2023年5月9日19時48分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9日午後1時半ごろ、東京都世田谷区成城の4階建てビルで、窓ガラスの清掃をしようとしていた都内在住の男性作業員(45)が高さ約15メートルの屋上から転落した。
男性は頭などを強く打ち、心配停止状態で病院に搬送されたが、約1時間半後に死亡が確認された。
落下時にビル1階店舗のひさしに衝突しており、壊れたひさしの骨組みが通行人の女性(28)の顔に当たった。
女性は鼻の骨を折るけがを負ったという。
警視庁成城署によると、男性は作業を始めるため、屋上外から下に降りようとしたが、そのまま地上に落下。
近くに命綱のロープなども落ちており、屋上の設備にきちんとつながれていなかったとみられるという。
成城署は、現場にいた同僚から話を聴くなど、詳しい状況を調べている。
https://www.sankei.com/article/20230509-UI463AHZVZOM7KGFYXBKTJY764/
5月9日16時36分にNHK首都圏からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。(本文は転載省略)
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230509/1000092266.html
2023年5月9日12時0分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午後4時ごろ、足立区にある東武スカイツリーラインの西新井駅で、券売機の近くに置かれていたコーヒーの缶が破裂し、利用客の20代の女性が額や体にけがをしたほか、女性を介抱した駅員も手に痛みを訴え、病院で手当てを受けたということです。
警視庁は、破裂の数分前に缶を置いて立ち去った足立区に住む中国籍の49歳の利用客から任意で事情を聴いていて、これまでの調べで「勤め先の洗剤を家で使うため缶に入れていたもので、破裂は故意ではない」と話していることが分かっています。
けがをした女性は「体にかかった液体が熱い」と話していて、警視庁が、缶の中に入っていた液体を簡易鑑定したところ、強アルカリ性の洗剤の可能性が高いことが分かったということです。
破裂した缶はアルミ製だったことから、警視庁は化学反応によって気体が発生し、密閉された缶の内部の圧力が高まり破裂した可能性があるとみて、さらに詳しく調べています。
洗剤を入れたアルミ缶が破裂する事故は、過去にも起きています
2012年10月、東京メトロ・丸ノ内線の電車内で、乗客が持っていた業務用の洗剤を入れたアルミ缶が破裂し、16人がやけどなどのけがをしました。
2018年8月には東京のJR新宿駅のホームで利用客がアルミ缶に洗剤を入れて持ち歩いていたところ、缶が破裂して中身の液体が飛び散り、近くにいた2人が顔や足に軽いやけどをしました。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230509/1000092256.html
5月10日2時6分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、過去に日テレが行った実験の様子など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
アルミ缶はなぜ破裂したのでしょうか…。
化学の専門家に聞きました。
8日、帰宅時間帯の駅を騒然とさせた東京・足立区の東武鉄道西新井駅で起きた事件。
突然、アルミ製のコーヒー缶が破裂し、近くにいた20代の女性と女性を介抱した駅員がけがをしました。
目撃者:
「(女性は)痛がっていたというか苦しがっていました。泣いていましたね」
警視庁が任意で事情を聞いているのは中国籍の男性(49)です。
当時の男性の行動が徐々に明らかになってきました。
券売機で何らかの操作をしていたという男性は、台の上にコーヒー缶を置いていったといいます。
それから1~2分後、いきなり缶が破裂し、近くにいた女性には顔や下半身にやけどのような症状が出たということです。
捜査関係者への取材で、缶が破裂した後に男性が現場を立ち去っていく姿が防犯カメラに映っていたことが新たにわかりました。
また、券売機のすぐ下の床に何かこぼれたような跡が残っていましたが、この液体について警視庁などが簡易鑑定したところ、「強アルカリ性」の洗剤のようなものだったことも新たにわかりました。
実際に、現場では消防が「アルカリ」と言っているのが確認できました。
実は、これまでにもたびたび、アルカリ性の洗剤をアルミ缶に移し替えたことによる缶の破裂が起きています。
2012年には東京メトロ丸ノ内線の車内でアルミ製のコーヒー缶が破裂し、16人がけがをしました。
このときも、缶の持ち主が職場でもらったアルカリ性の洗剤を、缶に移し替えていました。
この事故を受けて日本テレビでは、都留文科大学の山田暢司客員教授(当時)と実験を行いました。
缶内部のコーティングがはがれていたとみなし、同じ条件にするため缶の内部にも傷をつけ、中にアルカリ性の液体を入れて蓋をすると、大きな音とともに勢いよく破裂、缶は裂けていました。
アルミニウムとアルカリ性の液体が化学反応したことで発生した水素ガスの圧力で、缶が破裂することがあるというのです。
NITE(製品評価技術基盤機構)が行った、業務用洗剤をアルミ缶に移し替えた実験でも、約3時間半後に「バーン」という大きな音とともにアルミ缶が破裂しました。
さらに缶の内部に傷がある場合は化学反応が早まり、およそ32分で破裂しました。
2018年にもJR新宿駅で缶が破裂し2人がけがをしました。
飲食店従業員が職場のアルカリ性洗剤をアルミ缶に移し替えて持ち出したといいます。
有機化学を専門とする名古屋大学工学部の石原一彰教授は、「洗剤がアルカリ性でなくても、洗剤の“移し替え”は危険」だと指摘します。
では、酸性の液体を入れても缶は破裂するのでしょうか。
石原教授 :
「ありますね。酸性だったりアルカリ性だったりする物質を、不用意に金属製の容器に入れるのは、やはり危険だということですね」
警視庁は8日の事件について、過失傷害事件の可能性も視野に、慎重に捜査を進めています。
(5月9日放送『news zero』より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1368d30718cd1c5b1322089f590a71a9207f6d63
(ブログ者コメント)
本ブログでは、2012年の丸の内線事例と2018年の新宿駅事例以外、2015年の長崎市コンビニ事例も紹介している。
2023年5月8日12時0分にNHK兵庫から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
前日から降り続いた大雨の影響で、伊丹市で8日未明、川の堤防が壊れ、これまでに市内の10棟余りで浸水の被害が確認されています。
兵庫県によりますと、堤防が壊れた場所では、川底を強化するための工事を行っていた影響で、川幅が通常の半分ほどまで狭くなっていたということで、詳しい状況を調べています。
県や伊丹市によりますと、8日午前0時50分ごろ、伊丹市荒牧6丁目を流れる天神川の堤防が壊れ、周りの住宅街に水が流れ込みました。
県によりますと、これまでに伊丹市で床上浸水が1棟、床下浸水がおよそ10棟、確認されているということです。
堤防は、およそ30メートルにわたって壊れ、周辺の道路に土砂が流れ込んで、複数の乗用車が埋まる被害も出ています。
県によりますと、堤防が壊れた場所では、川底を強化するための工事を行っていた影響で、川幅が通常の半分ほどまで狭くなっていたということです。
県では、去年3月から工事を始め、このうち川幅を狭めて行う作業は、比較的雨が少ない去年11月から今月にかけて行っていたということで、県は「工事で流水能力が低くなっていたところに想定以上の雨が降り、堤防が決壊した」として、現場で詳しい原因を調べています。
【住民は】
7日夜からの大雨で越水した伊丹市の天神川の流域の荒牧地区に住む40代の女性の自宅では、玄関の扉の下付近まで水が及んだということです。
午前1時ごろ、女性が1階の玄関から撮影した映像では、自宅前の道路に茶色く濁った水が流れ、高さ50センチほどまで及んでいる様子が確認できます。
また、別の写真では、自宅前に止められた自転車や自動車のタイヤの半分ほどが泥水につかっている様子がわかります。
女性は、家族と一緒に、玄関や玄関にたまった泥をスコップや水を切るワイパーなどを使って、外に流し出していました。
女性は「私は寝ていて気づかなかったのですが、起きていた息子が窓を開けたらすごい音がしていて、水位がどんどん上がってくるのを見て、私を起こしにきてくれました。外に出ると膝上くらいまで水が上がってきていて、怖くなって避難所に向かいました。朝の5時に避難場所から家に戻ったときには、水位は足首くらいまでになっていました」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20230508/2020021789.html
今月7日から8日にかけて降り続いた大雨の影響で、伊丹市荒牧を流れる天神川の堤防が壊れ、周りの住宅街に水が流れ込み、住宅10棟余りが浸水したほか、40代の女性が避難する途中に足にけがを負いました。
天神川では、川底を強化する工事が進められていて、通常およそ15メートルの川幅を半分ほどに狭めていたところ、想定を超える雨が降り続き、堤防が壊れたとみられています。
周辺の住民からは「水位の上昇をもっと早く知りたかった」などの声が寄せられたため、県は12日、決壊現場の上流と下流のあわせて2か所に水位を監視するカメラを新たに設置しました。
撮影された画像は、県の専用サイト「兵庫県河川ライブカメラシステム」で、12日から一般公開される予定です。
また、今週末に予想されている雨に備え、県は、堤防が壊れた現場の近くに職員らを24時間配置し、水位が一定以上に上昇した場合は、広報車で、周辺の住民に注意を呼びかけることにしています。
県河川整備課の藤木主幹は「監視体制の強化など安全対策を進めることで、周辺住民の皆さんの迅速な避難行動につなげていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20230512/2020021844.html
2023年5月6日16時7分にNHK首都圏から下記趣旨の記事が、解析画像の写真付きでネット配信されていた。
プールで子どもが溺れるなどの事故を防ごうと、AI=人工知能を使って、溺れているおそれのある人の動きを検知する技術を中央大学などのグループが開発しました。
この技術を開発したのは、中央大学研究開発機構の石川仁憲機構教授などのグループです。
グループでは、プールの中で頭が浮き沈みしたり水面をたたいたりするなどの、人が溺れる前の特徴的な動きや経験豊富なライフセーバーから聞き取ったリスクの高い状況などをAIに学習させ、プールサイドに設置したカメラの映像をAIがリアルタイムで解析する技術を開発しました。
