2021年11月3日付で毎日新聞から下記趣旨の記事が、空撮写真と転落状況のイメージ図付きでネット配信されていた。
2日午前5時50分ごろ、東京都武蔵野市吉祥寺本町2で、ごみ収集車の男性運転手から「道路が陥没して車がはまった」と110番があった。
警視庁武蔵野署によると、東急百貨店吉祥寺店近くの道路が幅約4メートル、長さ約10メートル、深さ約2~5メートルにわたって陥没し、収集車の後輪が穴に落ちた状態になった。
けが人はいなかったが、同署などが周辺住民に注意を呼び掛けた。
武蔵野市によると、現場は市が管理する道路で、隣接する敷地では商業ビル(地上3階、地下2階)の新築工事が9月から始まっていた。
工事現場と道路の地下部分には、両側を隔てるようにコンクリート壁が設置されていたが、壁の根元部分の一部が工事現場側にずれて傾いていた。
この壁は、従来あった建物が約40年前に建設された際に設置されたものだという。
道路陥没の原因は分かっていない。
同市が2019年度に電磁波を使って現場を検査した時には、空洞などは確認されなかったという。
市の担当者は、「陥没と工事の因果関係も含めて原因を調べる」と話した。
また、工事を担当している市内の建設会社は「詳細は調査中で何も答えられない」としている。
現場近くに住んでいる男性(85)は、「『ダダダ!』という鉄骨が崩れるような音と揺れで目を覚まして外に出ると、ごみ収集車の後輪が穴に沈み込んでいく最中で、運転手らは血の気の引いたような青い顔をしていた。人通りが多い時間帯だったらと思うと怖い」と声を震わせた。
https://mainichi.jp/articles/20211103/ddm/041/040/108000c
11月2日9時56分にNHK首都圏からは、運転手は走行中に違和感を覚え、車を降りたところ陥没していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警視庁によりますと、運転していた男性が走行中に後輪が傾いたような違和感を覚え、車を降りたところ、道路が陥没しているのがわかったということです。
現場は、JR吉祥寺駅から北におよそ300メートルの商業施設などが建ち並ぶ繁華街で、警視庁などが詳しい状況を調べています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20211102/1000072195.html
11月2日18時21分にYAHOOニュース(FNN PRIME)からは、半年ほど前にちょっとした陥没があった、壁を押さえる切梁の力不足?工事現場では水が出ていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道幅は、およそ5メートル。
ゴミ収集車の関係者:
「廃棄物を回収に来たら、(車の)左側が少しずつ傾いてきて、アスファルトが割れて、ゆっくりゆっくり後輪から落ちた」
一体なぜ、道路が突然陥没したのか。
近隣住民:
「もともとレストランがあったんですけど、それを壊す工事が」
陥没現場の隣で行われていたのは、老舗レストランの跡地に地上3階、地下2階建てのビルを建設する工事。
周辺では異変が起きていたという。
陥没現場近くの飲食店関係者:
「半年くらい前にここを解体している時に、ちょっと陥没した部分があって」
陥没した現場をよく見ると、工事現場と道路の境となる場所で、ビルの地下部分の壁がむき出しになっている。
地盤工学の専門家、日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授は、陥没の要因について、「工事側の壁が動いているのが確認できますので、壁が動いたことによって、道路の下の土が工事現場側に流れた」と推測する。
建設中の地下部分の壁がずれ、道路下の土が工事現場に流入。
それによって空洞が生じ、陥没が起きたのではないかという。
工事関係者を取材すると、この地下部分の壁は、以前あった建物の壁を再利用したもの。
この壁が、道路面の土の圧力に耐えられなかった可能性があるという。
日本大学理工学部・鎌尾准教授:
「この茶色に見えるものが『切梁(きりばり)』といって、壁が動かないように押さえるもの。切梁の力が不足して、土圧によってこの壁が動いたものだろうと推測できる」
さらに、地下水の影響を指摘する声もある。
近隣住民:
「(工事現場で)水が出たっていうのは業者さんから聞きました」
「井の頭公園とか、池があるでしょ。湧き水があるってことは、地下水が出てくると、この地下水なんかで地盤が緩くなっちゃう」
陥没した道路には水道管やガス管が通っていることなどから、ごみ収集車の引き上げ作業のめどは立たない状態。
道路の復旧にも時間がかかる見通し。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7dd16c18b086d5579458d458828e3315135d9130
11月2日12時38分にYAHOOニュース(ENCOUNT)からは、解体中に水脈から水が出た、2ケ月ほど前に収まったので工事を再開していた、ビル建設時にも水脈が見つかっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
陥没があったのは、東急百貨店吉祥寺店の裏手の路地だ。
すぐ横の敷地内では、ビルの基礎工事が行われていた。
陥没現場の目の前の家に住む立岩さん(男性、85歳)は、「陥没発生は5時32分。鉄骨が落ちるような音が3回聞こえた。揺れも震度1くらいはあったかな。家から出ると、穴にハマったごみ収集車の運転手が脱出するところだった。すぐに警察が来て、6時20分頃には『危ないから出てください』と退居を命じられました。しばらく家には入れそうもない」と、疲れた様子で話した。
この場所には50年以上前から住んでいるといい、崩落現場では昨年、建物の解体工事が行われていた。
「昨年の6月から工事が始まって、だいたい6か月で解体されたが、地下を掃除してたら水脈から水が出てきて、2か月くらい前に収まったので(ビルを建てる)工事を再開したという話は聞いていた。以前の建物ができる前にも日本水道協会の検査で水脈が見つかったらしいが、それから何十年も何もなかったからね。この辺りはビルも多く、こういった陥没の話は聞いたことがない」と語った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ed8c4f426aea047a79c0f14472b0fca27ef462f
11月2日8時8分に朝日新聞からは、壁には2~3mの損傷があり、そこから道路側の土が流出したという下記趣旨の記事が、5枚の現場写真付きでネット配信されていた。
陥没のあった道路とその隣の工事現場の地中境界線部分にあったコンクリートには2~3メートルの損傷が確認されており、損傷部分から道路側の土が工事現場側に流れ出していたという。
https://www.asahi.com/articles/ASPC22K0MPC2UTIL001.html
11月3日12時9分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、壁には縦3mの亀裂が入っていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
その後の関係者への取材で、道路と工事現場の地下部分を隔てるコンクリートの壁に縦およそ3メートルの亀裂が入り、道路側から土砂が流入していたことが分かりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0a1e06c434c5355be3faaa347623e12f73bdeec
11月2日11時52分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、車の引き上げは困難、ビルでは土留め作業が行われていたらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場は吉祥寺駅ちかくの繁華街の脇道で、工事現場とマンションに挟まれています。
発生から5時間半あまりがたちますが、クレーンを入れる場所が見つからず、車の引き上げのメドはたっていないということです。
すぐ隣のビル建設工事現場では、地下で「土留め」という土砂の流出を防ぐ作業が行われていたとみられ、警視庁が陥没との関連を調べています。
市の担当者は、再び道が通れる状態になるには、ひと月以上かかる可能性もあると話していて、周辺住民などの生活への影響が懸念されます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b3f4be687fd7cd8303eb7a26ffbd2602b15f0d9
11月2日11時4分に東京新聞からは、地図ならびに複数枚のクリアな現場写真付きの記事がネット配信されていた。(記事本文の転載は省略)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/140464
11月8日12時21分にYAHOOニュース(TBS NEWS)からは、収集車は6日ぶりに撤去されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京のJR吉祥寺駅近くで発生した道路の陥没事故で、穴にはまっていたごみ収集車が撤去されました。
現場では、道路の復旧に向けた作業が加速しています。
道路が陥没した現場では、現在は金属製の筒を使ってコンクリートなどを穴の中に流し込み、陥没でできた空洞を埋める作業が進められています。
穴にはごみ収集車がはまっていたのですが、きのう午後11時半すぎから、およそ1時間半かけて、引き上げ作業が行われ、6日ぶりに撤去されました。
この事故で、ごみ収集車に乗っていた作業員2人にけがはなく、これまで水道などの生活インフラに影響は出ていないということです。
こちらの道路のすぐ隣では、今年8月から商業ビルの建設工事が行われていました。
この工事現場の地下にある道路側との境界線となる壁に、縦3メートルほどの亀裂が入り、土砂が流出していたということです。
市は陥没の原因について、工事との因果関係は調査中としていて、今後、道路が開通するのは今週中になる見込みです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9c747a127e447d458a3b923bd2194660d51051b
2021年11月1日付で新潟経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟県佐渡市は1日、民間運営の佐渡クリーンセンター(佐渡市中原)で、ごみ分別作業中に農薬が漏れ出す事故が発生したと発表した。
事故は1日午前8時50分ころ、燃やさないごみの分別作業時に発生。
指定ごみ袋の中に農薬のポリ容器が混入されており、緩んだフタから液体の農薬が揮発し、ごみ分別フロア内ににおいが拡散したため、業務に携わっていた委託業者の作業員11人が退避した。
気分が悪くなった作業員がいたため消防に通報し、救急車を手配したが、作業員はその後回復し、救急搬送されなかった。
農薬の容器にはクロルピクリンと書かれたラベルが貼られており、1キログラムの容器の中に約800グラムの薬品が残っていたことから、この農薬が拡散したと思われる。
