2024年4月2日18時52分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午後3時半ごろ、オーストラリアのメルボルン発成田行きの日本航空774便、ボーイング787型機が、成田空港の南東150キロの上空およそ5200メートルを飛行中、突然、機体が大きく揺れました。
この揺れで客室乗務員5人が転倒し、このうち33歳の乗務員1人が右足のくるぶしを骨折したほか、別の乗務員3人が手首などをけがしました。
着陸前のシートベルトの着用サインが点灯し、乗務員が乗客の安全確認をしていた際に揺れたということです。
乗客146人にけがはありませんでした。
上空で乱気流に巻き込まれた可能性があり、国の運輸安全委員会が航空事故として調査することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240402/1000103508.html
(ブログ者コメント)
ブログ者も、シートベルト着用サインが出た後、CAが確認巡回しているのを見かけたことがあるが、その時は、CAは訓練を積んでいるので少々揺れても大丈夫なんだろうなあと、勝手に思っていた。
今回の事故で、確認方法は変わるのだろうか?
2024年4月1日9時22分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空は31日、羽田空港発山口宇部空港(山口県宇部市)行きボーイング737(乗員乗客150人)が同日夕、雷雨のため約20キロ離れた北九州空港にダイバート(代替着陸)したことを明らかにした。
同社によると、航空機は午後6時半ごろに山口宇部空港に着陸しようとしたが、周辺で落雷があったため、約20キロ離れた北九州空港にダイバートした。
乗客は北九州空港で降り、同社が手配したバスで山口方面に向かった。
着陸後に機体を確認したところ、複数の被雷の跡があったが、飛行に影響はなく、約3時間後に運航を再開した。
乗客の女性は「飛行中にいきなり光って、パキッと音がした」と振り返った。
別の乗客男性は「着陸すると思った時に機体が急上昇したので何かあったのかと思った。『山口宇部空港は視界が悪くて着陸を回避した』と機内アナウンスがあった」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20240401/k00/00m/040/002000c
(ブログ者コメント)
飛んでいる飛行機に雷が落ちても問題はない・・・そんな事例として紹介する。
2024年1月23日に掲載した第2報 修正2がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正3として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/13661/
(2024年2月28日 修正3 ;追記)
2024年2月20日4時32分にYAHOOニュース(東洋経済:鉄道ジャーナリストの寄稿文?)からは、羽田に着陸できなかった旅客機乗客のため新幹線やJR成田線、京成電鉄などでも臨時便が運行されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
年始の繁忙シーズンということもあり、空港は大パニックとなってしまった。
滑走路が閉鎖され、この日は事故直後から、国内便のすべての出発便が欠航となった。
また到着機はダイバート(着地変更)となり、近隣の中部国際空港、成田空港、茨城空港に向かった。
■東京へ向かう移動手段の確保が問題に
あまりに突然の出来事だったが、各空港はダイバートを受け入れることができた。
しかし、問題はそこから東京へ向かう移動手段の確保だった。
到着を予定していた羽田空港との距離は成田空港で約60km、茨城空港で約90km、中部国際空港で約280km。
いちばん近い成田空港でも60km近く離れた場所にあるので、着地先からの移動手段の確保が必須である。
羽田空港で衝突事故が起きたのは、17時47分。
そこから着陸予定の航空機はダイバートを行ったわけだが、茨城空港へ向かったスカイマーク2機が到着したのは、18時30分頃。
そこから鉄道などを利用して都心に向かうと、かなりの時間がかかってしまう。
また、中部国際空港や成田空港到着の便も、新幹線や在来線を乗り継いで東京へ向かい、さらに自宅までたどり着けるか、やはり心配である。
そんな中、JR東海がネット上でこんな発信をした。
混雑が予測されるため、臨時「のぞみ号」を運転します――。
発車時刻を確認すると、最終の「のぞみ」が出発した後の東京駅21時42分発と、新大阪駅21時50分発だという。
両列車ともグリーン車以外の普通車は全車自由席のようだ。
東海道新幹線が終電後に臨時列車を走らせることは非常に珍しく、しかも日付を超えて運行することは、過去にもあまり記憶にない。
東京駅からの各線の終電も、調整が必要になるだろう。
この日は東海道新幹線ばかりか、JR東日本の成田線の終電繰り下げや、京成電鉄の深夜25時00分発のアクセス特急上野行きなどの臨時列車も追加運転され、鉄道駅のない茨城空港では、関東鉄道バスを中心に7便(約310人)の輸送が行われた。
中部国際空港の対応でも、名鉄で臨時列車が運行され、そのほかの鉄道でも、都市間輸送や空港アクセスを担う鉄道やバスが、臨時や増便対応する勇姿が見られた。
実際、どのような要請で、臨時輸送が行われたのか。
深夜の日本各地で行われたダイバートに伴う緊急対応について、臨時対応を迅速に行った事業者の中から、数社の交通事業者を取材した。
■空港アクセスとしての意識の高さ
まずは京成電鉄。
同社は夜中の25時00分に、成田空港発の臨時アクセス特急を運行した。
この対応について、京成電鉄・経営統括部の広報・CSR担当にインタビューをすると、「当社から空港を管理・運営するNAA(成田国際空港株式会社)に申し出た」という。
「その後の対応はNAAと行った」。
乗務員の手配については、「異常時対応用に予備の乗務員を配置している。今回はその人員を手配した」と話す。
予備乗務員の手配が迅速に行われたことで、可能になった。
・・・
茨城空港から臨時バスを運行した関東鉄道については、「茨城空港へダイバート中のスカイマーク社から連絡があり、急遽運転士の確保に動き、乗務終了後の運転士に声をかけて、手配を行った」と話した。
・・・
東海道新幹線を運行したJR東海についても取材した。
「弊社として自主的な判断で、臨時列車を設定いたしました」
そう答えてくれたのは、JR東海・東京広報室の担当者だ。
「今回はタイミングが合い、緊急時の対応に関して関係各所の担当者が日頃から考えていたことが可能となった」と言う。
・・・
■事業者間の垣根を超える
各交通機関にインタビューを行った結果、今回は異例中の異例だということがわかった。
しかし、深夜帯の輸送を覚悟し、その後もすぐに対応できたのは、「事業者間の垣根を超えて、旅客輸送の使命を持って行われた」ということにほかならない。
・・・
日本の交通機関は優秀である。
その安全性、定時性からサービスに至るまで、まさに世界のトップレベルであることが今回の件でよくわかった。
渡部 史絵 :鉄道ジャーナリスト
https://news.yahoo.co.jp/articles/05851aaa1ef37786c44660b23fc92e03763f6de8
(ブログ者コメント)
茨城空港での臨時バス対応状況については、第1報(2/2)で、やや詳しく紹介している。
2024年6月28日21時42分に読売新聞からは、年始休みと重なったため「消火救難協力隊」80人のうち40人しか集まらず緊急車両の誘導が遅れた、日航機側と海保機側の2ケ所で消火救助活動が行われたため責任者の所在や負傷者情報がうまく伝わらなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は1~5月、消防や病院・医師会、空港内事業者と、事故当日の消火や救護活動を振り返る会合を8回開催。
課題を洗い出すとともに、今後の対応策を検討した。
その結果、空港で働く職員・社員で作る「消火救難協力隊」について、休日夜間には最大80人の参集を見込んでいたが、年始休みと重なった当日は約40人で、空港外から集まった緊急車両の誘導が遅れた。
消火・救助の活動も日航機と海保機で2か所に分かれ、各機関の責任者の所在や負傷者に関する情報がうまく伝わらないなど混乱したという。
国交省は8月までに対応要領の改定を進め、同様の事故時に緊急車両への対応を専属で行うチームを新設するなど、初動対応の体制を強化する。
負傷者情報の収集・共有方法も改善するという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240628-OYT1T50165/
6月28日18時1分にNHK首都圏からは、救急車や消防車100台が制限区域外で待機を余儀なくされた、現場では多数の組織がそれぞれの無線を使ったため情報伝達に時間がかかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省は、現場で対応にあたった東京空港事務所や東京消防庁、医療関係者などと当時の活動について検証を行い、28日、結果を公表しました。
それによりますと、国の業務要領では休日や夜間でも空港職員や関係会社の社員が最大80人集まることが想定されていましたが、今回、正月休み中で、集まったのはおよそ40人だったということです。
そのため、救急車や消防車の誘導に遅れが生じ、のべおよそ100台が制限区域の出入りで待機することになったとしています。
およそ30分間待機した救急車と消防車もあったということです。
また、消火活動の現場では多数の関係者がいたため、責任者がわからず混乱を招いたとしたほか、それぞれの機関が別の無線を使っていたため情報伝達に時間がかかったとしています。
そのうえで今後の対策として、休日や夜間に緊急対応を行う空港職員を増やすほか、関係会社に対しても対応できる人数を増やすよう要請するということです。
さらに、消火活動の現場で責任者がビブスを付けるほか、羽田空港で使っている無線を消防や医療関係者に配布する対応も行うということです。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240628/1000105934.html
(2024年10月3日 修正5 ;追記)
2024年10月2日10時52分に読売新聞からは、誤進入や誤出発を防ぐ滑走路状態表示灯が主要8空港に設置される、羽田では工事が始まったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
滑走路誤進入や誤出発を防ぐ「滑走路状態表示灯(RWSL)」の新設工事が2日未明、事故現場間近の「C5誘導路」で始まった。
RWSLは、同一の滑走路で航空機2機の離着陸や、進入が重なる恐れを検知すると、滑走路や誘導路に埋め込まれた赤い灯火が光り、パイロットに異常を知らせるシステム。
新千歳、伊丹、福岡、那覇4空港の一部に設置されているが、事故対策検討委員会の議論を踏まえ、国土交通省は他の4空港を含めた主要8空港で導入・拡充を決めた。
この日の作業は、C滑走路の週2日の夜間閉鎖に合わせて午前1時前に始まった。
作業員らはC5誘導路の一角を深さ30センチほど掘った上で、「基台」(直径二十数センチ)と呼ばれる灯火の土台部分を配管とともに3基設置し、午前5時半までに再び埋め戻して舗装した。
羽田空港ではA~C滑走路・誘導路で計約1500基の設置を予定し、このうちC5誘導路などでは2028年3月までに先行して運用を始める。
残る7空港でも30年度中の全面運用を目指す。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241002-OYT1T50032/
(2024年12月28日 修正6 ;追記)
2024年12月25日15時50分に読売新聞からは、運輸安全委員会が経過報告書の要旨を発表したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京・羽田空港での航空機衝突事故で、運輸安全委員会が25日に公表した経過報告書の要旨は次の通り。
本事故は、
〈1〉海上保安庁機長・副操縦士が、管制官からの滑走路手前停止位置までの走行指示を滑走路への進入許可と認識し、滑走路に進入・停止したこと
〈2〉管制官側が、海保機の滑走路進入・停止を認識していなかったこと
〈3〉日本航空機が、滑走路上の海保機を衝突直前まで認識していなかったこと
の3点が重なって発生したと考えられる。
【海保機】
・・・
(5)副操縦士による管制指示の復唱(滑走路手前停止位置C5、ナンバーワン、ありがとう)に、機長は「ナンバーワン」「C5」とのみ復唱確認した。
・・・
【管制官】
・・・
(6)当時、羽田空港の管制所では、同支援機能の注意喚起が発動した場合の処理要領を定めず、研修カリキュラムに基づく訓練も行われていなかった。
・・・
【日航機】
・・・
(2)構造上、後方から見える海保機の外部灯火は、衝突防止灯(白ストロボ)、下部尾灯位置灯(白)、上部尾灯位置灯(白)だった。海保機の停止場所の周囲では、滑走路面の中心線灯(白)と接地帯灯(白)が点灯していた。
・・・
【被害の分析】
被害軽減の観点から、《1》海保機と日航機の衝突・機体損傷《2》日航機による非常脱出《3》消火・救難――の状況分析を今後進める。
・・・
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241225-OYT1T50101/
12月25日20時39分に読売新聞からは、管制指示に対し副操縦士は正しく復唱したが機長は省略して復唱した、滑走路上の海保機に画面で気付いた管制官がいたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
管制指示は「ナンバーワン、滑走路手前の停止位置C5まで走行せよ」。
滑走路担当の管制官へ正しく復唱した副操縦士に、機長はかぶせるように「ナンバーワン、C5、問題なしね」と復唱確認を済ませ、〈滑走路手前の停止位置まで走行〉という文言を省いた。
・・・
一方、管制側では衝突の15秒前、滑走路上の海保機に空港(地上)面を表示する画面で気付いた管制官がいたことが明かされた。
空港周辺の「ターミナル空域」担当で、「日航機が(着陸をやり直す)ゴー・アラウンドをする」との連絡を受けていなかったため、「(日航機は)どうなっている」と滑走路担当に問い合わせた。
この時すぐに「ゴー・アラウンド」の指示が出れば衝突は避けられた可能性があるが、滑走路担当は海保機に気付かなかった。
・・・
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241225-OYT1T50132/
12月26日7時2分にYAHOOニュース(時事通信)からは、マニュアルでは「簡素に復唱する」と定められていたなど、機長は管制だけでなく航空基地からの無線連絡も聞いていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
管制指示について、機長は副機長に「ナンバーワン」「C5」とだけ復唱した。
海保によると、「交信内容を簡素に復唱する」と定められた事故前のマニュアルに沿った対応だったが、ある元民間パイロットは「簡素すぎる」と相互確認の不十分さを指摘。
事故を受け、海保は「管制指示を声に出して確認する」とマニュアルを改めた。
海難救助などに向かう海保の航空機は、出発時には目的地が明確でないことも多く、機長は管制だけでなく羽田航空基地からの無線連絡も聞いていた。
このことが事故の一因になったとみられ、海保は事故後、離着陸時には管制指示に集中できるよう、機長らは無線連絡を聞かないことにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/619e6a660e49b789de4cd13ae8e1ee3dd080fc19
12月25日18時40分にNHK首都圏からは、基地とのやり取りは通信士が会話し機長が聞いていた、基地とのやりとりの最中に離陸許可が出た、画面上で侵入したように見えた管制官はスピーカーで問い合わせたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
管制官とのやりとりのほかに羽田航空基地との間でも会話をしていた。
基地とのやりとりはその日の能登半島地震の任務に関することで、通信士が会話していましたが機長もこの内容を聞いていたということです。
機長は聞き取りに対し、基地とのやりとりに一部が重なるタイミングで、管制官から離陸の許可が出たと話しているということです。
さらに、滑走路手前の停止位置を通過する際のことについては、副機長とともに「滑走路に入って待機」と復唱し、左右を確認して進入したと話しているということです。
・・・
事故の15秒前に、海上保安庁機が滑走路に進入したように画面上で見えた管制官が、担当の管制官に日本航空機の動きをスピーカーを通して問い合わせたものの意図が伝わらず、海上保安庁機への対応は特段行われなかった。
・・・
【判明した操縦室内の主なやりとり】
(以下、秒単位で海保機と管制官の交信内容が記されている)
12月25日21時20分に産経新聞からは、機長はハリーアップ症候群に陥っていた可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
経過報告中、パイロット経験者らは海保機の機長が時間的余裕がない状況で判断力が鈍る「ハリーアップ症候群」に陥った可能性を指摘する。
元日航機長の土井氏は「原因はそれだけとはいえないが、世界の事故にはハリーアップ症候群が原因とみられる事例は多々ある」と話す。
https://www.sankei.com/article/20241225-SMF74YVW4ZJ6DCCYBPRZWX25TQ/
(ブログ者コメント)
海保のマニュアルで「簡素に復唱する」となっていた件、「言われたとおりに復唱する」のがヒューマンエラー防止の鉄則だ。
特に航空業界では徹底されていると思っていたのに・・・。
誰が、どういう理由で、そのようなマニュアルにしていたのか、最終報告書で言及されるだろうか?
