石綿)を吸入したのが原因だとして、久留米労働基準監督署が労災認定していたことが4日、関係者への取材で判明した。
支援団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」によると、同様の作業で医療従事者が労災認定されるのは全国で3例目。
医療用手袋は、かつて医療現場で広く再利用されていた。
一方、アスベストの関連疾患は潜伏期間が平均で35~40年と長く、同会は「今後、被害が広がる恐れがある」と注意を呼びかけている。
女性は1961~87年、福岡県内の病院に勤めていた際、1日約100枚、医療用のゴム手袋を再利用する作業を担当。
手袋を滅菌した後、手袋をくっつきにくくするため「タルク」と呼ばれる打ち粉をまぶす作業で、打ち粉に含まれるアスベストを吸い込んだとみられる。
タルクは粉末状の鉱石で、工業製品の製造やベビーパウダーなどにも使用されていたが、石そのものにアスベストが混入していることが発覚し、社会問題化。
2006年以降は、アスベスト含有量0・1%超のタルクは製造や使用が禁止されている。
厚生労働省によると、アスベストを含むタルクなどが原因で労災を認定された労働者は47人に上る。
製造業など40人、建設業7人で、ほとんどが中皮腫を発症したという。
女性は01年に定年退職。
17年10月、せきが止まらなくなり、中皮腫と判明した。
19年10月に労災申請し、今年2月、労災認定の知らせを受けた。
女性は、「同様の症状に苦しんでいる患者がいたら、早く被害に気づいてほしい」と話す。
相談窓口は支援団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会福岡支部」(092・409・1963)。
https://mainichi.jp/articles/20200604/k00/00m/040/259000c
6月4日18時57分にNHK福岡からは、全国3例目ではなく4例目だという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡県内に住む元看護師の女性が、がんの一種、「中皮腫」になったのは、手術用の手袋を再利用する際、アスベストが含まれるタルクという粉末をまぶす作業を長年行っていたからだとして、国から労災の認定を受けていたことが分かりました。
医療従事者がタルクによるアスベスト被害で労災認定を受けたのは全国で4件目で、九州沖縄では初めてだということです。
労災が認められたのは、福岡県内に住む79歳の元看護師の女性です。
女性は、昭和36年からあわせて23年間にわたり、県内の病院で手術用のゴム手袋を再利用するため、洗ったあとにタルクとよばれる粉末をまぶしてはめやすくする作業も行っていました。
当時、多いときには1日に100枚程度、作業をしていたということです。
女性は、3年前、アスベストが引きおこすがんの一種、「中皮腫」を発症したのち、タルクにアスベストが含まれていたことを知り、労災を申請したということで、ことし1月、国から労災を認められました。
アスベストによる患者を支援する「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」によりますと、医療従事者がタルクによるアスベスト被害で労災認定を受けたのは全国で4件目で、九州沖縄では初めてです。
支援団体は、かつて多くの医療現場でタルクをまぶす作業が行われていたため、関係者のアスベスト被害が懸念されるとして、注意を呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20200604/5010008157.html
(ブログ者コメント)
〇以下は、毎日新聞に掲載されていた作業再現動画の3コマ。
①タルクをパッドにとり、
②そこから小袋に詰め、
③その小袋で再利用手袋をはたき、タルクをまぶしていた。
〇本件、初認定は防府市の元准看護師、2例目は東大阪市の元看護師だ。
ともに本ブログで紹介スミ。
2020年3月14日6時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大手機械メーカー「クボタ」旧神崎工場(兵庫県尼崎市)から3キロ以上のところに住んでいた元社員の妻が、アスベスト(石綿)関連がん「中皮腫」で死亡し、クボタが遺族に対し、労災補償に上積みされる企業補償に相当する解決金を支払った。
石綿公害の被害者にクボタが支払う救済金の対象(工場から1・5キロ以内)を外れているが、石綿にまみれた夫の作業着の洗濯が原因として否定できなかったためだ。
同社との補償交渉に当たった尼崎労働者安全衛生センターが明らかにした。
同工場の石綿公害発覚から6月で15年になるが、被害の広がりと深刻さが改めて浮き彫りになった。
センターによると、夫は1958年から約30年、石綿使用の水道管を製造していた旧神崎工場で働き、肺が硬くなって呼吸困難になる石綿肺を発症し、後に別の病気で死亡した。
妻は結婚した62年から85年まで、夫が手提げ袋で持ち帰った作業着を自宅の二槽式洗濯機で洗っていた。
洗濯後には洗濯機の内側が真っ黒になっていたという。
妻は2017年ごろに中皮腫を発症し、18年に亡くなった。
クボタは洗濯と発症の関連性を否定できず、遺族に解決金を支払った。
両者は補償額を明らかにしていないが、元従業員が石綿疾患で亡くなった場合、労災補償に加えて支払われる数千万円の上積み補償と同等額とみられる。
05年に明らかになった旧神崎工場の石綿被害は周辺住民にも及び、クボタは患者1人当たり最高4600万円を支払う救済金制度を創設。
19年末現在、中皮腫患者ら341人に支払われた。
