2017年10月20日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7685/
(2018年6月26日 修正2 ;追記)
2018年6月20日19時24分に毎日新聞から、被害者側は今年3月に損害賠償を求めて提訴したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2016年の熊本地震でブロック塀が倒壊し男女2人が死傷したのは、塀の基礎工事がされていないなど安全性が欠けていたためとして、遺族らが塀を所有していた熊本県益城(ましき)町の男性らに計約6800万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が20日、熊本地裁であり、男性側は請求棄却を求めた。
大阪府北部で震度6弱を観測した18日の地震でも、児童らがブロック塀の犠牲になっており、所有者の責任が問われた今回の訴訟の行方が注目される。
訴状によると、16年4月14日夜の前震で益城町内の塀が倒壊し、弁当店店長のSさん(男性、当時29歳)と同僚のMさん(女性、59歳)が下敷きになった。
Sさんは死亡し、Mさんは左脚粉砕骨折の大けがで障害が残った。
ブロック塀は高さ2.15mでコンクリート擁壁(高さ2m)の上に建てられ、擁壁と塀を接続する鉄筋や建築基準法施工令で設置が義務付けられている補助壁はなかった。
Sさんの遺族とMさんは、「男性側は危険性を認識していながら、必要な措置を講じなかった」と訴え、今年3月に提訴。
閉廷後、男性側の代理人弁護士は、「建築の専門家にブロック塀の構造などが適正だったか見解を聞いて、次回以降、主張していく」とした。
出典
『熊本地震 ブロック塀倒壊訴訟、所有者側は請求棄却求める』
https://mainichi.jp/articles/20180621/k00/00m/040/053000c
(2018年11月1日 修正3 ;追記)
2018年10月30日6時0分に毎日新聞から、所有者は不起訴になりそうだという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本県警が11月上旬にも「過失を問うのは困難」との意見を付け、熊本地検に書類を送付する方針を固めたことが、捜査関係者への取材で判明した。
ブロック塀は、現行の建築基準に適合していなかったが、事故が起きた熊本県益城(ましき)町は直下に断層がある上、地盤が軟らかく、仮に適合していても倒壊した可能性があると判断した模様だ。
県警の意見を踏まえ、地検も不起訴にするとみられ、立件が見送られる公算が大きくなった。
・・・・・
出典
『熊本地震 ブロック塀倒壊「過失問えず」 立件見送りへ』
https://mainichi.jp/articles/20181030/k00/00m/040/138000c
2018年3月12日18時10分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震で被災して死亡し、去年12月末までに、いわゆる災害関連死と認定されたおよそ200人について、半数の100人が地震のショックや余震への恐怖による心身の負担を抱えていたことが、熊本県の調査で明らかになった。
熊本県内の各市町村は、熊本地震のあと亡くなった人の遺族から申請を受けて、災害関連死にあたるか審査委員会で調べていて、去年12月末までに災害関連死と認定された人は、およそ200人に上っている。
こうした災害関連死が起きた背景について、熊本県は各市町村に調査を行い、12日開かれた記者会見で結果を明らかにした。
それによると、災害関連死と認定されたうち半数の100人が地震のショックや余震への恐怖による心身の負担を抱えていて、不眠や食欲の低下などで体調が悪化したケースだという。
調査結果は、市町村による複数回答で、次いで「避難生活などでの心身の負担」が74人、病院の被災による「医療機関の機能停止など」が43人などとなっている。
熊本県健康福祉政策課は、「震度7を観測した地震が2度発生したことや、避難生活の長期化などが肉体的・精神的な負担につながったと考えられる。今後の被災者のケアに生かしたい」としている。
出典
『災害関連死は地震恐怖が半数』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20180312/5000001788.html
2017年11月30日10時37分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年4月の熊本地震では、回送運転中の九州新幹線の6両編成のすべての車両がJR熊本駅に近い高さおよそ10mの高架橋の線路で脱線し、国の運輸安全委員会は30日、事故報告書を公表した。
報告書では、脱線した地域の揺れは最大で震度6強とみられるとした上で、コンピューターのシミュレーションで再現した結果、地面の揺れの強さは軟らかい地盤の上だったことなどから、最大で398ガルだったとしている。
さらに、高架橋によって揺れが増幅し、地面からおよそ10m高い線路上では最大で730ガルと、2倍近くになっていたとみられることがわかったという。
報告書では、地震の揺れが増幅された結果、新幹線が左右に揺れながら走行する状態となり、脱線した可能性が高いと指摘している。
事故を受けてJR九州は、現場周辺の17kmの区間に車輪が外れないようにする「脱線防止ガード」を設置したが、報告書では、地震発生のリスクや脱線による被害の大きさなどを考慮して、さらなる対策を求めている。
出典
『新幹線脱線は高架橋が揺れを増幅』、
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20171130/5000000912.html
11月30日11時43分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月30日13時23分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年4月の熊本地震の前震により回送中の九州新幹線(6両編成)が脱線した事故で、国の運輸安全委員会は30日、「脱線防止装置が設置されていれば、脱線の発生リスクを低下できた可能性がある」などとする調査報告書を公表した。
報告書によると、回送車両は同4月14日午後9時25分にJR熊本駅を発車。
約1分後、車両基地の「熊本総合車両所」に向けて時速約78kmで走行していたところ、マグニチュード(M)6.5の地震が起きた。
報告書によると、揺れを感知して非常ブレーキをかける「対震列車防護システム」は正常に作動したが、速度が落ちる前に車体が左右に揺さぶられ脱線した。
全6両が脱線したまま約160m走行し、車輪は左右に最大57cmずれた。
乗車していた運転士1人にけがはなかった。
九州新幹線は、レールのすぐ内側にガードを敷き、車輪を挟み込んで外れないようにする「脱線防止ガード」を設置する作業を進めていたが、現場周辺はこの装置がなかった。
この回送車両には、線路から大きく外れるのを防ぐために車体の下に取り付けられる突起状の「逸脱防止ストッパー」もなかった。
安全委によると、回送車両が走行していた高架橋(高さ約10m)の揺れは、新潟県中越地震(2004年)で上越新幹線が脱線した現場と同規模と推定される。
シミュレーションでは、脱線防止ガードがあれば脱線しないとの結果が得られたという。
JR九州は事故後、周辺区間(17km)に脱線防止ガードを設置するなど、対策を講じている。
出典
『九州新幹線事故 防止装置で脱線リスク低下 運輸安全委』
https://mainichi.jp/articles/20171130/k00/00e/040/279000c
『九州新幹線の脱線、防止ガードあれば… 運輸安全委指摘』
http://www.asahi.com/articles/ASKCY53V4KCYUTIL037.html
11月30日10時0分に産経新聞westからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運転士が衝撃を感じて非常ブレーキをかけたが、6両全てが脱線した。
乗っていたのは運転士だけで、けがはなかった。
報告書によると、地震でレールが左右に揺れたため、列車の車輪がレールに乗り上げて脱線。
現場の揺れは震度6弱~6強だったと推測され、運転士は縦揺れを感じてブレーキをかけた後に激しい横揺れに襲われたという。
車両や線路自体に問題はなかった。
JR九州は地震が懸念される箇所に脱線防止ガードを導入しているが、この現場は当時未整備だった。
運輸安全委が、設置されていた場合をシミュレーションすると、脱線しなかったとの結果が出た。
報告書は、高速で走る新幹線の脱線は大きな被害を招く恐れがあるとして、設置計画の見直しを求めた。
出典
『熊本地震の九州新幹線脱線、強い揺れで車輪がレールに乗り上げ』
http://www.sankei.com/west/news/171130/wst1711300023-n1.html
(ブログ者コメント)
朝日新聞の記事は、「対震列車防護システム」が作動して非常ブレーキがかかったと読み取れる内容だったが、委員会の報告書を確認したところ、運転士が非常ブレーキをかけたと記載されていた。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/railway/rep-acci/RA2017-8-2.pdf
2017年10月14日7時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年4月の熊本地震で倒壊したブロック塀の下敷きになり死亡した熊本市東区のSさん(男性、当時29歳)の遺族が、塀の所有者だった熊本県益城(ましき)町の社会医療法人理事長を、過失致死容疑で熊本県警に告訴する方針を固めた。
月内にも告訴する。
熊本地震は14日で発生から1年半となるが、倒壊した工作物を巡って刑事責任を問うケースは初めて。
遺族代理人の今村弁護士は、「ブロック塀は基礎工事がされておらず、倒壊が予見できた」と主張する。
告訴状などによると、Sさんは前震があった昨年4月14日夜、益城町内にある職場の同僚宅敷地内にいた。
隣の病院との境界には、病院が高さ約2mのコンクリート擁壁の上に長さ約15.6m、高さ約2mのブロック塀を設置。
そのブロック塀が崩れて、下にいたSさんが死亡した。
同僚のMさん(女性、58歳)も下敷きとなって左脚を粉砕骨折しており、告訴する意向。
ブロック塀を含むコンクリート建造物の耐震基準は、1978年の宮城県沖地震を受けて81年に、「震度6強~7程度の大地震でも倒壊しない」強さにするよう定められた。
日本建築学会は、高さ1m以上の擁壁の上にブロック塀を設置する場合は、高さ1.2m以下を推奨している。
病院側の説明や謝罪はないといい、Sさんの母(60)は、「息子の人生はこれからだった。ブロック塀の耐震化をよりしっかりして、悲しい思いをする遺族が出ないようにしてほしい」と話す。
社会医療法人は、「ご冥福をお祈りする。大災害の中での事故という認識で、説明ができなかったのは情報が不足していたからだ」と話している。
東日本大震災では、東京都内の駐車場スロープが崩落して8人が死傷した事故があり、構造設計担当者ら4人が書類送検され、うち1人が業務上過失致死傷罪で在宅起訴された。