そこが今回事故のキモのような気がする。
2024年2月14日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米サンディエゴ国際空港で今月上旬、出発前の日本航空機が滑走路手前の停止線を誤って越えたため、別の旅客機が直前で着陸をやり直す「ゴー・アラウンド(着陸復行)」をしていたことがわかった。
日航機は、別の米空港でも地上を移動中に滑走路へ誤って進入しており、国土交通省は13日、運航や安全管理の体制を監査するため、日航に対し、航空法に基づく立ち入り検査を抜き打ちで実施した。
複数の関係者によると、サンディエゴ発成田行きの日航65便(ボーイング787―8型)は今月6日正午過ぎ(現地時間)、駐機場で客を乗せた後、地上走行を始めた。
管制官からは「(滑走路に平行な)誘導路Bを走行し、誘導路『B8』で待機せよ」などと指示を受けたが、65便は指示になかった誘導路「B10」に入った上、B10の停止線を越えた。
65便は管制官の指摘も受けて誤りを認識し、滑走路への進入は直前で回避されたという。
しかし、着陸態勢に入っていたデルタ航空機が上空から滑走路に接近しており、管制官の緊急指示でゴー・アラウンドをする事態となった。
デルタ機は、高度700フィート(約213メートル)付近まで地上に迫っていたという。
再上昇したデルタ機が旋回する間に、65便は滑走路を経て誘導路へ退出し、約1時間後に成田空港に向けて出発した。
65便のパイロットは管制官の指示は正しく認識していたが、誤ってB10に進入したとみられる。
日航は「社内で調査中のため、コメントできない」としている。
日航では昨年11月、成田発シアトル行きの68便がシアトル・タコマ空港に着陸後、パイロットが管制官の指示を取り違えて滑走路に誤進入した。
この問題について、日航は国交省の指導を受け、パイロットに対する訓練内容の見直しなどの再発防止策をまとめていた。
サンディエゴでの事案について日航から報告を受けた国交省は、詳しい事実関係や原因の調査に乗り出した。
再発防止策を定めながらも、再び安全を巡るトラブルが起きた点を重く見て、13日午後、東京・羽田空港にある日航の事業所に対し、航空法に基づき抜き打ちで立ち入り検査に入った。
海外空港でのミスが相次いでいる要因などを分析し、再発防止策をまとめるよう指導した。
日航を巡っては、昨年9月、複数の不適切な整備が国交省の監査で確認され、機体の整備を担う子会社「JALエンジニアリング」が、行政指導にあたる業務改善勧告を同12月に受けている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240213-OYT1T50170/
2024年2月9日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空機が昨年11月、米シアトルの空港に着陸後、管制官の指示を取り違え、滑走路に誤進入したことがわかった。
滑走路に別の航空機はおらず、空港の運用に影響は生じなかったが、国土交通省は航空法の定める「安全上の支障を及ぼす事態」にあたるとして、再発防止を徹底するよう日航を指導した。
複数の関係者によると、成田発シアトル行きの日航68便(ボーイング767―346型)は昨年11月5日午前9時40分頃(現地時間)、シアトル・タコマ空港の平行に並んだ滑走路3本のうち、駐機場から最も離れた滑走路「16R(ライト)」に着陸した。
管制官からは「(隣の)滑走路『16C(センター)』手前で待機せよ」と指示を受けたが、68便は指示を取り違え、「滑走路『16L(レフト)』手前で待機します」と復唱した。
16Cの横断許可を得ていないのに、16Cに進入して横断し、16L手前へ走行。
そのまま駐機場まで進み、乗客を降ろした。
機長と副機長は指示を取り違えた上、「滑走路16L手前への地上走行」の指示に、「滑走路16Cの横断」の許可が含まれると誤解したという。
当時、16Cには離着陸機はなく、68便も目視で安全を確認した上で進入・横断した。
機長らは管制塔から指摘を受け、誤進入に気付いた。
日航によると、68便が「滑走路16L手前で待機します」と復唱した際、管制官は誤りを指摘しなかった。
日航は航空法などに基づき、国交省に報告。
パイロットらの再教育や事案の周知徹底を図るとともに、今回の要因を分析するよう国交省からの指導を受け、訓練内容の見直しなどの再発防止策をまとめた。
日航は「社内の関係部署で事例を共有し、再発防止を図った」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240208-OYT1T50220/
(2024年1月23日 修正1 ;追記)
第2報(修正1)として、第1報で記載漏れだった情報や、その後に報じられた気になる情報などを紹介します。
第1報は下記参照。
(1/2)
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/13644/
(2/2)
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/13645/
【戦闘機スクランブル発進ではナンバー1と指示されることもある】
(2024年1月15日 6時0分 YAHOOニュース;週プレNEWS)
元航空自衛隊302飛行隊隊長の杉山氏(元空将補)は、軍民共用の沖縄・那覇空港からF-4戦闘機で何度もスクランブル(外国機などに対応するための緊急発進)をした経験があり、その際も管制から「ナンバー1」の指示を受けていたという。
「今回のようなケースでは、ナンバー1という言葉は単に離陸順を示しているだけではありません。
通常のシークエンス(順序)に従って離着陸を続ける民間機の合間を縫って、空自機や海保機の任務をどう実現させるか、管制官はさまざまな判断を迫られる。
その中で、ナンバー1という言葉には、『大変でしょうけど、任務を頑張ってください。できる限り融通を利かせます』という管制官からの配慮や思いやりが込められているわけです。」
・・・
杉山氏:
「離陸の優先権をいただくと、自分は特別な任務をしている、早くしなければ、という気持ちがどうしても湧き上がってくる。
今回のケースも一刻を争う被災地への支援ですから、気がはやったとしても無理はありません。
ナンバー1の指示を受けた後、頭の中で『滑走路に入って離陸を待つ』と〝思い違い〟をしてしまっていた可能性もあるでしょう」
実際、2018年に那覇空港で、スクランブル任務中の空自F-15戦闘機2機が似たような勘違いをし、滑走路に誤進入したケースがある。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c95ccd172c12c1b501ab22fa39cf5dcca5010d3
【機体は制御不可状態、操縦士も避難誘導した、機長は最終確認後に脱出】
(1月14日5時0分 毎日新聞)
両機は炎上し、JAL機は約1キロ先の滑走路右の草地に停止。
この間の状況についてパイロットは、「機体は滑っているという感覚で、機長がブレーキ、尾翼の方向舵(だ)、車輪の向きを変えるハンドルなどを操作したが機能せず、アンコントローラブル(操縦不能)だと認識した」と話した。
その後、機長、副操縦士2人と客室乗務員(CA)がどうやって乗客を脱出させたのかについても詳細に報告している。
機体停止後、操縦室内は真っ暗だった。
パイロットは「すぐに避難が必要だと認識したが、エンジンに消火剤を散布したことを示すライトは点灯せず、操縦室からCAに緊急脱出を指示する装置も機能しなかった」と述べた。
客室から乗客に落ち着くよう呼びかける声が聞こえ、CAの責任者(チーフ)が操縦室に来て状況を報告した。
その前後に、どこかから火が出ているという声も聞こえた。
そして、機長が大声で緊急脱出を指示。
八つある非常ドアのうち、一番前にある左右の二つから脱出用シューターが降ろされた。
副操縦士2人は、前方の客に荷物を置いて前から脱出するよう大声で誘導した。
1人は拡声器を使って、後方の乗客に前から逃げるよう呼びかけた。
機長は後方へ移動し、しゃがんでいる乗客を見つけて前へと誘導した。
その後、乗客が残されていないかを再び確認しながら後方へ移動。
後方では乗客を捜すCAの声がしていたという。
前方の避難が落ち着くと、副操縦士2人は後方に向かった。
後方は煙が充満しており、1人が防煙マスクを取りに戻ろうとした。
その際に乗客を発見し、前方へ誘導。CAと機長がいる後方に向かった。
機長は前方から2人の声が聞こえたが、後ろに来ると危ないと感じ、2人とも前から逃げるよう指示した。
そして、副操縦士2人とチーフは前方左側から脱出。
機長も後方に乗客がいないことを確認し、後方左側から脱出したという。
https://mainichi.jp/articles/20240113/k00/00m/040/197000c
【滑走路手前の停止線灯は休止中】
(1月6日 19時00分 朝日新聞)
誤進入を防止する目的で滑走路手前に設置されている「ストップバーライト(停止線灯)」が事故当時、メンテナンス中で運用を停止していたことが国土交通省への取材でわかった。
ただ、羽田空港では、視程が600メートル以下、または、管制官が必要と判断した場合に使われる。
管制官が進入を許可した際、手動で停止線の点灯を消し、進路を点灯させるという。
国交省の担当者は、「仮に運用中だったとしても、事故当時は視程が5千メートル以上だったため、条件に当てはまっていなかった」と話す。
https://www.asahi.com/articles/ASS165W1CS16UTIL00J.html
【地上移動管制と飛行管制は異なる周波数ゆえ着陸情報を知らなかったかも】
(1月6日 20時54分 毎日新聞)
地上管制と飛行場管制の周波数は異なるため、周波数を切り替える必要がある。
同じ周波数なら、他の機体とのやり取りを聞くことができるが、異なる周波数だった場合は内容は把握できない。
JAL機は飛行場管制との交信を2日午後5時43分2秒に始め、同44分56秒に管制から着陸許可を受け、同45分1秒に復唱した。
これ以降はやり取りがなかった。
一方、海保機が飛行場管制と最初に交信を始めたのは10秒後の同45分11秒だった。
この10秒間に海保機が周波数を切り替えたのか、他機の動きをどこまで把握していたのか、運輸安全委員会や警視庁は詳しく調べる。
https://mainichi.jp/articles/20240106/k00/00m/040/208000c
【離着陸兼用のC滑走路は世界的にみても異常】
(1月9日16時12分 YAHOOニュース;文春オンライン)
現役管制官が「週刊文春」の取材に対し、事故が起きた羽田空港のC滑走路について、以下のように語った。
「羽田空港にはA~Dまで4本の滑走路があります。
事故当時は北風が吹いていましたが、この場合、B滑走路は使用せず、A滑走路が着陸、D滑走路が離陸専用となる。
ところが、C滑走路は常に『離着陸兼用』の運用なのです」
「混雑ランキング1位のアトランタ空港、2位のドバイ空港はもちろん、関西国際空港も離着陸ごとに滑走路を分けている。
そうした実態を踏まえると、羽田のC滑走路は“異常”な運用と言えます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c486da5ba15a5092e6a39c8a4ffdf1a93a7a3e1
【機体位置情報受発信装置(欧州では義務化)を海保機は未設置】
(1月15日 6時12分 YAHOOニュース;乗りものニュース)
空港では、管制塔から離陸許可が出ていても、誘導路から滑走路へ入る前に、別の航空機が同じ滑走路への最終進入コースにいないことを目視で確認する決まりがあります。
海保機は、この一瞬で済む動作を怠った可能性があります。
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航空機側に衝突を未然に防ぐ装置が存在するのかというと、2つのシステムが実用化されています。
1つは「TCAS(ティーキャス)」と呼ばれる接近警報装置。
モードSを搭載した航空機が信号を発信しながら近づいてくると、この装置はパイロットに注意を促してくれるのです。
これをさらに進化させて、自機の位置を緯度経度の座標情報を含んだ信号で、周囲にいる他の航空機に発信するシステムが「ADS-B」。
「TCAS」と「ADS-B」、これら2つのシステムは多くの国で採用されていて、ヨーロッパなどでは「TCAS」に反応するモードSの発信機を搭載していない航空機は混雑空域を飛ぶことができません。
さらにヨーロッパでは、2020年より総重量5.7t以上ある全ての航空機にADS-Bの装備が義務付けられました。
ところが日本では、TCASやこれに反応するモードSの導入は進んでいますが、ADS-Bは義務化されていません。
海外メディアは、今回の事故を起こした海保機は、モードSこそ搭載していたものの、ADS-Bは未搭載であったと伝えています。
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海保機にADS-Bが搭載されていれば、JAL機はコックピットから視認できなくても気が付いた可能性は高いでしょう。
パイロットの目の前にある計器盤の画面上には、滑走路上の海保機をはじめ近くにいる他機の位置が表示されていたはずです。
つまり、今回の事故は、少なくとも海外では回避できた可能性がといえるのです。
海外メディアはこの点に注目していますが、国交省はこれに関して一貫して説明を避けています。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/584655d8f5d9255b9245e9f228d6055e7d605fc2
(1月5日18時15分 YAHOOニュース;まいどなニュース)
事故後、付近にいたANAのグランドハンドリング(グラハン)のスタッフ約10人がすぐさま駆け付けました。
ふだんは貨物を運んだり、機体を誘導する地上業務です。
グラハンのスタッフは避難誘導した後、乗客のケアに努めました。
何人かが「トイレに行きたい」と話したため、同社の整備士に連絡。
偶然、近くにANAの小型機が駐機していたため、整備士の誘導で乗客数人がトイレを利用しました。
混乱のさなかでしたが、ANAの広報担当者は「小型機にはボーディングブリッジ(搭乗橋)がついており、整備士が乗り込んだのち、すぐに電源を入れました」と、迅速な対応であったことを明かしました。
このエピソードがXで披露されると、15万を超える「いいね」が寄せられるなど話題に。
空の仲間の危機に駆け付けたANAスタッフの行動を称える声があがっています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e9021282c44b3d912d027f24cd1c727451b09ab
(1月17日7時0分 YAHOOニュース;ABEMA TIMES)
元成田空港主任航空管制官のタワーマン氏は、
「全日空のターミナルビルに近い滑走路を使っていた。
そこで日本航空の事故が起きた。
通常であれば、他社が手助けすることは起こり得ない。
何か違うミスが起きてしまった場合、それはそれで新たな問題が生まれる。
にもかかわらず今回、他の会社がお手伝いされた。
ルールに定まっているというより、その瞬間やらなきゃいけないことを考えて、助けることを最優先ということをやられた」
との見方を示した。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/34934387a7f1d63df23df87f9531a184d2ecdaa1
【海保機は東日本大震災で津波に巻き込まれていた】
(1月10日17時32分 YAHOOニュース;FNN PRIME;仙台放送)
海保機は2011年3月11日、定期検査のため仙台空港近くの整備工場にいた。
東北の沿岸部を襲った津波に巻き込まれたが、機体の流出は免れた。
仙台空港周辺にいて唯一、生き残った機体だったという。
しかし機体の損傷は激しく、神奈川県内で修理が行われ、翌年2012年3月29日、東京の羽田航空基地で業務に復帰した。
