2020年10月11日20時38分に読売新聞から、下記趣旨の記事が現場写真と解説図付きでネット配信されていた。
昨年の台風19号で岩手県内では3人の犠牲者が出て、うち2人は車を運転中に道路の陥没箇所に転落して亡くなった。
釜石市が公表した報告書によると、同市内の道路陥没は、大雨で地中の浸透水の量が限界に達したのが原因だった。
台風19号上陸から12日で1年。
雨が収まった後も目に見えないところで道路に異常が出る恐れがあり、専門家は警鐘を鳴らしている。
釜石市鵜住居町を通る市道「箱崎半島線」が昨年10月13日に陥没した。
車を走らせていた同市の高橋さん(男性、当時68歳)が転落し、翌月死亡した。
大河原正文・岩手大准教授(地盤工学)が現地調査などを行い、検証報告書をまとめ、市が9月に公表した。
報告書によると、陥没は、路面下の盛り土が崩壊したことで発生。
路面が長さ約20メートル、幅約12メートル崩れ、約2600立方メートルの土砂が流出した。
大型ダンプにして約520台分に上る。
崩壊の引き金となったのは、地中を流れる浸透水だ。
釜石市では13日午前0~1時に55・5ミリの降水量を観測し、雨のピークを迎えた。
この時はまだ、水が斜面の内部をゆっくり流れていたが、半日以上たち、雨がやんでいた13日夕から夜にかけて「排水能力を超える浸透水が流入し、盛り土の荷重バランスが崩れ、一気に崩壊した」と指摘した。
市道を管理する市建設部の菊池部長は、「台風が去り、いったんホッとしていた。台風後も警戒が必要だと痛感した」と振り返る。
市や委託業者は、雨のピークの前に1回、台風が過ぎ去った後も3回、路面の状態をパトロールしたが、異常は認められなかった。
菊池部長は、「せめて、木が倒れていたり水があふれていたりといった兆候があれば、気付けたかもしれない」と、対応の難しさを悔やむ。
市道は東日本大震災後、内陸部に建設され、2017年に供用が始まった道路。
盛り土の構造は「指針に準拠して設計されており問題ない」と結論づけ、施工不良などの人為的なミスはなかったとした。
現在も通行止めが続き、復旧のめどはたっていない。
台風19号では、田野畑村松前沢の村道でも陥没が起き、岩泉町の穂高さん(当時71歳)が、運転する軽トラックごと転落して死亡した。
釜石市の佐須地区や宮古市の重茂半島でも道路陥没が起きた。
斎藤徳美・岩手大名誉教授(地域防災学)は、「行政機関や住民は、雨が収まっても斜面や路面の崩壊が起きうると認識すべきだ」と指摘する。
大河原准教授は報告書で、浸透水の排水方法や盛り土の補強といったハード面に加え、浸透水の状況を計測するシステムの構築などを提言した。
市は今後、市道の災害復旧工事で対策を講じることが可能かどうか、国と協議する方針だ。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201011-OYT1T50144/
※以下は事故当時の状況などを伝える報道。
(2019年11月16日15時25分 毎日新聞)
高橋さんは同市鵜住居町で「H電気工事」の社長を務めていた。
台風19号の豪雨が小康状態になった先月13日午後9時前、根浜地区の自宅兼会社から約2キロ離れた事業所にとめた車が災害復旧工事車両の妨げになると考え、移動させるために妻(69)と車で向かった。
高橋さんも寄付をして建設された釜石鵜住居復興スタジアムでのラグビー・ワールドカップの試合は中止になったが、テレビは日本戦を映し出していた。
長女(43)は「スコットランドを逆転し、ハーフタイムだった」と記憶する。
直後、長女の携帯に連絡が入った。
「レスキュー車と救急車を呼んでくれ」。
高さ5~10メートルの市道の穴に落ちたという。
長女の夫(43)が向かったが、高橋さんは頭に大けがをしながら、土砂崩れを警戒して妻の手を引き、ボンネットに避難していた。
病院で「俺はだめかもしれないがみっちゃんだけは助けてくれ」と妻を気遣った。
一時は回復に向かったように見えたが、7日に転院先の病院で亡くなった。
釜石市と大槌町の配電事業や、東北6県の岩盤掘削などを手掛けてきた。
4歳から高校生までの6人の孫と従業員約15人を愛した。
1995年のチリ地震津波後に高台に引っ越し、震災では家族全員が無事だった。
国道と根浜、箱崎の両地区を結ぶ道路のがれきを、重機でいち早く撤去。
地元自治会長の前川さんは「命を守ってくれた恩人だ」と感謝を惜しまない。
10日の告別式には、式場の寺院に向かう道路が渋滞し、数え切れないくらいの人が訪れたという。
https://mainichi.jp/articles/20191116/k00/00m/040/081000c
2020年8月22日13時56分にYAHOOニュース(中央日報)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
過去最長の梅雨が終わると、河川の水や土砂に流された「流出地雷」注意報が発令された。
韓国軍が21日まで前方水害地域と南北境界地域の河川周辺で集中捜索作戦をした結果、北朝鮮の木箱入り地雷を含め、流出した地雷30発が回収された。
◆北朝鮮「木箱入り地雷」2つ発見
韓国軍は、今回の探知作戦で非金属地雷探知機を使用した。
合同参謀本部によると、3日から実施された前方地域地雷探索作戦で、北朝鮮軍が使用する木箱入り地雷2発が江原道麟蹄(インジェ)と仁川市甕津郡延坪島(ヨンピョンド)で回収された。
長さ20.3センチ、幅7センチ、高さ3.7センチの木箱入り地雷は起爆装置と爆薬がなく、爆発の可能性はなかった。
北朝鮮の木箱入り地雷は軽くて水に浮くため、過去にも集中豪雨で南側に流れてきたことがある。
2010年7月、京畿道漣川郡長南面(ヨンチョングン・チャンナムミョン)民間人出入統制線内の臨津江(イムジンガン)支流・沙尾川(サミチョン)で釣りをしていた市民2人が木箱入り地雷2発を拾ったが、1発が爆発し、現場で1人が死亡、1人が重体となる事件が発生した。
◆韓国軍の対人地雷も28個見つかる
合同参謀本部は木箱入り地雷2発のほか、韓国軍の対人地雷28発も発見されたと明らかにした。
これら地雷は江原道華川(ファチョン)・麟蹄・鉄原(チョルウォン)、京畿道(キョンギド)漣川など境界地域で回収された。
軍当局は今月3日から京畿道坡州(パジュ)・漣川、江原道華川・麟蹄・楊口(ヤング)・鉄原など前方の水害地域6市・郡に延べ3300人を投入し、地雷探索作戦を進めてきた。
17日からは、後方防空陣地の地雷除去作戦に投入されていた将兵約500人と非金属地雷探知機など装備100台を追加で送り、境界地域で一斉に地雷探索作戦を進行している。
土砂崩れなどで地雷流出の可能性が高い地域と北朝鮮地域から地雷が流入する可能性がある臨津江など南北共有河川地域で作戦が続けられている。
韓国軍の地雷のM14対人地雷はプラスチックの円筒形で、大きさは直径5.5センチ、高さ4センチ。
M16対人地雷は金属の円筒形と「圧力信管」が特徴。
直径10.3センチ、高さ14センチで、一般のマグカップより大きい。
今回発見された地雷はすべて韓国・北朝鮮軍が使用する人命殺傷用だ。
朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀議長は、「軍の任務は、いかなる場合も国民の生命と安全が最優先」とし「集中豪雨被害地域の住民が一日も早く日常生活に戻れるよう、安全を確保した中、流出した地雷を迅速かつ完ぺきに探知・除去する」と述べた。
軍は土砂崩れ・河川氾濫・浸水地域の住民に対し、地雷探索作戦が完了するまで、地雷に注意するよう呼びかけた。
疑わしい物体を発見すれば触れてはならず、付近の軍部隊(1338)や警察署(112)に通報するよう要請した。
◆漢江沿いで地雷爆発、釣り中の市民が重傷
先月、北朝鮮軍の地雷が漢江付近で爆発し、釣りをしていた市民が負傷する事故が発生した。
京畿道高陽(コヤン)警察署によると、先月4日午後6時49分ごろ、高陽市徳陽区(トギャング)幸州外洞(ヘンジュウェドン)の金浦(キンポ)大橋近隣の漢江(ハンガン)沿いで北朝鮮軍が使用する対人地雷が爆発し、釣りをしていた70代の男性が大けがをした。
高陽警察署の関係者は、「爆発物の残骸を回収し、国立科学捜査研究院に精密分析を依頼した結果、北の軍が使用する地雷と判明した」と明らかにした。
この関係者は、「この地雷が豪雨で漢江に流れきたものかどうかなど、地雷流出または埋設時期については追加の捜査が必要」と話した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5faa0cf27d4cbf739537b3bb2c3c4e6a6368ccff
2020年7月11日に掲載した元記事がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10821/
(2020年8月19日 修正1 ;追記)
2020年8月12日6時31分に西日本新聞(熊本版)からは、市房ダムは事前に利水分を放流していたが、それでも緊急放流直前になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともども、タイトルも修正した)
【治水限界 対策急務】
熊本県南部を襲った7月4日の豪雨で、球磨川の上流にある県営市房ダム(水上村)は「緊急放流」を寸前で回避した。
同日未明、ダムの予測システムは受容の限界の流入量を予想しており、塚本所長は「最悪のシナリオも覚悟した」と明かす。
一方、ダム下流の人吉市や周辺に広がった浸水被害は、流域全体の治水の限界も示した。
豪雨前日の7月3日夕、塚本所長は、ダムの予測システムが計算した4日朝の流入量を見て、「この流入量なら大丈夫」と安心していた。
気象庁の24時間予想雨量は200ミリ、予測システムが出した流入量はダムの許容範囲の毎秒700~800トンだった。
だが、事態は未明に急変。
気象庁の予想は外れ、24時間雨量は倍の400ミリを超えた。
線状降水帯特有の長く激しい雨が、ダムへの流入予測を刻々と押し上げていった。
ダムの流入予測は、4日午前1時時点で「午前4時に毎秒900トン」、午前4時時点には「午前6時に毎秒1300トン」。
毎秒1300トンは、同ダムが想定する流入量の最大値。
緊急放流が現実味を帯びた。
貯水量が限界に達した場合、流入量と放流量を同量にしなければいずれ越流し、ダム決壊の恐れすらある。
一方、緊急放流で毎秒1300トンを放流すれば、「下流の水位は人吉市付近で、さらに20~30センチ上がっていた可能性がある」という。
ダム関係者は午前4時、「緊急放流」に向けた協議を開始。
同40分、流域の市町村長に電話で「時間は分かりませんが防災操作(緊急放流)に入る可能性がある」と伝達した。
気象庁が県南部に大雨特別警報を出す10分前だった。
午前5時時点の流入予測も「同6時に毎秒1300トン」。
ダムは同6時半、緊急放流の開始時刻を「午前8時半」と発表した。
だが塚本所長は、ある決意をしていた。
「緊急放流の目安となる貯水位を超えても、限界までため込む」
