2017年1月13日付で信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
気象庁気象研究所(つくば市)の研究チームが、長野県北中部付近を対象に、大きな地震の前に起きる「前震」から本震の発生を予測する研究結果をまとめた。
観測網が整った1998年以降の地震を分析したところ、一定の条件を満たす群発地震が起きると、12%の確率で、その後5日以内に本震が起きていた。
研究チームは、「計算に基づく経験則ではあるが、注意喚起に役立つ」とみている。
2014年11月22日に県北部で最大震度6弱を記録した地震で、前触れのような群発地震が起きていたことに着目。
前震について研究を進めていたチームは、本震に至る前震の経験則を導きだせるのではないかと考え、活断層が多く、似通った地下構造をした県境域を含む県北中部一帯の過去の地震を調べた。
98年以降の大小合わせた膨大な地震の観測データから、本震、前震とみなすそれぞれの地震の規模や、群発の領域、頻度といった値をさまざまに組み替え、本震の予測に最適な前震のパターンを割り出した。
その結果、地震の規模を示すマグニチュード(M)2を上回る小さい地震が、約10km四方の領域に集中して1日5回以上起きた場合、M5以上の本震が最も効果的に予測ができたという。
このパターンに該当した前震は69例あり、うち5日以内に本震が起きていたのは8例、12%と算出した。
これを14年の県北部の地震に当てはめると、群発地震の4日後、本震に当たる11月22日の地震が起きていたことになる。
同研究所の前田憲二・地震津波研究部長は、「これらの前震が起きるメカニズムまでは分かっていない」とした上で、「12%という数字は低いと感じる人がいるかもしれないが、あと5日のうちに1割の確率で大きな地震が来ると思えば、身近な防災対策に踏み出すきっかけになる」と指摘。
「今後、何らかの情報発信に活用できないか提案していきたい」と話している。
出典
『「前震」から本震発生予測 気象庁気象研究所のチーム』
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170113/KT170112FTI090019000.php
2016年12月13日9時23分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12月15日19時18分にNHK首都圏NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
竜巻は予測が難しい。
「竜巻注意情報」が発表された区域で実際に突風が発生した割合は、数%にとどまる。
最新の科学的知見と高性能レーダーの活用で、この予測精度を改善する技術を気象庁が開発した。
15日から運用を始める。
竜巻注意情報は、積乱雲の発達状況などから、竜巻やダウンバーストといった激しい突風が発生しやすい段階で、気象庁が発表する。
2011~14年は、毎年600回前後で推移している。
ただ、精度は低い。
14年の場合、竜巻注意情報の発表回数のうち、その区域で突風が発生した回数(的中率)は、2%にすぎない。
また、突風が発生したときに、その区域に竜巻注意情報が出ていた回数(捕捉率)は、27%にとどまる。
11月8日に秋田市内で竜巻が発生して住宅など計13件の被害が出たときは、竜巻注意情報は出ていなかった。
竜巻注意情報は08年に始まった。
06年9月に宮崎県延岡市で3人が死亡し、143人が負傷する竜巻が発生。
11月には北海道佐呂間町の竜巻で9人が犠牲になったことがきっかけだ。
予測が難しいのは「現象が小さいから」(気象庁予報部)。
短時間に発生し、現象の範囲が狭く、250m四方のレーダーでは、原因の渦を正確にとらえることができないという。
気象庁では、これまでの調査研究から、渦の発生過程をモデル化。
温度や湿度などの膨大なデータを当てはめることで、発生する区域を絞り込めるようになった。
さらに、国交省の高性能レーダーの観測データを活用することで前兆現象を見つけやすくし、予測精度を向上させた。
12年4月~14年9月のデータを当てはめて検証したところ、約3%だった的中率は約14%に、約40%だった捕捉率は約70%に向上。
これまでより30分早く竜巻注意情報を発表できる場合もあるという。
主に都道府県単位だった注意情報の対象区域も、「県西部」「県北部」などと絞り込む。
たとえば関東地方では、これまでの2倍近い「17」の地域に細分化されて発表される。
出典
『竜巻の予測、精度アップへ 的中率が3%→14%に』
http://digital.asahi.com/articles/ASJCP5W0ZJCPUTIL034.html?rm=252
『竜巻注意情報細分化 関東では』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20161215/5050741.html
(ブログ者コメント)
〇『250m四方のレーダーでは、原因の渦を正確にとらえることができないという』と報じられている件、表現が少し分かりにくいが、観測したデータの解像度が250mだということらしい。
『高解像度降水ナウキャストとは』
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/highres_nowcast.html
気象庁は全国20箇所に気象ドップラーレーダーを設置して、日本全国のレーダー雨量観測を行っています。
このドップラーレーダー観測網は、局地的な大雨の観測精度の向上を図るため、平成24~25年度にレーダー観測データの距離方向の解像度を従来の500mから250mに向上させるための機器更新を行いました。
〇12月16日、気象庁HPにアクセスしたところ、竜巻予測に関し、以下の解説があった。
記事中、12月15日から新システムで運用開始、といった記載はないが、「予測の適中率は7~14%」とか「捕捉率が50~70%」という表現があるので、報道された内容どおり、すでに運用が開始されているものと思われる。
『竜巻発生確度ナウキャストとは』
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/tornado3-1.html
竜巻などの突風は、規模が小さく、レーダーなどの観測機器で直接実体を捉えることができません。
そこで、竜巻発生確度ナウキャストでは、気象ドップラーレーダーなどから「竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性の程度」を推定し、これを発生確度という用語で表します。
竜巻発生確度ナウキャストは、竜巻の発生確度を10km格子単位で解析し、その1時間後(10~60分先)までの予測を行うもので、10分ごとに更新して提供します。
竜巻発生確度ナウキャストは、分布図形式の情報として防災機関等に提供するほか、気象庁ホームページでも提供します。
また、民間事業者による携帯コンテンツサービスも準備されており、屋外活動での利用も可能になります。
発生確度2となった地域で竜巻などの激しい突風が発生する可能性(予測の適中率)は7~14%です。
発生確度2は竜巻注意情報の発表に繋がることから、できるだけ絞り込んだ予測としていますので、 発生確度1に比べて予測の適中率が高い反面、見逃し(予測できない突風事例)が多くなります。
発生確度2の捕捉率が50~70%というのは、実際に発生する突風事例のうち、50~70%の事例を予測できるということであり、言い換えると見逃す事例が30~50%あるということです。
発生確度1は、発生確度2で見逃す事例を補うように設定しており、広がりや出現する回数が多くなります。
このため、発生確度1以上の地域では、見逃しが少ない反面、予測の適中率は1~7%と低くなります。
発生確度1以上の捕捉率は80%程度で、言い換えると見逃す突風事例は20%程度となり、発生確度2よりも少なくなります。
それぞれの特徴を踏まえた竜巻発生確度ナウキャストの利用については、「竜巻発生確度ナウキャストの見方」をご覧下さい。
2016年10月21日7時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月21日20時47分にNHK札幌からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
8月の台風で、日高管内新冠町を流れる新冠川の水があふれ、川沿いの放牧地が冠水した被害について、町の管理ミスで川の堤防に設置された水路が開いたままだったことが原因であることが分かった。
町が、20日の町議会で明らかにした。
放牧地の所有者には、損害賠償をするという。
町の説明によると、同町高江地区の新冠川の堤防に、周囲の雨水などを川に流す「樋管(ひかん)」と呼ばれる水路が設けられている。
新冠川は道の管理河川だが、樋管の管理は町に委託されており、町は過去に大雨被害があったことを受け、2009年以降、常に閉鎖することを決めていた。
しかし、8月の台風被害で現地の川の水があふれ、近くの放牧地約5haが冠水。
町が調べたところ、当時、樋管が開いたままになっていて、そこから台風で増水した川の水が周囲に流れてきたという。
2009年以降、点検などを行っていなかったという。
この日の町議会で、同町は樋管の管理ミスを認めた。
原因は調査中だが、放牧地の所有者らへの損害賠償に応じる方針で、町は「被災者に対し、誠実に対応したい」としている。
出典
『水路管理ミスで冠水 新冠町、台風被災農家に賠償へ』
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0329153.html
『管理水門で災害 謝罪・賠償も』
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20161021/3732011.html
2016年9月30日17時44分にNHK関西NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5年前の東日本大震災で、本震の前後に起こったマグニチュード7クラスの地震の直前に、震源地の上空300km付近の電子の数が大きく変化していたことが、京都大学のグループの分析で分かり、地震の予測につながる研究として注目されている。
これは、京都大学情報学研究科の梅野健教授らのグループが、30日、発表したもの。
地球の上空300km付近には、「電離圏」と呼ばれる電子が広がる層があり、これまでの研究で、地震の規模を示すマグニチュードが8以上の大地震が起こる前に、この層の電子の数が大きく変化していたことが明らかになっている。
今回、グループでは、5年前の東日本大震災の際に、三陸沖など震源地の上空の電子の数に変化がなかったか、複数の人工衛星から送られてきたデータを分析した。
