2022年5月30日5時0分に日本経済新聞から下記趣旨の記事が、写真や解説図付きでネット配信されていた。
防波堤が一夜で消失した「事件」の水面下では、鋼管杭がらせん状に裂ける奇妙な現象が起こっていた――。
日経クロステックが独自に入手した資料などで、水面下の状況が明らかになった。
「事件」の舞台は、宮城県気仙沼市にある気仙沼漁港だ。
2021年11月2日午前6時50分ごろ、防波堤が海上から消えていることに地元の漁業関係者が気づき、漁港を管理する県に通報した。
前日の午後5時ごろまで異変のない状態を地元の住民が確認している。
防波堤が一夜で倒壊し、海中に沈んでいた。
倒壊したのは、岸から81メートル(m)にわたって延びる小々汐(こごしお)防波堤のうち、1978年に完成した先端の50.3mの区間だ。
この区間は、水中に立つ鋼管杭の前面に工場であらかじめ製造したプレキャストコンクリート(PCa)版を取り付けたカーテン式防波堤になっている。
PCa版の下を海水が通り抜けて港内の水質を保全できるので、養殖漁場などで採用例が多い。
鋼管杭は直径70センチメートル(cm)で、厚さ9ミリメートル(mm)の鋼板をらせん状に巻いて溶接した構造だ。
港外側と港内側の2列にそれぞれ15本並んでいる。
鋼管杭の頂部には、幅4m、高さ1.8~3mの上部工コンクリートが載る。
当初の高さは1.3~2.15mだったが、11年の東日本大震災による沈下を受け、17年にかさ上げした。
岸から30.7mの区間は、コンクリートブロックを積み重ねた重力式防波堤だ。
この区間に変状はなかった。
県が事故後に水中を調査し、カーテン式防波堤全体が港外側に倒れているのを確認した。
らせん状の溶接部で鋼管が裂け、折れ曲がっていた。
調査の結果、「溶接部の選択腐食」と呼ばれる現象が生じていたことが判明した。
選択腐食によって溶接部が他の箇所よりも急速に減厚。鋼管の表面にらせん状の溝ができ、そこが切り取り線のように弱くなって破断した。
【異種金属接触腐食の一種】
溶接部の選択腐食は、異種金属接触腐食の一種といえる。
元の金属は母材と同じであっても、溶接によって性質が変わるからだ。
異種金属間と同様に、母材と溶接部との間に電位差が生じ、接触部分で電子の移動が起こって腐食が進む。
例えば、海水中の鋼構造物の場合、電子の移動によって生じた鉄イオンが溶出する。
破断箇所を見ると、溶接部に接する母材部分が切れているのが分かる。
海中で採取した鋼管杭のサンプルを計測したところ、溶接部に接していない箇所の母材の厚さは6.35mm。
当初の9mmから43年を経て2.65mm薄くなっていた。
腐食速度は0.062mm/年と算出される。
水面から離れた海水中の腐食速度は一般に0.1mm/年程度といわれるので、特に腐食が速かったわけではない。
一方で、溶接部に接する破断箇所では母材の厚さが3.79mmと、5.21mm薄くなっていた。
選択腐食によって、周囲の約2倍の速度で減厚が進んだことが分かる。
金属工学の専門家によると、溶接部の選択腐食は母材側で起こるとは限らないという。
母材の種類や溶接時の状況など様々な条件によって変わるので、一概にどちらで腐食が進むとはいえない。
海洋に設置した鋼管杭や鋼矢板などの構造物で、水中の溶接部が破断する事故は極めてまれだ。
「平均干潮面の直下付近で『集中腐食』が進む現象は広く知られており、最近は対策が進んでいる。
しかし、溶接部が腐食して破断した例は聞いたことがない」。
海洋鋼構造物の腐食に詳しいある専門家は、こう驚く。
倒壊原因を調査している県も、同様の事例は把握していない。
国土交通省港湾局がまとめた「港湾の施設の点検診断ガイドライン」では、鋼材の劣化予測のために肉厚を測定する際は、集中腐食が生じやすい箇所を選ぶよう規定している。
しかし、選択腐食についての言及はない。
【他のカーテン式防波堤11カ所でも潜水調査】
県は18年に実施した小々汐防波堤の点検の際、潜水調査で鋼管杭の状態を確認したが、健全度に問題はないと判定していた。
その時点で既に進んでいたはずの選択腐食には気づかなかった。
県は、「水中は視界が悪く、鋼管杭の表面にはカキ殻などが付着しているので、腐食の状態を正確に把握するのは難しい」(県漁港復興推進室)と説明。
当時の点検に問題があったとは考えていないという。
水面から離れた深い水中では腐食が進みにくいため、点検の盲点になっていた可能性がある。
ただ、海面付近と異なり、深い箇所が腐食して損傷すれば、構造物全体の倒壊につながる。
なぜ、小々汐防波堤で選択腐食が進んだのかは不明だ。
破断した鋼管杭の溶接部と母材との間の電位差を測るなど、県が原因究明に向けて、これ以上の詳細な調査を実施する予定はない。
一方で、他の防波堤の調査は進める。
小々汐防波堤がある宮城県気仙沼地方振興事務所管内には、他に同様のカーテン式防波堤が11カ所ある。
県は今後、これらの防波堤で潜水調査を行い、鋼管杭の状態を調べる。
超音波厚さ計を使用し、溶接部の肉厚を非破壊で測る考えだ。
倒壊した防波堤があった箇所には、船の航行時の波などを低減するため、応急対策としてシルトフェンス(汚濁防止膜)を設置した。
水中に沈んでいる防波堤は、養殖作業に支障が出ない22年6~10月の撤去を予定している。
23年度にカーテン式防波堤を再構築する計画だ。
(日経クロステック2022年5月23日付の記事を再構成)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC232BR0T20C22A5000000/?n_cid=NMAIL007_20220530_H&unlock=1
(ブログ者コメント)
カーテン式防波堤とはいかなるものか?
調べたところ、下記報文が比較的分かりやすかった。
以下は、その一部抜粋。
『カ ー テ ン 防 波 堤 と そ の 特 性 に つ い て』
(運輸省港湾技術研究所の研究者の論文?)
カーテン防波堤 とは,図-1のように水面付近にだけ直立壁を設けた特殊な型の防波堤を,このように命名したものである。
・・・
このように底のあいた防波堤で本当に波も防ぎうるかどうかが,まず第一の疑問点であろう。
・・・
カーテン防波堤では直立壁は水面付近にしかないのであるから,一見したところ波は壁の下をくぐり抜けてしまうように思われる。
しかし,波の性質を考えてみると表面でこそ水粒子の動きは激しいが,水面から下にもぐるにつれて水粒子の動きはしだいに小くなる。
特に波長の半分以上深いところでは,水の動きはほとんど0となる。
したがって水粒子の大きく動く水面付近に壁を作ってその動きをとめてやれば,壁の背後へ抜ける波を相当小さくおさえられることになる。
ただし,水深にくらべて波長の大きい長波の場合には水粒子の動きは水面から水底まで一様であるから,この場合はあまり効果がないであろう。
・・・
https://www.jstage.jst.go.jp/article/proce1955/11/0/11_0_222/_pdf
2022年5月29日12時1分にYAHOOニュース(モーサイ)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
【「トンネルは低いほうが入り口」が結論】
トンネルはどちらが入り口でどちらが出口なのでしょうか?
トンネルが対面交通になっている場合、ある方面に向かうバイクやクルマにとっては「入り口」でも、反対方面に向かう対向車にとっては「出口」となるわけですから、当然、どちらの口も「出口」であり、「入り口」でもあります。
しかし、道路設計上、また管理上は、トンネルを掘り始めた方が「入り口」で、掘り終わりの終着点が「出口」とされます。
「そんなの、掘り終わってしまえば分からないじゃないか」と感じるかもしれませんが、実は、それほど長くない一般的なトンネルについては、見分ける方法があります。
トンネルの内部にはわざと勾配(高低差)が付けられています。
それほど長くない一般的なトンネルの場合、この勾配は入り口(掘り始め)の方が低く、出口(終着点)の方が高くなっているのです。
【トンネル内に高低差があるのは排水のため】
トンネルの中に勾配が付けられているのは、主に工事中の排水のためです。
トンネルを掘っていると、山に染み込んだ雨水や地下水脈、海底トンネルの場合には海水が染み出してくることがあります。
これを「出水」といい、出てきた水は速やかに外に出さなければ、工事に支障が出てしまいます。
そこで、堀り始めの方を低くして、水が自然と抗口(掘り始めた口)の方に流れ出るようにしているというわけです。
トンネル工事と「出水」とは切っても切り離せない関係で、1988年の開通から2016年まで28年間もの間「世界一長いトンネル」の名を冠していた青函トンネル(青森県東津軽郡今別町~北海道上磯郡知内町)の工事中にも、複数回の異常出水事故が起きています。
特に大きかった1976年5月の事故では、作業坑から最大毎分85トンもの水が出て、トンネル内が約130mに渡り水没。
作業員に死者も出ました。
また、出水のために工事が中断されたトンネルも少なくありません。
例えば、熊本県阿蘇郡高森町では、旧国鉄が主導して県境を越える鉄道を計画し、1973年から掘削を行っていましたが、工事途中の1975年に地下水源を切断し、大量の出水に見舞われて鉄道建設は中止。
その跡地はトンネル工事や水資源について学べる資料館を併設した「高森湧水トンネル公園」として整備されています。
公園に現存する掘りかけのトンネルの長さは2055mで、湧水量は現在も毎分32トンにもなるといいます。
【1kmのトンネルで、20m登ることも】
地上にある(海底トンネルではない)トンネルの場合、一般的な勾配の目安は0.5~2%の範囲で設定されています。
この勾配が1km続くと、0.5%では約5m、2%では約20mも登ることになります。
【長いトンネルは山型、海底トンネルはW字型になる】
一方で、どちらが「入り口」でどちらが「出口」なのか、外見から判断することが困難なトンネルもあります。
それが、長距離トンネルと海底トンネルです。
長いトンネルの場合には、両側から同時に掘り進めることもあります。
この場合、両端の抗口から中央に向けて緩やかに登り勾配をつけて掘っていき、結合部が一番高くなるようにするため、坑内は山形になることが多いです。
また、青函トンネルを始めとする海底トンネルの場合には、抗口から排水できないため、地上から海底のトンネル入口までは下り、その後、緩やかに登って真ん中を過ぎるとまた下り、その後地上の出口まで登る……という、断面で見るとW字型の構造か、両端の抗口から中央に向けて下り勾配をつけていき、中央が一番低くなるという、V字の構造になっています。
【画像】坂を作っても抗口から排水できない「海底トンネル」はどんな構造になっている?