今回の件の夫婦は自宅を4カ所移ったが、工場から最も近い場所でも3キロ以上離れ、制度の対象外だった。
政府が石綿関連工場の外に作業着の持ち出しを禁止したのは、旧神崎工場内外の石綿被害が発覚した直後の05年7月。
クボタ広報室は「当社としては(コメントなどの)回答は控えさせていただく」としている。
同センター(06・4950・6653)は、旧神崎工場と接点がある被害者からの相談に応じている。
https://mainichi.jp/articles/20200314/k00/00m/040/010000c
2019年11月28日19時6分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
サルとの接触で感染し、脳などに炎症を引き起こす「Bウイルス」に、鹿児島市の医薬品開発関連会社の社員が感染していたことがわかりました。
国内で感染が確認されたのは初めてだということで、国立感染症研究所は、感染が広がるおそれは、ほぼないとしています。
Bウイルスは、感染したサルにかまれるなどして人に感染する場合があり、脳炎や意識障害を起こすこともあります。
鹿児島市などによりますと、感染したのは鹿児島市の医薬品開発関連会社の社員で、サルを使った実験の補助にあたっていたということです。
社員は頭痛と発熱を訴えて病院で診察を受けていましたが、今月になって国立感染症研究所が検査したところ、感染が確認されたということで、症状は重いとしています。
また、社員がサルにかまれた記録はなく、これまでのところ感染経路は分かっていないということです。
厚生労働省や保健所などが施設を調査しましたが、管理や感染症対策に問題は見つからなかったということです。
Bウイルスの感染の報告は世界的に見ても極めてまれで、アメリカのCDC=疾病対策センターによりますと、感染の報告は、1932年以降、アメリカを中心に50人で、このうち21人が死亡しているということです。
野生のサルにかまれても感染する可能性は極めて低く、人から人への感染は、これまでに1例しか報告されていないということです。
感染の確認は国内で初めてだということで、国立感染症研究所は、「今回のケースでも感染が広がるおそれはほぼないが、サルにかまれた場合は、すぐに病院にかかってほしい」としています。
Bウイルスはサルが感染するウイルスで、人に感染した場合、2週間から1か月余りの潜伏期間の後、水ぶくれや発熱などの症状が現れ、さらに悪化すると脳炎や意識障害などを引き起こすこともあります。
厚生労働省によりますと、人への感染はサルの体内でウイルスが増殖し、唾液にまで排出される状態になったあとで、かまれたり、ひっかかれたりするなど、サルに接触した場合にほぼ限られ、人から人に感染したケースは、これまでに1例だけだということです。
こうしたウイルスの特徴から、感染が報告されているのは全て、サルを取り扱う機会の多い研究者や飼育施設のスタッフだということです。
治療には抗ウイルス薬が有効だとされていて、厚生労働省は、「すでに施設で再発防止策が講じられており、感染拡大のおそれは極めて低い。世界的にもまれな感染症で、過度に心配する必要はない」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191128/k10012194811000.html
11月28日20時43分に日本経済新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鹿児島市は28日、市内にある医薬品開発受託・研究会社「S科学」の動物実験施設で、技術員1人がサル由来のBウイルスに感染したと発表した。
感染事例は世界でも50例程度で、国内での確認は初めて。
サルとの直接接触などで感染するとされ、空気感染はなく、拡大の恐れはないとしている。
市などによると、技術員は今年2月に頭痛や発熱で医療機関を受診。
脳炎の症状が長引いたため、8月末に鹿児島大病院に入院し、検査の結果、11月に感染が確認された。
重症の場合、神経障害などの後遺症があるが、新日本科学はプライバシーを理由に症状を明らかにせず、「容体は安定している」とだけ説明した。
同社によると、技術員は薬に使う化合物の安全性をサルなどで実験する施設「安全性研究所」で感染。
防護服を着て作業していたが、何らかの形でサルの尿や唾液などに触れ、感染した可能性があるという。
かまれたり、引っかかれたりしたことはなかった。
研究所では、アカゲザルとカニクイザルの2種類を飼育。
市によると、市と厚生労働省、国立感染症研究所が11月21、22両日に立ち入り調査したが、管理に問題はなかったという。
同社は、防護服の機能を強化するなどして感染症対策を進めており、「さらなる厳重な管理体制を敷き、再発防止に全力を尽くす」としている。
国立感染症研究所ウイルス第1部の西條政幸部長は、「日本で発症が確認されたことで、サルと日常的に接する研究者や動物園の職員らは、より予防策に気をつける必要がある」と語った。
〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52722850Y9A121C1ACYZ00/
11月28日18時38分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
Bウイルス病は、狂犬病などと同じく感染症法の4類感染症に指定されており、患者を診察した場合、ただちに保健所に報告する必要がある。
アカゲザルなどのマカク属のサルの半数以上が潜在的に感染しているとされ、世界的には、ヒトへの感染例は50例ほどあるという。
動物実験施設を管理・運営する鹿児島市内の会社は取材に対し、感染した職員は普段、データ処理などを担当していたが、動物実験の補助として施設内に立ち入ることもあったという。
