2020年12月22日20時53分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が複数枚の写真付きでネット配信されていた。
22日午前10時ごろ、名古屋市中区錦3丁目のホテルNガーデンパレスの地下駐車場付近で、「煙が上がっている」と119番通報があった。
愛知県警によると11人が病院に搬送され、男性作業員(51)が死亡、30代男性が重症。
二酸化炭素(炭酸ガス)を出す消火装置が誤作動した可能性があり、県警は業務上過失致死傷の疑いも視野に慎重に捜査する。
県警や市消防局によると、亡くなったのは岐阜市日野西2丁目の玉田さん。
11人はいずれも作業員やホテル従業員らで、宿泊客は無事だった。
現場は地下階で出入庫する立体駐車場で、前日から2基のうち1基の修理工事をしていたという。
消火装置は火災時に自動で作動するが、手動で起動もできる。
現場では火の手は確認されなかったといい、何らかの原因で誤作動したとみられる。
現場は名古屋市中心部の「錦三(きんさん)」と呼ばれる繁華街。
消防車など39台が出動し、騒然となった。
ホテルNガーデンパレスは178室、立体駐車場の収容台数は64台という。
【白っぽいガス「やばい」「逃げろ」 次々と倒れる人】
地下空間にいた作業員らは、瞬く間に充満した白い煙のような炭酸ガスに巻かれた。
「火災です、火災です」。
現場の駐車場の管理会社の70代男性従業員は、突然の警報を聞いて周囲を見渡した。
火の気はない。
誤報かと思った次の瞬間、「今から炭酸ガスを注入します」というアナウンス。
白っぽいガスが流れ込み、迫ってきた。
「やばい」「逃げろ」。
ガスに巻き込まれた作業員が床に倒れ、警報を受けて駆けつけた人も倒れた。
男性も、息苦しくなりながらも、階段で1階へ避難したという。
「警報から5、6分のことだった」と振り返った。
ホテルの車寄せ付近には大量の布が敷かれ、ぐったりと座り込む作業服姿の人や、横になったまま動かない人もいた。
ホテルの飲食店で働く女性(56)は「宿泊客と従業員はロビーに避難したが、怖かった」と話した。
【専門家「全く装置に触れずに作動するのは考えにくい」】
名古屋市消防局などによると、今回作動した消火設備は、炭酸ガスを放出し燃焼に必要な酸素の濃度を下げて消火する仕組み。
構造的に放水が届かない場合や、ボイラー室や変電室など、水を使えない施設などで使われるという。
人が窒息する危険があるため、設備は原則的には手動式。
出入り口などに設けられた操作盤のふたを開けると「ガスが出ます」といった警告音が流れる。
起動ボタンを押し、一定の時間が経って放出される。
緊急停止ボタンもある。
元東京消防庁の坂口さんは、「全く装置に触れずに作動するのは考えにくい。原因の検証が必要」と指摘する。
身近な場所にこの設備がある場合、ガス放出の警告音を聞いたら避難することが大切という。
炭酸ガスによる消火設備の事故は過去にも発生。
2013年には岐阜県美濃市の工場で作業員3人が死亡。
10年には東京・新宿のビルの地下駐車場で設備点検中の作業員が重症になった。
https://www.asahi.com/articles/ASNDQ3QNRNDQOIPE007.html
12月22日12時46分放映のNHK東海では、駐車場管理人の話しが字幕で表示されていた。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20201222/3000014394.html
12月22日19時34分に日本経済新聞からは、劣化して切れたチェーンを朝から4人で修理していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ホテルの担当者によると、駐車場はエレベーターで車を運ぶ立体式で、地下に入庫口がある。
エレベーターのチェーンが劣化して切れたため、修理していた。
愛知県警によると、玉田さんを含む4人が22日朝から作業していたという。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD223JH0S0A221C2000000
12月22日16時5分に中日新聞からは、死亡重症以外の9人は中等症や軽症とみられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
死亡した男性以外、他に30代の男性が重症で、残り9人は中等症、軽症とみられる。
搬送者にはホテル従業員も含まれているという。
https://www.chunichi.co.jp/article/174374
12月23日17時10分にYAHOOニュース(東海テレビ)からは、ガスの噴出口は7カ所に設置されていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場の立体駐車場には、ガスの噴出口が天井や壁など7カ所に設置されていて、救急隊が到着した際、玉田さんは最上部から意識を失い落下したのか、立体駐車場の下から2段目の辺りで、他の作業員は地下1階などで倒れていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/65acd06da9c8929534c4b216b6cf0b13c7b7b3d8
12月23日18時58分にYAHOOニュース(CBCテレビ)からは、火を使う作業があったので誤作動防止のため消火設備を止めようとして、誤って作動ボタンを押したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
玉田さんら3人は、火を使う作業があったため上層階にいましたが、誤作動を防ごうと、地下にいた作業員1人が消火設備を一時的に止めようとしたところ、誤って”作動ボタン”を押したとみられることが新たにわかりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8b3f51971e895b189b769bfeb50d776238323bab
12月24日17時1分にYAHOOニュース(CBCテレビ)からは、市は特別査察を開始した、作業時は元栓を閉めることなどを説明しているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受け、名古屋市が特別査察を始めました。
24日は、名古屋市消防局の職員が、同様の消火設備をもつ市内のホテルで、オーナーに誤った操作を防ぐための安全管理対策や、消火ガス放出時の避難対応について説明しました。
「建物の関係者の方と作業員の方は、ここにこういう設備があるんだよ。
作業のときに万が一間違いにより放出されることがないよう、(ガスの)閉止弁を閉めることをお願いしたい」
(名古屋市中消防署・櫻井予防課長)
特別査察は市内782の施設を対象に、来年1月22日まで行われます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a81d42088f553b158590052b74befaa762c4c8d6
12月24日17時46分にYAHOOニュース(メーテレ)からは、二酸化炭素消火設備が作動した場合の対処方法などに関する下記趣旨の記事が、査察を受けた施設にある操作盤の写真付きでネット配信されていた。
特別査察の対象は、二酸化炭素ガスを放出する消火設備を設置した名古屋市内の宿泊施設や商業施設など782カ所です。
誤って消火ガスが出ることを防ぐ措置や、出た際の避難方法を指導します。
万が一、施設内にいて消火設備が作動した場合はどうすればいいのでしょうか?
「万が一、中にいて放出ボタンが押されてしまった場合は、脱出口がありますので、速やかに避難していただく。
警報が鳴ってから放出されるまでは一定の時間がありますので、その間に脱出していただく。
間違えて押した場合は、押した方は、緊急停止ボタンを押して止めていただきたいと思います」
(名古屋市消防局 予防課 渡辺さん)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ddab82cceb303b70fa8e8fa767ebb20734f9c57e
(ブログ者コメント)
〇操作盤のボタン配列がどうなっていたのか、メーカー関係の情報なども含め調べてみたが、これといった情報は見つからなかった。
〇美濃市の事例は下記記事参照。
『2013年3月12日 美濃市の木材加工会社の集じん機内で木くずがくすぶり、CO2消火器で火が消えたことを確認しようと中に入った人と助けに行った人、計3人が酸欠で死亡 (修正2)』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2738/
※新宿の事例は本ブログを開設した2010年に発生しているので、
情報なし。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。