AIは、人が溺れる可能性を検知すると監視員などのスマートウォッチに自動で通知するということで、迅速な救助につなげることができるということです。
また、過去に起こったプールでの事故をふまえて、プールの中に設置された遊具や台などの下に人が潜り込んだり、浮き輪がひっくり返ったりといった、事故につながる状況も検知できるということです。
グループでは今後、さらに実証実験を行い、学校などに技術提供できるよう開発を進めるということです。
石川機構教授は、「監視員を配置した上で、万が一のサポートとしてAIを使ったシステムは有効だと考えている。子どもたちがプールを楽しめるよう安全な環境作りのために活用してほしい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230506/1000092168.html
2023年5月6日17時39分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午前10時50分ごろ、栃木県鹿沼市にある陸上競技場で砲丸投げの練習をしていた中学3年生の15歳の男子生徒の頭に、別の中学生が投げた重さおよそ4キロの砲丸が当たり、病院に救急搬送されました。
男子生徒は頭を打撲する軽いけがをしたということです。
鹿沼市教育委員会によりますと、男子生徒は自分が投げ終わった砲丸を拾う際に、ほかの生徒が投げた別の砲丸が当たったとみられるということです。
警察は現場にいた教員らに話を聞くなどして、当時の安全管理など、事故が起こった状況について詳しく調べています。
6日は鹿沼市内の中学校3校による陸上競技の合同練習会が行われていて、砲丸投げ以外の競技も含め、およそ90人の生徒が参加していたということで、鹿沼市教育委員会は「絶対に起こしてはならない事故が起きたことを重く受け止めている。
今後は指導体制について、検証した上で再発防止に努めていく」などとコメントしています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230506/1000092173.html
5月6日21時16分にYAHOOニュース(下野新聞)からは、別の学校の生徒が投げた砲丸が当たったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午前10時50分ごろ、栃木県鹿沼市旭が丘のヤオハンいちごパーク(鹿沼運動公園)陸上競技場で、砲丸投げの練習をしていた同市、中学3年男子生徒(15)の頭に、別の生徒が投げた砲丸(重さ約2キログラム)が当たった。
男子生徒は病院に搬送され、左側頭部を打撲する軽症。
命に別条はないという。
鹿沼署や市教育委員会によると、男子生徒は自分が投げ終わった砲丸を回収しに行った際、別の生徒が投げた砲丸が当たった。
競技場では、市内の中学校3校による陸上の合同練習会が午前8時ごろから開かれ、生徒約90人と教員6人が参加。
砲丸投げは生徒8人が練習しており、別の中学校の男子生徒が投げた砲丸が当たったという。
教員は競技場を巡回していた。
事故発生時に砲丸投げの練習を見ていた教員はいなかったという。
練習会の関係者が119番した。
同署は事故が起きた状況などを調べている。
中村・市教育長は「事故が起きたことを重く受け止めている。生徒たちにつらい思いをさせてしまい申し訳ない。指導体制について検証の上、再発防止に努める」とコメントした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/58f81b8d803c221cb47830ca2db801dbd539cd2b
5月6日19時52分に産経新聞からは、投げた生徒がよく前を見ていなかったらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
6日午前10時50分ごろ、栃木県鹿沼市の鹿沼運動公園陸上競技場で、砲丸投げの練習中だった男子中学生(15)の頭に、別の男子生徒が投げた砲丸が当たった。
病院に搬送され、頭部左側を打撲する軽傷。
自分が投げた砲丸を取りに行った際に当たったといい、県警鹿沼署は、当てた側の生徒が前をよく見ていなかったとみて当時の状況を調べている。
同署によると、市内の中学3校が午前8時ごろから合同で練習会を開き、午前11時に終了予定で生徒約90人が参加していた。
https://www.sankei.com/article/20230506-MGM42ULDPZKOJPCSSTMS2WVWBQ/
2023年5月5日6時12分にYAHOOニュース(文春オンライン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
ヒュッテ西岳に到着したのが8時半。
この先、水俣乗越(みなまたのっこし)を越えてヒュッテ大槍までは、梯子(はしご)やクサリ場が次々と現れる険しい尾根道が続く。
ほかのパーティや単独行の登山者と言葉を交わしながら抜きつ抜かれつしているうちに、進行方向に見えていた槍ヶ岳が少しずつ雲間に見え隠れしはじめた。
最後の鉄梯子を越え、東鎌尾根の核心部が終わったところで休憩をとり、昼食とした。
時刻は11時半。
明日下っていく予定の槍沢方面のルートがよく見えていた。
ところが、その直後に雨が落ちてきた。
最初はすぐにやむだろうと思っていたが、しだいにあたりが暗くなって雨足も強まってきた。
9人は慌てて昼食を切り上げて雨具を着込み、その先にあるヒュッテ大槍にとりあえず避難することにした。
雷がゴロゴロと鳴り出したのは、「ヒュッテ大槍まであと20分」と書かれた標識が現れたあたりだった。
それから雷雲に囲まれるまで、大して時間はかからなかった。
雨は本降りとなり、稲光が走って雷鳴が轟(とどろ)いた。
「いちばん安全なのは山小屋に避難することです。『どうしようかな』と思いましたが、周囲は低い木ばかりの灌木(かんぼく)帯で、身を隠せるようなところはありませんでした。だから『小屋まで行ってしまえ』と判断し、私が先頭になって先を急ぎました」 と越中は言う。
【雷に打たれ、記憶が途切れた】
「ヒュッテ大槍まであと10分」の標識があるところで時計を見たら12時ちょうどを指しており、「あともう少しだ」と思った。
途中、大きな岩があったが、落雷を避けられそうな安全な場所とはいえなかったので、そのまま小屋を目指した。
「もう完全に雷に取り囲まれちゃっていて、雷鳴も稲光もすごかった。頭の上でどんちゃかどんちゃか鳴っていたから、これは近いなと思いました。とにかく早く小屋に逃げ込むことだけを考えてました」
「ヒュッテ大槍まであと3分」の標識が現れると、灌木帯が途切れて背の低いハイマツ帯になった。
そのなかを、岩だらけの道が延びていた。
突然開けた場所に飛び出してしまい、越中は「あっ」と思ったという。
次の瞬間に、記憶がぷつんと途切れた。
9人のメンバーは、越中を先頭に一列縦隊で歩いていた。
その瞬間、2番目を歩いていた者は「両手にピピッときた」と言い、3番手の者は「ドスン」というような音を聞いた。
4番手の者は体の右側に大きな衝撃を感じ、前を見たら越中が倒れるところだった。
7番手の者は右手に強烈な衝撃を感じると同時に、ストックの先端から青い閃光が発せられるのを見た。
8番手の者は、全身に強烈な衝撃を受け、千切れたビニール片のようなものが見えた。
5番手と6番手および最後尾の者は、なにも感じなかった。
雷に打たれたのは越中ひとりだけで、幸い、ほかの8人は無事だった。
倒れた越中の状態を確認すると呼吸が認められたので、ツエルト(簡易テント)を被せて雨除けとし、男性メンバー2人が救助要請のためヒュッテ大槍へと走った。
ほかの者はそばにあった岩陰に避難した。
【仲間に声を掛けようとしたが…】
ヒュッテ大槍に駆け込んだ2人は、仲間ひとりが雷に打たれて意識を失っていることを報告し、救援を要請した。
しかし、現場周辺は雷雲の真っ只中にあるため、迂闊に飛び出していくと二次災害が起きる可能性が高く、すぐに動き出すことはできなかった。
被雷しておよそ10分後の12時20分ごろ、気がつくと越中は、雨の中で倒れていて、体にはツエルトが被されていた。
雷が落ちた瞬間の記憶はまったくなく、なんでツエルトが被されているのだろうと思った。
腰から下が麻痺していて動かせず、耳鳴りもひどかった。
とくに左耳は詰まったような感覚があって、なにも聞こえなかった。
首、背中と腰に痛みがあり、左胸にも苦しさを感じた。
しばらく朦朧(もうろう)としていたのち、ツエルトの空気穴から外をのぞいてみると、男性メンバーの顔が間近に見えた。
声を掛けようとしたが、思うように声が出ない。
越中が意識を取り戻したことに仲間が気づき、話し掛けられているうちに、ようやく声を出せるようになってきた。
話を聞いて、自分が雷にやられたこと、仲間がヒュッテ大槍へ救助要請に向かったことを知った。
二次災害の危険がほぼなくなった午後1時ごろになって、ヒュッテ大槍から小屋の支配人とスタッフひとりが救助に駆けつけてきた。
その間、仲間に動かない足を伸ばしたりしてもらっていたので、足の痺れはとれていた。
そこで「自力で歩けます」と言ったが、「いや、そのままで」と言われ、結局、支配人に背負われて小屋に収容された。
小屋ではホットココアを飲ませてもらい、毛布にくるまれて暖をとった。
仲間や小屋のスタッフが励ましの言葉をいろいろ掛けてくれたが、やたらと寒いうえ耳鳴りがひどく、背中、腰、胸も痛んだ。
小屋に搬送されたときは、周囲はガスで視界不良だったが、徐々に天候は回復してきていた。
午後3時に長野県警から連絡が入り、県警ヘリが松本を出たことを知らされた。
その10分後にヘリが飛来してきて、越中をピックアップした。
しかし、そのまま病院には直行せず、いったん涸沢で降ろされた。
およそ20分後にもどってきたヘリに再度乗り込むと、機内には登山者がひとり横になっていた。
越中同様、雷の直撃を受けた男性だった。
男性が横たわったままぴくりとも動かないのを見て、「この方はダメなのかな」と越中は思った。
【別パーティの被害者は落雷で飛ばされた】
越中が被雷した場所の目と鼻の先にある槍ヶ岳では、この日の朝のうちはやはり晴れていたものの、午前11時ごろになって突然大雨が降ってきて、じきに雷も鳴り出した。
山頂直下に建つ槍ヶ岳山荘には、通常よりも早い雷雨の襲来に、たくさんの登山者が避難してきた。
山荘内では設置していた襲雷警報器のアラームが鳴り響き、スタッフが「槍の穂先(頂上)には登らないように」と登山者に注意を呼び掛けていた。
雷雨のピークが過ぎ、雨が上がって青空がのぞきはじめたのが12時半ごろのこと。
しかし、まだ遠雷は聞こえていて、襲雷警報器のアラームも鳴り続けていたので、ほとんどの登山者は小屋の中に留まって様子を見ているような状況だった。
そんななかで、8人編成の1パーティだけが行動を開始し、槍ヶ岳の山頂に向かっていってしまった。
これに気づいた山荘のスタッフが、拡声器で「まだ危険だからもどってくるように」と呼び掛けたのだが、やがて姿が見えなくなった。
