2019年10月15日12時22分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風19号の影響で、東急東横線武蔵小杉駅近くの47階建てタワーマンション1棟が、24階まで停電したまま、エレベーターが使えない状況になっている。
川崎市が取材に明らかにした。
地下3階の電気系統の設備に浸水したためで、断水は全戸に及んでいる。
高さ約161メートル、643戸のマンションは、ポンプで水をいったん上層階までくみ上げ、各世帯に供給する仕組みとなっているが、停電によりポンプが動かず、全戸で断水、トイレも使えない。
管理会社が水や携帯するタイプのトイレを住民に提供している。
電気系統のシステムは、1階から24階までと、25階から上階に分かれている。
エレベーターが動かない階の住民は、階段を使わざるを得ないという。
住民らによると、エレベーターが止まっているため、真っ暗な非常階段を、懐中電灯を使って移動している。
高層部分に住む女性は「管理組合から『長引きそうだ』との説明があった。しばらく別の場所に行く」と話し、スーツケースを持って駅に向かった。
住宅と工場の街だった武蔵小杉駅周辺は2007年の工場移転をきっかけに開発が進み、10年のJR横須賀線武蔵小杉駅開業で開発はさらに加速。
新宿、渋谷、横浜、成田空港がJRや東急線でつながる交通の利便性が人気を呼んでいる。
現在、駅周辺には11棟のタワーマンションが完成している。
https://www.asahi.com/articles/ASMBH31TGMBHULOB00C.html
10月16日18時33分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
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中原区役所によると、14日に住民から「電気がつかない」と連絡があった。
地下の電気系統が浸水して電気が使えなくなり、水も吸い上げられなくなって断水したという。
地域のまちづくりを担うNPO法人「小杉駅周辺エリアマネジメント」によると、トイレや風呂も使えず、エレベーターも動かない状態。
担当者は取材に「簡易トイレを設置したり、周辺マンションのゲストルームや近くのスポーツクラブにシャワーや風呂の利用をお願いしている」と話す。
現場マンションは川から距離があり、大雨での浸水もなかった。
しかし川崎市によると、このマンションを含む周辺の下水道は汚水と雨水を合わせてその一部を川に排水しており、川が増水して逆流した水があふれたか、増水のため排水ができず、浸水した可能性がある。
復旧の見通しは今も立っていないという。
娘がマンションの6階に住んでいるという女性は、「トイレや風呂も使えなくなっている。上層階の人はもっと大変だろう」と話した。
https://www.sankei.com/affairs/news/191016/afr1910160066-n1.html
10月16日付で東京新聞からは、雨が街に溜まるのを防ぐため排水ゲートを閉めなかったところ多摩川の水位が上がったため水が排水管を伝って逆流したなど、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
日本列島の広範囲に激しい雨を降らせた台風19号は、各地で河川の氾濫を引き起こした。
詳しい原因の解明はこれからだが、水が行き場を失い、堤防の決壊につながった可能性が考えられるケースがあるなど、河川の地形的な問題が浮かぶ。
川崎市の一部で起きた冠水は多摩川の水が排水管を伝って逆流したことが原因だったことが判明し、市の事前の措置で防げた可能性も出てきた。
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東京と神奈川の境を流れる多摩川の南側に位置する川崎市の武蔵小杉駅周辺。
この付近で多摩川は氾濫しなかったが、タワーマンションが立ち並ぶ街中には泥水があふれ、道路が通行止めになったほか、場所によっては建物一階の大部分が水没した。
駅も電気系統に支障を来し、自動改札機やエスカレーターが使えなくなった。
川崎市によると、雨水を多摩川に流すはずの排水管から、川の水が逆流したことが原因という。
通常は、排水管の出口部分よりも多摩川の水位が低いが、増水で上昇したために出口から流入した。
排水管をふさぐゲートがあるが、雨水が街中にたまっていくのを回避すべきだと考えて閉じなかった。
市の担当者は「検証はこれからだが、川の水位が極端に上がったことが要因」と話す。
