2018年11月2日19時21分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
化学材料メーカー大手の日立化成は2日、鉛蓄電池や半導体材料の品質検査不正に続き、新たに自動車用バッテリーなどの28製品で検査不正があったと発表した。
国内7事業所全てで不正があり、対象事業は日立化成の連結売上高の1割を占める。
取引社数は、延べ約2400社に上る。
日立化成の丸山社長は、「幅広い製品での不適切な行為には、慚愧の念に堪えない。全事業所であったということは、会社として甘えた文化があった」と陳謝した。
新たに検査不正が見つかったのは、民生用リチウムイオン電池の負極材やディスプレーの回路を接続するフィルム、自動車の外装や内装の樹脂製品など、28製品だ。
6月の鉛蓄電池のデータ改ざんの際に約500社だった取引先は、延べ約2400社に膨れあがる。
同社が茨城県や千葉県などに持つ7つの全事業所で、検査報告書の改ざんや顧客との契約と異なる方法での検査があった。
10年以上改ざんを続けていた製品も見つかったという。
現在まで、製品の不具合や法令違反の事例は見つかっておらず、製品の回収などは検討していないという。
現時点では業績への影響は限定的との見方を示した。
鉛蓄電池のデータ改ざんを受け、外部の有識者でつくる特別調査委員会が調べを進めており、11月下旬には調査報告書が出るとみられる。
丸山社長は自身の進退については、「経営者として重い責任がある。調査報告書を精査して考えたい」と述べるにとどめた。
出典
『日立化成、品質不正新たに28製品 国内全7事業所で』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37301550S8A101C1MM8000/?n_cid=NMAIL007
4ケ月ほど前、2018年6月30日付で東京新聞から、最初の改竄が発表された経緯などについて、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日立製作所グループの日立化成は29日、産業用鉛蓄電池製品約6万台の検査成績書に不適切な数値を記載する捏造行為があったと発表した。
製品は、主に工場やビルの非常用電源として使われており、納入先は国内の複数の原発を含め、約500社。
製造した名張事業所(三重県名張市)内で、昨年末には当時の事業所長に不正が報告されていたが、公表していなかった。
・・・・・
顧客と取り決めた試験方法と異なる社内の方法で実施した上、データを本来の方法に合わせる形で検査成績書に書き込んでいた。
丸山社長は、「(社内の試験方法で)能力があるからいいんじゃないかという安易な判断をする現場の空気があった」と述べた。
今後、外部専門家らによる特別調査委員会を設置して原因を究明する。
昨年12月に経団連が会員企業に要請して実施した自主調査では、判明しなかった。
名張事業所の品質保証担当の部長は、昨年末に当時の事業所長に不正を報告していたが、丸山社長らには伝わらなかったという。
4月に着任した現事業所長が経営陣に報告し、公表に至った。
・・・・・
出典
『日立化成、検査数値を捏造 鉛蓄電池6万台 原発含め500社納入』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201806/CK2018063002000141.html
6月29日21時39分に時事ドットコムからは、品質不正問題に関連して行われた2度の内部監査でも発覚しなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
対象の製品は、主に工場などの非常用バックアップ電源に使用されている。
名張事業所で生産しており、出荷時に納入先と取り決めた方法で検査をせず、納入先に提出する検査成績書に架空のデータを記入していた。
昨年11月に品質保証の責任者から知らされた前事業所長は、経営陣に報告しなかった。
不正は少なくとも7年間に及ぶ。
日立化成は、退職者を含め、複数の社員が関わったとみている。
産業界に広がった一連の品質不正問題を受けて行った2度の内部監査でも発覚しなかった。
4月の事業所長交代をきっかけに見つかり、今月に入って経営陣が把握したという。
出典
『日立化成、鉛蓄電池データ捏造=複数の原発にも納入-500社に6万台出荷』
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018062901000&g=eco
(ブログ者コメント)
「2度の内部監査でも発覚しなかった」という件、内部監査で不正が見つからなかったということだろうか?
それとも、内部監査で不正が見つかった、あるいは不正していたと申告されたが、所長のところで情報が止まった、ということだろうか?
それとも・・・・。
2018年10月26日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
油圧機器メーカーKYBなどによる免震・制振装置の検査データ改ざん問題で、建物の建設を担うゼネコン各社に不安が広がっている。
オイルダンパーの出荷シェアで半分超を占めるメーカーが新規受注を停止しており、装置の調達が困難になるほか、建物の設計手法の見直しを迫られる可能性も出てきたからだ。
今後の都市開発への影響も懸念される。
KYBや建材メーカーグループ・川金ホールディングス(HD)は、国や顧客が指定した基準を満たしていない免震・制振オイルダンパーの検査データを改ざんしていた。
装置の交換を優先するため、新規受注を停止している。
免震・制振ダンパーは、タワーマンションや大型商業施設、災害拠点となる役所などに多く使われている。
大手ゼネコンによると、オイルダンパー以外にも、金属の弾力性を利用したダンパーなどがあるが、大小の揺れに対応できるオイルダンパーが最も使い勝手が良く、東日本大震災などの影響で需要が高まっているという。
オイルダンパーは、月約100本を生産するKYBが国内トップシェア(約45%)で、月約40本の川金HDとで、業界全体の半数超を出荷している。
このためゼネコン各社からは、「今後の調達が難しくなる」(大手関係者)との声が上がっている。
また、これまでオイルダンパーの使用を前提に行っていた高層建物などの構造設計の見直しを迫られる可能性がある。
KYBは、2020年9月までに約1万本のオイルダンパーを交換する方針で、ゼネコン各社は交換作業にも従事するため、同年の東京五輪を見据えた都市圏の開発計画への影響も懸念される。
一方、マンションの住民らも、今回の改ざん問題に気をもんでいる。
大手建設会社によると、オイルダンパーは一般的に20階以上の高層建築で利用されることが多いが、低層の住宅などでも設置されるケースがあるという。
KYBなどは、問題のダンパーが設置された一般住宅の公表に慎重で、住民の不安も長期化しそうだ。
出典
『KYB・川金HD 免震装置データ改ざん 装置、調達困難に ゼネコン影響懸念』
https://mainichi.jp/articles/20181026/ddm/041/020/106000c
(ブログ者コメント)
事故やトラブルを起こした場合、多方面に大きな影響を及ぼすことがあるが、その1例として紹介する。
両社の事例については、それぞれ本ブログでも紹介スミ。
2018年10月23日19時52分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鋼材加工などを手掛ける川金ホールディングス(HD、埼玉県川口市)のグループ企業が、製造した免震・制振装置の検査データを改竄し出荷していたことが23日、分かった。
顧客との契約で決まった基準に満たない装置が、適合品として、学校や庁舎など93物件に設置されていた。
川金HDは同日、国交省に報告。
国の基準に違反した装置の改竄はなかったとしている。
装置は、傘下の油圧機器メーカー「光陽精機」(茨城県筑西市)が製造し、川金コアテック(川口市)が出荷。
改竄は平成17年2月から今年9月まで、東京都や大阪府に出荷された免震用4件と、東京など26都道府県に出荷された制振用89件で確認された。
設置の内訳は、免震用が病院1件、学校1件など。
制振装置は教育施設30件、庁舎13件など。
川金HDによると、顧客と約束した性能基準値のプラスマイナス10%以内を逸脱した製品データを検査員が書き換えて出荷。
国が定める免震用の基準値プラスマイナス15%以内を超えた製品はなかったとしている。
制振用には国の基準がない。
大規模なデータ改竄が発覚したKYBの問題を受け、社内調査を行った結果、検査員が不正を申し出た。
納期などを守ろうと、不正を行ったとみられる。
顧客契約の基準を満たした適合品でも、数値を改竄したケースが確認されている。
川金HDは、過去に計45物件、402本の免震装置と計103物件、4799本の制振装置を出荷。
さいたま市は23日、改竄の疑いがある制振装置が市役所本庁舎に使われていたと発表した。
出典
『川金HD、免震・制振装置でデータ改竄 さいたま市庁舎など93物件に出荷』
https://www.sankei.com/affairs/news/181023/afr1810230031-n1.html
10月23日22時48分に毎日新聞からは、不正に関与したのは歴代の検査員3人だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
川金HDは東証2部上場で、2018年3月期の連結決算では売上高が391億円。
従業員は約1800人で、橋など公共工事に使われる土木用建材の製造・販売を主力としている。
免震・制振装置分野では、05年から販売を始めた新規参入組だ。
不正に関与したのは、専任の検査員3人。
専任の検査員は05年以降、1人が一定期間務めた後に交代してきたが、マニュアルなど不正の手法が引き継がれてきたかは「確認できていない」(鈴木社長)とした。
3人のうち1人は退職していて聞き取りができていないものの、他の2人は「お客様の要求する納期で納めるためだった」などと話しているという。
鈴木社長は、「目先の納期に目が行くあまり、品質に関する感覚がおろそかになっていたと反省している」と、苦渋の表情を浮かべた。
出典
『川金HD 検査員3人が不正関与「納期に納めるため」』
https://mainichi.jp/articles/20181024/k00/00m/040/112000c
10月23日19時40分に日本経済新聞からは、ダンパー価格は数100万円という、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
免震・制振ダンパーの価格は200万~500万円程度。
取り換えには多額の費用がかかる。
鈴木社長は、「取り替え作業に必要な作業は建設会社の事業範囲でわからず、現時点で業績への影響は言えない」と話した。
出典
『免震データ改ざん、川金HD社長が謝罪 不適合93物件』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3682224023102018XA0000/
10月24日23時17分に朝日新聞からは、改竄物件数は全体の6割を占めるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
親会社の「川金ホールディングス(HD)」は24日、改ざんがあった時期の物件数は148件だったと訂正した。
川金HDは23日の会見で、改ざんがあった2005年2月~18年9月に出荷された製品が使われた物件数は193件と説明。
このうち約5割にあたる93件で、顧客との契約に適合しない製品が使われたとしていた。
24日に訂正した物件数148件で計算すると、不適合品が使われた物件数は全体の6割強になる。
出典
『免震不正、不適合品使用の物件は6割強 川金HDが訂正』
