2021年12月25日2時0分に日本経済新聞から下記趣旨の記事が、図解や解説表付きでネット配信されていた。
新型コロナウイルスの誕生にはコウモリのウイルスが関わっているとする説を、多くの科学者が支持している。
2003年に世界を揺るがした重症急性呼吸器症候群(SARS)でも、コウモリ起源説が話題になった。
たびたび人類を震え上がらせる感染症の原因をたどっていくと、なぜかコウモリに行き着く。
そこがウイルスの貯蔵庫だからだ。
17年、中国広東省の養豚場でブタの間に深刻な感染症が広がった。
重い下痢を患い、子豚が次々と命を落とした。
少なくとも2万4000匹以上が死んだ。
18年、英科学誌に国際チームが1つの分析結果を発表した。
「命取りとなる豚急性下痢症候群は、コウモリのコロナウイルスから生まれた新たなウイルスが原因」とした。
そして数年後、人間の世界でも、新型コロナと呼ぶ別のコロナウイルスの出現が生命を脅かす。
新型コロナも、コウモリとの関係が濃厚だ。
中国雲南省にいるキクガシラコウモリのコロナウイルスと、ゲノム(全遺伝情報)の96%が一致したなどとする報告がある。
SARSや12年に発覚した中東呼吸器症候群(MERS)を招くコロナウイルスも、コウモリのウイルスが発端とみられる。
ヒトで最大90%の致死率に達するエボラウイルスや、致死率が40~75%のニパウイルスも、コウモリから広がったようだ。
病原性がないタイプを含めて、16年時点で5629タイプのウイルスがコウモリから見つかった。
コウモリをウイルスの貯蔵庫としているのは、その特異な体や暮らしぶりが背景にある。
一般に、どの動物も、体内でウイルスが増えると病気になるが、コウモリは過剰にウイルスが増えないような状況を意図せず作り出しているかもしれず、だからこそ貯蔵庫になりうる。
「貯水池」と称するコウモリ専門家もいる。
古代から伝わるイソップ物語では、コウモリは鳥と獣の争いで双方に「仲間である」といい顔をし、最後はどちらからも見放されて暗い洞窟で暮らす。
こうした振る舞いに、貯蔵庫になりえた手がかりがうかがえる。
まずは、哺乳類でありながら空を舞う。
筑波大学の小薮大輔准教授によると、化石の調査から、コウモリは6000万年前ごろに突如現れた。
哺乳類の中でも、イヌやウマなどより古い。
飛べるようになった後に大きく3グループに分かれ、2つが超音波を使って飛び回る能力を獲得した。
飛ぶには膨大なエネルギーを費やす。
体の負担を減らそうと、代謝をうまく操る方向へと進化したのか、体内を傷める過度な活性酸素が発生しにくい。
体の強さは、「想像だが、副産物として、ウイルスがいても病気を発症しにくいような抵抗力につながった可能性がある」と、小薮准教授は指摘する。
事実、コウモリは長生きだ。種によっては20~30年くらい生きる。
病気のなりにくさには、特有の生活様式が影響していると推測する専門家もいる。
昼夜で体温が大きく変動し、ウイルスの増殖を阻んでいるという見立てだ。
東京農工大学の大松勉准教授らは、デマレルーセットオオコウモリで1日の体温の変動を調べた。
セ氏24度で12時間ずつ明暗の状態を繰り返した。
昼の休眠時の体温は36度で、夜の活動時は39度だった。
「1日のうち、体温が高いときと低いときとで、どちらもウイルスが増えにくい状況になっている。病気を起こさない性質を偶然にもたらしたのではないか」(大松准教授)
さらに、ひとくくりにコウモリといっても1000種以上いる。
哺乳類の約4分の1を占める。
これだけの種類があれば、コウモリ全体で数々のウイルスがいても不思議ではない。
コウモリを感染源とみなして忌み嫌うだけでは、感染症の克服にはつながらない。
MERSウイルスはラクダ、エボラウイルスは霊長類を経たとされる。
ニパウイルスはコウモリの唾液やし尿、血液を通じてヒトやブタに飛び移る。
感染ルートの研究が欠かせない。
多くのウイルスがいても病む気配のないコウモリの謎を解き明かせば、感染症の予防や治療の参考になる。
人間がコウモリから強さの秘訣を次々と学んだとき、コウモリは解決策の宝庫と呼ばれるようになるだろう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC208XS0Q1A221C2000000/?n_cid=NMAIL007_20211225_A&unlock=1
(ブログ者コメント)
コロナに明け、コロナに暮れた、この1年。
本ブログの今年最終日をしめくくるのにピッタシの情報があったので、紹介します。
2021年12月19日6時39分にNHK首都圏から、「水素濃度を瞬時に測る装置開発 安全対策につながるか」というタイトルで下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地球上で最も軽い気体、「水素」の濃度を瞬時に測定する装置を日本原子力研究開発機構の研究グループが開発しました。
新たなエネルギーの期待が高まる水素の安全対策につながるか、注目されます。
水素は地球上で最も軽い気体で、無味・無臭。
濃度が高まると燃える、可燃性ガスの1つです。
研究グループは、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、溶けた核燃料から発生した大量の水素がたまって爆発し、事故が深刻化したことを踏まえ、水素の濃度をいち早く測る技術開発を進めてきました。
開発では、軽い気体ほど音を伝えるスピードが速くなる性質に着目。
水素で満ちた空間は、大気よりも4倍ほど速い特性を応用し、水素を含む空間で音が伝わる時間を計測することで水素濃度が瞬時に分かる装置を開発しました。
計測にかかる時間は0.05秒未満で、350度以上の高温環境でも利用できるということです。
研究グループは、水素が、化石燃料に代わる新たなエネルギーとしての利用が広まる可能性があることから、爆発などの事故を防ぐ対策につなげたいとしています。
開発に携わった荒研究員は、「水素を使った社会インフラの整備が進んだとき、この技術を活用すれば、わずかな水素の漏れも素早く見つけられるので、安全対策への寄与を期待している」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20211219/1000074002.html
2021年12月15日9時2分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本県南関町の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、農林水産省は疫学調査の結果を公表した。
感染経路は特定できなかったが、養鶏場にネズミのふんや野生動物が通れるほどの隙間が確認されたことから、ネズミがウイルスを媒介した可能性があるという。
農水省の疫学調査チームが3日に現地で調べたところ、鳥インフルが発生した鶏舎にネズミが通れるほどの隙間があり、内部でネズミのものとみられるふんや足跡が複数確認された。
ウイルスは野鳥やふん、ネズミ、人を介して感染することから、ネズミが感染経路の可能性があるという。
養鶏場は、感染リスクのある公道を挟んで、鶏舎が2カ所に11棟ある。
1カ所は消毒や訪問者用の長靴の用意などの対策を講じておらず、もう1カ所と自由に行き来できるようになっていた。
鳥のふんを運び込む堆肥(たいひ)舎では防鳥ネットが張られておらず、いずれも農水省が定める飼養衛生基準に反していた。
その一方で、従業員が鶏舎に入るときは靴底と手指を消毒して定期的に消石灰をまき、鶏に与える水を塩素消毒するなど、基本的な対策は講じられていた。
農水省の消費・安全局動物衛生課は、13日までに国内で今季9例の感染が確認されているとして、養鶏農家に「10月から5月まで海外からウイルスを持ち込むことが多い渡り鳥が日本に来るので、全国どこにでもウイルスがあるものと思って飼養衛生基準を徹底してほしい」と呼びかけている。
https://www.asahi.com/articles/ASPDG73VKPDFTLVB00N.html
※発生当時の報道は下記参照。
(2021年12月2日20時31分 熊本日日新聞)
熊本県は2日、南関町細永の養鶏場で毒性の強い高病原性鳥インフルエンザの疑い事例が発生したと発表した。
県の簡易検査で鳥インフルエンザの陽性を確認。