当時、第三管区海上保安本部への取材によると、津波で被災した航空機が復活したのは、「世界で初めて」だったという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4ebb652258a2eb0e476ed2629b9d15e6d0e512a
【JALでは機内連絡不可時を想定した訓練も実施】
(1月11日 6時32分 YAHOOニュース;TBS NEWS)
日本航空 元客室乗務員 代田さん:
「電気系統がだめ、キャプテンからの連絡がだめだった場合は、何も連絡も来ないのでずっと待っているのではなく、客室乗務員それぞれが判断するという想定で訓練をしています」
代田さんによると、一人が一秒遅れるだけで後ろの乗客の命に関わるため、躊躇している乗客がいた場合、背中を押してでも脱出させることがあるという。
今回の乗客が撮影した映像からも、脱出用シューターから次々と乗客が滑り降りている様子が分かる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e623391ab29358007a13af93a125c4a61bc81696
【CAは非常時対応の鉄則どおりに行動、乗客の声掛けも支援になった】
JALの元客室乗務員の香山氏:
「今回のような突発的な事故の場合、CAも状況が分からない中、まずは『大丈夫、落ち着いて』と呼びかけるのが鉄則。
事故時の機内の動画を見てもそうした鉄則が守られており、煙が充満すると『姿勢を低くして、鼻と口を押さえて』と指示できていた」
元外資系CAの小澤氏:
「救難の際は笑顔を見せず、大声で叫ぶ、敬語を使ってはいけないなどのルールがあり、適切に守られていた印象です」
乗務員の呼びかけに呼応するように、周囲に「落ち着いて」と声をかける男性客の姿もあった。
小澤氏:
「CAが現場の状況判断などに奔走している中、乗客が協力的で、落ち着いて声をかけ合っていたこともパニックコントロールに繋がりました。
今後の教訓にすべきだと思いました」
・・・
呼吸も苦しくなるこのタイミングで、乗務員同士が大声で確認し合う声が響いた。
「R3開けません」
「L3ダメです!」
この時、8人の客室乗務員は「どの非常ドアから脱出するか」を冷静に見極めていた。
香山氏:
「機内に8か所ある非常ドアのうち、今回は安全な3か所のドアを開けてお客様を誘導しました。
非常ドアは一か八かで開けるのではなく、炎や燃料漏れがなく、スライドスペースが確保できるかを目視で確認して判断します。
乗務員同士が情報を共有し、脱出直前に適切な確認作業ができていたのです」
脱出劇は「奇跡」ではなく、まさに日頃の訓練の積み重ねの成果だった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2b1bdd4bc54cc3f73c24b8235dc7be3e1740133
【CAの半分は23年入社の新人だった】
(1月12日8時4分 YAHOOニュース;現代ビジネス)
JAL社内では、あるニュースが駆け巡っている。
「じつは、事故に遭った航空機に搭乗していたCAの約半数が'23年春に入社したばかりの新人だったのです。
このニュースに、社員は驚くとともに、称賛を贈っています。
実際に、ここまで深刻な事故を経験したCAは社内にほとんどいません。
本当は自分たちも怖かったはずなのに、冷静な対応を見せた彼女たちは真のヒロインです」
(JAL・現役CA)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba8396e143b4a6fcb5c8417ac4b18353ea374dd7
【茨城空港臨時バスは通常運行を終えた運転手が要請に応じ運転した】
(1月10日7時2分 YAHOOニュース;トラベルwatch)
この日は正月三が日の最中であり、近隣の路線バスは休日よりさらに少ない「特別ダイヤ」で運行。
出勤している運転手も通常時より少ない状態であった。
そのなかで、市内のバス路線での運転を終えて帰ってきた運転手に次々と声をかけ、茨城空港への連絡バスを受け持つ「関鉄グリーンバス」(関東鉄道の子会社)の石岡営業所を中心に、いすゞ「エルガミオ」(58人乗り)を2台、ほか2台で、計4台のバスならびに運転手を確保したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c7817c470665547d8b180c971532ca173721d98a
2024年2月3日0時32分にYAHOOニュース(FNN PRIME)からは、消火用水が不足したので「スーパーボンバ-車」を使い海水を汲み上げて放水したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鎮火まで8時間を要した消火活動では水が不足し、東京湾から「海水」をくみ上げて放水を続けていたことがFNNの取材でわかった。
この事故では国直轄の消防部隊のほか、東京消防庁から115台の車両が出動した。
消火栓からの水に加え、空港地下の「防火水槽」からおよそ300トンの水が使われたが、残量が低下したため10トンの水槽車が2台出動した。
さらに水の不足が続いたため、「スーパーポンパー」という車を出動させ、東京湾の海水をくみ上げて放水を続けていたことがわかった。
この車は東日本大震災で、福島第一原発への冷却作業の際にも使われたという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9f87cd12ddd5be9435ee0a73e5146a8ecbd6e675
2024年1月7日17時30分にYAHOOニュース(CNN)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米オレゴン州のポートランド国際空港当局者は5日、アラスカ航空の旅客機が離陸直後に機体の一部が吹き飛ばされる異常事態に遭遇し、同空港に緊急着陸を強いられたと述べた。
ポートランド空港からカリフォルニア州オンタリオへ向かった1282便機で、機種は米ボーイング社製の737MAXシリーズの9型機。
同機は空港へ無事に戻った。
同航空によると、乗客171人と乗務員6人が搭乗していた。
地元の消防当局などによると、重傷を負った乗客らはいないが、1人が病院へ搬送された。
米連邦航空局(FAA)によると、同機の乗務員は空港へ引き返す前、「機内の与圧の問題を報告していた」という。
飛行状況の追跡サイト「FlightAware」によると、同便は現地時間の5日午後5時07分ごろに離陸し、空港に戻ってきたのは同5時27分ごろだった。
離陸後には一時、高度約1万6000フィート(約4800メートル)に到達していたという。
乗客の1人はCNNの取材に、離陸直後に窓や壁部分などが吹き飛んだと証言。
SNS上には、窓部分が消え、大きく開いた穴を通じ乗客が外気に直接さらされる格好になっている様子をとらえた動画が流れた。
この被害が起きた場所の数列後方から撮影したものとみられ、機内のあちこちで酸素マスクが頭上から垂れ下がっていることも確認された。
破損した場所のすぐ後ろには、少なくとも乗客2人が着席してもいた。
別の乗客は地元テレビ局に、大きな爆発音のようなものが機内後部の左側で聞こえたと述べた。
機内に出現した穴の影響でシャツが脱げそうになっている少年の体を押さえる母親の姿も目撃されていた。
非常ドアも吹き飛ばされたとの情報もある。
航空無線サイト「Liveatc.net」上の交信記録によると、1282便の操縦士は管制塔に「降下したい。緊急事態を宣言している。1万フィートまで高度を下げる必要がある」と伝えていた。
この許可が下りると「減圧している」とも報告していた。
アラスカ航空は今回の騒ぎを受け、保有する同型機の運用を一時的に停止することを決めた。
FAAも同型機の緊急点検が必要として、暫定的な運航停止を命じた。
同型機は計約171機あるという。
MAXシリーズはボーイング社の稼ぎ頭でもある旅客機。
同シリーズの8型機は以前、海外で墜落事故を2起こし、約2年の運航停止を命じられてもいた。
FAAなどのデータによると、問題が今回起きたアラスカ航空の9型機の路線での利用は過去3カ月間のみとなっており、昨年10月以降での飛行回数は約150回となっている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/59f3a0a63c8ba558121f43ae8c8a53b0c472ccea
1月8日14時2分にYAHOOニュース(BBC)からは、吹き飛んだのが離陸直後でなければ死者が出ていた可能性あり、事故機は燃費の点で人気機種だが安全性に疑問符がついていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
フライトのもっと遅い段階で不具合が起きていたら、様相は大きく違っていた可能性がある。
737MAXの巡航高度は約3万8000フィート(約1万1600メートル)となっている。
この高さだと機内と機外の気圧差ははるかに大きい。
もしここでドアが吹き飛んでいたら、突然の空気の流れはもっと激しく、死者を出した可能性があった。
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機内の温度も劇的に低下したはずだ。
このような高度の空気は通常、非常に冷たく、零下57度前後となっている。
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事故があった航空機は、ボーイングの主力機737の最新世代である737MAXの改良型だった。
この型は以前の型よりはるかに燃費がよくなるよう設計されており、航空会社にとっての人気機種となっている。
だが、安全に関する記録はひどく傷ついている。
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これらの事故により、全世界の737 MAXは1年半以上にわたって運航停止となり、問題の修正とさらなる安全性チェックが実施された。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/f64f70e307602095991f912ff449d43cf3734d25
1月9日7時39分にYAHOOニュース(中央日報)からは、音声記録装置は2時間で上書きされるタイプ、自動遮断装置が作動していなかったため事故時の音声は消えていた、直前3回の運航でも気圧異常警告があったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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米国家運輸安全委員会(NTSB)のホメンディ氏は、操縦室内での会話の内容や管制機関との交信内容を記録するCVRを分析した結果、事故当時の音声の上に別の録音が重なっていて、いかなる資料も捜すことができなかったと明らかにした。
ホメンディ氏はフライトレコーダーとCVRをNTSB研究室に送って判読を試みたが、CVRの以前のデータは消され、録音が再び始まる2時間地点までの資料が見つからなかったと説明した。
ホメンディ氏は「非常に混乱している」とし「CVRの自動遮断機が作動していなかった」と述べた。
航空機のブラックボックスの一つであるCVRは過去の録音が消されて、新しい音声が記録されるタイプのものであるため、NTSは録音時間を25時間まで延長する案を推進してきた。
あわせて今回の事故機は直前3回の運航でも気圧装置の異常警告灯の点灯が報告されていたことが分かった。
この表示灯点灯と事故の間に関連があるかどうかはまだ明らかになっていない。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/576efb4bd3194676d531d70b7f65dadc1aec4a4f
1月8日21時1分にYAHOOニュース(AFP)からは、事故機のドアプラグが発見されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米国家運輸安全委員会(NTSB)は7日、オレゴン州の学校教師が自宅の裏庭で事故機のドアの一部を発見したと発表した。
発見されたのは「ドアプラグ」だと述べた。
ドアプラグとは、座席数が少ない機体で不要な非常口をふさぐためのカバーパネル。
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NTSBはパネルに近い二つの座席には誰も座っていなかったと説明しているが、現地紙オレゴニアンは乗客の話として、この列に座っていた少年が突然の減圧でシャツを裂かれ、軽傷を負ったと報じた。
航空業界誌アビエーションウィークによると、航空会社が同型機で座席配置数の少ないモデルを選択した場合は、この部分の非常ドアを密閉することができる。
内側からは普通の窓のように見える。
737MAXシリーズは、2018年と19年に相次いで墜落事故を起こし、計346人が死亡。
世界中で運航が一時停止されていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/547fbc6e1b57a18e86080e272553c01907b825b5
1月9日8時50分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、他社が同型機を点検したところ窓などを固定するボルトが緩んでいた機体が10機近くあったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同型機を79機保有するユナイテッド航空は8日、機体の検査を行った結果、窓などを固定するボルトの緩みが見つかったと発表しました。
ロイター通信によりますと、ボルトが緩んでいた機体はこれまでのところ10機近くにのぼり、さらに増える可能性があるということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9a327416f588368c04b17ca55b76caefb717b505
1月9日22時14分にYAHOOニュース(Bloomberg)からは、まだ見つかっていない4本のドアパネル固定ボルトが原因究明の焦点となっているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米当局による調査では、所在を確認できていない4本のボルトが焦点に浮上している。
このボルトは、今回の事故で突然緩んだドアパネルを固定するためのものだった。
適切に締めてあれば、パネルを機体に固定する12個のストッパータブを越えてパネルが上方にスライドするのを防ぐ。
米運輸安全委員会(NTSB)のエンジニア、クリント・クルックシャンクス氏は8日夜の記者会見で、「パネルが垂直に動くのを抑える4本のボルトをまだ回収していない」と説明。
「ボルトがそこに存在したかどうか現時点で分からない」として、プラグを研究所に持ち帰ることで判明するだろうと述べた。
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NTSBの調査官によると、今回の事故ではドアパネルが上方に移動して外れ、機体の急速な減圧を引き起こしたと断定された。
https://news.yahoo.co.jp/articles/830bff35b70fcb221268ac421eba04b1ab2b704b
(2024年1月30日 修正1 ;追記)
2024年1月25日5時38分にYAHOOニュース(ロイター)からは、当該ドアプラグはボーイングが修理目的で取り外し、再度取り付けていたなど下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ボーイングが同機のドアプラグを修理目的で取り外し、再度取り付けていたことが分かった。
米紙シアトル・タイムズが24日、関係筋の情報として報じた。