国立感染症研究所の西條ウイルス第一部長によると、これまでの海外でのBウイルスへの感染例は、動物園や研究機関など日常的にサルに触れる機会のある人がほとんどといい、「野生の猿にかまれて発症した報告はない」と話す。
それでも、野生のサルにかまれて心配な場合は「病院でサルにかまれたことを伝えれば、予防薬の投与を受けることができる」と、冷静な対応を呼びかけている。
https://digital.asahi.com/articles/ASMCX5DP4MCXTLTB00J.html?pn=4
2019年8月25日0時8分に沖縄タイムスから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日午後2時ごろ、沖縄県那覇市識名の住宅敷地内に駐車していた車内で、女児(3)が倒れているのを30代の母親が発見し、母親自ら病院に搬送したが、死亡が確認された。
警察によると、死因は熱中症とみられる。
警察の調べでは、女児が家の中からいなくなったことに母親が気付き、駐車していた車の中を確認したところ、後部座席でぐったりした様子で倒れていたという。
女児が搬送された病院から警察への通報で発覚した。
警察によると、車内からは車の鍵が見つかった。
女児が鍵を使って施錠を解除し、車内に乗り込んだ後に出られなくなったとみている。
気象庁によると、24日の那覇市の最高気温は32.2℃(午後1時36分)だった。
県内では2014年6月、那覇市内の施設内駐車場で母親が生後5カ月の息子を車内に6時間余り放置し、熱中症で死亡させた事件が起きている。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/462054
8月25日9時49分に琉球新報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、女児宅では午前中、家族で出掛ける予定などを話していた。
その後、家の中に女児の姿が見えなくなったことから、近所の立ち入りそうな場所などを家族や親族が捜索していた。
親族の女性は、「出掛ける準備をしていたらしい。母親は今は話せる状態ではない」と悲痛な面持ちで話した。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-977501.html
8月25日15時27分に琉球新報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は、女児が自ら車両に乗り込んで出られなくなり、2~3時間ほど車内にいて熱中症になったとみている。
警察は事件性は薄いとみているが、引き続き、女児が車内にいた経緯などを調べている。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-977626.html
8月25日0時11分に沖縄タイムスからは、車内での熱中症に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本自動車連盟(JAF)はホームページで車内温度の検証テスト結果を公開し、車内熱中症へ注意喚起をしている。
テストでは、屋外気温35℃で車内温度25℃の黒い車を放置した場合、気温や湿度から危険度を割り出す熱中症指数(WBGT)が、窓を閉め切って冷房を停止後、15分で人体の危険レベルに達した。
その後も車内温度は上昇。
30分後には40℃を超え、最高は57℃まで上がった。
フロントガラスにサンシェードを取りつけた車や、窓を3cm開けた状態でも、車内気温はやや低いが、同様の傾向が見られ、いずれも30分後には車内温度が40℃に達した。
JAFは、「乳幼児は体温調節機能が未発達で、高温下では短時間で体温が上昇し、死に至ることがある。寝ているからという理由で、車内に子どもを残すのは大変危険」と注意を呼び掛けている。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/462053
8月26日21時0分に朝日新聞からは、ドアにチャイルドロックがかかっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警によると、車の後部座席はスライド式のドアで、両側ともチャイルドロックがかかり、内側から開けられないようになっていた。
車のカギはボタンでドアを開閉する方式で、後部座席から見つかった。
運転席と助手席のドアは施錠されていない状態だったという。
これらの状況から県警は、女児がカギで後部座席のドアを開けて乗り込み、外に出られなくなったとみている。
車のカギは女児が持ち出したとみられ、警察幹部は、「車のカギを子どもの手の届かない場所に置くなど、注意喚起の仕方を考えていく必要がある」と話している。
子どもが車内に取り残されて出られなくなるケースは相次いでいる。
JAFによると、昨年8月の1カ月間で、車内の子どもの救援件数は全国で246件に上った。
保護者らが車内にカギを置いて外に出て、子どもが過ってカギをかけた事例が多く、窓ガラスを割って救助したケースも8件あった。
チャイルドロックが関係した事例はなかったが、夏場は命に関わりかねないこともあり、消費者庁は、「車内に子どもを残したまま、車から離れないように」と注意を呼びかけている。
【1970年代から搭載】
チャイルドロックは、自動車の後部座席に乗っている子どもが、走行中に過ってドアを開けることができないようにする装備。
複数の自動車メーカーによると、1970年代から搭載されるようになったという。
車種によって形状は異なるが、開けた後部ドアの内側にあるレバーを操作すると、車の外側からしかドアが開かなくなる仕組みが一般的。
