2019年4月2日9時32分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
2017年の九州北部豪雨で被害が集中した福岡県朝倉市の赤谷川の模型を、国土交通省が同県久留米市に造った。
本物の30分の1サイズ(長さ70m、幅50m)のコンクリート製で、河川の改良・復旧に役立てるのがねらい。
3月30日、大雨を模して水を流す実験があり、流域住民らが見学した。
模型は、乙石川、小河内川の2河川が合流する中流部2km余の区間を再現した。
豪雨災害時に、最も被害が集中した一帯だ。
筑後川河川事務所九州北部豪雨復興出張所によると、急勾配の川が相次いで合流し、流路も屈曲しているため、水の流れは複雑だ。
図面では予想しにくい水の動きをつかみ設計に役立てるため、模型を造った。
昨年12月、豪雨前の川の様子をまず再現して流水実験を実施。
さらに川幅を約2倍に拡幅し、より直線的な流れに改めた改修計画の1次案に沿って3月、新たな模型に造り替えた。
この日、流域の杷木松末地区(朝倉市)の住民34人が豪雨時相当(毎秒400トン)の流量の水を上流部から流す実験を見学した。
被災した自宅を離れ、うきは市で暮らす60代女性は、「合流点で水があふれ気味なのが気になった。護岸を高くしてもっと安心できる川にしてほしい」と話した。
同出張所の古賀所長は、「住民の皆さんに改修の具体像をイメージしてもらうのも模型の大事な目的。地域の声を反映して、よりよい計画を練り上げたい」。
改良復旧工事は21年度までの予定。
出典
『模型…だけどでかい 豪雨被害を長さ70メートルで実験』
https://digital.asahi.com/articles/ASM415HKKM41TIPE03J.html?rm=298
2019年3月22日19時44分に時事ドットコムから、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
富士山が噴火した場合の火山灰対策を検討している政府・中央防災会議の作業部会は22日、降灰量や堆積範囲などの試算結果を公表した。
1707年の宝永噴火のデータを基に、噴火から15日間の累積で、富士山麓で3m以上、東京都心で1~1.5cm積もると試算した。
降灰の範囲は、噴火の規模や風向きなどによって大きく変化する。
今回は、宝永噴火時の状況に近い昨年12月16~31日の風向・風速を用いて、降灰量などを推計した。
試算によると、降灰は静岡県から神奈川、東京、千葉各都県などまで及ぶ。
15日間の累積で、
▽静岡県御殿場市で 約1.2m
▽神奈川県秦野市で 約45cm
▽同県小田原市で 20~25cm
▽横浜市で 約10cm
▽東京湾海上で 約4.5cm
▽東京都新宿区で 1~1.5cm
▽千葉県成田市で 約4mm
それぞれ積もると見込んだ。
試算では、時間経過に応じた降灰量の変化も分析。
15日間ほぼ毎日降り続ける地域もあれば、噴火から数日後にまとまって降る場合もあった。
また、インフラに及ぼす影響も想定。
道路は火山灰が10cm以上積もると通行不能になる他、空港は0.2~0.4mm以上で滑走路の表示が見えにくくなり、空港閉鎖の可能性があるとの見解を示した。
出典
『富士山噴火、都心でも降灰=麓では3メートル以上-中央防災会議』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019032201243&g=soc
3月22日20時2分にNHK静岡からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
富士山で大規模な噴火が発生した場合、首都圏を含めた各地にどのように火山灰が広がり影響が出るのか。
国の検討会が公表したシミュレーションでは、周辺で1m以上、首都圏でも数cmから10cm余りの火山灰が積もり、交通機関やライフラインなどに影響が出るおそれがあることがわかった。
検討会のシミュレーションは、富士山で1707年12月の「宝永噴火」と同規模の大噴火が発生、15日間続いたことを想定したうえで、富士山周辺から関東にかけての各地で火山灰がどのように積もっていくか、時間ごとに計算している。
それによると、静岡県御殿場市付近では1時間に1cmから2cm程度の灰が降り続き、最終的に1m20cm程度に達するとしている。
80km余り離れた横浜市付近でも1時間に1mmから2mm程度の灰が断続的に降り、最終的には10cm程度積もる見込みだ。
90km以上離れた新宿区付近では、噴火直後は灰は降らないものの、13日目以降に1時間に最大1mmほど降り、最終的に1.3cmほど積もるとしている。
これによって、富士山の周辺では建物の倒壊など甚大な被害が出るほか、離れた首都圏でも、道路や鉄道、空港などに影響が出るだけでなく、さらに雨が降ると停電が発生するおそれなどもあるという。
検討会では今後、時間ごとに起こりうる具体的な影響を分析した上で、来年度中に対策の基本的な考え方をまとめる方針だ。
検討会の主査を務める東京大学の藤井敏嗣名誉教授は、「いつかは分からないが、富士山は必ず噴火する。都市に火山灰が積もると、交通機関に影響が出て帰宅困難者出たり流通が止まったりするおそれがあり、どのような対策が必要か考えなければならない」と話している。
出典
『富士山噴火で火山灰時間ごと解析』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20190322/3030002350.html
2018年5月5日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8310/
(2019年3月28日 修正1 ;追記)
2019年3月21日6時0分に西日本新聞から、韓国政府の調査チームも地熱発電の高圧注水が地震の原因だったと発表したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
2017年11月に韓国南東部、浦項(ポハン)で起きたマグニチュード(M)5.4の地震について、韓国政府の調査研究チームは20日、震源地に近い地熱発電所で発電のため地下に高圧で注入した水が断層を刺激して発生したとの見解を発表した。
同発電所は、政府が国費185億ウォン(約18億円)を投入した官民事業で、韓国メディアは「天災ではなく人災」と批判している。
浦項地震は韓国の観測史上2番目の規模だった。
中央日報によると、被災した建物などは約2万7000件に上り、被災者が損害賠償を求めて、政府などを相手に相次ぎ訴訟を起こしている。
賠償総額は数1000億ウォンに達する可能性があるという。
浦項の地熱発電所は12年に着工し、16年に試運転を開始。
地下約4kmの岩盤に高圧力で注水し、地熱に温められて発生する水蒸気でタービンを回して発電する。
施設は震源地から約600mしか離れておらず、調査研究チームは、「地下に高圧の水を注入したことで、地震が起きる可能性が高い断層に刺激を与えた」と説明した。
政府は調査結果を受け、浦項市民への「深い遺憾の意」を表明。
事業を中止して敷地を原状回復するほか、用地選定が適切だったかなども検証するという。
島村英紀・武蔵野学院大特任教授(地球物理学)は、「地熱発電が誘発したとされる地震は米国やスイスでも起きている」と指摘。
日本の資源エネルギー庁は、「日本国内には九州を含め約60カ所の地熱発電施設があるが、浦項のように高圧力で注水する方式は採用していない」としている。
出典
『17年の韓国地震、地熱発電注水が触発 政府チーム見解 国費18億円、メディア「人災」』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/495911/
3月21日11時5分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
韓国政府は一帯を特別災難地域に指定し、現在も復興事業を進めている。
国内外の専門家で構成された政府調査団の調べでは、地熱発電の開発で地下に高圧の水を注入したため、時間の経過によって地震を引き起こしたとみられるという。
10年に国家研究開発課題として地熱発電開発を始めるまで、周辺で大きな地震は発生していなかった。
政府は開発の中断を決めたという。
地下に注水することで地震が発生しやすくなる現象は、シェールオイルの掘削が進む米オクラホマ州などでも知られている。
