2014年12月18日付で日本経済新聞(夕刊)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12月18日10時44分に朝日新聞から、12月8日13時39分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
羽田空港で2012年3月、上海発の日本航空のボーイング777型機が着陸時に機体後部を滑走路に引きずった事故で、運輸安全委員会は18日、エンジンを逆噴射させて減速していたのに、機長のミスで接地後に再び離陸しようとしたことなどが原因だとする事故調査報告書を公表した。
事故は12年3月31日午後4時すぎに発生。
機体がいったん接地してから再び離陸するまでの間に、機体後部が路面に接触する「テールストライク」が起き、外板や圧力隔壁の一部を損傷した。
機体は再上昇して、約30分後に着陸をやり直した。
乗客乗員308人にけがはなかった。
報告書によると、当時操縦を担当していた副操縦士は、後部車輪が滑走路に着いた後、減速のための逆噴射を行う「逆推力装置レバー」を操作した。
これに対し、計器確認などを担当していた機長は、接地後の軽い上下の揺れを、機体がバウンドして浮き上がったと錯覚し、次の接地時の衝撃を避けようと再離陸を決断した。
機長は、再接地の際に強い衝撃を受けないよう、着陸やり直しを副操縦士に指示した。
さらに、副操縦士に操縦の交代を宣言せずに同レバーを元に戻して再加速を試み、自ら操縦かんを引いて機首を上げようとした。
機体のマニュアルでは、同レバー操作後の再離陸は危険を伴うため認められていなかった。
副操縦士は、機長の指示や操作に疑問を指摘しなかった。
この間、機体は減速して揚力が落ち、再離陸が可能な出力が得られるまでに時間がかかり、機長の操縦で機首だけが上がった状態のまま滑走した。
機体後部を約7秒間、数100mにわたって引きずったとみられるが、機長も副操縦士も、接触には気づいていなかったという。
安全委は、2人の連携ミスが誤った判断を招き、事故につながった可能性があると指摘。
機長が交代を宣言せずに操縦を始めたことで、一時的に役割分担が不明確になり、計器類の確認が十分できていなかった点などを問題視した。
日航は事故後、機長と副操縦士間の操縦引き継ぎの手順や操縦中のアドバイスの方法を見直し、運航ガイドラインを改正した。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDG18H2C_Y4A211C1CR0000/
http://www.asahi.com/articles/ASGDK6KLDGDKUTIL04J.html
http://mainichi.jp/select/news/20141218k0000e040230000c.html
2014年11月15日14時10分に産経新聞westから、「航空の安全を揺るがす大問題・・・」というタイトルで下記趣旨の記事が、解説図付きでネット配信されていた。
関西国際空港で航空機に燃料を供給する給油会社の作業員が8月、給油車両が動かないようにする安全装置をかけずに給油した上、航空機にホースを差したまま車両を動かしたため、燃料漏れ事故を起こしていたことが15日、関係者への取材で分かった。
国交省は、「航空業務の安全対策を揺るがす事態」として、新関西国際空港会社を通じ、給油会社に対して、再発防止や従業員教育を徹底するよう指示した。
事故を起こした作業員は、石油元売り大手JXグループの燃料給油会社、IKS(大阪府豊中市)に所属。IKSの親会社、エネオスウイング(名古屋市)は、産経新聞の取材に「詳細は確認中」としている。
関空では、航空機に給油する際、地下のパイプラインにつながる地面のバルブと、機体の主翼下部にある給油口の両方に、「サービサー」と呼ばれる給油車両がそれぞれホースをつなげ、パイプラインから機体へ燃料をくみ上げる。
車両は通常、事故防止のため、給油が終わってホースを収納するまで、トランスミッション(駆動装置)のギアが入らないようにする安全装置がかけられる。
ところが、この作業員は8月17日、ピーチ・アビエーション機(A320型)に給油中、主翼にホースがつながった状態で車両を移動させ、ホースが外れた。
ピーチによると、燃料供給は終わっていたが、ホース内部に残っていた燃料が駐機スペースに漏れ出した。
この事故で主翼の給油口も破損したため、ピーチは往復2便を欠航した。
関係者によると、作業員は安全装置の作動スイッチを切った状態で給油作業をしていた。
ホースが外れた際、ピーチはすでに乗客156人の搭乗案内を始めていたが、実際に何人が機内にいたかは不明という。
国交省は、安全装置を解除した状態での作業が現場で常態化していた疑いがあるとして、今回の事故を重大視。
空港の設置管理者である新関空会社を通じ、IKSに対して再発防止などを求めた。
これを受け、新関空会社とIKSは原因や再発防止について話し合い、作業手順や設備の改善、従業員教育の徹底を再確認した。
IKSはこれらを書面で提出し、新関空会社は着実な実行を求めたという。
国交省幹部は、「今回の事故は省内で大問題になった。作業員は手順を省略したかったのだろうが、何重にも安全対策を講じるのが航空業務の世界だ。これでは何のための安全装置か分からない」と批判した。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/141115/wst1411150041-n1.html
2014年9月26日17時34分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空のボーイング787型機が今年1月、成田空港で駐機中にバッテリーから発煙したトラブルを巡り、国土交通省が、バッテリー内部のショートで過熱した可能性が高いとする調査結果をまとめたことがわかった。
国交省がバッテリーを分解して行った調査では、バッテリー内に8つある電池のうち、一つの電池のプラス極とマイナス極が何らかの原因で接触して大きな電流が流れ、過熱した可能性が高いことが判明。
電池内部からは金属片が見つかったが、ショートの原因は解明できていないという。
成田空港でトラブルを起こしたバッテリーは、安全性を高める改修を施したもので、過熱した電池以外に熱は広がっておらず、損傷の程度は軽かった。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140926-OYT1T50063.html
(ブログ者コメント)
前の記事で紹介した宇部発B787型機の発煙トラブルと原因は同じだったのかもしれない。
2011年9月8日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに、副操縦士は3ケ月前まで旧型機に乗務していたなどの新情報を、第2報修正3として掲載します。
