2015年5月10日19時9分に朝日新聞から、「夜間運転、ハイビームが原則 歩行者との衝突防ぐ効果」というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ヘッドライトの基本はハイビーム。
意外と知られていない、この原則。
守っていれば、今年の3月までに大阪府で起きた夜間の交通事故の死者29人のうち、5人の命を救えたかもしれない。
「突然、左前方に人影が見えた。ブレーキを踏んだが間に合わなかった」
2月21日午後8時半ごろ、大阪府茨木市の市道で歩行者の男性(当時81)がワゴン車にはねられて死亡した。
運転していた男性会社員(44)は、直後の府警の調べに、こう話したという。
現場は片側1車線の直線道路。右側には工場跡の更地が広がる。左側は解体中の倉庫。夜は薄暗く、行き交う車もまばらだ。
当時も付近を走る車はなかったが、ヘッドライトはロービーム(下向き)だった。
道路交通法によると、夜間は前照灯をつけなければならない。
「走行用前照灯」と呼ばれるハイビーム(上向き)のことで、国土交通省令の基準で、前方100mの人や物を確認できる性能が求められている。
道交法では、他の車の交通を妨げるおそれがある場合には、光を消したり弱めたりする操作をしなければならないとされている。
そのひとつが、国交省令で「すれ違い用前照灯」と呼ばれるロービーム。前方40mの人や物を確認できる性能が求められている。
この原則通りにしていれば、冒頭のケースでも、ハイビームで早く歩行者に気づくことができた可能性があったという。
府警が分析したところ、同様の事例は、大阪府内で昨年起きた夜間の死亡事故67件のうち7件、今年は、3月までに他に4件あった。
府警は、こまめな使い分けを勧めるステッカーを作製し、ヤマト運輸関西支社のトラック約1800台に貼ってもらい、周囲のドライバーに呼びかけている。
日本自動車連盟(JAF)の実験では、5人のドライバーが時速80kmで走行したところ、コース上の障害物に気づいて停止したのは、ロービームで平均5.6m手前、ハイビームでは82m手前だった。
広報担当者は、「都市部ではロービームが習慣になりがちだが、周囲に支障を与えない範囲で積極的にハイビームにしてほしい」と話す。
適切な照射に自動的に切り替える技術も生まれている。
自動車用ランプ大手の小糸製作所は、ハイビームを基本としながら、車載カメラで対向車などを認識し、まぶしさを感じさせない範囲だけを照らすシステムを開発し、順次搭載されている。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASH4W5S5XH4WPTIL02J.html
(ブログ者コメント)
同様の趣旨の記事を、以前にも紹介済。
2013年7月6日掲載
2013年6月28日報道 宇部市などでは警察が事故防止のため対向車がいない場合は車のライトをハイビームにするよう呼びかけ中
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3005/
2015年5月6日12時14分にYAHOOニュース(東奥日報)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午後4時すぎ、青森市滝沢のみちのくトンネル(みちのく有料道路上)内で、十和田観光電鉄(十和田市)の路線バスが右後部のタイヤ2本の脱落によって停車する事故があった。
バスは、青森市側のトンネル入り口付近から脱輪したまま、約200m走行。乗客2人にけがはなかったが、警察は、現場を約5時間にわたり、片側通行止めにした。
警察や十鉄によると、脱落したタイヤの直径は約1m。他の車両などにぶつかる被害はなかった。
バスは、新青森駅(青森市)発、三本木営業所(十和田市)行き。
青森市側からトンネルに入る直前でタイヤが脱落した。異変に気付いた男性運転手がブレーキをかけて停車した。
乗客2人は、代替バスで終点の三本木営業所に、約2時間遅れで到着したという。
同社によると、整備士が出発前に打音や目視でナットの緩みやタイヤの空気圧の点検をしたが、異常はなかった。
このバスは、「スタッドレスタイヤから交換したばかりだった」(同社担当者)という。
同社は午後9時半ごろにバスのレッカー移動を開始し、警察は同9時35分ごろに交通規制を解除。
同社によると、5日時点で事故原因は不明だが、「再発防止のために日々の点検整備を強化していく」(同社運輸事業部)とコメントした。
出典URL
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150506-06121432-webtoo-l02
2015年5月7日18時14分にABAニュースからも、続報的記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
直径1m以上あるこのタイヤ。ホイールも合わせた重さはおよそ100kgにもなる。
走行中のバスからこれが突然外れる事態が…。
大型連休中の5日午後4時すぎ、みちのく有料道路を走行中の、新青森駅発三本木営業所行きの十和田観光電鉄のバスのタイヤが外れた。
関係者によると、青森方向から走ってきたバスは、みちのくトンネルの数10m手前にある橋の付近で、右後ろのタイヤ2本が脱輪。
この時に「ガタン」という衝撃を感じた運転士は、2〜300m先にバスを停車させた。
外れたタイヤのうち1つが、進行方向右側の沢に落ちた後、もう1つのタイヤは、トンネル内の進行方向左側に寄ったところで止まった。
幸いにしてけがをした人はいなかったが、もし、タイミングが悪く対向車が走ってきていたら…。
十和田市内の営業所にけん引されたバス。
本来であれば、後輪の2本のタイヤは長さ6cm、直径2cmほどのボルト8本に2種類のナットで止められている。
しかし、タイヤの外れた右の後輪部分を見てみると、8本のボルトすべてが根元から完全に折れてしまっている。
十和田観光電鉄によると、このバスは20年前に製造され、3年前に十和田観光電鉄が中古で購入した。
4月23日に、冬タイヤから、履きつぶすための古いスタッドレスタイヤに交換し、青森方面の路線を中心に使われていた。
十和田観光電鉄は取材に対し「現在原因を調査中でコメントを出せる状況ではない」話しています。
出典URL
http://www.aba-net.com/sp/news/news010.html
※関連記事のURL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150506-OYT1T50014.html
http://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6084607371.html?t=1431118965698
(2015年5月19日 修正1 ;追記)
2015年5月15日19時2分にNHK青森から、ボルト4本に亀裂が入っていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
十和田観光電鉄の白石社長は、15日に本社で会見を開き、「バスの利用者と関係者にご迷惑と心配をおかけして大変申し訳ありませんでした」と謝罪した。
そのうえで、事故のあと折れた状態で見つかったタイヤと車体を固定する8本のボルトのうち4本は断面が腐食してひびが入っていたことを明らかにし、老朽化や金属疲労によってボルトが折れた可能性があるという見方を示した。
このバスは20年前に製造され、3年前に十和田観光電鉄が購入したが、購入前にボルトの交換が行われていたかどうかはわからないという。
