2018年10月1日19時19分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風24号の接近に伴い、JR東日本は30日夜、首都圏の在来線の全線と一部の新幹線、合わせて1200本余りの運転を計画的に取りやめた。
帰宅時間を早めるなどした46万人余りに影響が出たという。
JR東日本は30日午後8時から、首都圏の在来線の全線1218本と東北・山形・上越・北陸各新幹線の一部21本の、合わせて1239本の運転を計画的に取りやめた。
帰宅時間を早めるなどの影響が出たのは、在来線でおよそ45万4000人、新幹線でおよ8700人の、合わせておよそ46万2700人に上った。
さらに1日の始発の時間以降も、JR四ツ谷駅の線路内で木が倒れているのが見つかり、中央線の快速電車が運転できなくなったのをはじめ、線路の点検のため首都圏の在来線の全線で一時運転を見合わせて運転本数を減らすなどしたことから、朝の通勤や通学の乗客で駅や列車が大混雑した。
【計画運休 経緯と課題】
JR東日本が台風24号の接近に伴う「計画運休」を発表したのは、30日正午すぎだった。
山手線をはじめ中央線や東海道線など、首都圏の在来線のすべての路線について、午後8時以降の運転を順次取りやめるとして、早めの帰宅を呼びかけた。
台風の影響で首都圏のすべての在来線の運転を計画的に取りやめるのは、確認できるかぎりで今回が初めてだという。
JR東日本は、「台風の規模が大きいことや首都圏の全域に影響するおそれがあること、影響する時間帯が夜間になることから、乗客の安全を考えた」と話している。
一方で1日の運転については、30日夜の時点で「始発から通常どおり運転する予定」としていたが、午前4時になって首都圏のすべての在来線で始発から運転を見合わせると発表した。
JR東日本は、「台風が去ったあとの点検で被害が判明し、未明に運転を見合わせることを判断した。昨夜の段階での判断は難しかった」と話している。
【専門家 一定の評価 課題指摘も】
鉄道システムが専門で工学院大学の高木亮教授は、「今回、初めて首都圏で一斉に運転を取りやめた点について、安全面から評価できると考えているが、今回の『計画運休』の内容であれば、前日に公表するべきだった」と指摘している。
また、「大規模な計画運休をしていることや、台風の勢力などから線路などの設備の安全確認に時間がかかることは、事前にわかることなので、始発からの運転見合わせも予想できたことだ。情報を出すのが遅く、利用客などの混乱を大きくしたのではないか」としている。
鉄道の安全に詳しい関西大学の安部誠治教授は、「台風で突然電車が止まり社会的混乱を生んでしまうより、事前にあらかじめ運休を知らせることで多くの企業や利用者がその予定にあわせた対応をとることができるため、有効な方策だったと評価している。関東圏では今回が初めてだったため、多少の混乱はあったと思うが、利用者もスマートフォンなどで積極的に情報をとるようにしていけば、今後、不満や批判も解消して社会に定着していくと思う」と話している。
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出典
『JR 初の「計画運休」始発から運転見合わせで混乱 課題も』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181001/k10011653621000.html
10月1日11時30分に毎日新聞からは、各駅の混雑状況に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風24号が通過した1日朝、首都圏の鉄道ダイヤは大きく混乱した。
ほぼ通常通りの運行を予定していたJR東日本は、設備点検などのため始発から運行することはできず、一部の駅で入場制限を掛けるなど、週明けの通勤客に大きな影響を与えた。
JR新宿駅は、構内が身動きが取れないほどごった返していた。
大混雑するホームは入場が規制され、押し出された女性客らの悲鳴が上がった。
川崎市の会社員男性(24)は、「構内や車内はかなり混み合っていて、押し合いになって目の前で乗客数10人がドミノ倒しのように倒れた」と話した。
「まさかこんな状況になるとは予想していなかった」。
出勤途中の東京都北区の会社員男性(28)は、駅前の路上に座り込んでいた。
「ラジオで山手線は動いていると聞いたけど、人が多すぎてホームまでたどり着けない」と途方に暮れた。
東京都三鷹市のJR三鷹駅は、午前7時半ごろから入場規制が始まった。
大学1年の女性(18)は、「三鷹駅なら電車に乗れるかと思って最寄り駅からバスに乗って来たが、ここまで混雑しているとは。もう1限目には間に合わないので、落ち着くまで待ちます」とあきらめた様子だった。
東海道新幹線も安全確認が長引き、東京駅午前6時発ののぞみの始発が約1時間遅れで出発した。
新幹線の乗り換え口は、時刻表を見上げ途方に暮れる人や、駅員に到着時間を尋ねる人でごった返した。
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大宮駅では、さいたま市北区の会社員男性(35)が、「朝から通常通り運行すると思っていた。始発から動くのか、運休なのか、情報が錯綜して困った」と話していた。
出典
『台風24号 「遅刻に」「電車乗れない」週明け首都圏混乱』
https://mainichi.jp/articles/20181001/k00/00e/040/195000c
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
2018年10月2日付で東洋経済からは、他の鉄道会社でも計画運休したところがあったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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計画運休は、ほかの鉄道会社も実施した。
15時30分の段階で21時以降の運休を発表したのは、東京メトロ東西線の東陽町~西船橋間。
同区間は、ほとんどが地上の高架線で長い鉄橋もあり、風の影響を受けやすい。
同社は、「風速25m/秒以上で運転を見合わせる基準になっているが、予報でこれに近い風速の予想が出ていたため、運休を決めた」(広報部)と説明。
事前に予告しての運休は、「少なくとも、ここ数年はなかった」という。
西武鉄道も比較的早く、16時の時点で20時以降の本数削減と22時以降の運転見合わせを発表した。
同社が計画運休を行ったのは、今回が初。
「災害を引き起こす可能性がある強い台風であることがわかっていたので、安全のためには早めに運休を決めて周知し、利用者には早い時間に帰宅してもらうほうがいい」(広報部)と判断したといい、決定の背景には、JR線の計画運休実施もあったという。
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一方、運転を継続したのが東武鉄道、京急電鉄、京成電鉄だ。
特急など一部列車の運休はあったものの、この3社は、基本的に終電まで運行を継続した。
21時以降に運休の可能性があることを告知した上で運行を続けた京急は、「雨や風の数値を見て、規定に入っているかで運行の継続を判断している」といい、予測も含めて基準値には至らなかったため、運休しなかったという。
東武と京成は、安全上問題ない限りは運行を継続するという考えだ。
だが、運行を継続したある鉄道の関係者は、「各社の状況を見つつ、(計画運休の)検討する必要もあるかもしれないとは思う」と話す。
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出典
『「計画運休」、鉄道各社の判断なぜ分かれた? 大きな混乱はなかったが…翌日の対応に
課題』
https://toyokeizai.net/articles/-/240583
9月30日22時49分に産経新聞からは、計画運休に対する解説的記事が下記趣旨でネット配信されていた。
非常に強い台風が再び列島に襲来し、首都圏のJR在来線や東海道新幹線は「計画運休」に踏み切った。
企業活動などに大きな影響を及ぼす一方で、運行途中の電車が駅間で止まるなどの混乱を防ぎ、乗客の安全を確保する意味合いがある。
異常災害が頻発する中、こうした事前の運休告知が定着しそうだ。
【臨機応変に】
計画運休は、自治体や企業があらかじめ防災対応を決めておく「タイムライン」(事前防災行動計画)の一環といえる。
平成26年8月の広島市の土砂災害で避難勧告の遅れが指摘されて以降、計画策定が各地で広がりつつある。
台風に備え、公共交通機関で初めて計画運休を本格導入したのは、JR西日本。
同年10月、台風19号の接近に備え、京阪神地区全24路線の運休に踏み切った。
今年に入りJR西は、7月の西日本豪雨や8月の台風20号、9月の台風21号でも、計画運休を実施した。
台風21号のケースでは、関西に拠点を置く主要企業が相次いで臨時休業を決定し、外食チェーンや百貨店でも多くが営業を見合わせた。
こうした企業活動への影響に対し、JR西の来島(きじま)社長は、「有事の際には広く社会の安全を守ることが大事だ。仕事を休みにするなど、臨機応変な対応が社会に定着することが望ましい」と訴える。
【再開スムーズ】
