2018年1月26日7時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
脱衣場や浴室に置いたストーブが火元となった建物火災が、2016年までの5年間に全国で124件あり、死者が4人出ていたことが、総務省消防庁のまとめで分かった。
冬場の入浴時に急激な温度差を和らげようと脱衣場にストーブを置く家庭が多いが、衣類やタオルなど燃えやすいものも多く、関係機関は注意を呼びかけている。
今月3日、長崎市で8歳と5歳の兄弟が死亡した火災も、浴室隣の脱衣場にあった電気ストーブが火元とみられる。
焼け跡からはスイッチが入った状態の焼損したストーブが見つかっており、近くの衣類などに引火した可能性が高いという。
長崎県警によると、市営住宅3階の一室約70m2を全焼。
兄弟と母親(31)の3人暮らしで、当時、兄弟は入浴中だった。
ストーブは、子供たちが入浴時に寒くないようにと母親がこの冬、購入したばかりだった。
子供たちがスイッチを入れたとみられ、室内にいた母親は「火災報知機で気がついたが、火の手が強く、助けられなかった」と話したという。
消防庁によると、12~16年の5年間の建物火災のうち、脱衣場や浴室のストーブが原因となった火災は計124件。
そのうち死者は4人、負傷者が44人出ている。
使われたストーブの種類別では、電気が79件と全体の6割を超え、石油が42件、まき・ガスが3件だった。
脱衣場には衣服やタオルなどの燃えやすいものが多く、製品評価技術基盤機構(NITE)の実験では、電気ストーブにタオルが触れてから約6分40秒後に発火が確認された。
担当者は、「火を使わない電気ストーブは危険性を感じにくいが、燃えやすいものが触れれば火事になりうる」と注意を呼びかけている。
厚労省研究班の調査によると、入浴中の事故死は年間約1万9000人に上り、気温が下がる12~2月の冬場に入浴中の急死は多発している。
背景の一つには、寒い脱衣場から浴槽に入ることで急激な温度変化にさらされ、血圧が急激に上下して失神や心筋梗塞などを起こす「ヒートショック」があるとみられる。
その予防策として、高齢者や子供がいる世帯を中心に、脱衣場や浴室を電気ストーブで暖めている家庭がある。
消費者庁は、暖房器具を使わない脱衣場や浴室の暖め方として、
▽シャワーから給湯した蒸気で浴室の温度を上げる
▽浴槽の湯が沸いたら十分かき混ぜて蒸気を立て
▽ふたを外しておく
などの方法も提案している。
出典
『建物火災 風呂周りストーブ火元 124件、死者4人』
https://mainichi.jp/articles/20180126/k00/00m/040/172000c
2018年1月17日18時45分にテレビ朝日から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午前8時ごろ、仙台市青葉区のスポーツ用品店で壁を焼く火事があった。
この火事で、店主の73歳の男性が両手と両足に軽いやけどをした。
男性は、「ペットボトルに入れていた灯油を水だと思ってやかんに入れ、ストーブの上で温めていた。やかんのふたを開けた際に火が出た」と話しているという。
男性は、灯油用のポリタンクが壊れていたため、このペットボトルに灯油を入れていたという。
出典
『水と思って灯油をやかんに ストーブに置いて火事』
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000118890.html?r=rss2&n=20180118015111
1月17日付で河北新報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午前8時15分ごろ、仙台市青葉区の「Uスポーツ店」から出火、壁紙が焼けた。
経営者のUさん(男性、73歳)が両手足に軽いやけどをした。
警察によると、水と間違えて灯油をやかんに入れ、火の付いた石油ストーブの上に置き、ふたを開けた際に火が出た。
灯油用のポリタンクが壊れていたため、ペットボトルに灯油を入れていたという。
出典
『誤って灯油をやかんに入れてストーブの上に 店の壁紙焼け男性けが』
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201801/20180117_13046.html
(ブログ者コメント)
飲食店でペットボトルに入れていた漂白剤を間違って客に出す、といった事例は本ブログでも何件か紹介スミだが、今回のようなトンデモ事例は初耳だ。
想定外・・・その範疇を超える事故が起きることもある、そんな事例として紹介する。
2018年1月15日6時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
犬や猫などから人間にうつるとされる人獣共通感染症「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」による死者が国内で初めて確認されていたことが14日、厚労省への取材で分かった。
厚労省は今月、自治体などに向けて通知を出し、情報提供を行った。
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症は、家畜やペットの動物が持つ「コリネバクテリウム・ウルセランス菌」に感染することで起きる。
のどの痛みやせきなど風邪の症状が出て、重症化すると呼吸困難などで死亡することもある。
人から人にうつることはほとんどない。
予防接種の効果で日本ではほとんど患者がいない感染症「ジフテリア」に似ており、抗菌薬などで治療が可能だ。
厚労省によると、この感染症で死亡したのは福岡県の60代の女性で、平成28年5月に呼吸困難で救急搬送され、3日後に死亡。
血液などから菌が検出された。
女性は3匹の猫に屋外で餌をやっていたといい、そこからの感染が疑われている。
国立感染症研究所によると、この感染症は国内では13年に初めて感染例が報告され、29年11月末までに、死亡した女性を含め北海道から九州まで25人の感染が報告されている。
犬や猫を飼っていたり、接触があったりする患者がほとんどだ。
英国など海外でも数10例が報告されており、死者も出ている。
ただ、国内では感染症法に基づく届け出義務がない珍しい感染症のため、見逃されている可能性もある。
厚労省は今月、日本医師会、日本獣医師会、自治体に対して情報提供を行い、発生があった場合は厚労省に情報提供するよう通知。
国民に対しても、「ペットとの濃厚な接触は避け、体調が悪くなったらすぐに医療機関に行ってほしい」と注意を呼びかけている。
【用語解説:人獣共通感染症】
人間と動物の双方が共通してかかる感染症で、全感染症の半数を占めるとされる。
感染症法でリスクがもっとも高い「1類感染症」に指定されているエボラ出血熱やペストなど、致死率の高い感染症も多い。
動物から直接感染するだけでなく、蚊やダニが媒介することもある。
野良猫にかまれて重症熱性血小板減少症候群(SFTS)となり女性が死亡した例や、愛玩用の鳥から感染するオウム病で妊婦が死亡した例など、身近な動物から感染して死亡する例が国内でもまれに報告される。
出典
『人獣共通「コリネバクテリウム・ウルセランス感染症」で国内初の死亡例 福岡の60代女性、ジフテリアに似た菌』
http://www.sankei.com/life/news/180115/lif1801150015-n1.html
2018年1月3日18時10分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
インターネットゲームなどのやり過ぎで日常生活に支障をきたす症状について、世界保健機構(WHO)が2018年、病気の世界的な統一基準である国際疾病分類(ICD)に初めて盛り込む方針であることがわかった。
国際サッカー連盟(FIFA)主催の世界大会が開かれたり、五輪への採用が検討されたりするなど、ネットゲームが広く普及する中、負の側面であるネット依存の実態把握や対策に役立てられそうだ。
WHO関係者によると、18年5月の総会を経て、6月に公表を予定する最新版のICD―11で、「Gaming disorder」(ゲーム症・障害)を新たに盛り込む。
17年末にトルコで開かれた依存症に関する会議で、最終草案を確認した。
最終草案では、ゲーム症・障害を「持続または反復するゲーム行動」と説明。
▽ゲームをする衝動が止められない
▽ゲームを最優先する
▽問題が起きてもゲームを続ける
▽個人や家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる
を具体的な症状としている。
診断に必要な症状の継続期間は「最低12カ月」。
ただ、特に幼少期は進行が早いとして、全ての症状にあてはまり、重症であれば、より短い期間でも依存症とみなす方針だ。
ゲームを含むネット依存は、これまで統一した定義がなく、国際的な統計もなかった。