https://www.asahi.com/articles/ASLBS6DFPLBSUTIL062.html
2018年10月19日18時52分に毎日新聞から、以下の記事がネット配信されていた。
宮城県栗原市は15日、建設課の職員7人が機械の洗浄に使うなどしたシンナーの廃液約100ℓを市有地に不法投棄していたと発表した。
市によると、職員らは9月27日、廃液を産業廃棄物として業者に依頼せず、資材を置いていた市有地にまくなどして処分したという。
目撃した市民の通報で発覚した。
市はシンナーがまかれた部分の土を撤去し、周辺で井戸を使っている民家5軒の水質を調査したが、今のところ影響は出ていないという。
市の聞き取りに対し、職員らは「邪魔だったので捨ててしまった」などと話しているという。
千葉健司市長は15日の定例記者会見で陳謝し、「官製談合事件を受けてコンプライアンスの徹底を進める中で、このようなことが起きてしまい、大変遺憾」と述べた。
今後、事実関係などを確認し、職員を処分する。
出典
『廃シンナー100L、市職員7人「邪魔で」投棄』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181016-OYT1T50026.html
10月13日付で河北新報からは、やや詳しい下記趣旨の記事がネット配信されていた。
栗原市建設課の道路補修作業班が9月、市道の白線引き器の洗浄に使った産業廃棄物のシンナー約100ℓを市有地に不法投棄し、県から指導を受けていたことが12日、分かった。
市は、「職員が安易な認識でやってしまった。再発防止策を徹底する」としている。
市によると、同班の職員7人が9月27日、一斗缶8本に入ったシンナーを市の倉庫から同市築館の市有の資材置き場に搬入。
数10cmの穴を掘って、シンナーを流したり周囲にまいたりした。
作業を見掛けた市民が同日夕、「市職員が何かを捨てている」と市に通報。
翌28日朝、担当職員に経緯を確認して発覚した。
市は、県北部保健福祉事務所(大崎市)の指導に基づき、29日までに民間の産廃業者が、シンナーが浸透した土(約17トン)を撤去した。
市の調査によると、現時点で、液剤が井戸水に混入するなど、周囲への影響は出ていない。
市の聞き取りに対し、担当職員は「悪いと思ったが、邪魔だから捨ててしまった」などと話しているという。
市は、近く、職員を処分する方針。
市の担当者は、「あってはならない行為で、市民に大変申し訳ない。廃棄物の処分マニュアルを徹底し、二度と同じことがないようにする」と話した。
出典
『<栗原市>職員が産廃不法投棄 市有地にシンナー100リットル』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201810/20181013_11026.html
2018年10月17日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
油圧機器大手「KYB」(東京)は16日、同社と子会社の「カヤバシステムマシナリー」(同)が製造した免震・制振装置に検査データの改ざんがあり、国交省の基準や顧客の性能基準に合わない製品を出荷していたと発表した。
不適合品は、疑いがあるものも含めると、マンションや病院、庁舎など47都道府県の建物、計986件で使われているという。
国交省によると、震度7程度の地震でも倒壊の恐れはなく、安全性に問題はないとみられるが、揺れが大きくなったり加速度が増加する可能性がある。
同省はKYBに対し、免震・制振装置を速やかに交換し、改ざんの原因究明と再発防止策を報告するよう求めた。
改ざんの疑いがあるのは、地震の揺れを抑える「免震用オイルダンパー」と「制振用オイルダンパー」。
建築基準法による耐震性をクリアした建物に備える装置で、2000年3月から18年9月までに製造された。
KYBによると、出荷前の検査で国交省の基準や顧客の性能基準に合わない値が出ても、基準値内に収まるよう書き換えて検査記録を提出し、製品を出荷していた。
410件で改ざんが確認され、その他の576件で疑いがあり、合計すると2社の出荷総数の7割を占める。
検査データが改ざんされた製品は、橋でも2件、使われていたという。
改ざんは工場の検査員が口頭で引き継ぎ、少なくとも8人が関与。
基準を満たしていない製品を分解して組み立て、検査し直すのに5時間程度かかることなどが、改ざんの理由という。
社内のどの範囲まで改ざんを把握していたかは、弁護士らによる外部調査委員会が調べる。
今回の問題は、カヤバシステムマシナリーの従業員が8月上旬に指摘し、KYBが9月中旬から社内調査をして判明。
会見した中島社長は、不適合な物件や不明な場合は取り換えるとし、「再発防止策に努めたい」と述べた。
KYBは東証1部上場。
車体の振動を吸収するショックアブソーバーは、世界の車の約2割で搭載されている。
改ざんが見つかった免震・制振装置は、現在は子会社のカヤバシステムマシナリーが製造販売しており、業界では大手。
不適合品か判明していないが、東京スカイツリーや六本木ヒルズ森タワー、大阪府庁、通天閣でも使用されている。
出典
『免震・制振、986件不正疑い KYB、データ改ざん』
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13726677.html?rm=150
10月19日6時58分にNHK首都圏からは、平成15年の改竄開始以降、後任の検査員7人も改竄していた、チェック担当者は改竄後のデータで確認していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
社内には検査結果を確認する担当者がいたにもかかわらず、チェック機能が働かずに、長年にわたって改ざんが続けられていたことがわかった。
KYBとその子会社は、地震の揺れを抑えるダンパーの検査結果を改ざんしていたことを明らかにし、改ざんが確認されたかその疑いがあるダンパーは、全国で1000件近くの物件に設置されている。
KYBによると、ダンパーの検査担当者は1人しか配置されておらず、検査結果が国の基準などを満たさなかった場合、データを書き換えて適合するように装っていた。
社内調査に対して、平成15年の時点で検査を担当していた従業員が「自分が不正を始めた」と話していて、これ以降の検査担当者7人も、全員、改ざんを行っていたという。
一方、社内には検査結果を確かめる別の担当者もいたが、改ざん後のデータが書かれた記録用紙で確認していたため、チェック機能が働かずに、長年にわたって改ざんが続けられていた。
KYBは、不正が行われた背景についてさらに調査を進めるとともに、19日午後にも、交換の対象となるダンパーが使われた物件のうち、不特定多数の人が出入りし所有者などの了解が得られた建築物について、名前を公表することにしている。
出典
『ダンパー検査チェック機能働かず』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20181019/0020191.html
10月19日15時45分に産経新聞からは、対応完了まではかなりの年数がかかるだろうという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
KYB側は、改竄の疑いがあるものも含め、計1万本以上の製品を交換する方向で対応を急いでいる。
ただ、生産能力が追いつかず、完了は最短でも平成32年9月になる見通し。
さらに、大規模な工事を強いられ、所有者や住民らとの交渉が難航することも予想され、長期化が懸念される。
今回、データが改竄されたのは、免震ダンパーと制振ダンパー。
免震ダンパーは、地下空間の基礎部分にボルトで外付けされているケースが多く、建物全体を持ち上げる必要はない。
このため、比較的、交換は容易とみられる。
一方、制振ダンパーは、地上階の壁の内部やフロアの壁に外付けされるケースが多い。
交換には、壁をはがす作業が必要になり、フロア全体を閉鎖する工事も想定される。
一時的な退去や転居を求められ、所有者や住民らとの調整が難航するケースが出てくるとみられる。
さらに、交換対象の装置が1万本以上に及ぶため生産能力が追いつかず、交換は少なくとも32年9月ごろまでかかる見通しだという。
27年に表面化した東洋ゴム工業の免震装置ゴムのデータ改竄では、154棟に出荷していた。
交換工事が完了したのは、約3年が経過した9月末時点で、98棟にとどまっている。
今回のKYBによる改竄は、疑いも含めると、東洋ゴム工業の6倍を超え、問題の長期化は避けられない。
東京理科大の高橋治教授(建築構造)は、「東京五輪・パラリンピック関連工事で建設業界の人手が足りない中、交換工事を行う施工業者を確保できるかといった問題もある」と指摘している。
出典
『KYB装置交換、大規模工事の恐れ 東洋ゴムの6倍、専門家「東京五輪で人手不足の中、業者の確保課題」』
https://www.sankei.com/affairs/news/181019/afr1810190024-n1.html
2018年9月4日14時49分にNHK鹿児島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
奄美市の酒造会社の従業員が、仕事中に大けがをしたにもかかわらず、会社は労災としての報告を怠ったとして、名瀬労基署は、法人としての会社と社長を労安法違反の疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、奄美市名瀬入舟町にある酒造会社、「A酒造」。
同署によると、「A酒造」では、去年11月、40代の男性従業員が龍郷町の工場で焼酎のタンクの上を歩いていて転倒し、腰の骨を折る大けがをしたという。
男性は、治療などでおよそ20日間、会社を休んだにもかかわらず、会社側は労基署への報告を怠り、労災を隠した労安法違反の疑いが持たれている。
同署がことし6月、酒造会社に立ち入り調査を行った際、男性のタイムカードの打刻がない日が続いていたことに気づき、発覚したという。
従業員が仕事をしていて死亡したり、大きなけがをしたりして4日以上休業すれば労災と認定され、会社側は労安法に基づいて労基署に報告する義務がある。
A酒造は、「男性は、自らの不注意で事故が起きたとして、労災にしてほしくないと訴えたため、その思いを尊重してしまった。事故の防止を徹底するとともに、このようなことがないようにしたい」と話している。
出典
『労災隠しか 酒造会社を書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20180904/5050004138.html
2018年7月26日 19時27分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
汚染排水を用水路に流していたとして、愛知県警は26日、同県小牧市西之島北屋敷の貴金属精錬会社「T貴金属精鉱」社長、S(男性、58歳)と工場長のN(男性、51歳)の両容疑者を水質汚濁防止法違反容疑で逮捕した。
容疑は、昨年11月8日~同12月12日に3回、同社工場の排水口から基準値の1.14~1.38倍の硝酸化合物などを含んだ汚染水を用水路に排出したとしている。
S容疑者は「慣習として、簡易検査をやらずに流していた」と容疑を認め、N容疑者は「基準値以内と思っていた」と否認している。
県警によると、汚染水は用水路を通して庄内川に流れ込んでいたとみられるが、周辺で健康被害は確認されていない。
汚染水は、乳幼児が過剰摂取すると、酸素欠乏症で死亡する恐れがある。
県は同社に対し、同法に基づいて2013年から19回にわたり立ち入り検査を実施。
基準値を超えた汚染水を排出していたなどとして5回以上、文書や口頭で行政指導を行っていた。
出典
『汚染水排出 貴金属精錬会社社長ら逮捕 愛知県警』