においの原因となった燃やさないごみ袋は、29日の夕方から30日の間に同センターへ直接持ち込まれたと思われるが、持ち込んだ人の特定はできていない。
なお、この事故において、同センター周辺へのにおいの拡散は確認されていない。
佐渡市環境対策課は、「農薬や劇薬は、産業廃棄物として処理業者により処理されるもので、佐渡クリーンセンターで引き取ることはできません。市としては再発防止のため、ごみの出し方について周知徹底を図ってまいります」とコメントを発表した。
11月1日16時2分にYAHOOニュース(新潟総合テレビ)からは、蓋が緩んでいたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
農薬のポリ容器の蓋が緩んでいたことから、液体の農薬が揮発してフロアに臭いが拡散。
現場で業務に携わっていた委託業者11人が一時避難しました。
農薬の容器には、土壌の消毒や害虫の駆除などで使われる「クロルピクリン」と書かれたラベルが貼られていて、この薬品が拡散したとみられるということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4086d5b642e32d09fc007e9215154efc50e290a6
2021年10月31日付で労働新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
愛知・刈谷労働基準監督署は、機械に詰まった原料を除去する作業中に機械の運転を停止していなかったとして、フェルト製造加工・販売業のT社(愛知県津島市)と同社安城工場の工場長および製造課次長の計1法人2人を労働安全衛生法20条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで名古屋地検岡崎支部に書類送検した。
54歳の男性派遣労働者が機械に巻き込まれ、右前腕を切断する労働災害が発生している。
災害は令和2年10月21日、同社安城工場内で発生した。
フェルト原料をほぐすための開繊機に原料が詰まったため、同労働者は除去する作業を行っていた。
機械に腕が巻き込まれ、身動きがとれなくなっているところを同僚が発見している。
同労基署によると、同労働者は災害当時、工場長らに以前から指示されていた通りの手順で除去作業を行っていたという。
工場長らは機械の運転を停止しないまま、機械の掃除などの作業をさせた疑い。
https://www.rodo.co.jp/column/115766/
2021年11月2日6時1分にYAHOOニュース(DIAMOND online)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京・調布市を走行していた京王線の車内で10月31日、乗客の男女17人が刃物で切りつけられるなどして重軽傷を負った。
停車した車内から多くの人が脱出するニュース映像を見て、次のように疑問に思った人は多いのではないか。
なぜ、乗客はドアではなく、窓から脱出しなければならなかったのか。
(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
【小田急線の事件に続き またしても車内で凶行】
またしても、電車内で凶行が引き起こされてしまった。
10月31日午後8時頃、京王電鉄京王線の上り特急列車が調布駅を発車後、24歳の男が3号車で70代男性を刃物で刺した後、5号車でペットボトルに入れたライターオイルを車内にまいて火をつけた。
電車は、乗客の通報を受け、本来は通過駅である国領駅に緊急停車し、駆けつけた警官が殺人未遂の現行犯で男を逮捕した。
刺された男性が意識不明の重体で、16人が煙を吸うなどして病院に搬送された。
電車内での無差別刺傷といえば、今年8月6日に小田急線で発生した事件を思い浮かべる人も多いだろう。
この時も、犯人は車内の乗客を刃物で無差別に刺した後、サラダ油をまいて火をつけている。
報道によれば、今回の事件の容疑者の男は、「小田急線の事件で電車内にまかれたサラダ油が着火しなかったことを踏まえ、可燃性の高いライターオイルを用意した」と供述しているようだ。
ガソリンやオイルによる放火は大火源火災と呼ばれる。
容疑者の男はペットボトル数本のライターオイルを持ち込んでいたとみられ、車内では大きな火柱が上がるほどの火災が起きているが、それでも、座席の一部が焼けただけで車両に延焼しなかったのは、日本の鉄道が車両の不燃・難燃化を進めてきた成果である。
だが、誉めてばかりはいられない。
今回の事件は、さまざまな教訓を残したといえるだろう。
その手がかりとなるのが、事件直後にツイッターに投稿された映像である。
刃物を持った男と燃え盛る炎、煙に追われ、上半分だけ開く窓からはい出るように車外に脱出する乗客の姿が映っている。
ニュースでも繰り返し使われたこの映像を見て、疑問に思った人も多いだろう。
なぜ、乗客は窓から脱出しなければならなかったのか。
避難が遅れれば、さらに多くの人が襲われた可能性もあり、また、充満する煙にまかれる人も出たかもしれない。
その理由は停車位置である。
京王によると、当該列車は走行中、手動でドアを開けるための非常用ドアコックが扱われたことを示す運転席のランプが点灯したため、緊急停止した。
列車が緊急停止した国領駅は、京王線では新宿、布田、調布、飛田給とともに、数少ないホームドア設置駅であり、通常の停車位置より手前に停車したため、ホームドアと車両のドアの位置がずれ、ドアを開けることができなかったのだ。
ドアが開いている可能性がある以上、わずかな距離でも電車を動かすことはできない。
ホームドアには、線路側からドアを開扉できる非常開扉ボタンがあるが、今回は、ほとんどのドアがホームドアとは大きくずれてしまったため、このボタンを活用することもできなかった。
【緊急時の脱出方法を 改善する二つの方法】
今回の教訓を踏まえ、緊急時の車両からの脱出方法を抜本的に改善するとしたら、二つのアプローチがあるだろう。
ひとつは、緊急時でも確実に所定の停車位置に停車させる手段を講じること。
もうひとつは、停車位置がずれても脱出可能なホームドアを導入することだ。
在来線の非常用ドアコックは、走行中でも取り扱うことができる。
しかし、走行中の車両から脱出することは現実的ではなく、そのような用途も想定されていない。
そのため、特に高速で運転し、危険の大きい東海道・山陽新幹線では、走行中は非常用ドアコックのフタを施錠して扱えないようにしている。
今回の事件では、走行中の非常用ドアコックの操作さえなければ、所定の位置に停車することができ、車両のドアもホームドアも開けることが可能だった。
乗客からすれば、避難を意図した行為であったが、結果的に、避難を困難にする要因になってしまったのである。
在来線の全列車を改造するのは困難だとしても、新型車両から随時、導入する形で検討する必要があるのではないか。
また、ホームドアについては、設置によりホーム上の安全性は飛躍的に高まるが、半面、車両のドアとホームドアが一致する箇所でしか乗降できないという大きな制約が発生する。
そのため、故障時や緊急時に備え、ホームドアには非常脱出口が設けられている。
ただ、その構造は機種によってさまざまだ。
JR東日本が山手線に導入した初期型ホームドアでは、戸袋部が観音開きになる構造を採用していたが、現在整備を進めているタイプでは、ホームドアの間に小型のドアを設置している。
また、小田急電鉄が代々木上原~梅ヶ丘の各駅に設置したホームドアは、戸袋部を横にスライドさせて脱出口を確保するタイプだ。
ホームドアの普及により、さまざまなメーカーが独自の規格でホームドアを製造しているが、利用者の混乱を防ぐためにも、少なくとも今後、設置するホームドアは、非常口の構造と操作方法をある程度は統一する必要があるだろう。
さらに厄介なのが、東京メトロ南北線や京王線布田駅に設置されている、線路とホームを全面的に遮断するフルスクリーンタイプのホームドアだ。
現在、両線に導入されているものは、ホームの両端にある乗務員が使用するドア以外の非常口がない。
【韓国はポスターや動画で 積極的なPRを展開】
京王によると、仮に今回の事件でひとつ手前の布田駅に停車し、同様に車両のドアとホームドアの位置がずれた場合、乗客を先頭車まで誘導し、乗務員用のドアから避難させることになるという。
南北線を運行する東京メトロにも聞いたところ、やはり、脱出口はホームの両端にしかなく、非常時も駅に自動的に停車しドアを開けると説明するが、そうでない場合は同様の避難形態を取らざるを得ないだろう。
ちなみに、韓国はフルスクリーンタイプのホームドアがスタンダードだが、戸袋部分が観音開きする脱出口が設けられている。
韓国の大邱(テグ)地下鉄では2003年2月、まだホームドアが設置される前のことだが、走行中の列車内で男がガソリンをまいて放火する事件が起きている。
火は駅の反対ホームに到着した列車に燃え移り、運転士がドアを開けないまま逃げたため、大勢の乗客が車内に閉じ込められ、200人近くが焼死した。
被害を拡大させた最大の要因は、指令員と乗務員の職務放棄であるが、緊急時の避難経路の確保を重視して、列車の非常用ドアコックとホームドア脱出口の操作について、ポスターや動画で積極的にPRを行っている。
日本では、フルスクリーンタイプのホームドアの採用事例は少ないが、脱出口の設置や使用方法のPRなど、学ぶ点は多い。
日本でも、同様の事例があった。
ちょうど70年前の1951年4月、京浜東北線の桜木駅構内で列車火災事故が発生。
しかし、火災の影響でドア操作ができなくなり、乗務員も乗客も手動でドアを開けることができず、100人以上が焼死した。
車両には非常用ドアコックが設置されていたにもかかわらず、乗客はおろか乗務員でさえ、その存在を知らなかった。
それ以降、非常用ドアコックの設置は義務化され、車内にも設置位置を示す掲示が貼られるようになった。
今回、乗客が非常用ドアコックを操作したのは、この時の反省が今も生きている証左ともいえるだろう。
ただ、知識は、必要に応じてアップデートしていく必要がある。
事故はいつも盲点を突いてくる。
これまで限られた路線しか設置されてこなかったホームドアが急速に普及している中、従来の発想のままでは安全対策は成り立たなくなっている。
今回の事件がそうだったように、今後、さらなる模倣犯が出てくる可能性もある。
各事業者は、京王を他山の石として、今一度、緊急時の対応を見直してほしい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f329e59565d4d546a8ad5730bd7b162aa9eb9af0?page=1
11月2日23時8分に読売新聞からは、国交省は鉄道各社に対し緊急時には電車のドアとホームドアの両方を開けるよう指示したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
特急電車が国領駅(調布市)に緊急停車後、全乗客が避難を終えるまでに約10分間かかっていたことがわかった。
ドアが開かずに多くの乗客が窓から脱出したためで、国土交通省は2日、緊急時にはドアとホームドアがずれた場合でも、双方の扉を開けて乗客を誘導するよう鉄道各社に指示した。
京王電鉄が国交省に提出した資料などによると、事件では午後7時56分に車内で非常通報ボタンが押され、2分後、国領駅に適正位置の約2メートル前で停車した。
双方の扉がずれていたため、安全への配慮からドアが開けられず、乗客らは1分後の同59分から、窓を開けてホームに避難した。