新しい定義は、各国での診断や統計調査に役立てられる。
厚労省の国際分類情報管理室も、「公表から数年後にICD―11を統計調査に使う」としている。
依存症の専門家によると、ネット依存の人は酒や薬物の依存者のように脳の働きが大きく低下し、感情をうまくコントロールできなくなるとの研究論文が、近年、国際的な医学誌に多数報告されている。
このためWHOは、ネット依存を、ギャンブルのように熱中しすぎるとやめられなくなる「嗜癖(しへき)行動」と捉えることにした。
そのうち、研究結果の多い「ゲーム症・障害」を疾病として分類する。
また、LINEやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるネット依存は、「その他の嗜癖行動による障害」とする。
これまでは、いずれも「その他の習慣および衝動の障害」とされていた。
ゲームを含むネット依存について、香港大学の研究者は14年、世界の人口の6%(約4億2000万人)以上と推計。
日本でも、厚労省発表で、成人の約421万人(14年)、中高生の約52万人(13年)にネット依存の疑いがあるとされる。
ネット依存外来を開く国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は、「これまでは病名や定義がなく、治療や研究、実態解明も進まなかった。WHOが新たに定義すれば、対策の面で飛躍的な前進が期待できる」と話す。
ただ、ネットゲームが盛んな韓国の「ゲーム文化財団」は、WHOの指定について朝日新聞の取材に、「他の中毒と同じように指定するには根拠が不十分で、行きすぎだ。産業発展を阻害する面もある」と反論している。
【WHOの国際疾病分類(ICD)】
世界190カ国以上が加盟するWHOが、死亡や疾病のデータを国際的に統一して記録、分析するため、すべての病気とけがを網羅的に分類したもの。
医学の進歩や研究結果を踏まえ、改訂されてきた。
第1版は1900年に出され、現在は90年に改訂のICD―10を一部改正したものが使用されている。
日本では法律上の疾病や障害の根拠となり、厚労省はICDに準拠して統計調査を行う。
病院では、カルテに記載された病名がICD別にデータで蓄積されている。
出典
『ネットゲーム依存、疾病指定へ WHO定義、各国で対策』
https://www.asahi.com/articles/ASKDV3VXHKDVUHBI00D.html
1月4日5時3分に朝日新聞からは、下記趣旨の関連記事がネット配信されていた。
有料記事につき、冒頭部分のみ紹介する。
日本では「ネトゲ廃人」という言葉まで生まれた、ネットゲームへの過度な依存。
2018年、世界保健機構(WHO)によって、病気として初めて定義される。
ネット依存に陥る人たちは世界中で社会問題となっており、特に若年層で顕著とみられる。
ネットゲーム先進国である韓国では、国を挙げた様々な対策が取られている。
韓国でネットゲーム依存が問題化したのは、PC房(バン)と呼ばれる24時間営業のネットカフェで02年10月に起きた事件だった。
24歳の男性がPC房で多人数参加型のオンラインゲームに没頭。
トイレに行く時とたばこを買う時以外の86時間、ゲームを続けた末に死亡した。
長時間同じ姿勢で下半身がうっ血して死にも至る「エコノミークラス症候群」だった。
・・・・・
出典
『86時間続け…「ネトゲ廃人」死者も 韓国、国挙げ対策』
https://www.asahi.com/articles/ASKDW33CCKDWUHBI005.html
2017年12月26日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おもちゃやリモコンなど小型の電気製品に使われるボタン電池を子どもが誤ってのみ込む事故が、2015年までの5年間に国内で939件に上ることがわかった。
このうち15件は、電池を取り出しても食道の粘膜に穴が開き後遺症が残るなど、重症例だった。
東京慈恵会医科大学小児外科(東京都港区)などの研究チームは、「電池をのみ込んだかもと思った時は、迷わず医療機関を受診して」と呼びかけている。
今年1月、東京慈恵医大と電池工業会(同)が日本小児救急医学会などの協力を得て、初めて全国の医療機関を調査。
小児外科医らがいる全国の202医療機関に調査票を郵送し、11~15年の誤飲事故について、
①電池の種類
②電池が見つかった部位
③摘出方法
④回復の見通しや結果
を尋ねた。
116施設(57.4%)から回答があった。
調査結果によると、5年間の誤飲事故は、アルカリ電池などの「ボタン形」が806件、より電圧が高いものもあるリチウム電池の「コイン形」が133件で、計939件。
X線写真により電池が見つかった所は、ボタン形は胃が530件と最も多く、十二指腸以降が264件、食道が12件。
コイン形は、胃が71件、食道が45件、十二指腸以降が17件だった。
重症例15件は、コイン形が14件、ボタン形が1件で、見つかった場所は食道だった。
一般的に、コイン形の方がボタン形より大きく、食道が細い子どもははりつきやすい。
子どもの食道は粘膜が薄く、はりつくと30分~1時間でただれ、2時間程度で穴が開くことがある。
重症例のうち、13件は全身麻酔をかけて内視鏡で取り出したが、残る2件は手術をして取り出した。
手術をした場合、その後、食道が狭くなって食べ物をのみ込みにくくなり、手術を繰り返すなど治療が長期化することもある。
東京慈恵医大の金森大輔医師は、「電池を捜している間に重症化しかねない。急いで病院を受診してほしい」と話す。
研究チームは、調査結果を日本小児外科学会や日本小児救急医学会などで発表し、医療機関を通じて保護者らに危険を周知する方針。
海外では死亡例もあることから、事故の登録制度づくりを国に求めたいという。
出典
『子のボタン電池誤飲、5年で900件 粘膜に穴開く例も』
https://www.asahi.com/articles/ASKDM7KLMKDMUDCB01Z.html
12月18日13時6分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
子供がボタン電池を誤ってのみ込む事故が、平成23~27年の5年間に全国で少なくとも1000件近くに上り、排出されないまま消化管に穴が開くなどの健康被害が確認されていたことが16日、東京慈恵医大と一般社団法人「電池工業会」(東京)による初の実態調査で分かった。
おもちゃや時計、リモコンなど多くの製品に使われており、調査チームは、「電池の交換時など、子どもの手が届く場所に置きっぱなしにしないで」と呼び掛けている。
調査は今年1月、日本小児外科学会などを通じて202カ所の医療機関に質問を送り、116カ所(57.4%)から回答を得た。
ボタン電池には、直径2cm前後の「コイン形」と、1cm前後の「ボタン形」がある。
調査結果によると、23年からの5年間で、誤飲により小児外科や小児救急を受診したのは計939件。
自然に排せつされたケース以外に、食道や胃、十二指腸などにとどまり、食道が傷つくといった健康被害が15件(うちコイン形は14件)あった。
患者の年代は不明。
出典
『ボタン電池誤飲5年で千件 一部で健康被害も 慈恵医大、初の実態調査』
http://www.sankei.com/life/news/171218/lif1712180042-n1.html
※関連情報として、電池工業会HPに2017年10月2日付で、誤飲防止に関する下記趣旨
のお知らせが掲載されていた。
一般社団法人 電池工業会(以下 電池工業会)は、乳幼児が素手で開けられないパッケージの基準を記載したガイドラインを2016年10月に発行致しました。
この度、より分かりやすくするため内容を再検討し、ガイドラインを改定することと致しました。
出典
『コイン形リチウム一次電池の誤飲防止パッケージ ガイドライン(第2版)発行に関するお知らせ』
http://www.baj.or.jp/frombaj/16.html
(ブログ者コメント)
ボタン電池誤飲事故に関する情報は、過去にも紹介スミ。
2017年11月22日22時14分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
インフルエンザの患者が突然走り出して転落するなどの事故が相次いでいることから、厚労省が来週にも、窓の施錠などの具体的な事故防止対策を公表することが、22日、関係者への取材で分かった。
インフル患者の異常行動をめぐっては、10代以下の子供を中心に毎年50件ほどが報告されており、厚労省は、より具体的に広く注意喚起する。
インフル患者の異常行動は、治療薬「タミフル」服用後の患者の飛び降りが報告され、その後、別の治療薬や薬を服用していなくても、「興奮して窓を開けて外に飛び出す」、「意味の分からないことを言う」などの異常行動が起きることが分かっている。
