2018年12月10日14時58分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪北部地震で大阪府高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のブロック塀が倒壊し、登校中の4年生の女児が死亡した事故で、全国建築コンクリートブロック工業会(東京)など業界4団体が、10日、高槻市に陳情書を提出した。
ブロック塀の危険性が強調され、風評被害があるとして、公共施設のブロックを全撤去するとした市の方針を撤回するよう求めた。
工業会は、ブロック塀の耐用年数は「おおよそ30年」とし、倒壊したブロック塀は築40年以上と古く、「通常なら建て替えないといけなかった」と指摘。
点検で補強の「控え壁」の有無、古さ、傾き、ひび割れなどを確認すれば危険性が判断できる、とした。
その上で、「ブロック塀そのものが危険かのような一方的な声明を発表した」と、同市の浜田市長らを批判。
「今後、風評被害がボディーブローのようにきいてくる」と主張した。
工業会によると、全国で153事業所(従業員4人以上)がブロックを製造。
6月の大阪北部地震後、出荷が減っているという。
柳沢会長は、「事故は手抜き工事が主な原因。ブロック塀全てが悪いとするのは問題のすり替え」と話した。
市の事故調査委員会は10月末、「設計・施工不良と腐食が倒壊の主因」と結論づけた。
「塀内部の不良箇所を見つけるのは困難」とも指摘し、学校からブロックの構造物をすべて撤去し、今後、設置しないのが望ましいとした。
これを踏まえ、市は市内の小中学校からブロック塀をすべて撤去する方針を決めている。
出典
『ブロック塀業者陳情「風評被害、ボディーブローのよう」』
https://www.asahi.com/articles/ASLD74JB7LD7PPTB00C.html
(ブログ者コメント)
4団体の主張どおり、ブロック構造物そのものが悪いのではなく、設計、施工ならびに維持管理が悪かった高槻市の事例だが、全国的な問題に発展したことで、高槻市としては、同種事故の再発は絶対に許されない立場にある。
それゆえ、あのような徹底した再発防止策にせざるを得なかったのではないかと、ブログ者は感じている。
2018年12月10日19時28分にNHK三重から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日、津市のガソリンスタンドで販売されていた灯油に、誤ってガソリンが混入されていたことがわかった。
店は回収作業を進めているが、集まったのは全体の6割ほどにとどまっていて、消防が引き続き、使用しないよう呼びかけている。
灯油へのガソリンの混入があったのは、津市幸町のガソリンスタンド「O支店」で、店が検査機関に依頼して地中のタンクに残った灯油を調べたところ、10〜15%ほどのガソリンが混入していたことが分かった。
消防によると、12月7日に灯油のタンクに誤ってガソリンが入れられ、9日の夕方までに約90人に2600ℓあまりを販売したとみられるという。
ガソリンは揮発性が高いため、灯油と混ざったものをストーブなどで使った場合、火災につながる危険性があり、店が回収を進めている。
午後4時の時点で66人が、あわせて約1700ℓを返しに来たということだが、全体の6割ほどにとどまるということで、消防が引き続き、使用しないよう呼びかけている。
市内の60代の女性は、「灯油にガソリンが入ってるなんて確かめようがなく、怖いです」と話していた。
「O支店」の店長は、「本当に申し訳ありませんでした。7日より前に購入した灯油でも回収に応じるので、問い合わせ頂きたい」と話していた。
消防とガソリンスタンドによると、店内にある灯油とガソリンのタンクの注ぎ口は同じ形をしているということで、タンクローリーからホースをつなぐ際に確認を怠ったのが混入の原因とみられるという。
灯油の色は無色透明だが、9日夕方に販売した際、注いだ液体がピンク色だったため、店長が混入に気づいて消防に連絡したという。
店によると、灯油以外の製品では混入は確認されていないということで、店では回収を進めるとともに、タンク内にあるガソリンが混入した灯油の抜き取りを進めている。
出典
『ガソリン混入灯油の回収は6割に』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20181210/3070000747.html
12月10日0時8分に毎日新聞からは、客が異変に気付いて店員に相談したことで混入が発覚したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日にポリタンクに灯油を入れようとした客が色や臭いで異変に気付いて店員に相談し、混入が分かったという。
ガソリンが混入した灯油を暖房器具などで使用すると、ガソリンの揮発性でタンク内の圧力が高まって燃料が漏れ、火災が発生する危険がある。
出典
『津のGSで灯油にガソリン混入 消防が注意呼びかけ』
https://mainichi.jp/articles/20181209/k00/00m/040/131000c
12月10日19時22分に名古屋テレビからは、時間軸が記された下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7日午後3時半ごろ、運搬用トラックから灯油タンクにガソリンを入れたという。
店などによると、9日午後4時ごろ従業員が気付くまでに86件、合わせて2380ℓほどが販売され、10日午後6時までに約70件が回収されたという。
出典
『ガソリンスタンドでガソリンが混入した灯油を販売 回収進む 三重・津市』
https://www.nagoyatv.com/news/?id=191047
12月11日19時28分にNHK三重からは、ローリーの2つの排出口をつなぐ配管のバルブが閉まっていなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
給油を行った会社によると、当時は、タンクローリーの2つの排出口からそれぞれガソリンと灯油を給油しようとしていたが、排出口につながる配管のバルブが閉まっておらず、給油する際に混ざったという。
タンクローリーのタンクは7つの部屋に分かれていて、数時間ほど前に別のスタンドのタンクに給油する際には、すべての部屋にガソリンが積まれ、排出の効率を上げるためバルブを開けていて、作業を終えた後に閉めたものの、不十分だったという。
給油を担当した従業員は、「途中でバルブが緩んでいるのに気付いたが、報告を怠った」と話しているということで、消防が詳しい経緯を調べている。
出典
『タンクローリー内部で混ざったか』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20181211/3070000754.html
12月11日17時25分にFNN PRIME(東海テレビ)からは、バルブは3分の1ほど開いていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
輸送を行った三重県内の配送業者によると、タンクローリーから灯油とガソリンの荷卸しを行った際、車の配管に付けられた油種を分けるバルブが3分の1程度開いた状態になったまま給油を行ったことがわかった。
出典
『「タンクローリー内」で灯油とガソリン混ざる 三重・津市のGSで販売されたガソリン混入灯油』
https://www.fnn.jp/posts/3255THK
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
12月11日19時28分にNHK三重からは、店は回収のためのチラシを新聞に折り込むなどしたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
回収を進めるため、11日午後には、店の従業員など15人が回収を呼びかけるチラシを周辺の住宅に配った。
チラシは3000枚用意され、従業員たちは車や徒歩に分かれ、店から半径1.5kmほどにある住宅のポストにチラシを入れていた。
そして住民に対して、「迷惑をおかけしますが、協力をお願いします」などと呼びかけていた。
販売店では、12日も同様のチラシ10万部を新聞に折り込んで回収を呼びかけることにしている。
出典
『灯油 チラシ配って回収呼びかけ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20181211/3070000753.html
12月14日19時8分にNHK三重からは、店は誤給油した器具の代金を支払って器具ごと回収したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ガソリンスタンドでは、灯油代金を返却するとともに、ストーブなどの暖房器具に灯油を入れた顧客には新しい器具の代金を支払うなど、器具ごと灯油を回収したということで、ガソリンの混入した灯油は14日午前8時までに、すべて回収された。
この灯油が原因の火災などは発生しなかった。
出典
『ガソリン混入の灯油 すべて回収』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tsu/20181214/3070000775.html
12月15日付で中日新聞からは、2社の再発防止策に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
O社は、今後、地下タンクへ給油する際の立ち会いと、給油後の給油量ゲージの確認を徹底し、再発防止に努めるとしている。
配送会社は、時間短縮のため灯油とガソリンを同時に荷降ろししたため混入が発生したとして、今後は、違う種類の油を同時に降ろさず、配管のバルブを開け閉めする際は、毎回、電話で本社に連絡させるとしている。
出典
『ガソリン混入灯油を全量回収 津のスタンド』
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20181215/CK2018121502000016.html
(ブログ者コメント)
〇名古屋テレビの映像によれば、1台の給油機に赤、黄、緑の3つのノズルが設置されている。
丸2日、店員が気付かなかったことと併せ考えると、セルフ給油所の可能性が高い。
〇以下は、11日放映のNHK映像の1コマ。
他の排出口とつながっている赤色のコックバルブが3分の1ほど開いていたという。
〇以下は、10日放映のNHK映像の1コマ。
客から回収したポリタンクのキャップを開け、回収用タンクの上部から、ドボドボと流し込んでいる。
10~15%程度のガソリン混入であれば、静電気着火の心配はないのかもしれないが、ドボドボとタンクに落とすことの安全性を、消防を含め、どのように評価したのだろうか?