非常用ドアコックなどが操作され、1号車と9号車のドアが開いたのは午後8時1分。
全乗客がホームに避難したのは同8時8分とみられるという。
事件では、非常通報ボタンが複数押されたが、乗務員は乗客から情報を聞き取れず、刃物の使用や放火を把握できなかった。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211102-OYT1T50172/
11月2日21時48分に時事ドットコムからは、今回の事案ではホームドアに足をかけて避難している客もいたので車掌はドアを開けなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省は2日、全国の鉄道会社の安全統括責任者らとオンラインで安全対策について意見交換した。
冒頭、京王電鉄が事件の概要と対応を報告。
乗客が非常通報装置を作動させたものの、混乱で通話できず、乗務員が状況を把握できなかったことなどが課題として挙がった。
議論を踏まえ、国交省は各社に再発防止策を検討し、報告するよう指示。
また、
▽車内で複数の非常通報装置が作動した場合、通話なしでも最寄り駅などで停車する
▽列車のドアがホームドアとずれていても、緊急時はドアを開けて乗客の避難誘導をする
との原則を示した。
京王電鉄担当者は会議後の取材で、ドアを開けなかった車掌の対応について、「窓から避難中の乗客がホームドアに足を掛けるなどしており、開けるのが危険な状況だった」と説明。
やむを得ない判断との見解を示した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021110201178&g=soc
2021年10月30日12時45分に佐賀新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐賀県杵島郡白石町は29日、有明ふれあい運動公園にある上水道と、散水に使う地下水の配管が誤って入れ替わっていたと発表した。
公園は完成から20年になるが、これまで健康被害などが問題になったことはないとしている。
利用を中止して、原因や水質を調べている。
町教育委員会生涯学習課によると、有明中南側にある野球グラウンド2面などを備えた公園で、2カ所の飲用水道とトイレの水道に、散水用の地下水をつないでいた。
2001年度に完成した工事の際に誤ったとみられる。
公園近くの民家の下水道工事で水道管を付け替えた際、水の濁りなどが指摘されたため、水質などを調査。
配管が入れ替わっていることを28日に確認した。
付け替えた民家数軒でも、健康被害の報告はないという。
町は、「利用者に深くおわびする。地下水の水質を調べるとともに、配管の修正にも迅速に取り組む」と謝罪している。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/761633
10月31日5時0分に読売新聞からは、散水用の配管は上水道につながれていたなど、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
飲み水用の水栓2か所とトイレ内の水栓が地下水の配管に、グラウンド散水用の配管が上水道に、それぞれ誤ってつながれていた。
https://www.yomiuri.co.jp/local/saga/news/20211030-OYTNT50074/
10月31日9時0分に毎日新聞からは、仮設水道管設置のため水質検査をしたところ残留塩素反応がなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
配管が入れ替わった時期は不明だが、公園を造った2001年から水道工事は行われていない。
今回は、水道業者が仮設水道管設置のため水質調査をしたところ、上水道だと出る残留塩素反応がなかったことから、町が調査して発覚した。
https://mainichi.jp/articles/20211031/k00/00m/040/030000c
2021年10月10日20時0分に朝日新聞から、『震度6強、空港に取り残された1695人 見知らぬ相手と生き延びた』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長文につき、災害の拡大防止に多大の貢献をした行為があったという部分だけ紹介する。
2011年3月11日金曜午後、地上の気温5度。
午後2時45分仙台着の大阪発日本航空便は、遅れがアナウンスされていた。
同40分に中国大連行き、41分に大阪行きが飛び立つ。
奇跡的に、滑走路から旅客機が1機もいなくなったそのとき――。
震度6強の激震が、宮城県名取、岩沼両市にまたがる仙台空港を襲った。
・・・・
【惨事を防いだ いつもの閉栓作業】
時計を地震のときに戻す。
アクセス鉄道仙台空港駅と道路をはさんだ南側に、高さ12メートルの燃料タンク2基が並ぶ。
航空機が着くたびに、エプロンとの間を給油車が行き来し、短い駐機時間に正確な量を給油する。
いわば、フルサービスの出張ガソリンスタンドだ。
小野寺(61)の震災時の肩書は、株式会社パシフィック(本社・岩沼市)の航空給油事業部長。
同社は仙台、福島両空港の給油を請け負ってきた。
3月11日、980キロリットルが入るタンクは、2基ともほぼ満杯だった。
揺れが収まった後、やって来た消防団員が小野寺に避難を促した。
小野寺は10人ほどの従業員に「空港ビルに行け」と指示。
残った2人と施設の点検に出た。
1人をタンクの上に登らせ、海を見張らせる。
小野寺たちは周囲を見て回ったが、タンクの耐震性は十分で、異状なし。
最後に、タンクの外についているバルブをきつく閉めた。
津波警報時のマニュアルがあったわけではない。
いつも終業時、戸締まりと閉栓をする。
このときも、「事務所が留守になるな」と考えただけだった。
小野寺たちは、水に囲まれた空港ビルで、その夜を過ごす。
周囲には2千台もの車が流れ着き、ガソリンが漏れ、一部が発火した。
自分たちのタンクがどうなったかは、わからない。
数日後、がれきをかきわけタンクにたどりついた小野寺は、「あっ」と声をあげた。
タンクと給油車の積み込み場所を結ぶパイプが、地上に出るところでねじ切られていた。
想像を超えた津波の力だった。
もしもバルブを閉めていなかったら、タンクいっぱいの燃料がパイプから噴出していたはずだ。
容易に引火し、約1700人が閉じ込められた空港ビルは炎の海に包まれて――。
地震時に旅客機がいなかったことと合わせ、タンクの無事は、空港がさらなる惨事を免れた幸運の一つだ。
空港長だった大坪は、小野寺が「空港の一番の恩人」と振り返る。
小野寺はいまも勤務を続け、全国の空港の同業者に、あの時の教訓を伝え続けている。
・・・
https://digital.asahi.com/articles/ASPB76TRZPB5UNHB00W.html?pn=21&unlock=1#continuehere
(ブログ者コメント)
津波対応マニュアルがなくても・・・。
津波対応訓練を行っていなくても(?)・・・。
現場に誰もいなくなる時にはバルブを閉める・・・そんな基本動作が身についていたことで災害の拡大を防ぐことができた・・・そのように感じた。
2021年10月29日7時30分にYAHOOニュース(COURRiER JAPON)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高所からの転落、交通事故、溺死……。
2008年以降、セルフィー(自撮り)撮影中に死亡した人は少なくとも379人にのぼると、スペインの研究チームが明らかにした。
絶景とともに自らを写真に収めようと、スマホを片手に腕を伸ばし、無理な体勢を取り、バランスを崩し……。
国際医学誌『ジャーナル・オブ・トラベル・メディシン』に掲載予定の論文によると、明らかになっているだけで379人が、2008年1月から2021年7月までに自撮りが原因で死亡しているという。
この調査は、旅行医学に関するプロジェクトを率いるスペインの「iO財団」によって行われた。
その調査結果によると、自撮りによって引き起こされたもっとも多い死因は「転落死」で、379件中216件を占める。
その他の主要な死因は、電車や車による「交通事故」、「溺死」、「銃器関連」、「感電死」。
さらには、「野生動物に襲われた」という事故も17件発生している。
加えて、死亡した人の3人に1人は旅行中の観光客であったことも明らかになった。
国別の事故発生件数の1位はインドで、2008年以降、100人が死亡している。
2位はアメリカ(39人)、そして3位ロシア(33人)と続く。
インドでの発生件数の多さについて、「多くの人が電車の窓やドアから体を出して自撮りをしている」ことが原因としてあげられると、仏紙「フィガロ」は論文の共著者の一人であるクリスティーナ・フエサスの言葉を引用して伝える。
フエサスは、また、若い人ほどリスクにさらされていることも指摘する。
死亡者の平均年齢は24.4歳であり、全体のうち41%が19歳以下、37%が20代の若者だったという。
iO財団のウェブサイトには、「世界のもっとも危険な自撮りスポット」も10ヵ所が掲載されている。
そのなかには、カナダとアメリカの国境に位置するナイアガラの滝や、ロシアのウラル山脈、インドのタージマハルなどが含まれる。
今回の調査は、2008年以降に報道や公式発表があった事故を集計しており、メディアが取り上げなかった死亡事例は除外されている。
そのため、実際にはさらに多くの人が自撮りにより亡くなっている可能性もある。
調査に参加した研究者らは、「自撮りによる死亡事故の多くは、旅行中の観光客が不慣れな土地で危険を冒した結果だ。旅行医学に関わる者は、旅行者に対し、責任ある自撮りについて日常的に注意を促すべきである」と訴える。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3a5c86a63e28871113cb7aa611b97998c07068ca
2021年10月29日6時0分にYAHOOニュース(河北新報)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
仙台市で今月、塩素ガスを吸い込んだ人が体調不良を訴え、救急搬送される事故が相次いだ。
いずれも、アルカリ性の薬剤と酸性の薬剤を混ぜて有毒ガスを発生させたのが原因とみられ、市消防局は、「一歩間違えれば命に関わる」と注意を呼び掛けている。
事故は8日午前、泉区の公共施設で起きた。
市消防局によると、清掃員の40代女性がアルカリ性の塩素系漂白剤と酸性のトイレ用洗剤を誤って混ぜたため、塩素ガスが発生。
吸い込んだ女性は喉の痛みを訴え、病院に運ばれた。
12日午前には青葉区で警備員の30代男性が救急搬送された。
複合ビル敷地内の小屋でプールの水を浄化する次亜塩素酸ナトリウムのタンクに消毒用の塩酸を入れてしまい、発生したガスを吸ったとみられる。
塩素ガスは目や皮膚、気道を強く刺激し、高濃度の場合は死亡するケースもある。
塩素系漂白剤などに含まれる次亜塩素酸ナトリウムと塩酸が化学反応することで発生する。
市内での発生頻度は年数件程度で、「同じ月に2件も起きるのは珍しい」(市消防局警防課)という。
過去には被害が大きくなったケースもあった。