流入量を見極めながら午前7時半、緊急放流の開始を「同9時半」に先延ばした。
その10分後、流入量は同ダムの過去最大となる毎秒1235トンに達した。
幸い、同8時ごろには大雨はピークを越え、同45分に緊急放流の「見合わせ」を発表、同10時半には「行わない」と発表した。
最大貯水位は、午前10時50分の標高280・6メートル。
緊急放流の目安となる貯水位まで、残り10センチだったとはいえ、既に危機が去った3時間後。
河川の水位を上げないよう、ためられるだけためた結果だった。
判断の一つのよりどころになったのが、2018年に導入した「予備放流」。
事前に利水分を放流、190万トンの洪水調節容量を余分に確保していたことが奏功した。
塚本所長は、「予備放流なしで大雨がさらに1時間降り続いていたら、緊急放流は避けられなかったかもしれない」と振り返る。
人吉市に流れ込む河川の流域面積のうち、市房ダムの集水面積は約14%にすぎず、今回の豪雨災害はダム単体による治水の限界も見せつけた。
約47%を占める球磨川最大の支流・川辺川と、約39%の球磨川本流の治水をどうするか。
08年、川辺川ダム建設計画が白紙となって以来、議論の答えはまだ出ていない。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/634732/
(ブログ者コメント)
第1報では、突発性の豪雨だったため球磨川系の5基のダム全てで事前放流は行われていなかったとの報道を紹介したが、実際には市房ダムで事前放流されていた。
以下の報道によれば、他の4ダムは事前放流されていなかったとのこと。
(2020年7月10日 9時29分 西日本新聞)
『利水ダム事前放流「不発」 梅雨の豪雨、予測困難』
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/624818/
2020年7月9日付で信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
梅雨前線の影響による今月上旬の大雨で、県や関西電力などが管理する県内13カ所のダムが降雨のピーク前に放流し、水位をあらかじめ下げる「事前放流」を行ったことが8日、信濃毎日新聞の取材で分かった。
昨年10月の台風19号災害を受け、ダム管理者や国、自治体が5月に結んだ治水協定に基づく対応で、実施は初めて。
国土交通省によると、木曽川水系では8カ所のダムが計約4200万トンの容量を確保。
放流量を抑えることで、氾濫の危険があった木曽川の水量を2割ほど減らす効果があったとみている。
事前放流は、台風19号災害を受けて全国で検討が進み、県内では5月に千曲川、木曽川、天竜川水系の計37のダムを対象に、管理者と国、地元自治体が実施に向けた協定を締結。
今回は、木曽川水系の他、千曲川水系4カ所、天竜川水系1カ所で実施された。
国交省木曽川上流河川事務所(岐阜市)によると、木曽川水系の8ダムは5日午後2時半ごろ、国交省が分析した9日未明までの予測降雨量が基準を上回ったため、地元市町村に連絡するなどした上で事前放流を開始。
独立行政法人「水資源機構」(さいたま市)管理の牧尾ダム(木曽郡木曽町・王滝村)が約1500万トン、関西電力三浦ダム(王滝村)が約2500万トン、他のダムは3万〜100万トン余の容量を確保した。
8ダムは6日午後から8日朝にかけ、上流からの流入量が一定量を超えるなどしたため事前放流を中止し、放流量の抑制に切り替えた。
同事務所によると、木曽川の桃山水位観測所(木曽郡上松町)が氾濫危険水位だった8日午前10時ごろ、木曽川の流量は毎秒約2千トン。
8ダムの洪水調節機能により、下流への流量を同約400トン分減らす効果があったと推定する。
県営ダムでは、千曲川水系の裾花ダム(長野市)や奈良井ダム(塩尻市)など4ダムと、天竜川水系の片桐ダム(下伊那郡松川町)が事前放流を実施。
県河川課によると、今回は木曽川流域と比べ予測降雨量が少なく、ダムの容量確保も少なかったが、今後、効果を検証するという。
同課は、「国交省やダム管理者と事前放流の効果について情報を共有し、県内の河川防災に生かしたい」としている。
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200709/KT200708ATI090020000.php
(ブログ者コメント)
事前放流によって、豪雨ピーク時、放流量の2割を減らせた、と読める報道だ。
以下は、木曽川流域では今回の豪雨で大きな被害は出ていないという報道例。
(7月8日10時32分 FNN PRIME(長野放送))
長野県の中南部に発令された「大雨特別警報」は、午前11時40分ころ「警報」に切り替えられました。
ただ、土砂災害や河川の氾濫には今後も警戒が必要です。
「特別警報」は、けさ6時40分ころ、松本地域と乗鞍上高地、南部の15市町村に出され、気象庁が最大級の警戒を呼びかけました。
現在も、長野や松本など39の地域に「土砂災害警戒情報」が出されていて、引き続き警戒が必要です。
梅雨前線の停滞は続くため、今後も局地的な激しい雨に警戒してください。
降り始めからけさ7時までの降水量は御嶽山839ミリ。阿智村浪合451.5ミリ。
上高地446.5ミリなど、すでに平年の7月ひと月分の量を超えています。
川の氾濫も心配されます。
犀川は安曇野市の陸郷と長野市の弘崎、木曽川は南木曽町で氾濫の恐れがある「氾濫危険水位」を超えています。
県によりますと、大きな被害は報告されていませんが、国道の土砂崩落などで上高地で観光客ら30人余りが孤立状態になっているということです。
梅雨前線の停滞はあすまで続く見込みで、あす朝6時までの24時間に南部で180ミリ、北部中部で120ミリ。さらに、その先の24時間で全県で150ミリが予想されます。
https://www.fnn.jp/articles/-/60625
(7月9日8時55分 岐阜新聞)
8日午前、岐阜県内の広い範囲で大雨に見舞われた。
中濃地域でも各地で大きな爪痕を残し、住民が影響を受けた。
美濃加茂市と可児市を隔てる木曽川は、前日に引き続いて増水し濁流が海のように広がり、右岸側の美濃加茂市にある木曽川緑地ライン公園(古井町)や化石林公園(御門町)などは水没した。
二つの公園は河川区域内にあり、飛騨川の合流部から2キロほど下流にある。
木曽川上流河川事務所木曽川第一出張所によると、今渡水位観測所では8日午前11時10分、氾濫危険水位の11・50メートルに迫る9・51メートルを記録した。
美濃加茂市内では、側溝の水による床下浸水が2件あったほか、ピーク時には生涯学習センターの避難所に13世帯20人が避難した。
https://www.gifu-np.co.jp/news/20200709/20200709-254751.html
2020年7月4日19時57分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年10月の台風19号による洪水被害などを受け、国は新たに、発電などを目的とした「利水ダム」でも事前放流を行うとしていたが、球磨川水系にある5基の利水ダムでは実施されなかった。
突発的な豪雨などが想定外だったためで、国土交通省は「今後の課題として検証する」としている。
国は梅雨入りを前に、全国の利水ダム620基で、電力会社などの管理者と協定を締結。
これまで実施していなかった事前放流を台風などの3日前頃から行い、雨水をためる洪水対策に活用する方針だった。
国交省によると、今回の豪雨の恐れが高まったのは、大雨特別警報が出る前日の3日夜。
「3日前頃」とした事前放流の想定と異なっていたため、実施されなかったとしている。
利水ダムの運用見直しで、球磨川水系は5基が使えるようになり、雨水などの貯水能力(洪水調節容量)は2・6倍の4700万立方メートルに増えていた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200704-OYT1T50211/
7月4日20時53分に朝日新聞からは、熊本豪雨時の被害拡大状況などを時系列で整理した下記趣旨の記事が、多数の写真や地図とともにネット配信されていた。
記事中、球磨川の水位上昇に伴い、一時は検討されたダムからの放流が、結局は実施されなかったと記されている。
また、冠水の影響かどうかは不明だが工場の炉?が火災になっているとも報じられている。
以下、当該記述以外は、主だった事象のタイトルのみ転記する、
『迫る濁流、屋根にしがみつき救助待つ 豪雨ドキュメント』
・・・・・
17:00
特養老人ホームが水没、14人心肺停止 球磨村
・・・・・
12:15
工場から炎、放水で爆発の可能性も
熊本県水俣市の水俣芦北広域行政事務組合消防本部によると、4日午前、同県芦北町の東海カーボン田ノ浦工場から煙と炎が出ていると複数の通報があった。
同消防本部は、工場内の炉が高温になるなどのトラブルと火災の両面で調べているが、放水すると爆発する可能性もあるとして、対応を見合わせているという。
11:50
大雨特別警報を大雨警報に切り替え
・・・・・
10:30
ダムの緊急放流を中止
熊本県によると、県営市房ダム(水上村)で午前9時半から予定していた球磨川への緊急放流について、雨量のピークが過ぎ、ダムへの水の流入量が減る見通しであることから、午前10時半に中止することを決定した。
・・・・・
熊本・鹿児島の8市7町5村に災害救助法を適用
11:20から関係閣僚会議
・・・・・
8:00
線状降水帯発生を確認
国の線状降水帯予測研究をしている防災科学技術研究所のチームによると、九州南部では梅雨前線にともなう線状降水帯が発生していることがレーダーデータなどから確認できているという。
3日午後9時半ごろから鹿児島県周辺で発生。
熊本県南部には4日午前0時40分ごろから発生し、午前7時半の時点でも断続的に発生しているとみられる。
・・・・・
九州新幹線、始発から運転見合わせ
6:30
球磨川沿いの集落が冠水
5:55
球磨川で氾濫、上流のダムで緊急放流の可能性も
九州地方整備局は4日午前5時55分、熊本県球磨村渡周辺の1級河川球磨川の右岸(北側)で氾濫(はんらん)が発生しているとして、警戒レベル5相当の氾濫発生情報を出した。
支流の小川(おがわ)との合流地点で氾濫が発生しているという。
また球磨川上流の熊本県管理の市房ダム(熊本県水上村)の水位が上昇しており、今後、緊急放流(異常洪水時防災操作)の可能性があるとして、情報に注意を呼びかけている。
5:40
津奈木町で住宅に土砂、2人と連絡とれず
5:00すぎ
球磨川の堤防が一部崩れる
4:50
熊本と鹿児島に大雨特別警報
4:00前
熊本・芦北町で土砂崩れ、女性救出
https://www.asahi.com/articles/ASN742HFNN74UEHF001.html
7月6日15時21分に熊本日日新聞からは、過去に建設中止となった川辺ダムとの関連に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