1審は有罪だったが、控訴審は「担当者としての義務は尽くされている」として逆転無罪となり、確定した。
出典
『熊本地震 塀倒壊で下敷き死 遺族、所有者を刑事告訴へ』
https://mainichi.jp/articles/20171014/k00/00m/040/133000c
10月14日12時58分に毎日新聞から、下記趣旨の関連記事がネット配信されていた。
昨年4月の熊本地震の発生から、14日で1年半になった。
Sさんが14日の前震で倒壊したブロック塀の下敷きになって死亡した益城町の事故現場には、Sさんをしのんで花を供える人の姿があった。
被災時に一緒に下敷きになり、左脚の骨折による後遺症がある益城町のMさん(58)。
SさんはMさんが勤めていた弁当店の店長だった。
ブロック塀はMさん宅と隣の病院の境界にあった。
「暗闇の中、あっという間にブロック塀が落ちてきた。真横にいた店長のおかげで隙間(すきま)ができたが、店長がいなければ私は生きていなかったと思う」と、涙ながらに話した。
MさんとSさんの母(60)は、約2mの高さの擁壁上に立てられたブロック塀について「危険な工作物であり、小規模な揺れでも倒壊することが予想できた」として、ブロック塀の所有者だった社会医療法人理事長を、近く、過失致死傷容疑で県警に告訴する意向。
Mさんは、「病院からは何の謝罪も説明もない。今後、同じような事態が発生しないためにも、責任の所在をはっきりさせたい」と話し、ビールと花を供えて手を合わせた。
出典
『熊本地震 1年半で追悼 ブロック塀の下敷き事故現場』
https://mainichi.jp/articles/20171014/k00/00e/040/175000c
(ブログ者コメント)
地震で壊れたブロック塀による被害の損害賠償については、以下のような記事もあった。
Q: 熊本地震で、両親のすむ家のブロック塀が倒れ、隣地の家の外壁を傷つけてしまいました。
隣地の所有者から、外壁の補修費用を請求したいと言われています。
ブロック塀は30年前に建てられ、両親の家の敷地内に設置されています。
長さの詳細は分かりませんが、高さは4段です。
両親が支払うべきなのでしょうか。
A:熊本地震で当地では、4月16日の本震と14日の前震とも震度6強や震度6弱が記録され、地震後1ヵ月経っても震度3程度の余震が継続しています。
お問い合わせの件は、30年前に設置したブロック塀の維持管理に落ち度があるのかとの問題と考えられます。
一般的な場合には、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を与えた場合は、工作物の占有者は被害者に対してその損害を賠償する責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならないと規定されています(民法717条1項)。
しかし、全く予想外の災害により工作物が破壊されたときには、損害賠償の対象にはならないと考えられています。
今回の地震の場合、いずれに該当するのかは、個別具体的に検討しなければ、判断することができないと思われます。
『地震でブロック塀が倒壊し隣家外壁を傷つけた。当方に賠償義務はあるか』
(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターHP)
http://www.chord.or.jp/case/7083.html
(2017年11月3日 修正1 ;追記)
2017年10月31日20時6分に毎日新聞から、告訴状が提出されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
Sさんの母親とMさんが31日、ブロック塀の所有者で同町の社会医療法人理事長について、過失致死傷容疑で熊本県警に告訴状を提出した。
倒壊したブロック塀は基礎工事がされておらず、建築基準法施行令が塀に垂直に設置するよう義務づけている「控え壁」もなかった。
また、10年以上前から住民が「危険だから撤去してほしい」と訴えており、理事長は危険性を認識していたのに必要な措置を講じず、倒壊で2人を死傷させたとしている。
出典
『熊本地震 ブロック塀倒壊死で告訴状』
https://mainichi.jp/articles/20171101/k00/00m/040/053000c
2017年3月6日17時54分にNHK福岡NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震に伴う南阿蘇村での土砂災害のうち、2人が死亡した宿泊施設の現場について、九州大学などの国際共同研究グループは、地下水を多く含む軽石の地層が地震の揺れで液状化し、地滑りを起こした可能性が高いとする調査結果を発表した。
熊本地震では、南阿蘇村の複数の場所で土砂災害が発生し、このうち2人が死亡した宿泊施設「ログ山荘火の鳥」の現場について、九州大学などの国際共同研究グループが調査結果を発表した。
それによると、この現場の崩れた土砂には軽石が多く含まれていて、付近の地質を調べたところ、地下7m付近に、およそ3万年前の噴火で堆積した軽石が多く含まれる地層が見つかったという。
また、この地層の真下には水を通しにくい層があるため、軽石の地層には地下水が多く含まれていたとみている。
このため研究グループは、地震の揺れで軽石が砕かれ、さらに地下水を多く含むために液状化現象が起き、地滑りを起こした可能性が高いとしている。
研究グループのリーダーで、九州大学大学院のハザリカ・ヘマンタ教授は、「今回の結果を、各地のハザードマップに生かしていきたい」と話している。
出典
『阿蘇土砂災害は軽石層原因か』
http://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20170306/4451251.html
2016年6月21日15時27分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
須賀川市の企業が開発した段ボール製のパネルを使った救急治療室が、熊本地震の被災地に送られることになり、21日、出発式が開かれた。
熊本地震の被災地に送られることになったのは、須賀川市の企業が開発した、段ボール製のパネルを組み立ててつくる救急治療室で、熊本県宇城市の保健所に提供される。
21日は、この会社の工場で現地へ向けての出発式が開かれ、県の関係者や社員など、およそ10人が参加した。
式では、はじめに神田雅彦社長が「安全に現地に届けてほしい」と激励したあと、現地へ届ける社員が「開発した製品が被災地で役に立つのか、しっかりと確認したい」と答えていた。
そして、段ボール製のパネルを積んだ車に乗り込み、熊本に向けて出発していった。
今回送られる救急治療室は、完成すると6畳ほどの広さがあり、福島県によると、こうした治療室が熊本地震の被災地に提供されるのは初めてだという。
神田社長は、「東日本大震災では、さまざまなものが、使いたくても使えない状況だった。避難生活を送る人たちに不自由のない生活をしてもらいたい」と話していた。
出典
『段ボールの救急治療室 熊本へ』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6053317081.html?t=1466541275637
少し前、2016年1月4日にも、毎日新聞福島版から、防音室や救命用に使えるという記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
「これなら周りを気にせず歌えます」。
半畳ほどの広さの個人向け段ボール製防音室。
福島県須賀川市の段ボールメーカー「神田産業」の神田雅彦社長(55)は、かがんで中に入ると胸を張った。
1人で歌ったり楽器を演奏したりして動画サイトに投稿する愛好家が増えている。
その愛好家らが室内にこもり気兼ねなく歌えるようにと製作されたのが、この「だんぼっち」と名付けた防音室だ。
標準サイズは幅80cm、奥行き110cm、高さ164cm。
2014年2月から販売すると注文が殺到。
さらに縦長や幅広型も開発し、価格は標準サイズを含め5万9800〜8万6400円。
15年11月末までに計約1700台売れた。
漫画家の作業用や書斎、受験勉強用と使われ方も多様化し、12月には韓国にも45台が出荷された。
発案と販売元は、玩具メーカー、バンダイナムコの子会社「VIBE(バイブ)」(東京都中央区)。
低コストで防音室を製作できるメーカーを探していたところ、東北地方の企業などでつくる経済団体に神田産業を紹介された。
同社は梱包用段ボールのメーカーだが、梱包以外の活用法を探ろうと、防音性に着目した研究を続けていた。
その研究で注目したのが、六角形の芯材をハチの巣(ハニカム)状に並べ、両側に紙製の板を張った段ボール「ハニリアルボード」の防音性だ。
厚さ約3cmだが、1m2当たり30トンの荷重に耐えられ、断熱性にも優れる。
「だんぼっち」は、このボードを用い、扉の枠部分にゴムを使い、隙間ができないようにするなどして、密閉性を高めた。
「室内で大声で歌っても、外では普段の会話程度の声にしか聞こえません」。神田産業の担当者が説明する。
ハニリアルボードを使い、開発を進めているのが、災害現場で負傷者への緊急手術や治療ができる「救急救命(ER)室」。
福島県立医大などと共同研究し、16年度中の実用化を目指す。
ER室は、幅6m、奥行き3.6m、高さ2.5mで、重さは約250kg。
組み立てに工具を使わず、3人で30分ほどで組み立てられるようにする。
従来の医療テントより密閉性が高く、手術に加え、重篤な感染症患者の治療室にも活用できる。
場所を選ばず災害や緊急時に役立つとして、既に、国や病院から問い合わせが来ているという。
コストを下げ、アフリカなど海外に輸出することも検討中だ。
神田社長は、「身近な段ボールだが、アイデア次第で思わぬ活用法が生まれる。社会貢献にもつながれば、こんなうれしいことはない」と話す。
出典
『福島・段ボール製品 大声で歌える防音室 軽さ生かし救命用にも』
http://mainichi.jp/articles/20160104/ddl/k04/040/034000c
(ブログ者コメント)
被災地で段ボール製のベッドや間仕切り、トイレが役立つことは本ブログでも情報提供してきたが、救急治療室まであったとは驚いた。
(2016年7月30日 修正1 ;追記)
2016年7月29日19時50分にNHK福島から、初納入の医科大学で組み立て状況が披露されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大規模な災害や感染症が発生した際に、すばやく組み立てて使える段ボール製の治療室が開発され、29日、県立医科大学で披露された。
段ボール製の組み立て型救急救命室は、須賀川市の企業が県の支援を受けて開発し、29日、初めて納入された県立医科大学で、医師などの関係者に披露された。
使われているのは、軽くて強度の強い「ハニカムダンボール」と呼ばれる素材で、1枚が縦2.4m、横1.2m、重さ8.5kgのパネルを組み合わせて使う。
5人が作業して1時間ほどで組み立てることができ、これまで災害現場などで使われていたテントに比べて、機密性や保温性、清潔性などに優れ、熊本地震の被災地でも使用されている。
県立医科大学では、救急救命室としてだけでなく、新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合でも、病院に病原体を入れないよう外で治療できる場所として、活用することにしている。
