2023年9月22日18時17分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今月8日の記録的大雨から22日で2週間。
浸水した住宅は千葉県茂原市でおよそ2000棟に達し、現在も増えています。
その一方で、住宅や商業施設で「止水板」を設置していち早い復旧につながった事例が相次いでいたことがわかってきました。
千葉県茂原市の八千代地区に住む吉田さん(83)は、記録的な大雨で氾濫した一宮川の近くに自宅があり、4年前の大雨では自宅が床上まで水に浸かり、車庫にあった車2台も水没しました。
この教訓から、自宅の門や車庫、裏口の3か所に水の侵入を食い止める止水板を購入し、今月8日、雨が強まった午前10時ごろに家族と設置を済ませました。
その後、川の水位はぐんぐん上昇し、家の門のすぐ近くで最大80センチほど浸水しましたが、止水板によって敷地内の浸水は最大でも30センチほどに抑えられ、床上は浸水せずにすみました。
4年前は2週間ほど2階で暮らし、元の生活に戻るまで5か月ほどかかりましたが、今回はすぐにふだんどおりの暮らしができたということです。
吉田さんは、「4年前は1階の畳をすべて替えるなど大変だったので、今回も川の水位が上がってきた時にはどうなることかと心配していました。床上まで水が来ず、設置してよかったと思います」と話していました。
吉田さんの住宅に設置された防犯カメラには、一宮川の水位が上昇する様子や一帯が浸水する一部始終が記録されていました。
午前11時前には川沿いの道路に水があふれ出し始め、正午前には道路の大半は冠水し、すねほどまでつかりながら人が歩いている様子が分かります。
午後1時前に雨はいったん弱まったものの、車庫の前まで完全に水に覆われました。
このあと浸水のスピードが速くなり、午後2時ごろまでの1時間で40センチほど急上昇し、成人が太ももほどまで水につかりながら歩いているのがわかります。
その後も水位は上昇を続け、ピークとなった午後4時ごろには、道路からは1メートル20センチ、住宅周辺では80センチほど浸水しました。
一方、別の場所に設置されたカメラの映像では、止水板の効果で住宅の敷地内は午後1時ごろまで冠水しておらず、その後も浸水するスピードは遅く、水位も低いことが確認できます。
4年前を教訓に、止水板を設置することで被害を防ぎ、速やかに営業を再開した商業施設もありました。
茂原市高師のショッピングモールは、4年前の大雨の際に床上50センチ以上浸水してエスカレーターも被害を受け、被害額は2億円以上にのぼり、10日ほどの休業を余儀なくされたといいます。
このため、よくとし、およそ3500万円をかけて高さ60センチほどの止水板を100枚ほど購入しました。
今月8日の大雨の際には朝から準備を始め、午後1時に閉店した際には設置を終えました。
その結果、床上への浸水を免れ、大半の店舗で翌日から営業できたということです。
「茂原ショッピングプラザアスモ」を運営する茂原商業開発の秋葉取締役は、「設置費用は高額でしたが、店舗の中を守って通常通り営業ができています。利用者に迷惑をかけずにすみよかったです」と話していました。
大雨による冠水や浸水の被害が相次ぐなか、関東の自治体のなかには、個人や企業が止水板を設置する場合に補助するところもあります。
このうち東京・品川区は、昭和57年や60年の大雨で目黒川があふれるなどして浸水被害が発生したことから、昭和62年度から止水板の設置費用を補助する取り組みを行っています。
平成2年度には、補助の割合を4分の3まで、金額も最大100万円に引き上げました。
品川区によりますと、これまでの助成件数は個人と企業あわせて170件ほどで、工事費は個人では50万円程度、企業では200万円程度かかるケースが多いということです。
止水板の設置に対する補助は、東京では板橋区、足立区、三鷹市などで行われていて、千葉県でも千葉市のほか今年度から柏市でも始まるなど広がりをみせています。
茂原市では、昨年度、補助金の導入が検討されましたが、まだ実施には至っていません。
茂原市はNHKの取材に対し、「今後、補助を実施している他の自治体の状況を調査・研究し、検討していきたい」としています。
浸水を防ぐため止水板を設置する対策について、水害対策に詳しい東京大学大学院の松尾一郎客員教授は、「今回被災した地域は土地が平たんで、浸水が頻繁に起きている。こうした地域ではすぐに設置できる止水板は個人の対策として有用な取り組みだと思う。ただ、川の流れが速い地域では家ごと流される可能性もあるので、止水板に頼りすぎることなく、自宅や企業の状況を考慮しながら活用してほしい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230922/1000097471.html
9月11日付でNHK首都圏からは、茂原市の中心街は4つの川が合流して勾配も緩やか、また地下からのガス採取で地盤沈下しているため氾濫が起きやすい、今回は降雨時間に満潮が重なってしまった、学校や老人ホームでも事前の対策が功を奏していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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茂原市の中心部がある地域は、「一宮川」の4つの支流、三途川、豊田川、阿久川、鶴枝川が合流し、さらに勾配が緩やかになるため、氾濫が起きやすくなっています。
平成に入ってからは、4回にわたって氾濫しています。
▼ 平成元年の「台風12号」
▼ 平成8年の「台風17号」
▼ 平成25年の「台風26号」
▼ 4年前の令和元年の豪雨
4年前は、およそ1760ヘクタールが浸水して7人が犠牲となりました。
記録的な大雨で、茂原市には、10日午前10時までに、住民から床上浸水105件、床下浸水43件の情報が寄せられ、その後も件数は増えているということです。
情報が寄せられた場所と、4年前の大雨で浸水した場所を比較すると、一宮川や支流の周辺などで重なる部分が多く、広い範囲で床上や床下の浸水が起きていたとみられることが分かります。
赤い丸が床上浸水、青い丸が床下浸水について住民から情報が寄せられた場所です。
紫色のエリアが4年前の大雨で浸水した地域です。
4年前は、市内のあわせて約3700棟で床上や床下浸水が発生していて、市では、前回と同じ程度の浸水被害が出ている可能性もあるとみて、各地に職員を派遣して被害の実態を調べています。
過去の教訓をいかした早め早めの対応が功を奏し、被害を最小限にとどめることができた小学校があります。
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茂原市早野にある有料老人ホーム「時の村 早野館」は、今回は早めに、午前中から2階へ避難させる対応をとりました。
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茂原市に住む八代さんは、1階に置く家具のほとんどをスチール製の棚やプラスチックのケースなど、水で洗える材質のものに替えました。
今回、冷蔵庫や洗濯機は水につかって壊れてしまいましたが、再び使うことができる家財道具は、前回の被災時より多くなったということです。
東京大学大学院の松尾一郎客員教授は、茂原市で浸水被害が相次いだことについて、次のように述べています。
「もともと一宮川は川の勾配が緩いうえ、地下からガスを採取することで地盤沈下しており、水害が起きやすい地形だ。
そこに広い範囲で300ミリから400ミリという記録的な大雨になった。
さらに、雨が降った時間帯が満潮に重なっていたことも一因だ。」
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https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/015/75/
9月16日11時30分にYAHOOニュース(毎日新聞)からは、水害対策として一部区間だけをかさ上げすると、工事していない下流域に被害が以降するので、中流域を優先して工事するのは難しいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市内では度々、水害が発生していた。
13年の水害後にも堤防を一部拡幅する改修工事が施されたが、工事が完了する前に襲った19年の台風21号の影響で被害が広がった。
その後始まった県の特別緊急事業では、川の水が流れる道筋の拡幅や堤防整備、調節池の増設などを実施し、現在も進行中だ。
中下流域の整備は24年度末までの完成を目指している。
19年と同規模の降雨量でも流域の家屋や主要施設の浸水ゼロを目標にしており、29年度までに実現したいとしている。
具体的には、市内にある第2調節池は元々の70万立方メートルの貯水機能に加え、新たに40万立方メートルの増設を進めており、同市の市街地付近を流れる4キロの区間は、護岸ののり面を整備して流れる水量が増えても対応できるようにしていく。
これらを既に暫定供用している部分もあり、同事務所は今回の大雨でも「一定の効果があった」としている。
一方で、県としては急ピッチで工事を進めることができない理由がある。
同事務所は、「一部区間だけをかさ上げすると、工事をしていない下流域に被害が移行してしまう。河川全体を管理する立場として(中流域を優先して工事をするのは)難しい」と説明する。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/76964a25d57c7eca59e86e461f3b218358067d88
9月29日22時31分に産経新聞からは、護岸工事中の仮設堤防5カ所で業者が土嚢を勝手に撤去していたため高さ不足になっていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
千葉県は29日、護岸工事を進めている茂原市内の一宮川の仮設堤防で、必要な高さを確保していない場所が5カ所あったと発表した。
このうち4カ所では、増水した水が川からあふれ出すのを防ぐ土嚢(どのう)を、護岸工事の受注業者が県に報告せずに撤去していた。
県は来月中にも有識者でつくる第三者委員会を設置し、高さ不足が台風13号の接近に伴う大雨による浸水被害に影響を与えたかなどを検証する。
高さ不足の5カ所は、県が茂原市内の一宮川の約4キロの区間で進めている護岸工事に含まれる。
工事を受注したのは大手ゼネコン清水建設などの共同企業体で、工事契約上は仮設堤防では大型の土嚢を設置するなどして一定の高さを確保することになっていた。
大雨被害から2日後の今月10日、茂原市から県に対し仮設堤防の状況を調べるよう申し入れがあり、県が調査したところ、1カ所で仮設堤防の高さが120センチ足りないことが判明。
業者は県に対し「護岸のひび割れを補修するために土嚢を解体したが、その後に土嚢を再び設置するのを忘れていた」と説明したという。
その後の調査で、茂原市内の他の4カ所でも仮設堤防で必要な高さが確保されていなかったことが判明。
うち3カ所では、業者が工事を進める上で支障となるとの理由から、県に報告せずに土嚢を撤去していた。
県の県土整備部の担当者は29日に県庁で記者会見を開き、「仮設堤防とはいえ、契約通りに施工されていない事態が発生したことについて、県民におわび申し上げます」と陳謝した。
https://www.sankei.com/article/20230929-I7TXGSB34NKATA4MFNXZS2GVMA/
9月29日17時16分にNHK首都圏からは、護岸工事に土を利用するため土嚢を解体したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
茂原市を流れる「一宮川」では、度重なる水害を受けて、千葉県がおよそ4キロの区間で堤防や護岸の改修工事を進めていて、工事が終わるまで、堤防が低い部分などに大型の土のうを設置することになっていました。