2008年11月、山形市の水泳クラブで発生した事故では、プール周辺にいた4~16歳の子ども24人がぜんそく性気管支炎などで体調不良になった。
青葉区の複合ビルの事故では、アルカリ性と酸性で薬剤の容器、タンクが色分けされるなどしておらず、警備員が誤って投入した可能性があるという。
市消防局の担当者は、「投入前にしっかりと薬剤を確認することが大事。容器やタンクに青や赤のテープを張って区別するなど、混同しない工夫もしてほしい」と話している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/236995a09f530d7d06d8a9832ed3c0806b80cf5d
2021年10月29日付で毎日新聞兵庫版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
三田市の三田天満神社で2014年、17人が死傷しただんじり事故を巡り、負傷した女性が運行責任者らに約5600万円の賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁(久保井恵子裁判長)は、運行責任者だった当時の区長2人の過失を認定し、2人と自治会に計約1360万円の賠償を命じた。
判決は26日付。
事故は14年10月5日夕、秋祭りで地元自治会が運行するだんじりが、境内の手洗い場を囲う建物に衝突。
屋根(重さ約1・4トン)などが落下し、1人が死亡、16人が重軽傷を負った。
女性は頭を縫うなど傷を負った。
判決は、だんじりの前後で進路進行を指揮していた区長2人が建物を認識しており、事故を予見できたと指摘。
ブレーキをかける担当者に指示してだんじりを止める対応を取らず、「注意義務に違反する」と認定した。
その上で、2人が代表者だった2自治会も連帯責任を負うとした
https://mainichi.jp/articles/20211029/ddl/k28/040/265000c
10月27日20時30分にYAHOOニュース(神戸新聞)からは、死傷した17人は見物客らだった、原告女性は落下した屋根で頭を打った、だんじりの引き手らの過失は否定されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫県三田市の三田天満神社で2014年10月、見物客ら17人が死傷しただんじりの事故で、負傷した同市の女性がだんじりの運行責任者らに賠償を求めた訴訟の判決が神戸地裁であり、久保井恵子裁判長は27日までに、運行責任者らに1359万円の支払いを命じた。
事故は14年10月5日、同神社の祭りで発生。
進行中のだんじりが境内の建物にぶつかり、倒壊した屋根の下敷きになるなどして1人が死亡、16人がけがした。
判決によると、原告の女性は落下した屋根で頭を打って負傷し、治療のため休業するなどした。
判決で久保井裁判長は、だんじりの前後から運行を指揮した男性2人=15年に業務上過失致死傷罪で罰金の略式命令=と、地元自治会の賠償責任を認定。
2人には、だんじりの進路から建物との衝突を予見でき、事前に停止を指示する注意義務があったとした。
原告側の請求額は5597万円だったが、地裁は女性の負傷や休業の実態を踏まえ、減額を判断。
建物を管理する神社や、だんじりの引き手らの過失は否定した。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202110/0014796458.shtml
10月28日14時19分に読売新聞からは、原告女性は屋根が落ちた手水舎の近くで見物していたなど、下記趣旨の記事が落下した屋根の写真付きでネット配信されていた。
兵庫県三田市天神の三田天満神社で2014年10月に開かれた祭りのだんじりが手水舎に衝突して屋根が落ち、見物客が巻き込まれた事故で、けがをした女性が自治会役員らに約5600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、地裁であった。
久保井恵子裁判長は一部の役員らの過失を認め、約1360万円の支払いを命じた。
判決によると、女性は手水舎の近くで祭りを見物していて事故に巻き込まれ、頭を縫うけがを負い、背骨が変形するなどの後遺症が残った。
久保井裁判長は、だんじりの前方と後方で誘導や進路の確認をしていた自治会役員2人について、「指示を出して止めることは可能だった。運行責任者として過失が認められる」と指摘。
自治会も連帯責任を負うと判断した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211028-OYT1T50070/
2017年5月1日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7053/
(2021年11月4日 修正2 ;追記)
2021年10月28日13時34分にYAHOOニュース(山陽新聞)からは、オイル漏れは資格を持っている運転手が自ら整備した際の配管ミスだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岡山県美作市滝宮の岡山国際サーキットで2017年4月、練習走行中のオートバイ7台が相次ぎ転倒して2人が死亡、5人が重軽傷を負った事故で、岡山県警捜査1課と美作署は28日、運転していたオートバイからエンジンオイルを散布して事故を誘発したとして、業務上過失致死傷の疑いで高知市、オートバイ販売店経営の男性(50)を書類送検した。
これまでの調べで、7台はコース上のオイルでスリップするなどして転倒したとされていた。
その後の捜査で、男性のオートバイのエンジン部分で配管ミスが分かり、オイル漏れの原因と特定。
整備士資格がある男性が自ら整備しており、県警は適正に整備していれば事故を防げたと判断した。
書類送検容疑は、17年4月24日午前9時ごろ、整備不良によりコース上にオイルを散布し、後続車を転倒させ、男性2人=当時38歳と42歳=を死亡、男性3人=当時24~50歳=に全治約2~3カ月の骨折などの重傷を負わせた疑い。
容疑を認めている。
県警によると、ミスは事故の約1カ月前の整備で起きたとみられ、練習走行直前の点検でも整備不良に気付かなかったという。
事故はコース北部にあるやや下りの緩やかなS字カーブ付近で発生。
他に2人がけがをした。
事故を巡り、サーキットの安全管理に不備があったとして、男性2人の遺族らがサーキットの運営会社などに総額約3億5千万円の損害賠償を求める訴えを岡山地裁に起こし、係争中。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a10551b3f43482f2f4b4e01454d6a55ef19e6eb3
※4年前、2017年9月12日付で毎日新聞岡山版からは、部品が逆向きに取付けられていた、当時の監視カメラに霧状にオイルが漏れているバイクが映っていたなど、下記趣旨の記事が部品取り付け場所の写真付きでネット配信されていた。
美作市滝宮の岡山国際サーキットで4月、大型オートバイが転倒して7人が死傷した事故で、オイル漏れを起こしたとみられる先行のオートバイのエンジンに通常とは逆向きで部品が取り付けられていたことが関係者への取材で分かった。
部品を逆向きに付けて走行すると、エンジンオイルが漏れやすいとされる。
県警は、このオートバイを押収して検証を進めるとともに、メーカーなどから事情を聴いて事故原因との関連を調べている。
部品は「内圧コントロールバルブ」と呼ばれ、約10~15センチのアルミ製。
オートバイの整備会社などによると、ピストンの上下運動を回転運動に変えるエンジン構成部品の一つ「クランクシャフト」が収められている「クランクケース」に取り付ける。
ケース内の気圧を低く保たせる効果があり、エンジンが軽く回るようになってスピードが出やすく、燃費も良くなる。
ところが、オイル漏れを起こしたとみられるオートバイは、この部品が本来の向きとは逆向きに取り付けられていたという。
内圧コントロールバルブは価格が3万~5万円程度。
一般的な工具で取り付けることができ、十数年前から市場に出回るようになった。
逆向きに付けると、ケース内の圧力が下がらずに気圧が過剰に高まるため、白煙が出たり、点検窓からエンジンオイルが漏れたりする原因になりやすいとされる。
1000~2000キロの走行でバルブの内部を洗浄する必要があるが、その際に付け間違いが起きやすいという。
二輪車メーカー大手「川崎重工業」(本社・神戸市)は、「新車には付いていない部品だが、向きを間違えるとトラブルの原因になる可能性が高い」と指摘する。
また、兵庫県の男性整備士は、「逆向きにつけたまま走り続けると、いつかオイルは漏れる。部品に向きも表示されているが、劣化と共にその表示も消えてしまう。先端の形状を変えるなどの対策が必要だ」と訴えている。
事故は4月24日、コース(全長3・7キロ)の緩やかなS字カーブで発生。
練習走行中の大型オートバイ7台が次々に転倒し、42歳と38歳の男性2人が死亡。
20~50代の男性5人が肋骨(ろっこつ)を折るなど重軽傷を負った。
事故発生の直前、転倒した7台より先行していたオートバイから霧状にオイルが漏れているのがサーキットの監視カメラに映っていた。
事故後、このオートバイのエンジンオイルが半分以下に減っていたことも判明。
コース上に広がっていた液体が、エンジンオイルと一致したという。
地面に漏れたオイルで後続のオートバイがスリップした可能性があり、県警が捜査を進めている。
https://mainichi.jp/articles/20170912/ddl/k33/040/670000c
(2022年1月5日 修正3 ;追記)
2021年12月27日21時28分にYAHOOニュース(山陽新聞)からは、オイル漏れをすぐに旗で表示しなかったのは問題だとした遺族訴訟で和解が成立したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
サーキットの安全管理に不備があったとして遺族らが運営会社(同所)などに総額約3億5千万円の損害賠償を求めた訴訟は、岡山地裁(奥野寿則裁判長)で和解が成立した。
27日、原告側弁護士が明らかにした。
和解は20日付で、運営会社が原告7人に総額約1億3500万円の和解金を支払う内容。
訴状などでは、先頭の1台から漏れたオイルで後続車両がスリップするなどして転倒。
男性2人が死亡、5人が重軽傷を負ったとされる。
原告は、サーキット側が現場付近に監視員を配置していればオイル漏れを知らせる旗をすぐに表示でき、事故は回避できたと主張していた。
原告側によると、和解条項で地裁は、「運営会社には旗の不掲示に関する義務違反がある」と指摘した。
岡山市内で会見した原告側弁護士は、「事実上の勝訴だが、被告は謝罪に応じておらず、原告の心が晴れるものではない」と話した。
被告側弁護士は取材に「特にコメントすることはない」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/366a9f553016e703690c0d2bd850912859e19c76
12月28日15時4分にYAHOOニュース(瀬戸内海放送)からは、旗合図の主張が認められたことなどから原告側は和解に応じたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
遺族や事故でけがをしたライダーは、監視ポストに人を配置しオイル漏れを旗で合図していれば事故を防げたなどとして、サーキットとその親会社に約3億5000万円の損害賠償を求めていました。