その結果、マグニチュード9.0の本震だけでなく、2日前に起きたマグニチュード7.3の地震、それに、およそ1か月後のマグニチュード7.1の地震でも、発生の20分前から30分前に電子の数が大きく変化していたことがわかったという。
マグニチュード7クラスの地震でも、直前に電子の数に変化が現れることが確認されたのは、今回が初めて。
梅野教授は、「大地震の発生を直前で予測できるようになれば地震の被害を減らすことができるのではないか」と話している。
出典
『地震前 上空の電子数変化』
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20160930/3104381.html
10月1日11時53分に毎日新聞からも、同記趣旨の記事がネット配信されていた。
東日本大震災や、その前後にあったマグニチュード(M)7.0以上の地震が発生する20分〜1時間ほど前に、上空300km付近の「電離圏」で電子の数が増える異常があったことが、京都大の梅野健教授(通信工学)のチームの分析で判明し、米専門誌に30日、発表した。
チームによると、M8.0以上の地震で電離圏の電子数が増えていることは、知られていた。
チームの手法は、従来法と違い、地震後のデータとの比較が不要で、分析速度を上げられれば、地震を予測できる可能性がある。
電離圏は電子が広がる層で、火山活動や太陽表面の爆発現象「太陽フレア」によっても影響を受ける。
電子の数の測定には、既存の全地球測位システム(GPS)を使用。
従来は、一つのGPS観測局のデータを使っていたが、チームは、数10の観測局の当時のデータについて、相関関係を調べた。
すると、M7.0以上の地震の起こる20分〜1時間ほど前に電子の数が増えていたことが分かった。
これまで、分析には地震前後の数値を比べる必要があったが、チームの手法は、平常時との差で異常を判別できる。
梅野教授は、「現在はパソコンでの分析に時間がかかるが、将来は地震の警報システムに生かせるのでは」と話している。
出典
『電離圏 大地震前、上空に異変…電子数が増加 京大分析』
http://mainichi.jp/articles/20161001/k00/00e/040/226000c
2016年9月28日20時52分に伊賀タウン情報ユーから、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
9月29日11時5分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
9月28日午前7時50分ごろ、伊賀市喰代の市道でアスファルトの路面が隆起しているのを、通勤途中の市職員が発見。
安全面から、午後から片側交互の通行規制を行っている。
市建設1課の発表などによると、道路は片側1車線で、幅員約7m。道路わきはすぐ斜面になっている。
山側のアスファルト部分が、長さ約10m、幅約1.3mにわたって約17cm盛り上がり、隆起した道路部分の山側法面には、長さ約3mの亀裂があった。
午後からは、市が依頼した県建設技術センター(津市)が現地を調査。
原因は今のところ特定できていないが、同課では、山側から路面に強い力が加わったものとみており、「表層だけか、山全体か分からないが、何らかの『すべり』は発生している」と話す。
隆起した路面の地中約90cmには上水道管が埋設されているが、水道部が確認して、漏水などのトラブルは起きていないという。
現場は、広域農道「伊賀コリドールロード」の一部で、市道喰代比自岐下川原線。
隆起した場所の山側では、造成工事が進んでいる。
出典
『路面の隆起で交通規制 伊賀市喰代の市道で』
http://www.iga-younet.co.jp/news1/2016/09/post-749.html
『市道の路肩、突然隆起…アスファルト盛り上がる』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160929-OYT1T50027.html
(2016年10月11日 修正1 ;追記)
2016年9月29日付で朝日新聞伊賀版(聞蔵)からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
市建設1課は、法面が滑り落ちた圧力で道路の下の土を持ち上げたおそれがあるとみて、周辺の道路約80mを片側通行規制し、法面の土を除去した。
法面上方では、民間業者が太陽光発電の準備工事をしており、29日に専門家による現地調査を実施し、因果関係も確認する。
2016年9月13日10時4分にAFPから、パリ発として、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
月と太陽が一直線上に並ぶ際に満潮を引き起こすのと同じ重力が巨大地震の誘発にも関与している可能性があるとの研究結果が、12日、発表された。
東京大学の研究チームによると、このメカニズムをより詳細に解明することが、既知の断層が大地震を引き起こす可能性が高い時期を予測する一助となる可能性があるという。
英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表した論文で、研究チームは、「大地震が発生する確率は、大きな潮汐応力が及ぼされている時期に高くなる」と結論づけており、また、重力によって引っ張られる力が最大になる時に「微小な岩石破壊が巨大な破裂にまで拡大する可能性が増大する」と述べている。
東大の井出哲教授と共同研究者らは、この20年間に世界中で発生したマグニチュード(M)5.5以上の大地震に着目。
それぞれの地震発生前2週間における、「潮汐応力」として知られる引力の大きさを再構成した。
地震の規模がM5.5より小さい場合には、明確な相関関係は認められなかったが、2004年12月26日に発生したM9.3のインドネシア・スマトラ島沖地震などの最大級の地震の多くは、月と太陽の引力が特に強大になる期間中に発生していた。
2010年に発生したM8.8のチリ・マウレ地震や、2011年のM9.0の東北地方太平洋沖地震にも、これと同じ関連性が存在していた。
巨大地震がどのようにして始まり、発展するかの正確な仕組みについては、まだ不明な点が多いが、ある理論では、すべての地震が微小な破砕から始まり、雪だるま式に大規模な破裂へと成長することが示唆されている。
これが正しいとすれば、この現象が起きる確率が、新月や満月の時期に発生する大潮の期間に高くなることを、今回の最新研究は示唆している。
今回の成果は、「特に巨大地震に関して、地震発生の確率的予測を向上させるために利用することができる」と、井出教授と研究チームは結論付けている。
出典
『巨大地震、大潮の時期に発生確率上昇か 研究』
http://www.afpbb.com/articles/-/3100702
9月13日7時16分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
潮の満ち引きの幅が大きくなる大潮の前後は巨大地震の発生頻度が高まるとの研究成果を、東京大のグループが発表した。
巨大地震の発生頻度は元々低く、大潮前後の危険性が目立って高くなるわけではないが、地震の発生確率を計算する際の精度向上につながる可能性がある。
東大の井出哲教授(地震物理学)らは、過去の地震発生時の潮の状況を分析。
マグニチュード(M)8.2より大きい巨大地震12件の場合、10件は大潮や前後の干満差が大きい日に起きていた。
実際に、スマトラ島沖地震(2004年、M9.1)は大潮の日に発生。
東日本大震災(11年、M9.0)も、干満差が大きい時期だった。
井出教授によると、潮位が1m上下すると、海底を押す力は10kPa程度変化し、圧力が大きく変わるほど、地震を起こす断層の動きに影響を与えると考えられるという。
大潮を考慮して地震の発生頻度の予測を算出すると、M8.2より大きい地震では、干満差が小さい場合より6~40倍高い数値になった。
一方、M5.5からM8.1までは、干満差による違いはみられなかった。
井出教授は、「大地震はさまざまな要因が絡んで起きる。潮の影響もその一つとわかった。だが、(大潮になる)満月だから危ない、ということにはならないので注意して欲しい」と話している。
出典
『大潮の前後は巨大地震の頻度高い 東大グループが解析』
http://www.asahi.com/articles/ASJ9C0H44J9BULBJ005.html
9月13日13時27分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
月の引力が地震と関係しているとの研究は過去にもあったが、今回は1万以上の地震データを使い、地震前からの変化を詳しく調べたのが特徴。
チームは、約15日周期で変化する潮の満ち引きを起こす力が、地震の前日に震源付近でどのように働いていたかを分析した。
すると、2004年のスマトラ沖地震や11年の東日本大震災を含むマグニチュード(M)8.2以上の巨大地震12例のうち9例は、15日間の中で特に力が強い日だった。
M5.5レベルの地震の場合、この力が強い時も弱い時も起きており、明確な関連は見られなかった。
出典
『巨大地震 月の引力と関係か 大潮の日に多く』
http://mainichi.jp/articles/20160913/k00/00e/040/274000c
2016年9月1日12時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
災害が起きると、必ず深刻な問題となるトイレ。
断水や排水管の損傷で家の水洗トイレが使えなくなったら、仮設トイレを使うしかない。
だが、日頃の準備次第では、家のトイレで用を足すことができるという。
「災害食」に関するコラムを、先月、寄せてくれた管理栄養士の今泉マユ子さんが、9月1日の「防災の日」を機に、災害時に家庭で使うさまざまなトイレを試し、体当たりリポートを書き下ろしてくれた。
失敗だらけの“奮戦記”を読んで、失敗しない「災害用トイレ」を準備してはいかがだろう。
**********************
阪神・淡路大震災、東日本大震災など大震災が起きるたび、トイレの問題が浮上します。
トイレに行かなくて済むように水分摂取を控えたりすると、脱水症状を招きます。
最悪の場合、血栓ができて、エコノミークラス症候群など、命にかかわる事態になりかねません。
私は日頃、日本災害食学会災害食専門員、防災食アドバイザーとして、災害時の食事の大切さをお伝えしていますが、トイレは食事と同じか、それ以上に大事な問題だと考えています。
大きな震災があっても、自宅で過ごせるなら、家のトイレを使いたいもの。
でも、おそらく断水で、トイレの水は出ないはず。
排水管も、破損しているかもしれません。
水は流れるとしても、下水道が復旧するまでは、トイレの水を流してはいけません。
それまで、どうやって排せつ物を処理したらよいのでしょうか?
