2019年3月25日23時8分に山陽新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年7月の西日本豪雨さなかのアルミ工場爆発と浸水による二重被害に遭った自動車部品製造のK鉄工所(総社市下原)が25日、約8カ月ぶりに生産を再開した。
工場の屋根が吹き飛び、生産設備も泥だらけになったが、周囲の支援も得て復旧。
関係者を招いてセレモニーを開き、再稼働した工場を披露した。
高梁川西岸に位置するAアルミ産業が爆発したのは、7月6日午後11時35分ごろ。
北隣のK鉄工所は、鍛造工場や製品検査工場といった計8棟が、爆風などでスレート製の屋根が飛ばされたり、大破したりした。
従業員ら45人は、退社して無事だった。
浸水被害も重なり、工場は全面的にストップ。
被害額は計り知れないという。
それでも、岡山県内外から駆け付けた取引先などの応援を力に、泥の処理などから着手。
機械は少しずつ修繕するなどしてきた。
昨年末には、金型工場などの6棟が被災前の状態にほぼ回復。
鍛造工場の6ラインのうち、1本をこの日、本格稼働させた。
金型工場なども動き始めたものの、稼働率はまだ全体の1割に満たず、全面稼働は見通せない状況という。
セレモニーには片岡総社市長をはじめ、行政、地元自治会などから関係者ら約40人が出席。
川上社長が、「豪雨でかつてない打撃を受けたが、多くの方々のおかげで歩み出せた。再び(工場が稼働する)音を聞けて本当にうれしい。この地で事業を続け、皆さんのお役に立てるよう頑張りたい」とあいさつ。
社員が工場内を出席者に案内した。
K鉄工所は1932年に大阪市で創業し、72年に現在地に移転した。
熱した鋼材をたたいて加工する「熱間鍛造」が専門で、変速機やエンジンなど自動車の動力を伝える駆動系部品などを製造している。
出典
『爆発と浸水 川上鉄工所が生産再開 総社 8カ月ぶり、工場を披露』
https://www.sanyonews.jp/article/883381/
(ブログ者コメント)
アルミ工場の爆発事故は本ブログでも紹介スミ。
2019年3月25日10時0分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年9月、台風21号による高潮や強風で甚大な被害を受けた関西国際空港。
対岸との連絡橋にタンカーが衝突し、空港利用者らを運ぶ鉄道も連絡橋を走っていたため不通となったが、2週間という早さで復旧を成し遂げた。
復旧現場を指揮したJR西日本近畿統括本部の田淵施設課長は、「海外からの旅行者であふれる関空の姿は、技術者としてこの上ない喜び」と振り返った。
【「想像を絶する」被害】
関空連絡橋は、全長3750mの世界最長のトラス橋だ。
トラスとは、鋼材を三角形になるように接合した骨組みでつくられた構造を指し、関空連絡橋は全6車線の道路の下、トラスの中を鉄道が駆ける。
昨年9月4日昼、台風21号による強風で流されたタンカーが連絡橋に衝突。
道路部分の橋桁は大きく破損して最大4mずれ、鉄道部分に覆いかぶさった。
「1週間は泊まり込みになるな」。
映像を目にした田淵さんは、こう覚悟したという。
翌5日朝、現場の「想像を絶する状況」に圧倒された。
道路部分の橋桁が架線を支えるビームや欄干など構造物を破壊し、鉄道部分の橋桁も最大50cm動いていた。
大阪・泉州沖に浮かぶ人工島の関空にとって、鉄道は1日平均6万人もの人員を運ぶ輸送の要だ。
田淵さんは「空港機能を復活させるには、鉄道を早期復旧しなければ」と考えた。
【できることを】
初めに掲げた復旧見込みは1カ月だが、「何も経験がない現場に、おおまかな工程しか出せなかった」。
すべては手探りの状態から始まった。
大きくずれた橋桁は、道路部分が撤去されるまで手がつけられない。
「撤去までにできることをできるだけ進める」。
多くの作業を並行して迅速に行うことが求められた。
道路も線路も走れる軌陸両用車、クレーン車を手配し、復旧資材の運搬態勢を整えた。
橋桁、レール、構造物などと、それぞれの復旧作業の現場に知識を持つ専門家を招集し、それぞれの判断で工程を進めた。
そんな中、朗報もあった。
鉄道部分の橋桁は安全に問題のある損傷はなく、元の位置に戻せば使えると判明したのだ。
一方、現場は橋だけではなかった。
高潮で浸水した関空島では、一部の線路が水没。たまった海水は3万5000m3。
配備していたポンプでは太刀打ちできなかった。
途方に暮れるなか、冠水した滑走路の排水作業に、近畿地方整備局が大容量ポンプ車10台を派遣していたことを聞きつけた。
支援を要請すると、うち2台が8日から、水没した線路の排水作業に回り、2日間で完了した。
【英知を結集、早期復旧】
道路部分の橋桁がクレーンで撤去されたのが、14日午後2時ごろ。
ここから鉄道復旧の工事が本格的にスタートした。
この時の復旧見込みは、空港が全面再開する21日に繰り上がっていた。
「現場がボトムアップで次々と最善の判断をしてくれた」おかげだった。
道路桁撤去の約1時間後に、鉄道桁の最終の安全確認が完了する。
復旧の最大の山場となったのが、道路桁に押される形で約50cmずれた鉄道桁をスライドさせて元に戻す作業だ。
最初はクレーンでつり上げて戻す方法が検討されたが、ジャッキで持ち上げて水平移動させることになった。
だが、準備を進めるなかで、線路の砂利が落ちないように、橋桁の間が溶接されていることが判明。
初めは、この状態でもジャッキアップで動かせるという考えだったが、現場作業に当たる作業員から、溶接部を一度、切り離すことが提案され、これを採用。
田淵さんは、「一見、遠回りのようで、確実に時間短縮できた」と強調した。
鉄道桁の移動は慎重、かつ迅速に行われた。
完了したのは14日午後9時ごろ。
道路桁の撤去から、約7時間しかたっていなかった。
さまざまな判断の積み重ねから、開通まではさらに3日短縮され、2週間という当初の見込みの半分で鉄道復旧を実現させた。
田淵さんは、「一つでも判断を迷ったりしたら、無理だった」と振り返り、「みんなの英知が結集できた。関空を復活させるという気持ちが一つになったからこそだ」と力を込めた。
◇
【用語解説】関西国際空港の台風21号による被害
平成30年9月4日昼、日本列島を縦断した台風21号による高潮高波で、A滑走路と第1ターミナル、国際貨物エリアが浸水した。
強風でタンカーが流され、対岸とつなぐ連絡橋と衝突した。
午後1時38分、関空で最大瞬間風速58.1mを記録していた。
関空島内には約7800人(うち旅行者約3000人)が留め置かれたが、破損がなかった道路上り線にバスを通し、5日午後11時までに空港外への輸送を完了した。
急ピッチで復旧を進め、7日の国内線の一部再開から、21日には全面再開を果たした。
出典
『関空の鉄道、台風被害から異例のスピード復旧 1カ月が2週間』
https://www.sankei.com/west/news/190325/wst1903250001-n1.html
(ブログ者コメント)
連絡橋へのタンカー衝突事故は、本ブログでも紹介スミ。
また、通信ケーブル復旧時の奮闘状況も紹介している。
(2019年3月11日掲載)
『2019年3月4日報道 昨年起きた台風21号時の関空連絡橋タンカー衝突事故後、NTT西の協力会社社員30人が休憩や食事の時間も惜しみ超特急で通信ケーブルを復旧していた』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9431/
2019年3月26日18時35分にYAHOOニュース(北海道テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日午後6時前、空知の雨竜町で27歳の女性が自宅の洗面台でスプレー缶のガス抜き作業をしていたところ、スプレー缶が突然破裂し、火が出た。
女性は太ももをやけどするけがをしたほか、7mほど離れたベランダの窓ガラスが割れる被害が出た。
警察によると、女性は窓を閉め切った状態で、缶切りのようなものを使い、日焼け止めスプレーなど3本に穴をあけてガス抜きを行っていたという。
スプレー缶の処分方法を巡っては、環境省は中身が残ったスプレー缶に不適切な方法で穴をあけると火災が発生する恐れがあることから、穴あけをしないほうが望ましいとしている。
しかし、今回事故があった雨竜町では、穴をあけてガス抜きを行うよう、町民に説明していた。
今回の事故をうけ、雨竜町役場住民課・中野課長は、「こういう事故が起こってしまって残念に思っています。雨竜町だけでゴミの集積をしているわけではない。(周辺自治体との)組合の中で今後検討していかないとならないと思っている。」としている。
出典
