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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20243662分にYAHOOニュース(Wedge)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

フェイクニュースによく使われるトピックの一つに、農薬がある。

旧モンサント社が開発したグリホサート(製品名:ラウンドアップ)の発がん性が指摘されると、米国で訴訟が頻発した。

それはまさに「フェイクニュース・ビジネス」とも言えるほどの広がりを見せ、巨額の賠償金の支払いが命じられた。

日本にとっても、この訴訟は非常に重要な示唆となる。

『フェイクを見抜く』(唐木英明・小島正美、ウェッジ)では、その舞台裏を詳細に記している。

その一部を編集してお届けする。

 

【日本では考えられない訴訟経緯】

WHO(世界保健機関)の下部組織であるIARC(国際がん研究機関)による発がん性分類は、あまり一般に理解されているとは言い難い。

2023年には甘味料のアスパルテームがグループ2B(ヒトに対して発がん性がある可能性あり)に分類され、話題となったことを覚えている人も多いだろう。

ここでは、その詳細には触れないが、この「発がん性」を巧みに利用した裁判で、巨額の賠償金の支払いが命じられたことをご存じだろうか。

米国の旧モンサント社(現在はドイツのバイエル社が買収)が開発した農薬であるグリホサートは、15年に「グループ2A」(ヒトに対しておそらく発がん性あり)に分類された。

発がん性を考えるにおいて重要なのは、その物質をどれくらい体に取り込むかという「量」なのだが、いったん下した「グループ2A」というお墨付きは、グリホサートに反対する団体や弁護士にとっては、水戸黄門の印籠のような輝きをもって立ち現れた。

この「発がん性」という印籠をかざせば、グリホサートが人にがんを起こすという訴訟で勝てるとにらんだのだ。

15年を境に、米国では訴訟の嵐が吹き荒れることになった。  

訴訟の経緯を知ると、日本では考えられないような驚きの連続である。

なお、以下に出てくる「ラウンドアップ」という表記は、グリホサートを主成分とする除草剤の製品名である。

まず、度肝を抜かれるのは、IARCの評価が発表された直後に、米国の弁護士事務所が、ラウンドアップを使用したことがあるがん患者に対して、TVコマーシャルを使って訴訟に参加することを呼びかけたことだ。

実際、筆者(唐木)は米国で、このTVコマーシャルを何度も見た。

翌年の1610月、呼びかけに数万人が応募していた。

このため裁判所の対応が困難になり、裁判所は21地区37件の提訴をまとめて取り扱うことを決定した。

2年後183月、裁判所の判断を助けるために、判事は原告、被告双方の推薦する科学者の意見を聞いた。

その結果、原告側が主張する疫学調査を主な判断材料にして、がんとの関係は無視できないと判事は判断した。

この時点で原告側の優勢が見えていた。

同じ186月、なんとモンサント社はドイツのバイエル社に買収され、訴訟はバイエル社が引き継いだ。

ただ、バイエル社に代わっても形勢は変わらなかった。

そして、187月、双方の論争は重大な局面を迎えた。

最初の裁判は、カリフォルニア州に住む末期がん患者のジョンソン氏が「校庭に散布したラウンドアップががんの原因」として訴えた裁判だった。

原告ジョンソン氏は米国環境保護庁(EPA)の「発がん性はない」という判断は間違っていると主張した。

これに対し、被告バイエル社はIARCの「発がん性がある」という判断は間違っていると主張。

原告は発がん性について当時のモンサント社が知っていたことを示す内部資料を示し、またEPAの担当者はモンサント社と不適切な関係があったのでEPAの判断は信用できないと主張した。

 

【負け続けるバイエル社】

・・・

 

IARCに入り込んだ活動家たち】

IARCは世界保健機関の付属機関で、本部はフランス・リヨンにある。

日本を含む22カ国が加盟し、50カ国の約350人の研究者ががん対策のために発がん性物質の判定やがん予防指針の策定などに従事している。

例えば、福島第一原発事故後に子どもたちが甲状腺がんと判定された問題では「過剰診断が原因であり、甲状腺がんのスクリーニング検査を推奨しない」と勧告するなど、科学的な判断を基に一定の役割を果たしている。

しかし、グリホサートの評価をめぐる問題では、サスペンス映画のような暗躍が露呈した。

その闇の世界を世に知らせたのは、複数のジャーナリストだった。

ラウンドアップ裁判には多くの証人が出廷して、原告側と被告側からのさまざまな質問に答えたのだが、その質疑を丹念に追い、その真偽を確認することで真相にたどり着いたジャーナリストたちがいたのだ。

それがロイター通信のケイト・ケランド記者、世界的な経済誌であるForbesのジェフリー・コバット記者、そしてブロガーであるリスク・モンガー氏などだ。

以下に彼らの調査記事を要約して紹介しよう。

当初、疑惑の目が向けられたのは、米国政府で働いていた統計学者クリストファー・ポルティエ氏だった。

IARCが設置した科学委員会の委員長として14年にグリホサートの評価を行うことを提案し、グリホサート評価パネルで特別顧問を務めていた。

評価パネルが作った報告書の原案には「グリホサートに発がん性はない」と書かれていた。

ところがその後、この結論が削除され、逆の結論に置き換えられた。

ポルティエ氏がかかわったかどうかに関して、裁判でこの点を質問されたポルティエ氏は、結論が変更された事実を認めたものの、いつ、どのようにして変更されたのかは知らないと答えている。