被災経験者に、ご自宅のトイレがどうなったか、聞き取ったコメントの一部を紹介します。
「便器は無事だったが、水の備蓄がなくて流せなかった」
「尿は便器にためて、1日1回、くみ置き水で流した。便は新聞紙に取ってポリ袋にためた」
「仮設トイレは遠かったので、庭に穴を掘って排せつ物を埋めた」
「満潮時に便器から下水が逆流してきた」
「便器に水を張らないと排水管の臭いがした」
これらを考慮して、家庭用の災害トイレに求めることを3つに絞りました。
・自宅のトイレで用を足せること
・誰でも簡単に使えること
・後始末が簡単で衛生的なこと
これらの条件に合うトイレとはどのようなものか、12歳の息子の協力を得て考えてみました。
「実験1:便器の代わりになるもの」
下水道が復旧するまで、排せつ物は家庭で保管しなければならないので、しっかり密閉できるポリ袋に用を足し、固めなくてはいけません。
どんなポリ袋がトイレの代わりになるか試したところ、女性は狙ったところに排尿できないので、小さいポリ袋だと失敗する恐れがあります。
最低でも,便器を覆うくらいの大きさが欲しいところです。
「実験2:おとな用紙オムツは吸収量に注意」
おとな用紙オムツも試してみました。
「しっかり2回分吸収」と書いてあるスリムタイプの紙オムツを使ったところ、1回で尿があふれてしまいました。よく読むと、1回の排尿量150mℓと書いてありました。
個人差もありますが、吸収しきれない場合を考えると、尿取りパッドを敷いておくほうが安心だと思います。
オムツの種類によっても吸収量は違います。
長時間タイプは吸収量が多いですが、お尻が膨らんで歩きにくくなります。
いろいろ試して考えた結果、オムツは、昼間活動する時には不向きだという結論に至りました。
「実験3:尿の量は1回平均200~400mℓ?」
何度も尿があふれるうち、まずは自分の尿量を知らなくてはいけないことに気づき、息子と2人で尿量を計ることにしました。
一般的に言われている尿量は、平均200~400mℓ。1日4~8回するとして、1日1~2ℓです。
でも、尿量は毎回驚くほど差がありました。
尿量は自分でコントロールできず、思ったより少なかったり多かったり。
尿量が少なかった時は数回分をためてから凝固剤などで固めて捨てる、反対に多かった場合はスペアの吸収シートやキッチンペーパーなどを入れて固めればよいということも分かりました。
(2/3に続く)
(2/3からく)
「実験6:下水道が無事なら、くみ置き水で処理」
断水しても、下水道が無事で水を流せるなら、くみ置きした水で処理することができます。
我が家では、ペットボトルが空くたびに、飲料用でなく生活用水として水を入れて蓄えています。
1回に使う水の量は、バケツ1杯(6~8ℓ)くらいです。最新のトイレは洗面器1杯分(3~4ℓ)でも流せるそうですが、我が家の場合、3ℓではきれいに流れませんでした。
尿だけなら、少ない水でも大丈夫ですが、紙などで排水管が詰まるのを防ぐためにも、2~3回に一度は多めの水(10~12ℓ)を流すとよいでしょう。
「備えておく衛生用品」
健康を維持するために、トイレの衛生管理はとても大切です。
トイレ空間を清潔にするために、便器、床が汚れていた場合は、ウェットティッシュで汚れを拭き取り、清潔に保ってください。消臭剤、消臭スプレーの使用もオススメします。
トイレットペーパー、生理用品、ウェットティッシュ、アルコール消毒などの備蓄も忘れずに。
携帯型の洗浄器や赤ちゃん用のおしり拭きも便利です。
水や食料と同じで、災害時のトイレも、1週間程度は乗り切れるように備えることが理想です。
今回、いろいろ試して分かりましたが、携帯トイレを備蓄したら、一度は試しに使ってみることが大事です。
手を汚したり、失敗したりすることもあります。「これが災害時だったら大変なことだ」と何度も思いました。
自分で経験、体験しておくことが、いざという時の安心につながります。
携帯用トイレ、くみ置きした水でトイレを流す経験も、ぜひ平時に行ってください。
避難所のトイレについては、内閣府の「避難所におけるトイレの確保、管理ガイドライン」をご参照ください。
出典
『失敗して分かった! 失敗しない災害時のトイレ』
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160831-OYT8T50059.html?page_no=1
2016年8月19日18時15分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
政府の地震調査研究推進本部は、全国の活断層の長期評価について、地震が発生する危険度を確率で示すこれまでの方法から、「S」や「A」などの4段階に「ランク分け」して示す方法に見直すことを、19日、正式に決めた。
政府の地震調査研究推進本部は、内陸や周辺の海域にある活断層のほか、日本海溝や南海トラフなどで発生する「海溝型地震」について、今後、規模の大きな地震が起きる確率を公表している。
しかし、周期的に発生する「海溝型地震」と違って、活断層の地震は発生間隔が数1000年程度と長いため、確率が大きな値にならず、このうち、熊本地震を引き起こしたとされる断層帯の一部の区間でも、地震の前、今後30年以内の発生確率が「ほぼ0%から0.9%」と評価され、危険性が正しく伝わらず、かえって安心情報になったという指摘が出ていた。
これを受けて、政府の地震調査研究推進本部は19日に専門家などの委員会を開き、内陸や周辺の海域にある全国97の主要な活断層について、大地震が発生する危険度を示す方法を見直すことを正式に決めた。
新しい方法では、危険度を4段階に「ランク分け」し、今後30年以内の発生確率が3%以上の活断層は最も危険度が高い「Sランク」、0.1%から3%未満は危険度がやや高い「Aランク」とするとしている。
また、0.1%未満は「Zランク」、発生確率は不明なもののすぐに地震が起きることが否定できない活断層は「Xランク」とする。
地震調査研究推進本部は、今後、ホームページなどで公表することにしている。
委員長を務める京都大学防災研究所の中島正愛教授は、「今回のランク分けで、自分の地域にある活断層にどのくらいのリスクがあるか国民に理解してもらい、建物の耐震化などの備えに活用してほしい。「S」や「A」ランクの活断層がある地域は、大地震が起きる可能性が高いということだが、それ以外のところでも地震は起きるので、そうした地域に暮らす人も、日ごろから防災対策を進めてほしい」と話した。
97の主要な活断層のうち、最も危険度が高い「Sランク」には、全体のおよそ30%に当たる29の活断層が該当している。
「Sランク」の活断層は次のとおり。
・北海道の「サロベツ断層帯」
・北海道の「黒松内低地断層帯」
・山形県の「新庄盆地断層帯」の一部区間
・山形県の「山形盆地断層帯」の一部区間
・山形県の「庄内平野東縁断層帯」の一部区間
・新潟県の「櫛形山脈断層帯」
・新潟県の「高田平野断層帯」の一部区間
・新潟県の「十日町断層帯」の一部区間
・神奈川県と静岡県にある「塩沢断層帯」
・神奈川県の三浦半島と周辺の海域にある「三浦半島断層群」の一部区間
・長野県と山梨県の「糸魚川ー静岡構造線断層帯」の一部区間
・静岡県の「富士川河口断層帯」の一部区間
・長野県と岐阜県にある「木曽山脈西縁断層帯」の一部区間
・長野県の「境峠・神谷断層帯」の一部区間
・岐阜県の「高山・大原断層帯」の一部区間
・岐阜県と長野県にある「阿寺断層帯」の一部区間
・富山県の「砺波平野断層帯・呉羽山断層帯」の一部区間
・石川県の「森本・富樫断層帯」
・滋賀県の「琵琶湖西岸断層帯」の一部区間
・京都府と奈良県にある「奈良盆地東縁断層帯」
・大阪の「上町断層帯」
・奈良県から和歌山県、兵庫県の淡路島の南の海域、それに四国北部を通り伊予灘に達する「中央構造線断層帯」の一部区間
・広島県と山口県の沖合にある「安芸灘断層帯」
・山口県と大分県の間の海底にある「周防灘断層帯」の一部区間
・山口県の「菊川断層帯」の一部区間
・玄界灘から福岡市などがある福岡平野に延びる「警固断層帯」の一部区間
・大分県の「別府ー万年山断層帯」の一部区間
・熊本県の「日奈久断層帯」の一部区間
・長崎県の「雲仙断層群」の一部区間
出典
