本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。 それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。 本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。 一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。 (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011年9月13日17時17分にmsn産経ニュースから、同日19時45分に共同通信から、14日3時6分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省航空局は13日、那覇空港の50代の男性主幹航空管制官が同日未明、勤務中に居眠りをしていたため、着陸・離陸予定の全日空の貨物便2機と一時連絡が取れなくなるトラブルが発生したと発表した。
けが人や機体の損傷などはなかったが、国交省は「管制官の居眠りによるトラブルは記憶にない」として現地に職員を派遣、詳細を調査している。
国交省によると、13日午前3時15分ごろ、那覇空港の南約22kmの上空を飛行中だったバンコク発の全日空8422便が、同空港への着陸許可を那覇飛行場管制所に無線で求めたが、応答がなかったため、着陸を取り止めた。
連絡を受けた那覇市内の別の場所にあるレーダー管制所と、上空で待機した同便が、専用電話や無線で管制塔を何度も呼び出したところ、同27分に応答があった。同便は、主幹管制官の管制で、定刻の17分遅れで着陸した。
また同16分ごろ、上海浦東行きの全日空8431便も離陸前にフライトプランの承認を得るため同管制所に無線で呼びかけたが、応答がなかったという。
当時、同管制所は男性管制官と30代の女性管制官の2人勤務態勢だったが、女性管制官は午前3時ごろから休憩所に行っており、男性管制官1人だった。
無線交信ができなくなったのは約12分間で、男性管制官は「うとうとしていた」などと話しているという。
米国で今春、夜間勤務中の管制官が居眠りでパイロットと音信不通になるケースが相次いだのを受けて、国交省は体調維持などに留意するよう全国の管制官に通知を出していた。
また国内でも、羽田空港の管制官が米大統領専用機の飛行計画などの情報をインターネット上に流出させるなど管制官の不祥事が相次いでおり、国交省は「早急に抜本的な再発防止策をまとめて各所に徹底する」としている。
主幹は管制塔に勤務する管制官48人の中で先任(1人)、次席(7人)に次ぐ立場で現場のリーダー格。
出典URL■■■
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(ブログ者コメント)
午前3時といえば、確かに睡魔が襲ってくる時間帯。生理現象だけは致し方ない。
しかし、車を運転している場合など、致し方ないでは済まされないこともある。
今回、事故には至らなかったものの、その潜在危険は非常に大きいのだ。
この管制官、主幹という立場にあることもあり、責任感や自覚に欠けていたと責められても仕方がないだろう。
一方、女性管制官が休憩に行った、その後わずか15分で急激に睡魔に襲われたという説明にも、何かひっかかるところがある。
(2011年9月18日 修正1 ;追記)
2011年9月15日14時10分にmsn産経ニュース沖縄から、また14日付の朝日新聞(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
居眠りしていた男性主幹管制官は、ペアで勤務する30代の女性管制官に「休憩していていいよ」と休憩室へ行くよう促していたことが15日、分かった。女性管制官は妊娠していた。
国交省は、主幹管制官が女性管制官の体調を気遣って1人で管制塔の運用室に残り、居眠りしてしまったとみて調べている。
国交省関係者によると、問題が起きた午前3時台は、離着陸が3便程度と忙しい時間ではなかった。当時は、午前3時から主幹管制官と女性管制官の2人が管制業務を担当していたが、女性管制官は隣にある建物2階の休憩室で午前3時から25分程度休んでいた。 通常は、トイレなどを除いて勤務中に運用室を離れることはなく、同省は経緯を調べている
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
自分が眠いのを我慢して女性管制官を先に休ませた・・・そういった経緯でもあったのだろうか?などと思っていたが、その可能性も出てきた。
(2011年12月28日 修正2 ;追記)
2011年12月26日18時40分に、朝日新聞(聞蔵)から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は26日、この男性主幹航空管制官(55)を減給1カ月(10分の1)、上司の男性次席航空管制官(54)を戒告の懲戒処分にした。
通常は2人勤務だが、妊娠中の女性同僚を休憩させようと、次席が主幹の1人勤務を認めたという。
出典URL■■■
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2011年9月8日0時14分と1時46分に、朝日新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午後10時50分ごろ、浜松市の南を飛行中の那覇発羽田行き全日空140便(ボーイング737―700型機)が約1900m急降下し、女性客室乗務員2人が軽傷を負った。
トイレのため離席した男性機長(64)が操縦室に戻る際、男性副操縦士(38)が、ドアの鍵を開けるつまみと間違え、機体の左右方向の向きを調整する「方向舵調整スイッチ」のつまみを左に回したため、機体が左に傾き降下したという。 ほかの乗客乗員115人にけがはなかった。
国交省は事故につながる「重大インシデント」と判断し、運輸安全委員会は8日、航空事故調査官3人を羽田空港に派遣する。
操縦室ドアの鍵を開閉するつまみは、左右の操縦席の間の操作盤にあり、「方向舵調整スイッチ」の左斜め隣に位置していて形も似ている。