さらに遺伝子検査で陽性になれば、この養鶏場で飼育している肉用鶏約6万7千羽の殺処分を始める。
高病原性と確定すれば、県内の養鶏場では2016年12月の南関町以来、5年ぶり3例目の発生となる。
国内では今シーズン、鹿児島県出水市の2カ所など3県で4例が確認されている。
県は、疑い事例の発生を受け、この養鶏場の半径3キロ圏内にある養鶏場5カ所(11万3700羽)に鶏や卵の移動を自粛するよう要請。
3~10キロ圏内の14カ所(75万9878羽)にも圏外に搬出しないよう求めた。
遺伝子検査で陽性が判明した場合、移動や搬出がそれぞれ禁止される。
県によると、2日午前11時半ごろ、養鶏場から「3日間で73羽の死亡が見つかった」と県城北家畜保健衛生所(山鹿市)に通報があった。
検体を同衛生所で簡易検査したところ、13羽中12羽から陽性反応が出た。
県はウイルスの感染拡大を防ぐため、県の家畜防疫員が施設の消毒を実施。
遺伝子検査で陽性になれば、国の防疫指針に基づき、24時間以内に全ての鶏を殺処分し、72時間以内に埋却などの防疫措置を終える方針。
県職員を中心に約2千人態勢で作業に当たる。
県は同日、蒲島郁夫知事をトップとする防疫対策本部会議を設置。
知事は初会合で「まん延防止のため、総力を挙げて迅速な初動対応や監視体制の強化などに当たってほしい」と訓示した。
https://kumanichi.com/articles/486334
(ブログ者コメント)
ブログ者の自宅でも天井裏にネズミが侵入したことがある。
それも何回も。
初回侵入後に家の周囲を確認し、穴や隙間があったので全て塞いでおいたのだが、何年か後に、また再発した。
再度、侵入口を探したが、よく分からない。
そこで業者に見てもらったところ、家の周囲に置いていたものの裏側に通風口があり、そこに埋め込まれていた侵入防止用の樹脂プレートに穴が開けられていた。
ここに通風口はないだろうと思い込んだがゆえの大失敗。
天井裏がヒドイことになっているということで、清掃・消毒も業者に依頼して、少なからぬ出費になってしまった。
50坪の敷地でも、この有様。
広い養鶏場だと対策はかなり大変そうだ。
2021年12月14日10時20分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
業務上のミスなどで生じた損害について、自治体が職員個人に賠償を請求する例が増えている。
住民による行政監視が強まっていることが背景にあるとみられ、民間企業よりも厳しい対応が求められているようだ。
【「迷惑かけられぬ」全額支払い】
兵庫県では昨年11月、県庁の貯水槽の排水弁を約1か月閉め忘れたことで水道代約600万円が余分にかかったとして、県が50歳代の男性職員を訓告処分にし、半額の約300万円の弁済を請求。
職場でカンパを募ることも検討されたが、職員は「迷惑をかけられない」と辞退し、昨年12月に全額を支払った。
京都府向日市では2016年、災害時用の備蓄食料の購入で、納品を確認せずに代金を業者に支払った後に業者が経営破綻。
半数程度の食料が未納になり、市は17年8月、当時の市長、副市長のほか、職員4人に計約750万円を請求した。
【損害の5割】
地方自治法では、役所の物品の損傷などで「故意」か「重過失」が認められる場合、職員に損害賠償を請求できると規定している。
「重過失」に当たるかどうかの判断は、自治体の裁量に委ねられている。
総務省は自治体の職員個人に賠償責任が生じたケースについて、2~4年ごとに統計を取っている。
1995~98年度の4年間は45件だったが、2009~11年度の3年間は54件、16、17年度の2年間は51件と、増加傾向だ。
職員はどの程度弁済すべきなのか。
兵庫県が排水弁の閉め忘れで弁済額の参考にしたのが、東京都立高校で15年、8日間排水バルブが開いた状態でプールに給水を続け、都に約116万円の損害が生じたケースだ。
都は注意義務違反にあたるとして、関係した教職員7人に半額相当の賠償を求め、全員が納付。
この後、全額負担を求める住民訴訟が起こされ、東京地裁は訴えを棄却する一方、設備上の問題などを認め、職員の負担割合は「5割を限度に認めるのが相当」との判断を示した。
一方、企業法務に詳しい村松由紀子弁護士によると、民間企業では、従業員が委縮したり、責任のある仕事を避けたりすることを防ぐため、損害賠償を個人に求めることはほとんどなく、企業側が保険に加入して備えるのが一般的という。
同志社大の太田肇教授(組織論)は、「公務員は、市民の税金を扱っている以上、民間よりも責任が厳しく問われるケースがある」と指摘する。
【情報公開が浸透】
職員個人の賠償責任を問う自治体が増えている背景として、全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は、住民による行政監視の環境が整ったことを挙げる。
01年に情報公開法が施行され、国の公文書を開示請求できるようになり、市町村でも同趣旨の条例の制定が進み、情報公開が浸透した。
火災保険の契約切り替えができていなかったため、高知市が市営住宅で起きた火災の保険金を受け取れなかったケースでは、発生から4年後の04年に市民から住民監査請求を受けたのを機に、市が関係職員4人に計約700万円の損害賠償を請求した。
総務省によると、自治体を相手取った住民訴訟の件数は、1992~94年度(3年間)に334件だったが、2012、13年度(2年間)は483件、16、17年度(同)は512件に増えた。
新海弁護士は、「情報公開制度や住民訴訟が活用されるようになった結果、役所側のミスや不祥事が表面化し、職員個人の賠償につながっているのではないか」と話している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211214-OYT1T50058/
(ブログ者コメント)
兵庫県庁と都立高の排水弁閉め忘れ事例は、本ブログでも紹介スミ。
2021年12月12日17時0分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、複数枚の写真付きでネット配信されていた。
がれきを乗り越えて負傷者を見つけたり、災害現場のデータを集めたり。
そんな災害用ロボットを長年研究してきた愛知工業大工学部の奥川雅之教授(50)の調査ロボットが、インフラや工場の監視点検を想定して実用化され、販売が始まった。
実用機は、コンピューターシステム会社サンリツオートメイション(東京都)の「監視点検用クローラロボット」(全長80センチ、幅46センチ、高さ32センチ、重さ24キロ)。
奥川教授が2010年から研究してきた災害調査用ロボット「スコット」の技術を初めて実用化し、昨年4月に400万円余りで販売を始めた。
仕組みは重機と似ている。
駆動輪にあたるクローラー四つで走り、悪路で姿勢を安定させるサブ(補助)クローラーも四つある。
カメラやセンサー、連続駆動1時間半のバッテリーなどを搭載している。
最高時速は2・7キロ。
高さ20センチの段差を越え、斜度35度の路面や20センチまでの浸水深なら移動できる。
障害に突き当たれば、小回りして向きを変える。
操縦者は専用コントローラーで、進む方向や速度を指示する。
【ポイントは「サブクローラー」】
「悪路走行のポイントは、サブクローラーの動き」と、奥川教授。
地面から受ける力をうまく利用しながら、サブクローラーが自然に動いて前に進んでいく。
同社が、さらに防水や防じん性を高めて実用化した。
開発段階では、救助の現場とも連携し、愛知県豊田市の消防本部と訓練を重ねた。
「走行した場所の様子がわかれば、捜索の助けになる」という現場の声を受け、実用機には移動経路や周辺の状況を記録できるオプション機能を用意した。
同社は、「有事に限らず、監視や点検用として普段使いできる点をPRしている」と言う。
排水管や換気ダクトなどの狭い場所で、ひび割れや腐食などを確認する用途での活用を想定する。
数は少ないが、販売実績はあり、「思ったより使える」といった反応があるという。
奥川教授は、「できることはまだ限られているが、いつ起きるかわからない災害に備え、研究を実用化していくことが大切」と話している。
https://digital.asahi.com/articles/ASPDB5SYLPCHOIPE019.html?pn=4&unlock=1#continuehere
