2024年12月6日19時15分にYAHOOニュース(新潟総合テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
本格的な雪のシーズンに入り、例年増えてくるのが“雪下ろし中の事故”です。
事故を少しでも減らそうと、新潟県柏崎市の大学では屋根に積もった雪の重さを計測して様々な技術に応用するための実験が始まっています。
柏崎市の新潟工科大学で建設が進められているのは、屋根に積もった雪の重さを研究するための実験棟です。
【記者リポート】
「実験棟の中に入ってみますと、土台部分には建物全体の重さを量るための荷重計が設置されています。この加重計によって、雪の重さ自体をデータで集められるということです」
【新潟工科大学建築・都市学系 富永禎秀 教授】
「建物と屋根に積もっている雪の重さの合計が出る。それで建物の重さを引くと、雪の重さになる」
屋根雪の重さの計測は、これまで屋根雪の一部をサンプルとして採取して予測していただけでしたが、実験棟では荷重計を使うことで、屋根雪の重さを直接計測します。
富永教授によりますと、こうしたデータを集めることで、リアルタイムで屋根雪の重さが分かる計測手法や雪下ろしが必要なタイミングを知らせるセンサーなどの技術の開発につなげることができるといいます。
県内では、昨年度、雪下ろし中の事故が36件発生していて、研究の背景には事故を1件でも減らしたいという思いがあります。
【富永教授】
「これまで雪の重さというのは非常に経験的なもので感覚的にとらえられていたが、それを実際の数値で知ることができるので、そういった雪下ろしの判断もより合理的にできる」
富永教授は今後5年間のデータを収集する予定で、雪下ろしが不要な住宅の建築方法などの実用化も合わせて進めていきたいとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5909fd7c2c6c51328bfd4dfae597c1000e397f7b
2024年10月3日16時17分にYAHOOニュース(FNN PRIME)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
アメリカ・ハワイ州のマウイ島で、2023年に起きた山火事について、当局は、電線から発生した火災が完全に消火されなかったことが燃え広がった原因だと結論づけました。
マウイの消防当局などは2日、2023年8月に発生し、102人が死亡した山火事の原因について調査結果を公表しました。
報告書によると、マウイ島ラハイナで2023年8月8日朝、切れた電線から火災が発生し、消防は2時間半後に鎮火したと発表していました。
しかし、実際には火が完全に消えておらず、午後再び近くで出火し燃え広がったということです。
当時、強風警報が発令されていて、火災が発生するおそれが高いにも関わらず送電を続けた電力会社や消防などを管轄するマウイ郡の責任などが指摘されています。
報告書では、「2つの火災は事故だった」としたうえで、「火災の責任を負う人を特定することは分析の範囲を超えている」としています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3758199bea9490d568e131776c57c149aeb862df
(ブログ者コメント)
本件、市街地にも燃え広がり大きな被害が出たとして、日本でも多くのメディアが取り上げていた。
以下は、火災拡大原因に関する当時の報道のひとつ。
(2023年8月29日3時5分 日本経済新聞)
米ハワイ州マウイ島で発生した山火事の原因究明を巡って対立が表面化した。
米電力会社ハワイアン・エレクトリック・インダストリーズは27日、出火時には送電が止まっていたと主張する声明を出した。
マウイ郡は24日、同社が火災を封じ込める安全対策を怠ったとして訴訟を起こしたが、こうした訴えは「事実ではない」と反論した。
マウイ島で8日に発生した山火事は、島西部の観光地ラハイナを中心に壊滅的な被害をもたらした。
現時点までに少なくとも115人の死亡が確認されている。
ハワイアン・エレクトリックによると8日、マウイ郡では2つの山火事が起きた。
早朝に起きた1つ目の山火事は、強風によって落ちた送電線が出火原因になった可能性が高いとする。
だが、この火災は郡の消防当局が「100%封じ込めた」とし、のちに消火が完了したと報告した。
その後、午後3時ごろに2つめの火災が起きた。
ハワイアン・エレクトリックによると、この火災が起きた時点で送電は6時間以上止まっていたという。
「壊滅的な被害を出した2つ目の山火事の出火原因は、まだ明らかになっていない」とし、調査中の段階で訴訟に踏み切ったマウイ郡の動きを「法的に無責任だ」と批判した。
ハワイアン・エレクトリックの株価は火災以降、7割ほど下落していた。
だが、出火時に送電機能は停止していたとの反論発表を受けて、28日は前週終値よりも約40%高い水準で推移している。
リスク調査を専門とする評価会社ムーディーズRMSは22日、今回の山火事の経済的損失が40億〜60億ドル(約5860億〜8800億円)に上るとの試算を公表した。
損失には、住居や自動車などの損壊やインフラ設備への打撃、経済活動の低迷などが含まれる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28BD20Y3A820C2000000/
2024年9月8日5時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
宮崎県で最大震度6弱を観測した日向灘を震源とする地震から、8日で1か月。津波注意報が発表された九州の沿岸部は、南海トラフ地震でも津波の到達が見込まれ、自治体や関係機関は初動対応などの見直しを始めている。住民の避難が一部で滞るなど新たな課題も浮き彫りとなり、識者は、今回の経験を津波防災の教訓とするべきだと指摘する。
宮崎県延岡市長浜町区長の男性(76)は地震の数分後、近所の高齢者を伴って自宅そばの津波避難タワーを訪れた。すでに6、7人が集まっていたが、「入り口の扉が開かない」と慌てた様子で、外にとどまっていたという。
タワーは高さ約10メートルで最大440人を収容でき、市が約1億円かけて2016年に整備した。普段は施錠されており、震度5弱以上の揺れを感知すると「解錠ボックス」を開くことができるようになり、鍵を取り出せる仕組み。しかし、市の最大震度は4で、ボックスは開かなかった。
そばには厚さ6ミリのボードでできた「緊急用避難扉」があり、蹴り破ってタワーに入ることも可能だ。イラスト付きの説明書きも掲示されているが、ちゅうちょしたとみられる。扉を蹴破り、住民らを中に入れた甲斐さんは「災害時は1分1秒を争う。迅速にタワーに入れた方がいい」と話す。
市内の津波避難ビルとして指定している病院や福祉施設でも、揺れを感知する解錠ボックスが採用されている。市の担当者は、施錠に関して「ビルは防犯上のリスクがあり、タワーの常時開放には落下事故などの危険がある」と説明。その上で「緊急時には、ためらいなくボードを破ることができるよう周知徹底を図りたい」としている。
◇
激しい揺れや津波に直面し、初めて南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)も発表されたことで、沿岸部の関係者は危機感を高めて対応策や備えの強化に動き出している。
震度6弱を観測した同県日南市の愛泉会日南病院は、1階の入院病棟を2階に垂直移転させることを決めた。
自力での移動が難しい重症心身障害児・者を中心に120人以上が入院しており、地震の際はスタッフ70人ほどで、1階の入院患者約40人を抱え上げるなどして2階に避難させた。
病院は海岸から約200メートルと近いため元々計画はあったが、予定を前倒しし、年度内に移すことにしたという。西島元利理事長は「今できる最善の計画。数年後には病院を内陸地へ移転させたい考えもある」と話す。
同県門川町では地震直後、高台の町役場などに避難する車で渋滞が起きた。町によると、列車が線路上で緊急停止し、近くの踏切の遮断機が上がらなくなったことが要因の一つという。町の担当者は「渋滞で津波に巻き込まれるリスクがある。できるだけ徒歩で近くの高台などに避難するよう呼びかけていく」と話す。
大分県臼杵市は、津波注意報や津波警報が出た際に防災無線で放送する原稿を用意した。地震前から大まかな伝達内容は決めていたが、誰でも速やかに対応できるよう8月下旬に作成した。市防災危機管理課の河野亮・副主幹は「防災無線は住民の命を守る重要な役割を担っている。危険が迫っていることをスピーディーに伝えたい」と話した。
静岡大防災総合センターの原田賢治准教授(津波工学)は「南海トラフ地震では深刻な被害も予想される。今回の経験を教訓にするために、個人や地域、行政がそれぞれ対応や行動を振り返り、備えを見直したり、防災意識を高めたりする必要がある」と指摘する。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240907-OYT1T50205/
2024年8月30日16時49分にYAHOOニュース(防災士ライターの寄稿文)から下記趣旨の記事が、複数枚の写真付きでネット配信されていた。
台風10号は本体付近のみならず、遠く離れた地域にも「遠隔豪雨」を引き起こし、大雨による甚大な内水被害が発生しています。
ニュースでは、冠水した道路を水しぶきを上げて走るトラックや車を報じてします。
しかし、カメラを横に振れば、多くの地域で道路沿いの住宅や商店、歩行者が、二次被害にあっていることが分かるでしょう。
今回は、ニュースでは報じられない、大雨で道路が冠水した際の二次被害についてお伝えします。
■内閣府防災情報のページでも小さいながら掲載している
今回お伝えする情報は内閣府防災情報のページでも、小さいながら掲載されています。
(防災情報のコピペは転載省略)
このように、道路が冠水したことで二次被害にあっている方は実際にいます。
次からは、筆者が実際に見聞きした、冠水した道路を車が通行した雨水の波で起きた、二次被害について紹介します。
■自宅の駐車場の車が泥水を被って浸水状態
自宅の駐車場に止めてあった車は、タイヤ部分まで雨水に浸かっていました。
なんとかその程度で済んでいたので、エンジンルームは無事。
だったはずなのですが、冠水した道路を走る車によって大きな波が起こり、ボンネットまで泥水を被る被害に・・。
さらに、車が通るたびに泥水を被るため、車が浸水した状況となり、エンジンがかからなくなってしまったのです。
■商店の扉のガラスが割れて浸水!ほとんどの商品を廃棄
店前に土のうを積んで扉のガラスに板を貼り、何とか店内への浸水を防いだ商店ですが・・。
台風が去り、ガラスに貼った板を外し、開店の準備をしていたとき。
道路を大型のトラックがとおり、大きな波が商店を襲いました。
土のうを軽々と超えた波は、商店の扉のガラスを破壊し、店内に侵入します。
割れたガラスが雨水と共に店内に侵入しているため、思うように動けません。
そうしているうちに、トラックや大型のワゴン車が通行し、何度も商店に水が浸入。
せっかく台風から店を守ったのに、思わぬ二次被害によって床下浸水同様の被害になってしまいました。
雨水を被った商品は全て破棄せざるを得ない状況で、損害額は数百万円におよんでいます。
■歩道での避難途中に波で転倒!頭を数針も縫う大けがを負う
ひざ下まで冠水した道路を歩くのは、困難を極めます。
しかし、避難所に向かうために仕方なく歩道を歩いていたとき、水しぶきを上げて車道を走り去った車のあとから、思わぬ波に襲われました。
通常でも不安定なところに、腰上までの波の力で耐えきれず転倒。
頭をブロック塀に打ちつけて血だらけになりつつも、とにかく避難所まで辿り着き、応急処置をしてもらいます。
その後、救急車で病院に運ばれて、傷口を数針も縫う結果になりました。
■対向車線からの大量の水しぶきで視界不良に!その一瞬で
追突事故を起こした
雨の日に対面通行の道路を走った経験のあるドライバ―なら、簡単にイメージできるでしょう。
冠水した道路を車で走る際に巻き上げる水しぶきは、一般的な雨のときより量が多くなります。
そのため、対向車線からの大量の水しぶきがフロントガラスに降り注ぐと、ワイパー1回では視界は開けません。
その結果、数秒間視界不良に陥り、その瞬間に前の車が急ブレーキ!