水によって、地下にかかる力が変化することが原因と考えられている。
出典
『地震の原因、地熱発電の開発だった 韓国政府が謝罪』
https://www.asahi.com/articles/ASM3N5328M3NUHBI01J.html
3月20日20時38分にNHK NEWS WEBからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この地震の震源の深さは7kmだったのに対し、注水が行われたのは地中およそ4km付近だったということだが、注水の際に圧力が発生して断層が動き、マグニチュード5.4の地震につながったとしている。
一方で、今回の結果について韓国メディアは、実証実験が十分でないとか、自然に発生した地震の可能性もあるといった見方も伝えている。
出典
『M5.4の地震 地熱発電で地下に大量注水が原因 調査チーム 韓国』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190320/k10011855281000.html
(ブログ者コメント)
今年2月、北海道で起きた地震に関し、鳩山元首相がツイッターで「地震の原因は今回の震源地近くでCO2を高圧で地下に貯留していること」といった趣旨のことをつぶやき、それが警察からデマ認定されて物議をかもした。
調べてみると、当該施設ではCO2を数10~数100気圧という高圧で地下1kmより深い場所に圧入している由。
出典例 (2018年4月10日 17時0分 東洋経済)
『地下3000メートル!「CO2貯蓄施設」の実態 苫小牧の実証実験センターを現地ルポ』
https://toyokeizai.net/articles/-/215829
元首相のつぶやき内容とつぶやいたタイミングの是非はともかくとして、地下への高圧注入という点は同じなので、少し気になった。
2019年3月21日22時59分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長崎市の長崎港周辺の道路で21日夜、冠水が相次いだ。
長崎地方気象台によると、短い周期で海面が大きく上下する「副振動(あびき)」と呼ばれる現象が発生し、午後8時40分ごろから午後9時20分までに、約30分周期で最大105cmの高低差を観測した。
長崎市消防局によると、午後9時半時点で、けが人の情報は入っていない。
長崎県警によると、冠水はおさまっているという。
副振動は高潮や津波とは異なり、海面上の気圧の振動などが原因で発生すると考えられている海面の昇降。
冬から春にかけて、九州西岸の入り江などで高低差が大きくなりやすい。
長崎港では21日午後8時35分が大潮の満潮だった。
そこに副振動による海面上昇が重なり、潮位が異常に高くなったとみられる。
市消防局によると、浦上川沿いの稲佐地区や市中心部の銅座地区が一時、冠水した。
JR九州は、長崎線の浦上~長崎間で線路が冠水したため、午後8時45分ごろから約1時間半、運転を見合わせた。
出典
『長崎市内で「あびき」か 海面が昇降、各地で道路冠水』
https://www.asahi.com/articles/ASM3P76NNM3PTIPE02G.html
3月22日12時33分にYAHOOニュース(長崎放送)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
21日午後9時ごろ、長崎市の宝町や銅座町など広い範囲で道路が冠水し、付近の店舗や住宅の床上や床下が浸水した。
気象台によると大潮の昨夜、満潮の時刻にあびきと呼ばれる大きな潮位変動が重なって、午後8時40分ごろには30分間で1m以上海面が上昇した。
銅座町の居酒屋では、店の人が「あっという間にひざ下まで水が入ってきた」と話し、溜まった水をかき出す作業に追われていた。
冠水の影響で、JR長崎駅では列車の運行を1時間半ほど見合わせ、およそ1600人に影響が出た。
気象台は、昨夜の長崎港の潮位が、観測史上、最も高くなった可能性があるとみて調査するとともに、今後も大きな潮位の変動が発生するおそれがあるとして、係留した船舶などへの被害と海岸や河口付近での浸水に注意を呼びかけている。
出典
『長崎であびき現象 市街地も冠水』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-00002259-nbcv-l42
3月23日0時10分に長崎新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
JR九州は、浦上駅~長崎駅で約1時間半、列車の運行を見合わせた。
2本が運休、14本が最大約1時間40分遅れ、計約1600人に影響が出た。
警察によると、松が枝町などで数10棟が床上・床下浸水しているとみられる。
銅座地区でスナックを経営する男性(64)は、「水かさは20cmほど。カウンターにビール瓶が流れ込んできた。こんな現象は初めてだ」と驚いていた。
出典
『長崎港で「あびき」 最大105センチ 家屋や飲食店浸水』
https://this.kiji.is/481626595184313441?c=39546741839462401
3月23日11時19分に長崎新聞からは、過去最高の潮位だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長崎地方気象台は、22日に実施した調査結果を発表した。
発生当時、長崎港内の検潮所では最高2.38mの潮位を計測し、2012年9月17日、台風16号に伴い観測した過去最高の潮位2.19mを更新した。
現地調査の結果によると、陸上の最高潮位は長崎県長崎市宝町の2.8mだった。
今回の浸水は大潮の満潮時間帯に「あびき」が重なり、一時的に潮位が非常に高くなったことで発生したとみられる。
長崎県警によると、「あびき」による同市内の床上・床下浸水は約25棟が確認されたという。
人的被害は確認されていない。
九州電力長崎支社によると、21日夜、「あびき」による漏電が原因とみられる停電が3件発生。
長崎市消防局によると、「道路が冠水している」などとの通報が計26件あった。
4月までは「あびき」が発生しやすい時期であることから、同気象台は引き続き、低地での浸水や船舶の転覆などに注意を呼び掛けている。
出典
『「あびき」過去最高潮位 21日夜、長崎港で2.38メートル』
https://this.kiji.is/482010590829020257?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
長崎港でのあびき現象については、過去にも本ブログで発生状況や発生機構を紹介スミ。
ただ、今回のような被害は報道されていなかった。
2019年2月20日22時0分に山陽新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高梁川の増水時に市街地への水の流入を防ぐため、高梁市落合町近似の国道313号に設けられた「陸閘(りっこう)」と呼ばれるゲートが不具合で閉じない状態にあることが20日、管理する岡山県の点検で分かった。
西日本豪雨では、県内16カ所以上の陸閘が操作されなかったことが県の検証委員会で判明しており、管理体制が改めて問われそうだ。
県によると、陸閘は1975年ごろ、高梁川堤防と国道313号の交差部に設置。
国道脇に収納された鉄製ゲート(高さ約2m、厚さ0.5m、長さ約10m)を手動で引き出して道路を封鎖し、高梁川からあふれ出た水を遮る仕組み。
西日本豪雨では、職員が近づく前に周辺が冠水し、操作できなかったという。
点検が2008年から行われていなかったため、県備中県民局高梁地域事務所の職員ら12人が20日、現地を訪問。
ゲートのレールを覆う金属製の蓋を外したところ、レールにゆがみが見つかった。
操作を試みたが、約50cmしか引き出せなかった。
県は、修理が完了するまでの間、浸水の恐れがある場合は土のうを積んで対応する方針。
同事務所の照田管理課長は、「西日本豪雨の際に、たどり着けても動かせなかった可能性があり、危機意識が薄れていたと言われても仕方ない。出水期に間に合うよう、修理を急ぐ」と話した。
西日本豪雨で冠水した近隣地区の男性(55)は、「動かしているのを見たこともなく、やはり、と思った。あきれた対応で、一刻も早く対策を取ってほしい」と、作業を見守った