昨シーズンには、飛び降りや転落につながる異常行動がタミフルで38件、別の治療薬2種で16件の、計54件報告された。
厚労省は毎年、インフルにかかった10代以下の子供が自宅で療養する際は、発症から2日間は一人にしないよう保護者に呼びかけるなどの予防策を、自治体などを通じて通知。
しかし、より具体的な対策を呼びかけるべきだとの意見が専門家から出ていた。
新しい通知では、「高層階では窓に補助鍵を付ける」、「なるべく1階に寝かせる」などの具体的な文言で予防を呼びかけるという。
出典
『インフル患者の異常行動に注意を 厚労省が対策公表へ』
http://www.sankei.com/life/news/171122/lif1711220056-n1.html
少し昔の情報になるが2017年2月18日11時30分にJ-CASTニュースから、下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
インフルエンザの薬を飲んだ中学生が、マンションの4階から転落死する事故があった。
因果関係ははっきりしないが、インフルエンザ薬には、過去にも多くの「異常行動」が報告されている。
特に未成年が、命にかかわる行動に走りやすくなる。
どうしたら、わが子を悲劇から防ぐことができるか。
【突然、マンションのベランダから飛び降りる】
中学2年の男子生徒(14歳)の転落死が起こったのは、2017年2月14日頃。
NHKやフジテレビの2月15日付報道によると、14日13時前、東京都品川区大井のマンションに帰宅した女性から、「室内で寝ていたはずの息子がいなくなった」と110番通報が入った。
警察官が周辺を捜したところ、4階の自宅の真下にある地上のフェンスに、服の一部が引っかかった状態の男子生徒を発見した。
男子生徒は搬送先の病院で死亡した。
警察によると、男子生徒はインフルエンザとの診断を受け、治療薬の「リレンザ」を服用し、自宅で休んでいた。
また、厚労省によると、未成年の患者が「リレンザ」を服用した後に、走り出したり、暴れたりする「異常行動」の例が、これまでにも報告されているという。
この事故を受けて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2月16日、「インフルエンザ治療薬の服用の有無にかかわらず、インフル発症から2日間は小児や未成年者を一人にしないよう、保護者は注意深く見守ってほしい」という注意喚起をメディアに発表した。
インフルエンザの治療薬には、リレンザのほかにタミフル、イナビルなどがあるが、それぞれの薬の服用後に未成年が「異常行動」をとる例が報告されている。
特にタミフルは、2005年~2006年にマンションのベランダから飛び降りて死亡する事件など相次ぎ、社会問題になった。
厚労省の研究班などが薬との因果関係を調べたが、わからなかった。
厚労省のウェブサイト「インフルエンザQ&A」を見ると、タミフル服用後の「異常行動」について、次のような例が紹介されている。
(1)突然立ち上がって部屋から出ようとする。
(2)興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。
(3)興奮して窓を開けてベランダに出ようとする。
(4)自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。
(5)人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。
(6)変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。
(7)突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。
【インフル薬すべてに異常な行動の危険性が】
こうした例は10~18歳に多く、インフル発症後2日以内に起きやすい。
そこで厚労省は2007年に、予防安全対策として、医療機関に次のような通達を出した。
(1)薬との因果関係は不明だが、異常行動が発現されているため、インフルの合併症のリスクが高い患者を除き、タミフルの使用を控える。
(2)タミフルを使用した場合は、患者とその家族に対し、異常行動をとる恐れがあることを伝え、少なくとも2日間は患者1人にならないよう説明する。
ところが、「異常行動」はタミフルだけではなかった。
その後、今回問題になったリレンザやイナビルでも同様の事故の報告が相次いだ。
厚労省の「インフルエンザQ&A」の中の
Q:タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合にも、異常行動(急に走り出す、ウロウロする等)は起きますか?
医薬品を服用しない場合にも異常行動が起きる可能性はありますか?
では、こう答えている(要約抜粋)。
A:タミフルのほかに抗インフルエンザウイルス薬に、リレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等がありますが、これらの服用後にも、急に走り出す等の異常行動の発生が認められます。
また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが報告されています。
自宅で療養する時は、少なくとも発症から2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮してください。
実際、製薬会社が添付しているリレンザの使用説明書には、「この薬の使用後に異常行動などの精神神経症状を発現した例が報告されています」という注意書きがあり、イナビルの使用説明書にも、「突然走り出す、飛び降り、その他事故につながったり、他人に危害を加えたりする可能性のある行動も報告されています」と書かれている。
【数百万~数十万人に数人が死亡する】
恐ろしくなる話だが、どのくらいの頻度で「異常行動」が起こるのか。
2016年1月に厚労省研究班がまとめた「抗インフルエンザウイルス薬の安全性について」によると、2014~2015年シーズンの「薬による異常な行動および死亡症例報告数」は、以下のとおりだった
(カッコ内は薬を使用した推定患者数)。
(1)タミフル :異常行動24件・死亡数5人(約288万人)。
(2)リレンザ :異常行動 3件・死亡数0人(約137万人)。
(3)イナビル :異常行動 5件・死亡数1人(約380万人)。
(4)ラピアクタ:異常行動 0件・死亡数2人(約21万人)。
数100万~数10万人に数件とはいえ、インフルエンザにかかったお子さんには十分注意してあげたい。
出典
『中学生がインフル薬で飛び降り死? 子どもを「異常行動」から守るには』
https://www.j-cast.com/healthcare/2017/02/18290926.html?p=all
2017年11月20日20時16分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
子どもがおもちゃを口に入れ、気管を詰まらせてしまう誤嚥(ごえん)の事故を調べていた消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、20日、報告書をまとめて公表した。
球形だと直径6~20mmで窒息のリスクが大きいとした。
防止策として、こうしたおもちゃを子どもの手が届かない場所に置くことのほか、業者にはおもちゃに穴をあけるなどの取り組みを求めた。
生後9カ月の男児が直径10mmのおもちゃを誤嚥して死亡した事故をきっかけに、昨年11月から事故調が調べていた。
子どもが誤嚥した経験のある保護者302人へのアンケートでは、生後6カ月~2歳未満での誤嚥が7割近くだった。
おもちゃは「ビー玉・おはじき」が最多で、「ビーズを使ったおもちゃ」「小さなボール」と続いた。
大きさは「6~10mm」の回答が最多で40%だった。
こうしたデータをもとに、おもちゃの大きさや形の違いによる窒息のおこりやすさを、コンピューターでシミュレーションした。
その結果、球形や楕円形だけでなく、立方体やブロック型のすべてで気道がふさがれ、窒息のリスクがあった。
球形の場合は6~20mmで窒息につながるリスクがあった。
おしゃぶり型でも、手元の輪に液体がつくと窒息リスクが生じたという。
事故調は消費者庁に対し、とくに6~20mmのおもちゃは小さな子の手が届かないところに置くほか、離乳食やミルクをあたえる前に異物が口の中にないことを確かめるよう、保護者に周知することを求めた。
事故が起きた場合にそなえ、子どもの背中をたたいたり、胸を圧迫したりしておもちゃを取り除く対処法を専門家から学ぶよう促すべきだとした。
経産省には、万が一、おもちゃがのどに入っても窒息しないよう、可能な限り大きな穴を多方向にあけるなど、安全性の向上に向けた取り組みを事業者に求めるようにとの意見を出した。