県立医科大学の金光教授は、「燃やして処分できるなど、感染症対応に向いていると思い採用しました。段ボールとは気づかないほど立派で強度もあり、不安はありません」と話していた。
開発した「神田産業」の神田社長は、「誰でも、短時間で、工具を使わず組み立てられるようにするのが大変でした。実際に使ってもらいながら改善を繰り返していきたい」と話していた。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6054389461.html?t=
2016年6月7日20時9分にNHK京都から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震の被災地で、住民が車の中で寝泊まりする、いわゆる「車中泊」が多く見られたことを踏まえ、京都府は、大型の商業施設や公共施設などの駐車場をあらかじめ屋外の避難所として指定するための検討を進めていることを明らかにした。
これは7日、京都府庁で開かれた行政機関やライフライン事業者などで作る京都府の防災会議で、京都府が明らかにした。
会議では、京大防災研究所の牧紀男教授が熊本地震を踏まえた提言を行い、「車中泊」への対策として、あらかじめ行政が大規模な駐車場の位置を把握したり、救援物資を確実に届けるための方法を検討したりしておくべきだなどと指摘した。
これを受けて京都府の担当者は、大型の商業施設や公共施設などの駐車場のうち、屋外の避難所として利用できるところがどの程度あるか、現在、調査を進めていて、今後、避難所としてあらかじめ指定できないか、事業者や市町村と調整を行うと報告した。
熊本地震の被災地では、避難所などに入らず、車中泊を行う人が多く見られ、救援物資が届けられなかったり、健康状態の把握などが課題となった。
山田啓二知事は、「熊本で起きた問題は人ごとではなく、京都でいつ起きてもおかしくない状況だと思う。皆さんと危機感を共有し、対策を進めていきたい」と話していた。
出典
『車中泊対応で駐車場を避難所に』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/2015859051.html?t=1465333482525
2016年5月12日付で毎日新聞東京版夕刊からは、政府も車中泊避難に関する新たな指針を策定すべく検討中だという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
政府は、熊本地震で課題となった「車中泊避難」について、新たな指針などを策定する検討に入った。
国の防災基本計画や避難所運営ガイドラインは車中泊対策に触れておらず、自治体の地域防災計画にも盛り込まれていないケースが多い。
今後、地域防災計画などを修正する際の参考となるよう、対策を講じる。
熊本地震は大きな余震が続き、「屋内が怖い」と、車で寝泊まりする被災者が相次いだ。
長時間の車内避難生活はエコノミークラス症候群(肺塞栓症など)の原因となり、死に至る場合もある。
車中泊が原因とみられる震災関連死は2004年の新潟県中越地震などで注目され、熊本地震でも犠牲者が出て問題化した。
政府は、「まずは避難所の整備が重要。車中泊での避難は好ましいとは言えず、計画などに盛り込むと車中泊が肯定される可能性がある」(内閣府の防災担当者)として、二の足を踏んできた。
具体的には、
▽指定避難所の駐車可能台数をリスト化
▽避難所以外で車中泊する被災者を把握できるよう、大型駐車場の場所を事前に把握
▽エコノミークラス症候群を防ぐ効果がある弾性ストッキングを備蓄
▽車中泊の被災者に速やかに避難所に移ってもらうよう働きかける
などの対策を検討している。
出典
『熊本地震 「車中泊避難」に指針 地震対応で政府が策定検討』
http://mainichi.jp/articles/20160512/dde/001/040/069000c
(ブログ者コメント)
○本件、京都府以外にも、全国各地の自治体で同様な検討が行われていることと思うが、その代表例として紹介する。
○熊本地震時における車中泊避難の様子は、下記記事参照。
2016年5月14日掲載
熊本地震の情報や教訓を明日に活かす⑥ 余震への不安などで車中泊する人が多く駐車場不足が問題化、エコノミー症候群で死者も (1/2)
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5912/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5911/
2016年6月7日18時36分にNHK高知から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
一連の熊本地震で、避難所に指定されている学校の体育館などで「非構造部材」と呼ばれる天井や照明などが落下する被害が相次ぎ、多くの避難所が利用できなくなったことを受けて、県は、避難所の緊急点検を行っている。
緊急点検は48の県立高校や特別支援学校などが対象で、7日は南国市の高知東工業高校に県の職員などが訪れ、点検が行われた。
点検では、「非構造部材」と呼ばれる天井や照明などが地震の揺れによって落下しないか、国のガイドラインに基づいて確認していた。
熊本地震では、避難所の建物自体は、耐震化されていたため被害がなかったにも関わらず、天井や照明などが落下して、避難所が利用出来なくなるケースが相次いだ。
県教育委員会学校安全対策課の片岡さんは、「熊本地震の被害を受けて、今回の緊急点検で対策が必要な場所を洗い出して、早急に対応していきたい」と話していた。
県教育委員会は、来月中には48校すべての緊急点検を終え、必要な対策を行うとともに、小中学校についても非構造部材の点検を行うよう、市町村に呼びかけていきたいとしている。
(ブログ者注記)以下は、文字情報にはないがナレーションで流された情報。
文科省によると、全国の公立学校で去年4月の時点で非構造部材の耐震性の点検をしたのは93%にのぼる。
しかし、耐震不足などを指摘され実際に対応を取った学校は、全体の65.9%にとどまる。
出典
『避難所の天井や照明など点検』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/8015847541.html?t=1465333590634
(ブログ者コメント)
○本件、全国各地で同様な点検が行われていると思うが、その代表例として紹介する。
○熊本地震時に避難所で非構造部材が落下した事例は、下記参照。
2016年5月23日掲載
熊本地震の情報や教訓を明日に活かす⑳ 指定避難所の1割強が天井や照明の落下などで使用できず
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5953/
○文科省のHPに開催されているガイドブックは下記。
平成27年3月付「学校施設の非構造部材の耐震化ガイドブック(改訂版) 地震による落下物や転倒物から子供たちを守るために - 耐震点検の実施」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/shuppan/1291462.htm
その中のチェックリストを見ると、点検内容は以下のような感じだ。
「点検項目」
天井(天井仕上げボード、モルタル等)にずれ、ひび割れ、しみ等の異常は見当たらないか
「点検内容」
ずれている
落ちそう
膨れている
・・・・・・・・
○NHKの映像では、県の職員と思しき方が、チェックリストを見ながら、フロアーから上方などを目視点検していたが、それは、ガイドブックに準拠した点検だったのだろう。
足場を組んでの本格的な点検は、莫大な費用がかかるので、目視点検でやむを得ないところだ。
2016年6月6日21時41分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震で被災した自宅の修理中に、屋根などから転落する事故が相次いでいる。
需要が急増し、業者に修理を依頼しても「1年待ち」の状態。
住民が自ら作業するケースが増えており、被害の拡大が懸念される。
熊本赤十字病院(熊本市東区)によると、前震翌日の4月15日〜今月3日、屋根や脚立などから転落して治療を受けた人は44人。うち25人は骨折などの重傷を負い入院した。
屋根にブルーシートをかけたり、張り替えたりした際の事故が多いといい、病院の担当者は、「梅雨入りしており、雨の中の作業は滑りやすく特に危険。頭部外傷など一生引きずる、重大なけがにつながりかねない」と、注意を呼びかける。
出典
『熊本地震 屋根修理中の転落相次ぐ 業者1年待ちで』
http://mainichi.jp/articles/20160607/k00/00m/040/041000c
1ケ月ほど前の5月13日10時23分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本地震で壊れた自宅を修理中、屋根などから転落してけがをするケースが相次いでいる。
殺到する修理の依頼に専門業者が追いつかず、住民自身が屋根に上がるケースが増えているとみられる。
地震発生から14日で1カ月。
余震が続いている上、雨が降った後は足元が滑りやすい。
熊本市内の病院の担当者は、「作業には十分気を付けてほしい」と呼び掛けている。
熊本赤十字病院(熊本市)では、最初に地震が起きた翌日の4月15日から5月9日にかけて、建物などから転落して負傷し、治療を受けた人が28人に上った。うち、骨折などの重傷が少なくとも8人いた。
屋根で作業中に転落したり、はしごから落ちたりした人が多いという。
熊本医療センター(熊本市)でも、屋根の修理中に足を滑らせるなど、少なくとも2人が骨折で入院した。
熊本市消防局によると、復旧事故に伴う救急搬送が目立ち、業者の作業員が運ばれた例もあった。
家が半壊し、片付けはこれからという熊本県益城町の会社員、植村さん(51)は、「ボランティアが屋根に上ってけがでもされたら大変。業者に頼もうと思っている」と話す。
東瓦工業(熊本県大津町)の作業員は、12日、南阿蘇村立野地区で、崩れた瓦を屋根から撤去し、雨漏り防止のブルーシートをかけていた。
東社長(67)は、「地震で壊れた瓦は滑り落ちやすく、慣れない人が上って作業するのは危ない」と指摘。
ただ、修理依頼の全てには応じられない状況で、「梅雨や台風の季節を前に、待ち切れない住民も多いのだろう」ともどかしそうだった。
熊本市の屋根工事会社「朝日住建」には、これまで屋根の修理依頼などが約500件あった。
外見上は気付きにくくても、屋根の損傷で滑りやすくなっている場合もあるといい、担当者は、「職人でも高所作業は危険で、ヘルメットを着用している」と話していた。
出典
『自宅修理中に転落事故相次ぐ 余震治まらず瓦は滑りやすい』
http://www.sankei.com/west/news/160513/wst1605130029-n1.html
2016年5月23日19時44分にNHK関西NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月の熊本地震では多くの住宅が被害を受けたが、特に関係者に衝撃を与えたのが、阪神・淡路大震災をきっかけに見直された新しい耐震基準の建物が倒壊したり大きく壊れたことだった。
いったいなぜなのか?
