2020年3月17日15時56分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
群馬県大泉町の村山俊明町長は15日、新型コロナウイルス感染者の情報提供について、「県は遅すぎる。1分でも早く対策を取らないといけない市町村の立場を理解せず、町と町民を軽視したのではないか」と述べ、群馬県の対応を強く批判した。
村山町長は、町内の医師夫婦の感染が前日確認されたのを受け、町役場で記者会見を開いた。
医師夫婦の感染は、山本一太知事が14日午後9時からの記者会見で発表した。
村山町長によると、県からは「町内在住の2人感染」と同3時頃に伝えられたが、医師夫婦だったことは知事の会見直前まで知らされていなかった。
さらに、防災行政無線による注意喚起の放送も「知事の会見まで待ってくれとストップがかかった」(村山町長)といい、20人以上の職員が待機を強いられたという。
町内には外国人の住民も多く、ポルトガル語などに翻訳して啓発チラシを作るのには時間がかかる。
村山町長は会見で、「こうした事情を県はまるきり理解していない。非常に不愉快だ」とも話した。
町は無線やチラシを使い、手洗いの徹底、ハグやキスを控えることなどを呼びかけている。
医師が勤める診療所近くの児童館では、放課後児童クラブを閉鎖した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200317-OYT1T50210/
3月17日付で毎日新聞群馬版からも同趣旨の、より詳細な記事がネット配信されていた。
大泉町の村山俊明町長は15日の記者会見で、県が14日に同町に住む70代の医師とその妻の新型コロナウイルス感染を発表したことに関して、「町への情報提供が遅すぎる」と県の姿勢を厳しく非難した。
「情報は、判明した時点でホットラインで町に知らせてほしい。正直に言って非常に不愉快だ」。
村山町長は記者会見で、今回の県の情報提供のあり方に不快感をあらわにした。
町によると、県から2人のPCR検査(遺伝子検査)実施の連絡があったのは13日午後6時ごろ。
翌14日午後3時ごろ、2人が「陽性」だったとの報告があった。
さらに、2人が12日に感染が発表された女性看護師の勤務先医院の医師とその妻との連絡が県からあったのは、14日の知事の記者会見のわずか10分前の午後8時50分ごろだった。
村山町長は、「1分でも早く対策を取らねばならない自治体の立場を、県はまったく理解していない」と語気を強めた。
この間、大泉町は14日午後4時に防災無線で、町内で感染者2人が出たことを伝えようとした。
ところが、館林保健福祉事務所から「午後9時の知事の記者会見まで、町からは情報を出さないように」と指示されたという。
飯田健副町長は、「県の対策本部の指示が保健福祉事務所を通じて来たという理解だ。何のため、誰のための指示なのか、まったく分からない」と話した。
また、女性看護師の勤務先が大泉町内の医院であるとの連絡も、13日午後9時の知事の記者会見の2時間前に初めて伝えられたといいう。
町幹部は、「県に対する不信感は募るばかり。知事は自分のツイッターで感染者が出たと情報発信しているようだが、最前線のわれわれが欲しいのは正確な情報だ」と憤る。
村山町長は、「知事の記者会見が常に午後9時というのもおかしい。発表終了が深夜にさしかかっており、何もできない時間だ。危機感が欠けているといいたい」と指摘した。
【大泉の医院、女性職員も 県内6人目 県、「院内感染」の見方】
県は16日、大泉町の医院「M内科・胃腸科」に勤務する県内在住の50代女性職員が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
12日以降に感染が確認された60代の女性看護師と70代の男性医師の濃厚接触者だった。
女性職員の感染確認で、県内の感染者は6人となった。
県によると、女性職員は15日までに症状がみられ、16日のPCR検査(遺伝子検査)で、陽性反応が出た。
山本一太知事は4人目と5人目の感染者を発表した14日の記者会見で、70代の男性医師について、4日から微熱などの症状があったが、軽症だったとして、11日まで外来診療や館林保健福祉事務所管内での往診を行っていたと説明。
12日に60代の女性看護師の感染が確認され、濃厚接触者として健康観察を始めたところ、13日に息切れなどの症状が表れたため、14日にPCR検査した。
会見時点では集中治療室(ICU)に収容され、重症という。
県は、医師は4日、看護師は7日に症状が表れたとして、「院内感染」との見方を示している。
また、男性医師の70代妻も14日に検査を受けた結果、陽性と判明した。
入院しているが、容体は落ち着いているという。
【感染者情報を巡る県と大泉町の動き】
12日
午後9時 :県が女性看護師の感染を発表
13日
午後6時ごろ :県が町に感染可能性のある町民2人がいると連絡
午後7時ごろ :県が町に女性看護師勤務先が町内医院だと連絡
午後9時 :山本知事が記者会見で町内医院名を公表
14日
午後3時ごろ :県が町に町民2人の検査結果が「陽性」と連絡
午後8時50分ごろ:県が町に2人が町内医院の医師夫婦と連絡
午後9時 :山本知事が記者会見で医師夫婦2人の感染を発表
15日
午前11時 :町が記者会見で県の対応を非難
https://mainichi.jp/articles/20200317/ddl/k10/040/226000c
3月19日付で上毛新聞からは、知事が町長におわびを伝えたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
山本一太知事は18日の定例会見で、「市町村への配慮が欠けていた。こういうことがないように気を付けたい」と述べ、村山町長におわびを伝えたと明らかにした。
山本知事は、「自分が町長の立場なら、いらだったと思う。コミュニケーションの大切さをあらためて認識した」と説明。
「原則は(感染に関する調査を行っている)県からまとめて発表するが、その中で何ができるか考えたい」と述べ、市町村に配慮した情報提供を検討する考えを示した。
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/200829
3月19日11時17分に読売新聞からは、知事は県がまとめるまで情報発信を待ってもらうことはあると述べたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
山本知事は同日の定例記者会見で、「政治家として配慮が欠けていた」と述べた。
村山町長にも謝罪したという。
医師の感染が判明した14日、防災行政無線を使った町の注意喚起を知事の会見まで待つよう求めたことには、「柔軟に判断する。県がまとめるまで、情報発信を待ってもらうことはある」とした。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200319-OYT1T50158/
2020年3月12日11時32分に産経新聞westから、下記趣旨の記事が飛沫距離の目安図付きでネット配信されていた。
感染拡大が続く新型コロナウイルスは、接触感染のほか、飛沫(ひまつ)感染が主な感染経路とされている。
感染者のくしゃみやせきと一緒にウイルスが放出され、周囲が吸い込むことでうつる。
飛沫はどこまで飛び、何に気を付けるべきか。
【せき・くしゃみの場合】
「新型は、人が密集した環境で注意を怠ってしまうと容易に飛沫・接触感染が起きるのが特徴」
新潟大の斎藤玲子教授(公衆衛生・ウイルス学)は、こう語る。
飛沫感染は、感染者がくしゃみやせきをすることでウイルスを含んだつばが飛び散り、ごく小さな水滴を近くにいる人が口や鼻で吸い込んだりすることで起こる。
新型について政府の専門家会議は「空気感染は起きていない」としており、屋外で感染者と黙ってすれ違う程度であれば、感染の危険性は低い。
また、同会議は「手を伸ばして相手に届かない程度の距離をとって会話をすることなどは感染リスクが低い」とも呼びかける。
注意が必要なのは、
▽歌を歌う
▽大声を出す
▽討論する
といった行為。
これらは普通の会話と違い、強い呼吸を伴うため、ウイルスが増殖する部位の肺胞などからウイルス濃度の高い飛沫が大量に出やすい。
その結果、カラオケボックスなど密閉空間を感染者を含む多人数で共有すれば、患者集団(クラスター)が発生するリスクが高まる。
では、飛沫は具体的にはどのくらい飛ぶのか。
一般的な距離とされているのが、1~2メートル程度。
斎藤氏は、「会話では約1メートル、せきで約3メートル、くしゃみで約5メートル飛ぶこともある」と説明する。
【目や鼻露出なら「マスク効果なし」】
「患者から約2~3メートル以内や患者の部屋に入ったときなどには、マスク着用が賢明」。
こう指摘するのは、クルーズ船のダイヤモンド・プリンセスに政府の依頼で日本環境感染学会のチームを率いて乗船し、感染制御に関する助言を行った岩手医大の櫻井滋教授だ。
ただ、飛沫感染を防ぐには顔全体を覆う必要があり、目や鼻を露出している場合、マスクの効果はないという。
櫻井氏は、「むしろ、手が顔に触れてウイルスが付く可能性が増えるため、直接飛沫が飛ばない距離を保っている場合などは、マスクを着けない方が安全。不特定多数が集合する場所に行かない方が重要だ」と指摘する。
近畿大の吉田耕一郎教授(感染症学)は、「マスクで100%予防はできないが、自分が感染者の場合には、飛沫の飛散を一定軽減することはできる」とし、せきエチケットの大切さを強調する。
「べからず行動を」
櫻井氏は、飛沫感染だけでなく、接触感染の予防も重要とし、日常生活で、
(1)集合しない
(2)密集しない
(3)飛沫を発生させない
(4)食器などを共有しない
(5)接触しない
(6)狭小な場所を時間的に共有しない
の「べからず行動集」の実行を提唱。
「『完璧にできない』と言う前に、感染連鎖を防ぐため、一人一人が努力をするときだ」と話している。
https://www.sankei.com/west/news/200312/wst2003120012-n1.html
2020年3月5日4時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「禁煙」の映画館も、喫煙者らの服や体について持ち込まれた有害物質で充満している――。
米独の研究グループが、そんな調査結果を公表した。
たばこ10本分の受動喫煙に相当する濃度の有害物質もあったという。
たばこ由来のニコチンや有害物質は、喫煙者の髪の毛や衣類、部屋の壁やカーペットに残る。
それらが蒸発したり舞い上がったりしたものを吸い込むことを「三次喫煙(サード・ハンド・スモーク)」といい、研究が進んでいる。
グループは、ドイツの映画館の1室(1300立方メートル)で2017年1月、室内の空気を分析した。
24時間連続で週末の計4日間、有機物質35種類の濃度を測定。
すると、観客が入場する度に、アセトニトリルやアルデヒドなど有害物質の濃度が急上昇していた。
検出された有害物質の濃度を受動喫煙(二次喫煙)の濃度に置き換えると、ホルミアルデヒドであれば、たばこ1本分、ナフタレンは10本分に相当していた。
上映された映画は1日4~5本。
観客は1本あたり約30人~220人だった。
換気システムはあるが、大人の割合が高い夜の映画で、特に濃度が高かった。
大気汚染の研究をする聖路加国際大学大学院の大西一成准教授(環境保健)は、「完全禁煙の空間であっても、有害物質が2次喫煙と同等レベルの濃度まで上がり、3次喫煙が起こりうると示された。禁煙の場所も、これまで以上に、換気設備について考えていかなければならない」と話す。