検査機関で、併せて引火点などの測定も実施したということだろうか?
〇配送会社のミスによる混入トラブルだが、GS側の対応に徹底心を感じた。
1点目は「7日より前に購入した灯油でも回収に応じる」とした点、2点目は「新聞にもチラシを折り込んだ」という点、そして3点目は「誤給油した器具の代金を支払って器具ごと回収した」という点だ。
灯油へのガソリン混入事例は、本ブログでも過去に数多く紹介しているが、そういった対応が報じられたのは、今回が初めてだ。
報じられていないだけで、実際には他の事例でも同様な対応がなされていたのかもしれないが・・・。
2018年12月8日22時2分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
雪崩事故を防ぐため、日本雪氷学会北海道支部(札幌)でつくる雪氷災害調査チームが、まとまった雪が降るたび、雪の粒子の写真をホームページ(HP)で公開している。
雪崩を起こしやすい雪がある場合は、その状態を詳しく説明し、スキーヤーなど入山者に注意を呼びかける内容だ。
調査チームのメンバーで北大低温科学研究所の元所長、秋田谷英次さん(82)が、札幌市北区の自宅庭の雪を撮影して掲載している。
撮影は、積もった雪をシャベルで切り出し、深さごとに雪の粒子を採取し、拡大鏡を使って行う。
雪崩の原因となる雪は、主に
《1》雲粒(うんりゅう)なし結晶
《2》表面霜(ひょうめんしも)
《3》こしもざらめ雪
の3種類。
「雲粒なし結晶」は、雲の中の小さな氷の粒(雲粒)をまとっていない雪の結晶で、突起が少ない。
「表面霜」は、積もった雪の表面に放射冷却でできる。
「こしもざらめ雪」は、積もった雪が蒸発と放射冷却による氷結を繰り返してできる。
3種類は、粒と粒に間隔が空き、形も単純。
秋田谷さんによると、その上に30~50cmの雪が積もると雪崩が起きやすく、札幌では年に2~3回観察できる。
切り出した雪の塊を上から手でたたくと、この雪の層を境に塊が分離しやすい。
秋田谷さんは、「雪山登山の現場でも、簡単に調べられる」。
HPは、まとまった雪が降ると日を置かず更新し、雪の状態を写真で紹介。
「こしもざらめ化が進行」、「山に入る人は気を付けて」などと記し、気温、風速、降水量なども載せる。
開設4年目となり、雪のある12~3月は、月3000人が閲覧するほど定着してきた。
調査チームの尾関俊浩・北海道教育大札幌校教授は、「雲粒なし結晶などは広域的に降る。札幌のデータでも、山間部で十分参考になる」と話し、HP(http://avalanche.seppyo.org/snow/)のチェックを呼びかけている。
出典
『雪崩の起きやすい結晶写真を公開 雪氷災害調査チーム』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/256060/
2018年12月9日6時35分に福島民友から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午前11時50分ごろ、須賀川市の工場敷地で、小型トラックに積んであったLPガスボイラー=いずれも建設請負会社H社所有=から出火、ボイラーとトラックを全焼した。
けが人はいなかった。
警察と消防によると、H社の男性社員2人が、同工場敷地内で駐車場の白線を敷設していたところ、白線を引くためのボイラーから出火し、トラックに燃え移ったという。
詳しい原因は捜査中。
出典
『ボイラーから出火...小型トラック全焼 工場敷地内、けが人なし』
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20181209-332498.php
2018年12月7日23時3分に京都新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都府内の多くの消防組織で消防車が過積載の状態になっていることが7日、分かった。
京都市消防局での過積載判明を受けて調査したところ、水や資機材などの総重量が、車検証が定める積載量を超えていた。
宇治市消防本部では消防車5台が、車検証で規定されている総重量を超えて積載していた。
水槽付きポンプ車4台、化学消防車1台で、うち水槽付きポンプ車1台は350kg、化学消防車は510kg超過で、車検を再登録し違法状態を解消した。
残る3台は資機材を調整し、総重量を抑えたという。
八幡市消防本部も、消防ポンプ車など計5台で100~500kgの過積載があった。
「出動隊数が少なく、救助資機材の積み込みが増えた」のが要因という。
精華町消防本部も、救助工作車など計3台で最大730kgの過積載があった。
いずれも事故はないという。
現在、資機材や水量で総重量を調整しており、車検証の記載事項変更を進めている。
舞鶴市消防本部では、消防ポンプ車5台で過積載があった。
10月中旬~11月上旬の調査で、それぞれ100kg前後、基準を上回っていたことが判明。
資機材や水を減らし、11月9日までに解消した。
同本部は、「現場の判断で資機材を積み過ぎたのが原因とみられる」としている。
綾部市消防本部では、消防ポンプ車や救急車など計8台が120~900kg超過。
救助資機材を車検証記載時より多く積んでいた。
現在は、使用頻度の少ない機材を下ろして重量超過を無くし、記載の変更も検討している。
宮津与謝消防組合では、水槽付きポンプ車など5台で275~600kgの過積載があった。
資機材を調整するなど対応しているが、現在も過積載の状態が続いている。
京丹後市消防本部は、「確認していない」と話している。
一方、京都市消防局が10月に公表した上京消防署の小型水槽車の事例は、その後の詳しい調査で、過積載でないことが分かったという。
出典
『消防車の荷物積みすぎ相次ぎ判明 「出動隊数少なく」』
https://this.kiji.is/443741064673166433?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
〇いきさつを推察するに、当初は規定どおりの重量だったものが、その後、載せていた装備を別のものに変更したり、あるいは追加で載せたりした際に総重量を確認しなかった、いわば変更管理がうまく機能しなかった事例だったのかもしれない。
〇「確認していない消防本部もある」という報道から考えると、確認は自主的に行われている・・・ということだろうか?
それとも、消防を主管する部署から指示があったが、まだ確認は済んでいない消防本部もある・・・ということだろうか?