『活断層の危険度示す方法見直し 4段階にランク分けへ』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160819/k10010642801000.html
2016年8月19日15時28分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大地震の発生からおおむね1日後に発表されてきた余震確率について、気象庁は19日、発表方法を大幅に変更した。
確率は1週間程度たってから発表し、確率の値そのものでなく、「平常時の70倍」といった倍率で表現する。
それまでの間は、同規模の地震などへの注意を呼びかける。
政府の地震調査研究推進本部が、同日、見直しを求める報告書をまとめたことを受けた。
気象庁はこれまで、余震確率を確率の値を含めて発表してきたが、4月の熊本地震では、最初に起きた大きな地震(マグニチュード〈M〉6.5)で「3日間以内に震度6弱以上の余震が発生する確率は20%」などと発表した後に、近くの断層でより大きいM7.3が起きた。
「余震」という言葉が、それ以上大きな地震は起きないとの印象につながった可能性や、確率の値が低いと受け取られた可能性が指摘されてきた。
新しい方法では、大地震から1週間程度は、過去の事例などをもとに同規模の地震の発生に注意を呼びかけ、地震のタイプによっては、より大きな地震も想定する。
呼びかけでは、「余震」という言葉は使わない。
近くに活断層がある場合は、その活動状況も言及する。
1週間程度以降は、余震確率を発表するが、平常時などと比べた倍率で危険性が的確に伝わるようにする。
出典
『余震の「確率」発表、大幅変更 同規模地震にも注意喚起』
http://www.asahi.com/articles/ASJ8L3G46J8LULBJ003.html
(ブログ者コメント)
以下は、気象庁HPに掲載されている記事の冒頭部分。
平成28年(2016年)熊本地震の発生をふまえ、大きな地震の後に引き続く地震活動の様々な事例に対応可能な防災上の呼びかけを行うための指針として、平成28年8月19日に地震調査研究推進本部地震調査委員会から「大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方」が公表されました。
これに伴い、気象庁が行う大地震後の情報発表内容に変更が生じたことから、現在、各コンテンツの改訂作業を進めているところです。
作業完了まで今しばらくお待ちください。
以降、余震発生確率算出の考え方などが解説されている。
出典
『余震について - 余震の発生確率』気象庁HP
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/aftershocks/kakuritsu_aftershock.html
2016年8月18日付で伊勢新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
伊勢市立の小中学校でつくる校長会と教頭会は、17日、愛知県立大学看護学部の清水宣明教授(感染制御学)を講師に招き、防災研修を開いた。
清水教授は、「『とにかく逃げろ』と叫び、負傷者や幼児らに遠くへの避難を強要するのは虐待」と指摘。
地震、津波対策では、校舎内への避難が有効と強調した。
津波が来た際は必ず建物内にいなければならないと考える清水教授は、市の指定避難所について、「遠すぎて、逃げ切れない人が必ず出てくる」と述べた。
その上で、東日本大震災では、避難中に津波にのまれそうになり、民家の2階へ逃げて助かった事例がたくさんあることを紹介した。
一方、「無理に指定避難所を目指し、途中で津波にのまれるのが一番危険」と語った。
東日本大震災で、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では、いったん公民館に避難した人たちが別の避難所である中学校を目指し、津波にのまれて亡くなったことを紹介。
間違った避難誘導の危険性を強調した。
清水教授は、「幼い子は災害時に泣き出したり、けがで動けなくなったりする」と語り、校舎外への避難誘導は「難しい」と説明。
県で被害が予想されるトラフ型の地震では、揺れの時間が長く、余震も頻発するため、家屋などが倒壊し、「道路もまともな状態ではなくなる」と指摘した。
その上で、「学校は地域で一番、耐震強度が高い建物」と話した。
文部科学省が避難施設としての有効性を保証していることも紹介。
「今の災害対策は人間の視点が欠けている。『とにかく逃げろ』と避難を強要するのは虐待。それで本当に子どもら全員の命を守れるのか」と語った。
出典
『「とにかく逃げろ」は虐待 伊勢市の校長会、教頭会で防災研修』
http://www.isenp.co.jp/news/20160818/news05.htm
(ブログ者コメント)
上記記事は、長い講演の一部をダイジェストしているせいか、あるいは講演対象が学校関係者だったせいか、清水氏の言わんとしていることが全ては伝わっていないような気がする。
そこで、氏の主張がいかなるものか調べたところ、2016年4月4日付の毎日新聞三重版に、以下のような記事が掲載されていた。
氏の主張は、『避難対象者には健常者もいるし災害弱者もいる。全員が同じような方法で一律に避難するのではなく、個々人の置かれた状況に応じた避難方法を今から考えておくべき』ということかもしれない。
明和町沿岸部に住む清水宣明・愛知県立大教授が、災害弱者の視点で地震や津波への対策をまとめた書籍「津波避難学」を出版し、1日、伊勢市役所を訪れ、鈴木健一市長に贈った。
清水教授は、「自分の目線に置き換えながら読んで、各自の避難対策を考えるきっかけにしてほしい」と話している。
清水教授は、東日本大震災を群馬大で経験し、その後、愛知県立大に赴任した。
明和町など南勢地方の沿岸部は、南海トラフ型の大地震や津波が想定され、「どうしたら地震や津波から命を守ることができるか」を考え始めたという。
以来、伊勢志摩地区を中心に100回を超える講演会を開催。
伊勢市東大淀、大湊両町、志摩市志摩町などの各自治会や小学校などとともに、災害対策に取り組んでいる。
本は、これまでの活動や講演会での内容を基に、地震や津波の仕組み、従来の津波対策の問題点、津波避難の大原則や考え方などを、10章224ページに分かりやすくまとめた。
どこに何があるかを知り、自分が逃げられる場所を把握することや、得た情報を地域で共有し、各自が最良の避難対策を立てることなどの重要性を説いている。
鈴木市長は、「行政レベルの対策だけでは限度がある。そういう中で、地域、個人を対象にした活動をしていただきありがたい」と話した。
出典
『出版 災害弱者視点の「津波避難学」 明和在住、清水・愛知県立大学教授 各自が最良の対策を /三重』
http://mainichi.jp/articles/20160404/ddl/k24/040/128000c
2016年7月15日12時51分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
関東地方では、15日、上空に寒気が流れ大気が不安定となり、千葉県では局地的に大雨が降った。
千葉県市原市付近では、レーダーによる解析で、午前11時までの1時間に約100ミリの猛烈な雨が降ったと見られる。
気象庁は、数年に1度の大雨だとして、「記録的短時間大雨情報」を出した。
土砂災害や浸水への警戒を呼びかけている。
千葉県警によると、市原市では、15日午前、沿岸部を中心に約50カ所で、道路が最大50cm冠水した。
出典
『千葉・市原付近で数年に1度の大雨 50カ所で道路冠水』
http://www.asahi.com/articles/ASJ7H43GTJ7HUCVL00F.html
7月15日20時41分にNHK千葉からは、大雨の状況を伝える下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県市原市光風台で午前11時半ごろに撮影された映像には、住宅街の下り坂の道路を大量の水が濁流のように流れている様子が写っている。
水は住宅の塀や街路樹にあたって、激しい水しぶきをあげていた。
また、住宅の敷地内にも、大量の水が流れ込んでいた。
さらに、雨水が激しく流れてくる中をさかのぼろうと、ゆっくりした速度で坂を上がっていく車の様子も写っていた。