十和田観光電鉄は、年1回行っているタイヤのボルトの点検を3か月ごとに行うことを検討していて、来月3日までに、事故原因や再発防止策をまとめた報告書を国交省青森運輸支局に提出することにしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/6084790091.html?t=1431723829355
5月16日付で読売新聞青森版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
発表によると、右後輪では8本あるボルトが全て折れており、断面を調べたところ、うち4本に数mmの腐食や亀裂が確認された。
ボルトの劣化でタイヤに偏った力がかかり、ボルトの切断と脱輪につながった可能性があるという。
今回の事故では、国交省東北運輸局が同社に対し、6月3日までに事故原因と再発防止策を報告するよう求めており、同社は引き続き原因の調査を進める考え。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/local/aomori/news/20150515-OYTNT50465.html
2014年11月26日10時53分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫県尼崎市は25日、市道の水路に転落して重傷を負い、障害が残った市内の女性(71)に、約1600万円の損害賠償金を支払うことで合意したと発表した。
市によると、平成25年7月18日午後10時55分ごろ、同市武庫之荘を自転車で走行中だった女性が、前から来た車をよけようとして道路脇の水路(幅50cm、深さ67cm)に転落。脊髄を損傷する重傷を負い、首から下がまひする障害が残った。
女性側は、転落の危険があるにもかかわらず、水路に柵を設置しなかったのが原因だとして、市に治療費などの支払いを求めていた。
市は管理上の責任を認め、治療費や慰謝料として女性側に約1600万円を支払うことで合意したという。
市は、事故後、用水路に鉄製の柵(高さ1.1m)を設置した。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/141126/wst1411260024-n1.html
(ブログ者コメント)
以下のような同種事例を、つい最近、紹介したばかりだ。
2014年11月1日掲載
2014年10月26日 福島県会津若松市の道路脇にある深さ1mの側溝に夕方以降?自転車ごと転落して死亡、側溝には柵も蓋もなかった (他同種事故1件)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4388/
危険とは分っていても対象がべらぼうに多く、予算や人出の関係で全てには手が回らない・・・。
産業現場でも、同じような問題を抱えているところが多いと思うが、妙手はない。
毎年、少しずつでもよいので予算をとり、優先順位をつけてコツコツと対処していくしか、方法はないのだろう。
2014年10月27日1時2分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
26日朝、5時半ごろ、会津若松市千石町の市道の脇にある側溝の中で、男性(64)が倒れて死亡しているのを通りかかった男性が見つけた。
側溝の中には、男性の自転車も一緒に落ちていたという。
警察によると、側溝は幅およそ1m50cm、深さがおよそ1mで、市道との間に柵はなく、側溝に蓋も設置されていなかったという。
男性は、25日夕方から姿が見えなくなったことから、家族が探していたという。
警察は、自転車に大きな損傷がないことや現場に車のブレーキ痕が残されていないことなどから、男性が、何らかの理由で側溝に転落したとみて調べている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6055704031.html?t=1414356893589
この事故の4日後に、広島県福山市でも同種事故があった。
以下は、2014年10月30日付でテレビ新広島からネット配信されていた記事。
けさ早く、福山市神辺町で、自転車に乗っていた高齢の男性が側溝に落ちて死亡する事故があった。
事故があったのは、福山市神辺町新徳田の市道。
きょう午前5時55分頃、通行人の男性から「男性が自転車にまたがったまま側溝に落ちている」と警察に通報があった。
側溝に転落していたのは、近くに住む無職の男性(83)で、男性は病院に運ばれたが、死亡が確認された。
男性は、忘れ物を取りに自宅に戻ろうとして、転落したものとみられている。
側溝は幅1.5m、高さ1mで、水深は8cm。
道路脇には柵があったが、隣の敷地側に柵はなかった。
警察は、単独事故とみて事故の原因を詳しく調べている。
出典URL
http://www.tss-tv.co.jp/tssnews/NN1410303040.html
(ブログ者コメント)
○自転車が側溝などに転落する事故は、結構、起きているらしい。
2013年に死者数12人と全国ワーストワンになった岡山県では、2014年3月14日にNHK岡山が、原因や対策などについて詳しく報道していた。
去年、自転車転落事故による死者数が12人と全国でワーストワンになった岡山県。
なぜ、事故が起きたのか、どうすれば事故が回避できるのか、詳しくお伝えします。
自転車転落死の中でも、多いのが用水路や側溝に転落して死亡した人数。
なんと11人。10年間で、過去最多です。
そして、今年に入ってから、すでに2人の方が亡くなっているんです。
岡山県警察本部も注意を呼び掛けています。
実際にどんな所で自転車転落事故が起こったのか事例を紹介します。
去年の3月。倉敷市で起きた事故です。事故が起きたのは、午後8時30分。
自転車で買い物から帰る途中だった、76歳の女性が、用水路に落ちて亡くなりました。
延髄を損傷して、ほぼ即死状態だったそうです。
実際に現場に行ってきました。
「実際に事故が起こった現場です。
大きい道路からは入り込んでいるのでライトを消すとこのようにかなり暗いんです」
「用水路のそばにあるこの柵、とても新しいです。事故が起きたあとに設置されたそうです」
地面から用水路の底までは、およそ1m80cmもあり、自転車から落ちたとすると、かなりの衝撃だったと考えられます。
「実際に自転車ではしってみる。このカメラでどのように見えていたか撮影します」
「柵がなかったら、道路と用水路の境目が分からず非常に怖い、交通量も多く車をよけようと思うとかなり危ないと」
では、去年起きた用水路への転落死亡事故から、原因を探ってみたいと思います。
1つめ。事故の11件中8件が「夜間」に発生していました。
事故現場は照明などのないところや、照明はあっても暗い夜道で、用水路に気付かず落下してしまったと見られています。
また夜間のため、落下してから発見されるまでに時間がかかり死に至るケースが多いそうです。
そして2つめ。自宅から1km以内で事故が起きていました。
これは、慣れた道を走っているからと、油断してしまい、運転操作を誤ったのではないかといわれています。
そして3つめ。11人中5人が高齢者でした。
加齢とともに、運転能力やバランス感覚が低下して運転操作が劣っていることが、事故につながっていると考えられています。
そして4つめ。11人中4人がお酒を飲み、自転車を運転していました。
アルコールを摂取すると、注意力、判断能力が低下するといわれています。
自転車も車両ですから、飲酒運転は違反です。
毎年何人もの方が亡くなっているにも関わらず、なぜ対策が思うように進んでいないのでしょうか?