『<北海道>北海道 雨竜町でスプレー缶爆発事故』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190326-00000008-htbv-hok
3月26日7時33分にNHK北海道からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
25日午後6時前、雨竜町の共同住宅の部屋の洗面所で、住民の27歳の女性が日焼け止めスプレー缶あわせて3本を処分しようと穴をあけていたところ、突然、破裂音がして火が出た。
火は一瞬でおさまったが、女性は太ももをやけどした。
また、洗面所から6mほど離れたベランダの窓ガラス1枚が割れた。
当時、女性は部屋の窓を閉め切って作業していたということで、警察は、缶に残っていたガスが何らかの原因で引火したとみて調べている。
スプレー缶の処分をめぐって環境省は、穴をあけると火災が発生するおそれがあるとして、自治体に穴をあけない状態で収集するよう求めているが、雨竜町のホームページでは住民に対して、処分する際に穴をあけてガス抜きをするよう呼びかけている。
出典
『スプレー缶穴あけ中に女性やけど』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190326/0008965.html
2019年3月25日22時31分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日午後1時55分ごろ、胆振管内壮瞥町壮瞥温泉の会社敷地内で札幌市の会社員・鈴木さん(男性、39歳)が電柱(約2.2トン)の下敷きになっているのを、電柱の交換作業をしていた作業員が発見した。
鈴木さんは頭などを強く打ち、約1時間後に死亡した。
警察によると、鈴木さんは古い電柱をクレーン付きトラックに積み込む作業をしていた。
警察は、電柱をつり上げた際にクレーンのアームが折れ、電柱が鈴木さんの上に落ちたとみて調べている。
出典
『電柱の下敷き 男性が死亡 壮瞥』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/289882/
3月26日7時33分にNHK北海道からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日午後2時ごろ、壮瞥町壮瞥温泉のタクシー会社の敷地内でトラックの荷台にクレーンを使って電柱を積み込む作業をしていた札幌市白石区の会社員、鈴木さん(男性、39歳)が、誤って落下した重さ2トンの電柱に頭などをぶつけた。
鈴木さんは病院に運ばれたが、頭を強く打つなどして、まもなく死亡した。
死因は脳挫傷だった。
警察によると、当時、現場付近にいた作業員の話では、クレーンで持ち上げた電柱がトラックに引っかかり、鈴木さんがそれを直す作業をしていて、電柱が落ちてきたという。
警察が事故の詳しい状況を調べている。
出典
『電柱積み込み作業中に男性死亡』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190326/0008967.html
2019年3月26日18時3分にNHK高知から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日正午前、高知市にあるとさでん交通の朝倉電停で、下りの電車が上りの電車の到着を待たずに単線区間に進入し、双方の電車は37mの距離まで接近して停止した。
乗客あわせて12人にけがはなかった。
国の運輸安全委員会は、事故になりかねない重大インシデントと認定し、26日午後、鉄道事故調査官2人を現地に派遣し、本格的な調査を始めた。
とさでん交通によると、この電停では、電車が行き違う際に通票と呼ばれる金属のしるしを運転士どうしが受け渡す決まりになっていたが、下り電車の運転士は「受け取るのを忘れた」と話しているという。
この電停では3年前にも同様のケースがあり、運輸安全委員会から信号の設置を検討するようコメントされていたが、予算の都合で実現できていないという。
国の運輸安全委員会の小池鉄道事故調査官は、「一歩間違えれば大惨事となり、危険な事例だ。3年前の再発防止策をどのように生かしてきたのか検証したい」と話していた。
【とさでん交通の対応は】
通常、朝倉電停では、電車が確実に行き違ったことを確認するため、上りの電車の運転士から下りの電車の運転士に通票と呼ばれる金属のしるしが手渡されることになっている。
今回の一件を受けて、とさでん交通では、朝倉電停に新たに社員を配置し、運転士の間での通票の受け渡しの確認にあたる対応を、当面の間、続けることにしている。
朝倉電停では、3年前にも、通票の受け渡しを忘れた電車が単線区間に誤って進入していて、その後、とさでん交通は、通票を受け取った運転士は近くの電停に無線で連絡し、進入の指示を受けることを新たに定めたほか、通票の受け渡しの確認の徹底を求める看板を電停に設置するなどして、再発防止に向けて取り組んできたという。
出典
『路面電車誤進入 調査始まる』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/20190326/8010004675.html
3月26日8時40分に高知新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
伊野線は、鏡川橋(高知市)~伊野(吾川郡いの町)間が単線区間。
朝倉電停以東は信号で管理しているが、朝倉~伊野間は、衝突を避けるため、対向車両同士が「通票」と呼ばれる通行手形を受け渡して、通票を受け取った車両だけが進入できる。
同社によると、伊野行きの運転士は朝倉電停で通票の受け取りを失念したまま発車。
前方の交差点で停車している対向車両に気付いて停車した。
その後、対向車両が近づいてきて、最終的に車両同士は約37mまで接近した。
この後、同社は鏡川橋~伊野間を一時運休し、代替バスを運行。
午後3時35分ごろ、電車の運行を再開したという。
出典
『とさでん交通 対向電車37メートルまで接近 単線で手続き忘れ 16年もミス』
https://www.kochinews.co.jp/article/264139/
※以下は、3年前の同様事例。
(2016年11月17日 毎日新聞高知版)
17日午前9時ごろ、高知市曙町の「とさでん交通」伊野線朝倉停留場~朝倉駅前停留場間で、必要な手続きを怠った路面電車が、単線区間で対向車両と向き合う形で停車するトラブルがあった。
けが人はなかった。
国交省運輸安全委員会は同日、正面衝突につながる恐れのある「重大インシデント」として調査官2人を派遣。
調査を始めた。
とさでん交通や国交省によると、トラブルがあったのは文珠通発伊野行き下り電車(1両、乗客約70人)で、40代の男性運転士が運転していた。
車両の行き違いが可能な朝倉停留場に停車していた電車は、停留場に到着した対向車両の運転士から「通票」を受け取らないと単線区間に進入できないのに、対向車両の到着前に出発した。
男性運転士は通票を持っていないことに気付いてすぐ徐行し、停留場から約150m先で対向車両を確認して停止した。
対向車両との距離は約60mだったという。
出典
『とさでん交通 路面電車が単線に進入ミス 高知』
https://mainichi.jp/articles/20161118/k00/00m/040/143000c
ちょっと前、2019年3月9日20時4分にSankeiBizから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JFEホールディングス(HD)傘下のJFEスチールは9日、製鉄所の災害対策を強化するため、約50億円を投じる方針を固めた。
排水設備を増強するなどして災害時も稼働を維持し、供給責任が果たされない事態を防ぐ。
昨年7月の西日本豪雨で一時操業がストップし、業績にも悪影響が及んだことから、最優先課題として取り組む。
11日には東日本大震災の発生から丸8年を迎える。
各社の防災意識が改めて高まりそうだ。
JFEスチールは西日本豪雨の際、西日本製鉄所の倉敷地区(岡山県倉敷市)と福山地区(広島県福山市)が冠水。
主要設備の損傷はなかったものの、所内の物流などに影響が出て、操業を一時的に止めた。
排水処理能力は過去の瀬戸内地方の降水量をベースに設定していたが、想定を上回る量の雨が降ったという。
このため、「異常気象がいつでも起こりうる前提で対策に取り組む」(柿木社長)として、まず倉敷と福山の両地区で豪雨対策を推進。
排水処理設備の増強に加えて、集水井戸の掘削やポンプ車導入、雨水流入を防ぐ壁の設置も進める。
その後は、西日本の対策を踏まえつつ、降水量が多く、排水能力が高めに設定されている東日本製鉄所についても、対策を検討する。