ドアプラグは使わない非常口をふさぐための部品。
ロイターも先に、米航空機部品大手スピリット・エアロシステムズが製造した部品の取り付けと検査でボーイングが重要な役割を果たしていたと報じていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8b4ed9f1db9d2781a195b3d73817cce4bcfa7524
1月30日6時7分にYAHOOニュース(共同通信)からは、ドアプラグをボルトで固定していなかったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は29日、飛行中に胴体側面の部品が吹き飛んだアラスカ航空のボーイング製小型機737―9(MAXシリーズ)について、昨年10月末に納入された時点で部品を固定するボルトがなかったとみられると報じた。
ボーイング社などの関係者の話としている。
吹き飛んだ部品は、設計上非常口となっているが、座席の配置などの関係で非常口として使わない開口部をふさぐ「ドアプラグ」。
同紙によると、ボルトで固定された痕跡がなかった。
ドアプラグは西部ワシントン州の工場での最終工程でいったん取り外され、その際の作業で不適切な点があったという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0122100f3a99c507a371531c9d3fd3f2d2931c33
1月30日4時41分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、取り外したドアプラグを復旧する際にボルトを戻さなかったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは29日、工場から出荷した時点で、必要なボルトが取り付けられていなかった可能性があると報じました。
関係者の話として、ボーイング社などは、同社の従業員が機体の一部を取り外し、再び取り付ける際にボルトを戻さなかったとの見方を強めているということです。
FAA=アメリカ連邦航空局は、事故を受けて同型機の一斉点検と運航の一時停止を命じていましたが、24日、検査後の機体について運航再開を認めています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/47a0fc771eeef3d6bebc06e98a41892a0a6ce1f3
(ブログ者コメント)
ボーイング社の修理ミスが原因だった可能性が出てきた。
もし、そうだったとすれば、圧力隔壁の修理ミスが原因だった御巣鷹山日航ジャンボ機墜落事故とイメージは重なる。
(2024年8月8日 修正2 ;追記)
2024年8月7日11時33分にYAHOOニュース(CNN)からは、運輸安全委員会の聴き取りによれば工場の作業量が膨大だったり、機体製造会社の従業員とボ社従業員間の意思疎通に不具合などがあったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今年1月に飛行中の機体からドアプラグが吹き飛ぶ事故が発生した米航空機大手ボーイング「737MAX」の製造に携わった作業員らが、米国家運輸安全委員会(NTSB)による聴き取り調査に参加し、勤務の実態について明らかにした。
6日に公開された証言内容からは、迅速な作業を要求される現場の圧力の中、ミスが必然的に生じかねない状況だったことが示唆される。
NTSBの調査員らはボーイングの作業員に対し、同社の安全にまつわる問題について質問。
それが同社の機体を利用する乗客にとって何を意味し得るかを尋ねた。
NTSBは以前、ドアプラグが吹き飛んだ機体について、必要なボルト4本を装着しないまま工場を後にしたと述べていた。
聴き取り調査は事故後の7カ月をかけて行われた。
名前を伏せたある作業員は、工場での作業量が膨大でミスを防げないと主張。
過度に迅速な作業を目指すため、事故機を扱っていた際も多忙な状況だったと振り返った。
737MAXの胴体は、スピリット・エアロシステムズが製造してボーイングに供給している。
ボーイングの工場にはスピリットの従業員も作業しているが、聴き取り調査の記録によれば、彼らとボーイングの従業員との意思疎通はうまくいっていなかったという。
身元を明かさないスピリットの従業員は、NTSBの調査員に対し、「基本的に、我々は工場のゴキブリだ」と語った。
また工場の指揮を担うボーイング側の従業員も、調査員に対し、従業員のモラルの低さや離職率の高さといった問題が存在するのを認めた。
離職率が高いのは過重労働によるストレスに起因する可能性があるという。
事故につながった作業ミスについては、刑事訴追に発展する可能性もある。
米連邦捜査局(FBI)は既に、当該の機体の乗客と乗務員に対し、刑事事件の被害者として扱う可能性があると通知している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b0c5afaaac2389611eb654067bbecebd27f7d1ee
【事故の概要】
2024年1月2日20時34分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都大田区の羽田空港のC滑走路で、日本航空(JAL)の516便から発火、炎上した事故について、政権幹部によると、JALの機体と衝突したのは海上保安庁の飛行機だった。
海保の飛行機は能登半島地震の被災地に救援物資を届ける予定だったという。
海保の飛行機に搭乗していたのは6人で、うち5人の死亡が確認された。
JALや東京消防庁によると、516便の乗客・乗員計379人全員が脱出し、うち4人が負傷した。
海保や東京消防庁によると、海保機も炎上。
警視庁によると、搭乗していたのは6人で、機長1人が負傷、5人の死亡が確認された。
https://www.asahi.com/articles/ASS126CW1S12UTFK010.html
【海保機への指示は「1番目、滑走路停止位置まで走行せよ」】
1月6日1時0分に産経新聞からは、管制官から海保機には1番目で滑走路停止位置まで走行せよとの指示だった、副機長も聞いていたはずなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
交信記録によると2日午後5時45分、管制官が「1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください」と海保機に指示。
機長は8秒後に「向かいます」と復唱したが、そのまま滑走路に進入し、約40秒間停止。
直後に着陸した日航機と同47分に衝突した。
海保関係者によると、当時、海保機には機長と死亡した5人の計6人が搭乗。
全員がヘッドホンとマイクが一体化した航空用ヘッドセットを装着し、管制塔との無線交信を聞き取れる状況だった。
通常、管制からの指示は機長と副機長が仰ぐことになっており、機長はこれまでの聞き取りに「許可を得て進入した」と説明。
その後の聞き取りで「他のクルーにも(管制指示を)確認した」と話したという。
国交省によると、離着陸の順番を示す管制用語に優先離陸を促す特別な用語はない。
海保機は能登半島地震の被災地へ支援物資を運ぶ予定だったが、交信記録には滑走路への進入を許可した記載はなかった。
https://www.sankei.com/article/20240106-WUBKW2V5BBNHXMJXBM3RUYXNIY/
【長く停止していたため機体の灯火が他の灯火と混じってしまった?】
1月4日21時25分にNHK首都圏からは、NHKのカメラによれば海保機は誘導路から止まることなく滑走路に出た、滑走路での停止時間が長かったため機体の灯りが他の灯火と混じってしまった可能性も考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海上保安庁の機長は事故のあと、「エンジン出力を上げたところ後ろから突っ込まれた」と話していることが関係者への取材でわかりました。
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専門家は、日本航空機のパイロットが事故を避けるための時間は一定程度あったとしたうえで、「長く停止していたことでかえって見えづらくなった可能性もある」と指摘しています。
NHKが羽田空港に設置したカメラには、事故を起こした海上保安庁のものとみられる航空機の衝突前の様子が映っています。
この航空機は誘導路からほとんど止まることなく、C滑走路に進入しています。
そして、滑走路に入ったあと、日本航空機と衝突するまで滑走路上でおよそ40秒間、停止していました。
日本航空の元機長で航空評論家の小林宏之さんは、「停止していた時間が比較的長かったことで機体の明かりがほかの灯火と混ざってしまい、かえって日本航空機のパイロットや管制官から見えづらくなった可能性がある」と指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240104/1000100732.html
【滑走路と誘導路の管制官は別、当時は2~3分に1本離着陸】
1月6日5時0分に朝日新聞からは、C滑走路は滑走路と誘導路を別の管制官が担当、当時2~3分に1本離着陸していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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当時、管制塔全体は14~15人の管制官で担当していた。
事故が起きたC滑走路は、滑走路と誘導路をそれぞれ1人ずつで担当していた。
現状では、管制官は1人で複数の機体を監視している。
事故当時、C滑走路では、2~3分に1本のペースで航空機が離着陸していたという。
https://www.asahi.com/articles/ASS157FMLS15UTIL011.html
【ハリーアップ症候群の可能性も】
1月5日20時32分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、背景にハリーアップ症候群があるかもしれないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中部国際空港や那覇空港で管制官をしていた田中さんに、管制官の目線から事故をひも解いていただきます。
田中さん:
「様々ある背景の中で一因として考えられているのが、「ハリーアップ症候群」です。
急ぐがあまり通常の判断ができない、あるいは自分に都合の良い解釈をしてしまう衝動で、その可能性があると思います。」
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https://news.yahoo.co.jp/articles/5dcc9252d15e7565e56b01a509a17706edc7596a
【画面の注意表示を見落とし?混雑ゆえ同じ滑走路で離着陸運用】
1月6日21時41分に毎日新聞からは、着陸機接近中に離陸機が滑走路に出ると画面に注意喚起されるが警報は鳴らない、混雑する羽田では着陸機接近中でも同じ滑走路から別機を離陸させる運用を行ってきたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
羽田空港には、レーダーなどを使って滑走路や誘導路を監視するシステムがあり、システムには「滑走路占有監視支援機能」という注意喚起を表示する機能がある。
着陸機の接近中に離陸する機体が滑走路に進入すると、画面上で滑走路が黄色に点滅し、機体は赤色に表示される仕組みだ。
警告音は鳴らないという。
当時もこの機能は正常に作動し、注意表示も出ていたとみられ、管制官が表示を見落とした可能性がある。
ただ、注意表示は今回のような重大事故につながる事態のみに出るわけではない。
航空機の発着が多い羽田空港では、着陸機が接近している場合でも、着陸前に同じ滑走路から別の機体を離陸させる運用を普段から行っており、こうした際にも注意表示が出ることがあるという。
この点、国交省の担当者は、「管制官が機体の位置を常時把握するという規則はなく、画面を凝視することを求められるものではない。モニター画面は目視での監視を補助するものだ」と説明する。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20240106/k00/00m/040/220000c
【機体は炭素繊維強化複合材製だった、今後安全への寄与度を検証】
1月5日15時35分にニューズウイークからは、機体が炭素繊維強化複合材製だったことにも注目が集まっているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故は、炭素繊維(カーボンファイバー)で強化した複合材を使った新世代旅客機の大火災時の安全性を検証する初めての機械になろうとしている。
・・・
A350は、胴体や尾翼と主翼の大部分など全体の53%に炭素繊維強化複合材が使われている。
複数の専門家は、機体構造が維持されていた間に、乗員乗客全員が安全に脱出したという事実は、特別な条件付きで認証されたこの複合材に対する信頼を新たにすることになると話す。
とはいえ、現時点ではまだ、A350の外殻がどのように火災から一定時間持ちこたえたのか、あるいはどんな技術的教訓が得られるか、全面的な結論を導き出すのは時期尚早だとくぎを刺した。
・・・
航空業界の情報を扱うフェルム氏は、炭素繊維強化複合材の機体はアルミ製機体に対して幾つかの優位性があると説明する。
例えば、アルミは摂氏約600度で溶解して熱を伝導するが、炭素繊維はその約6倍の高熱に耐え、溶解せず炎も出さずにくすぶり続けるという。
・・・
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/01/post-103344.php
【過去事例の教訓が活かされ消火開始まで4分だった】
1月6日16時58分に産経新聞からは、衝突4分後に消火活動を開始していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
空港消防は衝突4分後に消火活動を開始していた。
・・・
常の消防車両とは異なり、いち早く現場に着くために100キロ以上のスピードが出る「空港用化学消防車」を使用。
走行しながらの消火活動ができるほか、強力な放射力を有するという。
・・・
平成19年に那覇空港(那覇市)で起きた中華航空機の炎上事故を機に、国交省はすべての空港で消防車の通行訓練を行うことを通達。
管制官との連携などを強化している。
離着陸の多い羽田空港では夜間帯などに定期的に行われているという。
https://www.sankei.com/article/20240106-QLK5LQCDZRLTXPYX4SZMD6EYGI/
【CAが自己判断でドアを開けたのは想定外にも備えた訓練の成果】
1月3日22時53分にYAHOOニュース(J-CASTニュース)からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海保機に乗っていた6人中5人が死亡する一方で、JAL機は乗客乗員379人の全員が脱出に成功した。
国外でもこの事故への注目度は高く、この脱出劇を「奇跡」だと評価する報道が相次いだ。
・・・
後方のCAは、さらに踏み込んだ判断を迫られた。
安全推進本部長の堤氏によると、「前方からの(脱出)指示を待っていたが、ないということだった。着陸の際に機内に煙が入り始めて、かなり濃い煙が充満してきたということだ。外を窓越しに見たところ、オレンジ色のものが見えたので、火だと認識した」。
右側後方のR4は「火が見えたため開けられない」として、他のドアに誘導。
左側後方のL4は「火災がなく、脱出シュートを展開する余裕もあった」ため、ドアを開けた。
本来ならば機長の指示が必要だが、インターホンが使えないため、「最終的に脱出指示を自分で判断してお客様を外にご案内した」という。