それは、岡山ならではの事情が関係しているそうなんです。
雨の降る日が少なく、河川から農地に水を引くために用水路が必要とされたため、用水路が多いとされています。
ではいったい、岡山県にはどのくらいの用水路があるのでしょうか? 岡山県農林水産部耕地課の方に聞いたところ、回答は・・・「把握できていない」
ということで、岡山市の経済局農村整備課に聞いたところ、ホームぺ―ジ上では4,100kmと公表しているようなんですが、「データの出所が不明」と、曖昧な解答でした。
4,100kmというと日本列島が約3,000kmですから非常に長い。
他の地域と比べますと、岡山市とほぼ面積が同じで農耕が盛んな福山市と比較すると福山市はおよそ370km。
岡山市は用水路が非常に多い地域といえます。
その分、事故も多発しているといえるのかもしれません。
・・・・・・・・・・・・・・・
http://www.nhk.or.jp/okayama/program/kindaichi/20140314.html
○ブログ者も、つい最近、自転車ではなかったものの、歩行中にほぼ同じヒヤリ体験をした。
それは18時半ごろのこと。
初めて歩いた道は住宅地の外れで、周囲はほぼ真っ暗状態だ。
わずかな明かりを頼りに、水路にかかる、うっすらと白く浮かんでいる橋を渡ろうとして、ふと、どういうわけか、橋を渡らず、斜めに横断したほうが近道ではないかという気になり、足を踏み出しかけた、その瞬間、これまたどういうわけか思いとどまり、よくよく見れば、そこには柵も蓋もなかった、というものだ。
暗さに慣れてきた目で見ると、深さは約2m。水はほとんどなくコンクリートの底が見えている状態で、落ちていたらどうなっていたことか?
今、思いだしてもゾッとする。
それにしても、なぜ、すんでのところで思いとどまることができたのか?
それは、過去の同種事例をイヤというほど知っていたため、それらの情報が潜在意識に働きかけ、自己の行動にストップをかけたから・・・と思うのは、あまりにも牽強付会・我田引水か?
そんなことを考えてしまった今回の事例、とても他人ごととは思えないので、産業安全とはちと違うが、掲載した。
2014年9月26日20時59分にNHK鹿児島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月27日0時27分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
26日午後4時すぎ、鹿児島市清水町の国道10号線で、乗用車の右後ろのタイヤが、突然、外れ、妹と2人で歩道を歩いていた小学2年生の女の子にあたった。
この事故で、女の子は転倒して顔やひざなどに打撲や擦り傷の軽いけがをして、病院で手当を受けた。
警察の調べによると、現場は、JR鹿児島駅から北東に1kmほど離れた県道との合流地点で、赤色点滅信号前で一時停止しようとした際に外れて対向車線側まで転がり、縁石で跳ね上がって女児のランドセルに当たった。
一緒にいた妹にけがはなかった。
乗用車を運転していた男性会社員(40)は、「一時停止をした際にガツンという衝撃を感じ、その後、周りを見たらタイヤが外れたことに気が付いた」と話しているという。
警察によると、タイヤは直径がおよそ60cm、重さが18kg余りあり、ホイールごと外れていて、タイヤと車軸をつなぐ5本のボルトはすべて折れていたという。
車は1998年製。
警察は、整備不良の可能性も含め、原因を調べている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/5054910301.html?t=1411767722492
http://www.asahi.com/articles/ASG9V7JMCG9VTLTB00W.html
2014年7月6日16時34分に朝日新聞から、『名古屋市バス、減らぬミス 路線間違いや停留所通過・・・』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
名古屋市営バスの運行ミスが減らない。
市交通局は現場に危機感がないと悩み、運転士からは現場の声が届かないと不満が漏れる。
2011年の事故隠し発覚を機に、ミスの報告は上がるようになったが、対策は後手に回り続けている。
「行き先、(出)発時刻を再確認して、間違えないようお願いしますね」
6月下旬の午後、名古屋駅前のバス停。市交通局職員が車内の運転士に声をかけた。
赤字で「経由確認」などと書かれた看板を手に、数分おきにバスが着く度に走り寄る。
運行ミス防止強化月間を掲げ、6月に始めた対策の一つだ。
路線間違いが起きやすい50カ所超で、全11営業所と市交通局で実施。
同局からは経理などバス事業以外の職員も含め、のべ300人超が出た。
無線で全車両に注意喚起し、出発前の運転士の点呼に同局幹部が立ち会う試みもした。
それでも6月のミスは67件にのぼり、5月までの月平均57件を上回った。
国交省中部運輸局は、「利用者に影響する重大な問題なのに、組織内で危機感が共有できていない」と指摘。7~8月に、バス事業者に対して初めてとなる立ち入り調査をする。
なぜミスが減らないのか。
市交通局の宗田・自動車運転課長は、「運転士は車庫を出ればずっと1人。緊張感が切れないようプレッシャーを与え続けるのは難しい」と話す。
だが、それだけではない。そもそもミスの原因分析がほぼ手つかずになっている。
市交通局がミスの全容を知る仕組みができたのは昨年1月だ。
11年の事故隠し発覚を機に、報告義務を怠った事故が過去10年間で1989件あると判明。市は交通局長ら239人を処分した。
その反省から全営業所に、事故に至らないミスも報告を義務づけた。
すると、13年度のミス報告は前年度比6割増の662件になり、路線やダイヤの誤認が6割、バス停通過が2割。
今年度も似た傾向が続くが、「ミス対策は後手に回った。事故防止策を優先した」(宗田課長)。
12年度671件、13年度591件を数える交通事故の方の対応に追われてきた。
ミス対策の遅れから「現場に危機意識が浸透していない」と宗田課長。
市交通局は中部運輸局が選ぶ外部専門家の助言をふまえ、9月をめどに抜本的な対策をまとめる。
効果のほどは、報告された大量のミスの実態と背景にどこまで迫れるかにかかっている。
運行ミスが減らないことは、現場からどう見えているのか。
あるベテラン男性運転士はこう語った。
現場の声が上に届きにくい。これではミスは減らない。本丸は市役所本庁の職員、営業所の幹部はそれを守る外堀で、運転士はその外。どうせ上は守ってくれんと不信感が募っている。
11年の事故隠し発覚前は、営業所の管理ミスで遅延しても運転士だけ処分され、事故が表にならないよう自腹で示談にするよう求められることもあった。
事故隠し発覚後は、細かく報告を上げつつ運転士だけのせいにして上を守る傾向が強まった。