しかし、水しぶきを被った車はブレーキを踏むことなく、前方の車に衝突してしまったのです。
■冠水した道路の走行は要注意!交通違反で罰せられることも
ある
今回紹介したケース以外にも、道路の冠水による二次被害はたくさんあります。
しかし、車社会の現代では、「道路が冠水したから車で外出してはダメ」とはいえません。
自分の車が冠水した道路を走ったことで、誰かに二次的な被害を与えたことを、本人が知る由はないでしょう。
だって、そのまま何ごともなく走り去っていくのですから、分かりませんよね。
ところが、実は知らないところで誰かに二次的な被害を与えているかもしれません。
そして、以下の道路交通法違反で、罰せられるケースもあるので要注意ですよ。
(道交法文面のコピペは転載省略)
冠水した道路を車で通行するときは『速度をおとして通行するのがマナー』であると、広く知って欲しいですね。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/45fc2d3dfc2fc6b17899948548af52ac1491f5f1
(ブログ者コメント)
2週間ほど前、冠水道路に入ろうとして消防団の人に叱られた・・・そんな体験談が話題になっているという情報を紹介したが、今回は、その詳細版。
2024年8月7日7時55分にYAHOOニュース(まいどなニュース)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8月に入り、全国各地でゲリラ豪雨や雷雨、大雨が頻発している。
そんななか、新潟県でラーメン屋さんを営むニューハルピン(@new_halpin)さんがX(旧Twitter)に投稿したポストに大きな注目が集まった。
■「自分勝手なことするな!」
「冠水してるなかに入って行く車の動画よく見るんだけどさ、やめた方がいいよね。
だいぶ前に住んでた地域が冠水した時に、ハイラックス乗ってたから余裕だろって入ろうとしたら消防の方に止められてさ、大丈夫だよって言ったら、『お前が入って行くことによって波が起きる。その波が家屋のシャッターや扉を破壊するんだよ。自分勝手なことするな!』って叱られた。
なるほど、そうだよなって思った」
冠水した場所を無理に走行すると車が故障する恐れがあるだけでなく、「誰かの命」や「暮らし」を脅かすリスクがある。
このニューハルピンさんの経験談に、実際に被害に遭ったという人たちからも多くのコメントが寄せられた。
■最悪の場合…「人が流されて死ぬ」
「ウチも昔の家でやられたなあ。波と水ハネで玄関のガラス戸を破壊された」
「これ、マジでもっと認識されてほしい。
車が大丈夫でも周りが大丈夫じゃないんだっつーの。
車が通らなければ入り込まなかった場所まで水が行っちゃうんだよ。
去年、家の横が冠水した時に車が通り続けてエアコンの室外機が流された者より」
「マジで車で突っ込んでくのやめてほしい。
結構大きな波ができるの!
ちょっと荒れた海の波みたいに感じるよ。
距離があっても歩いてる人いたら、最悪の場合その人流されて死ぬよ。
家の中でせっかく浸水免れてた部分にも結構上がってくるよ」
■甚大な被害をもたらした「7.11水害」の経験談
ニューハルピンさんに伺ったところ、今回投稿した話は、1995年に新潟県上越地方・長野県北信地方・富山県東部地域に発生した集中豪雨により、甚大な被害をもたらした「7.11水害」の経験談だという。
「自分が住んでいた地域でも、深いところでは1メートル以上の水位がありました。
前夜から降り続いた雨により河川が氾濫し、翌朝から道路に水が溢れてきて、近隣の多くの住宅で床上浸水の被害が出ていました」(ニューハルピンさん)
この日、ニューハルピンさんは車で会社に出勤。
会社の機械に浸水の被害が及ばないよう、「水中ポンプ」を取りに一旦帰宅し、再び車で会社に向かった。
「その時点ではまだ通れない道路はなかったのですが、そのわずか30分後、会社に戻る時には至るところで冠水していて、行きは通れた道はもう車が通れない状況でした。
おそらく、膝下くらいの水量だったと思います」(ニューハルピンさん)
■「誰かの暮らし」と「命」を救った、強い口調
当時、ニューハルピンさんが乗っていたのはトヨタ・ハイラックス。
車高が高いため、膝下ほどの水位なら走行できると判断。
しかし、その時、居合わせた地域の消防団の方から「やめろ!やめろ!」と、呼び止められたという。
「投稿した通り、『お前が入って行くことで波が起きるんだ。その波が家屋のシャッターや扉を破壊してしまう。自分勝手なことするな!』と言われました。
消防団の方に言われるまでは全く頭になかった事柄でした。
『そうだよな~。うん、わかりました』と従うと、『気をつけて行ってください!』と言われ、その場を離れた後、水位が下がるのを待ちました。
もし、この時に止められてなかったら……
自分の行動によって誰かの家屋が破壊されたり、自身の車も動かなくなったり、最悪、命を失っていたかもしれません。
強い口調で止めてもらって感謝しています」(ニューハルピンさん)
今回の投稿を機に、「冠水時の車の走行は周りに大きな被害を及ぼす、ということを知ってくれる方が増えれば幸いです」と、ニューハルピンさん。
冠水時、とくにアンダーパス(鉄道や道路などの下を通過するため周囲より低くなっている道路や地下道のこと)は車両の水没などによる死亡事故も発生しており、全国の自治体なども注意喚起を行っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2746d6c714ab9b9a7275cb70c25a6896bb391263
(ブログ者コメント)
冠水道路を水シブキをあげて通る車。
迷惑だなあ・・・と思ったことはあるが、被害を出すことがあるとは思いもしなかった。
2024年7月12日22時23分にYAHOOニュース(防災士栗栖氏の寄稿文)から、多数の解説図とともに下記趣旨の記事がネット配信されていた。
明日13日から、7月はじめての3連休がはじまりますね。
しかし残念ながら、九州から関東甲信・東北地方は梅雨前線の停滞によって連続して雨の予報です。
特に西日本では警戒急の大雨のおそれもあり、土砂災害や浸水被害が深刻のようで、同時に怖いのは落雷でしょう。
今回は、雷にスポットを当ててお届けします!
■人体に雷が落ちる「雷撃」の7種類を紹介!
雷が人体に落ちると、命に関わる重大な事故となります。
しかし、人体に雷が直撃しなくても、さまざまな状況で人体に雷の電流が伝わってしまうのです。
ここでは、雷が落ちる7つの種類を紹介しましょう。
■直撃と側撃
落雷が人体に直接落ちる「直撃」は、電流が大量に体にながれるため死亡する確率が高い落雷です。
直撃を受けた場合の死亡率は約70~80%と高く、万が一蘇生術を施さなかった場合の死亡率は、約90%にアップします。
一方で「側撃(そくげき)」は、落雷が直撃した人や木などの物体から、別の人に飛び移る雷のことです。
人が側撃を受けるときには「人⇒人」や「木⇒人」のケースが多いです。
「木の下で雨宿りをしてはいけない」との意味は、この側撃を受けるからで、先の直撃の次に多く死亡率も高い落雷です。
■分岐放電
分岐放電とは上図のように、落雷の電流が途中で分岐して複数の地点に落ちる現象です。
上図では、木に落ちていた落雷の電流が途中で分岐して、少し離れた場所にいた人に流れています。
この落雷も死亡率が高く、高い木の傍などにいると危険であることを示しています。
■誘導電流
雷が近くに落ちたとき、落雷の電流による「電磁誘導」によって、落雷電流と逆方向の誘導電流が流れます。
この現象が起きた場合は、短時間意識を失ったり、めまいや頭痛などの症状に見舞われます。
ただし、これまで紹介した、直撃や側撃のように命に影響なく比較的軽傷で済むようです。
■歩幅電圧
なかなか聞いたことのない単語ですが、地面に接している2点間の電位差が原因で、2点間を流れる電流のことです。
落雷点の近くに立っている人の両足間に電流が流れた場合、ビリビリと電流が流れることを感じるようです。
ことのときの心臓までの通電量は、全電流の0.4%以下といわれており、これにより死亡する危険性は極めて低いため、不安にならなくても大丈夫です。
ただし、腹ばいの姿勢の場合は心臓への通電の可能性が高くなるため、危険性が高くなります。
■爆風
雷が落ちた衝撃で起こる爆風です。
鼓膜が破れるなどの症状が起きますし、状況によっては頭蓋骨骨折や肺・肝臓などの破裂を起こし、死に至るケースもあります。
雷が落ちそうな付近には、立ち寄らないことが大切です。
■コロナ放電
落雷によって、人体から上向きに発生する微小の電流のことです。
症状としては、多くの方が髪の逆立ちを感じたり、頭を打たれたような衝撃を受けたり、瞬間的に意識を失ったり、しびれなどを感じます。
ただし、いずれも軽症でほとんどが早期に回復します。
■「ゴロゴロ」と、雷が鳴ったときの正しい行動
それでは、前述した落雷に合わないために「ゴロゴロ」と雷が鳴ってきた際の、正しい行動を紹介します。
・鉄筋コンクリート製の建物内に逃げる
・自動車の中に逃げる
・避雷設備の施された建物の内に逃げる
■目からうろこ!配電線や送電線の下は安全地帯となる
雷について専門に情報を公開している「雷(らい)ぶらり」では、目からうろこの雷から身を守る安全地帯を紹介しています。
ただし、これらの下でも傘などをさしていると危険です。
■高さ30m以下の電線(主に配電線)の保護範囲
一般的な電柱間の電線の中央部分は、雷から身を守る最適の場所になるようです。
上図では高さを20mとしていますが、一般的に電柱の高さは8m~10mなので、保護範囲の幅は16m~20mとなります。
■高さ30m以上の電線(主に送電線)の保護範囲
このパターンは鉄塔間になるため、障害物が多くなります。
しかし、覚えておくとイザという時に便利です。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0c132b2b235ecacd5eb1ca88b73925b4237e9a19
2024年7月12日22時54分に読売新聞から下記趣旨の記事が、写真付きでネット配信されていた。
12日午前3時50分頃、松山市緑町の重要文化財・松山城がある城山の北東側斜面が幅約50メートル、高さ約100メートルにわたって崩れ、木造住宅1棟が巻き込まれて倒壊した。
住人とみられる90歳代男性と80歳代女性、40歳代男性の3人が行方不明になっており、愛媛県警や市消防局が捜索している。
松山地方気象台によると、同市では12日朝までの2日間で、平年の7月の1か月分に相当する213ミリの雨量を観測。
現場は市の中心部で、土砂は近隣のマンションや民家など計4棟に流入した。
被害に遭った15階建てマンションでは、水分の多い土砂が上層階まで跳ね上がったとみられ、7階付近のベランダに流木が引っかかっていた。
7階に住む会社員本田さん(55)は「隣の部屋のベランダに木が突っ込み、アルミ製の手すりがひしゃげていた」と驚いた表情を見せた。
現場の上部では、昨年7月の大雨で、松山城の天守につながる緊急車両用の道路の擁壁が傾いたため、修復工事が行われていた。
市は同9月に擁壁の修復を決定したが、国の史跡内にある道路の修復は文化庁の許可が必要で、許可が出たのは今年5月になってから。
修復工事の準備で6月に山肌の樹木の一部を伐採した後、今月から工事を始め、擁壁の約3分の2を撤去した。
9日夕に土砂の流出を防ぐためにブルーシートをかけていた。
さらに、6月下旬~7月上旬にまとまった雨が降り、緊急車両用の道路の路面に長さ約10メートルの亀裂が入っているのも見つかっていた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240712-OYT1T50175/
7月12日21時14分に毎日新聞からは、崩れた部分の形状から考えると流水管理ができていなかった可能性が高いなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場の映像などを見た専門家には、今回の災害はどう映ったのか。
愛媛大の防災情報研究センター長を務めるバンダリ・ネトラ・プラカシュ教授(地盤工学)は、現地の地質についてこう説明する。
「砂岩やれき岩といった比較的水を吸収しやすい土壌です」
土砂崩れは、見た目の状況から山の上層部で起きた可能性があるという。
土砂が崩れた部分は、尾根からの谷間のような形状になっている。
このため、ネトラ教授は「雨水が上からだけでなく尾根側の横からも集まってくるような谷地形だった」という見方を示した。
さらに、一般的な山にある沢や渓流など水が逃れる場所がなかったことも影響したと分析する。
市によると、城山公園は「松山城跡」として国史跡に指定されているため、文化財保護法上、土砂崩れの対策を取るのが難しい。
対策に必要な構造物を設置するには文化庁の許可が必要となる。
ネトラ教授は、「流水管理がきちんとできていなかった可能性が高い。人工的な水路などがあれば防げていたかもしれない」と指摘した。