〇上京消防車事例は、過去に本ブログで紹介スミ。
当該記事にも、今回の情報を追記した。
2018年12月7日18時13分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
関西電力の委託により電気設備を点検している「関西電気保安協会」など4つの事業者は、マンションのエレベーターなどに漏電をはじめ異常がないかを調べる定期点検で、測定結果を改ざんしていたことを明らかにして陳謝した。
愛知県などで電気設備を点検する事業者による調査結果の改ざんを受けて、関西電力の委託により住宅や商店の電気設備を定期点検している4つの事業者が緊急に内部調査を行い、7日、その結果を明らかにした。
それによると、4つの事業者は、集合住宅のエレベーターや水道をくみ上げるポンプなどの電気設備から漏れた電流を測定する際に、結果を基準値内に収まるように改ざんしていたという。
改ざんの件数は、平成26年4月以降で、「関西電気保安協会」が707件、「関電サービス」が711件、「きんでんサービス」が378件、「兵庫県電気工事工業組合」が66件となっている。
漏れた電流が基準値を超える場合には、設備の電気を止めて追加調査を行う必要があるが、それを避けるために改ざんしたという。
いずれの事業者も、改ざんの範囲は数ミリアンペア程度で、直ちに感電や漏電による火災が起きる危険性はないとしているが、該当する集合住宅の設備は、今月26日までに再調査するという。
関西電気保安協会の川邊理事長は、「コンプライアンス教育や研修をしてきたが、従業員に伝わっていなかったと反省している。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と陳謝した。
出典
『電気設備点検で測定結果改ざん』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20181207/0010477.html
12月7日17時35分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
関西電気保安協会など、関西で電気設備の定期点検をする4事業者が7日、大阪府や兵庫県などの集合住宅計1862棟で、調査記録を改ざんする電気事業法違反があったと発表した。
エレベーターや水道ポンプの電気設備の調査数値が基準を上回り、軽微な漏電の疑いがある場合などに、基準内になるように書き換えていたという。
改ざんがあったのは、同協会で707棟、関電サービスで711棟、きんでんサービスで378棟、兵庫県電気工事工業組合で66棟。
計118人の調査員が不正に関わった。
基準値を超えると精密点検が必要で、電気を止めるため、エレベーターなども使えなくなる。
同協会の川辺理事長は、「お客様にご苦労をかけると考えてしまった。非常に反省し、再発防止を徹底したい」と陳謝した。
住宅の電気設備の点検は電気事業法上の義務で、関西電力が9業者に委託している。
今年10月に中部電力管内で同様の事案があり、経産省が調査を求めていたなかで発覚した。
各事業者は漏電による火災の危険性はないとしているが、再点検して通知するという。
出典
『関西電気保安協会が検査記録改ざん 軽い漏電を基準内に』
https://www.asahi.com/articles/ASLD755ZDLD7PLFA009.html
※中部電力管内の事例は下記参照。
(2018年11月14日0時26分 毎日新聞)
中部電力が外部委託していた漏電調査で計測記録の改ざんがあった問題で、新たに愛知、岐阜県内の集合住宅など計8884棟でも記録改ざんが行われていたことが13日、分かった。
委託先2団体が同日、発表した。
中部電の委託先による改ざんは、既に公表済みの名古屋市の1団体1400棟と合わせ、計1万284棟になった。
名古屋市の昭和、瑞穂、熱田区を除く愛知県全域の調査を担当していた中部電気保安協会(名古屋市)では、2006年10月以降、県内のマンションなど8702棟で改ざん。
エレベーターやポンプの調査で、電気事業法で定められた基準値(1ミリアンペア)を超える4~5ミリアンペアの漏電を計測しても、1以下にしていた。
作業員116人が関与し、中部電OBも20数人含まれていた。
同法では、1ミリアンペア以上の場合は施設管理者に通知し、停電を依頼して精密調査を行う必要がある。
作業員らは、「停電の了解が得にくい上、感電や火災の危険も低いと判断した」などと説明しているという。
同協会は岐阜、三重、静岡、長野県も担当だが、改ざんは愛知県だけだった。
また、岐阜県各務原市など5市町を担当する同県電気工事業工業組合(岐阜市)でも、14年11月以降、同様の理由で集合住宅182棟の記録を改ざんしていた。
全作業員6人が関与し、一部作業員は、「04年の委託当初から改ざんをしていた」と話しているという。
愛知県電気工事業工業組合(名古屋市)で10月に1400棟で同様の改ざんが発覚したことを受け、中部電が全委託先に調査を求めていた。
中部電は、「定期的にパトロールも行っているが、改ざんを見抜けず、非常に遺憾。再発防止策などを見て今後の対応を判断したい」としている。
出典
『中部電 漏電調査改ざん 新たに愛知、岐阜で計8884棟』
https://mainichi.jp/articles/20181114/k00/00m/040/161000c アカスミ
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
※以下は、改竄理由。
(2018年10月24日22時20分 日本経済新聞)
詳細な調査にはエレベーターなどを停電させる必要があり、調査員は「管理人に言いづらかった」と話しているという。
出典
『住宅漏電調査で数値改ざん 名古屋、最大1410棟』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36889140U8A021C1CN8000/
(2018日10月25日 毎日新聞中部版)
エレベーターやポンプなどを調べた際、基準値(1ミリアンペア)を超える数ミリアンペアの漏電を計測しても、1以下の数字を記録していた。
感電の可能性があるとされる10ミリアンペア以上の場合は改ざんせず、適切に処理していた。
検査員6人が同様の不正をし、内部調査に対し、「最新の設備では一定の漏電があり、正しく通知すると建物の管理者に迷惑をかける」などと話しているという。
出典
『漏電数値改ざん 中部電委託先、基準超えを基準内に』
https://mainichi.jp/articles/20181025/ddq/041/020/006000c
(2018年11月14日8時0分 岐阜新聞)
調査員は組合の聞き取りに対し、「エレベーターから漏れ電流が発生することはあり得ると業者に聞いたので、問題ないと判断した」と説明している。
出典
『住宅漏電調査で数値改ざん 県電気工事業組合』
https://www.gifu-np.co.jp/news/20181114/20181114-90129.html
(ブログ者コメント)
基準の1ミリアンペアは、どのようにして決められた数字なのだろうか?
調べてみると、労働安全衛生総合研究所安全資料に、「人体に流れた場合、シビレを感じる始める電流が約1ミリアンペア」という記述があった。
https://www.jniosh.go.jp/publication/doc/td/SD-No25.pdf
それが根拠なのかもしれない。
一方、報道によると、「最新の設備では一定の漏電がある」と調査員が述べている点も気になる。
本当にそうなのだろうか?
本当だとすれば、それで大丈夫なのだろうか?