出典
『水流入防ぐゲート 不具合で閉じず 高梁の国道、県点検で判明』
http://www.sanyonews.jp/article/871741
(ブログ者コメント)
西日本豪雨時に岡山県で陸閘が閉鎖されず付近一帯が浸水したトラブルを本ブログで今年1月、紹介した。
そのトラブルを受けての点検かもしれない。
2019年1月19日掲載
2019年1月12日報道 西日本豪雨時、岡山県では陸閘(川の堤防に切れ目を入れて人が通れるようにした場所)を閉止しなかったため被害が拡大した、閉止マニュアルはなく訓練も不実施
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9254/
2019年2月4日17時35分に新潟日報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟県糸魚川市消防本部は4日、同市大所地区の工事現場にあった工事用LPガスのボンベ5本が同日までになくなり、付近の大所川に流れたとみられると発表した。
市民に注意を呼び掛けている。
市消防本部によると、工事現場からボンベがなくなっていると連絡があり、消防と工事関係者が捜したが見つからなかった。
大所川は3日からの雨と雪解けで増水しており、川へ流出したとみられる。
大所川が合流する姫川に流れ出た可能性もある。
市消防本部は、LPガスボンベを見かけたら、触れたり移動させたりせず、近くで火気を使わないよう呼び掛けている。
出典
『LPガスボンベが川に流出か 糸魚川』
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20190204448917.html
2019年1月23日17時43分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が想定震源域の図解付きでネット配信されていた。
北海道南東沖の千島海溝で起こる「超巨大地震」が注目されている。
国の地震調査研究推進本部は一昨年末、「切迫性が高い」とする見解を公表。
東日本大震災の前にみられたような地震活動の変化を指摘する研究者もいる。
もし起これば、大津波が沿岸を襲う。
専門家には危機感がにじむ。
「今度は後出しジャンケンでなく、徹底的にやってもらいたい」――。
地震研究者が集まった昨年8月の地震予知連絡会。
松浦律子・地震予知総合研究振興会解析部長は、東日本大震災で受けた衝撃と後悔を振り返りつつ、千島海溝の戦略的な研究を呼びかけた。
8年前の震災では、それ以前に見られた地震活動の変化をめぐり、「前兆だったのでは」との指摘が後になって相次いだ。
少なくとも過去に大津波があったことは分かっていたが、防災に十分生かせなかった。
千島海溝でも、同じような大地震や大津波が起きるおそれがある。
地震本部が2017年12月に公表した「長期評価」は、マグニチュード(M)8.8以上の超巨大地震が切迫している可能性が「高い」とした。
直近で起きたのは17世紀前半。
津波堆積物を元に推定した発生間隔は平均340~380年で、すでに「満期」を過ぎている。
【切迫の兆し?】
松浦さんは、付近の地震活動の変化からも切迫感を感じている。
1965年以降のM5.7以上の地震を分析すると、08年10月ごろから、これまでにないレベルで静穏化。
15年後半から回復傾向にあるという。
東日本大震災の前にも、同様の変化が起きていた。
大地震前の静穏化は、ほかにも事例がある。
関係は未解明で、静穏化後に大地震がなかった例もあるものの、不気味な状況が続く。
地殻変動からも、切迫性が指摘される。
付近の陸地は沈降が続き、十勝沖地震などM8級の地震後も、その傾向は変わらない。
一方、昔の海岸地形は高い位置にあり、いつか隆起しないと、つじつまが合わない。
そこで、「超巨大地震の後に大きく隆起する」との仮説が提唱されてきた。
今は地震直前の沈降速度が速い時期と解釈すると、観測事実の説明がつく。
実際、地震後に隆起が続いたことを裏付ける堆積物も見つかっている。
東北の被災地が地震後に隆起に転じた状況とも似通う。
津波堆積物を研究してきた産業技術総合研究所の宍倉正展研究グループ長は、「震災前の東北と同じ状況にある。当時と違うのは経験があること。地震が来るときは来るととらえ、備える必要がある」と話す。
【揺れたら、とにかく高い所に】
超巨大地震の震源域は長さ300km以上とされ、十勝沖から北方領土の先に及ぶ。
過去には4km内陸まで浸水した。
東北地方沿岸も、津波被害のおそれがある。
千島海溝で巨大津波を起こす地震は、00年代半ばから、国や道が被害想定を公表してきた。
国の中央防災会議は、千島海溝や南に連なる日本海溝の地震の被害想定を見直し中で、結果を受けて道も対応するという。
いつ発生するかは分からない。
予知連は昨年、2回にわたって千島海溝の地震を議論した。
平原和朗会長(京都大名誉教授)は会見で、「我々に危機感があるということを伝えないといけない」と話した。
松浦さんは、「沿岸の人は、揺れたらとにかく高い所へ避難してほしい」と呼びかける。
東京電力は昨年12月、福島第一原発に新設する防潮堤の詳細を公表した。
千島海溝の長さ1400kmの震源域でM9.4の超巨大地震を想定。
海面から11m、主要施設の敷地から2.5mの高さの防潮堤を20年度までに造るという。
東電は事故後、誘発地震に備えた仮設防潮堤を一部に設置。
止水などの対策を進めるが、敷地を囲む防潮堤はないままだ。
再び津波が襲えば、汚染水の流出や廃炉作業の停滞を招くおそれがある。
東電は「長期評価の切迫性の指摘を踏まえた」としている。
出典
『研究者にじむ危機感、「切迫」する北海道沖の超巨大地震』
https://digital.asahi.com/articles/ASM1L4DVGM1LULZU001.html?rm=616
2019年1月19日2時41分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午後10時25分ごろ、北海道当別町茂平沢の無職、古市さん(男性、66歳)の自宅玄関の数10cm手前で古市さんが倒れているのを、警察官が見つけた。
古市さんは搬送先の病院で死亡が確認された。
死因は低体温症による凍死だった。
現場付近は、当時、吹雪で視界が遮られる「ホワイトアウト」で、古市さんは玄関前にたどりつきながら、力尽きたとみられる。
そばには玄関の鍵が落ちていた。
当別町は札幌市の北側にあり、札幌管区気象台によると、当時の当別町内の気温は不明だが、隣接する石狩市は氷点下11.2℃にまで冷え込んでいた。
警察によると、古市さんから17日午後4時20分ごろ、「車が雪山に突っ込んだ」と110番があった。
「自力で脱出できる」とも語ったが、その後、連絡が途絶えた。
署員が捜したところ、午後10時過ぎ、自宅から約120mの路上で雪山に突っ込んだ車を発見。
自宅に向かい、古市さんを見つけた。
古市さんは1人暮らし。
運転中にホワイトアウトで視界が利かず、雪山に数回突っ込んだ後、車を置いて徒歩で自宅に向かっていたとみられる。
出典
『猛吹雪「ホワイトアウト」で家見えず 自宅数十センチ手前で凍死 北海道当別町』
https://mainichi.jp/articles/20190118/k00/00m/040/201000c
1月18日21時11分にNHK北海道からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午後4時20分ごろ、当別町茂平沢の古市さん(66)から、「雪山に車が突っ込んでしまった」と携帯電話で警察に通報があった。
警察官6人が携帯電話の位置情報を元に、自宅を含む半径およそ3kmの範囲を中心に捜索したところ、およそ6時間後の17日午後10時すぎになって、古市さんが自宅の玄関前で倒れているのが見つかった。
また、同じころ、車も自宅からおよそ100m離れた路上で見つかったという。
古市さんはまもなく死亡が確認され、警察が調べた結果、18日午後になって死因は低体温症とわかったという。
警察によると、当時、現場周辺は吹雪で視界がほとんどない状態だったという。
また、捜索を始めた当初は、自宅やその近くに車も古市さんの姿もなかったということで、警察は、古市さんが自ら車を雪山から出したあと、自宅に戻ろうと周辺をさまよっていた可能性もあるとみて、当時の状況を詳しく調べている。