https://mainichi.jp/articles/20240712/k00/00m/040/343000c
7月13日21時2分に読売新聞からは、土砂に埋もれた住人3人は死亡していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
押しつぶされた木造住宅に住む90歳代の男性と80歳代の妻、40歳代の息子の3人が13日、見つかり、死亡が確認された。
市などによると、3人は同日午後、倒壊した木造住宅付近で見つかった。
遺族の意向として、3人の氏名などは公表していない。
捜索活動は断続的に雨が降る中、重機などを使って行われたが、他に行方不明者はいないとして終了した。
現場付近の住民らによると、倒壊した木造住宅に住んでいた家族は数十年前からこの場所で暮らし、近年は足の不自由な両親を息子が介護していたという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240713-OYT1T50099/
(2025年1月31日 修正1 ;追記)
2025年1月30日10時47分にYAHOOニュース(南海放送)からは、最終報告書がまとまった、緊急車両用道路が直接の影響を与えた可能性は低いと評価されているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年7月12日に松山城の城山で発生した土砂崩れ。
「二度と同じような被害の発生を防止するため」に県が設置し、専門家や国、市などと発生メカニズムの解明を目指して分析を行ってきた技術検討委員会が30日、最終報告を取りまとめた。
それによると、大きなプロセスとして
① 「斜面変形」(クリープ的変形)、
②「土砂流出」(斜面崩壊)、
③「土砂流下」
の過程を経て発生したと推定。
7月12日にはあわせて3回の土砂の流下が起きたとしている。
土砂崩れの“前提条件”ともいえる①「斜面変形」の主たる誘因は「降雨」としつつも、江戸時代以降の軟質な「捨土(すてど)」や巨木をはじめとする「樹木の生長」、そして「緊急車両用道路」の「擁壁・盛土荷重」などが「個別もしくは複合的に影響を与えた可能性がある」と結論づけた。
その上で、松山市が整備した「緊急車両用道路」については、7月12日当日の土砂流出には「起点となるような直接の影響を与えた可能性は低い」としながらも、計算などの結果から「斜面変形に影響を与えた可能性がある」としている。
■道路の擁壁・盛土で「安全率が低下」も
「緊急車両用道路」を整備した2015年以降、2017年から去年まで断続的に路面のクラック(亀裂・ひび割れ)や擁壁の傾倒が発生していることが確認されている。
報告書では、これらの現象は「道路施設の荷重による変形の可能性も考えられる」としつつも、「降雨を誘因」とする斜面変形が主たる要因であると考えるとした。
一方、「緊急車両用道路」の荷重が斜面変形に与えた影響を調べるために委員会が実施した試算によると、考え得る複数の条件下いずれにおいても、斜面や現場の安定性を示す「安全率」が「擁壁・盛土があることで低下」したという。
数値的には4.6%から7.9%程度の「安全率」の低下となるが、これが水の影響を受けた場合の安全率はさらに大きくなり、「満水位」という条件下で試算すると52%~57%減少するとしている。
■斜面崩壊が起きた“2つの可能性”
斜面変形が進行した結果、7月12日午前3時40分頃、土砂流出(斜面崩壊)が発生し、麓の民家やマンションになだれ込んだ。
広く捨土が分布する上流部に位置する35度以上の急傾斜部で、捨土が原形をとどめずに崩落した。
技術検討委員会では、この土砂流出の起点(発生位置)について2つの可能性に絞りんこんだという。
「可能性1」は、上流部の中段部または末端部から流出した土砂が、付近の巨木を巻き込みながら流下した可能性。
「可能性2」は、上流部の末端部で水が集中し、不安定化が進行した斜面で巨木の倒木が発生。崩壊が上方に向けて拡大した可能性である。
いずれも「緊急車両用道路」が直接的に影響した「可能性は低い」としている。
■再発防止に向けて
技術検討委員会は、今後も松山城・城山が抱える課題として、①巨木の存在、②軟質な捨土、③降雨による水の流入の3点を挙げている。
その上で、今後新たに道路などを整備する際は、発生メカニズムを踏まえた設置計画や点検方法などに留意が求められるほか、土砂災害警戒区域の見直しなど検討が必要と指摘した。
また、今回土砂崩れが発生した城山の北東部には、少なくとも5つの谷地形が残るという。
報告書では、被災した今回の渓流以外の調査や対策が求められるとしている。
3人の尊い命が奪われた今回の土砂災害。
技術検討委員会は「亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方が一日も早く日常を取り戻し、今後同様の土砂災害が発生することがないよう強く願う」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d515d20693228916573329c604b65c80dfdeb792
2024年7月4日10時35分にNHK宮崎から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし4月、宮崎市の鵬翔高校のグラウンドに雷が落ちて、遠征で訪れていた熊本県の鹿本高校のサッカー部員18人が搬送され、今も1人が意識不明の重体となっています。
これを受けて県高野連は、6日開幕する夏の高校野球宮崎大会から落雷対策を強化することになりました。
これまでは雷鳴が聞こえたり、稲光が見えたりしてから試合を中断していましたが、今後は晴れていてもおよそ40キロ圏内に雷が接近していることがわかり次第、中断し、選手などの安全を確保します。
具体的な対策として、離れた場所の落雷も探知できる機器の設置やアプリの活用のほか、大会規定を改正し、雷注意報が出ている場合は試合前に対戦する両校と審判団が中断に関するルールを確認しておくこと、場内放送などを活用してスタンドにも中断を伝え、避難を呼びかけることなどを新たに盛り込みました。
県高校野球連盟の兒玉理事長は、「大会の日程を進めることも大事だが、健康、安全あっての大会なので、できる限りの対策を取りたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20240704/5060018552.html
(ブログ者コメント)
4月の落雷事故については本ブログでも情報提供している。
2024年6月9日19時4分にNHK富山から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし1月の能登半島地震では、避難所になった学校の鍵を持っていた担当者が渋滞に巻き込まれるなどして、到着が遅れるケースが相次ぎました。
当時は津波警報が発令され、一刻も早い避難が必要だったことから、県内では避難所になった188校のうち射水市や富山市などの25校で、避難してきた人たちがドアや窓のガラスを割って校舎内に入る事態となりました。
こうしたことを受けて射水市では、避難してきた人たちが自分で鍵を取り出せるようにするため、揺れを感知すると開く鍵の箱を沿岸部の避難所を中心に設置することを決め、費用として700万円を6月の補正予算案に計上しました。
このほか、新たな被災者支援として、「一部損壊」と判定され、土地の沈下や傾きなどがある住宅を修復する際の費用として上限30万円の補助金を出す事業に1500万円を盛り込んでいます。
射水市は、こうした13億円あまりの地震関連事業を盛り込んだ一般会計の総額で27億7200万円の補正予算案を、5月31日に開会した市議会の6月定例会に提出しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20240609/3060016995.html
(ブログ者コメント)
揺れを感知すると鍵を入れた箱が開く・・・・。
そのうち悪用するヤカラが出てくるかもしれず、そういった議論もあったと思うのだが、どう収束したのだろうか?
2024年6月3日5時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が大火砕流などの写真付きでネット配信されていた。
災害はなくならない。
被害を減らすすべがあるとすれば、それは知ること、伝え続けること――。
火山の異変を察知するため長崎県の雲仙・普賢岳に半世紀以上密着し「ホームドクター」と呼ばれた専門家は、90歳を前に、集大成となる学術書を仕上げた。
駆り立てたのは、あの日犠牲となった人たちが、あの場所に立つことを止められなかった悔恨の思いだ。
43人が亡くなった1991年の大火砕流から3日、33年となった。
「彼らは亡くならなくてよかったんです」。
九州大の旧島原地震火山観測所(長崎県島原市)元所長、太田一也名誉教授(89)は語気を強めた。
「彼ら」とは、大火砕流発生時に、避難勧告地域内にあった火砕流を正面から捉えられる撮影ポイント「定点」にいた報道関係者や、一部報道関係者が空き家を無断使用していたことから警戒に当たっていた地元消防団員らだ。
普賢岳は90年11月に噴火。
大火砕流の8日前には火砕流が人家まで迫り、土砂の除去作業をしていた作業員が大やけどを負った。
早期の住民避難の必要性を感じた太田さんは島原市長に直訴し、市は初めて火砕流に対する避難勧告を出した。
だが、報道陣はその後も撮影を続け、定点にいた多くの人たちが大火砕流にのみ込まれた。
「繰り返し危険性を警告していたが、なかなか受け入れてもらえなかった。
一介の名もない火山研究者の警告にいちいち応えていては、報道や公的機関の重大な任務が遂行できないと考えるには一理あろう」
「私自身、もっと前面に出て報道陣に直接警告すればよかったとの反省もあるが、長期戦の恐れもあり、体力的な限界も考慮し、市の災害対策本部という組織を通じるより他はなかった」
2019年に出版された、太田さんが噴火災害の経過を記した「雲仙普賢岳噴火回想録」には、無力感と後悔の念がつづられる。
「あの時、こうしていれば」と考え続けた三十余年だった。
1998年に定年退職後は、地震火山観測所から名前を変えた地震火山観測研究センターに毎日のように通い、過去の観測や対応の記録をまとめた。
2007年になって噴火に関する警報の発表が気象庁の業務に加わり、太田さんは警戒区域の設定などでも積極的に提言を続けた。
「回想録」出版後も鉛筆を持って執筆を続け、今年3月、一般向けの学術書「雲仙火山」(1984年)の増補改訂版を自費出版した。
旧知の元技術職員や出版社とやり取りしながら約5年がかりで書き上げた。
持ち続けているのは、「犠牲者が出るのを防ぐために、こういう前兆があって噴火に至った、大きな地震に至ったと多くの人に知ってほしい」との強い思いだ。
改訂版では、大きな被害を出した90~95年の「平成の噴火」活動に関する知見や、引き金となった84年の地震活動、地元紙に呼びかけて集めた、22年に死者20人以上を出した島原地震の証言や古写真などを新たに盛り込んだ。
マグマだまりの位置を推測するのに重要な役割を果たした温泉に関する基礎的事実や雲仙の火山のタイプについても解説し、専門知識がなくても読める内容となっている。
島原半島の旧国見町(現長崎県雲仙市)出身で、幼いころから雲仙岳を見上げてきた太田さんは、現在、島原市の介護施設で車椅子生活を送る。
「地震や噴火はまた必ず起きる。
過去にどのような災害が起きたかを知ることが、命を守ることにつながるのです」。
そして、こう訴えた。
「島原半島に住んでいる人、みんなに読んでほしい。
自分と家族の身を守るために。
行政の人には、地域社会を守るために。
私の遺言です」
【雲仙・普賢岳の噴火災害】
1990年11月17日、長崎県の島原半島にある普賢岳が198年ぶりに噴火。
翌91年6月3日に大火砕流が発生し、消防団員12人、警察官2人、市民6人、火山学者3人、タクシー運転手4人、新聞・放送関係者16人(うち毎日新聞関係者はカメラマンと自社の運転手、技術員の3人)の計43人が死亡・行方不明となった。
96年6月3日の終息宣言までに計44人が犠牲となり、建物被害は2511棟、被害総額は2299億円。
噴火で形成された溶岩ドームは約1億立方メートルと推定され、今なお崩壊のおそれがある。
https://mainichi.jp/articles/20240602/k00/00m/040/062000c
(ブログ者コメント)
グーグルアースの空中目線で見た被災地。
結構広範囲に火砕流が流れた模様。
地上目線で見た被災地。
右上から左下に向かって火砕流が流れてきたと思われる。
災害後に設置されたのだろうか、砂防ダムらしきものも写っている。
2024年5月13日18時47分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大地震の直前、ある「異常」がはるか上空で観測されていたという複数の報告がある。