気象庁の梶原予報課長は、9月29日の臨時記者会見で、「24号は、今年、日本を襲ったどの台風よりも力が強く、大きな影響を与える可能性がある」と警告。
今回の対応も、安全に配慮した結果といえそうだ。
では計画運休を実施しない場合、どのような事態が想定されるのか。
首都圏のJR在来線の場合、複数の路線に乗り入れ、走行区間が長い列車も多い。
風雨が規制値を超えると駅間で列車が立ち往生し、乗客が長時間にわたって閉じ込められる可能性がある。
JR関係者は、「一部区間の運行が、逆に大混乱を招くという事態を考えなくてはならない」と強調。
計画運休では、乗務員や車両のやりくりの見通しが立ちやすく、運行再開もスムーズに行えるメリットもある。
【変わる常識】
ただ、鉄道事業者が難しい判断を迫られるケースも考えられる。
通勤・通学客の帰宅時間と重なる平日の夜に全面運休となれば、大勢の「帰宅困難者」が発生する恐れがある。
23年3月の東日本大震災では、JR東日本が「構内の安全が確認できない」として東京都内の主要駅のシャッターを閉じ、乗客は駅から追い出されて行き場を失った。
今回の計画運休は休日に当たったが、鉄道事業者側が運休を決断するタイミングや、利用者に対する情報周知の面でも課題が残りそうだ。
「空振り三振はよくても、見逃し三振はいけない」というのが、防災対策の鉄則とされる。
混乱のリスクと社会への影響がせめぎ合う中、「公共交通機関は全面運休しない」という常識は変わりつつある。
出典
『鉄道ストップ「計画運休」 空振り恐れず混乱回避』
https://www.sankei.com/affairs/news/180930/afr1809300015-n1.html
(ブログ者コメント)
某テレビ局の報道番組では、『30日夜の時点で「明朝は始発から通常どおり運転する予定」としていたため、普段通りに乗客が駅に出かけた』と解説?コメント?していた。
今回の反省から、今後の計画運休時は、「明朝は台風通過後の点検などで始発からダイヤが乱れる可能性があります」などと告知するようになるかもしれない。
2018年10月1日13時5分に産経新聞から、現場の写真付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風24号による強風の影響で、千葉県市原市国分寺台中央の同市役所では、第2庁舎の1階吹き抜け部分の窓ガラス12枚が割れた。
市シティプロモーション推進課によると、1日午前2時15分ごろ、台風への警戒のため宿直していた職員が被害に気づいたという。
第2庁舎1階は市民税課や納税課などの窓口があり、1日は午前8時半から、一部を立ち入り禁止にした上で窓口を開けているという。
出典
『千葉県市原市役所の1階吹き抜け部分の窓ガラス12枚割れる』
http://www.sankei.com/affairs/news/181001/afr1810010023-n1.html
10月1日10時56分にNHK首都圏からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
1階部分に設置されているガラス、12枚が次々に割れた。
ガラスは1枚が縦およそ4.5m、幅およそ2mで、30日夜から風が強まったため、時折、市の職員が風で外れないように手で押さえたりしていたが、突風に耐えられなかったという。
職員は危険を感じてその場を離れ、けが人はいなかった。
市役所の第2庁舎は昭和47年に建てられ、これまでにガラスが1枚、割れたことはあったが、今回のような被害は初めてだという。
出典
『市原市庁舎のガラスが次々に損壊』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181001/0019319.html
※10月2日5時0分に千葉日報から、千葉県内の強風による被害状況が、市原市役所事例を含め、下記趣旨でネット配信されていた。
風雨を伴って日本列島を通過。
千葉県内では早朝から、JRを中心に鉄道ダイヤが乱れたほか、道路でも渋滞が発生し、通勤・通学客らを足止め。
交通網の混乱は、昼すぎまで続いた。
けが人や住宅の一部損壊も続出し、県内にも爪痕を残した。
房総半島で吹き荒れた強風は、トラックやバイクの運転手にも襲いかかり、転倒などで男女14人が負傷。
栄町では、国道356号を走行していたトラックが強風にあおられ横転し、運転手の男性(51)が全身を打って負傷。
山武市のJR成東駅付近では、新聞配達中のバイクの40代男性が折れた街灯に気付かず衝突して腰などを打撲した。
千葉市花見川区の老人ホームでは、入所女性(89)に割れた窓ガラスがあたり、左顔面を負傷した。
住宅被害も発生。
四街道市では、強風で飛ばされた屋根が隣家の窓ガラスを割った。
県内では計48軒が一部損壊し、袖ケ浦市など4棟で床下浸水。
八街市では3階建てビル屋上のハトの小屋が飛ばされ、空き家住宅の屋根を直撃した。
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出典
『記録的暴風雨、千葉県内襲う 交通乱れ、通勤客ら足止め』
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/535848
(ブログ者コメント)
2014年に1枚割れた事例は、本ブログでも紹介スミ。
市役所1階は、周囲に風を遮る建物などほとんどない、少し高台になっている場所。
割れたのは、壁代わりに設置されている大きなガラスだ。
(下記写真では、割れた部分がベニヤ板で塞がれている)
2014年の事故当時、風はそう強くないように感じていたが、今回は半端ない強風。
夜中の1時ごろから特に強く吹き始め、2時から3時ごろにかけては、家が揺さぶられるほどの凄まじい風が吹いていた。
2018年10月1日10時42分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午前1時45分ごろ、台風24号避難のため横浜市鶴見区の大黒ふ頭沖に停泊中のベリーズ船籍の貨物船(全長79.4m、1920トン)から「強風に流されて護岸に接触しそうだ」と、横浜海保に通報があった。
船は強風にあおられ、停泊場所から約4km離れた川崎市川崎区の扇島の護岸に衝突した。
乗員12人は避難し、無事だった。
事故当時、積み荷はなかった。
船の後部が接触した影響で、護岸が一部破損した。
出典
『台風24号 停泊の貨物船が4キロ離れた護岸に衝突 横浜』
https://mainichi.jp/articles/20181001/k00/00e/040/173000c
10月1日11時10分にNHK首都圏からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
およそ5km離れた川崎市扇島にある製鉄所の岸壁に衝突した。
貨物船は、横浜港に避難勧告が出されていたため沖に出て停泊していたということで、中国人などの乗組員12人は全員自力で脱出し、けが人はいなかった。
海保によると、当時、付近の海では風速およそ30mの南南西の風が吹き、波の高さはおよそ2mだったという。
出典
『貨物船が強風で流され岸壁に衝突』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181001/0019325.html
10月1日12時32分に神奈川新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
大黒ふ頭周辺でいかりを下ろし、停泊中だった。
現場海域には当時、いかりを下ろしたまま強風で流される「走錨(そうびょう)」の注意情報が発表されていた。
出典
『【台風24号】川崎・扇島の護岸、貨物船が衝突』
http://www.kanaloco.jp/article/363329
(ブログ者コメント)
台風21号時の関空事例と同じような走錨事故。
ただ、今回は衝突先が護岸だったことで、大きな被害にならずに済んだ。
しかし大黒埠頭のそばには、護岸に衝突された製鉄所以外、ベイブリッジや鶴見つばさ橋がある。
今回の船は1920トンと、関空時の船2591トンに比べ、多少小さかったが、それでも風向き次第では、そちらに衝突したかもしれず、その場合、首都高速湾岸線通行止めなど、大きな影響が出た可能性も考えられる。
2018年10月1日17時45分にNHK滋賀から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
30日夜、甲賀市で警備員の男性の行方が分からなくなり、台風で増水した川に落ちた可能性があるとみて警察や消防で捜索したところ、1日午後、川の下流で遺体が見つかった。
警察は、行方が分からなくなっていた警備員とみて、身元の確認を進めている。
警察によると、30日午後7時すぎ、甲賀市甲賀町神にある「O薬品工業」の工場で異常を知らせる警報が鳴り、契約している警備会社の警備員の上田さん(男性、46歳)が現場に向かったという。
その後、上田さんと連絡がつかなくなり、同僚から通報を受けた警察が消防など、およそ70人態勢で30日夜から捜索を続けていたが、1日午後2時ごろ、工場から12kmほど離れた川の下流で男性の遺体が見つかった。
警察は遺体は上田さんとみて、身元の確認を進めている。