球磨川の氾濫を受け、蒲島郁夫知事は5日、報道陣の取材に応じ、球磨川支流の川辺川ダム建設計画に反対を表明した過去の対応について「反対は民意を反映した。私が知事の間は計画の復活はない。改めてダムによらない治水策を極限まで追求する」と述べ、従来の姿勢を維持する考えを示した。
蒲島知事は2008年9月、治水目的を含んだ川辺川ダム計画に反対を表明。
翌年の前原誠司国土交通相(当時)による計画中止表明につながった。
国と県、流域12市町村は、その後、ダムによらない球磨川治水策を協議。
河道掘削や堤防かさ上げ、遊水地の設置などを組み合わせた10案からダム代替案を絞り込む協議を本格化させる予定だった。
10案は概算事業費が2800億~1兆2千億円と膨大で、工期も45~200年の見通し。
蒲島知事は、「多額の資金が必要で、この12年間で実現できなかったことが非常に悔やまれる」としたが、「気候変動は予測できず、ダムによらない治水策が未来永劫[えいごう]続く保証もない。次の世代が考えることもある」とも述べた。
https://this.kiji.is/652693329621304417
(ブログ者コメント)
利水ダムの事前放流問題については、過去に本ブログでも紹介スミ。
2019年11月28日 掲載
『2019年11月21日報道 大雨予測時のダム事前放流には利水権者全員の合意が必要、ダムの水位を下げると発電効率が低下し、雨が降らないと水不足かつ発電効率が低下したままになる』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10217/
2019年10月28日に掲載した第3報がブログサイト運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第4報修正7として掲載します。
第3報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10121/
(2020年7月1日 修正7 ;追記)
2020年6月24日17時7分にNHK佐賀から、当該工場の防災訓練が初公開されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年8月の佐賀豪雨で大量の油が流出する事故を起こした大町町の工場で、再発防止の訓練が初めて公開され、従業員らが、新たに整備されたマニュアルに従って浸水を防ぐ資材の扱い方などを確認しました。
防災訓練が行われたのは、佐賀鉄工所の大町工場です。
去年8月の佐賀豪雨では浸水した工場から大量の油が周辺の住宅地や農地に流れ出す被害が出て、復旧作業の大きな妨げとなりました。
佐賀鉄工所は、今年度自治体や地元の消防などの立ち会いの下、10回の防災訓練を計画していますが、200人が参加して行われた6回目の訓練を初めて報道陣に公開しました。
佐賀鉄工所は、事故を踏まえて新たに水害用の対応マニュアルを作成していて、訓練は、付近の用水路がはん濫する恐れがあるとの想定で進められました。
去年油が流出した建屋の入り口付近では水の侵入を防ぐゲートの設置訓練が行われ、5人の従業員が、長さ3メートルのアルミ製の板24本を積み重ねて応急の壁を築いていきました。
また、去年は土のうを積む従来の対策で浸水を防げなかったことから、ことしは「止水シート」と呼ばれる防水性の高い資材を用意していて、従業員が据え付ける手順を確認していました。
佐賀鉄工所は、新たに油が流出した工場東側の敷地を高さおよそ2メートルのコンクリート製の壁で囲ったほか、敷地内にたまった水を排出する大型のポンプを3機設置しています。
訓練を終えたあと、取材に応じた佐賀鉄工所大町工場の江口工場長は、「きょうの訓練は昼間だが、これが夜だったり去年の豪雨のように明け方だったりした際も十分に対応できる体制を構築する必要がある」と課題が残されていることに言及しました。
その上で、去年の事故について「近隣住民や行政に多大なご迷惑をおかけした。二度と同じ事故を起こさないように、ハード面の対策だけでなく、訓練を積み重ねて改善し、事故を風化させないようにしていきたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20200624/5080006041.html
(ブログ者コメント)
〇以下は、映像の8コマ。
〇工場長は、「私どもがリタイアした後でも、再発防止が確実に継続
できるよう行っていきます」とも話していた。
(2020年8月29日 修正8 ;追記)
2020年8月28日11時5分にNHK佐賀から、対策工事が完了したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1年前の佐賀豪雨では大町町にある佐賀鉄工所の工場が浸水し、大量の油が周辺に流出しました。
事故のあと、佐賀鉄工所が進めてきた防水壁の建設などの対策の工事は、28日までにおおむね完了しています。
去年8月の佐賀豪雨では、大町町福母にある佐賀鉄工所の大町工場が浸水し、5万4000リットルの工業用の油が、周辺の農地や住宅に流出しました。
この工場では、平成2年の集中豪雨でも油の流出事故が起きていて、佐賀鉄工所は、再び、同じような事故を起こさないよう、工場の内外で浸水を防ぐさまざまな対策を進めています。
主なものでは、油が保管されている工場東側の敷地全体を、高さおよそ2メートルのコンクリート製の壁で囲ったほか、工場内にたまった雨水を排水する大型のポンプを設置しました。
さらに、去年の豪雨で水があふれた工場脇の用水路にセンサーを設けて監視し、水位のレベルに応じて、5段階の警戒態勢をとる防災マニュアルを新たに整備しました。
今週中には、工場西側の敷地を囲う防水壁の建設も終わり、会社は、計画していた20項目におよぶ一連の対策工事は、おおむね完了したとしています。
また、マニュアルに基づいた防災訓練をこれまでに十数回実施していて、会社では28日を「防災の日」と定めて、再発防止に向けた社員教育を行うとしています。
佐賀鉄工所は事故から1年となるのを前に、坂田社長のコメントをホームページで公表しました。
この中で、「弊社としての防災活動は一歩を踏み出したところで、これからが本格的なスタートだと認識している。従業員一丸となって災害に強い会社を構築し、信頼回復に努めていきたい」としています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20200828/5080006848.html
2020年4月10日19時41分に山陽新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡山県は10日、西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷、総社市の災害ごみについて、両市の要請で代行している処理業務が16日に完了すると発表した。
処理量は計30万6426トン。
これにより、両市の豪雨発生当初に生じたごみの処理は終了する。
県によると、豪雨に伴う災害ごみ(推計)は、倉敷市が35万100トン、総社市が3万600トン。
処理は原則として市の業務だが、全てを両市で処理すると通常の業務が滞る恐れがあるため、県が倉敷市内の仮置き場2カ所で代行処理していた。
このうち、同市玉島乙島の仮置き場は今年1月に処理が終了。
中間処理プラントを備えた同市水島川崎通の仮置き場も、今月16日に業務を終える見通しがついた。
代行処理にかかった81億5900万円は両市が負担する。
97・5%は国庫補助金などで賄われる見通し。
西日本豪雨で災害ごみが出た24市町村のうち、倉敷、総社市以外は処理済み。
両市も豪雨発生当初のごみの処理はこれで終わり、家屋の公費解体に伴って後に出た廃棄物は6月末までに完了する予定。
総量は44万3300トンと見込まれている。
県災害廃棄物対策室は、「豪雨発生時に出た多量の災害ごみの処理が終わったという意味では大きな区切り。今後も倉敷、総社市で全ての処理が完了するまで支援していく」としている。
https://www.sanyonews.jp/article/1002673/
(ブログ者コメント)
〇西日本豪雨が発生したのは2年前の夏。
被害状況などブログ者が気になった情報は、本ブログでも紹介スミ。
〇一方、災害ゴミとしては、昨年、関東から東北南部にかけて襲来した台風15号と19号のゴミも気になる。
そこで調べたところ、西日本豪雨時を越える量だと推定されていた。
(2020年2月28日18時48分 毎日新聞)
昨秋の台風15、19号による災害ごみの発生量が15都府県で計約215万トンと推定されることが、環境省への取材で判明した。
ごみの全量処理には最大で約2年かかる見通し。
2018年の西日本豪雨(約190万トン)を上回り、豪雨による発生量としては過去最大になる。
3月3日に開かれる災害廃棄物処理のあり方を議論する環境省の有識者検討会で、事務局の環境省が推定量を公表する方針。
二つの台風に立て続けに襲われ、処理を並行したため、台風ごとの発生量を区別できなかった。
19号は東日本を中心に記録的な大雨をもたらし、宮城県や福島県、長野県などで河川の氾濫が相次いで広範囲が浸水した。
浸水地域の住宅から家具や畳などのごみが大量に発生。
15号でも強風による倒木やビニールハウスの倒壊で多くのごみが出た。
環境省によると、住宅街など生活圏にあった79カ所の仮置き場では撤去作業が進み、3月までに全ての処理が完了する見込みという。
https://mainichi.jp/articles/20200228/k00/00m/040/219000c
〇上記記事で「生活圏にあった仮置き場では3月末までにすべての処理が完了する見込み」と報じられている件だが、ブログ者の住む市原市でも、それに連動したかのような動きがあった。
それは、台風被害で出た災害ゴミの市の処分場への持ち込みが4月から有料になったことだ。
それまでの半年間は、罹災証明書さえ持参すれば、無料で持ち込めた由。
まあ、いつかは区切りをつける必要があるのだが、風を遮るものがない養老川沿いなど、あちこちでブルーシートをかけた屋根がまだまだ目立つ。
たとえば中流域にある小さな集落では、一通り見て歩いただけで15軒以上が修繕未了だった。
以下は、昨日撮影した当該集落の被害が大きかった屋根例。
このような現状、業者に早く来てもらえた家との不公平さという点で、処分費無料の打ち切りはチト早すぎた感がある。
もう少し、被災者に寄り添った対応ができなかったのだろうか?
(当日午後;追記)
市原市の無料受入れ打ち切りの件、実は半月ほど前に同じような内容で、市のホームページ投稿欄に意見として書いておいた。
その後、反応なし。
ところが、この記事アップの約4時間後、市の担当課から打ち切り理由を説明するメールが届いた。
市からのメールには、この記事を見たとは書かれていなかったので、意味ある偶然の一致?
しかし偶然というには、あまりにもタイミング的にピタリすぎた。
市原市に関するネット記事を毎日チェックしている職員がいるのだろうか?
それとも、市の関係者が、たまたま拙ブログの読者だったのだろうか?
