2021年10月6日17時22分にNHK滋賀から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし6月、高島市にある陸上自衛隊の饗庭野演習場で迫撃砲の射撃訓練中に砲弾1発が誤って演習場から西に1キロほど離れた場所に着弾し、この演習場では現在も実弾を使った訓練は中止されています。
この問題について、県の担当者は6日に開かれた県議会の特別委員会で、先月中旬、陸上自衛隊側から原因や再発防止策についての中間報告を受けたことを明らかにしました。
それによりますと、砲弾は演習場の外に飛び出さないよう射撃する前に火薬の量を調整しますが、今回は射撃前の安全点検が不十分で、調整の終わっていない砲弾を撃ってしまったことが原因だったとしています。
このため、自衛隊では再発防止策として、演習場に持ち込む前の段階で砲弾の火薬量を調整することや、射撃部隊以外の部隊が安全点検を行うことなどを検討しているということです。
県では、この再発防止策について実効性を確認することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20211006/2060008942.html
※事故当時の状況は下記報道参照。
(着弾地の写真や同演習場での過去の誤射一覧表付き)
(2021年6月24日8時0分 京都新聞)
23日午前10時40分ごろ、滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場で、訓練中に発射された120ミリ迫撃砲弾1発が敷地境界を越え、西に約1キロ離れた山林に落下した。
陸自今津駐屯地(同市今津町)と高島市が発表した。
けが人や被害の情報はないという。
「バーン」。
雷より大きな爆発音が一帯に轟(とどろ)いた。
砲弾は近くの国道の工事現場にいた作業員の頭上を飛び越えて着弾し、破片が木の幹を大きくえぐった。
約2年半前には、同演習場の砲弾が国道脇に飛び、乗用車が損壊する重大事案が起きた。
陸自が強調した再発防止の徹底は何だったのか。
住民からは「安全に対する意識が欠けている」と、怒りの声が相次いだ。
着弾地点とみられる山林の東側には国道367号が走る。
一帯は拡幅工事中で、男性作業員(26)は、「雷より大きな爆発音がした。振動も感じ、びっくりした」と恐怖の一瞬を語った。
別の男性作業員(62)は、「最初は工事現場で交通事故が起きたと思った。道路と反対側の山の中を見ると白い煙が見えた」と話した。
着弾地点とみられる山林の斜面にある木の幹は大きく損壊し、120ミリ迫撃砲の破壊力を伝える。
現場には自衛隊員が続々と集まり、人海戦術で破片の回収作業を続けた。
現場の南東にあり、33世帯が住む同市朽木荒川の惣田区長を務める会社員・石田さん(男性、36歳)は、「一歩間違えれば大惨事になっていた」と憤る。
2018年にも迫撃砲弾誤射、19年には照明弾の落下事故もあり、場外着弾事案は過去6年で4件目。
「(陸自は)住民の安全に対する意識が欠けている。原因の究明と具体的な再発防止策を徹底してほしい」と怒りをあらわにした。
夕方になっても陸自や市から連絡はなく、「発覚直後に防災無線で流すなど、速報するべきだ。説明責任を果たしてほしい」と訴えた。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/586850
(ブログ者コメント)
本ブログではこれまで、当該演習場で2015年と2018年に起きた事例も紹介している。
(2021年12月10日 修正1 ;追記)
2021年12月9日12時13分に時事ドットコムからは、砲弾は3kmオーバーだった、弾薬手が火薬を減らし副砲手らが点検する手順だった、訓練遅れで焦っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
陸上自衛隊饗庭野演習場(滋賀県高島市)で6月、訓練中に迫撃砲弾が場外に着弾した事故で、防衛省陸上幕僚監部は9日、火薬量の確認を怠ったことが原因とする調査結果を発表した。
陸幕は関係者12人を停職などの処分とし、「再発防止策を徹底し、信頼回復に努める」と謝罪した。
事故は6月23日に発生。
高知駐屯地(高知県香南市)所属の第50普通科連隊が120ミリ迫撃砲の実射訓練中、1発が約3キロ離れた目標を越え、約6キロ先の演習場外に着弾した。
けが人はいなかった。
陸幕によると、弾薬手が砲弾の火薬量を減らして飛距離を調整、副砲手らも発射前に点検する手順だが、いずれも確認を怠り、調整前の砲弾を発射した。
陸幕は、訓練の遅れによる焦りなどが背景にあったと指摘した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7022d2b963ae8b37205043df5b2b96ee707b1f6
12月9日19時38分に産経新聞からは、火薬量調整前の弾薬と調整後の弾薬を同じ場所に置いていたため取り違えたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
訓練では、射撃前に砲弾を飛ばす火薬量を適切に調整、確認することになっていたが、調整前と後の弾薬を同じ場所に置いたため、取り違いが発生。
その後も火薬量を確認しなかった結果、約6キロ先の山間部まで飛んだ。
計画から遅れが生じたため射撃を急いだことも一因として挙げた。
陸自は再発防止策として、飛距離と方向を一定にとどめるため、全国の部隊に迫撃砲の砲身部の上下、左右の角度を制限する安全ストッパーを導入する。
同演習場での訓練では、砲弾の火薬量を事前に減らし、最大約4キロしか飛ばない状態で搬入することで、場外へ飛ばないようにすると決めた。
高島市の福井正明市長は、「平成27年以降、こうした事故が4件連続している。緊張感の欠如と言わざるを得ない」と指摘。
三日月大造知事は「再発防止策を徹底してほしい」と述べた。
https://www.sankei.com/article/20211209-NO2QFGVNFVOQ7MISJYE73XTIIA/
12月9日12時33分にNHK関西からは、次の射撃で使う弾薬と取り違えた、確認指導すべき分隊長は訓練が遅れていたため時間の計測に集中していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故について、陸上自衛隊は、確認が不十分なまま、飛距離を調節するための火薬の量が本来より多い弾薬を使ったのが事故の原因だとする調査結果を公表しました。
次の射撃で使うために近くに置いていた、火薬の量を調整していない弾薬と取り違えたうえ、分隊長は訓練が計画より遅れていたため時間の計測に集中し、確認や指導が不十分だったということです。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20211209/2000054881.html
12月11日9時11分に読売新聞からは、火薬の量が多い砲弾が運ばれていくのを若手隊員が見ていたが確証を持てなかったため上司に言い出せなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
参加していた若手の1等陸士が、通常より多い火薬が装填されていることに気付きながら上司に指摘できず、そのまま発射されていたことが陸自への取材でわかった。
訓練していたのは高知駐屯地(高知県)の第50普通科連隊の約50人。
誤射があったのは6月23日で、陸自が今月9日に調査結果を公表していた。
調査結果では、同隊の隊員らは作業を急ぐあまり、火薬の量を減らしていない砲弾を誤って発射。
砲弾は想定より2・4倍の飛距離が出て、演習場から約1キロ離れた山林に着弾したとした。
けが人はいなかった。
陸自によると、1等陸士は発射前に火薬の量が多い砲弾が運ばれていくのを見ており、調査に対し「おかしいと思ったが確証を持てず、上司に言い出せなかった」と述べたという。
陸自は調査結果公表に合わせ、現場にいた9人を処分しており、1等陸士を訓戒とした一方、ほかの上官8人は停職や減給とした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211211-OYT1T50101/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。