これはW字、V字の凹んだ部分に水を集めて、効率的にポンプで地上に排水するためです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8576e96dd34b7b9de675338d084f4f760625b368
2022年5月19日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事が地図と図解付きでネット配信されていた。
愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」で大規模な漏水が発生し、同県は18日、自動車関連企業など131事業所に工業用水を供給する安城浄水場(同県安城市)に水が送れなくなったと明らかにした。
この影響で、各事業所への工業用水の供給ができなくなる可能性が出ている。
取水施設を所管する東海農政局は同日、施設の川底に穴が開いていたことで漏水が起きたと説明した。
取水施設では農業用水も供給しているが、豊田市や岡崎市など8市約4500ヘクタールの農地では17日から供給が停止。
同農政局は工業用水の安定供給を優先する方針。
同農政局によると、取水施設では、矢作川を水門でせき止めて水位を上昇させ、水路を通じて安城浄水場へ工業用水を送っている。
施設の上流と下流部の川底にそれぞれ穴が見つかったといい、二つの穴を結ぶ水の通り道が施設構造物の下にできた可能性があるとしている。
漏水は15日に確認し、16日に砕石で穴を埋めようとしたが穴は拡大。
17日未明に大規模な漏水が発生して水位が下がり、同午後6時ごろから取水口から水をくみ取ることができなくなったという。
安城浄水場では必要な水量が確保できず、18日午前4時45分ごろ施設からの取水ができなくなった。
同浄水場は西三河地区9市3町(岡崎市の一部▽豊田市の一部▽西尾市の一部▽半田市▽碧南市▽刈谷市▽安城市▽高浜市▽みよし市▽東浦町▽武豊町▽幸田町)の131事業所に工業用水を供給している。
周辺にはトヨタ自動車などの自動車関連企業が集積している。
記者会見した同農政局の小林局長は、「これほど急激に水が抜けることを想定していなかった。対応が後手に回り申し訳ない」と陳謝した。
同農政局はポンプを使って川から水をくみ上げる応急措置をとっている。
【「田植えできぬ」農業関係者困惑】
・・・
【大阪ガス、火発停止】
・・・
【専門家「修繕の時期」】
明治用水土地改良区のホームページによると、取水施設は1958年に完成し、70~80年代に改修が終わった。
今回の大規模漏水について、水道工学が専門の名古屋大減災連携研究センターの平山修久准教授は、「施設として大規模な修繕をする年齢にきていた」と指摘する。
取水施設を巡っては2021年12月にも小規模な漏水が確認されたことが判明している。
今回の漏水との因果関係は不明だが、東海農政局の担当者は18日の記者会見で、「常に使用している施設で完全に水を抜いて確認したり、工事したりすることができず、応急的な対応をして様子を見ていた」と説明した。
https://mainichi.jp/articles/20220519/ddm/041/040/107000c
5月18日23時31分に読売新聞からは、穴は直径数mとみられる、水門では2015年から耐震工事を行っていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
東海農政局によると、大規模漏水は17日未明に起きた。
水門上流の川底に穴が開き、水が地中を通って下流に流れたことで水位が低下。
取水口よりも低くなったため取水できなくなった。
穴は直径数メートルとみられる。
農政局は漏水を15日に把握し、砕石で塞ごうとしたが、できなかったという。
水門では2015年から耐震工事を行っていた。
・・・
東海農政局によると、明治用水は農業用として1880年(明治13年)に完成。
1971年に矢作川上流に矢作ダムが完成し、西三河工業用水は同ダムを水源として75年に給水を開始した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220518-OYT1T50292/
5月18日20時5分にNHK東海からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
今回、問題が起きているのは、愛知県豊田市水源町にある「明治用水頭首工」と呼ばれる取水設備です。
「頭首工」は、水位を調節する水門で、これを閉じることで矢作川の水の流れをせき止めて水位を上昇させ、水門の手前にある取水口に水を流し込む役割を果たしています。
しかし17日未明に水門の下の川底に何らかの原因で穴が空き、大量の水が、水門の下をくぐるように下流に流れ出ている状態になったということです。
このため、水門を閉じても水位が上がらず、取水口で水をくみ取れなくなっているということです。
赤い印の場所で漏水が起きている。
上流側では渦を巻いている。
下流側では水が噴き出している。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220518/3000022571.html
5月19日20時52分にNHK NEWS WEBからは、川底のコンクリートが破損したらしいなど、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
東海農政局によりますと、水門の左岸に近い部分で、川底にあるコンクリートが破損したことが原因とみられています。
この場所の周囲だけ、土砂の流出を止めるための鉄板が岩盤に向かって打ち込まれていることから、この付近には、水を通しやすい砂れきの層が広がっているとみられるということです。
東海農政局は、破損したコンクリートの穴に水が流れこみ、鉄板のある砂れき層か、岩盤のさらに下にある水を通しやすい地層を通って下流に達した可能性があるとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220519/k10013633011000.html
5月19日22時44分に毎日新聞からは、工業用水は取水可能となったが農業用水復旧のめどはたっていない、川底のコンクリートと砂層との境界でパイピング現象が起きた可能性あり、仕切り鉄板が腐食した可能性もあるなど、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
愛知県は19日、仮設ポンプで河川の水をくみ上げる応急措置により、工業用水を供給する下流の浄水場で取水を再開した。
県は同日夜から事業所への使用自粛要請を緩和したが、農業用の給水復旧のめどは立っていない。
・・・
大規模な漏水が発生した原因について、河川堤防に詳しい名城大の小高猛司教授(地盤工学)は、大雨で水位が高くなった河川で、地下や堤防に染み込んだ水が土を押し出して地表から湧き出る「パイピング現象」が起こった可能性が高いと指摘する。
小高教授によると、パイピング現象で地中に水の通り道ができ、一気に水の流れが加速して川底の土砂を削り取る。
台風や豪雨の際に堤防決壊などにつながるケースも多いという。
明治用水頭首工は、砂の上にコンクリートの底が接している構造のため、「砂とコンクリートの境界に水の通り道ができやすい」。
今後の対応は「止水壁を作ることになると思うが、また新たな水の道ができる可能性もある。長年かけて道ができるので、今回のような漏水に至る兆候はつかみづらい」と語った。
東海農政局の担当者もパイピング現象について、「原因の一つとして考えられる」とした。
せきの上流と下流部の川底にそれぞれ穴が見つかり、地下でつながっているとみられる。
地中には漏水防止のために鉄板が埋め込まれているが、老朽化により鉄板が腐食してできた隙間(すきま)から水が漏れている可能性があるという。
https://mainichi.jp/articles/20220519/k00/00m/040/280000c
(2022年5月29日 修正1 ;追記)
2022年5月27日18時58分にNHK東海からは、パイピング現象に関する小髙教授(地盤工学)の解説がネット配信されていた。
パイピング現象とはどんな現象なのか。
水をせき止める取水設備でどうしてこうした現象が起きるのか。
専門家に聴きました。
(内容は東海NEWSWEBをご覧ください)
真ん中は水門に見立てた板。
水の流れを分かりやすくするため赤い色をつけてみると・・・
少しづつ砂地に浸透していることが分かる。
そして何らかの原因で水がつながると、土砂と水が下流側に一気に噴き出す。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220527/3000022760.html
5月27日18時58分にNHK東海からは、運よく26日夜から雨が降り田んぼに水がたまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
26日夜からの雨が農家にとっては恵みの雨となり、愛知県安城市では水田に水が入って農家の人たちがようやく田植えに向けた準備を進めていました。
およそ1.7ヘクタールでコメを栽培する農家の杉山さん(75)は、「水が来ないときにはスニーカーで走れるくらいにからからに乾いてひび割れしてことしは田植えが出来ないかと感じていたが、水が入るとなんとかやれないかという気持ちがわいてきます。週末ぐらいに土の状態を見て植えられるようならと準備をしています」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220527/3000022759.html
5月30日13時2分にNHK東海からは、条件付きながら農業用水の給水が2週間ぶりに再開されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8つの市の農地およそ4500ヘクタールに向けた明治用水では5月17日から給水が止まっていました。
用水を管理する土地改良区は、設置されたポンプで一定の取水量が確保でき、25日から行われた試験給水の結果、水が行き渡ることが確認できたとして、およそ2週間ぶりに給水を再開しました。
取水量が限られているため、給水地域を4つに分けて日ごとに限定して水を供給することにしていて、一つ一つの水田では、原則4日に1日しか水が来ないため、土地改良区では水田の水をできるだけ排水しないよう、引き続き対策を呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220530/3000022799.html
(2022年6月18日 修正2 ;追記)
2022年6月18日付で毎日新聞からは、国が造成した取水施設379カ所は目視確認で異常なかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
農林水産省は17日、愛知県豊田市の取水施設で起きた大規模漏水を受けて全国で実施していた緊急点検で、倒木の影響で再調査するとしていた鹿児島県屋久島町の1施設にも異常はなかったと発表した。
これにより、今回対象とした取水施設379カ所全てで異常がないことが確認された。
農水省は漏水を受け、同様の事態がないよう、国が造成した河川からの取水施設を点検。
施設上流からの漏水や、下流での湧き水がないかどうかなどを目視で確認していた。
https://mainichi.jp/articles/20220618/ddm/008/040/088000c
(2022年9月1日 修正3 ;追記)
2022年8月31日19時51分にNHK東海からは、応急工事を終えセメントなどを注入し始めた、本格的な復旧工事は10月以降など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東海農政局は31日、記者会見を開き、復旧に向けた工事の進捗状況を説明しました。
それによりますと、6月から行ってきた川底の穴の周辺を鉄の板で囲むなどして、水が流れ込まないようにする応急工事は、8月24日までに終わったということです。
このため8月26日からは、取水設備の最も左岸側にある柱の根元とその周辺で確認された複数の空洞に、セメントなどを注入する工事を始めたということです。
東海農政局では空洞を埋める工事を1か月ほどで終え、農業用水や工業用水の利用が減少することが見込まれる10月以降に、本格的な復旧工事を始めることにしています。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220831/3000024552.html
2022年5月12日15時12分にYAHOOニュース(FNN PRIME)から下記趣旨の記事が、複数枚の写真付きでネット配信されていた。
名古屋市千種(ちくさ)区にある公園に、驚きの光景が広がっていました。
【重機3台が次々土に… 先端部分しか見えないものも】
ディレクター:
「1台、そして2台、土の中に埋まっています」
先端部分だけが見えた状態の重機。
半分は茶色く濁った水に浸かり、身動きが取れなくなっています。
なぜこのような事態になってしまったのか、担当者を取材しました。
千種土木事務所 担当者:
「4月13日に1台目が、2台目が5月6日に…それで救助に向かって3台目を動かしたところ、それも傾いて自走不能になったという報告を受けております」
はじめに、1台の重機が池にはまって走行不能に。
続いて、別の場所で作業していた2台目の重機も池に。
さらに、助けに向かった3台目の重機まで、ぬかるみにはまって身動きが取れなくなってしまったというのです。
【地盤の緩みが原因か 1台引き上げも 2台は沈んだまま…】
原因はなんだったのか。
担当者は…
千種土木事務所 担当者:
「浚渫(しゅんせつ)工事で池の中ということもありまして、地盤が緩くなったっていうことは考えられると思います」
池では、溜まったヘドロや土砂を取り除く「しゅんせつ工事」が行われていましたが、その最中に事故は起きました。
緩んだ地盤の上で重機を使う場合、地面に鉄板を敷いてから作業するのが一般的だといいます。