ただ、こういった手順は事前に決まっており、その手順を訓練してきた成果が出たとみている。
さらに、パニックを抑えながら、どのドアを開けるべきか適切に判断できたと評価している。
「非常事態に関してもしっかりと訓練を受けており、その中のプログラムで、コックピットと連絡がつかない場合、どう判断するかということも、もちろん盛り込んである。そういった訓練を通して、日々ケーススタディーをしながら備えてきた成果が出たと評価している」(堤氏)
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/fdaf832374d6dc3f09da117f2943546e8be3c2fe
【JAL乗務員訓練の質は非常に高い】
1月8日6時1分にYAHOOニュース(FLASH)からは、JALの訓練の質は非常に高い、社員研修にも注力など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
世界中で “奇跡” と称されている脱出劇の要因を「CAらが夢に出てくるほど頭に叩き込んだ『STS五項目』の徹底」と語るのは、航空評論家の秀島一生氏だ。
秀島氏の言う「STS五項目」とは、離着陸の際の必須確認事項のことだ。
(1)衝撃防止の体勢
(2)乗客のパニックコントロール
(3)脱出可否の判断
(4)脱出経路の調整
(5)脱出の誘導
からなる。
「『STS』とは、サイレント・サーティ・セカンズ―不測の事態に備える『沈黙の30秒』という意味です。
この間に、脱出経路や手順を的確に判断する。
今回の脱出は、そうした日ごろから意識していた基本がうまくいったからでしょう」
実際、複数の航空評論家が「JALの訓練の質は非常に高い」と口を揃える。
・・・
JAL元パイロットの杉江弘氏は「緊急脱出に関する訓練と施設は、JALが飛び抜けている」と太鼓判を押す。
「JALの場合、パイロットとCAは、年に一度の厳しい訓練を受けないと、搭乗できないという規定になっています。
訓練施設には、CAがもたもたしていると怒鳴る『鬼教官』がたくさんいて、指導が厳しいことで有名です(笑)。
施設内には巨大な屋内プールがあり、海上着水を想定し、救命いかだを出して飛行機から避難する訓練をするんです。
私が知っている限り、海外でもプールまで造っている航空会社はありませんよ」
・・・
JALの人材育成を、人事ジャーナリストの溝上憲文氏はこう評価する。
「JALは、人材育成にお金と時間をかける会社になったんです。
顕著なのは、社員一人あたりの研修費用。
一般企業では、一人あたり平均3万円といわれますが、2018年度のJALは約47万円なんです」
コロナ禍、CAが家電量販店のノジマに出向した際、『接客態度が素晴らしい』と、お客さんから店にお礼の手紙が届いたといいますよ」(同前)
破綻企業から、人材育成に注力する優良企業に――。
「奇跡の脱出劇」は、再建された社風から生み出されたものだった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1239929c548da110ed81cb61831b916d6e945917
【奇跡の根幹に90秒ルール】
1月3日12時33分にYAHOOニュース(ハフポスト)からは、44席以上の旅客機は特定の条件下で90秒以内に脱出できることを実証すべしというルールがあり、そのルールにのっとってJALも訓練しているらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
航空界には「90秒ルール」と呼ばれる世界基準がある。
アメリカ連邦航空局(FAA)が1967年に航空機メーカーに出した要件で、44席以上の旅客機については、いずれの機種でも特定の条件下で90秒以内に全員が脱出できることを実証しなければならないというもの。
航空機がお客さんを乗せて商用運航するには、FAAが機種ごとに出すお墨付きが必要になる。
航空機メーカーは、このお墨付きなしでは、製造した機体を旅客機として販売することができない。
90秒ルールを満たしていると示すために、航空機メーカーは実際の機体を使って緊急脱出ができると実証するか、試験と分析を組み合わせて実証するかの、いずれかの方法を用いなければならない。
実機を使っての実証では、照明や乗客役として参加しているボランティアの属性、通路に置かれたバッグや枕、毛布といった障害物の位置などについて細かな条件が設定されている。
具体的には、照明は薄暗がりであること、乗客は男女が混じっていること(4割以上が女性であること)や35%が50歳超であること、2歳以下の幼児がいるという想定で、実物大の人形3体を抱えること。
さらに、出口の半分が使えないという条件のもとで90秒で乗客全員を脱出させられると証明することが求められている。
JALもこの基準にのっとって訓練しているとされ、すべての乗客の命を救った。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/17b7040ff34fbcb6d495c6e158a2ac6fc1db0284
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
【JAL機長が機体を滑走路上に停止させたことが避難成功の最大要因】
1月5日20時33分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、避難成功の最大要因は滑走路で停止できたこと、それを成し遂げた機長の技術は素晴らしいという趣旨の下記記事がネット配信されていた。
・・・
元日本航空機長・小林宏之さん:
「今回の避難が成功した一番の重要なところは、滑走路で停止できたこと」
「緊急避難は機長が完全に飛行機を停止して脱出を決断するので、停止できなかったり、それたり、海に落ちていたら避難はできないので」
現場を上空から見てみると、すぐそばには海が・・・。
衝突の衝撃で、海に落ちる危険性もありました。
小林宏之さん:
「相当難しかったと思う。
ただでさえ離陸・着陸の時に、センターレーンをキープして走るのはかなり難しい。
色々な状況が悪かったと思うが、その中でしっかりセンターラインをキープして滑走路内で停止させたのは機長の技術だった」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e166aa2c6717e556954d89082805b4ca898afe8
【機内の様子;CAは冷静に対応、取り乱している乗客もおらず】
1月5日7時1分に読売新聞からは、CAは冷静に対応、周辺に取り乱している乗客はいなかったという乗客の証言が、下記趣旨でネット配信されていた。
乗客の男性(63)が、当時の様子を語った。
・・・
機体は間もなく停止したが、主翼のエンジン部分が発火しているのが窓から見え、「やばい」と感じた。
客室乗務員(CA)が冷静に対応し、取り乱しているような乗客は周辺にはいなかったという。
数分後に避難誘導があり、パソコンや財布などが入ったリュックを置いて前方右側の脱出用シューターに向かった。
座席から近かったため、比較的早めに脱出できたが、シューターを滑り降りる際、途中で止まる乗客もいて避難の流れはやや詰まった。
「機首が傾いていたからか、シューターの角度が緩くなっていた」という。
脱出後は、人数把握のため、10人ずつ手をつないで円陣を組むようCAから指示された。
その後、機体への放水をいったん終えた消防車の後ろについて滑走路を横断するなどし、午後7時頃、ターミナルビルの出発ロビーに到着した。
ここで、日航社員から住所や氏名などを書く連絡用の紙を渡された。
・・・
男声は「荷物を取り出そうとする人は、少なくとも自分の周りにはいなかったし、落ち着いて避難していた。」と話していた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240105-OYT1T50040/
【茨城空港ではスカ社が契約していたバスで乗客を送迎】
1月5日17時54分にNHK茨城からは、茨城空港では臨時着陸したスカイマーク2機の乗客を、事前に協力契約していたバス会社のバスでJR駅に送迎したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新千歳発羽田行きのスカイマークの2便は、目的地を茨城空港に変更して午後6時32分と38分にそれぞれ着陸し、乗客あわせておよそ350人が降り立ちました。
到着後の時間帯は路線バスの運行がありましたが、会社などによりますと、乗客へ補償の対応が続いて、乗客はすぐには空港を離れられなかったほか、急きょ乗客が増えたため、路線バスを使うのも難しい状況でした。
このとき、SNS上では緊急対応を評価する声の一方、茨城空港一帯は農地が広がっていて交通機関が乏しく、周辺にホテルや飲食店が少ないことを心配する声も上がっていました。
こうした中、関東鉄道によりますと、スカイマークの依頼を受けてバス会社3社のバス8台が希望する乗客全員を最寄りのJR石岡駅まで輸送しました。
スカイマークによりますと、運航の遅延や行き先変更などに備えて、バス会社に協力を求める契約を事前に結んでいて、年始でもバス会社の協力を得られたことから、スムーズな対応につながったとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20240105/1070023116.html
【ペット同乗可否で議論沸騰】
1月4日16時4分にYAHOOニュース(女性自身)からは、ペット2匹が貨物室にいたということでペットを機内に同伴したいという意見とそれに反対する意見が出ているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故をめぐって、ネットを中心に議論が巻き起こっているのは“ペット問題”だ。
「SmartFLASH」が3日に公開した記事によれば、JALの広報部は衝突した日航機にはペットの預かりが2件あったと明かしている。
・・・
記事が掲載されたYahoo!のコメント欄には、すでに7500件以上ものコメントが書き込まれている。
“ペットは家族の一員”との考えから、緊急時にペットと避難できるよう、客室に同伴させるべきだと考える人も少なくない。
オンライン署名サイト「change.org」では、今回の事故を受けて、「飛行機のペット貨物室積み込みを禁止しましょう」というタイトルで署名が1月2日より始まっており、4日15時時点で1万6000人以上の署名を集めている。
その一方で、動物が苦手な人やアレルギーを持つ人もいることから、反対の声も上がっている。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6b95753e7df0f78c4836f85d22218e8e824150f
【事故原因究明に支障をきたす警察の捜査に航空団体から注文】
1月5日12時22分にYAHOOニュース(乗りものニュース)からは、航空安全連絡会議は報道機関などに憶測コメント排除を要望、また事故原因ではなく犯罪有無に主眼を置く警察の捜査についても注文をつけたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
航空関係のさまざまな労働組合からなる民間団体、JFAS(航空安全推進連絡会議)は2024年1月3日、前日に羽田空港で起きたJAL機と海上保安庁機の衝突炎上事故に関して、緊急声明を出しました。
要望というのは、憶測を排除し、運輸安全委員会による慎重かつ正確な事故調査が実施されるべきであるという内容です。
これに関連して、報道機関やSNSなどでのコメントは、憶測や想像を排除し、正確な情報のみを扱うように、というものでした。
またJFASは、警察の捜査に関しても注意が必要との内容を明記しています。
それによると、日本国内で航空機事故が発生した場合、警察が事故原因を特定することを目的に捜査することが通例ですが、これはICAO(国際民間航空条約)が求める事故調査ではないとのこと。
これまで日本において発生した航空機事故では、警察が調査したことで原因の究明に大きな支障をきたしたという事例がいくつもあったと明言しています。
警察の調査はあくまでも犯罪捜査であり、事故原因を究明するための捜査ではないとしています。
日本では、運輸安全委員会の事故調査結果が刑事捜査や裁判の証拠に利用されるものの、これについても明らかな犯罪の証拠が認められる場合を除いて、調査結果の利用を禁止するICAOの規定に逸脱した行為になり、容認できないと断言しています。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/dfef857e746c902da51da968a57094964d61a668
(ブログ者コメント)
まさか1月1日能登大地震の翌日に、このような大事故が起きるとは・・・。
それも、能登大地震に関連する事故だったとは・・・。
2024年は大変な年になるかも・・・と感じたのはブログ者だけではないだろう。
2023年8月31日15時41分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年12月、天草市五和町の天草空港で、離着陸を繰り返す操縦訓練を行っていた小型機が着陸の際、前輪と機体をつなぐ脚が滑走路などと接触して破損する事故がありました。
乗っていた教官と訓練生2人のあわせて3人にけがはありませんでしたが、国の運輸安全委員会が原因などの調査を進めていました。
31日、公表された調査報告書によりますと、操縦していた訓練生が教官の指示を受けて着陸を中断し、高度を再び上げようとした際に操作を誤り、機首が下がったことが原因とみられるということです。
この訓練生は、この小型機の右側の席で操縦したのは初めてで、エンジンのレバーの操作を行うにはふだんとは反対側の手で行うべきところを、誤って同じ手を使ったため、操縦かんを操作してしまった可能性が考えられるということです。
国の運輸安全委員会は、再発防止策として、慣れていない操縦席で訓練を行う場合には、ふだんと操作や計器の見え方が違うことなどを理解し、事前に十分な準備を行ったうえで、訓練に臨む環境を用意することが必要などとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20230831/5000020048.html
(ブログ者コメント)
以下は、報告書の抜粋。
ポイントとしては、こんなところだろうか・・・。
・会社は訓練生が右席で操縦する場合の要領規定を設けていなかった。
・右席と左席でパワーレバーと操縦棹の位置が反対になっていた。
・右席訓練の実施が前日に決まったため準備が不足していた
・・・
2.事実情報
・・・
発生した事象及び関連情報
・・・
(4) 同機の操縦席
左操縦席正面には、プライマリー・フライト・ディスプレイ(PFD)が装備されており、飛行に必要な情報(姿勢、速度、機首方位、高度など)を表示する。
PFDの右側には、マルチ・ファンク ション・ディスプレイ(MFD)が装備されており、 エンジンや電気系統などのシステム情報及び航法に必要な情報などを表示する。
同機の操縦桿はサイドコントロール式である(図 4参照)。
操縦桿を前後に操作してピッチ方向の操縦を行い、操縦桿を左右に傾けてロール方向の操縦を行う。
(5) 右席操縦に関する同社の規定
同社は、操縦教育証明を有する操縦士を社員として採用し、訓練することが主であったため、採用後に操縦教育証明を取得する操縦士が、訓練生として右席で操縦する場合の要領などに関する規定を設けていなかった。
3.分析
(1) 接地時の状況
機首が下がったことについては、同機が復行を試みた際に、訓練生Aが操縦桿を前方に押したこ とによるものと考えられる。
操縦桿を前方に押したことについては、左席で復行操作を行う場合、操縦士は右手でパワー・レバーを前方に操作することから、同型式機で初めて右席操縦を行った訓練生Aが、右手で操作していた操縦桿に対してパワー・レバーに対して行う操作を行った可能性が考えられる。