原告側は、旗で合図していれば事故は防げたという主張が認められたことなどから和解に応じ、20日、サーキット側が総額1億3500万円を原告側に支払うことで和解が成立しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b83101846de8dd387401022b671086c20ad862d8
2022年1月4日17時33分にNHK岡山からは、オイル漏れを起こしたバイクを運転していた男性には罰金命令が出たという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
津山区検察庁は、前を走っていたオートバイからコース上にエンジンオイルが漏れたことが事故の原因になったとして、12月17日、このオートバイを運転していた男性を、業務上過失致死傷の罪で略式起訴していました。
これを受けて津山簡易裁判所は12月23日、男性に対し罰金70万円の略式命令を出しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okayama/20220104/4020011397.html
2021年10月28日9時3分にYAHOOニュース(下野新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県管理の駐車場の段差で転倒しけがをしたとして、東京都在住の男性(64)が栃木県に約550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、宇都宮地裁であった。
浅岡千香子(あさおかちかこ)裁判長は、「駐車場は通常有すべき安全性を欠き、管理に瑕疵(かし)があった」として、県に約97万円の支払いを命じた。
男性は2017年5月、那須町湯本の那須ロープウェイ駐車場内で高さ約5センチのアスファルトの段差「ハンプ」につまずき転倒し、腕や肩をけがした。
ハンプに気付かなかったとして、設置や管理の欠陥を訴えた。
浅岡裁判長は、観光地の駐車場は気分の高揚などで注意力が散漫になるため、ハンプがあることへの周知が求められると指摘。
ハンプが路面と同色だったことや「段差あり注意」の路面標示が薄れていたことから、注意喚起が不十分で安全性を欠いたと認定した。
一方、暴走集団対策としての設置目的や駐車区画への設置には、合理性を認めた。
通常の注意力で転倒回避は可能として、県の過失は2割にとどまるとした。
下野新聞社の取材に対して県道路保全課は、「判決内容を精査し控訴するかどうかを検討したい」とコメント。
事故後、ハンプには色を付け、路面標示を再塗装したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0203f251b09c0ab1ee074ceaa8c4ab96278eb96
(ブログ者コメント)
グーグルアースの角度を変えれば「段差あり 注意」という表示が読めるし、手前一直線に草が生えているところが段差のようにも見えるので、この場所で転倒したのかもしれない。
2021年10月29日9時32分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、6枚の現場写真付きでネット配信されていた。
28日午前10時40分ごろ、千葉市緑区土気町のJR外房線の「土気踏切」で、上り快速列車(15両編成)と軽乗用車が衝突する事故があった。
千葉南署によると、現場で女性1人の死亡が確認された。
JR東日本千葉支社によると、列車の運転士や乗客約300人に、けがはなかった。
列車の運転士の説明では、現場の約100~150メートル手前で、踏切内で立ち往生していた軽乗用車に気づいたため、警笛を鳴らして非常ブレーキをかけたが間に合わず、軽乗用車に衝突したという。
現場は外房線の大網―土気駅間の踏切。
事故の影響で、同線の誉田―本納駅間の上下線で約5時間40分にわたり運転を見合わせた。
◇
事故現場となった踏切は幅2メートル。
踏切内は片側交互通行で、コンクリートで舗装されており、起伏がある。
踏切の手前には「耕運機及び幅1・3メートルまでの車両しか通行できません」との看板が掲げられている。
遮断機や警報器、非常ボタンはあるが、障害物の検知装置はない。
近隣からは以前から、危険性が指摘されていた。
近くに住む40代主婦は、過去にもこの踏切内で乗用車が立ち往生していたと証言する。
子どもの悲鳴を聞き、主婦の夫が駆けつけると、遮断機の閉じた踏切内の車のそばで、女性と子ども3人がパニックに陥っていた。
夫が非常ボタンを押して事故を回避したが、「踏切の幅が狭く、普通車がぎりぎり通れるかどうか。通過すると車が上下に大きく揺れるほど起伏もある。早く整備してほしい」。
近所の50代主婦も、「もっとわかりやすく標識などで注意を促してほしい」と話す。
自営業の男性(66)は、散歩や買い物のために、ほぼ毎日この踏切を渡るという。
脳梗塞(こうそく)の後遺症で足を引きずりながら杖をついて歩くといい、「踏切内の起伏で歩きづらい。でも、迂回する道は遠く、渡るにはここしかない」。
https://www.asahi.com/articles/ASPBX7QWJPBXUDCB007.html
10月28日16時3分にYAHOOニュース(千葉日報)からは、踏切の非常ボタンによる通報はなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
28日午前10時40分ごろ、千葉市緑区土気町のJR外房線大網―土気間の踏切で、上総一ノ宮発東京行き上り快速電車(15両編成)と軽乗用車が衝突した。
千葉南署によると、軽乗用車は大破しており、付近から女性1人の遺体が見つかった。
同署は現場の状況から、軽乗用車を運転していた可能性もあるとみて、身元の確認を急いでいる。
電車の乗客約300人にけがはなかった。
同線は上下線とも本納―誉田間で運転を見合わせ、午後4時25分ごろ再開した。
JR千葉支社と千葉南署によると、現場は歩行者と幅1・3メートル以下の車のみ通行可能な踏切で、当時、警報器が鳴り、遮断機が下りていた。
電車の運転士が踏切内で立ち往生していた車に気付き、ブレーキを掛けたが間に合わなかった。
踏切の非常ボタンによる通報はなかった。
軽乗用車は原型をとどめないほど壊れており、付近に部品の一部が散乱。
同日午前10時35分ごろに同線千葉発上総一ノ宮行き下り電車(8両編成)が通過した時には、異常はなかったという。
同社は安全確認後、快速電車の乗客を降ろし、約800メートル離れたJR土気駅に徒歩で誘導、バスで誉田駅まで送った。
この事故により上下52本が運休、上下3本が最大28分遅れ、乗客約1万2千人に影響した。
現場近くの主婦(39)は、「2歳の次男と近所の公園に向かっていたら、大きなブレーキ音が聞こえた」。
近くに住むタクシー運転手の男性(74)は、「事故のあった電車に乗ろうと思っていたので驚いた。(現場の踏切は)狭くて段差があり、軽乗用車でも大変危険な場所」と話し、70代男性も「この踏切の幅は狭くて怖い。徒歩で利用することはあるが、車では通らない」と指摘した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9bb954fd328a940cbb1f2b04b9a97861d742492a
(ブログ者コメント)
この踏切だと思われるが、かなり狭い。
こんな踏切を車で通ろうとする人がいるとは・・・。
通ることができるようになっているとは・・・。
2021年10月28日5時12分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で崩落が起きたと119番があった。
県警とJR東海によると、発破作業後の点検で非常口トンネルにいた5人のうち作業員2人が巻き込まれ、福井県美浜町の小板さん(男性、44歳)が死亡、愛知県長久手市の男性(52)が左足を骨折する重傷を負った。
JR東海によると、リニア中央新幹線の工事では過去にも崩落が発生しているが、死者は初めて。
瀬戸トンネルは、本線トンネルが長さ約4.4キロ、本線への資材搬入にも使う非常口トンネルが長さ約0.6キロの計画で、2019年に着工した。
崩落したのは非常口トンネルの地上入り口から約70メートル斜め下に掘り進んだ地点。
岐阜県警が事故の詳しい状況を調べる。
JR東海の工事概要によると、壁に穴を開けて火薬を詰め、発破作業をし、土砂を運び出して鋼鉄のアーチで補強、さらにコンクリートを吹きつける手順になっている。
国土交通省によると、JR東海から27日夜、トンネル掘削の際、表層の土砂などが崩れる「肌落ち」が起きたと報告があった。
同社は、「亡くなられた方とけがをした方にお悔やみとお見舞いを申し上げる。原因を調査し、再発防止に努める」とのコメントを出した。
リニアのトンネル工事を巡っては、19年4月、中津川市の中央アルプストンネルの非常口トンネル入り口付近で崩落が確認され、内部に土砂が流れ込んだ。
弱い地盤に工法が適していなかったことが原因とみられる。
17年12月には長野県中川村の県道脇で発生。
近くの地下で南アルプストンネル関連の工事が行われており、JR東海は当時、発破作業などによる振動が原因とみられると明らかにした。
〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE27CPF0X21C21A0000000/?n_cid=NMAIL007_20211028_A
10月28日12時39分に毎日新聞からは、死傷した2人は協力会社の社員だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トンネル工事は奥村組(大阪市)、浅沼組(同)、TSUCHIYA(岐阜県大垣市)による共同企業体(JV)が請け負っていた。
死傷した2人はJVの協力会社の社員だった。
https://mainichi.jp/articles/20211028/k00/00m/040/049000c
10月28日19時41分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、残薬がないか点検中だった、肌落ちは2回起きたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は28日、状況を説明した。
説明によると、27日午後7時12分にダイナマイトを使った発破作業をした後、作業員5人が残薬がないかを点検するため、掘削面(切羽)に近づいた。
現場で点検をしていると約8分後、掘削面から岩石約0・3立法メートルが崩れ落ちる「肌落ち」が起き、作業員(44)の足が岩の塊に埋まった。
助け出そうと別の作業員(52)が向かうと直後に、近くで地山の一部約1立法メートルが落ちてきて、44歳の作業員が岩の塊の下敷きになり死亡したという。
52歳の作業員も足が岩の塊に埋まり、足の骨を折る2カ月のけがを負った。
事故を受けてJR東海の岡崎中央新幹線岐阜工事事務所長は、「山岳トンネルの掘削工事をいったん取りやめる」と話し、すべての工事現場で安全対策が徹底されているかを確認できるまで工事を中断すると明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d38036a45c3851cf6f0da246f3d53dff21d99e27