京都大の研究チームは、この異常が起こる物理的なメカニズムを解明したと発表した。
ただ、慎重な見方をする地震学者も多い。
地震予知につながる可能性はあるのか。
この異常は、上空約60~1000キロにわたって広がる「電離圏」と呼ばれる領域で観測されてきた。
太陽からの強い紫外線で大気中に含まれる窒素や酸素の原子が電離して、電子やイオンが多く存在しており、特に上空300キロ程度で電子の密度が高くなる。
京都大の梅野健教授(通信工学)によると、東日本大震災(2011年)や熊本地震(16年)、今年1月の能登半島地震など、規模の大きな地震が起きる40分から1時間ほど前に、この電離圏に含まれる電子の密度に変化が生じる現象が見られてきたという。
北海道大の研究チームも、いずれも大津波をもたらしたスマトラ沖地震(04年)、チリ地震(10年)などで、直前に震源域付近上空の電離圏に含まれる電子の密度が相対的に高くなっていたと11年に報告している。
【異常が起こるメカニズムを提唱】
電離圏の電子数は、国土地理院が全国約1300カ所に設置しているGNSS(全球測位衛星システム)観測網を活用することでリアルタイムに把握できる。
測位衛星から受信局に送信された電波は、電離圏を通過する際にわずかに遅延を起こすため、その差を利用して電離圏内の電子の密度を測定する仕組みだ。
ただ、なぜそうした異常が起きるのかは分かっていなかった。
そこで梅野教授らのチームは、これまで大地震を起こした断層面付近で、水を含む粘土が見つかっていたことに着目。
本震が起きる前の微小な岩盤の破壊による摩擦などで、粘土を含む岩盤が高温高圧になると仮定した。
水は、高温高圧の状況下では、液体と気体の区別がつかない「超臨界」と呼ばれる特殊な状態になり、電気を通さない絶縁体となる。
このため、摩擦によって岩盤が正の電気(+)を帯び、電離圏内にある電子(-)を地表に引き寄せ、周囲より密度が高くなると考えた。
これを実証するため、チームは細いステンレス管に粘土と水を封入して加圧し、周囲を電気ヒーターで加熱する簡易的な装置を作製して実験。
実際に帯電することが分かったとして、24年3月に静電気学会が発行する国際学術誌に発表した。
梅野教授は、「異常の説明ができる初めてのモデルができた。観測・解析を続けて、モデルとの整合性を確認していく。将来的には地震予知のシステムの実現を目指したい」と意気込む。
【宇宙からの観測計画】
GNSSによる観測だけではなく、人工衛星を電離圏に打ち上げ、地震発生前にどのような変化が起きるかを直接観測する、日本初の計画も進んでいる。
日本大と静岡県立大の共同研究チームは、重さ約10キロの箱形の超小型衛星(キューブサット)を開発している。
2本の折りたたみ式の棒(長さ約1・5メートル)の先端に観測センサーを搭載し、電子密度を観測しながら高度550キロを周回する。
地震に先行する現象の研究の先端を担うため、「前奏曲」という意味の「プレリュード」と命名した。
プレリュードは23年2月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「革新的衛星技術実証プログラム」に採用された。
25年度中にもイプシロンロケットで打ち上げられる予定だ。
地震と電離圏異常の関係を調べる人工衛星は、04年にフランスが打ち上げた例がある。
その際も、マグニチュード4・8以上の地震が発生する4時間前までに、地上から電離圏に届く電波が弱くなる現象が確認された。
電子の密度が高くなったためと考えられる。
プレリュードによる観測を担当する静岡県立大の鴨川仁特任教授(地球電磁気学)は、「フランスの研究では十分なデータが取れていなかった。全地球的に高精度なデータを集め、地震と電離圏の関係が『真』なのかどうかを確かめていきたい」と話す。
中国などの海外諸国でも、こうした電離圏と地震の関係についての研究は進められているという。
ただ、鴨川特任教授は「地震と電離圏異常の関係は証明されたレベルとは言えない」と、慎重な見方も崩さない。
【「コンセンサス得られていない」指摘も】
そもそも地震予知について、日本政府は「科学的に困難」と位置づけている。
これまでに動物の行動や微小な地殻変動、地下水位の変化などからさまざまな予知が試みられてきたが、うまくいった試しはない。
国の地震予知連絡会の委員で、地震と水の関係に詳しい東京工業大の中島淳一教授(地震学)は、京都大のチームが提唱したメカニズムについて、「本震の前に微小な岩盤の破壊が起こることが前提とされているが、その破壊自体がこれまでに地震計などで観測されていてもよいはず。電子の密度だけを変化させるとは考えにくい」と疑問を呈する。
その上で、「地震と電離圏の関係はまだコンセンサスを得られてはいない。予知に向けては一つ一つ検証を重ねる必要がある」と指摘した。
元気象庁幹部は、「地下10キロを優に超える深さの電位の変化が、地上数百キロの電離層の状態に影響を与えるというメカニズムは腑(ふ)に落ちないが、懐疑的とまでは言えない。もっと検証データがほしい」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20240512/k00/00m/040/176000c
(ブログ者コメント)
地震と電離層の関連については本ブログでも、電気通信大学の早川名誉教授や今回報道された梅野教授の研究などを紹介している。
2024年3月31日7時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
元日に発生した能登半島地震では、空路、鉄路、海路、陸路とあらゆる交通網が寸断され、救援や支援の手が阻まれた。
被害が甚大だった奥能登地域まで到達できたのは道路のみ。
通行できるのかどうかも定かではないなか、現地では少しでも道路をつなげるため、あらゆる工夫が重ねられた。
その工夫の一つが周回約18キロに及ぶ巨大な〝ラウンドアバウト〟だった。
【阻まれた救援】
「1分1秒でも早く着くことが重要だったが、我慢の時間が続いた」。
堺市消防局の担当者は、こう悔しさをにじませた。
特別高度救助隊も抱える同局は、発生当日に組織された緊急消防援助隊の大阪府大隊に参加。
発生から翌日の1月2日早朝、金沢市内に到着したが、大きな壁が待ち構えていた。
土砂崩れ、崩落、陥没、亀裂と大きく損傷し、寸断された道路。
救援に入る大型の緊急車両は到底通れない。
先遣隊を出して状況確認を進めたが、通信環境も悪く、情報共有もままならない。
2日のうちに奥能登にたどり着けなかった。
宿営地の金沢市内に戻り、活動拠点となった輪島市内に着いたのは3日夜。
走行できても道の損傷は激しく、通常2時間台の道のりに9時間かかった。
同局担当者は「道に関する情報がなかったことが厳しかった」と振り返った。
【車の流れを優先】
発生直後、「のと里山海道」や「能越自動車道」などの自動車専用道は被災して通行止め。
奥能登に大型車が通行できる道は七尾市から穴水町に通る国道249号に限られたが、土砂崩れや亀裂の発生で片側交互通行を余儀なくされた。
早急に通行可能な道を示すことが課題だった。
石川県は2日から、ホームページ上で「アクセスルート」の公開を始める。
ただ、輪島市中心部に向かう県道1号が「調査中」として点線とするなど、道路状況は集約しきれていなかった。
県道路整備課の福村参事は、「迂回(うかい)路を使いながらでも通れる道を地図に示した」と話す。
4日昼、奥能登の道路一帯での一方通行規制が始まった。
約18キロの楕円形の道のりを一周する形で、時計回りに走行しながら目的の方向に抜ける形だ。
石川県警内に組織された「災害警備本部交通対策班」からの提案だったという。
県警の担当者は、ねらいを「『ラウンドアバウト』が発想にあった」と明かす。
ラウンドアバウトとは、走行部分をドーナツ状にした交差点のことで、環状交差点とも呼ばれる。
車両は左折して進入し右回りに流れ、自分が行きたい方向に抜ける。
国内では平成26年9月から本格運用が始まり、石川県内でも5カ所あるという。
その考えを応用した。
道路損壊などで片側車線しか走行できない箇所が多数発生し、交互通行を行えば、渋滞が発生する。
一方通行規制で車列を流すことを優先したのだ。
【大雪にも対応】
石川県内で1月中に3度見舞われた大雪も道を阻んだ。
ここで取った対応は「予防的通行止め」だった。
7日、15日、23日は、いずれも夜から積雪が予想されたため、アクセスルートとした区間を中心に翌日早朝まで通行止めにし、集中除雪を行った。
「予防的通行止め」は近年浸透した、大雪で発生する幹線道路での車の立ち往生を防ぐ方策だ。
県道路整備課の福村参事は、「(走行可能部分も)地震による亀裂や段差などが発生していた状況から、より慎重な除雪が必要と判断し、積雪が増える前に除雪を実施した」と説明する。
国とも連携しながら道路復旧を進め、一方通行規制を減らしてきた。
2月2日からは、片側通行が可能になった自動車専用道を迂回路として活用、対面通行化できていなかったアクセスルートの一部を通行止めにし、一気に復旧工事を進めた。
3月15日からは自動車専用道が、一方通行規制を残しながらも、全線で通行を再開。
福村参事は、「復旧から復興に向けたルートがつながった。孤立集落は生まないような道路づくりにつなげていきたい」と話した。
https://www.sankei.com/article/20240331-OH7Z6BYFRRI7RE7ASBTURXL2DM/
2024年3月19日17時48分にNHK石川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北陸電力は、石川県七尾市の七尾大田火力発電所で地震による数百か所の損傷が新たに確認されたとして、運転再開の時期がことし夏になるという見通しを明らかにしました。
石川県七尾市の七尾大田火力発電所は、元日に起きた能登半島地震の影響で、1号機・2号機ともに運転を停止しています。
北陸電力は19日、金沢市内で会見を開き、点検を進めた結果、それぞれのボイラーで合わせて数百か所の損傷が新たに確認されたことを明らかにしました。
特に水や水蒸気が通る管の損傷が激しく、割れたり変形したりする被害が確認されていることから、運転再開の時期は1号機・2号機ともにことし夏になるという見通しを示しました。
運転再開までの間に電力が不足しそうな場合は、ほかの発電所の稼働率を高めたり、別の会社が発電した電力を購入したりして供給するということです。
北陸電力は「7月下旬から8月上旬にかけて電力の需要がピークに達するので、この時期までに復旧できるよう努力していく」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20240319/3020019581.html
※以下は1月4日の状況として北陸電力HPに掲載されていた被害例。(文章転載省略)
https://www.rikuden.co.jp/thermal_power/nanaoohta_noto.html
2024年1月9日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/13642/
(2024年1月29日 修正1 ;追記)
2024年1月21日5時0分に読売新聞からは、穴水高校で壊された自販機は鍵で開けると無料で取り出せる災害支援型だった、他に2台の自販機も壊されていた、取り出した飲料は避難者に配ったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日夜、石川県立穴水高校の自動販売機が無断で壊され、飲料が持ち出された問題で、校内にあった別の自販機2台も、何者かに壊されていたことが分かった。
飲料は同校に避難していた住民らに配られたとみられるが、3台とも管理者や学校の責任者に無許可のまま破壊されており、県警は器物損壊事件にあたる可能性もあるとみて、詳しい状況を調べている。
自販機を管理していたのは、北陸コカ・コーラボトリング(富山県高岡市)、明治(東京都)、雪印メグミルク(札幌市)の3社。
校舎1階の事務室のそばに設置されていたコーラの自販機は扉がこじ開けられて内部も大破。
事務室近くの玄関付近に並んで置かれていた明治、雪印の計2台は前面のカバーが割られた。
3社のうち、北陸コカ・コーラは、18日に県警に被害届を出している。
同校は穴水町の指定避難所ではないが、地震で校舎の窓ガラスが壊れるなどし、外部からの立ち入りができる状態だった。
1日の夕方以降、校内に多くの住民らが自主的に避難してきていたが、複数の学校関係者の話では、校長や事務長などの責任者は不在だった。
取材に対し、校長は「学校として自販機を壊す許可は出していなかった」としている。
穴水高校に設置されていた北陸コカ・コーラボトリングの自動販売機は、災害時には鍵で扉を開け、無料で商品を取り出せる「災害支援型」だった。