運転席にロックをかけるスイッチがある車種もある。
メーカーによっては「チャイルドプルーフ」、「チャイルドセーフティドアロック」とも言う。
国交省によると、自動車にチャイルドロックを付ける義務や機能に関する決まりはない。
だが、日産自動車などの自動車メーカーは、「トラックや商用車などを除いて、一般の車には標準装備されている」と説明している。
https://digital.asahi.com/articles/ASM8V54QXM8VTIPE018.html?rm=535
8月29日7時30分に琉球新報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
女児は家の中にあったリモコン式の鍵を持ち出して、車内に1人で入ったとみられる。
車の後部座席側の両ドアは自動的にチャイルドロックが掛かり、車内からも開けられない状態だった。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-979711.html
2019年7月29日21時38分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪府枚方市の遊園地「ひらかたパーク」で28日夜、着ぐるみショーの練習をしていたアルバイトの男性が熱中症で死亡したと、府警枚方署が29日に発表した。
同署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて、遊園地の関係者から勤務管理の状況などを聞いている。
発表によると、男性は山口さん(28)(大阪府枚方市)。
山口さんは28日昼に園内を着ぐるみで歩いた後、午後5時頃から屋内の練習場で、ジャージー姿で着ぐるみショーの練習をしていた。
午後7時半から屋外ステージに出て、妖精の着ぐるみ(重さ15kg)姿で、ダンサーらと一緒に通し稽古を実施。
約20分後に呼吸が荒くなり、スタッフに抱きかかえられて控室に移動した後、意識を失ったという。
その後、搬送先の病院で死亡が確認された。
山口さんは数日前から風邪気味だったという。
同園は事故を受け、8月に予定していた着ぐるみショーの中止を決定した。
ひらかたパークを運営する京阪レジャーサービスの岡本社長は、「誠に遺憾であり、ご遺族にお悔やみ申し上げます。警察に全面的に協力し、原因の究明と再発防止に努めたい」と話した。
大阪管区気象台によると、28日の枚方市内の最高気温は33.2℃だった。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190729-OYT1T50212/
7月29日19時42分に産経新聞westからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ひらかたパークや警察によると、男性は28日の閉園後の午後7時半ごろから約20分間、着ぐるみを着用して同僚とともに屋外で、ショーに向けたダンスや劇の練習を実施。
その後、控室に戻る途中で意識を失って呼びかけに応じなくなり、病院に救急搬送されたが死亡した。
男性は正午ごろに出勤し、屋外で着ぐるみを着て来場者とふれ合ったり、ショーの準備作業をしていたりしたという。
大阪管区気象台によると、28日の同市の最高気温は32.8℃。
日が暮れても蒸し暑さが残り、午後8時時点でも28.7℃だった。
https://www.sankei.com/west/news/190729/wst1907290024-n1.html
7月30日付で毎日新聞東京版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ひらかたパークの運営会社によると、男性は予行演習直前まで異常はなく、水分補給もしていたという。
今夏の着ぐるみショーは中止し、その後も、原因判明まで再開しないことを決めた。
https://mainichi.jp/articles/20190730/ddm/041/040/066000c
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7月31日18時6分にNHK首都圏からは、この事故を受けている着ぐるみ制作会社に熱中症対策をヒアリングしたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
連日猛烈な暑さが続く中、自治体や遊園地などで使われているキャラクターの着ぐるみでも、暑さ対策が進められている。
東京・品川区にある着ぐるみの製作・販売会社では、客から「着ぐるみの中の暑さを軽減してほしい」という要望が寄せられたことから、10年ほど前から暑さ対策に力を入れている。
内部の通気性をよくするため、空間を広くとってできるだけ体に密着しない構造にした上で、ファンをつけて外気を取り込み、顔のメッシュの部分などから換気できるようにした。
また、中に入る人には、ポケットに保冷剤を入れられるベストを着て体温を下げることも勧めているという。
最近ではユーチューバーなど個人からの注文が増えているということで、会社では着用を15分以内にするよう呼びかけているほか、「夏期の1時間以上の着用は、生命の危険が伴うため、絶対に避けて下さい」との警告をマニュアルにのせている。
伊藤社長は、「事故が起きないよう、注意喚起をより徹底したい。使う方もきちんと体調管理をして、適切に安全に使ってほしい」と話していた。
一方、キャラクターに夏休みをとってもらうことで安全を確保する施設もある。
練馬区にある遊園地「としまえん」は、5、6年前、公式キャラクターの馬の「エルちゃん」と豚の「カルちゃん」の2体の着ぐるみを相次いで導入し、園内のステージでショーをしたり、広場で客とふれあったりしている。