(新情報に基づき、タイトルも修正しました)
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/722/
(2014年9月29日 修正3 ;追記)
2014年9月25日12時41分に朝日新聞から、運輸安全委員会が調査報告書を公表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全日空系のエアーニッポン(ANK)機が3年前、静岡県沖でほぼ裏返しになったトラブルで、副操縦士(当時38)がスイッチの誤操作を12秒も続けながら異常に気づくのが遅れ、慌てて操縦したため、余計に機体が傾いたことがわかった。
国の運輸安全委員会が25日、調査報告書を公表した。
副操縦士はトイレから戻った機長(当時64)を操縦室に入れる際、ドアを開けるスイッチでなく、垂直尾翼のかじを動かすスイッチをひねった。
3カ月前まで乗務していた旧型機のドアのスイッチと、700型機のかじのスイッチが似た場所にあり、副操縦士は調査に誤操作を認めたという。
ANKは訓練の際、両機種のスイッチが紛らわしい点を明確に注意していなかった。
誤操作は断続的に計12秒間に及んだが、機体の姿勢を示すモニターや、かじと連動したペダルの不自然な動きなどを副操縦士は見逃した。
結果、機体は左に傾き急降下。異常に気づき、右に立て直す向きに操縦桿を操作したが、失速警報に驚き、慌てて操縦桿を逆方向に戻したため、機体が再び左に大きく傾き、背面飛行に近くなった。
運輸安全委は、米連邦航空局に対し、判別しやすいスイッチへの改善をボーイングに指導するよう勧告した。
ANKと合併した全日空にも、傾いた機体を戻す訓練の改善を勧告した。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG9R6RL0G9RUTIL01F.html
9月25日12時22分にmsn産経ニュースから、9月25日13時24分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
副操縦士は3カ月前まで約4年3カ月、旧型機に乗務していた。
副操縦士は14秒後に誤操作に気づいたが、慌てて操縦桿を急激に操作したため、機体が左側に最大131.7°傾き、最大荷重も地上の2.68倍に達したとしている。
急降下からの回復操作が不十分だった点について、運輸安全委員会は、副操縦士が失速警報の作動に驚き混乱したため対応が遅れた可能性があると指摘。
また、失速警報を伴う異常姿勢からの回復訓練が未経験だったことも副操縦士の混乱を助長したとの見方を示した。
運輸安全委員会は再発防止に向け、全日空に対し、運航乗務員が1人で運航を継続する場合の基本的順守事項の徹底と、失速警報を伴う異常姿勢からの回復訓練を実施するよう勧告。
ドア解錠と機体の姿勢制御の両スイッチの形状、操作方法が似ていることも問題だとして、米連邦航空局に、スイッチ構造の変更を製造元のボーイング社に検討させるよう勧告した。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140925/dst14092512220005-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140925-OYT1T50082.html
(ブログ者コメント)
2012年1月24日5時1分発信の朝日新聞に掲載されていた図を再確認したところ、コックピットの操作パネルは縦3列に分かれており、今回誤操作したドアスイッチは、旧型機では真ん中のパネルにあった。
それが新型機では左側のパネルに移っており、真ん中のパネルには尾翼かじのスイッチが、従来あった位置よりも上方に、ちょうど旧型機のドアスイッチがあった位置の少し上側に移されていた。
誤操作した副操縦士は3ケ月前まで旧型機に乗務していたとのこと。
これでは間違えても仕方がない。
ハードウエア・システム誘発型ヒューマンエラーの一例だと言えよう。
2014年7月9日16時56分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省は、航空機の運航などで安全に影響を及ぼす可能性のある軽微なトラブルについて、乗員や整備士らから自発的な報告を促す制度を新設し、10日から運用を始める。
事故の予兆となる「ヒヤリ・ハット」の事象については、国内航空各社では社内で独自収集しているが、格安航空会社(LCC)の増加で安全対策に差も生じていることから、国交省は事故を防ぐためにはこうした事象を広く収集、航空関係者全体で共有する必要があると判断した。
航空法では、事故のほか、事故につながる恐れのある「重大インシデント」や、機体の損傷、空中衝突を避けて回避行動を取るなど、事故につながりかねない事象については、航空会社や機長に国への報告を義務づけている。
国交省によると、年間約1000件程度の報告が寄せられているという。
新制度は「自発報告制度(VOICES)」で、報告義務がない軽微な事象が対象。
エンジンの整備中に重要部品を付け忘れそうになったり、管制官との交信で周波数を間違えていたりしたなど、航空法上は国への報告義務がない軽微なミスやトラブルを想定している。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140709-OYT1T50106.html
7月10日20時21分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
飛行機の軽微なトラブルも、パイロットや管制官に自主的に通報してもらう制度を、国土交通省が10日から始めた。
通報義務の対象外で事故につながったかもしれない「ヒヤリ・ハット経験」を、電子メールや電話、専用ホームページで募る。
広く集めて分析し、改善策を提言して航空業界で共有してもらう狙いだ。
航空法は、オーバーランや異常接近など重大トラブルは国交省への通報を義務づけている。
今回は、整備士や客室乗務員、空港事務所職員らからも受け付け、
○陸上で滑走路に向かう道順を間違えた
○無線の交信で指示が正確に伝わらなかった
○乗客の荷物が通路にはみ出し危険だった
などの内容を想定している。
飛行機の安全性を研究する公益財団法人「航空輸送技術研究センター」を窓口に、有識者や業界団体でつくる委員会で分析。半年に1回程度、改善策をとりまとめる。
仮名通報もでき、国や業界に改善策を提言する際は通報者を伏せる。
日本航空は「航空業界で横断的にトラブルを共有できる」、全日本空輸も「管制や空港を運営する側と情報を共有でき、安全性が上がる」と歓迎している。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASG7B55LXG7BUTIL03J.html