しかし、茂原市から「土のうが一部設置されていなかったり高さが足りなかったりした場所がある」という指摘で千葉県が調べたところ、不備があわせて5か所見つかりました。
このうち、「明光橋」の下流付近では、高さ1メートル20センチの土のう6袋が、去年12月から撤去された状態になっていたということです。
この周辺では広い範囲で浸水していました。
施工業者が、護岸工事に土を利用しようと土のうを解体したあと、再び設置するのを怠っていたことが原因で、すでに土のうは本来の形で設置されているということです。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230929/1000097667.html
(2023年10月7日 修正1 ;追記)
2023年9月30日16時8分に毎日新聞からは、土嚢の中身を抜いた後、元に戻さず遮水シートを密閉していた、台風接近7日前に県が土嚢設置状況を確認したが気付かなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
調査の結果、川幅を広げる県の特別緊急事業の施工業者が、工事の便宜上、一度、土のうの中身を抜いた後、元に戻さず空のまま遮水シートを密封していたことが判明。
このため、2・5メートルの護岸の高さが、計画より1・2メートル足りない状態になっていた。
さらに、別の4カ所でも、計約125メートルにわたり、必要な土のうの高さが足りない部分が見つかった。
この状態は最長で半年前から続き、最大で80センチ不足していた部分もあった。
県は、台風13号が接近する前の7日に、仮設の土のうが置かれているか、現場を目視で点検したが、不備に気付かなかったという。
担当者は「土のうの中身が空になっていたり、必要な高さがなかったりしたのは想像していなかった」と釈明した上で、「問題があったと考える」と謝罪した。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20230930/k00/00m/040/069000c
2023年11月27日17時40分にNHK千葉からは、市の推計によると土嚢未設置により八千代地区の浸水深さは64cm増えたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
土のうが設置されていなかった八千代地区の1か所について、市は、大雨の日に付近で計測された一宮川の水位などをもとに、流れ込んだ水の量などを推計しました。
それによりますと、午前10時から午後8時までの間に、土のうが設置されていなかった部分から流れ込んだ水の量は16万7400立方メートルあまりで、これにより八千代地区では平均でおよそ64センチ、浸水の深さが増したとしています。
この地区では282世帯からり災証明が提出されていて、27日記者会見した茂原市の田中豊彦市長は、「土のうが十分に設置されていれば床上浸水は防げたのではないか」としたうえで、「あまりにもずさんすぎる工事だ。県は繰り返し浸水被害を受けてきた現場の状況が分かっていない。きちんと検証し管理してほしい」と話しています。
この問題については県も第三者委員会を設置し、川の氾濫への影響などについて検証を進めています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20231127/1080022279.html
(2024年7月7日 修正3 ;追記)
2024年7月6日8時15分にNHK千葉からは、土嚢未設置の影響は少なかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、工事中の堤防の代わりとなる土のうの一部が十分に設置されておらず、千葉県が有識者会議でその影響などを検証していました。
5日の会議で結果が公表され、それによりますと当時、川の防災対策の基準の1.7倍以上もの大雨が降り、川の水位が上昇して堤防を越えたほか、雨水の排水も追いつかずに内水氾濫が起きて浸水が大きく広がったと結論づけました。
そのうえで、地形などを踏まえシミュレーションした結果、土のうが十分に設置されていたとしてもあふれた水の量は1割程度しか変わらず、影響は少なかったとする分析結果をまとめました。
座長の東京大学生産技術研究所の加藤孝明教授は「今後、流域全体で川に流れ込む水の量を減らす対策を考える必要がある」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20240706/1080023546.html
2023年9月6日9時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
地震の陰に水の作用あり――。
近年、地下の水(流体)が地震発生に深く関わるメカニズムが明らかになってきた。
研究者たちの視線は今、2020年末から突如、地震活動が活発化した石川県・能登半島に注がれている。
【大震災後の不思議な現象】
11年3月、三陸沖を震源に発生した東日本大震災。
このとき、東北地方の陸地は東西方向に約4メートル広がった。
東西から圧縮する力が弱まったことで、内陸の地震は誘発されにくくなると考えられた。
ところが、不思議な現象が起きた。
福島・山形県境や仙台市の西側など複数の地点で、数日後から地震が観測され始めたのだ。
さらに、その震源域は深部から徐々に浅い場所へと移動していた。
なぜか。
東北大の吉田圭佑助教(地震学)らの研究で見えてきたのが、地下深くの水の存在だ。
巨大地震をきっかけに浅い場所へ上昇し、内陸の地震を誘発した可能性があるという。
東京大地震研究所の加藤愛太郎教授(地震学)によると、水が地震発生につながるメカニズムには大きく三つある。
一つは、断層の隙間(すきま)に入り込んで強度を下げ、断層を滑りやすくする。
二つ目は、体感できないほど断層がゆっくり滑る「スロースリップ」をもたらす。
そして三つ目は、地下深くで長時間かけて岩石を変形させ、それがひずみとなって蓄えられ、地震を起こしやすくする。
長野県旧松代町(現長野市)で1965年から数年続いた松代地震や、最大マグニチュード(M)5程度の地震が定常的に起きる和歌山北部などは、こうした地下の水の関与が指摘されている。
海外では、人間の水利用が引き金となった例も報告されている。
米南部オクラホマ州では、年に1回ほどしかM3を超す地震はなかったが、10年以降に急増した。
原因は地下資源シェールガスの採掘だ。
採掘時、地下に大量の水を注入して人工的に割れ目を作る。
その廃液を地下深くに戻したため、地震活動が活発化した。
韓国・浦項(ポハン)市の地熱発電所でも17年、地下注水の影響でM5・4の地震が起きた。
【流体構造は全国各地に】
地下の流体構造は日本各地で確認されている。
東北大の趙大鵬(ちょうたいほう)教授(地震学)が地震波を使って調査したところ、阪神大震災(95年)や東日本大震災、熊本地震(16年)の震源域の地下に流体を確認した。
また、加藤さんによると、新潟県中越地震(04年)や新潟県中越沖地震(07年)の震源直下深さ15キロ付近でも流体の存在を示す場所が見つかった。
流体が地盤を変形させ、断層にひずみを集中させたことが、二つの地震を起こした一因と考えられるという。
流体の構造や動きをつかむことは、巨大地震のメカニズム解明にも役立つ可能性があるわけだ。
【能登群発地震を総合調査】
そこで目下、研究の最前線となっているのが能登半島だ。
京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)らの観測によると、石川県珠洲(すず)市の南側で20年12月ごろ、地下に流体が蓄積し始めた。
流体は当初、約2~3キロ四方の広さだったが、半年から1年かけて約10キロ四方に広がった。
2年半で計約3000万トンの水が蓄えられたと推定されるという。
さらに、地下深くから上昇した流体が断層の強度を下げたり、スロースリップを起こしたりしていることを確認。
流体の移動をきっかけにスロースリップが観測されたのは、世界でも珍しいという。
西村さんは「プレート境界で起こる海溝型地震と比べ、能登群発地震のような内陸型地震は発生場所やメカニズムなど未解明な点が多い。次にスロースリップが起きた時、どこで地震が起きやすいか予測する上で重要だ」と説明する。
能登半島では現在、国内19の研究機関による総合調査が進む。
京都大の吉村令慧(りょうけい)教授(地球内部電磁気学)は地磁気と地面の電流を調べ、珠洲市南側の震源域の15キロより深い場所に流体とみられるエリアを確認した。
一連の地震の観測データを比較することで、地震の規模と流体の構造の関係を探る。
富山大の鹿児島渉悟(たかのり)特命助教(地球化学)らは、深さ数十メートル~500メートル付近の温泉水を採取し、流体の起源や成分に迫ろうとしている。
総合調査チーム代表の平松良浩・金沢大教授(地震学)は「近くに火山がなくても、地下に流体のある地域なら、能登半島のような群発地震が起き出す可能性はある。将来の地震発生の可能性を解明する手がかりをつかみたい」と話している。
https://mainichi.jp/articles/20230905/k00/00m/040/112000c
2023年8月12日18時21分にNHK鳥取から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
23年前の鳥取県西部地震で、地盤が陥没する原因となった米子市の地下の排水管をめぐり、鳥取県は、管の内部を塞ぐ方針を決め、12日、平井知事が地元の住民に直接説明し、理解を求めました。
排水管は、農業用として、県が昭和30年代に造った長さおよそ1.8キロの鉄筋コンクリート製のものですが、平成12年の鳥取県西部地震では、管が揺れたことで地盤が液状化して陥没し、50棟近い住宅が全半壊する被害が出ました。
県は、これまで地盤の改良工事などの対策を続けてきましたが、住民の不安がふっしょくされないことから、管の内部を塞ぐ工事を行う方針を決め、平井知事と米子市の伊木市長が地元の住民と面会し、方針を伝えました。
県によりますと、工事の具体的な内容や時期などは未定だということですが、平井知事は「きょうを出発点にして、安心できる住環境を作っていきたい」と述べ、理解を求めました。
これに対し、住民でつくる連絡協議会の吉田会長は、「子や孫に安全な環境を残したいので、早く対策を進めてほしい」と要望を伝えました。
一方で、排水管を塞ぐと雨水などが流れなくなり、別の災害が発生するおそれも指摘されていて、平井知事は「米子市と協力して解決を図っていきたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/20230812/4040015740.html
2023年6月2日17時22分にTBS NEWSから、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
きょう夕方、川崎市の工事現場で建築用のクレーンの先端部が折れ、近くにある電柱の一部に接触しました。
けが人はいませんでした。
午後4時前、川崎市宮前区にある工事現場で「クレーンの先端部が風で折れて電柱のワイヤーに引っかかっている」と、現場監督の男性から110番通報がありました。
警察によりますと、雨による強風の影響で建築作業用のクレーンの先端部が折れ、近くにある電柱の一部に接触したとみられています。
周辺で停電はなく、けが人はいませんでした。
現場は東急田園都市線・宮前平駅前の住宅街です。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/522162?display=1
(ブログ者コメント)
事故当時は線状降水帯に加え、台風2号接近の影響もあって、アクアラインが通行止めになったほどの強風が吹いていた。