映像を撮影した住民の66歳の男性は、「最初はたいしたことはないと思ったが、30分ぐらいで急に流れが強くなってきて、しばらくしたらどんどん石などが流れてきた。濁流の川の脇にいるような感じで、『ごーっ』という音がしてすごかった」と話していた。
千葉県市原市光風台では、大雨の影響で、舗装された道路のアスファルトがはがれるなどの被害が出ている。
近所の住民によると、大雨の影響で高台から大量の水が濁流のように流れてきたということで、周辺には、坂の上から流されてきたアスファルトの破片などが散乱していた。
近くに住む80歳の男性は、「家の車庫にまで水が入り込み、車にも被害があった。水かさがどんどん増して、とても家の外に出ることができなかった」と話していた。
千葉県市原市の住宅街の道路を水が濁流のように流れたことについて、専門家は、「住宅街では、狭い道路に水が集まって水路のように急激な流れになることがあり、車の運転などは非常に危険だ」と指摘している。
豪雨災害に詳しい中央大学の山田正教授は、「日本の道路の多くは、1時間に50ミリ程度の雨までなら排水できるが、今回のように1時間に100ミリ近い雨が降ると、下水道に入りきらない水があふれ、道路にたまってしまう。特に、住宅街では、狭い道路に水が集まる上、高台で排水されなかった雨水が低いところに流れ込み、水路のように急激な流れになることがある」と指摘している。
その上で、「浸水している道路に車を乗り入れると、車が止まり立往生する可能性があるほか、猛烈な雨が降っている際には、視界がかなり悪くなるため、歩行者にも気づきにくくなるおそれがある。無理に運転せず、安全な場所に車を止め、雨雲が過ぎ去るのを待つようにして欲しい」と話している。
出典
『市原市 住宅街坂道に大量の水』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/1086976741.html?t=1468619448998
(ブログ者コメント)
ブログ者は何回か光風台に行ったことがあるが、そこは、台地から平地に向かう、一部は緩やかな、一部はやや急な斜面を造成した住宅街だ。
今回の濁流現象は、雨量が猛烈に多かったことに加え、高台に降った大量の雨が斜面にある住宅街の道路を排水路替わりに流れた可能性が考えられる。
2016年7月6日3時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
伊勢崎市で4日午後、突風が発生し、物置や家屋の屋根が飛ばされるなどの被害があった。
同3時から4時過ぎにかけては大雨や落雷なども集中し、道路の冠水や停電の被害も相次いだ。
前橋地方気象台は、5日、竜巻や下降した気流が地面にぶつかって起こる「ダウンバースト」などが発生した可能性があるとみて職員を派遣し、現地調査をした。
警察によると、4日午後4時40分ごろ、物置小屋が飛ばされていると110番通報があった。
消防が確認したところ、同市安堀町の老人ホームの敷地内にあったスチール製の物置が脇にあったフェンスをなぎ倒し、北側約50m先の住宅の玄関先まで飛ばされていた。
周辺は田んぼや畑が多く、通行人や家屋への被害はなかった。
この家の女性(75)は、「家の中から、風がぐるぐると渦巻いているのが見えた。雨も強く降ってきて外の景色は何も見えない。収まって外を見ると物置が横倒しになっていてびっくりした」と話した。
この日、市に入った報告では、車庫の壁が飛ばされたり、フェンスが倒れたりするなどの被害が約20件あったという。
また、東京電力によると、同市内では雷が電柱に落ちた影響で午後4時半ごろから50分間ほど約500軒が停電し、前橋市内でも約700軒が停電した。
同気象台によると、4日夕方には県内全域に竜巻注意情報が出ており、落雷やひょう、急な強い雨にも注意するよう呼びかけていた。
5日朝に伊勢崎市の現場で調査した職員は、「今のところ、被害が広範囲に広がっている様子はない。引き続き調べて判断したい」と話した。
出典
『群馬)伊勢崎で突風被害 竜巻やダウンバーストの可能性』
http://digital.asahi.com/articles/ASJ7476NZJ74UHNB00K.html?rm=411
7月6日12時4分にNHK前橋からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4日、伊勢崎市で物置などが飛ばされた突風被害について、気象庁が5日、原因を調べた結果、特定はできなかったものの、上空の冷たい空気が吹き下ろす「ダウンバースト」か、周りの空気を巻き上げながら突き進む「ガストフロント」の可能性があることがわかった。
伊勢崎市安堀町では、4日午後4時すぎ、突風によって物置などが数10m飛ばされたほか、仮設トイレが倒れるなどの被害が出た。
気象庁は5日、機動調査班のメンバー4人を現地に派遣し、突風の原因を調べた。
その結果、突風の種類は、被害の痕跡から推定できる情報が十分に得られず、特定はできなかったものの、積乱雲から激しい雨が降るのに伴って急激な下降気流が発生し、上空の冷たい空気が吹き下ろす「ダウンバースト」か、積乱雲から大量の冷たい空気が吹き下ろし地表付近で周りの空気を巻き上げながら突き進む「ガストフロント」の可能性があるとしている。
気象庁によると、突風が発生した時間帯には、活発な積乱雲が伊勢崎市を通過していたという。
また、農業用ハウスの鉄鋼の部品が変形していたことから、突風は秒速およそ35mと推定され、ことし4月から導入した突風の強さを判定する基準、「日本版改良藤田スケール」では、6段階のうち最も下の「JEF0」に該当するとしている。
出典
『突風は「ガストフロント」か』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1063783171.html?t=1467841832981
(ブログ者コメント)
「ガストフロント」という、ブログ者にとって聞きなれない言葉が使われていたので調べたところ、気象庁HPに図解付きで、以下のような解説があった。
『積乱雲の下で形成された冷たい(重い)空気の塊が、その重みにより温かい(軽い)空気の側に流れ出すことによって発生します。水平の広がりは竜巻やダウンバーストより大きく、数十キロメートル以上に達することもあります。』
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/tornado1-1.html
2016年6月27日15時40分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、発生確率を数値で示してきたこれまでの地震予測の発表方法を見直す方針を決めた。
数100〜数1000年間隔で発生する活断層地震の場合、今後30年以内に起きる確率は小さな数値で示されるため、地震は少ないと誤解する人が多く、熊本地震で改めて問題が指摘されたことに対処する。
数値に代え、確率の高さによってランク分けする方針で、より防災行動を促しやすい等級区分や表現を工夫する。
8月をめどに詳細を決め、来年1月の予測改定に反映させる。
地震予測は、1995年の阪神大震災をきっかけに組織された地震本部の地震調査委員会が、翌96年から公表している。
過去の文献や地殻変動の痕跡などから地震の発生間隔を調べ、今後30年以内の発生確率を計算する。
10日に発表された全国地震動予測地図の基となるデータでもある。
当初は、発生間隔から「今後数100年の間に地震がある可能性が高い」などと発表していたが、「生きている間には起きない」と誤解され、今の方法に改められた。
ところが、東日本大震災のような海溝型地震は発生間隔が数10〜数100年なのに対し、熊本地震のような内陸直下型の活断層地震は、一般的に1000年以上と長い。
このため、今後30年以内の発生確率は、南海トラフ地震の「70%程度」に対し、熊本地震の本震の震源だった布田川断層帯の布田川区間は「ほぼ0〜0.9%」と、小さな数値になる。
地震本部は、全国の主要97活断層の中でも、同区間の発生確率を「やや高い」と評価していたが、熊本市の地震ハザードマップでは「極めて低い」と誤って記載。