千種土木事務所 担当者:
「(地面が)軟らかいときによくやるものとしては、鉄板をひいて接地圧を減らすということはやりますけど、(1台目と2台目の)その下には鉄板はなかったということですね」
接地圧を軽減する鉄板を敷かなかったため、重機の重みで泥の中に沈み込んでしまった可能性があるというのです。
5月10日、ようやく1台の引き揚げに成功しました。
幸い、エンジンは水に浸かっていなかったため、その日から作業に復帰したということです。
この重機の水没によるけが人はいませんでした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a68f967b4dba43f8b1ef2a41e32af9359bdca5d0
5月10日20時23分にYAHOOニュース(J-CASTニュース)からは、雨水などが徐々に入り込んで土砂が柔らかくなったことも考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
深い水溜りのようなところに、黄色いパワーショベルが運転席まで水に浸かり、車体の半分ぐらいが水没している。
さらに、別の水溜りには、アーム部分だけ浮き出て水没したパワーショベルがあった。
その近くに、水溜りに一部が浸かって傾いたパワーショベルもあり、悲惨な状況だ。
これらの写真は、2022年5月8日にツイッターに投稿された。
視覚的なインパクトがあるだけに、「どうしてこうなったのか」などの声が相次ぎ、リツイートされて拡散している。
桜の名所として知られる平和公園内にある猫ヶ洞(ねこがほら)池でのことだ。
この池は、ヘラブナ釣りなどでも親しまれており、名古屋市が、2021年11月上旬から、たまった池底の土砂やゴミを除去する浚渫(しゅんせつ)工事をしている。
池の水位を下げていった結果、池底の一部が露出しており、3台はその部分にあった。
一体なぜパワーショベル3台が水没するなどしてしまったのだろうか。
工事を発注した名古屋市の千種土木事務所では10日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように説明した。
「土砂などに水が入ってきて、土砂が水を含んで軟らかくなり、その上に乗っているパワーショベルが土砂の中に沈下し、さらに周辺の水が入り込んできて水没したと考えています。なぜ水が入ったのかは分かりませんが、地下水位が高いところなので、雨水が徐々に染み込むなどして地下水が入り込んだ可能性もあるでしょう」
千種土木事務所によると、1台は、4月中ごろに水没し、もう1台は、5月6日ごろに水没した。
3台目は、後者のパワーショベルを水溜りから引き上げようとして、傾いてしまったという。
【重機引き上げなどの追加費用は、業者に負担してもらう考え】
3台目については、5月10日の午前中に、同じ大きさのパワーショベルで引き上げ、エンジンがかかったため自走して脱出したことを明らかにした。
水没した2台のうち1台は、クレーン車で引き上げるよう工事の施工業者に指示したとした。
この業者は、クレーン会社と打ち合わせ中だという。
もう1台は、水溜りの水をポンプでくみ出し、水位を下げたうえで、電装系を交換して自走できるようにしたいそうだ。
パワーショベルは、業者がリースしたものではないかとした。
いつまで引き上げなどの作業がかかり、いくらぐらいの費用になるのかは、分からないという。
浚渫工事は、名古屋市が約2億円の費用で発注しているが、パワーショベルの引き上げ作業の追加費用は、業者に負担してもらうという。
市では、施工業者に事故がないように工事を行うことを依頼しており、今回の事故が起きても市の費用負担はないとしている。
工事については、当初は3月末で終わる予定だったが、5月末まで延長された。
当初は、土砂を処分する想定をしていたものの、プラスチックゴミが大量に見つかり、産廃として処分する必要が出てきたからだという。
周辺に墓地が多いことから、花を包むフィルムや買い物用のビニール袋などが風に飛ばされたりして、数十年かけてたまった可能性があるという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/998b5e041d75715de18ed6495d182cf0485df278
2021年11月3日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正2として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/12048/
(2022年4月17日 修正2;追記)
2022年4月9日21時38分にYAHOOニュース(名古屋テレビ)からは、今後の安全対策をまとめた報告書が公開されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岐阜県中津川市で発生した、リニア中央新幹線のトンネル工事事故で、JR東海は安全対策などをまとめた報告書を岐阜県に提出しました。
去年10月、中津川市のリニア中央新幹線のトンネル工事で、土砂などが崩れる「肌落ち」が発生し、作業員2人が死傷する事故が発生しました。
JR東海が事故の安全対策などをまとめた報告書が、9日、県の安全対策専門家会議で公開されました。
事故当時、現場の判断で計画と異なる工事が実施されていたことから、今後の対策として、下請け会社に対して工事を計画どおり進めているか定期的に写真などで確認するとしています。
また、トンネル掘削の作業では、立ち入り禁止区域にやむを得ず入る際は、作業車を活用して、作業員を防護するなどの安全対策を行うとしています。
これらの安全対策は、専門家らから妥当であると判断されたということです。
県内で停止されている工事再開に向けて、11日に別の専門家会議では環境への影響について審議される予定です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e41c872a6a86b32e3ab54920fed7626a02915d8
2022年3月9日11時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本、大分両県に農業用水を供給する国営大蘇(おおそ)ダム(熊本県産山村)で目安量の10倍の漏水が発覚した問題で、農林水産省九州農政局の安全性評価委員会は8日、依然、目安の10倍の漏水が続き、原因も不明だと明らかにした。
大蘇ダムは2020年4月に本格供用されたが、漏水量が目安量(1日2150立方メートル)の約10倍に上ることが判明。
この日、熊本市で開かれた評価委によると、21年度の調査でも漏水量は1日2万1000~2万5000立方メートルと、目安の約10倍の状態が続いているという。
農政局は21年度に水中でのドローン調査や水流把握調査、潜水士による目視調査などを実施。
しかし、評価委後の記者会見で向後(こうご)雄二委員長(東京農工大名誉教授)は、「漏水が多い地点は確認できなかった。ダム全体から漏水していると思うが、原因は分からない」と説明した。
2月末時点でダムの貯水量は約261万立方メートル、貯水率約61%。
近くのせきからの取水量を増やしたため、貯水量、貯水率とも1年前の倍近くになったが、農政局によると、水田農家からは「水を張る時期には水が足りなくなる」との声も上がっているという。
農政局の担当者は、「漏水の原因究明は農業用水確保のためにも必要。22年度も調査していく」と語った。
https://mainichi.jp/articles/20220309/k00/00m/040/083000c
3月9日20時0分にNHK大分からは、平成17年の完成後に大量の水漏れが確認され追加工事を行ったが、まだ大量に漏れているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
竹田市などに農業用水を供給するため国が熊本県に建設した大蘇ダムで大量の水漏れが確認された問題をめぐって、九州農政局は水漏れの原因を依然不明とする調査結果をまとめました。
大蘇ダムは竹田市などに農業用水を供給するため、国が熊本県産山村に建設しました。
平成17年に完成後、大量の水漏れが確認されたため追加の工事を行い、おととし4月から本格運用が始まりましたが、その年の11月に再び、大量の水漏れが起きていることが明らかになりました。
九州農政局は今年度も引き続き、1億7000万円かけて潜水調査や地下水位の観測を行うなどして、水漏れの原因について調査を行い、このほど結果を取りまとめました。
農政局によりますと、今も一日に2万1000トンから2万5000トンの水漏れが起きていることが分かった一方、明らかに多く水漏れしている部分は確認されず、大量の水漏れの原因は特定できなかったということです。
九州農政局は、来年度も水漏れの原因の調査を続けることにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20220309/5070012157.html
2022年3月9日20時10分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年11月に作業員1人が負傷する崩落事故が起きたリニア中央新幹線「伊那山地トンネル」(長野県豊丘村)の工事で8日、コンクリート吹き付け作業中に作業員2人が負傷する事故が起きた。
長野県は9日、同工区での掘削作業を中断し、原因究明と安全管理体制の検証などを実施するようJR東海に要請した。
同社や県によると、8日午後2時半ごろ、切り羽(掘削の先端部)から約15メートルの坑内でコンクリート吹き付け機の配管が詰まったため、配管の一部を取り外して詰まりを解消する作業をしたところ、部材とコンクリートが飛び散り、作業員2人に当たった。
1人は股関節や腕の打撲、もう1人は顔に当たったが目の検査で異常はなかった。
いずれも軽傷という。
リニア工事では、昨年10月に「瀬戸トンネル」(岐阜県中津川市)で2人が死傷し、今月1日には「第一中京圏トンネル」(愛知県春日井市)でも1人が負傷。
愛知の事故を受け、長野県は3日、JR側に県内5工区のトンネル工事を中断し、安全管理を再確認するよう要請していた。
今回の工区でJR側は、7日に工事を中断。
安全対策を確認して工事を再開した当日の事故だった。
https://www.asahi.com/articles/ASQ396QP6Q39UOHB010.html
3月9日23時12分に産経新聞からは、コンクリート吹付け機械の配管の一部が外れたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長野県は9日、長野県豊丘村のリニア中央新幹線のトンネル工区(坂島工区)で8日午後、コンクリート吹き付け作業中に配管の一部が外れ、作業員に当たる事故があったと発表した。
JR東海は、1人が腕を打撲し、もう1人が顔に擦り傷を負ったと説明。
同工区の工事を中断して原因確認を行っている。
同工区では、昨年11月に1人がけがをする土砂崩れが発生。
愛知県内での事故もあり、工事を2回中断し、今月8日に再開していた。
県は、「安全管理の周知を行ったにもかかわらず、当日に労働災害が起きた。連続して発生しており、極めて遺憾」とする文書をJR東海に渡し、事故の検証と改善を申し入れた。
JR東海によると、8日午後2時半ごろ、トンネル坑内でコンクリート吹き付け作業中に機械の配管の一部が外れ、30代の男性作業員に当たり、右腕打撲などのけがを負った。
また、事故で飛び散ったコンクリートが顔に当たった40代の男性作業員が擦り傷を負った。
https://www.sankei.com/article/20220309-2SYRVUEKWROW7D44AAGGDW4H4Y/
3月10日6時3分に信濃毎日新聞からも同趣旨の記事が、発災場所の地図付きでネット配信されていた。
・・・
JRによると、長さ1440メートルの作業用トンネル(斜坑)の坑口から255メートルの地点で発生。
配管に詰まったコンクリートを取り除く作業をしていて、近くにいた1次下請けの作業員2人に当たった。
このうち36歳男性が腹部を打撲し、44歳男性が顔にすり傷を負った。
昨年11月の事故は198メートル掘り進めた地点で起きた。
・・・
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022030901121
(ブログ者コメント)
作業の内容も、事故の形態も、おそらくは作業していた下請け会社も違うのに、事故は続く時には続く。
また、そういった事例の一つが起きてしまった。
今回のケースでも、再発防止策のとりように苦慮することだろう。
(2022年3月30日 修正1 ;追記)
2022年3月29日8時4分に信濃毎日新聞からは、作業員の経験則に頼った結果、配管が十分に連結されていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は28日、「安全意識が不足していた」などとする検証結果と再発防止策を県にオンラインで報告した。
同社は同様の事故が起きるリスクを洗い出すなど安全管理の改善を図ったとし、29日以降に同工区の工事を再開すると説明。
一方、事故の自主的な公表については「県や関係市町村に報告している」とし、住民らへの積極的な公表を求めた県などとの溝は埋まらなかった。
報告によると、事故は8日午後2時半ごろ、坂島斜坑(作業用トンネル)の非常口(坑口)から255メートル付近で発生。
コンクリート吹き付け機の配管に生じた目詰まりを解消するため圧縮空気を送った際、配管の接続部分が外れた。
飛び出したコンクリートが作業員1人の顔に、外れた配管が別の作業員の腹部にそれぞれ当たり、共に軽傷を負った。
JR東海の新美名古屋建設部長らが、県建設部の田中次長らに報告した。
JR側は、作業を作業員の経験則に頼った結果、配管が十分に連結されていなかったと指摘。
現場責任者が作業を監督せず、作業員を退避させるなどの安全管理が不十分だったとし、「目詰まりを早く解消したいという思いが勝り、安全意識が不足していた」とした。