槍ヶ岳山荘の支配人がこう話す。
「こっちを振り向いたように見えた人もいましたが、声が耳に届いていたかどうかはわかりません。そのときにはもうけっこう上のほうに行っていましたから」
それから間もない午後1時10分ごろ、槍ヶ岳の山頂に一発の雷が落ちた。
その瞬間をたまたま目撃していた山荘のスタッフは、登山者が落雷で飛ばされるのを確認した。
ただちに長野県警に一報を入れたが、現場周辺ではまだ落雷の危険があったため、「我々が直接現場に向かうから、そちらは出動しないように」と釘を刺された。
しばらくすると遭難者の仲間が下りてきたので、山荘のスタッフが状況を聞いたところ、落雷を受けたのは67歳の男性ひとりだけで、被雷直後から意識不明に陥っているとのことだった。
越中がヘリの機内で見たのがその男性であり、のちに搬送先の病院で死亡が確認された。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9c520f673a2d55683e0f72699b31a5d9a588e23f?page=3
5月5日6時12分にYAHOOニュース(文春オンライン)からは、雨でザックがビショ濡れ状態だったので電流が一旦そちらに抜け、心臓に流れなかったので一命をとりとめたらしいなど、下記趣旨の続き記事がネット配信されていた。
【直撃した場合の死亡率は80%】
県警ヘリで救助された越中は、午後3時50分に松本市内の病院に運び込まれ、検査と治療を受けた。
越中の仲間8人はヒュッテ大槍に泊まり、翌日、槍ヶ岳には登らず、槍沢を経由して上高地に下山した。
越中が落雷によって受けたダメージは、脳内出血、左鼓膜の破裂、中耳出血、蝸牛(かぎゅう)損傷、背中・尻・足の火傷など。
病院には4日間入院して8月22日に退院したが、入院中は胸と腕に筋肉痛のような痛みがあり、あまり眠れなかった。
また、飲み込む力が落ちていたようで、食事をとるときに食べ物や飲み物が喉に突っかかるような感じがしばらく続いた。
体の火傷や衣類の焦げ跡、ザックや登山靴に開いた穴などから、落雷は左側頭部を直撃し、電流は左の中耳を破壊して首筋から脊柱へ走り、いったんは背中から抜けてザックを通ったのち、再び尻から体内に入って下肢へ向かい、両足から靴を突き破り外へ流れ出たものと推測された。
化繊のアンダーウェアは、雷電流により溶けてしまってワカメのようにくしゃくしゃになっていた。
【崖に転落して命を落とす可能性も】
雷に直撃されたにもかかわらず、奇跡的に損傷が少なかったことに、担当した医師は驚いていた。
彼の見解によると、「雨でザックがびしょびしょに濡れていたから、雷電流がそちらのほうへ向かったのでしょう。心臓のほうに流れていたら助かっていなかったと思います」とのことであった。
事故後、越中が本で調べてみたら、ほとんどの落雷事故では強い電流が体を通るため、被害者は高い確率で死亡するということがわかった。
「直撃被害者の死亡率は80%だそうです。例外として、雷電流の一部が体外へ抜けたことで体内電流の割合が減少し、死亡を免れることがあるらしいです。たぶんこれでしょう。強運だったのかもしれませんね」
越中が雷に打たれて倒れた場所のすぐ横は、低いハイマツに覆われた崖になっていて、体の一部がハイマツに引っ掛かって転落を免れていた。
もし、もっと崖側に倒れ込んでいたら、雷電流が心臓を通っていなかったとしても、転落によって命を落としていた可能性もある。
そういう意味では、たしかに強運だったのだろう。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/17911f1050b1f9fc5b3d54d48befb38c7fe3dc2f
2023年5月7日1時57分にYAHOOニュース(ワールドジェットスポーツマガジン)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【ボートから落水した釣り人、自動膨張式の救命胴衣が膨らまずに死亡】
今月5日、兵庫県明石市松江の沖合約3キロで、プレジャーボートを操船していた姫路市の70歳代男性が波に揺られて海中に落水。
約40分後に、通報を受けた神戸海上保安部に救助されたが、搬送先の病院で死亡が確認された。
男性は「自動膨張式ライフジャケット」を着用していたが、ライフジャケットが膨らまなかったという。
この事故について、本誌編集部が海上保安部に「ライフベストが膨らまない事故は、他にもあるのか?」と質問をしたところ、「統計的な数字に関して、即答は出来ない」との答えだった。
【ライフジャケットの形状は主に2種類】
ライフジャケットにもいろいろ種類があるが、代表的な形状は、浮力体に発泡プラスチックなどを使っている「固型式」と、浮力体として炭酸ガスなどを使用する「膨脹式」の2種類だ。
今回の事故で着用していたのは、「膨張式のライフジャケット」である。
「固型式」は、もともと浮力体がライフジャケットに入っているので、着ているだけで浮力が得られる。
しかし、浮力体が厚いので着用するとかさばるし、折りたためないので収納時もかさばる。
10人定員のボートなら、10着分の収納スペースが必要になる。
「膨張式」は中にボンベが入っていて、作動すると内蔵の気密袋にガスが充填され膨らむ。
膨張方法としては、水に浸かると自動的に膨脹する「自動式」と、紐を引くことで膨脹する「手動式」がある。
ジャケット自体が薄くて動きやすく、コンパクトでかさばらないのが特徴だ。
【「自動膨張式ライフジャケット」の誤解・メーカーは“100%自動で膨らむ”という保証をしていない】
自動膨張式ライフジャケットの"自動膨張機能"は、あくまでも補助装置とされている。
今回の事故のように自動で膨らまなかった場合は、手動式と同じようにヒモを引かないと膨らまない。
メーカーは「落水時に必ず膨張する」保証はしていないのだ。
ライフジャケットは法定備品なので、船舶検査時に膨張式ライフジャケットも検査対象となる。
検査の一例として、ボンベの重量を測定したり、口で膨らませて漏れがないか確認するが、膨張式は一度膨らませてしまうとボンベを交換しなければならない。
そのため、実際に水に浸けて“自動で膨らむかどうか”の検査は行っていない。
つまり、自分の持っている「自動膨張式ライフジャケット」が本当に膨らむかどうかは、実は誰にも分からない。
現在、神戸海上保安部が死亡した男性のライフジャケットを調査中である。
しかし、メーカー側からは「自動で膨らむ保証はない」という旨があるので、責任を求めることは難しそうだ。
【「どのライフジャケットを選ぶか」。それも自己責任である】
浮力体の入っている「固型式ライフジャケット」と、ボンベで膨らむ「膨張式ライフジャケット」、どちらを選ぶかは自己責任だ。
もし、船から落水したときに衝撃で気を失ったら、ヒモを引っ張れない。
落水してパニックになった子供に「自分でヒモを引け」といっても、それは無理な話だ。
「自動膨張式ライフジャケット」がキチンと機能してくれればいいが、今回の事故のようなケースもあるはずだ。
「自動膨張機能」は、“補助装置”という時点で、「自動で膨らまないことがあるかもしれない」と認識すべきである。
それを知っていると知らないのとでは、万が一のときの心構えが変わってくる。
メーカー側も、1年に1回は定期点検を依頼してほしいと呼びかけている。
これから本格的なマリンシーズンを迎えるにあたり、ライフジャケットは、「自分の命を預けるもの」という認識の上で、どのタイプを選ぶかを決めてほしい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/128d15367c392690ebf9141e695bfb2fb451e300
5月7日19時10分に同じYAHOOニュース(ワールドジェットスポーツマガジン)から、自動膨張式は浸水感知まで時間がかかることがあるので落水時は手動で作動させるように説明しているメーカーもあるなど、下記趣旨の補足的続編記事がネット配信されていた。
海上保安部に質問をした際、コメントのなかに、『自動で膨らまない“かもしれない”救命具の名称として「自動」を使うのはいかがなものか』とあったが、私もそう思う。
それより何より、この『自動で膨らまないことがある』という事実を"知ってもらう"ことが最優先事項だと思っている。
【「自動膨張式ライフジャケット」が膨らまないことでメーカーに責任を問うても、「記載してある」と言われる可能性が高い!】
「自動膨張式ライフジャケット」を非難するつもりはない。
国民の多くが「自動膨張式ライフジャケット」は自動で"膨らむ"と思っている、その事実に"警鐘"を鳴らしたい。
そして、膨らまないときは「引き手を引っ張る」ことを知って欲しい。
事実、今回の事故では自動で"膨らまず"に人が亡くなっているからだ。
【「自動で“膨らまない”ことがある」ことを知っておくのが大事】
通常、膨張式のライフジャケットは「引き手を引っ張る」ことで付属のボンベからガスを放出させ、浮力体を膨張させる仕組みになっている。
自動膨張式の装置には"水を感知する機構"が備わっていて、落水あるいは水が入ってきたことを自動で検知したときに、付属のボンベからガスを放出させ、浮力体を膨張させる仕組みなのだ。
手動式の「引き手を引っ張る」のと同じ構造である。
『落水時の姿勢や落ちた状況により、どうしても浸水するまでの時間にバラつきがでます。自動膨張機能はあくまでも補助的な機能とし、安全を素早く確保する意味で、落水時は手動にて引き手を引いて膨張させてください』と説明しているメーカーもある。
自動で膨らむのはあくまで“補助”的なものであって、それが絶対に膨らむというものではない。
メーカー側は、最初から「自動膨張を補助する機能が付いています」と書いている。
【ボンベキットの交換時期は?】
ボンベ自体に明確な使用期限はないそうだが、膨脹式救命胴衣に使用されている「カートリッジ」には、使用期限がある。
特に、水分を感知する部分は特殊な和紙でできている。
1年も経つと、この和紙がカラカラに乾いてしまうので、水分を感知しにくくなるそうだ。
最悪の場合、ライフジャケットが膨脹するまで30秒以上かかってしまうケースもある。
一度膨らませてしまったり、カートリッジの使用期限が切れた膨張式ライフジャケットは、ボンベキットを取り替えれば何度でも再使用することができる。
付いているボンベの種類やメーカーによっても変わってくるが、交換を依頼しても5000円前後で新しいボンベキットにしてもらえる。
【どこのメーカーか分からない「激安ライフジャケット」に、自分の命を任せられるかは「自己責任」である】
本誌は水上バイクの専門誌なので、常日ごろから使用しているのは、国の認可を受けた“桜マーク”の付いた「TYPE D」や「TYPE F」と呼ばれる"固型式のライフジャケット"である。
浮力体に発泡プラスチックなどを使っているので厚みもあり、耐衝撃性や保温性も兼ね備えている。
このタイプは、水上バイクで使用するにはベストだ。
難点と言えば、とにかくかさばる。
折りたたむこともできないので収納にも困る。