慶応大と東京都市大の全国調査でも、確率の低い地域の住民は「安心情報」として受け取っていることが判明するなど、防災効果に疑問の声が出ていた。
このため、活断層地震と海溝型地震を同列に比べてしまいやすい従来のパーセント表示に代え、別々にランク分けをする。
地震本部事務局の文部科学省地震・防災研究課は、「今の伝え方では切迫感が伝わらず、防災行動につながらない。活断層と海溝型で違う尺度を持たせ、伝え方を工夫したい」と話す。
また、地震調査委が13日に始めた余震の発生確率に関する発表方法の見直しでも、どのように受け取ればいいか、分かりにくい従来のパーセント表示を改める。
出典
『地震予測 ランク分け、確率数値「安心誤解」回避へ』
http://mainichi.jp/articles/20160627/k00/00m/040/079000c
(ブログ者コメント)
『10日に発表された全国地震動予測地図』については、下記記事参照。
2016年6月19日掲載
2016年6月10日報道 政府の地震調査研究推進本部が2016年版全国地震動予測地図を発表した (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6033/
2016年6月21日19時13分にNHK関西NEWS WEBから、下記趣旨の報道があった。
(6分の報道だが、文字情報はゼロ。以下は、ブログ者がテープ起こしした内容)
高速道路のすぐ脇に迫る急な斜面。
ここで、今、土砂災害のメカニズムを探る最新の研究が進められている。
大阪大学の小泉圭吾さん。
斜面の土砂に浸みこんだ水分の量に注目し、土砂崩れの前兆をいち早くつかむためのシステムの開発に取り組んでいる。
小泉助教談『カギは土の中の水分と考えている。住民の避難とか高速道路の通行止めにうまく役立てるシステムにしたい。』
土砂災害については、避難につなげる予測の精度が課題となっている。
避難勧告を発表する目安となる「土砂災害警戒情報」は、雨の量などを元に出されるが、実際には土砂災害が発生しないことも多く、課題となっていた。
土砂崩れの発生を物理的にとらえるセンサーの設置も国が進めているが、崩れてから避難を呼びかけるのでは、十分な避難時間の確保が難しくなる。、
この2つの課題を解決し、土砂災害の前兆をつかむには、どうすればいいのか?
小泉さんは、小型の実験装置を使って、土砂が崩れる前の土砂の中の水分の量を図る実験を続けてきた。
実験結果、降る雨の量が一定でも、水分の増加が一度止まるポイントがあった。
雨が降ると、斜面の土砂の中には少ずつ水が浸透していく。
土の中の水分の量が一定まで達すると、それ以上の水を貯め込み難い状態になる。
この状態でさらに雨が降ると、土砂崩れが発生するという。
小泉さんは、この状態こそが土砂崩れの前兆だと分析する。
実験を10回以上重ねた結果、ほとんどの場合、同じような現象が得られたという。
小泉助教談『この平行した状態を一つの避難勧告発令のタイミングにすることが考えられる。』
小泉さんの研究グループは、高速道路会社と連携して、実際の斜面の分析を始めている。
土砂の水分の量を電気で感知できるセンサーを一つの斜面に12個設置。その情報は、携帯電話の回線を通じて、どこでもリアルタイムで見ることができるようにした。
センサーの設置は、斜面1カ所につき250万円ほどかかるが、同じような地質が拡がる場所では、1ケ所の設置でも、他の場所の傾向もつかめるという。
出典
『土の中の水分量 避難に生かす』
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20160621/3127381.html
かなり前、2014年11月13日に日本経済新聞電子版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
今年8月に広島市で多数の犠牲者を出した大規模な土砂災害が起きたのを受け、発生予測に関する技術に注目が集まっている。
大阪大学と防災科学技術研究所は、それぞれ、豪雨時に土が含む水分量から土砂崩れの予兆を約30分前にとらえる技術を開発した。
神戸大学は、広い範囲を監視し危険を知らせるセンサーを試作した。
いずれも、1~3年後の実用化を目指す。
土砂崩れの危険がある地域をあらかじめ調べた防災地図とあわせ、発生直前の予測精度を高めて避難に役立てる方針だ。
阪大の小泉圭吾助教らは、2本の素子を土に差し、水分を測る装置を開発した。水分が増えると電気が流れやすくなる仕組みを応用した。
斜面に見立てた小規模な土の塊を降雨で崩す室内実験では、土砂崩れの発生約30分前に土中の水分が急増した。
同じ現象が自然界でも起こり得るとみて、装置の開発につなげた。
屋外で性能を確かめたうえ、1台20万~30万円で実用化したい考えだ。
防災科研と高知大学の技術は、地下水位の上昇をとらえて、土砂崩れを約30分前に予測する。
今後、様々な種類の土で実験する。
神戸大は、安い光ファイバーを斜面の広範囲に張り巡らせて、細かい土の動きを監視するセンサーを試作した。
ファイバーの先端から光を放ち、砂粒に反射した光を分析して、わずかな砂粒の動きから土砂崩れの予兆をとらえる。
1mあたり数10円という安さを生かして、土砂崩れの発生を広い範囲で監視できる。
崩れ落ちる土砂の量が分かり、避難や被害規模の推定、復旧作業の計画づくりなどに役立つとみている。
既存のセンサーは、ワイヤの伸縮を感知する仕組みで、土が崩れたら分かるタイプが主流だった。
発生の予測や避難には使いにくく、数100万円と高価で、普及も遅れていた。
国交省によると、土砂災害の危険箇所は、全国に約53万カ所ある。
対策が不十分な場所も多く、新しい予測技術を使えば、土砂崩れの発生前に住民に避難を促せる可能性がある。
出典
『豪雨時の土砂崩れ、30分前に予測 阪大など新技術 』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG10H29_T11C14A1MM0000/
2016年4月23日19時17分にNHK長崎から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長崎港では、短い周期で海面が上下する「副振動」が23日朝から観測されていて、気象台は、船舶などの被害に注意するよう呼びかけている。
長崎地方気象台によると、23日午前8時ごろから、長崎港を中心に短い周期で海面が上下する「副振動」、地元で「あびき」と呼ばれる潮位の変化が観測されている。
午前9時50分ごろには、海面の上下の差はおよそ1mを観測し、周期はおよそ40分となっている。
長崎港での満潮の時刻は、23日が午後9時6分、24日が午前8時51分となっており、消防などによると、これまでのところ、浸水の被害などは報告されていないということだが、長崎港では、今後も大きな海面の変動や強い流れが繰り返し起きるおそれがあるとして、気象台は、船舶などの被害に注意を呼びかけている。
出典
『あびき発生 船舶被害に注意を』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5034796891.html?t=1461448459270
(ブログ者コメント)
「あびき」に関しては、長崎地方気象台のHPに、下記趣旨の説明があった。
あびきとは、長崎湾で発生する副振動のことをいい、30~40分周期で海面が上下振動します。
過去には、大きなあびきで、係留していた船舶の流失や低地での浸水被害が発生しています。
あびきの語源は、早い流れのため魚網が流される「網引き」に由来すると言われています。
現在は、長崎に限らず、九州西方で発生する同様な現象に対して、広く用いられるようになっています。
副振動とは、数十分周期の港湾の振動で、長方形の容器に水を入れ、一方の端を持ち上げて少し傾けてから元に戻すと、しばらく水全体が左右に振動するのと同じ現象です。
http://www.jma-net.go.jp/nagasaki-c/kaiyo/knowledge/abiki/
また、発生機構に関しては、日本海洋学会誌から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長崎湾内で通例は冬期にしばしば見られるあびきが, 1979年3月31日に長崎海洋気象台観測史上最大の規模で発生した.