上田さんが向かった建物のすぐ裏には川が流れていて、近くに乗ってきた会社の車が止まっていたことから、警察は、上田さんが建物の周りを確認している途中で台風で増水した川に流された可能性が高いとして調べている。
国交省琵琶湖河川事務所によると、30日午後7時の時点で、甲賀市甲賀町にある観測所で1時間17ミリの雨量を記録したという。
出典
『川で遺体発見 不明の警備員か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20181001/2060001243.html
10月1日10時45分にNHK滋賀からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警備員と連絡がつかないため、同僚2人が現場に駆けつけたが、警備員の行方はわからず、エンジンがかかったままの車が近くで見つかったため、110番通報したという。
「O薬品工業」によると、30日は休日のため工場は休業で、異常を知らせる警報がなった場合に、警備会社から警備員が派遣されることになっていたという。
出典
『台風増水の川転落か警備員不明』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20181001/2060001239.html
10月2日3時0分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午後、工場から約12km先の甲賀市水口町宇川の、野洲川と杣川の合流点付近で、上田さんの遺体が見つかった。
警察によると、30日夜に工場の防犯センサーが作動したため、上田さんが1人で確認に向かったという。
工場近くを流れる大原川に落ちた可能性もあるとみて、署員らが1日朝から周辺を捜索していた。
出典
『滋賀)台風24号 県内で1人死亡、道路陥没や国宝被害』
https://digital.asahi.com/articles/ASLB1452GLB1PTJB00H.html?rm=323
(ブログ者コメント)
〇この事故が起きた、ちょうどその頃、午後8時に台風24号が和歌山県に上陸している。
台風襲来時、通常の見回りなどは、風雨が収まってから行うという選択肢もあるが、この事例のように防犯センサーが作動したような場合は、雨風による誤作動だろうと思っても、契約上、確認に行く義務があるということかもしれない。
〇この事例では台風の最中、警察、消防の方は、二次災害を警戒しつつ、捜索に当たられたと推察する。
一方、テレビでは、台風で風雨激しい中、道路に倒れた樹木を撤去する方々や停電対応に当たられている方々などの映像も流れていた。
どうも御苦労さまでした。
今後とも、お気をつけて。
2018年10月1日0時42分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
非常に強い台風24号は、30日午後8時頃、和歌山県田辺市付近に上陸した。
激しい風雨により、1人が行方不明、1人が意識不明になったほか、多くのけが人が出ている。
JR東日本は、首都圏の在来線全線で午後8時から順次、運転を取りやめるなど、各地で交通機関がマヒした。
台風は強い勢力を維持したまま1日朝にかけて本州を縦断する見通しで、気象庁は厳重な警戒を呼びかけた。
気象庁によると、「非常に強い勢力(風速44m以上54m未満)」で上陸するのは、25年ぶりの記録となった先月4日の台風21号以来で、統計の残る1991年以降では4回目。
台風24号は上陸後、勢力が「非常に強い」から「強い」となり、30日午後11時現在、名古屋市付近を時速60kmで北東に進んでいる。
中心気圧は965ヘクト・パスカル、中心付近の最大風速は40m。
1日午後には北海道の東へ抜け、温帯低気圧に変わるとみられる。
この台風により、鹿児島県十島村で54.6m、宮崎県西都市で41.3mなど、各地で最大瞬間風速が観測史上1位を更新した。
また、広い範囲で雨も激しく降り、宮崎県高鍋町96ミリ、愛媛県新居浜市73.5ミリ、三重県尾鷲市64.5ミリなどの1時間雨量を観測した。
鳥取県警によると、同県琴浦町では、台風の影響で陥没した農道から車が約50mの崖下に転落し、乗っていた50歳代くらいの男性が意識不明の状態となった。
宮崎市高岡町では30日午前9時頃、60歳代の女性が用水路に流され、行方不明になった。
このほか、読売新聞の午後9時現在のまとめで、沖縄、鹿児島、大阪などの各府県で計80人が負傷している。
台風の接近を受け、JR東日本は、午後8時以降は首都圏を走る在来線全線で、順次、運転を見合わせる「計画運休」を実施。
同社によると、こうした措置は「確認できる限り、初めての対応」という。
また、東海道新幹線は午後5時頃から全線で運転を見合わせるなどし、267本が運休。
東北、山形、上越、北陸の各新幹線も午後5時以降に本数を減らし、計21本が運休した。
空の便も大きく乱れ、関西空港では、30日午前11時にA、B両滑走路を閉鎖。
日本航空は360便、全日空が450便の国内線を欠航し、計約7万7800人に影響した。
出典
『台風「非常に強い勢力」で上陸…統計史上4回目』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180930-OYT1T50047.html
9月30日20時51分にNHK NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
非常に強い台風24号は30日午後8時ごろ、和歌山県田辺市付近に上陸した。
台風が「非常に強い」勢力を維持したまま日本に上陸したのは、今月4日、25年ぶりに非常に強い勢力で上陸した台風21号に続いてのこと。
1年に2回、非常に強い台風が上陸するのは、上陸時の風の強さの統計を取り始めた平成3年以降初めてで、極めて異例。
出典
『台風 非常に強い勢力で上陸 1年に2回は極めて異例』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180930/k10011651611000.html
2018年10月3日3時0分に朝日新聞から、消失前後の写真付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
薩摩川内市の甑島で建設中の「藺牟田瀬戸架橋」の工事現場で、橋脚に据え付けられていたクレーン1基が台風24号の影響で倒壊したことが分かった。
2020年度中の開通を目指している県は2日、施工業者による船上からの調査で被害確認を進めた。
県によると、下甑島と中甑島を結ぶ全長1533mの架橋工事は、海中に建てた橋脚14本から橋げたを伸ばす形で進められている。
倒壊したクレーンは下甑島側から4本目の橋脚にあったもので、海中部分約20mを含めた高さが約50m、アーム部は約25m。
船上からの調査では、クレーンが橋脚から70~80m離れた海底に横たわっているのを確認した。
橋脚本体に大きな損傷は見られなかった。
台風24号の影響で風と波が強まっていた9月30日午前11時ごろには、現場作業員がインターネットを通じたライブカメラで異常がないことを確認していたが、同日午後1時半ごろに、県職員がクレーンがなくなっているのに気付いたという。
出典
『鹿児島)甑島架橋工事のクレーン1基が消失 台風24号』
https://www.asahi.com/articles/ASLB235BVLB2TLTB001.html
10月2日14時55分にNHK鹿児島からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
台風24号が県内に接近していた30日午後、薩摩川内市甑島の橋の建設工事で使用されていた高さ50mの大型クレーンが消失していたことがわかり、工事を発注した鹿児島県は、台風の暴風にあおられて倒壊したとみて、現場の状況などを調べている。
大型クレーンは、中甑島と下甑島の間に橋を架ける「藺牟田瀬戸架橋」の建設工事で使用されていたもの。
およそ50mの高さがあり、工事で使う資材をつり上げたり運搬するために使用されていた。
県によると30日の午前11時ごろには、工事を請け負っている建設会社の社員が薩摩川内市のウェブカメラでクレーンが立っているのを確認していたが、その2時間後、県の職員が現場を確認したところ、クレーンがなくなっていたという。
県や建設会社は、クレーンが台風24号の暴風にあおられて倒壊したとみている。
鹿児島地方気象台によると、甑島では、30日の午後0時49分に、この日最大となる22.3mの最大瞬間風速を観測したという。
「藺牟田瀬戸架橋」は県が320億円を投じて建設を進めているもので、2020年度の完成を目指している。
今回の被害で工事は一時的に中断を余儀なくされていて、再開のめどは立っていないという。
出典
『暴風で工事用大型クレーンが消失』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20181002/5050004530.html
(2018年10月20日 修正1 ;追記)
2018年10月19日18時7分にNHK鹿児島から、本体は海底で、支柱2本は60km離れた海面に浮いているのが見つかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