鉄鋼各社は、2020年東京五輪もあり、旺盛な需要に恵まれる一方、昨年から今年にかけ、西日本豪雨や台風、北海道地震など相次ぐ災害の影響を受けたほか、不具合などの操業トラブルも頻発。
JFEスチールは、倉敷の第2高炉と東日本製鉄所千葉地区(千葉市)の第6高炉が一時停止し、やはりトラブルのあった福山の第4高炉は、今も通常操業を回復していない。
親会社のJFEHDは、平成31年3月期の粗鋼生産量が昨年7月末時点の予想に比べ200万トン下回るほか、連結経常利益は400億円押し下げられる見通しだ。
鉄鋼大手では、新日鉄住金と神戸製鋼所も災害やトラブルの影響を少なからず受けた。
もともと、設備老朽化やベテラン技術者の大量退職による能力低下が指摘されてきた中、国内製鉄所の再強化は業界共通の課題となっている。
出典
『JFEスチールが自然災害対策に50億円』
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190309/bsc1903092004003-n1.htm
2019年3月22日19時44分に時事ドットコムから、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
富士山が噴火した場合の火山灰対策を検討している政府・中央防災会議の作業部会は22日、降灰量や堆積範囲などの試算結果を公表した。
1707年の宝永噴火のデータを基に、噴火から15日間の累積で、富士山麓で3m以上、東京都心で1~1.5cm積もると試算した。
降灰の範囲は、噴火の規模や風向きなどによって大きく変化する。
今回は、宝永噴火時の状況に近い昨年12月16~31日の風向・風速を用いて、降灰量などを推計した。
試算によると、降灰は静岡県から神奈川、東京、千葉各都県などまで及ぶ。
15日間の累積で、
▽静岡県御殿場市で 約1.2m
▽神奈川県秦野市で 約45cm
▽同県小田原市で 20~25cm
▽横浜市で 約10cm
▽東京湾海上で 約4.5cm
▽東京都新宿区で 1~1.5cm
▽千葉県成田市で 約4mm
それぞれ積もると見込んだ。
試算では、時間経過に応じた降灰量の変化も分析。
15日間ほぼ毎日降り続ける地域もあれば、噴火から数日後にまとまって降る場合もあった。
また、インフラに及ぼす影響も想定。
道路は火山灰が10cm以上積もると通行不能になる他、空港は0.2~0.4mm以上で滑走路の表示が見えにくくなり、空港閉鎖の可能性があるとの見解を示した。
出典
『富士山噴火、都心でも降灰=麓では3メートル以上-中央防災会議』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032201243&g=soc
3月22日20時2分にNHK静岡からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
富士山で大規模な噴火が発生した場合、首都圏を含めた各地にどのように火山灰が広がり影響が出るのか。
国の検討会が公表したシミュレーションでは、周辺で1m以上、首都圏でも数cmから10cm余りの火山灰が積もり、交通機関やライフラインなどに影響が出るおそれがあることがわかった。
検討会のシミュレーションは、富士山で1707年12月の「宝永噴火」と同規模の大噴火が発生、15日間続いたことを想定したうえで、富士山周辺から関東にかけての各地で火山灰がどのように積もっていくか、時間ごとに計算している。
それによると、静岡県御殿場市付近では1時間に1cmから2cm程度の灰が降り続き、最終的に1m20cm程度に達するとしている。
80km余り離れた横浜市付近でも1時間に1mmから2mm程度の灰が断続的に降り、最終的には10cm程度積もる見込みだ。
90km以上離れた新宿区付近では、噴火直後は灰は降らないものの、13日目以降に1時間に最大1mmほど降り、最終的に1.3cmほど積もるとしている。
これによって、富士山の周辺では建物の倒壊など甚大な被害が出るほか、離れた首都圏でも、道路や鉄道、空港などに影響が出るだけでなく、さらに雨が降ると停電が発生するおそれなどもあるという。
検討会では今後、時間ごとに起こりうる具体的な影響を分析した上で、来年度中に対策の基本的な考え方をまとめる方針だ。
検討会の主査を務める東京大学の藤井敏嗣名誉教授は、「いつかは分からないが、富士山は必ず噴火する。都市に火山灰が積もると、交通機関に影響が出て帰宅困難者出たり流通が止まったりするおそれがあり、どのような対策が必要か考えなければならない」と話している。
出典
『富士山噴火で火山灰時間ごと解析』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20190322/3030002350.html
2019年3月22日22時5分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後2時40分すぎ、葛飾区や江戸川区、それに足立区の合わせておよそ4万1900戸で停電が発生した。
東京都によると、この停電は葛飾区高砂の中川で護岸を耐震補強するために都が発注した工事で、作業員が周りをよく確認しないまま、船にのせたクレーンのアームを上げ、川を横断する電線を損傷したことが原因だったという。
その後、東京電力が復旧にあたり、停電は午後3時20分ごろまでに解消されたという。
東京都建設局は、「関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます。都と工事を請け負った業者で再発防止に万全を期したい」と話している。
出典
『4万戸の停電は都の工事が原因』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190322/0027252.html
2018年5月5日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8310/
(2019年3月28日 修正1 ;追記)
2019年3月21日6時0分に西日本新聞から、韓国政府の調査チームも地熱発電の高圧注水が地震の原因だったと発表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
2017年11月に韓国南東部、浦項(ポハン)で起きたマグニチュード(M)5.4の地震について、韓国政府の調査研究チームは20日、震源地に近い地熱発電所で発電のため地下に高圧で注入した水が断層を刺激して発生したとの見解を発表した。
同発電所は、政府が国費185億ウォン(約18億円)を投入した官民事業で、韓国メディアは「天災ではなく人災」と批判している。
浦項地震は韓国の観測史上2番目の規模だった。
中央日報によると、被災した建物などは約2万7000件に上り、被災者が損害賠償を求めて、政府などを相手に相次ぎ訴訟を起こしている。
賠償総額は数1000億ウォンに達する可能性があるという。
浦項の地熱発電所は12年に着工し、16年に試運転を開始。
地下約4kmの岩盤に高圧力で注水し、地熱に温められて発生する水蒸気でタービンを回して発電する。
施設は震源地から約600mしか離れておらず、調査研究チームは、「地下に高圧の水を注入したことで、地震が起きる可能性が高い断層に刺激を与えた」と説明した。
政府は調査結果を受け、浦項市民への「深い遺憾の意」を表明。
事業を中止して敷地を原状回復するほか、用地選定が適切だったかなども検証するという。
島村英紀・武蔵野学院大特任教授(地球物理学)は、「地熱発電が誘発したとされる地震は米国やスイスでも起きている」と指摘。
日本の資源エネルギー庁は、「日本国内には九州を含め約60カ所の地熱発電施設があるが、浦項のように高圧力で注水する方式は採用していない」としている。
出典
『17年の韓国地震、地熱発電注水が触発 政府チーム見解 国費18億円、メディア「人災」』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/495911/
3月21日11時5分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
韓国政府は一帯を特別災難地域に指定し、現在も復興事業を進めている。
国内外の専門家で構成された政府調査団の調べでは、地熱発電の開発で地下に高圧の水を注入したため、時間の経過によって地震を引き起こしたとみられるという。
10年に国家研究開発課題として地熱発電開発を始めるまで、周辺で大きな地震は発生していなかった。
政府は開発の中断を決めたという。
地下に注水することで地震が発生しやすくなる現象は、シェールオイルの掘削が進む米オクラホマ州などでも知られている。
水によって、地下にかかる力が変化することが原因と考えられている。