2021年12月3日23時25分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が写真と鋭角説明図付きでネット配信されていた。
愛知県警は3日、同県瀬戸市の市道で、誤って右折禁止でない交差点に禁止の標識を設置し、168人を道路交通法違反で検挙していたと発表した。
誤設置は8月25日~11月9日の約2カ月間。
標識は撤去、納付済みの違反金計114万4000円を返還し、違反点数も取り消したという。
県警交通規制課などによると、現場は名鉄瀬戸線の新瀬戸駅と愛知環状鉄道の瀬戸市駅近くで、市道が県道と斜めに交わる「水南」信号交差点。
市道を西進し県道へ右折する際は鋭角に曲がる必要があり、県警瀬戸署の交通課員が右折禁止のはずと誤認、4月に標識設置を求める書面を県警交通規制課に提出した。
同課は書面のみの判断で設置を許可し、8月25日に設置された。
11月、瀬戸署交通課員が管内の交通規制情報が入ったタブレット端末で確認したところ、規制のない場所に標識があることに気づいたという。
県警交通規制課は「誤って検挙した方には多大な迷惑をかけてしまい、深くおわびする」と謝罪した。
https://mainichi.jp/articles/20211203/k00/00m/040/439000c
12月3日16時30分に朝日新聞からは、「交通部は十分に調査せず許可した」という表現で、同趣旨の記事がネット配信されていた。
交通規制課によると、現場は瀬戸市水南町の県道と市道が交わる交差点。
道路の形状などから規制があると思い込んだ瀬戸署員が、右折禁止の標識設置を申請し、交通部が十分に調査せず許可した。
8月25日に標識が設置され、別の署員が誤りに気付いて11月9日に標識を撤去するまで、この交差点を右折した168件の「違反」を検挙したという。
同課の熊沢課長は「他の場所でも標識が正しいかを確認し、再発防止に努める」としている。
https://www.asahi.com/articles/ASPD3552RPD3OIPE00L.html
キーワード;ヒューマンエラー、人的エラー
2021年11月26日10時49分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
連係プレーで高齢男性の救命に貢献したとして、秋田県横手市消防本部は25日、いずれも湯沢市の運送会社員・菅さん(男性、58歳)と郵便局員・竹沢さん(男性、48歳)に感謝状を贈った。
菅さんは8月4日、横手市杉目で仕事の合間を利用したウォーキング中に、エンジンがかかったままの草刈り機を見つけた。
人がいないので探すと、口や目を開けたまま男性が近くで仰向けになって倒れていた。
「とうさん、とうさん」と呼びかけても反応はなく、呼吸もしていなかったという。
119番通報するとともに、ベルトをゆるめ、靴下をぬがせ、心臓マッサージを行った。
通報した際、伝える住所がわからず、呼び止めたのが、バイクで配達中の竹沢さんだった。
竹沢さんは、応急処置の支援や、入り組んだ場所での救急車の誘導にもあたった。
約10分後に救急車が到着し、隊員がAED(自動体外式除細動器)を使ったところ、呼吸が戻ったという。
男性は70代で、搬送中も意識が戻らなかったが、約1カ月後に無事退院した。
菅谷消防長は、「迅速な通報や応急処置が行われ、我々も感動している」とたたえた。
菅さんは「消防団での訓練が生きた。助かってよかった」、竹沢さんは「助けることができ、ほっとしている」と話した。
https://www.asahi.com/articles/ASPCT6RDYPCTULUC00N.html
2021年11月22日5時0分に読売新聞から下記趣旨の記事が、写真など付きでネット配信されていた。
警報音が聞こえない聴覚障害者に光の点滅で火災の発生を伝える「光警報装置」の設置が、空港や駅で進んでいない。
総務省消防庁が5年前に大規模施設への設置が望ましいとする指針を出したものの、未設置の拠点空港は6割に上り、新幹線の駅では8割を超える。
海外では公共施設への設置を義務付けている国もあり、専門家らは国が積極的に普及を推し進めるべきだと指摘している。
【「音」以外の基準なし】
日本の空の玄関口・成田空港。
2016~20年度にトイレや授乳室、喫煙室など、周囲の状況を把握しにくい全ての個室(計253か所)に約1730個の光警報装置を設置した。
装置は、火災を感知すると一斉に白い光を点滅させる。
ターミナルの一角にある授乳室(約18平方メートル)の場合、天井に3個あり、授乳時にカーテンで仕切っていても光に気づくことができるようになっている。
厚生労働省などによると、障害者手帳を持つ国内の聴覚障害者は約44万人に上るが、消防法では火災警報設備の基準は音以外にない。
総務省消防庁によると、19年までの10年間に、聴覚に障害のある64人(聴覚と視覚の両方に障害がある人も含む)が火災で死亡した。
全日本ろうあ連盟(東京)は、光や振動を用いた装置の義務化を消防庁に繰り返し要望してきた。
自身も聴覚障害がある有山理事(57)は、「命を守るには、視覚的に情報を把握し、すぐに避難できるような設備が必要だ」と訴える。
【8割超が「有効」】
同庁が14年に空港や医療機関などで実施した検証では、聴覚障害者71人のうち、59人(83・1%)が警報音を「全く認知できなかった」と回答。
一方、光警報装置を使用した場合、58人(81・7%)が火災の認知に有効だと答えた。
同庁は16年9月、障害者団体や有識者らでつくる検討部会での議論を踏まえ、光警報装置の指針を初めて策定。
義務化には至らなかったが、空港や駅への設置の必要性を明記した。
国土交通省も17年、国際線の主要空港7か所に対し、障害の有無にかかわらず利用できるユニバーサルデザイン(UD)の推進目標を設け、トイレ内には光で緊急事態を伝える設備を整えるよう求めた。
政府が今夏の東京五輪・パラリンピックに際して策定した行動計画に沿った措置で、ほぼ全てで目標を達成したという。
ただ、読売新聞が今年9月下旬、この7空港を含む国内28か所の拠点空港に取材したところ、成田のほか、羽田や関西、福岡など11空港で設置されていたのに対し、熊本や宮崎、松山など17空港には装置がなかった。
【設置は世界標準】
鉄道の駅も、整備が進んでいない。
今年9~11月の取材で、JRと大手私鉄16社の在来線で設置が確認できたのは、JR九州の熊本駅と、相模鉄道の羽沢横浜国大駅だけだった。
全国に92か所ある新幹線の駅では、利用客の多い東京や名古屋、新大阪にはなく、九州、北陸、北海道の各新幹線の16駅に限られていた。
(残り:492文字は有料/全文:1722文字)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211122-OYT1T50001/
2021年11月18日18時3分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
30年に1度の間隔で実施されている、送電線からの漏電を防ぐ「がいし」と呼ばれる器具の点検作業が、郡山市で行われました。
点検作業は、送配電を手がける東北電力ネットワークが、郡山市田村町にある高さ45メートルの鉄塔で行いました。
作業員たちは、高さおよそ40メートルから20メートルの位置に設置されている「がいし」と呼ばれる器具を目指し、登っていきました。
「がいし」は磁器で作られているため電気を通さず、漏電を防ぐ機能があり、鉄塔と送電線をつなぐ金属の先端に設置されています。
作業員たちは、検出器と呼ばれる電圧の差を調べる専用の器具を使って、経年劣化による異常がないか確認していました。
東北電力ネットワークによりますと、こうした点検作業は30年に1度の間隔で行われているということです。
東北電力ネットワーク郡山電力センター送電課の片寄課長は、「安定した電気を届けるために必要な作業となっています。社会インフラの劣化が問題になっている中でもあり、停電につながらないよう整備に努めたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20211118/6050016397.html
(ブログ者コメント)