出典
『おもちゃ誤嚥、直径6~20ミリで窒息リスク高まる』
http://www.asahi.com/articles/ASKCN4GF5KCNUTIL01F.html
11月20日22時16分に読売新聞からは、下記趣旨の記事が窒息死したおしゃぶりの写真付きでネット配信されていた。
消費者事故調は、20日、直径10mm以下の小さな玩具でも、乳幼児にとっては誤嚥による窒息事故につながるおそれがあるとする報告書を公表した。
2015年8月、生後9か月の男児が、おもちゃの人形のおしゃぶりをのみ込んで窒息、死亡した事故を受け調査していた。
おしゃぶりは直径10mmだった。
子供が玩具を誤嚥した経験を持つ保護者約300人にアンケートしたところ、玩具の大きさは6~10mmが40%、11~20mmが21%、0~5mmが19%だった。
種類別では、ビー玉やおはじきが最も多かった。
子供の月齢は、生後6か月以上1歳6か月未満が48%を占めた。
事故調は、乳幼児はのどの位置が口から近く誤嚥しやすい上、異物を吐き出す力が弱いと指摘。
のどを完全に塞ぎにくい形状の玩具でも、粘度の強い唾液がとどまって窒息に至る可能性があるとして、注意を呼びかけた。
出典
『玩具の誤嚥注意を…乳幼児窒息10ミリ以下でも』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171120-OYT1T50086.html?from=ycont_top_txt
2017年11月8日19時2分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
寝返りができるようになった赤ちゃんが大人用のベッドで寝ている間に転落してけがをしたり死亡したりする事故が相次いでいることから、消費者庁は、2歳になるまではベビーベッドで寝かせるなど、事故に注意するよう呼びかけている。
消費者庁が、情報提供を受けている全国の23の医療機関から寄せられたさまざまな事故の情報を分析したところ、大人用のベッドに寝かせられた1歳以下の赤ちゃんが転落した事故は、調査が始まってから今年6月末までの6年半で564件にのぼっていた。
このうち、4年前には、大人用ベッドで寝ていた0歳の赤ちゃんが親のいない間に転落して壁とベッドの間に挟まり、窒息して死亡したという。
このほか、ベッドから転落して頭を骨折するなど大けがをした事故も19件にのぼっていて、特に寝返りが打てるようになった1歳未満の赤ちゃんの場合、頭が重いことに加えて、何かに挟まっても自力で抜け出すことが出来ず、事故につながるケースが目立つという。
消費者庁の岡村和美長官は、「『まだ動けないはず』と思って大人用のベッドに寝かせず、2歳になるまではベビーベッドに寝かせてほしい」とした上で、大人用のベッドを使う際は赤ちゃんから目を離さないよう呼びかけている。
出典
『大人用ベッドの赤ちゃん転落注意』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20171108/0003337.html
11月8日20時38分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
大人用ベッドから0~1歳児が転落する事故が相次いでいるとして、消費者庁は8日、ベッドを使う場合は柵があるベビーベッドに寝かせるように注意を呼びかけた。
消費者庁が医療機関(今年10月時点で23機関)から寄せられた事故報告を調べたところ、2010年12月~今年6月、0~1歳児が大人用ベッドから転落した事故は564件あった。
うち死亡事故は1件で、0歳児がベッドから落ちて壁との間に挟まり、窒息死した。
また、寝返りして床に落ちて頭骸骨を骨折するなどし、入院したケースも19件あった。
ベッドからの転落を防ぐために幼児用ベッドガードを設置しても、マットレスとガードの隙間に挟まって窒息する危険もある。
消費者庁は、「自力で抜け出せないこともあるため、ベッドガードは生後18カ月未満の乳幼児には使わないで」と呼びかけている。
出典
『乳幼児、大人用ベッドから転落に注意 窒息で死亡事故も』
http://www.asahi.com/articles/ASKC84WKFKC8UTFL016.html
(ブログ者コメント)
〇以下は消費者庁からのニュースリリース。
『0~1歳児の大人用ベッドからの転落事故に御注意ください! -頭蓋骨骨折、窒息などの事故が起きており、危険です-』
〇今年8月と9月に東京で起きた死亡事故など、乳幼児が大人用ベッドから転落した事例は、本ブログでも何件か紹介している。
2017年11月7日16時46分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
住宅の窓に取りつけるブラインドのコードについて、日本工業規格(JIS)で安全基準を定めることが、経産省への取材でわかった。
乳幼児の窒息事故を防ぐことが目的だ。
今年度内にも制定される。
消費者庁によると、ブラインドやカーテンのコード・ひもで6歳以下の子どもが窒息やけがをする事故が2007~13年、少なくとも10件発生し、3人が死亡した。
新たに設けられる規格の対象は、家庭用ブラインドの昇降に使ったり、羽根の角度を操作したりするコード。
ブラインドを下げた状態の下端から160cmの高さを基点とし、原則としてこれより下にコードが無いことを基準とする。
また、この基準を満たさなくても、
▽コードによってできる輪について、6kg程度の重さがかかるとコードが外れる機能がある
▽幼児の頭部が入らないサイズにする
といった条件を一つでも満たせば適合製品となる。
規格に適合しない製品でも販売できるが、経産省は今後、規格を周知していく。
一方、JISにはJISマークがつくものと、つかないものがあり、今回制定される規格はマークがつかない。
そのため、消費者にとってわかりやすいよう、適合している旨をタグなどに表示することを求める。
主要ブラインドメーカー4社でつくる「日本ブラインド工業会」は、海外の事故事例をふまえて、04年から安全対策を開始。
一定の重さがかかるとコードが分離する機能やコードレスの製品をすでに発売しており、規格に適合した製品を増やす方針という。
◇
〈日本工業規格(JIS)〉
鉱工業品の品質の改善や安全の保持などのために、形や性能、試験方法などを定めたもの。
工業標準化法に基づいて制定される。
今年3月時点で、土木建築や自動車、日用品などに関して計約1万の規格がある。
JISマーク表示の対象外の規格もある。
出典
『首にかかっても外れて安全 ブラインドのコードにJIS』
http://www.asahi.com/articles/ASKC16CZ7KC1UTFL00W.html
(ブログ者コメント)
ブラインドのコードが原因となった事故事例などについては、本ブログでも過去に何件か紹介スミ。
2017年10月3日19時59分にNHK山口から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
酒を飲んだあと、体内で吸収されたアルコールを分解するのにかかる時間に個人差はあるものの、わずかな量でも数時間以上はかかることから、運転する場合は前の日の飲酒の量を控えるなど注意が必要だ。
警察庁によると、体重60kgの男性の場合、ビール中ジョッキ1杯、500mℓ飲んだ場合、アルコールを分解するのにおよそ4時間かかる。
また、日本酒1合、チューハイ1缶、ワイングラス2杯でも、同じ時間がかかる。
アルコールが残ったまま運転すると、いわゆる酒の強さにかかわらず、安全運転に必要な注意力や判断力が低下し、ハンドルやブレーキの操作が遅れるなど、事故の危険性が極めて高くなる。
飲酒運転をして検挙された人は、酒を飲んでからある程度時間が経過して、大丈夫だと思ってしまったり、翌朝、二日酔いの状態で車を運転したりするケースが多いという。
警察庁では、「翌日に車を運転する場合、それを考慮した飲酒時間や量を心がけることが重要で、夜遅くまで飲酒した場合には、翌朝には体内にアルコールが残っている可能性があるので、車の運転は控えてほしい」と呼びかけている。
出典
『少量飲酒でも残るアルコールに注意』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4064415263.html
(ブログ者コメント)
アルコールが体内から消える時間については、以下のような記事もあった。
ブログ者は日本酒1合で1時間と覚えていたのだが、それは昔の知見、あるいはガセネタだったようだ。
・・・・
前の晩に深酒をし、翌朝、酒気帯び運転をして事故を起こし、逮捕されたケースがあります。
お酒を飲んだ後、酔いがさめるまでには、一定の時間がかかります。
体重約60kgの成人男性で、1単位(ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合)のアルコールが体内から消えるまでに、約3~4時間かかります。