京都大学の研究者の現地調査に密着した。
(ブログ者注記)
NEWS WEB上の文字情報は上記のみ。
以下は、ブログ者が趣旨をテープ起こしした内容。
益城町の矢野さんは、平成22年に建てた住宅に住んでいた。
この住宅は、最初の震度7の揺れには耐えたが、2回目の激しい揺れで倒壊した。
(矢野さんの話し)
『まわりの古い家はいっぱい立っていて、一番大丈夫だろうと思っていた、この家がこういう状態になって、ショックを受けた』
平成12年に見直された耐震基準の住宅が、これまでの調査で、益城町では少なくとも8棟が、倒壊や大規模に壊れていたことが分かった。
(木造住宅の耐震性に詳しい京大五十田教授の話し)
『新耐震基準で壊れるのはマズイ。原因を究明しないといけないと思う。』
新耐震基準では、
○耐震性が高い壁を外側にバランスよく配置
○柱と梁の接合部などを金具で止める
などして、倒壊を防ぐとしている。
なぜ、新耐震基準の住宅が大きく壊れたのか?
こちらは平成19年築の平屋木造住宅。
2回目の地震で大きく傾いた。
同じ方向の筋交いばかりに見える。左上方向への筋交いが7本あって、逆向きのは1本だけ。
バランスのよい配置がみられない。設計上の配慮不足ではないか?
次に、1階部分が倒壊した矢野さんの自宅。
五十田教授は、1階と2階のバランスに注目した。特に注目するのは、玄関側の壁の配置。
2階の玄関側の壁は、横一線上に配置されているが、1階の、2階の壁の真下には、壁はほんの一部分にしかない。
五十田教授は、2階の重みを1階で直接支える壁が少なくなっている、と指摘する。
このため、横揺れで2階にかかった重みを、1階で支えきれなかった可能性があるという。
五十田教授は、上下の壁の位置についての規定は今の耐震基準にはないが、地震に、より強くするためには、重要な項目だと言う。
出典
『“新耐震基準でも倒壊”なぜ』
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20160523/5523391.html
(ブログ者コメント)
○放映時間は8分44秒。現状の耐震基準の問題点などが、CGを使うなどして解説されている。
元記事は5月29日(日)まで参照できるので、本情報だけは早目に紹介した。
○この報道に接し、我が家の新築時の写真をすぐにチェックした。
結果、筋交いが写っている写真は少なく、方向性については確認できなかった。
全部屋、内側から写真をとっておけばよかったと思っても、それは後の祭り。
一方、我が家は、今回報道された家とは逆に、2階部分がはみ出す形になっているが、倒壊した住宅と同様、2階の壁の下、1階に壁がない部分があった。
しかし、報道された家では、1階に壁がない部分が全体の8割程度に見えたが、我が家の場合は6割程度の模様。
この差が分かれ道・・・と思いたい。
2016年5月17日付で毎日新聞西部版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州電力と西部ガスは、熊本地震で生活インフラ早期復旧に向けて奮闘した。
九電は4月16日にあった本震から5日目、西部ガスは15日目で、それぞれほぼ復旧を果たした。
同業他社からの応援や過去の災害に学んだ対策が功を奏したケースがあった一方で、新たに見えてきた課題もある。
「180台ぐらい発電機車が必要だと考えたが、うちは50数台しか持っていない。確保するのは今までにないハードルだった」。
九電の瓜生社長は振り返る。
熊本県南阿蘇村で土砂崩れなどにより鉄塔15基で倒壊が懸念される状態になり、熊本県阿蘇市、南阿蘇村、高森町に電力を供給する6万6000ボルトの送電線が使えなくなった。
全国の電力会社から発電機車110台の派遣を受けた。
1995年の阪神大震災後に結ばれた協定に基づくものだが、「自分の管内で何かあれば大変なことになるのに、ぎりぎりいっぱいまでご協力をいただいた」(瓜生社長)。
これにより、停電を解消した。
九電は、4月27日までに仮鉄柱などの建設を終え、他社の発電機車を戻した。
ただ、より強度の高い本鉄塔の建設は、来年以降になる見通しだ。
瓜生社長は、「あのエリアに送電線が1本しかなかった。(長期的な視野で)宮崎、大分側からもう1本送電線がある必要性を感じた」と語る。
送電線がもう1本あったとしても停電解消の時期が早まったわけではないが、本鉄塔での供給ができるため、台風など再び自然災害が起きても、安定して電力供給できるという。
一方、西部ガスは、耐震性の高いガス管が敷設されていたので、地震による損傷箇所が少なく抑えられた。
従来のガス管は亜鉛でメッキされた鋼で、耐震性の高いガス管はポリエチレンとなっており、伸縮性が10倍以上ある。
阪神大震災でポリエチレン管が揺れに強いことが実証され、95年度末は約70%だったが、2014年度末には87%に達した。
同社幹部は、「損傷していた多くが古いタイプのガス管だった」と話す。
被災した全ガス供給地域で復旧できる状態になるのは5月8日を予定していたが、損傷が想定より少なかったために、4月30日に前倒しできた。
とはいえ、初期対応で課題も残った。
ガスの供給再開時、顧客の立ち会いが不可欠だ。
不在の場合は連絡してもらうようにフリーダイヤルを記載した票を置いたが、回線がいっぱいでつながりづらかった。
ホームページで再訪問予約を受け付ける対応を28日から始めたが、全地区で供給再開できる状態となった30日時点でも、約1万6000戸は不在で再開できなかった。
同社は、「地震からどう教訓を得られるか、今後検討したい」としている。
出典
『熊本地震 九電・西部ガス奮闘 「過去」生かし早期復旧』
http://mainichi.jp/articles/20160517/ddp/008/040/015000c
『71指定避難所使えず 天井材や照明落下などで』
(2016年5月19日11時0分 熊本日日新聞)
熊本地震を受け、県内に最大562カ所設けられた指定避難所で、計71カ所の建物が天井材や照明器具の落下などで避難場所として使用できなかったことが、18日、分かった。
建物の骨格部分に比べ、こうした天井材などの「非構造部材」の耐震化は遅れており、阪神大震災などでも問題になった。
馳浩文部科学相は、17日、「施設を避難所として十分機能させるため、被害を低減する対策を進めたい」と述べ、耐震化を推進する方針を示している。
熊本日日新聞が、被害の大きかった県内20市町村に取材したところ、45の学校施設のほか、市町村運営の体育館15、公民館6、庁舎5の計71カ所で建物が損傷。
避難所そのものが開設できなかったり、学校校舎と体育館のうち体育館が使えなかったりした。
理由の9割は、天井や壁材など非構造部材の損傷により、内部の安全性が保てなかったためだった。
宇土市や八代市の庁舎のように、建物本体が損傷したり、学校の敷地外に亀裂ができたりしたケースもあった。
熊本市では全171カ所のうち30カ所、益城町では全16カ所のうち10カ所で、建物が使えなかった。
このうち、熊本市の小中学校では24体育館が閉鎖となり、避難者は校舎や武道場などで過ごした。
災害対策基本法は、避難者を滞在させるための施設として、市町村に避難所指定を義務付けている。
▽適切な規模
▽速やかに被災者を受け入れ、物資を配布できる
▽災害の影響が少ない
▽車両による輸送がしやすい
などの条件がある。
http://this.kiji.is/105832387741499397?c=39546741839462401
『避難所の体育館天井ボードが落下 けが人なし 南阿蘇村』
(2016年4月28日16時7分 朝日新聞)
28日午前6時ごろ、南阿蘇村が避難所として使っている村久木野(くぎの)総合センター体育館で、天井の石膏ボード1枚が床に落ちた。村が明らかにした。けが人はいなかった。
村は体育館を閉鎖し、避難していた住民38人は別の避難所に移ったという。
村によると、ボードは長さ1.8m、幅30cmで重さが約2kg。
余震で留め具が緩み、隙間から雨や湿気が入り落下した、と村はみている。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4X54JCJ4XTIPE02D.html
(ブログ者コメント)
○今回をもって、一連の情報提供を終了する。提供した情報は下記。
① 支援物資配布システムの早期構築が課題 (1/2、2/2)
② コンビニやスーパーなどは2日後には品薄がちだが再開、5日後にはほぼ平常通り
③ 相も変わらずトイレ問題が切実
④ 避難所に段ボールベッドなどが送られ、特に高齢者の負担が低減
⑤ 避難所に組み立て式の間仕切りを設置して、プライバシー保護
⑥ 余震への不安などで車中泊する人が多く駐車場不足が問題化、エコノミー症候群で死者も (1/2、2/2)
⑦ 余震への不安などで屋外で避難生活している人のため、テントが提供された
⑧ 福祉避難所の確保と周知が課題
⑨ 外国人被災者への支援が課題 (1/2、2/2)
⑩ ペット連れ被災者用の避難場所確保が課題
⑪ 電気は本震から5日後にほぼ復旧、送電線が使えない阿蘇地区は全国の電力会社から発電機車の派遣を受けて臨時復旧した
⑫ 都市ガスは全国のガス会社から応援を得て2週間で復旧
⑬ 水道復旧には最長数ケ月、復旧しても水源が地下水だと飲めないことも、病院の貯水タンク破損で治療に支障も (1/2、2/2)
⑭ 下水は地震直後でも少しは使用可能だった? 詳細不明
⑮ 2回連続の大地震は1981年に定められた耐震基準の想定外
⑯ 古い時代の造成地や河川周辺など、地盤に問題がある地域に家屋損壊が集中
⑰ 倒壊した建物と倒壊しなかった建物とを比較検証する動きあり (1/2、2/2)
⑱ 震度7クラスの強い揺れが連続して起きるという想定で自治体が防災計画を見直す動きあり
⑲ 緊急輸送道路113路線のうち28路線50カ所が、陥没や落石、沿道家屋の倒壊などで通行止め、支援物資滞留の一因に
⑳ 指定避難所の1割強が天井や照明の落下で使用できず
○ブログ者は、これまで、関東大震災クラスの大地震に見舞われた場合、わが家は全壊するという想定で、対策を考えてきた。
しかし、家が全壊するなら、家具の固定や食料備蓄などしても無駄という気もして、結局のところ、中途半端な対策に終わっていた。
それが今回、熊本地震などから学んだ点をベースに我が家の被害を以下のように想定し直し、結果、とるべき対策が見えてきた。
①最大震度は6強。
※県と市の災害想定に準拠。
②家は潰れない。ただ、軒瓦が一部落ちるかも。
※市の防災マップによれば、市の中では地盤は強固なほう。
※家は耐震基準で建築。あの大工さんなら手抜きなし?