2023年5月8日12時0分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
前日から降り続いた大雨の影響で、伊丹市で8日未明、川の堤防が壊れ、これまでに市内の10棟余りで浸水の被害が確認されています。
兵庫県によりますと、堤防が壊れた場所では、川底を強化するための工事を行っていた影響で、川幅が通常の半分ほどまで狭くなっていたということで、詳しい状況を調べています。
県や伊丹市によりますと、8日午前0時50分ごろ、伊丹市荒牧6丁目を流れる天神川の堤防が壊れ、周りの住宅街に水が流れ込みました。
県によりますと、これまでに伊丹市で床上浸水が1棟、床下浸水がおよそ10棟、確認されているということです。
堤防は、およそ30メートルにわたって壊れ、周辺の道路に土砂が流れ込んで、複数の乗用車が埋まる被害も出ています。
県によりますと、堤防が壊れた場所では、川底を強化するための工事を行っていた影響で、川幅が通常の半分ほどまで狭くなっていたということです。
県では、去年3月から工事を始め、このうち川幅を狭めて行う作業は、比較的雨が少ない去年11月から今月にかけて行っていたということで、県は「工事で流水能力が低くなっていたところに想定以上の雨が降り、堤防が決壊した」として、現場で詳しい原因を調べています。
【住民は】
7日夜からの大雨で越水した伊丹市の天神川の流域の荒牧地区に住む40代の女性の自宅では、玄関の扉の下付近まで水が及んだということです。
午前1時ごろ、女性が1階の玄関から撮影した映像では、自宅前の道路に茶色く濁った水が流れ、高さ50センチほどまで及んでいる様子が確認できます。
また、別の写真では、自宅前に止められた自転車や自動車のタイヤの半分ほどが泥水につかっている様子がわかります。
女性は、家族と一緒に、玄関や玄関にたまった泥をスコップや水を切るワイパーなどを使って、外に流し出していました。
女性は「私は寝ていて気づかなかったのですが、起きていた息子が窓を開けたらすごい音がしていて、水位がどんどん上がってくるのを見て、私を起こしにきてくれました。外に出ると膝上くらいまで水が上がってきていて、怖くなって避難所に向かいました。朝の5時に避難場所から家に戻ったときには、水位は足首くらいまでになっていました」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20230508/2020021789.html
今月7日から8日にかけて降り続いた大雨の影響で、伊丹市荒牧を流れる天神川の堤防が壊れ、周りの住宅街に水が流れ込み、住宅10棟余りが浸水したほか、40代の女性が避難する途中に足にけがを負いました。
天神川では、川底を強化する工事が進められていて、通常およそ15メートルの川幅を半分ほどに狭めていたところ、想定を超える雨が降り続き、堤防が壊れたとみられています。
周辺の住民からは「水位の上昇をもっと早く知りたかった」などの声が寄せられたため、県は12日、決壊現場の上流と下流のあわせて2か所に水位を監視するカメラを新たに設置しました。
撮影された画像は、県の専用サイト「兵庫県河川ライブカメラシステム」で、12日から一般公開される予定です。
また、今週末に予想されている雨に備え、県は、堤防が壊れた現場の近くに職員らを24時間配置し、水位が一定以上に上昇した場合は、広報車で、周辺の住民に注意を呼びかけることにしています。
県河川整備課の藤木主幹は「監視体制の強化など安全対策を進めることで、周辺住民の皆さんの迅速な避難行動につなげていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20230512/2020021844.html
2023年5月4日0時45分にYAHOOニュース(mBS NEWS)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午後10時頃から「爆発音があった」「ドンという音がした」「地鳴りがあった」など住民から警察や消防への通報や問い合わせが合わせて20件以上相次ぎました。
警察は周囲のパトロールなどを行いましたが、異変などは見当たらなかったということです。
気象庁や大阪管区気象台などによりますと、神戸市垂水区の沿岸部で午後9時58分にマグニチュード2.3、震源の深さ10キロの地震が観測されました。
また午後10時29分にもマグニチュード1.8、震源の深さ10キロの地震が観測されましたが、いずれも震度1未満だったということです。
震度1未満のため地震速報が出ず、「地震速報が出ていないが、何があったのか」「震度情報がないが、何が起きているのかを知りたい」など、住民などから一時不安の声が相次ぎました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdd5fec661e01138d4a04ce0921f6cd037ac3bb7
2023年1月11日6時24分にNHK山形から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月、鶴岡市で発生した土砂災害で、山形大学の専門家による調査が行われ、現場の多くの岩に亀裂が入っていたことがわかり、専門家は土砂が崩れた現場で地中深くまで風化が進んでいたと指摘しました。
鶴岡市西目で先月31日に起きた土砂災害では、2人が死亡し、住宅などあわせて17棟が倒壊する被害が出て、周辺の住民はホテルなどでの避難を余儀なくされています。
今月8日には、山形大学災害環境科学研究センターの専門家による現地調査が行われました。
調査を行った専門家によりますと、土砂が崩れた現場の地層には泥岩のほか火山岩や砂岩などがあり、多くの岩に亀裂が入っていて、水が浸透しやすい状況だったということです。
こうしたことから、専門家は斜面が崩れた現場では地中深くまで広範囲にわたって風化が進んでいたと指摘しました。
山形大学災害環境科学研究センターでは、現場で採取した土砂に地滑りを起こしやすい鉱物が含まれていたか分析を進めるとともに、周辺の山と比べて風化がどの程度進んでいたかなどを調査し、今後の防災対策につなげていきたいとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20230111/6020016352.html
1月12日18時29分にNHK山形からは、およそ50年前に山の土砂を削りとり、その数年後に宿泊施設が建てられた、現在は開発許可が必要だが当時は不要だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県は、土砂災害が発生した区域が開発された経緯について公表し、およそ50年前に山の土砂が削られ、その数年後に宿泊施設が建設されていたことを明らかにしました。
県は、鶴岡市西目で土砂災害が発生した区域の開発行為の経緯についてまとめ、12日公表しました。
それによりますと、開発行為が行われた時期は、国土地理院の航空写真から、山全体に木が生い茂っていた1972年と、山の土砂が削られていた1976年の間だとしています。
また、この場所に宿泊施設が建てられたのは1982年だったということです。
開発行為の許認可については、県が平成7年に、災害が発生した区域を都市計画区域に指定しています。
開発には、現在なら市の許可が必要ですが、山の土砂が削られたり宿泊施設が建設されたりした当時は、計画の区域外だったため、開発許可は不要だったということです。
また、対象区域の森林について、1ヘクタールを超える開発行為を行う際や、対象区域で岩石を採取する際には、いずれも県の許可が必要ですが、資料が保存期限を過ぎて残っておらず、事実確認できないということです。
一方、1982年に建築された宿泊施設については、工事完了時の検査済証が交付されていたということです。
県は、対象区域の開発行為について、行政上の手続きに問題があったかどうかは資料が残っていないものもあり、事実確認ができないとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20230112/6020016375.html
2022年11月16日18時28分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大雨による災害が起きやすい今年の出水期(6~10月)が終わったことを受け、気象庁は16日、局地的な豪雨をもたらす線状降水帯予報の結果をまとめた。
6月の運用開始から予報を出したのは計13回で、実際に発生した「的中」は3回だった。
予報がなかった見逃しは8回あった。
気象庁は運用前に、的中率を4回に1回程度としていた。
予報は「九州北部」「近畿」など地域単位で発表。
時間帯は幅を持たせ、発生が予測される約12時間から6時間前に出している。
7月18~19日の九州北部を対象とした予報では、山口や福岡、佐賀、大分に相次いで線状降水帯が発生。
また、9月17~19日には台風14号に伴い九州南部・奄美と九州北部に予報を出し、宮崎と熊本で実際に線状降水帯が発生した。
一方、東北や北陸では見逃しが目立った。
気象庁は「過去に発生した事例が少ない地域には知見の蓄積がなく予測の難易度が高かった」と説明する。
気象庁は令和6年に県単位、11年には市町村単位にまで予報の対象地域を絞り込みたい考え。
5年には発生30分前を目標にした「直前予測」も始める方針。
https://www.sankei.com/article/20221116-GYTVMHWFZBJIRE32MTU53SZRVU/
2022年11月14日20時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が地振波の伝わり方イメージ図付きでネット配信されていた。
14日午後5時9分ごろ、三重県南東沖の深さ350キロを震源とするマグニチュード(M)6・1の地震が発生した。
震源に近い三重県などで震度が観測されなかった一方、遠く離れた福島県、茨城県で最大震度4を観測した。
なぜだろうか。
東京大地震研究所の古村孝志教授によると、今回の地震は沈み込む太平洋プレート内で発生した、震源が深い「深発地震」と呼ばれるタイプと考えられるという。
プレート内を揺れが伝わったため、プレートの沈み込み口に近い関東・東北地方を中心に揺れが観測された。
一方、震源の真上にある「マントル」は軟らかく、プレート部分に比べて揺れが伝わりにくいため、三重県などでは人が感じる揺れはなかったとみられるという。
こうした、震源の近くより遠くの地域で大きく揺れる現象は「異常震域」と呼ばれる。
三重県南東沖では数年に1度、M6クラスの地震が発生しており、いずれも今回のように異常震域が生じたという。
深発地震は、震源が浅い地震に比べると、一般的に余震は少ないという。
古村さんは「深発地震であってもマグニチュードが大きくなれば、震度5以上となることもある。今回の地震を機に、備えを再点検してほしい」と話している。
https://www.asahi.com/articles/ASQCG6JYQQCGULBH00L.html
11月14日21時9分に毎日新聞からは、太平洋プレートは本州付近では東にいくほど浅くなっている(それに伴いマントル層は薄くなっている)ので東日本のほうが大きく揺れたなど、下記趣旨の記事が、同じようなイメージ図ならびに震度分布図付きでネット配信されていた。
なぜ震源から遠く離れた東日本で揺れたのか。
「異常震域」と呼ばれる現象が起きたことが、その理由だ。
政府の地震調査委員会の平田直委員長によると、メカニズムはこうだ。
震源付近では陸のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に太平洋プレートが沈み込んでいる。
今回の地震は震源が非常に深く、太平洋プレートの内部で発生したとみられる。