出典
『地震の原因、地熱発電の開発だった 韓国政府が謝罪』
https://www.asahi.com/articles/ASM3N5328M3NUHBI01J.html
3月20日20時38分にNHK NEWS WEBからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この地震の震源の深さは7kmだったのに対し、注水が行われたのは地中およそ4km付近だったということだが、注水の際に圧力が発生して断層が動き、マグニチュード5.4の地震につながったとしている。
一方で、今回の結果について韓国メディアは、実証実験が十分でないとか、自然に発生した地震の可能性もあるといった見方も伝えている。
出典
『M5.4の地震 地熱発電で地下に大量注水が原因 調査チーム 韓国』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190320/k10011855281000.html
(ブログ者コメント)
今年2月、北海道で起きた地震に関し、鳩山元首相がツイッターで「地震の原因は今回の震源地近くでCO2を高圧で地下に貯留していること」といった趣旨のことをつぶやき、それが警察からデマ認定されて物議をかもした。
調べてみると、当該施設ではCO2を数10~数100気圧という高圧で地下1kmより深い場所に圧入している由。
出典例 (2018年4月10日 17時0分 東洋経済)
『地下3000メートル!「CO2貯蓄施設」の実態 苫小牧の実証実験センターを現地ルポ』
https://toyokeizai.net/articles/-/215829
元首相のつぶやき内容とつぶやいたタイミングの是非はともかくとして、地下への高圧注入という点は同じなので、少し気になった。
2019年3月21日0時7分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
砂川市立病院は20日、昨年12月に紛失・盗難の可能性があるとして警察に届け出ていた筋弛緩剤の瓶(5mℓ)1本が見つかったと発表した。
同病院は昨年12月20日、手術室の鍵付き保冷庫にあった筋弛緩剤のうち1本が空であることに気づき、警察に通報。
その後の調べで、保冷庫の下から筋弛緩剤が入った瓶1本が見つかった。
看護師が取り出す際に誤って落とし、使用済みの空き瓶と取り違えたという。
筋弛緩剤は全身麻酔の導入時に使うが、毒薬にも指定されており、瓶1本分は成人3人分の致死量にあたる。
同病院の平林事業管理者と田口院長は連名で「医薬品管理の不手際や事実確認の不足で利用者や市民に迷惑と心配をかけ、おわび申し上げる」とのコメントを出した。
出典
『紛失?の筋弛緩剤発見 砂川市立病院』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/288505/
3月21日9時59分に北海道文化放送からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年12月、砂川市立病院で成人3人分の致死量に相当する筋弛緩剤1本がなくなった。
盗まれた疑いもあるとみて、2月、警察が再捜査したところ、保管していた冷蔵庫の隣りの冷蔵庫の下から筋弛緩剤が見つかった。
その後の鑑定で紛失したものとわかり、盗まれていなかったことも確認された。
砂川市は20日、管理の不徹底などを理由に院長と薬剤部長に口頭で厳重注意した。
出典
『砂川市立病院で紛失の筋弛緩剤発見…隣の冷蔵庫下で』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190321-00000003-hbcv-hok
(ブログ者コメント)
病院側も、隣の冷蔵庫の下を含め、くまなく探していたと思うのだが・・・。
Aさんが探して見つからなかった場所でBさんが探すと見つかった・・・たまにそういうことがあるが、今回もそんなヒューマンエラー的なことが起きたのだろうか?
2019年3月21日22時59分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長崎市の長崎港周辺の道路で21日夜、冠水が相次いだ。
長崎地方気象台によると、短い周期で海面が大きく上下する「副振動(あびき)」と呼ばれる現象が発生し、午後8時40分ごろから午後9時20分までに、約30分周期で最大105cmの高低差を観測した。
長崎市消防局によると、午後9時半時点で、けが人の情報は入っていない。
長崎県警によると、冠水はおさまっているという。
副振動は高潮や津波とは異なり、海面上の気圧の振動などが原因で発生すると考えられている海面の昇降。
冬から春にかけて、九州西岸の入り江などで高低差が大きくなりやすい。
長崎港では21日午後8時35分が大潮の満潮だった。
そこに副振動による海面上昇が重なり、潮位が異常に高くなったとみられる。
市消防局によると、浦上川沿いの稲佐地区や市中心部の銅座地区が一時、冠水した。
JR九州は、長崎線の浦上~長崎間で線路が冠水したため、午後8時45分ごろから約1時間半、運転を見合わせた。
出典
『長崎市内で「あびき」か 海面が昇降、各地で道路冠水』
https://www.asahi.com/articles/ASM3P76NNM3PTIPE02G.html
3月22日12時33分にYAHOOニュース(長崎放送)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午後9時ごろ、長崎市の宝町や銅座町など広い範囲で道路が冠水し、付近の店舗や住宅の床上や床下が浸水した。
気象台によると大潮の昨夜、満潮の時刻にあびきと呼ばれる大きな潮位変動が重なって、午後8時40分ごろには30分間で1m以上海面が上昇した。
銅座町の居酒屋では、店の人が「あっという間にひざ下まで水が入ってきた」と話し、溜まった水をかき出す作業に追われていた。
冠水の影響で、JR長崎駅では列車の運行を1時間半ほど見合わせ、およそ1600人に影響が出た。
気象台は、昨夜の長崎港の潮位が、観測史上、最も高くなった可能性があるとみて調査するとともに、今後も大きな潮位の変動が発生するおそれがあるとして、係留した船舶などへの被害と海岸や河口付近での浸水に注意を呼びかけている。
出典
『長崎であびき現象 市街地も冠水』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-00002259-nbcv-l42
3月23日0時10分に長崎新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR九州は、浦上駅~長崎駅で約1時間半、列車の運行を見合わせた。
2本が運休、14本が最大約1時間40分遅れ、計約1600人に影響が出た。
警察によると、松が枝町などで数10棟が床上・床下浸水しているとみられる。
銅座地区でスナックを経営する男性(64)は、「水かさは20cmほど。カウンターにビール瓶が流れ込んできた。こんな現象は初めてだ」と驚いていた。
出典
『長崎港で「あびき」 最大105センチ 家屋や飲食店浸水』
https://this.kiji.is/481626595184313441?c=39546741839462401
3月23日11時19分に長崎新聞からは、過去最高の潮位だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長崎地方気象台は、22日に実施した調査結果を発表した。
発生当時、長崎港内の検潮所では最高2.38mの潮位を計測し、2012年9月17日、台風16号に伴い観測した過去最高の潮位2.19mを更新した。
現地調査の結果によると、陸上の最高潮位は長崎県長崎市宝町の2.8mだった。
今回の浸水は大潮の満潮時間帯に「あびき」が重なり、一時的に潮位が非常に高くなったことで発生したとみられる。
長崎県警によると、「あびき」による同市内の床上・床下浸水は約25棟が確認されたという。
人的被害は確認されていない。
九州電力長崎支社によると、21日夜、「あびき」による漏電が原因とみられる停電が3件発生。
長崎市消防局によると、「道路が冠水している」などとの通報が計26件あった。
4月までは「あびき」が発生しやすい時期であることから、同気象台は引き続き、低地での浸水や船舶の転覆などに注意を呼び掛けている。
出典
『「あびき」過去最高潮位 21日夜、長崎港で2.38メートル』
https://this.kiji.is/482010590829020257?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
長崎港でのあびき現象については、過去にも本ブログで発生状況や発生機構を紹介スミ。