10月28日19時59分にNHK岐阜からは、1回目の肌落ちは小規模だった、一般的なトンネル工事と同じ工法で行われていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は28日午後、記者会見を行い、当時の作業や崩落の状況を説明しました。
それによりますと、5人の作業員が不発の爆薬が残っていないか内部を点検していたところ、まず、爆破地点近くの天井付近で小規模な崩落が起きて、小板さんの足が埋まったということです。
別の作業員が救出に向かったところ、その周辺の岩が縦2メートル、横1メートル、厚さ50センチほどにわたって崩落し、小板さんが下敷きになり、救出に向かった作業員の足も埋まったということです。
崩落した岩はあわせて1.3立方メートルほどだということです。
JR東海によりますと、工事は一般的なトンネル工事と同じ、「NATM工法」と呼ばれる方法で行われていました。
9月JR東海が撮影した現場の写真には、高さ7メートル、幅9メートルほどのトンネルの内部で、壁に爆薬を入れるための穴を開ける「ドリルジャンボ」という重機を使って工事を進めている様子が写されています。
掘削が完了したトンネルの内側の壁は、コンクリートで固められているのが確認できます。
この工法は、主に山岳部でのトンネル工事で採用されていて、「瀬戸トンネル」でも掘り進めたい場所に爆薬を設置して爆発させ、重機などで土砂をかき出してから壁をコンクリートやボルトで固める方法で工事が行われていたということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20211028/3080007412.html
10月28日20時17分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、現場の地層は非常に複雑、事前調査で予測できなかった地層が現れた可能性もあるなど、など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中津川市では、2019年4月にも「中央アルプストンネル」の非常口トンネルで崩落が発生。
また、2017年12月には長野県中川村の県道でも、土砂崩れが起きています。
JR東海は、リニア関連の工事による振動で山が緩み、土砂が流入したことが原因とみられると説明していました。
地盤工学に詳しい専門家は、山でのトンネル工事の難しさについて─。
地盤工学に詳しい芝浦工業大学工学部土木工学科・稲積真哉教授:
「今回、事故が起こったエリアは、非常に複雑な地層をしている。万全を期した地盤調査・地質調査でも、予測できなかったような地質が現れていたのではないか」
警察は、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて、事故の原因を調べる方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a8e91b9363101e8d4fda6eefb130b21001ccc054
10月29日9時13分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、石がパラパラと落ちてくるような「肌落ち」は珍しくないが、今回のように大きな岩が落ちてくるのはレアケースなどど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トンネル工学を専門とする山口大の林久資助教は、「工事には、どうしても切羽(きりは)(掘削の最先端)に作業員が近づかなければいけない状況もあり、このような事故が発生するリスクは少なからず存在している」と語る。
今回の事故では、作業員が切羽に近づいた際に、掘削面から岩石などが崩れる「肌落ち」が発生したとされる。
林助教は、「石がパラパラと落ちてくるような肌落ち自体は珍しくない。今回のように大きな岩が落ちるのはレアケース(珍しい)」と話す。
厚生労働省によると、2000年からの11年間に、全国では肌落ちで47人が死傷した。
事故の6%で作業員に死亡者が出たほか、36%で1カ月以上休業するけがを負うなど、発生した場合の重篤度が高いとされている。
同省では、この事態を踏まえて16年にガイドラインを策定。
切羽への労働者の立ち入りを原則禁止とし、機械化を積極的に進めるよう事業者に求めている。
林助教は、「岩がかなり突発的に落下したのでは。それを予測できなかった何らかの要因もあったのかもしれない」と推測する。
山岳工区ならではの難しさもある。
富山大の安江健一准教授(地質学)は、「現場付近は苗木花崗(かこう)岩と濃飛流紋岩が分布し、固い岩盤がある」と分析。
しかし、「県内を含めて中部地方は活断層が多く、付近には破砕帯がある。地盤が固くても、もろくて水が出やすい場所もある」と指摘し、「今後も岐阜県内のルートでは、注意深く掘削を進める必要があるだろう」と注意を促した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0f7bd5b24ab83d0a743f905b31ddbff65244e35
10月29日21時36分にYAHOOニュース(東海テレビ)からは、発破が終わった直後が一番不安定、肌落ちを全て防ぐことは無理など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日、リニアの工事で初めて起きた死亡事故で、当時の様子がわかってきました。
事故直後、現場のトンネルを撮影した写真。
山積しているのは、掘削に使ったダイナマイトの発破で生じた岩石です。
JR東海によると、男性作業員(44)が発破後に残った火薬がないかトンネル内を確認中、内部の表層が剥がれ落ちる「肌落ち」が発生。
重さ600キロほどの岩石が崩落し、足を挟まれます。
助けようとした別の男性作業員(52)が近寄った際、今度は重さ2トンほどの崩落が発生。
2人は巻き込まれ、1人が死亡、1人が左足骨折の大ケガをしました。
現場の写真を、トンネル工事に詳しい名古屋工業大学大学院の張鋒教授に見てもらいました。
名古屋工業大学大学院工学研究科の張鋒教授:
「岩盤の破砕具合から見ても、かなり良いように思われます。実際、発破が終わった直後が一番不安定なんです。(肌落ち事故を)すべて防げるかというと、現時点では無理だと思います」
張教授によると、死亡事故につながるケースは稀ではあるものの、この工程では予測できない崩落が起きることもあると指摘。
しかし、今の技術では人間が立ち入るしかないと解説します。
「岩盤が非常に複雑なので、ロボットを使ったとしても実際に完全に(崩落のリスクが)分かるかというとやっぱりクエスチョン。経験豊富な作業員・現場技術者が判断して、どうしても人間の経験値が必要になってくる場合が多いんです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/14e191af9a8ba571bad7721a827d973abf378c9f
(2021年12月28日 修正1 ;追記)
2021年12月28日8時13分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、ダイナマイト電線が垂れ下がっているという見慣れない光景ゆえ確認しに行った、当該エリアは立入禁止だが口頭伝達のみだった、監視員は監視していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は27日、事故の調査結果を明らかにした。
現場でイレギュラーな事案が発生し、作業主任者が指示を出す前に作業員が立ち入り禁止エリアに入ったことが原因といい、国の事故防止ガイドラインに違反はしていないが「対応が不十分だった」と結論付けた。
JR東海によると、トンネル先端部で掘削のための発破作業を行ったが、ダイナマイトにつながる電線が垂れ下がっているのを発見。
通常は見られない光景のため、不発を疑った作業主任者が点検しようと土石に登って近づいた。
それにつられて作業員4人も近づくと、発破で岩盤が露出した「切羽」から最大で1立方メートルの岩塊が落ちる「肌落ち」が発生。
転がる岩塊の下敷きになるなどして作業員2人が死傷した。
JR東海は事故を受けて、工事を請け負う共同企業体(JV)に当日の状況を確認。
技術的なトンネルの掘削工法などに問題はなかったとし、国のガイドラインで禁止されている切羽部分への立ち入りもしていなかった。
ただ、この現場では発破後の土石が落ちているエリアを立ち入り禁止とし、作業主任者の指示がなければ入れないとしていたが、口頭のみの伝達だった。
さらに、肌落ちの危険がある切羽の監視責任者も、作業員が立ち入り禁止エリアに入った時に監視を行っていなかったことも問題視。
国のガイドラインと照らし合わせると、作業手順書に細かなルールや対応を明記しておく必要があったとし、JVに対して再発防止策を求めたという。
JR東海は「監督業務に落ち度はなかったが、何が悪かったか、どうしたら防げるか、社内でも共有したい」と説明した。
調査結果は、27日までに岐阜県と県内の沿線7市町にも報告したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f11ab83cbe6bcbea5863b20f7f64f243312269a3
12月27日20時28分に毎日新聞からは、現場レベルで立入禁止と定めていたくず山に登った、手順書には立入禁止区域の明確な記載がなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
調査結果によると、作業員は責任者の指示がない中で、現場レベルで立ち入り禁止区域と定めていた、くず山に登っていたという。
国は事故防止のためのガイドラインで作業手順書の作成を求めているが、工事を請け負った奥村組などのJVの手順書には、立ち入り禁止区域について明確な記載がなかったという。
JR東海の担当者は報道陣に対し、「ガイドラインを守るのはJVの責任。違反はしていないが、対応が不十分だった」と述べ、JR東海の監督業務などに落ち度はなかったと説明。
その上で、「再発防止策として、立ち入り禁止区域を明確に定め、指示があるまで立ち入らせないようにした」と明らかにした。
https://mainichi.jp/articles/20211227/k00/00m/040/317000c
12月27日20時2分にYAHOOニュース(ぎふチャンDIGITAL)からは、やむを得ず禁止区域で作業する時は頭上にネットを張るなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
再発防止策として、詳細な作業手順書を作成するほか、やむを得ず立ち入り禁止範囲で作業する場合は頭上に防護ネットを張ることなどを明確化しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6ac516ce4c7bda44144831e3891653322e3e6f1
12月27日19時30分に朝日新聞からは、ガイドラインの解説や識者のコメントなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ガイドラインでは、
▽切羽への立ち入りは原則禁止で、真に必要な場合のみ