機長からの合図で、鍵のつまみを左に回して解錠するはずが、副操縦士は誤って「方向舵調整スイッチ」を左に目いっぱい回した。
当時は自動操縦中だったが、自動操縦中でも「方向舵調整スイッチ」は操作できるという。
副操縦士が機体の姿勢を立て直し、機長は自分で鍵を開け戻った。
出典URL■■■
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(ブログ者コメント)
産業現場でも、ヒューマンエラーを起こさないよう、操作スイッチの色とか配列を工夫することがある。
飛行機でも、操縦用のスイッチとそうでないスイッチは、別の操作盤に設置できないのだろうか?スペースがないことは承知しているが・・・。
(2011年9月30日 修正1 ;追記)
2011年9月28日20時37分に、msn産経ニュースから下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日、機体が一時左側に大幅に傾き、ほぼ裏返しの状態となってらせん状に約1900m降下していたことが、運輸安全委員会の調査で分かった。
乗客112人にけがはなかったが、6人が体調不良を訴えていた。
委員会は大惨事につながる恐れがあった事態を重視し、さらに調査を進める。
重大インシデントの状況は、同日開かれた定例会見で委員長が明らかにした。委員長は「(機体は)ほとんど背面飛行といえるまでひっくり返った」と指摘した。
委員会がフライトレコーダーを回収して解析したところによると、6日午後10時50分ごろ、トイレのため席を外していた機長がコックピットに戻ってきた際、副操縦士がドアの解錠スイッチと間違えて尾翼にある左右の方向舵を調整するスイッチを操作した。
機体は少し右に傾いた後、左側に最大131.7°傾斜。同時に機首も左に35°下向きとなった。
約1万2500m上空を航行中だった機体はらせん状に大きく旋回しながら約30秒間にわたり約1900m急降下。右側の主翼が上になり、機体は自らの重力を支えられず、ほぼ裏返しになった。
この際、機内では最大で地上の2.68倍の重力がかかっており、最高速度は国の制限値(マッハ0.82)を超える同0.828に達していたという。
副操縦士が機体の体勢を立て直し終えたとき、機首は当初の進行方向とはほぼ反対になっていたとみられる。
乗客にけがなかったことについて、委員長は「深夜のため乗客がシートベルトをして着席しており、重力で体が(シートに)押さえつけられたことが幸いしたのでは。ジェットコースターと同じ原理で遠心力がかかった状態」などと話した。
運輸安全委はさらに調査を進め、原因についての報告書を公表する方針。
出典URL■■■
(2012年1月27日 修正2 ;追記)
2012年1月24日5時1分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
この問題で、操作ミスをした副操縦士(39)がスイッチの配置を同じB737の旧型機と勘違いしたとみられることが、国交省関係者らへの取材で分かった。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0123/TKY201201230649.html
(ブログ者コメント)
これは、設計が悪い。
別の機種ならまだしも、同機種でスイッチの配置を変えるなど、ヒューマンエラーを誘発してしかるべしだ。
2011年9月2日23時06分と20分に朝日新聞から、同日20時41分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2日午前10時20分(日本時間)ごろ、太平洋上空を飛行中のロサンゼルス発成田行きの日本航空61便の機内で、乗客が持ち込んだ無線機器から炎が上がった。
水をかけるなどしてすぐに消えたが、乗客の男性1人が指先に軽いやけどを負った。運航に影響はなかった。
国交省などによると、炎が出たのはパソコン用の無線LANルーター(縦5cm、横10cm、厚さ1.5cm)からとみられる。
ビジネスクラスにいた40代の男性がトイレに行こうとして、電動リクライニングシートの倒していた背もたれを元に戻そうと動かした際、座面と背もたれの間に挟まって壊れ、炎が出た。座席に約5cm四方の焦げ跡が残ったという。
同省によると、機内での無線機器の使用は禁じられているが、持ち込みに制限はないという。
出典URL■■■
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(ブログ者コメント)
□ルーターからの出火事例をネットで調べた結果、電源アダプターに異常電流が発生して焼けたという事例はあったが、ルーター本体からの出火事例は見当らなかった。
□ただ、同じような大きさの無線LANルーターの紹介記事に「電源内蔵」という記述があった。もし今回のルーターも電源内蔵であれば、壊れた時に電源がショートした可能性がある。
2011年7月20日11時44分に、NHK金沢から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
19日午前、小松空港から成田空港に向かっていた定期便が、法律で搭載が義務付けられている航空日誌を積んでいなかったため、小松空港に引き返すトラブルがあり、この便は1時間半あまりの遅れが出た。
小松ー成田便を全日空と共同で運航するアイベックスエアラインズによると、この便は19日午前8時半すぎに小松空港を出発して成田空港に向かった定期便で、航空日誌を積み忘れたことに整備士が気づき、連絡を受けて小松空港に引き返した。
この便は航空日誌を搭載して改めて点検や給油を行った後、再び出発し、定刻から1時間35分遅れて午前11時20分に成田空港に到着した。
この便には42人の乗客が乗っていて、成田空港での国際線への乗り継ぎなどに影響が出たという。
航空日誌は航空機の整備や点検の結果などを記録するもので、安全な運航のため、航空法で機体への搭載が義務付けられているが、今回は、小松空港で整備士が積み忘れ、パイロットも確認を怠ったという。
アイベックスエアラインズによると、航空日誌の積み忘れで運航に影響が出たのは初めてだという。
アイベックスエアラインズは「ご迷惑をおかけして申し訳ない。今後、同様のトラブルがないよう、出発前の確認を徹底したい」と話している。