古市さんを発見するまでにおよそ6時間かかったことについて、対応にあたった北警察署は、「男性の通報内容では現場の特定につながる情報が得られなかった上、その後、繰り返し電話をかけても通じず、発見に至らなかった。残念な結果となったが、当時は暴風雪に伴う事故などが相次ぎ、人員が限られる中で捜索にあたったもので、最善は尽くしたと考えている」とコメントしている。
出典
『自宅前で男性が低体温症で死亡』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190118/0007152.html
(ブログ者コメント)
前も見えないほどの暴風雪で命が失われた事故として、6年前の特に湧別町の事例を思い出した。
(2013年3月3日付 日本経済新聞)
想像を超える暴風雪の猛威が、家族の命を次々と奪った。
北海道中標津町で母子4人が車内に閉じ込められ、湧別町では寒さから守るように父親が娘に覆いかぶさったまま力尽きた。
「もう少し早ければ」。
救出に当たった隊員は唇をかんだ。
「車が雪に埋もれ、人が中に閉じ込められている」。
2日夜、4人が閉じ込められた中標津町の現場近くの人から119番があった。
中標津消防署によると、隊員18人が救急車や指揮車に分乗し、署を飛び出した。
現場まで約11km。
猛吹雪で視界はなく、除雪車の先導で向かった。
通報から到着まで約2時間。
隊員の一人は「30年やっているが、こんな雪と風は初めてだ」と話した。
現場周辺は2~4mの雪に埋もれ、隊員はスコップで掘り進んだ。
車内にMさん(40)と子供の姿があったが、心肺停止の状態。
病院で死亡が確認された。
Mさん方の近所に住む酪農業の女性(59)は、「Mさんは、私が1カ月ほど入院したとき、代わりに犬の散歩をしてくれる、親切で明るい人だった。子供たちも、挨拶をするいい子だった」と、声を落とした。
湧別町の農業用倉庫前では、2日夜から車を残し、行方不明になっていた近くの漁師、Oさん(男性、53歳)と長女のKさん(9歳)が倒れているのが見つかった。
Oさんは、倉庫の扉と自分との間にスペースを作ってKさんを入れ、覆いかぶさっていた。
Kさんは問い掛けに泣き声を上げたが、Oさんは搬送先の病院で死亡が確認された。
凍死だった。
捜索を指揮した遠軽署幹部は、「風雪から娘をかばったのだろうか」とつぶやいた。
3日の夜明けから始まった捜索。
「どこかの建物に避難していてほしい」。
遠軽署員らは祈るような気持ちで、周囲に点在する住宅や牧場を徒歩で回った。
途中、車体が雪に埋まり乗り捨てられた車を何台も見かけた。
〔共同〕
出典
『体張り9歳の娘守った父が凍死 風雪猛威、命奪う』
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0301E_T00C13A3CR8000/
(2019年1月26日 修正1 ;追記)
2019年1月25日18時54分にNHK北海道から、下記趣旨の検証的音声情報がネット配信されていた。
「雪山に車が突っ込んでしまった」と警察に通報してきたが、名前や具体的な場所は言わないまま、電話は切れた。
携帯電話の契約者情報から男性の身元がわかり、携帯電話の位置情報を頼りに捜索を始めた。
しかし、位置情報でわかるのは自宅周辺の半径3kmの範囲まで。
猛吹雪で見つけられないまま6時間が経った頃、車と男性を見つけた。
数年に1度の猛吹雪で、立ち往生の車が少なくとも23台(去年までの3年間は2台だけ)あったため、警察などは対応に追われ、男性の捜索に当たれたのは警察官6人だけだった。
道内で9人が犠牲になった平成25年3月の暴風雪を教訓に、町は警察や消防などと連携して対応する新たな仕組みを作ったが、今回は活用されなかった。
町の仕組みでは、車が立ち往生するなどした場合、町の建設課が警察や消防から一元的に情報提供を受けることになっている。
町は、この情報をもとに、除雪車を出動させたり救助を要請したりといった対応にあたり、その結果を関係機関に提供して情報を共有する。
現場がはっきりわからない場合は、町がパトロールの車を出すこともあるという。
しかし今回、警察から町に連絡があったのは、男性が見つかった翌日だったということで、町が対応する余地がなかった。
警察は取材に対し、町に連絡する必要はないと考えていたと話している。
町の関係者は、仕組みができてから5年以上たち、関係機関で認識が薄れていた可能性があるとしている。
一方、関係機関への周知不足も背景にあったとみられ、町は今回の事態を受けて、近く、関係機関が顔を合わせて話し合う場を設けたいと考えている。
出典
『猛吹雪の中死亡 そのとき何が』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190125/0007350.html
(ブログ者コメント)
以下は映像の1コマ。
新たな仕組みを使った訓練などは行われていたのだろうか?
2019年1月7日18時25分にNHK北九州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日で西日本豪雨から半年。
この豪雨では、北九州市の一部の地域で、雨水を一時的にためておく貯水施設からあふれ出た水や放流した水が川に流れ込み、この影響で住宅に被害が出たこと受けて、市は、貯水施設に関する情報を、SNSを使って提供することになった。
去年7月の西日本を中心とした豪雨では、北九州市でも大きな被害がでた。
このうち小倉北区では、貯水施設に豪雨でさらに雨水が流れ込み、あふれ出た水によって板櫃川流域の一部地域で氾濫が起き、住宅が浸水するなどした。
市は、貯水施設から水があふれ出したり放流したりするような状況になった場合、市の内部での情報共有にとどまっていた。
しかし、今回の豪雨を受けて市民から情報提供を求める声が上がっていたことから、市は無料通信アプリ「LINE」を使って要望に応えることを決めた。
情報は、現在、気象情報や避難情報の提供を行っている北九州市のLINEアカウントから入手することができ、「トーク画面」に河川流域の「小学校区」を入力すると、貯水施設から水があふれ出したり放流したりするという予告や、すでに放流が始まっていることが送られてくる。
対象となるのは、八幡東区の「河内貯水池」、小倉南区の「ます渕ダム」、それに八幡西区の「畑貯水池」。
北九州市は、この3つの貯水施設のLINEでの情報提供の運用を、梅雨時期の前のことし5月をめどに始める方針だ。
北九州市は、「貯水施設の情報をもとに、住宅周辺に土のうを積むなど、いち早い避難行動につなげてほしい」としている。
出典
『貯水施設の越流放流情報提供へ』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20190107/5020002264.html
2019年1月7日5時52分にNHK北九州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1年のうち最も潮位が低くなる「マイナス潮位」と呼ばれる現象が春にかけて九州北部の沿岸で起きることが予想されるとして、第7管区海上保安本部は船舶や釣り客などに注意を呼びかけている。
「マイナス潮位」は、潮が引いても海面がほぼこれ以上下がらないとされる「最低水面」よりも、さらに海面が下がる現象で、冬から春にかけての大潮の時期の夜間から早朝にかけて見られる。
この現象が起きると、船が浅瀬に乗り上げるおそれがあるほか、水面から岸壁までの高さが通常よりも高くなり、港への係留や防波堤への乗り移りに注意が必要となる。
また、海面が低い状態で岩場などに移った場合、潮が満ちると船などに戻れなくなるおそれもあるという。
7管海保によると、ことし2月ごろにかけての大潮の時期には、九州北部の沿岸では海面の水位が「最低水面」よりも数cmから大きいところでは45cm以上下がる見込みだという。
「マイナス潮位」は、気圧などの気象状況でさらに水位が下がる可能性もあることから、7管海保はホームページで最新の潮位について確認するよう呼びかけている。
出典
『春にかけ「マイナス潮位」に注意』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20190107/5020002256.html
(ブログ者コメント)
マイナス潮位とは初耳だ。