2014年6月27日10時58分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
関西空港で平成23年、ホノルル行きハワイアン航空ボーイング767が誤って滑走路に進入したトラブルで、運輸安全委員会は27日、機長らが管制官の指示を聞き間違え、管制官もパイロットの復唱を十分確認しなかったのが原因とする調査報告書を公表した。
報告書によると、23年10月12日、滑走路手前にいたハワイアン機を引き続き待機させるため、管制官は「Hold position(待機せよ)」と指示。
機長らは、米国で10年9月まで使われていた「Position and hold(滑走路上で待機せよ)」という管制用語と聞き間違え、滑走路に入った。
このため、滑走路に着陸しようとした全日空の貨物機が着陸をやり直した。
副操縦士は「滑走路上で待機する」と誤って英語で復唱、管制官は指示が伝わったと思いこみ、確認しなかった。
安全委はハワイアン航空にパイロット教育を求め、管制官には「Hold short of runway(滑走路手前で待機せよ)」との用語で待機場所を示すべきだったとした。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140627/dst14062710580002-n1.htm
(ブログ者コメント)
運輸安全委員会の報告書は、以下のURL参照。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-inci/AI2014-3-1-N588HA-JA8356.pdf
そこには、管制官とパイロットの詳細なやりとりが記されている。
骨子は下記。
○タワーはA機に、「Hold short of runway 06R(滑走路06Rの手前で待機せよ)」と指示し、A機はこれを復唱した。
○A機は、誘導路A14に入り滑走路06Rの手前で停止した。
○タワーはA機に、「Hold position(待機せよ)」と指示し、「Expect departure after next arrival fivemiles(出発は最終進入経路上5nmの地点にいる次の到着機の後の予定である)」と通報した。
○A機は、「Position and hold(滑走路に入って待機)」と復唱した。
○A機は、誘導路A14から走行を開始した。その後、停止位置標識を超えて滑走路06Rへ入った。
○タワーはA機に、私は「hold position(待機せよ)」と指示したはずなのに、あなたは滑走路に入ってしまったと伝えた。
○A機はタワーに、あなたは「Position and hold(滑走路に入って待機せよ)」と言ったと答えた。
○これに対してタワーは、「taxi into position and hold(滑走路に入って待機せよ)」という意味ではなく、私が言ったのは「hold position(待機せよ)」であると伝えた。
○A機は、「Position and holding(滑走路に入って待機する)」と復唱したはずだと答えた。
○A機は、「And hold on the runway(そして滑走路上で待機した)」と付け加えた。
○タワーは再びA機に、「Hold position that means tocontinue to hold short of runway(滑走路手前で待機を続けよという意味で待機せよ)」と私は言ったはずだが、理解できなかったかと尋ねた。
○A機はタワーに、我々全員は「Position and hold onthe runway(滑走路に入り待機せよ)」と聞いたと答えた。
2014年5月14日7時30分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新石垣発那覇行きの格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーション252便が先月28日、那覇空港付近で海面に異常接近したトラブルで、管制官の「メインテイン(高度を維持せよ)」という指示を、アルゼンチン国籍の機長(45)が「降下を維持」の意味に取り違えた可能性が高いことが、国交省への取材で分かった。
国交省によると、那覇空港に着陸する旅客機は通常、空港の手前約5kmで高度300mから降下を始めるが、ピーチ機は約10km手前から開始。
高度100mで対地接近警報装置(GPWS)が鳴ったため、再び上昇して着陸をやり直した。
航空当局の関係者などによると、降下開始後に管制官が「メインテイン、1000フィート(高度約300mを維持せよ)」との指示を繰り返したのに、そのまま降下を続けたことが新たに判明。
副操縦士が「トゥー・ロー(低すぎます)」と指摘し、その直後にGPWSが作動したとみられる。
国交省担当者によると、高度を維持または元に戻す場合は通常、「メインテイン(維持)」、高度を上げる場合は「クライム・アンド・メインテイン(上昇して維持)」と指示する。
だが、航空評論家の小林宏之さんは「管制用語としては問題はないが、300mから100mに降下するまで約1分間あり、『上昇せよ』など違う言い方をすべきだったのではないか」と話す。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20140514k0000m040138000c.html
本件、2014年4月30日 5時50分に沖縄タイムスから、トラブル発生を伝える下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日に那覇空港に着陸しようとした格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションの石垣発エアバスA320-200型が、空港の北約7kmで高度約75mまで降下、海面に異常接近し、再上昇して着陸をやり直していたことが分かった。国土交通省が29日発表した。乗客乗員計59人は無事で、機体に損傷はなかった。
航空専門家の話では、降下を続けていれば、あと20秒ほどで海面に衝突する恐れがあった。
国交省とピーチ社によると、アルゼンチン国籍の男性機長(45)が操縦かんを握り、日本人の女性副操縦士(38)がサポートしていた。
高度の下がり過ぎを知らせる「地上接近警報装置」が作動し、緊急に機首を上げる回避操作を取った。
機長は「管制官から降下の指示が出たと勘違いした」と説明。当時は雨で視界が悪かったとみられる。
那覇空港への着陸機は通常、約5km手前で高度約300mから降下を始めるが、同機は約10km手前から降下を開始、車輪を下ろし着陸体勢に入った。
高度約100mで警報装置が鳴り、回避操作を取ったが、一時約75mまで下がった。