成果は5日、米科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。
論文はhttps://advances.sciencemag.org/content/6/10/eaay4109で読むことができる。
https://digital.asahi.com/articles/ASN347K21N34ULBJ018.html?pn=5
2020年2月25日0時3分に長崎新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日午後4時半ごろ、長崎市小江町の岩場で釣りをしていた市内の50代男性がイノシシに襲われ助けを求めたと、通行人が110番通報した。
稲佐署などによると、海を泳いできた体長約1メートルのイノシシが岩場に上がり、釣りをしていた男性に突進してきたという。
署員5人が現場に駆けつけると、男性はイノシシを海中に押さえ込んだ状態で、付近の道に人だかりができていた。
男性はイノシシともみ合いになって一緒に海に落ち、イノシシを海中に押さえ込んで窒息死させたという。
男性はかまれたほか、太ももに裂傷を負っており、病院に搬送された。
同署にはイノシシの目撃情報は時折、寄せられるが、泳ぐ姿の情報は珍しいという。
同署の担当者は、男性が押さえ込んだことに「驚きましたよ」と話した
https://this.kiji.is/604690346770072673?c=174761113988793844
2月24日19時9分にYAHOOニュース(長崎放送)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
24日夕方、長崎市で釣りをしていた男性がイノシシに襲われ、大けがをしました
警察によりますと、24日午後5時ごろ、長崎市小江町の海岸で釣りをしていた50代の男性が、体長およそ1メートルのイノシシに襲われました。
近くにいた人によりますと、男性は足をかまれていたということで、左の太ももなどを切る大けがをしました。
男性は命に別状はなく、市内の病院に搬送され、手当てを受けています。
イノシシは男性が海に押さえ込み、窒息死したということです。
(ブログ者コメント)
〇どこだったか、ワイドショーで下記の情報を流しているテレビ局もあった。
▽イノシシは背後から襲ってきた。
▽この男性が襲われる前、少し離れた場所にいた釣り人談;
「イノシシが泳いでいるのを見つけたのでカメラで撮っていると、こっちに向かってきて上がろうとしたので蹴落とした。すると今度はあっちの男性のほうに泳いでいった。」
▽専門家談;
「生息域が人里まで広がり、そこで人とか犬とかに驚かされて海に逃げ、パニック状態になったイノシシが襲ってきた可能性も考えられる」
〇以下は、長崎放送映像の4コマ。
(2020年4月19日 修正1 ;追記)
2020年4月18日18時25分に長崎新聞から、当時の状況を男性に現場で取材した下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
海で釣りをしているとき、獣に襲われる危険性を想定する人は、はたしてどれほどいるだろうか。
2月下旬。長崎市内の男性は、同市小江町の岩場でイカ釣りをしている最中に突然、イノシシに襲われ、〝返り討ち〟にした。
「命を守るために無我夢中。アウェー同士の闘いだった」。
体に負った傷が癒えてきた男性に再び現場を訪ねてもらい、約10分間の死闘を振り返ってもらった。
「自分も足場が悪いアウェー(本拠地ではない意味)で、イノシシも舞台が海ということでアウェー。つまりアウェー同士の闘いだった。自分は何度か釣りに来ていた場所だった分、足場にも慣れていてこちらに勝機があったと思う。ここで死にたくないという気持ちだけだった」
【突進で飛ばされ】
2月24日午後4時ごろ。
同市内で個人タクシーを営む下田さん(52)は仕事前、自宅から程近い防波堤に釣りに来ていた。
釣り歴は40年を超す。頻度は週1、2回。
この日は防波堤がファミリー客で混雑しており、干潮時に出現する対岸の岩場をスポットに決めた。
エギング仕掛けをセットし、さあこれから第1投というとき。
「グググー」。背後から聞き慣れない鳴き声が聞こえた。
「何だろう」と振り返ると、5メートルほど先に焦げ茶色で丸々と太った獣がこちらを向いていた。
「えっ、イノシシ!」
そう思った瞬間、突進された。
衝撃で体は海側へ飛ばされた。
「猪突猛進という言葉があるけれど、まさにその言葉通り。迷うことなく突っ込んできた」
下田さんは持っていた愛用の釣りざおで数回かたたいて応戦したが、脚などをかまれた。
脚をかまれたまま数回か殴ったり蹴ったりし、さらに目つぶしで反撃したが、びくともしない。
ズボンがかみちぎられて一瞬離れた。
その瞬間を見逃さず、上から羽交い締めにしようとしたところ、もみ合いになり、一緒に潮だまりに転倒した。
ちょうど上にかぶさるような格好になり、すかさず左足でイノシシの頭を踏んで海中に沈め、両手で相手の背中を必死に押さえ込んだ。
それからどれくらい時間が経過したのか。
イノシシがいつ窒息死したのかも記憶がない。
しばらくして周囲の人から「もう離しても大丈夫ですよ」と言われ、われに返った。
目撃者が警察などに通報しており、救急車に乗せられて初めて「助かった」と安堵した。
左膝をかまれて出血していた。
ただ、痛みは搬送された病院に着いてから感じた。
感染症の懸念もあったことから、2週間ほど入院した。
体には生々しい傷が残る。
かみつかれた左膝の傷は、あと数センチ深ければ動脈に達して致命傷だったと医師から言われた。
左膝付近を8針縫った。
かまれた傷か牙がかすめた傷かはわからない。
岩場で切ったとみられる手は3針縫った。
【体長1メートル、80キロ】
猛獣に勇敢に立ち向かった下田さんの「胆力」は、小学2年のときに始めたソフトボールで培われた。
現在は地元自治会チームの主戦投手で、シーズン中は週1回の試合で豪腕を発揮する。
自治会とは別のチームでもエースを張り、個人タクシー連合会が主催する九州大会で9連覇中だ。
チームメートの男性(58)は「投げる球はめちゃくちゃ速い。同年代の中でも彼は足腰が格段に強い」と明かす。
長崎県警によると、襲ってきたイノシシは体長約1メートル、体重80キロ。
海を泳いで岩場に上がってきており、通報時間などから計算して、格闘は約10分間だったとみられる。
市農林振興課有害鳥獣相談センターの担当者は、「素手で撃退した話なんて聞いたことがない。イノシシは通常は臆病な性格だが、何らかの原因で興奮状態にあったのだろう」と驚きを口にする。
「イノシシは人間社会に慣れて、昼間も行動するようになった。もしイノシシと遭遇しても決して立ち向かおうと考えず、逃げることを最優先に考えてほしい」と呼び掛ける。
死闘から2カ月。やっと通院が終わった。
「これだけ重傷を負いながら、傷害保険も適用されない。でも一生に一度しかない体験だろうし、傷は残ったけど本当に助かって良かった」と下田さんはふり返る。
大好きな釣りは、退院してから一度も行っていない。
「また釣りに行くのか」と尋ねると、笑ってこう答えた。
「家族からは1人で行くなと心配されているけれど、自分は行くよ。もうそろそろ再開しようかな。これからがイカ釣りのシーズン本番。もちろん、これからはイノシシが近くにいないか十分に用心しないとね」
https://www.47news.jp/localnews/4731233.html
2020年2月18日2時0分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
政府は17日、新型コロナウイルスによる肺炎に集団感染したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応を続けた。
英国籍の同船には日本の法律や行政権を適用できない原則があり、対応を複雑にした。
国際法上の「旗国主義」が、こうした船舶内の感染症対策で落とし穴となっている。
国際法では、公海上の船舶は所属国が取り締まる「旗国主義」という考え方をとる。
国連海洋法条約で、公海上の船舶は旗国の「排他的管轄権に服する」と明記する。
旗国の義務として、「行政上、技術上および社会上の事項について有効に管轄権を行使し、および有効に規制を行う」と定める。
例外として
(1)海賊行為
(2)奴隷取引
(3)無許可の放送
(4)無国籍や国籍を偽る
という外国船舶の取り締まりを認める。
今回のような感染症拡大の防止は想定していない。
日本の領海を航行中であっても、外国船籍の船舶は、陸上と同等の日本の管轄権は及ばない。
犯罪の結果が日本に及ぶ場合の刑事裁判権や、領海通航中に発生した債務や責任に関する民事裁判権などに限られる。
東京・中央の「カーニバル・ジャパン」が運航するダイヤモンド・プリンセス号には、乗員・乗客約3700人が乗っていた。
17日時点で延べ1723人を検査し、感染者は計454人に上る。
1月20日に横浜を出発後、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、沖縄を経て、2月3日夜に横浜沖に停泊した。
クルーズ船では、乗員・乗客の集団行動や共用設備が多い。
運航中に新型コロナウイルスが広がったとみられる。
公海上にあった同船舶には、国際法上、日本が感染拡大の措置を講じる権限や義務はなかった。
義務を負っていたのは、船舶が籍を置く英国だった。
香港で下船した乗客のウイルス感染が確認された2月1日以降も同船は運航し、レストランなども営業していたとされる。
3日に日本の検疫官らが乗り込んで「臨船検疫」に乗り出した。
乗客の客室待機など感染拡大を予防する措置を徹底したのは5日からだった。
新型コロナウイルスの検査体制には限界があり、乗船する約3700人全員に一度に対応するのは難しい。
56カ国・地域の乗客が乗り、各国が自国民の健康や処遇に関心を寄せる。
米国は17日、チャーター機で米国民のうち検査で陰性を確認できた人を帰国させた。
カナダやイタリア、オーストラリアなどがチャーター機の派遣を決め、イスラエルなども自国民の下船を要請した。
日本が着岸を認め、乗員・乗客の検査や生活支援に取り組んだのは、国際法上の義務ではない。
乗客の半数近くが日本人という事情を踏まえた判断だった。
その結果として、米国やカナダなどが自国民を下船・帰国させるのにも協力する。
日本政府関係者は、「本来は、クルーズ船の着岸を拒否することもできた」と語る。
集団感染の疑いがある船舶の受け入れには、各国ともに二の足を踏む。
アジアを回るクルーズ船には入港拒否が相次ぐ。
米ホーランド・アメリカ・ラインが運航するオランダ籍の「ウエステルダム」は、その例だ。
5日に台湾を出た後、接岸できる港を見つけられず、カンボジアに受け入れられるまで、1週間あまり洋上をさまよった。
同船には日本も、出入国管理法に基づいて外国人の乗員・乗客の入国を拒否した。
日本は7日、台湾で寄港を断られて那覇に向かっていた香港の企業が運航するバハマ籍船についても、入港辞退を求めた。
ダイヤモンド・プリンセス号の場合を含め、船籍国と運航会社のある国、沿岸国がそれぞれ異なる。
一般的にどの国も、自国民がほとんど乗っていなかったり、地理的に遠かったりする船舶には積極的に対応しない。
国連海洋法条約は旗国と船舶の間の「真正な関係(genuine link)」を求めるが、実際は船舶の所有会社と登録先の国が異なる場合が多い。
国によっては、登録料収入などを期待し、船籍を容易に与える。
日本のタンカー船でもパナマ船籍が多い。