しかし、スタッフからの「夏場は危険だ」といった声を受けて、7月から9月は活動をしていない。
「豊島園」の広報担当、宮内さんは、「夏場はキャラクターも夏休みを頂いています。お客さんも、遊びに来る場合は熱中症対策を万全にしてきてほしい」と話していた。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190731/1000033528.html
※以下は音声のみの情報と、その時に流された映像。
この着ぐるみをかぶったが、内部に熱はこもってない。
装着されている外気吸引ファン。
ファンの反対側にある、目の部分のメッシュから排気する。
外に出ると、着ぐるみを着てない部分は夏の暑さを感じるが、着ている部分は外の熱さを受けてない感じ。
保冷剤を入れたベスト。
こうした対策をしていても長時間の使用は危険だとして、販売の際は、熱中症から身を守るためのポイントをまとめた説明書を必ず渡すようにしている。
2019年7月27日16時8分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午前11時半ごろ、滋賀県彦根市の琵琶湖の松原水泳場で開催されていた「鳥人間コンテスト2019」の会場で、「男性3人が低体温症で動けなくなった」と大会関係者から119番があった。
消防によると、いずれも出場チームの大学生で、うち2人は病院に搬送されたが、命に別条はない。
警察によると、台風6号の影響で午前10時半に大会の中断が決まり、男性らは撤収作業をしていた。
長時間風雨にさらされたのが原因とみられる。
鳥人間コンテストは、自作人力飛行機による飛行距離や飛行時間を競う大会で、今年で42回目。
読売テレビによると、28日まで2日間の日程だったが、27日の競技を途中で中断。
28日は実施する予定という。
https://www.sankei.com/affairs/news/190727/afr1907270017-n1.html
2019年7月26日21時22分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
26日午後2時15分ごろ、新潟県燕市五千石の工事現場で交通誘導員の男性(53)が倒れていると、作業していたトラック運転手から119番通報があった。
男性は病院に運ばれたが死亡。
消防などによると、体温が40℃近くまで上がっており、熱中症とみられる。
国交省信濃川河川事務所によると、男性は分水路の拡幅工事が行われていた堤防の上の道路で、1人で交通誘導をしていた。
新潟地方気象台によると、午後2時ごろの燕市の気温は32.9℃だった。
出典
『熱中症疑いで男性死亡 新潟・燕市、工事誘導員』
https://www.sankei.com/affairs/news/190726/afr1907260036-n1.html
7月26日18時57分にNHK新潟からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
26日午後2時すぎ、燕市五千石の信濃川から分岐している大河津分水路の拡幅工事の現場で、交通整理にあたっていた53歳の男性が倒れているのをトラックの運転手が見つけた。
男性は、ドクターヘリで新潟市内の病院に運ばれたが、およそ2時間半後に死亡が確認された。
消防によると、熱中症の疑いがあるという。
国交省によると、この場所で交通整理にあたっていたのは、死亡した男性の1人だけだったという。
国交省では、男性の勤務や熱中症への対策が十分だったのかなどについて、男性の会社から話を聞くことにしている。
出典
『熱中症か 交通誘導員の男性死亡』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20190726/1030008757.html
(ブログ者コメント)
以下はNHK映像の1コマ。ここが作業現場らしい。
2019年7月15日12時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
エアコン清掃時に洗浄剤が十分に洗い流されなかったために「化学物質過敏症」を発症したとして、東京都内の女性が清掃業者に約1600万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁が女性の主張を認め、約1300万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
エアコンの清掃ミスと化学物質過敏症との因果関係が認められるのは珍しいという。
提訴から約4年。
女性はめまいや食欲不振などに苦しみながら裁判を闘い、業者側の控訴はなく、勝訴が確定した。
「原因が分からず、泣き寝入りせざるを得なかった人たちもいる。判決が参考になれば」と語る。
【猫もくしゃみを繰り返す】
「薬くさい臭いが充満して、むせて気持ち悪くなったんです」。
女性が自宅1階にあるエアコンから漂う刺激臭に気がついたのは2012年夏。
業者に清掃を頼んだ直後だった。
女性によると、業者はエアコンの前面カバーと送風機などを業務用のアルカリ洗浄剤などで洗浄した。
清掃後にエアコンを稼働させると、目のかすみなどを感じるようになった。
飼い猫もせきやくしゃみを繰り返し、自身の体をなめた後に嘔吐するようにもなったという。
エアコンを使う際、窓を開けて換気するなどの対策を取っても、臭いや体調不良は改善しない。
畳や壁からもエアコンと同じような臭いを感じるようになり、頭痛や吐き気、動悸は治まらず、エアコンのない2階で暮らさざるを得なくなった。