校長によると、鍵は学校が同社から預かり、事務室で管理していたという。
学校の責任者に連絡していれば、自販機を壊さなくても飲料を確保できた可能性がある。
日本コカ・コーラなどによると、災害支援型の自販機は2000年代から広がり、災害時の避難や医療の拠点となる公共施設や病院を中心に設置されてきた。
11年の東日本大震災の時は帰宅困難者ら向けにも活用された。
辻本典央・近畿大教授(刑事法)の話:
「自動販売機を保有・管理する会社の許可を得ずに破壊されており、器物損壊に当たるのは明らかだ。
刑法37条が規定する『緊急避難』が成立すれば処罰されないが、自販機内の飲料を今すぐ飲まなければならないほど命の危険が迫った状況でなければ適用は難しい。
地震発生直後で、大変苦しい状況だったろうが、飲料水の確保だけでは切迫性に欠ける」
危機管理アドバイザーの国崎信江さんの話:
「たとえ被災地でも、許可なく他人の物を壊す行為は犯罪にあたるという意識を持つことが必要だ。
1か所で起きると連鎖する傾向があり、治安の悪化を招きかねない。
善意からの行動だとしても、かえって被災者の不安を高める恐れがある。
まずは、避難者同士で持参したものを分け合う、防災備蓄倉庫の状況を確認する――といった冷静な対応が大切だ」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240120-OYT1T50254/
1月23日5時0分に読売新聞からは、犯人の1人から電話謝罪があった、会社は弁済を求めず告訴もしない方針など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北陸コカ・コーラボトリングは22日、自販機を壊した数人のうち1人の女性から謝罪があったと明らかにした。
同社は「地震直後で平時とは異なる状況だった」として被害弁済を求めず、刑事告訴はしない方針。
同社によると、22日に女性から電話があった。
女性は数人で自販機を壊したことを認めたうえで、「地震で気が動転していた。子ども連れで避難している人たちもおり、そういう人たちに(飲料を)配ろうと思った。反省している」と話し、弁済の意思も示したという。
被害届については、自販機損失の経理上の都合で取り下げる予定はないという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240122-OYT1T50193/
1月21日5時0分に毎日新聞からは、石川県の地震想定が甘かった理由について、3つに分けた記事が下記趣旨でネット配信されていた。
(その1)
07年に産総研が半島沖にM7.6程度の地震を起こす恐れのある断層を発見。
それを基に14年に国交省が報告書を公表し、日本海側の自治体は想定見直しに乗り出したが、石川県は動かなかったなど。
(図解付き)
石川県の津波と地震の被害想定が大きく食い違っていることが明らかになった。
地震だけ見直しが見送られ続けてきたためだ。
見送りにどんな事情があったのか。
・・・
23年5月に更新された県の地域防災計画に、こんな記述がある。
「県は、平成7(1995)年度から3年計画で、地震災害を予測するため調査を実施した。成果を基礎資料として活用する」
つまり95~97年に県が行った調査を、いまだに地震想定に使い続けているのだ。
それによると、想定した震源断層は長さ50キロ、地震規模はマグニチュード(M)7・0だ。
今回の震源断層(長さ約150キロ、M7・6)よりもさらに北へ離れており、エネルギーも約8分の1に過ぎない。
県は、この地震想定を使い続けている理由について、「(新たな)地震想定を行うためには国による調査研究が必要。国に長期評価の早期公表をお願いしてきた」と22年6月の県議会で答弁。
取材に対しても同じ趣旨の説明をした。
ただ、県が自ら見直しに踏み出せる機会はあった。
能登地方で最大震度6強を観測した07年の能登半島地震(M6・9)だ。
産業技術総合研究所(茨城県)は、これを機に周辺海域を調査し、能登半島北岸に一連の海底活断層を発見した。
能登半島の西方沖から佐渡沖まで続く長大なもので、後に「F43断層」と名付けられ、地震規模はM7・6程度と推定された。
これは今回の能登半島地震と、場所や規模がほぼ一致する。
国土交通省などは、これらの調査をもとにした日本海沿岸の60本の海底活断層(F1~F60断層)を、津波を起こす震源だとする報告書を14年に公表。
日本海側の自治体は、これを機に想定の見直しに乗り出した。
例えば新潟県は、この報告書にある複数の海底活断層を新たに想定に加え、津波と地震の両方の被害想定を見直した。
しかし、石川県の対応は違った。
97年の想定を見直さなかったのだ。
なぜか。
地域防災計画を作る県防災会議・震災対策部会で部会長を務める室崎益輝・神戸大名誉教授(防災計画学)は、07年の能登半島地震の被害が少なかったためだとみる。
「極めて大きな地震だったが、死者は1人だった。何とかなるという思い込みが行政にあったのではないか」と指摘する。
部会の複数の委員によると、「地震想定を見直すべきだ」という意見が委員から何度も出ていたが、想定にF43断層が盛り込まれることはなかった。
ようやく地震想定の見直しに向けた動きが出たのは、20年12月から活発化した群発地震だ。
22年5月の県防災会議で、室崎氏が「速やかに見直しの議論を進める必要がある」と報告し、了承された。
部会委員の宮島昌克・金沢大名誉教授(地震工学)は、「F43断層は発見されていたが、地震が発生する可能性が高いとは言われていなかった。大きな変わり目を探していた」と説明する。
その「変わり目」となったのは一連の群発地震だったが、時、既に遅しだった。
室崎氏は「すぐに地震が起きると思っていなかったところが根底にある。急いでやるという感覚がなかった」と振り返った。
その上で「痛恨だ。我々の責任は大きい。きちんと想定していれば救えた命はたくさんあったはずだ」と後悔を隠さなかった。
https://mainichi.jp/articles/20240120/k00/00m/040/064000c
(その2)
石川県は国の地震調査委員会の評価結果待ちだったなど。
・・・
これまでの想定による被害は「ごく局地的な災害で、災害度は低い」と評価され、建物全壊は120棟、死者7人、避難者は約2800人と試算していた。
これは今回の能登半島地震の被害(住宅被害2万2000棟超、死者230人超、避難者1万7000人超)より大幅に小さい。
・・・
地震想定だけ見直しが遅れたことについて、地域防災計画を作る県防災会議・震災対策部会の複数の専門家が取材に応じ、県が、国の地震調査委員会による活断層評価(長期評価)の結果を待っていたと証言した。
調査委は東日本大震災後、全国をエリアごとに区切った活断層調査を始めたが、能登を含む中部地方は未着手のままだ。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20240120/k00/00m/040/081000c
(その3)
地震調査委員会が実施中のM7以上の地震を起こす海域の活断層評価については、九州、中国地域の日本海側の評価を終え、現在は近畿沖から東に向けて評価している最中で、能登半島沖については評価時期未定だった。
・・・
地震調査委員会は、活断層を3種類に分け、今後の発生確率などを評価する「長期評価」を行ってきた。
①M7以上の地震を起こす陸域の活断層(主要活断層)
②主要活断層より小さいM6・8以上の地震を起こす陸域と沿岸部の活断層
③M7以上の地震を起こす海域の活断層
主要活断層は全国に114あるが、能登半島では陸域には一つも見つかっておらず、①はそもそも対象外だ。
②は対象が多いため、全国をエリアで区切ってまとめて調べる「地域評価」を実施し、九州、中国、四国、関東の4地域の評価が、2013年から順次公表された。
現在は近畿を評価中で、能登地方を含む中部は後回しになっていた。
③は17年に始まり、22年に九州・中国地域の日本海側の評価を公表した。
現在は近畿沖から順次、東に向けて進めている最中で、能登半島沖は、公表時期の見通しすら示されていない。
つまり、能登半島は国の評価の「空白地帯」となっていたのだ。
この理由について調査委事務局は、「評価のための研究の蓄積や議論に時間がかかっていた」と説明する。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20240120/k00/00m/040/076000c
1月21日19時35分に産経新聞からは、震度6強の輪島市では耐震化された浄水場などに亀裂が入り、継ぎ手が抜けにくい耐震水道管も何個所かで継ぎ手が抜けていた、震度7でも重大な影響はないとみていたのだが・・・など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能登半島地震で震度6強を観測し断水が続く石川県輪島市で、主要な上下水道管のうち耐震性能を持つとされる「耐震管」が破断していたことが、市への取材で分かった。
地震発生から22日で3週間。
市は震度7の揺れでも耐震管に重大な影響はないとみていたが、複合的な要因で想定以上のダメージを受けた可能性があり、水道の耐震化について見直しを迫られそうだ。
輪島市内では、発生当初からほぼ全域の約1万世帯で断水が続く。
地震の激しい揺れで浄水場などに亀裂が入ったほか、水を送る主要な水道管が継ぎ手で抜けるなどして破断したためだ。
市の調査によると、上下水道管の破断は18日時点で少なくとも浄水場内の5カ所と配水池などにつながる4カ所の計9カ所で確認された。
調査は市内の一部にとどまっており、さらに増える恐れがある。
このうち、配水池につながる主要な上水道管2カ所は、継ぎ手が抜けにくい耐震管「NS形ダクタイル鋳鉄管」だった。
配水池も平成7年の阪神大震災後に設けられた基準をもとに耐震化されていたが、今回の地震で亀裂が入り、貯水できない被害があった。
水道管や配水池など重要な水道施設について、厚生労働省は20年の省令改正に伴い、施設の設置場所で想定される最大規模の地震でも「重大な影響を及ぼさない」程度の耐震化を進めるよう自治体に求めている。
耐震管が破断した原因について、輪島市上下水道局の登岸浩局長は「想定以上の揺れで斜面が横滑りし、耐震管が(継ぎ手のところで)抜けたようだ」と分析。
「今後どう対策すればいいか分からない」と頭を抱える。
市は現在、配水池を経ず浄水場から市街地に直接水を送るバイパスルートを設置。
17日から試験的に通水するなど修復を進め、市は3月末までに断水を解消したい考えだ。
一方、下水道の修復は進んでおらず、復旧見通しは不明という。
https://www.sankei.com/article/20240121-U5JJUOPOVRMA3GY4COMONZDTVA/
1月27日9時0分に産経新聞からは、発災1時間後には陸自の金沢連隊が前進を開始していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能登半島地震に関する「デマ」や「偽情報」が出回っている。
・・・
誤った論評の中で、「初動が遅い」というのは逆に驚かされる。
自衛隊では発災の約20分後に千歳基地のF15戦闘機が偵察のため離陸し、陸海空自衛隊の航空機が飛び、約1時間後には陸自の金沢14連隊が前進を開始している。
29年前の阪神淡路大震災では、自治体からの要請が4時間後にしか出ず、自衛隊派遣が遅くなった。
現在は、要請を待たずに自主派遣できるよう自衛隊法が明確化された。
今回は元日という、ほとんどの隊員が休暇だったが、動きは速かった。
大みそかまで勤務で、単身先から帰宅した瞬間の地震だった人もいる。
・・・
https://www.sankei.com/article/20240127-GHTDTQRY3NBJ3PFMXHFQIVW3VE/?outputType=theme_weekly-fuji
(2024年2月16日 修正2 ;追記)
2024年2月15日20時25分に毎日新聞からは、出火元の木造住宅で地震により電気配線が傷つき、ショートなどして出火した可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能登半島地震で発生した石川県輪島市の大規模火災について、総務省消防庁消防研究センターは15日、損傷した電気配線が原因で出火する「電気火災」の可能性があると発表した。
出火原因はこれまで明らかになっておらず、センターは原因を詳しく調べる。
センターが公表した調査の速報によると、1月1日午後4時10分の地震発生後、同5時23分ごろに輪島市の観光名所「朝市通り」周辺で火災を覚知した。
鎮圧は2日午前7時半ごろ、鎮火は6日午後5時10分ごろだった。
焼失範囲は東京ドームよりやや広い約4万9000平方メートルで、約240棟が焼け、焼け跡から10人の遺体が見つかった。
目撃証言などから、焼失範囲の西側にある木造住宅が出火元とみられ、屋内の電気配線が溶けた痕跡が確認された。