ただ、今回のような被害は報道されていなかった。
2019年3月21日付で岩手日報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
20日午前9時40分ごろ、盛岡市中ノ橋通のコインパーキングで、発券手続きをしていた同市上田の男性(82)が、運転していた軽乗用車と発券機の間に挟まれた。
男性は同市内の病院に運ばれたが、出血性ショックで死亡した。
警察によると、男性は駐車場入り口の発券機前で、オートマチック車をドライブのままブレーキを踏んで停車。
発券機に手が届かず、ドアを開けて身を乗り出したところ、足がブレーキから離れて車が発進した。
車外に投げ出され、車と発券機の間に挟まれたとみて原因調査中。
出典
『発券機に挟まれ82歳死亡 盛岡の男性「ドライブ」で停車か』
https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/3/21/50065
2019年3月19日20時0分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米ボーイングの小型旅客機「737MAX」の墜落事故に関連し、機体を自動制御する「MCAS」と呼ぶシステムについて、操縦士が十分な説明や訓練を受けていなかった可能性が浮上している。
米メディアによると、同社はフライトシミュレーター訓練を提供せず、端末を用いた2時間程度の簡易訓練を実施したのみだったという。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、従来機種の「737NG」での飛行経験がある操縦士には、737MAXのフライトシミュレーターによる訓練を不要とした。
ボーイングが用意したのは、タブレット端末を用いて従来モデルとの変更点を説明する2時間ほどの教材と、13ページのマニュアルだったという。
新型機の導入時には、通常、操縦士は実際のコックピットを模したフライトシミュレーターを使って疑似飛行訓練を受ける。
だが、米連邦航空局(FAA)は737MAXを旧モデルの派生機種と認め、端末による簡易訓練で足りると認めた。
アメリカン航空の操縦士らはフライトシミュレーターによる訓練を求めたが、機材やデータがそろわないなどの理由で聞き入れられなかったという。
737MAXは昨年10月のライオンエア(インドネシア)に続き、10日にはエチオピア航空が墜落。
エチオピアの墜落現場から回収したブラックボックスの分析にあたったフランス航空事故調査局(BEA)は18日、「インドネシアの事故との明確な類似点が報告された」と発表した。
事故原因が単純な人為ミスではなく、機体やシステムの何らかの不具合だった可能性が強まった。
インドネシアの墜落事故ではMCASに用いるセンサーのデータに誤りがあり、システムが誤作動を起こした可能性が指摘されている。
操作マニュアルでは、MCASに不具合が生じた場合は手動操縦に切り替えて運航を継続することになっていたが、操縦士が新システムの操作に習熟していなかった可能性がある。
FAAは昨年10月のインドネシアの墜落事故後、ボーイングに操作マニュアルを改定するよう求めたが、訓練内容は変えなかった。
エチオピア航空の事故を受けて、FAAは制御ソフトの改修を指示。
操縦士の記憶に頼らない操作手順への変更を指示し、訓練要件の見直しも義務付けていた。
ボーイングのデニス・ミュイレンバーグ最高経営責任者(CEO)は18日のビデオメッセージで、「間もなくソフトウエアを更新して、新しい訓練方法を導入する」と語った。
格安航空会社(LCC)の台頭や燃費性能に優れた小型機の便数増で、旅客機のパイロットは恒常的に不足している。
新型機の受注競争では、時間のかかるフライトシミュレーター訓練が必要な機種より、端末による簡易訓練で済む機種が有利とされる。
習熟不足が2度の大惨事を招いたとすれば、簡易訓練を認めたFAAの安全管理が問題視される可能性もある。
出典
『ボーイング墜落事故原因、新機能の習熟不足が浮上』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42656750Z10C19A3TJ2000/
3月19日20時9分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5カ月間に2度の墜落事故を起こした米ボーイングの最新鋭小型機「737MAX」をめぐって、米連邦航空局(FAA)の事故前後の振る舞いに、疑念の目が向けられている。
米議会などの検証が本格化しそうだ。
昨年10月にインドネシアで起きた最初の事故は、機体の傾きを測るセンサーから誤ったデータが送られ、航空機の失速を防ぐ飛行システムが誤作動。
自動的に機首を下げようとして墜落した。
今月10日のエチオピアの事故でも、「はっきりした類似点」(モゲス運輸相)が指摘されている。
このシステムは737MAXに新たに採用された。
従来の737型機よりも大きなエンジンを積んだせいで、機首が上がるなど機体が不安定になるのを防ぐためだったが、墜落事故を招いた可能性が疑われており、FAAが2017年に与えた型式認証の手続きが適切だったか、問題視されている。
米紙シアトル・タイムズは、FAAが審査手続きの中で、このシステムの安全性評価をボーイング自身に委ねていた、と報じた。
当時はライバルの欧州エアバスが「A320neo」で新型小型機の開発競争をリード。
複数のFAA関係者は、737MAXの認証を急ぐよう幹部から圧力があったと同紙に語った。
重要プロセスの一部をボーイングに「丸投げ」することにより、審査時間の短縮を図った可能性がある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルなどによると、FAAの上位組織にあたる米運輸相の監察官は、FAAの認証手続きに問題がなかったか調査に入った。
米司法省の刑事部門も捜査に入った。
裁判所の大陪審を通じ、関係者に電子メールなどの記録提出を求めたようだ。
両省が連携しているとの情報もある。
FAA職員らは、関連資料や通信記録などを削除しないよう指示されたという。
737MAXを操縦するパイロットに、新システムを扱う訓練をFAAが義務づけなかったことにも米議会から疑問が出ている。
ボーイングは顧客の航空会社に対し、従来の737型機のパイロットなら最低限の訓練だけで737MAXも運航できるという経済性をアピールしていた。
米下院運輸インフラ委員会は、今後、FAAの認証手続きをめぐる調査に入り、訓練を見送った経緯を問いただす方針だ。
エチオピアでの事故を受け、世界の航空当局が737MAXの運航停止に踏み切る中でも、FAAは「安全性を疑わせるようなデータはない」などとして停止措置に抵抗。
自国の主要産業であるボーイングへの配慮を疑う声も出ていた。
FAAは事故3日後の13日、主要国では最後に運航停止を決めた際、二つの事故の類似性を示す新データが得られたためなどと説明した。
だが、米紙ワシントン・ポストによると、FAAは当該データを事故翌日には入手していたという。
トランプ米大統領は運航停止を発表する中で「大変な決断だった」と語り、自身の関与を強くにおわせたが、決定の遅れに批判が高まるにつれ、この話題に触れなくなった。
世界の航空当局で範を示す存在だったFAAだが、737MAXの墜落事故を機に、その立ち位置が問われ始めた。
出典
『安全性評価、ボーイングに丸投げ? 墜落事故で新疑惑』
https://digital.asahi.com/articles/ASM3M4GW0M3MUHBI00K.html?rm=367
2019年3月19日16時48分にNHK北九州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ガソリン車に誤って軽油を給油するなど、車の燃料を入れ間違えるトラブルが福岡県内で去年12月の1か月間に24件起きていたことがわかり、JAF・日本自動車連盟が注意を呼びかけている。
JAF・日本自動車連盟によると、去年12月の1か月間に車の燃料を間違えて給油するトラブルは全国で390件にのぼり、このうち福岡県内は24件だった。
入れ間違いはドライバーなどが自分で給油するセルフ式のガソリンスタンドで目立ち、「軽自動車は軽油だと思った」とか「自分の車ではなく会社の車や代車だったので燃料の種類を確認しなかった」など、勘違いや思い込みが原因で入れ間違えたという。
セルフ式のガソリンスタンドでは、入れ間違えを防ぐため、給油ノズルの色が、レギュラーガソリンは赤、軽油は緑などと、色分けされているということで、JAFは、「初めて乗る車に給油する時は必ず燃料の種類を確認してほしい」と話している。
