2018年6月29日20時45分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)は28日、エアコンや扇風機が原因となった火災が2016年度までの5年間で376件あり、9人が死亡したと発表した。
毎年6月から8月は火災が多発しているといい、注意を呼びかけている。
NITEによると、消費者庁や自治体などから寄せられたエアコンと扇風機の事故情報は、12~16年度の5年間で計566件。
このうち火災は、エアコン278件、扇風機98件だった。
エアコンでは、内部を掃除した際に電機部品に洗浄液がついたことが原因で出火につながったケースがあった。
また、引っ越しなどでエアコンを移動させた際に、電源コードを継ぎ足したところ、接続部分から発火したケースもあった。
扇風機では、長期間の使用が原因とみられる火災が複数あった。
モーターやコンデンサーの劣化や首振り運転の繰り返しで、配線が切れたことが火災につながったとみられるという。
NITEは、エアコンの電源コードの継ぎ足しを行わないことや、扇風機を使わない時は電源プラグをコンセントから抜くことなどを呼びかけている。
出典
『エアコンや扇風機の火災、5年で376件 洗浄液原因も』
https://www.asahi.com/articles/ASL6X4RGZL6XUTIL01Q.html
6月27日6時30分に日本経済新聞電子版からは、エアコン洗浄時の火災危険性に関する下記趣旨の記事が、写真や図解付きでネット配信されていた。
エアコンと周りの天井や壁が焼けて黒くなっている2件の住宅。
福岡市で発生した火災現場だ。
2件の火災は、どちらも2013年8月にした発生した。
いずれも、エアコンの室内機側部にあるファンモーターのリード線接続部が激しく燃えていた。
住宅Aでは、ファンモーター部からエアコン用の洗浄スプレーに含まれる成分が検出された。
福岡市消防局によると、2件の居住者は、火災発生前に市販の洗浄スプレーを使い、室内機の内部を洗浄していた。
エアコンは熱交換器が汚れると、運転効率の低下を招いたり、カビや臭い、雑菌の温床になったりする。
そのため、エアコンメーカーは、汚れを除去する内部洗浄が必要となる場合がある旨を伝えている。
住宅Aのエアコンは使用開始から9年、もう1つの住宅Bは13年が経過し、汚れが気になって内部洗浄したと思われる。
【「トラッキング現象」を確認】
福岡市消防局は、出火原因を検証するために、複数の実験を行った。
その1つは、通電したファンモーターのリード線接続部に食塩水や洗浄液をじかにかけて、発火するかどうかを確かめるものだ。
食塩水を使った実験では、20分後に黒い泡が発生して発火。
リード線の一部が消失した。
コンセント火災で知られている「トラッキング現象」の発生が、リード線接続部でも確認できたのだ。
洗浄液を使った実験では、発火や発煙は起こらなかったものの、接続部は変色した。
トラッキング現象発生のメカニズムを次の図に示す。
福岡市消防局予防課調査係の川越消防士長は、「トラッキング現象は、湿気やほこりの付着など、様々な要因で発生し、進行速度は環境に依存する」と話す。
2件の火災は、湿度が80%を超える日に発生。
内部洗浄してから半年以上経過した状況にあった。
「洗浄後にリード線接続部に洗浄水の含有成分が付着して、トラックを形成する一因になった。その後、短絡に至るまでには一定の時間を要したと考えられる」(川越消防士長)
【専門会社でも難しい内部洗浄】
エアコン室内機の内部洗浄に起因する火災は、全国で多発している。
製品評価技術基盤機構の事故情報データベースには、01年7月以降で、少なくとも87件の記録がある。
火災は、電装部をカバーで覆って洗浄水を入りにくくした機種でも発生している。
電装部は放熱しなければならないので、カバーがあっても、完全に遮蔽するのは難しい。
洗浄の専門会社が内部洗浄したケースでも、火災に至る例は珍しくない。
内部洗浄は、専門会社であっても、難しい作業になる。
洗浄液の選定など、さまざまな注意が要るからだ。
そのため、エアコンメーカーや日本冷凍空調工業会では、高い専門知識を有する会社に内部洗浄を依頼したり、エアコンを購入した販売店やメーカーのサービス窓口に相談したりするよう、求めている。
こうしたエアコンのリスクを住宅会社は、建て主などと接する際にもアドバイスしておきたい。
【施工ミスによる発火も】
エアコンの設置工事のミスが原因で、ファンモーターのリード線接続部から発火する事故も発生している。
現場監督は注意が必要だ。
17年7月に火災が発生した静岡県吉田町の住宅では、04年に三菱重工が製造したエアコンを、外壁の配管穴にシール処理を施さない状態で設置していた。
配管穴が、たまたまファンモーターの後方に設置されていたために、長期間にわたりリード線接続部に外気が接して腐食。発火に至ったと判明した。
三菱重工サーマルシステムズでは、同様の火災を、ほかにも8件確認。
一部の機種について設置状況を無償点検すると、18年1月に発表した。
ファンモーター内部に水分が浸透しないよう機種設計を見直した、08年以前に製造販売した機種が対象だ。
出典
『エアコン洗浄があだとなり火災 なぜ起こるか』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31387300V00C18A6000000/?n_cid=NMAIL007
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。