2017年5月15日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
発見が難しい晴天時の乱気流による航空機事故を防ぐため、機体前方からレーザー光を放ち、進路に存在する乱気流を事前に検知する基本技術を宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した。
小型機に搭載した試験で約17.5km先の乱気流の検知に成功し、早期の実用化を目指す。
JAXAなどによると、日本周辺で1990~2012年に乗客乗員が重傷を負った大型航空機の事故の約4割に当たる35件は乱気流が原因で、多くは晴天時とみられる。
既存の航空機搭載のレーダーでは、雨雲を伴う乱気流は発見できるが、晴天乱気流はほとんど見つけられなかった。
開発した装置は重さ約150kg。
航空機前部に設置し、進行方向にレーザー光を照射。
大気中の細かい水滴やちりからの散乱光を受信し、気流に応じた波長の変化から、乱気流の有無や位置を割り出す仕組みだ。
昨年12月から今年2月、小型ジェット機に搭載し、日本近海の高度600~1万2000mで試験した。
計19回飛行した平均で、約17.5km先の乱気流を検知できると結論付けた。
大型機でも接近まで70秒の余裕が生じ、シートベルト着用サインの点灯や客室サービスの中断、進路変更が可能になる。
出典
『JAXA 晴天時、乱気流を検知 レーザー光利用、事前回避』
https://mainichi.jp/articles/20170515/ddm/041/040/104000
(ブログ者コメント)
JAXAのHPに詳しい記事が掲載されていた。
以下は、その冒頭説明文の抜粋。
『乱気流事故防止機体技術の実証(SafeAvio)』
SafeAvioプロジェクトは、2017年1月14日から2月10日までの期間、乱気流事故防止システムを実験用小型ジェット機に搭載し、晴天乱気流検知性能を確認する飛行実証試験を行いました。
・・・・・
「乱気流事故防止機体技術の実証(SafeAvio)」では、これまで検知が不可能だった晴天乱気流を検知できる、航空機搭載用のドップラーライダーを開発し、パイロットへ乱気流情報を提供する「乱気流事故防止システム」を飛行実証します。
・・・・・・・
http://www.aero.jaxa.jp/research/star/safeavio/
2015年6月10日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4943/
(2017年5月6日 修正1 ;追記)
2017年4月27日10時21分に朝日新聞から、調査報告書が公表されたという、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
沖縄県の那覇空港で、2015年6月、航空自衛隊のヘリコプターと民間機2機が交錯したトラブルで、国の運輸安全委員会は、27日、調査報告書を公表した。
ヘリの操縦士が管制官の指示内容を誤認したことや、管制官から民間機への着陸やり直しの指示が遅れたことなどがトラブルにつながったと指摘した。
トラブルは15年6月3日午後に発生。
ヘリが滑走路を横切り、それに気づいた離陸滑走中の全日空が急ブレーキをかけた。
その滑走路に日本トランスオーシャン航空(JTA)機が着陸し、全日空の後方約570mで止まった。
報告書によると、管制官が全日空に出した離陸許可を、ヘリ操縦士は自機への許可だと誤認。
管制官からの無線の一部が不明瞭で正確には聞き取れていなかったのに、内容確認をせず、周辺状況の目視も不十分だった。
ヘリは許可に応じる復唱をしたが、全日空機の復唱と無線が重なり、管制官にはヘリ側の声が聞こえず、誤認に気づけなかった。
全日空機が急ブレーキをかけたのは、離陸を中止できる規定速度ぎりぎりだった。
それから管制官がJTA機に着陸のやり直しを指示したが、同機はすでに着地、減速するためエンジンを逆噴射していた。
報告書は、「指示が時機を逸した」と指摘した。
再発防止のため、航空自衛隊では、機長と副操縦士が管制官との通信内容を互いに確かめることを確認。
国交省航空局は、管制官が「待機」を指示する際に、関連機の情報提供を徹底するよう通達を出した。
出典
『「操縦士が管制指示誤認」 15年の那覇空港トラブル』
http://www.asahi.com/articles/ASK4V059VK4TUTIL082.html
4月27日16時30分に毎日新聞からも、同趣旨だが、やや詳しい記事がネット配信されていた。
那覇空港で、2015年6月、航空自衛隊のヘリが前を横切ったために滑走中の全日空機が離陸を中止したところ、その後方から日本トランスオーシャン航空(JTA)機が着陸した二重トラブルで、国の運輸安全委員会は、27日、調査報告書を公表した。
空自ヘリの機長が、管制官が全日空機へ出した離陸許可を自機への許可と取り違えたことなどが原因と指摘。
管制官への確認の徹底が必要と結論付けた。
このトラブルで、全日空機と後方のJTA機は、滑走路上で約570mまで接近。
大惨事につながりかねない状況だった。
運輸安全委によると、空自ヘリの機長(31)は、管制官から「スタンバイ(こちらが呼ぶまで待ってください)」と指示されたのを、「スタンバイデパーチャー(出発に備えるように)」と勘違いしたと分析。
管制官が「迅速な離陸」を伝えたのは全日空機に対してだったが、ヘリの機長がはっきりと聞き取れず、副操縦士(31)が復唱したため、自機への離陸許可と取り違えた可能性が高いとした。
目視でも全日空機に気付くのが遅れ、「交信を一部でも聞き取れなかった場合は、確認を求める基本的な対応が必要」と指摘した。
さらに報告書は、無線交信の聞き取りにくさにも言及。
無線で全日空機とヘリの復唱が重なり、出力の小さいヘリからの音声が小さかったため、管制官が機長の間違いに気付けなかった可能性があるとした。
国土交通省には、そういった無線の特性を周知するよう求めている。
一方、JTA機の機長(49)は、滑走路上に全日空機がいるのを確認していたが、管制官からの許可を受け、いったん着陸態勢に。
その後、着陸のやり直しを指示された時には接地の直前で、指示を認識した時にはエンジンを逆噴射しており、やり直しをしなかった。
報告書は、「(JTA機は)安全のため、臨機の措置をとったと考えられる」と結論づけたが、管制官に対しては、「全日空機が離陸滑走の開始が遅いと感じた時点で、JTA機に着陸やり直しの指示などをすべきだった」と、判断の遅れを指摘した。
このトラブルを受け空自は、機長と副操縦士の間で、管制官からの指示に認識の食い違いがある場合は、管制官に再確認することなどを徹底。
国交省は、ヘリに滑走路を横断する管制指示や許可を出さない運用を始めた。
【ことば】那覇空港の二重トラブル
2015年6月3日午後1時24分ごろ、新千歳行きの全日空機(乗客乗員83人)が滑走路(3000m)を離陸する直前、沖縄県・久米島経由で宮古島へ向かう7人が乗った航空自衛隊のヘリに気付き、離陸を中止。
ヘリは滑走路を横切った。
全日空機から離陸中止の報告を受け、管制官は着陸許可を出していた新石垣発のJTA機(乗客乗員44人)に着陸のやり直しを指示したが、そのまま全日空機がとどまる滑走路に着陸。
けが人はいなかった。
出典
『那覇空港トラブル 空自ヘリの勘違い指摘 安全委報告書』
http://mainichi.jp/articles/20170427/k00/00e/040/167000c