工事を発注した県によると、クレーン本体は現場近くの海底で見つかり、今月16日に引き上げられたという。
また、本体を支えていた鋼管4本もなくなり、このうちの2本が現場から南東へおよそ60kmほど離れた南さつま市坊津町秋目の沖で海面に浮いているのが見つかったという。
県によると、鋼管は長さ18mで、重さは2本あわせて9トンあり、中は空洞で、海面から50cmほど先端部分が突き出た状態で浮いていたという。
残る2本の鋼管はまだ見つかっておらず、県と海上保安庁では、海面に浮いている可能性があるとして、航行する船に対して注意を呼びかけている。
出典
『台風で消失のクレーン鋼管発見』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20181019/5050004678.html
10月17日20時20分に南日本放送からは、浮いていた柱は瀬渡し船の男性が見つけたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今月15日、現場から南東におよそ60km離れた南さつま市野間岬の南東で、瀬渡し船の男性が柱2本を発見したという。
見つかった柱について県は、今後、海から引き上げ、処分することにしている。
出典
『台風で倒壊甑島のクレーン 一部が南さつま市沖で発見』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181017-00032719-mbcnewsv-l46
2018年10月2日16時0分に沖縄タイムスから、折れた煙突の写真付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風24号の第3回県災害対策本部会議が1日、県庁であった。
金武町と宜野座村のごみ処理施設である金武地区清掃センターは煙突が折れて稼働が停止し、復旧には2カ月程度かかる見通し。
廃棄物の焼却処理を他市町村などに委託する必要があり、現在、調査中という。
出典
『台風24号で折れた煙突、ごみ処理復旧に2カ月か 沖縄で信号401カ所作動せず』
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/323931
(ブログ者コメント)
〇掲載写真によれば、折れたのは鉄製の煙突。
煙突のほぼ半ば、高さ10mほどの位置から折れているように見える。
破断面も写っているが、画面が暗く、詳細不明。
端がめくれているように見えるような気もする。
〇台風21号に続き、台風24号も日本列島を直撃し、大きな被害が出た。
本ブログでは、数多くの被害のうち、ブログ者のアンテナにひっかかった事例や情報を、以降、紹介する。
2018年9月26日15時59分にNHK奈良から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大和高田市で今月、台風21号の接近に伴って市民が避難した市の施設に、本来、備蓄されているはずの飲料水が1本もなく、台風が迫る中、市の職員が別の場所から急きょ運び入れる対応をとっていたことがわかった。
毎年行うよう定められている備蓄倉庫の点検を行った記録もなく、備蓄の総点検を急ぎたいとしている。
今月4日、台風21号の接近に伴い、大和高田市は市内全域に避難準備の情報を出して、お年寄りなどに早めに避難を始めるよう呼びかけ、市内4か所で避難所を開設した。
大和高田市によると、このうち市立の「武道館」には、最大で32人が避難したが、ここに備蓄されているはずの飲料水が1本もなく、台風が接近する中、急きょ、市の職員が別の施設から水を運ぶ対応をとったという。
市の地域防災計画では、避難所などでの備蓄について、「毎年点検し、備蓄品の補充・更新を行う」と定められているが、具体的な点検のマニュアルはなく、おととし11月以降、点検をした記録は残っていないという。
大和高田市は、「施設には自動販売機や水道水もあり、避難する市民には自分で水分を確保するようお願いしている。ただ、備蓄の点検は行わねばならず申し訳ない」としていて、市内に20あるすべての避難所などでの備蓄の総点検を急ぎ、今後の災害に備えたいとしている。
これについて、災害時の備蓄のあり方などについて詳しい神戸大学大学院の堀江進也准教授は、「本来あるべき備蓄が倉庫に1つもないというのは恐ろしいことだ。災害時には停電や断水も起こりえるが、そうしたリスクを過小評価しているとも言える」と指摘している。
そのうえで、「災害への備えの基本は自分で自分を守る自衛が大切で、個人それぞれが食料品や水などを十分に備蓄しておくことが大事だ」と話している。
出典
『避難所に備蓄飲料水なく総点検へ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20180926/2050001094.html
9月26日21時21分に産経新聞westからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
本来備蓄しておくべき500mℓ入りペットボトルの飲料水がなかったことが、26日、市への取材で分かった。
市によると、4日朝、市内に4カ所の避難所を設置。
約30人が避難した市立の武道館で、市の防災計画で200本の備蓄が必要とされた災害用のペットボトルの飲料水が1本もなかった。
市の担当者は、「年度替わりなどで、施設管理者の引き継ぎが適切に行われていなかった」と説明した。
出典
『避難所に備蓄飲料水なし 奈良・大和高田市』
http://www.sankei.com/west/news/180926/wst1809260089-n1.html
(ブログ者コメント)
NHKで報じられている、市の「施設には自動販売機や水道水もあり、・・・」という見解。
詳しくは、インタビューに答える形で、危機管理責任者の方が、以下のようなことを言っていた。
『断水とかしなければ、施設ですので水道も使えるし、自動販売機等も設置されているので、水分がとれないという事態にはならないと想定している。ただ、職員が行う点検ができていなかったのは事実につき、今後はちゃんと点検していく』
言い方の問題かもしれないが、かなり違和感。
断水を想定しての飲料水備蓄だと思うのだが・・・・。
2018年9月26日15時28分に毎日新聞から、京阪神エリア鉄道各社の台風21号時の対応一覧表付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風シーズンに鉄道の運休をあらかじめ告知する「計画運休」が、京阪神エリアで浸透しつつある。
今月4日に近畿地方などに上陸した台風21号を巡っては、JR西日本だけでなく、南海、京阪も、初めて実施。
大型で非常に強い台風24号が沖縄の南を北上する中、利用者からは運用の改善を求める声も上がる。
「企業活動に影響を及ぼしたのは申し訳ないが、無理に出社してもリスクに直面する。有事では、一定程度、必要な措置ではないか」。
JR西の来島社長は19日の定例記者会見で、計画運休について、こう語った。
JR西は3日午前10時45分の段階で、翌4日の京阪神エリアの計画運休を公表。
4日正午過ぎまでに、近畿の全線で運転を取りやめた。
同社が京阪神の全線運休を前日に知らせるようになったのは、2014年10月の台風19号からだ。
この時は、結果的に台風の勢力が弱まり、他の私鉄が運行したこともあって、苦情が寄せられた。
だが、計画運休を見送った15年7月の台風11号では、東海道線の新快速電車が駅間で約4時間立ち往生し、19人が救急搬送される事態に。
同社は、台風の中心気圧が950ヘクトパスカルより強い勢力で近畿を縦断すると予想される場合などは、前日夕までに全線運休を知らせる指針を策定している。
今月の台風21号では、JR西に続き、南海電鉄が3日正午に、京阪電鉄も同日午後5時に、それぞれ計画運休実施を公表。
両社とも、4日正午過ぎから、全線で運転を見合わせた。
ただ、京阪は告知が夕方になったとあって、広報担当者は、「『もう少し早く教えてもらえるとありがたかった』という利用者の声があった」と明かし、「どの程度の台風の規模の時に計画運休の判断をし、いつ公表すべきかが課題だ」と話す。
一方、阪急電鉄、阪神電鉄、近鉄は、「安全が確認できる間は走らせる」として事前告知は見送り、台風の影響が大きくなった4日正午前後に、いずれも全線運休した。
これに対し、大阪府北部の自治体で働き、阪急京都線で通勤する女性は、「事前に知らせてもらった方がありがたかったかも」と振り返る。
朝、出勤はしたが、午後の運休で帰宅できなくなると判断し、ほとんど仕事をせず、午前中のうちに、とんぼ返りしたという。
ある鉄道会社幹部は、「運転中に台風による飛来物で架線が切断され、停電で電車が駅間で止まったり、冷房が利かなくなったりする可能性があった。乗客に線路を歩かせるわけにもいかない」と語り、計画運休に理解を求めた。
出典
『鉄道 台風予測 広がる「計画運休」 リスクを回避』
https://mainichi.jp/articles/20180926/k00/00e/040/292000c
2018年9月18日12時0分に京都新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4日に京都・滋賀に大きな被害をもたらした台風21号では、名神や京滋バイパスなどの高速道路で、強風によるトラックの横転が相次いだ。