③電気は、3日以内に使えるようになる。
※東京湾岸の全火力発電所が停止、大きな損壊なし。点検終了機から順次再稼働と想定。
※在住地は電力優先供給地域で、東日本大震災時でも計画停電対象外だった。
④上水道は、5日以内に使えるようになる。
※市は計画的に水道管の耐震化を進めているらしい。10日ほど前にもその工事を見かけた。
⑤下水道は、3日以内に使えるようになる。
⇒(対策)トイレ用の水を川で汲める場所を見つけておいた。容器も準備。
⑥ガスはLPGにつき、震災直後から使える。
⑦コンビニ、スーパーでの買い物は、3日後から可能。
当然、想定外の事態も起こり得るわけだが、それはそれで仕方がない。
『熊本地震 緊急道寸断50カ所…耐震基準設定なく』
(2016年5月16日9時13分 毎日新聞)
熊本県が大規模災害時に救助隊や救援物資の輸送に使うと指定している緊急輸送道路(緊急道)113路線のうち、28路線の計50カ所が熊本地震で通行止めとなったことが、県などへの取材で分かった。
緊急道の耐震化については明確な基準がなく、陥没や落石、沿道の家屋の倒壊などが相次ぎ、支援物資が滞る一因になった。
専門家からは、重要路線のさらなる強化や、寸断された場合の備えを求める声が上がる。
緊急道は、1995年の阪神大震災で、幹線道路の被害が相次いで救急車などの緊急車両の通行が妨げられたことを受け、都道府県が指定している。
熊本県では、九州道や国道・県道の主要区間など、計約2000kmが対象。
県地域防災計画は、緊急道の「耐震性を確保する」としているが、国も県も、新設の橋を除いて、明確な耐震基準は定めていない。
県などによると、一連の地震により、幹線道路で155カ所が全面通行止めとなり、うち約3割の50カ所が緊急道に指定されている区間だった。
橋の損壊や段差11カ所、落石や土砂崩れ9カ所、路面の亀裂や陥没8カ所などの被害が出た。
15日現在も、13カ所で通行止めが続いている。
このうち、橋桁がずれるなど多くの被害が出た九州道は、4月29日まで、一部区間で通行止めが続いた。
南阿蘇村周辺では、土砂崩れで崩落した阿蘇大橋の他にも、県道熊本高森線などでトンネルや橋の損壊が相次ぎ、熊本市方面を結ぶ緊急道が寸断された。
熊本市と益城町では、道路脇の建物の倒壊または倒壊の恐れによる通行止めが、計4カ所あった。
熊本県は2007年度から、緊急道の沿道にある旧耐震基準の建物について耐震診断の費用を補助する制度を始めたが、対象514棟のうち実施されたのは、記録の残る13年度までで6棟にとどまる。
13年11月に改正耐震改修促進法が施行され、建物所有者に耐震診断を義務づけたが、対策が追いついていなかった可能性がある。
緊急道が各地で寸断された結果、地震発生直後に九州道下り線で最大16.4kmの渋滞(4月17日)が発生したほか、一般道でも渋滞が相次いだ。
運送会社などによると、支援物資の輸送が滞り、コンビニ、スーパーなどへの配送にも影響が出たが、県の担当者は、「震度7の地震が2度来るのは想定外で、すべての被害を防ぐのは難しい」と話す。
名古屋大減災連携研究センターの福和センター長は、「緊急道は、災害時に通行止めになっては困る道路で、是が非でも守る必要がある。迂回路の少ない重要路線を中心に、沿道の建築物や橋の耐震補強のあり方などを再検討すると同時に、寸断された場合に備えた備蓄や早期の応急復旧の方法も、事前に検討しておくべきだ」と指摘する。
http://mainichi.jp/articles/20160516/k00/00m/040/101000c
【ことば 緊急輸送道路】
1995年の阪神大震災をきっかけに、国が96年に指定を指示した。
都道府県が,主要都市や役所などの防災拠点を結ぶ幹線道路を中心に指定し、全国の総延長は約10万km。
被害を受けると復旧に時間がかかる橋は、阪神大震災級の地震に耐えられるよう優先的な補強を求められており、15年3月時点の耐震化率は76%。
昨年12月には、電柱が地震などで倒れて通行に支障が出ないよう、沿道で電柱を新設することを禁じる通達も出された。
http://mainichi.jp/articles/20160516/ddm/001/040/182000c
2016年5月12日付で熊本日日新聞から、下記趣旨の記事が詳しい図解付きでネット配信されていた。
熊本地震で大きな被害を受けた益城町で、犠牲となった20人は、布田川・日奈久断層帯付近と、町内を流れる秋津・木山川沿いに集中していることが、11日、熊本日日新聞の取材で明らかになった。
専門家は、地盤がもろい河川域と断層帯がほぼ重なることで被害が拡大した可能性が高いとみている。
また、4月16日未明の本震で死亡した12人のうち、少なくとも6人は、前震後に避難しながら自宅に戻り、被災したケースだった。
避難の在り方を含め、今後の防災対策の課題となりそうだ。
熊本地震では、日奈久断層帯に起因するマグニチュード(M)6.5の前震と、布田川断層帯に起因するM7.3という阪神大震災クラスの本震が、連続して発生。
2つの断層が複雑に絡み合う益城町は、県内で唯一、震度7に2度見舞われた。
熊本大大学院自然科学研究科の渋谷秀敏教授(地球磁場)によると、活断層上に被害が集中した理由として、
▽地中で断層がずれる時に生じる地表の変動が大きかった
▽揺れの激しい震央に近かった
ことなどが影響していると考えられる。
加えて、被害が大きかったのは、地盤が軟らかいとされる平地。
同教授は、「山地から続く軟らかい平地部分は、海の波が渚に向かって大きくなるように、地震のエネルギーが集まりやすい」という。
もう一つの理由として挙げられるのが、地盤の弱さ。
同町では、2つの断層とほぼ並行して、秋津川と木山川が流れる。
現地入りして調査を続ける福岡大工学部の古賀一八教授(建築防災)によると、家屋倒壊は、九州自動車道より東側、県道熊本高森線の南側で激しい。
一帯は、旧河川や扇状地の砂地を埋め立てた地盤の弱い地域を宅地化しており、液状化現象も発生している。
16日未明の本震では、木造家屋がダメージを受けやすい周期を持った地震波が観測されている。
古賀教授は、「2度の大きな揺れ、地盤の弱さ、地震波の周期、揺れの方向など悪条件が重なり、被害を大きくしたのではないか」と話す。
熊本地震では、県全体の犠牲者49人のうち、8割近い37人が家屋倒壊で死亡した。
熊本大減災型社会システム実践教育研究センター長の松田泰治教授は、「現地をみると、古い家だけでなく、新しい耐震基準で建てられた家も被害に遭っている。活断層に基づく地震対策や意識啓発が今後の課題になる」と指摘する。
出典
『断層、川沿い…犠牲集中 益城町、悪条件重なる』
http://kumanichi.com/news/local/main/20160512002.xhtml
(ブログ者コメント)
旧河川を埋め立てた地域に被害が集中しているという報道は、過去にも紹介済。
2016年5月10日掲載
2016年5月4日報道 熊本地震では過去に川を埋め立てた場所で帯状に液状化被害が集中
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5900/
2016年5月18日掲載
熊本地震の情報や教訓を明日に活かす⑯ 古い時代の造成地や河川周辺など、地盤に問題がある地域に家屋損壊が集中
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5931/
今回の報道では、一つの地図上に、道路、河川、断層、前震と本震の震源地、両地震で犠牲になった人がいた場所が記されており、よくまとめられていると感じたので、紹介する。
『札幌市 防災計画見直す考え』
(2016年4月26日19時5分 NHK北海道NEWS WEB ;趣旨・要約)
札幌市の秋元市長は、記者会見で、熊本県を震度7の激しい揺れが2回襲い、多くの建物が倒壊したことを受けて、市の現在の防災計画を、強い揺れに複数回、襲われることを想定して見直す考えを示した。
4月14日から熊本県を中心に続く一連の地震活動では、震度7の激しい揺れを2回観測するなど、震度6弱以上の地震が25日までに7回観測されていて、熊本県災害対策本部によると、これまでに6000棟あまりの住宅で被害が確認されている。
札幌市も、直下型の地震を想定して救助や避難などの対策を地域防災計画にまとめているが、秋元市長は26日に開かれた会見で、「強い揺れが複数回きたときの耐震はどう対応するのか、考え直さなくてはいけない」と述べ、市の防災計画を強い揺れに複数回、襲われることを想定して見直す考えを示した。
また市では、災害が起きた際に市の職員を避難所に配置し、備蓄している食糧や水の配給や必要な物資の情報共有にあたることにしているほか、連携協定を結んでいる物流業者に物資の輸送を依頼することにしているが、秋元市長は、ほかの地域から支援を受けた物資が速やかに避難所に届くよう、受け入れ態勢の見直しも必要だという考えを示した。
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20160426/4747381.html
『連続震度7想定せず 全ての都道府県』
(2016年5月9日7時0分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
災害時の緊急対策などを定めるため、各自治体が策定する「地域防災計画」に、熊本地震のような最大震度7の地震が連続発生することを想定した記載がないことが、47都道府県への取材で分かった。
熊本地震では、4月14日の震度7の発生後、避難者が自宅に戻り、16日の2度目の震度7で死者を含む深刻な被害が出た。