出典URL■■■
(NHKの記事は、1日か2日でアクセスできなくなりますので、御承知おきください)
(ブログ者コメント)
本ブログにも掲載したとおり、今年5月21日に新千歳空港発の全日空機で同様なヒヤリが起きている。
あれから、まだ2ケ月。アイベックスは、5月の他社事例を、どう取り扱ったのだろうか?知らなかったとは思えないが・・・。
19日午前、小松空港から成田空港に向かっていた定期便が、法律で搭載が義務付けられている航空日誌を積んでいなかったため、小松空港に引き返すトラブルがあり、この便は1時間半あまりの遅れが出た。
小松ー成田便を全日空と共同で運航するアイベックスエアラインズによると、この便は19日午前8時半すぎに小松空港を出発して成田空港に向かった定期便で、航空日誌を積み忘れたことに整備士が気づき、連絡を受けて小松空港に引き返した。
この便は航空日誌を搭載して改めて点検や給油を行った後、再び出発し、定刻から1時間35分遅れて午前11時20分に成田空港に到着した。
この便には42人の乗客が乗っていて、成田空港での国際線への乗り継ぎなどに影響が出たという。
航空日誌は航空機の整備や点検の結果などを記録するもので、安全な運航のため、航空法で機体への搭載が義務付けられているが、今回は、小松空港で整備士が積み忘れ、パイロットも確認を怠ったという。
アイベックスエアラインズによると、航空日誌の積み忘れで運航に影響が出たのは初めてだという。
アイベックスエアラインズは「ご迷惑をおかけして申し訳ない。今後、同様のトラブルがないよう、出発前の確認を徹底したい」と話している。
出典URL■■■
(NHKの記事は、1日か2日でアクセスできなくなりますので、御承知おきください)
(ブログ者コメント)
本ブログにも掲載したとおり、今年5月21日に新千歳空港発の全日空機で同様なヒヤリが起きている。
あれから、まだ2ケ月。アイベックスは、5月の他社事例を、どう取り扱ったのだろうか?知らなかったとは思えないが・・・。
各メディアから報道されている状況ならびに原因について、概略、以下のとおりに紹介する。
2011年6月11日6時6分 朝日新聞
□奥尻空港で4日、北海道エアシステム(HAC)のプロペラ機が着陸をやり直そうとした際、地表まで約30mに接近した。
□機長が目標高度を設定し忘れ、自分の意思と逆の指示が出たことに気を取られているうちに、上昇旋回の操作が遅れたとみられる。
□機長は高度約180mを飛行中、視界が悪かったため着陸やり直しを決めた。本来は飛行方向の指示装置に、目指す高度を約1200mと設定しておく必要があったが、機長は約180mにしたまま忘れていた。
□このため、機体が上昇に転じると、装置は高度を下げるよう指示した。機長は自分のイメージした指示が出ないため、気を取られた。
□一方、上昇する際、揚力を得るため、主翼のフラップを上げた。この機体はフラップを上げると重心が変わり、機首が下がる特性がある。下がらないようにするためには、操縦桿で調整する必要があるが、同社は会見で「機長は操縦桿を緩めた可能性がある」と話した。
□この結果、機体は急降下。副操縦士が高度が上がっていないと指摘し、機長は急上昇の操作をした。その直後、対地接近警報装置が作動した。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106110007.html
□機長が目標高度を設定し忘れ、自分の意思と逆の指示が出たことに気を取られているうちに、上昇旋回の操作が遅れたとみられる。
□機長は高度約180mを飛行中、視界が悪かったため着陸やり直しを決めた。本来は飛行方向の指示装置に、目指す高度を約1200mと設定しておく必要があったが、機長は約180mにしたまま忘れていた。
□このため、機体が上昇に転じると、装置は高度を下げるよう指示した。機長は自分のイメージした指示が出ないため、気を取られた。
□一方、上昇する際、揚力を得るため、主翼のフラップを上げた。この機体はフラップを上げると重心が変わり、機首が下がる特性がある。下がらないようにするためには、操縦桿で調整する必要があるが、同社は会見で「機長は操縦桿を緩めた可能性がある」と話した。
□この結果、機体は急降下。副操縦士が高度が上がっていないと指摘し、機長は急上昇の操作をした。その直後、対地接近警報装置が作動した。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106110007.html
2011年6月11日8時56分 msn産経ニュース
□機長は地上約200mまで高度を下げた後、悪天候のため着陸をやり直そうと再度上昇を試みたが、機体の姿勢や高度を指示する「フライトディレクター」の設定高度を1200mに変更するのを忘れ、230mまで上昇した際に「高度維持」の表示が出た。
□機長は、会社側の聴取に「(想定外の表示で)計器の不具合だと思った」などと説明。動揺して操縦桿を引く力が甘くなるなどした可能性もあり、機首が下がって高度が急激に低下、対地接近警報装置が作動したとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110611/dst11061109000009-n1.htm
□機長は、会社側の聴取に「(想定外の表示で)計器の不具合だと思った」などと説明。動揺して操縦桿を引く力が甘くなるなどした可能性もあり、機首が下がって高度が急激に低下、対地接近警報装置が作動したとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110611/dst11061109000009-n1.htm
2011年6月11日 毎日新聞朝刊
□機長は、設定を忘れたこと自体を失念。「1200m」を示さない「フライトディレクター」の動きを不審に思い、気を取られているうちに操縦を誤った可能性があるという。
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/06/11/20110611dde041040038000c.html