再発防止に向け、同社や元請け、下請けの施工会社社員が機械類の異常発生時のリスクを洗い出し、作業手順書や作業員向けのチェックリストを整えたと説明。
異常時はいったん作業を止め、危険予知活動などを落ち着いて行うことなどを徹底する他、機械を使った訓練を行うとした。
事故は、愛知県春日井市の西尾工区で1日に起きた事故を重く見た長野県の要請を受け、JRが県内工事を一時中断して事故防止策を改めて確認した上で、工事を再開した当日午後に発生。
坂島工区は、昨年11月に作業員1人が軽傷を負った崩落事故に続く2回目の事故だったが、JRは自主的に公表しなかった。
独自に公表した県が「本来はJRが公表すべきだ」と同社に対応を求めていた。
28日も田中次長が「より積極的な公表」を要請したが、新美部長は「必要により、県はじめ関係市町村にも報告してきている」と述べるにとどまった。
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022032801016
3月28日19時22分にYAHOOニュース(共同通信)からは、作業員の経験則に頼り手順が明確になっていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は28日、安全管理体制が不十分だったとする報告書をまとめ、長野県に説明した。
報告書は「作業員の経験則に頼り手順が明確となっていなかった」「責任者が作業を監督していなかった」などと不備を指摘した。
同社は、リスクの洗い出しや安全管理体制の検証をした上で、作業手順をチェックリスト化することなどの安全対策を実施する。
県側は「他の工区で得たノウハウをしっかり共有するなどして全体の安全対策を進めてほしい」と要望した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/87622dde8b753777d5d641070b33391aca8a45ef
2022年3月2日20時55分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
JR東海は2日、愛知県春日井市のリニア中央新幹線の第一中京圏トンネル(西尾工区)の新設工事中に、40代男性作業員が胸の骨が折れるなどのけがを負ったと発表した。
掘削面に吹き付けたコンクリートがはがれ落ちて当たったという。
公表されたリニアのトンネル工事事故は3件目。
JR東海によると、事故は1日午後4時40分ごろ、作業員7人でトンネルの補強作業中に発生した。
けがをしたのは1次下請け「S建設」(東京都)の作業員で、幅2メートル、高さ1メートル、厚み10センチにわたって剥がれ落ちたコンクリートの一部が当たった。
事故を受け、工事は中断し再発防止策を講じるが、リニア全体の工期に「影響はない」(担当者)としている。
工事は大成建設などによる共同企業体が担い、国のガイドラインに沿って作業していたという。
リニアのトンネル工事をめぐっては、昨年10月に岐阜県中津川市の瀬戸トンネルで岩盤が崩落し、作業員2人が死傷。
同11月には長野県豊丘村の伊那山地トンネルで崩落が起き、作業員1人が負傷した。
https://www.asahi.com/articles/ASQ326WJHQ32OIPE014.html
3月2日20時10分に毎日新聞からは、7人の作業員がトンネル天井面にロックボルトを打ち込み補強する作業をしていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、7人の作業員がトンネルの天井面にロックボルトを打ち込み補強する作業をしていたという。
コンクリートはトンネル掘削の際に、露出した地山を保護する目的で吹き付けていたもので、高さ約7・5メートルの地点からはがれ落ちたとみられる。
https://mainichi.jp/articles/20220302/k00/00m/040/306000c
3月2日19時13分にYAHOOニュース(時事ドットコム)からは、作業坑を本線トンネル用に広げる作業を行っていた、負傷した作業員はコンクリートを棒で固定する作業を補助していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社によると、事故は1日午後4時40分ごろ、資機材搬入などのため掘った作業坑を本線トンネル用に広げる作業時に発生。
コンクリートを棒で固定する作業を補助していた作業員の右肩付近に、はがれ落ちたコンクリ片が当たった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f41d6b62cb6eff63a0a7f6bcf8760b9bed3236bf
(2022年3月8日 修正1 ;追記)
2022年3月7日18時30分にYAHOOニュース(Response)からは、削孔した穴に注入するモルタルのホースを移動中に剥がれ落ちたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
斉藤鉄夫国土交通大臣は3月4日に開かれた定例会見で、リニア中央新幹線西尾工区の第一中京圏トンネルで3月1日に発生した負傷事故について、記者の質問に答えた。
第一中京圏トンネルは、愛知県と岐阜県に跨る全長34kmのトンネル。
西尾工区は愛知県春日井市内の約5kmを受け持っていたが、3月1日16時40分頃、地山にロックボルトを打設する作業を行なっていた際、削孔した穴に注入するモルタルのホースを移動中に、吹き付けたコンクリート片が剥がれ落ち、作業員1人が右肩を負傷したという。
リニア中央新幹線の工事現場では、2021年10月に瀬戸トンネル瀬戸工区(岐阜県中津川市)、同年11月に伊那山地トンネル坂島工区(長野県豊丘村)で作業員が死傷しており、JR東海ではこれらの工事を一時中止。
2022年1月には坂島工区が再開したが、その矢先に三度、起きた事故だった。
これについて斉藤大臣は「JR東海は、今回事故が発生した西尾工区を含む山岳トンネルの他の工区について、厚生労働省のガイドラインを遵守した作業が行われていることを確認していました」と述べた上で遺憾の意を示したが、現在、JR東海と労働基準監督署が原因を調査していることもあり、「原因の調査がしっかりと行われ、その結果を踏まえた再発防止策の着実な実施により、このような山岳トンネルでの事故が繰り返されないよう、国土交通省としても適切に対応してまいりたい」とするに留めている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/90a54e941aa1cda0dd2b56fa59e54cc40f2ccfc0
(2022年4月3日 修正1 ;追記)
2022年4月2日5時0分に中日新聞からは、必要以上にコンクリートを厚く吹き付けていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は一日、作業員一人が重傷を負った愛知県春日井市のリニア中央新幹線・西尾(さいお)工区のトンネル工事現場での事故について、原因と対策をまとめた報告書を発表した。
安全対策などを整え、週明け以降に工事を再開する方針。
事故は三月一日、坑口から約一・四キロの本線トンネル内で発生。
吹き付けたコンクリート片が高さ約七メートルからはがれ落ち、一部が四十代の男性作業員に当たって、作業員は肋骨(ろっこつ)を折るなどした。
発破してトンネルを広げる掘削工事中で、JR東海は事故を受け同工区の工事を中断した。
報告書では、露出した地肌を平らにするため必要以上にコンクリートを厚く吹き付けたことなど複数の要因が重なり、はがれ落ちたと分析。
作業面では、原則立ち入り禁止範囲での作業を最小限にすべきだったとして、これらの点を改善して再発防止を図るとした。
この日、JR東海の担当者から説明を受けた大村秀章知事は「再発防止の徹底に努め、細心の注意を払って安全に工事を行うよう改めて強く要請した」などとするコメントを出した。
https://www.chunichi.co.jp/article/445781
4月1日22時25分にYAHOOニュース(名古屋テレビ)からは、作業員が立入禁止の範囲に入って作業していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は、愛知県春日井市のリニア中央新幹線のトンネル工事事故をめぐり、1日、愛知県に再発防止策を報告し、中止した工事を週明け以降再開すると明らかにしました。
県によりますと、JR東海は事故の原因として、吹き付けたコンクリートが厚過ぎたことと、作業員が立ち入り禁止の範囲に入って作業を行ったことを説明しました。
JR東海は、現場での安全対策を徹底し、週明け以降、中止していた工事を再開するとしています。
事故は3月1日、春日井市のリニア中央新幹線第一中京圏トンネルの西尾工区で発生しました。
掘削した場所に吹き付けたコンクリートが剥がれ落ち、40代の男性作業員がろっ骨を折るなどのけがをしました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b307f397530382a0d7bbfcb85dcff3b7cd521a5c
(ブログ者コメント)
なぜ、必要以上に厚くコンクリートを吹き付けていたのだろうか?
その理由が書かれた記事がないか探してみたが、報告書ともども見つからなかった。
ただ、2021年11月8日に起きた豊丘村トンネル工事の肌落ち事故については報告書が公表されていたので、本ブログ内の当該記事に追記しておいた。
2022年2月24日19時25分にNHK新潟から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
柏崎刈羽原子力発電所6号機の施設の地下で鉄筋コンクリート製のくいが損傷していた問題で、東京電力は調査の結果、6号機の建設工事で地盤を強化するために流し込んだセメントを混ぜた土が、くいの周りに残されたままだったと発表しました。
そのため、新潟県中越沖地震の揺れの力がくいの一部に集中的に加わり、損傷した可能性があるとということで、東京電力は他の施設なども調査することにしています。
この問題は、柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋に隣接する「大物搬入建屋」と呼ばれる施設を地中で支える鉄筋コンクリート製のくいにひび割れや鉄筋が折れているのが見つかったものです。
24日、発電所の稲垣所長が会見を開き、原因調査の結果を説明しました。
それによりますと、6号機の建設工事で大型クレーンを支えるため、地盤を強化するためにセメントなどを混ぜた「改良土」と呼ばれる土が使われましたが、この改良土がくいの周りに残されたままでした。
その状態で、平成19年の新潟県中越沖地震の揺れの力がくいの一部に集中的に加わり、損傷した可能性があるということです。
この「改良土」は、工事が終わったあと撤去する必要があるものですが、残されたままだったということです。
24日会見した稲垣所長は、「調査結果をもとにくいの補修の方法を検討するとともに、他の施設についても調査し、少しでも地域のみなさまの安心につなげたい」と述べました。
東京電力は今後、地盤にくいを打ち込んでいるほかの施設や設備でも異常がないか調査することにしています。
(音声情報のみ)
耐震補強工事の中で明らかになった。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20220224/1030020278.html
2月24日23時20分に新潟日報からは、改良土を埋設した企業は改良土を残していることを報告しなかった、その後、杭を打った別企業も地盤が固くなっていることを認識したが報告しなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
一部のくいが、建設工事の残置物と接触した状態のまま施工されたため、地震の揺れの力が一部のくいに集中したと分析した。
東電は今後、くいで支えられた建物のうち主な25施設について、くいに影響を与える物が周辺に埋まっていないか調べる。
6号機の重大事故時に使用する排気設備「フィルター付きベント」の基礎付近でも、ボーリング調査で残置物のようなものが見つかった。
東電は周辺を掘削し、くいへの影響を調べる。
東電によると、残置物はセメントと土を混ぜた「改良土」。
6号機建設中の1992年、大型クレーンを置く地盤を補強するため、原子炉建屋付近に埋められた。
工事後は原則撤去するルールだったが、埋設した企業は、東電に大物搬入建屋周辺に改良土を残したことを報告しなかった。
94〜95年にくいを打った別の企業も、改良土の影響で地盤が硬くなっていることを認識したが、東電に報告しなかった。
大物搬入建屋のくい8本のうち、改良土と接触していた2本は耐震性能に支障が出るほど壊れ、東電は補修が必要と判断した。
最も南東側の1本は、8本のくいが均等に地震の力を受けた場合と比べ、約3倍の力がかかったと試算した。
他にも3本でひび割れが見つかったが、耐震性能に影響はないとしている。
・・・
2月25日10時41分に毎日新聞からは、安全対策工事の一環で地下を掘削中に杭の損傷を確認したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この問題は、6号機原子炉建屋に隣接する「大物搬入建屋」の基礎を支える8本の鉄筋コンクリート製くい(直径1・8メートル)のうち、8番くいの1本が損傷しているのが見つかったもの。
内部には18本の鉄筋(直径3センチ)が通り、7本が破断、11本が変形していた。
東電の調査によると、損傷は建物南東側に隣り合って設置されている8番くいと6番くいの2本に集中していた。
要因について、施工時の写真の確認や関係者への聞き取りを行った結果、8本のくいは基本的に砂からなる軟らかい地盤の中に打ち込まれているが、損傷した2本の周囲では改良土を含む硬い地盤の存在が確認された。
硬い地盤は、1992年の6号機建設時に原子炉などをつるす大型クレーンを固定する地盤補強に使用された改良土の残りであることが判明。