委細不明。
打ち切り理由については、納得した部分も、よく分からなかった部分もあるが、それはそれで問題なし。
それよりも、さほど読者の多くない拙ブログなのに、それほどの影響力があったのかもしれない・・・そのことにビックリした。
今後の記事作成時、表現には一層の注意を払っていく所存。
ちなみに、市原市にはもう1件、意見具申というか情報提供していることがあるのだが、あの件についても、後日、反応があるのかなあ・・・。
2020年3月19日8時58分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2018年7月の西日本豪雨で川の堤防が決壊し、甚大な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町地区周辺の河川監視カメラについて、被災当時の動画が一部を除いて消去されてしまっていたことが判明した。
カメラを管理する中国地方整備局岡山河川事務所によると、システムが古く、自動消去に保存処理が追いつかなかったという。
同事務所はシステムを改修して改善する方針だ。
【システム改善へ】
同事務所は管理区間内の河川沿いにカメラを設置。
24時間体制で川の様子を映し出し、遠隔地から状況を確認して対応を判断したり、ホームページ上で公開したりしている。
高梁川水系には全部で28台設置。
撮影された動画データは3日間、サーバーにとどまり、保存処理をしなければ古いものから順次消去される。
真備町地区で相次いで堤防が決壊したとみられる2018年7月6日午後11時~7日午前7時までの周辺の河川監視カメラ6台の動画データの保存状況について取材すると、1台は残っており、1台は6日午後11時~7日午前3時まで、1台は7日午前0時から6時59分までのみ残っていた。
その他の3台は残っていなかった。
川の水が堤防を越える様子や、小田川氾濫の主因とみられるバックウオーター現象が起きた高梁川との合流点付近の動画も消えてしまったという。
同事務所の担当者は、「サーバーのデータ容量が小さい上にシステムが古く、保存処理に非常に時間がかかった。他業務にも追われ、できるだけ残そうと努力したが、間に合わなかった」と話す。
同事務所とは別に、小田川沿いに2台の河川監視カメラを設置する県では、同じように動画は消えたが、30分おきの静止画を保存しているという。
一方、肱川などが氾濫した愛媛県では、同様に一定期間が過ぎると消去される仕組みだったが、担当者の判断で、県が設置する全10台の2018年7月5~7日の72時間分の動画データを保存処理した。
動画は学習会などで、当時の状況を伝える資料として活用しているという。
小田川とその支流の決壊原因の調査委員会で委員長を務めた岡山大の前野詩朗教授(河川工学)は、「動画が消去されたのは残念。委員会では、水位の調査結果やドライブレコーダーの映像から決壊の主因が分かったため、あまり結果に影響は無かったと思うが、動画が残っていれば、後世にどのような現象が起きたか伝えやすい。異常洪水時などでは、可能な限りデータを残す仕組みにするのが良い」としている。
公文書管理の専門家は、災害時におけるデータ保存のルール整備を訴える。
中国地方整備局と岡山県にはマニュアルや要綱などのルールは存在せず、担当者の判断に任せられていた。
東洋大の早川和宏教授(行政法)は、「災害時にどのように情報を残すか整理するべきだ。担当者にとっても判断基準があるのが望ましく、統一的なルールが必要だ」と指摘している。
https://mainichi.jp/articles/20200319/k00/00m/040/026000c
2019年11月15日10時5分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月25日の台風21号の影響による大雨で、広範囲に冠水したり土砂崩れが発生したりした千葉県茂原市など長生地域で、救助された人が166人に上ることが長生郡市広域市町村圏組合消防本部への取材で明らかになった。
昨年1年間に同地域で救助されたのは53人(交通事故も含む)。
その3倍超を一昼夜で助けたことになる消防本部は、経験したことのない災害対応に追われた。
長生地域は1市6町村。
消防本部の記録によると、大雨災害に関する最初の119番は同25日午前11時1分の長柄町長柄山の女性からで、「道路が冠水し車が動けない」という内容だった。
これを皮切りに、同町と長南町から土砂崩れや住宅浸水などの通報が数分おきに相次いだ。
午後1時20分には茂原市早野の住民から「住宅が床上浸水した」との通報があり、両町より一宮川の下流域にあたる茂原市内からの通報が急増。
住宅が浸水したとして救助を求める通報が多く、同4時台には1時間で約50件に上り、「電話が鳴りっぱなしの状態だった」(担当者)。
通報は翌26日午前2時ごろまで頻繁にあり、朝までに119番や一般回線による通報は314件に達した。
未明までに救助隊員が救助に当たったのは62件166人。
通報を受けた出動先で新たに情報提供を受けて捜索・救助したケースもあった。
また、これとは別に県警による救助もあった。
消防本部は大雨災害に備え、25日朝に対策本部を設置したが、昼前後からの通報の急増と異常な降雨量に大災害になると予測。
消防本部管内の全救助隊33部隊185人、車両31台、救助ボート6隻が投入された。
要請が多く、すぐに対応することが難しく、障害者や高齢者、高所への避難が困難な平屋住宅の居住者などへの救助を優先したという。
25日午後3時前には、千葉市消防局の消防防災ヘリによる救助を要請したが、悪天候のため出動できなかった。
夕方になって消防本部だけでは限界となり、自衛隊や周辺地域の消防にも応援を要請し、県内11消防本部から19部隊71人が加わった。
消防本部によると、通報が先行した長柄、長南両町に出動を集中させた間に道路が冠水して帰路を遮断され、茂原市での救助対応が遅れることになった。
また現場に近づいても、首程の深さまで浸水し隊員が立ち往生するなどしたため、1件あたりの救助に当たる時間が長引いたという。
長柄町の家屋倒壊現場では、専用の救助機器を届けられず、車のジャッキを代用してがれきを持ち上げ救助。
茂原市役所近くでは、立ち木に登って浸水から逃れた人を救助した。
消防本部は今回の救助活動を検証し、今後の教訓とする予定だ。
保川・警防課長は「消防の限界ぎりぎりの力を投入して対応できたと思っている」と振り返る一方、「暗い中で水につかり、寒く不安な思いをして待っていた住民の皆さんには救助が遅れて申しわけなかった」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20191115/k00/00m/040/040000c
2019年11月13日16時17分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『床下の消毒は不要? 浸水住宅の衛生対策、専門家に聞く』
吉田真紀子さん(56)=東北大大学院助教(感染症疫学)
浸水住宅の衛生対策と消毒方法について、2016年に「ガイダンス」をまとめ、日本環境感染学会のホームページで公開しています。http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=19
「基本的に土壌への消毒は不要」と書いており、自治体の方から「床下の消毒はいらないのか」との問い合わせもあります。
汚泥はスコップなどでかき出して水で洗い流し、物理的に取り除くことが重要です。
すぐ消毒したくなりますが、大切なのは乾燥。
コンクリートの基礎は1カ月ほどは乾かないという研究もあり、不十分なままでは細菌やカビが発生し、臭いやアレルギーなどの原因となることもあります。
洗浄と乾燥をしっかりと行うことを基本に考えて下さい。
また、消石灰は一度ぬれて乾燥すると効果はありません。
飛散して目などを傷める恐れもあり、使うならマスク、ゴム手袋、ゴーグルを着けてください。
床上浸水の場合、床やテーブルの脚など気になるところを消毒します。
ハイター(家庭用塩素系漂白剤)などの次亜塩素酸ナトリウムで消毒するときは、0・1%に薄めた液に浸した布でよく拭きます。
色落ちが気になる際は、消毒用アルコールや塩化ベンザルコニウムも使えます。
いずれの場合も、スプレーはしないでください。
吸い込む危険がある上、面全体に行き届かなくなります。
水害の後は、感染症を起こしやすい環境です。
消毒を終えるまで、大げさに思えても、肌を出さずにゴム長靴、ゴム手袋、マスク、ゴーグルを着け、身を守ってください。
(ブログ者コメント)
〇昨年、同じ朝日新聞からネット配信されていた同種記事は、本ブログでも紹介スミ。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8601/
〇以下は、感染学会HPの該当記載部分。
●一般的な注意事項
・消毒薬は色々な濃度のものが市販されているので、希釈倍率には注意しましょう。
・消毒薬は布に含ませるか、あるは、薬液に漬ける方法で使用します。噴霧は吸い込んでしまう恐れ があるため、避けます。
・消毒薬の容器等に記載されている使用上の注意をよく読んで使用します。
・消毒薬は使用するときに希釈します。作り置きした消毒薬は効果が十分発揮できません。
・ゴム長靴とゴム手袋を着用します。消毒薬が肌についたらすぐに大量の流水で十分に洗い流しまし ょう。
・基本的に、土壌への消毒は不要です。
2019年11月9日6時51分にNHK千葉から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
人物の姿や風景などをリアルに描いた「写実絵画」を収蔵する千葉市の専門美術館が先月25日の豪雨で浸水の被害を受け、2週間以上たっても開館できない状態が続いています。
千葉市にある「ホキ美術館」は、緻密な筆遣いで人物や風景などをリアルに表現した「写実絵画」を専門に収蔵する国内唯一の美術館で、およそ500点の作品が保管されています。
美術館によりますと、先月25日の豪雨で地下2階が浸水し、事務室や収蔵庫の一部が水没したということです。
すぐにポンプで排水が行われましたが、収蔵庫に保管してあった作品のうち、およそ100点が水につかったほか、業者不足の影響で電気設備の修復ができず休館が続いています。
美術館は、専門家に依頼して作品の修復を進めるとともに、再び被災することがないよう施設を改修する予定で、再開までには数か月かかる見通しだということです。
ホキ美術館の保木博子館長は「美術館を続けていけるのか心配しましたが、作品は元どおりになると聞いて安心しました。災害に強い美術館にしたいと思います」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20191109/1080009037.html
11月8日5時0分に千葉日報からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
10月25日の豪雨の影響で翌日から休館している写実絵画専門の美術館「ホキ美術館」(千葉市緑区)が、年内の再開が困難な情勢となっている。
浸水により収蔵作品約100点が被災した上、電気設備も損傷し、復旧の見通しが立たないためだ。
同館広報によると、先月25日に地下2階の収蔵庫が浸水し、電気設備が故障して排水ポンプが動作しなくなった。
2日半にわたって昼夜問わず排水作業をしたが、収蔵庫に保管されていた作品が水にぬれ、中には表面に傷がついた作品もあった。
一方、展示室の作品はほとんどが無事だったという。
同館は芸術院会員の中山忠彦さん=市川市在住=や、上皇ご夫妻の肖像画を描いたことで知られる野田弘志さんの油彩画などを収蔵。
作品数は約480点で、2割ほどが被災したことになる。
「額やキャンバスを取り替えれば修復できそうな作品もあるが、ひどく被災した作品も一部ある」と広報担当者。
具体的な作品名については「現役作家の作品が多いため、詳細は控えたい」としている。
今後、修復師の指導の下、作品の修復作業に当たるほか、電気設備の修理も進める。
館内のレストランとカフェも営業を中止。
今月22日に開幕予定だった「ホキ美術館名品展・ホキ美術館大賞展」は延期する。
担当者は「再開に向けて全力で準備を進めたい」と話した。
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/642048
(ブログ者コメント)
〇以下は、NHK映像の1コマ。
このスロープから水が侵入したものと思われる。
〇今年、台風19号時には川崎のミュージアムでも地下の収蔵庫が
浸水し、貴重な資料などが損傷している。(本ブログ紹介スミ)
2019年11月1日付で信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風19号による千曲川の氾濫で浸水した県内企業の工場で、高圧電力の受電設備の故障が復旧のネックになっている。
受電設備メーカーが2020年東京五輪関連の建設需要に追われていたところに被災地からの注文が相次ぎ、納期の後ずれが避けられない見通しのためだ。
被災企業は、電力確保のめどが立たないと操業を再開できず、復旧作業もままならないとして頭を抱えている。
長野市の穂保、豊野町の両工場が水浸しとなった精密板金加工のカイシン工業(長野市)は、敷地内の受電設備も軒並み浸水。
新たな設備を注文したが、被災企業からの受注が急増したため納入が年明けになる可能性があると言われた。
年内に再稼働させたい考えだが「電気がないと大型の加工機械は動かせず、どうしようもない」と嘆く。
長野市赤沼にあるホクト(長野市)のエリンギ生産拠点も浸水で受電設備が故障。
修理で済むか、買い替えが必要かメーカーに確認している最中で、復旧時期の見通しは立たない。
浸水で培養瓶に詰まった培地を取り除く作業に使う専用機械は、発電機で動かしている。
小松専務は「片付けが必要な培養瓶は数百万本。発電機だけでは効率も上がらない」と悩む。
受電設備は工場など向けの高圧電力を生産機械や空調機器に使える電圧に変換する装置で、工場の操業再開には欠かせない。
自動車部品製造の長野鍛工(同)も複数ある受電設備が全て水没し、復旧時期が見通せない状態だ。
受電設備製造大手の日東工業(愛知県長久手市)によると、近年は東京五輪関連工事や猛暑による学校へのエアコン導入でフル稼働が続いており「多忙なところに今回の災害が起きた」(広報室)とする。
同業の河村電器産業(同県瀬戸市)は、受注急増に対応するため被災地専用の生産ラインを設ける方針という。
工場が1・5〜2メートルの高さまで浸水した特殊樹脂開発・製造のニッキフロン(長野市)は、七つの受電設備のうち高さ約4メートルの通路上に設置した設備だけが浸水を免れた。
現在はこの設備で高圧電力を受電し、事務所用に使っている。
30年ほど前の導入時、水害のリスクを考えて高い場所に設置したという。
昨年完成した新工場用の受電設備も高さ1メートルの土台の上に設置したため、下部が水に漬かったものの修繕で済みそうだという。