カット映像の4枚目は、長い碍子列に沿って検出器をチョンチョンと横移動させていたシーン。
2021年11月14日11時48分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
黒い牛をシマウマのようなゼブラ柄に塗装し、アブなどの吸血昆虫の被害を少なくしようという山形県置賜総合支庁農業振興課の実験が、小国町の畜産農家であった。
黒く温かい所を好むというアブの習性を利用。
ゼブラ柄にするとアブが近寄らなくなることが確認できたという。
実験は、愛知県農業総合試験場が導入し、効果が報告されている「ゼブラ柄塗装による吸血昆虫対策技術」を試したもの。
同県のホームページによると、吸血昆虫は牛にストレスを与えて生産性を低下させるほか、吸血で病気が媒介される危険性があることが放牧時の課題の一つになっている。
このため、畜産農家は放牧時、「アブトラップ」という黒色の農機具を使い、アブをできるだけ駆除するなど、試行錯誤を重ねる。
実験では、小国町の遠藤畜産で繁殖牛3頭をスプレーでゼブラ柄に塗装した。
吸血昆虫が近寄ると、牛は尻尾を振ったり、頭や耳を動かしたりする忌避行動を取るとされ、その動きについて調べた。
8、9月の実験でゼブラ柄の牛は、通常の牛よりアブを嫌う忌避行動が4~8割少なかった。
遠藤畜産の遠藤さん(男性、35歳)は、「効果はあったと思う。ただ、1週間くらいで塗装が落ちてしまう」と話した。
10月には、ほかの農家に対する説明会が遠藤畜産であり、「見た目の違うゼブラ柄の牛が、ほかの牛から攻撃されてしまうことはないのか」などの質問が出た。
県置賜総合支庁の担当者は、課題として認識しているという。
同支庁は、省力化やえさ代軽減のため、休耕田などを活用した「簡易放牧」を広めようとしている。
牛を怖がり、猿などが畑に近寄らない効果も期待され、吸血昆虫対策を通じて簡易放牧の取り組みを進める考えだ。
https://www.asahi.com/articles/ASPCF6S04PBNUZHB00H.html
11月15日20時6分に日テレNEWS24からは、シマ模様の反射光を虫が嫌うなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(音声情報のみ)
https://www.news24.jp/articles/2021/11/15/07974984.html
(ブログ者コメント)
愛知県試験場の取り組み内容については下記記事参照。
2019年11月22日掲載
『2019年11月15日報道 愛知県の農業試験場がシマウマにはあまり虫が寄り付かないとの海外研究結果をもとに牛をシマウマ模様に塗ったところ、アブなどの寄り付きは半分以下に減少した』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10201/
(2024年2月6日 修正1 ;追記)
2024年1月29日7時6分にNHK山形からは、2021年から3年間検証した結果、シマウマ牛のほうが虫を振り払う行動が7割少なかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
黒毛の牛に白い塗料を塗るなどしてシマウマのような柄にすると、何も塗っていない牛と比べて、寄ってくる虫を振り払う行動が7割少なかったことがわかりました。
県は、「虫を振り払う行動が減ることで、牛のストレスの軽減につながる」としています。
県によりますと、寄ってくる虫を追い払うことが牛のストレスとなり、エサを食べる量の減少につながることなどから、生産農家の中には放牧をためらう人もいるということです。
これまでの研究で、黒毛の牛をシマウマのような柄にすることでアブなどの虫が寄ってこなくなるという研究結果があることから、県は、令和3年から3年間、小国町の畜産会社で検証を行いました。
検証では、「シマウマ柄」の牛3頭と何も塗っていない牛3頭を牛舎の外に10分間出した時に、虫を振り払うために頭やしっぽなどを振った回数を計測しました。
その結果、「シマウマ柄」の牛は何も塗っていない牛と比べて、虫を振り払う行動が7割少なくなり、効果が認められたということです。
県によりますと、えさ代が高騰している中、牛を放牧することで年間9万円以上のコスト削減にもつながるとして、県は、今回の検証結果を生産農家に周知していくことにしています。
県置賜総合支庁農業振興課は「『シマウマ柄』にして放牧することで、牛のストレス軽減につながったり、えさ代のコスト削減にもつながることが期待できる」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/yamagata/20240129/6020019646.html
2021年11月9日19時46分にYAHOOニュース(大分放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大分県佐伯市の住宅地で、工場用の大規模な送水管が真下に埋められていることが発覚しました。
老朽化や地震などによる大きな事故が心配されていて、住民と事業者による法廷闘争にまで発展しています。
大分県佐伯市の番匠川にかかる水管橋。
この送水管を利用しているのがKライフサイエンスです。
この企業は1953年に大分県佐伯市東浜でパルプ工場を操業。
製造過程で必要な水を確保するために、およそ70年前、大規模な送水管を設置しました。
送水管は地下や水道橋を通って、水源地から佐伯工場まで繋がっています。
全長およそ7キロの送水管が住宅地を通過していることが問題となっているのです。
(佐藤さん):
「うちはど真ん中を通っている。ここから玄関の横までど真ん中」
大分県佐伯市新女島区の佐藤さん(男性)。
2015年に佐伯市の道路工事がきっかけで、自宅の地下1.5メートルほどの深さに直径1メートルを超える送水管が通っていることを知りました。
(佐藤さん):
「この辺は全部畑だったと思うんですよね。だれも知らないまま、分譲住宅を買ったり土地を買って家を建てたのが現状」
(田辺記者):
「こちらでは施設を建てる計画が、送水管があるために計画変更を余儀なくされました」
(福祉施設の理事長):
「送水管があるのは知らなかった。なぜこちらが負担しないといけないのか」
「ここ、ど真ん中。こっちは斜めです」
およそ70年が経過し、老朽化も懸念されています。
「水が漏れて吹き出ているでしょう。吹き出ているということは、かなり出ていて、行き場がなくなっていると思う」
こうした問題を受けて、送水管の存在を知らなかった住民ら53人が地権者組合を設立。
佐藤さんが組合長を務め、会社側や市と協議を進めてきました。
(佐藤さん)
「地震があるときに下がどうなるか見えないから、もし送水管が外れたら心配」
協議を続けても解決の糸口が見えなかったため、佐藤さんら組合員9人は2018年、裁判に踏み切りました。
土地の所有権を侵害しているとして、送水管の撤去とおよそ920万円の損害賠償を求めています。
(山本洋一郎弁護士):
「制度に則った手続きを踏んでいない。私達が知っている範囲では、全国の工場で、こんな大規模で地下の地役権の登記をやっていない例はない」
自宅で安心を確保できないもどかしさに、佐藤さんの思いは。
(佐藤さん):
「あまりしたくないけど、だれかがやらないと、このままずっと放置して、事故があったときに知らないというわけにはいかない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5dcac910052d054969f2c3f5d7a0b5159e4fc80c
(ブログ者コメント)
地役権ならびにその登記について調べたところ、以下のような情報が見つかった。
当然、当時の土地所有者とは合意に達し、もしかすると行政も絡んだ上で送水管を埋めたと思うのだが、なぜ、登記しなかったのだろう?
当時の企業側担当者の知識不足?
それとも・・・・?
(リクルート社 SUUMOのホームページ)
『地役権って何? 登記は必要? 注意点は? わかりやすい地役権の基礎知識』
「地役権」とは、「ある一定の目的の範囲内で、他人の土地を自分の土地のために利用する権利」のこと。
でも、他人の土地を自分のために利用するってどういうこと?
なぜ、そんな権利が必要なの?