出典
『車の給油の入れ間違いに注意』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20190319/5020002759.html
(ブログ者コメント)
3年前、埼玉県の状況についても本ブログで紹介した。
当該記事中、全国では12月の1ケ月間に269件の救援要請とあったので、3年間で4割ほど増えている計算になる。
『2016年4月14日報道 給油間違いによるJAFへの救援依頼は昨年12月の1ケ月間で全国269件、原因は相も変わらず「軽自動車だから軽油を入れた」など』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5833/
2019年3月19日12時35分にNHK静岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、御前崎市で、高圧の電線を修理していた作業員の男性が感電し、一時、心肺停止になった労働災害について、磐田労基署は、危険を防止するための必要な措置を講じなかったとして、中部電力と出先部署の元所長の男性を労安法違反の疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、中部電力と出先部署「浜岡サービスステーション」の元所長の51歳の男性。
同署によると、中部電力と元所長は、去年7月下旬、御前崎市内で高圧の電線の修理を行う際、作業に当たった当時28歳の男性に、感電を防ぐ保護のための器具を十分装着させないなど危険を防止する必要な措置を講じなかったとして、労安法違反の疑いが持たれている。
男性は作業中に感電し、一時、心肺停止になったという。
同署は18日、静岡地検浜松支部に会社と元所長の書類を送致した。
調べに対し、元所長は容疑を認めているという。
中部電力は、「関係者の皆様におわび申し上げます。作業の安全にいっそう努めて参ります」としている。
出典
『感電で中電と元所長を書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20190319/3030002317.html
2019年3月19日21時47分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
19日午後3時10分ごろ、函館市万代町、函館港万代埠頭に停泊中の貨物船「天栄丸」(499トン、4人乗り組み)から、船長の峠さん(男性、74歳)が海中に転落したのを函館海保の職員が目撃した。
海保職員が救助したが、峠さんは間もなく死亡した。
海保によると、当時、天栄丸は出港に向けた作業中だった。
いかりに別の貨物船の鎖が絡んでいたため、峠さんは船首付近から縄ばしごを使って、いかりから鎖を外す作業をしていたという。
出典
『貨物船船長が海中転落、死亡 函館港』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/288044/
2016年12月28日に掲載した第3報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第4報修正3として掲載します。
第3報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6615/
(2019年3月24日 修正3 ;追記)
2019年3月18日11時45分にNHK首都圏から、学生以外に大学教員やイベント会社社長らも書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警視庁は、展示物を制作した大学生やイベント運営会社の社長らあわせて6人が安全管理を怠ったとして、18日、業務上過失致死傷などの疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、展示物を制作した日本工業大学の21歳の学生2人と、学生を指導する立場の39歳の担当教員、イベント運営会社「T社」の70歳の社長や運営責任者ら3人の、あわせて6人。
警視庁が安全管理に問題がなかったか捜査した結果、展示物をライトアップするため熱を発しないLED電球を使う予定だったところ、学生2人は屋外で使う白熱電球を投光器として内部から点灯させてしまい、この熱が原因で展示物の中に入れていたおがくずから火が出た疑いがあることがわかった。
担当教員は具体的な指導や監督を行っていなかったほか、イベント運営会社は熱を発するものの使用について注意喚起すべきだったとしている。
5歳の男の子が亡くなった今回の火災。
警視庁は、同じかたちの展示物を作って再現実験を行ったり、同様のイベントを開いている10数社から安全管理の体制を聞き取ったりして捜査してきた。
ジャングルジムは、杉の木を使った45cm四方のキューブをいくつも積み重ねたもので、中には700ℓ分の杉やひのきをかんなで削ったくずやおがくずが敷かれていた。
出火当時、展示物の中にはライトアップするため、夜間作業用の500ワットの白熱電球が置かれていて、再現実験の結果、白熱電球は280℃まで温度があがり、木材の発火点であるおよそ250℃を超え、数秒から2分以内で発火したという。
一方、当初予定されていたLED電球を使った場合、最高温度は40℃ほどだった。
白熱電球はセメントで植木鉢に固定されていて、イベントのあとの解体作業で使うために、近くに置かれていた。
警視庁によると、学生は「暗くなったので、その場のアイデアで白熱電球を置いてしまった」と話し、教員は「指導監督はしていなかった」と説明しているという。
展示物は消防法の適用対象にはあたらず、イベント運営会社は展示物の高さや設置エリアは制限していたが、熱を発するものの持ち込み制限はしていなかった。
警視庁は、巡回などを通じて注意喚起すべきだったとした。
イベント会社の社長らは、「保守管理は学校ですべきだ」と説明しているという。
今回の火災では、木製のジャングルジムは屋外に設置されているため消火器の設置義務はなく、近くに消火器は設置されていなかった。
これについて、東京消防庁のOBで市民防災研究所の坂口さんは、「法令の規制があるなしではなく、不特定多数の人が訪れるイベントを開催する以上は、事故を起こさないという視点で安全対策を講じることは主催者の責任だ」と指摘した。
また、今回のように来場者が展示物の中に入ったり触れたりして楽しむイベントでの注意点としては、「イベントにどんな危険があるのか洗い出すなど、主催者がみずから考え、実行に移すことが重要だ」と述べ、危険性を洗い出すチェックシートなどを作成し、法令だけにとらわれない、幅広い対策を徹底していくことが安全を守る上で必要だと提言していた。
出典
『男児死亡展示物火災6人書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190318/0027031.html
(2020年5月2日 修正4 ;追記)
2020年5月1日1時4分にYAHOOニュース(TBS NEWS)から、遺族が大学などに対し賠償請求提訴した、書類送検された6人のうち大学生2人以外は不起訴になっていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男の子の遺族が出展した大学側と主催した会社を相手取り、損害賠償を求めて提訴しました。
男の子の遺族の代理人弁護士によりますと、訴えでは「投光器を置き続けることで発火の危険性があると予見できた」と主張。
学生を指導する立場にあった大学側には注意義務を怠った責任があり、イベントの主催会社は入場者の安全確保の義務を怠ったとして、あわせて1億2000万円の損害賠償を求めています。
この火事をめぐっては、大学生2人が重過失致死傷の罪で在宅起訴された一方、イベント会社の社長らと大学教員が不起訴となりました。
提訴にあたり、男の子の両親は、「この事故が関係者を含め世間からも未解決のまま忘れ去られ、今後の安全対策にも活かされず、風化されてしまうのではと焦りを感じています」とのコメントを寄せました。
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20200501-00000006-jnn-soci
(ブログ者コメント)
関連情報調査中、法的責任の所在に関する4年前の解説記事も見つけた。
参考までに紹介する。
『外苑火災事故、法的責任を問われるのは誰か 免責事項だけでは、主催者は逃げ切れない』
(2016年11月9日 11時34分 東洋経済オンライン;重野真 フリーライター)
・・・・・
今回の事故について、法的責任は一体どこにあるのだろうか。