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/06/11/20110611dde041040038000c.html
2011年6月12日付 北海道新聞朝刊
□航空関係者からは機長が降下に気付かなかったことを疑問視する声が出ている。
国への報告や機体検査も遅れ、安全性を確認しないまま34便の運航を続けたHAC。航空会社としての認識の甘さや管理体制の不備を問う声もある。
□低空飛行から急上昇する場合、通常は目標高度を設定し、エンジンの出力や機首を上げる操作を行う。
他社の操縦士(43)は「今回は目標高度が設定されていなかったため、機体の適切な角度が表示されず、機首を上げる操作をしても、現状の高度を維持する指示が装置から出されたのだろう」と推測。「急上昇する際は複数の作業を数秒以内に行うため、高度設定を忘れることはたまにあるが、普通は地上30mまで降下する前に気付く」と首をかしげる。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/298570.html
国への報告や機体検査も遅れ、安全性を確認しないまま34便の運航を続けたHAC。航空会社としての認識の甘さや管理体制の不備を問う声もある。
□低空飛行から急上昇する場合、通常は目標高度を設定し、エンジンの出力や機首を上げる操作を行う。
他社の操縦士(43)は「今回は目標高度が設定されていなかったため、機体の適切な角度が表示されず、機首を上げる操作をしても、現状の高度を維持する指示が装置から出されたのだろう」と推測。「急上昇する際は複数の作業を数秒以内に行うため、高度設定を忘れることはたまにあるが、普通は地上30mまで降下する前に気付く」と首をかしげる。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/298570.html
2011年6月12日19時41分 NHK札幌
□HACの記者会見で、飛行中のデータなどから、あと数秒、操作が遅れれば地面に衝突するおそれがあったことが明らかになった。
http://www.nhk.or.jp/lnews/sapporo/7003465871.html
http://www.nhk.or.jp/lnews/sapporo/7003465871.html
2011年6月12日21時6分 朝日新聞
□同機が着陸をやり直そうとした際、機長と副操縦士の間で、目標高度の設定で通常必要とされる互いに声を掛け合う確認作業が行われなかった可能性があることが12日、分かった。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106120075.html
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201106120075.html
(ブログ者コメント)
□機長がエラーしても、それをカバーするのが副操縦士の役目。副操縦士は何をしていたのだろう?一緒にパニクっていたのだろうか?
□それに加え、機長と副操縦士は、なぜ、声を掛け合う確認作業を行わなかったのだろう?今回たまたま?それともヒューマンエラー防止のための安全活動が形骸化しているのだろうか?
□ヒューマンエラー防止をソフト対応だけに頼っている現場は少なくない。今回の事例では「対地接近警報」というハード対応で最終的にカバーされたが、そういったものがない現場では、ソフト対応には限界があるということを、心しておくべきだ。
□毎日新聞の「設定を忘れたこと自体を失念」という表現が気になった。「忘れた」、「思い込んだ」、「勘違いした」などとは少しニュアンスが違う。ヒューマンエラーの新しい分類パターンかもしれない。
(2011年7月3日 修正1 ;追記)
2011年7月2日19時15分に、msn産経ニュースから下記趣旨の記事がネット配信されていた。
機長が着陸を断念して機体を上昇させようとした際に、本来作動させてはならない自動操縦装置が一時「オン」になっていたことが、2日、同社への取材で分かった。
HACなどは、上昇が遅れた原因の一つとみて、スイッチが入った経緯を調べる。
HACによると、スイッチが入ったのは、上昇を試みてから地上に異常接近するまでの数秒間で、フライトレコーダーに記録されていた。
自動操縦装置が作動した状態で逆らった操作をすると操縦桿は動かしにくく、今回のような着陸やり直しの場面では、装置を切って、手動で操縦する必要がある。機長はHACの調査に「操縦桿が重かった」と話しているという。
HACなどは、上昇が遅れた原因の一つとみて、スイッチが入った経緯を調べる。
HACによると、スイッチが入ったのは、上昇を試みてから地上に異常接近するまでの数秒間で、フライトレコーダーに記録されていた。
自動操縦装置が作動した状態で逆らった操作をすると操縦桿は動かしにくく、今回のような着陸やり直しの場面では、装置を切って、手動で操縦する必要がある。機長はHACの調査に「操縦桿が重かった」と話しているという。
(ブログ者コメント)
7月2日8時2分にNHK札幌から発信された記事に下記記述あり。
「解除したはずの自動操縦装置が一時的に作動していたことがわかった」
「解除したはず」という言葉の持つ意味は大きい。
(もうアクセスはできませんが、記事のアドレスとして記載しておきます)
(2011年7月28日 修正2 ;追記)
2011年7月26日付で北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本乗員組合連絡会議(日乗連)とHAC乗員組合は25日、同社幹部が問題発覚直後の6月11日に開いた記者会見が「乗員に責任を転嫁するもの」だったとして、同社の対応を批判する文書を社長にそれぞれ提出した。
日乗連は、HAC乗員組合を含む国内航空会社の乗員組合などで構成され、大手以外の航空会社に批判的な文書を出すのは異例。
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
6月11日未明に国交省でHAC幹部が会見した内容は、この記事の冒頭に記載した通りだが、それを読み直しても、どこが「乗員に責任転嫁」するものか分からない。
ブログ者が把握している以外の事実が明らかになっているのだろうか?