2017年3月21日12時54分にNHK山形から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東根市の山形空港で20日午後2時半ごろ、滑走路の近くの草地から火が出て8750m2が燃え、消火活動などのため、およそ50分、滑走路が閉鎖された。
山形空港事務所は、火が出た原因について調査を進めた結果、煙が出る直前に、空港の職員がカラスなどの鳥を追い払うため、ロケット花火2発に火をつけて飛ばしていたことを明らかにした。
ロケット花火は市販のもので、鳥が航空機に衝突するのを未然に防ぐため、日常的に行っている対策だという。
ロケット花火が落下した地点と火元となった地点が近いことから、警察は、火災の原因はロケット花火の火が消えず燃え広がったものとみている。
出火当時、山形空港がある東根市には乾燥注意報が出されていた。
出典
『火災の原因 鳥追い払う花火か』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/6024871851.html
2017年3月4日15時6分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大雪のたびに航空機の欠航に伴う混乱が生じる新千歳空港(千歳市)について、国土交通省と国内外の航空30社は、欠航便の解消に向け、空港ビルから離れた場所にある駐機場の有効活用を柱とする空港利用のルールを策定し、3日から運用を始めた。
従来、便利なビル直結の駐機場に到着便が殺到し、順番待ちの列が離着陸を妨げていた。
今後は、国交省新千歳空港事務所が交通整理に乗り出し、ビルから遠い駐機場へ半強制的に誘導する。
同空港は、ビル直結の「固定スポット」と呼ばれる駐機場が、国際線に5つ、国内線に18ある。
同省は、大雪などの際、国際便を中心に着陸機が数の少ない固定スポットに集中し、順番待ちの列が滑走路を塞いで離着陸できなくなったことが、欠航が増えた主因と分析。
改善方法を協議してきた。
(ここまで332文字 / 残り295文字は有料)
出典
『悪天候時の欠航解消、遠い駐機場に誘導…新千歳』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170304-OYT1T50043.html?from=ycont_top_txt
2017年1月31日23時21分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1月31日18時56分に名古屋テレビから、2月1日0字33分に中日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
31日午前9時20分ごろ、岐阜県上空を試験飛行していたヘリコプターから窓1枚が落下したと、ヘリの点検を担っていた中日本航空から110番通報があった。
警察によると、けが人はおらず、建物への被害もなかった。
警察と中日本航空の職員計約60人で探したが、見つかっていないという。
警察や中日本航空の説明では、落下したのは機体前方左側にある台形の窓で、高さ73cm、横30~60cm、厚さ4mm、重さ約2kgのアクリル製。
岐阜県内の揖斐川上空約500mを飛行中に窓が落ちたことに、パイロットが気付いたという。
パイロットは、「音がしたので見たら窓がなかった」と話している。
当時、南東の10mの風が吹いていたという。
イタリア・レオナルド社製のヘリは2011年に製造され、大阪府警が所有している。
昨年9月から、年に1度の定期点検を中日本航空が依頼されていた。
この日は約1時間半の試験飛行のため、定員15人のヘリにパイロットと検査員、整備士の3人が乗り込み、午前8時45分ごろ、愛知県豊山町の県営名古屋空港を離陸した。
岐阜県瑞穂市の揖斐川上空で折り返す計画だった。
操縦士は住宅街を避け、川や田んぼなどの上空を飛んでいたという。
中日本航空の広報担当者は、「誠に申し訳ありません。再発防止と原因究明を進め、より一層の安全運航に努めたい」と話した。
出典
『大阪府警のヘリの窓落ちる 重さ2キロ、被害なし 岐阜』
http://www.asahi.com/articles/ASK106JVGK10OIPE030.html
『岐阜・瑞穂市上空を飛行中のヘリコプターから窓が落下』
http://www.nagoyatv.com/news/?id=155747&p=1
『岐阜・揖斐川上空、ヘリの窓が落下 中日本航空』
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017020190003356.html
2017年1月28日13時1分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
航空機が空港で離着陸時にオーバーランするなどした際、大事故となるのを防ぐために設定された滑走路端安全区域(RESA)が、全国の97空港のうち73空港で「長さ90m以上」とする基準を満たしていないことが、27日、国交省への取材で分かった。
北海道・新千歳空港で19日にオーバーランした全日空機はRESAで停止、機体の大きな損傷やけが人はなかった。
同空港のRESAは192mと基準を満たしており、被害軽減に効果があることを示した。
国交省は対策を話し合う検討会を発足させており、3月までに整備促進策をまとめる。
用地拡張ができない場合は、滑走路の短縮や、航空機を強制的に減速させるシステムの導入を検討する。
RESAは、滑走路両端の過走帯の、さらに先にある。
全ての滑走路に90m以上を設けるとする国のガイドラインが、平成25年に制定された。
しかし、昨年末時点で基準を達成していないのは、全国73空港の計75滑走路。
羽田A滑走路のように先に海があったり、広島や高松のように山岳丘陵地帯にあったりして、設置スペースが確保できない空港も多いという。
出典
『滑走路オーバーラン防止区域、73空港で基準未満 設置スペース確保できない
ケースも多数』
http://www.sankei.com/affairs/news/170128/afr1701280014-n1.html
2017年1月25日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
(2017年2月4日 修正1 ;追記)
2017年1月28日12時27分にNHK札幌から、滑走路を早く出ようと急いでいてブレーキが遅れた?など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 (新情報に基づき、第1報ともども、タイトルも修正した)
国の運輸安全委員会の調査官は、「オーバーラン」にあたるという認識を示した。
この全日空機は、着陸後、滑走路の先端で曲がって誘導路に入るよう指示されていたが、機体が先端に至ったときに、通常よりもかなり速い時速40kmほどのスピードが出ていたと見られることが、航空関係者への取材でわかった。
当時、新千歳空港では、雪のため2本ある滑走路のうち1本が閉鎖され、残りの1本に発着機が集中していた。
機長はトラブル後の聞き取りに対し、「後続機が続いていたため、着陸後、なるべく早く滑走路を出ようとしていた」などと話していたという。
機体の制動装置に異常はなかったということで、国の運輸安全委員会は、ブレーキ操作に遅れがなかったかどうかなど、関係者への聞き取りや機体のデータの分析などを進めて、原因を詳しく調べている。
出典
『滑走路先端で時速約40キロ』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20170128/3435901.html