気象台は事前に暴風への警戒を呼び掛けており、危険は予想できたはずだが、なぜ横転事故が相次ぐ前に通行規制をしなかったのか。
専門家は、「物流への影響は大きいが、安全第一で考えるべき」と指摘する。
高速道路の通行規制は、府県警とネクスコ西日本、ネクスコ中日本などの管理会社が協議して決める。
京都府警と滋賀県警の高速隊によると、4日午後2時すぎごろ、名神高速彦根IC(インターチェンジ)~八日市IC間でトラック5台が横転。
京滋バイパスで午後2時ごろにトラック13台が、北陸自動車道の木之本IC付近でもトラック1台が横転した。
いずれも、強風のため低速で走行していたり、停車していたりした。
複数のドライバーが軽いけがをした。
この事故を受け、4日午後2時15分から名神高速の彦根IC~八日市IC間は通行止めになった。
京滋バイパスは同55分から瀬田東JCT(ジャンクション)~大山崎JCT間、北陸道は同45分から米原IC~武生IC(福井県)間で、いずれも強風のため通行止めになった。
京都、彦根の両地方気象台によると、台風21号が京滋に最も接近したのは4日午後2時~3時ごろ。
最大瞬間風速は、彦根市で午後2時13分に史上最大の46.2m、京都市中京区で午後2時34分に史上2位の39.4mを観測した。
午前中には暴風域に入ることが予想されており、両気象台は前日3日から、最大風速25m、最大瞬間風速35mを予想して、警戒を呼びかけていた。
予想の暴風は、車が横転したりする強さで、十分に危険は予想できたが、なぜ事前に通行止めを決められなかったのか。
京都府警は、「これ以上の走行は危険だと判断できれば、規制する。経済的な損失を考えると、事前の規制実施は難しい」。
滋賀県警は、「何も起こっていない状態での規制は決断しづらい」とする。
ネクスコ西日本は、「関西空港連絡橋などを除いて、風による通行止めの基準はない」と話し、ネクスコ中日本は「最大風速20mを観測してから通行止めにするという基準があり、今回はそれに従った。ただ、社内で基準を見直すべきとの声もある」と説明する。
強風に見舞われることが多い明石海峡大橋や瀬戸大橋などを管理する本四高速は、最大風速25mを観測した場合などに通行止めにしている。
同社は、「利用者の安全確保を重視しており、経済的影響を考慮してギリギリまで通行させるという意図はない」とした上で、「台風の進路予想は外れることもあり、事前の規制はしていない」とした。
一方、JR西日本などの鉄道では2014年頃から、台風接近時には雨量や風速が基準値を超える前に、予告して運休する対策が広がっている。
台風21号の際も、京滋再接近前の正午ごろまでに、JR各線や大手私鉄が全面運休となった。
交通工学を専門とする日本大学の小早川悟教授は、「今回の台風21号のように、影響が出ると分かっていれば、人命を優先した規制が望ましい」と指摘し、「物流への影響は避けられないが、物流会社は代替ルートを通ることや日程をずらすなどの対応を考える必要がある。今後も起こりうるため、前持った通行止めの是非を議論するべき」と提言する。
出典
『高速道路、なぜ事前規制できない? 台風21号で横転相次ぐ』
https://this.kiji.is/414618096498345057?c=39546741839462401
2018年9月14日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
気象庁は、海面の最高潮位の記録について、3時間の平均水位「平滑値」を取りやめ、3分間の平均水位「瞬間値」で示すと発表した。
短時間で水位が急激に変動した場合に、実際の測定値よりも潮位が低く数値化されるのを抑える狙いがある。
潮位は、基準となる海面の高さをもとに計測した水位から、波などの短い周期の上下変動を除いて算出する。
気象庁は、これまで、平滑値の最大値を最高潮位として、ホームページで公表していた。
しかし、今月、近畿地方を中心に大きな被害をもたらした台風21号は、日本付近の移動速度が約60km前後と速く、水位が短時間で急激に変動した。
関西国際空港は、高潮の影響で冠水した。
ただ、近くの大阪市では、瞬間値で過去最高を上回る329cmを観測しながら、平滑値は235cmにとどまるなど、データの取り方によって大きな開きが出ていた。
ほかに瞬間値が過去最高潮位を超えたのは、
神戸市 (233cm)
和歌山県御坊市(316cm)
同県白浜町 (164cm)
同県串本町 (173cm)
徳島県美波町 (203cm)
の5地点だった。
最高潮位を平滑値で示すことで、防災上の危険も「過小評価」されかねないことから、気象庁は、リアルタイムの計測値に近い瞬間値が、過去の最高潮位を一度でも上回った場合、記録を更新したと判断することを決めた。
この基準を台風21号に適用すると、大阪市など6地点について、最高潮位の記録を暫定的に更新したことになる。
今後、最高潮位記録を瞬間値で示すことを決めたことについて、気象庁の担当者は、「台風21号の高潮は、短時間でみれば、第2室戸台風(1961年)に匹敵するほど大きく、より実態に合った数値をいち早く出すことを優先した」と説明。
今後、過去の潮位データの精査を進めて、各地の最高潮位の更新作業を進めることにしている。
台風21号で瞬間値が過去の最高潮位を更新した6地点
(1)大阪市港区 329cm(第2室戸台風で293cmを観測)
(2)神戸市中央区 233cm(第2室戸台風で230cmを観測)
(3)和歌山県御坊市 316cm(2014年台風11号で163cmを観測)
(4)同県白浜町 164cm(11年台風12号で152cmを観測)
(5)同県串本町 173cm(14年台風18号で161cmを観測)
(6)徳島県美波町 203cm(14年台風11号で167cmを観測)
※気象庁調べ。カッコ内は過去の最高潮位(平滑値)
出典
『最高潮位の過小評価回避 実態に合うよう3分の平均値に』
https://mainichi.jp/articles/20180914/ddm/013/040/017000c
2018年9月11日8時13分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
吹き飛ばされたトタンが、マンションの室内にいた女性を襲った。
台風21号の犠牲者は、いずれも強風にあおられたり、飛来物の直撃を受けたりしたとみられる。
専門家は、「加害者にならぬよう、屋外の物を飛ばさない対策が必要。加害者にも被害者にもならないよう、窓ガラスの防護をしておくべきだ」と指摘する。
4日、大阪市港区のマンション8階。
警察によると、トタンが窓を突き破って室内にいた女性(77)に当たり、あごの下に切り傷を負うなどして亡くなった。
京都大防災研究所の丸山敬教授(建築耐風構造)は、建物で風に最も弱いのがガラスを用いた開口部だとして、窓を守る対策の必要性を訴える。
窓が破られると、思いがけず加害者になってしまう場合も。
室内に入り込んだ風によって壁や天井を外側に押す力が強まり、屋根が飛ぶこともあるためだという。
強風対策には、雨戸やシャッターが有効だ。
複数のガラスの間に樹脂膜を挟んだ合わせガラスを用いる方法もある。
割れてもガラス片が飛び散らず、飛来物の侵入を防ぐことができる。
室内では、カーテンを閉めて窓から離れておく方が良い。
今回ほどの暴風でなくとも、「大人が運べる重さの物は、風で飛ぶ可能性がある」と知っておくべきだという。
家の周りの飛びそうな物は、屋内に入れるか固定する。
丸山教授は、窓などの強化をした上で、強風時はとにかく外出せず、家の中にいることが大切だと呼び掛けている。
出典
『吹き荒れる風、室内にいた女性の命をも奪う トタンが窓を突き破り 窓ガラス防護ポイント』
http://www.sankei.com/west/news/180911/wst1809110016-n1.html
2018年9月10日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8778/
(2018年9月19日 修正1 ;追記)
2018年9月11日23時21分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月11日19時40分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号の高潮で浸水した関西国際空港の第1ターミナル(T1)の地下1階が11日、報道陣に公開され、最大で約90cmの床上まで浸水していたことが明らかになった。
電源施設などの重要設備が配置されているため、関空を運営する関西エアポートは止水板を設置するなどの対策を講じていたが、浸水を防ぐことができなかった。
公開されたのは、地下1階に6室ある「高圧電気室」。
それぞれに変電器が配置されており、関空島へ送られてきた電気の電圧を変えてT1内に送り出す役割を担っている。
台風が通過した4日、高潮による海水が、作業車などが通るスロープを下って地下に流れ込み、3室の変電器が水をかぶって故障した結果、T1の大部分の施設で、今も停電が続く。
部分的な復旧は、週内になるという。
高圧電気室は、島外からの電力供給が途絶えた場合に起動する非常用電源の電気も含め、T1で使う全ての電気が経由する重要施設。
このため、関西エアポートは何重もの浸水対策を講じていた。