国交省は、事故につながりかねないトラブル「重大インシデント」だったと判断。運輸安全委員会は29日、ピーチ社が拠点を置く関西空港に航空事故調査官3人を派遣した。
今回の重大インシデントの場面では、客室乗務員が機内アナウンスで「着陸をし直します」と述べただけで、特に機内に混乱は見られなかったという。
ピーチ社は「国交省の運輸安全委の調査に全面協力するとともに、再発防止に努めてまいります」とのコメントを発表した。
出典URL
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=68179
(ブログ者コメント)
指示した側の意図と指示された側の理解内容に齟齬があったということだが、産業現場でも、同じようなトラブルは、しばしば起きている。
今回のケースは用語としては問題なかったようだが、一般論として、指示する場合、相手は分かっているだろうなどといった思い込みは禁物で、主語や目的語を省略しないことが大切だ。
2013年8月14日20時23分に朝日新聞から、同日20時54分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
バッテリートラブルが相次いだボーイング787型機で、全日空が運航する3機にエンジン用消火器の取り付けミスがあったことがわかった。
14日、全日空は部品交換のため1便の出発を遅らせ、日本航空も点検のため運航中の1便が引き返した。
全日空と、報告を受けた国交省によると、羽田空港を14日午前1時に出発予定のフランクフルト便を点検中、消火剤装置の不具合が操縦席の計器に表示された。
装置を交換したところ、装置に2個ある消火剤の噴射口が左右逆になっていたことが判明。片方のエンジンから出火した際に消火剤を噴射しようとしても、もう一方に噴射される状態だった。
製造時のミスで部品を付け間違えたとみられる。
逆に噴射してもエンジンが止まることはなく、火災ももう1系統の消火器で消せるという。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0814/TKY201308140281.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130814-OYT1T01033.htm
一方、2013年8月15日13時20分にmsn産経ニュースからは、配線ミスだったという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
太田国交相は15日の閣議後会見で、全日空ボーイング787で見つかったエンジン用消火器の配線ミスについて「製造時の不具合の可能性もある」と指摘、米ボーイング社に14日、原因究明と再発防止を要請したと明らかにした。
太田国交相は「米連邦航空局にもボーイング社の監督を要請した。安全に万全を期すため、指摘すべきことはきちんとしたい」と述べた。
配線ミスは14日未明、羽田発フランクフルト行き全日空機の出発前点検で見つかった。
消火剤が意図したのと別のエンジンに噴射されるようになっていた。
全日空の保有全20機のうち、この機体のほか2機で同様の配線ミスが見つかった。
国交省は日航にも点検を指示したが、日航が保有する10機に異常はなかった。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130815/dst13081513220005-n1.htm
2013年7月16日11時50分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省は15日、航空機の事故や重大インシデントにつながる可能性のある軽微なミスなど「ヒヤリ・ハット」事例を収集して事故防止に役立てる方針を決めた。
航空会社などが匿名で報告できるようにし、会社を特定したり行政処分したりせず、自主的に報告しやすい環境を整備する。
細かな違反を追及するより、広く情報を集め原因を分析する方が事故防止に有効だと判断した。
有識者検討会で具体的な仕組みを議論、来年4月からの実施を目指す。
国への報告義務がないヒヤリ・ハット事例は、航空各社でつくる第三者機関がパイロットから報告を集め、各社が情報を共有している。
国交省はこの機関の役割を拡充するなどして、国が匿名で情報提供を受けることを検討する。
国交省は、航空会社の整備担当者や客室乗務員、国の管制部門担当者、空港を管理する自治体からも報告を求める考え。
似たようなケースを分類して、どのような事故につながる可能性があるかを分析する。
エンジン火災などの重大インシデントや計器の異常といった安全に影響するトラブルは、国への報告義務がある。
一方、ヒヤリ・ハット事例は「誘導路の配置が紛らわしく、誤った滑走路に入りそうになった」といった実際のトラブルには至らなかったケースで、航空会社が処分を恐れて報告をためらう例も多かったとみられる。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130716/dst13071612060004-n1.htm
(ブログ者コメント)
現状の第三者機関による情報共有の、どこにどんな問題があるから、国交省が関与することになったのだろうか?
その理由や背景、国交省の関与度合いについて調べてみたが、情報は得られなかった。
日本航空は2日、羽田発北京行きの便で使用予定だった最新鋭中型機のボーイング787型機で、バッテリーの格納容器内の異常を示す計器が作動したとして、同機での運航をとりやめたと発表した。
バッテリーから熱や煙が出た際に効率よく機外に排出するための二つの空気穴(直径0.8mm)がテープで塞がれていたのが見つかり、米ボーイング社がバッテリー改修作業中のテストで塞ぎ、その後、剥がし忘れたとみられる。
日航は「穴がふさがれていても、排出機能に大きな影響はない」と説明している。
トラブルが相次いだ787型機は、バッテリーの改修を終え、1日から日航と全日空が定期便の運航を再開したばかり。
国交省は、両社に対し、同様のミスがないか全機を再点検するよう指示した。
日航によると、問題が起きたのは、機体後方の電気機器室に搭載されている補助動力装置用バッテリーのステンレス製格納容器。
午前6時ごろの出発前点検で、整備士が容器内外で圧力が異なる計器表示が出ているのを発見した。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130602-OYT1T00617.htm
(ブログ者コメント)
○航空機ともなれば、定常メンテナンス時には、チェックリストなどを使って作業ミスを防いでいるはず。
今回のバッテリー改修は非定常作業につき、チェックリストはなかった・・・そんな背景でもあったのだろうか?