2018年12月9日18時57分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高知県南国市の高知空港で7日夕、保安検査場の金属探知機の電源が入っておらず、検査場を通過した乗客約200人が再検査するトラブルがあった。
この影響で、東京や大阪、福岡に向かう計4便の出発が最大で1時間16分遅れ、約500人の足に影響が出た。
高知空港事務所によると、7日午後6時頃、検査を担当する警備員が、2台あるうち1台の金属探知機の上部にある電源のスイッチが切れていることに気付いた。
検査を中断し、すでに搭乗待合室に入っていた乗客に戻ってもらい、検査をやり直した。
検査場に設置されている防犯カメラを確認したところ、実際に電源が切れた状態の探知機を通ったのは6人だった。
通常、探知機の電源は、始発便が出発する1時間前の午前6時頃から最終便の運航が終わる午後8時頃まで入ったままだという。
近く、空港事務所や航空会社、警備会社などが、原因の究明や再発防止策について協議を行う予定。
出典
『金属探知機オフ、200人空港保安検査やり直し』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181209-OYT1T50013.html?from=ycont_top_txt
12月7日23時45分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
高知空港(高知県南国市)は7日、保安検査場の金属探知機の電源を入れ忘れるミスがあり、乗客の検査が約10分間行われなかったと発表した。
搭乗待合室に入っていた乗客約200人の検査をやり直したため、東京便など計4便に最大1時間16分の遅れが出た。
空港事務所によると、保安検査場には2つの入り口があり、1つを午後5時50分に開場したが、その際に検査責任者が金属探知機の電源を入れ忘れたという。
午後6時ごろに航空会社職員が見つけた。
適正な検査のないまま飛行機に搭乗した乗客はいなかったという。
同事務所総務課は、「あってはならない初歩的なミス。再発防止に努める」としている。
出典
『高知空港で金属探知機の電源入れ忘れ 200人検査やり直し』
https://mainichi.jp/articles/20181207/k00/00m/040/314000c
キーワード;ヒューマンエラー、人的エラー
2018年7月23日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報修正2として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8606/
(2018年12月13日 修正2 ;追記)
2018年12月6日22時51分に毎日新聞から、安全管理責任者である技術顧問が書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警は6日、現場の安全管理責任者で同社技術顧問の男性(68)を、業務上過失致死容疑で金沢地検に書類送検した。
金沢労基署も同日、同社と技術顧問を労安法違反容疑で書類送検した。
事故は6月6日午前3時半ごろに発生。
県警によると、古紙に希硫酸などを混ぜる円筒形のタンク(深さ約5m)内で、異物を取り除こうとした従業員の男性(57)が倒れ、助けようとした49歳と27歳の男性も巻き込まれた。
死因は、高濃度の硫化水素による急性中毒だった。
送検容疑は、技術顧問は有毒ガスの発生を予測できたのに現場に立ち会わず、ガス濃度の計測やマスク着用の指示などを怠り、3人を死亡させたとしている。
出典
『3人死亡のタンク事故 技術顧問の男性を書類送検 石川県の製紙会社』
https://mainichi.jp/articles/20181206/k00/00m/040/296000c
12月6日19時32分にNHK石川からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察のその後の調べで、68歳の技術顧問の男性は、タンク内に硫化水素が発生する危険作業だったにも関わらず、事故を防ぐためのタンク内の換気を行うよう指示しなかったことなど、適切な安全対策を怠ったという。
出典
『タンク3人死亡事故で書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20181206/3020000503.html
2018年12月6日18時51分にNHK茨城から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
茨城県にある研究施設では、放射性廃棄物を保管するドラム缶すべての点検に、およそ50年かかるとされているが、全体の40%余りのドラム缶で腐食が進んでいることがわかり、運営する日本原子力研究開発機構は、優先して健全性を確認する方針を示した。
茨城県東海村にある研究施設には、ドラム缶およそ4万6000本に入った低レベルの放射性廃棄物が保管されていて、点検におよそ50年かかるとされている。
これについて、今日、原子力規制委員会の監視チームの会合が開かれ、原子力機構の担当者がドラム缶の点検方法などを説明した。
それによると、全体の40%あまりにあたるおよそ2万本が、保管を始めてから41年を超えていて、外部から腐食が進んでいることがわかった。
このため、原子力機構では、来年3月までに(2019年)腐食の状況を詳しく調べる計画を立て、優先して健全性を確認すると説明した。
これについて事務局の原子力規制庁の担当者から、「記録からドラム缶の中身を分析できないのか」とか、「点検の全体像が見えない」といった意見が出されたが、原子力機構は、次回以降説明すると答えていた。
一方、残りのおよそ2万6000本のドラム缶については、腐食の状況や過去の点検記録などを踏まえて、今後、健全性を確認する計画という。
出典
『放射性廃棄物容器40%余に腐食』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20181206/1070004876.html
ちょっと前、2018年11月22日付で毎日新聞大阪版からは、下記趣旨のやや詳しい記事がネット配信されていた。
日本原子力研究開発機構が原子力科学研究所(茨城県東海村)の敷地で保管する低レベル放射性廃棄物入りのドラム缶(200ℓ)の一部で、中身が適切に分別されていないことが、21日、分かった。
この影響で、過去にはドラム缶内で水分が生じ、腐食や漏出が見つかった。
機構は、約5万3000本を50年以上かけて点検する計画を原子力規制委員会に示したが、委員は同日の会合で、「50年もかかるのでは、点検しないのと一緒だ」として、期間短縮を求めた。
機構や規制委によると、保管場所は地下を掘りコンクリート設備を埋め込んだ「ピット」で、1964~76年ごろに整備した。
同研究所や周辺の大学の原子力施設などで発生した廃棄物が入ったドラム缶を、横向きの状態で上積みしている。
87~91年に一部を点検したところ、腐食や中身の漏出が見つかった。
60年代は廃棄物の分別が徹底されておらず、ドラム缶内に水分が残っていた可能性が高いという。
現在行っている年1回の目視点検では、下の方に積まれたドラム缶は確認できず、規制委に示した計画では、1缶ずつつり上げて腐食や放射性物質による汚染がないかどうかを調べる。
問題が見つかれば、詰め替えや補修をする。
21日の会合では、山中委員が「5年ほどで点検すべきだ」と指摘した。
出典
『放射性廃棄物 保管のドラム缶腐食 原子力機構「点検に50年」 規制委「5年ですべき」』
https://mainichi.jp/articles/20181122/ddn/008/040/010000c?pid=14509
(2019年1月29日 修正1 ;追記)
2019年1月29日付で東京新聞茨城版から、点検を14年で完了させる計画が提示されたが規制委はさらなる見直しを求めたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本原子力研究開発機構は、原子力科学研究所(東海村)で保管し、一部が腐食している低レベル放射性廃棄物入りのドラム缶について、一部を除き、腐食状況などの点検を14年で完了させる計画を示した。
廃棄物量は、ドラム缶200ℓ換算で約5万3000本としていたが、実際は300ℓのドラム缶もあり、実数では約4万6000本という。