点検が済んだ加工機械から順次稼働させ、11月中旬ごろから操業を再開する考え。
春日社長は「リスクに備えていたことが功を奏した。優先度の高い分野から再開したい」としている。
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20191101/KT191029BSI090002000.php
2019年10月30日23時19分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号に伴う記録的な大雨に見舞われた千葉県で、県の指定した浸水想定区域の外にまで洪水が広がり、死者や公共施設の冠水が相次いでいたことがわかった。
国が義務づけた最大雨量を想定した区域指定を県が終えておらず、浸水想定範囲が従来のままだったことが、被害拡大につながった可能性もある。
長柄(ながら)町では25日、一宮川の氾濫(はんらん)により県道などが冠水。
車に乗っていた計2人が死亡した。
一宮川の支流の豊田川も氾濫し、災害対応拠点の茂原市役所本庁舎が浸水した。
いずれも、県が2008年に公表した一宮川水系の浸水想定区域から外れた地区で、長柄町や茂原市が公表した洪水ハザードマップでも、住民に注意が呼びかけられていない地区だった。
都道府県の指定する浸水想定区域は、市町村が住民の避難場所を設置したり避難経路を作ったりする上で、基礎的な資料になる。
大阪市や徳島県で浸水被害が相次いだことから、国は15年、水防法を改正し、区域指定の際の雨量想定を「数十年に1度」から「千年に1度」の規模に拡大するよう義務づけた。
20年度末までの見直しが求められている。
千葉県は過去に水害があったか、人口密集地域を流れ、氾濫すると被害が大きくなる「水位周知河川」に指定された計26河川で、区域指定の見直しを求められた。
だが、国が見直した1河川(手賀沼・手賀川)をのぞき、県が指定する必要がある全25河川で見直しは終わっていない。
担当者は「浸水想定区域は市町村のハザードマップの前提で、住民の避難計画に影響する。なるべく早く見直し作業を進めたい」と話す。
国によると、今年3月末時点で、国管理の448河川は全て「千年に1度」の想定最大雨量に基づく浸水想定区域図が作製されたが、都道府県管理の1627河川では883河川(54・3%)にとどまっている。
地形データを集めて浸水のシミュレーションをするために手間と費用がかかる上、自治体職員の人手不足もネックになっている。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBZ64RYMBZUTIL06F.html?pn=4https://digital.asahi.com/articles/ASMBZ64RYMBZUTIL06F.html?pn=4
(ブログ者コメント)
同様の事例は今年、栃木県足利市でもあった。(本ブログでも紹介スミ)
他の市町村はどうかと気になり、「ハザードマップ」+「1000年」+「見直し」というキーワードでネット検索してみると、数多くの自治体から、1000年に一度の大雨想定でハザードマップを見直したという情報が発信されていた。
(2019年12月7日 修正1 ;追記)
2019年12月5日1時16分に産経新聞から、千葉県が管理する26河川中、1000年に1度の大雨想定で浸水区域を見直しているのは1河川のみ、来年5月末までに見直し市町村にデータ提供するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県の森田健作知事は4日の県議会本会議で、県管理の26河川中25河川で洪水浸水想定区域の見直しが完了していないことについて、来年5月末までに新区域図の策定を終える考えを示した。
10月の記録的大雨では、長柄町で男性2人が車ごと流されて死亡するなど、浸水想定区域外での被害が相次ぎ、県の対応の遅れを指摘する声が上がっていた。
県は平成27年の水防法改正に伴い、浸水想定区域の指定に用いる大雨の基準を「50年に一度程度」から「1千年に一度程度」に変更。
だが、県が管理する河川で新基準に基づく見直しが完了したのは26河川中、1河川のみにとどまっている。
この日は千葉民主の会と公明党による代表質問が行われ、公明党の阿部俊昭県議が洪水浸水想定区域の見直しの現状を質問したのに対し、森田知事は「水防法で対象となっている26河川については、来年5月末までに洪水浸水想定区域図を公表した上で、市町村のハザードマップ作成に必要なデータ提供や助言などの支援を行う」と説明した。
千葉民主の会の松戸隆政県議は、全国最低の指定率にとどまっている土砂災害警戒区域について、指定を急ぐよう要求。
森田知事は来年5月末までに指定率を50%に引き上げ、令和3年5月末に指定を完了させる方針を示した。
国土交通省によると、今年10月末時点での指定率は全国平均が89・3%なのに対し、本県は36・9%にとどまっている。
9月に本県を直撃した台風15号についても、阿部県議は、「災害対応の初動や実態把握で県に危機感がなかったのではないか」と批判。
森田知事は、「危機感がなく初動が遅れたとの批判を重く受け止め、反省している」と重ねて陳謝した。
https://www.sankei.com/affairs/news/191205/afr1912050003-n1.html
(2019年12月24日 修正2 ;追記)
2019年12月23日20時27分に産経新聞からは、千葉県は県管理25河川のうち8河川のハザードマップを見直したなど下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県は23日、県管理の8河川で新たな洪水浸水想定区域図を公表した。
8河川の中には、10月25日の記録的大雨で氾濫が発生した一宮川、作田川、都川も含まれた。
県管理の残る17河川でも、来年5月末までに新たな区域図を公表する方針。
各市町村は新たな区域図に基づき、住民に避難を呼びかける際などに必要なハザードマップを見直す。
県河川環境課によると、新区域図は平成27年5月に改正された水防法に基づき作製。
30~50年に1度程度の大雨ではなく、1000年に1度程度の最大規模の大雨を想定している。
10月25日の大雨で特に流域の被害が大きかった一宮川の場合、大雨による氾濫などで流域で想定される浸水面積は、旧区域図では13・7平方キロだったが、新区域図では63・6平方キロに拡大する。
最も深い地点の浸水深は、旧区域図の4・7メートルから、新区域図で10・2メートルになると試算した。
また、10月25日の大雨では、旧区域図の域外で道路の冠水や建物の浸水、車に乗っていた2人が死亡するなどの被害が相次いだが、新区域図では、被害があった地域はいずれも洪水浸水想定区域に入るという。
県管理の26河川で、これまでに水防法改正を反映した新区域図が作製されたのは、29年6月に国の見直し作業に伴い公表された手賀沼・手賀川だけだった。
旧区域図は、平成18年3月~20年8月に公表されたもので、各市町村のハザードマップも旧区域図に基づき作製。
10月25日の大雨で住民への避難の呼びかけや注意喚起が結果的に不十分だった可能性が指摘された。
8河川の新区域図は県のホームページで閲覧できる。
https://www.sankei.com/affairs/news/191223/afr1912230040-n1.html
(ブログ者コメント)
年に何回か訪れる茂原の市街地。
大雨後に訪れた際、お気に入りのパン屋さんは閉まっていたが、昭和風情の食堂は開いていた。
食堂の女将さんに聞いたところ、食堂には水は来なかったが、パン屋さんを過ぎ、郵便局付近までは水が来ていた、パン屋さんは機械が水に浸かったので廃業するかも・・・とのことだった。
両店を結ぶ道路は平坦で、歩いても高低差を感じることはなかったのに・・・。
また、後日、駅近くのレジェンド焼きそば屋さんにも聞いてみたが、こちらは水には浸からなかったと言っていた。
そういう情報を知っていたので、今回公開されたハザードマップでどのようになっているか確認したところ、パン屋さん(青〇表示)と郵便局(青△表示)はピンクの浸水区域に入っていたが、食堂(赤☆表示)は黄色の浸水区域にも入っておらず、焼きそば屋さん(緑□表示)はピンクと黄色が入り混じった区域だった。
ハザードマップの確度はかなり高そうだと実感したので、参考までに紹介する。
2019年10月29日9時23分に産経新聞から、下記趣旨の記事が広域地図表示付きでネット配信されていた。
台風21号と低気圧の影響による記録的な大雨で水位が上昇した千葉県内の河川で、県が水位の把握に使う観測所108カ所のうち11カ所で計測できていなかったことが29日、県への取材で分かった。
5カ所は大雨以前に故障していたものの修理ができておらず、6カ所は大雨が影響したとみられる。
データは市町村に提供され、避難勧告の発令などの参考にしている。
氾濫した河川の観測所4カ所も含まれており、県は「反省しなければならない事態。早急に修理したい」としている。
県によると、計測できなかったのは、千葉市や佐倉市などの10河川にある観測所で、県と水資源機構が設置している。
大雨の影響で故障したとみられる6カ所は、想定外の水位を計測したことや流木などで水位計が破損したと考えられ、県の担当者は「原因を特定し、検証した上で対策を考えたい」としている。
https://www.sankei.com/affairs/news/191029/afr1910290005-n1.html
10月28日付で東京新聞夕刊からは、修理待ちだった機器の故障原因は落雷などだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
二十五日の大雨で氾濫被害が発生した千葉県佐倉市の鹿島川で、県が設置した水位観測所一カ所が八月末から故障したまま観測不能の状態だったことが分かった。
県が二十八日に発表した。
県によると、故障による避難の遅れなどはなかった。
県河川環境課は「修理を進めていた途中に大雨が降り間に合わなかった。(防災上の観点から)あってはならないこと」としている。
県によると、故障していたのは鹿島川の馬渡(まわたし)観測所で、八月二十九日から観測不能だった。
センサーで水位を観測する装置が、落雷で電気系統に異常が発生したとみられる。
他にも千葉市や市川市、富津(ふっつ)市などの七河川、計八カ所の観測所で、落雷などによりデータや電源の異常が確認されている。
このうち三カ所は馬渡観測所と同じく大雨以前から故障していたが、県はいずれの流域の自治体にも故障を連絡していなかったという。
鹿島川では、大雨の前から氾濫を警戒していた佐倉市が二十五日から二十六日の間に故障に気付き、県に「観測データの数字がおかしい」と連絡。
川は二十五日夜、馬渡観測所から約五キロ下流の同市田町の鹿島橋付近で氾濫が発生したが、市職員や地元消防団が水があふれたことを確認し、住民に避難を促した。
県の水防計画では、氾濫の危険を自治体や住民に知らせる「水位周知河川」が定められている。
鹿島川は含まれていないが、佐倉市危機管理室の担当者は「水位のデータが活用できれば、より迅速で的確な避難指示ができたはずだ」と話している。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201910/CK2019102802000247.html
10月28日20時50分にNHK NEWS WEBからも、故障した観測所の数が多く順番に修理していたが追いつかなかったという、同趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県佐倉市では、今月25日の大雨で市内を流れる鹿島川があふれましたが、県が設置した「馬渡観測所」では、ことし8月から装置の故障で水位を観測できなくなっていました。
これを受けて県が確認したところ、河川に設置した108か所の観測所のうち、馬渡観測所のほかに市川市と富津市、木更津市にある3か所の観測所でも、8月から先月にかけて装置が故障し水位を観測できなくなっていたことが分かりました。
今月になっても修理が行われていないということです。
また別の5か所の観測所では今回の大雨で装置が故障しましたが、中には県の水防計画で水位の状況を周知することが求められている観測所が3つあり、大雨が降り続く中、職員が現地で目視で水位を確認していたということです。
県は「8月に雷の影響などで故障した観測所が多く順番に修理していたが、その後の台風への対応もあり、作業が追いついていなかった。あってはならないことなので、速やかに修理を進めたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191028/k10012154191000.html
(2019年11月26日 修正1 ;追記)
2019年11月25日12時53分にNHK千葉から、計測不可だった水位計の一つは水没が原因だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月25日の豪雨の際に千葉県が管理する川の一部の観測所で水位を測定できなかった問題で、千葉市にある観測所では水位の上昇で装置が水没して故障していたことが分かり、県は設置場所の見直しなどを検討することになりました。
先月25日の豪雨では、千葉県が管理する108か所の観測所のうち11か所で装置が故障していて、水位を測定できませんでした。
このうち6か所は豪雨の当日に故障したため、県が調べたところ、千葉市若葉区の都川に設置された「大草観測所」では、データを送信するための装置が水没して故障したことが新たに分かりました。
この装置は高さ3.5メートルの堤防の上に設置され、25日の午後3時半に3.26メートルの水位を観測したのを最後に、測定ができなくなりました。
国が管理する川では、装置は洪水が起きても冠水しない高さに設置するよう基準が設けられていて、千葉県もそれに沿ってほとんどの装置を堤防とほぼ同じ高さに設置していますが、今回は想定以上の越水で水没してしまったということです。
千葉県河川環境課の山口課長は、「堤防の高さがあれば冠水しないと考えて設置していたが、重大な問題だ。今後、設置する高さの変更や装置自体の改良も検討していきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20191125/1080009146.html
(ブログ者コメント)
〇以下は、映像の2コマ。
〇千葉市の洪水ハザードマップを見てみると、当該水位計は警戒水位にかかるかかからないか、という場所に設置されていた模様。
ただ、そのハザードマップは50年に1度の大雨想定で作成されたものだった。
本ブログでは以前、足利市の洪水ハザードマップが最新のデータを反映していないものだったという情報を紹介した。
(足利市では100年に1度の大雨想定だったが、国は17年に1000年に1度の大雨想定に変更)
千葉市のハザードマップは、かなり前のデータのまま更新されていないということか?