○それにしても、ボーイング社の作業ミスと聞いて思い出すのは、日航ジャンボ機の隔壁修理ミス。
あの事故と根が同じでなければいいのだが・・・。
バッテリーのトラブルで運航停止が続いていたボーイング787型機が、運航再開に向けた全日空機の訓練飛行で配電盤を損傷するトラブルを起こしていたことが、同社への取材でわかった。
ボーイング社の整備ミスが原因で、国交省は全日空と日本航空に、すべての787型機の点検を指示した。
全日空の担当者は、これまで公表しなかったことについて「運航停止の原因となったバッテリーとは関係なく、危険性の高いトラブルでもないため」と説明。6月1日から営業運航する予定に変更はないという。
全日空によると、トラブルは今月4日、バッテリーの改修を終えた機体で発生した。
羽田空港から新千歳空港へ飛行中、機内の気圧を保つ装置や油圧、電気系統など5カ所でトラブルが起きたとのメッセージがコックピットに表示された。緊急性が低い内容だったため機長と副操縦士がチェックし、運航に支障はないと判断して新千歳に着陸した。
全日空の整備士が調べたところ、機体後部の電気室に複数ある配電盤の一つで、金属製の端子と周辺が数cm四方にわたり黒く変色していた。端子のナットが緩んでおり、配線が接触不良を起こして過熱したとみられる。
配電盤はバッテリーと同じ電気室にあるが、直接つながっておらずバッテリーに異状はなかった。
この配電盤は、ボーイング社の作業チームが4月、バッテリー改修とは別の点検で取り外していた。配電盤を取り付けた際のナットの締め付けが不十分だったことが原因という。
787型機は、1月にバッテリーの発火・発煙が続いて世界中で運航が禁止され、バッテリーの改修を条件に国交省が4月26日に運航再開を許可した。
この際、「利用者の安心を確保することも極めて重要」として、安全情報を積極的に開示するよう全日空と日航に求めていた。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0516/TKY201305160411.html
米東部マサチューセッツ州のボストン・ローガン国際空港で7日午前10時半(日本時間8日午前0時半)ごろ、成田から到着した日本航空の旅客機ボーイング787の客室後方で煙が出ているのを整備士が発見した。
出火は乗客172人、乗務員11人の計183人が降りた後で、地元消防隊が消火活動にあたり、けが人はなかった。
日航によると、補助動力装置用のバッテリーから出火しており、米国家運輸安全委員会と連邦航空局が原因を調べている。
787は、「ドリームライナー」の名前で知られる最新鋭旅客機で、補助動力装置のバッテリーは、機体後方の電気室内に設置されている。
空港を管理する州港湾局の防火責任者はAP通信に、「何らかの原因でバッテリーが過熱、着火した」との見方を示した。電気室内は約20分間、燃え続けたという。
AP通信によると、787には二つのリチウムイオン電池が使用されており、うち一つが補助動力装置用。
リチウムイオン電池は過去に積み荷として空輸中に貨物機内での出火原因と疑われた事例があるという。
日航によると、出火した機体は先月21日に引き渡されたばかりの新造機。製造したボーイング社は、787で同様のトラブルの報告はないと説明しているという。
国交省は8日、日本航空と全日空に787全機の補助動力装置用のバッテリーを緊急点検するよう指示した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130108k0000e040183000c.html
(ブログ者コメント)
□事故発生直後の緊急点検指示。素早い対応で、それはそれでよいのだが、原因がはっきりしない時点での指示ということに、ちょっと違和感を覚える。
バッテリー関連の何をどう点検すればいいのか、両社、迷ったのではないだろうか?
今回は、コトの重大性・緊急性と、不具合個所がはっきりしていることを勘案して指示が出されたのかもしれないが、原因がはっきりしない時点での点検指示は、事例によっては多大なマンアワーがかかり、かつ、それが徒労に終わる可能性がある。
□B787機の燃料油漏れは1月だけで3件。それ以外にもトラブル多発。
おととしの就航からまだ間もない新型機種なので、バスタブ曲線でいうところの初期故障期なのもしれないが、それにしても・・・。
(上記以外のトラブル)
・米国試験飛行時にエンジン故障で火災
・岡山でエンジン付近から白煙
・宇部で燃料漏れ
・米国で機器故障
・米国で燃料漏れ
・宇部でブレーキ不具合
http://mainichi.jp/select/news/20130110k0000m040080000c.html
(上記報道以降のトラブル)
・松山行きでガラスにヒビ
・宮崎で潤滑油漏れ
http://mainichi.jp/select/news/20130112k0000m040058000c.html
・成田で燃料漏れ
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130113/dst13011322200004-n1.htm
(米航空局が包括的調査に乗り出す)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130112-OYT1T00488.htm
(2013年2月22日 修正1 ;追記)
2013年2月22日付で毎日新聞東京版朝刊から、また同日1時16分に朝日新聞から、2件の燃料漏れ原因に関する、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空ボーイング787が燃料漏れを起こしたトラブルで、燃料タンクのバルブを開閉する駆動装置の塗装に不具合があったことが21日、国交省の調査で分かった。
バルブに異物が付着していた可能性もあり、国交省は近く日航や全日空に対し、目視点検の徹底など再発防止策を指示する。
トラブルのあった日航機は1月、ボストンの空港で左翼先端部から、成田空港では燃料放出用ノズルから燃料が漏れた。
国交省の調査チームは、原因とみられるバルブを3ケ所に絞り、バルブや駆動装置を製造した英国のメーカーに周辺の装置を送って分解調査や動作試験をしていた。
一方、ボストンでの燃料漏れは部品自体の不具合が見つからず、異物が付着してバルブが閉まらなかった可能性が高いと判断した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20130222ddm041040063000c.html
http://www.asahi.com/national/update/0222/TKY201302210489.html