https://mainichi.jp/articles/20180727/k00/00m/040/062000c
7月26日10時58分に中日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
民間の信用調査会社によると、同社は1980年に創業。
パソコンやスマートフォンの電子部品を製造する過程で出る廃材を集め、ニッケルや銀、コバルトなど希少な金属をより分けて精錬し、取り出した貴金属を加工、販売している。
不要になったスマホの基板などから希少金属を取り出す業態は「都市鉱山」事業として知られていた。
県や小牧市が何度も改善を指導したが応じず、事態を重く見た県警が今年1月、同社を家宅捜索し捜査を進めていた。
出典
『庄内川に基準超の有害物質 愛知県警、容疑で小牧の会社社長ら逮捕』
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018072690105828.html
2018年7月22日12時28分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
火災時に爆発的に燃える危険があるのに、石油系溶剤を住宅街や商店街で違法に使っているクリーニング店の是正が進んでいない。
8年前に建築基準法違反で行政指導を受けた全国の店・工場のうち、その後、違法状態を解消したのは2割にとどまる。
違反店舗から出火する事態も起きており、国交省は改善策の検討を始めた。
【違法の認識なし】
石油系を含む引火性溶剤は火災時に大きな危険を及ぼすため、建築基準法で、原則として工業系地域以外での使用が禁じられている。
住宅・商業系地域で使うには、自治体から特例許可を受けるしかない。
2009年、大手クリーニング業者が住宅・商業系地域で運営していた店で、相次ぎ同法違反が発覚。
国交省による10年の調査では、全国の店・工場の半数を超える1万5211か所が違反していた。
同省は自治体を通じて是正指導し、その後も追跡調査をしてきたが、昨年末までに改善が確認できたのは2割の3016か所だけだった。
総務省消防庁によると、クリーニング店・工場では、年間30件以上の火災が発生。
石油系溶剤に引火する恐れがあるため、周辺住民が避難した例もある。
横浜市では今年1月、住宅や店舗が密集する地域にあるクリーニング店から出火。
他の建物への延焼はなかったものの、店は全焼し、従業員など8人が病院に搬送された。
市によると、この店も石油系溶剤を使用しており、市は12年~15年に計4回、是正を求める通知書を郵送していたという。
しかし店主は、読売新聞の取材に対し、「引火しないよう十分気をつけていた。通知書は読んでおらず、違法性の認識はなかった」と主張した。
国交省は、こうした「認識不足」が多数あるとみて、全国の自治体に対し、積極的に周知を図るよう促すことを検討している。
・・・・・
出典
『爆発危険溶剤、クリーニング店「認識不足」多数』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180722-OYT1T50039.html
2018年7月12日4時36分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
渡島総合振興局は11日、函館建設管理部八雲出張所の主幹級の男性職員(58)が渡島管内八雲町内で同日、道交法違反(酒気帯び運転)容疑で摘発されたと発表した。
職員は1998年、稚内土木現業所(現稚内建設管理部)歌登出張所勤務時にも、酒気帯び運転で摘発されていた。
振興局によると、男性職員は11日午前1時15分ごろ、同町内で車を運転していた際、八雲署のパトカーに停止を求められ、基準値の2倍を超えるアルコールが検出された。
職員は10日午後9時から、町内の自宅でジンの水割りを2合ほど飲み、当時は道路パトロール出動の連絡を受け、出張所に向かう途中だった。
記者会見した小田原・振興局長は、「今後、このようなことが二度と発生しないよう、指導を徹底したい」と陳謝。
道は、男性職員を処分する方針。
摘発を受け、道は幹部を招集した緊急テレビ会議で、窪田副知事が飲酒運転根絶の徹底を指示。
職員の交通安全意識向上のため、全庁で研修を行うことなどを確認した。
出典
『道職員が酒気帯び運転、摘発2度目 八雲で道路見回り出勤』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/207994
7月11日19時3分にNHK北海道からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男性職員は八雲出張所で道路管理などを担当していて、11日は大雨による緊急の道路パトロールをするため、急きょ呼び出しを受けて、出張所に向かう途中だったという。
男性職員は、「昨夜、2合程度の酒を飲んだが、意識がはっきりしていたためハンドルを握った」と話しているという。
出典
『深夜呼び出しの道職員が酒気帯び』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20180711/0001463.html
7月11日13時2分にFNN PRIME(北海道文化放送)からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
パトロール中の警察官が不審な動きをしている男の車を見つけ、職務質問したところ、酒のにおいに気付いたという。
この職員は、悪天候による呼び出しで、自宅から職場に向かう途中だったという。
出典
『道の50代男性職員 飲酒運転で検挙 悪天候の呼び出しで職場に向かう途中 北海道八雲町』
https://www.fnn.jp/posts/2018071100000004UHB
(ブログ者コメント)
〇ブログ者も工場勤務時代、台風直撃間近になると深夜でも呼び出しがかかり、出勤することがあった。
その場合、台風はおおよその襲来時間が予測できるので、深夜に呼び出しがかかりそうな場合には、いつ呼び出しがあってもよいよう、飲酒は控えていた。
その点、今回事例の職員は、呼び出しがかかるほどの悪天候ではないと感じていたのだろうか?
飲酒後運転は別問題として・・・。
〇飲酒量とアルコール消失までの時間の目安は、下記記事参照。
『2017年10月3日報道 アルコールの摂取量と消失までの時間はほぼ比例、体重60㎏の成人男性だと日本酒1合で3~4時間が目安、警察庁は深酒翌日の運転は控えるよう注意喚起 (修正1)』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7656/
2017年11月30日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7804/
(2018年4月4日 修正1 ;追記)
2018年2月20日19時59分に日本経済新聞からは、三菱電線の例では品質保証部門の立場が弱かったことが不正の一因だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアルは20日、製品データで不正のあった三菱電線工業の最終調査報告書を公表した。
報告書は、不正のあった製品事業や品質保証部門の社内での立場が弱く、十分な投資がなされなかったことが背景にあると指摘している。
三菱電線工業の主力は電線事業ではない。
2016年に同業のフジクラに譲渡しており、現在の主力事業は不正があった「シール材」だ。
航空機などに使い、油や水の漏れを防ぐ。
しかし、この事業はかつて傍流事業だったことが、不正が起きた原因となった。
三菱電線でシール材は赤字が続き、報告書によれば、同事業を「お荷物」と表現する関係者もいたという。
その結果、十分な設備投資が行われず、優秀な人材も少なかった。
シール材を生産する箕島製作所(和歌山県有田市)での品質保証部門の立場の弱さも問題だった。
同製作所では、技術開発部の発言力が一番強く、製造部がそれに続く。
品質保証部は、決められた納期に決められた量を納入するというプレッシャーに耐えきれず、検査結果の書き換えなどに手を染めることとなったと指摘している。
品質保証部では人員も不足し、他の部への依存が強かったという。
そもそも、設計書で参照されている規格を正確に理解できる人材も少なかった。
箕島製作所の閉鎖性も、不正が長期化する遠因となった。
現地採用が多く、他工場との人事交流も乏しかった。
他の事業所から「村社会」と評されることもあったという。
様々な要因が不正の引き金となっていた。
出典
『三菱マテが不正で報告書、三菱電線の品質部門弱く』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27151000Q8A220C1X13000/
2018年3月29日付で毎日新聞からは、ダイヤメットや三菱アルミでは能力を上回る受注で現場にプレッシャーがかかっていたこと等が不正の背景にあったなど、、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアルは28日、子会社で発覚した品質データ改ざん問題の最終報告書を発表した。
報告書によると、自動車部品などを製造する子会社のダイヤメット(新潟市)では、77年ごろから、顧客に求められた仕様を外れていても品質管理課長の判断で製品を出荷できる「検査特採」と呼ばれる社内制度に基づき、品質データを改ざんしていた。
2016年に一度は不正が発覚し、再発防止策が取られたが、その後、新たな不正が発生。
その際に当時の安竹社長(今年2月に辞任)は、改ざんを示す資料の隠蔽を指示。
18年1月まで約40年間不正が続いた。
アルミ製品製造の子会社「三菱アルミニウム」(東京)では、少なくとも90年代後半には不正が行われ、データを改ざんするための事実上のマニュアルも存在していた。
グループ内の子会社が不正品を出荷した取引先は、2月の発表時点から77社拡大し、延べ841社となった。
報告書は、これらの不正の背景として、能力を上回る受注によって現場に納期のプレッシャーがかかっていたことや、適合品を作る能力の低さ、品質検査の人員不足などを挙げた。
その上で、親会社の三菱マテリアルの管理体制について「対応にスピード感に欠けるところがあった」と断じた。
出典
『三菱マテリアル 40年間データ改ざんか 子会社前社長、資料隠蔽指示』
https://mainichi.jp/articles/20180329/ddm/002/020/044000c
3月29日付で毎日新聞からは、ダイヤメット事例に関するやや詳しい記事が、下記趣旨でネット配信されていた。
最終報告書は、不正に手を染めた子会社が事態を改善できず、新たな不正を繰り返す実態を浮き彫りにした。
報告書によると、ダイヤメットで一連の不正発覚のきっかけになったのが、同社社員による2015年2月の三菱マテリアルへの内部通報だった。
社員相談室に「製品の製造場所について、事実と異なる表示がされている」との情報が寄せられた。
三菱マテリアルは、ダイヤメット社長に事情を聴くなどの対応を取ったが、同年7月、16年3月にも「改善しない」との通報が寄せられた。
このため、三菱マテリアルが調査したところ、通報の指摘通り不正表示が発覚。
このことから、16年9月に社内調査委員会を設置して本格調査に乗り出したところ、製品の品質について検査の未実施やデータ改ざんなどの不正が明らかになった。
ダイヤメットは、調査と並行して再発防止に乗り出したものの、その間にも新たな不正が発生。
しかし、この報告を受けたダイヤメットの安竹社長(当時)は、隠蔽するよう指示した。
同社は一時債務超過になるなど経営状態が悪く、報告すれば三菱マテリアルから支援を受けられなくなる恐れがあった。
安竹社長は「顧客に報告した場合は対応に追われ、ライン停止などの迷惑をかける」と判断し、今年1月まで不正な製品の出荷を続けていた。
