2021年5月11日19時6分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前7時45分ごろ、いわき市常磐岩ヶ岡町にある「堺化学工業湯本工場」で、「爆発音がして煙が見える」と近くに住む住民から消防に通報がありました。
警察や消防などによりますと、この爆発で協力企業の社員4人が病院に運ばれ、このうち63歳の男性1人が全身にやけどを負って重傷です。
また、62歳と42歳、それに29歳の男性も顔や背中などにやけどを負って病院で手当を受けていますが、4人とも意識があり、命に別状はないということです。
爆発した工場は、建物の外壁や屋根に大きな穴が空いて、周りに爆発で吹き飛んだと見られる部材が散乱していました。
会社によりますと、この工場では、亜鉛のかたまりを熱して蒸発させたうえで冷やし、防さび塗料などに使われる亜鉛の粉末を製造していて、従業員が亜鉛の粉末を飛ばしてふるいにかけるためのファンのスイッチを入れたところ、異音がして、間もなく爆発したということです。
現場は、JR常磐線の湯本駅から南におよそ3キロの工場が建ち並ぶ地域で、いわき市は有毒ガスなどが発生するおそれもあるとして、一時、近隣の住民に屋内に避難するよう呼びかけました。
測定の結果、有毒ガスは検出されなかったということです。
昼頃には火の勢いは収まりましたが、発生から10時間余りたっても消し止められていません。
消防は、午後6時半に消火活動を打ち切っていて、12日朝6時から活動を再開することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20210511/6050014452.html
5月11日16時23分に産経新聞からは、亜鉛粉末を大きさごとに分ける分級ファンを動かした際に異常音がし、その後、爆発したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4人が重軽傷を負った爆発は、粉じん爆発だった可能性が高いとみて県警が調べていることが11日、捜査関係者への取材で分かった。
亜鉛粉末を扱う機械を動かした際に異常音がし、その後に爆発が起きた。
同社によると、異常音がしたのは亜鉛粉末を製造する際に使われる「分級ファン」と呼ばれる機械で、風を利用して亜鉛粉末を大きさごとに分けるという。
この機械を同日朝に動かし始めたところ、従業員が異常音に気付いた。
https://www.sankei.com/affairs/news/210511/afr2105110012-n1.html
5月11日20時34分にYAHOOニュース(テレビユー福島)からは、爆発音は数回したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
近くにいた人
「音がすごい、2回ドーンって大きい音とそのあとすぐドーンドーンと爆発音がした」
https://news.yahoo.co.jp/articles/fd9e5ba2452cd399e2a8823ca253f591a09a8be4
5月11日19時30分にYAHOOニュース(福島テレビ)からは、禁水性につき消火は難航しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
《なぜ消火活動が長時間に及んだ?》
亜鉛末は主にさび止めや化粧品に使われるが、着火しやすく、低温でも引火しやすいという性質がある。
水で消火すると水素が発生し危険なため、今回は砂をかけての消火活動が行われた。
工場内には約50トンの亜鉛があり、消火活動を難航させた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9f55fac7f89f3960d125256dfe639f26f6e58ddb
5月12日9時40分に福島民友からは、午前8時の作業開始に向け準備していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
いわき中央署や市消防本部などによると、けがをしたのは協力会社の男性従業員。
63歳が全身やけどの重傷、62歳と42歳が顔などをやけどする中等症で、29歳が打撲などの軽いけがをした。
午前8時の作業開始に向けた準備をしていた。
https://www.minyu-net.com/news/news/FM20210512-614261.php
5月12日21時45分にYAHOOニュース(テレビユー福島)からは、異音がしたので分級ファンを止めようとしたが、その直後に爆発したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
堺化学工業によりますと、爆発事故でケガをした男性作業員は、「粉末に風を送る機械を稼働させたところ異音が聞こえ、すぐに止めようとしたが、直後に爆発が起きた」と話していることが新たにわかりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e7ee8cfbf8743e39637e811568d3d7eec6cfeec
5月13日17時36分にNHK福島からは、穴が開いた屋根には雨が入るのを防ぐためシートがかけられている、13日未明には遺留物から白煙が上がったため砂がかけられたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この工場では、火の勢いが収まったあとも、火災の熱にさらされた亜鉛などの高温の遺留物があって工場に立ち入れない状態が続いていましたが、発生から2日たって温度がある程度下がったことから、警察と消防は午前10時から工場内の実況見分を本格的に行いました。