原子力規制委員会の会合で24日、説明した。
昨年11月の会合では50年かかるとしていたが、一部のドラム缶は30年ほど前に点検し、改めて確認する緊急性は低いと説明。
残りは、設備増強で点検のペースを速めるとした。
しかし規制委は、「人員を投入し、5年ほどで終えるべきだ」などと、さらに見直しを求めた。
機構によると、ドラム缶は横向きの状態で上積みされ、過去の点検で腐食や中身の漏出が見つかっている。
廃棄物の分別が徹底されず、ぬれた布を入れるなどし、ドラム缶内に水分が残ったのが原因だという。
出典
『腐食ドラム缶、点検に14年 4万6000本 当初の50年から短縮』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201901/CK2019012902000166.html
2018年12月6日17時26分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本航空と全日空の一部のパイロットが、社内調査に対し、打ち合わせなどで忙しく、「アルコール検知器を使わずに乗務したことがある」と話していることがわかった。
日航は100~200件はあったとし、全日空は393件にのぼるとしている。
日航の副操縦士が英国で逮捕された事件などを受け、国交省が11月末に両社に実施した立ち入り検査でアルコール検査データの欠落が見つかり、それを受けた両社の社内調査で発覚した。
日航は、パイロットに検知器を使った乗務前検査を義務づけ、国内では昨年8月以降、不正のしにくい精密型を使い、全データを保存することにしていた。
だが、国交省の立ち入り検査で、約22万件の検査結果のうち、約3800件のデータが残っていないことが判明した。
社内調査の結果、保存できるアプリを起動しなかったことなどが主な原因だったが、検査自体をしなかった事例があることもわかった。
全日空は、羽田空港で乗務する際は、精密型を使って全データを保存。
1人で検査する代わりに、不正が起きないよう、検査時の写真を撮影するようにしていた。
だが、過去1年分にあたる約11万件の検査結果のうち、393件のデータが残っていないことが判明。
社内調査をした結果、乗務前に会議や面談があったことやほかのパイロットが先に使用していたことで、「検査をし忘れてしまった」とすべてのパイロットが答えたという。
両社とも、乗務に支障のない状態だったと考えられる、と説明している。
国内では、パイロットの乗務前のアルコール検査が義務づけられておらず、実施は各社に任されている。
また、国交省大阪航空局は、6日、機長の乗務前の飲酒でフライトが遅れた問題を受け、鹿児島県霧島市にある日本エアコミューターの本社を立ち入り検査した。
出典
『「アルコール検知器使わずに乗務」の例も 日航・全日空』
https://www.asahi.com/articles/ASLD64GMFLD6UTIL01Q.html
12月6日18時3分にNHK首都圏からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
パイロットによる飲酒問題で先月、国交省の立ち入り検査を受けた全日空と日本航空は、過去の乗務前の検査について、改めてパイロットへの聞き取りをした。
その結果、アルコール感知器を使った検査を行わずに乗務したケースが相次いでいたことが分かった。
このうち全日空では、羽田空港で先月までの1年間に、検査を行っていなかったケースが393件あった。
聞き取りに対してパイロットは、乗務する便が急きょ変更になり慌てていたことや、別のパイロットが検査中だったため、あとで検査しようとして忘れてしまったことなどが理由だと話しているという。
全日空では、「今後は、別の担当者を立ち会わせて検査を行うよう徹底する」としている。
また、日本航空でも、記録が残る感知器を導入した去年8月以降、検査を行っていなかったケースが100件から200件程度あったということで、さらに確認を進めているとしている。
国交省は、こうした検査の実態も踏まえて、行政処分を含めた対応を検討している。
出典
『全日空と日航 検査受けず乗務も』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181206/0022260.html
(ブログ者コメント)
今回社内調査のきっかけとなったのが、英国でJALパイロットが逮捕されたこと。
その経緯や背景などは、下記記事参照。
ちなみに、同パイロットは10ケ月の禁固刑が言い渡され、JALを懲戒解雇された。
(2018年11月17日6時0分 東洋経済オンライン)
・・・・・
パイロット(A氏)は10月28日、現地時間19時00分発、日本時間15時55分到着予定のJL44便に、副操縦士として乗務する予定だった。
A氏は英国の法令に定められた基準値(1ℓ当たり200mg)の9倍超という血中アルコール濃度であったにもかかわらず、JALが社内で規定するアルコール濃度検査をすり抜けて、一時は機内に乗り込んだ。
JALの調査によれば、ホテルのチェックアウトから搭乗までに、ともに乗務する予定だった機長2名を含む計13名が接触したが、A氏の飲酒に気づいたのはたった1名。
しかも、空港までA氏らを送迎したバスの運転手だった。
アルコール臭に気づいた運転手が空港のセキュリティスタッフに伝えていなければ、A氏は酒気帯び状態で予定通り乗務していたことになる。
結果的に、A氏はセキュリティスタッフによって現地警察に通報され、その後、逮捕された。
この影響で、当該便は1時間9分の遅延の後、羽田に向けて飛び立った。
・・・・・
最新型のアルコール検知器は、すでに国内空港には配備されていたが、海外空港での導入は1年以上も遅れていた。
今後は、速やかな配備を進めたうえで、検査時に地上スタッフが立ち会うことを義務づけ、従来は乗務開始の12時間前までとしていた飲酒24時間前までへと厳格化する。
・・・・・
JALは2010年の破綻を経て経営改革を断行し、業績を急ピッチで回復させてきた。
近年は路線拡大も目立っており、そのしわ寄せが現場のパイロットに来た可能性は否めない。
さらに、ストレス管理教育が不足していたと指摘するのが、元JALのパイロットで航空評論家の小林宏之氏だ。
「健康・ストレス管理の訓練を定期的にやるようにと提言しているが、なかなか実現していない」(小林氏)。
JAL運航本部長の進氏は、「フライト自体にストレスを感じるかというと、それは乗員として当然のこと」という。
だが小林氏は、「離着陸だけでなく、どんなトラブルがあっても対応するという意味で、想像以上にストレスの多い仕事」と強調する。
・・・・・
出典
『JALパイロット「飲酒逮捕」問題の根本原因 急成長の裏で、過重労働が空の安全を脅かす』
https://toyokeizai.net/articles/-/250116
2018年12月5日22時55分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京有明医療大の本間生夫学長が5日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、呼吸と健康の関係をテーマに解説した。
呼吸は、疲れや肩こり、不安などと関係しているといわれる。
一般的に良いとされる深呼吸について、本間学長は、「やりすぎはよくない」と指摘。
「二酸化炭素は体内の酸性とアルカリ性のバランスをとっている。深呼吸のしすぎは二酸化炭素を不足させ、体の不調につながる」と話した。
出典
『深呼吸しすぎ、二酸化炭素不足で体に不調も』
https://www.yomiuri.co.jp/science/20181205-OYT1T50113.html?from=y10
※ちょっと前、2018年9月4日10時30分に産経新聞から、同じ本間学長の説に関するかなり詳しい記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
【第一人者・本間生夫氏、常識覆す指摘続々】
「意識的な深呼吸は何回もし過ぎない方がいい」
「腹式呼吸よりも胸式呼吸の方が大事」…。
呼吸研究の第一人者、本間生夫(いくお)・東京有明医療大学長(呼吸神経生理学)の、これまでの世間的な常識を覆す指摘が、「いい呼吸」へ関心を集めている。
長寿時代の健康維持には、生命活動の基本である呼吸をよりよくすることが重要だ。
では、どうしたらいいのか。
アドバイスをもらった。
【食事よりも大事】