元検察官の坂根義範弁護士は、「今回の事件では、業務上過失致死傷という刑事責任と、損害賠償を負う民事責任があり、これを分けて考えるべき」と述べ、出火原因がまだ確定していないが、現段階で指摘されている「白熱電球の発熱による木屑の発火」が原因であるという仮定の上で答えてくれた。
「まず民事責任について考えると、今回のイベントが遊園地のように料金を支払って入場していることに着目する。これにより主催者には、入場者が安全に楽しめるようにする義務が生じる。これが果たせなかった今回は、民法415条の債務不履行責任を負うことになる。さらに、火事を起こしたことによる民法709条の不法行為責任も生じるだろう」(同)
「T社」の展示物に関する安全基準内部資料によると、「展示装飾品は、法令により防炎防火対象物に指定されています」とし、製作者に「装飾資材は、消防法により指定された防炎・防火材を使用する等、日本国における内装制限の諸規則に準じて選定してください」と遵守を促す項目があったようだ。
しかし、T社の主催者は、遵守状況をチェックをしていないことを明かしており、結果的に火災が発生していることから、不法行為責任を負う可能性がある。
展示物を作成した学生が予定外の白熱電球を勝手に使っていたという事情があるにしても、責任を逃れられるわけではないだろう。
【屋外だったため、消防法の適用外】
また、今回の事故は屋外で起きていることも重要な事実だ。
屋内に関しては、大人数が出入りする場所において、消防法に基づく防火管理者の選任や消防計画の作成などが義務付けられている。
しかし、屋外に関しては、消防法の規制外である。
消防庁予防課は、「屋外イベントに関しては、都条例により、一定の規模で火気を使用する場合には届出が必要となる」と話す。
だが、今回使われたような照明器具では、基本的に「火気」には当たらないという。
また、「T社側からは、イベント自体の届出はあったものの、焼失した木製ジャングルジムは届出の対象外であり、消防署によるチェックはなかった」(同)とのことなので、行政機関の監督外だったということになる。
では、学生側の責任はどうなるのか。
坂根弁護士によると、原則的には「ジャングルジムの設計や製作を指導的に進めた者」と「白熱電球をジャングルジムに設置した者」、「白熱電球の点灯を決定した者」、「白熱電球の点灯のスイッチを押した者」のそれぞれの行為が不法行為者になりうるという。
さらに、これら全体をチームとして指揮・監督した者に関しては、ジャングルジム製作への関わり具合によっては、民法715条の使用者責任が問題になるとした。
また、法的責任を問うには注意義務違反が必要となる。
学生側に危険な結果の予見可能性があり、かつ危険な結果を回避できる可能性があったことが求められるが、これについて坂根弁護士は、「学生が、白熱球使用による熱でジャングルジムの木屑が発火し、さらに燃え広がることをどれだけ具体的に予測できたかが争点になるだろう。一般通常人の経験則上、燃え上がると想定できたとは、一概には言い切れないのではないか」と指摘する。
そして、学校側の責任については、「今回のデザインウィークの出展に、どれだけ大学の管理が及んでいたか、その指導や後押しなどの度合いによっては、学校が責任を負うこともありうる」(同)という。
報道によると、白熱電球の投光機は当初、使用する予定がなかったものだが、大学が貸し出してジャングルジムの中に設置していた。
「素の家」を製作したのは同大学の学生有志で、大学は補助金を出すなど支援し、複数の教員が指導に当たったということだった。
このことにより、一定の責任があると判断され、管理監督責任としての損害賠償責任(民法715条1項)を問える。
製作者である日本工業大学側は7日、記者会見で謝罪している。
その中で、成田健一学長は、「大学の責任の下、出展した。対応が十分だったとはいえない。事故に関する全ての責任は大学にある」と踏み込んでいるが、そこまで言い切れるかは疑問だろう。
【主催者の法的責任も見過ごせない】
「T社」の主催者は会見で、「消防法に照らして問題がないよう準備してきた。照明など電気を使う場合は電圧に制限も設けており、火災が想定されないかは開催前から十分確認していた」と説明している。
今回事故が起きた「素の家」については、学生側が事前に提出した書類で構造は確認していたものの、照明と素材の位置関係など詳しい記載が書類になかったとしている一方で、「作品にとがった部分がないかや、作品の高さなどは確認しているが、全部で600点ある作品の一つ一つを詳しくチェックするのは困難だった」とも釈明している。
しかし、T社と出展した学生との間に「事故等の一切の責任は、主催者が一切負わない」との免責事項があったとしても、主催者の責任を問われる可能性は高いと、坂根弁護士は指摘する。
「たとえ免責の一文があったとしても、裁判所は、無条件に免責を認めるわけではなく、主催者として果たすべき責任について個別具体的に判断するだろう」(同)。
今回の悲惨な事故は、学生たちの不注意で起きたことは確かで、法的責任の程度も大きいはずだ。
とはいえ、社会経験が浅い学生たちに「子供の死亡」という重い責任を全面的に負わせるのは酷な部分も多い。
学生たちをしっかりと監督、指導できなかった主催者の責任も見過ごすことはできないだろう。
https://toyokeizai.net/articles/-/144178
2019年3月18日6時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大災害時に膨大な傷病者の中から治療の優先順位を判断する「トリアージ」でミスがあったら・・・。
東日本大震災で亡くなった被災者の遺族が病院を提訴した。
トリアージに特別な免責規定はなく、法的整備を検討すべきだとの声もあった中での提訴で、災害医療関係者には波紋が広がっている。
日本災害医学会は、近く、法制化に向けて議論を始める。
裁判は、東日本大震災で被災し、搬送先の病院で亡くなった宮城県石巻市の女性(当時95)の遺族が、病院正面玄関で行われたトリアージに過失があったとして、石巻赤十字病院を仙台地裁に提訴。
約3200万円の損害賠償を求め、1月に口頭弁論が始まった。
訴状などによると、女性は治療不要の「緑」と判定され、避難所への搬送まで院内の待機エリアで待つ間に、脱水症で死亡した。
しかし、自立歩行や適切な意思疎通ができない要介護5の認定を被災前に受けていたことから、少なくとも中等度の「黄」とされるべきだったと指摘。
必要なケアを受けられないまま搬送3日後に死亡したのは病院に責任があると主張する。
病院側は取材に、「トリアージは手順に沿って、医師か看護師が適切に行ったと考えている。治療不要と判断された人は自宅に帰るか避難所に移ってもらうのが本来のあり方」と説明。
当時、最大約600人の被災者が院内にいたといい、「乏しい物資の中から、女性に点滴を1本打ったが、精いっぱいだった」と話す。
この訴訟を注視するのが日弁連・元災害復興支援委員長の永井幸寿弁護士。
災害トリアージの課題を指摘し、立法措置を訴えてきた。
「混乱状態の災害時であっても、医療に求められる注意義務を平常時より軽減する規定はない。
やむを得ない判断ミスでも責任を問われる可能性がある」
看護師や救急隊員が医師の代わりに担当した場合、治療や搬送の優先順位の判断を「診断行為」とみなされれば、医師法違反になりかねないという。
「災害時の医療の萎縮を防ぐため、故意や重過失がない場合、責任を問われないといった規定が必要では」
国の判断はあいまいだ。
厚労省の「災害医療体制のあり方に関する検討会」の報告書(2001年)でも、
①災害時の状況下の合理的判断であれば、一般に法的責任は生じない
②救急救命士や看護師などは、緊急時のやむを得ない行為(緊急避難)として違法性は問われないのではないか
と、現行法の解釈の可能性を示すにとどまる。
厚労省が委託するDMAT(災害派遣医療チーム)の事務局長で、日本災害医学会代表理事の小井土雄一医師は、「極めて短時間で、診断ツールも使えないなか、100%正しい判断は困難。間違いの責任をと言われると、トリアージができなくなってしまう」と訴える。
医療訴訟に長く関わってきた明治大学学長特任補佐の鈴木利廣弁護士は、「災害トリアージは、医師個人や病院の責任で何とかできる分野ではない。個人責任を追及しても再発防止につながらず、医療者がこの分野から手を引いてしまう恐れもある」と指摘。
「患者に犠牲を強いてしまった場合の公的救済制度を整えたうえで、医師や病院の免責を法律で明記する必要がある」と語る。
日本災害医学会は18日からの総会で法制化を訴える声明文を検討するなど、議論を提起する方針だ。
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〈トリアージ〉
フランス語の「選別」が語源で、治療の優先順位を判断すること。