地震波は、プレートの中では伝わりやすいが、他の部分では減衰しやすい特徴がある。
太平洋プレートは本州付近では東に行くほど浅くなっており、太平洋プレートと接する陸のプレートに地震波が伝わりやすかった。
このため、震源に近い中部地方よりも、東日本の方が大きく揺れたとみられる。
異常震域のあった地震は過去にも起きている。
2019年7月には三重県南東沖の深さ約390キロでM6・6の地震があり、宮城県で震度4を観測した。
東海から日向灘に至る海域では、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で起こるM8~9の「南海トラフ地震」の発生が想定されているが、今回の地震はその境界面よりもかなり深い場所で、直接の関係はないという。
平田さんは「異常震域の地震は時々起こるもの。一般的に深いところで起こる地震は余震が少ないが、まれに、続いて同規模の地震が起こることがある。強い揺れを感じた場所では、引き続き強い揺れになることに気を付けた方がよい」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20221114/k00/00m/040/226000c
2022年10月24日12時17分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
根室沖の千島海溝沿いで行われた観測で、陸側と海側のプレートの境界の浅い部分に固着しているとみられる領域があるとする研究結果を東北大学などの研究グループがまとめました。
この領域ではひずみがたまって巨大地震を引き起こすおそれがあるとして、今後さらに観測や解析を進めるとしています。
東北大学や北海道大学、海洋研究開発機構の研究グループは3年前から根室沖の千島海溝沿いにある海側のプレートが陸側のプレートに沈み込む境界を挟むように海底基地局を3か所設置し、洋上の船から音波を送って跳ね返る時間を測定することで海底の変動を観測しました。
その結果、3つの基地局はいずれも1年間に7センチ程度陸側に移動していることが観測されました。
このため研究グループは、この領域ではプレートどうしが固着していると見られるとしています。
この領域ではひずみがたまって巨大地震を引き起こすおそれがあるとして、研究グループは来年以降も観測を続け、解析を進めるとしています。
調査にあたった東北大学災害科学国際研究所の富田史章助教は、「プレートの境界の浅いところで固着している場合、東日本大震災の時のような巨大地震と大津波が懸念されることになり、注意が必要だ」と指摘しています。
この研究結果は、24日から札幌市で開かれている日本地震学会で発表されます。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20221024/7000051796.html
2022年9月15日18時9分にNHK石川から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
突発的に潮の流れが速くなる「急潮」と呼ばれる現象で、福井県越前町では定置網が破損する被害が広がっていて、漁獲量にも影響が出ています。
「急潮」は、台風や低気圧の通過後などに沿岸部の潮の流れが突発的に速くなる現象です。
この影響で、福井県越前町の米ノ漁港では、7月中旬に沿岸に仕掛けた定置網が破損したり、網を固定するロープが切れたりする被害が相次ぎました。
漁港の定置網組合は、予備の網を使って漁を再開していますが、8月までの水揚げ量は去年の3割ほどにまで落ち込み、15日に予定していた漁も潮の流れが速いため中止となりました。
また、越前町の小樟漁港では、急潮によって定置網全体が壊れ、8月中旬以降はまったく漁に出られていません。
年内の漁の再開は難しく、漁港の関係者は来年春の再開を目指して、網を固定する土のうの準備に追われていました。
小樟定置網組合の榎太船頭は、「35年ほど船に乗っているが、こんなことは初めてだ。台風なら備えができるが、急潮はいつ来るかわからず、対策の取りようがない」と話していました。
越前町漁業協同組合によりますと、両港あわせた復旧の費用は少なくとも2億円を超える見通しだということで、漁獲量の減少は避けられない状況となっています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kanazawa/20220915/3020012760.html
(ブログ者コメント)
ネット調査結果、「急潮」現象は福井県に限らず、全国各地でみられる現象。
海保からも急潮情報が出されていた。
以下は福井県を含む日本海側の例。
(2022年9月29日 修正1 ;追記)
2022年9月27日16時7分にNHK福井からは、日本海の暖流が例年より速いことに台風14号も重なって急潮がたびたび発生している、県も復旧支援を検討するという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
突発的に潮の流れが速くなる「急潮」と呼ばれる現象で沿岸部の定置網漁に被害が広がっている問題で、県内の漁業団体は県に対し、復旧費用の補助などの支援を要望しました。
「急潮」は、台風や低気圧の通過後などに沿岸部の潮の流れが突発的に速くなる現象です。
県内の沿岸部では、ことしの夏以降、日本海の暖流が例年よりも速いことに加え、9月中旬の台風14号も重なって急潮がたびたび発生していて、沿岸に仕掛けた定置網が破損したり、網を固定するロープが切れたりする被害が広がっています。
このため、福井県定置漁業協会の坂下会長理事らが27日、県庁を訪れ、急潮によって破損した定置網のロープやうきなどを復旧する費用の補助や、突発的な急潮を予測するための海流研究の推進などを県に求めました。
要望書を受け取った櫻本副知事は、「台風14号の被害も含めて実態の把握を急ぎたい。今回の急潮は海中の自然災害と呼べるもので、台風や大雨による被害と同様に、復旧に向けた支援を検討したい」と応じていました。
要望のあと、坂下会長理事は、「漁具が傷んで水揚げもなく収入源がない状態で、復旧もすべて自己負担となると定置網漁をやめてしまう漁業者も出かねない。地場産業を守っていくために、県や国の支援をお願いしたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20220927/3050012588.html
2022年9月7日18時3分にYAHOOニュース(青森放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月の大雨被害を受けて、停電対策の強化です。
東北電力ネットワークは、浸水した変電所などについて、かさ上げ工事などの対策を進めていく考えを示しました。
東北電力ネットワークによりますと、先月9日からの大雨被害で電柱が折れるなどして、県内では11の市町で延べおよそ1万2,000戸が停電しました。
このうち、およそ3分の2を占める7,800戸については、中泊町の十三湖変電所が1メートルほど浸水したことが停電の原因でした。
このため十三湖変電所を含めて、浸水リスクが高い変電所については、ハザードマップなどを確認しながら必要性や優先順位などを検討し、今後、かさ上げ対策などを進めていきます。
東北電力ネットワーク青森支社 菊地支社長:
「だいぶ気象状況も変わってきていますので、状況を見ながら浸水対策工事については前向きにやっていく」
県内の停電はすべて復旧していますが、深浦町の一部地域では電源車を使った電気の供給が続いており、東北電力ネットワークは設備の本格復旧に取り組みます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c7a8539ed4cfe36420179ce856e391dad3838caa
9月8日13時47分に読売新聞からは、浸水して遮断機などの機器が壊れた、当該変電所はハザードマップの浸水エリアには含まれていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東北電力ネットワークは7日、津軽地方を中心に8月9日に降った大雨で、青森県内延べ約1万2000戸が停電し、うち約7800戸は十三湖変電所(中泊町)の浸水が原因だったと明らかにした。
今後、浸水対策工事に取り組むという。
大雨では、土砂崩れや河川の氾濫により電線の断線や電柱の倒壊があった。
停電は8月9日から弘前市や黒石市など津軽地方の9市町と、むつ市、田子町で発生。
十三湖変電所は高さ約1メートルまで浸水して遮断機などの機器が壊れたため、中泊町、五所川原市、つがる市の一部で電気が止まった。
停電は16日までに解消したが、深浦町の約50戸には現在も高圧電源車で電気を供給している。
東北電ネットワークの菊地・青森支社長は7日の定例記者会見で、十三湖変電所が中泊町の洪水ハザードマップの浸水エリアに含まれていなかったと釈明したが、「浸水しないような設備に変えていかないといけない」と述べた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220907-OYT1T50297/
8月23日付で電気新聞からは、記録的な大雨だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
記録的な大雨の影響で、青森県西部では8月上旬から中旬にかけて、河川氾濫や土砂災害が相次いだ。
至る所で道路や田畑が冠水。
電力設備も大きな被害を受けた。
倒木や土砂崩れで電柱・電線が倒壊したことに加え、今回は地域の電力を支える変電所が浸水し、機能を失った。
その結果、停電の範囲が「点ではなく面で広がった」(東北電力ネットワーク)。
大雨がもたらした「想定外」の設備被害を取材した。
・・・
https://www.denkishimbun.com/archives/225599
(ブログ者コメント)
以下は中泊町のハザードマップ。
下記の説明書きがあった。
『総合的な洪水ハザードマップを令和3年3月に作成しました。水防法に規定される最大規模の降雨に伴う洪水により、岩木川、金木川が氾濫した場合と、200年に一度の大雨に伴うため池決壊の場合をシミュレーションにより予測したものです』
https://www.town.nakadomari.lg.jp/soshikikarasagasu/somuka/gyomuannai/1/2/1/1018.html
以下は当該変電所付近の地図。
両図を見比べれば、当該変電所は薄ピンク色の浸水エリアからギリギリ外れているように見える。
逆に言えば、十分に安心できる場所ではなかったという解釈も可能。
しかし、他にも危険個所は沢山あるだろうから、対策の優先順位は下の上ぐらいだったのかな?といった感触を持った。
以下は、グーグルストリートビューで見た当該変電所。
十三湖とは、ほぼ平地状態でつながっている感じだ。
2021年10月25日に掲載した第2報がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正6として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/12024/
(2022年7月7日 修正6 ;追記)
2022年6月30日7時0分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、盛り土の近くで工事していた男性が2014年に県に対し危険性を4回訴えていたが県は消極的な姿勢のままだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熱海土石流災害からまもなく1年。
多くの命を奪ったこの災害を10年近く前に、ある男性が予言していました。
盛り土崩壊の危険性を訴える声は、なぜ、届かなかったのか。