(2011年7月30日 修正3 ;追記)
2011年7月29日14時6分に、朝日新聞(時事通信)から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
HACは29日、再発防止に向けた改善計画書を国交省東京航空局に提出した。
計画書によると、操縦士の技量を日常的に管理するため、乗員部の教官が運航便に同乗し操縦をモニターする制度を導入する。
また、従来は運航部長が安全推進部長を兼務していたが、専従の安全推進部長を配置。安全教育や訓練体系を見直す。
出典URL■■■
(2011年9月30日 修正4 ;追記)
2011年9月29日8時20分に、NHK札幌から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
パイロットが高度の入力を忘れていたうえ、自動操縦装置の特性を理解していなかったためにトラブルにつながったことが、国の運輸安全委員会の調査でわかった。
委員会によると、パイロットは、着陸のやり直しに備えて高度を設定する装置に、上昇すべき高度を入力し忘れていた。
このあと、パイロットは、機体が降下するなか、高度を入力し直したが、自動操縦装置がオンになっている状態で高度を入力しても受け付けられないという装置の特性を知らず、機体が上昇しないことを不審に思っている間に、高度が下がってしまった可能性があるという。
委員会は、今回のトラブルの原因を航空各社に伝え注意を促すよう、国土交通省に連絡した。
また、トラブルの原因をさらに詳しく調べ、最終的な報告書をまとめることにしている。
2011年5月21日13時43分に読売新聞から、同日17時26分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午前8時頃、離陸直後の新千歳発成田行き全日空2152便(乗員乗客91人)に別便の航空日誌が積まれていたことに地上の整備士が気付き、機は新千歳空港に引き返した。
同便は航空日誌を積み直して再出発したが、約1時間10分の遅延が生じた。
同便は航空日誌を積み直して再出発したが、約1時間10分の遅延が生じた。
全日空によると、航空日誌は不具合情報などを整備担当者に引き継ぐためのもので、航空法で備え付けが義務づけられている。
全日空では「気付いた以上、引き返さざるを得なかった」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110521-OYT1T00424.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110521/dst11052117270014-n1.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110521-OYT1T00424.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110521/dst11052117270014-n1.htm
(ブログ者コメント)
同じ整備士が複数の飛行機を並行して整備していた、あるいは整備中の飛行機の航空日誌が全て同じ場所に置かれていた、そういったことが間接原因として考えられる。
2011年5月20日17時16分にmsn産経ニュース香川から、18時6分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年8月、海保のヘリコプターが香川県沖で墜落し乗員5人が死亡した事故を受けて、同庁は、20日、乗組員の連携が不十分だったとの反省から、航空機に携わる全職員を対象に乗組員同士の情報共有しながら飛行する訓練の実施などを盛り込んだ中間報告書を公表した。
その他の主だった対策は下記。
①長官を委員長とする「航空安全推進委員会」を新たに設置。定期的に開催して安全に係る重点方針や施策などを審議、決定する。
②定期的に安全監査を実施する。
③各地で起きた「ヒヤリハット」の事例を本庁に集約し、専門家の協力も得つつ、事故防止に役立てる。
④衝突防止警報装置など、安全装備面を充実させる。
③各地で起きた「ヒヤリハット」の事例を本庁に集約し、専門家の協力も得つつ、事故防止に役立てる。
④衝突防止警報装置など、安全装備面を充実させる。
事故をめぐっては運輸安全委員会による調査が行われており、海保は運輸安全委の調査報告書公表を受けて、委員会の最終報告書をとりまとめる方針。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110520/kgw11052017400003-n1.htm
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201105200112.html
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201105200112.html
(ブログ者コメント)
□以下が中間報告書。上記記事には報告書の内容も、一部、追記している。
□朝日新聞の記事の「従来は事故ごとに臨時の委員会が再発防止策を検討してきたが、終われば解散し、安全対策が形骸化していた」というくだり、違和感があったので確認した結果、報告書では以下の表現になっていた。これなら納得できる。
「臨時の委員会は検討終了をもって解散しているため、安全管理体制や安全対策を平素から検証・評価し、改善する体制が必ずしも十分ではなかった。」
(2012年4月4日 修正1 ;追記)
2012年3月30日12時37分にNHK高松から、事故原因に関する調査結果がまとまったという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は、パイロットが送電線への注意を払わずに飛行したことや、送電線があることを知らせるフラッシュライトが木で見えにくかったことなどが事故につながったとする調査報告書をまとめた。
報告書によると、事故機は、瀬戸内海の島の周囲を低空で飛行して不法に捨てられている船がないか調査していたが、送電線は、事故の直前に近づいた2つの島の間にだけに張ってあった上、この2つの島は、もともとの調査予定には入っていなかった。
また、乗組員が行った飛行前の打ち合わせでも送電線に注意するという話が出なかったことから、報告書は、機長と副操縦士が送電線の存在を完全に忘れ、注意を払わずに飛行していて、接触した可能性があるとしている。
一方、島の鉄塔には送電線があることを知らせるフラッシュライトがあるが、電力会社の管理が不十分なため、近くの木が伸びて角度によっては、見えにくい状態になっていた。
報告書は、このことも機長と副操縦士が送電線に気づかなかったことにつながったとも指摘している。
一方、この事故は、船に乗った司法修習生に飛行の様子を見せるデモンストレーション飛行の合間に起きたが、運輸安全委員会は、このことと事故は関係なかったと話している。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/takamatsu/8033978091.html
また、3月30日21時47分に朝日新聞からは、若干違う内容の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は、機長らが前をよく見ていなかったため、機体を送電線に引っかけた可能性が高いとする調査報告を公表した。
安全委が調べたところ、墜落現場の手前から、前方に送電線の存在を知らせる鉄塔のライトの光が見えたはずだった。
また、この海域を管轄する第6管区海上保安本部のパイロットの間では、離島間に多くの送電線があることは広く知られていたという。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY201203300195.html
また同日付の朝日新聞夕刊(聞蔵)からは、上記とも違う内容の記事がネット配信されていた。
安全委は、事故の直前、近くに未調査の島があることに気付いた機長が急遽、飛行ルートを変更したとみられると指摘。
当初のルートに送電線がなかったため、変更後も送電線がないと思い込んでいた可能性が高いと結論づけた。
(ブログ者コメント)
朝日新聞夕刊の記事によれば、典型的なヒューマンエラーによる事故だったようだ。
しかし、これは単なる「思い込み」ではなく、認知心理学でいうところの「記憶検索の失敗」が原因だったのではないか?