そのため、一般的なボート遊びでは、かさばらず手軽に着れる「膨張式のライフジャケット」が人気なのも理解できる。
繰り返しになるが、「自動膨張機能」は、“補助装置”という時点で、「自動で"膨らまない"ことが"あるかも"しれない」ということを絶対に覚えておいてほしい。
膨張式のライフジャケットが悪いと言う気は全くない。
それを知っていると知らないのとでは、万が一のときの心構えが変わってくる。
これから本格的なマリンシーズンを迎えるにあたり、ライフジャケットは、「自分の命を預けるもの」という認識の上で、どのタイプを選ぶかを決めてほしい。
名の知れたメーカーでも自動で膨らんでくれない恐れがあるというのに、どこのメーカーかも分からない激安品の膨張式ライフジャケットに、自分の命を預ける勇気は私にはない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bee283035cf1dafe853c321f709b7c7351dbc4cf
5月8日19時47分にYAHOOニュース(ワールドジェットスポーツマガジン)からは、ライフベストは手動式だったが引き手を引いていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故について本日、管轄の海上保安部より、「調査の結果、被害者の着用していたライフベストは“自動膨張式”ではなく、“手動膨張式”であった」と本誌に連絡があった。
さらに男性は、「ライフジャケットの“引き手を引いていなかった”」という答えだった。
死亡した男性は、恐らく海に投げ出された時点で、意識がなかったのだろう。
「引き手を引っ張る」ことが出来なければ膨らまないので、せっかくライフジャケットを着用していても意味がないことになってしまう。
手動式は、落水時に「引き手を引っ張って」"膨らませ"なければならない!
このコトを肝に銘じておいて欲しい。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/29a7fbedf157257eacfe3b2006214b1dc0391727
2023年5月5日11時59分にNHK長崎から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午前5時半ごろ、長崎市の伊王島の北西およそ4キロの海上で、「水先人がクルーズ船に乗り移ろうとして海に落ちた」と水先人が乗っていた船から通報がありました。
長崎海上保安部によりますと、転落したのは、水先人の大須賀さん(男性、69歳)で、およそ10分後にクルーズ船の救命艇に救助されましたが、2時間後に死亡が確認されたということです。
クルーズ船はイギリス船籍の「ダイヤモンド・プリンセス」で、長崎港への案内業務のためにパイロットボートと呼ばれる船からクルーズ船に乗り移ろうとしていたということです。
当時、波や風は穏やかで、大須賀さんは救命胴衣を着用していたということで、海上保安部は、クルーズ船の防犯カメラの映像を調べたり、双方の船の乗組員から話を聞いたりして、詳しい状況を調べています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20230505/5030017818.html
5月5日14時21分に毎日新聞からは、入港のための確認作業を無線で行った後、乗り込もうとした時に転落したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5日午前5時半ごろ、長崎市伊王島付近の海上で、長崎港に入る大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスの誘導業務に当たっていた水先案内人の大須賀さん(69)=横浜市=が、ボートからクルーズ船に乗り込もうとしたところ、誤って海に転落した。
長崎海上保安部によると、大須賀さんは10分後に救命ボートで救助されたが、死亡が確認された。
長崎海保によると、大須賀さんはボートからクルーズ船と無線でやりとりし、安全に入港できるよう確認作業をしていた。
作業を終えて移乗する際に転落した。
新型コロナウイルスの影響で停止していた国際クルーズ船の国内受け入れは、今年3月から全国で順次再開している。
(共同)
https://mainichi.jp/articles/20230505/k00/00m/040/073000c
2023年5月3日19時36分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ゼネコン大手の熊谷組(東京都)は2日、北海道新幹線のトンネル工事をめぐり、同社など4社でつくる共同企業体(JV)がコンクリートの品質試験で発注者側に虚偽の報告をしていたと発表した。
試験の回数が足りず、強度が基準を満たしていない可能性があり、調査を進めている。
熊谷組によると、虚偽報告があったのは、2030年度の札幌延伸をめざす北海道新幹線の羊蹄トンネル有島工区(約4・2キロ)の工事。
昨年10月から今年4月にかけて、生コンクリートをトンネル内に流し込む前にする水分量の調査を定められた頻度でせず、固まる前に1区画ごとに3カ所ですべき測定試験も1カ所でしかしていなかった。
いずれも、所定の通り実施したと報告していたという。
工事を発注する鉄道・運輸機構の担当者が4月20日に工事現場に立ち会った際、発覚した。
熊谷組の担当者は「試験を担当する試験員の数が手薄だった。事態の重大さを痛感し、再発防止策を講じるとともにコンプライアンス教育を徹底する」と話した。
工程への影響は未定といい、今後、コンクリートの品質を再調査し、問題があれば工事をやり直す予定という。
https://www.asahi.com/articles/ASR536DJYR53OXIE008.html
5月3日18時25分に産経新聞からは、打設前と開始後50m3毎に測定すべき水分量を打設前の1回しか行っていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鉄道建設・運輸施設整備支援機構は3日までに、北海道新幹線の札幌延伸に向けたトンネル工事で、ゼネコンの熊谷組などでつくる共同企業体(JV)がコンクリートの品質管理試験で虚偽の報告をしていたと発表した。
必要な手順を踏まずに試験したのに「適切に実施した」と報告していたといい、同機構はトンネルの品質や、工程への影響を調査している。
熊谷組は「事態の重大さを痛感し、再発防止策を講じる」とのコメントを発表した。
鉄道・運輸機構によると、トンネルはニセコ町の約4・2キロの区間。
同JVは昨年10月以降、コンクリートを打ち込む前と、打設開始後も50立方メートルごとに水分量を測る試験を、実際には開始前の1回しかしていなかった。
コンクリートの硬さについても、区間ごとに3カ所と定められているのに1カ所しか測定しなかった。
4月20日に機構の担当者が現場に立ち会い、発覚した。
https://www.sankei.com/article/20230503-2M7AYZSGU5PHPICJEBVJIHIJRQ/
2023年5月4日0時45分にYAHOOニュース(mBS NEWS)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日午後10時頃から「爆発音があった」「ドンという音がした」「地鳴りがあった」など住民から警察や消防への通報や問い合わせが合わせて20件以上相次ぎました。
警察は周囲のパトロールなどを行いましたが、異変などは見当たらなかったということです。
気象庁や大阪管区気象台などによりますと、神戸市垂水区の沿岸部で午後9時58分にマグニチュード2.3、震源の深さ10キロの地震が観測されました。
また午後10時29分にもマグニチュード1.8、震源の深さ10キロの地震が観測されましたが、いずれも震度1未満だったということです。
震度1未満のため地震速報が出ず、「地震速報が出ていないが、何があったのか」「震度情報がないが、何が起きているのかを知りたい」など、住民などから一時不安の声が相次ぎました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bdd5fec661e01138d4a04ce0921f6cd037ac3bb7
2023年5月4日12時39分にNHK静岡から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3日夕方、沼津市にある県営の愛鷹広域公園多目的競技場で、J3のアスルクラロ沼津と愛媛FCの試合中に、スタンドのフェンスが壊れて、サポーター10人あまりが、約1.5メートル下のグラウンドに転落し、松山市の56歳の女性が、ほおの骨を折るなどの大けがをしたほか、9人が軽いけがをしました。
競技場を管理する県によりますと、愛媛がゴールを決めて選手がスタンドに駆け寄った際に起きていて、フェンスは鉄製で、グラウンド側に根元から折れ曲がっていたということです。
警察は、サポーターがフェンスに寄りかかった際に壊れたものとみて、詳しい原因を調べています。
試合を主催したアスルクラロは、ホームページで謝罪した上で、「現在、当時の状況含め警察などと確認を行っており、今後の対応を検証しています」とコメントを出しました。
また、県によりますと、競技場ではフェンスへの寄りかかりを禁止する張り紙をしていたということで、現場周辺は当面、使用中止にして、修繕工事もできるだけ早く行いたいということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20230504/3030020067.html
5月4日20時33分にYAHOOニュース(SBS)からは、競技場の設計にあたりプロサッカーの試合は想定していなかったのではないかなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月3日、Jリーグの試合中にサポーターが観客席から転落した事故を受け、警察は翌4日も転落のきっかけとなった折れた柵などを現地で確認しました。
関係者によりますと、柵には腐食などの目立った劣化は見られなかったということです。
<中西記者> :
「きのうの事故を受けて、メインスタンドの最前列も立ち入り禁止の措置をとっています」
3日午後、静岡県沼津市の県営愛鷹競技場で行われた明治安田生命J3リーグアスルクラロ沼津対愛媛FCの試合中に、愛媛の選手が得点を決め、スタンドに駆け寄った際、柵が折れ、サポーター14人が観客席から転落しました。
この事故で、愛媛県松山市に住む56歳の女性が左目付近を骨折、その他9人がひじやひざを擦りむくけがをしました。
警察は4日午前も転落のきっかけとなった折れた柵などを現地で確認。
折れた柵の幅はおよそ10m。
柵から地面までの高さは1.25mほどと判明したほか、施設管理者への聞き取りなどを行ったということです。
関係者によりますと、柵には腐食などの目立った劣化は見られなかったということです。
事故はなぜ、起きたのか?