症状はさらに悪化して自宅で暮らすことが難しくなり、一時的に転居して壁や畳を入れ替えた。
体調に異変を感じてから、女性は近所の病院に通ったものの、原因が特定できなかった。
その後、相談していた弁護士のアドバイスで専門医を受診したところ、化学物質過敏症との診断を受けた。
別の2つの病院でも同じ診断だった。
「体調が悪くなったのは、エアコン洗浄の影響に間違いない」。
女性は何が起きていたのかを調べようと、民間の調査機関に自費で鑑定を依頼した。
エアコン近くの空気や壁などを調べてもらったところ、厚労省が定めた総揮発性有機化合物の暫定目標値の約9倍にあたる数値が検出された。
獣医に依頼して飼い猫から採取した唾液でも、pH10弱のアルカリ性が確認された。
「アルカリ性の洗浄液を使ったエアコン洗浄の影響だ」と確信した。
【洗浄剤 十分に洗い流さなかった過失認める】
女性は15年、清掃業者らに慰謝料などの支払いを求めて、東京地裁に提訴した。
①業者に過失があるか
②女性の症状との因果関係があるか
が争われたが、地裁はほぼ、女性の主張を認めた。
判決は、まず、
▽使用した洗浄液が人体に有害な化学物質を含むことは、一般的に知られていた
▽十分に洗浄しないと空気中に拡散することは、認識していた
▽化学物質過敏症は、空気中の有害な物質に解毒能力を超えて暴露されることで発症すると考えられていた
ことを前提に、「洗浄剤を十分に洗い流さなければ残留物が空気中に拡散し、化学物質過敏症を発症することを予見できた」として、洗浄部分が中性に戻るまで十分に洗い流す注意義務があったと認定した。
その上で、
①女性が清掃後から化学物質過敏症の症状を発症した
②エアコンの排水がpH10弱のアルカリ性を記録した
③アルカリ性物質は木部の変色をうながす特性があり、エアコンがあった場所に近い柱や鴨居ほど色が濃くなっていた
④エアコン近くで稼働していた空気洗浄機のフィルターから洗浄剤に由来する物質が検出された
と認め、業者が「十分に洗い流さなかった過失がある」と認定した。
業者側は、「女性は喫煙習慣などでエアコン清掃前から既に体調を崩していた」などと主張したものの、判決は、「清掃前に花粉症と腰痛以外の持病はなく、清掃後に症状が出て悪化した」と認定。
「洗浄剤を十分に洗い流さなかった過失が原因で同病を発症した」と結論づけた。
【勝訴を勝ち取り「ほっとした」 】
判決を聞いた女性は、「ほっとした。感無量です」と胸をなで下ろす。
現在、症状は一時期よりは改善したが、外出時には常にマスクを着ける。
柔軟剤など、化学物質を含んだ香りをかぐとめまいがして倒れることもあるため、人混みは極力避け、タクシーに乗る際は冬でも窓を全開にしてもらう。
呼吸が苦しくなることもあるため、長時間の移動時は携帯用酸素が欠かせない。
完治は望めず、治療法もない。
新幹線や飛行機に乗れないため、長距離の移動は難しい。
「猫と一緒に死んでしまおうか」と考えたこともある。
訴訟に踏み切ったのは、同じ病気で苦しむ人たちの役に立ちたいという思いがあったからだ。
女性は、「ハウスクリーニングなどで体調が悪くなり、化学物質過敏症を発症しても、症状や原因が特定されず、泣き寝入りしている人は少なくないはず。そうした人たちのためにも、裁判所がエアコン洗浄と病気との因果関係を認めてくれて、本当に良かった」と語った。
【専門家「香り強いものは避けるべきだ」 】
化学物質過敏症は、どのような病気なのか。
これまでに3000人の患者を診察してきた「ふくずみアレルギー科」の吹角院長によると、短期間に大量の化学物質に暴露するか、低濃度で持続的に暴露することによって発症する。
発症後は、微量の化学物質でも症状が出るようになる。
主な症状は頭痛、筋肉痛、疲労や倦怠感、関節痛。
このほか、集中力や思考力低下、不眠や感覚異常なども起こる。
女性の発症者は男性の3倍に上り、30~50代が多い。
どの化学物質に症状が出るかは人によるものの、最初は一つの化学物質に反応し、徐々に反応する物質が増えていくケースが多いという。
予防策として、吹角院長は、
①においの強い物質
②虫を殺す物質
③草を枯らす物質
④有機溶剤
⑤排ガスなど燃焼後の物質
といったものを、できる限り吸わないようにすることを提言している。
また、「五感は寝ている時に休めることが必要。においの強い洗剤や柔軟剤を使った衣類や寝具で寝ないなど、香りの強いものはできる限り避けるべきだ」と呼び掛けている。
出典
『エアコン清掃で化学物質過敏症 勝訴した女性の思いは』
https://mainichi.jp/articles/20190712/k00/00m/040/407000c アカスミ
2018年10月25日5時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ウレタン防水材などの原料に使われ、発がん性がある化学物質「MOCA(モカ)」を製造するなどしていた全国7カ所の事業所で、モカの取り扱い作業歴のある労働者と退職者計17人がぼうこうがんを発症していたことが、厚労省の調査で明らかになった。
同省は、各労働局や業界団体に改めて注意を促す通知を出すとともに、発症者が集中している事業所の従業員らに労災制度の案内に乗り出す方向で検討を始めた。
2016年に静岡県富士市にある旧Iケミカル工業(現K化学工業)静岡工場で、モカ製造に関わった労働者5人がぼうこうがんを発症していたことが発覚。
これを受け、厚労省は各労働局に対し、他の事業所でも同様の事例を確認した場合は報告するよう求め、今月19日までに把握した事例を集計した。
この結果、全国6カ所の事業所で計8人のぼうこうがん発症者が出ていたことが判明した。
全員にモカ取り扱いの作業歴があったほか、旧Iケミカル静岡工場でも新たに4人が確認され、モカに絡んだ発症者は、計17人にまで広がった。