ストーブなど火気器具の使用はなかった。
原因としては、地震の影響によって、まず木造住宅の電気配線が傷つき、ショート(短絡)や接触不良などが起きた可能性がある。
住宅の1階部分は倒壊しており、続いて何らかの原因で燃え移ったとみられる。
撮影された火災の映像を分析したところ、さらに2地点に飛び火したとみられ、木造住宅の密集地であったことから大規模に広がったという。
消防による消火活動では、周辺の防火水槽のうち2カ所ががれきに塞がれ、使えなかった。
消火栓も断水となったが、放水に海水や学校プールの水も利用して一部で延焼を防いだ。
消火活動がなかった場合のシミュレーションでは、焼失範囲が2倍以上になっていた恐れもある。
地震による電気火災を防ぐため、国は強い揺れを感知すると自動的に電気の流れを止める「感震ブレーカー」の設置を呼びかけている。
消防研究センターの細川・研究統括官は、記者会見で「調査を進め、今後起こりうる地震火災の対策に生かしたい」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20240215/k00/00m/040/239000c
2024年1月20日10時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地震などによる災害関連死を巡り、認定に必要な自治体の審査会について取り決めた条例があるのは、三重県内29市町のうち度会町のみで、ほぼ整備されていないことが県などへの取材で判明した。
現状で災害が起きた場合、市町による適切な認定が困難になるおそれがある。
能登半島地震を機に、条例制定を急ぐよう求める声が上がっている。
関連死は災害と死亡の因果関係の見極めが必要なため、多くの場合、医師や弁護士などの有識者で構成する審査会を開いて判断する。
関連死か直接死かに関わらず、災害で死亡したと認められた場合、市町村が遺族に最大500万円の弔慰金を支給する。
これに関連して2019年、審査会の設置については市町村が条例で定めるよう、努力義務が課された。
度会町はこれを受けて19年9月、町議会が「災害弔慰金の支給等に関する条例」改正案を可決した。
県の子ども・福祉総務課は23年6月、度会町を除く28市町に対応を求めた。
だが、現時点で条例整備のための新たな動きは把握していないという。
未整備の理由について四日市市福祉総務課は、「他の市町の状況を見ながら保留にした。災害時にどう対応するかは未定」とした。
また、津市は統一した審査会の設置を県に求める立場だ。
審査会の設置は県に委託することもできる。
津市福祉政策課は、「関連死の認定基準が市町によって異なれば、問題が生じるのではないか」としつつ、能登半島地震で関連死に焦点が集まる中、市としての対応が必要だとの認識も示した。
一方、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県山田町と田野畑村の審査会で、委員を務めた小口幸人弁護士(沖縄弁護士会)は、あくまで審査は市町村ですべきだと訴える。
「審査には、死亡に至る経緯や自宅、避難所の状況などの調査が必要で、そうした情報を的確に収集できるのは市町だからだ。県に委託すれば、誤った審査をしてしまう可能性もある」と指摘する。
県内市町がほぼ未整備の状況について、小口弁護士は「関連死を軽視していると言わざるを得ない。関連死とその審査を正しく理解していない職員が遺族への対応を誤るおそれがある」として迅速な対応を求めた。
鈴鹿市在住の学校職員、伊東さん(女性、60歳)は、2021年7月に起きた静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区の土石流災害で、父を災害関連死で亡くした。
伊東さんは「発災後の自治体は、てんてこ舞いだ。条例を平時に整備するのも防災の一つで行政の役目だ」と訴える。
熱海市の土石流災害では28人が亡くなり、うち1人が関連死だった。
その1人が、伊東さんの父。
土石流で住んでいた地域が警戒区域となり、両親は避難所となったホテルでの生活を余儀なくされた。
電話で伊東さんに、自宅で家の前を流れる土石流を目撃したと話し、「夜も眠れない」と訴えた。
「先の事なんて分からない」と声を荒らげたこともあった。
発生から約2カ月後の8月30日、父は脳出血で91歳で亡くなった。
伊東さんは、父が病気ではなく、災害によるストレスで持病の高血圧を悪化させたと考えた。
同年9月、災害関連死として熱海市に災害弔慰金の申請をしようとした。
ところが、10月になって市の担当者から「熱海市には関連死を審査するための条例がない」と説明されたという。
市は、22年1月に災害弔慰金に関する条例を改正。
関連死を認定する審査会を設置した。
同年2月、「避難ストレスと環境変化で血圧が上がって発症した」として、死因と災害との因果関係が認められた。
この間、伊東さんは「認められない可能性もあった。とても苦しかった」と振り返る。
認定を待つ間、父の年金受給などの手続きで死因を「病死」と書かざるを得なかった。
だが「そう書いたことで、関連死と認められなかったらどうしよう」と悩んだ。
もし、熱海市が条例を事前に整備していれば、その苦しい時間はもっと短く済んだかもしれないと思う。
市による積極的な周知も期待できたはずだ。
市の認識不足から、本当は関連死として申請できた人もいるかもしれない――との懸念も残る。
伊東さんは昨年、三重県内の全市町に電話をかけ、審査会の設置規定が度会町にしかないと知った。
一見勝之知事に、リーダーシップを取って市町に条例の整備を働きかけるよう求めたが、現状はそこから変化がない。
自分の住む県内で、市町の動きが鈍いことに伊東さんは危機感を募らせる。
「事前に条例の整備など、関連死を認めるための仕組みを整えておくことで、行政側も関連死に関する知識を持つことができる。それが関連死を防ぐことにもつながるはずだ」
●災害関連死
地震で建物の倒壊により圧死するなどの直接死ではなく、避難先でのストレスによる持病の悪化など、自然災害による間接的な原因で死亡すること。
遺族の申請を受けて自治体が認定する。
2016年の熊本地震では220人以上が関連死した。
能登半島地震では、避難生活で命を落とす人を減らそうと、環境の整った場所に移る2次避難が始まっている。
https://mainichi.jp/articles/20240119/k00/00m/040/317000c
2024年1月16日18時54分にNHK岐阜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岐阜県飛騨市にあるブラックホールの合体などで生じる時空のゆがみ「重力波」を観測する施設の「KAGRA」が能登半島地震の影響で観測運転ができない状態になっていることがわかりました。
「KAGRA」は東京大学が中心となり、2019年に飛※騨市の鉱山の地下に建設した大型の観測施設で、巨大な質量を持つブラックホールや中性子星といった天体が合体する際などに生じるわずかな時空のゆがみ「重力波」を捉え、さまざまな元素が宇宙にもたらされた起源の解明などを目指しています。
施設がある飛騨市では能登半島地震で今月1日に震度5弱の揺れを観測しましたが、施設によりますと施設内のトンネルの崩落などの深刻な被害は確認されなかった一方、揺れの影響で重力波を検出する機器のうち、レーザー光を制御する鏡が正しい位置からずれてしまい、KAGURAによる観測運転ができない状態になっているということです。
ことし(R6)3月には感度をこれまでの10倍に高め、海外の施設との共同観測で重力波の検出を目指す計画でしたが、鏡のずれの修正には数か月程度かかる予定で、共同観測の開始には間に合わない見通しだということです。
施設長の大橋正健教授は、「詳細な影響はまだ調査中だが、できるだけ早く復旧して共同観測に加わりたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20240116/3080012798.html
【地震の概要】
2024年1月2日23時16分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午後4時10分、石川県能登地方を震源とする地震があり、同県志賀町で震度7の揺れを観測した。
同県によると、2日午後9時半現在、55人の死亡が確認された。
気象庁は1日午後4時22分に同県能登に大津波警報を発表するなど、北海道から長崎県の日本海側の広い範囲に津波警報・注意報を出し、2日午前10時までに全て解除した。
気象庁によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・6と推定され、震源の深さは16キロ。
1日午後4時21分に輪島市に高さ1・2メートル以上の津波が到達するなどした。
気象庁は今後1週間程度は最大震度7程度の地震に注意するよう呼びかけている。
・・・
今回の地震では、石川県七尾市、輪島市、珠洲市、穴水町でも震度6強を記録した。
この地震を含め1日午後4時~2日午後6時に震度1以上を観測した地震が218回あり、石川県で最大震度5強を観測する地震も2日までに4回発生。
今回の一連の地震について、気象庁は「令和6年能登半島地震」と命名した。
・・・
気象庁によると、大津波警報の発表は2011年の東日本大震災以来。
震度7の大地震は18年の北海道胆振東部地震以来で、石川県では初めて。
能登地方では23年5月5日にも最大震度6強の地震が発生している。
https://mainichi.jp/articles/20240102/k00/00m/040/381000c
【東日本大震災に匹敵する加速度】
1月2日16時41分に産経新聞からは、震度7の志賀町では最大加速度2826ガルを記録、これは東日本大震災の2934ガルに匹敵する大きさだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
気象庁は2日、能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町の揺れの最大加速度が2826ガルを記録し、2011年の東日本大震災で震度7だった宮城県栗原市の2934ガルに匹敵する大きさだったと明らかにした。
他に最大震度7を観測した地震の加速度は、04年の新潟県中越地震で震度7だった長岡市の1722ガル、18年の北海道地震で震度6強だった安平町の1796ガル。
一般的に加速度が大きいほど、揺れや被害が大きくなると想定される。
ただ、周期など他の要素も関係するため、加速度が比較的小さくても揺れが大きい場合もあり、16年の熊本地震で震度7だった益城町は817ガルだった。
https://www.sankei.com/article/20240102-PRYQBXLAQ5I3JBEOPKG3ZZ43BY/
【地下の水が断層運動を誘発した可能性あり】
1月2日20時44分に毎日新聞からは、歪がたまった断層の一つに地下の水が入り込み、滑りやすくした可能性も考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
どんなメカニズムが考えられるのか。
・・・
複数の専門家が指摘するのが、地下の水(流体)が、断層運動を誘発した可能性だ。
加藤愛太郎・東大地震研究所教授(地震学)によると、一連の群発地震も、地下深くから上昇した流体が起こしている。
断層の隙間(すきま)に入り込んですべりやすくさせたり、体感できないほどゆっくり断層をすべらせたり、長時間かけて岩石を変形させ、地震を起こすひずみをためたりしているとみられる。
加藤さんは「これまでの群発地震活動によって、ひずみがたまった領域の断層の一つに流体が入り込んですべりやすくさせ、地震につながった可能性がある」とみる。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20240102/k00/00m/040/337000c
【3つの断層がずれ動いた可能性あり】
1月7日22時22分に毎日新聞からは、45秒間で3つの断層がずれ動いたとみられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
半島北西部を含む長さ約120キロ、幅約20キロの範囲で45秒間に少なくとも三つの断層がずれ動いていたとみられるという分析結果を、筑波大の八木勇治教授(地震学)がまとめた。
小さい断層の破壊が、枝分かれのように広がり、最終的に大きな破壊につながったと考えられるという。
・・・
八木教授は「既知の活断層が動いた可能性が高い」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20240107/k00/00m/040/238000c
【消防ポンプ車の車庫シャッター破損、消火用水確保困難】