1月27日17時46分に北海道新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
パイロットが、会社側の聞き取り調査に対し「誘導路へ早く出るため急いでいた」との説明をしていることが27日、関係者への取材で分かった。
オーバーラン直前、パイロットはブレーキをいっぱいまでかけていたことも判明。
車輪がロックしたとみられる。
当時は着陸地点の反対側の滑走路端にある誘導路しか使えず、着陸後にいったん減速した後、2000m近くを地上走行する必要があった。
急いで走行した上、誘導路付近の路面が凍結していたため減速が足りず、オーバーランした可能性がある。
出典
『新千歳オーバーラン 走行急ぎ減速不足か 路面凍結も影響』
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0362287.html
2016年9月29日10時0分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年6月、兵庫県三木市のレジャー施設で自家用の小型ヘリコプターが墜落し、乗員2人が重軽傷を負った事故で、運輸安全委員会は29日、男性機長=当時(73)、大阪府四條畷市=が、操縦資格がない同乗者の男性=当時(50)、伊丹市=に操縦体験をさせる不適切な操作があったことが原因とする調査報告書をまとめた。
事故は昨年6月7日午後1時35分ごろに発生。
機長は、グリーンピア三木(三木市細川町、昨年12月閉鎖)内の野球場に小型ヘリコプター「シュワイザー269C」を無許可で離着陸させ、友人を交代で乗せて遊覧飛行していた。
3人目の男性を乗せてホバリング中、バランスを崩して2~3mの高さから墜落。
男性は肩の骨を折る重傷、機長は軽傷を負った。
報告書によると、機長は、男性に操縦かんを持つよう促し、手を離した。
その後、驚いた男性も添えていた手を離したため、「瞬間的に誰も操縦していない状態」となった可能性が高いとしている。
ヘリは機首が下がり、高度も低下。
機長が立て直そうとしたが、出力を上げずに操縦かんを強く引いたため、機首が上がり、テールローター(後部回転翼)が地面に接触し、横転した。
また、男性機長は、ヘリを入手した2014年末までの約10年間、飛行経験がなかったのに、操縦者に義務づけられている「特定操縦技能審査」を受けていなかった。
出典
『三木のヘリ墜落「機長が乗員に操縦体験」 安全委』
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201609/0009535348.shtml
2017年1月20日6時35分にYAHOOニュース(関西テレビ)から、機長が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おととし6月、三木市のグリーンピア三木の野球場に小型ヘリコプターが墜落し、乗っていた51歳の男性が左肩を骨折するなどの大けがをした。
その後の調べで74歳の男性機長は、機体を地上から2~3m上空でホバリングさせていた時に、安全確保を怠っていたことがわかった。
そのため前方が傾き、慌てて操縦桿を引いたことが原因でバランスを崩し、墜落したという。
機長は、「レバーを引きすぎた」などと話している。
また機長は、2年ごとに審査が必要な特定操縦技能審査を受けていなかったこともわかり、兵庫県警は、業務上過失傷害と航空法違反などの疑いで機長を書類送検した。
出典
『兵庫県三木市のヘリ墜落 機長を書類送検』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170120-00000000-kantelev-l28
2017年1月20日0時32分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道の新千歳空港で、19日正午ごろ、秋田発新千歳行きの全日空1831便(ボンバルディアDHC8―Q400型)が着陸後に滑走路をはみ出したトラブルで、国交省は、深刻な事故につながりかねない重大インシデントと認定した。
全日空機は積雪の中で止まり、乗客乗員25人にけがはなかった。
国の運輸安全委員会は、航空事故調査官を現場へ派遣した。
国交省によると、全日空機は、2つあるうちのB滑走路に着陸後、滑走路の端を通りすぎて、雪の積もった草地で止まった。
減速できずにオーバーランしたか、スリップなどで左側の誘導路へ曲がりきれず、滑走路を外れた可能性がある。
ただ、止まった機体の機首は反対の右斜めを向いた状態だった。
車輪や機体に目立った損傷はなかった。
全日空の男性機長(52)は停止後、機内放送で「滑走路が凍結状態でブレーキがきかず、滑走路の末端をすぎたところで止まった」と説明したという。
だが、新千歳空港事務所がトラブル直後に滑走路の滑りやすさを調べたところ、6段階の基準で良い方から1~2番目で「着陸に支障はないレベル」だったといい、運輸安全委の航空事故調査官が詳細を調べている。
乗客は停止場所で機体から降り、バスで空港ターミナルに移動。
B滑走路はトラブルの直後から約6時間にわたり閉鎖され、影響で国内線44便が欠航した。
乗客の50代男性によると、滑走路を走行中、急ブレーキがかかったようなガタガタという衝撃があったが、「乗客は落ち着いていた」という。
全日空千歳空港支店の伊藤支店長は、「申し訳ないという気持ち。今後はパイロットへのヒアリングやデータ解析をして、原因を調べていく」と語った。
出典
『滑走路状況「着陸支障なし」 全日空機トラブルで空港側』
http://www.asahi.com/articles/ASK1M4WMHK1MUTIL01C.html
1月20日6時59分に北海道新聞からは、下記趣旨の続報的記事がネット配信されていた。
新千歳空港に着陸した全日空機が滑走路の端から外れた。
新千歳空港では、1カ月半前にも日航機が誘導路でスリップし、前輪が草地に逸脱したばかり。
冬場の航空機が着陸してから誘導路に着くまでに抱えるリスクとは―。
考えられる可能性を、元パイロットや航空専門家に聞いた。
「パイロットにとって、一番怖い気温だ」。
元日航機長で、航空評論家の小林宏之さん(70)は、発生時の気象条件に注目する。
新千歳航空測候所によると、19日正午の同空港の気温は氷点下2.5℃だった。
「凍結した路面に日光が当たり、中途半端に解けて滑りやすくなる」と説明する。
国交省新千歳空港事務所は、逸脱から約3時間前の午前8時50分ごろに滑走路の路面状態を調査している。
専用の測定車を走らせて滑走路や誘導路の滑りやすさなどを調べ、パイロットらに伝える。
当時は滑りやすさを示す6段階の指標で、1番か2番目の良好な状態だった。
全日空機が着陸した際、同空港では除雪作業のため、2本ある滑走路のうち1本を閉鎖し、東側のB滑走路だけで離着陸を行っていた。
小林さんは、「多くの航空機が短時間に発着したことで、路面が磨かれた可能性がある」と推測する。
加えて航空評論家の中村浩美さん(70)=札幌市出身=は、「冬の路面状況は急激に変わりやすい」と指摘する。
昨年12月7日に日航機の前輪が誘導路から逸脱した際、約4時間半前の調査で3番目の滑りやすさだった路面が、逸脱約1時間後には最も滑りやすい状態に変わっていた。
出典
『新千歳滑走路逸脱 変わりやすい路面/減速不十分の可能性も』
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0359648.html
(ブログ者コメント)
報じられている昨年12月7日の同種トラブルは下記参照。
