







2025年5月27日9時50分にYAHOOニュース(Motor-Fan.jp)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
街中を緊急走行する消防車の鮮やかな赤色は、多くの国々で見られる光景だ。
サイレンの音と合わせて、赤い消防車を見れば誰もが火災の発生を直感的に理解する。
しかし、なぜ消防車は「赤」なのだろうか。
これには単なる伝統や習慣ではなく、その背後には色彩心理学と視認性の科学、そして消防活動の歴史的発展が深く関わっている。
火と対峙してきた人類の歴史とともに進化してきた消防車の赤には、科学的根拠と興味深い逸話が隠されているのだ。
■赤色が持つ警告と緊急性のイメージと、日本の消防車の「朱色」の起源
色彩には、人間の心理に強く働きかける力がある。
特に「赤」は血や火を連想させ、古くから警告や危険を表すシンボルとして世界中で扱われてきた。
この普遍的な認識が、消防車の色に大きく影響している。
赤色を見た人間は脳内で瞬時に注意や危険を意識し、警戒心が高まるという。
この反応は本能的なもので、信号機の赤や警告標識に赤が使用される理由と同じだ。
また、赤色には遠くからでも識別しやすいという特徴がある。
これは特に19世紀から20世紀初頭、街灯が限られていた時代において重要だった。
現代における日本の消防車も、法律で「朱色」と定められている。
「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の第231条(緊急自動車)の第三号において「緊急自動車の車体の塗色は、消防自動車にあっては朱色とし、その他の緊急自動車については白色とする」と明確に規定されているのだ。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokukokuji/saikoku_231_00.pdf
日本の消防車が赤になった正確な起源は諸説あり、国内最初の消防車が国外から輸入された赤色だったこと、注意を引く色であること、炎を連想させ警火心を呼び起こすことなどが挙げられている。
歴史的に見ると、日本では1884年に消防本署(現・東京消防庁本庁)が、それまで採用していた手押しポンプ「龍吐水」に代わって、蒸気ポンプと人員輸送車を配置したのが近代の消防車の始まりだった。
この時期の消防車の色が、その後の標準となったと考えられている。
■実は黄緑色の方が見えやすい?視認性から見る消防車の色
色彩の視認性に関する科学的研究が進むにつれ、興味深い事実が明らかになった。
アメリカ心理学会によると、人間の目の色を感知する錐体細胞は暗闇ではうまく機能せず、夜間では緑がかった黄色が最も視認しやすいとされている。
つまり、純粋な視認性だけを考えると、実は赤よりも「ライム黄色(黄緑色)」のほうが効果的なようだ。
特に、人間の周辺視野感度が低下する夜間においては、黄緑色が赤よりも視認されやすいという報告もあり、一部の研究では赤より高い視認性を示す数値が示されている。
ただし、色の視認性には環境や条件によって差があるため、状況に応じた判断が重要である。
この科学的知見を元に、1970年代のアメリカでは、それまで赤かった消防車を黄色に変える試みが行われた。
さらに具体的な研究として、ダラス消防局のデータを分析した結果、赤または赤/白の消防車と比較して、ライム黄色/白の消防車は視認性に関わる事故リスクが3分の1程度であることが判明した。
しかし、興味深いことに消防車を赤から黄色に変えたところ、むしろ事故が増えたという結果も報告されている。
これは、多くの一般ドライバーの間で「消防車は赤い」という、長年の慣れから来る刷り込みがあったためだとされている。
この出来事からもわかる通り、消防車の色においては視認性だけでなく、緊急車両と一目で識別できる認知が要求されるのだ。
■消防車の色の伝統と革新
世界各国の消防車の色を見ると、伝統と科学的根拠のバランスについて、様々なアプローチがあることがわかる。
例えば日本では「朱色」と法令で定められているが、関西国際空港には黄色い化学消防車が存在する。
これは「緊急自動車の指定を受けておらず、空港内のみでの使用」という特殊な条件と、「24時間稼働する空港で夜間の視認性を重視」した結果だ。
特定の環境に合わせた例外が認められた例と言えるだろう。
一方、スウェーデンなどの北欧諸国や一部のオーストラリアの消防署では、科学的根拠に基づいて蛍光イエローグリーンの消防車を標準採用している。
これは夜間や霧の中での視認性が高いとされる科学的根拠を優先した選択と言える。
アメリカでは消防局ごとに色の選択が異なり、赤を維持している地域もあれば、黄色や白を採用している地域もある。
中には一度黄色に変更した後に、伝統的な赤色に戻す消防局も見られるようだ。
■知ってた?白バイの赤い過去
時は1917年。
東京の街を走る自動車はわずか1,300台だったが、交通事故の犠牲者は年間51人、負傷者に至っては3,600人もの数に上っていた。
この事態に対応するため、機動性抜群のオートバイによる取締りが求められ、アメリカから真っ赤なバイクが日本にやってきたのだ。
鮮やかな赤色の車体から「赤バイ」と親しまれた、これらのマシンには、赤色灯やサイレンはもちろん、消火器が備え付けられていた。
これこそが、日本における警察用オートバイの先駆けとなったのである。
時代は流れ、1936年8月。
それまで警視庁で活躍していた「赤バイ」が一変、白色に装いを新たにした。
こうして私たちがよく知る「白バイ」が誕生したのだ。
しかし、物語はここで終わらない。
1995年1月、阪神・淡路大震災が発生。
瓦礫に埋もれた道路を教訓に、「赤バイ」が約60年の時を経て復活を遂げる。
ただし、かつての赤バイとは使命が異なり、大震災時の情報収集を主な任務として、同年、都内各消防署に配備されたのである。
日本の安全を守り続けてきたバイクは人知れず色を変え、役割を変えながら受け継がれている。
■科学的根拠と伝統のバランスが求められる現代の消防車
現代の消防車デザインでは、伝統的な色を維持しながらも科学的知見を取り入れる融合的アプローチが主流となっている。
多くの国では伝統的な赤色を維持しつつ、反射材や発光素材の併用によって視認性を高めているようだ。
2010年以降は、日本でも伝統的な赤色に加えて、反射材を大幅に増やした新しいデザインの消防車が導入されている。
また、赤と黄色を組み合わせたシェブロンパターン(V字型の縞模様)が、最も視認性の高い組み合わせとして推奨されている。
このように、科学的根拠と伝統的価値観のバランスは、各国の文化や環境に応じて異なるアプローチが取られているが、消防車を見かけたら即座に認識できるという普遍性は、今後も大切にされていくだろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/82bfbf2c980237b64b5e5164c654913860b02593


















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