専門家は、地域防災計画に盛り込むよう呼び掛けており、兵庫県など4府県が、見直しを検討すると回答した。
今月2〜6日に取材した結果、「震度7が連続して発生する」と想定した地域防災計画を定めている都道府県はなかった。
熊本県は、熊本地震を引き起こしたとされる布田川、日奈久の断層帯で地震が発生した場合、「最大震度7」と想定していたが、連続発生については記載していなかった。
連続して発生することを計画に盛り込んでいない理由について、各担当者は、
▽「国が想定していない」(滋賀県)
▽「過去に例がない」(長野県)
▽「1回でも複数回でも対応は同じ」(宮崎県)
などと回答した。
ただ、阪神大震災で被災した兵庫県は、「震度7」とは明示していないものの、「(四国の南の海底にある)南海トラフ沿いで、複数の地震が数時間から数日のうちに連続発生する可能性がある」と記載。
最初の地震で損傷した建物が次の地震で倒壊して死傷者が出るのを防ぐため、建築士らが住宅などの安全性を調べる「応急危険度判定」を早急に実施するなどの対応を盛り込んでいる。
一方、「地域防災計画の見直しを検討する」と回答したのは、兵庫、奈良、鳥取、大阪の4府県。
このうち奈良県は「県に影響する8つの断層を確認しているが、現在の計画では複数の断層が同時に動くことは想定しておらず、実際に発生すると十分に対応できない」と説明。
大阪府も「ハード面での対策は国の対応を待たなくてはならないが、避難に関しては独自に見直すことができる」と答えた。
兵庫県も「実際に連続で発生した以上、具体的な対策が必要」としている。
熊本県は、見直しについて「未定」と回答した。
熊本県の蒲島郁夫知事は、4月25日、記者団に対し「(震度7の地震の連続発生が)あった時の対応を考えておかなければならなかったが、(想定が)そこに至っていなかった」と語った。
内閣府の担当者も取材に対し、「地域防災計画の基になる国の『防災基本計画』には、大きな地震が2度連続で起こった場合の対策については特に明示していない。今後、中央防災会議の中で見直される可能性は十分にある」と語った。
【地域防災計画】
災害対策基本法に基づき、都道府県や市町村が定める。
震災対策や風水害対策など、災害の種類ごとに、予防や応急対策、復旧・復興に関して実施すべき業務などについて策定する。
国の「防災基本計画」や「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」、各自治体の被害想定などを踏まえて決める。
各地で発生した災害や地域の実情などに応じ、順次見直すことになっている。
http://mainichi.jp/articles/20160509/k00/00m/040/100000c
『熊本地震 「新耐震基準」導入後の住宅に明暗』
(2016年4月22日6時30分 日本経済新聞 ;趣旨・要約)
本震の発生後、木造住宅の耐震診断と補強に詳しい耐震研究会(東京都)の建築実務者数人と、益城町に向かった。
取材目的の第一は、新耐震基準導入以降に建築された木造住宅の被害状況を知ることだ。
木造住宅の耐震性能は、1981年より前の旧耐震基準と、81年の新耐震基準導入以降で、大きく異なる。
今回ほどの大地震に、旧耐震基準で建てられた住宅が持ちこたえるのは難しいと予想されたため、新耐震基準導入以降の住宅に絞ろうと考えた。
益城町の被災住宅は、本震を受けて、前震のときより急増していた。
全てを見て回り、該当する被害を探し出すには、時間がかかる。
そこで、本震の発生前に放送されたテレビ番組を見直したところ、益城町の西側にある安永地区周辺の映像に、倒壊している比較的新しい住宅が2棟映っていた。
その情報から住所の見当を付けて、現地に向かった。
現地に到着すると、土ぶき瓦の、いかにも古い住宅が数棟並んで倒壊し、道を塞いでいた。旧耐震基準の住宅だ。
一方、その向かい側の住宅数棟には、目視では、大きな建物被害は確認できなかった。使われている外装材などから、新耐震基準導入以降ではないかと推定される。
先に進むと、探していたうちの1棟を発見した。木造2階建てのアパートで、1階が完全につぶれていた。
土台と基礎はアンカーボルトで固定されているが、土台と隅柱にホールダウン金物がない。このことから、新耐震基準導入以降の住宅だと判断した。
新耐震基準導入以降の住宅が、本震の前に倒壊していたと考えられる。
アパートから離れると、家の外に避難している住民に出会った。家が倒壊したので、前夜は車中で過ごしたという。
「自分の家は古いので前震で倒壊したが、周りは前震では自立していたものの、本震で倒壊した住宅が多い」と話す。
探していたもう1棟について尋ねると、場所を教えてくれた。前震で倒壊したという。この住宅は、1階が崩壊して元の場所から2m以上移動していた。
使用されていた建材から、新耐震基準導入以降の住宅だと推定される。
この住宅の外壁には、以前は接続していたと思われる母屋の跡があった。隣には旧耐震基準の古い母屋が、この住宅に倒れ掛かるように倒壊していた。
調査を共にした耐震研究会代表理事の保坂氏は、「古い母屋に新しい住宅を増築していて、地震で古い母屋が倒れた影響で増築部も被災したと思われる」と話す。
この住宅の向かい側には、使われている外装材から、新耐震基準導入以降と推定される住宅が建つ。
隣の家が全壊した影響で外壁の一部が傷付いているが、そのほかの被害は、目視では確認できなかった。
今回取材した限られた地域内でも、新耐震基準導入以降と思われる住宅で、前震で倒壊したものと、前震と本震を受けても被災が目視で確認できないものが存在していた。
日経ホームビルダーでは引き続き、新耐震基準導入以降の住宅の被災状況の取材を進めていく。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99873060Q6A420C1000000/
『倒壊免れた建物に注目 「強い揺れに耐える建物のヒントになるのでは」 土木学会が益城町視察』
(2016年4月23日17時15分 産経新聞west ;趣旨・要約)
土木学会の調査班は、23日、熊本県益城町の住宅街や役場の被害状況を視察した。
政策研究大学院大学の家田仁教授(土木工学)は、記者団に、同じ鉄骨造りでも、倒れた建物と倒壊を免れた場合があると指摘。
「残った建物の建築方法は、強い揺れに耐える建物のヒントになるのではないか」と話した。
調査班は、家田教授ら5人で構成。国土交通省九州地方整備局の職員らから説明を受けながら、益城町内を回った。
土木学会は、今後、防災対策の助言をまとめる予定。
http://www.sankei.com/west/news/160423/wst1604230069-n1.html
『家屋被害、建築時期で大差 専門家「旧家は耐震補強を」』
(2016年5月1日0時47分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
一連の地震で犠牲になった人たちは、どんな場所に立つ、どんな家にいて巻き込まれたのか。
建物の古さ、緩い土壌、2度の激震……。専門家は、様々な要因を指摘する。
家屋が軒並み倒壊している。震度7の激震に2度見舞われた益城町内では、そんな光景をあちこちで目にする。
地図に重ねてみると、倒壊が多かった地区は、町内を流れる木山川や秋津川に沿うように並び、ほぼ並行して活断層が走っている。亡くなった人がいた建物も、その地域に目立つ。
平田地区も、そんな場所の一つだ。
内村さん(83)は、自宅1階で寝ていて、本震で家屋の下敷きになって亡くなった。1階が押しつぶされ、2階の瓦屋根が崩れ落ちていた。102歳になる母親が幼少の頃からあったという、古い建物だ。
他方、その隣に立つ家は、損壊も傾きもない。住人の内村さんの娘(55)は、「築13年の木造住宅。傷みはなく、地震後も変わりなく住んでいる。この辺りは、旧家が軒並み倒れている」と話す。
一帯では、内村さんを含め、6人が死亡した。いずれも、古い木造家屋だった。
現地で倒壊家屋や地盤の調査をした古賀一八・福岡大教授(建築防災)によると、調べた範囲では、倒壊家屋のほとんどが、建築基準法が改正された1981年以前の建物だった。
81年以後の建物で倒れたのは数軒で、より基準が厳しくなった2000年以後の建築では、建材が折れる損壊が1軒で確認されただけで、いずれも死者はいないという。
古賀教授は、「旧基準の建物は大きな地震で倒れる可能性が高く、耐震補強の必要があると改めて感じた」と話す。2階部分の重さがかかる1階は、特に崩れやすいという。
さらに古賀教授は、土壌についても指摘する。
「川に近く、砂質で液状化しやすい。『盛り土』も目立つ軟弱な地盤。活断層も近い。建物の倒壊が起きやすい条件が重なってしまった」
そんな町を、2度の震度7が襲った。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ4Y7568J4YTIPE043.html?rm=225
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
『柱接合部、金具なし 南阿蘇の倒壊アパート5棟』
(2016年5月13日 毎日新聞東京版夕刊;図解付き)
熊本地震で倒壊し学生3人が死亡した熊本県南阿蘇村の東海大農学部阿蘇キャンパス周辺の学生向けアパートを国交省の研究所が調査したところ、倒壊した木造2階建て7棟のうち、確認できた5棟すべてで、柱や筋交いの接合部がくぎだけで留められていたことが分かった。
金具を使うよう定める現行の国の基準に照らすと不十分で、強度が低かったとみられる。