▽切羽での作業中に切羽を常時監視する「切羽監視責任者」を置くこと
▽監視や退避方法を含め、肌落ち防止のための計画や手順書を作成すること
などを求めている。
発破のための装薬作業など、切羽に近づいて作業せざるを得ない場合もあるが、そうした作業も遠隔化や機械化を進めるよう求めている。
ガイドラインは、切羽を「掘削の最先端をいい、地山が露出している領域全体」などと定義。
JR東海の「切羽直下には立ち入っていない」という説明に、厚労省は「調査中なのでコメントできない」としている。
ガイドラインには違反した場合の罰則はないが、改善措置や再発防止を講じるよう求めるなど、行政指導の対象となる可能性はある。
【谷本親伯・大阪大名誉教授(トンネル工学)の話】
発破後に作業員が禁止範囲に入るといった、初歩的なミスが原因だ。
トンネル作業の基本を無視しており、作業員全体の熟練度が疑われる。
未熟な作業員を使用せざるをえないことが問われるべきで、発注者と受注者の双方が協議して改善をはからなければならない。
同様の崩落事故が起きているのはゆゆしき事態だ。
一過性の調査ではなく、トンネル事故も国が常設の独立した調査委員会をつくって調査し、事例を蓄積して再発防止につなげるべきだ。
https://www.asahi.com/articles/ASPDW66DSPDWOIPE00S.html
(2022年1月14日 修正2 ;追記)
2022年1月13日15時0分にYAHOOニュース(長野放送)からは、発破後に浮石を取り除く作業が不十分だったことなどが原因として推定されるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海が13日、長野県庁を訪れ、事故原因と再発防止策を説明しました。
JR東海によりますと、「肌落ち」の原因として、発破の後に浮石を取り除く作業が不十分だったことや、吹付コンクリートにむらがあり部分的に必要な厚さが足りなかったことなどが推定され、作業員による監視も不十分だった可能性が高いということです。
再発防止に向けては、経験豊かな作業員による仕上がり確認の徹底や、監視する人数の増員などを進めるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/705160219146955d15df207f90f25bcc9d1f7949
2021年10月28日12時23分にYAHOOニュース(山陰中央テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鳥取市の金属加工工場で、男性作業員が運搬用機械に頭を挟まれ死亡しました。
事故があったのは、鳥取市雲山にあるT工業の工場です。
27日午前11時40分ごろ、59歳の男性作業員が金属部品が入った鉄製のケースと運搬用機械の間に頭を挟まれているのを別の従業員が見つけました。
男性は市内の病院に搬送されましたが、約3時間後に死亡が確認されました。
事故が起きた工場では、鉄製ケースに入れた金属部品を洗浄し、洗浄後にケースごと機械を使って別の場所に移す作業が進められていて、男性は1人でこの作業をしていたということです。
警察は、男性が運搬用機械に気づかなかったか、機械操作に問題がなかったか調べています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/caf31eec5b50560c0870c68b987b5df545ecbea6
(2022年1月18日 修正1 ;追記)
2022年1月17日13時50分にNHK鳥取からは、産業用ロボットのアームが降りてきて挟まれた、安全装置はついていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
去年10月、鳥取市の金属加工会社の工場で、従業員が産業用ロボットのアームに頭を挟まれ死亡した事故で、鳥取労働基準監督署は、危険防止のために必要な措置を講じていなかったとして、会社と取締役を労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました。
書類送検されたのは鳥取市の金属加工会社「T工業」と、40代の取締役です。
鳥取労働基準監督署によりますと、去年10月27日、鳥取市雲山にある工場で、当時59歳の男性従業員が金属部品を洗浄する作業をしていたところ、産業用ロボットのアームが降りてきて、部品を入れる容器との間に頭を挟まれ死亡しました。
産業用ロボットは自動運転していて、法令では、危険防止のため、さくなどを設けるか、人が近づくと自動で止まる安全装置をつける必要があるとされていますが、こうした措置がとられていなかった疑いがあるということです。
このため労働基準監督署は、この会社と機械の安全管理の責任者を務めていた取締役を17日、労働安全衛生法違反の疑いで鳥取地方検察庁に書類送検しました。
これについてT工業は、NHKの取材に対し「コメントすることはない」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tottori/20220117/4040010595.html
2021年10月26日18時31分にFNN PRIME(関西テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ビルの2階から、滝のように流れる白い液体。
道路は、白い泡で覆われていく。
この白い泡は、消火剤だった。
26日午後2時半ごろ、大阪市浪速区にある専門商社Iの立体駐車場の2階で、消火設備が誤作動して消火剤が噴き出した。
I社の担当者「2階は泡だらけ。1階にもそれが滝のように流れていて、道まで出ていた」
現場に駆けつけた消防は、泡に向け放水を開始。
泡は、ビルの壁面のいたるところについていた。
なぜ消火剤が噴き出したのか。
I社の担当者「業者の車が、スプリンクラーに当てたんですよ。それでどーっと出て、一瞬でした。こちらの倉庫の方に、トラックのまんま上がっていったんです。バックして、その時に当てた」
I社によると、荷物をトラックに積んでいたところ、トラックの屋根が消火設備に当たり、誤作動を起こしたという。
I社は今後、トラブルが起こらないよう、再発防止を検討するとしている。
https://www.fnn.jp/articles/-/259568
(ブログ者コメント)
ホームページによれば、I社は食品原材料の専門商社で、トラブルが起きたビルはグループの本社ビル。
それゆえ、入出荷関係のトラックが入ってきていたのかもしれない。
2021年10月26日16時37分にNHK北九州から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
25日夜7時前、北九州市小倉南区にあるショッピングセンター「Sシティ小倉」のフードコートで、工事中の店舗に設置された仮設の壁が突然、倒れました。
ショッピングセンターは当時、営業中で、運営会社によりますと、近くにいた客3人と工事をしていた作業員1人の合わせて4人が、軽いけがをしたということです。
警察によりますと、このほかにも、作業員1人が軽いけがをして病院に搬送されたということです。
工事をしていた店舗は26日から営業を始める予定で、倒れた仮設の壁は、高さおよそ4メートル、長さおよそ5メートルで、両面テープで固定されていたということです。
ショッピングセンターを運営するS社は、「心より深くおわび申し上げます。今後、二度とこのようなことが起きることがないよう、再発防止に全社を挙げて取り組んで参ります」などとコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kitakyushu/20211026/5020009834.html
2021年10月24日6時7分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トラックなど大型車両のタイヤが走行中に外れる事故が冬場に多く発生していることから、国土交通省は冬用タイヤに交換する際の確実な作業の徹底を呼びかけています。
国土交通省によりますと、トラックなど大型車両の車輪のボルトが折れたりホイールと車軸をつなぐナットが取れたりして走行中にタイヤが外れる事故は増加傾向にあり、昨年度は131件と、統計を取り始めた平成11年度以降で最も多くなっています。
昨年度の事故を国土交通省が分析したところ、65%が冬用タイヤに交換する11月から2月にかけて発生し、58%がタイヤを交換して1か月以内に発生していました。
これからの時期に冬用タイヤに交換する際、天候の変化で慌てて作業を行うなどすると、ナットの締めつけなどが不十分になりタイヤが外れやすくなるとみています。
このため国土交通省は事業者に対し、タイヤを交換する際にナットを専用の工具でしっかり締めつけることや、運行前にナットやボルトの状況を点検するなど確実な作業の徹底を呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211024/k10013319151000.html
(ブログ者コメント)
大型車両のタイヤが外れた事故については、本ブログでも何件か、特徴的な事例を紹介している。
2021年10月24日5時30分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
かつて学校でも教わった交通標語の一つに、「手を上げて 横断歩道を渡りましょう」――がある。
ところが、この横断方法は1978年、警察庁がつくる交通安全の教則からは削られ、「車が通り過ぎるまで待つ」などに変更されていた。
詳しい経緯は、当の警察庁もよく分からないという。
「手を上げれば渡っても大丈夫」という思い込みにつながり、かえって危ないのでは。
そんな懸念があったのかもしれない。
この「手を上げ横断」が今年4月、「交通の方法に関する教則」の改正で、43年ぶりに復活した。
各地の警察は新しい教則を参考に、交通安全教育や指導を行っている。
欧米に比べて日本は、交通事故死者に占める歩行者の割合が依然として高く、子どもや高齢者が繰り返し事故に巻き込まれている。
背景の一つとして、道路が「車優先」であるかのように振る舞うドライバーの意識を指摘することができる。
たとえば、信号機のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいる場合、車は一時停止することが義務付けられている。
だが、日本自動車連盟(JAF)の調査では、実際に止まる車は年々増えてはいるものの、2021年8月の全国平均で30.6%にすぎない。
横断歩行者妨害による運転者の摘発も、20年は29万件にのぼる。
JAFのアンケート調査では、停止しない理由として、「自分が止まっても対向車が停止せず危ない」、「歩行者がいても渡るかどうか分からない」などの回答があったという。
新しい教則には「手を上げるなどして運転者に横断の意思を明確に伝える」を盛り込んだ。
必ずしも「手を上げ」にはこだわらず、車の方に顔を向けるといった動作などで車に注意を促し、自らの身を守ることにつなげるのが狙いだ。
横断歩道は歩行者優先なのだから、本来なら、手を上げなくても車の側は歩行者の動きを注視し、停止する責任がある。
だが、歩行者側からの働きかけがドライバーの意識を変えるきっかけとなるのであれば、積極的に取り組んでいきたい。