危機管理に詳しい常葉大学教育学部の木宮敬信教授に聞きました。
<常葉大学教育学部 木宮敬信教授> :
「プロの試合が行われたが、競技場設計の段階でそういった用途は想定していなかったと思う。通常、行政(静岡県)がつくる競技場というのは観戦者よりも競技者向けに設計されているのがほとんど」
静岡県営の多目的競技場として、1996年に開設した愛鷹競技場。
2017年からはJ3に加盟したアスルクラロ沼津のホームスタジアムとしても利用されています。
木宮教授は、開設時はJリーグのスタジアムとして設計されておらず、多くのファンが観戦することは想定していなかったと指摘したうえで、次のように分析しました。
<常葉大学教育学部 木宮敬信教授> :
「こういった事故は、原因を探っていくと『環境面』=施設と『教育』=人の行動をどうコントロールするか、に分けられる。実際にはどちらが事故の原因として多いのかというと、人の行動をどうコントロールするか?にある」
サポーターへの注意喚起は十分だったのか。
アスルクラロ沼津はSBSの取材に対して、「観戦の際は柵にまたがることや身をのり出すことを禁止する貼り紙をしているほか、場内放送でも注意を呼び掛けている」と答えました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3819e2987afc48d7b797b3b5c09997f2df1d85dd
2023年5月2日18時51分にNHK岐阜から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岐阜市役所の旧本庁舎の解体工事中に外壁と足場が同時に崩れた問題で、岐阜市は、情報共有とリスク管理ができていなかったことが主な原因だったとしました。
その上で、安全対策が確認できたとして大型連休明けの5月8日に工事を再開すると発表しました。
解体工事が進む岐阜市今沢町の岐阜市役所旧本庁舎では、ことし3月、3層分の外壁と固定していた足場が同時に崩れる問題が起きました。
岐阜市は工事を中断させた上で、施工業者に対し原因の検証と再発防止策の検討を指示し、1日夕方、その結果を公表しました。
それによりますと、工事は当初、工事エリアを北と南にわけ、それぞれ重機1台で1フロアごとに解体する計画でしたが、現場では足場作業員が計画の半数しか確保できておらず、作業に時間がかかり不要な人件費が発生するなどの懸念が出たということです。
そして関係者による「施工検討会」の承認を得ることなく、現場の判断で重機2台で解体する方法に手順を変更したということです。
ところが、現場でも明確にその手順を確認しておらず、認識にずれが生じたとして、情報共有とリスク管理ができていなかったことが主な原因と結論づけました。
その上で、再発防止に向けて、手順を変更する場合には「施工検討会」の最終承認を得るほか現場の安全管理者を増やすなどの対策をまとめました。
これに対して岐阜市は、“安全が確認できた”として、大型連休明けの5月8日から工事を再開すると発表しました。
解体工事は当初の計画から2か月遅い、ことし12月28日まで続くということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20230502/3080011211.html
5月2日付で岐阜市のHPに改善報告書が掲載されていた。(本文は転載省略)
https://www.city.gifu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/021/357/kaizenhoukokusyo.pdf
※キーワード;変更管理
2023年5月2日7時0分に読売新聞から、下記趣旨の記事が解説図付きでネット配信されていた。
トラック運転手の居眠り運転事故の直前は、15秒未満の睡眠状態「マイクロスリープ」(瞬眠)が頻発する傾向が確認されたと、広島大の研究チームが発表した。
トラック事故は深刻な被害が発生するケースが多く、安全運転をサポートするシステムなどへの応用が期待される。
論文が国際学術誌に掲載された。
広島大の塩見利明教授(睡眠医学)らは、特定の運送会社の協力を得て、2016年4月~21年3月に実際に起こったトラックの居眠り運転による事故52件を対象に研究を進めた。
運転席側と、進行方向を映す2台のドライブレコーダーに残された事故直前の1分間の映像から、運転手の体と車両の動きを1秒単位で分析。
その結果、運転手には事故の前、眠気にあらがい無意識に顔や頭に触れたり、ストレッチしたりするなどの「抗眠気行動」が起こっていた。
その後、次第に眠気が強くなり、事故40秒前を境に抗眠気行動は減少傾向になったが、20秒前から「マイクロスリープ」が増え始め、体の動きが止まり、まばたきがゆっくりになるなどの特徴が見られるようになった。
10秒前には蛇行や不自然な減速などの「車両挙動異常」が急増し、事故に至っていた。
乗用車では、自動ブレーキ機能など車の安全をサポートするシステムが普及している一方、重量が重く重心も低いトラックでは、同様のシステムでも事故を防ぎきれない可能性が高いとされる。
塩見教授は「トラックは死亡事故が多く、運転手が加害者側になることが多い」と研究の重要性を指摘。
今回の研究で、居眠り運転の兆候が体に表れることが判明したことを受け、「『抗眠気行動』など居眠り運転で早期に見られる兆候を検知するシステムが開発できれば、事故防止につながるのではないか」と話した。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230502-OYT1T50060/
(2023年5月16日 修正1 ;追記)
2023年5月15日17時25分にYAHOOニュース(Science Portal)からは、52件の内訳は一般道32件高速道20件だったなど、下記趣旨のより詳細な記事がネット配信されていた。
トラックによる居眠り運転事故は、マイクロスリープ(瞬眠)と呼ばれる15秒未満の短い睡眠の直後に起きていることを、広島大学の研究グループが解明した。
実際の事故直前のドライブレコーダー映像を基に解析を行った。
瞬眠やその直前に見られる行動を関知して事故を防ぐ新たな安全システムなどが開発されることを期待している。
広島大学大学院医系科学研究科の塩見利明教授(睡眠医学)らは、2016年4月から21年3月までに対物・人身事故や脱輪事故を起こしたトラックの車内カメラと車外カメラについて、事故の衝撃で破損せずに両方とも記録が残った52件の、事故直前1分間の様子を1秒ごとに解析した。
52件の内訳は、一般道路が32件、高速道路が20件だった。
解析の結果、一般道路でも高速道路でも、ドライバーは事故の60~40秒前までは、眠気を覚まそうとストレッチをしたり、無意識に顔や頭を触る「抗眠気行動」を取るが、それでも眠気がとれなかった場合、これらの行動が減り、事故20秒前位から体の動きが止まったり、目を閉じたり、半目になったりといった「マイクロスリープ行動兆候」が現れる。
その後、15秒未満の短時間睡眠「瞬眠」が起き、事故につながるという。
車外カメラでは、これらの行動と同時に、蛇行や不自然な減速といった危ない運転が見られた。
事故の発生しやすい時間帯は夕方、深夜、早朝。
年齢層では20~30代に好発。
事故が起きた位置は、高速道路では左側方(衝突)、一般道路では正面(追突)のものが多かった。
近年、普通乗用車には事故を防ぐための様々な安全装置がついていることが多いが、トラックでは、作動しても車両の重さで制御できずに大事故となるケースもある。
国土交通省の自動車運送事業用自動車事故統計年報(令和3年)によると、バス・ハイヤー・タクシー・トラックといった、主に緑ナンバーで起きた重大事故のうち、死傷者の人数と割合の最多は、ともにトラックだった。
トラック業界は長時間労働や深夜勤務など過酷な労働環境にあったため、労働基準法の改正が行われ、2024年4月1日からドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に見直される。
事故の根本的な原因は、ドライバーの激務、なり手不足に加え、ECサイトやフリマサイトの充実等によって物流量が増加するなど、社会的な背景もある。
塩見教授は、今回の研究結果から、「社会状況が変わらない以上、事故の原因を完全には除去できない。根本的な原因を変えられないのなら、実態を検知するシステム作りが必要ではないか。トラックでは、抗眠気行動を起こす事故発生約40秒前を察知できる機能が搭載されれば、大きな事故にならない可能性が高い」と強調した。
これまで、居眠り運転は事故原因のひとつとして知られていたものの、ドライバーが実際にどのような睡眠関連の問題行動を起こしているのかというデータが、訴訟や動画配信サイト以外で公開されることはほとんどなかった。
寄付講座として、研究のデータ提供や助成を行った福山通運(広島県福山市)は、「コロナ禍でエッセンシャルワーカーのトラックドライバーは以前にも増して労働時間が長く、睡眠時間は短いという問題を抱えている。働きやすい職場作りや社員の安全管理だけでなく、事故を起こさないという社会的意義のためにも産学連携に取り組んだ」としている。
成果は4月12日、米科学誌「アクシデント アナリシス アンド プリベンション」電子版に掲載された。
https://news.yahoo.co.jp/articles/96fa9efbcf18b995b62eb6430f45ac83779aa56d
2023年5月3日0時36分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2日午前、埼玉・久喜市の保育園で、遊具のロープが首にまきつき、3歳の男児が意識不明となる事故がありました。
保育園の理事長は今回の事故について、「事故を起こしてしまって申し訳ない」と話しているといいます。
2日午後7時ごろ、事故のあった保育園を訪れてみると、迎えに来る保護者の姿は見えず、園内はひっそりとしていました。
夜になっても園の前には、パトカーや警察官の姿があり、警察官が園を囲うように規制線を張っていました。
ここで2日、幼い子どもが巻き込まれる悲惨な事故が起きました。
事故があったのは、埼玉・久喜市にある「N保育園」です。
2日午前10時半ごろ、保育士の女性から「遊具のロープが首にまきつき、園児の意識がない」と119番通報がありました。
園児は3歳の男の子で、病院に搬送された際、意識はなかったということです。
事故があったのは、小さな山のようになっている遊具で、子どもの日を前に掲げられたこいのぼりのすぐそばにありました。
この遊具でいったい何があったのでしょうか。
当時、山の上にある木の柵から地面に向かってロープが垂らされていて、園児たちはそのロープをつかんで、山を登ったり降りたりして遊んでいたとみられています。
そのとき、ほかの園児が首にロープがまきついた男の子を発見しました。
そして、近くにいた保育士に伝えたということです。
園のホームページには、現場とみられる小さな山の写真が載っていました。
その写真には遊具の周りで楽しそうに遊んでいる園児たちの姿もありました。
当時は外遊びの時間で、園の庭では34人の園児が遊んでいて、周りには保育士6人がいたということです。
しかし捜査関係者によると、保育士たちは「事故の瞬間は見ていなかった」と話しているということです。
2日午後4時半ごろ、事故後の園では、迎えに来た保護者が子どもを抱きかかえて車に乗り込む様子もみられました。
園に子どもを預ける保護者に話を聞きました。
年少クラスに子どもを預ける母親 :
「(事故の)内容については(園の職員と)そんなにお話はしてない」
Q:遊具に関して、この遊具危ないと感じたことは?
