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10月18日付で東京新聞からは、広い平坦地で用地買収に支障が少なかったことなどが車両基地を現在の場所に造った理由など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長野新幹線車両センターは独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が建設し、JRの東日本と西日本に貸し付けている。
長野市のハザードマップでは最大で十メートル以上二十メートル未満の浸水が予想されていた場所だが、なぜここに造ったのか。
同機構の担当者は「一九九七年の供用開始時には、ハザードマップはできていなかった」と説明。
「長野駅から近く、広い平たん地があり、用地買収に支障が少ないことを考慮して建設地を選定。長野県が作製した洪水浸水被害実績図を参考に、約二メートルの盛り土をした」とする。
東海道新幹線の運転士を長年務めた中村さん(男性、81歳)は 六七年、大阪府摂津市の東海道新幹線鳥飼車両基地に大雨で近くの川の水が流れ込んだ際、車両を本線に移動させ、浸水から守った事例を指摘
「北陸新幹線も何とか助けることはできなかったのか。浸水しないように移動させるべきだったのでは」と話している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019101802100028.html
10月18日7時21分にNHK NEWS WEBからは、国交省は全国の新幹線車両基地の防災対策を調査するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
多くの新幹線を留め置くJR各社の車両センターや基地などは長野以外にも全国に18か所ありますが、このうち一部は洪水による浸水想定エリアにあることがわかっています。
今回のように車両が浸水の被害を受ければ新幹線の運行に重大な支障が出ることから、国土交通省は全国の車両センターや基地などを対象に防災対策の状況について近く調査に乗り出すことになりました。
調査では、洪水や高潮による浸水など災害時に想定される被害や、その対策が十分に講じられているかなどについて、JR各社に報告を求めることにしています。
国土交通省は調査の結果を踏まえて必要な対策を検討したい考えで、調査対象に新幹線だけでなく、JRの在来線や私鉄各社の設備も含めるか調整を進めています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191018/k10012137251000.html
10月18日19時51分に朝日新聞からは、過去に冠水したことがある栃木県の東北新幹線車両基地では列車を避難させていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東北新幹線の一部の車両基地では台風の接近を受け、浸水を防ぐために車両を避難させていた。
JR東日本が18日明らかにした。
JR東は今後、浸水が予想される場合の対応ルールを見直す方針だ。
JR東によると、車両を避難させていたのは、栃木県の東北新幹線・那須塩原駅近くにある車両基地。
台風の予想進路にあたっていたことから、11日の段階で車両を避難させる計画を決定。
12日に計画運休が始まるのに合わせ、計8編成を郡山駅(福島県)や仙台市内にある車両基地などに避難させた。
那須塩原の基地は1998年8月の「那須水害」で冠水した。
車両に大きな被害はなかったが、線路設備が故障して出庫できなくなった経験があるという。
JR東は「東北新幹線は運転再開まで時間がかかると見込んでおり、事前に避難計画を練っていた」と説明。
このほか、強風対策を含め、在来線の基地11カ所で計20編成を別の駅などに避難させていた。
一方、北陸新幹線の10編成が浸水した長野新幹線車両センターでは、台風通過後に早期に運転再開できると見込み、車両の避難計画は立てていなかった。
JR東は「新幹線を避難させるには運転士の手配や送電など様々な準備が必要となる。今回起きた事象を教訓とし、浸水が予想される場合のルール見直しを検討したい」としている。
https://www.asahi.com/articles/ASMBL61BZMBLUTIL064.html
(ブログ者コメント)
超大型台風につき十分な警戒が必要だと、何日も前から報道されていた。
また、伊豆半島上陸前から天気予報では、山梨から北関東周辺にかけての広い範囲で大雨が降ると、黄色や赤色表示で予想されていた。
そのような状況下、栃木県の車両基地のように、たとえば石川県の白山基地(会社は違うが)に車両を移すとか、それが無理なら高架上の各駅などに移しておくとか、何らかの対応はとれなかったものだろうか?
そもそも、浸水を想定した非常時対応マニュアルはあったのだろうか?
あったとすれば、そこには、どう書かれているのだろうか?
一方、朝日新聞の「台風通過後に早期に運転再開できると見込み、車両の避難計画は立てていなかった。」という表現も気になった。
もし、早期の運転再開に備え、避難させず車両基地に留め置いていた・・・ということだったとすれば、安全第一ではなく運転第一だったということになる。
※本件、2020年10月5日付の記事で、「対策本部で事前避難を検討していたが進路が西にずれたため長野の避難は間に合わなかった」などと修正している。
(2019年11月7日 修正1 ;追記)
2019年11月6日17時53分にNHK信州から、水没した全車両が廃車になるという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東日本の深澤社長は、6日の会見で、車両の床下にあるモーターやブレーキの制御装置などが水につかっていて、完全な修理が難しいことから所有する8編成を廃車にすることを明らかにしました。
また、JR西日本も所有する2編成を廃車にすることにしていて、浸水した10編成すべてが廃車になることになりました。
車両全体の帳簿上の価格は合わせて148億円にのぼり、部品の一部は再利用することを検討するということですが、会社では、損失分を今年度の決算に計上する見通しです。
・・・・・
洪水による浸水想定エリアにある車両センターなど6か所の対策についてJR東日本は、気象状況から水につかることが予想される場合には、事前に車両を退避させたうえで、計画運休を実施することなどを検討していくということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20191106/1010011426.html
11月6日20時5分にNHK石川からも、再利用検討対象は水に浸かっていない部品だという、同趣旨の記事がネット配信されていた。
廃車にする車両のうち、パンタグラフや行き先を示すLED表示器など水に浸かっていない部品については再利用を検討するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20191106/3020003190.html
(2019年12月7日 修正2 ;追記)
2019年12月6日18時0分に日本経済新聞から、変電所など重要度の高い機器を置いた施設を10mほどかさ上げするという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東は重要度が高い変電所や通信機器を置いた施設をかさ上げする。
車両センターは、もともと、長野市のハザードマップで1000年に1度の大雨で10メートル以上浸水する可能性があるとされていた。
1997年のセンター開業時には2メートルかさ上げされていたが、不十分だった。
JR東は長野市の基準に沿って10メートル程度かさ上げするもようだ。
車両の補修などに使う施設には止水板を取り付ける。
車両を留置している線路は地面に直接敷いており、かさ上げは難しい。
災害時は新幹線を駅や他の車両センターに退避させることで、車両への浸水を防ぐ方針だ。
センターは独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が保有し、JR東が借り受けている。
復旧費用はJR東が加入している保険でまかない、足りない分は鉄道・運輸機構に請求する。
工事にかかる費用はこれから試算する。
建設業界では、費用が数十億円程度にのぼるとみられている。
JR東の長野以外の5つの新幹線の留置施設も、地元のハザードマップで浸水エリアに指定されている。
同社は、今後は他の車両センターもかさ上げなどの対策を検討する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53050020W9A201C1MM8000/?n_cid=NMAIL007_20191206_Y
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。