防げたかもしれない、土石流の真相に迫ります。
(熱海土石流が起こる前、2014年に静岡県の担当者と交わされた災害を予言する音声)
<男性> :
「伊豆山の災害はケタが違いますよ。もっと上層部で動かなきゃ無理でしょう」
<静岡県の担当者> :
「伝わってないところもあるものですから」
<男性>:
「緊迫感が違いますよ。人災になりますよ、あれは。いま、手を打たなければ」
熱海土石流が起きる前、2014年に静岡県の担当者と交わされた災害を予言する音声です。
この会話を録音した男性は、土石流で崩れた盛り土近くで工事をしていました。
<男性> :
「これは絶対にこれから先に何かあった時に証拠がなければ、『私があの時訴えたじゃないですか』と言っても笑われるだけだと思ったから録ったんです」
熱海土石流災害では27人が死亡、いまだに1人が行方不明となっています。
起点にあったのが被害を甚大化したとされる違法な盛り土でした。
その造成を申請したのが、神奈川県小田原市の不動産会社代表のA氏です。
<不動産会社代表 A氏> :
「世界の熱海よ、いかにロマンチックな別荘地をつくろうか僕は考えた」
音声を録音した男性は2000年代にA氏のもとで働いていました。
男性は主に盛り土に隣接する宅地造成地の整備を担当していて、盛り土の造成には関わっていないといいます。
しかし、ある出来事をきっかけに、「盛り土」の危険性を訴える使命感に駆られます。
土砂に飲まれ動けなくなった重機。
今から13年前の2009年、盛り土の現場が大きく崩れました。
盛り土を造成していた別の業者を助けるために、男性は現場に駆け付けました。
<A氏のもとで働いていた男性>:
「こんなに土砂崩れって起きるんだと思うくらい。いや、もう悲惨ですよ。この写真見た通りですよ」
土の固め方が甘く、排水対策も不十分。
土木業に携わる人ならすぐに危険と分かる現場だったといいます。
しかし、その後も木くずなどのごみを含んだ土砂が搬入されるなど、適切な安全対策がとられないまま、盛り土は規制の15mを超えて、およそ50mの高さにまで積みあがったとみられています。
<A氏のもとで働いていた男性> :
「ただ怖いな、あの水が下をくぐってどんどん浸透したら、でかい災害になるなって。もう危険だから、崩れたら大変なことになるというのはわかる」
熱海市は安全対策を求めて、A氏に再三の指導をするも、結局、強制力のある措置命令を出さないまま。
静岡県も事態を把握していながら、消極的な姿勢でした。
今から8年前の2014年8月、広島市に大雨が降り、大規模な土砂崩れが発生。
死者は77人にのぼりました。
この翌日、男性は盛り土の危険性を訴えるため、静岡県に上申書を提出したといいます。
<A氏のもとで働いていた男性>:
「私、これ読んで帰りますからちょっと聞いてください。昨日の広島の災害事故のニュースを見ても、いまさら同じことが、伊豆山の不法投棄によって起ころうとしています。もし私の訴えが軽んじられるようであれば、昨今の異常気象によって大災害が起きたら、これはまさに一市民の訴えに耳を貸さなかった行政の怠慢による人災と言わざるを得ません。私、この上申書を置いていきますから、これであとやってください」
<静岡県の担当者>:
「県を通して県から告発する方法もあるけど、直接警察に行ってもらう方が手っ取り早いというか、早いですよという話はしました」
<A氏のもとで働いていた男性> :
「なぜ、私が警察に行かなきゃならないんですか。これを指導するのはおたくたちじゃないんですか?もっと上層部で動かなきゃ無理でしょう。これみんな土砂崩れじゃないですか。緊迫感が違うんだ」
<静岡県の担当者> :
「伝わってないところもあるものですから」
<A氏のもとで働いていた男性>:
「緊迫感が違いますよ。人災になりますよ、今手を打たなければ」
「1回だけじゃない。4回行っているんですよ。やる気がないんだなっていうのはわかった。面倒くさいんでしょうね」
静岡県はSBSの取材に対し、 ▽上申書を受けとった認識はない ▽男性の相談を受けたのは廃棄物の不法投棄を扱う部署だったため、伊豆山の危険性については重く捉えられていなかったと回答。
さらに、当時の静岡県の記録にはこのように記されていました。
<県の公文書>
「男性が自身の主張をほぼ途切れなく繰り返すとともに、話の方向性が途中飛ぶなど、支離滅裂な感が認められた」
<A氏のもとで働いていた男性> :
「本日で貴方たちに訴え出ることはしません。『これで最後です』と言って引きあげたけど、あれを最後にしなければよかった。その後もまだやってないのか?まだやってないのか?としつこくやればよかったと思う」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e1f9aac9c9c3043d23a68109803e2e29268c8028
※動画はユーチューブでも配信されている。
https://www.youtube.com/watch?v=S5fzL8u1D5Y
2028年4月28日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がイラスト付きでネット配信されていた。
南太平洋のトンガ沖で1月に発生した海底火山の噴火により、日本各地で起きた潮位の上昇。
その「正体」はよくわかっていなかったが、気象庁は4月にまとめた報告書で、「ラム波」という大気中の現象が原因の一つだとした。
いったいどんな現象なのか。
日本時間の1月15日、フンガ・トンガ・フンガ・ハアパイ火山が、噴煙が高さ30キロに達する大規模な噴火を起こした。
その約8時間後から日本の太平洋沿岸で潮位変化が観測され、鹿児島県奄美市や岩手県久慈市で1メートルを超えた。
気象庁は16日未明、太平洋沿岸の各地に津波注意報や津波警報を発表。
養殖施設の損傷や漁船約30隻が転覆するなどの被害が出た。
●津波と異なる特徴
不思議だった特徴が二つある。
(1)最初の潮位変化が、通常の津波の到達予測よりも3~4時間早かった
(2)それより遅れてきた潮位変化のピークは、トンガ近くの太平洋の島国よりも、約8000キロ離れた日本の方が大きかった
ことだ。
気象庁は記者会見で「通常の津波ではない」と強調。
「メカニズムはわからない」と繰り返す異例の発表をした。
気象庁は火山や地震の専門家らでつくる勉強会を設置して2カ月間検討を重ね、4月7日に報告書を公表した。
それによると、最初の潮位変化の原因はラム波だと考えられるという。
今回の噴火のラム波を解析した、東大地震研究所の西田究(きわむ)准教授(地震学)によると、大爆発などに伴って生じた気圧の波が、水平方向に同心円状に広がる現象がラム波だ。
大気中を垂直な「板」のように伝わるのが特徴だ。
1883年のインドネシア・クラカタウ火山の噴火や、1961年に旧ソ連が行った世界最大の水爆「ツァーリ・ボンバ」(広島原爆の3300倍)の核実験でも観測された。
なぜ大きなラム波が生じたのか。
山梨県富士山科学研究所の石峯康浩主幹研究員(火山物理学)は、噴火が海中だったため、浅い海でマグマの熱が海水を一気に蒸発させ、急激に膨張したことが作用した可能性を指摘する。
西田さんは、噴煙高度が成層圏(高度10キロ以上)まで達したことで、周囲の大気との温度や圧力の差が大きくなり、膨張の効果を高めたことも要因だったとみている。
ラム波はほぼ音速で伝わる性質があり、通常の津波の速度よりも速い。
日本ではラム波の到達と同じころに約2ヘクトパスカルのわずかな気圧上昇が観測された。
これに30分~1時間遅れて潮位上昇が始まっており、ラム波が海面を水平に押して潮位が変化したと考えると、うまく説明できるという。
ただ、この程度の気圧上昇で起きる潮位変化はわずかだとみられる。
なぜ日本で大きくなったかは、まだわからないことが多い。
●海の波と「共鳴」一因か
報告書は、いくつかの複合的な要因が関わった可能性を指摘している。
その一つが「共鳴」だ。
海は、その深さに応じて波が伝わりやすい固有の速度があり、津波もこの速度で伝わることが知られている。
気圧の波の速度がこれに近くなると、気圧の波と海の波が「共鳴」して増幅される。
この現象は日本でも知られており、長崎湾で海面が数十センチ振動する「あびき」などが代表的だ。
これ以外にも、
▽浮力で上空に持ち上げられた重たい空気が元に戻ろうとする上下振動が伝わって起きる「大気重力波」
▽噴火で海の地形が変化して起きる「火山性津波」
▽日本に到達した潮位変化が、湾の地形で増幅された
などが考えられている。
ただ、一般的な共鳴を起こすには、ラム波の速度は津波の速度よりも速すぎるという。
大気重力波は速度が遅く共鳴を起こしやすいが、今回はラム波ほどはっきりとは、観測されていない。
火山性津波も広く伝わったとは考えにくい。
このため、これらの要因がどの程度かかわったのか、現時点では見積もることができていない。
報告書を受け、気象庁は海外の大規模噴火に伴う情報発信の際、暫定的に、ラム波の速度を参考にした津波の到達予想時刻の公表を始めた。
勉強会では今後、大規模噴火が起こった際の情報発信のあり方を検討する。
西田さんは「海底噴火が立て続けに起きている。水蒸気が多い噴火の場合、どういった現象を引き起こすのか、理解しておくことが重要だ」と指摘する。
石峯さんは「日本周辺には、海底火山や活火山の海洋島などが多くある。火山噴火が津波を引き起こす可能性があることを認識し、観測態勢を拡充すべきだ」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20220428/ddm/016/040/010000c
(ブログ者コメント)
ラム波については今年4月15日にも本ブログで情報を紹介している。
2022年4月27日10時0分に読売新聞から下記趣旨の記事が、説明イラストやフレアの写真付きでネット配信されていた。
通信障害などをもたらす恐れのある太陽表面の爆発現象「太陽フレア」について、総務省の有識者会議は26日、被害想定や対策を盛り込んだ報告書案をまとめた。
最悪のケースでは、一時的に携帯電話が使えなくなるほか、広域停電が発生する可能性もあると指摘し、企業や行政に注意を促す警報制度の強化が必要だと指摘した。
【最悪シナリオ】
「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」が公表した報告書案では、100年に1回の頻度で起きるとされる大規模なフレアが2週間連続で発生する「最悪シナリオ」を想定。
携帯電話が不通になるほか、110番や119番通報がつながりにくい事態が各地で発生するとした。
人工衛星に不具合が生じ、天気予報の精度の低下や全地球測位システム(GPS)の精度も低下する。
位置情報には最大数十メートルのずれが生じ、カーナビゲーションにも大きな影響が出る可能性があるという。
航空機は衛星測位を頼れなくなるため、世界的に運航の見合わせや減便が多発することも想定されるとした。
未対策の電力設備では誤作動が起きるため、広域停電が発生する恐れがあることも指摘した。
【近年も被害】
フレアなどの被害は、これまでにも確認されている。
1989年にはカナダで約600万人が影響を受ける大規模な停電が発生。
今年2月には、米宇宙関連企業「スペースX」が打ち上げた人工衛星49基のうち、40基が大気圏に突入する被害が起きている。
総務省などによると、太陽の活動は約11年周期で活発化を繰り返している。
次回の活動のピークは2025年頃に到来すると予測されている。
ただ、フレアの影響は産業界でもリスクとして十分に意識されておらず、一般向けの周知も進んでいないのが実情だ。
【宇宙天気予報士】
報告書案では、太陽の活動状況に関する予報や情報発信の強化を盛り込んだ。
総務省が所管する「情報通信研究機構(NICT)」が現在も警報を出しているが、ウェブサイトやメール配信以外にも手段の多様化を進めるべきだと指摘した。