年少クラスに子どもを預ける母親
「全然ないです。まったく。いい印象しかないので」
保育園の理事長は今回の事故について、「事故を起こしてしまって申し訳ない」と話しているといいます。
警察は業務上過失致傷の疑いも視野に、当時の詳しい状況を調べています。
(5月2日放送『news zero』より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/72fd56b03b65734900a7695d040710c578586c72
5月3日8時43分にYAHOOニュース(埼玉新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
幸手署によると、男児は園庭にある土で盛られた山で遊んでいた。
山は高さ数メートルで、頂上に刺さったくいにくくり付けられた形でロープが垂れていた。
ロープは山を登ったり下りたりする際に使われていた遊具だという。
男児の近くで遊んでいた園児が首にロープの絡まった男児を発見。
知らせを受けた保育士が119番した。
保育士らはロープを切るなどして救助したとみられる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b2189d7a845bef6072ccf3bf65b68014525df4bf
5月3日19時56分にYAHOOニュース(TBS NEWS)からは、ロープは事故当日に設置されたものでトラロープだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
デッキに結ばれていたロープは工事現場などで使用される「トラロープ」というものです。
この保育園では以前にも複数回設置されていたそうですが、今回のロープは事故当日に設置されたものだそうです。
実際にトラロープを触ってみると、かなり硬く伸縮性もありません。
これが体に絡んでしまうと危険だなと感じます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/078d9016c2a264fdc35a76b9cf715c02c36760c2
(2023年6月11日 修正1 ;追記)
2023年6月6日15時4分にNHK首都圏からは、当初は2人の保育士が遊具の近くで見守っていたが、他の園児の移動に合わせてその場を離れていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月2日、埼玉県久喜市の保育園の園庭で、3歳の男の子がロープを伝って高さ2メートルほどの土の山を上り下りする遊具で遊んでいたところ、首にロープが絡まる事故がありました。
警察によりますと、男の子は一時意識不明の重体となりましたが、その後、意識が回復したということです。
市は児童福祉法に基づいて特別指導監査を行っていますが、これまでの保育園への聞き取りで、遊具の近くでは当時2人の保育士が見守っていましたが、他の園児が移動するのにあわせて、その場を離れていたことがわかりました。
園庭には他にも保育士がいましたが、事故が起きたときは誰も見ていなかったということです。
市は、保育士どうしの連携不足が事故の背景の一つとみていて、医師や弁護士などでつくる検証委員会を設置し、事故の原因を調べるとともに再発防止策を検討することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230606/1000093579.html
(2024年1月20日 修正2 ;追記)
2024年1月19日7時44分に東京新聞からは、検証委の報告書が提出された、事故の数年前にロープで遊ばせないよう職員会議で注意喚起されていたが現場の保育士には周知されていなかった、園児がロープを引っ張り合って遊んでいたので保育士が危ないからと柵につないだ、ロープが築山に持ち込まれた経緯は分からなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市が設けた有識者による検証委員会が18日、報告書を梅田修一市長に提出した。
事故前に職員会議でロープを使って遊ばせないよう注意喚起があったが、現場の保育士に周知されていなかった事実が判明した。
遊具は園庭の築山(高さ数メートル)にあり、山上の柵からロープをつないで斜面に垂らす構造。
報告書などによると、事故の1~2年前、職員会議で築山でのロープ遊びは危険なためにやめさせる話が出たと複数の職員が証言したが、園の議事録には残っておらず、事故当日現場にいた保育士2人は知らなかった。
昨年5月2日の事故直前、保育士の1人が築山の下で園児たちが引っ張り合う姿を見てロープを取り上げたが、撤去せずに柵につなぎ、別の保育士も含めて適宜現場を離れた。
その後約16分間にわたり現場は園児だけとなり、事故が発生。
ロープが築山に持ち込まれた経緯も分からなかった。
報告書提出後に市役所で記者会見した検証委の委員長で、東京家政大の増田まゆみ元教授(保育学)は「職員会議はとても重要で、注意喚起を周知する組織的な仕組みがなかった。ロープの管理ができていなかった点も、組織としてあってはならないことだ」と厳しく指摘した。
事故を巡っては、県警が今月初め、注意義務を怠り男児にけがを負わせたとして、業務上過失傷害の疑いで、園長や保育士らを書類送検。
男児は意識を回復して退院したが、通院中という。
同園は「常に反省を忘れないようにしたい。被害者への賠償は誠実にできる限り対応したい」とコメントした。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/303767
2023年5月1日17時9分にYAHOOニュース(関西テレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月1日、大阪市此花区の建設現場でクレーン車のアーム部分が折れる事故があり、持ち上げていた鉄骨が隣の店の屋根に落下しました。
現場では、折れたアームが、建設中のマンションに突っ込んでいる様子が確認できます。
1日午後1時半頃、大阪市此花区梅香にあるマンションの建設現場で関係者から「つり荷が落下した」と警察に通報がありました。
警察によるとマンションは9階建てで、鉄骨をつり上げていたクレーン車が傾き、アーム部分が折れたということです。
持ち上げていた重さ2トンの鉄骨は隣の店の屋根に落下し、さらに別の住宅の屋根にも接触しました。
この事故の影響で、けが人はいないということで、住人らは現在避難しています。
クレーン車のアーム部分はおよそ20メートルあり、警察は事故の原因を調べています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/008db9d59ea06080c1b9bd0cbb8b01eccb62041a
5月1日22時31分に読売新聞からは、マンション側に倒れたことでアームが折れたらしいという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1日午後1時25分頃、大阪市此花区梅香のマンション建設現場で、作業中のクレーン車のアーム部分(長さ約20メートル)が折れ、つり下げていた鉄骨(長さ約8メートル、重さ約2トン)が近隣の塗装店と民家の屋根に落下した。
けが人はいなかった。
大阪府警は、クレーン車がマンション側に倒れたことでアームが折れたとみている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230501-OYT1T50162/
5月1日23時30分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、アウトリガーの一部が土の地面の上にあったらしいという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
建設現場の関係者は「転倒を防止するためのアウトリガーの一部が、土の地面の上にあったために、クレーン車が傾いた」といった内容のことを、近所の人たちに説明していたといいます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/264fc8ff66d32f3a9e06af163b50f23f54b62946
2021年4月12日に掲載した第2報がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正4として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11553/
(2023年5月7日 修正4 ;追記)
2023年4月29日9時14分に読売新聞からは、警察は洗剤の化学反応が爆発的燃焼の原因だったとして当時の責任者らを書類送検したが会社側は防火シャッターが開いたことが原因だったとして見解が分かれているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警は28日、工場内の洗剤の管理を怠ったことが出火原因とし、当時の責任者ら2人を業務上失火と業務上過失致死傷の両容疑で書類送検した。
県警は、工場1階に保管していた洗剤の原料が出火元になったとしている。
同種の洗剤で行った実験で、燃焼の可能性がある消防法上の「危険物」であることを確認したという。
甚大な被害をもたらした爆発的な燃焼は、発火した洗剤が火災の熱などで化学反応を起こしたことによるものと結論付けた。
県警は、2人は火災発生の責任があるだけでなく、不適切な管理による死傷者の発生を予見できたとしている。
火災後、レックは学者などで構成する事故調査委員会を設置したが、21年春に発表した報告書では、出火原因や出火場所の特定に至らなかったとされた。
爆発的な燃焼については、何らかの要因で防火シャッターが開いて、新鮮な空気が流入したためと推定している。
この点について、県警は「防火シャッターは閉まっていた」と否定した。
一方、レックは28日、報告書の内容を前提に、「爆発的燃焼は、消防隊の管理下で行われた消火活動中に発生した。原因は特定されておらず、両罪についての責任は問えないと考えている」などとコメントした。
死亡した消防署員の遺族は、静岡市消防局を通して、「検察や裁判所による適切な判断が行われることを望む」とコメントした。
静岡市が設置した事故調査委員会の報告書は、一部を除いて非公表のままとなっており、担当者は「捜査終了後に公表したい」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230428-OYT1T50235/
4月28日20時34分にYAHOOニュース(静岡放送;SBS)からは、SBSが専門家に検証を依頼した結果、過炭酸ナトリウムを主成分とする洗剤市販品を水と混ぜると発熱したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
取材に当たっている和田記者の解説です。
<和田記者>
こちらは漂白剤などの洗剤につかわれる「過炭酸ナトリウム」と呼ばれる物質です。
警察は公式には「何らかの原因で化学反応が起きた」と発表しましたが、捜査関係者への取材で「何らかの原因」とは水との化学反応が発火のスタートだった可能性が高いことが分かりました。
Q.危険物と特定された過炭酸ナトリウムはどこにあったんですか?