普段から高圧電気室の出入り口には高さ約40cmの止水板を設置し、室内の変電器も高い所に置いていた。
加えて4日は、スロープの地上部分に土のうを積んで浸水に備えたが、防げなかった。
T1の地下の通路の壁には、水の高さが80~90cmまで達した跡が残っていた。
関西エアポートの担当者は、「対策は取っていたが、浸水の規模が想定以上だった」と説明する。
電気関連設備の浸水による停電被害は、1期島南側の国際貨物地区にも広がっていた。
このエリアでは、関西エアや航空会社が管理する倉庫など、建物18棟が並ぶが、大半が浸水した。
うち、医薬品を定温で保管できる倉庫も、輸出入を待つ医薬品約37トンがあったが、電気設備が浸水し、温度管理ができなくなった。
一方、広範囲が浸水して閉鎖が続くA滑走路(3500m)では、今回の高潮で給油ピットの一部に海水が入り込み、燃料の品質に問題がないか確認している。
出典
『関西空港 最大90センチ浸水 第1ターミナル地下1階』
https://mainichi.jp/articles/20180912/k00/00m/040/121000c
『40センチ止水板を越え電気室に浸水、停電』
http://www.sankei.com/west/news/180911/wst1809110084-n1.html
9月10日18時25分に毎日新聞からは、浸水被害に関する下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
台風21号の高潮被害で一時閉鎖された関西国際空港は、防災センターや変電設備といった重要施設を、津波や高潮の影響を受けやすいターミナルビルの地下に配置していた。
いずれの施設も浸水し、利用客らに被災状況を知らせる館内アナウンスを流せなかったり、広範囲で停電したりする事態を招いた。
防災の専門家は、「電源施設は高層階に設置するなど、抜本的な浸水対策が必要だ」と注文する。
運営会社の関西エアポートによると、第1ターミナルの地下1階には、変電設備6基を配置。
台風21号で地下部分が浸水し、3基が被害を受けた。
この影響で、第1ターミナルの大部分で電気が使えなくなり、空港の全面再開に向けた大きな足かせになっている。
同じ地下1階の防災センターも、浸水で設備が故障して館内アナウンスを流せなくなり、孤立した空港から出るための船の運航見通しなどを、多くの利用客に伝えられなくなった。
関西エアポートによると、ターミナルビル地下の水は、排水作業でほぼ取り除いたといい、現在は、洗浄や清掃とともに、補修が必要な設備の特定が進む。
関西エアポートの山谷社長は8日の記者会見で、「日本の空港や大きなオフィスビルは、電気施設などがおおむね地下にある。津波も高潮も、かさ上げした護岸で守られている。通常の大雨なら、排水ポンプが機能すれば全て排水できた」と述べ、「想定外」を強調したが、インフラの重要設備の水没は、重大事案につながる。
2011年3月の東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故は、海抜の低い場所にあった非常用ディーゼル発電機が津波で使えなくなり、原子炉を冷却できなくなったことで起きた。
関空と同様に人工島にある中部国際空港(愛知県)の護岸は、平均的な海面から3.8~5.8mの高さだが、南海トラフ巨大地震では6mの津波を想定。
同空港会社は、「高波や津波は護岸を超えることを前提に、避難計画を立てている」と説明する。
1階の電気関係設備など重要施設の入り口には可動式の防潮板を設置。
旅客ターミナルには高所へ誘導する看板を掲げ、屋外に警報サイレンを整備する。
片田敏孝・東京大大学院特任教授(災害社会工学)は、「関空は海上にあり、地盤沈下も進むなど、浸水リスクは想定されていた。重要なインフラ設備なのに、水に弱い電気設備を地下に置くのは、危機管理として問題がある」と指摘する。
出典
『関空 重要施設、台風21号で機能せず 地下配置で浸水』
https://mainichi.jp/articles/20180910/k00/00e/040/143000c
2018年9月10日9時14分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号が直撃し、記録的な高潮に見舞われた関西地方の港湾部では、乗用車やコンテナの火災が相次いだ。
都市防災の専門家は、「塩分を含む海水が化学物質と反応して発熱し、火が出る」と指摘しており、冠水に起因する火災を防ぐ手だてが必要だと訴える。
昭和36年の第2室戸台風を上回る過去最高潮位を記録した兵庫県の神戸港や尼崎西宮芦屋港。
今回の台風で、浸水が原因とみられる車両火災が、これらの地区で約20件発生した。
同県西宮市の人工島では、車のオークション会場が冠水。
保管していた中古車など、計約190台が炎上した。
日本自動車工業会の広報担当者は、「海水は真水よりも電気を通しやすく、電気系統やバッテリーから火花が散って発火することがある。浸水したらエンジンをかけてはいけない」と、注意を呼び掛ける。
実際に、エンジンをかけたことが原因とみられる被害も。
神戸市の高速道路では6日、乗用車が底部から出火し全焼。
車は港湾部で水浸しになっていたもので、運転手は県警に「エンジンをかけたら動いた。異常音がしたので停車すると、煙と炎が上がった」と説明した。
また、港に所狭しと並べられたコンテナも被害に遭った。
神戸市東灘区の人工島「六甲アイランド」では、家具やペットフードなどが入ったコンテナ6個が炎上。
積み荷にはマグネシウムもあり、海水と反応して出火した可能性がある。
さらに、高温状態のマグネシウムは水をかけると爆発する危険性もあるため、消火活動は難航した。
首都大学東京の中林一樹名誉教授(都市防災学)は、「海水と反応する危険物があるなら、管理方法を再検討するべきだ。物流拠点の港が海水をかぶることがそもそもの問題で、防潮堤の高さを考え直す必要がある」と話した。
出典
『台風21号 港で車やコンテナの火災相次ぐ 高潮起因、防止策必要』
http://www.sankei.com/west/news/180910/wst1809100014-n1.html
9月11日12時28分に毎日新聞からは、高潮でコンテナ70個が流され18個はいまだ行方不明だという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号が近畿地方に上陸して11日で1週間。
過去最高の高潮を観測した神戸、大阪両港では計70個のコンテナが波にさらわれ、現在も18個が未回収のままだ。
航路障害や環境被害などは報告されていないが、神戸市は「こんなに多くのコンテナが流れ出す被害は想定していなかった」と頭を抱える。
国交省近畿地方整備局や神戸市によると、10日までに確認された流出コンテナは、神戸港43個、大阪港27個の計70個で、うち神戸17個、大阪1個の計18個が未回収だ。
神戸港では、人工島・六甲アイランド(同市東灘区)のコンテナ43個が高潮にさらわれて流出した。
うち26個は、隣接する兵庫県芦屋市の浜辺や近くの海中などで見つかった。
残り17個中13個は既に見つかっており、順次回収する。
未発見の4個は海中の音波探査でも見つからず、市は港外に流されたとみている。
もともと、六甲アイランドや西隣のポートアイランドは、港湾業務に支障が出ることから防潮堤を設けておらず、高潮の被害を受けやすい。
さらに今回の台風では、強風が波を巻き上げ、地表を駆け上がって多くのコンテナを流出させた。
コンテナを回収する責任は、本来、所有業者にあるが、今回は緊急処置として、神戸市が作業にあたっている。
市の担当者は、「今後、港湾業者に、台風時にはコンテナ同士を縛って流れにくくする『固縛(こばく)』を改めて促すなど、対策を呼びかけていく」としている
出典
『台風21号 コンテナ18個流され未回収 神戸・大阪両港』
https://mainichi.jp/articles/20180911/k00/00e/040/202000c
(ブログ者コメント)
コンテナのトラブルや車両火災については、過去に別々の記事で紹介スミ。
その中で、高速道路で起きた車両火災については、今回の記事のほうが、より詳細だ。
9月5日11時42分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午前1時過ぎ、大阪府摂津市鳥飼本町4丁目の住宅付近から出火し、木造2階建てが全焼した。
周囲の4軒も壁などが一部焼けたが、けが人はいなかった。
警察は、台風による停電で室内に立てていたろうそくが倒れ、燃え広がったとみている。
警察によると、この住宅は無職の男性(73)と妻(68)、娘(45)の3人暮らし。
この地域では4日午後1時半ごろから停電しており、1階居間の床にろうそくを立て、明かりとして使っていた。
男性は、「居間の床で寝てしまい、目が覚めたら煙が上がっていた」と説明しているという。
出典
『停電の規模、阪神大震災に次ぐ「平成では圧倒的な災害」』
https://www.asahi.com/articles/ASL9533HXL95PTIL00R.html
2018年9月3日0時58分に朝日新聞から、非常に強い台風が関西地方に向けて進行中という下記趣旨の記事が、台風進路予想図などとともにネット配信されていた。
非常に強い台風21号は2日、日本の南海上を北北西に進んだ。