調べてみると、7管海保以外、各管区の海上保安部などからも過去に注意情報が発信されていた。
以下は検索上位で出てきた情報。
【特集】 マイナス潮位にご注意を
(第十管区海上保安部 うみまる通信 平成25年12月1日)
https://www.kaiho.mlit.go.jp/10kanku/merumaga/tsushin/tsushin103.pdf
冬季のマイナス潮位に注意
(第五管区海上保安本部 平成16年10月28日)
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN5/press/2004/12/12.htm
2018年12月23日20時18分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
インドネシアのジャワ島とスマトラ島の間にあるスンダ海峡で22日午後9時半ごろ、津波が発生し、国家災害対策庁は23日、222人の死亡を確認した。
行方不明者は28人、負傷者が843人おり、被害は拡大する可能性がある。
地震の発生はなく、気象当局は、火山噴火による海底の土砂崩れが津波の原因だとしている。
国家災害対策庁によると、被害を受けたのはジャワ島西端バンテン州とスマトラ島南端ランプン州の沿岸部。
ビーチがある観光地で、多数のホテルや住宅が被災した。
地元メディアは、ジャワ島西端のアンニャール海岸では、津波の高さは9mほどで、海岸から約1kmまで被害が及んだとの住民の話を伝えた。
インドネシアは22日から連休中で、被災地は首都ジャカルタからも近く、多くの観光客も津波に巻き込まれた可能性がある。
在インドネシア日本大使館によると、日本人が死傷したとの情報は入っていない。
また、国家災害対策庁は、確認した死亡者の中に外国人はいないとしている。
火山はスンダ海峡に浮かぶクラカタウ山で、気象当局によると、22日午後9時過ぎに噴火が確認された。
ロイター通信によると、噴火による灰は高さ500mに及んだ。
満月の時期で、満潮と干潮の差が大きい「大潮」に当たっていたという。
地元テレビは、暗闇の中で水が建物の下に流れ込んでいる、津波の様子とみられる映像を伝えた。
また、一夜明けた沿岸部では、建物の崩壊によってできたとみられるがれきが散乱し、そこに乗用車が乗り上げている状況が確認できた。
出典
『インドネシア、津波で222人死亡』
https://www.sankei.com/affairs/news/181223/afr1812230007-n1.html
12月24日付でBBC NEWS JAPANからは、より詳しい下記趣旨の記事が、写真や説明図付きでネット配信されていた。
・・・・・
1927年にクラカタウ島の噴火により形成されたアナククラカタウ島では、ここ数カ月、火山活動の活発化が観測されており、火口付近への立入禁止命令も出ていた。
ヌグロホ報道官は24日、今回の津波で事前に警報が出されなかった理由をツイッターに連続投稿した。
ヌグロホ氏によると、インドネシアの早期警報は地震観測のため設置されたもので、地震と同様に大津波を発生させる原因になり得る海底での地滑りや火山噴火には反応しないという。
ただしヌグロホ氏は、世界の火山の13%がインドネシア1国に集中しているとして、火山活動を観測できるシステムの開発が極めて重要だと付け加えた。
被害が起きた夜に、津波の事前警告システムは存在しなかったとヌグロホ報道官は認めた。
ヌグロホ氏によると、資金不足、観測ブイへの破壊行為、そして技術的故障のため、2012年以降、運用中の津波警告システムはなかったという。
・・・・・
地震に伴う津波発生時に多く見られる海面の低下が、今回は観測されなかった。
火山近くに観測ブイがあったとしても、警報を出せる時間は限られていただろうと、専門家は語っている。
・・・・・
火山が大波を作り出すことは、良く知られている。
噴火によって、大量の水が移動するのだ。
22日の津波発生後、最初に撮影された衛星写真は、アナククラカタウ西南西の山腹崩壊を強く示している。
この崩壊により数100万トンの岩くずが海に落下し、全方位に波が押し出されたとみられる。
出典
『インドネシア津波、死者280人超す 火山活動続き新たな津波の恐れも』
https://www.bbc.com/japanese/46669840
12月24日23時45分に毎日新聞からは、日本でも過去に起きたことがある山体崩壊が原因だったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
津波は、火山島のアナククラカタウが噴火に伴って「山体崩壊」を起こしたことが原因とみられる。
大規模に山が海に崩れて津波を発生させたケースは日本でも過去に相次ぎ、専門家は注意を呼びかけている。
中田節也・東京大名誉教授(火山学)によると、同島は数カ月前から噴火を繰り返し、溶岩で海を埋めながら成長していた。
新しく拡大した所は不安定で、大きな噴火で一気に海に崩れ落ちたとみられる。
衛星画像では、山の南西部が大きく消失しているという。
1883年の巨大噴火では島のほとんどが消滅し、最大で40mの高さの津波が発生。
3万6000人以上が死亡したとされ、山体崩壊による津波が知られた火山だった。
日本でも1792年、長崎県島原市の眉山(まゆやま)が火山性地震で山体崩壊し、対岸の天草(熊本県)を大津波が襲った。
約1万5000人が死亡し、「島原大変肥後迷惑」と言われた。
1741年には北海道松前町の渡島(おしま)大島が噴火で崩れ、大津波で対岸の約1500人が犠牲になった。
中田名誉教授は、2013年以降に噴火活動が活発化した小笠原諸島・西之島についても、津波への警戒を呼びかけてきた。
「噴火が続いて成長中の火山島が山体崩壊することが多い。影響を受ける沿岸では津波対策を考えるべきだ」と話す。
出典
『インドネシア津波の原因は山体崩壊 日本でも』
https://mainichi.jp/articles/20181224/k00/00m/040/084000c
(2018年12月31日 修正1 ;追記)
12月30日18時48分に読売新聞から、火山の標高が3分の1になっていたという下記趣旨の記事が、写真付きでネット配信されていた。
400人以上が死亡した津波被害で、津波の原因となる噴火を起こしたアナク・クラカタウ山の標高が、噴火前の338mから110mになったことがわかった。
インドネシア火山地質災害対策局が29日、公表した。
アナク・クラカタウ山は、津波の原因となった22日の噴火後、斜面から岩や火山灰などの崩落が続いている。
インドネシア政府は、アナク・クラカタウ山の大規模噴火の危険性が高まったとして、津波発生後の27日、警戒レベルを2番目に高い「レベル3」に引き上げ、火山の半径5km以内への立ち入りを禁止して警戒を呼びかけている。
出典
『標高が3分の1、110mに…津波原因の噴火で』
https://www.yomiuri.co.jp/world/20181230-OYT1T50067.html?from=y10
2018年12月12日9時43分にNHK広島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全国で2番目に多い2万か所近くのため池がある広島県では、西日本豪雨の際、130か所あまりで池の決壊などの被害が相次ぎ、3歳の女の子が犠牲となった。
これを受けて広島県は、今後の対応策の方針案をまとめた。
それによると、2万か所近くのため池のうち、4分の1にあたるおよそ5000か所について農業に使われている実態がなく、今後の被害を防ぐためにも、水を抜いて埋め立て、廃止するとしている。
また、利用されていても、管理体制があいまいなおよそ400か所の池については、廃止すべきかどうか検討を続けるとしている。
一方、今後も維持するおよそ1万5000か所のうち、4500か所ほどを、大きな被害のおそれがあり、防災対策の強化が求められる「防災重点ため池」に指定し、設備の補強工事などに取り組んでいくとしている。
実際に指定されれば、指定の規模は、いまの500か所程度から10倍ほどに広がることになる。
広島県は、この案について市や町などからも意見を聞き、来年4月をめどに最終的な方針を決める考えだ。
出典
『豪雨でため池5000か所廃止案』
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20181212/0003158.html