2単位では約6~7時間、3単位では約9~10時間、4単位では約12~13時間かかります。
(これはあくまで目安です。体格、体質、性別で異なります)
例えば、深夜までお酒を飲んでいて、3~4単位のアルコールが体内に残っている場合、アルコールが身体から抜けるまでには約9~13時間かかると考えられ、翌日の午前中はお酒が抜けていないことになります。
飲酒した量だけ、代謝には時間がかかるのです。
・・・・
出典
『お酒と健康 飲酒運転防止 ;(公益社団法人)アルコール健康医学協会』
http://arukenkyo.or.jp/health/prevention/index.html
(2017年10月13日 修正1 ;追記)
2017年10月11日付で毎日新聞福島版から、飲酒翌日の早朝に検挙された事例が、下記趣旨でネット配信されていた。
二本松市教委は9日、市立小学校の50代の男性教諭が道交法違反(酒気帯び運転)容疑で二本松署に検挙されたと発表した。
教諭は10日から自宅待機しており、県教委が近く処分する方針。
市教委によると、教諭は7日午前4時50分ごろ、市内の市道で乗用車を運転していてパトカーに止められ、呼気からアルコール分が検出された。
教諭は6日夜に自宅で発泡酒と酎ハイ計4杯を飲んで就寝し、市内の公園で日の出を見たりスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO(ゴー)」をしたりするため運転したと説明しているという。
「酒が抜けたつもりだった」と話しているという。
出典
『酒気帯び運転 二本松市立小教諭が疑い 前夜飲み「抜けたと」 /福島』
https://mainichi.jp/articles/20171011/ddl/k07/040/038000c
10月11日8時45分に福島民友からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
市教委によると、男性教諭は6日午後6時20分ごろから同市の自宅で発泡酒や缶酎ハイ計2ℓを飲酒し、同10時ごろに就寝。
7日午前4時30分にワゴン車を運転し、同市の市道でパトロール中の二本松署員に呼び止められた。
規定以上のアルコールが検出され、反則切符を切られた。
男性教諭は、市教委の聴き取りに「子どもたちの信頼を裏切る行為をしてしまった。酒が残っている認識はなかった」と話しているという。
出典
『酒気帯び運転疑いで50代男性教諭摘発 前日に2リットル飲酒』
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20171011-211029.php
(ブログ者コメント)
飲んだのは、おそらくはロング缶4本。
4単位の摂取だと、消失までの目安は12~13時間ゆえ、10時就寝4時半起床だったとしても、アルコールは体内にかなり残っていた勘定になる。
2017年9月23日18時28分に日本経済新聞電子版から、ヤマカガシは毒を餌のヒキガエルから得ているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本で毒ヘビといえば、マムシやハブが真っ先に頭に浮かぶが、今年7月に兵庫県で小学生がかまれたのは、ヤマカガシとみられる毒ヘビだった。
意識不明になり、病院で血清を注射し回復した。
ヤマカガシは2種類の毒を持つ珍しいタイプで、その一つはエサのカエルから得ている。
毒は母から子に回せることなどが、近年の研究で分かってきた。
厚労省のデータによると、日本では毎年5~10人程度がヘビにかまれて死亡している。
大半はマムシの被害で、ハブやヤマカガシで亡くなるのは、1人いるかいないかだ。
ヤマカガシは、北海道や南西諸島などを除く各地にいる。
成長すると体長60~150cmになる。
色は、地域や個体の差が大きい。
関東などでは赤と黒の斑紋を持つタイプが多い。
近畿では斑紋のない緑色っぽいタイプ、中国・四国では青みがかったタイプも多い。
水田や河川付近などに生息し、主食はカエル。
小魚やトカゲなども食べる。
昔から身近にいたヤマカガシが毒ヘビだと一般に知られるようになったのは、1970年代だ。
「普段はおとなしく、手を出さなければ、ほとんどかまれることはない。かまれても毒が体に入らないことも多いため、毒がないと思われてきたのだろう」と、日本蛇族学術研究所の堺淳主任研究員は指摘する。
現在は、口の奥と首の後ろに毒を持つことが知られる。
牙から出す毒で、捕まえた獲物を弱らす。
マムシなどは毒牙が顎の先端についているのに対し、ヤマカガシは口の奥の大きめの歯から毒を出す。
少しかんだだけでは毒は入らないが、毒の強さはマムシの約3倍、ハブの10倍といわれる。
かまれて毒が体内に入ると、全身の血管で血液が固まるよう促される。
もともと体内にある凝固因子が使われ、止血能力が極端に下がる。
皮下や内臓からの出血、急性腎不全や激しい頭痛などを起こす。
一方、首の毒は敵から身を守るためにある。
首の皮膚の下に「頸(けい)腺」と呼ぶ器官が2列で10数対並ぶ。
世界でも、ヤマカガシとその近縁類しか持っていないという。
腺といっても、管で皮膚の表面とはつながっていない。
頸腺の中は毒成分が入った細胞が詰まっており、外から圧力を受けると中身がはじけ飛ぶ。
猛きん類やイタチ、タヌキなどの敵に遭遇したヤマカガシは、防御のため、お辞儀をするように頭を下げ、首を相手にみせる。
ときには首を敵に打ちつける。
毒成分は「ブファジエノライド」という化学物質で、心臓の働きを強める作用がある。
これはヒキガエルの「ガマの油」と呼ばれる分泌物と同じで、ヒキガエルをくわえた犬が泡を吹いて倒れたとの報告例もあるという。
この毒の研究を長年続けているのが、京都大学の森哲准教授だ。
毒成分はヒキガエルと同じでも、どうやって作られるのか不明だったからだ。
実験で、自ら作るのではなく、餌のヒキガエルから取り込んでいることを解明した。
ヤマカガシの子に、餌としてヒキガエルを与える群と、毒のない別のカエルを与える群などに分け、頸腺に毒が出てくるか調べた。
毒が出たのは、ヒキガエルを与えた群だけだった。
ヒキガエルがいない島、金華山(宮城県)にすむヤマカガシにも着目した。
防御反応を調べると、首をみせずに逃げた。
しかし、金華山生まれのヤマカガシにヒキガエルを与えて育てると、次第に首をみせるようになった。
森准教授は、「ヤマカガシには、自らの首に毒があるか知る方法があるのではないか」と推測する。
首の毒は母から子に譲り渡せることも、森准教授らの研究で判明した。
ヒキガエルの毒成分に微妙な違いがあるのを利用した。
妊娠中のヘビを捕まえ、化学物質の種類を調査。
生まれた子に、それと異なる種類の化学物質を持つヒキガエルを与えて育てると、2種類とも備えるようになった。
ヒキガエルの多い地域は母の頸腺にある毒の量も多く、生まれつき頸腺に毒を持つ子の割合も多かった。
電波発信機をつけた実験で、妊娠したヤマカガシは、遠くてもヒキガエルの多い場所まで出向く傾向があると分かった。
最初から首に毒を持つ子は生き残れる確率が高まるため、こうした行動を取ると考えられる。
近縁種でも研究が進む。
森准教授は、「中国のミゾクビヘビも毒が詰まった頸腺を持つが、主食は毒のないミミズ。毒を持つホタルを食べて毒を得ている可能性があると分かった」と話す。
8月に京都で開かれた国際学会で発表した。
頸腺は一部のヘビで進化してきた不思議な器官だ。
妊娠したヘビがどうやって体内の卵に毒成分を送り毒を持つ子を産むのかなど、まだ謎が多く残っている。
出典
『ヤマカガシ、首にも毒 餌のカエルから取り込む』
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21422490S7A920C1MY1000/?n_cid=NMAIL005
一方、2017年9月22日8時11分に産経新聞westからは、ヤマカガシ用の血清が無くなるかもという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
かつて水辺や田んぼに広く生息していた毒ヘビ「ヤマカガシ」。
今年7月には福岡県と兵庫県で小学生の男児がかまれ、血清治療で回復したが、その血清がなくなるかもしれない。
自然環境の変化による個体数の減少で、製造に必要な毒を集めるのが難しい上、重症化することはまれで、採算性の低さも要因だという。
ヤマカガシは本州や四国、九州に広く生息。
毒で重症化すると頭痛や脳内出血を起こし、最悪の場合、死に至ることもある。
「他のヘビより血清の効果は高いのに、受傷例が少なく、血清を製造しても採算が取れない」と、日本蛇族学術研究所(群馬県太田市)主任研究員の堺淳さん(62)。
ヤマカガシの血清は、同研究所が約30年前に初めて作った。
昭和59年に愛知県で中学生が死亡し、遺族が研究費を寄付してくれたことが契機だったという。