今月、高松空港で、管制官が、パイロットの呼びかけに応じず、飛行機の到着が遅れたトラブルは、管制官が居眠りをしたり、勝手に外出したりしていたためだったことがわかった。
このトラブルは、今月17日、高松空港で、勤務中の管制官2人が、およそ10分間、到着機のパイロットの呼びかけに応じず、あわせて2機の到着が遅れたもの。
国交省が調査した結果、このうち40代の主幹管制官は、到着機がしばらくないとしてヘッドホンを外したまま居眠りし、無線のスピーカーのボリュームも絞ったままにしていたという。
また、60代の管制官は、インターネットで理髪店を予約するため管制室を出たあと、夕食のパンを買おうとそのままターミナルビルに向かい、およそ1時間、勝手に外出していたという。
主幹管制官は、「考え事をしているうちに、うとうとしてしまった」と話しているという。
また、60代の管制官は、「到着機が少なく、1人でも大丈夫だと思った。気が緩んでいた」と話しているという。
国交省は、去年9月にも、管制官の居眠りが原因で、飛行機の到着が遅れるトラブルがあったため、その後、必ず2人以上で勤務することを義務づけた。
しかし、再びトラブルが起きたため、トイレや喫煙の場合を除き、外出する際は事前に上司に届け出ることや、勤務状況を抜き打ち調査することなどを決めた。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8034364551.html
ちなみにトラブル時の状況は、2012年12月19日9時36分に四国新聞から、12月20日17時25分に朝日新聞から、下記趣旨でネット配信されていた。
国交省は18日、高松空港で17日午後、40代の男性主幹管制官が日航機からの交信に約10分間応答せず着陸許可が遅れ、同機と後続の全日空機が上空で一時待機するトラブルがあったと発表した。けが人や機体の損傷はなかった。
国交省によると、17日午後6時23分、羽田発の日航1411便(ボーイング737、乗客乗員計81人)が高松空港への着陸前、無線の周波数を切り替えて着陸許可を5回求めたが応答がなく、同28分から上空で待機した。
羽田発の全日空537便(ボーイング767、同156人)も同31分から同様に待機。
日航機から連絡を受けた関西空港の「関西ターミナル管制所」が高松空港との交信を試みたが、専用回線でも応答せず、内線電話でようやく連絡が取れた。
出典URL
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20121219000171
http://www.asahi.com/national/update/1220/TKY201212200637.html
(ブログ者コメント)
那覇空港と同じようなトラブルが、再発防止策を講じていたにもかかわらず、また起きてしまった。
問題は、40代の主幹管制官が居眠りしたことよりも、60代の管制官が1時間近く席を外していたことではないかと、ブログ者は考えている。
この60代の管制官、夕方なのでまさか40代の管制官が居眠りするとは思わなかった?
2人体制になっている理由を真に理解していなかった?
那覇空港の事例を他人事で自分には関係ないと思っていた?
そもそも那覇空港の事例を知らなかった?
様々な理由が考えられるが、その辺は更なる調査で明らかになるだろう。
あと気になるのは、40代の主幹管制官が60代の管制官に対し、「早く帰ってきてください」などと釘をささなかった・・・そんなことがなかったか?ということだ。
もしあったなら、遠慮?それとも権威勾配?
などなど、いろいろなことを考えさせられる事例であった。
那覇空港事例は本ブログで紹介済。
(2013年3月8日 修正1 ;追記)
2013年3月6日9時46分に四国新聞から、関係者が処分されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省大阪航空局は5日、居眠りをしていた男性主幹管制官(45)を減給10分の1(3カ月)、持ち場を離れていた別の男性管制官(64)を同(6カ月)の懲戒処分にした。
国交省によると、64歳の管制官は原則2人勤務の指示に反し、「ちょっと下に行ってくる」と主幹管制官に告げて退室。別棟でインターネットを使い理髪店に予約を入れた後、さらに約200m離れたターミナルビルへ夕食のパンを買いに行き、約1時間後に戻った。
管制塔に1人で残っていた45歳の主幹管制官は、スピーカーの音量を下げてマイクが付いたヘッドセットも外し、居眠りをしていた。
大阪航空局は管理監督責任を怠ったとして、上司の2人も口頭で厳重注意。「職員がこのようなことを起こしたのは誠に遺憾で、深くおわび申し上げる」としている。
出典URL
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/20130306000181
松山空港で保安検査を終えた乗客が利用するラウンジに改修工事で使われた金づちやドライバーなどがカギをかけずに放置されていたことがわかり、乗客の保安検査をやり直すトラブルがあった。
国交省の松山空港事務所によると、17日午前8時すぎ、松山空港で、保安検査を終えて搭乗を待つ乗客のための全日空のラウンジ内に改修工事で使われた金づちやドライバーなどの工具が鍵をかけずに放置されていたと、全日空から連絡があった。
当時、空港では出発する2便の保安検査が行われていたが、乗客がラウンジに立ち入って工具などを持ち出して搭乗できる状態だったとして、保安検査を済ませた乗客全員の検査をやり直した。
このため、日本航空によると、乗客37人が搭乗した午前8時40分発の福岡行きの日本エアコミューターの便に30分の遅れが出るなど、検査のやり直しなどの影響で午後3時までに福岡や鹿児島と松山とを結ぶあわせて6便に最大で1時間の遅れが出たという。
全日空によると、改修工事は16日夜から17日朝6時ごろまで行われ、業者は乗客が立ち入るのを防ぐため、工事のために設けたドアに鍵をかけることになっていたが、業者が鍵を閉め忘れたと話しているという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/matsuyama/8003564121.html
(ブログ者コメント)
他の作業現場で工具庫の鍵をかけ忘れても、さほど問題にはならないが、今回は場所が悪かった。同様、安全もTPO次第・・・。そういった事例として紹介する。
格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンが、社内規定を満たしていない整備士に機体整備の最終チェックを任せていたとして、国交省は16日、同社に文書で厳重注意した。