2016年12月14日掲載
2016年12月7日 新千歳空港に着陸した日航機が4時間半前の情報に基づき駐機場に向かう途中、タイヤが滑り、誘導路を外れて走行不能、滑りやすさは4時間半の間に2段階アップしていた
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6569/
2016年12月15日10時37分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年8月、沖縄県粟国村の粟国空港で、第一航空の小型機、DHC6型機が着陸した際、滑走路を右に大きくそれてフェンスにぶつかり、乗客11人が軽いけがをした事故について、国の運輸安全委員会は、15日、報告書をまとめた。
それによると、当時は副操縦士が、機長に昇格する訓練のため操縦を任されていたが、離陸後の前輪を固定する操作が不十分で、飛行中に前輪の向きが右側に偏ったと見られている。
副操縦士は、これに気付かないまま着陸したうえ、着陸の直後に航空機が右にそれ始めた際にブレーキを踏むなどの対応が遅れたことが原因になったと見られると結論づけている。
報告書では、副操縦士の小型機の運航に対する知識不足を挙げるとともに、指導する立場にあった機長がすぐに操縦を代わるなどの対応をとらなかったことも、事故に影響した可能性があると指摘している。
このため運輸安全委員会は、第一航空に対して、定められた訓練が適切に実施できるよう、訓練体制の改善を勧告した。
出典
『沖縄 粟国空港の事故 前輪の向きに気付かず着陸が原因』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161215/k10010807551000.html
12月15日13時11分に日テレNEWS24からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は、着陸の際、前輪が右に向いた状態だったのを副操縦士が確認せず着陸の操作をしたことが事故原因とした。
この副操縦士は、座学を修了していない状態で会社に資格を与えられ、知識不足のまま操縦していた。
当時、この機体は路線に就航したばかりで、運輸安全委員会は、第一航空が、訓練よりも予定通り就航させることを優先したとして、訓練体制の改善を勧告した。
出典
『粟国空港着陸事故「副操縦士の知識不足」』
http://www.news24.jp/articles/2016/12/15/07349151.html
12月15日15時56分に読売新聞も、同趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書は、前輪が正面を向いているかどうかを副操縦士が着陸前に確認せず、機長も必要な指摘をしなかったため、前輪が右を向いたまま着陸したと分析。
副操縦士は知識不足で適切な減速操作などができず、機長の対応も不十分だったことから、衝突した可能性があるとした。
副操縦士は地上訓練の時間が足りず、機長の教官としての訓練も適切に行われていなかったことも、事故の一因になったと指摘した。
出典
『粟国空港事故、原因は前輪曲がったままでの着陸』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20161215-OYT1T50109.html
(ブログ者コメント)
運輸安全委員会の報告書は下記参照。
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail.php?id=2135
(2018年5月31日 修正1 ;追記)
2018年5月30日19時22分にNHK沖縄から、機長らが書類送検されたが不起訴になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は、当時、訓練のために操縦していた65歳の副操縦士と、その指導にあたっていた60歳の機長について、ことし2月、業務上過失傷害と航空危険行為処罰法違反の疑いで書類送検した。
2人について那覇地方検察庁は、「起訴できる十分な証拠が足りなかった」として、30日までに不起訴にした。
事故のあと、第一航空は那覇と粟国を結ぶ便の運休と再開を繰り返したが、国と県それに村の補助金が打ち切られ、先月から再び運休している。
第一航空は来月末に沖縄から撤退する方針で、那覇と粟国を結ぶ路線が再開するめどはたっていない。
出典
『粟国空港での事故 操縦士不起訴』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20180530/5090002935.html
2016年12月9日8時3分にNHK札幌から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7日午後8時すぎ、新千歳空港に到着した日本航空機が駐機場に向かう途中でタイヤが滑り、前の車輪が誘導路を外れて動けなくなるトラブルがあった。
国交省新千歳空港事務所では、滑走路や誘導路の滑りやすさを定期的に調べてパイロットに伝えているが、当時、伝えていた情報は4時間半前のもので、国交省が定める6段階のレベルのうち、3番目に滑りやすい状態というものだった。
しかし、トラブル後に調べたところ、6段階で最も滑りやすい状態だったことが、国交省への取材でわかった。
また、トラブルが起きた当時の気温は、最後に路面を計測した時から5℃以上下がって、氷点下10℃を下回っていたという。
国交省は、「定められた時間以外の計測は、雪が降ったり航空会社から要請されたりした時に行うが、当時はそういう状況ではなかった。路面状況が悪くなっていたことは事実で、今回のケースをよく分析したい」としている。
出典
『誘導路逸脱 最も滑り易い状態』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161209/5102061.html
2016年11月11日13時29分に時事ドットコムから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空は、11日、鹿児島発羽田行きの646便(ボーイング767-300型機)の女性客室乗務員(49)が、10日、離陸直後の上昇中に転倒し、骨盤を骨折したと発表した。
乗客らにけがはなかった。
国土交通省は航空事故に認定し、運輸安全委員会は航空事故調査官を派遣した。
同省などによると、646便は乗員乗客129人が搭乗し、10日午後1時15分ごろ離陸。
約10分後のシートベルト着用サインが点灯中、乗客の男性が抱いていた幼児を隣の席に移した。
乗務員が男性を注意するため立ち上がろうとした際に機体が揺れ、床に転倒したという。
出典
『日航客室乗務員が骨折=上昇中揺れで転倒-国交省』
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016111100462&g=soc
11月11日14時39分にNHK NEWS WEBからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、シートベルトの着用サインがついていたが、乗客の幼い子どもが安全に座れているか確認するため、この客室乗務員がシートベルトを外して身を乗り出した際、機体が揺れたという。
日本航空の規定では、着用サインがついていても、乗客の安全確保などの際には、客室乗務員は席を離れることができるという。
当時、鹿児島空港周辺は小雨が降り、気流の乱れにより機体が揺れることが予想されていたという。