こうした「便宜置籍船」は、かねて問題になっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55736490X10C20A2PP8000/?n_cid=NMAIL007_20200218_A アカスミ
2月20日付で毎日新聞東京版からは、領海では主権も及ぶという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
「世界初」のクルーズ船での新型感染症まん延に対し、国際法上の責任の所在はあいまいだ。
国連海洋法条約では、船舶は公海では「旗国」(ダイヤモンド・プリンセスは英国)の主権下にあり、沿岸から12カイリ(約22キロ)の領海では沿岸国の主権も及ぶ。
運航中の船内の公衆衛生は、運航会社や船長が責任を持つ。
領海内での集団感染に対し、日本には検疫などの感染防止措置を取る「権利」はあるが、「義務」は規定されていない。
船内では、船籍国の法律が優先される「旗国主義」も事態を複雑にした。
日本の検疫法に基づく検疫は、船側の「協力」によって行われる建前となる。
条約では、公海上の船について、各国が自国船の「行政、技術、社会上の事項を有効に管轄・規制する」ことを求め、他国の領海内でも「旗国」の一定の管轄権が認められる。
ただ今回、英国からの対応申し出はなかったという。
外務省関係者は、「条約の起草者は、今回のような事態は想定していなかっただろう。沿岸国、旗国、運航会社、乗員・乗客の出身国の56カ国・地域の役割についてガイドラインがなかった」と指摘する。
菅義偉官房長官は19日の記者会見で、「感染症対策で国際的な協力体制の構築を含め、望ましい対応を検討したい」と述べ、国際ルールの必要性を訴えた。
・・・・・
https://mainichi.jp/articles/20200220/ddm/003/040/094000c
2020年2月17日19時50分にNHK岐阜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年10月、岐阜県美濃加茂市で散歩中のシェパードが警察官2人にかみつき、警察は17日、69歳の飼い主が保健所の指導を守らずに犬の口に付ける口輪をつけていなかったとして、重過失傷害の疑いで書類送検しました。
去年10月、美濃加茂市太田町の道路上で、交通パトロールのためバイクに乗って待機していた19歳の男性警察官に、散歩中の犬が襲いかかって左腕にかみついたほか、近くにいて助けに入った20歳の男性警察官の左腕にもかみつき、2人は10日間のけがをしました。
警察によりますと、この犬は、近くに住む美濃加茂市の69歳のアルバイトが飼っている体重34キロのオスのシェパードで、これ以前にも5回、歩行者や自転車に乗った人にかみついたり引っかいたりして、飼い主は保健所から、散歩の際には口を覆う口輪をつけたりリードを短く持ったりと、人に危害を加えないよう指導されていたということです。
警察官にかみついた時、リードはつけられていたものの、口輪をつけていなかったとして、警察は17日、飼い主を重過失傷害の疑いで書類送検しました。
警察の調べに対して飼い主は「間違いありません」と容疑を認めているということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20200217/3080003259.html
2月18日17時30分に読売新聞からは、背後から襲われたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男は昨年10月21日午後3時25分頃、同市内で飼い犬の4歳雄シェパード(体重34キロ)の散歩中、リードを短く持つなどの注意義務を怠ったことで、犬が19歳と20歳の男性警察官2人の左腕にかみつき、それぞれけがを負わせた疑い。
警察官2人は当時、交通監視にあたっており、19歳の警察官が背後から襲われ、助けに入った20歳の警察官もかみつかれたという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200217-OYT1T50273/
2月18日2時0分にメーテレからは、リードも長かったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男性は歩道上で犬を散歩させていましたが、犬を繋いでいたリードが長く、バイクに乗っていた警察官に突然噛みついたということです。
https://www.nagoyatv.com/news/?id=214868
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の1コマ。
襲われた現場だと思われる。
2020年2月16日付で毎日新聞東京版から、『報道のパンデミック 一辺倒のニュース要注意』というタイトルで、藻谷・日本総合研究所主席研究員の意見が下記趣旨でネット配信されていた。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されている。
発生源となった中国では14日までに感染者数が6万人を超え、1000人以上が死亡した。
日本では、感染した80代女性の死亡が13日に発表され、中国湖北省などへの渡航歴が確認されていない日本人の感染が相次いでいる。
この感染力は侮れない。
このようなときこそ問われるのは、各人の「メディアリテラシー」。
つまり、「メディアで流れる情報に受け身にならず、自分の頭で客観的に判断できるか」ということである。
たとえば、昨年秋から冬にかけて猛威を振るっている別のウイルス感染症をご存じだろうか。
昔からある病気で、予防接種も普及しているが、それでも子どもや老人を中心に多くの感染者が確認されている。
人口動態統計によると、同感染症による死者数は2018年で3325人に上り、年間の交通事故死者数に近い。
19年も、9月までの累計で3000人を超えている。
新型よりもよほど眼前の脅威だが、テレビではこちらの死者数は語られない。
しかも、このウイルス感染症は、いま、米国内で大流行している。
米疾病対策センターの推計によると、この冬に少なくとも2200万人が感染し、1万2000人もの死者が出ている。
感染者は、単純計算で米国民15人に1人程度。
それでも「米国からの入国を制限しろ」とのヒステリックな声が聞こえないのは、日本人も意外に冷静なのか。
いや、あおられた方向にしか動かない国民なのか。
もうお分かりかと思うが、この恐ろしい感染症は、旧来型のインフルエンザだ。
「昨年末に12歳の子どもがインフルエンザをこじらせ、2週間も集中治療室に入り、最悪の事態も覚悟した」という話も身近で聞いた。
幸い、その後に全快したそうだが、もしこれが新型コロナウイルスへの感染であれば、ずっと軽症だったとしても大々的に報道され、患者を病原菌扱いするような心ない中傷までをも受けたかもしれない。
なぜテレビもネットも、既存インフルエンザの死者数に触れないまま、新型の脅威だけを騒ぐのだろうか。
新たな脅威が海の向こうからもたらされることに対する、島国の住民としての本能的な忌避感も背景にあるのだろう。
11年に原発から漏出した放射能については冷静に見ていた人が、今回のように外国発の病原菌には過度に敏感になっているのを見ると、特にそのように感じる。
だが、日本という化石燃料資源のない島国に住んで外貨を稼ごうとする以上、島外との密接な経済交流、人的交流は避けられない。
日本人の約4分の3はパスポートを持っていないのだが、増え続ける訪日客と接する機会は増えている。
東京五輪・パラリンピックのある今年はなおさらだ。
訪日客の利用が収益源という、ある地方都市のタクシー運転手は、「ウイルスのパンデミック(大流行)よりも、報道のパンデミックの方が大打撃だ」とこぼしていた。
敗戦から19年後の1964年に前回の東京五輪という平和の祭典を挙行した諸先輩の努力をしのび、日本人も、もう一段、世界に心を開く度合いを広げようではないか。
・・・・・
※以降は政治案件(検事総長定年延長)に関する意見につき転載省略。
https://mainichi.jp/articles/20200216/ddm/002/070/046000c
(ブログ者コメント)
〇インフルエンザのほうが、より注意すべき感染症だという報道は、これまでにも散発的にあったが、それらは新型コロナウイルスの感染者がまた増えたというセンセーショナルな報道に打ち消されてきた。
これまで打ち消されてきた報道の代表として、この記事を紹介する。
〇実際、わが国のインフルエンザ患者数は、以下の報道によれば、過去5年、1月末の1週間で14~26万人だ。
(2020年2月13日 木曜 午後7:20 FNN PRIME)
・・・・・
ここで注目したいのは、本来だと感染のピークを迎えているはずのインフルエンザウイルス…新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、疾患が大きく減っているのだ。
国立感染症研究所によると、2020年第5週(1月27日~2月2日)の患者報告数は7万76人。
2019年の同時期、21万4592人と比べると約3分の1に減少していて、ここ10年間でも最も少ないという。
それでは、なぜインフルエンザの流行が抑えられているのか?
暖冬を理由に挙げる人もいるが、新型コロナウイルスへの予防対策が関係していると見られる。
・・・・・
https://www.fnn.jp/posts/00050266HDK/202002131920_livenewsit_HDK
それに対し、今回発表されている新型コロナウイルスの患者数は下記で、過去のインフルエンザ患者数よりもはるかに少ない。
(2020年2月21日12:00現在 厚労省HP)
患者数 79人 (国内69、チャーター便帰国者10 ;クルーズ船除く)
無症状病原体保有者 14人
〇一方、致死率だけでいえば、新型コロナウイルスはインフルエンザの20倍という報道もあった。
(2020年2月12日掲載 ナショナル ジオグラフィック)
中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは、世界中で4万人以上の感染者を出している。
しかし、この新しいウイルスは、他の感染症ウイルスよりも危険なのだろうか?
・・・・・
こうした感染症の危険度を互いに比較するには、複雑な計算が必要だ。
感染のしやすさ、致死率、症状の重さ、地域の封鎖に伴う社会的・経済的な影響の大きさなどを勘案することになるからだ。
単純に致死率を比較するだけでは、どれが最悪の感染症かを判断しがたい場合もある。
例えばインフルエンザは、従来型のものであれH1N1のような新型のものであれ、感染者は何百万人にも上りうるが、死亡に至る割合は比較的低く、そのうち0.1%ほどだ。
対して、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、そして今回の新型コロナウイルス感染症「COVID―19」は、致死率の点でははるかに深刻だ。
ただし、SARSは致死率が10%ほどに上ったが、感染が確認されたのはわずか8000例ほどだった。
現時点で、新型コロナウイルスの感染者数はSARSを大きく上回っている。
そのうち死亡に至るのは2%ほどだ。
致死率でいえば、インフルエンザの20倍ほどということになる。
・・・・・
もし新型コロナウイルスの感染が何百万人という単位に拡大すると、非常に危険な事態になる恐れがある。
・・・・・
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/021100089/
患者数?致死率?