また、左席で復行操作を行う場合、機首上げのため、操縦士は左手で操縦桿を引くことから、訓練生Aが左手で操作していたパワー・レバーに対して操縦桿に対する操作を行い、パワー・レバーを手前に引いた可能性が考えられ、同機のエンジン出力の減少(図1②参照)が同機の機首下げに関与したものと 考えられる。
機長は、訓練生Aに対して復行を指示した際に、同機の機首が下がったため、再度復行を指示しているが、接地までの時間を考慮して機首が下がった時点でテイク・オーバーすべきであったもの と考えられる。
(2) 訓練生の右席操縦
訓練生Aは、自らの意思で本事故時の訓練を右席での操縦により行うことにしたが、同訓練の実施の決定がその前日であったことから、左右の操縦席での操作や計器の見え方の相違などを踏まえた右席で操縦を行うための準備が不足していたものと考えられる。
また、同社が訓練生Aのような新たに操縦教育証明を取得する操縦士の教育・訓練についての具体的な要領を準備しておらず、右席での操縦訓練の可否に係る判断は、教官に任されていたものと推定され、また、訓練生が行う右席操縦への教官の準備も不足していたものと考えられる。
・・・
https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/AA2023-5-4-JA01TC.pdf
2023年3月26日11時2分にYAHOOニュース(JB press)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
緊急着陸し、脱出スライドで乗客を避難させたが、うまく着地できず重傷者1人を含む5人がけが――。
今年1月7日に爆破予告を受けて中部国際空港に緊急着陸したジェットスター・ジャパン501便の事故は記憶に新しい。
国土交通省が担当CA(客室乗務員)らに事情聴取を実施したが、そもそも、成田空港会社が爆破予告の電話を受け取ってから離陸までするまでなぜ機長に知らせなかったのか、警察への連絡がなぜ遅くなったのかなど、疑問は解消されていない。
さらに、保安要員でもあるCAの配置には課題が残ったままなのは、日本の航空各社に共通する。
航空当局や航空会社は、緊急時への対応をあらためて見直す必要がある。
【客室乗務員の対応に問題はなかったが・・・】
事故では、荷物を持ったままドアに向った乗客もいたとされており、国交省は、1月12日からジェットスターへの安全監査を実施して避難誘導の状況についても調べてきた。
最終的に当局は、CAたちは「マニュアル通りに対応していた」と、業務に問題はなかったと結論づけたが、肝心なことが分かっていない。
この緊急脱出に至ったのは、成田国際空港が爆破予告の電話を受けてから当該機が離陸するまで17分もあったのに、機長やジェットスターに連絡を入れなかったことも一因である。
いったいこの17分間に何をしていたのか。
たしかに、テロ予告が本物か偽物かどうかを判断するには時間が必要であろう。
しかし、とりあえず安全サイドに立って機長に一報を入れることは、危機管理のイロハのイであるはずだ。
その予告電話の1週間ほど前にも、台湾の航空会社が運航する便について成田空港に同様の爆破予告があり、それはいたずら電話であった。
いずれも言語が英語で発信元がドイツだったと報道されている。
ジェットスター機への予告電話があったときに、そうした情報も含め機長に伝えていれば、違った結果になっていたかもしれない。
【「90秒脱出ルール」を守るためには】
中部国際空港に緊急着陸した後、滑走路から出たすぐの誘導路上で脱出スライドを使った緊急脱出を実施し、コンクリート上の地面に身体を打ちつけるなどしてけが人を出したわけだが、全ての情報を共有していれば、機長が誘導路上ではなく駐機場でまで進み、タラップをつけて乗客を脱出させる方法をとったかもしれない。
加えて、中部空港署に当該機が緊急着陸をするという一報が入ったのは、中部国際空港に着陸するわずか5分とはいったいどういうことなのか。
当時の飛行高度から降下し、空港に進入するには20~25分かかる。
機長が中部国際空港に着陸する意思を管制官に伝えたのは降下の前になるから、20分以上も中部空港署に伝達されなかったことになる。
当局は、こうした経緯についても明らかにすべきであろう。
航空界には、どの航空機であれ、機長が緊急脱出の指示を出してから90秒以内に全乗客を機外に脱出させなければならないとする、いわゆる「90秒ルール」がある。
条件としては、全てのドアの半分を使ってとなっている。
いざ脱出開始となれば、脱出口付近のCAは乗客に向って「ベルトを外して! 荷物を持たないで! ハイヒールを脱いで!」とコールしながら、ときに脱出をためらう乗客の背中をポンと押すようにして脱出スライドに飛び乗ることを催促する。
脱出スライドと地面との間には段差があり、うまく足を伸ばして地面に立たないと危険なことにもなりかねない。
ジェットスター機の事例では、1人が尻もちをついて骨折した。
【重傷者のほとんどが硬い地面で骨折】
そのためCAは、機内から脱出スライドを滑り降りてくる乗客を援助できそうな乗客を選んで、協力を依頼することも重要な任務となっている。
このように、CAは機内で飲食などのサービスを行うほか、保安要員として重要な役割を担っていることを認識する必要がある。
5年前に運輸安全委員会は約1500件の航空事故等調査報告書を公表しているが、このうち14件が脱出スライドを使ったもので、うち13件で乗客が負傷している。
それによると、非常脱出がとられた理由は、機のオーバーラン(滑走路逸脱)といった正常な着陸ができなかった事象や、火災等の発生によるものである。
そのほとんどの事例で、脱出時に負傷者が発生している。
重傷者34名の負傷箇所をみると、胸椎、腰椎や骨盤などの骨折が27名で、全体の8割近くを占めていることが分かる。
その全てが、滑走路や誘導路、スポットといった地面の硬い場所で脱出スライドを展開したケースであった。
そして、具体的な負傷の状況の例は以下の通りである。
▽脱出スライド終端から飛び出すように着地し、腰を痛めた
▽保護者の腕から離れて地面に落下し、骨盤を骨折した
▽地上で援助してくれる人もなく、まともに腰から落ち、腰を打撲した
▽後続の乗客に前へ飛ばされ両手をついて倒れ、足首を骨折した
▽滑降時、他の乗客のスーツケースが当たり、指を骨折した
▽スピードがついたので、身体がはじき飛ばされ、手を骨折した
重傷者を性別、年齢別にみると、男女比では女性が、年齢は50歳以上が多い傾向が見られる。
【不安を口にする現場のCA】
航空会社では、脱出時のけがを防止するための注意点として、次のような注意を促している。
〇スライド手前で立ち止まらず、ジャンプしてお尻をつき
〇上体を起こして、両手を前に突き出し
〇足を肩幅に広げ、つま先を上にし
〇着地点をしっかり見ること
しかし、非常時には必ずしもこのような体勢を取れない場合があるため、脱出スライド下で援助する人が重要となる。
1月のジェットスター機の事故を受けて、現場のCAたちはテロへの恐怖とともに、脱出時の安全確保の重要性をあらためて感じている。
その1人がインタビューに答えてくれた。
「保安要員でもあるCAは、日本では約98%が女性ですが、欧米航空会社のように男性が3~4割いてもいいのではないでしょうか。
私たちは訓練所で緊急脱出の要領をくり返し教育、訓練されていますが、航空会社によっては、そもそも非常口にCAが配置されていないドアがあり、これではお客様に援助をお願いすることもできません」
これはどういうことか。
【国交省の規定はICAOの推奨未満】
機材によっては、1人のCAが2つのドアを担当するケースがあるというである。
具体的に言うと、ANA、JALで使用されているボーイング787には8つのドアがあるのに、乗務するCAが6名ないしは7名の編成になっていることがある。
ほかにも、ボーイング737を運航するエア・ドゥ、エアバスA320や同321を運航するANA、ジェットスター、スターフライヤーで、CAの数がドアの数に満たないことがあるようだ。
国連の航空分野の組織であるICAO(国際民間航空機関)から、1ドア1名を推奨する指針が出ている。
これに対し
JALでは「指針については認識しているが、航空局が認可した条件で訓練を実施し、編成数は安全面のみならず、機材特性、サービス内容及び法的要件等を勘案して決定している」、
ANAは「国の規定になっているので、(配置見直しは)検討していない」としている。
国交省の規定では、座席50席に対しCAは1名でよいとしており、1ドア1名を推奨するICAOとは異なっている。
【障害者を脱出させる方法は決められていない】
考えるべきことは、ほかにもある。
以前の本コラム記事「小さくなる旅客機の座席は緊急脱出の妨げか? 障害者の安全対策も議論すべし」でも触れたが、現場のCAたちは、車椅子旅客をはじめとする障害者の安全に脱出についても不安も抱えている。
搭乗する障害者の数は年々増加しているが、実は、CAたちがどのようにして脱出口まで誘導して、安全に機外に脱出させるかの手順は何も決められていない。
定められているのは、機材ごとに搭乗できる障害者の最大人数と座席の位置である。
それらは、緊急脱出時に他の乗客の脱出の妨げにならないことを目的としていて、CAの配置数から計算されたものではない。
とりわけ、付き添い人のいない障害者の脱出には、CAの援助も不可欠の場合もあろう。
しかし、何事も不幸な事故が起きてから初めて検討に乗り出す現在の国や企業の現状を改め、前もって対策を講ずる必要がある。
車椅子旅客の数は羽田空港を参考にすると、2022年は1カ月平均102件だった。
何かあったらどのように機外に脱出させるか決めておくことは、喫緊の課題である。
それは当事者のみならず、保安要員であるCAたちの不安を解消させるものでなくてはならない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5dc0d572b04940549a3082975944c72a21bc803a
(ブログ者コメント)
1月7日のトラブルは本ブログでも紹介スミ。
2023年1月21日掲載
『[昔] 2023年1月7日 爆破予告を受けた旅客機からの脱出時、1人重傷4人軽傷、シューター下で補助する人はおらず、手荷物を持ったまま、あるいはハイヒールで脱出した乗客もいた(修1)』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/12993/
2022年3月14日11時55分にNHK島根から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
益田市にある石見空港に、航空機と鳥が衝突する「バードストライク」を防ぐため、高い周波の音を活用した新しい装置が設置されました。
この装置は、岡山理科大学の辻維周教授が民間の会社と協力して開発したもので、12キロヘルツから15キロヘルツの高い周波の音を半径200メートルの範囲で出すことで、カラスなどの鳥を近づかせない効果があるということです。
航空機と鳥の衝突は「バードストライク」と呼ばれ、機体が損傷したりエンジンが停止したりするなど、深刻な事態を招くおそれがあり、新しい装置によって、空港の職員が滑走路をパトロールするこれまでの対策より効率的な対応ができることが期待されています。
岡山理科大学の辻教授は、「高周波で鳥を近づかせないという仕組みは全国的にも珍しいと思うので、この装置で少しでも事故の危険性が下がれば、新たな可能性も見えてくると思う」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/matsue/20230314/4030015502.html
(2023年4月7日 修正1 ;追記)
2023年4月6日23時14分にYAHOOニュース(Aviation Wire)からは、設置した翌日から鳥の侵入がほぼなくなった、2週間経っても同様、鹿やイノシシ、クマ用の装置もあるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
島根県の萩・石見空港で、バードストライク対策として鳥が近寄らないよう、高周波を発する装置「鳥ソニック」の試験運用が行われている。
岡山理科大学教育推進機構ロードエコロジー研究室の辻維周(つじ・まさちか)教授がT.M.woks(山梨・南都留郡)と共同開発したもので、辻教授によると設置翌日から鳥の侵入がほぼなくなったという。
鳥ソニックの原型となった装置は、シカなどの野生動物が道路で自動車にひかれて亡くなる交通事故「ロードキル」を防ごうと開発された「鹿ソニック」。
動物が嫌がる高周波を発生させ、自動車に近づかないようにする装置で、T.M.woksが開発し、ロードキル対策を研究してきた辻教授が2018年から協力している。
高周波を発する鹿ソニックと鳥ソニックのほか、低周波を使ったイノシシ用「いのドン」、クマ用「くまドン」も誕生している。
萩・石見空港には、ターミナルビル屋上に鳥ソニックを3月14日に1基設置し、午前7時から午後7時まで運用。
農地に飛来するカラスや、海苔(ノリ)の芽を食べてしまうカモ対策として開発したものを、バードストライク対策に転用できるかを検証している。
鳥ソニックの電源はソーラーパネルで、高周波を出すスピーカーは1ユニット2個入りのものを4ユニット設置。
有効距離は120度200メートルで、周波数12khzから15khzの高周波をランダムに発射する。
辻教授は「設置型はどうしても(動物や鳥に)“音慣れ”が発生しますが、周波数や発射パターンを変更して対応します。人体やペットなどにも影響はないことを確認しています」と話す。
試験運用の開始から2週間ほどたったが、「設置翌日から鳥の侵入がほぼなくなり、今ではバードスイープ(鳥の追い払い)も不要になったそうです」(辻教授)と、手応えを感じているといい、検証を続けている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f07015bccec5d7ddc9cbd26fafe70bc549ab95f
2023年1月23日19時44分にTBS NEWS(宮崎放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空は、今月7日の羽田発宮崎行きの便で60代女性の乗客が機体が揺れた際に胸を打ち付け、ろっ骨を折る重傷を負ったと発表しました。
日本航空によりますと、今月7日、羽田発宮崎行きの687便が着陸に向けて降下中、機体が揺れて、60代女性の乗客が座席の肘かけに胸を打ち付けました。
女性はろっ骨を折る重傷を負ったということです。
当時、シートベルトの着用サインは点灯していて、けがをした女性はシートベルトを着用していました。
乗客と乗員はあわせて140人で、この女性のほかにけが人はいませんでした。
国土交通省は23日に航空事故と認定し、今後、運輸安全委員会の航空事故調査官が日本航空に派遣されることになっています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/mrt/289875?display=1
1月23日16時53分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、数日後まで痛みがあったので病院を受診し骨折が判明したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空は今月7日、羽田発宮崎行きの便で着陸直前に機体が揺れ、乗客1人が肘掛けに胸を打ちつけ肋骨を骨折する事故があったと発表しました。
今月7日、羽田発宮崎行きの日本航空687便が午前10時ごろに宮崎空港の着陸にむけ降下中、機体が揺れ、その衝撃から最後部に乗っていた60代の女性客が座席の肘掛けに胸を打ちつけたということです。
この乗客は、到着してから数日後も痛みがあったことから病院を受診したところ、左の第8・第9肋骨が骨折していたことがわかったということです。
日本航空は23日、女性側から診断書を受け取り、発表にいたったとしています。
国土交通省は、乗客のけがの程度が重傷と判明したことから、航空事故と認定しました。