もちろん、「手を上げる」だけで歩行者優先が徹底されるわけではない。
ドライバーへの教育・啓発や、取り締まりにも、引き続き、力を入れる必要がある。
路面を波状に盛り上げるハンプなど、物理的に速度を落とさせる仕組みの導入も、さらに進めるべきだろう。
電動キックボードや電動車いすなど、新しい交通の主体も登場している。
様々な人や乗り物が混在するのだから、お互いが目配りし、譲り合うことでしか安全な環境は実現しない。
欧米では、観光地や駅前で「シェアド・スペース」という道路整備の手法を採用している。
車道と歩道を分けず、信号などもなるべく撤去し、人と車で空間を共有する試みだ。
こうした事例も大いに参考にしたい。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK20ECQ0Q1A021C2000000/?n_cid=NMAIL007_20211024_A&unlock=1
2021年10月24日5時0分に日本経済新聞から下記趣旨の記事が、音消し壺の写真付きでネット配信されていた。
海外からも多彩な機能が注目される日本のトイレ。
排せつ音を紛らす擬音装置は、とりわけ興味を引くようだ。
昔ながらの「恥の文化」から生まれた発想だ。
この夏の東京五輪・パラリンピック。
多くの報道陣らが発信したのは、競技だけではなかった。
「東京で最もクールだったのはトイレ。
水が流れる音に衝撃を受けた」、「小鳥のさえずりまで聞こえるものがある」などと、擬音装置について驚きを表現する記者たちがいた。
2013年の調査だが、日本に来てびっくりしたモノは何かを日本に住む外国人女性200人に米国の旅行会社が尋ねたところ、「擬音装置」が27.0%と1位だった。
「豊富な種類の自動販売機」(23.0%)、「コンビニエンスストアの多さ」(20.5%)と続き、4位は「自動洗浄装置」(17.0%)。
上位4つのうち2つがトイレの機能だった。
【中小企業が開発】
現在のような擬音装置は、いつお目見えしたのだろうか。
1979年、折原製作所という東京都荒川区の中小企業が最初に開発した。
電気的な流水音が鳴り、芳香剤まで香る世界初の装置に、折原社長は「エチケットーン」と自ら名付けた。
名前の通り、「聞かれたくない音」を消すための装置だ。
続いてTOTOが88年に、擬音装置の代名詞にもなった「音姫」を発売した。
女性社員に調査したところ、排せつ時の音はもちろん、衣服を脱ぎ着する音や生理用品を扱う音などが「気になる」ことがわかった。
現在、同装置などの開発を担当する松山さんによると、「当初は機械音だったが、2011年からは本物の小川のせせらぎ音を使っている」。
鳥のさえずりを重ねることもできる。
90年に参入したLIXILも、やはり水の音を採用している。
2018年には、電子楽器メーカーのローランドと独自のせせらぎ音を共同開発し、「サウンドデコレーター」と名付けた。
広報担当の河合さんは、「心地よい音が、排せつ音を聞こえにくくするマスキング効果をより高めている」と話す。
だが、音消しの文化は200年以上前の江戸時代にすでに存在した。
実は、その現物が今も残っている。
岡山県倉敷市にある古刹、蓮台寺。
岡山藩主の祈願寺として、約1300年の歴史を持つ。
風格のある客殿の奥に「音消しの壺(つぼ)」がある。
直径約50センチメートルの青銅製の壺で、高さ約2メートルの石柱に置かれている。
壺には蛇口があり、栓をひねると、地面に敷き詰められた瓦にしたたり落ちた水の音が鳴る仕組みだ。
このすぐ奥に客人用の便所がある。
藩主の池田翁が祈願のために宿泊した折には、お付きの者が殿の用足しの際に水音を響かせた。
副住職の佐伯さんは、「かつては瓦の下に音を共鳴させる水琴窟もあり、恥じらいの音を美しい水音で消した」と解説してくれた。
この音消しの壺は、火災後に再建された江戸後期の1799年に設置された。
「当時は蓮台寺と江戸城の大奥にしかなく、その後全国に広まったようだ。使われた当時のまま現存するのはここだけ」(佐伯さん)という。
貴重な文化財だ。
【節水、感染予防へと進化】
この音消しのアイデアが現代によみがえったのが、折原製作所などの擬音装置なのだ。
恥じらう心を水の音で消すアイデアは、昔も今も変わらない。
だが、現代はより重要な理由が加わっている。
節水だ。
TOTOの調査では、擬音装置がないと、女性は音を消すため平均2.3回水を流す。
これが、装置があると1.5回に減る。
女性が400人いるオフィスでは1年間の節水効果は約5500キロリットル、金額では約386万円にもなる。
実は折原製作所も「本来の目的は節水にこそあった」(営業業務グループリーダーの矢野巌さん)。
開発時、東京は異常な渇水に見舞われた。
都議会では節水策を問われた水道局長が、エチケットーンを手に「こういう消音器も考案されている」と流水音を議場に響かせたという。
新型コロナウイルス禍の今、LIXILもTOTOも、水を流す前に便座のフタを自動で閉じるタイプを増やしている。
ウイルスが舞い上がるのを防ぐためだ。
トイレをはじめ水回りの製品は、手を使わなくても反応する非接触型が主流になりつつある。
恥じらいから節水、感染予防へ。
かゆいところに手が届く多彩なトイレ文化は、これからも進化し続けるに違いない。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE182ES0Y1A011C2000000/?n_cid=NMAIL007_20211024_A&unlock=1
2021年10月23日10時7分にYAHOOニュース(サンデー毎日×エコノミスト)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
送電線工事の死者数が2020年に過去20年間で最も多い水準となった。
送電線建設技術研究会によると、6人が命を落とした。
死亡災害は過去5年が毎年3~4人で推移しており、2010年以降はゼロの年が3回あっただけに、送電工事業界も深刻に受け止めている。
災害の多さに加えて、作業員の〝なり手不足〟も業界にとって大きな課題だ。
送電鉄塔は高度成長期に多く建てられ、今がまさに建て替え需要のピーク。
しかし、人手不足などが相まって、計画通りに進んでいないという。
◆山奥の過酷な工事は「危険な仕事」
送電線は、山奥に建っているものも多い。
メンテナンスが必要かどうかを見定めるため、現場に出向いて高所へ登る必要もある。
建て替え需要が多いといっても、建設工事に加えて、巡視や保守など、様々な作業員の手を介して送電線と鉄塔は維持できている。
彼らは道のないところを、数十キロにもなる重たい工具を背負って現場を目指す。
特に、夏場は熱中症との戦い。
過酷な重労働だ。
ただでさえ若者の人口が減少しており、送電線や鉄塔の工事や保守といった仕事を選ぶ若者は少ない。
それでいて、死亡災害が過去最多の水準になると、「危険な仕事」とのイメージが広がってしまいかねない。
◆若者の確保が難しい地方
さらに地方になると、若者の人数が都市部より少なくなる。
総務省の労働力調査によると、2020年の労働力人口(15歳以上)は、東京都で前年比約11万人増えているのに対し、北海道は同2万5000人の減少。愛知県や大阪府といった大都市部は東京都と同様に増加しているが、山梨県や三重県、島根県などの地方は同1万人以上も減っている。
この統計は労働人口全体の数値だが、若者だけで比較しても、同じ傾向が見られるだろう。
それだけ、地方の送電工事会社が若者を確保するのは難しくなる。
◆人手不足解消でドローンに着目
人手不足を解消するため、電力会社と建設工事会社はドローンに着目した。
カメラを取り付けたドローンを送電線の上空や鉄塔に沿わせる形で飛行させて撮影。
その画像や動画を確認することで、送電線や鉄塔の状態を把握するというわけだ。
巡視のために作業員が工具を背負って山奥に入る必要がなくなるため、安全性も高まるし、作業負担も減る。
ドローンが撮影した画像を分析し、補修が必要となったら作業員が向かえば良くなる。
◆大型ドローンで3K解消に期待だが…
実際に東京電力パワーグリッドなどが出資する事業体は今年3月、送電線の点検を目的としたドローンの飛行実験を茨城県で実施。
地上高65メートルの鉄塔上空を自動で飛ぶことに成功した。
巡視に加えて、新たな活用方法も考えられている。
送電鉄塔の補修部品などをドローンで輸送する取り組みだ。
これらは実証段階とはいえ、そう遠くない将来に実用化に至りそうだ。
送電線や鉄塔の巡視、補修用の資機材輸送に加え、大型ドローンに工具を搭載すれば、鉄塔上空の作業も行えるかもしれない。
そうなれば、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)の代名詞ともいえる送電線と鉄塔の建設や補修の仕事も、若者受けがよくなるかもしれない。
◆自動化してもAIでも「最後は人手」の伐採作業
しかし、どれだけ自動化や人工知能(AI)が進んでも、最後は人の手に頼る部分も残る。
その一つが、送電線を保守するための伐採作業だ。
送電線と樹木が接触すると大規模な停電事故につながる恐れがあるため、定期的に作業員が現場へ出向いて伐採しなければいけない。
一つのエリアで周辺を一気に伐採するなら、重機を使うこともできる。
だが、送電線の保守現場は、一箇所で伐採するのは数本。
費用を考慮すると、どうしても人の手で行わざるを得ない。
◆樹木の内部を見極める「熟練技術者」が消えていく
そして、これらの作業にも熟練した技術が必要となる。
例えば樹木を切る場合、倒れる方向を見定めた上で作業に取り組む必要があるからだ。
熟練の技能者も高齢化し、今後は続々と定年を迎えていくだろう。
送電線工事などに携わる高所作業員と作業責任者は、2000年に約7400人いたが、2020年には約5800人にまで減少している。
目立たない職種だが、彼らの働きがあるからこそ、日本全国どこでも安定した電気を使うことができる。
その人材をしっかり育成しないと、数十年後には鉄塔を建設したり補修したりする作業員が不足して、電力の安定供給が守れなくなる。
◆重労働に見合った賃金が必要
送電線工事業界も危機感を持ち、人材確保に向けた取り組みを進めている。
全国の現場を一斉に休業する取り組みなどを始めた。
休暇を取得しやすくなったとはいえ、それだけでは足りない。
最良の方法は、重労働に見合った賃金を支払うことだろう。
そのためにも、鉄塔や送電線の建設・保守作業の発注者である電力会社が、適切な価格で工事会社に発注する必要がある。
◆電力自由化で半減した送電線工事
電力の自由化が進み、電力業界も顧客の獲得競争が激化。
経営状況は以前と比べて苦しくなり、資材調達に費やす資金も減らしている。
送電線工事業界の受注実績は、1996年に3000億円を超えていたが、2003年には約550億円まで減少。
近年は、回復してきたとはいえ、2020年は約1560億円に過ぎない。
業界全体の受注額が増えれば、給与水準も向上する。
就職先としての魅力度も高まる。
人材が増えれば、休暇も取りやすくなる。
このサイクルに至らないと、送電工事業界の人手不足は解決しないだろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3d3c4a648399fd8c91e8e3242f0ae33bae67155e
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。