何をもって危険と判断するか?
産業安全的に考えれば、リスクとは事故の「発生確率」×「重篤度」なのだが・・・。
〇3日前、朝一番でホームセンターに行った時のこと。
平日でチラシも入ってないというのに、30~40人が行列していた。
もしかして・・と思い、見ていたら、案の定、ほぼ全員がマスク売り場目指してダッシュしていった。
買えた人がいたかどうかは不明。
それ以前に、マスクが並んでいたかどうかも不明。
石油ショック時のトイレットペーパー騒ぎもかくやと思わせるほどの騒動、これほどだとは思わなかった。
石油ショック時とは違い、ネットに個人出品できるようになった現状、転売目的の人もいるのかもしれない。
一方、18日には福岡市の地下鉄車内で、マスクせずに咳をしていた人と注意した人とが口論になり、非常通報ボタンが押されるというトラブルまで出現した。
https://www.sankei.com/west/news/200220/wst2002200014-n1.html
未知のものへの恐怖感も相まって、こと程左様に市民生活に大きな影を落としている、今回の新型ウイルス騒動ではある。
2020年2月14日0時51分にTBS NEWSからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
クルーズ船の検疫を行った男性検疫官が新型コロナウイルスに感染していた問題で、厚生労働省は、検疫官のマスクの扱いが不適切だったことを明らかにしました。
感染した男性検疫官は、クルーズ船の船内でマスクと手袋をして質問票を回収し、体温測定をする仕事をしていましたが、厚労省によると、検疫官は同じマスクを繰り返し使っていたほか、船内が暑く、汗をぬぐうなどして、手の消毒が適切に行われなかった可能性があるということです。
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3904498.html
2月14日0時4分に日テレNEWS24からは、手袋を外して汗をぬぐったりしていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
厚労省によると、12日に感染が確認された検疫官への聞き取りの結果、マスクのつけ方が不適切だった可能性が出てきた。
船内が暑かったため、手袋をはずして素手で汗をぬぐったり、一度はずしたマスクを再度つけたりなどしたため、感染したおそれがあるという。
http://www.news24.jp/articles/2020/02/14/07594897.html
2月12日17時21分にFNN PRIMEからは、検疫官は作業着にマスクという軽装だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
クルーズ船では、39人の新たな感染者に加えて、初めて検疫官の感染も明らかになった。
頭からつま先まで、白い防護服ですっぽり覆い、ウイルス感染に細心の注意を払う医療従事者たち。
しかし12日、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で作業にあたった検疫官が、新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになった。
検疫官の感染は、今回が初めて。
厚生労働省の男性検疫官は、2月3日から4日まで、船内で乗客の体温測定や質問票の回収業務にあたり、5日から7日までは検疫所で通常勤務。
ところが、9日に発熱などの症状があったため、10日、医療機関を受診。
ウイルス検査で、感染が確認された。
白衣、マスク、そして手袋をした医療従事者。
感染した検疫官は、WHOのガイドラインに従い、医療用マスクや手袋を着用。
作業のたびに消毒も心がけていたが、防護服は着用していなかったという。
乗客のSNSには、「問診で来られた時に、作業着に簡易マスクといった軽装だったので心配していましたが、やはり...」、「われわれの部屋に来た際、検疫官は最低限の防護しかしていなかった」などとあった。
なぜ感染してしまったのか、専門家は...。
獨協医科大学・増田道明教授「以前、SARSの流行があった時に、カナダの院内感染の事例で髪の毛についた飛まつ、これが手について、そこから感染したのであろうという例が報告されています。頭髪を覆うようなものを着用なさっていたのかということ、そこがちょっと気になりますね」
増田氏は、検疫作業にも全身を覆う防護服の着用が必要だったのではないかと指摘した。
https://www.fnn.jp/posts/00432024CX/202002121721_CX_CX
(ブログ者コメント)
〇「同じマスクを繰り返し使っていた」という報道からは、一仕事終えた後にマスクを外し、次の仕事を始める時に、また同じマスクを使用した・・・・という感じを受ける。
一方、「一度外したマスクを再度つけたりなどした」という報道からは、仕事中にちょっとマスクを外し、その後、また着けた・・・というニュアンスにも受け取れる。
どちらだったのだろう?
検疫官ゆえ、前者のようなことはないと思うのだが・・・。
以下は、日テレNEWS24映像の2コマ。
この服装の人たちが検疫官かどうかは解説がなかった。
〇業務として感染患者と濃厚接触していた人の感染としては、この後、病院で患者を担当していた看護師やクルーズ船内で事務業務に当たった厚労省職員の事例も報じられていた。
(2020年2月17日21時45分 時事ドットコム)
『相模原の看護師陽性 死亡女性を担当、院内感染か―クルーズ船の厚労省職員も』
神奈川県などは17日、新型コロナウイルスに感染して死亡した同県の80代女性が一時入院していた相模原市の病院で、40代の女性看護師1人が新型ウイルスに感染したと発表した。
看護師は死亡した女性の看護を担当しており、院内感染したとみられる。
また、厚生労働省は同日、横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で事務業務に当たった同省の50代男性職員1人が新型ウイルスに感染したと発表した。
神奈川県などによると、感染した看護師が勤務するのは相模原中央病院。
看護師は1~5日の出勤中に、死亡した女性の体温や脈拍の計測、手洗いの介助などを担当したとみられ、14日に発熱した。
勤務中はマスクを着用していた。
中国への渡航歴はなく、市は「女性から感染した可能性が非常に高い」としている。
同病院は17日から外来診療の受け付けを休止した。
死亡した女性は、同病院へ入院後、別の病院へ転院していた。
県などは、女性が通院・入院した3医療機関での濃厚接触者を61人確認しており、検査を進めている。
厚労省によると、感染した職員は11日からクルーズ船内の情報の連絡調整などを担当。
14日夜に発熱、16日夜に感染が確認された。
マスクの装着など、感染防止策は取っていた。
乗客乗員との濃厚接触はなく、一緒に仕事をした同省職員2人に症状はないという。
同船では、これまで、検疫に対応した検疫官1人の新型ウイルス感染も確認されている。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021700450&g=soc
2020年2月5日6時10分に神戸新聞から下記趣旨の記事が、手洗い方法などの図解付きでネット配信されていた。
新型コロナウイルスによる肺炎への不安を背景に、使い捨てマスクの品薄状態が続く中、公衆衛生の専門家の間で「予防に有効なのは、マスクより手洗い」と呼び掛ける声が高まっている。
緊急事態宣言を出した世界保健機関(WHO)も、「マスクは感染症拡大を抑止する助けになるが、せきなど呼吸器症状がない一般の人に必要ではない」と明言。
神戸市保健所は、「うつさないためのマスク、うつらないための手洗い」と、手洗いの重要性を強調する。
世界的な感染拡大が連日報じられる中、ドラッグストアなどでマスクの売り切れが続出。
患者との接触が多い医療機関向けが品薄状態となったり、ネットで高額転売とみられるものが出品されたりしている。
しかし、WHOの本部直轄機関である神戸センター(神戸市中央区)は、「いくつかの国では、文化的慣習の中でマスクが着用されているが、防御への有用性について明確なエビデンス(証拠)はない」とする。
WHOは、マスク着用を推奨するのは、呼吸器症状がある人やその看病をする人、医療従事者とした上で、「必要ない状況でマスクを着用すると、誤った安心感を与え、手洗いなど必須の予防手段を怠る可能性がある」と警鐘を鳴らす。
神戸市保健所予防衛生課も、「マスクは原則、症状のある人がするもの」という考えだ。
「予防的使用では、医療従事者のように、一瞬手が触れただけでも廃棄するような正しい使い方であれば、一定効果はある。しかし通常の使い方の場合、雑菌の付いた手で不用意に触るなど、むしろ感染のリスクを高める場合さえある」と話す。
一方、同課は手洗いの重要性を強調する。
ドアやつり革など、不特定多数の人が触れる場所に接触したときには、せっけんを使って手首まで30秒以上洗い、15秒以上水を流し続けてすすぐことが望ましいという。
「新型コロナウイルスによる肺炎は空気感染ではなく、せきやくしゃみのしぶきでうつる飛沫(ひまつ)感染。過剰に心配せず、通常のインフルエンザと同様の対策を心掛けてほしい」と話す。
https://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/202002/0013090280.shtml
1月29日20時45分に朝日新聞からは、下記趣旨のより詳しい記事がネット配信されていた。
中国・武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっています。
中国では多数の死者が出ており、ヒトからヒトへの感染も報告されています。
日本でも感染が確認され、2人の幼児を育てる筆者は、子ども用のマスクを探して薬局をのぞきましたが、在庫切れと言われました。
街中でマスクを着ける人の姿が多く見られますが、正しい装着法ってあるのでしょうか?
また、マスクで新型肺炎は防げるのでしょうか?
役立つ予防法とともに、専門家に尋ねました。
武漢市で、公共交通の一部遮断や高速道路の封鎖が行われた今月23日。
市内に住む大学教員の男性(30)は「N95」のマスクを求めて薬局をはしごした、と取材に答えました。
「普通のマスクじゃダメだとネットのニュースでやっていたんだ。『N95』じゃないと防げないって」
「N95」って、何ですか?
大手マスクメーカーによると、「N95」マスクとは、粉じんやウイルスの吸入を防ぐマスク。
名前の由来は、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格に合格した、つまり米国規格を満たしたマスクのことです。
数字の「95」が使われるのは、直径0・3マイクロメートルの粒子を95%以上除去する効率がある、ということだそうです。
0・3マイクロメートルというのは、スギ花粉の数百分の1で、たばこの煙に含まれる粒子と同じです。
中国のSNS上では「『N95』マスクでなければ意味がない」といったニュースが連日流れ、通販サイト「タオバオ」では偽の高性能マスクが出回り消費者の混乱を招いていると話題になっています。
ちなみに日本でN95に相当するのは、厚生労働省が定める規格を満たした、いわゆる「防じんマスク」と呼ばれるものです。
一方で、コンビニエンスストアやドラッグストアで手軽に購入でき、花粉症の時などに使う「サージカルマスク」とは何が違うのでしょうか。
メーカーの担当者は、「『サージカルマスク』は、口からの唾液(だえき)や飛沫(ひまつ)などを飛散させないことを目的に使うマスクです。サージカルマスクは、ウイルスなどの『吸入』を防ぐことを目的として設計されていません」と説明してくれました。
サージカル(surgical)とは英語で「外科の」という意味で、医師や看護師ら医療従事者が使います。
ただ、例えば合併症などがある患者に対する喀痰(かくたん)検査をするときや、結核病棟で診察する場合には、N95が使われます。
検査対象の飛沫を吸い込んでしまうのを防ぐ効果があるからです。
では、新型肺炎を予防するには、やはりN95でないとだめなのでしょうか。
海外で働く人に医療とセキュリティーのアシスタンスサービスを提供する「インターナショナルSOS」(東京都)を訪ね、葵佳宏医師(42)に聞きました。
――N95マスクで新型コロナウイルスは防げますか?