タイヤを縁石に軽くこすっても事故にされ、車いすの客を手伝って数分遅れても問題になる。
現場は疲弊している。
運行ミス対策を探る名古屋市が強く関心を寄せるのが川崎市営バスだ。
車両は名古屋の3分の1ほどの約340台。
経路ミスや遅れが10年度に72件に達し、学者らによる改善委員会を設けた。
対策は、運転士らの提案を改善委で精査して採用。ミスは11年度39件、13年度13件にまで減った。
運転席に備え付け、路線に応じ「この先右折」などと示す小型モニターが好評という。約1億3千万円かけ全車両につけた。車内での自動案内アナウンスは女性の声だが、「スターフ(運行表)確認」など運転士への注意喚起は男性の声にして区別している。
市交通局の小林・安全指導課長は、「人間はミスを起こす前提で対策をとる。どんなにいいアイデアも当たり前の風景になっては意味がない」と話す。
今も運転士の声を採り入れ、バス停の注意書きのデザインを年度ごとに変えるなど、対策内容を更新している。
川崎市営バスの改善委員会で委員長を務めた東京海洋大の寺田一薫教授(交通政策)の話;
名古屋市は原因分析が不十分で、結果を急ぎ過ぎている印象だ。件数に一喜一憂せず、重大な事故につながりかねないミスとそうでないものを分け、2~3年かけ対策に取り組むべきだ。運転士にも提案させ、集中力が切れないようにする工夫が必要。ミスを重ねる運転士がいる背景には、処分の仕方や職場環境の問題がある可能性もある。配置転換は現場へのプレッシャーを強め、士気を下げる。
名古屋市営バス 最近の主な運行ミス
4月 3日 免許を営業所に忘れ不携帯で回送運転
5日 交差点通過後にバスレーンを誤り逆走
13日 乗客を乗せ走行中に燃料切れ
15日 方向指示器を出さずに右折し検挙
5月 3日 運転士が寝過ごし15分遅れで出発
12日 携帯電話で報告をしながら運転し検挙
6月17日 赤信号で交差点を直進し検挙
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG754CRBG75OIPE007.html
(ブログ者コメント)
○ヒューマンエラー対応、ヒヤリハット事例の活かし方などについて参考になることがあるかもと思い、紹介する。
○本ブログでは、川崎市バスと相鉄バスの状況や取り組みについて紹介済。
川崎市バスは下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/766/
相鉄バスは下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/1416/
○4月13日の燃料切れ事例は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3832/
2014年6月17日20時46分に読売新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
16日午前7時半頃、山口県光市浅江3のJR山陽線島田~光駅間で、周南市の廃棄物処理会社の資源ごみ収集車(3.5トン)が市道から約1.5m下の線路に滑り落ちた。
列車との接触はなく、収集車を運転していた男性(37)にけがはなかった。
警察などによると、収集車は線路と並行する市道脇の駐車場から発進するところだった。
取材に対し男性は、「ブレーキが利かなくなり、(道路ののり面を)滑り落ちた。この収集車を運転するのは初めてで、サイドブレーキの位置も知らなかった」と話しており、警察が原因を調べている。
現場にはガードレールはなかった。
JR西日本広島支社によると、事故のため、柳井―徳山駅間の上下線で計6本が運休、計6本が最大で約2時間半遅れ、乗客約2000人に影響が出た。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140616-OYT1T50133.html
6月17日付の朝日新聞山口東版からは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男性は取材に対し、「ブレーキがきかずパニックになった」と話していた。
6月17日付の毎日新聞山口東版からも、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR西日本広島支社によると、東広島市の白市駅発下関駅行きの普通列車(乗客約400人)が直前で停車、けが人はなかった。
警察などによると、駐車場からごみ収集車を出した際に、市道を横切ってのり面から約1.5m下の線路内に落ちた。
男性は現場で取材に対し、「ブレーキの操作を十分知らなかった」と話した。
同社によると、男性は中型、大型の運転免許を持っており、今月採用した。
ごみ収集車の運転は、今回が初めてではないとしている。
出典URL
http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20140617ddlk35040515000c.html
(ブログ者コメント)
上記3記事から推測するに、『フットブレーキがきかなくなった、サイドブレーキのかけ方を知らなかった』ということかもしれない。
(2014年7月8日 修正1 ;追記)
2014年6月17日付の山口新聞紙面に、当時の状況に関する、下記趣旨の補足的記事が掲載されていた。
収集車は、幅約6mの市道に出ようとして停車することができず、市道を横切って転落したらしい。
線路手前に金網やガードレールはなかった。
当時、乗員乗客計約400人の下関行きの電車が光駅に向かって走っていた。
事故後、収集車の運転手(37)が近くの踏切に設置された非常ボタンを押し、線路内の信号が赤に変わったのに気付いた電車の運転士が停車した後、徐行で進んでいたところ、転落した収集車を見つけたという。
運転手は、この収集車を運転するのは初めてだったという。
「ブレーキが利かなかった」と話している。
2014年5月30日21時14分にmsn産経ニュースwestから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月31日付で毎日新聞京都版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
京都市内でバイクを運転中に転倒し顔に傷を負ったのは、市道のくぼみが原因だとして、同市の女性会社員(26)と保険会社が京都市に計約2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は30日、市に計約580万円の支払いを命じた。
判決で上田裁判官は、「道路は通常有すべき安全性を欠いていた。くぼみは街灯から陰になっており、女性が認識することは容易ではなかった」と判断した。