現在使用されている血清は17年前のもので、劣化を考えると再製造は不可欠。
血清を作るには数100匹を捕獲して毒を採取しなければならないが、環境変化でヤマカガシそのものが減っている。
堺さんは、中国産のヤマカガシで代用する研究もしているが、研究費不足などから思うように進んでいない。
「厳しい状況だが、万が一の備えを絶やしてはいけない」と話した。
出典
『毒蛇「ヤマカガシ」の血清がなくなる!? 個体減少の上、採算性も要因 中国産代用の研究もしているが…』
http://www.sankei.com/west/news/170922/wst1709220016-n1.html
(ブログ者コメント)
〇7月に兵庫県で咬まれた事例は本ブログで紹介スミ。
その関連情報として紹介する。
〇エサから毒を得る動物としては、他にフグがいる。
詳細は下記記事にコメントとして付記スミ。
2015年11月13日掲載
『2015年11月6日 長崎県松浦市で自分で採ってきた巻貝のキンシバイを10数個食べた男性がテトロドトキシン中毒で意識不明の重体』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5367/
2017年9月22日23時18分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都内で今月12日、生後6カ月の男児がベッドガードとマットレスの間に挟まり死亡する事故が起きていたことが分かった。
同様の死亡事故は、8月にも都内で発生。
消費者庁は22日、子どもの事故防止情報を発信するツイッターで「できるだけベビーベッドに寝かせ、ベッドガードの使用は生後18カ月以降に」と注意を呼びかけた。
ベッドガードは、ベッドから転落することを防ぐためのもので、保護者が子どもと大人用ベッドで添い寝する際などに、ベッドの側面に取り付ける。
だが、ガードが外側にずれてマットレスとの間に隙間ができることがあり、製品安全協会が「生後18カ月未満の子どもに使用しない」という安全基準を定めている。
消費者庁によると、男児は自宅のベッドで、ベッドガードとマットレスとの隙間に挟まった状態で見つかった。
8月にも都内で、ガードを取り付けた大人用ベッドで1人で寝ていた0歳児が死亡している。
出典
『ベッドガードでまた死亡事故 「使用は18カ月以降に」』
http://www.asahi.com/articles/ASK9Q5DV9K9QUTFL009.html
(ブログ者コメント)
ベッドガードの横に乳児を寝かせることの危険性は、本ブログでも今月16日、8月に起きた事例とともに紹介したばかりだ。
2017年9月21日20時5分に読売新聞から、国民生活センター提供写真とともに、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
つかまり立ちを始める1歳前後の子どもが、コンロのグリルに触れてやけどをする事故が起きているとして、国民生活センターは21日、注意を呼びかけた。
同センターなどが事故情報を収集している「医療機関ネットワーク」(現在21医療機関)に対し、2010年12月~今年8月末に、8~25か月の子どもがグリルでやけどをした事故が36件報告された。
このうち8件が、13か月の子どもの事故だった。
1歳前後の子どもの身長はグリルの高さと同程度で、グリル扉の窓に触れたケースが多かった。
また、同センターがガスコンロでサケの切り身を焼く実験をしたところ、グリル窓の外側の中心部分は約150℃まで熱くなり、調理後も15分程度、50℃を上回った。
同センターは、子どもをグリルに近づけないように呼びかけている。
出典
『立ち始めた1歳児、コンロのグリルでやけど注意』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170921-OYT1T50084.html
9月21日18時10分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
国民生活センターは21日、コンロについている魚などを焼くグリルのガラス扉で、乳幼児がやけどをする事故が起きていると注意を呼びかけた。
歩き始める1歳前後の事故が目立つという。
2010年12月以降、同センターには、医療機関ネットワーク(現在21機関で構成)から、子どもがグリルでやけどを負った事故情報36件が寄せられている。
生後8カ月~2歳1カ月に集中しており、つかまり立ちや伝い歩きをする生後13カ月の子どもが8件で最多だった。
乳幼児は熱い物から体を離す反射が遅く、約15秒かかることも。
その場合、64℃の熱さのガラスでもやけどを負う恐れがあるという。
同センターが実験すると、グリル扉はガスを熱源とする場合、最高で約150℃、電気のIHは84℃まであがった。
ともに使用後、50℃まで下がるのに約15分かかった。
断熱効果のある素材を使って、高温になりづらいグリル扉の商品も出ている。
専門家は、「調理中に子どもを見守り続けるのは不可能。こうした商品も事故予防になる」と話す。
出典
『コンロでやけど、つかまり立ち期に多発 注意呼びかけ』
http://www.asahi.com/articles/ASK9P56BQK9PUTFL008.html
2017年9月16日付で日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
多くの人を悩ませる水虫。たかが水虫と侮るなかれ。
爪の水虫にかかると、下肢機能が低下して転倒するリスクが高まるという。
毎日のケアで、完治・予防しよう。
水虫の原因になる白癬菌はカビの一種。
高温多湿の環境を好み、皮膚の角質に感染して水虫を引き起こす。
長時間靴を履いている働く世代で悩む人が多いが、高齢者にとっても人ごとではない。
文京学院大学の藤谷克己教授が一般成人と65歳以上の高齢者計159人を調査したところ、白癬菌を散布しているのは、64歳以下の9%に対し、高齢者は55%に達した。
白癬菌が足の裏や指に感染すると足白癬に、爪の中に入り込むと爪の水虫「爪白癬」になる。
爪白癬はかゆみなどの症状がなく、気付かない人も多い。
進行すると、爪が白や黄色に変色し、厚くなったりボロボロになったりする。
放置すると、爪が変形する。
問題は、水虫は命に関わらない疾患だと、見過ごされがちなことだ。
実は、水虫が高齢者の転倒リスクを高める恐れがあると分かっている。
早稲田大学スポーツ科学学術院の中村好男教授らが1万581人を対象に調査したところ、足の指や爪に水虫などの問題を抱えている高齢者で、過去1年間に転倒経験を持つ人の割合は、そうでない人よりも高かった。
水虫や爪白癬など「足に疾患があると、足の指が地面に付きにくくなり、バランスを崩したり、すり足になったりして転倒する可能性がある」(中村教授)。
足の爪は、移動するときに重要な役割を果たす。
「歩行時に足の指で地面を蹴るとき、足の爪には大きな力がかかる」と中村教授。
ところが、「爪白癬にかかると爪がもろくなるため、足先に力が入らずよろけてしまい、転倒するリスクを招く」と藤谷教授は指摘する。
なかでも、爪白癬になりやすい足の親指は、踏ん張るときに力がかかる場所だ。
水虫で爪が弱ると、踏ん張れなくなって転んでしまう。
さらに「水虫にかかった爪が剥がれることで、歩行困難に陥るケースもある」(藤谷教授)という。
高齢者は特に注意が必要な水虫だが、「予防はシンプルで、完治も可能」と藤谷教授。
一番有効なのは、1日1回足を洗って、原因の菌を取り去ることだ。
白癬菌は、水虫の人の足から剥がれ落ちた垢(あか)に数多く潜み、スポーツジムや介護施設など、人が集まる場所でまき散らされる。
足に付いた菌を放置すると、約24時間かけて角質に侵入し、感染する。
せっけんを泡立てて指の間や爪の溝の周り、足裏をよく洗う。
水で流してから、乾いたタオルで拭きとる。
バスマットの共有は避ける。
足の指の間を拭くのも効果的だ。
ただし、「消毒用アルコールでは菌は落ちない」(藤谷教授)。
せっけんの方が殺菌作用が大きいという。
足の爪は短く保つ。
同じ靴を履いたり、靴下を長時間履き続けたりすると、足が蒸れて白癬菌の増殖を招くので、毎日履き替えよう。
サンダルの素足履きでかかとがかさつき、菌が入りやすくなって水虫に感染する例もある。クリームで保湿を心がけたい。
日ごろの足の使い方も重要だ。
「歩き方を意識しないでいると、水虫は繰り返す」(中村教授)。
歩行時は、かかとと親指の付け根、小指の付け根の3点を意識して、かかとから足の指へ重心を移動する習慣を身につけたい。
水虫は完治を目指せるだけに、皮膚科専門医による見極めが必要だ。
毎日足を洗うことに加えて、菌を持つ人が自覚してしっかり治療を受けることが、他の人の水虫の予防にもつながる。
出典
『水虫で転倒しやすく? 歩き方に異変、高齢者注意 水洗い・保湿で予防
/足の爪は短く保つ』