熊本地震発生から14日で1カ月。
国や研究者による被害の実態や原因の解明が進められている。
専門家は、「国や自治体は、基準に合わない建物を減らしていくべきだ」と指摘する。
国交省国土技術政策総合研究所によると、目視で確認できた5棟の接合部を調べたところ、筋交いや柱と別の部材との接合部が、くぎだけで打ち付けられていた。
犠牲者が出た3棟ともくぎ打ちだけで、うち1棟はくぎが1、2本しかなかったり、筋交いの端がシロアリに食い荒らされて欠けたりしていた。
土台のコンクリートには鉄筋がなく、亀裂が入っていた。
建築基準法施行令は、制定された1950年当初から、揺れで部材にかかる力を接合部によって別の部材に伝わるようにしなければならないと規定している。
ただ、具体的な方法は示していなかったため、くぎ打ちだけの方法が業界内で横行。
95年の阪神大震災では、くぎ打ちだけの倒壊家屋が数多く確認された。
このため2000年に施行令が改正され、金具を使うなど具体的な方法が同省の告示で明示された。
同研究所の中川主任研究官は、「くぎ打ちだけでは現在の基準に当てはまらない『既存不適格』の建物といえる」と話す。
7棟は全て00年以前に建てられたとみられる。
登記簿上は82年築なのに、ホームページの物件案内で「築3年」と表記していた棟もあった。
http://mainichi.jp/articles/20160513/dde/001/040/076000c
『熊本地震 新耐震基準でも全壊 施工不良など多く』
(2016年5月14日22時16分 毎日新聞)
益城町で、新耐震基準の規定が強化された2000年以降に建てられたとみられる木造家屋400〜500棟を日本建築学会が調査したところ、9棟が倒壊するなど、計17棟が全壊したとみられることが分かった。
14日に東京都内で開かれた調査速報会で報告された。
報告した専門家は、「基準にとらわれず、耐震性能をさらに高めることが必要」と提言した。
倒壊は免れたものの、大きく傾いた全壊家屋について詳しく調査したところ、太さや長さが適切ではないくぎが使われていたり、壁のバランスが悪かったりするなど、設計上の配慮不足や施工不良が数多く見つかった。
倒壊家屋は、今後、図面などから原因を解明する。
調査を担当した京都大学の五十田博教授は、「現行の基準は『倒壊しない』という最低基準であり、基準に適合していても地盤や設計、施工の不良があれば倒壊・全壊することは想定される」と指摘。
「基準を上げるべきか中長期的な議論が必要」とした上で、まずは基準にとらわれることなく、耐震性能をさらに高めるなど、国民一人一人の意識を変えることが重要だと説いた。
建築基準法は、地震で建築物が損傷、倒壊しないように強度基準を定めている。
以前は、中規模地震(震度5強程度)の揺れがあった場合に「倒壊せず、破損したとしても補修で継続使用が可能」と規定していた。
だが、28人が死亡した宮城県沖地震(1978年)を受けて81年6月に同法が改正され、大規模地震(震度6強〜7程度)でも「人命に危害を及ぼすような倒壊をしない」とする新基準に変更された。
さらに00年、接合部の金具や壁の配置などに関する規定を強化した。
http://mainichi.jp/articles/20160515/k00/00m/040/060000c
『「新耐震基準」17棟が全壊 益城町』
(2016年5月14日 熊本日日新聞)
益城町で、耐震基準が厳しくなった2000年以降に新築されたとみられる木造住宅17棟が全壊していたことが、14日、日本建築学会の調査で分かった。
東京都であった学会の地震被害調査速報会で、京都大の五十田博教授(木質構造学)が報告した。
五十田教授によると、00年以降に建てられた木造家屋10棟の全壊を町役場周辺などで確認。
うち4棟は、完全に倒れていた。
そのうち1棟は、基準より数段耐震性を高めた「等級2」か「3」とみられる家屋だった。
五十田教授は、「これまで倒れたという話を聞いたことがない」と話している。
ほか、全壊していた7棟も00年以降のものとみられ、正確な建築年の確認を進めている。
外観だけでは分からないケースもあるため、さらに増える可能性もあるという。
五十田教授は、全壊家屋について設計上の弱点を指摘しながらも、「かなり大きな地震動だったので、ぎりぎり耐えた建物も多いはず。壁の材料など小さな差が被害を大きく分けたのかもしれない」と分析した。
手抜き工事などの違法性は「確認できていない」とした。
益城町では約5400棟の住宅が損壊。
学会のチームは、益城町役場を中心に、約2600棟の損傷程度や構造、築年代などを調べた。
00年以降の木造家屋は400~500棟とみられる。
http://kumanichi.com/news/local/main/20160514014.xhtml
(ブログ者コメント)
耐震基準に則って建てられた家屋が、なぜ倒壊・損傷したのだろうか?
これまでの報道では、耐震基準想定外、地盤が悪かった、手抜き工事だった・・というところが主な原因のようだが、それ以外にも何かあるのだろうか?
関東大震災級の地震が懸念されている地域の住民として、そこが最も知りたいところだ。
今後の検証が待たれる。
『緩傾斜地で住宅被害集中 盛り土、地滑りか』
(2016年4月22日10時11分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
熊本地震で震度7を2回記録した同県益城町で、住宅の損壊が比較的傾斜の緩やかな地域に集中していることが、京都大防災研究所の後藤浩之准教授(地震工学)の現地調査で分かった。
原因として、古い時代の造成工事による盛り土が基礎の地盤となじまず、地震の揺れで小規模な地滑りを起こした可能性がある。
東日本大震災など過去の災害で被害が目立った急傾斜地だけでなく、緩やかな土地でも住宅被害の危険が潜んでいる実態が明らかになった。
後藤准教授が16日、土木学会の調査団メンバーとして、同町役場に近い安永、木山の両地区を中心に住宅の被害を調べたところ、勾配が緩やかな土地の建物被害が多数見つかった。
地震で小規模な地滑りが起こったため、基礎部分が緩んで住宅が壊れた可能性がある。
2地区について、熊本県の「土砂災害情報マップ」では地滑りの危険性を指摘しておらず、無警戒だった。
2地区は、町内全体でも被害が激しい地域だが、河川沿いの平たん部や高台の被害は比較的少なかった。
緩傾斜地での損壊は、比較的新しい住宅でも発生している。
コンビニマネジャー、中尾さん(48)の妻の実家は、昨年10月、安永地区に新築したばかりだが、今回の地震で地面が崩れて傾いた。
中尾さんは、「いくら建物がしっかりしていても、地盤が悪ければどうしようもない」と話した。
中尾さんの家は、同じ安永地区でも高台にあり、傾くような被害はなかったという。
後藤准教授が国土地理院の資料を調べたところ、住宅損壊のあった緩傾斜地は、遅くとも1926年以前に造成された可能性があるという。
後藤准教授は、「当時の造成技術は未熟で、地滑りの原因になった可能性がある。傾斜が緩くても油断は禁物」と指摘している。
同町によると、緩傾斜での被害住宅数は不明だが、町全体でほぼ全ての1万1076棟を調べたところ、全壊は1026棟、半壊や一部損壊は4374棟あり、被害は約半数に上った。
http://mainichi.jp/articles/20160422/k00/00m/040/162000c
『「阪神」と異なる局地的被害 軟弱な堆積物、地震動増幅か』
(2016年4月24日21時5分に産経新聞west ;趣旨・要約)
熊本地震で2度の震度7を観測した熊本県益城町で、河川周辺の軟弱な堆積物や盛り土が局地的に大きな家屋被害をもたらした可能性があることが、24日、大阪市立大の宮野道雄特任教授(地域防災)らの調査で分かった。
熊本地震と同じ内陸部での直下型地震で、震度7で被害が集中した帯状の場所「震災の帯」が発生した阪神大震災とは異なり、甚大な被害がより局地的に発生したことも確認された。
宮野氏らは、23日、益城町に入り、被害が大きかった町役場近くの木山地区や宮園地区で、家屋の被害状況などを確認した。
木山地区で家屋が全壊した場所は、町を流れる秋津川の支流に集中した。
支流の幅は、いまは約1mだが、宮野氏によると、「以前はもう少し幅が広かった」と推測される。
川の土が堆積したところや人工的に盛り土がされたところは地盤が軟弱で、地震動を増幅しやすい特性があるといい、同地区での建物の倒壊は、この地盤の軟弱さが大きく影響した可能性がある。
益城町は、14日のマグニチュード(M)6.5の「前震」、16日のM7.3の「本震」で、いずれも震度7を観測した。
住宅被害は5400棟にのぼり、うち1026棟は全壊だった。
県内の地震による死者数48人のうち、20人が同町だった。
木山地区に隣接する宮園地区でも、建物の全壊が相次いだ。
しかし、全壊が集中する場所から約200m離れた一帯では、建物は、比較的倒壊を免れていた。
平成7年の阪神大震災で発生した多くの被害は、神戸から阪神地域に至る、長さ約20km、幅約1kmの「震災の帯」に集中。
熊本地震では、益城町以外に西原村でも震度7を観測し、局地的な被害が点在している。
宮野氏は、「大きな震度を観測した地区でも、建物被害の大小に大きな差がある。地盤の問題と推察されるが、詳しく調査する必要がある」としている。
http://www.sankei.com/west/news/160424/wst1604240057-n1.html
(ブログ者コメント)
震度7だった阿蘇市の、それも地面に1mほどの段差ができた地域なのに、食器棚や墓石は倒れなかった・・・そんなところがあるという。