12月14日11時56分にYAHOOニュース(中国放送)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
広島県内には、全国で2番目に多い1万9609か所のため池がある。
廃止されるのは、現在使われていないおよそ5000か所で、このうち、人的被害が出る恐れがあり、緊急な対応が必要な500か所については、2021年までに廃止する方針だ。
一方、ため池全体のうち、これまでにおよそ500か所が優先的に対策を行う「防災重点ため池」に指定されているが、災害を受けて公表された国の新たな基準を踏まえると、5400か所程度に増える見込みで、県は早急に浸水想定区域図を作るとしている。
県では、これらの対応を盛り込んだ「ため池の管理などに関する方針」を年度内に取りまとめたいという。
出典
『ため池5000か所を廃止へ 豪雨災害受け広島県が方針』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181214-00229600-rccv-l34
(2019年3月29日 修正1 ;追記)
2019年3月28日21時21分に山陽新聞から、ため池の管理方針が発表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
広島県は28日、昨年7月の西日本豪雨で決壊が相次いだ「ため池」の管理方針を発表した。
防災上の観点から、未利用の約5000カ所を廃止するとともに、継続利用する池については決壊時の浸水想定区域図などを示したマップを作成し、早期避難につなげる。
県内には約1万9600カ所のため池があり、全体の約4分の1を廃止する。
2019~21年度を集中対策期間とし、下流の民家や公共施設に被害を与える恐れがある約500カ所を先行させる。
残る約4500カ所は、貯水を取りやめるといった対策を進める。
マップは、ため池ごとに決壊時の浸水想定区域図、近くの避難所などを記す。
第1弾として29日から、優先的に対策を打つ「防災重点ため池」の503カ所を県ホームページで公開する。
ただ、防災重点ため池は、国が豪雨後に基準を見直したことで約5400カ所に増える見通しで、新たな指定箇所についても20年度までに順次追加する。
広島県内では西日本豪雨で48カ所のため池が決壊し、福山市では流れ出た濁流で女児1人が亡くなった。
出典
『広島県、ため池5千カ所廃止発表 豪雨受け早期避難へマップ作成も』
https://www.sanyonews.jp/article/884512/
2018年12月8日22時2分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
雪崩事故を防ぐため、日本雪氷学会北海道支部(札幌)でつくる雪氷災害調査チームが、まとまった雪が降るたび、雪の粒子の写真をホームページ(HP)で公開している。
雪崩を起こしやすい雪がある場合は、その状態を詳しく説明し、スキーヤーなど入山者に注意を呼びかける内容だ。
調査チームのメンバーで北大低温科学研究所の元所長、秋田谷英次さん(82)が、札幌市北区の自宅庭の雪を撮影して掲載している。
撮影は、積もった雪をシャベルで切り出し、深さごとに雪の粒子を採取し、拡大鏡を使って行う。
雪崩の原因となる雪は、主に
《1》雲粒(うんりゅう)なし結晶
《2》表面霜(ひょうめんしも)
《3》こしもざらめ雪
の3種類。
「雲粒なし結晶」は、雲の中の小さな氷の粒(雲粒)をまとっていない雪の結晶で、突起が少ない。
「表面霜」は、積もった雪の表面に放射冷却でできる。
「こしもざらめ雪」は、積もった雪が蒸発と放射冷却による氷結を繰り返してできる。
3種類は、粒と粒に間隔が空き、形も単純。
秋田谷さんによると、その上に30~50cmの雪が積もると雪崩が起きやすく、札幌では年に2~3回観察できる。
切り出した雪の塊を上から手でたたくと、この雪の層を境に塊が分離しやすい。
秋田谷さんは、「雪山登山の現場でも、簡単に調べられる」。
HPは、まとまった雪が降ると日を置かず更新し、雪の状態を写真で紹介。
「こしもざらめ化が進行」、「山に入る人は気を付けて」などと記し、気温、風速、降水量なども載せる。
開設4年目となり、雪のある12~3月は、月3000人が閲覧するほど定着してきた。
調査チームの尾関俊浩・北海道教育大札幌校教授は、「雲粒なし結晶などは広域的に降る。札幌のデータでも、山間部で十分参考になる」と話し、HP(http://avalanche.seppyo.org/snow/)のチェックを呼びかけている。
出典
『雪崩の起きやすい結晶写真を公開 雪氷災害調査チーム』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/256060/
2018年10月4日19時1分にNHK鹿児島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4日午後1時半すぎ、「工事現場で土砂崩れが起きて1人が巻き込まれた」という通報が薩摩川内市の消防にあった。
現場は薩摩川内市冷水町の国道3号線沿いにある住宅裏の斜面で、警察や消防が到着したところ、土砂が崩れて大量に流れ出していた。
崩れた土砂の中から釘崎さんが救助されたが、すでに亡くなっていた。
警察によると、斜面は高さが40m、幅が14mにわたって崩れていた。
また、斜面にあった木は先の台風24号の影響で倒れていたが、撤去作業はこの木をクレーンでつり上げて固定した状態で行われ、釘崎さんは木の根元をチェーンソーで切る作業を担当していたという。
作業はほかに4人が従事していたが、4人にけがはなかった。
警察は、現場の状況や斜面が崩れた原因などについて詳しく調べている。
出典
『倒木撤去中の土砂崩れで死亡』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20181004/5050004567.html
2018年7月29日15時35分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午後1時半ごろ、静岡県側の富士山御殿場口6合目付近で、同県の業務委託を受けた富士山安全誘導員の男性2人から、「強風で身動きが取れなくなった」と119番通報があった。
2人は、出動した静岡県警山岳遭難救助隊と合流して富士宮口5合目まで下山したものの、午後10時半ごろに1人の容態が急変。
病院に搬送され、死亡が確認された。
亡くなったのは同県富士宮市のアルバイト、西方さん(男性、71歳)で、死因は低体温症とみられる。
もう1人の誘導員に、けがはない。
西方さんらは民間警備会社に勤めており、同県の委託を受けて、富士山で安全誘導業務を行っていた。
3人1チームで26日に登頂し、27日午前2時から山頂付近で、混雑回避のため、登山客らの誘導や案内を担当。
28日午前10時に勤務を終え、下山する途中で遭難したという。
出典
『富士山で強風、動けず 誘導員が死亡』
http://www.sankei.com/affairs/news/180729/afr1807290015-n1.html
7月29日17時33分に日本経済新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
県や警察などによると、2人は、県が県内の警備会社に発注した富士山の安全誘導業務に従事。
26日から山頂で勤務し、28日午前から下山を始めていた。
一緒にいた静岡市の会社員(40)は、命に別条はない。
2人は、御殿場口6合目から約200m離れた場所で発見された。
その際、西方さんは意識があったが、下山後に心肺停止状態となった。
〔共同〕
出典
『富士山の安全誘導員死亡 71歳男性、低体温症で』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3354944029072018000000/
(ブログ者コメント)
一般の登山者ではなく、富士山頂で安全誘導に当たっていた、いわばプロの方が亡くなったという点が気になったので、紹介する。
一般の道路工事などならともかく、警備会社が富士山頂での安全誘導業務に、なぜ71歳の方を派遣したのだろうか?
その点も気にかかる。
その方が何度も富士山に登ったことがあるとか、そういった理由でもあったのだろうか?