地役権に詳しい司法書士の清水さんに教えてもらいました。
【地役権とは?】
地役権とは、一定の目的のために、他人の土地を利用する権利のこと。
どんなときに地役権が使われるかというと、「一番多いのは、他人の土地を通ったほうが駅に出やすいなど、通行のために他人の土地を利用する場合に地役権を設定するケースです」と清水さん。
・・・
【地役権は登記が必要】
【地役権を登記しないとどうなる?】
当事者同士が合意できたら、地役権設定の登記を行います。
「登記をしないと、例えば承役地の土地所有者が売買などで変わった場合、それまでの合意内容を新所有者に対抗できない(地役権が設定されていることを主張できない)ケースがあります」。
登記をすれば、要役地・承役地とも次の所有者は、(期限内であれば)引き続き、設定されている内容を順守しなければなりません。
つまり、土地の所有者が変わったから通行できなくなる、あるいは今まで通行料をもらっていたのに支払われなくなった、といったことを防げます。
逆に言えば、購入した土地の登記簿に地役権が設定されていた場合、それを順守しなければなりません。
・・・
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/tochi/tochi_knowhow/chiekiken/
2021年11月9日7時30分にYAHOOニュース(COURRiER JAPON)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
英紙「フィナンシャル・タイムズ」の東京特派員レオ・ルイスが、先日の京王線刺傷事件について、日本の企業文化に焦点を当てた興味深い考察をしている。
ルイスによれば、日本のワイドショーでは、犯人があの紫のスーツをいくらで購入したかが話題になったりしていたが、この事件でもっと注目されるべきだったのは、規則を守ることが優先され、個人のイニシアティブが発揮できない日本の企業文化だったかもしれないという。
この事件では、携帯電話で撮影された電車内を逃げ回る乗客たちの姿や、コミック「バットマン」の悪役ジョーカーに扮した容疑者がタバコをくゆらせる映像が、人々の恐怖をかき立てた。
だがルイスは、もう一つのおぞましい光景として、容疑者の服部K太とは関係のない、むしろ「京王線のスタッフが関与していた」映像を挙げる。
燃える電車の小さな窓から必死で脱出しようとする乗客たちを捉えた場面だ。
乗客が非常通報ボタンを押したために電車は緊急停止したが、車掌と運転士はドアを開けなかった。
何が起きているか事態を把握できなかったため、そして、自殺や事故防止のために設置されているプラットフォームのドアとぴったり一致する場所で電車を停止させることができなかったためだ。
ルイスは、この京王線スタッフの判断について、「順応性のなさ」を指摘する。
「恐怖を覚えたのは、あの正気を失った一匹狼に対してだけではない。臨機応変な対応が求められる時があることを認識していない制度的欠陥にも恐怖心を抱いた。緊急時だけでなく、どんな状況であれ、組織のルールや慣習から外れた解決策が必要とされる時があるのだ」
【出る杭は打たれる】
ルイスは、都内の電車や地下鉄網の清潔で定刻通りのサービスを称え、それは無数の信頼の上に成り立っている東京の巨大なシステムの好例だと指摘する。
人々、制度、企業間の信頼が重なり合っているからこそ、東京という大都市がうまく(おおむね平和に)機能しているというのだ。
ただし、その信頼ゆえに個人で判断ができなくなってしまっているところがあり、今回の京王線刺傷事件でそれが浮き彫りになったと懸念する。
「そうした懸念はリアルである。というのも、東京で会社に勤める人たちは、企業内で個人がイニシアティブを発揮しようとすると抑圧される問題があることを直感的にわかっているからだ」とルイスは指摘している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d2dcb0eae64e1d6414a676205f46b72a2a556be
(ブログ者コメント)
〇外国では事故の原因を個人に求める傾向が強いと聞いていたが、この特派員の方、背景や組織にまで言及している点に興味を抱いたので紹介する。
〇しかしながら、ホームドアのある位置に扉がくるよう電車を停められなかったのは、車掌がすぐに事態を把握できなかったこと以外、乗客が非常ブレーキを作動させたためシステム上、ピタリと停められず、電車を動かそうにもホームドアに足をかけて脱出中の乗客がいたので断念した・・・そういった理由は本ブログでも紹介したところだが、それらの情報が、この特派員の方には届いていなかったとみえる。
(そういった情報を知る前の考察だったのかもしれないが)
ブログ者も、これまで、不足している情報だけで事故原因を推測するコメントを何度も書いている。
中には、かなり、ピント外れのコメントになっていることも多いことだろう。
しかし、それを承知で、推測コメントを書き続けている。
それは、
①本ブログで事故情報を紹介している目的の一つは、類似事故再発防止のための情報を提供すること。よって、可能な範囲でそのヒントを提示したい。たとえピント外れであっても、読者の皆さんにとって何らかの参考になるかもしれないし・・・。
②事故を報じるメディアの人にコメントを読んでいただければ、こういったニーズがあるのだなあと認識していただけるかもしれず、そうすれば、もう少し、事故の原因や背景についての報道が増えるのではないか?
と考えていることが理由だ。
ともあれ、今回の情報を他山の石として、コメント記載時には、より一層の注意を払うことにしたいものだ・・・そういういう意味で、自戒を込めて、この情報を掲載した。
2021年10月24日5時0分に日本経済新聞から下記趣旨の記事が、音消し壺の写真付きでネット配信されていた。
海外からも多彩な機能が注目される日本のトイレ。
排せつ音を紛らす擬音装置は、とりわけ興味を引くようだ。
昔ながらの「恥の文化」から生まれた発想だ。
この夏の東京五輪・パラリンピック。
多くの報道陣らが発信したのは、競技だけではなかった。
「東京で最もクールだったのはトイレ。
水が流れる音に衝撃を受けた」、「小鳥のさえずりまで聞こえるものがある」などと、擬音装置について驚きを表現する記者たちがいた。
2013年の調査だが、日本に来てびっくりしたモノは何かを日本に住む外国人女性200人に米国の旅行会社が尋ねたところ、「擬音装置」が27.0%と1位だった。
「豊富な種類の自動販売機」(23.0%)、「コンビニエンスストアの多さ」(20.5%)と続き、4位は「自動洗浄装置」(17.0%)。
上位4つのうち2つがトイレの機能だった。
【中小企業が開発】
現在のような擬音装置は、いつお目見えしたのだろうか。
1979年、折原製作所という東京都荒川区の中小企業が最初に開発した。
電気的な流水音が鳴り、芳香剤まで香る世界初の装置に、折原社長は「エチケットーン」と自ら名付けた。
名前の通り、「聞かれたくない音」を消すための装置だ。
続いてTOTOが88年に、擬音装置の代名詞にもなった「音姫」を発売した。
女性社員に調査したところ、排せつ時の音はもちろん、衣服を脱ぎ着する音や生理用品を扱う音などが「気になる」ことがわかった。
現在、同装置などの開発を担当する松山さんによると、「当初は機械音だったが、2011年からは本物の小川のせせらぎ音を使っている」。
鳥のさえずりを重ねることもできる。
90年に参入したLIXILも、やはり水の音を採用している。
2018年には、電子楽器メーカーのローランドと独自のせせらぎ音を共同開発し、「サウンドデコレーター」と名付けた。
広報担当の河合さんは、「心地よい音が、排せつ音を聞こえにくくするマスキング効果をより高めている」と話す。
だが、音消しの文化は200年以上前の江戸時代にすでに存在した。
実は、その現物が今も残っている。
岡山県倉敷市にある古刹、蓮台寺。
岡山藩主の祈願寺として、約1300年の歴史を持つ。
風格のある客殿の奥に「音消しの壺(つぼ)」がある。
直径約50センチメートルの青銅製の壺で、高さ約2メートルの石柱に置かれている。
壺には蛇口があり、栓をひねると、地面に敷き詰められた瓦にしたたり落ちた水の音が鳴る仕組みだ。
このすぐ奥に客人用の便所がある。
藩主の池田翁が祈願のために宿泊した折には、お付きの者が殿の用足しの際に水音を響かせた。
副住職の佐伯さんは、「かつては瓦の下に音を共鳴させる水琴窟もあり、恥じらいの音を美しい水音で消した」と解説してくれた。
この音消しの壺は、火災後に再建された江戸後期の1799年に設置された。
「当時は蓮台寺と江戸城の大奥にしかなく、その後全国に広まったようだ。使われた当時のまま現存するのはここだけ」(佐伯さん)という。
貴重な文化財だ。
【節水、感染予防へと進化】
この音消しのアイデアが現代によみがえったのが、折原製作所などの擬音装置なのだ。
恥じらう心を水の音で消すアイデアは、昔も今も変わらない。
だが、現代はより重要な理由が加わっている。
節水だ。
TOTOの調査では、擬音装置がないと、女性は音を消すため平均2.3回水を流す。
これが、装置があると1.5回に減る。
女性が400人いるオフィスでは1年間の節水効果は約5500キロリットル、金額では約386万円にもなる。
実は折原製作所も「本来の目的は節水にこそあった」(営業業務グループリーダーの矢野巌さん)。
開発時、東京は異常な渇水に見舞われた。
都議会では節水策を問われた水道局長が、エチケットーンを手に「こういう消音器も考案されている」と流水音を議場に響かせたという。
新型コロナウイルス禍の今、LIXILもTOTOも、水を流す前に便座のフタを自動で閉じるタイプを増やしている。