N95は0・3マイクロメートルの粒子を除去できるフィルターがありますが、新型コロナウイルスは0・1マイクロメートルです。
フィルターの穴を通過してしまい、吸引を防ぐことはできません。
また、防じんマスクは通常、丸いものが多いですが、これでは鼻周りにフィットさせることができません。
隙間ができてしまうのです。
さらに、フィルターの目が細かい分、呼吸が苦しくなるので、長時間つけ続けることは難しいです。
――でも、N95は一般のサージカルマスクより高価です。サージカルマスクよりは効果があるのではないですか?
感染症を扱う頻度が高い医療従事者を対象に、N95とサージカルマスクを使って急性呼吸器感染症への罹患(りかん)率を比較したデータがあります。
両者に差はありませんでした。
別の臨床試験でも、インフルエンザを含む罹患率の比較を行っていますが、N95が優位であったという結果はありませんでした。
つまり、サージカルマスクをつけていてもN95をつけていても、変わらないのです。
――では、どんなマスクであれば予防できるのでしょうか?
基本的な考え方として、マスクに予防効果はありません。
マスクは、自分が風邪を引いたときなどに、くしゃみやせきで唾液の飛沫を周囲にまき散らさないため、他人を感染させないために着けると考えるべきです。
その場合も、マスクの種類ではなく、どう装着するかが大事です。
特に鼻とマスクの間、口角とマスクの間に隙間があると、効果が半減します。
顔に合ったサイズを選び、正しく装着することが重要です。
――防じん用ではなく、市販のもので構いませんか。
構いません。その代わり、
①しっかり口と鼻を覆い、隙間をすくなくする
②汚れたら取り換える
ことが大事です。
「もったいない」と言って何度も同じマスクをつけたり、ポケットに入れたりするのはだめです。
口だけにして鼻を出すのも効果はありません。
あごの下にマスクをつける「あごマスク」は、つけていないと同じ。
汚れたマスクから感染するので、あごマスクをするくらいなら捨てましょう。
――他に出来ることはありますか?
マスクをきちんと正しくつけたうえで、手洗いとうがいをしっかりすることです。
――手洗いはアルコール消毒しないといけませんか?
アルコール消毒が出来ればより良いですが、きちんと手洗いをすれば、せっけんでも十分です。
――きちんと、とは。
せっけんを泡立て、指1本1本をくるくる回すように洗い、指の間の「水かき」部分も洗いましょう。
また、爪の中にもばい菌がたまりやすいので、泡立てたせっけんで、片方の手のひらに指を立てるようにして洗いましょう。
手首も洗い、最後は必ず流水で流し、出来れば使い捨てのペーパータオルかハンドドライヤーを使うことが望ましいです。
家族間でも、タオルやハンカチを共有するのはおすすめしません。
――うがい薬を使ったほうが良いでしょうか?
水で大丈夫ですよ。
その代わり、頻繁に行ってください。
外から帰ってきた時はもちろん、食事をする前、人混みに行った後、電車の中でくしゃみやせきをかぶったあとは、きちんとうがいをしましょう。
――自分から感染させないために、他に出来ることはありますか?
せきエチケットって知っていますか。
くしゃみするとき、手で覆うのはNGです。
いま推奨されているのは、曲げたひじの服の部分を口に当て、覆うスタイルです。
――なぜでしょうか?
手で口を覆った状態でくしゃみやせきをして、その後にその手でつり革やドアノブを触ると、そこが汚染源になるからです。
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
――お酒を飲むと免疫が下がると聞いたことがあります。
人の免疫は、そこまで弱くはありません。
普段1杯飲む人が、少し多く飲んだからといって、そこで免疫が落ちて感染するということは考えにくいです。
むしろ、酔っ払って帰宅して、手洗いもうがいも歯磨きもしないまま寝てしまう方が危ない。
口の中は大変汚い。
歯磨きなどをしないまま寝ると、その間にウイルスや、ばい菌が繁殖することを懸念したほうが良いでしょう。
――私には1歳と2歳の幼児がいます。子どもに感染させないためには、どんなことに気をつければ良いでしょうか?
現在の状況だと、発症して死亡した人のほとんどが60代以上で、持病があった方が多い傾向がみられます。
2歳の子が感染したという情報がありますが軽症で、その他の若年者で重症化したということは聞いていません。
今の段階では、子どもが感染しても重症には至りにくいのではないでしょうか。
昨年流行したはしかは、患者1人から10~20人への感染力があります。
インフルエンザは1人から4人程度。
まだ詳しいことは分かりませんが、新型コロナウイルスは、インフルエンザと同等か、それより弱いと推測されており、過度な心配をする必要はないでしょう。
1月27日時点では中国国外では、院内感染やコミュニティーへの感染拡大は報告されておりません。
この点から見ても、インフルエンザよりは広がり方が狭いのではないでしょうか。
人混みになるべく行かない、手洗いうがいをきちんとする、マスクは顔のサイズに合ったものを選んでフィットさせて装着することを意識すると良いと思います。
https://digital.asahi.com/articles/ASN1X621VN1XUHBI00T.html?pn=12
2月6日付で毎日新聞東京版からは、WHOの担当者もマスクの効果は限定的だと述べたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
世界保健機関(WHO)の担当者は4日、新型コロナウイルスについて「必ずしもマスク着用は感染予防にはならない」と述べた。
手洗いの方が効果的だという。
一方、ウイルスに感染した人は、流行を広げないためにマスクをすべきだと指摘した。
専門家の間では、家族が看病する場合など、近くで症状がある人の飛沫(ひまつ)を浴びる可能性がある場合には、マスクも一定の効果があると考えられている。
しかし野外などでは、マスクでは十分には予防できないとの意見が一般的だ。
記者会見したWHOのグローバル危機準備担当局長シルビー・ブリアン医師は、新型コロナウイルスを巡っては、警戒レベルが最高度の世界的大流行を意味する「パンデミック」ではなく、根拠のない情報が大量に拡散する「インフォデミック」が起きていると指摘。
WHOは科学的に根拠のある情報を発信していくと述べた。
https://mainichi.jp/articles/20200206/ddm/041/040/058000c
2月6日付で毎日新聞東京版からは、ネットでマスクが高額転売されているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消費者庁の伊藤明子長官は5日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの品薄感が急速に進み、転売目的で購入する動きがあることを明らかにした。
「本当に必要な人に届かなくなるのは問題だ」と述べ、取引サイトなどの運営業者に利用者への注意喚起を求める方針を示した。
同庁によると、各地の消費生活相談窓口に「マスクや消毒液が高額で販売されている」、「ぜんそくでマスクを使っているが手に入らない」といった相談が寄せられている。
大手フリマアプリを運営するメルカリは、マスクの出品数や購入数が増えているとして、利用者に適切な範囲での出品や購入を呼びかけている。
ネットオークション「ヤフオク!」のサイトにも、必要とする人が商品を確保できるよう配慮を求める告知が出ている。
https://mainichi.jp/articles/20200206/ddm/041/040/061000c
(ブログ者コメント)
関連情報を調査したところ、マスクの効果に関する弘前大学准教授の図解付き解説が3年前に朝日新聞から下記趣旨でネット配信されていた。
併せ読むと、より一層理解できると思い、紹介する。
ちなみに、今回の新型肺炎は症状が出ていない人でも検査で陽性反応が出ていることから考えると、潜在感染者から他者への感染防止にもマスクは役立っているということだろう。
(2017年1月21日8時15分に朝日新聞)
今回は「飛沫(ひまつ)感染」と「マスク」についてお話しします。
「飛沫感染」とは、せきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫(直径5マイクロメートル=1千分の5ミリメートル=以上の水分)に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染することを言います。
飛沫は1メートルくらい飛んでから落下しますので、通常は1~2メートル以内の至近距離で飛沫を浴びることで感染します。
風邪のウイルスやインフルエンザウイルスがその代表です。
ウイルスそのものは直径0・1マイクロメートルくらいで、普通のマスクの網目よりずっと小さいため、ウイルス自体をマスクで防ぐことはできません。
しかし、ウイルスを含んだ水分の「飛沫」はマスクに引っかかりますので、感染した本人が飛沫を出さないためにマスクをすることは、周囲の人たちにとって十分効果的です。
一方、外出時にマスクをしても、至近距離からせきやくしゃみを浴びることがなければ、予防策としてあまり意味はありません。
ただし、花粉は直径30マイクロメートルくらいなので、花粉症対策としては効果があります。
どのくらい効果があるかは不明ですが、マスクの着用にはもう一つ、「口元の加湿」という意味もあるようです。
ウイルスは細菌と違って、湿度が高いと生存時間が短くなるので、口元の湿度を上げておけば、いくらか効果があると思われます。
マスクをする際は必ず鼻まで覆うように、そしてできるだけ顔とマスクとの間に隙間ができないように装着することが重要です。
しかし、残念ながら飛沫は目にも入ってきて、その粘膜から感染することも多いので、ゴーグルのようなものを着けないと本当の飛沫感染対策にはなりません。
日常生活でそこまでは、ちょっと難しいですね。
感染した本人のマスク着用は重要ですが、周囲の予防としては前回お話しした「手洗い」の方がもっと重要です。
飛沫感染する病原体は、当然、接触感染も起こすからです。
ある学生寮での研究で、「マスク着用と手洗いの両方をした群」は「両方しない群」と比べインフルエンザ様症状の人が35~51%に低下したのですが、「マスク着用のみの群」は有意な低下が認められなかったと報告されています。
手洗いとマスクの両方を実践することが重要なのですね。
一方、「うがい」については、専門家の間でも賛否両論あります。
「ウイルスは目や鼻からも侵入するので、ほとんど予防効果がない」という意見がある一方、水道水によるうがいは、しない場合に比べかぜの発症率を40%抑えたという研究結果もあります。
結論は出ていませんが、しないよりはした方が良いというくらいです。
私の個人的な印象ですが、ベテランの先生、とくに小児科の先生は、かぜをひくことが少ないように思います。
これは、数えきれないほどかぜのウイルスを浴びていて、ウイルスに対する免疫が強くなっているからかもしれません。
感染に神経質になりすぎて、病原微生物と全く接触しないのも、免疫がつかないという意味で問題があるかもしれませんね。
<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>
https://www.asahi.com/articles/ASK1N65LBK1NUBQU00J.html
2020年1月25日6時25分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
メーカー指定以外の純正ではないリチウムイオン電池を使って異常に発熱するなどの事故が増えているとして、NITE=製品評価技術基盤機構が注意を呼びかけています。
NITEによりますと、電池が突然発火するなどリチウムイオン電池を使った製品の事故は、去年1年間で286件報告されていて、このうちメーカー指定以外の電池の事故は少なくとも54件と、前の年の8件から大幅に増えています。
充電式の掃除機や電動工具を使用する際に、インターネットなどで販売されているメーカー指定以外の電池を使っていたケースが多いということで、中には充電中に電池が発火して足をやけどしたケースもあったということです。