出典
『三菱マテリアル データ改ざん 不正体質、改善は不透明』
https://mainichi.jp/articles/20180329/ddm/008/020/038000c
4月3日11時35分にNHK新潟からは、ダイヤメット前社長が顧問に就任したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「ダイヤメット」が、検査データの改ざんを隠ぺいするよう指示していた前の社長を今月1日付で顧問に就任させていたと2日にホームページ上で発表したが、3日午前、顧問就任の部分を削除したうえで発表文を再び掲載した。
経営トップとして組織的な不正の隠ぺいを主導した人物に顧問として助言を求める今回の異例の人事は、取引先など各方面に波紋を呼びそうだ。
親会社の「三菱マテリアル」は、「ダイヤメットから事前に相談を受けて、親会社として顧問の就任を了承した。過去の経緯をよく知っている安竹前社長に業務の引き継ぎなどを支援してもらいたい」と述べている。
出典
『改ざん隠ぺい指示の前社長顧問に』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20180403/1030002635.html
(ブログ者コメント)
品質部門の社内での立場が弱く人員も不足していたことが不正の背景にあったと指摘されている件、少し前に一斉発覚した環境データ改ざん問題に通じるところがある。
2018年3月8日21時8分にNHK奈良から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大和高田市のすべての公立の小中学校で、消火栓などの消防設備に不備が指摘されていることがわかった。
不備は5年前から繰り返し指摘され、中には消火のための放水ができないものもあり、市は対応を急ぎたいとしている。
大和高田市は、年に2回、市の公共施設で法律に基づいた消防設備などの点検を実施しているが、市立の小中学校11校すべてで、去年までの過去5年間に消防設備に何らかの不備があると繰り返し指摘されていることが、NHKが入手した教育委員会がまとめた資料から明らかになった。
このうち、消火用の水の供給源となる消火栓の設備については、劣化したり破損したりして適切に放水ができない状態のものもあると指摘している。
1校については、修理や部品の交換が行われたが、残る10校については、消火栓に何らかの不備がある状態が続いていると指摘している。
大和高田市教育委員会は、NHKの取材に対し、「長年に渡って多くの消防設備の不備が指摘されているのは事実であり、申し訳なく思っています。なるべく早く、改善を図りたい」としていて、来年度予算に修理などの費用を計上するなど対応を急ぎたいとしている。
出典
『学校の消防設備に不備の指摘』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/2055875341.html
2018年3月2日18時12分にNHK北九州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
建設機械の運転教習などを行っている北九州市の教習所が、平成25年から4年間にわたり法律で定められた講習の時間を満たしていなかったとして、福岡労働局はこの教習所を2日から2か月間の業務停止処分とした。
労働局は、この間に運転などの資格を取得した9200人余りは有効な資格を取得していないとして、補講を受けるよう呼びかけている。
出典
『建設機械運転講習時間不足補講を』
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/5025686112.html
本件、2017年12月12日11時5分に週間朝日オンラインから、下記趣旨の詳細な記事がネット配信されていた。
製品のデータ改ざん問題で揺れる神戸製鋼所で、グループ企業の新たな不正が発覚した。
クレーンやフォークリフトの運転資格の教習事業などを手がける「コベルコ教習所」(本部・兵庫県明石市)で、法律で定める講習時間が勝手に短縮されていた。
“手抜き講習”によって、約2万3000人が補講や追試を受けなければいけなくなる。
技能講習機関の不正の規模としては過去最大級とみられ、グループの管理体制が改めて問われる。
コベルコ教習所は、大手建設機械メーカーの「コベルコ建機」の100%子会社で、神戸製鋼所の孫会社に当たる。
社員の名刺には「KOBELCO」(コベルコ)のロゴと、「神戸製鋼グループ」の文字が書かれている。
北海道から熊本まで全国に11拠点があり、運転資格取得のための実技教習や労働安全に関わる技能講習などを実施して、多くの受講生を受け入れている。
こうした事業を手がける企業の中では、大手の一角だ。
会社のホームページでは、<「教習」という事業を通じて、労働現場に「安全」をお届けし、豊かな社会の発展に貢献していきます>と、経営理念をうたっている。
だが、それに反するようなことが行われていた。
拠点の一つの「北九州教習センター」(北九州市小倉北区)で、法律で定める講習時間が短縮されていたのだ。
コベルコ教習所は、クレーンやフォークリフトなどに関する様々な技能講習を実施している。
建設会社の社員ら受講者は、講習を受け修了試験に合格すると「技能講習修了証」をもらえる。
クレーンやフォークリフトの運転、重いものをつり上げる「玉掛け」など、危険な業務に就くにはこの修了証が必要だ。
資格がない人を危険な業務に従事させた場合、その会社と経営者は労安法に違反する。
そんな重要な講習で、長年“手抜き”が続いていた。
厚労省の出先機関の福岡労働局は4月17日、北九州教習センターに立ち入り調査した。
その結果、玉掛け技能講習の時間が14分間足りなかったことが判明した。
3時限目は10時55分から11時55分まで60分間、学科の授業をすべきなのに、早めに終えていた。
講習は通常コースで3日間(19時間)あり、14分ぐらいたいしたことはないと思うかもしれない。
しかし、講習時間やその内容は法令で厳格に定められている。
不十分な講習で安全ルールなどを理解しないまま危険な業務に就くと、死亡事故につながる恐れもあるためだ。
時間不足がわかると、受講者は補講を受け、その分野の理解度を確認する試験を再び受けないといけない。
不十分な講習をした事業者には、労働局が業務停止命令などの行政処分を出すこともある。
コベルコ教習所の矢仲社長は、取材に対し、「講習時間は法令で定められている。60分なら60分きちんとやらないとだめなのに、できていなかった」 と謝罪した。
あってはならないはずの時間不足の理由は、意外なものだった。
受講生は、昼食として弁当を業者に注文し、直接購入することになっていた。
その業者が昼休みよりも早めに届けに来ているため、弁当の受け渡しをしやすいように、教習センター側が配慮していたのだ。
たわいもない理由かもしれないが、労働安全に関わる講習がないがしろにされたことを考えると、笑えない問題だ。
結局、4月17日に玉掛け講習を受けていた19人は、足りない分の補講を受けることになった。
福岡労働局は、問題があった北九州教習センターの玉掛け講習について、6月15日から8月14日まで2カ月間の業務停止命令を出した。
そして、ほかにも時間不足がないか調べて、補講などの対応をするよう指示したという。
弁当業者への配慮は、長年続いていた。
玉掛け以外のクレーンやフォークリフトの受講生も弁当を食べるので、時間不足は、ほぼすべての講習で生じているはずだった。
以前、講習を受けたことがある北九州の30代の男性は、こう証言する。
「講習中なのにセンターの幹部が教室に入ってきて、『弁当屋が来ているので講習をやめなさい』と講師に指示していた」
ところがコベルコ教習所は、福岡労働局に、時間不足があったのは玉掛け講習1日分だけだと文書で回答していた。
11月に入り、本誌が問い合わせると、当初は玉掛け講習1日分だけの問題であるかのように説明していた。
弁当業者が長年納入していることを指摘し、事実関係の確認を求めると、12月4日になって時間不足の恐れがある受講者がほかにも多数いることを認めた。
技能講習のほかに、小型建設機械などの特別教育でも問題があり、補講や追試などを受けなければいけないのは最大約2万3000人に上るという。
結果的に、福岡労働局には、“うそ”の報告がされていたことになる。
コベルコ教習所は、「1日分だけの問題でないことはわかっていたが、関係者のヒアリングなどに時間がかかった。労働局には結果として実態と異なる報告をしてしまった」(矢仲社長)と釈明している。
技能講習を巡る不正はこれまでにもあったが、これだけの人数になるのは極めて異例で、過去最大級とみられる。
厚労省の担当者は、「技能講習機関への業務停止命令自体が珍しい。補講の対象者が2万人を超えるような事例は聞いたことがなく、講習制度への信頼を揺るがしかねない」と、問題の深刻さを指摘する。
福岡労働局は、実態と異なる報告がされていたことを問題視。
これまでの経緯について報告を求め、改めて立ち入り調査などをする方針だ。
実は、監督する福岡労働局にも問題があった。
業務停止命令を出した場合は公表すべきなのに、「事務的ミス」でしていなかった。
コベルコ教習所は、予約を断った一部の受講生には知らせたものの、自社のサイトでは玉掛け講習ができないことを「諸事情により」と説明。
処分を受けていることは、ほとんどの人に隠されていた。
「サイトに講習中止のお知らせが突然表示されただけで、労働局の発表もなく、何が起きているのかわからなかった。もみ消されていたのではないかと思ってしまう」(前出の30代男性)
約2万3000人の受講生には、コベルコ教習所がこれから連絡して、補講を受けに来てもらう。
人数が多いため、全員終わるまでには、数年かかる可能性もある。
連絡が取れない受講生もいそうで、不十分な講習を受けたまま、いまも危険な業務に多数が従事している。
さらにコベルコ教習所では、ほかの不正も浮上している。
広島教習センター(広島市安佐南区)の移動式クレーン運転実技教習で、教習時間の不足が見つかった。
詳細は「現在調査中」としているが、複数の拠点で手抜き講習が横行していた疑いもある。
神戸製鋼では10月に製品データの改ざんが発覚。
グループ企業を含め管理体制を強化し、再発防止に取り組んでいる。
新たな不正が明らかになったことは、信頼回復に向けて大きな痛手だ。
神戸製鋼の広報担当者は、「大変申し訳なく、重く受け止めている。コベルコ建機やコベルコ教習所を厳しく指導していきます」としている。
日本労働弁護団幹事長で労災問題に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士はこう指摘する。
「技能講習は労災を防ぐための大切な制度。不十分な講習で被害を受けるのは現場で働く人たちだ。時間不足が長年続いていたとすれば、これまで見抜けなかった国の責任も問われる」
出典
『神戸製鋼グループのコベルコ教習所で“手抜き講習” 受講者2万3千人が補講や追試へ』
https://dot.asahi.com/wa/2017121200003.html?page=1
2018年2月9日7時10分にNHK徳島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
徳島市消防局は去年、市内でリチウムイオン電池の使い方を誤り車の火災が起きたことを受けて、リチウムイオン電池の取り扱いに注意するよう呼びかけている。
消防局によると、去年12月、徳島市の県道を走行中の乗用車でエンジンルームの一部が焼ける火災が発生した。
消防局が調べたところ、車のバッテリーがあがったため、リチウムイオン電池を使った携帯用のバッテリーで始動させ、その後、取り外さずにつないだまま走行したことから出火していたことがわかった。