複数の専門家によると、同工場での発症率は不自然に高いという。
厚労省によると、発症年齢は60代が10人と最も多く、12人が退職した後だった。
労安法に基づく省令では、モカを扱った労働者のがん予防や早期発見などのため、半年ごとに特別な健康診断を受けさせることを事業者に義務づけているが、退職すると健診対象から外れる。
ぼうこうがんの多発とモカとの関連性を調べている労働安全衛生総合研究所の甲田茂樹所長代理(労働衛生学)は、「長い時間がたってから発症する例が目立つ。発症のメカニズムを解明しないとはっきりは言えないが、退職後も健康状態を把握する仕組みが必要かもしれない」と指摘する。
・・・・・
出典
『モカ 製造従事の17人、ぼうこうがん発症 全国7事業所』
https://mainichi.jp/articles/20181025/k00/00m/040/155000c
(ブログ者コメント)
モカによる膀胱がん発症事例は、2年前にも紹介スミ。
当該事例の発覚は、福井県の化学工場でのオルトトルイジン調査がきっかけだった。
2016年9月28日掲載
『2016年9月21日報道 厚労省は、オルトトルイジン調査の過程で浮かび上がったMOKA(防水材などの硬化剤)がぼうこうがんの原因物質の恐れありとして調査対策を開始』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6320/
それが今回は、富士市の工場での発症がきっかけだったと報じられている。
両情報に整合性はないが、発覚したのはともに2016年ということで、どこかでつながっているのかもしれない。
2018年9月4日13時15分にNHK神奈川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし7月、横浜市で住宅の改修工事をしていた建設会社の作業員が熱中症の症状で死亡したことについて、横浜西労基署は、熱中症を防ぐための十分な対策を取っていなかったとして、この会社と61歳の社長を、労安法違反の疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、大和市の建設会社「Yエンジニアリング」と61歳の社長。
同署によると、ことし7月14日、横浜市瀬谷区で住宅のベランダの工事をしていた58歳の男性作業員が熱中症の症状で倒れ、病院に搬送されたが、その後、死亡した。
この日の横浜市内は最高気温が35.8℃の猛暑日だったが、会社では、作業員にスポーツドリンクや塩あめを配って塩分を補給させるといった、熱中症予防の十分な対策を取っていなかったとして、労安法違反の疑いが持たれている。
調べに対し、社長は容疑を認め、「水分や塩分の補給は作業員に任せていた」と話しているという。
同署によると、熱中症対策を取らずに会社が書類送検されるのは、ことしは全国で初めてだという。
今シーズンは記録的な猛暑となり、残暑も続くとみられることから、同署は、工事現場などでは熱中症対策を行うよう呼びかけている。
書類送検された61歳の社長は、NHKの取材に対し、「熱中症対策が現場任せになり、作業員を守れなかったことに責任を感じている」と話した。
会社では、今回の事故のあと、気温が30℃を超えた場合はこまめに休憩を取り、1時間以上連続して作業を行わないという再発防止策を講じたという。
出典
『熱中症死亡で建設会社を書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20180904/1050003862.html
9月3日15時34分に神奈川新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
書類送検容疑は7月14日、横浜市瀬谷区の個人宅のベランダ改修工事を実施する際、男性作業員2人に対し、高温時に義務付けられている塩分提供を怠った、としている。
2人のうち58歳の男性は病院に救急搬送され、熱中症による多臓器不全で、2日後の16日に死亡した。
同署によると、作業当日の横浜市の最高気温は35.8℃、湿度は56%だった。
2人は午前8時半から作業を始め、死亡した男性は午後0時半ごろに倒れて搬送された。
現場では、ペットボトル入りの水を用意して休憩を取るなどしていたが、屋外の炎天下で服装の通気性も悪かったという。
出典
『今夏全国初、作業員の熱中症死亡で書類送検 横浜西労基署』
https://www.kanaloco.jp/article/358090/
(ブログ者コメント)
今夏、作業中の熱中症死亡事故は、8月に長崎県松浦市の工場でも起きている。(本ブログ掲載スミ)
2018年8月22日21時14分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
徳島市の化学工場で発がん性があるとみられる化学物質を扱う作業を担当していた元従業員の男性がぼうこうがんを発症したとして、徳島労基署が労災として認定したことが、関係者への取材でわかった。
労災が認定されたのは、大阪市に本社がある化学メーカー「新日本理化」の徳島市の工場で勤務していた元従業員の70歳の男性。
この工場の元従業員で作る団体によると、男性は平成4年から10年以上、工場に勤務し、発がん性があるとみられる化学物質の「オルト−トルイジン」を扱う作業を担当していたという。
工場を退職したあと、一昨年ぼうこうがんと診断を受け、労災を申請していたが、21日、徳島労基署から認定を知らせる連絡が男性にあったという。
男性を支援する「職業がんとたたかうオルトートルイジンの会」の川上代表委員は、「無事に認定され、感謝しています。ほかの元従業員にとっても、今回の認定は心強いものだと思う」と話していた。