気象庁によると、今年発生した台風の中では最も強い勢力で日本に接近する見通し。
4日には、勢力を保ったまま西日本から東海地方に上陸する恐れがあり、気象庁は暴風や大雨に警戒するよう、呼びかけている。
・・・・・
出典
『今年最強の台風21号が接近 勢力保ち4日に上陸の恐れ』
https://www.asahi.com/articles/ASL9254GQL92UTIL00Y.html
9月4日10時25分に京都新聞からは、非常に強い台風に備え、近畿圏の鉄道が予告運休になったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
非常に強い台風21号の接近に備え、京都府内と滋賀県内の公立学校や商業施設は3日、早期に休校や休業を決めるなどした。
JRなど通勤通学の足が運休を発表したことを受け、外出を控える動きが広がる。
先月の台風20号を上回る暴風が見込まれることから、各機関とも警戒を強めており、都市機能がまひする恐れもある。
鉄道事業者による早期の運休判断について、災害リスク管理に詳しい京都大防災研究所の多々納裕一教授(防災経済学)に聞いた。
【「会社は平常運転」とはいかない】
Q.鉄道事業者による「予告運休」のメリットは。
A.早い段階で電車の運休を把握できれば、私たちは自分が取るべき行動を事前に、余裕を持って決定することができる。
突然、電車が動かなくなる場合と違い、社会的な混乱は少なくなる。
Q.利用者からは賛否ある。
A.電車を止めれば、鉄道事業者の収入は減る。
それでも運休とするのは、台風のさなかに運行して重大事故が起きたり、死傷者が出たりするリスクを勘案してのこと。
運休判断により、早期の復旧につながれば,社会的損失を小さくすることもできる。
Q.社会は、今後、どう対応すべきか。
A.企業や自治体、学校などが、鉄道事業者の判断に連動した形で、休校、休業などの意思決定を行う必要がある。
出勤可能な社員が限られることが予測できるのに、会社自身が平常運転というわけにはいかない。
少ない人員で優先的に取り組むべき業務は何かといったことを整理していく必要がある。
出典
『台風で鉄道「予告運休」利用者から賛否も、専門家はこう見る』
https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20180904000033
9月5日付で毎日新聞からは、台風上陸後、関西地方で甚大な被害が出たという下記趣旨の記事が、関空の被害写真付きでネット配信されていた。
※主だった被害は別記事として掲載。
台風21号は四国や近畿地方を縦断し、4日夜に日本海に抜けた。
広範囲に暴風雨をもたらし、毎日新聞の集計では、大阪府と滋賀県、三重県で7人が死亡した。
最大瞬間風速が観測史上最大の58.1mを記録した関西国際空港では、強風で流されたタンカーが空港連絡橋に衝突し、橋の一部が破損。
滑走路やターミナル周辺が高潮で浸水し、利用客ら3000人以上が取り残されている。
気象庁によると、台風は4日正午ごろ、非常に強い勢力を保ったまま徳島県に上陸。
午後2時ごろには神戸市付近に再上陸。
近畿地方を縦断し、午後5時までに四国や近畿を中心に、全国60地点で最大瞬間風速の記録を更新した。
非常に強い勢力のままの上陸は、死者・行方不明者48人を出した1993年の台風13号以来、25年ぶり。
今夏は台風の発生が例年より多く、6~8月で18個発生。
統計が残る51年以降、94年と並び最多タイとなった。
関西エアポートなどによると、関空島では午後2時ごろから潮位が高まり、2本の滑走路のうち南東側のA滑走路(全長3500m)のほぼ全域と、第1ターミナルビルの地下に浸水。
駐機場も海水につかり、飛行機や作業車両にも被害が出ている。
B滑走路と第2ビルは無事という。
連絡橋は封鎖されており、利用客らはターミナル内で夜を明かす。
復旧のめどは立っていない。
交通やライフラインへの影響も相次いだ。
JRや私鉄各線は、昼ごろから全面運休。
東海道・山陽新幹線も、広域で運休した。
台風21号に伴い、近畿地方を中心に各地で高潮が発生し、6地点で過去最高を一時的に超過した。
関西国際空港がある大阪府では潮位329cmを観測し、死者194人を出した第2室戸台風(1961年)時の過去最高潮位293cmを超えた。
・・・・・
高潮は地形の影響も受け、V字形の湾で高くなりやすい。
大阪湾は国内でも高潮が起こりやすい条件を備える危険な地域の一つとされる。
出典
『台風21号 直撃 関空水没 連絡橋に船衝突、不通 3府県7人死亡』
https://mainichi.jp/articles/20180905/ddm/001/040/161000c
(2/2に続く)
(1/2から続く)
2018年9月4日19時42分に産経新聞からは、大きな被害が出た高潮の要因は3つあったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号は、関西空港が冠水するなど、大きな高潮被害をもたらした。
高潮の要因は、
(1)気圧の低下による海水の「吸い上げ効果」
(2)風が岸側に向かって吹く「吹き寄せ効果」
(3)波が砕けることに伴い海水が岸側に押しやられる「ウェーブセットアップ」現象
の3つが、同時に強く働いたことだ。
台風は、中心に行くほど気圧が低くなる。
気圧が低いと、海面を押さえつける空気の力が弱まり、海面が上昇。
気圧が1ヘクトパスカル低下すると、海面は1cm上昇するとされる。
吹き寄せ効果については、台風は反時計回りの風の渦なので、日本では大阪港のように南に開いた湾の西側を台風が通ると、南から北に風が吹き寄せて発生しやすい。
気象庁などによると、今回はウェーブセットアップと呼ばれる現象も発生。
波は、岸の近くで砕けた場合も、海水自体はそのまま岸側に向かう力が強い。
しかし、岸側に到達した後に沖側に戻ろうとしても、同様に後から続いて押し寄せてくる海水のために滞留し、岸近くの海面が上昇するという現象だ。
今回の台風のように風が強く波が高いときに、強く発生しやすい。
過去に高潮被害が出たケースでは、今回と似たコースをたどった昭和36年の第2室戸台風で、大阪市内の約31km2が浸水。
浸水地区では4人の死者が出た。
気象庁は今回の大阪港の状況について、「これで満潮時刻に重なっていたらと思うと、ぞっとする」とした。
出典
『気圧低下、強風に加え「ウェーブセットアップ」現象 3つの要素で海面上昇』
http://www.sankei.com/affairs/news/180904/afr1809040031-n1.html
9月6日0時57分に朝日新聞からは、強力台風の近代都市直撃は初ケースという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
防衛大学校の小林文明教授(気象学)は、「台風21号は、非常に強い勢力を弱めずに近代都市を直撃した初のケース。屋根が飛び、車が横転し、電柱も折れる風害を、大都市が初めて経験した」と指摘した。
出典
『電柱折れる風害「大都市が初めて経験」 対策に難しさも』
https://www.asahi.com/articles/ASL955GVJL95PTIL03G.html
(ブログ者コメント)
今回の台風は、高潮もさることながら、特に風が凄まじく、停車中の乗用車が何台も吹き飛ばされたり、あるいは停車中の箱型大型トラックが倒れるなどの事例が相次いだ。
風速が50m近くなると、それほどの威力があるのかと、改めて実感した。
9月4日15時30分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4日午後1時半ごろ、関西空港と対岸を結ぶ連絡橋に、タンカー「宝運丸(ほううんまる)」(全長89m、2591トン)が衝突した。
海保によると、タンカーは積み荷の航空燃料を関空に下ろしたあと、連絡橋南側の海上でいかりをおろして停泊していたが、台風の風に流されたという。
乗組員11人にけがはなく、タンカーの燃料の流出もないという。
宝運丸が衝突したのは関空側から20m付近で、船体の右舷側が連絡橋と並行の状態でぶつかった。
ブリッジが連絡橋にめり込み、連絡橋の一部がひしゃげるようにして壊れた。
出典
『全長89mのタンカー、関空連絡橋に衝突 強風で流され』
https://www.asahi.com/articles/ASL94532ZL94PTIL023.html
9月4日15時31分に産経新聞westからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
連絡橋は関空と対岸のりんくうタウンを結び、全長3750m。
上部に道路、下部に鉄道やガス、水道などが通っている。
出典
『タンカー流され衝突、関空の連絡橋が破損 乗組員11人が船内に取り残される』
http://www.sankei.com/west/news/180904/wst1809040062-n1.html
9月6日付で毎日新聞東京版からは、タンカーは衝突30分前から漂流し始めたなど下記趣旨の記事が、漂流経路の図解とともにネット配信されていた。
タンカーが衝突までの約30分間、漂流していたことが明らかになった。
タンカーに搭載されている船舶自動識別装置(AIS)が記録しており、時速8km程度で衝突したとみられることも分かった。