NICTに「宇宙天気予報オペレーションセンター(仮称)」を設置し、太陽の活動で起きる「宇宙天気現象」を予測する力を強化するよう求めた。
専門知識を持つ人材の育成や、「宇宙天気予報士」制度の創設も掲げた。
◆太陽フレア
太陽の表面に黒く見える「黒点」周辺で起こる大規模な爆発。
電気を帯びた粒子を含む高温ガスや強いX線などが放出される。
この影響で地球周辺の磁気が乱され、通信障害や人工衛星の故障などが生じる可能性がある。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220426-OYT1T50241/
(2022年5月17日 修正1 ;追記)
2022年5月11日5時0分に日本経済新聞からは、被害の最悪シナリオは5分野で描かれた、1859年に最大規模のフレアが発生したが当時は影響を受ける設備が少なかった、数千年に一度スーパーフレアが発生するとする研究もあるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
太陽表面の爆発現象である「太陽フレア」。
その規模や発生位置によっては、電力システムや人工衛星などの社会インフラに深刻な損害を与える可能性がある。
総務省の検討会が被害シナリオをまとめるなど、日本でも対策に動き出した。
半面、将来発生する恐れがある超大型の「スーパーフレア」への対応は手つかずのままだ。
【災害対策基本法の適用を検討へ】
「カーナビゲーションや自動運転で衛星測位の誤差が生じて衝突事故が発生する」
「電力システムで保護装置が誤作動して広域停電が発生する」
「消防や警察、タクシーの無線が全国的に約2週間、断続的に使えなくなる」
――。
太陽フレア対策を議論している総務省の「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」がまとめた被害シナリオの一部だ。
太陽フレアの被害が想定される「通信・放送・レーダー」「衛星測位」「衛星運用」「航空運用」「電力分野」の5分野で、日本で考えられる「最悪シナリオ」を描いた。
【1859年に最大規模のフレア】
太陽フレアの発生の仕方は地震と似ている。
小規模のフレアは頻繁に発生し、規模が大きくなるほど発生間隔が長い。
これまで知られている最大規模の太陽フレアは1859年に発生した。
このとき起きた大規模な磁気嵐は、太陽フレアを観測した英国の天文学者リチャード・キャリントン氏にちなみ「キャリントン・イベント」と呼ばれている。
この時のフレアは100年に1回ほどの頻度で発生する規模のフレアだったとされる。
総務省検討会の最悪シナリオは、この時と同等か、一定程度上回る規模のフレア発生を想定したものだ。
1859年当時は、モールス符号などを使った有線の電信や電報サービスが主体だった。
欧州や米国の電報サービスが広範囲で停止し、電信用の鉄塔が火花を発し、電報用紙が自然発火したといった記録も残っている。
ただ、太陽フレアの影響を受けやすい社会インフラがほとんどなかったため、被害はまだ限定的だった。
【衛星・通信、送電に被害拡大】
その後に電話や無線通信が登場。
電力送電網が広がり、人工衛星が打ち上げられた20世紀になると、太陽フレアの被害が頻繁に起きるようになる。
1989年3月に発生した太陽フレアの規模はキャリントン・イベントの10分の1程度だったが、送電システムの損傷でカナダ・ケベック州周辺で約9時間の停電が発生し、約600万人に影響が出た。
このころから、地球を周回する人工衛星の被害も目立ってくる。
2003年10月末からの「ハロウィーン・イベント」と呼ばれる太陽活動の活発期には、日本の環境観測技術衛星「みどり2」が観測不能になるなど、人工衛星への被害が多数報告された。
2月には米宇宙企業スペースXが衛星通信ネットワーク「スターリンク計画」用に打ち上げた衛星49基中40基が太陽フレアの影響で運用高度に到達せずに失われる事故が起きた。
スターリンク計画をはじめアマゾン・ドット・コムの「カイパー計画」など、多数の小型衛星による通信網をつくる計画が動き出しているが、こうした大量の衛星でつくる通信ネットワークは、太陽フレアの脅威と隣り合わせの状態にあるともいえる。
【地球への影響は3段階】
太陽フレアは時間を追って3段階で地球に影響を与える。
フレア発生8分後にはエックス線などの電磁波が地球上空に達する。
30分~2日後には太陽高エネルギー粒子と呼ばれる放射線が到達する。
発生数日後には太陽表面から猛烈な勢いで飛び出したコロナガスの塊(プラズマ)がやってくる。
地球大気や地球磁気圏とよばれる磁気シールドが太陽活動の影響を遮断するバリアの役割を果たしているが、フレアの規模が大きいと影響は避けられない。
地球上では電力システムや光ファイバー回線など通信インフラの密度が増し、人工衛星はこうしたバリアの外にある。
今後、有人宇宙活動が活発になる中で、飛行士の被曝(ひばく)リスクにも注意を払う必要がある。
【スーパーフレアでデジタル社会崩壊も】
総務省検討会の最悪シナリオでは「100年に1回またはそれ以下の頻度」のフレアが想定されたが、将来、これを上回る規模の「スーパーフレア」が発生する可能性が科学者の間で議論されている。
名古屋大学の研究グループは、奈良時代後半の774~775年と、その約200年後、平安時代の993~994年に巨大な太陽フレアが地球を襲った痕跡を、屋久杉の年輪試料から発見している。
その規模はキャリントン・イベントの10倍から数十倍規模とみられている。
スーパーフレア発生の可能性は宇宙観測データからも推測されている。
京都大学の研究グループは、太陽と似たタイプの星の観測をもとに、スーパーフレアが数千年に1度の頻度で発生する可能性があるとする研究をまとめている。
スーパーフレアが地球を直撃した場合、人工衛星の大半が喪失するといった事態が容易に予想される。
人類が築きつつあるデジタルインフラが一夜にして崩壊するというシナリオは、決して絵空事と片づけることはできない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0616R0W2A500C2000000/
(ブログ者コメント)
2022年5月12日放映のNHK「コズミックフロント」でもスーパーフレアが取り上げられ、フレアは太陽で発生している磁力線が接触した場所で起きるとか、フレアは大きさにより名前がつけられているなど、様々な情報が報じられていた。
以下は、コレはと感じた情報画面の抜粋。
(2022年6月22日 修正2 ;追記)
2022年6月21日22時31分にYAHOOニュース(ITmedia NEWS)からは、総務省は報告書の中の最悪シナリオを公開したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
携帯電話はつながらず、自動運転車は事故を起こし、大規模停電も──
総務省は6月21日、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」の報告書の中で大規模な太陽フレアが発生した場合の「最悪のシナリオ」を公開した。
100年に1回かそれ以下の頻度で発生する規模の太陽フレアを想定。
対策をしていない場合、無線システムやGPSを中心に多大な影響を受け、2週間に渡って断続的に利用できない状態になるという。
例えば携帯電話は、昼間に数時間程度のサービス停止が全国の一部エリアで発生する。
その影響で回線の輻輳(ふくそう)や通信途絶が起き、110番などの緊急通報を含む全ての通信がつながりにくくなる。
ネット接続も困難になる。
GPSは測位精度が大幅に落ち、自動運転車やドローンの位置情報に最大で数十mのずれが生じて衝突事故も。
地域の防災行政無線や消防無線など、VHF帯やUHF帯の周波数を使う無線システムも同様で、公共サービスが維持できなくなる。
電力インフラも止まる可能性がある。
太陽フレアで噴出したガス(プラズマ)が磁場を伴い地球に到達すると地球の磁気が乱されることがあり(=磁気圏じょう乱)、地磁気誘導電流が発生すると、対策していない電力インフラは保護装置が誤作動して広域停電が発生する。
報告書では、過去に発生した大規模停電などを挙げ、国や関連企業・団体、学術界はリスクを理解して対策を講じるべきと結論付けた。
特に通信、放送、電力、航空、宇宙・衛星システムの関連企業は「行動に着手する必要がある」としている。
報告書では情報通信研究機構(NICT)が進めている宇宙天気予報の高度化について「世界トップレベルの研究拠点を形成しつつ、企業が抱える課題の解決支援を行うべき」と後押し。
中心となる「宇宙天気予報オペレーションセンター(仮称)」の創設を提案した。
NICTは1952年から太陽活動など「宇宙天気」の観測を行っており、1988年からは「宇宙天気予報」として観測結果を配信している。
2017年9月に発生した大規模な太陽フレアの際も、関係事業者への注意喚起などを行った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cafeb194e353e6fbbf913c1b478947fb519c887c
(ブログ者コメント)
他のメディアからは、次の太陽の活動ピークは2025年ごろと予測されているという報道もあった。
2022年4月7日11時38分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
南太平洋・トンガ近海の海底火山で1月に発生した大規模噴火に伴う津波について、気象庁は7日、噴火による空気の振動で生じた「気圧波」に海面が押されたことなどが発生原因だとする有識者会議の報告書を公表した。
気象庁は今後、噴煙の高さが5万フィート(約15キロ・メートル)に達する大規模噴火が発生した場合、最初に到達する気圧波の到達予想時刻を津波の到達予想時刻として発表し、津波への警戒を呼びかける。
報告書によると、トンガの大規模噴火では、音速に近く最も速い秒速約300メートルの気圧波(ラム波)が同心円状に発生。
日本に届くまで海面を押し、波をつくったという。
さらに後続の気圧波が海面を押して進む一方、海の波と共鳴し、津波を一層高くした可能性があると指摘した。
同庁は今回、津波警報の発表が遅れたことから、津波発生のメカニズムを調べていた。
有識者会議の佐竹健治座長(東京大地震研究所長)は、「遠くで噴火などが発生した場合、揺れを体感しなくても津波が来ることがある。注意してもらいたい」と呼びかけた。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20220407-OYT1T50128/
4月7日12時37分にNHK東北からは、最大波高が1mにもなったのは海の深さや地形が関係したと考えられるが特定はできなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ことし1月、南太平洋・トンガの海底火山で起きた大規模噴火の影響で、東北を含む各地の沿岸で潮位変化が観測されたことを受け、気象庁は、専門家による会合でメカニズムについて報告書をまとめました。
潮位変化が起きたのは噴火の衝撃による気圧波が影響していると結論づけましたが、被害を及ぼすほど潮位が高くなった理由については、「複合的な要因が考えられ、今後も調査・研究が必要だ」としています。
トンガの海底火山でことし1月に起きた大規模な噴火では、日本各地の沿岸で数センチから1メートル余りの潮位変化が観測され、船や養殖施設などに被害が出ました。
当初、気象庁は「多少の潮位の変化があるかもしれないものの、被害の心配はない」と発表しましたが、深夜になって北海道から沖縄の広い範囲に津波警報や注意報を発表し、混乱もあったことから、専門家の会合でメカニズムを検討しました。
今回まとまった報告書では、地震によって起きる津波が伝わるより4時間程度も早く潮位変化が観測された要因について、噴火の衝撃によって生じた気圧波が速く伝わり、気圧が急激に変化したためだと結論づけました。