<従業員らしき人>
「ここに2トンありました。
パレットに積んでフレコン状態で1トン、それを2段に積んでいた」
火災のあったレックの工場内の様子です。
今回、捜査機関が発火や爆発の原因としたのは、この工場内に大量に保管されていた過炭酸ナトリウム。
レックは、安全に配慮し、加工した形などで保管していたとしていますが、火災後、消防庁は4つの製品を「危険物」と判定しました。
<レックの事故調査委員会 田村昌三委員長>
「1階工場内で発生した出火原因は特定することはできませんでした」
レックが自ら設置した事故調査委員会は2021年4月、「化学反応の可能性は排除しないとしつつも原因は分からない」と発表していました。
委員の1人だったレックの幹部は…。
<レック 貝方士専務>
「過炭酸ナトリウムの製品がなくはなかったんですけども、もう本当に粉として細分化されたものですから、そこから出火するってのは到底、過炭酸ナトリウムってのは自然発火しない材料ですから」
では、過炭酸ナトリウムの製品を発火させた要因は何だったのか。
捜査関係者への取材で、水との化学反応が発火のスタートだった可能性が高いことが分かりました。
SBSでは2月、過炭酸ナトリウムが水と反応するとどうなるのか、専門家の協力を得て検証しました。
市販されている洗剤=過炭酸ナトリウムを主成分とする混合物を水と混ぜてみると1時間後…。
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授>
「現在23.8℃程度です。
最初の温度が16.5℃なので7℃程度上がっています。
明らかに熱が発生していることが確認できます」
時間経過とともに温度が上昇、3時間で10℃以上上がりました。
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授>
「大量にあると熱がこもったりするので、大量にある時には気を付けた方がいいと思います」
捜査関係者によりますと、レックの工場内では過炭酸ナトリウムの製品が数百度まで上昇し、他の可燃物を燃やしたとみられています。
(※音声情報のみ)
水がどこからきたのかは、取材ではまだ明らかになっていません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/14b5a128cac045b19d995b9a654e6a61d0467b47
5月1日20時22分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、警察は爆発的な火災の原因は過炭酸ナトリウムから発生した大量の酸素だとみているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
爆発的な火災の原因について、警察は洗剤に含まれる過炭酸ナトリウムから発生した大量の酸素が工場内に充満したことで起きたとみていることが、捜査関係者への取材で分かりました。
警察などは過炭酸ナトリウムを使った実験も行い、室内に酸素が充満することを確認したということです。
SBSでは2月、専門家の協力を得て過炭酸ナトリウムの特性を検証しました。
警察は過炭酸ナトリウムが何らかの原因で水と混じり化学反応を起こしたとみていることから、水との反応を実験。
過炭酸ナトリウムから発生した気体を瓶の中に集め、そこに火のついた線香を入れてみると…。
<和田記者> :
「あーすごい、激しく燃え上がりました」
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授> :
「明らかに違いが見えると思います。酸素が多くあると激しく燃える」
炎を激しく燃え上がらせたのは酸素。
過炭酸ナトリウムが水と混ざると酸素が発生し、確かに燃焼を助長しました。
警察は、この現象に加えて、火災の熱による化学反応がさらに燃焼を大きくしたとみています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ec8696178c70b7551b0e77aa79c03b50593b2e3
5月2日20時17分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、警察はブレンダーと呼ばれる機械の乾燥不十分が原因だったとみているらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
火災の原因は、洗剤の原材料を混ぜる機械の乾燥が不十分だったことだとみられることが、捜査関係者への取材で明らかになりました。
重大な結果をもたらしたこの火災で出火原因として浮上してきたのが、「ブレンダー」と呼ばれる機械の存在です。
ブレンダーは原材料を混ぜて製品化する機械ですが、捜査関係者によりますと、火災の前にブレンダーを洗浄した後の乾燥が不十分で、水分が残ったまま洗剤を製造していたとみられることが分かりました。
今回の現場では、洗剤の主成分・過炭酸ナトリウムがブレンダーに残った水と化学反応を起こして、結果的に数百度の熱が発生。
この熱がほかの可燃物を燃やし、工場火災につながったとみられています。
<レック 貝方士専務> :
「1回攪拌した(かき混ぜた)場合は洗浄して水で洗う。マニュアルにきれいに水をふき取るようにと書いてあるんですね」
Q.ふき取ったかどうか、ちゃんとふき取っていたかどうかは(従業員に)聴き取りしている?
「してます。してます」
Q.問題なかったという認識?
「はい」
この際、水が混入するような過失はないと説明していました。
ただ、レックの事故調査員会は報告書で、「水分混入等のリスクを想定したアセスメント(評価)能力が不足していた」と指摘した上で、委員も記者の問いかけに「従業員への指導が十分とは言えない」と発言していました。
レック側は水の危険性を認識していたとした上で、化学反応による出火の可能性は低いのではないかと反論します。
<レック 貝方士専務>
「水分を帯びれば熱がどんどん上がっていく認識はあった。水分は消炎効果があるわけですから、水浸しのところは出火しませんよね。頃合いがいい状態で出火に至るのはかなり偶発的な」
一方、警察は化学反応の危険性などに注意し、適正に管理がされていれば火災は防げたとして、当時の責任者には過失があったと判断したとみられます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb5e2a41a4e72a2308db35aff6a5924942610eac
(ブログ者コメント)
過炭酸ナトリウムの火災爆発危険性について数社のMSDSを確認したところ、おしなべて、不燃性、火災時には酸素を放出して火災を助長、消火には水を使用などと書かれていた。
2023年4月27日21時20分にYAHOOニュース(長野放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長野県大鹿村のリニア中央新幹線のトンネル工事で、落下した鉄製の防護板に指を挟み、20代の建設作業員の男性が左手の人差し指の骨を折る大けがをしていたことがわかりました。
事故があったのは、大鹿村大河原のリニア中央新幹線・南アルプストンネルの長野工区の現場です。
警察によりますと、3月24日午後6時ごろ、東京都八王子市の25歳の建設作業員の男性が高所作業車に乗り、防護板を設置していたところボルトが折れ、落下した防護板と高所作業車の間に左手を挟んだということです。
男性は左手指を骨折する大けがを負いました。
防護板は鉄製で、大きさはおよそ1メートル×70センチで重さは35キロあったということです。
男性は当時、トンネルの中で1人で作業をしていたということです。
警察は3月27日に関係官庁から連絡を受け、捜査の結果、27日に公表したということです。
JR東海は取材に「事故があったのは事実。施工会社と共に再発防止に努めたい」とコメントしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f7de95cdbca88b0256c43c444ae29becf04f455
4月27日17時31分にNHK信州からは、留め具が折れた、防護板が左手に当たったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月24日の午後6時ごろ、大鹿村大河原のリニア中央新幹線「南アルプストンネル」の工事現場で、東京 八王子市の25歳の建設作業員の男性が左手の指を骨折する大けがをしました。
警察などによりますと、男性はトンネル内で高所作業車に乗り、1人で防護板をトンネルの側面に設置している際に留め具が折れ、落下した防護板が左手にあたったとみられるということです。
県内で行われているリニア中央新幹線の建設工事では、これとは別に大鹿村で先月29日、作業員が右手の甲を骨折する大けがをしました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/20230427/1010026371.html
2023年4月28日18時8分にYAHOOニュース(CBCテレビ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
名古屋市の市立中学校で27日、理科の実験中に劇物である水酸化ナトリウム水溶液が飛び散り、生徒の目に入る事故がありました。
事故があったのは名古屋市南区の市立本城中学校で、27日、2年生のクラスが水の電気分解の実験をしていた際、理科担当の男性教諭(38)が水素の発生を確認するため、気体に着火ライターで火をつけようとしたところ、水酸化ナトリウム水溶液が飛び散りました。
水溶液は、周りにいた生徒5人の顔や服などにかかり、このうち1人は、目に水溶液が入ったということです。
水酸化ナトリウム水溶液は劇物で、高濃度の場合、失明する恐れもあり、名古屋市の教育委員会ではこの実験で、ゴーグルを着用するよう定めていますが、男性教諭は生徒全員に付けさせていませんでした。
目に入った生徒は大量の水で目を洗った後、病院で治療を受けていて、市教委によると、担当医師は「大事には至らない」と話しているということです。
他の4人については、治療の必要はありませんでしたが、制服の色が変色するなどしました。
ゴーグルを付けさせなかった理由について、市教委の聞き取りに対し、男性教諭は、「ほぼ生徒全員がマスクをしていて、ゴーグルを付けると曇ってしまい、視界が悪くなってしまうと考えた」と話しているということです。