消防局によると、このほか、スマートフォンをズボンの後ろのポケットに入れたまま座り、内蔵されたバッテリーに強い圧力が加わって出火するなど、リチウムイオン電池からの出火が全国的に相次いでいるという。
このため消防局は、リチウムイオン電池を使った製品を使う際には取り扱い説明書を確認して正しく使うとともに、強い衝撃や圧力を加えないよう、注意を呼びかけている。
また、変な音や臭い、それに充電中に熱くなる異常が確認された場合は、使うのを止めてメーカーや販売店に相談するよう呼びかけている。
出典
『取扱注意!リチウムイオン電池』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20180209/8020001209.html
(ブログ者コメント)
製品が、本来の用途以外、思いもよらぬ使い方をされた事例として紹介する。
2017年11月28日10時31分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11月28日11時14分に日本経済新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
大手繊維・化学メーカー「東レ」の日覺社長は28日、都内で記者会見し、子会社が製品の強度などの検査データを改ざんし、出荷していたことを明らかにした上で、陳謝した。
会見によると、東レの子会社でタイヤの補強材などを製造している「東レハイブリッドコード」は、顧客と決めた強度などの基準を満たしているように検査データを改ざんして、製品を出荷していたという。
改ざんは、2008年4月から去年7月までの8年間に149件、出荷先は13社ということだが、今のところ、安全性に関する問題は見つかっていないとしている。
東レの日覺社長は、「このたびはご心配、ご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません」と陳謝した。
また、去年7月に子会社が不正を把握しながら、今回の発表までに1年4か月かかったことについて、日覺社長は、「今月のはじめにインターネット上の掲示板に書き込みがあり、それに関して何件か問い合わせがあった」としたうえで、「噂として流れるよりも正確な情報を公表すべきだと考えた。情報の整理、お客さまへの説明に時間がかかった」と釈明し、この時期に発表した経緯を語った。
さらに日覺社長は、東レ出身で現在も相談役を務めている経団連の榊原会長に今回の不正を報告したことを明らかにした上で、「お客様に真摯に対応し、真摯に説明するよう指示を受けた」と述べた。
また、「東レハイブリッドコード」の鈴木社長は、不正の背景について、基準を満たしていない製品を取引先の了解を得た上で出荷する「特別採用」と呼ばれる慣習の拡大解釈があったとした上で、「再測定する煩雑な作業をしたくないということも動機としてあったと考えられる」と述べた。
東レは、子会社への品質の監査を定期的に実施するなどして再発防止を図るとともに、有識者を含む調査委員会を設置して、経緯や原因の究明を進めるとしている。
出典
『東レ子会社 製品データ改ざん』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20171128/0004205.html
『東レ、データ改ざん 「ネット掲示板で書き込み」から公表』
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL28HPH_Y7A121C1000000/?n_cid=NMAIL007
11月28日14時32分に日本経済新聞からは、「特別採用」という商慣習に関し、下記趣旨の論評記事がネット配信されていた。
日本の製造業が「データ改ざん」の底なし沼にはまっている。
・・・・・
「特別採用という慣習も、(データ改ざんの)動機になった」――。
特別採用とは、不適格製品の取り扱いの手法だ。
国内の素材・部品業界では一般的な商慣行で、「特採(トクサイ)」と略される。
品質マネジメント規格のISO9001にも、この概念に関連する規定がある。
顧客が要求した品質ではないが、不良品とまではいえない。
納期や数量を勘案すれば、誤差の範囲として取り扱ったほうが得策だ。
最終製品の品質に影響を与えないことを前提に、顧客に許可をもらい出荷する。
ただ、トクサイはあくまで応急措置との位置づけで、できるだけ早く正規の品質基準に合わせるのが本来のルールだ。
東レハイブリッドコードはトクサイの趣旨を逸脱し、不適格製品の出荷を品質管理担当者の判断で「許可」した。
また、三菱マテの3子会社もトクサイを悪用。
「顧客からクレームがなければ問題ない」として、規格外の不正品を正規品として出荷していた。
こうした安易な自己判断がまかり通る背景には、「文句のつけようがない品質の製品をつくっている」とのおごりと、それを黙認してきた取引先の仲間意識がある。
高度成長期から一貫して、相手の立場を推察し、擦り合わせることが日本の製造業の流儀だった。
完成品メーカーが、品質水準50%でもいいところを、安心のために100%で部品メーカーに発注する。
部品メーカーは、余裕を持って200%の水準を素材メーカーに求める。
素材メーカーは、195%以上なら問題なしとして納品する――。
お互いが相手のバッファーを知っているため、品質水準厳守より納期厳守やコスト抑制で報いた方が、取引先に対して誠実と考える。
過度な信頼関係の構図は、不正発覚後に極端な顧客離れが起きていないことからも明かだ。
東レのライバル企業の幹部に、不正を好機として商権を奪う自信はあるかとたずねると、「ありません」と即答された。
神戸製鋼製のアルミ製品を使っていた自動車メーカーにリコールの動きはない。
三菱マテの取引先の中堅社員は、「不正があっても、品質は世界最高」と話す。
ただ、こうした日本企業を中心とした仲間内の論理は、もはや成立しない。
取引の透明化やコンプライアンス重視は国際的な課題であり、日本でしか通用しない商慣行の余地はどんどん狭まっている。
機関投資家の間では、有望な投資先として、環境や社会的責任、企業統治を重視する企業を選ぶ「ESG投資」が潮流となっている。
不正の底なし沼の広がりを本気で止めなければ、日本の製造業のブランドイメージは地に落ちる。
出典
『東レもはまった「特採」のワナ データ改ざん底なし』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23978890Y7A121C1000000/?n_cid=NMAIL007
11月28日20時18分に日本経済新聞電子版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
不正が起きていたのは東レハイブリッドコード(THC、愛知県西尾市)。
タイヤコードと呼ばれるタイヤを補強する材料で、品質データの改ざんが行われていた。
検査工程で、このタイヤ補強材の強さを示す「強力」が258ニュートンだったのにもかかわらず、顧客と契約した260ニュートンに改ざんされていた。
1%にも満たない「わずかな誤差だ」と東レは説明する。
・・・・・
同じ素材業界の三菱ケミカルホールディングスの越智社長は、「米欧は1990年代にIT(情報技術)投資をして検査の自動化を進めてきたが、日本は円高などで苦しく、不正を防ぐような設備投資をできなかった」と指摘する。
今回の東レの問題が起きた08年以降は、リーマン・ショックや円高、東日本大震災によるエネルギー代の高騰などで、国内自動車各社は部品メーカーに対してコスト削減要請を強めていた時期だ。
素材各社も、取引を維持するために「トクサイ」を悪用して、その場をしのぐようになった。
・・・・・
出典
『素材業界、改ざん止まらず 品質軽視の「甘え」深刻』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23995960Y7A121C1EA2000/?n_cid=NMAIL007
2017年11月23日21時31分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアルは23日、子会社の三菱電線工業と三菱伸銅が自動車や航空機向けなどに出荷した素材製品の検査データを書き換えていたと発表した。
出荷先は、三菱電線が航空・宇宙、産業機器、自動車など229社、三菱伸銅が自動車や電子機器向けなど29社。
いずれも「現時点で法令違反や安全性に疑義が生じる事案は確認されていない」というが、納入先と安全確認を早急に進めるとしている。
三菱電線の納入先には防衛省も含まれ、自衛隊の航空機や艦船にも不適合品が使われていた。
三菱電線が検査データを改ざんしていたのは、ゴムを素材とするパッキンやガスケットで、自動車エンジンなどの油や水漏れ対策に用いる部品。
寸法や材料の特性が納入先の要求や社内基準に合っていないのに、範囲内に収まるようデータを書き換えていた。
不正があったのは、和歌山県有田市の箕島製作所で製造し、2015年4月~17年10月に出荷した約2.7億個で、全出荷量の2割に当たる。
同社は今年2月に社内監査で不正を把握したが、10月23日に停止するまで不適合品の出荷を続けており、取引先への対応が厳しく問われそうだ。
三菱伸銅は、福島県会津若松市の若松製作所で製造した自動車部品や電子機器向けのコイル状の銅製品で導電率などのデータを書き換えていた。
不正があったのは、16年10月~17年10月に出荷した879トンで、全出荷量の0.6%に当たる。
同社は今年10月10日から社内調査を行い16日に不正を確認、18日に不適合品の出荷を停止した。
三菱マテリアルは、同じく子会社の三菱アルミニウムでも「不適合品の出荷があったが、すべての納入先との間で安全性の確認は終了している」と発表したが、詳細は明らかにしなかった。
いずれも24日に記者会見をするとしている。
三菱電線と三菱伸銅は、社外の弁護士らによる調査委員会を設け、原因究明を行ったうえで再発防止策を策定するという。
国内の素材メーカーをめぐっては、神戸製鋼所が10月、アルミ・銅製品などで検査データを改ざんしていたことが発覚。
納入先が自動車・航空機メーカーなど525社に及び、日本工業規格(JIS)違反など法令違反も見つかった。
今回、三菱マテリアルの子会社でも同様の検査データ改ざんが見つかったことで、日本の素材メーカーに対する不信が高まるのは避けられそうにない。
出典
『三菱マテリアル 子会社が素材製品の検査データ改ざん』
https://mainichi.jp/articles/20171124/k00/00m/020/036000c
11月23日2時1分に日本経済新聞電子版からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三菱マテリアル子会社の三菱電線工業が航空機向けの部材などで品質データを改ざんしていたことが、22日、分かった。
顧客と契約した品質基準に満たない製品を出荷していた。
データ改ざんがあったのは、配管を密封して内部を保護する「Oリング」と呼ばれる樹脂製の部材。
航空機などの工業製品向けにパッキン材として使われている。
この部材の取引先は数100社にのぼる可能性もある。
不正は長期間にわたって続いているとみられ、全容解明には時間がかかりそうだ。
三菱マテリアルは非鉄大手。
銅やセメント、超硬工具、電子材料、アルミなど、幅広い事業を手掛ける複合経営を標榜している。
10月に発覚した神戸製鋼所のアルミ・銅製部材のデータ改ざんを受け、グループ各社で品質に関する社内調査を進める中で発覚した。
出典
『樹脂部材でデータ改ざん 三菱マテ子会社 航空機向け』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23833140T21C17A1CC1000/?n_cid=NMAIL007