ウイルスが舞い上がるのを防ぐためだ。
トイレをはじめ水回りの製品は、手を使わなくても反応する非接触型が主流になりつつある。
恥じらいから節水、感染予防へ。
かゆいところに手が届く多彩なトイレ文化は、これからも進化し続けるに違いない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE182ES0Y1A011C2000000/?n_cid=NMAIL007_20211024_A&unlock=1
2021年10月23日10時7分にYAHOOニュース(サンデー毎日×エコノミスト)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
送電線工事の死者数が2020年に過去20年間で最も多い水準となった。
送電線建設技術研究会によると、6人が命を落とした。
死亡災害は過去5年が毎年3~4人で推移しており、2010年以降はゼロの年が3回あっただけに、送電工事業界も深刻に受け止めている。
災害の多さに加えて、作業員の〝なり手不足〟も業界にとって大きな課題だ。
送電鉄塔は高度成長期に多く建てられ、今がまさに建て替え需要のピーク。
しかし、人手不足などが相まって、計画通りに進んでいないという。
◆山奥の過酷な工事は「危険な仕事」
送電線は、山奥に建っているものも多い。
メンテナンスが必要かどうかを見定めるため、現場に出向いて高所へ登る必要もある。
建て替え需要が多いといっても、建設工事に加えて、巡視や保守など、様々な作業員の手を介して送電線と鉄塔は維持できている。
彼らは道のないところを、数十キロにもなる重たい工具を背負って現場を目指す。
特に、夏場は熱中症との戦い。
過酷な重労働だ。
ただでさえ若者の人口が減少しており、送電線や鉄塔の工事や保守といった仕事を選ぶ若者は少ない。
それでいて、死亡災害が過去最多の水準になると、「危険な仕事」とのイメージが広がってしまいかねない。
◆若者の確保が難しい地方
さらに地方になると、若者の人数が都市部より少なくなる。
総務省の労働力調査によると、2020年の労働力人口(15歳以上)は、東京都で前年比約11万人増えているのに対し、北海道は同2万5000人の減少。愛知県や大阪府といった大都市部は東京都と同様に増加しているが、山梨県や三重県、島根県などの地方は同1万人以上も減っている。
この統計は労働人口全体の数値だが、若者だけで比較しても、同じ傾向が見られるだろう。
それだけ、地方の送電工事会社が若者を確保するのは難しくなる。
◆人手不足解消でドローンに着目
人手不足を解消するため、電力会社と建設工事会社はドローンに着目した。
カメラを取り付けたドローンを送電線の上空や鉄塔に沿わせる形で飛行させて撮影。
その画像や動画を確認することで、送電線や鉄塔の状態を把握するというわけだ。
巡視のために作業員が工具を背負って山奥に入る必要がなくなるため、安全性も高まるし、作業負担も減る。
ドローンが撮影した画像を分析し、補修が必要となったら作業員が向かえば良くなる。
◆大型ドローンで3K解消に期待だが…
実際に東京電力パワーグリッドなどが出資する事業体は今年3月、送電線の点検を目的としたドローンの飛行実験を茨城県で実施。
地上高65メートルの鉄塔上空を自動で飛ぶことに成功した。
巡視に加えて、新たな活用方法も考えられている。
送電鉄塔の補修部品などをドローンで輸送する取り組みだ。
これらは実証段階とはいえ、そう遠くない将来に実用化に至りそうだ。
送電線や鉄塔の巡視、補修用の資機材輸送に加え、大型ドローンに工具を搭載すれば、鉄塔上空の作業も行えるかもしれない。
そうなれば、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)の代名詞ともいえる送電線と鉄塔の建設や補修の仕事も、若者受けがよくなるかもしれない。
◆自動化してもAIでも「最後は人手」の伐採作業
しかし、どれだけ自動化や人工知能(AI)が進んでも、最後は人の手に頼る部分も残る。
その一つが、送電線を保守するための伐採作業だ。
送電線と樹木が接触すると大規模な停電事故につながる恐れがあるため、定期的に作業員が現場へ出向いて伐採しなければいけない。
一つのエリアで周辺を一気に伐採するなら、重機を使うこともできる。
だが、送電線の保守現場は、一箇所で伐採するのは数本。
費用を考慮すると、どうしても人の手で行わざるを得ない。
◆樹木の内部を見極める「熟練技術者」が消えていく
そして、これらの作業にも熟練した技術が必要となる。
例えば樹木を切る場合、倒れる方向を見定めた上で作業に取り組む必要があるからだ。
熟練の技能者も高齢化し、今後は続々と定年を迎えていくだろう。
送電線工事などに携わる高所作業員と作業責任者は、2000年に約7400人いたが、2020年には約5800人にまで減少している。
目立たない職種だが、彼らの働きがあるからこそ、日本全国どこでも安定した電気を使うことができる。
その人材をしっかり育成しないと、数十年後には鉄塔を建設したり補修したりする作業員が不足して、電力の安定供給が守れなくなる。
◆重労働に見合った賃金が必要
送電線工事業界も危機感を持ち、人材確保に向けた取り組みを進めている。
全国の現場を一斉に休業する取り組みなどを始めた。
休暇を取得しやすくなったとはいえ、それだけでは足りない。
最良の方法は、重労働に見合った賃金を支払うことだろう。
そのためにも、鉄塔や送電線の建設・保守作業の発注者である電力会社が、適切な価格で工事会社に発注する必要がある。
◆電力自由化で半減した送電線工事
電力の自由化が進み、電力業界も顧客の獲得競争が激化。
経営状況は以前と比べて苦しくなり、資材調達に費やす資金も減らしている。
送電線工事業界の受注実績は、1996年に3000億円を超えていたが、2003年には約550億円まで減少。
近年は、回復してきたとはいえ、2020年は約1560億円に過ぎない。
業界全体の受注額が増えれば、給与水準も向上する。
就職先としての魅力度も高まる。
人材が増えれば、休暇も取りやすくなる。
このサイクルに至らないと、送電工事業界の人手不足は解決しないだろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d3c4a648399fd8c91e8e3242f0ae33bae67155e
2021年10月25日20時18分にYAHOOニュース(HUFFPOST)から下記趣旨の記事が、コンプ祭りポスターの写真付きでネット配信されていた。
老朽化が問題となっているマンホールの蓋の写真を、市民の力を借りて収集する企画がSNS上で話題になっている。
企画を運営するのはNPO「Whole Earth Foundation」(WEF、シンガポール)と、マンホール蓋などを製造する日本鋳鉄管。
東京23区のマンホール蓋が対象で、専用のスマートフォンアプリで写真を撮影して投稿する。
総額100万円以上の賞金が用意されており、いわば市民参加型のゲームイベントだ。
イベントは「第3回 #マンホール聖戦 東京23区コンプ祭り」で、10月31日まで開催されている。
23区全域でマンホール蓋は約47万カ所あるが、危険な場所を除く約41万カ所が対象という。
渋谷区は既にコンプリート(完了)している。
Twitter上では、「誰でもインフラデータ収集の一端を担えるゲーム」、「社会貢献にもなる素敵な企画」と評価する声が上がっている。
背景には、日本のインフラの老朽化がある。
日本グラウンドマンホール工業会(東京)によると、全国の約1500万カ所のマンホール蓋のうち、30年以上経過したものが約300万カ所あると推計されている。
放置しておけばスリップ事故などにつながる恐れがあるが、数が多くて行政の管理が行き届かないといった課題がある。
こうした事態を踏まえ、WEFは、お散歩マンホールアクションゲームアプリ「鉄とコンクリートの守り人」を開発。
8月に渋谷区全域を対象に実証実験したところ、3日で区内の約1万カ所の全てのマンホール蓋の写真を収集することができたという。
こうした取り組みは「シビックテック」と呼ばれる。
シビック(市民)とテック(テクノロジー)を組み合わせた造語で、市民がテクノロジーを活用して社会課題の解決を目指すのが特徴だ。
WEFは、「マンホールの異常を事前に察知できれば、更新の優先順位が分かり、 重大事故を未然に防ぐことができる」と意義を説明。
日本鋳鉄管は、「マンホールの適切なタイミングでの交換につながり、より安心・安全な社会に向けての一歩になればいい思う」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a91071e3fb3da431012ec21763289645210cc0c3
(ブログ者コメント)
本ブログの記事は原則、発生日・報道日順に並べているが、今回の情報は今月末までのイベント紹介。
参加したい人がいるかもと思い、前倒しで掲載した。
2021年8月31日11時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
津波や洪水時に子どもたちが浮いて救助を待てるよう、ライフジャケットにもなるランドセルを、メガネ用品の製造販売大手が開発した。
考えたのは、東日本大震災の被災地を訪れた新聞販売店主。
異業種コンビが6年がかりで商品化し、年内の発売を目指す。
メガネのケースやクロスが主力の「栄商会」(浜松市東区)は創業73年の老舗。
自社内に裁断、縫製の設備があり、以前から持ち込み企画の商品化に協力してきた。
そこに同市中区の新聞販売店主、清水さん(男性、73歳)が、「浮くランドセル」の企画を持ち込んだ。