「水害列島」の著作がある公益財団法人リバーフロント研究所の土屋信行技術参与は「川の水位が高いのにゲートを開けていれば、逆流するのは当然。本当に閉じなかったのであれば、あり得ない判断だ。大雨によって住宅地が冠水する恐れがあっても、逆流による洪水を防ぐことを優先すべきだった」と指摘した。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019101602000242.html
(ブログ者コメント)
マンションや商業ビルにおいて、ユーティリティ関係の設備は地下に設置されることが多いが、中には浸水対策としてビルの2階に配電盤や非常用電源を設置しているビルもあると、どこのテレビだったか、現場映像を交えて報道していた。
(2020年5月24日 修正1 ;追記)
2020年5月23日23時0分に朝日新聞からは、マンション住民100人以上が入口に土嚢を積んだが下から水が上がってきた、管理組合はデマには反論せず取材にも答えなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
巨大な台風19号が上陸した昨年10月12日。
川崎市中原区の武蔵小杉駅近くに立つタワーマンション、パークシティ武蔵小杉ステーションフォレストタワーが、水害に襲われた。
地上47階建てで、643世帯、約1500人が住む。
豪雨で周囲の道路が冠水。
浸水から1階の入り口を守ろうと、住民100人以上が土囊(どのう)を積み、なんとか防いだ時だった。
午後11時ごろ、「地下3階で浸水している」と連絡があった。
駆けつけた一人は「状況に啞然(あぜん)とした」と災害後に記している。
電気室・機械室のある地下3階に、さらにその下にある貯水槽から水が上がってくる。
住民たちは手作業で別の地下水槽に流そうとした。
だが水位の上昇は止まらない。
感電の危険がある。
やむなく中止し、見守るしかなかった。
午前2時ごろ全館停電。
電気設備が水没し、エレベーターが動かない。
館内は真っ暗。
水が出なくなり、トイレも流せなくなった。
翌朝午前7時、管理組合は災害対策本部を立ち上げた。
管理会社、電力会社、建築会社などが駆けつけ、建物を報道陣が囲んだ。
この「水害」は各地のマンション住民に衝撃を与えた。
多くは同じように、地下や1階に電気設備がある。
今回はあそこに被害が出たが、次はうちかもしれない……。
人気エリアだけに、ネットやメディアを通して不正確な情報やデマが広まった。
「汚水が1階トイレからあふれた」、「ロビーが浸水しソファがぷかぷか浮いていた」。
実際は事実無根で、構造上ありえないし、浸水もなかった。
中には「当分住めないらしい」という話まであったが、事実と違った。
管理組合理事長の海老澤さん(男性、45歳)は、「被災から3日目には地下3階から水を抜き、1週間ほどで電気は復旧し、9日ぐらいで上下水道と電気といったインフラは復旧しました。各社の協力で、ものすごく早かった」と話す。
だが、管理組合は反論せず、取材にも答えない方策を選んだ。
「住民への説明が先だし、当時はわからないことが多い。下手に答えたら、それが広まってしまう。報道対応に慣れた住民がいない限り、難しい」と海老澤さん。
今は、判明した内容をネットで公開している。
今回の水害が教えてくれるのは、地域の力、住民の力の大切さだ。
地域のマンション住民が参加するNPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント。
事務局長の塚本さん(53)は支援を求められ、近隣のマンションに呼びかけた。
すると何人もが、「うちに階段車がある」、「ポータブル電源がある、すぐ行く」と動き出した。
「日頃のマンション同士の横のつながりが、災害時には大事ですね」と振り返る。
被災したマンションの向かいのマンション。
管理組合法人の代表理事で地域にも関わる志村さん(男性、59歳)は、こう語る。
「12棟あり、住民は全部で約2万5千人。いわば一つの町です。うちは、よそで避難民が出たら受け入れる態勢です」
被災したマンションでは、住民が専門組織を作って原因究明と今後の対策に乗り出した。
設計や法律、保険に詳しい人もいる。
「災後」こそ、住民の知恵と力が求められるに違いない。
https://digital.asahi.com/articles/ASN5G4V2PN5DUHVA001.html?pn=4
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。