一方、新日本理化は、「事実関係がわからないので調査中です」としている。
徳島労基署は、「個人情報保護の観点から、請求の有無も含めて、回答を差し控えます」と話している。
出典
『化学工場の元従業員に労災認定』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180822/0005528.html
(ブログ者コメント)
本ブログでは福井市の工場で5人がオルトートルイジンにより膀胱ガンを発症した事例を2015~16年に紹介している。
2018年8月8日1時11分に北海道新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道南バス(室蘭)の元運転手で、2007年にアスベスト(石綿)関連疾患の中皮腫によって死亡した日高管内平取町のKさん(男性、当時73歳)について、浦河労基署が業務による疾患と認め、遺族に石綿健康被害救済法に基づく特別給付金を支払っていたことが7日、分かった。
患者団体によると、バス関連業務で石綿の労災と認められるのは、道内で初めて。
Kさんの長男(58)=同町=と患者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」(東京)が同日、道庁で記者会見して明らかにした。
Kさんは1959年から運転手として勤務。
64年4月から1年間は整備工場で、石綿を含むブレーキパッドの張り替えの際、準備や後片付けなど補助作業を行っていた。
93年に退職し、07年1月に中皮腫で死亡した。
遺族は今年3月、同救済法に基づく特別遺族給付金を申請。
給付金は、時効(5年)によって労災保険法に基づく補償を受けられない遺族のための救済制度で、「事実上の労災認定に当たる」(同会)。
浦河労基署は、同僚の証言などから、業務上の疾患と認定した。
決定は6月4日付。
Kさんの長男は、「バス業務で石綿被害を受けるとは思っていなかった。今回の決定が同様の被害者の救済につながれば」と話した。
厚労省によると、バスを含む交通運輸業の石綿による労災認定は13~17年度、全国で7件。
家族の会によると、バス運転手については、佐賀労基署が昨年5月、乗務前の車両点検でブレーキパッドなどの石綿を吸い中皮腫で死亡した西日本鉄道(福岡市)の元運転手の男性について、全国で初めて労災認定した。
同会は、「業界で被害が潜在化している恐れがある」としている。
出典
『道南バス元運転手の石綿労災認定 整備工場の作業で』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/216500
8月8日8時56分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
同会によると、認定されたのは、主に運転手として1959年12月から93年9月まで道南バスに勤務したKさん。
64年4月から1年間は、整備工場で補助業務を担当した。
石綿を含んだブレーキパッドの張り替え作業の準備や後片付けなどの際に、石綿を吸い込んだとみられる。
退職後の2006年3月、腹痛や嘔吐の症状で救急搬送され、腹膜中皮腫と診断されて、翌年1月に死去した。
遺族が今年3月に労災認定を申請。
バス運転手の石綿被害による労災認定は、17年5月の佐賀市の男性に続き2例目だが、運転手が乗務前にする点検と発症との関連については判断していない。
1年間という短期間の補助業務による暴露で労災認定しており、同会は、「被害の広がりを提起している」と評価する。
Kさんの長男(58)は、「なぜこんな病気になったのかともやもやしていたが、まさかバス会社でと思っていた。今回の労災認定が、多くの人が申請するきっかけになってほしい」と話した。
同会は25日から9月16日まで、道内5カ所で中皮腫・アスベスト疾患に関する講演と交流会を実施する。
出典
『アスベスト 労災認定 中皮腫で死亡男性 バス整備に従事』
https://mainichi.jp/articles/20180808/k00/00e/040/238000c
(ブログ者コメント)
西日本鉄道のバス運転手だった方の事例については、本ブログでも紹介スミ。
2018年8月8日11時36分に長崎新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午後2時15分ごろ、松浦市調川町の工場内休憩所で、作業を休んでいた男性従業員(66)が倒れているのを同僚が発見し、119番通報。
搬送先の病院で死亡が確認された。
県消防保安室は7日、男性の死因が熱中症だったと明らかにした。
同室によると、県内で熱中症による死者は今年2人目。
同市消防本部などによると、男性は工場内で貨物の整理作業を担当。
6日午後1時ごろから約45分間作業をした後、同僚に「暑い」と伝え、工場内の休憩所で休んでいたという。
その後、休憩所をのぞいた事務員が倒れている男性を発見。
救急隊員が駆けつけたときには意識はなく、心肺停止状態だった。
出典
『松浦で男性熱中症死 工場で作業中「暑い」』
https://this.kiji.is/399753965279183969?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
今年の夏は半端ない暑さ。
熱中症で救急車で運ばれた人が過去最多とか、クーラーをつけていなかった高齢者が亡くなられたなど、いろいろ報じられている。
ただ、工場内で作業中に亡くなられたという事例は、ブログ者の知る限り、今夏初めてだ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。