その上で、「若い女性の顔に傷跡が残った心理的負担は少なくない」こと、「女性に速度超過があった」ことなどから市側の過失を6割とし、傷が残った逸失利益などを算出した。
判決によると、女性は平成20年12月、京都市伏見区の市道でバイクを運転中、道路上のマンホール周辺の深さ約8cmのくぼみでハンドルをとられて転倒、顔面骨折などにより顔に傷が残った。
京都市は「判決内容を検討した上で対応する」としている。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140530/waf14053021140041-n1.htm
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20140531ddlk26040543000c.html
(ブログ者コメント)
不安全箇所の放置?気がつかなかった?危険予知不足?事例として紹介する。
2014年4月22日1時45分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
路線バスの車内で転倒し、けがをする高齢者が後を絶たない。
発進や停止の際に転ぶケースが大半で、重傷を負う例もある。
こうした中、運転手とは別に添乗員を同乗させ、お年寄りに注意を呼びかける取り組みを京浜急行バス(東京都港区)が続けている。
「お客様の着席を確認してから発車します。お降りの際は止まってからお立ちください」。出発するバスの車内に、添乗員の尾田さん(61)の声が響いた。
横浜市港南区の住宅街から上大岡駅に向かう路線。バスは急坂を下り、細く曲がりくねった道を進む。
「ブレーキをかける場面が多く、車内事故が起きやすいんです」と尾田さん。
高齢の女性が、停留所でバスが止まる前に腰を浮かせた。
「ゆっくりでいいですからね」。降車ドアの前で車内を見渡していた尾田さんがすかさず声をかけ、女性は腰を落ち着けた。
駅が近づくにつれ、乗客が増えてきた。
「混雑時の事故は少ない。昼間のすいている時が危ないんです」
慌てずに乗り降りできるよう、車内が和む話し方を心がける。
バスを降りた近くの橋爪さん(76)は、「危ないとは思いつつ、もたもたしてたら他のお客さんに悪いと思って、つい早く立ってしまう。声をかけてもらえるのはありがたいですね」と話した。
東京都南部から神奈川県東部にかけて路線バスを運行する京急バス。
この取り組みを2011年に始めたのは、運転手への指導を重ねても、車内事故が減らなかったためだ。
「他社の似たような取り組みは、聞いたことがない」という。
発進や停車時の事故を減らすには、運転手が乗客の着席を確認して発車することと、乗客が走行中に立ち上がらないことが大切になる。
だが、お年寄りは動作が遅く、「迷惑をかけてはいけない」と早く席を立つ傾向がある。
このため、ベテラン社員が「添乗員」として乗客に協力を呼びかけることにしたという。
坂が多い路線や、昼間に高齢者が多く利用する路線を中心に、12年度には社員2人を専従にして計2000回にわたり添乗した。
「従来も管理職が同乗して運転手に改善点を指摘することはあった」といい、コスト面の心配もないという。
同じ路線で添乗を重ね、少しずつ呼びかけが浸透。
京急バスグループの路線バスで10年度に10件あった発進時の事故は、13年度には6件に、7件あった停車時の事故も3件に減った。
同社の生出課長は、「お客様の行動が変わってきた。今後も事故防止の取り組みを続けたい」と話す。
公益財団法人・交通事故総合分析センターの統計によると、乗り合いバスの車内事故による負傷者数は2011年に799人。
65歳以上が446人で、うち男性は88人、女性は358人。傾向は変わらないという。
なぜ高齢女性の負傷者が多いのか。
神奈川大学工学研究所の堀野定雄・客員教授(人間工学)は、両手に荷物を持って乗車することが男性より大幅に多く、体を支えられず転倒してしまうためだと分析する。
堀野教授は、車内に手荷物をひっかけるフックの設置や、衝撃を和らげる柔らかい床材の導入を提言。
他方で、意識を変えることが最も効果的と訴える。
「焦らずゆっくりの動きでよいから安全にと、運転手、高齢者、他の利用者が理解することが大切だ」
業界団体の日本バス協会は、07年から毎年7月に車内事故防止のキャンペーンを展開。
当初は「バス停に着いてから」席を立つよう呼びかけていたが、11年からは「扉が開いてから」と表現を変えた。
同協会の長尾参与は、「少しでもゆっくり立ってほしいと強調するために言葉を変えた。お年寄り以外の乗客にもご理解をお願いしたい」と話す。
他のバス事業者も、取り組みを進める。
都営バスを運行する東京都交通局は、一昨年、高齢者向けに走行中に立ち上がらないよう呼びかけるパンフレットを作成。70歳以上が対象の「シルバーパス」を発行する際に手渡すようにしている。
神奈川中央交通(神奈川県平塚市)は、従来も車内の安全確認を運転手に呼びかけてきたが、昨年秋からは、「車内よし」と指さし確認してから発車するよう呼びかけ始めた。
同社の担当者は、「これから高齢化が進む中で対策が必要と考えた」と話す。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG485CLLG48ULOB02D.html
(ブログ者コメント)
○記事には、黄色い腕章をした添乗員の男性の写真が掲載されている。
○全路線で終日となると実現は難しいだろうが、重点路線に時間帯を区切って対応している点に、工夫を感じた。
2014年4月15日22時50分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が掲載されていた。
名古屋市交通局の市バスが13日、営業運行中に燃料切れとなり、乗客6人を途中で降ろしていたことが15日分かった。
市交通局は同日までに、全営業所に対し、運行前に燃料計の確認を徹底するように指示した。
市交通局によると、13日午前7時35分ごろ、同市中区栄3の矢場町停留所で、中川車庫前発栄行きの路線バスが止まった。
男性運転手(41)は「エンジンがかからず、故障した模様です」と乗客6人に伝え、全員がバスを降りた。
その後、燃料切れに気づいた。
運転手は、中川営業所でバスの運行前点検をした際、燃料計を確認していなかった。
このバスはディーゼル車で、12日昼過ぎに、別の運転手が営業所の運行管理者に給油を指示されたが、忘れたという。
市交通局は、「何度も燃料切れを防ぐ機会があったにもかかわらず、お客様にご迷惑をかけ、大変申し訳ない。今後は十分に注意したい」と話している。
また、市交通局は15日、営業運行中の市バスの運転手(40)が同日午前6時半ごろ、方向指示器による合図をしないまま右折し、道交法違反容疑で取り締まり中の愛知県警緑署員に摘発されたと発表した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140416k0000m040120000c.html