そのように思ったブログ者は、そのメカニズムについて、以下のように考察した。
□脳の中には、変更前ルートの記憶エリアと変更後ルートの記憶エリアが形成されていた。
□変更前ルートの記憶エリアには、事前に飛行ルートを検討した際に、このルートに送電線はないという情報が収納されていた。
□一方、変更後ルートの記憶エリアには、十分に飛行ルートを検討することなく急に変更したため、送電線に関する情報は収納されていなかった。
□そして、変更後の飛行ルートを飛ぶ際、変更後ルートの記憶エリアから情報を検索したのだが、そこには当然、送電線に関する危険情報は含まれていなかったので、危険がない、イコール安全と判断してしまった。
□あるいは、「飛行ルート」、「送電線」というキーワードで検索した結果、飛行前ルートの記憶エリアにたどりつき、そこから「このルートに送電線はない」という情報を引き出してしまった。
事前に練り上げられた計画を、状況が変わったなどの理由で、当初ほどには検討することなく変更して事故に至る。これは、過去にも数多くみられたパターンだ。
事前に計画を練る時は、時間もあり、資料も確認でき、多くの人の意見も反映できる。そうやって出来上がった計画を、安易に変更することは事故のもとだ。
この事例は、ヒューマンエラーに対する警鐘であるとともに、変更管理の重要さをも教えてくれている。
2011年5月10日20時57分に読売新聞から、11日2時5分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日正午ごろ、福岡空港で、日本エアコミューター3626便(乗員乗客計79人)が管制官の許可を受けて着陸しようとしたところ、全日空487便(乗員乗客計129人)が離陸許可を受けて滑走路に進入するトラブルがあった。
離陸機に気づいたエアコミューター機が着陸をやり直し、乗客らにもけがはなかったが、国交省は、事故につながる恐れのある「重大インシデント」と判断。事故調査官3人を同空港に派遣した。
国交省によると、両便に離陸、着陸許可を出したのは、40歳代の男性管制官。エアコミューター機に着陸許可を出した約1分後、同機が到着していないのに、全日空機に離陸を許可したという。
離陸機に気づいたエアコミューター機が着陸をやり直し、乗客らにもけがはなかったが、国交省は、事故につながる恐れのある「重大インシデント」と判断。事故調査官3人を同空港に派遣した。
国交省によると、両便に離陸、着陸許可を出したのは、40歳代の男性管制官。エアコミューター機に着陸許可を出した約1分後、同機が到着していないのに、全日空機に離陸を許可したという。
全日空機に離陸許可が出されるのをエアコミューター機のパイロットが無線で聞き、「(自分は)着陸許可を受けてますね」と確認したところ、管制官は、全日空機がすでに滑走路に入っていたため、着陸のやり直しを意味する「ゴー・アラウンド」を指示した。
全日空機が滑走路に入った時点で、エアコミューター機は空港まで約5・6kmに迫っており、着陸までの時間は1分あまりだった。
福岡空港の滑走路は1本で、1人の管制官が離着陸を担当している。
全日空機が滑走路に入った時点で、エアコミューター機は空港まで約5・6kmに迫っており、着陸までの時間は1分あまりだった。
福岡空港の滑走路は1本で、1人の管制官が離着陸を担当している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110510-OYT1T00960.htm
http://www.asahi.com/national/update/0511/TKY201105100587.html
http://www.asahi.com/national/update/0511/TKY201105100587.html
管制官のミスをパイロットが無線を傍受していてカバーした。もしパイロットが無線に気が付かなくても、副操縦士が気が付いていてカバーしたことだろう。もし両名とも無線に気が付かなくても、もっと空港に近づけば、滑走路にいる全日空機を目視し、そこで対応できただろう。
このように、事故に至る前には、さまざまな歯止めとなる場面がある。今回は、その一番最初の歯止めが効いて、事故を防止できた。
逆に考えれば、それらの歯止めを効かなくする要因が重なった時に事故は起きるのだ。今回、たとえば福岡空港に滑走路が1本しかないことにパイロットが気付かず、離陸は別の滑走路で行われると思いこみ、かつ、副操縦士はパイロットに全ておまかせ意識になっていて、しかも空港が視界不良状態だったら、衝突事故が起きていたかもしれない。
まこと、事故とヒヤリは紙一重、偶然に左右されることも、多々あるのだ。
このように、事故に至る前には、さまざまな歯止めとなる場面がある。今回は、その一番最初の歯止めが効いて、事故を防止できた。
逆に考えれば、それらの歯止めを効かなくする要因が重なった時に事故は起きるのだ。今回、たとえば福岡空港に滑走路が1本しかないことにパイロットが気付かず、離陸は別の滑走路で行われると思いこみ、かつ、副操縦士はパイロットに全ておまかせ意識になっていて、しかも空港が視界不良状態だったら、衝突事故が起きていたかもしれない。
まこと、事故とヒヤリは紙一重、偶然に左右されることも、多々あるのだ。
(2012年5月1日 修正1)
2012年4月27日10時2分に共同通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は27日、管制官が別の業務に気を奪われていたため、JAC機に着陸許可を出したことを忘れ、約1分後に全日空機にも離陸許可を出したのが原因とする調査報告を発表した。
報告によると、男性管制官は、雨のためJAC機の姿が見えず、レーダー画面上でも見逃した。
当時、別の便で機体に鳥が衝突したため滑走路を点検することになり、管制官は「点検のタイミングが気になっていた」と述べた。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012042701001321.html