清水さんは2012年に宮城県石巻市の大川小学校を訪れた。
震災の津波で児童と教職員84人が犠牲・行方不明となった現場に立ち、「助かる方法はなかったのか」と考え込んだ。
最初は、ウレタン材で浮輪を作った。
だが、友人に「浮輪を持って学校に行く子はいない」と言われ、断念。
その3年後、小1の孫がランドセルを背負う姿を見て、ひらめいた。
「ランドセルが浮けばいいんだ!」
津波や水害時に、まず高いところに避難した上で、水が上がってきたら仰向けに「浮いて待つ」方法は、水難学会などが推奨している。
従来のランドセルも空気を含み、浮力はある。
だが、腹に抱える「前持ち」をしないと、顔が水に沈んでしまう。
清水さんは、栄商会の吉沢社長(男性、62歳)と試作を繰り返した。
本体にはナイロン生地を使用。
普段はランドセルのふたになる部分に、厚さ10センチのウレタンシートを入れた。
水害時には、肩ひもから体の前に持ってきて「浮き具」として使える。
背面にも薄いウレタンシートを入れ、全体が水に浮くように設計した。
両脇と股間をプラスチックの留め具で固定すれば、より安定して長時間、仰向けに浮いていられる。
今年5月にプール、7月に海で、ライフガード立ち会いの下、浜松市内の小学生と実証実験をした。
小原さん(女児、9歳)は、「最初、足がつかなくて焦った。浮かんでからは楽に浮いていられた」。
増田さん(女児、9歳)は、「少し水を飲んじゃったけど、顔を水から出せたら落ち着いた」。
吉沢社長は、「1年生から6年生まで、体格の違うすべての子どもが安定して浮けるように、バランスを工夫するのが難しかった」と話す。
複数の子がつかまれるよう、浮き具の取り外しもできるようにした。
通常のランドセルとほぼ同じ大きさで、重さは1・4キロと、やや重い。
販売予定価格は4万9500円(税込み)。
「ウクラン」の愛称で商標登録中だ。
問い合わせは栄商会(電話053・464・0601)へ。
https://www.asahi.com/articles/ASP8Z654TP8DUTIL046.html
(ブログ者コメント)
関連情報調査結果、浮くリュックサックが別のメーカーから9月1日に販売されるという下記趣旨の記事が、リュックの写真付きでネット配信されていた。
(2021年8月30日 16:20 沖縄タイムス)
夏のレジャー時期にどうしても増えてしまう子どもの水難事故。
また最近は集中豪雨などで悲惨な事故も相次いでいる。
そんな中、学校用教材教具や防災防犯用品を提供する三和商事が開発したのが、『浮くリュック ビートキューブ』である。
三和商事は、区の7割が「海抜ゼロメートル地帯」という東京都江戸川区にて、防災専門店『防災ファーム』を運営。
水害が懸念される地域のニーズをもとに、同社では普段使いできるデザイン性の高い『浮くリュックシリーズ』を企画開発して販売している。
今回発表された『浮くリュック ビートキューブ』は、そのシリーズ第3弾にあたる。
いつ起こるかわからない災害に備えて、普段使いと非常時どちらでも使える仕様。
普段はランドセルのように使用でき、A4サイズのフラットファイルをゆったり入れられるデザインとなっている。
内部にはポケットが複数付いており、さまざまな小物も収納できる。
一方、非常時には救命胴衣の代わりとして使用。
リュックの両サイドに内蔵された浮力板を引き出すことで、背負ったままでバランスよく浮くことができる。
立ち泳ぎの姿勢で浮くことになり、顔に水がつきにくいため、水が苦手な子どもでも浮いた状態を保つことができるという。
価格は2万5000円(税込)で、ブルー、レッド、ブラックの3色。
防災の日である9月1日より発売される。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/822558
2021年8月22日11時10分に毎日新聞から、生い茂った草むらに放たれるウシの写真付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
農林作物を荒らす有害鳥獣の被害対策に取り組む山口県下関市豊北町の朝生地区が、シカやイノシシの隠れ場所となる耕作放棄地に牛を放し、草を食べてもらう「山口型放牧」を始めている。
山口、周南、岩国市でも導入しており、深刻化する獣害を防ぐ方法として期待される。
山口型放牧は、和牛を電気柵で囲った水田や耕作放棄地などに放牧する県独自のスタイル。
耕作放棄地の解消や牛の飼育管理の省力化と共に、和牛が草を食べることで見通しが良くなり、野生動物が集落に近寄りにくい環境が生まれ、鳥獣対策にもなる。
県内の有害鳥獣による農林業被害は2020年度で約4億円で、このうち約4割が下関市だ。
特に朝生地区は稲や麦、牧草などの被害額が同年で約250万円となり、被害が深刻化している。
同地区では21年2月に県や市の支援を受けて獣害対策の総合計画を策定。
防護柵の設置や里山林の環境整備などと共に、期待されるのが山口型放牧だ。
同地区では放牧用の牛を貸し出す県の「レンタカウ制度」を活用し、県農林総合技術センター畜産技術部から黒毛和種の雌はつみ(10歳)とのぎく(6歳)を借りた。
2頭は、8月上旬に高さ約1・5メートルの雑草が茂っている0・5ヘクタールの耕作放棄地に放されている。
朝生自治会の田中さん(73)は、「(生い茂った雑草地が)シカやイノシシの隠れ家にならないように、2頭の牛には頑張ってもらいたい」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20210822/k00/00m/040/069000c
(ブログ者コメント)
「牛」+「イノシシ」+「対策」でネット検索してみたところ、山口県以外でも同じような対策が各地で進められていた。
2021年7月17日15時30分にYAHOOニュース(神戸新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸市西区役所の新庁舎建設工事を巡り、「夜間もクレーンが伸びたままで、倒れてきそうで怖い」という声が神戸新聞の双方向報道「スクープラボ」に寄せられた。
工事が行われていない夜に現場を訪ねると、確かにクレーンの長い首が伸びている。
もし横倒しになれば、道路を挟んで建つマンションにも当たりそうに見える。
建設中の新庁舎は、神戸市営地下鉄西神中央駅の隣接地にある。
6階建てで、今年12月末の完成予定。
不安の声を寄せたのは、道路を挟んで新庁舎の東側に建つマンションに住む60代男性。
定年前は、大型クレーン車を扱う会社に勤めていたといい、「夜や休日、無人になる時はクレーンを伏せておくべきだ」と話す。
一例に、2017年1月、福井県の高浜原発で安全対策工事に使う大型クレーンが風にあおられ転倒した事故を例に挙げる。
事故は、暴風警報が発令されていた夜間に発生。
施工会社のルールでは、強風が予想される際はクレーンのアームを畳むことになっていたが、伸びたままだった。
高浜原発では、事故後の安全対策として、風速にかかわらず作業終了後はアームを畳むことになった。
男性は、「住民の不安を考えたら、同じように畳むべきだ」と不満を口にする。
◇
工事を発注した神戸市の第三セクター「OMこうべ」に取材した。
説明によると、クレーンのアームは最長約80メートル。
アームを畳むかは、メーカーの取扱説明書に基づくとする。
このクレーンの場合、地上で瞬間風速30メートル超が予想される時は、畳んで伏せる。
説明書は、瞬間風速16~30メートルの際も畳んで伏せることとしつつ、スペースの問題などでできない場合はアームを伸ばしたまま、地上の重りに引っ掛けるとする。
新庁舎の建設では、平時の夜間なども、この態勢を取っている。
さらに、これができない場合に、アームの屈折部分から先を折り下げるとする。
OMこうべの担当者は「先を折り下げた方が見た目では低いが、アームが高く伸びていても、下で重りに引っ掛けた方が安全性が高いと判断している」と話す。
「クレーンを伏せて起こす、を日々繰り返すこと自体に危険がある」ともする。
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法令はどうか。
労働安全衛生法に基づく「クレーン等安全規則」は、強風への対策を講じるよう定めるが、平時については規定していない。
安全管理を指導する兵庫労働局の担当者は、「メーカーごとの説明書に沿っていれば、転倒の危険性はかなり低い」と話す。
一方で、住民が抱く不安感には理解を示す。
「丁寧な対応や説明責任は業者の側にある。正しくても“言いくるめられた感”や“だまされた感”を抱かせるような説明では、理解してもらえない」
OMこうべなどの説明に、投稿した男性は「高浜原発の事故後、大手ゼネコンの建設現場では風のいかんに関わらず、予防的に完全に伏せるように指示されている」と反論。
「公共工事で周辺住民の不安を取り除かないまま進めるのもいかがなものか」と話す。
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この記事は神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に寄せられた情報を基に取材しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/16419408b0fd550546d6d0fa93bd0107f9216035
2021年6月30日にNHK東海から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
今週も雨の日が多いですが、みなさんは雨が降ったとき、「雨の匂い」を感じませんか?