市教委は、市立学校に実験をする上での注意喚起をするとともに、今後、原因を究明していく方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4f920167365b05f4544b2fd7315f50f025efcb53
4月29日1時3分にYAHOOニュース(メーテレ)からは、教師はメガネが曇ると安全ではないと判断したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この実験では保護メガネを着用するルールでしたが、ほとんどの生徒が新型コロナ対策でマスクをつけていたことから、メガネがくもると安全ではないと理科の担当教師が判断したため、生徒たちは保護メガネを着用していなかったということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/98afa8c8fa39b96a6ecd2c923793aa171526c429
2023年4月25日19時53分にYAHOOニュース(茨城新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
茨城県立高で昨年7月、陸上部の練習中に投げられたハンマーが部員の頭に当たり、頭の骨を折る重傷事故が起きていたことが25日、分かった。
事故を公表した消費者庁は、待機場所に防護ネットが設置されていなかったと指摘。
県教委は事故後、防護ネットがある他校や陸上競技場で練習するよう、県立の中高に通知した。
同庁によると、昨年7月1日、陸上部のハンマー投げ練習で、部員が投げたハンマーが、待機中の他の部員の頭に当たった。
この部員は頭蓋骨骨折や脳挫傷、高次脳機能障害などの重傷を負ったという。
県教委によると、事故が起きた高校グラウンドには防護ネットがなく、ハンマー投げの練習時は、投てきする生徒が周囲に注意を呼びかける決まりだった。
重傷を負った部員は約4カ月入院。
現在は回復し、部活動に参加しているという。
同庁は4月13日、防護ネットが設置されていなかったことを重く見て、消費者安全法に基づく「重大事故」として同庁ホームページで公表。
県教委は事故を公表しておらず、非公表の理由を「生徒や家族の人権、心情に配慮する必要があった」としている。
県教委は事故直後、県内の中高で防護ネットの設置状況を調査し、設備点検の徹底を促した。
また、各市町村教委や県立高に向けて、防護ネット未設置場所で投てき練習を禁止するよう通知した。
県教委によると、県内中高で投てき種目を練習する陸上部は県立高38校、私立高11校、中学校4校。
このうち、半数の学校では防護ネットを設置していなかった。
県教委は「防護ネットを設置していたら防げていた事故。安全性への注意が足りなかった。再発防止に努めている」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec4b78801a2199f76f00c282aaa1fec0ca6f255c
(ブログ者コメント)
同種事例はこれまで藤岡市や滝沢市などでたびたび起きており、本ブログでも何件か紹介スミ。
今回の高校でそういった他校事例を知っていたのか調べてみたが、その点に言及した記事は見つからなかった。
一方、過去に事故が起きた学校の対応を確認したところ、防護ネット設置といったハード対応はとらず、教員監視下での練習などソフト対応にとどめた学校もあった。
2023年4月25日6時50分にYAHOOニュース(齋藤水難学会会長の寄稿文)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【プール事故 なぜ、監視していても溺水を発見できないのか?】
答えは、溺水が一瞬のことだから。
そして、プールサイドから斜め下方向に見ても、沈んでいる人になかなか気づかないから。
だからといって、プールは危険かと言うとそうではなく、監視術を導入することによって事故をグンと減らすことができます。
【溺水は一瞬】
数ある溺水のパターンでもっとも多いのが入水の失敗です。
特にプールでの重大事故は入水直後に発生しています。
筆者の救助実績で最も多いのがプールで、130 cm前後の水深で、5歳児から7歳児の子供をよく救助しましたし、ぎりぎりで事故をよく回避したものです。
プールでの入水失敗は、走り飛込みによるものが群を抜きます。
飛込んだ先のプールが深ければ一瞬で、そのまま浮き上がってきません。
一瞬だから声も出せないし、手を振って「タスケテ」と知らせることもできません。
プールの深さというものがよく理解できない年齢の子供が、その子の身長と同じくらいのプールで溺水事故を起こす傾向にあります。
そして、水深がそう深いわけでもないので、大人は「安全だ」と思い込む傾向にもあります。
でも、子供の身長と同じ深さでは、呼吸するための口と鼻は水面よりも下になるので、ここに溺水の危険が潜んでいるのです。
【沈んでいるのが、わからないのか?】
わかりません。
プールサイドに立って見渡して異常を確認できるのは、せいぜい足元の水底の情報です。
監視タワーに座って異常を確認できるのも、せいぜい足元の水底の情報です。
それこそ、目の前で人が沈んでいればわかりますが、そうでないから事故として顕在化するわけです。
プールに沈んでいた人の第一発見者は「すぐ近くで遊んでいた人だった」という話しは、よく聞くかと思います。
なぜ足元しかわからないかというと、プールの中の水の屈折率が空気の屈折率より高いためです。
光の屈折が悪さすると、陸上から斜め下方向にプールの底を見た時に、物も水底も全部浮き上がって見えます。
浮き上がって見えるということは、プールの底から水面に至るまでがぺしゃんこに見えて、言い方が悪いですが、お菓子のミルフィーユみたいに平坦なものが重なっているように見えて、見えているものが沈んでいるのか浮いているのか、それが人かプールの底の線なのか、よくわからなくなります。
その他、光の屈折は水面で光を反射するので、光って底が見えなくなりますし、波がたてば水底のものは歪んで見えてしまいます。
動画1に、その様子が全部うつっています。
動画1:
水深1 mのプールの底に沈み、浮き上がってくる様子を陸上から観察。
光の屈折現象で、プールの底や人が浮き上がっているように見える(筆者撮影、18秒)
かくいう筆者でも、監視はじめの最初の5分間くらいは、動画の水底に写っているものが何かしっかりチェックしながら監視できるでしょうが、5分後にその集中力を保ち続けているか自信はありません。
因みに、学生時代には10年に渡ってプール監視の最前線で多くの修羅場を経験してきています。
では、プールサイドを歩き回ればいいのではないか。
その通りです。
プールには遊軍監視といって、歩き回る監視を付けることがあります。
とはいっても、25 mプールでも1周回れば5分くらいは時間がかかってしまいます。
5分くらい溺れた人がいることに気が付かずにいたら、結果的に「監視が不十分だったのではないかと」と言われかねません。
なぜなら、5分も水中に沈めば、その人の救命の機会は相当に低くなるからです。
【ではプールの安全はあって、ないようなものなのか】
プールでの溺水事故を見つけるのは、あまりたとえがよくないことをお許しいただくとして、流れ星を見つけるようなものです。
どこにいつ流れるかわからない流れ星を目をあちこちやりながら見つけるようなことをやってしまいがちです。
やがて流れ星が天のどこかに一瞬の光の筋を現わし消えるのでしょうが、その方向を見ていなかったら、その人にとって流れ星は「なかった」ことになります。
よく監視の留意事項で次のようなことを言われますが、見つからない流れ星を探す時の方策とどこか似ていたりします。
・プールの全体を見渡す場所でしっかり見る
・動きが止まった人に注意する
・光の反射で見づらくなったら監視位置を移動する
その一方で「流れ星はしし座の方向に11月17日の夜によく見える」と観点を明確にしたらどうでしょうか。
一瞬の流れ星を見つけられる可能性がグンと高くなるのではないでしょうか。
それと同じで、監視の観点を明確にして実行できるようになれば、事故あるいは事故の前兆が見えるようになり、プールの安全性を高めることができるのです。
これを監視術と言います。
【監視術とは具体にどういうものか】
繰り返しますが、「観点」を明確にする監視の実技が監視術です。
多くの場面毎の実技がありますが、本稿では、次の実技を一つの例としてご紹介します。
それは入水指導です。
プールから入水する時には、プールに背を向けて足から静かに入水します。
具体例を動画2に示します。
動画2:
入水方法の実技(筆者撮影、1分26秒)
この方法を子供に1回教えただけではダメです。
それでは単に授業です。
自分も含めて子供が入水する時に必ずこの入水方法で入水するように癖を付けます。
何回も何回も、入水の度に繰り返します。
でも、まだ監視術とは言えません。
そして監視術です。
子供がプールに近づいて入水しようとしたら、正しい方法で入水するか、大人あるいはインストラクターは必ず見てあげます。
しっかりと入水できたら「素晴らしい」と声を掛けてあげます。
手を抜いたら「もう一度やり直し」と声を掛けて正しい入水に導きます。
要するに、観点をおさえて子供に寄り添って行動を見てあげる、これが監視術です。
そうすれば、全ての入水に目が行きますし、子供も一生ものの安全を一つ手に入れることができるのです。
プールにて最も危険な年齢である5歳から7歳にかけては、特にこのように子供に寄り添って危険を排除するのです。
そして年齢ごとに相当する観点がありますので、その観点に沿ってそれぞれの監視術を展開していくことになります。
公営プールなど、一般に開放されているプールで監視員が実行する監視術には、また別の技術があります。
一方、スイミングスクールでは「水の安全を教える・確保する」ことがすべての基本ですから、子供たちひとりひとりに向き合って上述したような手間をかけた監視術を実行することになります。
【おわりに】
監視術は、人の命を預かる技術です。
文章だけでは正確に伝えきれないので、実技を伴ってお伝えしなければなりません。
詳しくは、筆者までお問い合わせください。
スイミングスクールにて「入水指導を入水の度に行っているか」などの監視術チェック項目を保護者の皆様に見えるようにお知らせすれば、さらに安心してお子様をプールに預けることができるようになるのではないでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohidetoshi/20230425-00346993
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。