事故が起きた電池の中には、製造メーカーや販売業者の連絡先が分からないものや、発火や異常発熱につながる過充電などを防ぐための安全装置が正常に働かないものがあったということです。
NITEは、電池を購入する際には製品に対応しているかどうかなどを確認するとともに、充電ができなかったり異常な発熱があったりした場合は、すぐに使用を中止するよう呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200125/1000042999.html
以下は、今年1月23日付けでNITEのHPに掲載されていた当該記事。
『急増!非純正リチウムイオンバッテリーの事故 ~実態を知り、事故を防ぎましょう』
リチウムイオンバッテリー(以下「LIB」という。)は、スマートフォンやノートパソコンなどの電子機器だけでなく電動工具や電動アシスト自転車など幅広く製品に使われています。
また、使用の広がりとともに、製品事故は毎年増加しています。
こうしたLIBの事故の実態を解説し、事故を防ぐためのポイントを挙げて注意喚起します。
2014年度から2019年度※1の間にNITE(ナイト)に通知のあった製品事故情報※2では、LIBを搭載した製品(以下「LIB搭載製品※3」という。)の事故は合計982件※4ありました。
製品別では、モバイルバッテリー、ノートパソコン、スマートフォンの事故が多くを占めています。
2018年度から2019年度にかけては、充電式の電気掃除機や電動工具の事故が急増しています。
事故の多くは、事業者の指定する純正バッテリーではなく非純正バッテリー※5で発生した火災事故です。
非純正バッテリーの事故は初回充電時や購入後1年未満に多く発生しています。
2018年度まで事故の発生件数が増加していたモバイルバッテリーは、電気用品安全法の規制対象となったことなどから、2019年度の事故発生件数は2018年度よりも同月比で減少はしていますが、引き続き発生しています。
より良い製品を選び、事故を未然に防ぎましょう。
・・・・・
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2019fy/prs200123.html
2020年1月6日19時43分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12月、三重県伊賀市の児童クラブで男子児童のほおについた油性サインペンのインクを落とそうと支援員が特殊な素材でできたスポンジで誤ってこすり、男子児童が皮膚炎を起こしていたことがわかりました。
運営する社会福祉法人は、このスポンジを人の肌に使っていけないという認識が不足していたなどとして、児童と保護者に謝罪しました。
男子児童が皮膚炎を起こしたのは、伊賀市西条で放課後に子どもたちの受け入れなどをしている「児童クラブW」です。
運営している社会福祉法人によりますと、去年12月、遊んでいた小学2年生の男子児童のほおに油性サインペンのペン先が誤ってあたり、2センチほどの線がつきました。
支援員を務める70代の女性が、水をながし指でこすってもインクが落ちなかったため、特殊な素材でできた「メラミンスポンジ」でこすったところ、男子児童のほおの皮膚に直径2センチほどの丸い炎症ができたということです。
保護者からの訴えを受け、市内の診療所で診察を受けたところ、完全に治るのに1か月ほどかかると診断されたということで、社会福祉法人では誤ってメラミンスポンジを使ったことについて、男子児童と保護者に謝罪しました。
運営する社会福祉法人で伊賀市社会事業協会は、「メラミンスポンジを人の肌に使用してはいけないという認識が不足していた。職員の教育を徹底し、信頼回復に努める」としています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20200106/3070002699.html
(ブログ者コメント)
メラミンスポンジを人体に使って負傷した事例は、2016年9月に東大阪市の小学校でも起きている。(本ブログで紹介スミ)
2020年1月6日6時17分に西日本新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
寒い部屋で暮らすとトイレが近くなる-。
そんな経験則を、産業医科大や北九州市立大(ともに同市)などの研究グループが5年間にわたる大規模調査で証明した。
冬季に就寝前、室温を2・5度以上高くすると「過活動膀胱(ぼうこう)」の有病率が約4割減る傾向を確認。
家が暖かいと血圧低下の効果があることも分かり、住宅の温度管理の必要性が注目を集めそうだ。
研究は、医学、建築環境工学の専門家でつくる一般社団法人「日本サステナブル建築協会」の委員会が2014年度から国土交通省の助成を受けて行った。
過活動膀胱は頻尿や、急に尿意を催して我慢できない「尿意切迫感」などの症状があり、国内の40歳以上の8人に1人が症状を持つという疫学調査がある。
グループは18年度までに4500人超の住環境や体調を調べ、比較可能な1300人程度のデータを分析。
窓の改修やエアコン設置、断熱材の活用などで、冬季の室温が就寝前の3時間平均で2・5度以上高くなると、室温が大きく変わらない人よりも過活動膀胱(軽症以上)の有病率が約4割減となった。
また、起床時の室温が低いと、年齢が高いほど血圧が高くなることも分かった。
世界保健機関(WHO)が18年に出した「住宅と健康に関するガイドライン」も、冬季の最低室温は18度以上とするよう勧告している。
英国政府も冬の適正温度を設定している。
今回の調査で、国内では特に九州に冬季18度以下の家屋が多いことも確認されており、産業医大の藤野善久教授(公衆衛生)は、「『大きくて広く、風通しのいい家が良い』という価値観は高度経済成長期に形成されたとみられる。こうした価値観を変え、高気密、高断熱の住宅普及を進める必要がある」と指摘する。
北九州市立大の安藤真太朗講師(建築・都市環境工学)は、「寒い住宅で暮らす背景には、家屋の老朽化や独居高齢者の増加といった社会的な要因もある。寒くても我慢すると健康に良くないことを、国民の共通認識とすることが大事だ」と話している。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/573411/
2019年12月29日6時51分に秋田魁新報から、下記趣旨の記事が事故件数などの棒グラフ付きでネット配信されていた。
秋田県内で過去5年間に雪下ろし中の事故で亡くなった15人のうち、8割以上がヘルメットや命綱を着けていなかったことが県のまとめで分かった。
今月に入り転落事故が相次ぎ、17日には今冬初の死者も出た。
県は今後の積雪に備え、着用の徹底を呼び掛けている。
「山積みの雪が一気に襲ってきた」。
今年1月、横手市平鹿町の自宅屋根で雪下ろしをしていた男性(71)が振り返る。
滑り落ちてきた雪に巻き込まれ、3メートルほど下の新雪に背中から落ちた。
けがはなかったが、「何も抵抗できなかった。地面に雪がなければ大けがだった」
屋根の雪下ろしをして60年以上。
落下したことはなく、「大丈夫だろう」とヘルメットや命綱を着けることもなかった。
「足腰も弱くなった。対策を考えなければいけない」。
今後は雪下ろしの講習会に参加し、これまでのやり方を改めたいという。
県によると、過去5年間の雪害事故による年間死者は3~11人で推移し、計32人。
このうち雪下ろし中の転落で亡くなったのは15人で、4割以上を占めた。
他は流雪溝への転落や、落雪などによる死者だった。
雪下ろしによる死者15人のうち、ヘルメットや命綱を着けていなかったのは13人。
ヘルメットのみと命綱のみがそれぞれ1人で、両方着けている人はいなかった。
今冬は今月5日に初めて雪下ろし事故が発生し、27日までに2人が重傷を負ったほか、仙北市の男性(86)が死亡した。
いずれも命綱などは着けていなかった。
「自分は大丈夫という過信は禁物」と指摘するのは横手市増田町の奥山さん(男性、69)。
住民同士で協力して地域の雪下ろしを行う「狙半内(さるはんない)共助運営体」の会長を務めており、会員にはヘルメットなどの着用や複数人での作業、適度に休憩することを徹底している。
奥山さんは、「体力的に厳しいと感じたら無理をしてはいけない。家族や自治体に必ず相談し、安易な考えで雪下ろしをしないことを心掛けてほしい」と強調する。
ただ、ヘルメットや命綱を着けていても油断はできない。
2017年1月には、命綱を着けて小屋の雪下ろしをしていた80代男性が転落し、宙づりの状態で見つかる事故が発生。
男性は意識不明で搬送され、亡くなった。
県県民生活課は、命綱はあくまでも保険だとした上で、転んでも屋根からはみ出ない長さに調整する必要があると説明。
このほか、
▽携帯電話を持つ
▽作業は必ず2人以上で声を掛け合いながら行う
などを呼び掛けている。
https://www.sakigake.jp/news/article/20191229AK0001/
2019年12月27日20時19分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪府警捜査2課は27日、大阪府内に住む80代の夫婦が、息子などを名乗る男らに現金1040万円をだましとられたと発表した。
銀行側から通報を受けた府警の警察官らが1時間近く「詐欺の可能性がある」と説得したが、夫婦は息子からの電話と信じて疑わず、被害を防げなかったという。
府警によると、12月25~26日、夫婦宅に息子を名乗る男から「会社の同僚の保証人になったが逃げられた。今日中に1300万円を用意しないと会社をクビになる」などと電話があった。
夫婦は銀行に向かい、多額の現金を引き出そうとしたため、銀行側は詐欺の可能性があるとして最寄りの警察署に通報。
警察官が詐欺の手口を説明するチェックリストも使いながら説得したが、夫婦は男から「誰にも言うな」と言われていたため、「夫の治療費に必要」などと説得に応じなかったという。
夫婦は帰宅後、自宅まで受け取りに来た詐欺グループの男に現金を手渡した。
警察官は夫妻を説得する際、本当の息子に電話の内容は事実か確認せず、夫妻の自宅付近で何者かが現金を受け取りにこないかどうかの警戒もしなかったという。
https://www.sankei.com/west/news/191227/wst1912270023-n1.html
12月27日18時39分に日本経済新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪府警捜査2課は27日、府内の80代の夫婦が息子をかたる「オレオレ詐欺」で現金約1千万円をだまし取られたと発表した。
夫婦は金融機関から出金する際、通報を受けた警察官から思いとどまるよう説得されたが、実の息子と声が似ており、信じ切ってしまったという。
府警は詐欺事件として捜査している。
同課によると、25~26日に複数回、長男を名乗る男から夫婦宅に電話があり、「会社の同僚の保証人になったが逃げられてしまった」、「1300万円が必要」などと言われたという。
男の声や口調は長男と酷似していたほか、実の長男は毎月、安否確認などのため夫婦宅に電話していたことから、夫婦は信じ込んだという。
夫婦は26日、金融機関の店舗を訪問。
窓口で1千万円を引きだそうとしたため、不審に思った職員が警察署に通報。
署員3人が店に駆け付けて説得に当たったが、夫婦は「夫の病気の治療費だ。不審な電話もなかった」などと話し、現金をそのまま引き出した。
夫婦は帰宅後、訪ねてきた長男の弁護士のおいを名乗る男に現金1040万円を封筒に入れて手渡した。
その後、実の長男と連絡を取り、詐欺と判明した。
府警幹部は、「本人だけでなく、家族も巻き込んで説得に当たるなどの対策が必要だ」としている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53926910X21C19A2AC1000/
(ブログ者コメント)
〇このようなケースでは、まずは息子に電話させるとばかり思っていた
のだが・・・。
電話させようとしたが、応じなかったのか?