健康といえば、食事や運動に目が向きがちだが、「ある意味、呼吸は食事よりも大事」と本間学長は語る。
ヒトは呼吸により空気中の酸素を取り込み、摂取した栄養素と結びつくことでエネルギーを生み出す。
悪い呼吸であれば、その効率がダウンし、体に負担がかかる。
しかも、その数は1日に2万回、年間730万回に上る。
「いい呼吸かそうでないかで、健康に大きな差が出る」と強調する。
世間的に奨励されている深呼吸も、何回も続けて行うのはよくないと指摘する。
ふだんの無意識の呼吸は脳幹、意識して行う深呼吸は大脳皮質と、「脳の中で担当する部位が違う」としたうえで、「大脳皮質を介する意識的な深呼吸は、体内の酸とアルカリのバランス調節機能が作動しなくなる」からだという。
二酸化炭素量が一定に保たれることで機能が作動していて、「酸性に傾くと、酵素の働きが悪くなるなどの影響もあるので、深呼吸は2~3回にとどめた方がいい」。
【呼吸筋ストレッチ】
また、腹式呼吸のよさが強調され、ふだんの胸式呼吸が軽視される傾向にも疑問を呈する。
肺は自分では収縮できない。
20種を超える肺周囲の筋肉(呼吸筋)を使って収縮させることで、呼吸を行っている。
「従って、メインエンジンはあくまでも肋間(ろっかん)筋を中心とする呼吸筋だ。腹式呼吸で使う横隔膜はサブエンジン」と本間学長は指摘する。
ただ、睡眠中を含め、24時間365日動き続ける肋間筋は、20代から少しずつ老化することが分かっている。
そこで、本間学長が考案した呼吸筋ストレッチを行うことで、「硬化していく筋肉をほぐし、柔軟性を保ってほしい」と呼びかける。
本間学長の研究によると、呼吸筋ストレッチを行った高齢者は肺年齢が10歳程度若返ったとのデータがあり、「呼吸の面だけからいえば、寿命が10年延びたことになる」。
【カラオケもおすすめ】
呼吸筋の働きをアップするには、カラオケなど、「声を出して歌うこともいい」と勧める。
日本人の呼吸のリズムにあった七五調風の曲がいいとのことで、「荒城の月」や「天城越え」、また「ダンシング・ヒーロー」などを例に挙げた。
本間学長は、これらをまとめた著書「すべての不調は呼吸が原因」(幻冬舎新書)を7月に刊行、「呼吸は無意識で行っているため、無関心になりがちだ。その良しあしの影響は想像以上に大きいと思って注意を向けてほしい」と、呼びかけている。
【7種のストレッチで強化】
呼吸筋強化のため本間学長が考案したストレッチは7種類。
代表的なストレッチは、足を肩幅に開いて立ち、胸の前で両手を組む。
ゆっくり息を吸いながら体を丸めていくと同時に、腕は組んだまま前に伸ばす(胸と腕で大きなボールを抱え込むように)。
さらに、息を吸い終わったらゆっくり吐きながら元の姿勢に戻す-というもの。
詳細は同書に掲載のほか、DVD(NPO法人「安らぎ呼吸プロジェクト」ホームページhttp://yasuragi-iki.jp/)も販売している。
出典
『「深呼吸し過ぎない」「腹式より胸式呼吸」“いい呼吸”で10歳若返り?』
https://www.sankei.com/life/news/180904/lif1809040009-n1.html
2018年12月5日20時30分に産経新聞から下記趣旨の記事が、現地の写真付きでネット配信されていた。
田園などの見通しの良い交差点で出合い頭に衝突する事故(田園型事故)が多発しているとして、栃木県警は、同県下野市内交差点付近の道路脇に白いポールを等間隔で設置した。
交差点に入る車同士が錯覚により互いの接近に気付かないのが原因とされ、等間隔に並んだポールを置くことで車の動きを認識しやすくするのが狙いだ。
一見、何の変哲もないこのポールが、事故防止に一役買うという。
田園型事故は、「コリジョンコース現象」と呼ばれる現象が原因で発生する。
人間の視野の特性で、交差道路を等速で接近する車は、視界の中で角度が変化しないため、動いていると認識できなくなる現象だ。
視界が良いため、スピードを出しがちになることも重なり、死亡事故につながることが多い。
県内では同型事故で、昨年1年間に6人、今年に入ってからも2人が死亡。
県警が対策に乗り出した。
事故防止のためのポールを立てる場所として選ばれたのは、同型事故で2年間で2人が死亡した同市橋本の交差点。
県警と下野市は11月、主道路側の交差点から30m離れた地点に、8m感覚で両側に高さ2.6mの白いポールを20本設置した。
ポールによって、ドライバーの視界から車が一定間隔で遮られ、車を「動いているもの」として認識することができるという仕組みだ。
千葉県では6カ所に設置され、1年間で事故がゼロになるなど、効果は実証済みという。
実際に走ってみると、確かに交差道路の車の動きが分かりやすく、減速や一時停止などの対策が取りやすいことが分かる。
県警交通企画課は、「頭を動かすなどして、車の動きを視界に認識させやすくすることも対策になる。ポールの設置効果などを検証しつつ、引き続き、交通事故抑止に努めたい」としている。
【コリジョンコース現象】
そのまま進み続ければ衝突(コリジョン)するコース上の車両同士が、視界良好の状況でも、かなり接近するまで相手を認識できない現象。
田畑の中など、見通しの良い十字路での事故、いわゆる「田園型事故」の原因の一つとして注目されている。
(1)動いているものに比べ、停止しているものを見つけにくい
(2)視野の中心に比べ、周辺のものを認識しにくい
という目の特性が関係し、一定速度で進む相手の車が風景に溶け込むなど、接近するまで動きを認識できない現象が起きるという。
ヘリコプター、航空機の事故原因として説明される場合もある。
出典
『田園型事故招く「コリジョンコース現象」…栃木県警が対策本腰』
https://www.sankei.com/affairs/news/181205/afr1812050037-n1.html
(ブログ者コメント)
田園型事故については、2015年10月に本ブログで岐阜県のケースを紹介スミ。
その関連情報として紹介する。
(2018年12月13日 修正1 ;追記)
2018年12月12日に東京新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。プラスアルファの情報も含まれているため、参考までに追記しておく。
水田などに囲まれた見通しの良い交差点で起こりがちな交通事故を減らそうと、下野市内の交差点に、近づいて来る車両を認識しやすくする「視野対策ポール」が設置された。
県警と地元自治体が協力し設置したのは、今回が初めて。
交差する道路を同じ速度で走る車両が止まって感じられ、接近して来ることが分からなくなる「コリジョンコース現象」による事故を減らす目的だ。
一定間隔にポールを設置することで、ポールを横切る車両が動いていると認識しやすくなる。
千葉県などで導入され、効果が確認されているという。
設置されたのは、下野市橋本の信号機のない市道交差点。
広々とした水田に囲まれて見通しが良い。
ところが、過去5年間で14件の交通事故が起き、うち11件が出合い頭による事故。
昨年から2年連続で、死亡事故も発生した。
市などは、標識の増設や「交差点注意」の路面標示の設置など、対策を施してきたが、死亡事故が続いたことから、県警が各地で効果が出ている視野対策ポールの設置を持ち掛けた。
県警によると、千葉県で2003年に導入され、年間11件の事故が起きていた同県内の交差点では、対策後、1年間は無事故だった。
栃木県内では、小山市が市内2カ所で導入している。
ポールは、交差点から約30m離れた道路の両側に8m間隔で計10本を設置。
反対側の道路の両側にも、同様に設置した。
交差する道路側の運転手からは、近づいて来る車両が間隔を置いたポールで規則的に遮られて見えるため、動いている物体として認識しやすくなるという。
県警交通企画課の担当者は、「事故を起こした人は『ぶつかるまで全く気づかなかった』などと証言する。人の目の特性と、こうした現象による事故があることを頭に置いて、運転してほしい」と注意を促す。
市が支出した設置費用は44万円で、信号機の設置よりも安い。
市の担当者は、「田園が広がる市内は同じような交差点が多いが、信号機の設置は費用面などから難しい。効果を見て、ポールの設置場所を広げたい」と話していた。
出典
『交差点事故「ポール」で防ぐ 「止まって見える」錯覚回避』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/list/201812/CK2018121202000155.html