今年は、同社を含め3社の国内LCCが就航したが、同省が国内LCCに厳重注意するのは初めて。
安全保安管理本部長は、「全社を挙げて組織を見直したい」と謝罪した。
同省によると、同社は今年6月と10月、航空機の整備状況を最終確認する「確認主任者」に、同社の整備士2人をそれぞれ選任した。
社内規定で、他社での確認主任者の経験が3年以上必要だと定めていたが、1人は6カ月、もう1人も1年8カ月しか経験がなかった。
2人が安全確認した機体で大きなトラブルは起きていないが、1人の確認件数は91件に上っていた。
同省は、「運航の安全を確保するための組織が有効に機能していない」として厳重注意するとともに、来月中旬までに改善策を報告するよう求める方針。
同社によると、「確認主任者」となるための社内の申請書には、他社経験を書く欄に「経験年数」としか記しておらず、2人は整備士として勤めた期間を書いていたという。
このうち1人については、訓練担当者が7月に不備に気づいたが、上司に報告を怠っていた。国交省の検査で発覚した。
同社は今年7月、成田空港を拠点に就航。関西空港にも拠点を置く計画を表明していたが、「まず原因究明と再発防止策を取りたい」として無期延期した。
関空に整備基地が新設できず、夜間に駐機できなくなるため、今月22日から予定していた深夜早朝の関空―成田便と、12月6日から予定していた関空―沖縄便などが当面運航できなくなるという。
振り替えや欠航の詳細は来週以降に発表する。来年6月までに目指していた国際線の就航も遅れる見通し。
出典URL
http://www.asahi.com/national/intro/TKY201211160945.html?id1=2&id2=cabcbbbh
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121116-OYT1T00756.htm
(ブログ者コメント)
この程度のルール違反でも経営に大きな影響を及ぼす、そういった事例として紹介する。
北九州発羽田行きスターフライヤー92便エアバスA320(乗客・乗員計145人)が11日夜、操縦室の窓にひびが入ったトラブルで、ひび割れの原因はくもり防止用の電熱線ヒーターのショートだったことが12日、分かった。
当初、落雷が原因との見方があったが、着陸後に調べたところ落雷の形跡はなかった。
同社によると窓ガラスは5層構造で、11日午後10時20分ごろ、関西空港付近の上空を飛行中、副操縦士席側にある窓ガラスの外側から2層目のガラスに縦約30cm、横約60cmにわたりクモの巣状のひびが入った。
同社所有の同型機では、今年1月と平成22年12月にも操縦室の窓にひびが入るトラブルがあった。
同社は同型機7機を所有しており、12日から全機の操縦室窓部分の点検を強化する。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121112/dst12111214380008-n1.htm
おととし、福岡空港で韓国の旅客機が、管制官の許可なく滑走路に入り、到着機が着陸をやり直したトラブルで、国の運輸安全委員会は、パイロットが管制官から滑走路手前で待機するよう指示されたのに「待機」という言葉を聞き逃し、管制官もパイロットへの再度の確認を怠ったことが原因だとする報告書を公表した。
このトラブルは、おととし12月、福岡空港で、韓国のエアプサン機が管制官の許可なく滑走路に入り、日本航空の到着機が着陸をやり直したもので、国の運輸安全委員会が、重大な事故につながりかねないとして調査していた。
報告書によると、管制官はエアプサン機に対し、滑走路手前で待機するよう指示したが、パイロットは「待機」という言葉を聞き逃し、離陸が早まったと勘違いして滑走路に進入した可能性が高いとしている。
また、パイロットは管制官の指示をそのまま復唱することになっているが、当時、パイロットは「待機」という言葉を復唱せず、管制官もそのことに気づかず、確認を怠ったという。
このため報告書は、管制官がパイロットの復唱に誤りがないか確実に確認すべきだったとしている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/fukuoka/5014627931.html
(ブログ者コメント)
復唱復命の徹底不足が招いた事例として紹介する。
報告書中、ポイントとなる記述は下記。
□タワーは「HOLD SHORT OF RUNWAY 34 VIA W8」の指示に対するA機の副操縦士の復唱が、後半の「RUNWAY 34 VIA W8」のみであったにもかかわらず、復唱の確認を行っていないことから、何も疑問を持たずにA機が自分の指示どおりに滑走路手前のW8で待機をすると認識していたものと推定される。
復唱の確認は、自分が指示した内容と復唱された内容を比較し、同じであることを確認することであり、管制官は、常にそのような意識を持って復唱の確認を行う必要がある。
本重大インシデントの場合、「HOLD SHORT OF」は待機指示を意味する用語であり、復唱にこの内容を意味する用語が含まれていることを確実に確認すべきであった。
□管制官に対しては平成19年10月、復唱確認等に関して周知されたところであるが、再度徹底する必要がある。
[平成19年周知内容]
(1) 復唱の確認の重要性を再認識し、また、復唱の誤りに対して十分注意するとともに、必要な場合に速やかに訂正・再確認等の対応を行うこと。
(平成19年10月22日付け「航空管制におけるパイロットからの復唱の確認の徹底について」)
(2) 復唱の誤りがある場合はもちろん、復唱が不明瞭である場合その他疑義がある場合には、復唱の確認を確実に行うこと。
管制指示等を発出する際、状況に応じ有益な情報を付すことにより、当該管制指示に係るパイロットの理解がより深まることを認識するとともに、特に、管制指示「HOLD SHORT OF RUNWAY」(滑走路手前で待機)は、意思疎通に齟齬が生じると安全上の問題に直結する指示であるので、到着機等の情報提供をより積極的に行うこと。
(平成19年10月31日付け「管制指示に関する復唱の確認及び情報提供等について」
事故報告書URL
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/pdf/AI12-6-1-HL7517-JA8998.pdf