一方、最大で1メートルを超える高さに達した理由については、水深の深い場所で気圧波による影響が大きくなる現象が起きたり、湾などの地形で局地的に増幅されたりといった複合的なものだと考えられるものの、何がどの程度影響したのかまでは特定できず、今後も調査・研究が必要だとしています。
報告書を受けて、気象庁は、海外で規模の大きな噴火が起きた際、潮位変化の具体的な予測はできないものの、変化が始まると予想される時間や地域を伝えることになりました。
潮位変化が観測され、基準に達した場合は津波警報や津波注意報を発表するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/tohoku-news/20220407/6000018897.html
2022年3月27日18時10分にmBS NEWSから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年7月に川内川の支流・春田川が氾濫し、薩摩川内市中心部の24ヘクタール・142棟が浸水した豪雨災害では、川内川河川事務所が管理する排水ポンプ2基のうち、1基が当初、2時間半に渡って作動していませんでした。
27日、川内川河川事務所は排水ポンプについて「操作要領通り操作ができていれば浸水被害を大幅に低減できた」として責任を認め、住民らに国家賠償法に基づく賠償金を支払うと表明しました。
(川内川河川事務所 杉町所長):
「あらためてお詫び申し上げたい。再発防止にむけポンプの改良など取り組む」
国は今後、被害金額の確認などを行い、早ければ来年春にも賠償金の支払いを始める方針です。
https://www.mbc.co.jp/news/article/2022032700055330.html
※昨年2021年11月25日9時30分に朝日新聞からは、ポンプを操作する担当者に事前に大雨に関する予報が適切に伝えられていなかったため、到着とポンプの作動開始が遅れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省川内川河川事務所と鹿児島県、薩摩川内市は23日、7月10日の大雨で川内川の支流・春田川近くの排水ポンプが一時作動しなかった問題を検証する委員会を開き、ポンプが正常に運転されていれば浸水被害は大幅に軽減できた可能性があるとのシミュレーション結果を報告した。
この大雨では、JR川内駅近くの市街地約24ヘクタールが水にひたり、住宅など142棟で浸水被害がおきた。
当時はポンプを操作する担当者に事前に大雨に関する予報が適切に伝えられず、排水機場への到着とポンプの作動開始が遅れ、不具合にもつながった。
シミュレーションでは、ポンプが操作要領どおり運転できた場合、春田川の水位は下がり、浸水被害は大幅に解消されるとした。
これを受けて、今後は大雨が予想される場合は事前に市の担当課が操作員へ出動の可能性を伝え、ポンプの運転状況などの情報も国と共有して態勢を強化することなどを提案した。
https://www.asahi.com/articles/ASPCS6VH4PCRTLTB00X.html
※昨年、2021年7月31日9時30分に朝日新聞からは、あちこちで同時多発的に冠水したので広報には限界があったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省川内川河川事務所は29日夜、市国際交流センターで住民説明会を開き、トラブルを陳謝した。
今後、管理を委託する市に県も加え、有識者を含めて原因究明と改善策の検討を進めるという。
「防災無線などの広報が一度もなかった。もう少し早く状況を伝えてくれたら、被害も軽減されたのではないか」。
説明会には、浸水被害があったJR川内駅周辺の自治会長ら20人ほどが出席。
大雨の当日朝に春田川の水を川内川に排出するポンプの不具合が直ちに知らされなかったことへの疑問の声が相次いだ。
川内川河川事務所と市によると、10日未明、春田川下流にある向田排水機場で、主ポンプへ空気を送るための真空ポンプから水が噴出していた。
業者を呼んで点検する間の約2時半、2基のうち1基を作動させられなかったという。
9日から10日の大雨では、県内では人的被害は無かったものの、4市2町で住宅被害があった。
春田川も未明から水があふれ出し、周辺の市街地約24ヘクタールが濁流に浸り、142棟が浸水などの被害にあった。
ポンプの不具合が浸水に与えた影響について、川内川河川事務所は「しっかり検証し、結果に的確に対応していきたい」と述べた。
この日の同事務所と市の説明からは、当時、ポンプの状況に関する情報共有が関係機関の間で必ずしも図られておらず、住民への情報提供に至らなかった側面も浮き彫りになった。
市は、「市内のあっちこっちで同時多発的に冠水し、(ポンプの不具合を)広報するのは少し限界もあった」と説明した。
https://www.asahi.com/articles/ASP7Z6VJ1P7ZTLTB004.html
※昨年、令和3年7月29日付で河川事務所から、当時の状況が詳しいイラストや写真付きで公表されていた。
https://www.city.satsumasendai.lg.jp/www/contents/1627630962884/simple/12.pdf
2022年3月9日5時0分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
未曽有の巨大地震となった東日本大震災からまもなく11年。
大地震の数日前に場所や日時、規模を特定する「予知」が困難なことは大方の科学者が認めており、政府は発生確率などを示す「予測」に軸足を移している。
有力な研究者が集まる地震予知連絡会は、「地震予報の実用化」を、今後重点的に取り組む研究テーマに掲げた。
どんな予報で、実現性はあるのか。
【震度4以上、的中率は8割】
「○○県では今後1年以内に震度4以上の地震が起こりやすい」
滋賀県立大学環境科学部の小泉尚嗣教授らが提案しているのが、こんな「地震予報」だ。
1年先までに震度4以上の地震が起きる確率を都道府県ごとに計算し、70%以上なら「赤」、30~70%未満は「黄」、30%未満なら「青」と、信号の色のように予報を出す。
有力な地震学者や研究機関で構成する地震予知連絡会も、この手法を重点課題に掲げて、信頼性などをチェックしてきた。
2021年2月の会合で「ある程度確立された手法」と認め、これまでの「実験の試行」段階から一歩進め、「実用化へ踏み出す」とした。
予知連は1969年に国土地理院に設置され、日本の地震研究の進め方に影響を及ぼしてきた組織だ。
小泉教授らの予測法は、決して複雑ではない。
気象庁が公開している地震データベースをもとに、直近の3年間に一定の震度以上になった地震の回数を調べ、都道府県ごとに年平均を算出する。
例えば、震度4以上が6回起きたなら年平均で2回。これがサイコロを振るようにランダムに起きるとし、この先1年間の発生確率をはじく。
成績はおおむね良好だ。
21年の予報を検証すると、事前に「赤予報」が出ていたのは18都道県。
実際、同年10月に東京23区で10年ぶりに震度5強の地震が起きるなど、震度4以上は17都道県で発生し、的中率は94%だった。
同じ手法を15~20年に当てはめると、平均の的中率は77%だった。
「予測がいくつ当たったか」に加え、「起きた地震のうち、いくつを予測できていたか」も、信頼性の評価で見落とせない指標だ。
これを「予知率」として調べると、21年は53%。 15~20年の平均も60%だった。
東日本大震災の影響を除くため、01~10年の地震データをもとに予報を出した場合も、的中率、予知率は同様の傾向になった。
小泉教授は、
「活断層や海溝で起きる地震は数百年~千年に一度と稀(まれ)で、これらの予測は難しい。
一方で、直近3~10年のデータをもとにすると、地域ごとに通常の地震活動を把握でき、この先1年の予報をしやすい。
地震予測がすべて困難というわけではない」
と話す。
予知連も、この手法を「地域の地震活動をよく映している」とし、5月をめどに作業部会を設けて信頼性の検証や実用化の方法を探る考えだ。
【政府の「地震動予測地図」に批判も】
予知連が新たな予測に挑んでいるのは、「予知が困難なことは確かだが、地震が起きる仕組みの解明や予測の研究は進歩している。日本列島の地震活動の性質を理解し、社会に伝えるべきことを伝えるのは予知連の重要な役割」(予知連会長の山岡耕春・名古屋大教授)との思いがある。
「SNS(交流サイト)が普及し、地震のたびに様々な発信元から怪しい『予知情報』が飛び交い、社会を混乱させかねない状況になっている」と危機感を募らせる研究者もいる。
政府の地震調査委員会も「長期予測」を公表しているが、信頼性や有効性をめぐって評価は割れている。
調査委は1995年の阪神大震災を受けて発足後、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」などを示した「全国地震動予測地図」を公表している。
だが、04年の新潟県中越、08年の岩手・宮城内陸、11年の東日本大震災などは、確率が必ずしも高くない地域で起きた。
このため、「ハザードマップではなくハズレ(外れ)マップだ」(東京大学名誉教授のロバート・ゲラー氏)といった批判もある。
調査委は改定のたびに新たな地震データを加えているが、手法自体の大きな見直しはなく、自治体などの防災対策にどこまで役立ったかもはっきりしない。
【地震活動の「定常レベル」つかむ】
一方で、予測の研究は進展もみられる。
ひとつが、統計数理研究所の尾形良彦名誉教授が考案した「ETAS(イータス)モデル」と呼ばれる手法で、世界の研究者からも注目を集める。
地震は地域によって「常時活動」レベルが異なり、活発な地域とそうでない地域がある。
他方、大きな地震の後に余震が続いたり、群発地震が起きたりする。
統計理論に基づき、これら2つの性質を組み込んだモデルで、地域ごとの地震の特徴や長期の予測に有効とされる。
尾形名誉教授は、1926~95年に起きたマグニチュード(M)4以上の内陸地震の記録から日本列島の「常時活動」レベルを推定。
1996年以降に起きたM6以上の地震の多くは活動レベルが高い地域で発生しており、モデルの確からしさが裏付けられた。
「1944年の昭和東南海地震の1カ月後、M6級の三河地震が内陸で起きたように、海の地震が内陸地震に連鎖することも説明できる」と話す。
とはいえ、最新の研究成果を駆使しても、南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝の巨大地震、首都直下地震の予測となると、なおも不確実さが大きい。
西日本の太平洋沿岸に延びる南海トラフでは、巨大地震の前に周辺のプレート(巨大な岩板)がゆっくり滑り、人が感じないほどの「スロー地震」が起きる可能性がある。
だが、スロー地震が常に巨大地震につながるとは限らず、この地震を発見した小原一成・東大地震研究所教授も、「現段階では(前兆となる)異常な揺れかどうか判断するのは難しい」と話す。
政府は、南海トラフの一部が震源になる東海地震だけは「予知可能」としてきたが、2017年に撤回した。
東海地震だけを特別扱いする科学的根拠はないからだ。
代わりに、ゆっくり滑りやM7以上の地震が起きれば「臨時情報」を出すことにしたが、科学的な基準ははっきりしない。
東北地方から北海道の太平洋沖に延びる日本海溝・千島海溝で想定される巨大地震も全貌がよく分かっておらず、研究者は「確度の高い予測は困難」と口をそろえる。
【不確実さにどう向き合うか】
地震予報を唱える小泉教授は、「予報の目的は、どの程度の地震なら起きて当たり前という、いわば地震の相場観を市民に理解してもらうこと。予知とは根本的に異なる」と話す。
気象庁の公開データベースを使うので、高校生らが自分の住む地域の確率を計算でき、防災学習にも活用できるという。