2018年12月5日14時5分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし10月に新設されたばかりの「神戸航空交通管制部」でシステムトラブルが相次いだ問題で、海外のシステムと接続する際のプログラムに不具合があったことが分かり、国交省は問題点を解消したうえで、本格的な運用を目指すことにしている。
南西諸島の空域の管制業務を担当する「神戸航空交通管制部」は今年10月に新設されたが、システムトラブルが相次いだため、古いシステムでの運用を続けている。
国交省が原因を調べたところ、海外から飛行してくる旅客機を台湾の管制当局から引き継ぐ際にデータを処理するプログラムに不具合があったことが分かった。
運用開始にあたって模擬的な試験はしたものの、実際に海外のシステムと接続した運用は行わなかったため、不具合が分からなかったという。
このほかに、サーバーにデータがたまりすぎ、処理しきれなくなったことも原因だったとしている。
国交省は、プログラムを改修するとともに、今後、深夜など便数の少ない時間帯に試験的な運用を行い、新たな問題が見つからないか確認したうえで、本格的な運用を目指すことにしている。
出典
『神戸管制トラブル海外接続に原因』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20181205/2020002509.html
※トラブル発生当時の解説的記事は下記参照。
(2018年10月15日6時0分 沖縄タイムス)
10日に本格運用した神戸航空交通管制部(神戸市)で同日午後5時25分ごろ発生したシステムの不具合で、那覇空港発着の旅客85便に30分以上の遅れが生じた管制トラブル。
最大で2時間半の遅延や、欠航を余儀なくされた便もあった。
国交省は11日、「サーバー内で予想を超えるデータ蓄積が発生しデータが処理できなくなった」と原因を説明。
運用開始早々のトラブルに、航空会社の関係者からは「大混乱で参った」とため息が漏れた。
道路と違い、信号機のない上空の交通安全は、航空管制の指示が重要になる。
国交省によると、トラブルから約2時間後に復旧するまでの間、バックアップシステムに切り替えて運用を続けた。
すでに不具合は修正され、再発防止のために「改めてプログラムの点検などを実施している」という。
【高度別に担当】
神戸に管制部を新設した背景には、国内の航空需要の増加に伴う管制業務の再編計画が絡む。
従来の札幌、東京、福岡、那覇の4管制部のうち、那覇を廃止。
今後、札幌も廃止し、2025年度をめどに東京、神戸、福岡の3カ所になる見込みだ。
これまで4つの管制部が地域別に空域を担当していたが、再編では上空約10kmを境界高度に設定し、それ以上の「高高度」を福岡、それ以下の「低高度」を東京と神戸に振り分ける予定。
高度別に広域化して見ることで、従来の地域を縦割りで見る方法より航路の選択がスムーズになり、運航の効率化が図れるという。
結果的に、管制官一人一人の業務負担の改善につながると期待されている。
【別の不具合も】
新設の神戸管制部は1日に発足したが、別のシステム不具合のために運用開始が9日まで延期されていた。
ある航空関係者は、本格的な運用が始まって早々のトラブルに困惑。
「十分すぎるほどの準備がなされてしかるべきだ。予測できなかったトラブルなのか」と疑問を呈した。
航空会社にとって今回のトラブルは、台風による運休や自衛隊機のトラブルで滑走路が閉鎖された場合と同様、「不可抗力」に当たるため、欠航などに伴う乗客の宿泊先や移動手段などの手配は対象外。
別の航空関係者は、「影響の大きさを考えると、(乗客には)大変申し訳ないが、民間機のトラブルで管制に迷惑を掛けることもあり、持ちつ持たれつの部分はある」と話した。
出典
『神戸管制、再編早々のトラブル 那覇を廃止し新設 「予測できなかったのか」』
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/329487
2018年12月5日10時3分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
カーナビのルート案内に従って走行したら車に傷が付いたとして、福島県二本松市の男性がカーナビ製造会社と地図データ作成会社に修理費用など約44万円の支払いを求めた訴訟で、福島地裁は4日、男性の請求を棄却した。
遠藤裁判長は、「ルート案内は運転者の判断資料の一つに過ぎない。ルート案内に依存せず、自らの判断に基づき走行しなければならない」と指摘した。
男性は山形県内で最上三十三観音札所巡りをしていた昨年5月18日、カーナビのルート案内に従って未舗装の林道をスポーツタイプ多目的車(SUV)で走行し、道にせり出した草木で車に擦り傷が付いた。
男性は、「車に損害が生じる恐れがある道は、ルート案内で表示しないようにしなければならない」などと主張していた。
遠藤裁判長は、「道路の状態は刻々と変化するため、カーナビ製造者らが正確な状況をリアルタイムで提供するのは不可能」と指摘。
その上で、「個々の道路の安全性は、運転者が最も把握できる。案内された道を走るかどうかは、運転者が実際の道路状態などを踏まえて自ら判断すべきだ」と判断した。
また、この林道が国土地理院の2万5000分の1の地形図で「軽車道」(幅1.5m以上3m未満)として掲載されており、通行できない道を地図データが収録していたともいえないとした。
出典
『「カーナビに従い走り車に傷」修理費請求 地裁、男性の訴え退ける』
https://mainichi.jp/articles/20181205/k00/00m/040/055000c
2018年12月6日18時2分にNHK滋賀から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午後2時半ごろ、甲賀市信楽町にある障害児の入所施設「S学園」で、寮の風呂を沸かすための燃料のタンクから重油があふれ出ているのを職員が見つけた。
県によると、あふれ出た重油は推定でおよそ300ℓに上り、一部は側溝をつたって近くを流れる大戸川に流れ込んだという。
県などが燃料タンクを調べたところ、重油の量を自動で調節する装置が故障していたほか、タンクから漏れた重油を受け止める容器のバルブが開いていたという。
これまでに、側溝や川にオイルフェンスを設置してさらなる流出を防ぐとともに、吸着マットや薬品を使って汚染の広がりを防ぐ対策を取ったという。
県は6日、大戸川のおよそ7km下流までの間で被害状況などを調査した結果、一部で水面に油が浮いているのが確認されたものの、目立った影響は見られなかったという。
また、重油が上水道に混じるおそれはなく、これまでに被害の報告もないとしている。
大戸川では、毎年この時期にニジマスなどの稚魚の放流が行われることから、県では今後も環境への影響を調査することにしている。
重油があふれ出たことについて、信楽学園の山之内園長は、「周辺や川の近くの住民の皆さんには大変ご迷惑をおかけし、申し訳ありません。県や市に協力してもらい、油を取り除く作業を急いで進めたい」と話していた。
重油があふれ出た燃料タンクなどを確認した県の甲賀環境事務所の浦山主幹は、「暗きょになっている水路に油がたまっているかもしれないので、適切に処理できるよう、施設と話していきたい」と話していた。
出典
『大戸川に重油が流出 県が調査』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20181206/2060001644.html
(ブログ者コメント)
以下は映像の2コマ。
左画像が重油量調節装置らしい。
また、右画像はタンク下部だが、漏れた重油を受け止める容器らしいものは見当たらない。
地面にパイプの頭が見えるので、その先が側溝につながり、その間にバルブがあるということかもしれない。
2018年12月5日17時58分に熊本放送から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午前11時40分ごろ、熊本市中央区黒髪の熊本大学理学部2号館4階の実験室から火が出たと、学校の職員から119番通報があった。
火は約1時間半後に消し止められたが、約100m2が全焼した。
実験室には担当教員1人と学生が6人がいたが、全員が逃げ出し、けがもなく無事だった。
実験室では、学生たちが金属ナトリウムを水で薄めながら廃棄する処理をしていたという。
「危険な溶媒があったり色んな試薬があったりする所なので、どこの研究室でも(火が出る)可能性はあると思う」(理学部の学生)