工場内にあるおよそ50トンの亜鉛粉末は空気や水に触れると自然発火したり爆発したりするおそれがあるため、消火剤として乾燥した砂をかけるとともに、雨が当たるのを防ぐため、爆発で穴が開いた工場の屋根にシートをかぶせる措置をとっていて、自然に冷えるのを待っている状態です。
13日未明には遺留物から白い煙が上がり、消防が砂をかけるなどの対応をとったということで、再び燃え上がるおそれがない「鎮火」の状態になったと確認されるまでには、あと数日かかる見通しだということです。
一方、去年12月の点検ではファンの異常は確認されていなかったということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20210513/6050014476.html
5月14日10時37分にYAHOOニュース(福島民友)からは、13日午後にも砂の中から一時白煙が上がったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
13日午前2時ごろ、工場内を巡視していた男性従業員から「爆発した工場から白煙が出ている」と119番通報があった。
同社によると、消火のため散布した砂の中から発煙した。
けが人はいなかった。
市災害対策本部などは、砂の層が薄い部分から亜鉛と空気が反応して発煙した可能性があるとみて、原因を調べている。
散布した砂が均一に行き届いていなかった可能性があるという。
消防隊員らが現場に到着した際には煙は確認できず、再度、砂で覆う作業を行った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f4601d4d84e228f27627f3a2d6298752956f75f5
(ブログ者コメント)
監視カメラの映像では1回だけの爆発のように見えるが、近所の人は爆発音を数回聞いたとのこと。
2次爆発、3次爆発が瞬間的に起きたということかもしれない。
(2021年5月19日 修正1 ;追記)
2021年5月18日13時7分にNHK福島からは、1週間経っても300℃の場所がある、爆発翌日に亜鉛の固まりを動かそうとしたところ煙や火が出たなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4人が重軽傷を負った火災から18日で1週間です。
工場内に残っている亜鉛の粉末およそ50トンの一部は依然高温のままで、空気や水に触れると自然発火したり再び爆発したりするおそれがあることから、消防は自然に温度が下がるのを待つ方針で、鎮火の見通しは立っていません。
消防は自然に冷えるのを待っていますが、亜鉛の温度は今も摂氏300度ほどあります。
爆発の翌日に重機を使って亜鉛の固まりを動かそうとしたところ煙や火が出たということで、消防は温度が100度を下回ってから消火活動を再開することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20210518/6050014533.html
(2021年5月27日 ;修正2 ;追記)
2021年5月26日10時32分にYAHOOニュース(福島民友)からは、2週間経って温度は低下傾向だが、まだ216℃あるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市災害対策本部は、亜鉛粉末の温度が低下傾向となっていることから、今週中にも鎮火できるとの見通しを示した。
市と同社によると、工場に残る亜鉛粉末の中心部の温度は25日現在で216度を示しており、1日で約60度下がったという。
鎮火の目安となる100度以下となれば、工場内にある亜鉛粉末約50トンを運び出す予定。
爆発事故から25日で2週間が経過した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e881b73d0f4a6c9ed994b66fe3cea1ce190d8e9e
(2021年6月2日 修正3 ;追記)
2021年5月31日13時30分にNHK福島からは、31日に鎮火が確認されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
30日の計測で、工場内の亜鉛の温度が作業再開のめどとされていた摂氏100度を下回ったことから、現場では31日午前9時すぎから、重機を使って亜鉛のかたまりを崩して状況を確認する作業が進められ、午前10時40分すぎに消防が鎮火を確認しました。
警察と消防は、今後、工場内の亜鉛を取り除く作業が終わるのを待って実況見分を再開し、爆発の原因究明を進めることにしています。
また会社も、専門家による事故調査委員会を設置し、独自に原因を調べることにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20210531/6050014674.html
(2021年6月14日 修正4 ;追記)
2021年6月11日18時38分にNHK福島からは、同社は亜鉛粉末製造事業から撤退するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
堺化学工業によりますと、爆発事故のあと、被害を受けた工場の復旧について検討したものの、市場の状況や再建にかかる費用などを勘案した結果、工場の再建を断念することを決め、亜鉛の粉末の製造事業から撤退することを11日に開かれた取締役会で決議したということです。
亜鉛の粉末の製造は湯本工場のみで行っていて、爆発事故による今年度の業績への影響は約3億円にのぼるとしています。