以下は、千葉市HPに掲載されている洪水ハザードマップからピックアップした画面。
2019年10月27日22時18分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号や低気圧の影響に伴う25日の記録的な大雨で、千葉、福島両県で死亡した10人のうち半数の5人が、水没した車内などで亡くなる「車中死」だったことが分かった。
台風19号でも同様の犠牲者が多く出ており、国は注意を呼びかけている。
大雨による死者は27日現在、千葉県で9人、福島県で1人。
両県や警察、消防などによると、このうち千葉の4人と福島の1人が「車中死」だった。
千葉県長南町では、道路の冠水で水没した車の中から男性(91)の遺体が見つかった。
町内の別の場所では道路の水が引いた後、水没で立ち往生していた車のすぐ近くで、乗っていた男性(81)の遺体が発見された。
一宮川が氾濫した同県長柄町では、男性(88)が車内で見つかり、死亡が確認されるなど2人が亡くなった。移動中に車ごと流され、車内で身動きが取れなくなったとみられる。
福島県相馬市では、長男(38)と車で移動中、車ごと流されたとみられる母親(61)が遺体で見つかった。
長男は行方不明のままで、27日も捜索が続いたが、発見には至らなかった。
日本自動車連盟(JAF)によると、乗用車は水深30センチ程度の道を時速30キロで走行すると、巻き上げる水がエンジンルームに入って停止する可能性がある。
水深60センチでは時速10キロでしばらく走ることができるが、やがてエンジンが止まるという。
内閣府は、災害時の避難は原則的に徒歩にするよう求めている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191027-OYT1T50211/
※以下は、個別報道された長野県佐久市の事例。
(10月27日付 信濃毎日新聞 ;写真と地図付き)
台風19号に伴う千曲川支流、滑津(なめづ)川の氾濫で、佐久市中込の中島さん(男性、81歳)が車に乗って避難中に死亡した被災現場では濁流にのまれた車両が他にも複数あったことが26日までに分かった。
県警が通行規制した国道交差点から脇の県道に入ったものの、その先も規制されていて行き詰まり、結果的に被災していた。
交差点にいた警察官には県道先の規制情報は共有されていなかったことも明らかになった。
佐久広域連合消防本部は、被災現場付近の杉の木地区で12日夜から13日にかけて、濁流に囲まれた20人を救助。少なくともうち5人は車を運転中に被災したという。
県警によると、中島さんが長女の運転する軽自動車で妻と市内の長男宅に避難中だった12日午後6時ごろ、道路冠水のため、滑津川に架かる国道141号中込大橋の前後を通行止めとし、佐久署員1人が立っていた。
遺族によると、中島さんらは警察官が立っていた中込大橋南の石神交差点から県道小諸中込線に入り、約1キロ先の市下水道管理センター付近で通行止めの看板を見てUターン。
そこに洪水が押し寄せた。
同様に石神交差点から県道に入った複数の車の市民らも、県道先の通行止めは知らなかったと話している。
県警交通企画課によると、中島さんを含む複数の車両が進入した被災現場付近は同日午後4時半ごろ、市下水道管理センター西側で滑津川の朝日橋付近が用水路からあふれた水で漬かったため通行止めとし、同5時半までに、道路を管理する県の委託業者が通行止めの看板を置いていた。
石神交差点では同6時15分ごろ応援の署員が到着。
県道から車で交差点に出てきた人から同センター付近の冠水を聞き、進入しないよう規制したという。
同課は、交差点に当初いた佐久署員には県道先の通行止め情報は伝わっていなかったとした上で、「滑津川氾濫という事実が確認できていない中では規制しようがなかった。対応に不適切な点はなかったと認識している」としている。
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20191027/KT191024ATI090024000.php
※以下は、個別報道された千葉県長南町と長柄町の事例。
(10月26日11時51分 朝日新聞)
千葉県では25日の大雨の影響で、各地で死者や行方不明者が相次いだ。
長南町では80代の男性が側溝で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。
「危ない! 行っちゃダメ!」。
現場近くに住む女性(85)は25日午前9時ごろ、冠水し始めた農道を進む、男性が乗っていたとみられる軽トラックに向かって大声を上げ、必死に手を振った。だが、猛烈にたたきつける雨で視界は悪く、声もかき消された。
軽トラックはタイヤが水につかるほどの場所で停止。
助けたかったが、水の中を歩くこともできず、119番通報した。
1時間後にはトラックの荷台が水につかり始めた。
現場を目撃した近くの男性(80)は、「たった2、3時間のできごと。すごい雨だったが、(運転手は)避難してくれたと思っていたんだけど」と悔やむ。
長柄町では水没した軽乗用車の中から80代の男性が見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。
「あっという間に海みたいになった」。
近くの建設会社の社長渡辺さん(男性、42歳)は振り返った。
25日正午ごろに近くの一宮川が氾濫(はんらん)し始め、2時間後には乗用車が冠水するほどまで水位が上昇。
外に出られなくなり、会社の2階に避難した。
水が引き始めた午後7時ごろ、消防隊員が冠水していた軽乗用車のドアを開けているのが見えた。
「まさか、こんな近くで人が助けを求めていたとは思わなかった。気づけたら助けられたかもしれないのに」と肩を落とした。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBV3JSTMBVUDCB00V.html?pn=8
2019年10月24日16時0分に京都新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
台風19号で課題に浮上したダムの事前放流を巡り、京都府が大野ダム(南丹市)で今年予定していた実証実験が、思わぬ壁にぶつかっている。
昨年の西日本豪雨を受け、洪水に備えて放流する目標水位を5メートル引き下げて貯水能力を高める計画だったが、実施段階になってダム湖にある設備が破損する可能性があることが判明。
目標水位まで下げるには工事が必要で、由良川流域の自治体からは早期対応を求める声が上がっている。
西日本豪雨では、貯水能力が限界に達した愛媛県のダムが大量の水を放流する「緊急放流」を行い、下流域で甚大な浸水被害が発生、死者も出た。
国の有識者会議は緊急放流を避けるため、事前放流で水位調節する機能の強化を提言。
府も検討会を設置し、今年3月に大野ダムでの対策案をまとめていた。
大野ダムではこれまで、大雨に備えた事前放流の目標水位を標高155メートルとしていた。
府の案では前線に伴う府北部の24時間予測雨量などの基準を追加した上で、目標水位を150メートルに設定。
今年の出水期に実験して放流水の濁りや付属設備への影響を調べ、問題がなければ本格的に導入する予定だった。
しかし実験に向けて動き始めた今春、ダムの巡視船用係留場が標高155メートル、発電用取水管の除じん設備が153メートルの位置にあり、それ以下に水位を下げると、水面に浮く形で設置されている両設備がバランスを失い、破損することが分かった。
府によると、検討会では放流管ゲートや発電用取水管は図面で確認していたが、係留場や除じん設備は想定していなかった、という。
担当者は「国の提言を受け急ピッチで案をまとめた。具体的には本年度詰めていく予定だった」と説明する。
府は5月下旬に、水位を標高154メートルに下げる実験を実施した。
今月28日には、一時的に係留場を取り除き153メートルまで下げる実験を予定する。
ただ当初計画していた150メートルに下げるには、設備の改修工事にかかる予算措置が必要なため、実施は来年度以降になるという。
水位を標高155メートルから150メートルに引き下げた場合、ダムの貯水能力は約200万立方メートル向上し、水をせき止めている堤体1メートルのかさ上げと同等の効果が見込まれている。
下流自治体の防災担当者は「緊急放流となれば住民に避難を呼び掛けるしかできず絶望的な状況になる。早く事前放流の充実を実現してほしい」と求める。
台風19号では関東や東北のダム6カ所が、事前の水位調節なしに緊急放流を実施。
西日本豪雨の教訓が生かされていないとの批判が広がっている。
府河川課は「課題を一つずつクリアして取り組んでいる。河川管理者や市町と連携し、可能な限り早く進めていきたい」としている。
https://this.kiji.is/559995121114154081?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
関連情報を調べていたところ、台風19号時に事前放流しないまま満杯近くになり緊急放流したダムが複数あったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
(2019年10月14日 14:51 神奈川新聞)
台風19号で茨城など4県と国は12日夜から13日未明にかけ、治水機能を持つ6カ所のダムで満杯近くになった水を緊急放流した。
国土交通省は決壊を防ぐためやむを得なかったとの見解だが、昨年の西日本豪雨の教訓として有識者から提言されていた事前の水位調節は、6ダムとも実施していなかった。
同省は対応が適切だったかどうか調べる方針だ。
6ダムは、国が管理する美和ダム(長野県)、県が管理する高柴ダム(福島県)、水沼ダム、竜神ダム(ともに茨城県)、塩原ダム(栃木県)、城山ダム(相模原市緑区)。
国交省はいずれも規則に基づき、自治体や警察、消防などに通知したとしている。
・・・・・
https://www.kanaloco.jp/article/entry-201951.html
(2019年10月16日16時15分 産経新聞)
台風19号による記録的な大雨で関東甲信越と東北地方にある計6カ所のダムでは、満水に達する前に流入量と同量を放流する「緊急放流」に踏み切った。
下流で大規模水害が起きる可能性があり、管理者は洪水調節機能を放棄することになる苦渋の判断を迫られた。
これらのダムでは、昨年の西日本豪雨の教訓として提言された事前放流(利水用の最低限の貯水を含む)を行っておらず、運用をめぐる課題も浮かび上がる。
【通常流量の2倍以上】
「極力回避したい事態。ギリギリまで洪水調節を行った」。
神奈川県中部を流れ、流域人口約128万人を抱える相模川上流の城山(しろやま)ダム(相模原市)で12日夜、緊急放流を判断した石坂・ダム運用部長(51)はそう振り返る。
ダムでは通常、大雨が降ると流入量の一部をため、残りを放流する洪水調節を行う。
しかし、満杯が近づくと、あふれ出して決壊するのを防ぐために流入量と同量を放流する。
これは「異常洪水時防災操作」(緊急放流)と呼ばれ、洪水調節機能が果たせなくなる「例外中の例外」だ。
城山ダムでは流域住民へ避難を促すために原則3時間前に周知する。
管理事務所は12日午後1時過ぎに「午後5時から緊急放流」と周知したが、雨量が予想を下回り、午後4時に「開始を遅らせる」とした。
その後、雨脚が強まり、一転して午後9時に「午後10時から開始」と予告。
さらに予想より早いペースで上昇したため前倒しで午後9時30分に緊急放流を始めた。
最大放流量は相模川の平常流量の2倍に相当する毎秒3千トン以上に上った。
【建造54年で初操作】
国土交通省によると、12日夜~翌朝に緊急放流を行ったのは、美和ダム(長野県伊那市)▽竜神(りゅうじん)ダム(茨城県常陸太田市)▽水沼ダム(同県北茨城市)▽城山ダム▽塩原ダム(栃木県那須塩原市)▽高柴(たかしば)ダム(福島県いわき市)-の6カ所。
このうち、塩原ダムでは緊急放流との関係性は不明だが、下流の茨城県内3カ所で決壊が確認された。
城山ダムの緊急放流は昭和40年の建造以来初めてだった。
石坂部長は「結果的に大規模災害が起きずに済んだ」と胸をなで下ろすが、情報に翻弄(ほんろう)された自治体からは「できる限り避難に余裕を持たせたい」(海老名市)、「最終的な連絡が10分前で驚いた」(厚木市)との不満も上がる。
【最低限の水位残す】