出典
『日本航空機 上昇中に大きく揺れ客室乗務員大けが』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161111/k10010765271000.html
11月12日0時0分に日本経済新聞からは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空は、10日の鹿児島発羽田行き646便で、鹿児島空港を離陸直後の上昇中に機体が揺れ、女性客室乗務員(49)が腰の骨を折るけがをしたと、11日に発表した。
他の乗員・乗客にけがはなく、機体に異変も見られなかった。
日航によると当時、鹿児島上空は悪天候だったという。
運輸安全委員会は航空事故と認定し、調査官を羽田空港に派遣した。
同社によると、10日午後1時23分ごろ、シートベルト装着のサインが点灯している最中に父親のひざの上に座っていた幼児が立とうとしているのを客室乗務員が発見。
自席のベルトを外して身を乗り出そうとした際に機体が大きく揺れ、床に転んだという。
646便は、同日午後2時30分すぎに、当初予定時刻通りに羽田空港に到着。
乗務員はそのまま勤務を続けたが、腰に痛みを感じ、病院で診察を受け、骨折が判明した。
出典
『上昇中の日航機で揺れ 鹿児島空港離陸直後、客室乗務員けが』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11HA5_R11C16A1CC1000/
11月11日16時13分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
客席にいた幼児が席を移動しかけたため、客室乗務員は注意しようとシートベルトを外して身を乗り出していた。
出典
『日航 離陸上昇中に揺れ、乗務員骨折』
http://mainichi.jp/articles/20161111/k00/00e/040/302000c
2016年11月1日21時58分にNHK札幌から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年、道東の別海町で小型機が墜落し4人が重軽傷を負った事故で、警察は、離陸直後に機長が地図を取りだそうとした際、地図が主翼の一部を操作するレバーに誤って当たったため失速したことなどが原因だとして、1日、機長を務めていた75歳の男性を業務上過失傷害と航空法違反の疑いで書類送検した。
去年7月、別海町の場外離着陸場「別海フライトパーク」で、札幌市の男性が操縦する4人乗りの小型プロペラ機が離陸直後に墜落し、4人が重軽傷を負った。
国の運輸安全委員会は、ことし5月に公表した報告書で「離陸前の加速が不十分だったうえ、機長が航空地図を取り出した際、誤って主翼の一部を操作するレバーに地図が当たって揚力が失われ、墜落したとみられる」と指摘していた。
警察では、機長や同乗者から事情を聞いていた。
その結果、機長を務めていた75歳の男性が「同乗者に飛行方法を学んでもらうため地図を渡そうとして、誤ってレバーに当ててしまった」と容疑を認める供述をしているということで、警察は、1日、この男性を業務上過失傷害と航空法違反の疑いで書類送検した。
出典
『小型機墜落 機長を書類送検』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161101/4058321.html
2016年10月25日付で毎日新聞東京版夕刊から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月25日13時41分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡空港で先月、全日空機の実際の乗客数と搭乗手続きを終えた乗客数が異なっていた問題で、国交省は25日、同様の、飛行機が客を乗せて扉を閉めた後、機内にいる客の数が搭乗手続きを済ませた人数より多かったり少なかったりした事例が、2012年4月以降、国内航空会社で236件起きていたと発表した。
多くは出発前に対応していたが、福岡空港の全日空機を含め、定員超過の状態で滑走路へけん引された事例も5件あった。
同省は、チェックの徹底を指示した。
国交省は国内航空22社を対象に、12年4月から今年9月までに、乗客を乗せた航空機が扉を閉じた後、搭乗手続きを済ませた乗客数と異なる事例を調査。
座席を使用しない幼児を数え忘れたり、同じ席の搭乗券を2枚出したりした事例が多かった。
航空会社や係員のミスが原因という。
定員超過の状態で滑走路へけん引された5件は、いずれも機体が自走する前に乗務員らが気づき、引き返した。
出典
『搭乗者確認ミス 国内航空で236件 国交省発表』
http://mainichi.jp/articles/20161025/dde/041/040/043000c
『空港手続きと搭乗数が違うミス、236件 12年度以降』
http://www.asahi.com/articles/ASJBT3F1LJBTUTIL007.html
10月26日7時40分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は、25日、国内の航空会社22社で平成24年度以降、搭乗手続きを済ませた乗客と実際の搭乗人数が合わなかったケースが計236件あったと明らかにした。
いずれも航空会社や空港係員の端末操作ミスが原因で、立った人がいるまま離陸するなどの安全上の問題はなかった。
国交省によると、うち全日空の4件と日航の1件は、定員を1人オーバーした状態で駐機場を出たが、いずれも直後に判明して引き返した。
ほかの231件は、本来チケットが必要ない幼児に誤って発券したり、キャンセルしようとしたが結局搭乗した客をキャンセル扱いにしたりしていた。
飛行中にデータの食い違いに気づき、修正したケースもあった。
ミスは国内線、国際線とも起きていた。
9月30日に全日空の福岡発羽田行きが定員超過のまま出発するトラブルがあり、格安航空会社(LCC)が国内線に就航した後の期間について、国交省が調べていた。
国交省は25日、国内に就航する航空各社に、人数確認を徹底するよう指示。
現在は各社でまちまちな乗客の着席を確認する時期も、「機体が移動を始める前」と統一することを決めた。
出典
『国内航空22社で搭乗人数ズレ236件、定員オーバー5件 24年度以降』
http://www.sankei.com/affairs/news/161026/afr1610260012-n1.html
(ブログ者コメント)
福岡空港でのトラブルについては、下記記事参照。
2016年10月20日掲載
[昔の事例の分析] 2016年9月30日 福岡空港で全日空機が定員オーバー状態で滑走路に向け移動を開始したトラブル、識者の一人は道具の作り手と使い手の認識の差が原因と考えている
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6386/
2016年10月13日15時40分に読売新聞から、下記趣旨の寄稿文?がネット配信されていた。
長文につき、抜粋して紹介する。
乗客1人が立った状態のまま、全日空機が駐機場から滑走路へ向かって移動を開始――。
福岡空港で9月30日、定員超過のままで飛行機が始動するミスが発生した。
駐機場を出た直後に発覚し、飛行こそしなかったが、立ったままの搭乗客がいる状態で離陸する、前代未聞のミスにつながりかねない事態だった。
複数回のチェックが行われる飛行機の搭乗手続きで、なぜこうしたミスは防げなかったのか?