一方、湯本工場内にある酸化亜鉛の工場については、爆発による被害がなかったことから、引き続き、製造を続けるとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20210611/6050014819.html
(2022年1月8日 修正5 :追記)
2022年1月8日11時51分にYAHOOニュース(福島民友)からは、分級ファンの羽根に付着していた亜鉛の塊が剥がれ落ちたことでファンが振動し、その際に回転軸がずれて火花発生、粉じん爆発という報告書が公表されたなど、下記趣旨の記事が爆発メカニズムの解説図付きでネット配信されていた。
同社は7日、亜鉛粉末を大きさでふるい分ける分級工程での粉じん爆発が事故原因だったとする調査結果を発表した。
装置内に広がった粉末が部品の金属同士の接触で起きた高温の火花で着火し、連鎖爆発で被害が拡大したとみられる。
工場内では、防さび塗料の材料に使われる亜鉛の粉末などを製造していた。
専門家と同社幹部でつくる事故調査委員会によると、粉末に風を送る「分級ファン」の羽根に亜鉛の固まりが固着。
装置起動時にはがれ落ち、その影響でファンの回転軸がずれ、部品の金属同士の接触による振動や火花が発生したとみられる。
伝わった振動で亜鉛粉末を分別する「マルチサイクロン」に残ったままの粉末が配管を通じて装置全体に拡散して粉じん濃度が上昇。
粉末がファン内で高温の火花に着火し、粉じん爆発を起こした。
さらに、集じん機や分別機械の分級機セパレーター、マルチサイクロンで連鎖的に爆発を起こし、被害の拡大につながったとみられる。
マルチサイクロンの一部には詰まりがあり、当時は710キロの粉末が残っていたとみられる。
しかし、作業工程に影響がないとして、数年前から放置していたという。
分級ファンについては、事故の5カ月前の定期点検で異常がなかったという。
調査委員長の中村昌允東京工大特任教授らは7日、いわき市で記者会見した。
中村特任教授は再発防止策について、「異常振動時に自動停止するシステム導入や点検回数の増加、監査の徹底が必要だ」と指摘した。
同社の矢倉管理本部長は、「調査内容を重く受け止めており、再発防止策に動いていきたい」と話した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e33cbb022e98ffd1b37ddf73d149ae86cdc37809
1月7日19時58分にNHK福島からは、たまっていた700㎏の粉末が振動によって配管を通りファンに流れ込んで爆発したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
粉じん爆発は一定の空間に大量の粉末がある環境でしか起きませんが、この工場では、亜鉛粉末の分離装置の一部が数年前から詰まったままになっていました。
このため、爆発が起きるおそれがある量の20倍を超える700キロ余りの亜鉛粉末が装置の中にたまっていて、振動によって配管を通り、ファンに流れ込んで爆発が起きたと見られるとしています。
会社は、こうした装置の不具合を把握していましたが、製品の品質などには影響がないとして放置していたということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20220107/6050016872.html
1月8日6時0分にYAHOOニュース(河北新報)からは、マルチサイクロン4基のうち1基に亜鉛粉末が詰まっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
粉末を選別する「マルチサイクロン」の4基のうち、1基に粉末約710キロが詰まっていた。
ファンのぐらつきに伴って滞留していた粉末が浮遊したため、設備内の粉じん濃度は爆発下限濃度を上回っていたと推定した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/48523a987986067491ee4da9d6e9cc96c9f1330d
(ブログ者コメント)
以下は該社HPにニュースリリースされていた報告書の抜粋。
報告書完全版のP36/77には、着果源として、以下の記述がある。
『シャフトとケーシングの接触による衝撃火花(すなわち、高温の金属摩耗片)が着火源となった可能性が極めて高いと推定される。
シャフトのずれについては、分級ファンの羽根が付着したスケールの剥離により偏芯する兆候があった。
分級ファンの羽根の偏芯によって、分級ファンのシャフトを固定するベアリングボックスが破断して、シャフトが偏芯したと考えられる。』
http://www.sakai-chem.co.jp/jp/topics/yumotoaccident.html
2023年3月20日19時51分にNHK福島からは、亜鉛粉末が詰まる不具合を放置していたとして当時の工場長が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
この工場では、亜鉛粉末の分離装置の一部が数年前から詰まったままになっていましたが、会社はこうした装置の不具合を把握しながら、製品の品質などには影響ないとして放置していたということで、警察は、安全管理を怠ったため事故が起きたとして、20日、当時工場長を務めていた男性を業務上過失傷害の疑いで書類送検しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20230320/6050022135.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。