大災害時は、最初に専門医の治療を必要としない人(緑)と、既に死亡しているか蘇生の可能性のない人(黒)を除外し、治療を必要とする人のうち、迅速な医療を必要とする重症患者(赤)と、治療が多少遅れても生命には危険がない中等症患者(黄)を分ける。
1人30秒以内が目安とされる。
中尾博之・岡山大教授(災害医療マネジメント学)は、「通常の救急医療は『点の医療』つまり個人を救うものだが、災害医療は『面の医療』つまり集団として生き延びることを考える医療。その違いを踏まえて、トリアージを理解する必要がある」と話す。
出典
『災害トリアージ、ミスの責任あいまい 法制化を議論へ』
https://www.asahi.com/articles/ASM3F4S3NM3FUWPJ004.html
ちょっと前、2019年1月22日付で河北新報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
遺族が病院に約3220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、仙台地裁であり、病院は請求棄却を求めた。
病院は答弁書などで、「震災時は傷病者や避難者、要介護の被災者が殺到し、限られた医療資源でできる限り対応した。当時の状況を踏まえれば、女性の死亡は病院の対応に原因があるとはいえない」と反論した。
遺族は、「病院の主治医は、女性が自力での飲食が困難だと震災前から把握していた。病院は女性の生命維持に必要な措置を講じる義務を負っていた」と主張している。
訴えによると、女性は2011年3月14日、自宅周辺が津波で水没し孤立していたところを救助され、病院に搬送された。
震災前、日常生活に全面的な介助が必要とされる要介護5の認定を受けたが、病院は治療の優先度を決めるトリアージで、女性を軽症患者を意味する「緑」と判定。
女性は搬送から3日後の同17日に脱水症で死亡した。
閉廷後に仙台市内で記者会見した石橋院長は、「当時は、震災前のカルテを参照する余裕がなかった。トリアージに法的根拠はなく、緊急的な対応の結果で責任を負うことになれば、災害医療が萎縮しかねない。遺族と認識にずれが生じているのは残念だ」と述べた。
出典
『<被災搬送後死亡訴訟>石巻赤十字「対応した」 請求棄却求める』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190122_13039.html
2019年1月21日12時11分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
遺族側は、「飲食にも介助が必要だったのに、病院が放置した」と主張し、昨年10月29日に提訴した。
石巻市は津波で沿岸部の病院が被災したため、内陸にあり被害を免れた赤十字病院がけが人や患者の多くを受け入れ、震災直後の災害医療の拠点となった。
出典
『治療優先度誤りと日赤提訴 津波被災の90代女性死亡』
https://www.sankei.com/affairs/news/190121/afr1901210007-n1.html
(ブログ者コメント)
混乱の極みだった東日本大震災直後の医療現場で、通常に近い対応を期待するのは無理な話しだ。
遺族側の感情も解らなくはないが、使命感をもって、おそらくは寝る間も惜しんで救急医療に当たったであろう病院が訴えられたとは、ちょっと信じられない。
2019年3月18日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9453/
(2019年3月23日 修正1 ;追記)
2019年3月18日付で愛媛新聞から、とべ動物園は飼育方法を変更するという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
アフリカゾウの運動場で作業をしていた飼育員がゾウと接触してけがをし、一時、臨時休園となった愛媛県立とべ動物園。
飼育員と触れ合う愛らしいゾウの姿が人気を博する一方、何げない鼻の一振りでも大事故につながりかねない大型動物の飼育の安全管理の重要性が、改めて浮かび上がった。
園は、柵やおり越しに世話する「準間接飼育」へ転換し、設備の改修などを進めている。
園によると、これまでは、
▽動物と飼育員が同じ空間で作業する直接飼育
▽準間接飼育
▽直接触れない間接飼育
の主に3パターンで動物に対応。
ライオンなどの猛獣類は間接飼育だが、ゾウは担当歴10年以上のベテランらを中心に、直接飼育を行っていた。
ゾウの飼育作業には、餌やりや掃除のほか、足裏などの体に触れるケアや、採血のための指示を覚えさせるトレーニングなどがある。
園にいる3頭で最も小さい「砥愛(とあ)」でも、体重は約1.5トン。
熟練者以外が単独でゾウと同じ空間に入ることはないといい、田村園長は「安全に作業ができる信頼関係を築くには数年かかる」と説明する。
国内の動物園では近年、アジアゾウが振り回した鼻が直撃した飼育員が死亡する事故も発生。
とべ動物園によると、現在、国内のゾウは直接飼育が8割程度だが、安全面から準間接が増えつつあり、園でも検討しているところだった。
開園後初めての飼育中の重傷事故を受け、園は切り替えを決定。
ハード面では、「一番危険」というゾウの鼻が通らない幅に獣舎のおりを狭めることを決め、工事完了までは、ゾウを足止めするための係留作業を餌で気を引く形に変えるなどして対応し、現場でできることから進める考えだ。
「いつもと違う様子にゾウたちも戸惑いが見えたが、すぐに慣れてくれるだろう。来園者にも飼育員と動物の信頼関係は変わらず感じてもらえると思う」と田村園長。
キリンやサイ、カバなども、飼育員が同じ空間にいる機会をできる限り減らし、より安全を確保する方針で、「今後も、動物たちがのびのびと暮らせるための環境づくりに努めたい」としている。
出典
『とべ動物園 ゾウ飼育法「準間接」変更へ』
(ブログ者コメント)
ゾウの鼻で飼育員が倒された事例は本ブログでも過去に2件紹介スミ。
そのうちの1件は白浜市での死亡事故だ。
2019年3月17日の朝、新聞のテレビ欄で、『でんじろうTHE実験 混ぜたらどうなるの?100リットル超えの液体窒素vs100リットル熱湯バトル」という番組が20時からフジテレビで放送されることを知った。
液体窒素と熱湯では、300℃近い温度差がある。
それを100リットルずつ混ぜると大爆発が起きるのではないかなど、興味をひかれたので録画した上で視聴した。
結果、液体窒素や液体酸素の、これまではおぼろげにしか想像できなかった性質・挙動を映像を通して教えてもらったので、ここにそのポイントを紹介する。
①液体窒素5ℓ程度を水槽に流し込む実験
→激しく蒸発するかと思いきや、意外とおとなしく?蒸発して、水面から蒸気が立ち上っただけだった。
また液体窒素(比重0.81)は水より軽いため、水中には沈まず、水面に浮いた状態で周辺の水を凍らせ、結果、水面には冷やされてできた多数の氷が浮かぶという状況だった。
※温度差のある物体同士(例えば溶けた鉄と水、あるいは熱した油と水)が
混じりあうと、温度が低いほうが爆発的に蒸発するとばかり思っていた。
それが今回は、あれだけの量の液体窒素を注いだのに、おとなしく蒸発
しただけだった。委細不明。
※低温液化状態でタンカーで運搬あるいはタンクに貯蔵しているLNG
(比重0.46程度)が海に漏れた場合も、このような動きをしつつガス化
するのかもしれない。
漏れた規模によっては、様相が異なるかもしれないが・・・。
②液体酸素5ℓ程度を水槽に流し込む実験
→おとなしく水面から蒸気が立ち上るのは液体窒素の場合と同じだが、液体酸素(比重1.14)は水より重いため、一旦は液滴のまま水中に沈むが、沈んだ液滴は周囲の水に温められて蒸発し、結果、また浮かび上っていった。
③液体酸素を磁石を使って持ち上げる実験
→プラスチック製のコップの中に磁石を入れ、コップを液体酸素の中に浸けた後、コップを持ち上げると、コップの底に液体酸素がくっついたまま上がってきて、底から液滴が垂れていた。
知識として、酸素は常磁性ということを知ってはいたが、実際に目で確認するのは初めてだ。
液体酸素が青いということも同様。
④液体酸素に火のついた線香を沈める実験
→ベーパーゾーンで線香を燃やした時よりも、さらに激しく燃えた。
⑤ドラム缶半分の熱湯とドラム缶半分の液体窒素を同時に水槽に注ぐ実験
→爆発状態を呈するかと思ったら、さしたる音もなく、蒸気が大量に発生しただけだった。
注いだ水槽から数m離れた場所にいるスタッフやタレントにも、驚いた様子は見られなかった。
ただ、水槽の木枠が壊れていたことから考えると、衝撃を伴って蒸発した模様。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。