(ブログ者コメント)
まさか、運行中の路線バスが燃料切れになろうとは・・・。
こんなことは起きないだろうと思うことでも起きてしまうことがあるが、これはそんな事例だ。
キーワード ;名古屋市バス 名古屋市営バス
2013年12月10日11時8分に山形新聞から、12月10日17時31に読売新聞から、また12月11日付で朝日新聞山形版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市道の側溝にふたを設置していなかったため、母親が転落死したとして、山形市を相手に市内に住む次女(70)が9日までに、慰謝料など2695万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こした。
訴状によると、原告の母親=当時(89)=は2011年10月27日午前10時半ごろ、草や葉を入れたごみ袋を持ち、同市富の中の自宅近くにある集積所に市道を歩いて向かう途中、よろけて幅約0.5m、深さ約1.1mの側溝に転落した。
母親は落ちた際、頸椎を損傷。その後死亡した。
原告側は、女性に一部過失があったことを認めた上で、「足を踏み外すことは予想され、側溝の深さからして負傷を回避することは極めて困難。市は危険回避のために上蓋を設置しておくべきだった」としている。。
市道路維持課によると、町内会から要望を受けて側溝に上ぶたを設置している所もあるが、現場の町内会からは要望がなかったという。
同課は、「訴状の中身については確認中だ」としている。
出典URL
http://yamagata-np.jp/news/201312/10/kj_2013121000195.php
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131209-OYT1T01202.htm
夜間、車を運転する際、対向車などがいなければ、ライトを、原則、上向きにする取り組みが宇部市などで行われることになり、28日、モデル事業所として地元の運送会社などが指定された。
この取り組みは、夜間、歩行者などをいち早く発見して事故防止につなげようと、宇部警察署と山陽小野田警察署が呼びかけることにしたもの。
宇部警察署で、この取り組みのモデル事業所として地元の運送会社など9つの事業所を、また、協力機関として自動車学校5校をそれぞれ指定する式典が開かれた。
この取り組みは、夜間、車を運転する際、ライトを上向きにするいわゆるハイビームにし、対向車などとすれ違う時に下向きに切り替えるもの。
警察は、この切り替えをこまめに行うよう促していて、28日、指定を受けた事業所などは「ハイビームロービームこまめな切り替え実践中」と書かれたステッカーを貼って、ほかの車にも実践するよう呼びかけることにしている。
宇部市内では、ことしに入って夜間、歩行者が車にはねられ死亡する事故が3件起きていて、いずれの事故も車がライトを下向きにして走行していたという。
宇部警察署交通課は「対向車がいないときなどハイビームにできる機会があれば、積極的にハイビームで走行してほしい」と話した。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4065506651.html?t=1372539091995(ブログ者コメント)
産業安全と直接の関係はない記事だが、参考までに紹介する。
今月2日、甲賀市の新名神高速道路で発生した高速バスの車両火災は、エンジンの上部にある、燃料を濾過する部分のネジが1本無くなっていて、そこから軽油が漏れて出火したことが、運行会社などへの取材で分かった。
今月2日、甲賀市の新名神高速道路の上り線で発生した高速バスの車両火災では、エンジン部分から火が出て車両の後部が大きく焼けた。
バスには乗客と運転手合わせて38人が乗っていたが、出火後すぐに車を降りて避難したため、けがはなかった。
バスを運行する西日本ジェイアールバスなどによると、車両を詳しく調べた結果、エンジンの上部にある、燃料を濾過する部分で、本来はネジで塞いでいる穴にネジが無く、穴が空いた状態になっていて、そこから軽油が漏れて出火したことが分かったという。
このバスは、車両火災が発生する3日前に年に1回の車検を受けていて、その際、今回出火した部分の部品を交換したという。
車検の後、回送のため大阪と神戸の間を往復した際には異常は起きなかったということで、警察などでは車両の整備状況などの確認を進めている。
この車両火災を受けて、西日本ジェイアールバスでは、200台近い高速バスすべての点検を行い、安全を確認したという。
出典URL
当時の状況は、2013年3月2日付で毎日新聞大阪版夕刊から、下記趣旨でネット配信されていた。
2日午前10時ごろ、滋賀県甲賀市の新名神高速道路上り線甲南トンネル入り口付近で、三ノ宮発名古屋行きの西日本ジェイアールバスが走行中に出火し全焼した。
バスは路肩に停車し、運転手と乗客計38人は車外へ逃げてけがはなかった。
県警高速隊は、エンジントラブルとみて出火原因を調べている。
運行する「西日本ジェイアールバス」神戸営業所や高速隊によると、乗客らは別のバスに乗って避難した。
この火災で、上り線の草津田上インターチェンジ(IC)−甲南ICが一時、通行止めになった。
出典URL
http://mainichi.jp/area/news/20130302ddf041040030000c.html
横浜市と綾瀬、大和、座間、海老名市の県央地区で路線バスを運行する「相鉄バス」で、今年度に入ってからバスの経路ミスや行き先の誤表示などの運行トラブルが相次ぎ、今月13日までにトラブル件数が計100件に上っていることが、同社への取材でわかった。
同社は、ミス防止対策を進めているが改善は見られていない。
関東運輸局は今月、同社に対して聞き取り調査を行ったが、「今後も改善されなければ立ち入り調査や行政指導に乗り出さざるを得ない」としている。
同社運輸課によると、経路ミスが41件、行き先の誤表示が26件確認されている。
停留所に時刻表より早く着く「早発」と遅れて着く「遅発」は計22件で、客が乗降するバス停を通過したケースも計8件あった。運賃の誤徴収2件、回送先の停留所を間違ったケースも1件あった。
相鉄バスは、全営業所の昨年度以前のトラブル件数は確認していないが、同課は「今年度はミスが多いと捉えている。勤務への慣れが油断を招いているのでは」としている。ミスを速やかに報告せず、訓戒処分を受けた運転手も4人いたという。
同社は横浜、綾瀬の両市に4営業所を構え、計約400人の運転手が勤務している。