硬い改良土は8番くいを覆い、隣の6番くいにも達しており、2本の損傷は中越沖地震(2007年)の揺れで圧力が集中したためとみられる。
改良土は契約上、発注者の東電が支障なしと認めた場合以外は撤去するルールになっていたが、施工業者からの報告はなかったという。
稲垣所長は会見で、「報告がなかったことは遺憾だが、反省点として、敷地内にある地下残留物を図面に落とし込むなどして施工管理を強化していきたい」と話した。
東電は21年3月から安全対策工事の一環として地下を掘削し、同8月、8番くいの損傷を確認。
他のくいを含め調査していた。
https://mainichi.jp/articles/20220225/k00/00m/040/080000c
2022年1月12日20時19分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
韓国・光州で11日午後、建設中の高層マンションの高層階部分で壁が崩落する事故が起きました。
崩落事故を起こした建設会社をめぐっては、2021年6月にも解体作業中の建物が倒壊し、9人が死亡する事故が起きていました。
韓国・南西部の光州にある高層マンションの外壁が、砂ぼこりを上げながら崩れていく様子をカメラが捉えました。
別のカメラの映像では、「あらまあ」「どうしよう」という声が聞こえ、目の前で大きく崩れる建物をなすすべなく見守っているようでした。
当局の発表によると、1人が軽いケガをしたほか、12日現在も高層階の工事をしていたとみられる作業員6人の安否がわかっていません。
事故の詳しい原因は明らかになっていませんが、韓国メディアは「コンクリートが十分に乾いていない状態で、無理に積み上げたのではないか」との見方を伝えています。
事故を起こした建設会社をめぐっては、2021年6月にも解体作業中の建物が倒壊し、9人が死亡する事故が起きていました。
警察は、会社の工事の進め方に問題がなかったか、捜査を進める方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f77a78c781209a086bc92b11b69a2d2fc643d1f2
1月12日11時10分にYAHOOニュース(中央日報)からは、昨年6月の倒壊事故は計画に従わず工期短縮と費用削減に重点を置いた方式で工事したために起きたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故が発生した建物は、昨年6月9日に死傷者17人を出した鶴洞崩壊惨事現場の施工主だったHDC現代産業開発だ。
「鶴洞惨事」と言われた事故当時、撤去工事中の老朽建物の外壁が崩壊してバス停留場を襲い、これによってバスの乗客9人が亡くなり8人がけがをした。
警察の捜査の結果、建物は解体計画書に従わなかった撤去によって不安定になった構造が、工期短縮と費用削減に重点を置いた工事方式に耐えることができずに崩壊したことが分かった。
当時、鄭HDCグループ会長は直接事故現場を訪れて謝罪と再発防止を約束した。
しかし、わずか7カ月後に大型惨事が再び発生した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e691cb02075cce61edf856a0376dd5f581f97aa2
1月13日7時9分にYAHOOニュース(ハンギョレ新聞)からは、気温が低い中、規定を守らずにコンクリートを打設した可能性とか、上板と壁体の連結固定不足だった可能性があるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故について、冬期の無理なコンクリート打設工事が事故につながったのではないかとの指摘が出ている。
事故当日、強風のためクレーン作業は中止されたにもかかわらず、コンクリート打設作業は氷点下の中で行われていたことが確認された。
12日、国土交通部の「冬期コンクリート構造物品質管理指針」を確認したところ、1日の平均気温が4度以下の気象条件では、必ず保温・給熱措置を取った後にコンクリートを打設することになっている。
コンクリートが凍らないように圧縮強度4メガパスカル以上を確保し、2日間にわたって0度以上の温度を保つ。
コンクリートが十分な硬さを得られるようにするための規定だ。
事故当時、花亭洞周辺の気温は氷点下2.2度だった。
施工会社のHDC現代産業開発は、管轄の西区(ソグ)の区役所に「冬期コンクリート構造物品質管理計画」を提出していたという。
しかし、冬季(12~2月)の工事現場ではコンクリート打設時に「温度を保つための養生」を行わないケースが少なくないという。
群山大学のアン・ホンソプ教授(建築工学科)は、「コンクリートが正常に強度を発現するためには、常温で一定時間が経過しなければならない。低温では強度の発現が遅れるが、今回の事故は、打設した階を支持している下部層のコンクリートの強度が、作業中の上部層の荷重を強風などのために支え切れずに発生した可能性がある」と説明した。
大韓民国産業現場教授団に所属する東新大学のチェ・ミョンギ教授(土木工学科)も、「38階での作業中に外装がコンクリート打設の荷重などに耐え切れず崩壊したか、工期短縮のために冬場にコンクリートが固まらない状態で無理に工事を進めたため事故が起きた可能性がある」と話した。
しかし、現代産業開発は「工期より早く進んでいた状況なので、工期を無理に短縮する必要はなかった。201棟の打設は12日から18日に養生が行われ、必要な強度が確保されていた」と疑惑に反論した。
結局、事故原因究明のカギは、施工社が区役所に提出した「冬期コンクリート構造物品質管理計画」どおりに工事が進められていたかどうかとなる見通しだ。
また、柱の役割を果たす壁体が崩れたのは、上板と壁体がきちんと連結・固定されていなかったためである可能性があり、それに別の手抜き工事が重なって起きた可能性もある。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3fd9d3b770e04f1d7b44f468a5d5300dbd0cc1eb
1月14日13時59分にYAHOOニュース(ハンギョレ新聞)からは、39階の床が凹んでいた映像が崩壊10分前に撮られていたなど、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
13日、本紙が入手した花亭アイパークマンション201棟の39階の床コンクリート打設場面が撮影された2分10秒の映像(2つ)を見ると、崩壊10分前の11日午後3時35分頃、コンクリートを支えている一部の型枠の上部がV字型に変形していた。
その部分に隣接したコンクリートは、えぐられたようにへこんでいた。
この映像は、コンクリート打設をしていた工事関係者が、報告用に撮影したものだという。
映像の中の工事現場は雪がちらつく天候で、黒い覆いで四方が遮られ、床は型枠で区画が分かれている。
コンクリート打設を終えた場所と打設中の場所の高さの差は約50センチほどとみられる。
所々にコンクリートの養生温度を維持するための直六面体の鉄桶がかかっている。
映像の中の労働者たちは中国語などで喋っており、型枠が変形した様子を見てため息をついたりもした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/efcf7cd1b801926075174178d62c8c6a2bb038c4
1月13日放映のテレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」では、韓国では不動産投資への規制が緩和されたためマンションの建設ブームになっているなど、下記趣旨の内容が報じられていた。(JCC情報)
連合ニュースによると、文政権となった2017年以降、マンション価格は高騰し、約2倍にまで上昇している。
不動産投資への規制が緩和され、投機目的の不動産購入が増加したためだ。
こうした状況を打開するため、政府はおよそ250万戸の公共賃貸住宅の供給を掲げている(アジア経済新聞)。
「コリアレポート」編集長・辺真一によると、韓国では今がまさにマンションの建設ブーム。
政府が住宅建設の号令をかけている今、建設会社は価格が落ち着く前に高く売りたいという思惑がある。
今回の外壁崩落事故について現地メディアは、建設会社が工事を急いでいた可能性を指摘。
ソウル新聞は、朝鮮大学の建築の専門家の話として、「冬はコンクリートが固まる時間が普段に比べて2倍から3倍要する、コンクリートが乾かないうちに無理に工事を進めたことが壁の崩落につながった可能性がある」としている。
辺真一は、事故を教訓に韓国すべてのマンション建設を抜本的に見直す可能性は低いと話している。
1月15日9時39分にYAHOOニュース(ハンギョレ)からは、工事初期から手抜き工事だった疑いがあるという下記趣旨の記事が、鉄筋剥き出し状態などの写真付きでネット配信されていた。
工事について、地下階の壁面と柱の複数カ所でコンクリートがはがれ落ち、鉄筋がむき出しになるなど、工事の初期から手抜き工事だったという疑惑が提起された。
14日に本紙が入手した昨年の花亭アイパーク新築工事の内部の写真を見ると、事故が起きた建物である201棟の地下は、壁にコンクリートが満たされておらずスカスカになっていたり、建物を支える柱からコンクリートがはがれ落ちて根元がむき出しになったりしている。
この写真は昨年上半期に花亭アイパーク新築工事に参加した作業員が201棟の地下を撮影したもので、先日崩壊した上層部(23~38階)だけでなく、基礎段階の地下階の工事ですでに問題があった可能性が提起される。
写真を撮影した作業員は手抜き工事の実態を発見し、それを伝えるために資料を周囲に提供したという。
花亭アイパークの近所の自営業パクさん(58)は、「工事に参加していた作業員たちが、『手抜き工事が深刻なところなので、入居したら大変なことになる。周りの人が入居すると言ったら止めろ』と言っていたほど」と語った。
パクさんは、「昨年9月に、地下階の工事の手抜きが深刻なので、このまま放置してはいけないと西区役所に口頭で申し立てたが、措置は取られなかった」と主張した。
専門家は、撮影された通りなら「手抜き工事」だと診断した。
光州大学建築工学科のソン・チャンヨン教授は、「コンクリートが満たされていないが、これだと人間の骨粗しょう症のように、建物内部の骨組みが力を支える構造体の役割をまともに果たしていない。非常に危険な状態」と述べた。
ソン教授は「全体的に施工の品質そのものも低すぎる」とし、「最近はこうした建設現場はないのだが、信じられない水準」と付け加えた。
大韓民国産業現場教授団のチェ・ミョンギ教授も「コンクリートは鉄筋にくっついていなければならないのに、くっついていないのは問題」とし「小規模住宅もこうは建てない。完全に手抜き工事だ」と述べた。
・・・
(2022年3月15日 修正1 ;追記)
2022年3月14日15時48分にYAHOOニュース(中央日報)からは、設計と異なる施工、コンクリートの強度管理不備、施工管理不備などが原因とする公式調査結果が発表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
「総体的な不良によって発生した『人災』と判断されます」。
今年1月に発生した韓国光州(クァンジュ)マンション外壁崩落事故に対する韓国政府の調査結果だ。
工事の任意変更、コンクリート施工品質管理不良、施工管理・監理機能が総体的に不十分だったということだ。
国土交通部現代産業開発マンション崩壊事故建設事故調査委員会は14日、このような内容の公式調査結果を発表した。
国土部は事故直後に建築構造・施工・法律など12人の専門家で構成された調査委員会を設け、2カ月にわたって調査を行った。
キム・ギュヨン委員長〔忠南(チュンナム)大学教授〕は、「調査結果の信頼性確保のために現場調査、関係者からのヒアリング、関連文書の検討だけではなく、材料強度試験、崩壊シミュレーションを実施するなど、綿密に調査を行った」と明らかにした。
まず、施工方法と支持方式が設計図書と違った。
現場で工事を任意変更し、正規の構造安全性検討も行っていなかった。
調査委員会によると、崩壊した棟の最上層部39階の床の施工を一般のスラブ(床板)ではなくデッキスラブに、支持方式を架設支持台(ステージング)からコンクリート仮壁に変更した。
国土部側は「39階と38階間に配管のための空間(ピット層)の高さが低く、仮設支持台の設置が難しいと考え、これを簡単にしようと施工方法と支持方式を任意に変えたことが、結果的に荷重が増やすことになった」と伝えた。
荷重が増えたため、最上層階の下に少なくとも3層で設置されているべき仮設支持台を早く撤去し、その結果、1次崩落が起きた。
キム委員長は、「水平副材の支えがなく、柱とスラブで構成された「無梁板スラブ」に衝撃荷重が加わって連鎖的に崩壊が起き、耐力と強度がある避難安全層(22階)で止まった」と明らかにした。
◆コンクリートの強度「全般的に不合格」
実際に打設されたコンクリートの強度も水準に達していなかった。
事故直後には、冬季の無理な工事によってコンクリートが十分に固まっていなかったのではないかという指摘が多かった。
実際に調査委員会が現場から採取したコンクリートの強度をテストした結果、設計基準の強度に比べて60%前後しかなかった。
キム委員長は、「全般的に不合格と評価した」として、「同じコンクリートといえないほど、コンクリート搬入時の標本を採取したものと実際に打設されたコンクリートの強度には非常に大きな違いがあった」と明らかにした。
工事の管理もめちゃくちゃだった。
施工過程を確認して崩壊の危険を遮断しなければならない監理者の役割が不足していた。
工事をする際に、設計者と建築構造技術士が5階ごとに安全性検討をしておらず、施工主と監理者は構造設計変更事項に対して十分に確認していなかった。
品質確認のための試験評価も形式的なものだった。
キム委員長は、「今回の事故原因は、総体的な不良で発生した人災だと判断することができる」とし、「最終報告書は、今まで分析された調査結果などをまとめ、細部的な事項を補完し、約3週後に国土交通部に提出する予定」と付け加えた。