1月6日20時49分に毎日新聞からは、消防ポンプ車の車庫シャッターが変形していて出すのに苦労した、消火用水の確保も困難だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
輪島市地元消防団長の川端さん(70)は、まだ火災は起きていなかったが、警戒のため消防団の車庫に向かった。
放水に使うポンプ車を取りに行ったが、地震の影響で車庫のシャッターが大きくゆがんでいた。
別のポンプ車を保管していた倉庫もシャッターが壊れかけており、3人がかりで窓ガラスを割って進入。
ポンプ車を出すのに約20分かかった。
火災現場に戻ると、既に北側の住宅に延焼していた。
防火水槽は、地震で崩れたがれきに覆われていた。
仕方なく、地区西側を流れる河原田川に、「いろは橋」からポンプ車のホースを下ろした。
だが、津波による引き波の影響からか、川を流れる水の幅が普段の半分しかなく、水をくみ上げることも容易ではない。
約30人の消防団員としては、延焼を食い止めるすべがなかった。
・・・
火災は1日午後6時ごろ発生。
数台の消防車が出動したが、断水により消火栓が使えず、電柱が倒れて道路を塞いだため、放水に使う防火水槽に消防車がたどり着けなかったという。
このため、川の水を使って放水するしかなかった。
https://mainichi.jp/articles/20240106/k00/00m/040/192000c
【化学工場で配管破損により塩酸が川に流出】
1月5日14時53分にNHK富山からは、高岡市では化学工場で配管が破損し塩酸が川に流出したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
富山県高岡市の化学工場では、塩酸をためているタンクの配管が破損したため、基準濃度を越える塩酸の処理水が近くの小矢部川に流れ出ていたことがわかりました。
県などによりますと、これまでに人や魚などへの影響は確認されていないということです。
地震のあと、異常を知らせる装置が作動して塩酸の漏えいが分かったということで、酸性濃度を中和するための水酸化ナトリウムを追加で投入したため、高濃度の塩酸は川に流れ出ていないとしています。
・・・
https://www3.nhk.or.jp/lnews/toyama/20240105/3060015442.html
【NHKアナの絶叫調避難呼びかけに驚きの声】
1月2日18時45分に毎日新聞からは、NHKのアナは絶叫調で避難を呼びかけたが、それは東日本大震災時の反省からマニュアルが見直されていたためなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日に発生した能登半島地震で、NHKのアナウンサーが「東日本大震災を思い出してください!」「今すぐ逃げること!」といった強い口調で視聴者に避難を呼び掛けたことが、インターネット上で話題を呼んでいる。
・・・
こうしたアナウンサーの呼び掛けに、ネット交流サービス(SNS)では「びっくりしたけど、緊迫感や危険意識が高まった」「危機感を伝える魂がこもっていた」といった意見が多数書き込まれた。
NHKでは、東日本大震災で避難の呼び掛けが十分に届かなかったという反省の下、災害発生時のアナウンスのマニュアルを見直し、大きな災害発生時にはアナウンサーが冷静沈着さを捨てて、強い口調で繰り返し避難を呼び掛けることを決めた。
独自の命令口調「逃げること」という呼び掛けの言葉も盛り込まれた。
普段から災害発生を想定した「緊急報道訓練」も繰り返し行われているといい、今回の報道ではこうしたマニュアルの見直しや日ごろの訓練が生かされた形だ。
https://mainichi.jp/articles/20240102/k00/00m/040/327000c
【和倉温泉では避難所に旅館から食料や布団が持ち込まれた】
1月5日16時20分に産経新聞からは、和倉温泉では避難所に複数の旅館から食料が持ち込まれ、加賀屋からは布団も持ち込まれたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
石川県七尾市の老舗温泉街「和倉温泉」でも甚大な被害が発生した。
利用客や地元住民からは、避難誘導や物資の支援に尽力した旅館側に対して感謝の声も上がっている。
・・・
「加賀屋」ではエレベーターが止まったため、最上階の20階まで従業員が駆け上がって避難を呼び掛けた。
激しい揺れのためにアスファルトは割れ、避難所まで利用客を送迎した車の何台かはタイヤがパンクしたという。
足の不自由な利用客の車いすを必死に押して避難所へ連れていった。
当時、旅館内では300人程度の従業員が勤務しており、利用客の誘導のほか、避難所に布団を持ち込んだり、食事のおにぎりを届けるなど、それぞれが役割を分担して対応に当たった。
・・・
避難所の運営を担っている市職員は「来た人は拒めないので避難所に定員はない」と話すが、備蓄物資は明らかに不足。
食料は、加賀屋をはじめとした複数の旅館から持ち込まれた分で何とかしのいだという。
・・・
2日から母(89)と体育館で暮らしている田端さん(63)は、1日は学校前の坂道に車を止めて車内で一夜を明かしたが、「旅館の従業員に誘導され、寒そうにしながら校内へと入っていく浴衣姿の観光客を100人くらいは見た。その後で、たくさんの布団を荷台に積んだトラックが次々と通り過ぎていった。初めて見た光景だった」と話す。
https://www.sankei.com/article/20240105-5RFMAMOYB5P2VOQKDJRTMISDHI/
【トイレ問題が深刻化】
1月6日11時30分に毎日新聞からは、トイレ問題が深刻化しているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
被災地では、断水などの影響により、避難所に限らずトイレの問題が深刻化している。
NPO法人「日本トイレ研究所」の加藤篤代表理事に、断水時に建物内のトイレを利用する方法を聞いた。
・・・
避難所などでトイレの衛生環境が悪化すると、感染性胃腸炎などの集団感染のリスクが高まる。
汚いトイレに行くことを避けるため、水分や食事の摂取を控えれば、脱水症状や栄養不足、エコノミークラス症候群など震災関連の疾患にもつながる。
加藤さんは、「トイレは一人になれる空間で、日常生活を支えるもの。仮設トイレの設置も含めて、緊急的な改善が必要だ」と指摘する。
https://mainichi.jp/articles/20240106/k00/00m/100/026000c
【クラッシュ症候群にも注意】
1月1日21時22分に産経新聞からは、クラッシュ症候群にも注意など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
今回の地震では、倒れた家屋にはさまれるなどしたとして、救助を求める声がSNS上で相次いだ。
重いものに身体が数時間圧迫されると、筋肉が損傷して組織が壊死する。
その後、圧迫から解放されると、壊死した組織の内容物が一気に血液中に漏れ、心停止や急性腎不全を起こすことがある。
「クラッシュ症候群」と呼ばれるもので、人工透析や点滴、輸血などの治療が必要となる。
7年の阪神大震災では、約400人が発症し、このうちおよそ50人が亡くなったとされる。
仮に救助隊などより早く、挟まれによる要救助者を発見した場合、むやみに障害物を動かすのは、かえって危険な可能性がある。
低体温症の防止のため本人に毛布をかけるなどし、隊の到着を待つほうがよいこともある。
https://www.sankei.com/article/20240101-5ASXNNNT7NG5NH2WT4YBRI23K4/
【冷たい床で雑魚寝する場合もエコノミークラス症候群に注意】
1月1日21時54分に産経新聞からは、冷たい床で雑魚寝する場合もエコノミークラス症候群に要注意など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
避難所や車中泊で懸念される「エコノミークラス症候群」を調査してきた新潟大の榛沢(はんざわ)和彦・特任教授は、車中泊だけでなく体育館などの冷たい床で雑魚寝を余儀なくされる場合も脚の静脈に血の塊(血栓)ができやすいとして、注意を呼びかけている。
・・・
https://www.sankei.com/article/20240101-YKT4OKYLYBJF5FY6CUQY4HILME/
【早急な物資発送やボランティア参加は現地の混乱を招くだけ】
1月5日20時6分に毎日新聞からは、物資発送やボランティア参加はしばらく待つよう熊本市長がSNSで発信したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「一般の皆さんには発災直後はしばらく待機していただくことが重要で、発災直後の現場の混乱を避けることになります」。
熊本市の大西一史市長は2日、自身のX(ツイッター)に、そう投稿した。
大西市長は毎日新聞の取材に、「被災地の受け入れ態勢が整わないうちに大量の物資が届けば支援が生かせないこともある」と語った。
Xでは、「必要に応じて各自治体や関連団体から情報発信されますので、それを待ってください」とも訴えた。
市の震災記録誌によると、熊本地震の発生直後は個人・民間企業などから支援物資が大量に届いた。
しかし、対応する職員や場所が不足。
物資の内容が明記されていない段ボール箱も多く、負担が増した。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20240105/k00/00m/040/080000c
【偽情報が出回っているのは広告収益目当て?】
1月2日17時44分に毎日新聞からは、旧ツイッターで偽情報が出回っているが、その背景の一つは広告収入目当てのインプレッション稼ぎだなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
X(ツイッター)には、偽の被害を訴える投稿が相次いだ。
・・・
偽情報が出回る背景の一つに、フォロワーが500人以上▽過去3カ月のインプレッション(表示回数)が500万件以上――などの条件を満たすと、広告収益が配分される仕組みがある。
ツイッターは東日本大震災当時、電話がつながらない中でも情報を共有できる手段として注目された。
だが、22年に実業家のイーロン・マスク氏が買収してXに改称して以降、広告収益の分配化などで偽情報があふれていると指摘される。
X上には「東日本大震災の時に頼りになったツイッターはもういない……インプレッション稼ぎ、フェイクだらけ」と嘆く声も見られた。
https://mainichi.jp/articles/20240102/k00/00m/040/195000c
【震災当日、避難所に自販機破壊泥棒が出現した】
1月6日6時38分に読売新聞からは、地震発生4時間後に避難所となった高校の自販機が壊され飲料やカネが盗まれたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
避難所となっている県立穴水高校で自動販売機が壊され、中から飲料と金銭が盗まれていたことが5日、目撃者の証言でわかった。
・・・
1日午後8時頃、校庭に金沢ナンバーの車が見え、40~50歳代の男女4、5人の集団が校内に入ってきた。
集団は「緊急だから」とだけ話し、女の指示を受けた複数の男がチェーンソーとみられる道具を使って自動販売機を破壊し、飲料水や金銭を盗んだという。
目撃者の男性は「けたたましい音が学校中に響き渡っていた。避難所はパニックになり、誰も止められなかった」と、おびえた表情で語った。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240105-OYT1T50183/
(ブログ者コメント)
〇新年早々、甚大な災害が起きてしまった。
トイレ問題が最も深刻とお見受けするが、被災地の皆様のご苦労、お察します。
〇それにしても、能登半島では以前から群発地震が続いており、道路網の寸断も想定されていたと思うのだが、それでも救援活動や支援物資の供給に支障が出ているとのこと。
ずいぶん先の話しになるだろうが、想定のどこが甘かったのか、検証が待たれる。
それにより、他の自治体の対策見直しに活かされる部分があるかもしれないので・・・。
〇NHKアナの絶叫&命令調の避難呼びかけの件、ブログ者も「今回はすごいなあ・・・冷静でいるべきNHKのアナウンサーがこんなにも感情的になっていいのだろうか?」などと感じながら聞いていた。
(2024年1月20日 修正1 ;追記)
2024年1月20日5時3分にYAHOOニュース(読売新聞)からは、破壊した自販機の飲料は避難者に配ったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
販機を管理する北陸コカ・コーラボトリング(富山県高岡市)は、石川県警に被害届を提出した。