緊急放流は昨年7月の西日本豪雨では6府県8カ所で行われ、愛媛県の2カ所では下流で約3千棟が浸水し8人が死亡。
国交省の有識者による検証会議では、空き容量確保のため、通常の放流以上に農業、工業用の貯水まで含め事前放流する対策が提言された。
だが、今回緊急放流した6つのダムでは、事前に定められた最低限の水位まで放流を行うなどし、いずれも水利権者との追加協議を要するレベルまでの放流は行わなかった。
一歩踏み込んだ事前放流を行えば、緊急放流に至る前に少しでも空き容量を確保できた可能性はあり、国交省が検証する。
東大大学院の池内幸司教授(河川工学)は「河川管理者としては事前放流を増やしたくても、上流域の正確な降水予測ができない現状では、空振りになった場合に水利権者に迷惑がかかる可能性がある。空振りリスクを軽減できる仕組みが必要だ」としている。
https://www.sankei.com/affairs/news/191016/afr1910160039-n1.html
2019年10月23日20時44分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
河川の氾濫(はんらん)などで浸水する恐れがある場所に設置されながら、浸水対策がされていない浄水場は全国で578カ所にのぼっている。
台風19号の大雨では、福島県いわき市の平(たいら)浄水場が水没し、最大で約4万5千戸が断水した。
災害からの復旧を支えるインフラの備えが遅れている。
厚生労働省は、2018年9月に公共施設や病院などにつながる全国の主要な浄水場3521カ所を調査。
その結果、22%に当たる758カ所が浸水想定区域にあり、そのうち76%の578カ所は入り口のかさ上げや防水扉の設置などの対策がされていなかった。
土砂災害警戒区域にも542カ所あるが、うち496カ所が未対策だという。
厚労省は各自治体の承諾が得られていないとして、個別の施設名を公表していない。
いわき市では13日午前1時半ごろ、市内を流れる夏井川が氾濫して平浄水場の1階に水が流れ込み、電気を各設備に流す心臓部が約80センチ浸水。
段階的な通水が22日に始まり、27日ごろに断水は解消する見通しだが、浸水家屋の掃除や洗濯が出来ず、市民生活に深刻な影響を与えている。
市内で最大の同浄水場は00年、市のハザードマップで夏井川からの浸水想定区域に入ると判断された。
しかし、防水扉設置などの対策は取られなかった。
市水道局の加藤局長は「浸水想定区域にあるとは認識していたが、現実的にこのような被害が起きるとは想定していなかった。財源も限られるなか、具体的な対策を検討できていなかった」と話す。
豪雨による川の氾濫や土砂崩れで水道施設が被災し、断水する例は近年、全国で相次ぐ。
11年7月の新潟・福島豪雨では約5万戸で最長68日間、18年7月に広島県などを襲った西日本豪雨では約26万3千戸で最長38日間の断水が続いた。
名古屋大の中村晋一郎准教授(土木工学)は「水道設備は川に近く水を取りやすい場所にある。浸水対策などハード面の対策も必要だが、限られた予算の中で、すぐに実施することは難しい。断水のリスクに備え、各家庭で事前に風呂に水をためたり、近くの井戸を把握したりするなど住民側の事前の対策も合わせて必要だ」と話す。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBR5SQKMBRUTIL044.html?pn=5
10月30日付で毎日新聞からは、台風19号時に浸水した浄水場10カ所のうち9カ所に防水扉がなかったなど、やや詳しい同趣旨の記事がネット配信されていた。
台風19号の大雨で福島・茨城・栃木3県の浄水場計10カ所が浸水し、断水の原因となった。
毎日新聞の取材では、うち9カ所が洪水時に浸水の恐れがある「浸水想定区域」にあったが、防水扉が設置されていなかった。
厚生労働省によると、浸水想定区域にあるのに対策を取っていない浄水場は少なくとも全国に578カ所ある。
25日の大雨でも千葉県鴨川市の浄水場が浸水しており、対応が急務となっている。
【全国578カ所、対策せず】
台風19号では、水道管の破裂や土砂災害といった要因も含め、14都県で最大時16万3243戸が断水した。
うち浄水場の浸水が原因となったのは、3県6市町(福島県のいわき市1カ所と田村市1カ所、茨城県の常陸太田市1カ所と大子(だいご)町2カ所、栃木県の那須烏山市3カ所と栃木市2カ所)の計6万3698戸で、断水戸数全体の4割を占めた。
浸水した浄水場10カ所のうち田村市を除く9カ所が、水防法に基づいて国や都道府県が指定する浸水想定区域にあったが、いずれも防水扉はなかった。
夏井川の堤防が決壊したいわき市では一時、約4万5000戸が断水した。
市水道局の担当者は「これまでは浄水場施設の老朽化に伴う改修や耐震化を先に行うべきだと考え、台風への対策は特に取っていなかった。大雨で泥水が流入すると、ろ過時に消毒薬品の量の調整などが必要になると警戒していたが、堤防決壊による浸水は全く想定外だった」と話す。
昨年7月の西日本豪雨でも浄水場など水道施設の被災により、18道府県の計80市町村で約26万4000戸が断水した。
これを受け、厚労省が全国の主要な浄水場3521カ所を調査したところ、22%にあたる758カ所が浸水想定区域にあり、うち7割を超える578カ所は防水扉や止水堰(せき)の設置といった対策をしていなかった。
費用がネックとなっている。
厚労省は昨年度、中でも大規模な断水につながる可能性がある147カ所を「緊急対策」対象と位置付け、予算が確保できない水道事業者には費用の3分の1を国庫補助する事業を始めた。
しかし、今回被災した浄水場はいずれも対象に含まれていなかった。
金沢大の宮島昌克教授(建設工学)は「浄水場は川の近くに設置されるため浸水被害を受けやすく、対策が必要だ。ただ、水道事業者は高齢化や過疎化に伴って収支が悪化しており、国が予算を拡充すべきだろう。住民も水を備蓄したり、自治体同士が非常時の給水について協定を結んだりして備えることが大切だ」と話している。
https://mainichi.jp/articles/20191030/ddm/001/040/125000c
(ブログ者コメント)
台風19号時に浸水した浄水場の個別状況(例)は下記記事参照。
(茨城県内の例)
茨城県内の断水すべて解消 大子町でも浄水場が復旧
(2019年10月23日 16時47分 NHK NEWS WEB)
久慈川が氾濫した大子町では3か所の浄水場が浸水し、22日まで合わせておよそ250戸の住宅で断水が続いていましたが、浄水場の復旧活動を進めた結果、22日の夕方までにすべての断水が解消されたということです。
・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191023/k10012145251000.html
(栃木県内の例)
【台風19号】栃木県内全ての断水が解消 那須烏山で陸自撤収
(10/22 10:03 下野新聞)
台風19号による浄水場の浸水で発生していた那須烏山市内の断水が21日、解消し、県内の水道はすべて復旧した。
・・・・・
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/235048
2019年10月21日17時10分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風19号で浸水被害を受けた栃木県足利市で、避難中に乗用車が浸水のため立ち往生し、乗っていた市内の無職の女性(85)が死亡した現場周辺が、同市が作成した「洪水・土砂災害ハザードマップ」では浸水想定区域に指定されていなかったことが分かった。
市は早急にハザードマップを見直す方針だ。
女性が家族とともに避難するため乗っていた車は12日夜、同市寺岡町の道路で浸水して立ち往生。
女性はその後、低体温症による急性心不全で死亡した。
市は平成25年、市全域の浸水状況などを示すハザードマップを作り、全戸に配布した。
しかし、現場周辺など台風19号で浸水した地域の一部は、浸水想定区域から外れていたという。
ハザードマップは国が管理する渡良瀬川などからの浸水被害を想定しており、台風19号で氾濫した渡良瀬川の支流の旗川などからの浸水は想定外だった。
4年前の関東・東北豪雨被害などを受け、国と県はそれぞれ管理する浸水想定を見直し、市もハザードマップの改訂を進めていた最中だった。
和泉聡市長は「反省しなければならない。今回の教訓を生かし、来年の出水期前までには見直したい」と話している。
https://www.sankei.com/affairs/news/191021/afr1910210017-n1.html
10月20日3時0分に朝日新聞栃木版からはより詳しい下記趣旨の記事が、足利市と隣の佐野市のハザードマップ付きでネット配信されていた。
台風19号で複数の河川が氾濫し、避難途中に車が冠水して女性が亡くなった足利市富田地区。
足利市が作成したハザードマップでは一帯が「浸水予想域」に指定されていなかった。
2013年版の作製を最後に、足利市は国や県の最新予想データを反映していなかった。
市東部の富田地区周辺には渡良瀬川に注ぐ旗川や出流川から越水した水が流れ込んだとみられる。
多くの家屋が床上浸水した。
市が公表するハザードマップは13年改訂版。
富田地区は浸水予想域から外れ、地図上は真っ白だった。
日ごろからハザードマップを確認していた地区の住民は「被害に遭うのは想定外だった」と驚いた。
ハザードマップは国と都道府県の浸水予想をもとに自治体が作成する。
国などは17年に最新の浸水予想を公表していた。
ここ数年、大規模な自然災害が相次いだため、「千年に一度の大雨」を想定し、大幅に浸水予想域を広げた。
これまでは「百年に一度の大雨」を想定していた。
隣の佐野市は17年の最新データをもとにハザードマップを更新していた。
富田地区は市境付近に位置するため、佐野市のハザードマップの対象区域に含まれている。
富田地区のうちJR富田駅と旗川に挟まれた一帯は、足利市のマップでは真っ白だが、佐野市では色がつき、「0・5~3メートル未満」の浸水予想域に指定されていた。
足利市危機管理課は、国と県が最新の浸水予想を公表した後も、ハザードマップに最新データを反映しなかった理由について「土砂災害の最新予想が出た段階でまとめて更新するつもりだった。旗川など支流の氾濫は想定していなかった」と説明した。
市のホームページで掲載するのも13年改訂版。
危機管理課は「国の浸水予想は『千年に一度』の規模というが、2年でその予想も超えてしまった。今後どう活用すればいいのか」と頭を悩ます。
和泉聡市長は18日の会見で「大いに反省しなければいけない。不安を抱える来年の梅雨までに暫定的に改訂したい」と話していた。
https://digital.asahi.com/articles/ASMBJ5JJ5MBJUUHB015.html?pn=4
2019年9月22日に掲載した第2報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10014/
(2019年10月28日 修正3 ;追記)
2019年10月20日6時0分に西日本新聞佐賀版から、油による被害を受けた住民に対する会社からの損害補償説明会(第1回)が開かれたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
S鉄工所は19日、家屋が油被害で損傷した206軒の住民を対象にした初の説明会を同町役場で開始し、補償額を提示した。
鉄工所は金額を公表していないが、参加者によると補償額は被害規模に応じ最大で250万円。
鉄工所は月内から各戸を回って早急に合意を得たいとする一方で、金額交渉には応じない姿勢を示した。
説明会では提示額や対応などに不満の声も上がったという。
町によると、油の影響による家屋被害は、19日現在で全壊77軒、大規模半壊72軒、半壊1軒、床下浸水56軒に上る。
この日の説明会は特に被害の大きい下潟地区など94軒を対象に、4グループに分けていずれも非公開で開いた。
鉄工所によると、説明会では坂田社長が油流出で被害を与えたことを謝罪し、同社幹部が補償内容を説明した。
参加者によると、町が判定した全壊で250万円、大規模半壊は200万円、半壊が100万円、床下浸水は80万円を一律に支払うという。
説明を聞いた下潟地区の公務員男性(61)は、自宅が1・3メートルまで油混じりの水に漬かり「全壊」と判定。