この飛行機には乗客・乗員140人が乗っていましたが、他にけが人はいないということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff6ac73b26c12a32e29be9a4ccd6c9aed1bd3058
(ブログ者コメント)
可能性としては、シートベルトの締め方が緩かったことが考えられる。
ただ、着陸時ということで、CAが絞まり具合を確認して回ったはずだが・・・。
2023年1月13日14時55分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
成田発福岡行きのジェットスター・ジャパン機が爆破予告を受け、中部空港(愛知県常滑市)に緊急着陸した事件を受け、国土交通省が運航会社「ジェットスター・ジャパン」に対する安全監査を12日に始めたことが、国交省への取材で明らかになった。
斉藤鉄夫国交相は13日の閣議後記者会見で、「結果を踏まえ、国内の航空会社への指導をしたい」と述べた。
事件では、緊急着陸後の機内から乗客乗員が脱出シューターで脱出し、その際に乗客5人が軽傷を負った。
SNS(ネット交流サービス)には、ハイヒール姿や手荷物を持った状態で避難する乗客の画像が投稿されたほか、シューターの下で脱出を補助する人が不在だったとの指摘もあった。
これを受け、国交省は緊急着陸・脱出時の乗務員の指示や避難誘導が適切だったかどうか、ヒアリングなどを通じて確認する。
国交省などによると、爆破予告の電話は7日午前6時18分に成田空港を運営する成田国際空港会社にあった。
一方で、該当する機は午前6時35分に成田空港を離陸。
飛行中に連絡を受け、午前7時40分ごろに中部空港に緊急着陸した。
一連の対応について、斉藤国交相は「空港会社や航空会社では国の指針に沿って対応がとられていたことを確認しており、特段問題はなかったと考えている」とした。
そのうえで、「今回の事案を踏まえ改善すべき点がないか、不断に見直しをしていく」と述べた。
ジェットスター・ジャパンの担当者は、「(千葉県警による)捜査が行われていることもあり、コメントは控えたい」としている。
https://mainichi.jp/articles/20230113/k00/00m/040/117000c
1月13日22時16分に読売新聞からは、5人は擦り傷や打撲などの軽傷を負っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
成田発福岡行きジェットスター・ジャパン501便が爆破予告を受けて中部国際空港に緊急着陸した問題で、斉藤国土交通相は13日の閣議後記者会見で、同社に対する監査を始めたことを明らかにした。
脱出時に負傷者が出ており、誘導が適切だったかなどを調べる。
同便では、脱出用シューターで機外へ避難する際、乗客5人が擦り傷や打撲などの軽傷を負った。
国の指針などでは、シューターでの脱出時には、乗務員が乗客に、手荷物を持ったりヒールを履いたりしたまま利用しないよう周知することになっているが、一部乗客が手荷物を持つなどしていたという。
一方、爆破予告後の同社や空港の対応については、斉藤国交相は「特段問題はなかった」と述べた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230113-OYT1T50198/
※事案発生当日、1月7日18時12分にYAHOOニュース(乗りものニュース)からは、脱出時の光景を見た人の反応など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2023年1月7日、LCC(格安航空会社)のジェットスター・ジャパンが運航するGK501便(成田発福岡行き)が爆破予告の電話を受け、午前7時41分頃、中部空港へ目的地を変更して着陸。
乗客136人と乗員6人全員が緊急脱出したものの、脱出時に一部乗客に負傷者も発生しました。
これにともなってSNSなどでは、乗客とみられる人物による当該便からの脱出の様子がアップロードされ拡散されました。
ただ、そのなかには「旅客機からの緊急脱出時のルール」を逸脱したとみられる乗客の姿も確認でき、一部で議論を呼んでいます。
万が一、旅客機からの脱出をする際、その便に乗っていた乗客が取らなければならない行動の一部は
「手荷物をもたない」
「ハイヒールを脱ぐ」
「降りたあとに当該機からすぐに離れる」
というもの。
アップされた画像には、それらを守っていない乗客らしき人の姿が確認されています。
手荷物を持ったままの脱出は、通路をふさぎ、他の乗客の脱出の妨げになる可能性があるほか、脱出用のスライド(滑り台)を傷つけ、空気が抜けて使えなくなる可能性があり、後からくる人が脱出できなくなる可能性があります。
かかと部分が鋭利なハイヒールを履いたままの脱出がNGなのも、スライドを傷つけ、あとから脱出する人たちが助からない可能性があるためです。
また、このシーンが撮影されたのは、ターミナル側の駐機場エリアと見られ、誘導路に緊急駐機した機体から芝生の区画を挟んだエリアから撮られています。
この距離はわずか100m、もしくはそれにも満たないと推定され、もし本当に爆弾を積んでいた場合には、まさに「ひとたまりもない」といえるほどの至近距離です。
この光景を見た人からは、次のような声が上がっています。
・ルール違反だらけじゃん…
・離陸前の安全ビデオとかCAさんの話、まったく聞いてないんだろうね。
・こういう連中が他人を巻き込んでしまうんだよ!
・ちゃんとCAのいうことを聞きましょうね。
なお、ジェットスター・ジャパンでは、離陸前にCAが実演で、緊急脱出時の手順をフライトのたびに説明しています。
また航空会社でも、実演・もしくは機内ビデオを用いるなど、各社それぞれの手段で、フライトのたびに緊急時の脱出法について説明しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0c8d38cb7b2f8da5b9790f9a563c173328e29523
(ブログ者コメント)
かなり前、たしかジェットスターだったと思うが、非常脱出口の横の席に座ったことがあった。
前に座席がないので足は非常に楽。
ラッキー!と思っていると、そのうちCAが来て、「非常脱出時には誘導やシュート下で待ち受けるなどの手伝いを御願いします」的なことを言われた。
そういう経験があるので、今回の問題は、ルールやお願い事項を守らない乗客をどうするか・・・という点に尽きるような気がする。
対応としては、例えば、CAの指示を拒否・無視して手荷物を持ったまま、あるいはハイヒールを履いたまま脱出した人とか、脱出口の横の席に座っていたのにシュート下で待ち受けなかった人に対し罰則を設けることなどが考えられるが、ハードルは高そうだ。
(2023年2月11日 修正1 ;追記)
2023年2月10日19時2分に毎日新聞からは、負傷した5人のうち1人は尻もちをついて背骨が折れる重傷だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
1月に爆破予告のあった成田発福岡行きジェットスター・ジャパン501便が中部空港に緊急着陸したトラブルで、脱出シューターを利用して負傷した乗客5人のうち1人が重傷だったことが分かり、国土交通省は10日、航空事故と認定した。
運輸安全委員会は事故調査官3人を指名した。
ジェットスターや国交省によると、シューターで降下し、着地の際に尻もちをついた。
その後も痛みが引かず通院。
背骨の一部が折れていたことが判明した。
重傷者がいた場合、事故に認定される仕組み。
https://mainichi.jp/articles/20230210/k00/00m/040/318000c
11月23日22時12分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
23日午後7時前、成田空港の駐機場に止まっていた旅客機のタイヤから火が出るトラブルがありました。
ケガ人はおらず、運航への影響はないということです。
警察や成田空港などによりますと、午後6時50分ごろ、航空会社の従業員から「航空機のタイヤから出火し延焼中」と119番通報がありました。
消防車など合わせて8台が出動したものの、火は瞬間的に出ただけですぐに収まり、乗客などはすでに降ろした後だったため、ケガ人はいないということです。
この旅客機はカタール航空のもので、駐機場内で次の離陸のために整備士が点検を行っていたところ左のタイヤ部分から出火を確認し、消火器を使って消火したということです。
成田空港によりますと、このトラブルによる運航への影響はありません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/beda58f295df8065b7aa4e1ea7584debd9909e3b
(ブログ者コメント)
着陸時、タイヤから白い煙が出るのはよく見る光景。
滑走路との摩擦で発生した熱が原因だが、発火に至るケースは珍しいのではないだろうか?
しかも、着陸後しばらく経ってから・・・。
2022年6月7日6時31分にYAHOOニュース(元航空管制官の寄稿文?)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今年、1月には日本で小松基地を離陸したF-15が墜落、3月には中国で昆明から広州に向かう航空機が異常な急降下の後に墜落、5月31日にはネパールで空港を離陸後に観光地へ向かう途中で墜落と、航空事故が相次いで起こりました。
航空事故には、航空会社、航空機製造メーカー、航空管制機関など関係者の責任追求、航空機や乗客・遺族の保険・補償の査定といった、避けられない問題が付いて回ります。
そのため、各国の事故調査当局は「ブラックボックス」を回収し、事故原因を究明します。
事故や事故に繋がるインシデントの最重要証拠品であるブラックボックスについて、7つのポイントに絞って解説します。
【ブラックボックスは2つ、それぞれの記録内容】
ブラックボックスは、記録内容が異なる2つの機器から構成されます。
一つは航空機の飛行データの記録機器(パイロットの操作、速度、高度、経路、航空機の姿勢など)で、フライトデータレコーダと呼ばれます。
もう一つは音声記録機器(コックピット内の会話や航空管制官との無線交信など)で、コックピットボイスレコーダと呼ばれます。
なお、2つの機器を合わせたコックピットボイス・フライトデータ・レコーダもあります。
【記録有効時間は意外と短い】
旅客機で広く使われるタイプのもので、フライトデータレコーダは25時間以上、コックピットボイスレコーダは最大2時間の記録が可能です。
国内線の短距離路線でも約2時間ですので、コックピットボイスレコーダはフライト毎に上書きされてしまいます。
そのため、例えば「乱気流により航空機が激しく揺れ乗客にけが人が出た」といった事故があった際には、事故調査当局は直ちにブラックボックスを押収する措置を取ります。
【ブラックボックスを分析してわかることは】
航空事故は、機体やソフトウェア、地上設備の不具合などの技術面の問題か、操縦の過失やミス、コミュニケーションエラーなどの人為的な問題の、どちらかにより発生します。
ブラックボックスを分析することで、なぜ事故になったのか、どんな不具合が起きたのか、フライトを再現し原因を特定することが出来ます。
特にコックピット内の会話は、事故に至るトラブルの初期的な原因を探る上で重要です。
なお、航空管制官との交信については、航空管制機関側でも常時録音されています。
【本当に黒い箱なのか】
ブラックボックスが文字通り見た目も黒い箱ではあまり目立ちませんし、夜間の捜索が困難です。
記録装置を保護する頑丈なケースはオレンジまたは赤で塗装されており、発見しやすいように視認性を高めています。
【墜落の衝撃に耐え、山や海に落ちても発見可能】
ブラックボックスが故障、消失しては何の意味もないため、ブラックボックスの構造は頑丈で、非常に厳しい耐久試験(耐衝撃、耐火、耐水など)をクリアする必要があります。
そのうえで、事故があった際に直接的な損傷や前方・下部からの衝撃を最も受けにくい場所として、機体後方に設置されています。
また、強い衝撃が加わった際や水中に沈んだ際に位置を知らせる信号を自動的に発生する発振機を持ちます。
航空機が上空を高速で飛行したまま空中分解したり、海中に沈んでしまったり、といったようなケースでも、短期間でほぼ確実に回収が可能です。
しかし、内蔵バッテリーは30日間で切れてしまうため、過去に起きた航空事故では、フライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーの片方または両方を発見できなかった例もあります。
【取り付けが義務付けられているのか】
飛行機録装置は航空法に搭載が定められており、運航者はエンジン始動後から到着後のエンジン停止までの間、記録するよう運用する義務を負います。
1966年の全日空羽田沖墜落事故が発生した当時、航空機にブラックボックスが設置されていなかったことが、航空法改正のきっかけと言われています。
【極秘扱いで中を見られるのは限られた組織だけ】
事故や重大インシデントであった場合には、事故の証拠品としてブラックボックスの押収、保全の措置が取られるため、中を見られるのは事故調査当局に限定されます。
航空会社は直接知ることはできません。
極秘情報として扱われ、またデータ構造は特殊で解析できるのは一部の国の特定機関のみです。
これが「ブラックボックス」と呼ばれる理由です。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tower-man/20220607-00299532
2022年5月25日19時12分にYAHOOニュース(FNN PRIME;東海テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
あわや大事故。
走行中の車に向かって飛んできたのは、あの飛行物体だった。
25日午前8時半ごろ、愛知県内の国道を車が走行していた時のことだった。
突然、標識の裏から何かが飛び出してきた。
急降下しながら車に向かってくる物体。
慌ててハンドルを切って正面衝突は避けられたものの、物体は車の横に当たった。
時速60kmの走行中、一体、何が飛んできたのか。
被害に遭った男性:
「鳥みたいなものが見えて、そのまま進んだら、だんだん下がってきて、鳥じゃない、ドローンだ! と思って」
飛んできたのは、確かにドローンだった。
車は、すぐに路肩に停車。
交通量の多い国道とあって、大事故につながっていてもおかしくはなかった。
ドローンが飛んできたのは、西尾市内を走る国道23号岡崎バイパスの小島インター付近。
被害に遭った男性:
「予想していないから、すごくびっくり」
ドローンが接触した部分には、はっきりと傷が残されていた。
その後、ドライバーが近くの広場を確認したところ、ドローンを飛ばしたとみられる人物に遭遇したという。
被害に遭った男性:
「『おたくですか?』って聞いたら、『当たった?』とか言うんですよ。『そこで待ってて、警察呼んで』と言って現場に行ったんですよ。そしたらもう逃げていて、どちらかといったら、そっちの方が腹立ちますよね。逃げたということの方が」
ドライバーの男性は、事故として警察に届け出たという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9c02adda425df1694ffcdefb332f0e03995b288c
(ブログ者コメント)
以下はグーグルアースで調べた現場と思われる広場。
犯人と思しき人物がまだいたということは、接触後もドローンは飛行を続けていたということかもしれない。
2021年10月10日23時4分に時事ドットコムから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日午後0時50分ごろ、福岡県朝倉市の上空を飛行中だった航空自衛隊のF2戦闘機から重さ約90キロの風防が落下した。
防衛省統合幕僚監部によると、これまでに落下による被害は確認されていないという。