評価パネルを動かしていたのは委員長であり、ポルティエ氏は特別顧問にすぎない。

そこで疑惑が浮上したのが、委員長を務めた米国の疫学者アーロン・ブレア氏だった。

彼は前述の米国国立がん研究所やEPAの研究者が参加する農業者健康調査(AHS)の担当者でもあった。

AHSの調査では、グリホサートとがんの関係が否定されていたことを、当然のことながらブレア氏はよく知っていた。

そして13年の初めに、ブレア氏らは調査結果を報告する論文の準備を開始した。

内部文書によれば、担当者からはグリホサートとがんの関係を否定するデータは極めて重要であり、「IARCの決定に間に合うように論文を出版しなければ無責任だ」との意見があった。

そして、この論文は14年に発表された。

ところが不思議なことに、最も重要なグリホサートのデータは除外されていた。

このことについて裁判で質問されたブレア氏は、論文の枚数が多すぎるためにグリホサートのデータを収録できなかったと答えている。

また、このがんとの関連を否定するデータが発表されていたら、IARCの評価が変わっていたのかと聞かれて、「イエス」と答えている。

IARCは発表された論文しか取り扱わないことにしている。

この規則に従えば、未発表のAHSのデータを無視したことに問題はない。

しかし、そのような規則のすき間を狙って、ブレア氏がAHSの調査結果の発表を故意に遅らせることで、事実とは逆の裁定をIARCに出させたことは容易に推測できる。

驚くべきことに、ブレア氏はラウンドアップに反対する環境団体である「環境防衛基金」(EDF))の上席研究員でもあった。

そのような人物がなぜIARCの評価パネルの委員長に就任したのか?
その利益相反をIARCはなぜ調査しなかったのか?

そうした多くの疑惑についてIARCは答えていない。

そして、IARCはあらかじめ決められた結論に合うように証拠を再編集したという、世界の研究者がもつ疑惑は晴れていない。

 

【法律事務所の思惑】

ここまでは科学者の話だが、さらに驚いたことに、これらの科学者を動かしていたのは米国大手弁護士事務所だったという疑惑が浮上したのだ。

闇に隠れていた統計学者のクリストファー・ポルティエ氏の存在があぶり出されたのである。

153月にIARCがグリホサートの評価を発表したが、その直後に弁護士事務所は訴訟希望者を募集している。

なんとその時期に、ポルティエ氏は二つの法律事務所の訴訟コンサルタントを務める契約を結んでいたのだ。

そして契約を結んだことを秘密にするという契約も交わされていた。

これについてポルティエ氏は、グリホサートに関する仕事で一セントも受け取ったことはないと主張してきた。

ところが、1710月に英国のタイムズ紙は、ポルティエ氏が法律事務所から2000万円を受け取っていたことを報道した。

さらに彼はグリホサート反対運動を展開している反科学的環境団体「環境防衛基金」からも支払いを受けていることが判明した。

こうしてポルティエ氏の明確な利益相反が明らかになった。

IARCの評価の直後に、これらの法律事務所がTVコマーシャルを開始して、数万人のがん患者を集めた手際の良さもまた驚くべきものだが、弁護士事務所がIARCの評価結果を予め知っていなければ、このような離れ業はできない。  

それでは、弁護士事務所はなぜ、この問題に加担したのだろうか。

米国には懲罰的賠償金という制度があり、驚くような高額の賠償金判決が出されることがある。

そしてそれが米国の弁護士事務所の大きな収入源になっていた。

例えば、14年には肺がんで死亡した男性の妻が米国大手タバコ会社R.J.レイノルズを訴えて、2兆円以上の懲罰的賠償金の支払いを命じられた。弁護士事務所には数千万円の収入になる。そのほかにも多くのたばこ訴訟が行われ、弁護士事務所の大きな収入源になった。

ところが、たばこ訴訟はそろそろ終わりに近づき、弁護士事務所は新たな収入源を探していた。

そのような事情から、次のような推測が行われている。

ポルティエ氏はブレア氏やその他の環境団体の息がかかった科学者と共にIARCに入り込み、弁護士事務所の訴訟キャンペーンの大きな手助けになる評価を出し、その功績を持って弁護士事務所とコンサルタント契約を結んだ。

こうして弁護士事務所もポルティエ氏も高額の収入を得ることができた。

また、ブレア氏などが所属する環境団体には多額の寄付金が集まった。

ポルティエ氏が批判されて失脚することは、環境団体にとっては大きな損失になる。

そこで環境団体は彼を弁護し、ケランド記者などを批判するキャンペーンを展開している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6077d24904202b6543d80a83db0c997b4ecb66c0?page=1

 

(ブログ者コメント)

ブログ者は現役時代、IARCのクラス分けを金科玉条のように信じていた。
それが今回、真偽のほどは定かでないが、リスク評価がネジ曲げられていたかもしれないとのこと。
仮に、そんなことがあったとしても、数多くの評価物質の中の特異な例だとは思うのだが・・・。

こんなことがあったのかも・・・的な情報として紹介する。

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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