(ブログ者コメント)2012年4月27日10時2分に共同通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は27日、管制官が別の業務に気を奪われていたため、JAC機に着陸許可を出したことを忘れ、約1分後に全日空機にも離陸許可を出したのが原因とする調査報告を発表した。
報告によると、男性管制官は、雨のためJAC機の姿が見えず、レーダー画面上でも見逃した。
当時、別の便で機体に鳥が衝突したため滑走路を点検することになり、管制官は「点検のタイミングが気になっていた」と述べた。
出典URL
http://www.47news.jp/CN/201204/CN2012042701001321.html
報告書本文では、以下のような表現になっている。
[事故原因 24/38 ページ]
□滑走路点検のため航務車両が出動しており、タワーは、滑走路点検をどのようなタイミングで行うか気になっていたとしている。
このことから、A機に対して着陸許可を発出した後、タワーは、滑走路点検のタイミング、方法及び関連する航空機の動向に気をとられ、A機の存在を失念した可能性が考えられる。
□タワーは、到着機の処理が一段落して少し時間が空き、早い時期にA機に着陸許可を発出してしばらく時間が経過したため注意力が低下した可能性があり、そのとき、B機からの呼び出しがあったことから、A機の存在を失念し、離陸許可を発出してしまったものと考えられる。
[対策 26/38 ページ]
個人の能力や集中力には限界があることから、管制官が日々の訓練やブリーフィングの段階から、基本
動作の励行を重視するとともに、チーム行動による相互補完を念頭に人的ミスの防止に努める必要がある。
出典URL
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/pdf/AI12-3-1-JA844C-JA602A.pdf
2011年4月22日12時7分に、朝日新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
静岡市で2007年12月、民間ヘリコプターが墜落し、2人が死傷した事故で、運輸安全委員会は22日、「飛行中に部品が破断したことが原因」とする調査報告書を公表した。
報告書によると、事故の直接の原因は、後部回転翼を操作するラダーペダルと回転翼をつなぐコントロールロッドと呼ばれる金属製の棒が折れ、操縦がきかなくなったこと。
複数の操縦士が同機のペダル操作の違和感を訴え、事故の約2カ月前に整備会社が調査。
だが、製造元のマニュアルの手順に従わなかったため、一部の部品が腐食してさび付いていることに気付かなかった。
この結果、コントロールロッドに繰り返し強い力がかかって飛行中に破断、約20分後に墜落したという。
報告書によると、事故の直接の原因は、後部回転翼を操作するラダーペダルと回転翼をつなぐコントロールロッドと呼ばれる金属製の棒が折れ、操縦がきかなくなったこと。
複数の操縦士が同機のペダル操作の違和感を訴え、事故の約2カ月前に整備会社が調査。
だが、製造元のマニュアルの手順に従わなかったため、一部の部品が腐食してさび付いていることに気付かなかった。
この結果、コントロールロッドに繰り返し強い力がかかって飛行中に破断、約20分後に墜落したという。
(ブログ者コメント)
運輸安全委員会報告書の48ページにマニュアル関係の記述があるので、参考までに転載する。
この整備会社では、自社のマニュアルを作らず、製造元の英文マニュアルだけを使って整備していたのだろうか?英語に堪能な整備士ばかりとは限らないような気もするのだが・・・。
本事故においては、次のように必ずしも航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルに従った整備作業が実施されていなかった。
テール・ローター・コントロール系統の故障探求が航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルの故障探求手順に従って実施されなかったため、ボール・ピボットの点検が実施されず、その固着が発見されなかった。また、テール・ローター・コントロール・ロッドとヨー・アクチュエーターとの締結部が左ねじであることが航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルに記載されているが、締め付けるつもりで反対の緩める方向に回された可能性が考えられる。
本事故以外にも航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルの不遵守が関与した航空事故が発生していることから、国土交通省航空局は、回転翼航空機、小型飛行機等を整備する者に対し、航空機製造者のマニュアル等の内容を十分に把握するよう指導を再徹底するべきである。
テール・ローター・コントロール系統の故障探求が航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルの故障探求手順に従って実施されなかったため、ボール・ピボットの点検が実施されず、その固着が発見されなかった。また、テール・ローター・コントロール・ロッドとヨー・アクチュエーターとの締結部が左ねじであることが航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルに記載されているが、締め付けるつもりで反対の緩める方向に回された可能性が考えられる。
本事故以外にも航空機製造者の英文メンテナンス・マニュアルの不遵守が関与した航空事故が発生していることから、国土交通省航空局は、回転翼航空機、小型飛行機等を整備する者に対し、航空機製造者のマニュアル等の内容を十分に把握するよう指導を再徹底するべきである。