海保は、タンカーが漂流中に制御不能に陥ったとみている。
AISは船の位置や速度などを自動送信する装置で、500トン以上の船舶などに搭載が義務付けられている。
このデータを公開するマリントラフィックによると、4日正午ごろに衝突地点の約2km南で停泊していたタンカーは、風が強まり始めた午後1時過ぎから北へ流され始めた。
その約30分後、時速8km程度で連絡橋にぶつかったとみられる。
海保によると、タンカーは航空燃料を関空に荷揚げした後の3日夕から、いかりを下ろして停泊。
タンカーは漂流時にエンジンを始動させており、衝突を回避しようとしていたという。
気象庁によると、関空では4日午後1時に最大瞬間風速37m、同40分に観測史上最大の58.1mを記録。
海保関係者は、「強風で一度漂流し始めると、操縦して立て直すのは難しく、なすすべがなかったのではないか」と話している。
出典
『台風21号 衝突タンカー30分漂流』
https://mainichi.jp/articles/20180906/ddm/041/040/192000c
9月6日9時10分に日本経済新聞電子版からは、海保は荒天時の停泊は関空から5.5km以上離れるよう推奨していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
タンカーは、3日午後に関空で航空機燃料を陸揚げし、東に約2.4km移動し、約2.5トンのいかりを下ろして停泊。
4日午後1時ごろには暴風で北に流され、連絡橋に衝突した。
海保によると、関空島一帯の海底は砂地で、いかりを下ろしても強風により船が流される「走錨(そうびょう)」が起こりやすい。
同庁は、走錨による関空島への座礁を防ぐため、荒天時に関空島周辺に停泊する場合、同島から約5.5km以上離れるように、周辺海域を航行する船舶に警戒を呼びかけていた。
専門家によると、タンカーは暴風で走錨の状態に陥った可能性がある。
法律で義務付けられてはいないが、同庁担当者は「周辺の海域では走錨が相次いでおり、安全確保のために守ってもらいたい措置」としている。
一方、タンカーを運航する「Tサンマリン」(東京都港区)は、6日までに船長に聞き取りを行った。
船長は聞き取りに対し、停泊位置は水深15mと浅く、地質が粘土質のため、いかりが止まりやすいと考えたと説明。
船体が風から守られるよう、関空の建物付近が望ましいなどと判断したという。
同社は、海保の推奨する避難海域を船長が把握していたかは不明としている。
出典
『関空衝突のタンカー、海保推奨の海域外に停泊』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3504341006092018AM1000/
9月6日16時53分にNHK関西からは、付近には50隻ほど停泊していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、付近にはおよそ50隻の船が停泊していたが、風が強まった午後1時ごろ、船の航行の管制を行っている第五管区海上保安本部の大阪湾海上交通センターが、「宝運丸」が流され始めていることに気付き、船舶電話で注意を呼びかけたという。
しかし、その後も流され続けていたことから、およそ30分後にも再び注意を呼びかけたが、船は午後1時45分ごろ、橋に衝突したという。
呼びかけに対し、「宝運丸」からは応答があったということで、海保は、流されていることを認識していたものの、回避できなかったとみて、当時の対応などを調べている。
出典
『タンカー衝突前に海保が2度注意』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180906/0006952.html
(2/3へ続く)
(1/3から続く)
2018年9月6日20時19分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
タンカーは、なぜ、あの場所にいたのか。
どうして衝突を防げなかったのか。
乗組員11人を乗せたタンカー宝運丸は、台風が四国に上陸する前日の3日午後1時半、関空がある人工島と連絡橋、対岸の陸地に囲まれた海上にいかりを下ろした。
約2km北に連絡橋があった。
運航会社「Tサンマリン」によると、紀伊山地や関空島の陰で、少しでも風を防ぐ狙いだったという。
宝運丸は、その直前の3日朝、積んでいたジェット燃料を関空に荷揚げし、翌4日朝に大阪府高石市の製油所で、燃料をまた積み込む予定だった。
だが、積み込みは台風のために5日に延期され、4日も同じ場所で停泊を続けることにした。
荷揚げして空荷になった代わりに、船内のタンクには海水を詰めて、重しにしていた。
重さ2.5トンのいかりと長さ195mの鎖が海底にひっかかりやすいように、海図を確認して、水深が約15mと浅く、海底が粘土質の場所を選んで停泊していたという。
4日正午ごろ、台風は非常に強い勢力を保ったまま四国に上陸。
関空周辺でも、猛烈な風が吹き荒れた。
運航会社によると、4日午後0時半ごろ、船の風速計が秒速20mを超えた。
風上に船首を向けて停泊していた宝運丸は、メインエンジンを動かして前進方向にスクリューを回し、流されないように備えた。
ブリッジ(船橋)の船員を3人から5人に増やして、見張りを強めた。
しかし、午後1時ごろ、海上保安庁大阪湾海上交通センターから船舶電話で、「走錨(そうびょう)している(流されている)」と注意された。
宝運丸はエンジンの出力を上げ、踏みとどまろうとした。
午後1時半ごろには全速運転にした。
海保から再度注意の電話がきたが、もう耐えられなかった。
連絡橋までの距離が30~40mに迫り、船橋にいた船長ら5人は下層の居住区に避難。
南側からの風に押し流されて速度を上げた船体は、午後1時40分ごろ、連絡橋に激しく衝突した。
気象庁によると、関空島で観測史上最大の最大瞬間風速58.1mを記録したのは午後1時38分。
ちょうど衝突をしたころだった。
万が一、強風で流されても、連絡橋に衝突しない場所に停泊する選択肢はなかったのか。
運航会社の幹部は、「停泊地点は、乗組員の安全確保に最適な場所を、船長の判断で選んでいる。言い訳にしかならないが、船が流されるとは思わなかった」と話した。
出典
『関空連絡橋にタンカー衝突なぜ 踏みとどまろうとしたが』
https://www.asahi.com/articles/ASL964DGQL96PTIL00X.html アカスミ
9月9日9時24分に読売新聞からは、船長は海保推奨区域外に投錨していることを認識していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
船長は、停泊していたのは荒天時に避難するよう推奨されている海域の外だと認識していたが、「安全だと思った」と説明しているという。
海保によると、関空周辺では、いかりを下ろしたまま流される「走錨」が過去に多発。
島に座礁する危険があるため、海保は、台風接近時などに「関空島の岸から原則3マイル(約5.5km)以上離れた場所」に避難するよう、注意喚起している。
法的な義務はない。
出典
『船長「安全と思った」…「走錨」多発の関空周辺』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180909-OYT1T50010.html
9月6日14時13分に読売新聞からは、孤立状態となった関空から乗客が脱出する手段が2つ確保されたが情報不足もあって脱出は混乱を極めたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風21号の影響で約8000人が孤立した関西空港からの島外移送は6日午前にほぼ終わったが、5日深夜には対岸の鉄道駅などが、帰宅困難になった旅行客らであふれた。
駅周辺で野宿したり、輸送先の神戸空港で一夜を明かしたりする人もおり、関空側の対応に憤りの声があがった。
旅行客らは、対岸へ向かうバスや神戸空港へ行く高速船で脱出したが、対岸との間をつなぐ連絡橋がタンカー衝突の影響による車線規制で渋滞したほか、高速船の数も足りず、輸送に時間がかかった。
バスが向かった南海電鉄泉佐野駅(大阪府泉佐野市)には、終電前後もバスが次々と到着。
駅周辺は一時、500人ほどが滞留し、タクシー乗り場に長い列が出来た。
終電に間に合わずに野宿した滋賀県内の男性(62)は、「状況説明がないので、とにかくバスに乗ったが、近くに宿もなかった。深夜に放り出されるなんて」と疲れた様子だった。
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運営会社「関西エアポート」の山谷社長は、6日に開いた記者会見で「多大な迷惑をかけ、おわび申し上げたい」と頭を下げて謝罪。
「防災センターが水没し、館内放送が使えなかったため、情報を十分に伝えられなかった。そうした際の別の伝達手段を用意しておくべきだった」と述べた。
出典
『「ストレスたまった」憤る声も…関空社長は謝罪』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180906-OYT1T50053.html?from=ytop_ylist
(3/3へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。