ヒューマン・エラーに詳しい中田亨氏が分析する。
〈全日空機で起きた定員超過の経緯〉
別々の席を予約していた父親と息子が、同じバーコードを使って搭乗手続きをしようとした。
父子は、別々のバーコードで搭乗手続きをする必要があったが、息子が誤って父親の席のバーコードをスマートフォンにダウンロード。
保安検査場と搭乗口のそれぞれで、同じ人物が2度通過したとされる「再通過」の警告メッセージが出たが、係員は何度も機器にタッチしたためと勘違い。
1枚の搭乗券で父子2人が乗り、もう1人分は搭乗手続きが行われていない状態となった。
父子2人の乗客が「1人搭乗、1人空席」とされたため、席が1つ余ったように認識された。
余った席はキャンセル待ちの人に提供されたが、実際には父子は2人とも搭乗しているため、当然、機内で席が足りなくなった。
飛行機で、乗っている客と名簿との勘定が合わなかったら大変だ。
ハイジャック犯が紛れ込んでいるかもしれないから、離陸を取りやめ、いったん全員を下ろすしかない。
とはいえ、飛行機の乗客管理というものは、四角四面にやっているだけではダメで、融通を利かさなければならない。
どうしても飛行機に乗らなければならない急用がある人のためには、航空会社が呼びかけて、正規の乗客が席を譲るという習慣もある。
ただし、これは出発間際で行うデータ変更であるから、管理を難しくするリスクである。
運航上の管理だけを考えるなら、出発直前の乗客変更は断った方がよい。
しかし、このリスクを引き受けねば、公共交通機関の名折れである。
世のため人のために、あえて便宜をはかり、難しい管理を引き受けているからこそ、たまにミスが起こるとも言えるのだ。
もちろん、ミスは迷惑なことだが、考えた上でリスクテイクしている。
その心意気は評価してあげたい。
今回の一件を見るに、「システムについての認識のズレ」という、典型的な事故の元凶がうかがえる。
乗客のバーコードを照合するチャンスは、保安検査場と搭乗口との2つの場面である。
そのどちらでも、システムは「このバーコードが通ったのは2回目だ」とか「座席が重複している」と、警告メッセージを出したという。
しかし、係員は「バーコードのかざし方が悪くてダブルカウントされただけで、本当は大丈夫」と勘違いして、父子2人を通してしまった。
こうしたミスを避けるには、システムが「このバーコードは20秒前にも見ました。その時の映像はこれです。2度かざしではありません」などと、時間間隔や場面の状況について教えられればよかったのである。
システム開発者は「ちょっとやそっとでは、バーコードをダブルカウントできないように作ってある」と思っているのかもしれない。
その性能が周知されていれば、システムもここまでくどくど言わなくてもいいだろう。
しかし、係員は「2度かざしのダブルカウントがありえる」と思っていた。
システムの性能について、認識のズレがあったのだ。
このズレこそが、今回ミスが起きた第1の要因と言える。
これは、我々の日常生活でもよくある話だ。
例えば、パソコンでファイルを「完全消去」すると、データは永久に消滅したと思って当たり前である。
しかし多くの場合、データは残っていて復元することが可能だ。
道具の作り手と使い手との間には、道具の認識についてのズレが必ずあり、そこから事故は起きる。
事態が勝手にスイスイと進むことは、多くの場合、ろくなコトにならない。
空席があればキャンセルと判断され、キャンセル待ちの人に割り当てる。この一連の流れは効率的で当たり前ように見えるが、実はかなりリスキーである。
大病院で各病室に薬を配る作業を考えよう。
全室に配り終わったはずなのに、かごの中に何か薬が残っていたとしたら、直ちに全館放送を入れねばならない。
勘定が合わないということは、薬を配り間違えている可能性がある。
つまり、投薬ミス寸前の状態である。
大空港の搭乗口は、あまり正確に仕事が進む場とは思えない。
大きな荷物を抱えた乗客が我先にと押しかける場所だ。
ある人はバーコードを印刷した紙で通過し、別の人はICカードをかざす。慣れない機械にとまどう高齢者もいれば、持ち込み禁止の手荷物を乗務員に預ける若者もいる。そして、ようやくゲートを通り抜けていく。
これは、実に不安定な作業なのだ。
こうした作業の結果、たとえ空席を発見したからといって、即座にキャンセル待ちに再利用という早手回しは危なっかしい。数え間違えをしている可能性は捨てきれない。
搭乗口の確認作業が整然と進めば、この問題のリスクはかなり解決される。
素早いゲート通過は、時間の節約となるから、航空会社としても切望しているところである。
設計工学の世界には、「一石二鳥は諸悪の根源」と考える学派がある。一つの部品に複数の役目を負わせると、事故はそこから始まることが多いのだ。
今回の場合、飛行機の座席が「一人二役」を背負わされている。飛行中に座るものとしての役目と、乗客を数えるための道具としての役目である。
今回は機内で席が足りなくなったから、おかしいぞと気がついたのである。つまり、座席を使って客数を数えたのだ。
乗客を数えるための役目は、搭乗口手前の待合室にある椅子に背負わせるべきだ。椅子が機内のレイアウトで並べてあり、乗客は自分の席に相当する椅子で待つというふうにする。
こうすれば、搭乗口が開く前から、どこの席が空席なのか見て取れる。ダブルブッキングもすぐ分かる。
空港の搭乗口の周りはそんなにスペースがないから、この案の実現は難しいかもしれない。
しかし、並ばずにスムーズに乗れ、すぐ飛び立つ飛行機は、乗客にとっても航空会社にとってもありがたく、多少の投資をしても引き合うのではないかと思う。
これは、ゲートを守る係員にも優れた作業環境を与えることにつながる。
現在のような乱雑な状況では、ヒューマン・エラーは起こって当たり前だ。「ヒューマン・エラーがこのトラブルの原因だ」と責めることすらナンセンスだと思う。
作業環境が悪ければ、いくら人間が頑張ったとしても限界がある。
出典
『なぜ全日空は定員オーバーで飛ぼうとしたのか? 産総研 知識情報研究チーム長 中田亨』
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20161013-OYT8T50049.html?page_no=1
2016年7月30日付で毎日新聞東京版夕刊から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7月28日15時28分と7月29日20時54分に読売新聞から、7月28日23時32分に共同通信から、7月29日22時16分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
『鹿児島の空自機墜落 山の標高誤認し衝突 雲で視界失う?』
http://mainichi.jp/articles/20160730/ddm/041/040/097000c
『空自機墜落6人死亡…地上接近警報を切る』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160728-OYT1T50091.html?from=ycont_top_txt