同じく一昨年から運行トラブルが相次いで問題となった川崎市バスには、民間委託を含めた運転手が約620人勤務しているが、今年度のトラブルは37件にとどまっている。
相鉄バスのトラブル件数の多さが際だっている。
再発防止策として、同課は運転席脇の画面に次のバス停名を表示したり、運行指示書に記載する経路を色分けしたりしているが、ミスは続いているという。
一方、運転手側からは「苦情やミスの再発防止名目で、営業所による理不尽な指導が横行している」といった不満も上がっている。
ある男性運転手は「ささいな苦情で、乗車勤務を外されて辞職を強要するような反省文を何日も書かされた」と打ち明ける。
関東運輸局は「ミスのせいで経路以外の道路を運行することを安全輸送上、危惧している」として、ミス防止への取り組みに注目している。
同局は昨年1月と同12月に川崎市バスと民間委託の計3営業所に対し、それぞれバス1台を運行停止にする処分を行った。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20120217-OYT8T00024.htm
(ブログ者コメント)
過去に川崎市バスのトラブル多発に関する記事を掲載したが、その関連情報として紹介する。
2011年9月19日22時47分に、msn産経ニュース神奈川から下記の特集記事がネット配信されていた。御参考まで。
川崎市バスの運行ミスが収まらない-。
経路誤りや行き先表示間違いなどが相次ぎ、昨年度は72件の運行ミスが発生した市バス。
市交通局は汚名返上に向け、間違いの多い交差点を「指定交差点」とし、同交差点では行き先のアナウンスを運転手に義務づけるなどさまざまな対策に取り組んでいるが、今年度の運行ミスは1日現在で22件。昨年同時期の27件と比べほぼ横ばいの現状に、同局幹部は頭を悩ませている。
■ 「うっかり」増加
今年度発生したミスは、経路誤りが19件と大半を占める。
そのうち、昨年度に間違いが多く発生した指定交差点でのミスは6件、残り13件は営業所から出庫してすぐに行き先を間違えるなどの単純な「うっかりミス」だという。
同局では昨年8月、多発する経路誤りを防ぐため、指定交差点の手前では運転手が曲がる方向のアナウンスをするように義務づけた。また、交差点手前の停留所にはアナウンスを指示する標識の取り付けなど指定交差点での再発防止に取り組んだ。
同局幹部は「指定交差点でのミスは減ってきたが、対策が取られていなかったところでのミスが目立つようになってきた」と説明する。
今月14日に開かれた市議会本会議で、阿部孝夫市長は運行ミスの連続発生を陳謝。その上で、「不注意や思いこみが原因の事例が目立つ。職員の意識の徹底を図る対策強化が必要」と述べた。
実際に経路誤りをした50代の男性運転手は、本来曲がるべき交差点の一つ手前で曲がってしまった。間違えた場所は指定交差点ではなく、男性がよく知るルートだったため、「曲がった瞬間に『あれ、何で』と思った。日頃から経路ミスをしてはいけないと強く思っていたのに…」と首をかしげた。
元産業能率大学教授で、心理学者の安本美(よし)典(のり)氏は「重大なミスを犯すまいとして注意したため、細かいところへの注意が抜けてしまった可能性がある」と指摘。安本氏は「緊張するときには心理的エネルギーを使う。ミスが起きやすいところでエネルギーを注ぐが、そうでない場面でエネルギーを抜いたときにうっかりミスが起きているのでは」と分析する。
■全運転手に研修
同局では昨年6月、運行ミスの多発を受け、営業所内で処理していた簡易ミスも、同局に報告するように指示。そのため、一昨年度は11件だった運行ミスが、昨年度は72件に急増したという。
ある同局幹部は「報告の基準を下げたことが、件数増加の一つの要因」とする。
一方、明治大学名誉教授(経営心理学)の山田雄一氏は「交通局全体がたるんでいるとしか考えられない」と厳しい。「交通局が運行ミスをするのは、水道局が断水しているのと同じ。管理者の日々の管理や人間関係で、手抜かりがあったのではないか」と述べた。
同局では「一部の職員が『自分は大丈夫』と思っているから、ミスが続く」として、先月下旬から全運転手を対象に研修を開始。ルートなどが書かれた運行指示書や行き先表示の確認など、基本動作の徹底を図る対策強化に乗り出した。
「市民からの信頼を取り戻すにも、ミスを減らすしかない。指示したことがしっかりできれば、ミスは無くせると信じている」と同局幹部は力を込める。
勤続20年以上の男性運転手は、運行ミスが多発した昨年以降、乗客からの運転席への視線が厳しくなったという。男性は「市民に申し訳ないという気持ちは全運転手が持っている」と話す。信頼回復のためにも「運行ミス0」に近づく結果を早急に出すことが必要だ。
出典URL■■■
(2011年11月10日 修正1 ;追記)
2011年11月7日付で、神奈川新聞から「やまぬ市バス運行ミス」というタイトルで下記趣旨の記事が、また同日21時42分にmsn産経ニュース神奈川から「止まらぬ川崎市バス経路ミス」というタイトルで同趣旨の記事が、ネット配信されていた。
川崎市交通局は7日、運行ミスをした市バスの男性運転手A(54)を停職5日、もう一人の男性運転手B(50)を戒告とする懲戒処分にしたと発表した。
いずれも同日付で、それぞれ22年、27年の運転手歴があるベテラン。
2011年度の運行ミスは33件(7日現在)に上り、ミス多発を受け各種対策を施したが、10年度とほとんど変わらない状況が続いている。
同局によると、運転手Aは、10月13日、所定の交差点を左折すべきところを誤って右折。乗客から間違いを指摘されたものの、営業所への連絡を怠り、自己判断で右折を繰り返して本線に復帰した。
この運転手は昨年10月にも運行ミスをしており、同局の聞き取りに「すぐに戻れると思った。前にもミスをしていたという意識もあって連絡しなかった」などと話しているという。
運転手Bは、10月15日、所定の交差点を右折すべきところを誤って直進した。
同交差点はミスが多発しているため、手前停留所での一時停車と運行表の指差確認が定められていたが怠っていた。
同局はミス防止に向け、民間バスの営業所長経験者を改革アドバイザーに迎えたり、運転手のグループ研修を実施したりするなどしているが、11年度の33件は前年同期比7件減にとどまり、運行ミスによる懲戒処分は今回で6人となった。
同局の担当者は「少しずつ改善はしているものの、指差確認などを徹底していればミスはゼロになるはず。再発防止策に努めたい」と話している。
出典URL■■■
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(ブログ者コメント)
この手のトピックスが複数のメディアで取り上げられることは珍しい。また、msn産経ニュースでは2回取り上げているので驚いた。
公営交通のだらしなさということで、特に厳しい目を向けているのだろうか?