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO21125450U7A910C1W10601?channel=DF140920160921
2017年9月10日19時12分にNHK東海から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月11日10時26分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午前10時前、名古屋市千種区の千種児童館で「白い煙が充満している」と、隣の施設の関係者から消防に通報があった。
警察によると、児童館では10日午前からイベントが開かれ、親子連れなど約250人が訪れていたということで、12人がのどの痛みや頭痛などを訴え、子どもを含む10人が病院に搬送された。
いずれも症状は軽いという。
警察によると、児童館の2階事務室の放送用マイクのそばに置かれていた防犯用の催涙スプレーを、子どもが興味本位で触っていたところ、誤って噴射したとみられるということで、詳しい状況を調べている。
児童館によると、事務室はふだん子どもたちが立ち入ることはないが、イベントが開かれた10日は、子どもが入ってしまったという。
児童館では、「今後は、子どもの手の届かない場所に置くなどして再発防止に努めたい」としている。
出典
『防犯用スプレー誤噴射10人搬送』
http://www.nhk.or.jp/tokai-news/20170910/3805371.html
『児童館で防犯用スプレー誤噴射、小学生ら搬送』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170910-OYT1T50056.html
9月10日16時58分にTBS NEWSからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
「お子さんが『何だろう』と(催涙スプレーを)押してしまった」(児童館の館長)
この児童館では、防犯体制を強化するよう名古屋市からの指示を受け、今年4月から催涙スプレーを事務所に設置していた。
出典
『名古屋の児童館で催涙スプレー、12人軽症』
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3153151.html
9月11日付の中日新聞(夕刊)紙面には、下記趣旨の記事が掲載されていた。
催涙スプレーは、棚のフックにかけてあった。
相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」が襲撃された昨年7月の事件を受け、今年4月から設置していた。
2017年9月8日5時2分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
東京都内で8月、大人用ベッドで寝ていた0歳の乳児がベッドガードとマットレスの間に挟まり、死亡する事故が起きていたことが分かった。
乳児の就寝時にベッドガードを使用したケースでは同種の事故が国内外で確認されており、日本小児科学会が注意を呼びかけている。
消費者庁などによると、事故は8月8日に発生。
一般家庭で大人用ベッドの側面に子どもなどの転落防止用のベッドガードを取り付け、乳児を一人で寝かせていたが、ベッドガードとマットレスの間に挟まれた状態で見つかった。
病院に搬送後、亡くなったという。
昨年9月にも、生後6カ月の男児が同様の状況で窒息状態になった。
事故情報を今年5月に公表した日本小児科学会によると、母親が男児をベッドに寝かせて2分ほど目を離したところ、ベッドガードがずれてマットレスとの間に隙間ができ、男児が横向きに落ち込んでぐったりしていたという。
男児はその後、意識が回復した。
国内では、製品安全協会が幼児用ベッドガードについて、「生後18カ月未満の子どもに使用しない」という安全基準を定めている。
だが、夜泣きにすぐ対処できるよう、大人用ベッドにベッドガードを使って赤ちゃんに添い寝する保護者は多い。
同学会の井上信明医師(小児救急)は、「乳児が寝る時に使用するのは危険という表示のついた商品もあるが、消費者の認識はまだ薄い。乳児に使えると誤解を招く広告の規制や、乳児を想定した製品開発が必要だ」と話している。
国内で起きたベッドガードが関連する子どもの事故に関する統計はない。
一方、米国の政府機関「米消費者製品安全委員会」には、2000年以降の約10年間で同国内で起きた子どもの死亡事故13件が報告された。
そのうち9件が1歳未満だった。
出典
『「ベッドガード」使用で乳児死亡 学会が注意呼びかけ』
http://www.asahi.com/articles/ASK973W0DK97UTFL002.html
少し前、2017年5月27日16時0分にJ-CASTニュースからも同趣旨の、より詳しい記事が下記趣旨でネット配信されていた。
幼いわが子を寝かしつけるのにベッドガードを使う人は少なくないが、ベッドガードとマットレスのすき間に幼児がはさまり、窒息する事故が起こった。
幸い一命はとりとめたが、日本小児科学会では、「18か月未満の幼児にはベッドガードを使わないで!」と注意を呼びかけている。
【ちょっと目を離したらベッドで顔を青紫色に】
2017年5月、日本小児科学会がウェブサイト「傷害速報」に掲載した。
傷害速報とは、子どもが玩具を飲みこんで窒息死したり、自転車用ヘルメットのひもが首に引っかかり窒息死したりする事故などが起こるたびに、注意を喚起するため、事故の詳細な内容を報告するものだ。
「傷害速報」の発表資料によると、事故が起こったのは2016年9月7日。
生後6か月の男児が自宅寝室のベッドの中で、窒息死寸前の状態で発見された。
男児宅では、大人用ベッドに市販のベッドガードをつけ、男児を寝かせていた。
ベッドガードは、L字型の一辺をマットレスの下に差し込むタイプ。
中央のメッシュ部は伸縮性があり、製品をマットレスに密着させても簡単にすき間ができる。
事故が起こる前にも、男児の腕が度々すき間にはまり込んでいたため、母親はタオルケットを丸めてメッシュ部に詰め込む工夫を行っていた。
母親は男児と一緒に買い物から帰宅し、まず男児をベッドに寝かせ、その後、車内の荷物を取りに戻った。
男児は起きていて、母親の姿が見えなくなって泣き始める声が聞こえた。
約2分後に母親が戻ると、ベッドガードが水平にずれ、マットレスとの間に10cm弱のすき間ができ、すき間にうつぶせ状態の男児がはまり込んでいた(写真参照)。
母親によると、男児の顔はマットレスとタオルケットに埋まり、息をしていないように見えた。
あわてて母親が抱き上げると、男児はグッタリと目を閉じ、顔は青紫色になっていた。
完全に呼吸停止していたかどうかは不明だ。
母親は男児を激しく揺さぶりながら119番した。
電話を切った時点で男児は呼吸を始めたが、反応が鈍く、泣かない状態が続いた。
17分後に救急隊が到着した時には、普段通りに泣き始めていた。
病院に到着した時には意識ははっきりし、神経学的異常はなかったため、特に検査は行わず、経過観察を指示され帰宅した。
【米国では11年間で13人が死亡】
同学会の調査によると、ベッドガードは就寝時の転落を防ぐために、通常のベッドに装着する製品で、着脱が簡単にできる物、固定式の物、フェンス部分がメッシュ状の物、柵状の物など、様々なタイプが市販されている。
米国では、2000~2010年の11年間で、ベッドガードによる幼児の事故が132件報告され、うち13件が死亡事故だ。
そのうち3件は、男児宅と同じく大人用ベッドにベッドガードを付け、幼児を寝かせていた。
やはり、何らかの原因でベッドガードが水平方向にずれ、すき間ができて幼児が落ち込んだ。
このため、米国の製品安全員会では、ベッドガードの使用を生後18か月(1歳半)から60か月(5歳)までと定めている。
日本でも同様な事故があり、製品のリコールがあった。
日本の業界団体の安全基準も、米国にならっている。
実際、男児がはさみこまれたベッドガードにも「生後18か月未満のお子様には絶対使用しないでください」という警告が貼り付けられていた。
このことから、同学会は「傷害速報」の中で、こう警告している。
「今回の事故では、保護者は製品の注意喚起に気づいていなかった。ベッドガードとマットレスの間にはさみこまれて窒息する事故を防ぐには、業界がもっと効果的な注意喚起の方法を検討したり、幼児も使用できると誤解を生むような宣伝方法を改めたり、18か月未満の子でも使える製品の開発が課題になる」
ともあれ、幼児にはベッドガードはアブナイことを知っておくべきだろう。
出典
『ベッドガードで幼児が窒息死寸前に 柵とマットレスのすき間に落ち込む』
https://www.j-cast.com/healthcare/2017/05/27298962.html?p=all
(2024年3月24日 修正1 ;追記)