『空自機墜落12秒前に警報音、2秒後に止める』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160729-OYT1T50108.html?from=ycont_top_txt
『墜落直前、警報音切る 鹿児島、6人死亡の空自機』
http://this.kiji.is/131404043749852660?c=39546741839462401
『鹿児島・空自機 山の標高誤認し衝突 雲で視界遮られ?』
http://mainichi.jp/articles/20160730/k00/00m/040/041000c
鹿児島県の山中で4月6日午後2時半すぎ、航空自衛隊の飛行点検機「U125」が墜落し、乗員の隊員6人が死亡した事故で、空自は29日、調査結果を公表した。
機長が山の標高を誤って認識した上、地表に異常接近した際に鳴る対地接近警報装置(GPWS)が作動したのに衝突回避に向けた適切な操作をしていなかったことなどが原因だったと結論づけた。
調査結果によると、同機は、海上自衛隊鹿屋航空基地(同県鹿屋市)にある、方位や距離を周辺の航空機に知らせる無線施設から発信される電波の状況などを点検するため、基地から約11kmを反時計回りに円を描いて飛行していた。
その飛行経路には標高約1090mの山あいがあったが、機長は飛行計画で同機の最高高度を、それより低い約910mとしていた。
機長が同基地で今回のような点検を行うのは、初めてだった。
計画を見た上司らも、気付かなかった。
同機のフライトレコーダーやボイスレコーダーによると、事故当時、機長の指示の下、副操縦士が操縦し、高度約910mを時速約300kmで飛行。
計器に頼らずに目視する有視界飛行だったが、雲に入って視界が遮られる状況にあったとみられる。
墜落の12秒前にGPWSの警報音が鳴ったが、2秒後に警報を消し、上昇などの回避動作はなかった。
同機は任務の特性上、低空を飛ぶことが多いため、機長らが頻繁に警報が鳴ることを避けようとして切ったとみられている。
部隊では、警報音で機内の会話が聞き取りづらい場合などにも、音を止めることがあったという。
空自では、これまで、機長作成の飛行計画をチェックする決まりがなかった。
そのため、空自は、再発防止策としてチェック態勢を整え、全国各地の基地周辺の地形特性をまとめた内部資料も新たに作成した。
2016年5月31日20時55分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月31日19時26分にNHK首都圏NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省は31日、羽田空港を27日朝に離陸した高知行き全日空561便ボーイング737(乗客乗員計170人)で、気圧が異常低下するトラブルがあり、乗客の30代女性が左耳の鼓膜を破る軽傷を負ったと明らかにした。
国交省は31日、深刻な事態につながりかねない重大インシデントと認定、運輸安全委員会は、航空事故調査官3人を羽田空港に派遣した。
国交省や全日空によると、27日午前8時20分ごろ離陸、神奈川県沖の太平洋上空を上昇中に、高度約5000mで客室の気圧が下がったとの表示が出たため、約50分後に引き返した。
通常、客室内は0.8気圧程度を保つよう設定され、0.6気圧前後を下回ると警告表示が出るようになっている。
国交省の指示を受け、全日空が飛行データを解析したところ、両翼に1基ずつあるエンジンから圧縮空気を抜き出し、客室に送る与圧システム2系統に、いずれも不具合が確認された。
トラブルの際、パイロットがシステムをマニュアルに切り替え、空気を機外に出すバルブを閉めたところ、正常に戻ったという。
部品に目立った損傷はなく、パイロットの操作ミスの可能性も低いといい、安全委が詳しい状況を調べている。
出典
『全日空 気圧低下で乗客の鼓膜破れる』
http://mainichi.jp/articles/20160601/k00/00m/040/080000c
『全日空機気圧低下 鼓膜破れる』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160531/5766321.html
2016年4月18日15時32分にNHK首都圏NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日夜9時45分頃、台湾の台北から成田空港に到着したLCC=格安航空会社のバニラ・エア104便の乗客159人が誤って国内線の到着口に誘導されるトラブルがあった。
航空会社によると、旅客機はターミナルビルから離れたところに到着し、乗客をバスで国際線の到着口に誘導する予定だったという。
この便は、強風の影響でいったん中部空港に着陸して給油したあと到着したため、バス会社が国内線の乗客だと勘違いして運転手に連絡し、誤って国内線の到着口に誘導してしまったという。
成田空港会社によると、強風の影響で、目的地を他の空港に変更した旅客機と貨物機あわせて52便が成田空港に引き返すなど、ダイヤが乱れていたという。
航空会社は、到着した乗客から「入国手続きをしていない」という連絡を受けて、国際線の到着口に改めて乗客を誘導したが、外国人9人を含む47人が、手続きをしないまま入国したという。
乗客の多くは日本人だが、外国人も10人ほどいるということで、航空券を購入する際に登録された乗客の携帯電話に連絡して、手続きを呼びかけているという。
出典
『国際便乗客ミスで手続せず入国』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160418/4628981.html
4月19日付で毎日新聞東京版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
リムジンバスが乗客を国内線到着口に誘導したミスの背景に、航空会社とバス会社の連絡態勢の不備があったことが、両社への取材で分かった。
同社によると、航空機から到着口へバスで乗客を運ぶ際、通常はファクスで情報交換している。
強風の影響で一度、中部国際空港への代替着陸をした今回のように、到着に変更があった場合は、電話連絡のみになっていた。
同社は、「104便が中部国際空港から午後9時45分に到着すると伝えた。ただ、強風で成田空港は混雑しており、着陸時間が近かった他の国内線と勘違いした可能性もある。国際線と伝えるべきだった」と話す。
一方、リムジンバスを運行する東京空港交通(本社・東京)は、「中部国際空港からとは聞いていたが、国際線かの確認は、忙しさの中で失念していたのかもしれない」としており、両社は改善策を検討する。
出典
『バニラエア 入管経ず入国 バス会社と連絡不備と説明』
http://mainichi.jp/articles/20160419/ddm/041/040/128000c