これを例として,数値シミュレーションを行ない, その発生機構について, 定量的な考察を試みた
その結果、発生の過程については,
1) 東シナ海大陸棚上での気圧波との共鳴的カップリングによる海洋長波の振幅10cmに及ぶ増幅
2) 長崎湾内での浅水増幅および反射干渉による増幅
3) 長崎湾の固有振動系と, 五島灘領域の振動系との干渉による共鳴増幅効果
など, 数段階の増幅作用が絡んでおり, これらによって生成された約35分周期の一連の波によって, 同湾の固有周期に相当する36分および23分周期で共鳴的に増幅されたことが,定量的に結論づけられた。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kaiyou1942/38/3/38_3_172/_article/-char/ja/
(1/2から続く)
『アパートの屋根が吹き飛ばされる 強風で新潟・上越中心に50棟被害、6人重軽傷』
(4月17日21時11分 産経新聞)
上越市によると、上越市国府4丁目のスーパー近くで女性(75)が風にあおられて転倒し右脚を骨折したほか、同市中央4丁目の公園で高さ約3mの防波堤から男性(34)が落ち、右足を骨折するなど、市内で3人が負傷した。
新潟市でも、3人が軽いけがをした。
また、上越市北城町4丁目で午前8時半ごろ、アパートの屋根が吹き飛ばされて市道に散乱。けが人はなかったが、市道が一時通行止めになった。
上越市の建物被害は、約40棟に上った。
http://www.sankei.com/affairs/news/160417/afr1604170051-n1.html
『西・北日本で強風…富山で38・7m、転倒死も』
(4月17日23時22分 読売新聞)
富山県滑川市のショッピングセンター駐車場では、午前9時10分頃、テナントのスーパーの男性社長(62)が転倒し、頭の骨を折って死亡した。
千葉県では、午後2時頃、船橋市潮見町の東京湾でウェットスーツ姿の男性が浮いているのが見つかり、死亡が確認された。
警察は、サーフィン中に強風を受けて海中に落ちたとみて、身元を調べている。
四街道市では、60歳代の女性が強風で転倒し、頭に重傷を負った。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160417-OYT1T50108.html?from=ycont_top_txt
『プレハブ強風で倒れ女性大けが』
(4月18日9時20分 NHK山形)
17日午後5時40分ごろ、鶴岡市矢引で住宅の敷地内にあったプレハブ小屋が強風で横倒しになり、隣に住む41歳の女性が下敷きになった。
女性は腰の骨を折るなどの大けがをして病院で手当てを受けているが、意識はあり、命に別状はないという。
倒れたプレハブ小屋は縦2.4m、横3.7m、高さ2.3mで、物置に使われていたという。
当時、女性は、強い風で小屋が揺れ動いているのを窓から見たため、様子を確認しに行ったところ、突然、小屋が倒れ、下敷きになったという。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/6024623601.html?t=1461016702892
『強風でフェリーが桟橋に接触』
(4月19日6時16分 NHK北海道NEWS WEB)
17日午後8時45分ごろ「津軽海峡フェリー」が運航する青森発函館行きのカーフェリー「びなす」7198トンが、函館港のフェリーふ頭に着岸しようとしたところ、強風を受けて流され、ふ頭からおよそ250m離れたコンクリート製の桟橋に接触した。
この事故で、フェリーは船体の右側が2m四方にわたってへこむ傷ができたが、浸水などはなく、乗客・乗員あわせて139人にけがはなかった。
フェリーは、17日午後5時すぎに青森港を出港したが、その時点で、すでに青森側も函館側も暴風と波浪の警報が出されていて、海保によると、事故当時、函館港内では平均でおよそ17mの強い風が吹いていたという。
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20160419/4647952.html
(ブログ者コメント)
ブログ者の近所の神社でも、ご神木かと思われるほど大きな木の、これまた大きな枝が、引き裂かれるように石段のある側に折れていた。
それを見て想起したのは、南砺市の事故。
国道沿いのブナの巨木が空洞状態で倒れレア車が下敷きになったのは、県の管理不足が原因だとして、所有者らが提訴した一件だ。
2014年6月15日掲載
2014年6月8日 富山県南砺市で国道沿いに生えていたブナの巨木が倒れ、通りかかったトヨタ2000GTが直撃を受けて大破、運転していた人は軽いけが (修正1)
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3991/
そこで、もしや空洞でも・・・と思い断面を見たが、空洞にはなっていなかった。
ただ、断面をつまんでみると、ボロボロと崩れる状態。
そのような状態だったのに、外皮は堅牢に見える。
おそらく、外見からは判別困難だっただろう。
南砺市事例の場合、原告側主張によれば、現場周辺には空洞になった木が複数あったとのこと。
しかしながら、その情報を県が得ていたとして、どこまで拡大展開して目視以外の方法で調べておけばよかったのか、難しいところだ。
4月17日(日)は全国的に強風が吹き荒れ、各地で電柱や足場倒壊、通行人などが転倒するといった事故が相次いだ。
台風通過時でも、これほどの被害が出ることは珍しいと感じたので、目についた報道を掲載しておく。
『全国で4月最大風速、36地点で更新』
(4月18日 毎日新聞東京版朝刊)
前線を伴って急速に発達した低気圧の影響で、17日は西日本から北日本で大気が不安定な状態となり、各地で最大瞬間風速30mを超える非常に強い風が吹いた。
長野県や神奈川県などでは、一時、竜巻注意情報が出された。
気象庁によると、金沢市で最大瞬間風速37.5m、千葉市で同36.3mを観測。
東京都心でも、午後1時45分に28.8mを観測した。
石川県輪島市の35.7m、鹿児島市の24.9メートルは、4月としては過去最大だった。
最大風速も、36地点で4月の記録を更新した。
低気圧は、17日夜には北海道に達し、18日朝には千島近海に進む。
東日本や北海道では、18日昼前まで風が強い状態が続く見通し。
気象庁は、暴風や高波に対する注意を呼びかけている。
http://mainichi.jp/articles/20160418/ddm/041/040/090000c
(以下は、タイトルと記事の主要部分)
『強風で電柱倒れる』
(4月17日13時6分 NHK松山)
17日午前4時すぎ、新居浜市篠場町の住宅街で電柱が倒れているのを近所の人が見つけ、警察や四国電力などに連絡した。
電柱はコンクリート製で、高さが16mほどあり、付け根部分から折れていて、脇にある愛媛県立新居浜南高校のフェンスに倒れかかって、フェンスの一部が壊れた。
警察によると、けが人などはいないという。
現場には、近くの建物から飛ばされてきたと見られるトタン屋根が散乱していて、四国電力は、このトタン屋根が電線に引っかかって風にあおられたことで電柱が倒れたのではないかとみている。
http://www3.nhk.or.jp/matsuyama-news/20160417/4607881.html
『突風で野球用防護ネット倒れ、2人けが…香川』
(4月17日18時52分 読売新聞)
17日午後0時50分頃、香川県三木町の私立高松中央高校のグラウンドで、野球用の防護ネットが突風にあおられて倒れた。
少年野球を観戦していた徳島市内の68歳と69歳の女性に当たり、2人は頭と腰を打つけがをした。
防護ネットはコの字型になっていて、高さ2m、幅8m、奥行き6mで、支柱は鉄製。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160417-OYT1T50080.html
『強風で転倒、66歳男性死亡…石川・志賀』
(4月17日19時16分 読売新聞)
17日午前10時50分頃、石川県志賀町梨谷小山の町道で、近くに住む無職桜井さん(66)が強風にあおられて転倒した。
桜井さんは後頭部を強く打ち、搬送先の病院で死亡した。