2024年3月22日22時39分に毎日新聞からは、説明書に注意書きはあったが対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性が具体的に記されていないなどとして販売会社に賠償命令が出たなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
睡眠中の幼児の転落を防ぐ「ベッドガード」に挟まれて生後9カ月の長男が死亡したのは、製品の欠陥が原因だとして、両親が販売会社「K」(愛知県犬山市)に約9300万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は22日、3577万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
西村康一郎裁判長は、起こり得る事故に対しての警告表示に欠陥があると判断した。
ベッドガードは大人用ベッドのマットレス横側に付ける柵状の器具。
幼児が寝返りをしても柵状の部分がストッパーとなる構造になっている。
判決によると、母親は2017年8月、東京都内の自宅寝室でベッドガードが付いたマットレスに長男を寝かしつけ、一旦寝室を離れて約2時間半後に戻ったところ、長男はベッドガードとマットレスの間に体が挟まれた状態だった。
死因は窒息死だった。
両親が購入した製品の説明書には「対象年齢は生後18カ月以降」、別の書面には「マットレスとの隙間(すきま)で思わぬ事故が発生する恐れがある」と記されていた。
判決は「対象年齢未満の乳幼児に使用した場合の危険性が具体的に記載されていない」と指摘。
製品本体に使用対象年齢が書かれていないことも踏まえ、警告表示が不十分と結論付けた。
両親側は「製品設計そのものに欠陥があった」とも主張していたが、判決は「安全基準に適合しており、欠陥はない」と退けた。
判決後に記者会見した長男の父親(45)は、ベッドガードで類似の死亡事故が起きているとし、「危険性を訴えるために始めた裁判。メーカーや行政が検証し、再発防止につなげてもらいたい」と話した。
K社は「安全性について十分に考慮して販売している。判決に大変困惑している」とのコメントを出した。
https://mainichi.jp/articles/20240322/k00/00m/040/454000c
3月22日22時55分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。(本文は転載省略)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240322-OYT1T50186/
2017年8月24日18時21分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8月24日20時14分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
製品評価技術基盤機構(NITE)は24日、ペットがコンロを誤動作させたり、害虫や小動物が家電を故障させたりしたことによる火災や漏電などの事故が、今年3月までの5年間に78件あったと発表した。
うち56件を火災が占めており、NITEは「外出時はペットをケージに入れる、コンロのスイッチにロックをかける、周囲に可燃物は置かない、こまめな清掃で害虫の侵入を避ける」などの対策を呼びかけている。
78件中、26件はペットが原因。
犬や猫がガスコンロのスイッチを押したための火災が6件、猫がファクスに尿をかけて漏電、発火した事故が5件あった。
犬が充電中の携帯電話にかみつきバッテリーが発火する事故や、ネット接続用のルーターをかじり、火が出て布団や床を焦がしたりするケースもあった。
ペットが原因のコンロ火災情報は平成24年ごろまでなかったといい、NITEは、スイッチを軽く押すだけで着火できるコンロの普及が背景にあるとみている。
残る52件は害虫や小動物が原因。
家電内に入ったゴキブリによる電子回路の故障や、ネズミが配線をかじったためのショートで発火や漏電する事故が目立った。
機器別ではエアコンが11件で最多。
ガス給湯器9件、冷蔵庫6件と続いた。
出典
『犬がスイッチ、猫がおしっこ…ペット、害虫で火災多発 こんろ誤動作や家電故障』
http://www.sankei.com/affairs/news/170824/afr1708240022-n1.html
『猫がスイッチオン…ペット原因の住宅火災増加』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170824-OYT1T50131.html?from=ycont_top_txt
(ブログ者コメント)
○NITEからの報道発表資料は下記参照。
http://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2017fy/prs170824.html
○犬がコンロのスイッチを押した事例は過去に本ブログでも紹介
している。
2017年5月14日掲載
2017年5月9日 静岡県磐田市のアパートで住人が外出中、コンロ付近を焼く火事、部屋飼いの犬がコンロのスイッチを長押ししたことが原因か?メーカーによれば使用上の注意点の一つ
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7114/
2017年8月2日6時0分に西日本新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
飯塚市の小学5年の男児が7月25日、宮若市内で毒ヘビにかまれ、5日間入院していたことが分かった。
男児が通う小学校によると、男児は25日の昼ごろ、家族と宮若市の千石峡で川遊びをしていて、体長1mほどのヘビを見つけ触ったところ、親指をかまれた。
母親が病院へ連れて行き、集中治療室で手当を受けるなどし、29日に退院したという。
男児は患部が痛むなどの症状が出た。
ヘビの種類は分かっていない。
7月29日には兵庫県で小学生がヤマカガシとみられる毒ヘビにかまれ、一時意識不明の重体になった。
学校から31日に通報を受けた飯塚市教育委員会は、「ヒアリやセアカゴケグモなどの被害が全国で報じられている。夏休み期間中だが、学校を通して注意喚起したい」としている。
出典
『宮若でも毒ヘビ被害 飯塚の小5かまれ入院 [福岡県]』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_chikuhou/article/347700/
(ブログ者コメント)
兵庫県のヤマカガシ事例は、先日掲載スミ。
2017年7月31日20時10分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
宅配ロッカーは分譲マンションではかなり普及しているが、便利さの一方で、子供が閉じこめられる事故も起きている。
東京消防庁によると、都内で2012年以降、子供が遊んでいる最中に宅配ロッカー内に閉じこめられる事故が4件発生した。
昨年6月には都内のマンションで、かくれんぼしていた当時7歳の男児がロッカー内に入ったら自動的に鍵がかかって出られなくなり、救出されて搬送された。
夏に長時間閉じこめられた場合には熱中症になり、危険な状態になる可能性もある。
同庁や国民生活センターは、「子供に事故の危険性を教えてほしい」と注意喚起している。
一方、宅配ロッカーのメーカーも、事故防止のため、内側に緊急解錠レバーを設けるなどして対応している。
出典
『宅配ロッカーで閉じこめ事故も…自動的にロック』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170731-OYT1T50078.html?from=ycont_top_txt
(ブログ者コメント)
東京消防庁のHPに昨年6月事例の写真が掲載されているが、思ったより小さなボックスだ。
また、それ以外にも以下の3事例が掲載されている。
○3歳男児が宅配ボックスから出られなくなった。
【平成25年7月 3歳男児 不搬送】
○子供4人がマンション玄関付近でかくれんぼをしていて、1階に設置してある宅配ボックスに入り、かくれていた。
その後、他の子供が外からダイヤルを動かしたため鍵がかかり、閉じ込められてしまった。
【平成24年9月 8歳男児 不搬送】
○5歳男児が兄と自宅マンション内の宅配ボックスで遊んでおり、扉を閉めた際、自動的にカギが掛かってしまい、出られなくなった為、通行人が119番通報した。
【平成24年4月 5歳男児 軽症】
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/takuhaibox.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。