調査委員会は再発防止のために
▼制度履行強化
▼現監理制度の改善
▼資材・品質管理の改善
▼下請制度の改善
などを提示した。
国土部のキム・ヨングク技術安全政策官は、「調査委員会で明らかになった原因調査結果に基づき、違法事項に対しては関係機関に厳正な措置を求め、再発防止対策も早急に用意して、類似の事故が再発しないようにする計画」と明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ff7321594c8dcd88b5b7c73c4576d59b875b9dcf
2021年12月16日20時55分に朝日新聞から下記趣旨の記事が、4枚の写真付きでネット配信されていた。
16日午前10時35分ごろ、大阪府守口市佐太中町2丁目の大庭浄水場から、「トンネル掘削中に作業員3人が取り残された」と119番通報があった。
大阪府警などによると、地下24メートル地点にあるトンネル内に地下水が流入したとみられ、午後8時現在、トンネル内に閉じ込められている男性作業員(25)の救助活動が続いているという。
他の男性作業員2人は自力で脱出し、病院に搬送されたが、大きなけがはないという。
浄水場を管理する大阪広域水道企業団や府警守口署によると、同浄水場と約1キロ離れた庭窪浄水場を地下の水道管でつなぐために、トンネルを掘削する工事中だった。
救助中の男性は、大庭浄水場の入り口から約960メートル地点のトンネルの先端部で作業をしていたとみられる。
トンネルは直径1・1メートルで、地下約24メートル地点にある。
淀川に沿うように延伸していたという。
【トンネルの奥、呼びかけに応答する声】
守口市門真市消防組合によると、救助隊がトンネルに入り、16日午後7時15分ごろにトンネルの奥に呼びかけると、応答する声が聞こえたという。
https://www.asahi.com/articles/ASPDJ5H7FPDJPTIL01Z.html
12月17日7時22分にNHK関西からは、水は直径1.2mの穴の高さ1mまで達していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察と消防によりますと、水につかった穴は直径およそ1.2メートルで、深さ30メートルほどにあり、横方向に伸びていて、水は16日昼の時点では高さ1メートルほどに達していたということです。
消防が排水作業を進めたところ、水は16日夜の段階で数センチまでひき、その後、土砂を取り除き掘り進めたところ、作業員と会話ができる状態になったということです。
消防によりますと、狭いスペースの中で周辺の土砂を取り除く必要があるということで、慎重に救助活動が進められています。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20211217/2000055239.html
12月17日14時10分に読売新聞からも同趣旨の記事が、取り残されている状況の解説図付きでネット配信されていた。(記事は転載省略)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211217-OYT1T50087/
12月17日19時15分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、シールドマシン内にいた作業員が取り残されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故は、発生から32時間が経過しています。
16日午前9時半ごろ、作業員3人が水道管の設置工事のため、地下にトンネルを掘り進めていたところ、突然、水と土砂が入ってきたということです。
30代と40代の男性は自力で脱出しましたが、シールドマシンという地中を掘り進める機械の中にいた25歳の男性が、逃げ遅れました。
作業していたトンネルは、直径がおよそ1.2メートル。
地下30メートルの地点で、1キロほど掘り進めたところでした。
消防の救助隊がトンネル内の水や土砂を排出し、16日午後7時すぎ、作業員に呼びかけると、「足首から先がしびれている。何か物に挟まれてはいない」と、しっかりした声で応答があったということです。
17日午前10時すぎにも呼びかけに応じていて、救助隊は午後4時時点で、男性まで10メートルほどのところまでたどり着いていますが、土砂を取り除く作業が続いているといいます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e79e5808140ca014f781abba1a2ac9e8173e34e6
12月18日20時0分に朝日新聞からは、47時間後に無事救出されたなど下記趣旨の記事が、閉じ込められた状況の図解付きでネット配信されていた。
取り残されていた男性作業員(25)が18日、救出された。
直径わずか1メートル余りの空間に約47時間にわたって閉じ込められたが、意識ははっきりしているという。
トンネルは、浄水場の地下約30メートルからシールドマシンで掘っていた。
横穴を掘り進めながらトンネルの壁をつくれる装置だ。
府警や守口市門真市消防組合などによると、16日午前9時半ごろ、起点の浄水場下から約960メートル進んだところで水がトンネル内に流入した。
先端部分で作業をしていた男性は、背後にあるトロッコが土砂で動かなくなり、退路を塞がれた。
トンネルの直径は約1・1メートル。
立ち上がることもできない。
一時は肩のあたりまで泥水につかり、何とか呼吸できる状態だったとみられる。
ただ、トンネルは上向きに傾斜をつけて掘り進められていたため、男性がいた先端部は水がたまりにくかった。
半日後の16日夜には排水作業が終わり、救助隊員が呼びかけると、トンネルの奥から男性が応じる声が聞こえたという。
救助隊員らは手作業でトロッコの周りにあった土砂をかき出し、まる一日以上たった17日午後1時ごろ、男性の所まで通じるわずかな空間を確保。
そこから飲み物やゼリー状の補給食、さらに防寒用のシートを、棒を使って届けた。
救助隊員の呼びかけに対し、男性は座った状態で「寒さはもう大丈夫」などと答えたという。
男性の健康状態を確認できた後は、周囲の土砂がさらに流出しないよう薬品を使って固めるなど、救助活動は慎重に進められた。
18日午前8時20分、隙間を広げて男性を救い出した。
男性は病院へ搬送され、経過観察のため入院したが、自分で歩ける状態だという。
https://www.asahi.com/articles/ASPDL6FTRPDLPTIL01J.html
12月18日10時57分にNHK関西からは、穴の中は比較的暖かかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
男性は穴の先端から900メートルほど入った場所で見つかり、当初から救助隊とは継続的に会話できていたということです。
また、穴の中は15度から20度と、比較的、暖かかったほか、土砂の隙間から棒を差し込み、食べ物を届けることができたということです。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20211218/2000055373.html
(2024年8月10日 修正1 ;追記)
2024年8月10日14時25分に読売新聞からは、1週間ほど前から止水できない不具合が複数回発生していたのに防止措置をとらなかったとして4人が書類送検された、閉じ込められた作業員はPTSDを発症していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪府守口市で2021年、掘削工事中のトンネルに作業員が2日間取り残された事故で、防止措置を怠って作業員に心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを発症させたとして、府警は9日、元請けの建設会社「O建設」(大阪市生野区)の作業所長、八田容疑者(51)ら男4人(50~55歳)を業務上過失傷害容疑で書類送検した。
いずれも容疑を認めているという。
事故は同年12月16日午前9時頃、守口市の大庭浄水場地下にあるトンネルで発生。
配水管を通す掘削工事中に突然、水や土砂があふれ出し、20歳代の作業員男性1人が地下約28メートルに取り残され、約47時間後に救出された。
発表では、4人は現場責任者らで、12月10日頃から止水できない不具合が複数回発生し、事故の危険性を予見できたのに防止措置を取らずに工事を継続。
同月16~18日、男性を現場に閉じ込め、PTSDなどにさせた疑い。
府警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240810-OYT1T50034/
8月9日15時45分にABCテレビ)からは、掘削機械から水や土砂が飛び出すなどの異常事態が起きていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2021年12月16日朝、守口市内の地下に約970メートルの配水管を設置する工事で、トンネルの掘削作業中に機械から土砂や地下水が流出。
土砂運搬のためのトロッコが動かなくなり、男性作業員(20代)が直径約1.1メートルのトンネル内に閉じ込められる事故がありました。
男性は47時間後に救助されました。
警察によりますと、事故の1週間ほど前から、掘削作業中の機械から水や土砂が飛び出すなどの異常事態が複数回にわたって確認されていました。
警察は、こうした異常事態の報告を受けて、事故が起きる可能性を認識しながら安全対策をとらなかったとして、9日、工事責任者で元請け会社の男性ら4人を業務上過失傷害の疑いで書類送検しました。
全員が容疑を認めており、警察は、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたということです。
男性作業員は4次下請けの一人親方で、事故後、全治110日ほどの心的外傷後ストレス障害になったということです。
https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_27095.html
2021年11月23日6時31分にYAHOOニュース(東洋経済)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
約100年前の「丹那トンネル」工事が、南アルプスリニアトンネル工事に対する深刻な懸念の実例だと、川勝平太静岡県知事は10月26日の会見で紹介した。
詳しい説明をした県担当者は、当時の函南町長の言葉を引用して、丹那トンネル工事による大量湧水の流出を踏まえ、「リニア工事中に失われた水は戻らない」などの結論にした。
背景には、リニア工事中の山梨県外への水流出について、知事は「水1滴も県外流出は不許可」の姿勢を崩さないことにある。
「工事中の人命安全確保」を優先するJR東海に対して、「トンネル湧水の全量戻しが当然」の論拠として「丹那トンネル」を持ち出したのだ。
ところが、丹那トンネル工事に関する当時の資料を確認すると、県担当者は事実を故意に貼りあわせ、印象操作を行ったことがわかった。
「トンネル湧水の全量戻しが当然」(川勝知事)を後押しするための“事実歪曲”だが、決して許されることではないだろう。
【突発湧水の危険性】
静岡、山梨県境付近は大規模な断層による約800mもの破砕帯があり、突発湧水によるトンネル工事の危険性が指摘される。
県境付近の工事について、JR東海はトンネル掘削をする際、静岡県側から下向きに掘削していくと、突発湧水が起きた場合、水没の可能性が高く、作業員の安全確保が図れないため、山梨県側から上向きに掘削する工法を会議で説明した。
ただ、「上向き工法」の場合、工事期間中の約10カ月間に300立方mから500万立方mの水が山梨県側へ流出することになる。
リニア工事による大井川中下流域への水環境をテーマに、国の有識者会議は2年近くの議論を重ね、JR東海がトンネル湧水全量を大井川に戻すことで、工事中の山梨県側への流出期間を含めて、「中下流域の表流水への影響はほぼなし」、また、中下流域の地下水の涵養源は近隣の降雨と表流水であり、「中下流域の地下水への影響はほぼなし」などの中間報告案を委員全員が了承、次回の有識者会議で結論がまとまる予定だった。
有識者会議の結論に対して、川勝知事は「トンネル湧水の全量戻しがJR東海との約束であり、全量戻しをできないのであれば、工事中止が約束」などと、会議の議論そのものを否定した。
工事期間中でも水1滴の県外への流出は許可できない立場を崩さず、“命の水”を1滴でも戻すことができないのであれば、リニア工事は中止あるいはルート変更が必要と要求していた。
これに対して、有識者会議は、JR東海の対策による中下流域の表流水、地下水への影響があるのかどうかを議論の中心としてきた。
中下流域の表流水への影響はないとして、工事中の山梨県側からの上向き工法は容認した一方、知事の求める「全量戻し」についても、JR東海に指示した。
この結果、工事完了後、山梨県内のトンネル湧水をポンプアップして、山梨県側へ流出した300万立方mから500万立方mを静岡県側へ戻す提案をJR東海は行った。
時間はかかるが、これでも、知事の求める「湧水の全量戻し」には違いない。
JR東海によれば、人命安全を確保するために機械による無人化工法の検討を行ったが、現在の技術レベルでは、作業員の立ち合いを避けることはできず、また、突発湧水の予見は非常に難しいという。
【丹那トンネル工事の「真実」とは】
10月29日、リニア工事で初めての死亡事故となった、岐阜県瀬戸トンネル事故でも、専門家は「作業員が現場にいる状況は避けられず、このような事故が発生するリスクは必ず存在する」と指摘した。
どう考えても、「人命の安全確保」が優先されるべきだが、静岡県は「失われた水は戻らない」として、「工事中のトンネル湧水全量戻し」を強硬に主張、その論拠に「世紀の難工事」丹那トンネルの事例を挙げた。
県担当者は、『丹那隧道工事誌渇水篇』(鉄道省熱海建設事務所編、1936年)を調べたところ、トンネル工事中に丹那盆地の湧水枯渇66カ所、地下水位がトンネル付近の130mまで低下、想定外の突発湧水があり、流出した水量は芦ノ湖3杯分の6億立方mに及ぶなどと説明した。