原田学長は、「原因を究明し、再発防止、安全管理の徹底に万全を期したい」としている。
出典
『熊本大学で火事 実験室全焼』
http://rkk.jp/news/index.php?id=NS003201812051758050111
2018年12月4日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
バスの運転手が運転中に意識を失って事故になるケースが相次いでいる。
11月15日にも、三重県内の高速道路を走っていた観光バスの男性運転手が意識をなくし、乗客が停車させる事故があった。
国は脳などの検査を推奨しているが、専門家らからは、「根本的な解決にならない」との指摘が出ている。
「非常にショックです」と、三重県で事故を起こしたバスを運行していた「R急行」(浜松市)の担当者は語る。
11月15日午前、同県紀北町の紀勢自動車道下り線「高丸山トンネル」内で、40代の男性運転手が急に意識を失った。
バスは蛇行し、乗客が停車させた。
けが人はなかったが、運転手は口から泡を吹いていたという。
同社によると、運転手は朝の点呼で体調不良は確認されず、持病や服用薬もなかった。
3年ほど前に脳ドックと睡眠時無呼吸症候群の検査を受けたが、いずれも「異常なし」だった。
「トンネルに入ったところまでは記憶があるが、それから先は覚えていない」と話しているという。
国交省によると、バスの運転手が意識障害などで運転ができなくなったケースは、2012~16年の間、毎年10~16件で推移している。
脳や心臓の病気が原因のケースは、合わせて約3割ある。
国交省は、バス事業者向けに03年、睡眠時無呼吸症候群の対策マニュアルを作成。
今年2月には脳血管疾患対策のガイドラインを定め、3年に1回程度の検査を推奨している。
心疾患対策のマニュアル作成も検討中だ。
東京都は、都営バスの全運転手(約2000人)に、今年度から脳MRI(磁気共鳴画像化装置)検診を義務付けた。
3年間で全員が受診する方針という。
だが、交通事故と病気の関係に詳しい滋賀医科大の一杉正仁教授(社会医学)は、「脳ドックは、根本的な解決にならない」と指摘する。
「病変が見つかることは多いが、分かっても事故が防げるわけではない」
一杉教授が病気で事故を起こしたドライバーに聞き取りをしたところ、「左肩に痛みがあった」などの前触れが多くみられた。
米国にも、同様の研究結果があるという。
「体調の異変をすぐに申し出る勇気と、その申告を受け入れる環境の整備が不可欠」と強調する。
中国地方のバス会社の男性社長(37)は、背景に慢性的な人手不足と運転手の高齢化があると指摘する。
約50人の運転手の平均年齢は40代後半。
「無事故で一日が終わるとほっとする。あと5人くらいいれば負担を軽くできるのですが……」
厚労省によると、17年、法令違反の疑いがあるとして調査したバス事業所276カ所の約5割で、長時間労働などの労働基準法違反があった。
労働組合「自交総連」の松下・大阪地方連合会書記次長は、「バス運転手は、拘束時間が長い上、年収も低いので人が集まりにくい。労働条件の改善が急務」と訴えている。
【運転手の意識消失が原因で今年起きた主なバス事故】
3月25日
岐阜県中津川市の中央自動車道でホテルのバスが道路左側のコンクリート塀に衝突し、乗客2人が軽傷。
運転手は衝突後、意識を取り戻す。
5月8日
山口県下関市の国道で私立高のスクールバスが横転し、生徒2人が軽傷。
運転手は静脈に血栓ができたことなどが原因で死亡。
6月3日
富山県南砺市の東海北陸道で観光バスが蛇行し、乗客3人が軽傷。
乗客がハンドルを操作して停車させた。
運転手は事故時重体で、くも膜下出血だったとみられる。
10月28日
横浜市の国道で路線バスが前の車に衝突し、乗客1人が死亡。
運転手は睡眠時無呼吸症候群の通院治療中で、「意識がもうろうとした」とバス会社に説明。
11月1日
千葉県成田市の県道で観光バスが蛇行して信号機の柱に衝突。
運転手は心筋梗塞で死亡。
乗客にけがはなし。
11月15日
三重県紀北町の紀勢自動車道で観光バスが蛇行。
乗客がハンドルを操作して停車させた。
乗客にけがはなし。
事故後、運転手は意識を回復。
原因調査中
出典
『アクセス バス運転手、意識失い… 後絶たぬ事故 国、脳検査推奨 労組「待遇改善を」』
https://mainichi.jp/articles/20181204/ddm/041/040/066000c
(2020年2月22日 修正1 ;追記)
2020年2月22日10時00分に伊勢新聞から、紀北町事故の運転手はてんかんの疑いありと診断されていたが、仕事が減るのを恐れ、会社には報告しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
平成30年11月、三重県紀北町の紀勢自動車道で、観光バスがトンネルの側壁に衝突して乗客がけがをした事故で、県警高速隊は21日、会社にてんかんを隠してバスを運転したとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、静岡県袋井市、バス運行会社元社員の男性(47)を津地検に書類送検した。
送検容疑は30年11月15日午前10時半ごろ、同町便ノ山の紀勢自動車道下りの高丸山トンネルで観光バスを運転中に意識を失って側壁に衝突し、乗客の50代女性の首などに重傷を負わせた疑い。
県警によると、事故後の精密検査で男性がてんかんを患っていることが判明。
事故の約1年前にもてんかんの疑いで医療機関を受診し、医師に精密検査を勧められていたという。
男性は容疑を認め、「てんかんの精密検査を受けると会社に報告しなければならず、仕事が減るのが怖かった」という趣旨の供述をしたという。
男性は昨年9月、同社を依願退職した。
https://this.kiji.is/603754262475261025?c=39546741839462401
※事故時の様子は、下記記事参照。
(2018年11月15日14時1分 朝日新聞)
三重県紀北町の紀勢道のトンネルで15日午前に起きたバス事故。
運転手が口から泡を吹いて意識を失い、蛇行運転を始めたが、乗客らがハンドルを握ってバスを止め、間一髪で惨事を免れた。
乗客らが朝日新聞の取材に応じ、一部始終を語った。
観光バスは愛知県豊橋市を出発し、乗客約30人を乗せて和歌山方面に向かって南下していた。
乗客によると、運転手は途中でトイレ休憩を取り、事故直前まで運転にも特に変わった様子はなかったという。
しかし、紀勢道海山インターチェンジを過ぎた後の片側1車線のトンネルで、車が左に寄って何かに当たる音がした。
乗客で前から4列目にいた秦さん(男性、68歳)は、「最初はパンクかと思った」と言う。
紀勢道は片側一車線の対面通行部分が多い。
バスはその直後、反対車線にはみ出して右側の壁にぶつかり、反動で左側の走行車線に戻った。
秦さんと前の席にいた畑中さん(男性、76歳)が慌てて運転席に向かうと、運転手は口から泡を吹いて、硬直していた。
2人は協力しながら、運転手の体を動かしてアクセルから足を離し、ハンドルを切るなど、数回蛇行して対向車をかわしながら、最後はわざと左側の壁に、バスをぶつけて止めた。
異変に気づいてから止まるまでは2~3分程度だった。
運転手が救急搬送された後、消防隊員がバスを運転して、尾鷲市街地まで誘導したという。
秦さんは「止めなければ仕方が無いと思い、必死になった」、畑中さんは「心臓がバクバクだった。乗客にけががなくてよかった」と話した。
https://www.asahi.com/articles/ASLCH4J9LLCHOIPE00Q.html
2018年12月5日10時57分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4日午後9時40分ごろ、兵庫県西宮市のIハム工場から「従業員が作業中に機械に指を挟まれた」と119番があった。
従業員は60歳くらいの男性で、ハムを真空パックに詰める機械が故障したため、数人で点検に当たっていた。
左手の指先がつぶれるなどの重傷を負った。
出典
『Iハム工場で従業員が重傷 機械に指挟まれる』
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201812/0011877560.shtml
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。