上空からの写真によれば、畑?の中に家が点在しているが、損壊はおろか、瓦すら落ちていない家がある。
地盤の影響は、結構大きいのかもしれない。
出典
(2016年5月7日 毎日新聞)
『eye 熊本地震 沈む大地 身寄せ合う』
http://mainichi.jp/graphs/20160507/hpj/00m/040/003000g/3
『81年基準改定で「耐震」のはずが被害… 震度7続発は想定されず』
(4月22日付 東京新聞朝刊 ;趣旨・要約)
観測史上初めて震度7を2回記録した熊本地震で、耐震工事をした役場や避難所が損傷し、使えない状態になった。
大地震の続発は1981年に定められた現行の耐震基準の想定外であり、国も被害状況を踏まえた上で、基準について再検討する方針だ。
「数年前に耐震工事を終えていたのに…」と、熊本県益城町の職員は言う。
鉄筋コンクリート造り3階建ての町役場は、外付けフレームで補強していた。
14日夜の震度7には耐えたが、16日の本震で亀裂が入り、倒壊の恐れで立ち入り不可となった。
熊本市でも、避難所となっている小中学校24校の体育館で「筋交い」が破断するなど損傷し、使用禁止に。
避難者は、より安全な校舎に移った。
「大地震の続発でびっくりしている」と、同市教育委員会施設課の担当者は訴える。
市内の公立小中学校は、2012年度末に、耐震化率100%を達成していた。
東京理科大の北村春幸教授(建築構造学)は、「大地震は、2度来ると、ボディーブローのように効いて被害が大きい。一度目で壊れて強度が落ちた建物は、むち打つように大きく揺れて壊れやすい」と言う。
「耐震基準は最低限の基準。免震や制震など、被害軽減のための対策が必要だ」とも。
一方、国交省の担当者は、「確かに耐震基準では繰り返しの大地震は想定していない。しかし、全く対応していないわけではない。60秒以上の揺れも想定して構造計算をしている」と話す。
長時間の揺れは、複数回の揺れに相当するという考え方だ。
耐震基準は、これまでも大地震のたびに変更が加えられており、「被害状況を調査したうえで検討したい」とする。
<耐震基準>
現在の国の耐震基準は、建築基準法に基づき、1981年に導入された。
「震度5強の地震でほとんど損傷しない。震度6強から7に達する大地震で損傷はしても倒壊や崩壊はしない」ことが目安だ。
震度7を記録した2つの大地震では、この基準が効果を発揮した。
95年の阪神大震災では、基準を満たす建物の被害は、それまでの古い基準の建物の3分の1程度。
東日本大震災でも、被害は小さかった。
だが、両地震とも、震度7の強い揺れは最初の1回だけだった。
2013年の住宅耐震化率は82%となっている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016042202000131.html
『「耐震基準」はもうアテにならないのか 「耐震補強」100%熊本の学校が相次ぎ破損した』
(2016年4月22日20時33分 J CAST ニュース ;趣旨・要約)
地震に対する建物の強度を測る数値には、2つある。
一つは「is(アイエス)値」で、もう一つが「地震地域係数」といわれる数値だ。
「is値」とは、「構造耐震指標」のこと。
地震に対する「建物」の強度、靱性(変形能力、粘り強さ)を示す数値で、建物自体にかかる耐震の「判定指標」になる。
国交省によると、「耐震性を高めるための改築・改修時に利用する数値」という。
is値は、「0.6」が基準。
住宅などの耐震診断や耐震補強の専門機関である日本耐震診断協会は、「0.6で、6~7の震度を想定しています」と話す。
震度6~7規模の地震に対して、
○is値が0.6以上の場合を「倒壊または崩壊する危険性が低い」建物とし、
○is値が0.3以上0.6未満の場合を「倒壊または崩壊する危険性がある」建物、
○is値が0.3未満の場合を「倒壊または崩壊する危険性が高い」建物
としている。
日本耐震診断協会によると、「防災拠点となる小・中学校の場合は、別途、文部科学省が『0.7』という全国共通の基準値を設けています」とし、熊本県教育庁も、「小・中学校の耐震基準は、is基準に則って(0.7で)整備しています。今回の地震で、一部の小・中学校で損傷がありましたが、その基準は満たしています」と説明する。
熊本県にある557校の公立小・中学校(2014年度)のうち、耐震補強が済んでいる小・中学校は「耐震化率で、ほぼ100%になります」と、熊本県教育庁は話す。
それにもかかわらず、今回の地震で被害の大きかった熊本市内だけで、16校の小学校と8校の中学校で破損が見つかり、危険と判断して、その一部を閉鎖した。
中には、被災者がいったんは避難してきたものの、校舎の壁や床などに亀裂が見つかったことで、別の避難所に移ったケースもあった。
ただ、国交省は、今回の震度7の地震でも「ヒビ割れなどはみられたものの、倒壊や崩壊はしていません」とし、is値には問題がなかったとしている。
http://www.j-cast.com/2016/04/22264988.html
『熊本地震でなぜ損壊多発 「1981年耐震基準」の落とし穴』
(2016年4月27日 日刊ゲンダイ ;趣旨・要約)
国の耐震基準を満たしているはずの建物が続々と半壊、倒壊の被害に遭っているのはなぜなのか?
東京理科大の北村春幸教授(建築構造学)に説明してもらった。
「新耐震基準は1度目の地震に耐えることを前提としており、何度も大きな地震が続くことは想定していません。ところが、大地震は2度目が来るとボディーブローのように柱や梁にダメージを与え、被害が大きくなります。最初の地震で損傷し強度が落ちることによって、むち打つように大きく揺れたり、壊れやすくなってしまうのです」
新基準は、「1度目を耐え、その間に補修し、2度目の大地震に備えるため」の法改正だったという。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/180260/1
『課題は避難所と下水道整備』
(2016年4月24日西日本新聞)
現在の課題は避難所、上下水道のインフラ整備。
水道はほとんど大丈夫、下水道のめどがたたない。
『復興再建チームを設置』
(2016年4月26日 西日本新聞)
下水道は管路延長167kmのうち33kmで破損の可能性があることを確認し、2次調査を実施中。
汚水センターについても施設被害が発生、約5000トン/日(通常約8000トン)の処理能力となっており、管路の復旧(上水道と同じ25日)と合わせて、機能回復に取り組んでいる。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/shelter_kumamoto/article/239022
『下水道課からのお知らせ』
(2016年5月1日 最終更新 益城町HP)
今回の震災で町の下水道施設は甚大な被害を受けております。
浄化センターの施設は通常の3分の1から半分の能力で稼働、処理をしています。
管渠部分では、マンホールの隆起や管路の埋め戻し部等の陥没が多数見受けられます。
現在、緊急的に応急処置を行うとともに、2次調査(詳細調査)に入っております。
http://www.town.mashiki.lg.jp/kiji/pub/detail.aspx?c_id=136&id=78
(ブログ者コメント)
○水道が使えなくなったという報道は山ほどあったが、下水が使えなくなったという報道は、ブログ者の知る範囲では、ほとんどなかった。
下水関係にもマンホール隆起や下水管破損といった被害が出ており、本震の数日後から全国各地の市町村下水道職員などの応援を得て被害調査が進められているということは、派遣元の市町村から何件も情報発信されている。
しかし、地震発生直後にどの程度下水が使用可能な状態であったかの報道は、見あたらなかった。
便りがないのは良い便り。
本震発生後でも、少しは使えたのだろうか?
水道が使えるようになっても、下水が使えなければ、トイレ問題は解決しない。
その点、下水の使用可否状態についても、もう少し報道されてしかるべしと感じた。
○ちなみに、下水ではないが、し尿処理場が稼働できなくなったという報道は、1件見つかった。
『阿蘇のくみ取り、避難所を優先 し尿処理場が稼働停止』
(2016年4月24日11時5分 朝日新聞)
熊本県の阿蘇郡市の7市町村でつくる阿蘇広域行政事務組合が運営するし尿処理場「蘇水館」(阿蘇市)が、地震による断水のために稼働できなくなっている。
民間業者に委託し、避難所の仮設トイレのくみ取りを優先する一方、一般家庭はくみ取り量を制限するよう、住民に協力を求めている。
蘇水館は、阿蘇市、高森町、南阿蘇、西原、産山各村のし尿を受け入れている。1日当たりの処理能力は91kℓ。
16日未明の「本震」以降、処理に必要な地下水の配管が破損し、稼働できなくなった。
復旧は、週明けの見込み。
このため、上天草市の民間業者に処理を委託する一方、復旧までの間、一般家庭に我慢してもらい、避難所の衛生面を考慮して、仮設トイレを最優先する対応をとっているという。
阿蘇市災害対策本部によると、23日午前8時半現在の避難者数は、一の宮小学校約2千人、阿蘇中学校800人など、16カ所の計5452人。
市内のし尿くみ取り対象は、約20%という。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4R45HDJ4RTLVB004.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。