鉄工所から提示された補償金額に「鉄工所としては精いっぱい頑張ったと思うが、(大雨で鉄工所から油が流出した)約30年前にもっと鉄工所に厳しい対応をしていれば今回のようにはならなかった」と悔しさをにじませ、補償を受け入れるかどうか家族と相談して決める。
男性によると、説明会では同地区住民から「補償金額が低い」「ごね得は許すな」などの怒声も飛び交ったという。
同地区で自宅が「全壊」とされた50代女性は「金額に納得した訳ではないが、災害だから仕方がない部分もある」と複雑な心境を語った。
参加者によると、約30年前に今回と同様に油を流出させた鉄工所側に「次は絶対に起こさないと約束してくれ」と誓約書を求める声もあったという。
20日の説明会は午前9時から開く。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/552548/
10月19日21時1分に日本経済新聞からは、農地などに対する補償は別途検討という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
町と佐賀鉄工所(佐賀市)は19日、町役場で被災者向けの説明会を開き、鉄工所は住宅被害の程度に応じた補償額を提示した。
対象は町内の約200世帯。
町は生活再建支援金として、1世帯当たり最大300万円が支給されるほか、最大10万円の見舞金を支給する方針を示した。
鉄工所は油流出の経緯や再発防止策について説明した。
農作物や農地について、県による土壌のサンプリング調査の結果に基づき補償内容を検討する。
・・・・・
〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51195780Z11C19A0CZ8000/
(2019年12月2日 修正4 ;追記)
2019年11月30日22時4分に佐賀新聞からは、被害農家への賠償も大枠で合意したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8月下旬の記録的大雨による佐賀県大町町の工場からの油流出被害で、流出元の佐賀鉄工所と被害農家側が30日、農業共済制度で補償されない被害分を鉄工所が負担し、見舞金として支払うことで大枠合意した。
鉄工所は「農家の損失はカバーできる」としており、年内に支払う方針。
町と鉄工所によると、油は約100ヘクタールに広がり、農地は約40ヘクタールに被害が出た。
鉄工所によると、30日に説明会を開催し、16戸の農家が参加。
農業共済制度では、平年の収穫量を基にコメは9割、大豆は7割が補償されるが、被害額のうちカバーされない分を鉄工所が負担する。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/460391
(2020年2月28日 修正5 ;追記)
2020年2月27日12時16分にNHK佐賀から、敷地外への油流出が確認されて以降1時間余り、流出防止用シャッターが閉められていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
流出元となった工場東側のシャッターが、外部への油流出が確認されたあとも1時間あまり開いたままになっていたことが、当時の状況を記録した内部文書でわかりました。
この間に大量の油が拡散したとみられます。
NHKが入手した佐賀鉄工所の内部文書は、去年8月28日の油流出の対応にあたった関係者への聞き取り調査の結果をまとめたもので、当時の工場内の動きが具体的に記録されています。
それによりますと工場では、過去に小規模な浸水被害を起こした用水路から油がある建屋を守るため、建屋西側と北側のシャッターを閉め、土のうを積むなどの対策がとられていました。
しかし、あふれた水が建屋に流れ込み、午前5時には建屋内部の水位が40センチに達して装置から油が流出し、6時半には工場の敷地外への流出が確認されました。
一方、文書には午前7時45分に「東側の重量シャッターを閉める」とあり、外部への流出確認後も1時間あまりシャッターが開いたままだったことがわかります。
これについて佐賀鉄工所はNHKの取材に対し、「対策は流入を防ぐことをメインに考えていた」と文書で回答しましたが、この間に大量の油が拡散したとみられます。
企業の防災対策に詳しい名古屋工業大学の渡辺研司教授は、「想定外の事態に誰がどのような指示系統で行動するのか、備えの甘さが出たと考えられる。マニュアルを作成し、普段から訓練をして具体的な行動につなげるべきだ」としています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20200227/5080005122.html
(ブログ者コメント)
以下は、映像の5コマ。
(2020年3月2日 修正6 ;追記)
2020年3月2日8時38分に佐賀新聞から、北側と西側のシャッターは豪雨前日に閉めたが東側シャッターは過去に水の流入経験がなかったので閉めなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
鉄工所によると、建屋の北側と西側のシャッターは、水の流入を防ぐため、豪雨発生の前日に当たる27日の夕方ごろに閉めていた。
ただ、東側のシャッターについては「これまでの経験上、東側から水が入ってきていなかった」(担当者)として、翌28日午前7時45分ごろに閉めたという。
午前5時ごろに油槽からの油流出を確認していた。
担当者は「東側のシャッターからも油が流出していることは間違いないが、東側を閉めていたとしても流出はしていたのではないか」と話している。
・・・・・
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/494898
2019年9月4日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報として掲載します。
第1報は下記参照。
(1/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9960/
(2/2)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9959/
(2019年9月22日 修正1 ;追記)
2019年9月13日10時0分に佐賀新聞から、工場内に流出した量は11万ℓだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
油の流出を巡り、現地で調査をした杵藤地区消防本部(武雄市)は10日、約11万3千リットルの油が工場内に流出していたと発表した。
県は工場外に流出した油の量を約5万リットルとしていたが、同消防本部はその量を「不明」とした。
同消防本部は8月28日午前、工場からの油流出を覚知。
9月3日に総務省消防庁と合同で現地調査を実施した。
その結果、熱処理装置の油槽タンクに入っていた焼入油11万130リットルと、金属加工油2980リットルが工場内に流出したことが判明。
同日夕方には、大町町の防災対策連絡会議で報告していたという。
県によると、河川砂防課がS鉄工所に確認し、8基の油槽に入っていた計約9万リットルのうち約5万リットルが流出したという回答をもとに8月29日に「5万リットル」と発表したとしている。
これに対しS鉄工所は「誰が対応したか分からないが『約半分くらいが流出した』と答えたために約5万リットルという数字になったと推測している。
消防の調査と同様に、外部への流出量は分からない」としている。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/426676
9月22日6時0分に西日本新聞佐賀版からは、事故時の対応状況や過去と今回の対策などが、現場の図解図や今回対策としての鉄製仕切り板の写真付きで下記趣旨でネット配信されていた。
約30年前にも大雨で油が流出し、建物をかさ上げするなどの対策を取っていた同社。
想定を超えた今回の大雨に、さらに対策を強化して、補償を含めた対応を町と協議している。
大雨当時の状況を含めて検証した。
大町工場は車と農機具用のボルトを製造。
油槽があるのはボルトの強度を高める熱処理工場(広さ約5千平方メートル)で、24時間体制で稼働。
8基の熱処理炉にそれぞれ深さ約3メートルの油槽が地中にあり、「焼入(やきいれ)炉」を通ったボルトはベルトコンベヤーで油槽に運ばれて冷却。
さらに「焼戻(やきもどし)炉」に運ばれて再び焼かれる。
どの油槽にも密閉用のふたはないという。
大雨当日の8月28日、雨が激しくなったため同社は午前3時ごろ、油槽へのボルトの投入を止めた。
浸水を防ぐため工場北側に土のうを積み、流出の可能性に備えてオイルフェンスを設置。
その後、熱処理の全工程を止めたが、同5時ごろから油槽に水が入り、押し出された油が漏れて同6時半ごろに敷地外への流出が確認された。
工場では1990年7月にも油が流れ出た。
このため熱処理工場の3カ所の搬出入口にあったビニール製のシャッターを鉄製に変えて強化し、建物を数十センチかさ上げした。
それでも今回は熱処理工場の内側が約40センチ、外側は約70センチも水に漬かった。
同社は「30年前に講じた対策の能力を超え想定外の大雨だった。水かさが増す勢いがすごかった」と説明する。
・・・・・
同社は再発防止策として、油槽などを囲む形で熱処理工場内に高さ約90センチの鉄柵を設置。
さらに大町工場の東側と南側に総延長約600メートルの常設オイルフェンスを取り付けた。
杵藤地区広域市町村圏組合消防本部は防止策を踏まえ、同社に出していた熱処理工場の使用停止命令を今月6日に解除した。
操業を止めていた熱処理炉のうち、2基は16日に再稼働。
10月中旬までに全てが再稼働する見込みという。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/545136/
(2019年10月12日 修正2 ;追記)
2019年10月9日8時23分に佐賀新聞からは、敷地外への流出量は5万ℓだったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
佐賀鉄工所は8日、佐賀県内に被害をもたらした8月の記録的大雨で、杵島郡大町町の大町工場から敷地外へ流出した油が推定約5万4千リットルに上るとする調査結果を明らかにした。
同社によると、流出前日の8月27日の点検時の記録を基に、熱処理工場内の油槽8基にあった油の量を約10万3千リットルと算出。
このうち、油槽からあふれて工場内に残ったのが、敷地の面積などから約4万9千リットルだったと推定し、外部へ流出した油の量を算出した。
油は焼入油「ダフニークエンチGS70」(出光興産)。
10月2日に県へ調査結果を報告している。
9月末時点で、油の流出範囲は約98万平方メートル。
農作物では、水稲約26ヘクタール、大豆約15ヘクタール、施設園芸のキュウリ0・2ヘクタールの規模で油が広がり、水稲は約120トンが廃棄処分になった。
油の流出量を巡っては、県は当初、工場外に流出した油の量を約5万リットルとしていたが、杵藤地区消防本部(武雄市)はその後、約11万3千リットルが工場内に流出していたとして、工場外への流出量は「不明」としていた。
鉄工所も同様に工場外への流出量は「分からない」としていた。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/437962
10月11日18時24分にNHK佐賀からは、工場周囲に塀も巡らせるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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取材に応じた坂田社長は再発防止策としてこれまでに工場内の油槽に浸水を防ぐ鉄板の囲いを設けたことや、来年の梅雨までに工場の周囲にコンクリートなどの塀を巡らせることを説明し、ことし中に、被害にあった住民を対象に説明会を開き、補償に向けた対応を進める考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20191011/5080004296.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。