それならば、他の民営バスとの比較といった切り口でも報道してほしかった。
(2011年12月2日 修正2 ;追記)
2011年11月30日9時14分に、NHK横浜から、その後の対応に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「川崎市バス」で運行経路を間違えるミスなどが相次いでいることを受けて、対策を検討する委員会がきょう初めての会合を開き、来年3月までに提言をまとめることになった。
この委員会は、川崎市バスで昨年度多発した運行経路を間違えるミスなどが今年度もこれまでに35件と相次いでいるため、川崎市が外部の専門家に原因と対策を検討してもらおうと設置したもの。
28日は市役所で初めての会議が開かれ、交通政策や心理学を専門とする大学教授や民間の路線バスの実務経験者ら4人の委員が出席した。
会議では、はじめに市の担当者が、ミスの具体的な事例のほか、経路ミスが多発している交差点で、運転手に対し、行き先を声に出したり経路の指差し確認を義務づけたりするなど再発防止策に取り組んできたことなどを報告した。
委員からは「間違える背景には複雑な路線が多いという状況があるのではないか」といった指摘や、「市の防止策は項目も多く、過剰となっている印象なので、整理するべきではないか」という意見が出され、委員会として来年3月までに提言をとりまとめることになった。
会議の終了後、委員長の東京海洋大学の寺田一薫教授らが記者会見し、「公共交通機関として経路の間違いはあってはならないことだ。原因を詳細に調べて効果的な対策を議論していきたい」と述べた。
(2012年2月23日 修正3 ;追記)
2012年2月21日付で毎日新聞神奈川版から、改善委員会の答申の方向性が示された旨、下記趣旨でネット配信されていた。
川崎市バスで相次ぐ運行ミスの解決策を模索する第三者委員会「市バス運行管理改善委員会」の最終会合が20日、同市役所であった。
実施しているミス改善策の見直しや有効なものの継続、公表方法の再考などが答申の方向性として示された。
答申は3月上旬に完成、同月内に発表する。
ただ、31路線213系統を持ち、起点と終点が同じでも経由地が異なるなど経路誤りの大きな要因に挙げられた運行経路の複雑さについては、「経路を単純化することでミス発生の確率が下がるが、限られた経営資源で維持するためにはやむを得ない」とし、抜本的なダイヤ改正の必要性には踏み込まなかった。
対策で見直し検討とされたのは、間違いが多発する「指定交差点」(23カ所)のうち10カ所で行われている一時停車。
混雑時など運転手の心理負担につながるとして段階的に減らすことを課題とした。
継続となったのは、出庫時の行き先確認の徹底やミス発生の場所などを盛り込んだハザードマップの更新など。
現場で有効と判断されたものが多かった。
また、ミスを全て即日発表している公表方法について「運転手に過度のプレッシャーを与えている」として再考の余地があるとした。
出典URL
http://mainichi.jp/area/kanagawa/archive/news/2012/02/21/20120221ddlk14040230000c.html
ちなみに、同日付の神奈川新聞からは、違った切り口の記事がネット配信されていた。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1202200008/
(2012年3月16日 修正4 ;追記)
2012年3月12日付で神奈川新聞から、13日付で毎日新聞神奈川版から、また3月12日21時54分にmsn産経ニュース神奈川から、3月13日7時44分にNHK首都圏から、再発防止策がまとまった旨、下記趣旨でネット配信されていた。
同市交通局は12日、今後の運行ミス防止対策を発表した。
ミス発生について「ヒューマンエラーが最大の要因」との認識の下、「安全最優先のバス運行業務に即しているか」など四つの視点に基づき対策の強化を図る。
同局は2011年度、外部委員による「バス運行管理に係る改善委員会」を設置。市バスの運行ミスの原因を検証し、防止策のあり方を検討してきた。
改善委はミス防止対策の基本指針として、
(1)安全最優先のバス運行業務に即しているか
(2)市バスネットワークの特徴を踏まえた体制・対策が取られているか
(3)業務に対する意識の向上を図る仕組みが取られているか
(4)ミス発生後の対応が的確かつその対応が事後の運行に影響していないか
の4点を提示した。
これを受け、同局は新たな取り組みとして、
□起点と終点が同じでも経由地が違う系統の運行表に路線名と経由地を記す
□335台すべてのバスの運転席にカラー画面の大型モニターを設置して、3つ先までの停留所や間違いの多い交差点でどちらに曲がるかを表示する
□経路ミスが多発する「指定交差点」手前で流れる車内放送に限り、運転手への注意喚起のために通常の女性の声から男性の声に切り替える
□厳正な点呼は緊張感をもった業務につながるとの提言を受け、点呼を出車間際に変更
□各営業所で運転手をグループ分けしてミス防止について討議や研修を行い、ミスがないと「ほめる」評価を導入
□運行経路や出庫時間の復唱の徹底など、運行への集中力の保持
など35の対策を順次導入する。
一方、市はこれまでミスがあるたびに公表していたが、運転手がプレッシャーを感じているという指摘を受けて、法令違反など悪質なものを除き、1年分をまとめて次の年度に公表する。
出典URL
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1203120027/
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20120313ddlk14040178000c.html
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120312/kng12031221550007-n1.htm
http://www.nhk.or.jp/lnews/shutoken/1004551143.html
(ブログ者コメント)
ヒューマンエラー防止策として、ハード、ソフト両面からの対策が打ち出された。
よく練られている感じだ。
各メディアには、1年後に効果検証報道をお願いしたい。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。