警察によると、桜井さんは長女と一緒に、強風で飛ばされた納屋の扉を自宅敷地内に運んでいたという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160417-OYT1T50087.html
『列島各地で強風被害 都内で足場倒壊相次ぐ』
(4月17日20時25分 朝日新聞)
午前10時20分ごろ、多摩市の京王線聖蹟桜ケ丘駅前で、解体工事中の9階建てビルを覆う足場やパネル(縦40cm、横180cm)数10枚が強風で落下した。けが人はいなかった。
午後1時45分ごろには、足立区の千住本町商店街で、建設中の7階建てのビルの足場が高さ約30m、幅約50mにわたって崩れた。けが人はなかった。
成田空港では、着陸をやり直したり、目的地を変更したりする航空機が相次いだ。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4K5SDJJ4KUTIL02L.html
(2/2に続く)
2016年3月29日23時49分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
将来起こるとされる首都直下地震に備え、政府は29日、救助部隊派遣や救援物資輸送の手順を定めた応急対策活動計画をまとめた
発生時には、被災自治体の要請を待たずに救助部隊や物資を送り込む「プッシュ型支援」のほか、全国の自衛隊、消防、警察など最大計14万人を4都県へ集中派遣することが柱。
東日本大震災の際に首都圏で多数の帰宅困難者が出たことを受け、人口過密地域での激甚災害に対し、円滑対応できる態勢を打ち出した。
最も被害の大きい東京都心南部を震源とする地震を想定。
大震災を踏まえて見直された、死者2万3千人、避難者720万人の被害想定に基づき、救助、医療など各分野の具体的活動計画を定めた。
負傷者の生存率が大きく下がるとされる発生72時間後までの活動を時系列(タイムライン)で整理したのが特徴だ。
東京23区で震度6強以上を観測するか、埼玉、千葉、神奈川を含む4都県で相当の被害が見込まれる場合に活動を開始。
被災自治体からの要請を待たず、救助応援部隊は発生直後に先遣隊が派遣され、12時間後には本部隊が現地入りする。
最大で、4都県以外の全国から自衛隊11万人、消防1万6千人、警察1万4千人を派遣。
自衛隊は、緊急であれば要請なく出せるが、あえて計画に明記した。
全国1426のDMAT(災害派遣医療チーム)にも参集がかかり、12時間後には現地で活動を開始。
食料などの救援物資は、発生後72時間は自治体や家庭の備蓄で対応し、4日目から避難所へ届けられる。
輸送路は、発生直後に緊急点検し、24時間以内にがれき撤去など、都心方向へのルート確保を始める。
最大800万人と見込まれる帰宅困難者対策として、当日は無理に移動せず、勤務先などでの待機を要請。
公営施設や集客施設などを開放し、一時滞在先にするとした。
【首都直下地震】
東京都、埼玉、千葉、神奈川各県の首都圏直下を震源とする直下型地震。
政府の地震調査委員会は、関東地方南部でマグニチュード(M)7級の地震が発生する確率を、30年間に70%と予測している。
中央防災会議の被害想定では、東京都心南部でM7.3の直下地震が起きた場合、最悪で2万3千人が死亡し、経済的な打撃は95兆3000億円に上るとされる。
出典URL
http://www.sankei.com/affairs/news/160329/afr1603290057-n1.html
(ブログ者コメント)
以下は関連報道。タイトルのみ記す。
3月29日23時35分 産経新聞
『帰宅困難800万人、対策半ば 一時滞在施設進まぬ確保』
http://www.sankei.com/affairs/news/160329/afr1603290056-n1.html
3月29日21時25分 朝日新聞
『救助・消火に14万人投入 首都直下型地震の応急対策』
http://digital.asahi.com/articles/ASJ3Y4RHCJ3YUTIL02H.html?rm=359
2016年2月27日15時25分に読売新聞から、写真と解説イラスト付で下記趣旨の解説記事が、『雨氷で倒木被害、1本の木に最大1トン超付着か』というタイトルでネット配信されていた。
長野県松本市や山形村で1月29~30日に発生した「雨氷」による倒木被害から、間もなく1か月になる。
雨氷は、樹木の枝についた雨滴が凍る現象で、氷に包まれた枝を見るとガラス細工のように美しいが、県の研究機関によると、1本の木には最大で1トン超もの氷が付着していたと試算された。
県内では、過去、4月にも雨氷による大規模な倒木被害が発生しており、県は、「気象条件次第で今後も被害が出る可能性がある」と警戒している。
県によると、倒木被害が発生した森林は10市町村の約600ヘクタールにわたり、倒れた木は数万本に上るとみられる。
県は、雪解け以降、林野庁や信州大などと本格的な現地調査を行う予定だ。
雨氷は、暖かい空気の層(逆転層)で雪から雨に変わった水滴が、氷点下の気温でも凍らない「過冷却」の状態で樹木などにぶつかり、一気に凍結する現象。
上空に0℃以上の空気の層がある一方で、地表付近が氷点下という特異な条件下で起こる。
県によると、倒木は標高800~1300m付近に集中していたが、当時の県内は、その標高付近で、雨氷が発生しやすい気象条件となっていたとみられる。
長野地方気象台は、「氷点下の冷たい空気層に厚みがなかったため、雨滴が急激に冷やされたものの、凍らないまま到達した」と分析。
降雨時間が長く、雨量も多かったため、氷として樹木に大量に付着し、被害が拡大したとみている。
標高870mの県の研究機関「県林業総合センター」(塩尻市)周辺では、29日朝からの23時間で45ミリの降雨があった。
同センターが、この雨全てが雨氷として枝や幹に付着した場合の氷の重さを試算したところ、松本市周辺で一般的な枝の広がりが直径6mの樹木には、最大で1.27トンもの氷が付くことがわかった。
担当者は、「試算通り全て氷になるとは考えにくいが、木に相当な重みが加わった可能性がある」と話す。
約120人が孤立した松本市の扉温泉周辺では、道路沿いの木が多く倒れた。
信州大学術研究院の鈴木純准教授(農業・道路気象学)は、山林を切り開いた道路では木が太陽光を求め、道路側に枝葉を伸ばす傾向があるとした上で、「バランスが偏って成長した枝葉に、氷の重みが加わったのでは」と指摘する。
県内では、1998年の1月と4月に、雨氷による大規模な倒木が発生した。
長野地方気象台によると、「今回のような特異な気象条件になることは、3月以降もあり得る」という。
県も、「標高が高く森林の多い長野県では、気象条件一つで大規模倒木が起きる可能性もあり、警戒が必要だ」としている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160227-OYT1T50035.html
1月の倒木被害については、1月31日12時54分に朝日新聞から、現場写真とともに下記趣旨の記事が、『長野の孤立状態、すべて解消 倒木撤去し宿泊客ら帰路に』というタイトルでネット配信されていた。
倒木で山間部の道路約5kmが29日夜から通行止めになり、宿泊施設の利用客らが取り残されていた長野県山形村清水高原で、31日午前、倒木が撤去され、孤立状態が解消した。
宿泊施設「スカイランドきよみず」の利用客ら10人が、午前11時ごろ、ワゴン車2台で同村役場に到着した。
体調不良を訴える人もなく、それぞれ帰宅した。
スカイランドきよみずの大月支配人(46)によると、停電して空調や風呂が使えず、利用客らは、県が空輸で届けた石油ストーブで暖をとっていたという。
同県では29日夜、倒木による道路の通行止めが相次ぎ、松本市や山形村で、一時、約320人が旅館などで孤立状態になったが、すべて解消された。
大量の倒木は、雨が冷えて木に凍り付つく「雨氷」や、湿った雪の重みが原因とみられる。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASJ104306J10UOOB006.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。