実は、その雨の匂いにはいくつか種類があるそうです。
詳しくは東海NEWSWEBの動画でご覧ください。
(音声のみ)
香りなどの研究をしている製薬会社からの情報です。
今回は2つ紹介しましたが、状況とか場所によっては細かく分かれていくということです。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20210630/3000017301.html
2021年6月28日7時6分に時事ドットコムから、下記趣旨の記事がプラグの写真付きでネット配信されていた。
新型コロナウイルスワクチンを保管する冷凍庫や冷蔵庫の電源プラグがコンセントから抜ける事故が5月下旬以降、各地で相次いでいる。
多くの自治体は「原因は不明」と説明し、ワクチンの廃棄を余儀なくされるなどの影響が出ている。
インターネット交流サイト(SNS)には「プラグを抜こう」と呼び掛ける投稿もあるが、関係性は分かっていない。
「特に不審な点がなく不思議だ」。
大阪府寝屋川市の担当者はこうつぶやく。
市内の集団接種会場では19日、ワクチンを保管する冷凍庫のプラグが抜けているのが見つかり、ワクチン510回分を廃棄した。
現場責任者は前日、会場施錠時に電源を確認し、問題はなかったという。
市は府警に相談したが、夜間に何者かが侵入した形跡を確認できず、事件性は低いと判断された。
兵庫県芦屋市でも25日朝、プラグ抜けが見つかった。
24日夕、職員が冷蔵庫を設置した部屋に施錠。
帰宅時に異常はなかった。
プラグは外れないようにテープで固定されていたといい、同市は「(職員らが)誤って抜いたとは確認されていない。原因は分からない」と説明している。
プラグが抜ける事案は神戸市や兵庫県猪名川町、横浜市、千葉県市原市や埼玉県川越市、島根県大田市でも発生。
計約2100回分のワクチンが廃棄を余儀なくされた。
原因について大田市の担当者は、「職員がコードを踏んで外れた可能性はある」と推測する。
ただ、ワクチン保管用冷蔵庫メーカーの担当者は、「足を引っ掛けたり意図的に抜いたりしない限り、通常、プラグがコンセントから外れることはない。自然に抜けたとも考えづらい」と首をかしげる。
一方、ツイッター上では5月下旬ごろから、「プラグを抜こう」というハッシュタグ(検索用の目印)付きの投稿が広がる。
今月16日には、ワクチンの危険性を訴える政治団体の党首を名乗るアカウントが、大田市の事例を報じたニュースを引用。
「ありがとう。#プラグを抜こう」とツイートした。
党首は取材に対し、「アカウントが私のものか言う必要はない。投稿を見たことはある」と話している。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021062700226&g=soc
6月28日15時21分にYAHOOニュース(日刊ゲンダイ)からは、時事通信の記事を引用する形で、故意にプラグを抜いた場合は偽計業務妨害などに問われるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
冷蔵庫の電源プラグが抜けていたため、ワクチンが使い物にならなくなった――。
こんな事態が全国の接種会場で起きている。
兵庫県の神戸市、芦屋市、猪名川町のほか、大阪府寝屋川市、横浜市、千葉県市原市、埼玉県川越市、島根県大田市……などで発生。
計約2100回分のワクチンが廃棄を余儀なくされたという。
時事通信によると、多くの自治体が「(プラグ抜けの)原因は不明」と説明。
大田市のワクチン保管用冷蔵庫メーカーの担当者は、「足を引っ掛けたり意図的に抜いたりしないかぎり、通常プラグがコンセントから外れることはない。自然に抜けたとも考えづらい」と首をかしげている。
■意図的に抜いている可能性も
ここまで多発すると、誰かが意図的に抜いている可能性がありそうだ。
だとしたら、どんな人物なのか。
ネット上では「プラグを抜こう」というハッシュタグ付きの投稿が広がっているが、関連性は分かっていない。
ワクチン接種に対して、「女性は不妊になる」「遺伝子が書き換えられる」と、根拠もなく危険視するグループも出現している。
プラグが故意に抜かれた場合、犯人はどのような罪に問われるのか。
元東京地検検事の落合洋司弁護士が言う。
「考えられるのは偽計業務妨害罪と器物損壊罪です。
前者は接種業務をこっそり妨害、後者はワクチンを使い物
にならなくしたからです。
偽計業務妨害の法定刑は懲役3年または罰金50万円以下。
器物損壊は懲役3年または罰金30万円以下もしくは科料。
いたずらで1回だけプラグを抜いたのであれば、執行猶予
判決でしょうが、あちこちの接種会場のプラグを抜いた上
に反省していない場合は、再犯の可能性ありと見なされ、
懲役1年半~2年の実刑判決も考えられます。
民事訴訟の場合は損害賠償として、廃棄したワクチンの実
費に原因解明などの余計な業務の労賃を加えた金額を請求
されるでしょう」
自分ではプラグを抜かないが、「#プラグを抜こう」と、他人をあおった場合は、どうなるのか。
やはり罪に問われるのか。
「犯行の黒幕といえるほどの影響を与えたと認定されたら、
刑法の教唆罪になると思われます。
実行犯と同じ刑罰が科せられます。
民事で損害賠償を科せられた場合は、支払い命令の金額を
実行犯と一緒に払うことになるでしょう」
(落合洋司氏)
警察はどう動くのか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec8e25f59642d38f252f72fe1988e2bf6413a382
(ブログ者コメント)
各地でプラグ抜けが報じられるたび、ヒヤリ情報は伝わっていないのかな?などと思っていた。
そこに今回の報道。
故意に抜いた人間が、そんなにも多くいるかもしれないとは、思いたくないのだが・・・。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。