同省は、落下した風防を捜索するとともに、原因を調べ、他の航空機に異常がないかを確認している。
同省によると、同日午後0時45分ごろ、福岡県築上町の築城基地に所属するF2戦闘機が、領空侵犯の恐れがある国籍不明機に対するスクランブルで緊急発進。
約5分後、朝倉市東部の山間部上空を飛行中、操縦席を覆う風防が落下した。
風防はアルミとアクリルガラス製で、長さ約1メートル50センチ、幅約90センチ、高さ約80センチで、重さは約90キロある。
重さ約480グラムの緊急用はしごも落下した。
同省は他の落下物を確認するとともに、隊員を派遣し、落ちた部品を捜索している。
機体は操縦席がむき出しの状態となったまま、落下から約15分後に築城基地に緊急着陸。
パイロットにけがはなかった。
国籍不明機には別の戦闘機が対応し、任務に影響はなかったという。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021101000394&g=soc
10月11日12時0分にRKB毎日からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
10日に福岡県朝倉市付近を飛んでいた航空自衛隊のF2戦闘機から、操縦席のガラスが外れて地上に落下しました。
このトラブルによるけが人はいませんでした。
落下したのは、「キャノピー」と呼ばれる、操縦席を覆う重さ90キロのアクリルガラスと緊急用のはしごです。
朝倉市付近の山間部に落ちたとみられ、航空自衛隊が破片などを探しています。
防衛省によりますと、このF2戦闘機は10日午後0時45分ごろ、領空侵犯のおそれのあった機体に対応するため、築城基地を緊急発進。
約5分後に、35キロ離れた朝倉市付近にさしかかった際に、操縦席のガラスが外れたということです。
パイロットは操縦席がむき出しのまま、築城基地に引き返して着陸し、けがはありませんでした。
防衛省は「国民の皆様にご心配をおかけし、申し訳なく思っております」とコメントしています。
https://rkb.jp/news/004394.html
10月12日16時0分に朝日新聞からは、落下した当時は時速830㎞で飛行していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
風防落下時の飛行速度は時速約830キロで高度は約7千メートルだったことが、防衛省への取材でわかった。
操縦席がむき出しの状態になったが、基地に引き返し、けが人はなかった。
https://digital.asahi.com/articles/ASPBD51LYPBDUTIL00P.html
(ブログ者コメント)
聞いたことがないトラブル。
国防上からも、たまにでも、あってはならないような気がした。
(2021年10月25日 修正1 ;追記)
2021年10月23日16時0分にYAHOOニュース(朝日新聞)からは、車で走った時の200倍ほどの風圧がかかったとみられ、識者は「よくぞ生還した」と驚いていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
航空自衛隊のF2戦闘機から、操縦席を覆う風よけの風防が落ちる事故が今月10日に起きた。
落下そのものが重大な事故につながりかねない一方で、飛行中に操縦席がむき出しとなる危険な事態が生じていた。
一体、何があったのか。
10日午後0時45分ごろ、福岡県の空自築城基地からF2が緊急発進した。
だが山間部を飛行中の0時50分ごろ、風防が地上に落下。
午後1時4分ごろ、基地に戻った。
風防の重さは約90キロ。
防衛省が捜索中だが、見つかっていない。
落下時の飛行速度は時速約830キロ、高度約7千メートル。
落ちた風防は機内の出入り時に開閉する中央部分で、機体に接合された前後の風防は外れず、風圧の直撃は免れたとみられる。
乗員には、どれくらいの風圧がかかったのか。
高速空気力学が専門の高山和喜・東北大名誉教授によると、高度7千メートルは地表に比べ大気の密度が半分ほどであることも勘案すると、時速50キロの乗用車の窓から顔を出した時に受ける風圧に比べ、時速830キロの操縦席で受ける風圧は最大約200倍となる。
「致命的な力がかかる。残った風防で直接当たらなかったにせよ、よくぞ生還した」と驚く。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b9b3c79740211e725345853f28de589aa245d02b
(2021年11月4日 修正2 ;追記)
2021年11月2日20時41分にYAHOOニュース(時事ドットコム)からは、風防を閉じてロックすると警告灯が消える仕組みだが、緊急発進でパイロットの確認が不十分だった可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
空自は2日、風防をロックせずに飛行したことが原因と推定されるとの中間報告を発表した。
フライトレコーダーにロックが掛かっていないことを示す記録が残っていた。
緊急発進(スクランブル)でパイロットの確認が不十分だった可能性があるという。
空自によると、通常は電動で風防を閉じ、固定レバーを手動でロックすると、警告灯が消える。
調査では、ロックされた記録がなく、パイロットも警告灯を確認していなかった。
固定が不十分な状態で飛行したため、操縦席と外気との気圧差で風防が外れたとみられる。
空自は詳しい状況や原因をさらに調べる。
風防は未発見だが、被害の報告はないという。
事故後に全ての機体について点検したが、異常は見つからなかった。
事故の影響で中断していた同基地の飛行訓練も、4日から再開する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d2c4d74b0c9e1f1b5164e8a93f55d0f202db5ca
11月2日20時0分に朝日新聞からは、飛行前の点検で風防の作動やロック警告灯に異常はなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
航空幕僚監部によると、事故機は飛行前の点検で、風防の作動やロックの警報灯に異常がないことが確認されていた。
操縦者は、離陸前にロック状態や警報灯の状況を確認していなかったという。
https://www.asahi.com/articles/ASPC26GFYPC2UTIL02H.html
2021年9月2日21時40分にYAHOOニュース(共同通信)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡山県は2日、岡南飛行場(岡山市南区)で小型ジェット機が離陸した際、飛行場に隣接する市道を走行していた軽乗用車の運転席の窓ガラスが割れる事故があったと発表した。
運転していた女性にけがはなかった。
県によると、1日午後2時半ごろ、ジェット機が東から西に向けて滑走路を走行して離陸。
滑走路東端から約65メートル離れた市道を走っていた軽乗用車の窓ガラスが割れたりひびが入ったりしたほか、車体に傷が付いた。
県は、ジェットエンジンから後方に噴出される気流により、砂利が飛んで車に当たった可能性があるとし、原因を調べる。
当面、西に向けた小型ジェット機の離陸を見合わせる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e78cae0a388dbc3978fa02ab361165ad6b6b82a
(ブログ者コメント)
以下はグーグルアースで調べた現場付近の状況。(青線が道路)
離陸準備でエンジンの回転数を上げた際、たまたま噴射口の下流側を通っていた車が被害にあったのかもしれない。
ネットサーフィン中、4年前の2017年8月11日にデイリー新潮から下記趣旨の記事がネット配信されていたのを見つけた。
同じような事例として昨年、明石家さんま氏などの体験を紹介しているので、その関連情報として紹介する。
昭和60年8月12日、「日航機」が御巣鷹山に墜落して520人が犠牲となった。
その一方で、搭乗を回避し、「死神」から間一髪逃れた人々がいる。
当事者らが初めて明かす、その後の人生とは。
***
その日、釣りライターの大西満(75)が経験したことを「運」の一言で片付けられようか。
なにしろ、何度振り切っても、死神は先回りするように彼の元を訪れたのだ。
昭和60年(1985)8月12日の早朝、大西は御巣鷹山からわずか五十数キロの距離にいた。
群馬県前橋市の利根川で、約40人の釣りファンを相手に鮎釣りの講習会を開いていたのである。
講習が始まったのは7時。
まさか12時間後にジャンボ機が墜落するなど予想だにしない穏やかな朝だった。
天候は悪くなかった。
が、川の濁りが気になっていた。
数日前に降った雨の影響だった。
「当時教えていた“泳がせ釣り”という新しい釣り方が、評判になっていたんです。これはオトリ鮎を自由に泳がせ、それに刺激を受けた鮎が喧嘩をしかけてくるところを釣るというもの。ただ、濁っている川では鮎同士が見えにくく難しいのです」
そんな事情から、当初15時まで行なう予定だった講習を、1時間ほど早く切り上げることになった。
帰りのチケットは、念のため19時35分発の「羽田発伊丹行き最終便」を取っていたが、〈これなら1時間以上早い便に乗れるかもしれない〉と大西は思った。
ところが、講習会を主催した釣具店で帰り支度を始めていると、店の常連客が入ってきた。
「釣り竿が壊れたんだけど、どうにかならないかな」
見ると、ラジオのアンテナのように伸縮するはずの竿が、伸縮部分が固着して収納できなくなっている。
普通なら、修理は店主に任せて帰るのだが、メーカー名を見て手が止まった。
「『がまかつ』だったんです。私はがまかつとの間で、製品を試して助言したりするテスター契約を結んでいたので、自社製品みたいなもの。知らんふりできませんでした」
修理すべく竿を触ったが、びくともしない。
「メーカーに任せたら」という言葉が喉元まで出かかったが、となると約1カ月間、釣りができなくなる。
それも可哀そうだ、と思いながら試行錯誤していると、ある瞬間、ストンと収まった。
客は喜んでいたが、時計をみたら30分以上経過している。
それでも急げば早い飛行機に乗れると思い、高崎駅から上越新幹線に飛び乗った。
途中、妻に電話をし、「少し早い6時ぐらいの便で帰る」と伝えた。
【残念やなあ】
羽田空港に着いたのは17時半頃。
18時発のJAL123便はあいにく満席だったが、あわよくばと、空席待ちの列に並ぶことにした。
当時は、チェックインカウンターとは別に全路線の空席待ち専用窓口があった。
そこで発行される路線別の整理券を受け取ったあと、チェックイン・ブースで待つという流れである。
大西が手にした整理番号は5番。
手荷物を2つ持って並んだ。
見上げると、運航予定を示す案内板の〈18時発JAL123便〉のところには、“案内中”のランプが点滅していた。
空席待ちの客が呼び出されるのは出発の20分前、つまりチェックインを締切ったあとである。
大西は、空席待ちの客が1人また1人と呼ばれ、手荷物検査場に吸い込まれていくのを眺めながら、自分の番号が呼ばれるのを待っていた。
だが、しばらく後、「空席待ちのご案内は以上です」と宣告された。
次の瞬間のことは、今でも鮮明に覚えている。
「僕のすぐ前の人で、ぎりぎりで乗れなかった男性と顔を見合わせて苦笑いをしたんです。“残念やなあ”と言い合って。50代の丸顔の人だったと思います」
当時、大西は45歳。
「若気の至り」と振り返るが、何としてもその便に乗りたかった彼はあきらめきれず、その場にいたJALのグランドホステスに悪態をついた。
「飛行機というのは、VIP用に2席ぐらい空席を用意していると聞いたことがある。何とかならんのか」
しかし、相手は曖昧な笑みを浮かべたまま、「満席です」と繰り返すのみ。
大西は、空席を待っていた客のうち、3人が搭乗したのを確認している。
あと30分早く空港に着いていれば、自分が乗客になっていたかもしれない。
大西は仕方なく、次の伊丹便である18時30分発「東亜国内航空207便」に搭乗。
同機はトラブルもなく、伊丹空港に着陸した。
この時、すでに123便の機影消失の速報がテレビで流れていたが、少なくとも大西の耳には入っていない。
【助けられた命】
何も知らないまま、駐車場に停めておいた車で、大阪・寝屋川市の自宅に向かった。
だが、その頃、近所では大騒動になっていた。
「その日、踊りのお稽古を公民館でやっていたんです。“主人が乗っているかもしれない”と話すと、“踊っている場合やない”と言われて。みんなとうちに引きあげてきて、近所の人に空港に送ってもらおうかと相談していたんです」(夫人)
そこに当の大西が帰還。
「近所の7、8人が拍手喝采で迎えてくれるんです。“ワー、帰ってきはった”と。何事やと思ってね。そしたら飛行機落ちたと。振り返ると、ほんまに紙一重のところをくぐり抜けてきたなと。もし釣り竿の修理をしてなかったら、あるいはもっと強くクレームをねじこんで、万が一、席が取れていたらと思うとね」
こう話したあと、大西は「そういえば……」と、あることを語り始めた。
それは日航機墜落事故から1年後の7月のこと。
三重県で釣りをした帰り、後輩が運転する車が奈良県の山中で交通事故を起こし、助手席で寝ていた大西は重い脳挫傷を負って、意識不明の重体になった。
一時は、「植物状態になることも覚悟してほしい」と言われるほどだった。
担ぎ込まれた山あいの病院には普段、脳外科の専門医は常駐していないのだが、その日は偶然、専門医が当直していた。
その医師の点滴治療が著効を示し、奇跡的な回復を果たすことができたという。
「私の意識が戻らないとき、知人の紹介で家内が奈良の真言密教の寺にお参りにいったんです。そこで住職に、“ご主人の足を誰かが引っ張っているから大丈夫”と言われたと。信心深いほうではないけど、妙に説得力があってね。だから助けられた命なんですよ」
【ついてないなあ】
その大西の2人後ろ、空席待ち整理番号7番を持っていたと思われるのが、神田敏晶(53)である。
ITジャーナリストの彼は、事故当時はワイン・マーケティング会社の社員だった。
「社会人になって初めてのボーナスをもらったので、少し奮発して飛行機で帰省しようと思ったんです」
当時の新幹線は東京―新大阪間が1万2100円(自由席)なのに対し、飛行機は羽田―伊丹間1万5600円と、3500円割高だった。
しかし、思い立ったはいいが、チケットさえ取っておらず、空港に着いた当日16時前後は、JAL17時発、ANA18時発、JAL18時発はすべて満席だった。
学生時代はバックパックで世界中を旅していたので、3便もキャンセルを待てば乗れると高をくくっていた。
しかし、全滅。
「ついてないなあと思いましたね。計画性のない自分を呪うというか」
下調べしていなかったからか、18時発が最終便だと勘違いしていた。
それで東京駅へとって返し、新幹線で帰郷した。
当時は新幹線車内に文字ニュースが流れるサービスはない。
日航機事故を知ったのは、友人と夜通し飲んだ翌日昼、二日酔いの状態でテレビを見たときだった。
「ショックで、ずっとテレビを見ていました。母が“よかったなあ”と言っていたのを覚えています」
不思議なことに神田は、その後、何度か大きな災害や事件に巻き込まれたりしながらも、事なきを得てきた。
平成6年(1994)の米ロサンゼルスで起きたノースリッジ地震のときは、フリーウェイが落ちるほんの30分前にそこを走行していた。
その翌年の阪神淡路大震災のときは神戸市におり、自宅は半壊したが命からがら逃げ出した。
さらに平成13年、米国同時多発テロ事件が起きた日には、取材場所として、ワールド・トレードセンターを打診されていた。
「考えてみたら、こうした事故で命を落とされた約1万人の犠牲者の代わりに生かされているんだなと。その人たちの分まで生きなければ……。そう思ってこれまで生きてきたのです」
(文中敬称略・年齢は本誌掲載当時のものです)
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/08110800/?all=1&page=1
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。