11月25日4時43分にNHK NEWS WEBからは、会社の記者会見が開かれたという、下記趣旨でネット配信されていた。
三菱マテリアルは24日、記者会見を開き、子会社が最初に不正を把握したのはことし2月だったにもかかわらず、その後も先月までおよそ8か月にわたって出荷を続けていたことを明らかにした。
これについて会社側は、製品の数が多くデータを改ざんした製品を特定するのに時間がかかったためだと説明している。
また、改ざんの背景や始まった時期、組織ぐるみだったかどうかなど、不正の具体的な原因や経緯については調査中だとして、ほとんど明らかにしなかった。
会社は、弁護士を含む調査委員会で詳しい調査を進め、年内をめどに公表するとしているが、メーカーとしての信頼性が厳しく問われることになりそうだ。
出典
『三菱マテリアル 不正の原因や経緯「調査中」 年内めどに公表へ』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171125/k10011234881000.html
11月24日21時40分に産経新聞からは、下記趣旨の解説的記事がネット配信されていた。
「グループ全体で法令順守(コンプライアンス)や内部統制管理に手を尽くしてきたが、それでも問題が起きた。今は申し訳ないとしかいえない」
子会社で起きた検査データの改竄問題に対し、三菱マテリアルの竹内社長は24日の記者会見でこう語った。
事業拡大とともに組織が「つぎはぎ」になる中で、ガバナンス(企業統治)改革も同時に進めようとしたが、全うできなかった現実に悔しさを隠せない様子だった。
三菱マテリアルは明治4(1871)年に始まった炭鉱事業が源流。
昭和25年の集中排除法で鉱業、セメント事業が分社化されたが、平成2年に、それらが再統合されるのに際して現在の社名となった。
その後は、グループ力の強化を図るため、事業の切り離し、取り込みを繰り返してきた。
非鉄金属は市況の変動や為替相場の動向などで、業績が大きくぶれることが経営課題。
これを事業規模の拡大と多角化の両面の戦略で安定させるのが狙いだった。
改竄がわかった三菱伸銅、三菱電線工業ともに、かつては上場企業だったが、約10年前に連結子会社化された。
しかし、多岐にわたる事業体を通じて、経営トップが適切なガバナンスを浸透させるのは容易ではない。
神戸製鋼所で起きたデータ改竄問題を厳しく批判してきたある大手メーカーの会長でさえ、「自分の会社の海外の孫会社あたりで不正が発覚し、明日、自分が謝罪する可能性もある」と漏らす。
「それぐらいの緊張感を持って、常にグループ会社のコンプライアンスの検査や監査をすることが必要だ」とも話し、かじ取りの難しさを指摘する。
三菱マテリアルも、事業拡大でガバナンスの難易度が増すのに伴って、子会社や製造拠点に対して高い水準の取り組みを求めてきた。
三菱電線の村田社長は会見で、「連結子会社になった後は、それ以前よりもコンプライアンスなどは厳しくなった」と弁明し、さまざまな施策を打ってきたことを強調する。
ただ、こうした取り組みや多様な制度があっても、コンプライアンス問題が生じるのが現実だ。
竹内氏は「ガバナンス強化の手を緩めることはない」と会見で言及したが、信頼回復につなげる取り組みを明確にすることはできておらず、大きな課題が積み残しになっている形だ。
出典
『つぎはぎ組織が死角生む 統合繰り返し、企業統治追いつかず』
http://www.sankei.com/affairs/news/171124/afr1711240046-n1.html
2017年10月26日に掲載した第2報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7707/
(2017年11月23日 修正4 ;追記)
2017年11月17日18時21分にNHK NEWS WEBから、日産の社内報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日産の西川社長は17日、国交省を訪れ、国に義務づけられた出荷前の検査を資格がない従業員にさせていた問題について、社内調査の報告書を提出した。
報告書によると、不正は京都を除く国内の5つの工場で行われ、栃木県の工場では1979年から始まっていた可能性があるとしている。
工場では、適正に検査が行われていたように見せるため、検査を証明する書類に正規の検査員のはんこを押す不正が常態化し、はんこの貸し出しを管理する帳簿も作成していたという。
また、資格を取得するための試験では、問題と答えを一緒に配布したり、答案を提出したあと、間違いを訂正させて再提出させたりする不正があったとしている。
さらに、国交省の立ち入り検査などに対し、不正の発覚を逃れるため、資格のない従業員に正規の検査員であることを示すバッジをつけさせて検査をさせていたほか、ことし9月の立ち入り検査では従業員が事実と異なる説明を行い、資料の一部を修正したり削除したりしていたという。
そのうえで、不正の背景として検査員の数が不足していたことなどを挙げたうえで、本社が現場の検査の実情を把握しておらず、車の安全性をチェックする検査への意識が低かったとして、役員の責任は極めて重いと結論づけた。
一方、再発防止策として、検査場所に資格を持った検査員以外は、入れないようにするため、来年3月までに顔認証を導入するほか、検査員の数を増やすなどとしている。
出典
『日産 検査不正で報告書公表「信頼を裏切る結果」社長謝罪』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171117/k10011227181000.html
11月18日1時31分に毎日新聞からは、下記趣旨の識者の見方が記事としてネット配信されていた。
・・・・・
日産自動車の無資格検査問題の背景や再発防止策の実効性について、企業倫理や企業統治に詳しい明治大学商学部の出見世(でみせ)信之教授に聞いた。
問題の背景として、コスト削減圧力の影響は無視できない。
1999年にルノー出身のカルロス・ゴーン最高執行責任者(現会長)が掲げた再建計画「日産リバイバルプラン」では、利益追求の不徹底が業績不振の一因とされた。
そこから利益を最優先する意識が強まり、最低限の人員で生産性や業績をあげるため、自動化が進んで作業の負担が減ってきた完成検査よりも、他の業務に人を割り振るようになったのではないか。
かつての日産は、取締役の中に生産管理部長や工場長を兼務する人がいたが、99年の改革で取締役を37人から10人に減らしてからは、生産管理や品質管理は一段下の執行役員が担うことになった。
このことからも、技術や品質よりも利益や財務を重視しているように見える。
経営と現場との距離がある中で現場に数字だけを示し、必達目標として守らせた。
取締役会は、統治機能としては財務に偏っており、不十分だ。
再教育や工程の見直しなど再発防止策は一定の評価ができるが、経営層や現場に「コスト」として意識されると、再び同じことが繰り返される危険が残る。
まず変えるべきは経営者の意識だ。
出典
『日産無資格検査 販売店や下請け企業に打撃』
https://mainichi.jp/articles/20171118/k00/00m/020/093000c
(ブログ者コメント)
出見世教授の話しは安全管理にも通じるところがあるように感じたので紹介する。
ただ品質と異なり、安全は、かけたマンアワーがそのまま成果につながるとは限らない点が悩ましい。
2017年10月31日17時59分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京ガスは31日、ガス栓を交換する工事の際に必要なガス漏れ検査を作業員が省略したことで、実際に火災が起きていたと発表した。
経産省は同日、東京ガスに厳重注意処分を出すとともに、同じガス栓の交換工事をした約16万件について、不正がなかったかを調べるよう指示した。
東京ガスは昨年12月以降、空気穴があるタイプのガス栓約45万件について、空気穴のないタイプに付け替える工事をしてきた。
このうち、東京都練馬区内で今年10月12日、交換工事をした日にガス漏れが原因とみられる火事が起き、ガスコンロなどが焼けた。
調査の結果、工事を請け負ったグループ販売店「東京ガスライフバルTAKEUCHI」(練馬区)の作業員がガス漏れ検査を省略し、検査をしたかのように記録用紙を書き換えていたことが分かった。
その後の調査で、この作業員が「検査がしにくい」といった理由で、記録用紙を書き換えたり別の検査結果を転用したりして、86件で検査を省いていたことが分かった。
さらに、別の作業員2人が実施したガス漏れ検査2件についても、記録用紙を転用していたことが判明したという。
経産省は、不正のあった計88件について1週間以内に巡回して安全を確認することや、交換工事済みの16万件について不正がなかったかを3週間以内に報告すること、原因究明・再発防止策を1カ月以内にまとめることなどを求めた。
出典
『ガス栓交換で検査省略し火災 東京ガス、16万件調査へ』
http://www.asahi.com/articles/ASKB05RCTKB0ULFA02T.html
10月31日23時17分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
50代の男性社員がガス栓を交換した顧客宅で、ガス漏れが原因の火災が起きた。
必要な検査を怠った可能性があり、火災との因果関係を調べる。
別の現場の記録を転用して報告書を作成していた。
経産省は31日、東京ガスを文書で厳重注意するとともに、他の委託先業者が行った分も含む同種作業の約16万件について、不正の有無を調べることなどを指示した。
作業員は、他に約90件の作業についても、報告書を作成する際、別の現場の検査記録を転用するなどしていた。
作業は、悪条件が重なると微量のガスが漏れる恐れがある栓を交換するもの。
栓は1991年9月~2004年1月、一部の顧客宅に導入された。
東京ガスライフバルTAKEUCHIは、練馬、板橋の両区、埼玉県の和光、朝霞の両市で工事を請け負っている。
出典
『東京ガス 検査省略?ガス漏れ火災 16万件確認へ』
https://mainichi.jp/articles/20171101/k00/00m/040/143000c
10月31日21時17分に読売新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
東京ガスは、家庭のガスコンロ下の収納スペースに設置された一部のガス栓について、ガス漏れの恐れがあるとして交換作業を進めている。
今年10月、東京都練馬区の集合住宅での交換作業の後、ガス漏れによる火災が発生し、社内で調査していた。
出典
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171031-OYT1T50114.html?from=ycont_top_txt
10月31日付で東京ガスHPには下記趣旨の記事が掲載されていた。
1.不正の内容等について
弊社の保安規程では、ガス栓を交換する際のガス漏れ検査では、
a.作業後に「圧力保持による気密試験」を行うか、
b.作業後に「ガス検知器による漏えい検査」を行い、
作業結果を確認することを求めております。
このたび、東京ガスライフバル練馬・板橋北と同法人の東京ガスライフバル南板橋の作業員が、これまでに行った同ガス栓の交換作業5,626件について、作業報告書に貼付されている気密試験結果記録用紙の実施日時や測定データ、測定器ID等を照合し、同じ記録用紙が使用されていないか確認するとともに事情聴取を行い、東京ガスライフバル練馬・板橋北の作業員3名が、以下の通り規程に反する不正を行っていることが判明いたしました。
作業員は、a.「圧力保持による気密試験」を省略し、気密試験の結果記録用紙を別途、印刷して作業報告書に貼付し、結果記録用紙の実施時刻を手書きで直し偽装する不正を60件おこなっておりました。