飲料は、同校に避難していた人たちに配られたとみられるが、同社や同校には無断で壊されたという。
県警は器物損壊事件に当たる可能性もあるとみて、関係者から話を聞いている。
目撃した男性らによると、5人の男女が「緊急だから」と周囲に告げながら校内にある自販機を工具でこじ開け、内部も破壊し、飲料を取り出して避難者らに配ったという。
校長によると、校舎には当時、同校の教諭や事務員はおらず、自販機を破壊する許可は出していなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0631a1ee97166be1ae062e2568c0e8b6aff184cc
2023年10月27日15時13分にNHK山形から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風などの大雨でため池が決壊するのを防ぐため、ポンプを使わずに水位を下げる方法を学んでもらう研修会が山形市で開かれました。
研修会は、電気で動くポンプを使わずに、ため池の水を排出して水位を下げる方法を学ぶもので、27日は県内の自治体などからおよそ40人が参加しました。
はじめに、県の担当者が、台風などの大雨でため池に大量の水が流れ込んだ場合、決壊するおそれがあることなどを説明しました。
このあと、担当者が長さ10メートル、太さ7.5センチのホース3本をつなげて、ため池から水を抜くための装置を作り、ホースをため池の中から堤防を経由して水面よりも低い場所まで設置しました。
この装置は「サイフォンの原理」を利用していて、ホースの両端に取り付けたバルブを閉めた状態で、ホースの中を水で満たしたあと、バルブを開ければ、ため池から水を抜くことができます。
担当者がホースの中を水で満たしたあと、両端のバルブを開けると、ため池から水が勢いよく排出されていました。
排出できる水の量は、ホースの両端の高低差によって異なりますが、このため池の場合、1時間で42トンの水が排水できるということです。
県農村整備課の佐々木課長補佐は、「ため池が決壊すれば、周辺の民家などに甚大な影響が出る。防災意識の向上につなげてほしい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20231027/6020018879.html
2023年10月7日11時53分にNHK岩手から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7日朝、大槌町で牛舎にいた51歳の女性がクマに襲われ、頭や顔にけがをして病院に搬送されました。
警察によりますと、意識があり、命に別状はないということです。
警察によりますと、7日午前6時半ごろ、大槌町金澤にある農場で、この農場を経営する男性が子グマと見られる2頭を見つけました。
男性が爆竹でクマを追い払うと、親グマとみられる1頭と子グマと見られる2頭のあわせて3頭が近寄ってきたということです。
このうち、親グマとみられる1頭は、男性に近づいたあと、農場の敷地にある牛舎の中に入り込み、悲鳴が聞こえたため男性が確認したところ、51歳の男性の妻がクマに襲われたということです。
男性の妻は頭や顔をかまれるけがをして、病院に搬送されました。
警察によりますと、けがの詳しい状況は分かっていないということですが、意識はあり、筆談で会話ができる状態だということです。
男性にけがはありませんでした。
現場は、山に囲まれた住宅が点在している地域で、3頭のクマは現場からいなくなったということで、警察などが付近の住民に注意を呼びかけています。
岩手県内ではことし、クマに襲われてけがをする人が相次ぎ、県は5月に2016年度以来となる「ツキノワグマの出没に関する警報」を出して、クマの被害に警戒するよう呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20231007/6040019401.html
10月7日12時16分にYAHOOニュース(岩手放送)からは、子グマを爆竹で追い払っていたところ親グマが飛び出してきたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7日朝、岩手県大槌町で牛の世話をしていた50代の女性がクマに襲われ、けがをしました。
警察によりますと7日午前6時半ごろ、大槌町金澤の山林近くにある牛舎で、夫と2人で牛の世話をしていた51歳の女性がクマに襲われました。
襲われる前、夫が子グマ2頭を目撃し、爆竹で追い払っていたところ、親グマとみられる成獣が飛び出してきたということです。
夫は逃げて無事でしたが、近くで牛に餌をやっていた女性は襲われ、頭と顔をかまれ、けがをしました。
女性は会話はできないものの筆談が可能で、命に別状はないということです。
岩手県自然保護課によりますと、今年度県内でクマの被害にあった人は10月4日時点ですでに32人に上っていて、過去最多だった2020年の29人を上回っています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/333fdc37c61ddaa4804bfd63d89bccb3bbfc1529
2023年9月29日8時3分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
茨城県日立市は28日、定例記者会見を開き、台風13号に伴う豪雨による市内の被害状況を報告した。
市役所近くを流れる数沢川と平沢川の合流部の越水で、市役所地下の電源設備が浸水したことについて、市側は「庁舎設計時、溢水(いっすい)することは想定していなかった」と説明した。
会見で小川春樹市長は、水害を受け、「専門家による調査・検証で、恒久的な対策を講じたい」と述べた。
9月補正予算では本庁舎の復旧事業に2億7090万円を計上した。
市役所の本庁舎は2017年に完成。
梶山副市長の説明によると、建設前に市民の意見を聴く懇話会で、近くの川の水があふれることを懸念する意見が出ていた。
梶山副市長は「街づくりやアクセスの観点から、最終的にこの選択をした」と、現在の場所に建てた理由を説明した。
また、約70年間で両河川が越水した記録がなかったことや、数沢川を暗渠(あんきょ)(地下水路)化する際に川の容量を1・3倍に拡張したことから、梶山副市長は「あふれる心配はないだろうと当時は考えた」などと釈明した。
市は、このほか、今回の豪雨で、市内67河川のうち中小規模の河川を中心に39河川で水があふれたと報告。
治水対策のため、新たに流域治水基本計画を策定することを決めた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/280478
ちょっと前、9月23日11時0分にYAHOOニュース(毎日新聞)からは、建設準備段階から浸水危険性は何度も指摘されていた、過去に88ミリの雨が降っても氾濫しなかったことを浸水しない根拠の一つにしていたが93ミリの雨で浸水したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風13号に伴う記録的な豪雨で8日、茨城県の日立市役所西側を流れる数沢川が氾濫した。
東日本大震災を契機に、「災害に備える防災拠点」として2017年に建設されたばかりの新庁舎の地下階は120センチの高さまで浸水。
受電設備と非常用発電機が水につかり、一時機能不全になった。
惨状を目の当たりにした小川春樹市長は「想定外の出来事だ」と語ったが、建設準備の段階から、その危険性は何度も指摘されていた。
新庁舎は12年2月の市議会全員協議会で吉成明市長(当時)が、旧庁舎西側の駐車場に建設すると表明した。
複数の候補地から
①自然災害に対する安全性が確保できること
②市の中核的な場所に位置していること
③既存の市有地を活用できること
などの条件に基づいて選定された。
旧庁舎での業務を継続しながら建設用地を確保するため、敷地内を流れる数沢川は流路を付け替えた上で暗渠(あんきょ)(地下水路)化されることになった。
市は新庁舎建設に向け、12年5月から16年11月まで「市民懇話会」を計11回開き、学識経験者や各種団体の代表、市民公募委員など、15人から意見を聞き取った。
震災が庁舎建て替えのきっかけとなったこともあり、耐震性などに多くの時間が割かれた。
一方で、メンバーからは数沢川について懸念の声が複数上がっていた。
市ホームページに掲載された会議録によると、
「近年の雨量は異常。新庁舎の後ろを流れている川からの冠水の心配はないのか」、
「流木が詰まってあふれることも考えられるのでは」
などと指摘している。
市側は数沢川について、1999年10月27日に市役所で観測された1時間当たり88ミリの雨でも氾濫しなかったデータを根拠に、「十分な排水能力がある」としつつ、河川の付け替えに伴い改修する考えを示した。
改修は流域に1時間当たり約50ミリの雨が降り、1秒当たり約40トンの水が流れ込むと想定。
深さ3・3メートル、幅4メートルだった川の断面は、コンクリート製の高さ3メートル、幅5メートルに広げられた。
13年3月、コンペにより新庁舎の原案が選定され、受電設備などが地下に置かれる全体像が明らかになった。
同年7月の懇話会では、メンバーが改めて「(地下階で)冠水などの対策は十分取られているのか」と問いただしている。
市は地下階に雨水貯留槽を設け、ポンプで排出する仕組みを整備した。
しかし、こうした対策は機能しなかった。
市内は観測史上最多となる1時間93ミリの降水を記録し、数沢川は暗渠の入り口手前で氾濫した。
大量の水が流れ込んだ地下の雨水貯留槽はあふれ、受電設備などが浸水、ポンプは動かなくなった。
小川市長は、「職員総出で水を防いでいたが、地下の方は防ぎようがなかった」とうなだれた。
新庁舎建設決定の経緯を知る市の元幹部は、死者・行方不明者31人の被害を出した1947年のカスリーン台風と今回の水害を重ね合わせる。
カスリーン台風では、市役所北側を流れる宮田川の橋に流木などが詰まって氾濫、日立鉱山の社宅などを押し流した。
元幹部は、「暗渠にしたことで流木などが詰まった可能性がある。開渠だったら、水があふれても1カ所で集中することはなく、庁舎の浸水は避けられたかもしれない」と指摘する。
市では原因を調査し、川の改修や排水機能の増強など対応策を検討する。
◇かつては数沢川が流れ込む「弁天池」
日立市役所の敷地は、かつて、数沢川が流れ込む「弁天池」だった。
1939(昭和14)年に日立町と助川町が合併した際、両町の境界付近に近かったこの池を埋め立てて庁舎を建設することが決まった。
79年に市郷土博物館が発行した広報紙で、当時を知る住民が思い出を振り返っている。
それによると、農業用水を目的としたため池で、ほとりに弁天様がまつられていたことから「弁天のため」と呼ばれていたという。
「大水増しもたびたびありました」、「夜中に大雨が降って、畳がもちあがってきて、大水増しに気づいたことがありました。このときは、ため池は満水となり、私の家は床上浸水で、牛たちの腹まで水につかりました」とあり、大雨の際の調整池の役割を果たしていたことがうかがえる。
弁天様は「助川下町弁財天」のことだと思われる。
池が埋め立てられた後も市役所敷地内にあったが2013年、新庁舎建設のため、市役所南側に移転している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/55260ce2841d4799a4e58876f7e7fd9787f3f790
9月29日9時39分に毎日新聞からは、3月に作成したハザードマップでは浸水想定区域に入っていたが対策は今後の検討課題としていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市は28日、新庁舎建設の際、西側を流れる数沢川、平沢川の氾濫を想定した対策をしていなかったと認めた。
市は新庁舎建設に向け、2012~16年に「市民懇話会」を計11回開き、学識経験者や各種団体の代表、市民公募委員などから意見を聞き取った。
この中で、複数のメンバーが川からあふれる水が地下に流れ込むことについて懸念を表明していた。
総務部長時代、事務局の一員として第1、3~5回の懇話会に出席した梶山副市長が、当時の認識を定例記者会見で説明。
旧庁舎時代から70年間氾濫の記録がなかったことから、「雨水が地下に流れ込む想定はしていたが、川があふれることは考えていなかった」、「(懇話会で懸念の)意見もあったが河川改修により安全性を確認した」と振り返った。
また、3月に作成した内水ハザードマップで市役所周辺が浸水想定区域に入っていたが、対策については「今後の検討課題という段階だった」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20230929/k00/00m/040/049000c
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。