(4/5から続く)
[7]その他、事故に至った背景
(12月18日 毎日新聞東京版)
札幌市は、17年7月から市内全域で、家庭ごみのスプレー缶は穴を開けずに回収している。
一方、企業が排出する事業系ごみは、民間業者が収集する。
札幌市の業者は、「安全確保のため、ガスを抜いてもらっている。同様の対応の業者が多いのではないか」と証言。
今回の不動産店からの廃棄物は事業系ごみとなる。
出典
『スプレー100個、ガス引火か 不動産店「湯沸かし器つけた」』
https://mainichi.jp/articles/20181218/ddm/041/040/110000c
(12月17日22時6分 朝日新聞)
消防局によると、爆発・倒壊した木造モルタル2階建ての建物の所有者と3つのテナントには、それぞれ、防火管理者を置く義務があったが、いずれも選任されておらず、消防計画も作成されていなかった。
漏電火災報知機や避難器具も設置されていなかった。
これらは、消防法などで建物所有者やテナントに義務づけられているもので、消防局は2016年6月から今年10月まで、立ち入り検査や文書で、計12回にわたり指導をしてきた。
指導の都度、4者とも改善の意向を文書などで示したものの、結局、実行されないまま、爆発炎上となってしまったという。
17日午前に札幌市役所で記者会見した消防局の志田査察規制課長らは、「指導に従わない違反ではなく、改善意思を示していたので、不備という位置づけになる」としたうえで、「2年も経ってしまい、(指導が)徹底していなかったと思う」との反省を口にした。
出典
『札幌の爆発ビル、過去に計12回指導 消防計画など不備』
https://www.asahi.com/articles/ASLDK53QFLDKIIPE01J.html
(ブログ者コメント)
〇1本や2本ならいざ知らず、120本を室内で一斉にガス抜きするとは・・・。
スプレー缶の不適切使用による爆発事故は、過去に本ブログでも多数紹介しているが、このような事故は初めて。
想定外をはるかに超えた事例だ。
〇8年ほど前になるが、小平市ゴミ処理場でのスプレー缶爆発事故掲載時、「大きな事故が起きないと廃棄スプレー缶への穴開け義務は課せられないのだろうか」と書いたところ、読者の方から「素人に穴開け義務を課すのは難しいところがある」とのコメントを頂戴した。
今回、まこと、その通りの大事故が起きてしまった。
この事故を機に、全国的に穴開け不要になっていくのかもしれない。
(2019年1月18日 修正1 ;追記)
2019年1月16日5時0分に北海道新聞から、同店の消臭契約件数は他店の数倍だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同店のスプレーによる消臭業務の契約件数が、道内の他店舗の数倍に上っていたことが15日、関係者への取材で分かった。
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運営会社の佐藤社長は、「消臭スプレーの売り上げでノルマはなかった」と強調する。
一方で、アパマン社は各店舗に対して消臭業務の受注を推奨。
全国大会を開いて、スプレーの購入個数が多い店舗を表彰していた。
同社の道央の店で勤務していた元従業員も、「入居者と賃貸契約を結ぶ際、全体の契約の半数は消臭業務を受注するノルマがあった」と証言する。
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出典
『スプレー消臭契約突出 元従業員「ノルマあった」 平岸爆発の不動産店』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/267158
1月16日18時43分にNHK北海道からは、白い煙で火事と間違われてはと思い窓を閉め切ったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
店長らは、「在庫整理のため、およそ120本を噴射した。スプレー缶は白い煙が出るので火事と勘違いされると思い、窓を閉めきっていた」などと話しているという
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今回の爆発では、160mあまり離れた建物を含む42棟で、窓ガラスが割れるなどの被害が出た。
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今回のような爆発は過去にほとんど例がなく、実験を行うなどして爆発にいたった経緯を調べる必要があるということで、捜査は長期化する見通しだ。
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爆発が起きた店舗の向かい側のビルに入るパソコン教室は去年10月にオープンしたばかりだが、爆風などで窓ガラスが割れたり、天井に穴が開いたりする被害を受けた。
さらに、およそ500万円かけて購入したパソコンや椅子などの備品にもガラスの破片が飛び散り、一部が使えなくなったという。
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現場近くのマンションに住む女性は、爆風で部屋の窓ガラスが割れたほか、家具が使えなくなるなどの被害を受けた。
このため、爆発のあとはホテル暮らしを余儀なくされたほか、1か月がたった今も自宅の修理が進まず、仮住まいでの生活を続けている。
この間、女性は部屋の後片づけや仮住まいの確保などのため、1週間あまりにわたって仕事を休まざるを得なかったという。
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店舗運営会社の佐藤社長は会見で、「正直なところ、契約が多くて回りきれていなかったと聞いている」とした上で、スプレー缶の在庫は当時、およそ160本あったと説明した。
一方、警察による現場検証では、およそ300本のスプレー缶が見つかっており、警察は大量の在庫を抱えた経緯についても詳しく調べている。
出典
『札幌豊平区の爆発火災から1か月』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190116/0007070.html
1月16日19時0分にNHK北海道からは、爆発による空気の振動が60km離れた場所でも観測されていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道大学大学院理学研究院の吉澤和範准教授は、先月16日に札幌市豊平区の店舗で起きた爆発のあと、大学や気象庁が道内に設置した地震計の記録を確認した。
その結果、爆発が起きた当日の午後8時半に現場から北におよそ30km離れた石狩市の地震計で、午後8時32分に南東におよそ60km離れた厚真町の地震計で、それぞれ空気の振動が観測されていたことがわかった。
吉澤准教授が分析した結果、空気の振動が発生した時間は、いずれも午後8時29分17秒で、豊平区の店舗で爆発が起きたとされる時刻と一致したという。
吉澤准教授は、爆発で生じた衝撃波が空気を振動させた可能性が高いとした上で、「通常、これだけの広い範囲に衝撃波が届くのは火山の噴火や隕石の落下くらいなので驚いた。今回の爆発が非常に大きかったことを物語っている」と話している。
出典
『爆発 60キロ先の地震計に記録』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190116/0007077.html
1月17日19時37分に読売新聞からは、従業員は臭いからと制止したが・・・という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故当時、不動産仲介店にいた20歳代の男性従業員が「消臭スプレー缶を噴射させた店長を止めようとした。自分はやっていない」などと話していることが、捜査関係者への取材でわかった。
従業員は、「店長に『臭いからやめてください』と言ったが、聞き入れられなかった」などと、当時の経緯を説明しているという。
出典
『「臭いからやめて」店長が聞き入れず…札幌爆発』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190117-OYT1T50030.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。