なお、b.「ガス検知器による漏えい検査」は実施したと証言しておりますが、作業結果の記録は残っておりません。
また、作業員が担当した残りの件名に当たる650件については、a.「圧力保持による気密試験」の作業報告書を手書きで直しておりませんが、本人の証言から、その中の約30件は、ガス配管を自前で作成し試験したかのように見せかけていたことが判明しております。
なお、上記の710件につきましては、お客さま宅を訪問し、圧力保持による気密試験等を実施し、安全性を調査しており、調査済みの564件では、ガス漏れは確認されておりません。
(2)作業報告書に他の記録用紙を転用した作業員 2名
a.「圧力保持による気密試験」の結果記録用紙の印刷が薄い等の理由で破棄した件名2件について、同記録用紙を他の件名で複数枚印刷して、当該の作業報告書に貼付しておりました。
なお、当該の2 件については、お客さま宅を訪問し、圧力保持による気密試験等を実施し、安全性を調査しており、ガス漏れは確認されておりません。
2.推定される原因について
原因については現時点では明確になっておりませんが、以下の通り推定しています。
なお、今後、調査を踏まえ明確な原因を究明してまいります。
(1)ガス漏れ検査の重要性の理解と作業マニュアル遵守のための取組不足
お客さま宅で具体的に作業方法を指導しておりましたが、定期的にマニュアルを読みあわせるなど、ガス漏れ検査の重要性や方法について確認する機会が十分ではありませんでした。
また、弊社からの委託先へマニュアル遵守の要請をしておりましたが、十分に伝わっておりませんでした。
(2)作業の管理不足
委託先内で、サンプリングでの作業品質調査や管理者の同行による作業状況調査を、定期的に行うなど、作業管理の取り組みが十分ではありませんでした。
(3)作業報告書の管理不足
弊社が作成した作業報告書が不正防止に十分に配慮した設計となっておらず、また、作業報告書をチェックする際も偽装などの不正発見を意識しておりませんでした。
4.当面の再発防止策
今後の調査結果を踏まえ、原因の究明と抜本的な再発防止策を策定してまいりますが、同様の事態を発生させないために、当面の再発防止策として、既にお客さまとお約束している件名を除き、「空気抜き孔付機器接続ガス栓」の交換作業を一旦停止いたします。
また、グループ内でこのたびの事例を共有し、保安規程やコンプライアンスを遵守した基本作業を行うよう徹底してまいります。
出典
『「空気抜き孔付き機器接続ガス栓」の自主的な交換作業における不正な作業ならびに経済産業省からの指導について』
http://www.tokyo-gas.co.jp/important/20171031-03.pdf
2017年10月28日付で東洋経済から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「安心・安全にかかわることで、お客様に不安を感じさせることは、『SUBARU』ブランドとして最もやっていけないことだ」
10月27日、スバルは記者会見を開き、群馬製作所(群馬県太田市)で、日産自動車と同様、無資格の検査員による不正な完成検査が行われていたことを発表した。
無資格検査は30年以上も前から常態化。
吉永社長は2時間20分にも及んだ会見で、反省の言葉を繰り返した。
10月30日に国交省に社内調査結果を報告するとともに、無資格検査で国内に出荷・販売して1回目の車検を迎える前の車両、25万5000台を対象に、リコールを届け出ることにしている。
トヨタ自動車にOEM(相手先ブランド製造)で供給をしている人気スポーツカー「86」も含まれる。
運転支援システム「アイサイト」に代表されるように、安心や安全を消費者に強く訴求してきたスバルだが、クルマづくりの基本ができていなかった。
【「まずいという認識がないまま」30年以上】
スバルで行われていた無資格検査とは、どのようなものか。
同社が国交省へ届け出ていた規定は、「社内試験に合格した完成検査員が完成検査を行う」というものだ。
だが、実際には、完成検査員の資格を取るために研修中の従業員も検査を行っていた。
検査の運用を定めた業務規定では、「監督者の監視下では、知識と技能を100%身につけたと判断された従業員であれば、完成検査の業務に従事できる」と定めていたからだ。
国に届け出た規定と社内の規定が矛盾する状態は、30年以上まかり通っていた。
スバルは、社内調査を行った10月1日時点で、無資格で検査を行っていた従業員が4人いたことを明らかにした。
過去をさかのぼると平均で8人、最大で17人の従業員が無資格検査を行っていたという。
完成検査の有資格者は会社全体で245人おり、同社は、無資格検査の原因としての人員不足を否定する。
吉永社長は、「完成検査は非常に重要な行為だが、社内ではこれでまずいという認識がないまま、過ぎてしまった」と話す。
今回の問題で深刻なのは、「代行押印」が行われていたことだ。
研修中の従業員が、資格のある監督者から借りたはんこを、検査を証明する書類に押していた。
他人のはんこで完成検査終了の認定をすることは、公文書偽造にも繋がりかねない。
年に一度の監査をしてきた国交省からも、「ルールが明文化されていないので、監査をしても(行われていることが)良いのか悪いのか判断できない。透明性が低すぎる」と、厳しい指摘を受けているという。
品質保証本部長を務める大崎執行役員は、「現場で、人のはんこを使うのはおかしいのではないか、と思った者がいても、代々引き継がれていたことを上長に「おかしい」と言える雰囲気ではない」と認めた。
吉永社長も改めて「偽装をしたというつもりはない。組織代行の範疇だと思うが、人のはんこを代わりに使うのは、確かに違和感がある」と述べる。
【問題認識から発表まで24日間】
「あのスバルが・・・残念だ」と漏らす声が、会見と同じ日に開会初日を迎えた東京モーターショーの会場のいたるところから聞こえてきた。
10月25日の報道関係者向け内覧会でも、吉永社長は新たなコンセプトカー「VIZIV(ヴィジブ)」を紹介し、創業時から変わらない「安心に支えられた愉しさ」を押し出していただけに、衝撃は大きい。
9月29日深夜、日産の問題を受けて国交省は、各メーカーに対し、完成検査に関する調査を求める通達を行った。
スバルが自社の完成検査のプロセスに「疑義」があることを認識したのは、週明けの10月3日。
発覚した時点ですぐ、無資格の従業員による完成検査は打ち切り、国交省に法令解釈についての問い合わせを始めていた。
吉永社長がこの事実を知ったのは10月11日。
しかし、翌12日には、社内調査の状況について記者から問われた際、「今のところ問題ない」と発言していた。
スバルが事実を発表したのは、その2週間以上先の27日。
遅すぎるタイミングだ。
これについて吉永社長は、「隠そうとしたつもりはない。無資格検査を止めたことや、国交省とやりとりがあるので、30日までに答えを出せばよいと思っていた」と、しおらしく釈明した。
なぜ、無資格検査が起きたのか。
それは、生産現場のルールが形骸化していたことに起因する。
スバルの長い歴史の中で引き継がれ、常態化してきた現場での悪しき慣習が、今回、日産の問題をきっかけに明るみになった。
知識や技術を継承する中で、明文化されない「暗黙知」や「すり合わせ」によって回っていた現場は、日本のものづくりの強さともいえる。
【「まだまだ実力が追いついていない」】
だが、グローバル化によってマニュアルによる明文化や契約の厳格化が求められる今の時代、あらゆる業務は「あ・うんの呼吸」では通用しなくなっている。
「スバルの経営が、グローバルを目指す上でまだまだ実力に追いついていないと認識した」と、吉永社長はうなだれる。
裾野の広い製造業においては、経営が現場のすべてを把握しきれないことも問題だ。
大崎執行役員は、今後、スバル内のすべての業務規定に、同様の問題がないかを洗い出していくという。
膨大な数の規定を洗い出すには時間が必要だが、信頼回復に努める狙いだ。
スバルの連結売上高のうち、国内は2割のため、ここ5年間好調な業績への影響は相対的に少ない。
だが、吉永社長は「ブランドの毀損を本当に心配している」と危機感を募らせる。
ブランドの骨格に据える安心と安全に対する信頼が失墜すれば、大きな命取りになりかねない。
スバルがグローバル企業として次のステップに上がれるかは、今後の対応にかかっている。
出典
『スバルでも無資格検査、30年以上常態化の謎 安心・安全が看板のメーカーで何が
起きたか』
http://toyokeizai.net/articles/-/195156
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
10月27日10時53分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
完成検査の資格について、スバルは社内の規定で、知識や実務訓練の状況を踏まえ、筆記試験も受けさせた上で与えると定めている。
自動車整備士の資格を持っているかどうかなどを考慮し、認定までに2~6カ月の期間をかけている。
正規の完成検査員は約250人。
検査に必要な人数は約160人といい、スバルは、人手が不足している状況ではないとしている。
出典
『検査員の印章流用し書類偽装 スバル、無資格の数人関与』
http://www.asahi.com/articles/ASKBW2JLGKBWULFA004.html
10月27日22時23分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
スバルは国交省に提出した同社の規定で「認定を受けた検査員が検査すること」と定める一方、社内の業務規定では「検査員が認定を受けるには現場経験の期間が必要」とし、認定前の検査を認めていた。
日産の問題を受けた社内調査の結果、3日に「全く矛盾した規定になっていた」(大崎・品質保証本部長)ことが判明。
吉永社長は「(無資格検査を)やったんだろうといわれれば、その通り。反省するしかない」と話した。
出典
『「規定の不備。正しいと思ってやった」スバルの吉永泰之社長、悪意否定』
http://www.sankei.com/affairs/news/171027/afr1710270044-n1.html
10月27日22時9分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
27日夕に東京都内の本社で会見したスバルの吉永社長は厳しい表情を浮かべた。
社内の業務規定そのものが無資格検査を誘発しやすい内容になっていたにもかかわらず、「まずいという認識のないままでいた」という。
規定では、完成検査員になるために現場で経験を積むことを義務づけている。
このため、現場管理者が認定した無資格者を完成検査に従事させることがあった。
スバルの大崎執行役員品質保証本部長は、「係長、班長はこの仕組みの中で育っており、違和感を持つことはなかった」と述べた。
一方、問題の背景には、完成検査に関する国の制度の曖昧さもありそうだ。
資格取得の基準は各社バラバラで、吉永社長は「(スバルは資格取得の)ハードルを高くしすぎているのかもしれない」と述べている。
・・・・・
出典
『スバル、日産の無資格検査 背景に業界の曖昧ルール』
http://www.sankei.com/economy/news/171027/ecn1710270050-n1.html
(ブログ者コメント)
東洋経済の報道によれば、国交省への届出内容は下記。
「社内試験に合格した完成検査員が完成検査を行う」
一方、社内業務規定の内容は下記だと報じられている。
「監督者の監視下では、知識と技能を100%身につけたと判断された従業員であれば、完成検査の業務に従事できる」
仮に、社内規定どおりの内容で国交省に届け出ていたら、あるいは変更可否の打診をしていたら、国交省はどう判断しただろうか?