2018年6月27日11時52分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪北部地震でブロック塀の下敷きとなった女子児童が犠牲となり、安全対策が叫ばれる中、宮城県の自治体の取り組みが注目されている。
1978年の宮城県沖地震を機に、40年にわたり、塀の改修や生け垣への建て替えに対する助成制度、点検などを行政主導で続け、東日本大震災でも、ブロック塀倒壊による死者は確認されていないからだ。
専門家は、「危険性に関する行政などの対策が、一つの成果として表れた」と評価する。
宮城県沖地震では、ブロック塀や門柱の倒壊で18人が犠牲になった。
倒壊が相次いだ原因として、
(1)建築基準法施行令の構造基準に適合していない
(2)基礎(土台)が浅い
(3)鉄筋や控え壁(支えとなる壁)の不足
などが指摘された。
このため、県は建設業者と「ブロック塀安全対策協議会」を組織。
業者への施行管理強化の指導を行い、小学校周辺の塀の耐震調査などを進めた。
さらに、79年度から3年間、各市町村に助成金を交付し、塀の所有者に補修を促した。
仙台市も、ブロック塀の生け垣への建て替えを促進する助成金制度を設けた。
対策は、その後も継続された。
仙台市は97年から、危険性が認められたブロック塀の撤去費用の一部を助成する事業を実施した。
毎年、市職員がブロック塀の亀裂や傾きなどを目視で点検し、解体の必要性などを判断。
15万円を上限に助成した。
市内854カ所で危険が確認され、830カ所で撤去や改修などが完了したという。
一方、県は2003年度から4年間、ブロック塀補修への助成金制度を再開。
05年度からは、毎年、県内337小学校周辺の調査と戸別訪問指導を進めた。
その結果、02年度に536件確認された危険箇所は、17年度には88件まで減少した。
こうした継続的な対策が功を奏し、震度7を観測した東日本大震災では、県内でブロック塀倒壊による犠牲者の報告はなかった。
仙台市の防災担当者は、「早期からの対応が、減災につながったのではないか」と指摘する。
地震によるブロック塀被害に詳しい東北工業大の最知正芳教授(建築生産工学)は、「ブロック塀補修の助成金制度など、行政による取り組みは一定の効果があった。今後は、塀の低層化を進め、安全性の確保にさらに努めるべきだ」と話している。
出典
『宮城県 「ブロック塀」40年前の教訓継続』
https://mainichi.jp/articles/20180627/k00/00e/040/256000c
(ブログ者コメント)
大阪北部地震後、ブロック塀の補修・撤去に補助金を出す自治体が、少なからず出てきている。
2018年6月4日18時41分にNHK京都から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
舞鶴市と地元のローカル鉄道は、台風や大雨で道路が浸水した際、高いところに敷かれた線路に特殊な車両を走らせて救助隊などを運ぶ協定を締結する方向で調整に入った。
協定の締結を検討しているのは、舞鶴市と府北部を中心に走るローカル鉄道「京都丹後鉄道」の運行会社、それに線路などを保有する会社の3者。
協定では、台風や大雨で道路が浸水して使えなくなった際、市から要請を受けた鉄道会社側が線路と道路の両方を走れる「軌陸車(きりくしゃ)」と呼ばれる特殊な車両を出して、線路を使って救助隊などを運ぶことを検討している。
舞鶴市では、京都丹後鉄道の線路が道路よりも高いところに敷かれている場所も多く、去年10月に台風による大雨で市内の川があふれて集落が孤立した際、救助隊が線路を歩いて現場に入った。
「軌陸車」は、ふだんは架線の整備などに使われるが、そのまま道路も走れることから、協定によって災害時の迅速な救助などに役立つことが期待される。
京都丹後鉄道の運行会社の寒竹社長は、「線路を防災に役立ててもらい、人の輸送にとどまらない、鉄道の価値を高めていきたい」と話している。
また舞鶴市の堤副市長は、「京都丹後鉄道の線路は、これまでほとんど冠水しておらず、緊急時に大きな効果を期待している」と話している。
出典
『線路使い救助隊輸送 舞鶴市検討』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kyoto/20180604/2010000104.html
2018年5月13日9時42分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
台風の接近に伴って突風がどのように発生するかを詳細にとらえることに、気象庁の気象研究所が、最新のレーダーを使った観測で初めて成功した。
わずか5分間に積乱雲内部で気流などが急激に変化して突風が発生したことがわかり、今後、竜巻などの発生予測の向上につなげたいとしている。
気象研究所の足立透主任研究官は、「フェーズドアレイレーダー」と呼ばれる最新の気象レーダーを2台使って、去年7月4日の午後10時ごろ、埼玉県草加市に被害をもたらした突風がどのように発生したのかを観測した。
当時は、台風3号が草加市の南南西およそ190kmの伊豆諸島付近の海上を東へ進んでいて、突風は、この台風の外側で発達した積乱雲の下で発生した。
足立主任研究官が観測データを詳しく分析した結果、わずか5分ほどの間に積乱雲の内部で風向きなどが急激に変化し、雲の下の地表付近から渦が立ち上がったということで、竜巻などの突風がどのように発生するかを詳細にとらえることに初めて成功したとしている。
足立主任研究官は、「今回のように、わずか5分で突風が発生するというのがわかったのは初めてで、時間的にはかなり早く、避難は難しいと思う。今後も研究を進め、竜巻の発生予測の向上につなげていきたい」と話していた。
(以下は、図解ナレーション情報)
従来のレーダーは、積乱雲の観測範囲が上空およそ12kmまでに限られるうえ、様々な角度に電波を発射しながら調べるため、観測が終了するまで最大10分程度の時間がかかっていた。
これに対し、ファーズドアレイレーダーは、地上から上空16kmまで同時に電波を発射できるため、積乱雲の全体像をわずか30分で観測することができる。
去年7月の草加市事例では、9時43分ごろ、草加市上空を通過していた積乱雲内部に、多くの雨粒が集まる強い区域が作られた。
この雨粒が9時46分ごろから大量に落下することで、下降気流が強まった。
この下降気流が地面にぶつかり反射することで、上昇気流が発生。
午後9時48分には、この上昇気流が強まり、強い渦が発生し、積乱雲の下で突風が発生したという。
出典
『突風発生を最新レーダーで初観測』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180513/0011654.html
2018年5月11日6時47分にNHK大分から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
土砂災害の専門家などで作る砂防学会の調査団が先月29日、大分県中津市耶馬溪町の現場を調べ、その結果、1か月前に大規模な土砂崩れが起きた斜面の中腹には、1秒間に0.3ℓの量の水が湧き出している地点があったという。
調査団の1人で鹿児島大学の地頭薗隆教授は、現場では、調査の数日前から雨は観測されていないことなどから、この場所には周辺から大量の地下水が集まっていたと分析している。
また、この場所の地盤は粘土のように軟らかくなっていたことから、地頭薗教授らは、地下水が大量に集まって弱くなった場所が最初に崩れ、これが引き金になって大規模な崩壊につながった可能性が高いとしている。
今回の土砂崩れは、大雨も地震もない中で発生したが、地頭薗教授は、全国のほかの地域でも地下水が集まりやすい斜面で同じような土砂崩れが起こる可能性があると指摘していて、「地形や地質の情報だけでなく、地下水が集中する場所を洗い出し、危険性を把握する必要がある」と話している。
出典
『地下水集中が土砂崩れの引き金か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20180511/5070000609.html
以下は、事故発生を伝える報道の抜萃。
(2018年4月12日 毎日新聞西部版朝刊)
11日午前3時50分ごろ、大分県中津市耶馬渓(やばけい)町金吉(かなよし)で山崩れが起きていると消防に通報があり、集落裏の山林が高さ約100m、幅約200mにわたって崩れ、住宅3棟が土砂に埋もれているのが確認された。
住人の男女6人が安否不明となり、このうち男性1人が土砂の中から救助されたが、死亡が確認された。死因は圧死だった。
消防や災害派遣要請を受けた自衛隊などが不明者の捜索を続けている。
大分地方気象台によると、現地では計測可能な0.5ミリ以上の雨は、8日以降は観測されていない。