全日空系のエアーニッポン(ANK)機が2010年秋、旭川空港への着陸態勢中に近くの山肌に約220mまで異常接近した問題で、運輸安全委員会は27日、機長(35)らが山中で低高度へ誘導する管制官の誤指示に抵抗感を覚えながら、管制官に確認していなかったとする調査結果を公表した。
管制の誤指示は、発生直後に明らかになっていた。
安全委によると、10年10月26日、旭川空港への着陸態勢に入っていたANK機が山肌に異常接近。警報音が鳴ったため、機長が機体を上昇させたが、山との衝突まで20~30秒の距離まで高度を下げていたという。
調査結果によると、札幌航空交通管制部の男性管制官(32)が、ANK機に対し、維持すべき最低高度(高度3000m)よりも低い1500mまで高度を下げるよう指示した。
当時、この管制官は9機の航空機とやりとりしており、旭川空港の上空で旋回待機中だった別の飛行機との衝突を避けるため、山よりのルートを指示していたが、この飛行機との距離を置くことに気を取られ、最低高度の確認を忘れていたという。
一方、安全委はANK機側の問題も指摘。
管制官は最低高度を踏まえているだろう、と機長が考える一方、副操縦士(50)は計器で異常接近をいち早く認識したが、後輩が機長だったことに気兼ねし、「自分が出過ぎて、機長の仕事を侵してはいけない」と思っていて、注意喚起できなかったと指摘した。
ANKは操縦士らに「疑問はためらわずに口に出すことが重要」と指導していたが、「十分に実践できていなかった」と安全委は指摘している。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY201201270241.html
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201201270040.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120127-OYT1T00419.htm
(ブログ者コメント)
□管制官が他のことに気をとられて誤指示を出し、機長は抵抗感を覚えつつも最低高度を踏まえての指示だろうと勝手に思いこみ、副操縦士は異常に気がついたのに機長に遠慮して注意喚起しなかったという、3人3様のヒューマンエラーが重なったためのヒヤリ事例。
3つもヒューマンエラーが重なって、よくぞヒヤリで済んだものだ。
□9機の航空機と同時にやりとりすることが管制官にとって普通なのか、ブログ者には分からない。
ただ、ブログ者に同時に9つの事象に対応せよと言われても、それは困難きわまる話だ。
複数の航空機と同時にやりとりする場合のミス防止策はどうしているのだろう?必ず、何かある筈だが・・・。
日航は14日、成田発シドニー行きのボーイング777の座席からライターが原因とみられる炎が出たため、成田空港に引き返したと発表した。
乗客乗員260人にけがはなかったが、再出発は翌朝に延期した。
日航によると、離陸直後の14日午後8時20分ごろ、ビジネスクラスの男性乗客から呼び出しを受けた客室乗務員が、この座席から1cm程度の炎が上がるのを確認。
機長に伝え引き返しを決めた。
座席の隙間にライターが挟まっているのが見つかったが、誰が持ち込んだかは分かっていない。
日航は早期の再出発を目指したが、同社の負担で乗客らは空港近くのホテルに宿泊した。
出典URL
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011401001919.html
なお朝日新聞は、呼び出し時の様子を以下のように伝えている。
旅客が「シートの左側から炎が上がった」と訴えたため、客室乗務員が付近を調べたところ、左側の肘掛けの下付近からライターが見つかった。シートに損傷はなかった。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201201140096.html
(ブログ者コメント)
同様な事例を、本ブログでは過去に1件、紹介している。
それは、無線LANのルーターがシートを動かした際に壊れて発火した、という事例だ。
その時もビジネスクラスだったが、発火した場所は違うようだ。
2011年12月27日21時31分に、読売新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道で7月、航空大学校帯広分校の訓練機が墜落した事故で、国交省は27日、死亡した機長が、抗アレルギー薬を服用していた可能性があると発表した。
抗アレルギー薬は同省の指針で、服用後に一定の時間をあけないと操縦してはいけないことになっている。
薬の服用と事故との因果関係は、運輸安全委員会が調査中だが、同省は、航空大や航空事業者などに対し、パイロットに指針を周知徹底するよう求めた。
発表によると、同委員会の調査で、機長がアレルギー性鼻炎の薬を常用し、朝晩2回服用していたことが判明。
副作用などを確認した指定医が、服用を「適合」としていたが、同省の指針では、適合とされた薬でも、服用後は一定時間、操縦しないよう定めている。
この薬の場合、服用後24時間は操縦できないことになっていたが、機長は薬を常用しながら訓練機を操縦していた可能性もあるとして、同委員会は17日、同省に情報提供していた。
出典URL■■■
(2014年10月11日 修正1 ;追記)
2014年10月8日21時20分にNHK北海道NEWS WEBから、機長が注意義務を怠ったが死亡しているので不起訴になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3年前、航空大学校帯広分校の訓練機が墜落し、3人が死亡1人が大けがをした事故で、釧路地方検察庁は、当時の機長で書類送検された教官が注意義務を怠ったことが事故原因だとしながらも、死亡しているとして、8日、不起訴にした。
この事故は、平成23年7月、航空大学校帯広分校の訓練機が十勝の芽室町の山中に墜落し、教官2人と訓練生1人が死亡、別の訓練生1人が大けがをしたもの。
警察は、訓練機の機長で事故で死亡した当時44歳の教官が、危険を回避するための注意義務を怠ったとして、業務上過失致死傷などの疑いでことし1月書類送検していた。
これについて釧路地方検察庁は、教官が業務上の注意義務を怠り、漫然と雲の中に訓練機を突入させたことが事故の原因で、刑事責任があるとする捜査結果を公表した。
そのうえで、教官が死亡しているとして、8日付けで不起訴にした。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20141008/5234901.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。