というのは、違う省庁とはいえ、消防法では、有資格者が立ち会っていれば無資格者でも危険物を取り扱えることになっているからだ。(それゆえ、ガソリンスタンドでは無資格者でも働けている)
消防法 第十三条
3 製造所、貯蔵所及び取扱所においては、危険物取扱者(危険物取扱者免状の交付を受けている者をいう。以下同じ。)以外の者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者が立ち会わなければ、危険物を取り扱つてはならない。
スバルの社内規定は消防法規定より格段に厳しく、この程度の内容なら「岩盤規制にメスを入れる規制緩和」の対象になったような気もするのだが・・・。
(2017年12月24日 修正1 ;追記)
2017年12月19日19時38分に日本経済新聞から、国交省に報告書が提出されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
スバルは19日、国交省に社内調査の報告書を提出した。
社内外の監査時に無資格者を意図的に検査ラインから外し、見つからないようにしていた新たな不正が調査で判明した。
同日、記者会見した吉永社長は「企業体質を全面刷新する」と述べた。
・・・・・
スバルは、検査員の資格を取る訓練のために、一定期間はラインに入って補助的な検査業務に当たる規定があった。
これを拡大解釈し、資格を持たない従業員が1人で検査する例もあったという。
あわせて、有資格者が印鑑を無資格者に貸し出し、押印していた。
これらは1980年代に始まった可能性があり、90年代に定着したもようだ。
不正の原因について報告書は、「現場における過度な技量重視の風土」をあげた。
資格がなくても、必要な技術があれば検査しても問題が無い、という認識が定着していた。
報告書は、「裏返しとして、ルール軽視の姿勢が認められる」と指摘した。
「ルールの合理性に対する懐疑」も原因とした。
検査を担当する従業員に資格取得の要件が実態に合っていないとの認識があり、「ルールを守らないことを正当化する口実になった」としている。
・・・・・
出典
『スバル、法令順守意識薄く 不正検査で報告書提出』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24823800Z11C17A2EA2000/
12月20日付で東洋経済からは、下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。
報告書の中身は、本当にスバルの問題を語るものだったのか。
・・・・・
登用前検査員でも行える「補助業務」の拡大解釈により、「100%習熟度」があると判断された者は、単独で完成検査を実施できるようになっていた。
日産自動車同様、「見極め」という、明文化されていない独自の運用がなされていた。
これが年月を経て習慣化するほど、完成検査が政府から委託された重要な検査工程であるという自覚が薄くなっていった。
・・・・・
しかし、なぜこうした悪しき習慣が始まったのか、不正のきっかけは何だったのか、肝心な疑問の答えはわからずじまいだ。
・・・・
出典
『スバルの検査不正、報告書提出でも残る疑問 隠蔽行為も発覚、「昭和な会社」は
変われるか』
http://toyokeizai.net/articles/-/202045
2017年10月8日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7647/
(2017年10月26日 修正2 ;追記)
2017年10月20日4時26分に朝日新聞からは、効率最優先の姿勢が不正を招いたとの見方が強まっているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
4工場のうちの一つ、日産車体湘南工場では、指導的立場の従業員が無資格者に対し、「作業が遅れているからやってくれ」という内容の指示をしていたことがわかっている。
19日に新たに判明した3工場では、国交省に届け出が必要な工場の生産ラインを勝手に変更していたことも判明した。
法令軽視の姿勢は根深い。
不正が起きたラインでは、完成検査とは別に、日産独自の商品検査も実施している。
独自検査は商品の競争力に直結する「1丁目1番地」。
そこで働く従業員の資格が混乱したままで、ずさんな検査が横行していたことになり、商品の信頼性にも傷がつきかねない。
国交省や日産社内でも、人手不足にもかかわらず生産拡大を続け、効率を最優先してきた日産の姿勢が不正を招いたとの見方が強まっている。
完成検査の陣容は、他社と比べても手薄だった。
国交省幹部は、「現場の問題ではなく、そういう組織にした側の問題。トップに再発防止を成し遂げる能力がないことが、ある意味、証明された」と指摘する。
日産会長のカルロス・ゴーン氏は、「世界一になる」ことを悲願とし、昨年、燃費不正問題で苦境に陥った三菱自動車に出資。
2017年上半期の世界販売では、日産三菱・ルノー連合として、2位の独フォルクスワーゲンや3位のトヨタ自動車を抜き、首位に立った。
今年4月から社長に就いた西川氏は、生産拡大路線を進めたゴーン氏の忠実な継承者と目されている。
不正は長期にわたって続けられていたとみられ、この間、長く社長を務め、企業統治に責任を負うゴーン氏の責任も問われる。
西川氏はその点について、「(ゴーン氏に)報告はしているが、まだ十分に申し上げられない」と述べるにとどめた。
・・・・・
日産は国内での生産台数は全体の2割に満たない。
ただ、ノートのHVやリーフをつくる追浜工場は、海外工場を指導する拠点として、本拠地の横浜市近くに残したマザー工場だ。
そこで西川氏の謝罪後も不正が続いたことで、世界的な生産体制への信頼も揺らぐ。
・・・・・
出典
『日産「現場の不手際」苦しい釈明 「法令軽視」浮き彫り』
http://digital.asahi.com/articles/ASKBM63B2KBMULFA034.html?rm=932
10月20日6時50分にNHK神奈川からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
少なくとも20年近く前から不適切な検査が行われていたことが、日産の社内調査で新たにわかった。
出典
『日産不適切検査20年近く前から』
http://www.nhk.or.jp/lnews/yokohama/20171020/1050000386.html
(2017年11月14日 修正3 ;追記)
2017年11月8日5時0分に朝日新聞からは、背景に人手不足があったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日産の無資格検査問題で、第三者調査の全容がわかった。
近年の生産拡大に伴うシフト改編や、団塊世代の退職などで各工場の検査員が不足したのに、有効な手段を講じなかった実態が判明。
工場に何人の有資格者がいるのかすら把握しないなど、経営陣の検査に対する意識の薄さが、現場の規範意識を鈍らせた疑いも浮かんだ。
日産は近く、この調査結果などをもとに改善に向けた報告書をまとめ、国交省に提出する。
調査によると、無資格者による検査は、1980年代から続いていたとの証言がある一方、近年、生産拡大に伴って検査員が不足したことが無資格検査の原因・背景になっているとの証言が多かった。
国内向け生産が多い追浜工場には、2016年秋、国内生産拡大を目指す社の方針のもと、主力車種「ノート」の生産が移管された。
昼だけだった生産体制が昼夜の2交代制になり、検査員が不足した。
工場にとっては活気を取り戻す好機で、人員不足を理由に移管を断れない状況だったという。
その後、無資格の従業員を検査に従事させることが増え、有資格者しか押せないはずの検査印は「予備印」を購入するなどして、無資格者に貸し出していた。
日産車体湘南工場でも、今年9月の2交代制導入が人手不足の原因とする証言が多く、「『コストがかかるから人を減らせ』と会社は言う。それで無理をしてしまった」と話す従業員もいた。
ほかの工場では、団塊世代の退職が人手不足の理由に挙がった。
「上層部が検査員の仕事を理解していない」との声も出た。
完成検査は国に代わって行う重大な責務にもかかわらず、経営陣が適切な人員配置に目配りしてこなかった点も調査で明らかになった。
このほか、多くの工場で、国の監査日だけ無資格者を検査業務から外すなど、適正を装う工作をしていたことも発覚した。
また、正規の検査員の試験でも不正が横行。
試験官が問題を事前に漏洩した、答えを見せてもらいながら解いた、問題と解答が一緒に配られた、試験官が解答を置いたまま退席した、といった証言もあった。
日産は、一連の不正により全6工場で国内向けの生産を停止していたが、検査体制が改善したとして、京都の工場を除く5工場で7日、約半月ぶりに生産を再開した。
ただ、生産ペースは以前より大幅に落ちているという。
出典
『日産の検査不正、背景に人手不足 上からは「人減らせ」』
http://digital.asahi.com/articles/ASKC75JPNKC7UTIL04P.html?rm=606
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
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