今月に入ってからも、降水量は少ないという。
国交省は11日に専門家チームを現地派遣し、地上と上空から状況を確認した。
同チームは調査後、「岩盤の風化が進んでおり、いつ崩れてもおかしくない状態だったとみられる」と説明した。
現場は市中心部から南に約25kmの山あいにあり、金吉川に沿って住宅が点在している。
崩落現場は急な斜面のふもとに住宅が集まっており、県が昨年3月に土砂災害防止法に基づき「土砂災害特別警戒区域」に指定したが、対策はまだだった。
1991年の台風で倒木があり、落石防止柵は設置されたものの、本格的な土砂災害に対応できるものではないという。
県内の特別警戒区域は今年3月末現在、1万648カ所。
県は「すべての区域で工事するのは難しい」としている。
出典
『山崩れ 大分・耶馬渓で1人死亡、3世帯5人不明 急斜面の特別警戒区域』
http://mainichi.jp/articles/20180412/ddp/001/040/005000c
以下は、前兆があったという報道の抜萃。
(5月10日 毎日新聞西部版朝刊)
大分県中津市耶馬渓町で6人が犠牲となった山崩れの発生から、11日で1カ月となる。
雨や地震もない中で突然襲った土砂災害の前、現場付近では住民が前兆とみられる現象を見聞きしていた。
がけ崩れなどの危険性が高い場所は多く、防災工事の手が回らない。
地元自治体は山崩れを教訓に、前兆現象の周知に乗り出している。
石が転がるような音や、木がギシギシと鳴る音。
山崩れが起きる数日前、現場となる山でシイタケを栽培していたTさん(男性、77歳)は作業中、変な音を聞いたという。
山崩れで家は土砂に襲われたが、Tさんは新聞配達中で、妻幹子さん(70)ら家族3人も逃げて助かった。
Tさんは、「今思えば(音は)前兆だったかもしれない」と語る。
他の住民も、現場付近で湧き水やこぶし大の石が落ちているのを目撃していた。
・・・・・
政府広報オンラインでも紹介されている前兆現象は、
▽小石がパラパラ落ちてくる
▽地鳴りがする
▽水が湧き出る
▽樹木が傾く
など。
今回、住民らが体験したものと重なる現象が挙げられている。
九州大工学研究院の安福規之教授(地盤工学)は、これらの現象について「局所的に斜面が崩れ始めていることを示している可能性がある」と指摘。
雨や地震がなくても、条件がそろえばどこでも山崩れが起こる可能性はあるとし、「前兆現象があったら避難するなど住民同士が事前に話し合い、対応を決めておくことが大切だ」と話している。
出典
『大分・耶馬渓の山崩れ 1カ月 前兆、見逃さないで 石が転がる音 木が鳴るギシギシ』
http://mainichi.jp/articles/20180510/ddp/041/040/029000c
2018年4月29日4時35分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年11月に韓国南部で発生したマグニチュード5.4の地震は、地下に大量の水を高圧で注水する地熱発電によって誘発された可能性が高いとする研究結果がアメリカの科学雑誌に掲載された。
韓国南部のポハン(浦項)で去年11月15日に起きたマグニチュード5.4の地震は、韓国の観測史上2番目の規模で、建物が倒壊するなどして70人以上がけがをした。
この地震について、韓国やスイス、イギリスなどの研究グループがアメリカの科学雑誌「サイエンス」に、震源近くの地熱発電が原因ではないかとする研究結果を発表した。
地熱発電は、地下深くの岩石に高圧の水でひびを入れて、そこから出た蒸気を利用して発電するが、この作業で利用した大量の水が地下にたまって断層に圧力をかけ、地震が誘発された可能性が高いとしている。
研究グループは観測データを分析し、震源の深さと発電施設の井戸の深さがほぼ一致しているほか、施設の運用開始以降、それまでは観測されることのなかったマグニチュード2以上の地震が複数回起きていると指摘している。
イギリスの科学誌「ネイチャー」も、この研究結果を紹介する一方で、震源はもっと深かったとする別の研究者の反論や、今後の地熱発電の教訓にすべきだという科学者の意見を伝えている。
地熱発電が誘発した地震は過去にもアメリカやスイスで起きていて、今回の地震についても韓国政府が調査を続けている。
出典
『韓国 M5.4の地震 地熱発電が誘発か 研究発表』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180429/k10011422171000.html
4月29日5時7分に朝鮮日報日本語版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年11月に韓国南部の浦項で起きたマグニチュード(M)5.4の地震は、付近の地熱発電所から地中に水を注入したことが直接的原因だという研究結果がまとまった。
浦項地震は2016年9月の慶州地震(M5.8)に次ぎ、韓国で発生した地震としては過去2番目に強い地震だ。
李晋漢(イ・ジンハン)高麗大教授、キム・グァンヒ釜山大教授ら研究陣は、科学誌「サイエンス」最新号に発表した論文で、過去40年間に浦項興海地区で発生した地震を分析した結果、2016年から始まった地熱発電所の水注入が地震の直接的原因であることが立証されたと指摘した。
浦項地震は地熱発電所によって誘発されたとの主張だ。
地熱発電は地下4km以上の深さに穴を2本堀り、一方に水を注入し、地熱で加熱した上で、発生する水蒸気を別の穴から取り出し、発電所のタービンを回すことで発電を行うものだ。
昨年11月15日に浦項地震が起きた直後、震央が地熱発電所からわずか600mの地点だったため、科学界からは「地下に注入した水が地震の原因」という主張が出ていた。
地下で高い水圧が発生し、周辺の地層を割ったか、既に形成された断層を滑らせたとの見方だ。
研究陣は、「韓国で地震観測が始まった1978年以降、2015年まで浦項興海地区でM2.0以上の地震が起きたことはないが、16年から地熱発電所による水注入が始まり、M2.0以上の地震が4回発生した」と指摘した。
地震が最初に発生した位置も、地熱発電所が水を注入するために地中に挿したパイプの深さと、ほぼ一致した。
浦項地震の発生5日前、研究陣は地熱発電所付近に8台の簡易地震計を設置した。
11月15日からM5.4の本震が発生するまでの間、9時間前から6分前にかけ、6回の前震が発生した。
研究陣は,前震の震源の深さは4~6km、本震の震源は4.5kmで、地熱発電所のパイプが挿された深さとほぼ同じだという。
一般的に、韓国で発生する地震の震源の深さは10~20kmが多い。
出典
『浦項地震:「地熱発電所が誘発」 韓国の研究者ら立証』
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/04/27/2018042701566.html
4月28日9時8分にAFPからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
韓国で昨年起きた異例の強い地震について、水圧破砕法(フラッキング)と同様の高圧注水を伴う地熱発電技術「強化地熱システム(EGS)」に誘発された可能性があることが分かった。
米科学誌サイエンスが27日、研究論文を公表した。
フラッキングには反対の声もあり、今回の地震で地熱発電をめぐる状況が一変する可能性がある。
この地震は昨年11月15日、韓国の港湾都市、浦項で起こったもの。
マグニチュード(M)は5.5を記録し、数10人が負傷するなど、多大な損害が発生。
大きな自然地震がまれな朝鮮半島において、観測史上最大規模の地震となった。
科学者らは、この地震について震源が浅いことから、発生数か月前から付近の地熱発電施設で行われた高圧での地下注水に誘発されたと推測している。
論文によると、欧州各地の専門家らは地震データを用い、震源の浅さから、同施設での活動が地震の原因となった可能性が示されると結論付けた。
さらに論文は、この見方が正しければ、浦項の事例は強化地熱システムに関連した地震として「規模と被害の両面で過去最大」であり、「世界の地熱産業にとって『ゲームチェンジャー』となる可能性がある」とした。
フラッキングは、砂や化学薬品を混ぜた高圧の水を注入して地下の岩に亀裂を生じさせ、内部の原油や天然ガスを採取する手法。
これにより、手付かずだった膨大な資源の採掘が可能になった。
だが、大量の廃水が生じるために、それが地下に捨てられた場合、断層に圧力が加わる可能性がある。
出典
『韓国地震、地熱発電での高圧注水が原因か 研究』
http://www.afpbb.com/articles/-/3172908
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。