(2011年11月13日 修正1 ;追記)
2011年11月9日付の毎日新聞静岡版と読売新聞から、また9日2時19分にmsn産経ニュース静岡から、同日7時9分に静岡新聞から、事故に至る詳しい経緯などが下記趣旨でネット配信されていた。
県警は8日、整備担当者のほか、同社の整備責任者だった当時の整備部副部長(60)を業務上過失致死傷容疑で、事故機の機長(当時57歳)を被疑者死亡のまま、業務上過失傷害容疑で書類送検した。
これまでの捜査結果、墜落原因は、機体のバランスをとる後部回転翼と操縦席を結ぶ「コントロール・ロッド」と呼ばれるシャフトが破断したことで、シャフトを支える部品に腐食があったことなどが破断につながったとみられている。
事故機については、07年夏から、複数の操縦士が機体の向きを変えるペダルを踏んだ際に「ガリガリと異音がする」「ガタガタ感がある」と不具合を申し出ていたが、整備士と副部長は不具合箇所についての修理経験がなく、「定期検査の際に交換すれば」として、一部を解体して中を見るなどマニュアル通りの点検をせずに、修理を先送りしたという。
警察は、この時、マニュアル通りに点検していれば、内部にある異常は発見できたとしている。
機長については、非常時の操縦法を定めた「飛行規程」に従い、「オートローテーション」(エンジンを停止して緩やかに下降する)の操作をしていれば、墜落しなかったと判断した。
機は12月9日、定期検査のため大阪に向かう途中、静岡で墜落した。
出典URL■■■
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(2011年12月1日 修正2 ;追記)
2011年11月9日付の静岡新聞紙面に、整備士などが業務上過失致死に問われた理由に関する、下記趣旨の解説記事が掲載されていた。
警察は、事故原因が整備士や機長のプロとしての責任や義務の欠如にあると断定した。
業務上過失致死容疑の構成要件は、事故の「予見可能性」と「結果回避義務」の有無。
警察は、整備士らにはこれらが認められ、過失責任が問えると判断した。
警察は、整備士と整備部副部長に「機体を完璧に整備して飛行させる責任がある」との前提で捜査を進めた。
「予見可能性」については、「適切な整備をしなければ機体が墜落する可能性があったにもかかわらず、それを承知で飛行させた。そのまま飛行すればテールローターに問題が起き、墜落することは予見できた」との判断を示した。
「結果回避義務」については、機長がテールローター故障時の最善の操縦とされるオートローテーションを行えば、機体はゆるやかに着陸し、同乗の女性整備士がけがをしなかった可能性があると指摘した。
オートローテーションは、プロの操縦士なら誰でも身につけている技術という。
警察は、機長が死亡したため、女性整備士にけがを負わせた過失のみで立件した。
(2011年2月5日 旧ブログ掲載記事)
2011年2月4日21時26分にmsn産経ニュースから、同日18時31分に時事通信から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
陸上自衛隊八尾駐屯地内で、昨年10月、多用途ヘリコプター「UH1」が墜落、乗員4人が重軽傷を負った事故で、陸自の航空事故調査委員会は、4日、副操縦士(29)の誤操作が原因との調査結果を発表した。
発表によると、UH1には旧型と改良型の2タイプあり、操縦桿の動きを回転翼に伝える油圧系統のスイッチ操作が異なっている。事故機は旧型で、ホバリング中にスイッチを切ると操縦に障害が発生する構造になっていた。
そのような状況下、空中で停止するホバリング中に副操縦士が誤って当該スイッチを切ったため、機体が不安定になった。そこで副操縦士が機体の姿勢を修正しようとスイッチを再び入れ直したところ、操縦桿に過剰な力が加わり、回転翼が反り返り尾翼を切断、墜落した、としている。
発表によると、UH1には旧型と改良型の2タイプあり、操縦桿の動きを回転翼に伝える油圧系統のスイッチ操作が異なっている。事故機は旧型で、ホバリング中にスイッチを切ると操縦に障害が発生する構造になっていた。
そのような状況下、空中で停止するホバリング中に副操縦士が誤って当該スイッチを切ったため、機体が不安定になった。そこで副操縦士が機体の姿勢を修正しようとスイッチを再び入れ直したところ、操縦桿に過剰な力が加わり、回転翼が反り返り尾翼を切断、墜落した、としている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110204/dst11020421260017-n1.htm
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201102040097.html
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201102040097.html
(ブログ者コメント)
□記事を保管し忘れたが、たしか、同じ駐屯地内に旧型と改良型の2種類のヘリが混在しているとの報道があったと記憶している。ヘリを一斉に機種変更できないのは当然のこと。パイロットに乗る機種を限定させることも無理だろう。
そのような状態であれば、よほど注意していても、その注意をすり抜けてトラブルが発生する可能性がある。ヒューマンエラーとは、そういうものだ。
そのような状態であれば、よほど注意していても、その注意をすり抜けてトラブルが発生する可能性がある。ヒューマンエラーとは、そういうものだ。
□過去に同種のヒヤリはなかったのだろうか?あったなら、それを元に危険予知しておけば、操作間違いした場合の重大性が摘出できていたかもしれない。
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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。