4月23日付で読売新聞千葉版から、再発防止策に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
バニラ・エアは、22日、配車依頼の書面変更や、担当者によるバスの降車場所の確認などの再発防止策を、国土交通省に報告した。
問題を受け、同社は同日、石井会長と五島社長を減給20%(1か月)とする処分を発表した。
未手続きの乗客が乗っていたのは、17日午後9時45分に到着した便。
バニラ・エアから委託を受けたバス会社「東京空港交通」(東京)の配車係がバスに誤った指示を出し、乗客が駐機場から第3旅客ターミナルビルの国内線到着口に運ばれた。
乗客159人のうち一部が入国手続きをせずに入国。
国交省は19日、「保安上、極めて遺憾」として同社を厳重注意していた。
再発防止策には、17日にバニラ・エアからの配車依頼を電話だけで済ませた反省から、
〈1〉ファクスと電話で確認
〈2〉ファクス書面は、国内線と国際線を区別した書式に変更
を盛り込み、既に導入。
28日からは、担当者を新たに配置して、バスの出発前に運転手と一緒に降車場所の確認を行う。
一方で、バニラ・エアは、未手続きで入国したのは計48人と訂正した。
手続きが済んでいないのは、22日現在、外国人2人を含む29人。
うち日本人6人とは、手続きの日程調整ができていない。
出典
『バニラ・エアが再発防止策…入国未手続き』
http://www.yomiuri.co.jp/local/chiba/news/20160422-OYTNT50411.html
(ブログ者コメント)
4月19日付でバニラエア社HPに、対策等に関する下記趣旨のプレスリリースが掲載されていた。
1. 概要
成田国際空港周辺の悪天候(強風)により、バニラエアJW104便(台北発成田行き、乗客159名)は中部国際空港にダイバート後、成田国際空港に到着したところ、ランプ構内バスの配車及び運行を実施している委託先が当該便を国内線と誤認識したため、お客様を誤って国内線到着口へ案内する事象が発生いたしました。
3. 当面の再発防止策
○ランプ構内バス運行会社への配車連絡方法を国際線、国内線の別をより分かりやすく、誤認防止となるように変更した。(4月18日実施済み)
○到着時刻変更等による配車変更時は、電話やFAXなどを併用した相互確認を強化、徹底した。(4月18日実施済み)
引き続き、関係機関と連携を取り、対応してまいります
http://www.vanilla-air.com/jp/news/1737
キーワード ;ヒューマンエラー
2016年4月10日6時40分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京や大阪で相次いだ小型プロペラ機の墜落事故を受け、国土交通省は、自家用小型機が第三者賠償責任保険に加入していない場合、空港の使用申請を受けても離陸を認めない方針を固めた。
同省への取材で、9日、分かった。
無保険の小型機は事実上飛行禁止となり、安全管理が行き届かない機体の一掃につながる可能性がある。
また、空港周辺の住宅地に墜落するなどの事故が起き、無関係の人が巻き込まれても確実に補償が受けられるようにすることで、空港周辺の住民に飛行への理解を得ようとの狙いもありそうだ。
空港会社が管理する成田など4空港や、羽田など20の国管理空港は、夏ごろまでに空港使用時の規定を改正する。
地方自治体が管理する65空港も同様の対応をするよう、自治体に要請する。
出典URL
『無保険小型機は飛行禁止に…プロペラ機墜落相次ぎ、空港規定改正へ 国交省、離陸認めぬ方針』
http://www.sankei.com/affairs/news/160410/afr1604100006-n1.html
2016年2月8日付で毎日新聞大阪版夕刊から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2月8日13時26分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午前9時6分ごろ、大阪(伊丹)空港発新千歳行き全日空771便(ボーイング777−300型)が離陸直後、客室内に煙状のほこりが充満した。
同機は緊急事態を宣言し、約10分後、大阪空港に着陸した。
火災などは起きておらず、乗客445人と乗員13人にけがはなかった。
国交省大阪空港事務所などによると、同機は午前9時5分に離陸。
約1分後、高度約150mの上空で、客室後方で異音が発生し、煙状のほこりが機内に充満したという。
同社が着陸後に点検した結果、空調用の配管の断熱材が破損していた。
空気が客室内に送り込まれる時に、断熱材が繊維状のほこりのようになって混じり、客室の足元付近にある空気が通る穴から霧のように吹き出てきたらしい。
客室内には、断熱材のかけらが飛び散っていた。
乗客の兵庫県の女性(66)は、「客室の後方から、白いほこりのようなものが漂ってきた。雪が舞っているような感じだった。何が起きたか分からず、怖かった」と話した。
千葉県の女性(66)は、「かいだことのない異臭が充満し、すぐにマスクをした。乗客もざわつき始め、子どもの泣き声も聞こえた」と不安げに話した。
出典URL
http://mainichi.jp/articles/20160208/ddf/041/040/011000c
http://this.kiji.is/69282082671740408?c=39546741839462401
2月8日12時33分にNHK関西NEWS WEBから、2月8日15時3分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午前9時ごろ、大阪空港を出発し新千歳空港に向かっていた全日空771便のボーイング777-300型機から、「客室の後ろの方で煙のようなものが出ている」という連絡が管制に入った。
全日空機は大阪空港に引き返して緊急着陸し、乗客を降ろした。
全日空によると、乗客445人と乗員13人にけがなどはないという。
乗客の男性は、「びっくりするくらい大きな音が鳴り、熱風とともに綿ぼこりが雪のように舞って息苦しくなった。こんなことは初めてで、一時はどうなるかと思った」と話していた。
全日空が調べたところ、客室で出たのは煙ではなく、配管の断熱材の一部が細かいほこりのようになって一部のダクトから噴き出したことがわかったとして、詳しい原因を調べている。
全日空は、「原因が分からず、安全を第一に考えた」と説明している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20160208/5727181.html
http://www.asahi.com/articles/ASJ283QQSJ28PPTB002.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。