電話させようとしなかったのか?
それとも・・・。
調べてみたが、そういった点に言及している記事は見つからなかった。
〇ちなみに、ブログ者の知人男性(60代後半)が今年、息子を名乗る男からの詐欺被害に遭いかけた。
聞けば、「声が息子にソックリだった」という。
ブログ者より、よほどシッカリしている人なのに・・・。
被害に遭う可能性はだれにでもあると感じた次第。
2019年12月15日17時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
近づいてきたクリスマス。
子供へのプレゼントに「トレーニングバイク」が候補に挙がることもあるのでは?
自転車に乗る前のバランス感覚を身に付けられるとして普及している幼児用のペダルがない二輪車だが、その事故が相次いでいる。
公道や坂道では思わぬ事故にあう危険もあり、消費者庁は安全な使用を呼びかけている。
消費者庁によると、ペダルのない二輪車は2~6歳ごろの幼児が対象で、「トレーニングバイク」や「ランニングバイク」などとも呼ばれている。
幼児が自分でバランスを取りながら地面を蹴って進むもので、ブレーキのないものも多い。
道路交通法上の軽車両にも当たらず、事故の明確な統計もないが、消費者庁は平成22年12月~30年度末までに106件を把握。
その発生場所をみると、道路が50件(47・2%)と半数近くを占め、半数を超える54件が坂道で起きているという。
ただ、106件は24の医療機関(令和元年6月時点)から情報を得たものに限られており、実際の事故件数はもっと多いとみられている。
実際に事故を防ぐ手立てはあるのか。
ペダルなし二輪車の安全教育に取り組む一般社団法人「日本キッズバイク安全普及推進協会」は、安全のための3つの原則を示す。
1つは、消費者庁やメーカー側も呼びかけている「公道走行禁止」。
加えて、「ヘルメット着用」と「保護者同伴」を掲げる。
ペダルなし二輪車は、子供の身体能力向上などの利点も指摘されており、協会の山本事務局長は、「安全に利用するためには、ルールを守ることが大前提。幼児は交通ルールなどを理解することが難しく、保護者がしっかりと安全な場所を選び、目を離さないようにしてほしい」と話している。
ペダルのない二輪車のほかにも、車輪が付いた遊具による事故はたびたび起きている。
平成26年には、キックスケーターで坂道を下っていた小学4年の女子児童が側溝に引っかかって転倒し、約1カ月後に死亡した。
キックスケーターは前後に車輪がある乗り物で、ハンドルを持ち、足で地面を蹴って走行する遊具。
消費者庁には、22年度から26年度の5年間で、10歳未満の子供の走行中の事故情報が64件寄せられている。
少なくとも22件が道路で発生しているという。
ローラー付きシューズの事故も後を絶たない。
靴のかかと部分にローラーが付いていて、助走をつけてつま先を上げるとローラースケートのように滑ることができるが、路上のくぼみにはまって転倒して負傷するケースや、他の歩行者らを巻き添えにする事故も起きている。
消費者庁によると、普通の靴と見分けがつかず、スーパーなどの店舗で履いている子供が突っ込んでくるケースがあり、困惑する客も少なくないとされる。
交通法制に詳しい弁護士の田代隼一郎氏は、キックスケーターやローラー付きシューズも自転車などの軽車両には該当せず、公道での利用は「違反になる可能性がある」と指摘。
「安全面から考えても、公道では使わない方がよい」と話している。
https://www.sankei.com/affairs/news/191215/afr1912150001-n1.html
(ブログ者コメント)
ランニングバイクの危険性については、過去に事例や消費者庁からのニュースリリースなどを本ブログでも紹介している。
2019年12月12日17時32分にFNN PRIMEから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
小さな命を乗せるベビーカー。
しかし、国民生活センターは12日、ベビーカーの転倒による事故への注意を呼びかけた。
国民生活センターは、4歳未満の子を持つ保護者1,000人を対象に調査。
その結果、およそ3割がベビーカーの転倒や子どもの転落を経験していたことが新たにわかった。
国民生活センターが行った転倒実験の映像。
使っているのは、安全基準を満たした欠陥のないベビーカー。
赤ちゃんのダミー人形を乗せて坂道を上る。
同じ状態で、ハンドルに重さ3kgの荷物をかけ、手を放すと、赤ちゃん人形を乗せたまま、勢いよく後ろに倒れてしまった。
段差を越える実験でも、荷物がない状態では楽々乗り越えることができたが、先ほどと同様、ハンドルに3kgの荷物をかけ、乗り越えようとすると、転倒。
今回の調査で、転倒の原因として、最も多かったのが、ハンドルやフックにかけた荷物。
実に全体の7割以上にのぼった。
重みによってバランスが崩れるのは当たり前にも思えるが、街では、ベビーカーの手元に荷物をかけているケースが多く見られた。
ベビーカーを利用する人は、「つい、こっちの方がやっぱり便利だし、手荷物とかは(ハンドルに)かけがち」、「よくあります。ここが重くなってて、離した時にボンって転がったり。全部がかぶさっちゃったから、ちょっと怖かったですね」などと話した。
2019年10月までの5年半に、ベビーカーごと転倒した事故は104件。
乳幼児が転落した例は184件あり、その他のケースも含めると、366人がけがをした。
国民生活センターは、ハンドルに荷物をかけると転倒しやすくなることをあらためて認識し、万が一に備え、必ず赤ちゃんにシートベルトを装着するよう呼びかけている。
https://www.fnn.jp/posts/00428823CX/201912121732_CX_CX
12月12日18時2分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
ハンドルに荷物を掛けるなどしていてベビーカーが倒れ、乳幼児がけがをする事故が相次いでいる。
乳幼児がベビーカーごと転倒したり、ベビーカーから転落したりして医療機関を受診した事故が、2014年4月~今年10月末に288件報告された。
国民生活センターが12日、注意を呼びかけた。
シートベルトをしていなかった生後1カ月の男児が地面に落ち、外傷性くも膜下出血で7日間入院した例もあった。
駐車場のスロープを下りていたところ、ハンドルに掛けていた荷物に引っ張られるようにベビーカーが手前に転倒した。
同センターがベビーカー7商品について調べたところ、いずれもハンドルに荷物を掛けないよう、取り扱い説明書に記載があった。
一方、ベビー用品店などでは、ハンドルに付ける荷物掛け用のフックが販売されている。
4歳未満の子どもがいる男女1千人を対象に行ったアンケートでは、732人がハンドルにフックを付けていた。
実際に転倒・転落を経験したことがある人は286人で、原因は「ハンドルや後付けしたフックの荷物」と答えた人が71%で最も多く、次いで「段差、傾斜、障害物」(21%)だった。
同センターは、
▽子どもが小さく体重が軽い
▽上り坂を通る
▽段差や障害物を通る際に前輪を持ち上げる
場合は、特に注意が必要としている。
担当者は、「子どもを乗せたら必ずシートベルトを装着してほしい」と話している。
また、メーカーに対しては、ハンドルに荷物を掛けて使うことを想定したベビーカーの開発を検討するよう求めた。
https://digital.asahi.com/articles/ASMDD5746MDDUTFL00K.html?pn=3
(ブログ者コメント)
以下は、FNN PRIME放映の4コマ。
2019年11月27日20時55分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事が豊富な写真や図解付きでネット配信されていた。
寒くなると無性に食べたくなるあったか~い「肉まん」や、ほくほくの「焼き芋」。
最近は、電子レンジで温めるだけで、家庭でも味わえますよね。
でも、レンジの使い方をひとつ間違えると火災の原因になると、各地の消防が危険性を呼びかけているのです。
いったい、どういうこと!?