県担当者は、『丹那トンネル開通・函南駅開業50周年記念誌』(1984年)を引用、「多くの人は、水は再び復すると期待していた。失った水は戻らない。お金で解決せず、(トンネル)湧水をポンプアップして丹那に戻す方法を講ずべきだった」という、当時の函南町長の言葉を紹介した。
まるで、函南町長の言葉は、現在のリニア工事への懸念をそのまま表現したかのようだった。
ところが、同記念誌をあらためて確認すると、当時の函南町長が「丹那盆地」の永久に失った水と問題にしたのは、工事期間中に流出した芦ノ湖3杯分の6億立方mのことではなく、トンネル工事後、50年たっても依然としてトンネル内に流れ出ていた湧水10万トン(日量)のことだった。
本来なら、丹那盆地に湧き出る10万トンはトンネル内の湧水となり、熱海側に流れ出る4万トンは行政区域の違いで手の出しようがないが、函南町内の丹那トンネル「西口」の田方平野に流れ出ている6万トンをポンプアップして丹那盆地へ戻す方策もあった。
函南町長の「永久に失った水」が工事後の湧水であるならば、リニア南アルプストンネル工事の場合、トンネル内の湧水全量をポンプアップして導水路トンネルを使って、大井川に戻す方策をJR東海が示している。
もし、現在ならば、函南町長が“後悔の念”を抱くことはなかっただろう。
それなのに、県担当者は「50年後の県民が後悔しないようJR東海と対話を尽くしたい」などと述べ、函南町長の言葉を、工事中の湧水流出に対応するような結論に使った。
「失われた水は戻らない」として、県担当者は「『トンネル湧水の全量戻し』は当然」などと述べたが、工事中と工事後では意味合いが全く違う。
これでは、故意に事実を歪めていることになる。
丹那トンネルの場合、掘削前に東京帝大地質学教授ら著名な専門家に地質調査を依頼したが、「盆地の下部は硬い岩で工事に気に掛けることはない」、「地質構造上危険な恐れなし」と断定。
当時は、実際の活断層や温泉余土という特殊な地質を明らかにできなかった。
そもそも、工事は水を抜くことが目的であり、水抜きトンネルの総延長は丹那トンネルの約2倍にも達している。
丹那盆地の渇水の主な原因は、温泉と粘土の混じった温泉余土を取り除いてしまったことである。
温泉余土は粘土の一種で水を通さない。
盆地東側の滝知山(649m)周辺に温泉余土が広がり、西側の丹那盆地では豊富な湧水に恵まれていた。
温泉余土が、その地下水を遮る役割をしていたのに、トンネルを掘り抜くことで、巨大な貯水池に横穴を開けてしまい、すべての湧水がトンネル内に流出してしまった。
温泉余土という特殊な地質を解明できず、芦ノ湖3杯分の6億立方mもの湧水が流出したのである。
【丹那トンネルの「教訓」とは?】
県担当者は、16年の歳月を掛け、1934年に完成した「丹那トンネル」と並行する、東海道新幹線「新丹那トンネル」について、全く言及しなかった。
1964年の東京オリンピック開会に間に合わせるよう、4年5カ月という短い工期で新丹那トンネルを完成させたのは、丹那トンネルの経験を生かし、また最新の地質調査、掘削技術によるものだった。
何よりも、丹那トンネルの「悲劇」は、3度の大事故が起こり、67人の犠牲者(公式発表)、その後の調査で112人の犠牲者が判明していることだ。
リニア南アルプス工事で、静岡県内の犠牲者を1人も出すべきではないことのほうが、「丹那トンネルの教訓」となるだろう。
静岡県は、丹那トンネル工事による渇水状況を題材に、学校などを対象に出前講座などを開くとしている。
「『トンネル湧水の全量戻し』は当然」などとする資料だけでは、「丹那トンネルの教訓」を伝えることにはならないだろう。
静岡県は10月18日、有識者会議の結論のとりまとめに疑念や懸念があるとする意見書を国交省に送った。
この文書では「全量戻し」の認識が、「県民の理解を得られない」などと記している。
国、JR東海は、「県民の理解を得る」ためには、正確な情報を伝えるべきだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3c27477c2e84e5c67f070f279fe0c86290c44a66
(ブログ者コメント)
これまで、静岡県知事がなぜ、頑なに反対しているのか分からなかったが、今回の報道が正だとすれば、反対のための反対なのかな?・・・という気もした。
ちなみに、この知事、御殿場市コシヒカリ発言が問題になり、今月24日、御殿場市民が出した辞職請願が県議会で可決されたが、その後、当の御殿場市長は、政治問題にすべきではないとコメントしている。
なにはともあれ、工事安全が最優先だ。
2021年11月8日23時10分に毎日新聞から下記趣旨の記事が、左半分が崩落したという説明書きのある現場写真付きでネット配信されていた。
JR東海は8日、長野県豊丘村のリニア中央新幹線「伊那山地トンネル」の工事現場で土砂が崩れ、50代の男性作業員が右足を負傷したと発表した。
リニアのトンネル工事では、10月27日に岐阜県中津川市で作業員2人が死傷する崩落事故が起きたばかり
同社によると、8日午前8時20分ごろ、伊那山地トンネル本体を造るための作業用トンネル内(地上入り口から200メートル付近)で、掘削面から5立方メートル(約10トン)の土砂が崩れた。
当時、トンネル内には男性作業員を含む8人がおり、岩盤を爆破する火薬を仕掛ける作業をしていた。
作業員の一人が、掘削面に吹き付けたコンクリートのひび割れが大きくなっている異常に気付いて退避中、崩落が発生し、男性作業員の右足に土砂が当たって軽いけがをしたという。
詳しい事故原因は調査中だが、爆破後の崩落だった前回と違い、今回はコンクリートを吹き付けた掘削面が爆破前に自然に崩落したという。
同社は「国のガイドラインを順守して作業していた」と説明し、安全確認がとれるまで同工区の工事を中断する。
他の工区でも同社の社員が現場に立ち会い、指導徹底を図る。
同社は「原因を調査し、再発防止に努める」とコメントした。
https://mainichi.jp/articles/20211108/k00/00m/040/195000c
11月8日18時10分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、肌落ちが起きた、事前に異常に気付いたのは作業責任者だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
リニア中央新幹線の伊那山地トンネル内で8日、“肌落ち”と呼ばれる、一部の土砂が落下する事態が起きました。
作業中に監視責任者が異常に気づき、退避していたところ、作業員1人の右脚ふくらはぎに土砂の一部が当たり、軽傷だということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/353b408187bd7948ddbb17f19a804655331f7c7e
11月8日21時23分に読売新聞からは、肌落ちの規模に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トンネル内の壁面が高さ約5メートル、幅約6メートル、厚さ20~50センチにわたって崩れ落ちた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211108-OYT1T50162/
11月8日17時50分に朝日新聞からは、負傷の詳細ならびに中津川での事故を受け中断していた工事を今月1日に再開したばかりだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
本線につながる作業用トンネル(斜坑)の入り口から200メートル付近で事故が発生した。
トンネル先端を爆破するために作業員が爆薬を詰める作業をしていたところ、別の作業員が斜坑内の異変に気づき、逃げるように指示。
先端にいた作業員が退避中、崩れてきた土砂が当たった。
工事会社の車で病院に搬送され、右足ふくらはぎの筋肉の炎症と診断された。
中津川市での事故を受けて、現場では安全対策を確認し、1日から作業を再開していた。
当時、トンネル内では8人が作業中で、厚生労働省の安全のためのガイドラインは守られていたという。
https://www.asahi.com/articles/ASPC85V6HPC8OIPE01F.html
11月9日20時24分にYAHOOニュース(信越放送)からは、肌落ちは通常現象、今回の現場付近には沢山の断層が走っているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
リニア中央新幹線のトンネル工事で相次いだ事故。
現場の地質や工事を続けていく上での注意点を、地質の専門家に聞きました。
地質学を専門とする信州大学の大塚勉特任教授は、今回の「肌落ち」という現象について、こう説明します。
信州大学・大塚勉特任教授/地域防災減災センター:
「トンネルを掘っていくときに、切り刃で岩石を露出していくわけですね。 岩石が崩れやすかったりもろかったりするとそれが崩れる、そういった現象、通常起こる現象なんですけれども、それを肌落ちと呼んでいます。 しっかりした岩盤、固ければ当然そういったことが起きにくいですし、何らかの原因で柔らかくなってる、あるいは元々の柔らかい地質であれば、そういった現象が起こるのではないかと考えられます」。
今回「肌落ち」が起きた原因については、「現場を見ていないため断定はできない」とした上で、近くには断層がいくつも走っていると指摘します。
大塚特任教授:
「今回の坑口はこのあたりですね。 ここに既存の地質図でも黒い線がたくさん引かれていますけれども、これが地質調査の結果、断層が走っているとされている場所なんですね。 ひょっとしたら断層の影響があって崩れやすい状況に差し掛かっていた可能性もあると思っています」。
大塚特任教授は、今後、安全に工事を続けていくためには、地質の特徴を十分に把握することが必要と話します。
大塚特任教授:
「地質構造に垂直、断層に垂直に掘るときは、次々といろいろな断層にあたる。 断層があると、周りの岩石がその断層運動によって砕かれて破砕帯と呼ばれるもろい地帯を形成します。 地質の特徴を十分予測しながら、掘削していく必要があるのではないでしょうか」。
https://news.yahoo.co.jp/articles/386b753d4160cf87bdc3878d8c398a8eb39dfe46
(2022年4月3日 修正1 ;追記)
2022年1月18日付で事故報告書(全36ページ)が公表されていた。
ブログ者が主要と感じた記述は以下のとおり。
・・・
3-2 切羽の状況
3-2-1 切羽観察 (11ページ)
「4」(※肌落ち発生箇所)での切羽観察でも「1」と同様に、閃緑岩と泥質片麻岩の互層が現れていることが確認され、泥質片麻岩が鏡面の大半を占めていた。
岩石強度は岩片を手に持ってハンマーでたたくと割れる程度であった(図3-4)。
・・・
4.肌落ち災害の発生状況について
8:15~ 8:17 切羽観察 (17ページ)
鏡面から約8m離れた地点から鏡吹付コンクリートにひび割れや剥離が発生していないかを観察。
この時点でも吹付コン クリートにひび割れ等の変状は見られなかったと証言を得ているが、上半上部の観察が十分に行われていなかった可能性がある。
8:17 装薬作業開始
8:20ごろ 変状発見
作業員Aが頂部へ移動する際、鏡面左上において削孔穴を結ぶ形で直線状に入ったひび割れ(幅:約1cm、長さ:約50 cm)を発見し、大声で他の作業員へ危険を知らせた。
作業員Aがひび割れを発見するのとほぼ同時に切羽監視責任者が小片の落下を確認。
切羽の異常を認め大声で作業員に対し退避 16 指示を出した。
作業員Aがひび割れを確認してから2~3秒で肌落ちが発生した。
なお、ひび割れについては削孔穴を結ぶ形で直線状に入っていたので、削孔後に生じたものと考えら れる。
退避
作業員A及び切羽監視責任者の退避合図を受け、ベンチ上にいた作業員C,D,Eは退避行動を開始。
鏡面向かって中央及び右側にいた作業員D,Eは退避を完了した。
鏡面向かって左側にいた作業員Cについては、退避行動中に肌落ちした岩片が当たった(図4-2、図4-3)。
・・・
4-3 肌落ち発生の原因と肌落ちが労災につながった原因について
4-3-1 各作業工程における要因抽出 (21ページ)
鏡吹付コンクリートの厚さについてはコンクリート総使用量で必要厚さを管理しているが、吹付機のオペレータの目視のみで鏡吹付コンクリートの仕上がりを確認していたため、施工時に一部ムラが生じ、 必要な厚さが確保されなかった。(推定)
・・・
5.対策について
・・・
5-2 肌落ちの推定要因に対する施工業者への指導 (26ページ)
〇鏡吹付コンクリートの施工管理
今後は吹付機のオペレータに加え、ずい道等の掘削等作業主任者等、経験年数の豊富な作業員を指名し、仕上がり状態の確認を行う。
また2日以上の休工を伴う週末や長期休工の際には、鏡吹付コンクリートの厚さを基準値より厚くする。
・・・
https://www.pref.nagano.lg.jp/linear-shin/documents/220118report.pdf
(ブログ者コメント)
2022年3月1日にも春日井市のリニア新幹線トンネル工事現場で吹付けたコンクリートが剥がれ落ち1名が負傷する事故が起きている。
そして、その原因は「コンクリートを必要以上に厚く吹き付けていたこと」と報じられた。(本ブログで紹介スミ)
そのこともあって、上記の報告書抜粋は、コンクリート吹付けに関する記述を中心に行った。
2021年10月10日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11980/
(2021年11月10日 修正1)
2021年11月3日10時7分にNHK和歌山からは、パイプ状の「つり材」の内部に水が入って腐食した可能性ありという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市は調査委員会を設置して原因を調べていて、これまでの調査で、橋のアーチと水道管をつなぐ「つり材」と呼ばれる部材の内部に水がたまっていた可能性があることがわかりました。