ただ、それでも社会がどう受け止めるか、課題が残る。
予報の代表ともいえる天気予報は、膨大な観測データを集め、それらと天候との因果関係を示す物理モデルから予報する。
一方で、地震予報は物理モデルよりも統計に頼る部分が大きく、天気予報とはだいぶ性格が違う。
降水確率を見て傘を持つかどうかの判断は人によって異なるが、地震予報がどんな防災行動につながるかはもっと読みにくい。
「地震の現象はきわめて稀なため、そもそも天気予報と同じレベルの予測は困難」(東北大の松沢暢教授)との指摘もある。
研究者が最新の成果を社会に発信することは大事だが、地震学は何ができ、何ができないか、研究の実力を適切に伝え、予測の不確かさと合わせて発信することが欠かせない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD027YN0S2A300C2000000/?n_cid=NMAIL007_20220309_A&unlock=1
2022年2月15日19時42分にYAHOOニュース(J-CASTニュース)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京スカイツリーに積もった雪の塊が、衝撃音をたてて歩道へ落下するようすを捉えた動画が注目を集めている。
ネット上では、周辺の安全性に懸念を示すような声があがっている。
落雪による事故を防止するための対策はどのようになっているのか。
J-CASTニュースが取材した。
動画は、東京都で積雪が観測された翌日の2022年2月11日、TikTokに投稿があった。
見上げた塔の中ごろから落雪するようすが撮影されている。
凍った雪の塊の大半は風に流されて建物の屋根などに落ちたが、1つが歩道に到達。
固さを感じさせるような鈍い音をたてて飛散した。
すぐ近くの軒下には歩行者や、何らかの係員とみられる黄色い服を着た人々が確認できる。
動画は同日にツイッターでも拡散され、「音がヤバ過ぎる」「これマジで危ないな」などと反響を呼んでいる。
東京スカイツリーの広報担当は15日、J-CASTニュースの取材に対して、動画の存在は把握しているとし、「2月11日当日に落雪があったことは、当社としても確認しています」と答えた。
またネット上の反響を受けて、「東京スカイツリーからの落雪に関してご心配とご迷惑をお掛けし、大変申し訳ございません」 と伝える。
動画で撮影された落雪の直接的な原因は「推定ではありますが、塔体に着雪した雪が気温の上昇によって融けて落下したものと考えられます」とした。
今回のように落雪が発生している場合にスカイツリー周辺の歩行者が取りうる対策は、「極力、東京スカイツリータウンの軒下をご通行いただくか、当施設からお貸出しする傘を利用して、落雪に当たらないようにご注意いただきますようお願い申し上げます」 と呼びかける。
なお15日時点で、今回の落雪の影響による怪我人は確認されていないという。
【施設側の落雪対策は?】
広報担当によると、動画内で黄色い服を着用していたのは同施設の関係者だという。
11日の状況については、「周辺を通行される方への注意喚起の立哨、また落雪が確認された歩道における傘の貸出の対応をするとともに、8時15分頃より、塔体に着いた雪を細かくして払う『雪払い作業』を実施」したなどと説明した。
広報担当は「雪という自然が相手であるため、東京スカイツリーの着雪や落雪を完全に防ぐことはできませんが」とも強調。
そのほかの落雪対策を以下のとおり紹介した。
・降雪予報が出た場合、対策本部を設置し、周辺警備や雪払い作業に向けた態勢を整え、関係機関等への情報提供を行う。
・降雪予報時には展望台外壁に設置したヒーターや展望台内の暖房を夜間も稼働して壁面を暖め、展望台自体への着雪を防ぐ。
また、塔体に設置された監視カメラによる着雪状況の監視を行う。
・毎年冬季(12月~4月)には、東京スカイツリー頂部のゲイン塔にネットを設置して、着雪した雪が大きな塊で落ちないようにする。
・雪が溜まりやすい鉄骨の窪みには、金属の板で塞いで雪が溜まらないようにしている。
・塔体に着雪した場合、雪が固まる前に、できるだけ細かくして雪を払う「雪払い作業」を行う。
・東京スカイツリータウン周辺では、24時間態勢で、通行する方への注意喚起の立哨・夜間巡回、軒下を歩いていただくための動線の形成や誘導、落雪が確認される歩道における傘の貸出などを行い、落雪による被害を極力低減する。
さらに毎年、冬が始まる前に自治体や地元警察・消防、近隣町会などに対策内容を個別に説明しているとする。
広報担当は、今後の対応を次のように述べた。
「引き続き、降雪予報があった際には、事前に態勢を整え、周辺地域での注意喚起等を行うとともに、塔体への着雪が確認された場合は雪払い作業を行い、地域の住民の方や通行される方、そして東京スカイツリータウンに来場される方の安全を確保してまいります」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5c2579a45bcfa1d5f37402ca2cacfe548f3a549c
2月14日18時44分にBusiness Journalからは当該動画が配信されており、道路上に落ちた塊は砕け散ったような感じに見えた。
https://biz-journal.jp/2022/02/post_279627.html
※1年ちょっと前、2020年12月4日11時0分に朝日新聞からは、スカイツリーで雪塊落下を防ぐための作業が報道陣に公開されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
本格的な冬を前に、東京スカイツリー(東京都墨田区押上1丁目)で3日、鉄骨に積もった雪のかたまりが落下するのを防ぐ作業の様子が公開された。
地上375メートルの「天望デッキ」の屋上。
ペンやスマホを落とせば大事故になりかねない。
そこで、報道陣は携行品の持ち込みを原則禁じられ、カメラやペン、メモ帳は二重に取り付けたストラップで首からぶら下げての取材となった。
作業員たちは風にあおられて転落しないように、手すりに命綱をつないでの作業だ。
あいにくの曇り空で足元は真っ白。
長い柄の先に機具が取り付けられた道具を使い、一抱えもある巨大な鉄骨に積もった雪を払う作業などを実演した。
昨冬は6回、70~80人ほどの作業員が除雪にあたった。
スカイツリーの展望台は雪の予報が出ると、壁面に埋め込んだヒーターで壁を温めて着雪を防いでいる。
しかし、塔の鉄骨に積もった雪は手作業で取り除くしかないという。
エレベーターは天望回廊の屋上(地上458メートル)までしかなく、634メートルの頂上までは階段やはしごで上がる。
男性作業員(37)は「絶対に道具を落下させないように、また、なるべく雪を細かく砕いて落とすようにしています」と話す。
これまで落雪による人身事故は起きていないが、車のボンネットがへこむなどの事故は毎年のように起きているという。
スカイツリーの担当者は「地域の方にはご心配をかけないよう、お客様には安心して楽しんでもらえるよう、万全の対策で冬に備えます」。
https://www.asahi.com/articles/ASND36X8FND3UTIL01B.html
2022年1月30日20時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
南海トラフ巨大地震や首都直下地震では、高層の建物ほど揺れが大きくなる「長周期地震動」の発生が想定されている。
どんな被害をもたらすのか。
備えは十分だろうか。
千葉県を震源とする強い地震が昨年10月7日夜、首都圏を襲った。
東京23区で震度5強を観測したのは東日本大震災以来だった。
【高層階と低層階で揺れ大違い】
足立区に接する埼玉県草加市にある鉄筋コンクリート15階建てマンション(築24年)の最上階。
会社役員浅葉さん(男性、50歳)は食事中に揺れに見舞われた。
テーブルにつかまったが、手を離せば横に飛ばされそうだった。
揺れは1分以上に感じた。
重さ数十キロの給水器が床に落ちてばらばらになり、台所では棚の調味料などが床に散らばった。
「(2011年の)東日本大震災に匹敵する揺れだった。首都直下地震かも」。
近くの別のマンション5階に住む母とは、1時間後に連絡がついた。
母は寝ていて地震にすら気づかず、室内の被害もなかった。
近くの戸建てやマンションの低層階に住む同僚らも、自宅の被害は軽微だった。
「同じ市内なのに、どうしてこんなに揺れの感じ方が違うのか」。
浅葉さんは不思議がる。
この地震では、東京23区や千葉県北西部などで長周期地震動が観測された。
気象庁は大きさを4段階で評価しており、草加市をふくむ埼玉県南部では最も低い「階級1」だった。
長周期地震動とは、1往復する時間(周期)が長い横揺れを指す。
高層ビルは揺れやすく、高層階の方がより大きく、長く揺れる傾向があるとされる。
【大規模火災、10分もの揺れも】
過去には被害も出ている。
03年9月の十勝沖地震では、震源から約250キロ離れた北海道苫小牧市内の石油タンクで火災が発生。
東日本大震災では、震源から約800キロ離れた高さ256メートルの大阪府咲洲(さきしま)庁舎で揺れが約10分続き、天井や壁など360カ所が損傷した。
16年4月の熊本地震の余震では、観測を始めた13年以降で初めて最大の階級4が記録されている。
内閣府の有識者検討会は15年12月、南海トラフ巨大地震が起きた際の長周期地震動の推計結果をまとめた。
最大級の地震の場合、本州から九州の広い範囲で階級4の長周期地震動が発生。
東京や大阪などの100~300メートルの超高層ビルでは最大2~6メートルの幅の横揺れがあると指摘された。
国土交通省は有識者検討会の推計結果を受け、翌16年6月、揺れが大きい東京、大阪、名古屋の3都市圏と静岡県の高さ60メートルを超える高層ビルについて対策を求めた。
新築する建物は、想定される揺れの長さを「60秒以上」から「500秒以上」に変更するなど、設計基準を厳しく見直すとともに、既存の建物もこの新基準にあわせた補強が望ましいとして、助成をするという内容だ。
【一人ひとりの備えも】
長周期地震動の対策とはどのようなものなのか。
工学院大学の久田嘉章教授(地震工学)によると、代表的なものの一つは制振ダンパーだ。
壁や柱などの間に入れる筒のような形の装置で、地震の揺れを受けることでダンパーが伸び縮みし、揺れを吸収する仕組みだ。
ただ、ダンパーは高層ビルの複数階にバランスよく設置しなければ効果を発揮しないという特徴がある。
一つのフロアだけで済むのがおもりだ。
地震が起こると、ビルの揺れと反対方向におもりが振れることで、揺れを相殺させる。
新宿三井ビルディング(55階建て、東京都新宿区)の屋上には、約300トンの振り子式のおもりが6基並べられている。
ただ、こうした備えは、あくまで建物の主要な構造の「軀体(くたい)」の揺れの増大を抑えるもので、久田教授は「各自で備えておかないといけないことはたくさんある」と言う。
各戸の家具の転倒防止や火事の防止はもちろんのこと、ドアが開かなくなった時に備えてバールを準備しておくことも必要だ。
久田教授は、「長周期地震動には、建築上の対策だけでなく、命を守り、けがを防ぐための一人ひとりの対策も重要だ」と力を込める。
https://digital.asahi.com/articles/ASQ1Z5R1RQ1CUTIL014.html
(ブログ者コメント)
草加市のHPによれば、市の震度は5弱。
結構、揺れたはずだ。
しかし、その揺れに対し、マンション5階に住んでいて気づかなかった人がいたとは・・・。
人それぞれだ。
http://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1002/060/PAGE000000000000070923.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。