【焼き芋 肉まん 被害報告相次ぐ…】
ネット上でリサーチを開始してみると、すぐに事例がいくつかみつかりました。
(写真)
「レンジで焼き芋は、失敗すると火災警報器が鳴るし芋は炭になるので注意してほしい」
投稿者に連絡をとったところ、11月22日のお昼時のことだったそうです。
「幼児の握り拳ほどの芋でした。ふだんから電子レンジでさつまいもをつくっていました。いつものようにレンジを離れていたところ…」
加熱は500ワットで5分間。
キッチンから離れたところ…。
しばらくして、突然、火災報知機が鳴りはじめました。
別の作業をしていたので煙には気付かず、報知機ではじめて気づいたそうです。
「自らの不注意が原因で、火災一歩手前までいき、危なかった」と話していました。
(写真)
真っ黒に焦げた「肉まん」です。
投稿者に連絡をとって取材したところ、「朝食を食べようと、スーパーで買った肉まんを温めたところ…」とのことでした。
家族がレンジから煙が出ていることに気づき、事なきを得たとのことです。
「芋」と「肉まん」は同様の事例がいくつかみつかりました。
電子レンジでの火災の事例はかなりありそうです。
【実は、各地の消防が注意呼びかけ】
東京消防庁のまとめによると、管内で起きた電子レンジによる火災は増加傾向にありました。
(折れ線グラフ)
平成18年には11件だった火災は、おととしは45件、去年は40件にも上っていました。
(写真解説)
「東京消防庁からの大切なお知らせ」と題した、このリーフレット。
“さつま芋や肉まんなどは長時間加熱すると急速に燃焼する危険性があります。加熱時間を長めにせず、取扱説明書等で確認しましょう”と、注意点が書かれています。
(写真)
東京消防庁が行った再現実験。
その動画はインターネット上に公開されています。
肉まんを電子レンジで加熱しはじめて3分55秒。
電子レンジから煙が漏れ始めます。
(写真)
そして5分37秒後。
レンジ内に煙が充満し、外にも大量の煙が吹き出しています
(写真)
さらにその約20秒後の5分56秒。
肉まんから炎が上がり始めました。
爆発音のような音とともに勢いよく扉が開き、レンジ中で真っ赤に燃えさかる肉まんが…。
こうした現象について東京消防庁のHPでは、
「水分が蒸発し、炭化が進行して可燃性ガスが発生」
↓
「可燃性ガスが充満したときに、食品の炭化した部分が帯電」
↓
「スパークを起こし可燃性ガスに引火して爆発的に燃焼すると推定される」
と説明されています。
【包装・容器にも注意】
食材だけでなく、包装や容器にも注意が必要です。
こちらは、京都市消防局がYoutube上にアップした動画から切り出した画像です。
(写真)
弁当用の使い捨て容器とアルミホイルを加熱。
(写真)
700ワットで50秒ほど加熱すると火花と火が…。
(写真)
電子レンジ内で燃え上がります。
(写真)
結局、アルミホイルには穴が開き、容器は丸焦げになってしまいました。
お掃除していますか?
さらに、こちらのパターンにも注意。
汚れたレンジが火災の原因になります。
(写真)
「NITE=製品評価技術基盤機構」の実験動画です。
(写真)
汚れたレンジで、コップに入れた水をあたためています。
(写真)
すると40秒あまりで画面右から火が…。
内部の壁から火が出ました。
レンジの中に食べ物や油が飛び散ったまま、加熱を繰り返すと、汚れそのものに熱が加わって、発火につながる恐れがあるそうです。
東京都の消費生活部が行った調査(電子レンジの安全な使用に関する調査報告書)では、約6割の人が汚れた状態のまま電子レンジを使用した経験があると回答。
また、約8割の人が加熱しすぎに注意を要するものを温めたり、危険な使用方法をした経験ありと回答しています。
【電子レンジ火災が起きたらどうする?】
もし、レンジの中で発火したら…
・扉は閉めたままにする(扉を開けると、急激に炎の勢いが増すおそれがあるため)
・あたためを中止、電源プラグを抜く
・火が収まるのを待つ
・消えなかったら消火器などを使う
という手順だそうです。
【電子レンジ火災にならないために】
火を使わず、手軽で便利、安心安全なイメージがある電子レンジですが、使い方を誤ると思わぬ事態になりかねません。
対策は?
どうしたら危険な状態になるのか、実は、取り扱い説明書にはしっかり記載されています。
面倒くさいと思いがちかもしれませんが…しっかり読むこと。
さらに、早期に対応するには、電子レンジから遠くに離れないことも大切です。
火を使わない手軽さから、ついつい…という気持ちになりますけど、火災のリスクがあることは忘れずにいたいですね。
この時期、恋しくなる“好物”を満喫するためにも、電子レンジ火災にご用心!
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191127/k10012193471000.html?utm_int=all_side_ranking-access_005
(ブログ者コメント)
〇東京消防庁HPの、さつまいもや肉まん長時間加熱に関する記載は
下記。
東京消防庁では平成28年度、電気火災の抑制方策に関する検討部会を設置し、電子レンジの火災実験を行いました。
この実験で、さつま芋や中華まんなどは、電子レンジで長時間加熱すると爆発的に燃焼する危険性があることが分かりました。
この現象について、平成29年度、東京消防庁消防技術安全所で再現実験を行いました。
その結果、さつま芋や中華まんなどは電子レンジで5分~12分間、加熱すると、爆発的に燃焼することが確認できました。
さつま芋や中華まんなどに限らず、食品を長時間加熱すると水分が蒸発し、炭化が進行して可燃性ガスが発生します。
この可燃性ガスが庫内に充満したときに、食品の炭化した部分が帯電してスパークを起こし、可燃性ガスに引火して、爆発的に燃焼すると推定されます。
実験では、この他に、長時間加熱により爆発的な燃焼をする食材が確認できましたが、加熱時間が数十分となり、通常の調理では起こり難いものでした。
特に電子レンジで調理する機会が多い中華まんや、さつま芋の加熱時間には、十分に注意が必要と言えます。
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/201703/
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
〇アルミホイル使用不可な理由については、下記記事が分かりやす
かった。
(平成24年6月28日 東京消防庁)
・・・・・
電子レンジは、マイクロ波という電磁波を庫内に照射して食品を加熱します。
このマイクロ波は、水分に吸収され、分子を振動させて摩擦熱で食品を加熱しますが、紙や陶磁器、ガラスなどは通り抜け、金属面は流れたり反射したりします。
アルミなどの金属が使われた容器やレトルトパック食品の袋、内側にアルミなどの金属が貼られた冷凍食品の袋などを電子レンジで加熱すると、電磁波によりスパークが発生し、加熱していた食品の容器や袋、庫内に付着した油・食品等のかすに着火して火災となります。
・・・・・
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/240628.pdf
(ノジマ電気HP)
電子レンジ機能を利用する場合、アルミホイルを使うことはできません。
火花が散り、大変危険です。
【火花が出る原因】
電子レンジは、マイクロ波という電磁波を出して、食品に含まれている水分を激しく振動させることで、熱を発生させています。
また、金属表面には電子が存在し、電磁波を浴びることで、この電子が活発に動き回るようになりなります。
アルミホイルも、アルミニウムという金属を薄く伸ばしたものです。
そして、アルミホイルのシワや尖った部分を出口として、電子が飛び出た(放電した)ものが、火花なのです。
そのため、アルミホイルに限らず、金属製食器や金属装飾が施された食器は注意が必要です。
特に、突起の多いものは火花が出やすくなっています。
うっかり加熱してしまうと電子レンジが壊れるだけでなく、火災の原因にもなりますので、食器などが電子レンジ対応かどうか、しっかり確認をしてください。
※オーブン機能付きのレンジに付属している角皿も、電子レンジ機能使用時にはご使用いただけません。
https://www.nojima.co.jp/support/faq/10807/
〇電子レンジ内の食品カスなどが発火する原因については、以下の
ケースもあるとのことだった。
(平成27年3月19日 独立行政法人国民生活センター)
6.テスト結果
(1)電子レンジ庫内壁面の発煙・発火の例(食品カスの付着)
マイクロ波の出口カバーに食品カスが付着したまま加熱すると、その部分にマイクロ波が集中し、発煙・発火することがありました。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20150319_1.pdf
2019年10月8日5時30分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫県姫路市内で9月上旬、民家の照明などが燃えた火事で、原因は照明器具と発光ダイオード(LED)ランプの不適合である可能性の高いことが、姫路西消防署への取材で分かった。
消費者庁によると、蛍光灯が切れた後に取り付けたLEDから発火するケースは全国で相次いでいる。
火災は9月9日夜、同市内の住宅2階天井に設置されていた直径約50センチの環形照明から突然出火。
取り付けて5年ほどのLEDランプの基板が激しく焼損していた。
照明器具には、グロースターター式、▽ラピッドスタート式▽インバーター式-の3種類の点灯方式がある。
同署によると、今回の火災では照明器具の点灯方式がインバーター式だったのに対し、LEDはグロースターター式の器具に対応した商品だったという。
消費者庁によると、蛍光灯や電球が切れた際に長寿命のLEDを取り付けるケースが増加。
照明器具とLEDの組み合わせによっては、内部の電子部品が異常過熱することがあるという。
同庁にはLEDランプに関する事故情報が、今年3月までの約10年間に328件寄せられている。
LEDランプの多くには、商品説明や本体に対応方式を記載してあるが、表記がない場合は問い合わせる必要がある。
同署は今後、詳細な調査を進めるとしており、担当者は「方式が適合していなくても点灯してしまう。LEDの注意書きなどをよく読み、確認してほしい」と呼び掛けている。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201910/0012770536.shtml
(ブログ者コメント)
上記記事よりも、本ブログで2017年3月に掲載した下記記事のほうが、分かりやすいかもしれない。
2017年3月16日報道 蛍光灯用の照明器具にLEDランプを取り付けたことが原因で昨夏3件のぼやが発生、国内製の多くは口金が合わないが輸入品には口金が合うものがある
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6924/
また、今回の報道を機に調べ直したところ、東京消防庁HPに、以下の記事が掲載されていた。
当庁管轄内において、7~8月(ブログ者注;平成28年)に2箇所において直管LEDランプに関連する火災が発生しました。
いずれも直管LEDランプと蛍光灯照明器具の組合せを誤って設置したため、出火したものです。
組合せが違う状態で使用を続けると、内部の部品に過電圧がかかることや、高周波や過電流が流れ込むことで、部品が過熱し出火することがあります。
昨今、直管LEDランプが普及し、誰もが手軽に交換できることから、類似火災の増加が懸念されます。
直管LEDランプを交換する際、蛍光灯照明器具と適合するランプであるかをよく確認してから設置してください。
・・・・・
○火災の要因と対策
各事例とも、交換実施者は蛍光灯照明器具及びランプの始動方式を十分に確認できていなかったため、誤った組合せで設置してしまいました。
○日本照明工業会からの注意喚起
同種事案についての日本照明工業会からの注意喚起が、下記HPに記載されていますので、こちらもご参照ください。
http://jlma.or.jp/anzen/chui/pdf/JLA2008_100715a.pdf
http://jlma.or.jp/shisetsu_renew/pdf/LED_flier.pdf
交換予定の直管LEDランプが交換前のランプと同じ表示でした。
→ランプの表示が同じでも、蛍光灯照明器具の仕様によっては適合しない場合があります。
ご自身で交換する際は、ランプと蛍光灯照明器具の両方を確認してください
とりあえず設置してみて異常なく点灯しました。
→必ずしも適合しているとは限りません。設置して数か月後に出火した事例もあります。
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201610/index.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。