国土交通省が設置したカメラの映像では、崩落の瞬間、「つり材」の付近から水が噴き出ているように見えます。
和歌山市によりますと、「つり材」は鉄製のパイプのような形状で、本来は水は入らないということですが、何らかの原因で雨水などがたまり腐食が進んだ可能性もあるとみて、今後、崩落した部分を川から引きあげて詳しく調べることにしています。
和歌山市の調査委員会のメンバーで、和歌山大学システム工学部の江種伸之教授は、「水が噴出しているのであれば、アーチ部分のどこかに雨水などが入ってたまっていたとしか考えられない。崩落した部材の腐食状況を調べ、原因を特定したい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20211103/2040009895.html
(2022年2月3日 修正2 ;追記)
2022年2月1日19時40分に産経新聞からは、つり剤18本のうち10本が腐食破断していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市は1日、有識者らでつくる調査委員会を開催した。
市の担当者は、崩落部分などを調査した結果、橋下部の水道管をつり下げていた「つり材」18本中、10本が破断し、いずれも腐食していたと報告した。
また、橋全体の鋼材のさびを防止するための塗装も、平成5年以降、30年間近く未実施だったとした。
ただ、つり材の腐食の原因について市の担当者は、塗装の未実施以外にも鳥の糞害や潮風の塩害など「複数の要因が考えられる」と説明した。
市の担当者は、つり材18本中10本で確認された破断について、崩落前に破断していた本数と崩落後の衝撃で破断した本数の内訳は不明とした上で、いずれも破断部分が腐食していたとした。
想定される橋の崩落の過程についても説明。
まず、崩落前に数本のつり材が破断し、つり下げていた水道管の中心部の装置「空気弁」に負荷がかかり、さらに破断の本数が増加。
最終的にアーチの上部も引きずられて崩落したとした。
会合にオンラインで出席した江種(えぐさ)伸之・和歌山大学システム工学部教授は、「本復旧後は、ひとつの水管橋で新旧の部材が混じるため、メンテナンス方法も詳細に決めておく必要がある」と指摘。
鍬田泰子・神戸大学大学院工学研究科准教授は、「水管橋の構造物全体のバランスを考えた上で改修を進めてほしい」と要望した。
https://www.sankei.com/article/20220201-OW4ILVC34JICVGM6WP6TO3VDXI/
2月2日12時15分に毎日新聞からは、1980年(昭和55年)の風対策工事時に補強した鉄材との接続部分で破断と腐食が見つかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
※橋の建設は昭和50年。
市によると、橋は7区間ごと、水道管とアーチを計18本のつり材がつなぐ構造。
1980年に行われた風対策工事では、つり材のうち、区間の10本を筋交いのような鉄材で補強したが、今回落下した1区間では、10本全てに、後付けした鉄材との接続部分で破断と腐食が見つかったという。
市が行ったシミュレーションでは、つり材が4カ所以上破断すると、その区間が崩落する可能性があるという。
市は今後、腐食や落橋のメカニズムの解明を進め、年度内に第3回会合を開いて報告し、専門家の見解を求める方針。
https://mainichi.jp/articles/20220202/k00/00m/040/065000c
(2022年5月22日 修正3 ;追記)
2022年5月19日11時53分にNHK和歌山からは、2本の送水管のうち1本が復旧し送水を再開したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
和歌山市は、応急の対策として、近くの橋に仮設の水道管を設置して送水を行ってきましたが、去年11月から続けてきた本格的な復旧工事の結果、2本ある送水管のうち1本の工事が終わり、19日、水道用の橋での送水を再開しました。
市によりますと、事前に試験的な送水や水質検査を実施していたため、これまでのところトラブルの情報は入っていないということです。
また、もう1本の送水管についても、来月(6月)中旬をめどに復旧工事が完了する予定で、市は、その後、仮設の水道管を撤去し、水道用の橋の利用を本格的に再開することにしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20220519/2040011498.html
5月20日19時44分に産経新聞からは、鳥の糞害や塩害、塗装更新の遅れ、点検方法の不備など複数の要因が重なって崩落したとする調査結果がまとまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
有識者らでつくる市の調査委員会は20日、崩落要因などの調査結果をまとめた。
崩落の原因として、鳥の糞害や塩害、塗装更新の遅れなど「複数の要因」を指摘。
補強のため事後に取り付けた斜材などの部材が風などで振動を起こすなどして「腐食が進んだ」と結論づけた。
調査結果によると、崩落したアーチでは、つり材18本中9本が腐食し、破断していた。
橋のある場所は紀の川河口から約7キロと海に近く、日常的に海鳥が飛んできて止まったり潮風を浴びたりしていたことを踏まえ、崩落の要因として鳥の糞や潮風などによる腐食を指摘。
また平成5年を最後にさび止めの全塗装をしていなかったなど、「複数の要因」を挙げた。
橋を現地調査した結果、大量の鳥の糞に覆われていたことも確認した。
さらに橋では、補強のため昭和55年までに鋼材の「斜材」や「水平材」を事後的に取り付け、後に一部交換もしていたが、接続部が長年、風雨にさらされて振動などを繰り返した影響などで「腐食が進んだ」と結論づけた。
会合では、これまでの市の点検方法について、水道管部分に漏水がないか確認する目視などに限られていた問題点も改めて委員から指摘された。
委員の江種(えぐさ)伸之・和歌山大学システム工学部教授は、「構造物はいずれ壊れるという視点が重要。水道管の漏水だけに注視しすぎて目が行き届いていなかった。(つり材なども含めた)俯瞰(ふかん)的な管理が必要」と提言した。
調査委は今回の調査結果を踏まえ、今後、最終報告を取りまとめる。
市側は今後、点検に小型無人機「ドローン」を活用するなどの改善策を報告した。
https://www.sankei.com/article/20220520-QL2CF6JNVBMHJE5DOATUDCPDUU/
5月21日10時34分に毎日新聞からは、突起物でうまく塗装できなかった部分に鳥の糞などがつき錆発生が促進されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
アーチ部分と水道管をつなぐ橋の「つり材」計18本のうち、9本に破断があり、このうちの7本は2カ所破断があったという。
また、水管橋は塗装により腐食対策をしていたが、突起物でうまく塗装できていない部分に、鳥のフンなどが付き、さびの発生が促進されたとの報告もあった。
(2022年9月4日 修正4 ;追記)
2022年9月2日7時0分に毎日新聞からは、水道橋周辺には餌場もあってカワウの大規模なねぐらになっているなど、下記趣旨の記事が、カワウのフンで真っ白になった橋脚などの写真付きでネット配信されていた。
水色に塗られた水管橋のアーチは、以前からカワウの群れで黒く染まっていた。
2021年10月、和歌山市の紀の川に架かる六十谷(むそた)水管橋(全長約550メートル)が崩落し、大規模な断水を引き起こした問題で、市の調査委員会は22年5月、衝撃の崩落原因を明らかにした。
アーチと水管橋をつなぐ鋼鉄製のつり材が鳥のふんや雨水の作用で腐食し、崩落につながったというのだ。
県によると、県内にはカワウの大規模なねぐらが10カ所程度あり、水管橋周辺は有数の規模という。
調べてみると、一帯の環境はカワウにとって楽園だった――。
【驚きの崩落メカニズム】
水管橋は浄水場から市北部へ水道水を送る唯一のルートで、崩落から仮復旧までの1週間、市の人口の3分の1にあたる約6万世帯(約13万8000人)が断水、市民生活に大きな影響を与えた。
建築工学や水道の専門家らでつくる市の調査委員会が示した崩落のメカニズムはこうだ。
風などによる振動でつり材に物理的な損傷が生じ、塗装の劣化部分に鳥のふんや雨水が高濃度に堆積(たいせき)してさびの発生が促進、維持管理の不備も重なって18本のつり材のうち9本が破断した。
その結果、水管橋全体が大きく変形、アーチや水道管部分にも破断やたわみが連鎖し、崩れ落ちた。
「ふんの影響は当然あると思った」。
日本野鳥の会和歌山県支部の中川支部長(74)は、崩落直後から「カワウ関与説」を唱えていた。
中川さんによると、水管橋付近は少なくとも10年以上前からカワウのねぐらとなっており、近年は約200羽がすみ着いていた。
日中は餌を求めて離れるが、夕方になるとアーチ部分に集まり、水道管には白いふんの跡が散見されたという。
1級建築士でもある中川さんは、「ふんで金属が劣化するのは当然の話。原因は複合的で、ふんだけではないと思うが、定期点検などでしっかり管理していれば事故は防げたはず」と指摘する。
【敵もなく餌も豊富】
同支部や和歌山県によると、カワウは人や車の通りが少ない場所を好んでねぐらにする。
水管橋は点検時以外は人が近寄らず、付近は禁猟区のためハンターに狙われることもない。
さらに、水管橋の300メートル下流には、03年に本体工事が完了した「紀の川大堰(おおぜき)」がある。
堰の上流域には魚が比較的多く集まり、捕獲しやすい。
魚をえり好みしないカワウにとって、水管橋付近は絶好の狩猟場であり、安住の地だったのだ。
関西全域でカワウの生息動向を調査している関西広域連合によると、21年夏は6府県で過去10年で最多となる計2万8486羽が確認された。
県内では近年、冬に約2200羽、春先は約1200羽が確認されている。
カワウは餌を求めて季節移動を繰り返す。
国内有数の繁殖地・琵琶湖(滋賀県)で夏を過ごした集団は、冬になると中部地方や関東地方をはじめ各地へ移動。
冬場に和歌山で増えるのは、琵琶湖を離れた一部が南下すると考えられるという。
【ふん害に漁業被害、枯死も】
カワウは大食いでも知られ、アユなど川魚の捕食被害が全国で問題化している。
体重2キロほどにもかかわらず、1日300~500グラムの魚を食べるカワウは、放流されたばかりで川に慣れていないアユの稚魚を狙う。
紀ノ川漁協(和歌山県紀の川市)では、アユ釣りの解禁前に毎年5000~1万5000キロの稚魚を放流しているが、漁協で30年以上働く和田さん(63)は、「放流した途端、よってたかって食べられる」と嘆く。
紀の川では1990年代後半から被害が確認され、和田さんによると「近年の損害は年間2000万円近くに上るのではないか」という。
爆竹などで追い払うだけでは解決せず、最近は猟友会に駆除を依頼。
県全域で毎年700羽前後を駆除しているが、和田さんは「生態系のバランスもあるので、辛抱できるくらいにとどめている」と語る。
漁業被害だけでなく、カワウのふんによる樹木の枯死に悩まされている地域もある。
【一筋縄でいかぬ鳥対策】
六十谷水管橋は7月に復旧工事が完了し、送水も全面的に再開された。
和歌山市は新たに、鳥対策として獣の鳴き声やサイレン音が鳴るスピーカーを設置。
しかし、効果は限定的とみられ、夕方になると再びカワウが集まる様子が見られる。
市は水管橋の維持管理について、「下からの目視での漏水点検が主で、つり材など上部の状態を正しく認識できていなかった」としており、再発防止策として、定期点検にドローンやロボットカメラの導入を決めた。
約30年前からカワウを見守ってきた野鳥の会和歌山県支部の有本さん(57)は、「鳥にとってアーチに止まるのは自然なこと。調査に基づいた適切な駆除や追い払いと定期点検の徹底で、カワウと人が共存できるような対策を進めてほしい」と訴える。
【「益鳥」の一面も】
環境省によると、カワウは日本の在来種で、1960年代以降、有害化学物質による環境汚染などで個体数が減少、70年代には全国で約3000羽と絶滅の危機にひんした。
その後、河川環境の改善などに伴って増加に転じたが、今度は漁業被害が深刻化。
2007年に「狩猟鳥獣」に指定され、駆除の対象となった。
人間の都合で害鳥とみなされることもある一方、メリットをもたらす鳥として、時に必要とされてきた。
愛知県美浜町上野間地区にある繁殖地「鵜(う)の山」では、江戸時代末期から60年代半ばごろまでカワウのふんを肥料として採取してきた。
魚食性のカワウのふんにはリンや窒素が含まれ、化学肥料が流通するまで重宝された。
町によると、地元ではふんを採取する権利を入札にかけ、収益を地域の学校建設や災害復旧、生活困窮者支援などに活用してきたという。
鵜の山は34年に国の天然記念物に指定、エリア内ではカワウを駆除できないことから、事実上保護してきた。
地元ではカワウをモチーフにしたキャラクターも誕生するなど親しまれているといい、町生涯学習課の磯部係長は、「町民にとっては害鳥のイメージはなく、朝夕に隊列を組んで飛ぶ姿はなじみの風景の一つ」と話す。
https://mainichi.jp/articles/20220831/k00/00m/040/226000c
(2022年10月5日 修正5 ;追記)
2022年10月3日16時18分にNHK和歌山からは、市はカワウが嫌う音を30分ごとに流したり、職員が1日に2回カワウを追っ払う対策を始めているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水道用の橋の崩落から今月3日で1年です。
市は、ことし7月に復旧工事を終えて水管橋での送水を再開していますが、腐食を防ぐ塗装工事を行うほか、カワウが嫌がる音を出すなどの対策を始めました。
具体的には、カワウが嫌うタカなどの猛きん類の鳴き声や犬の鳴き声、それにサイレンを出すスピーカーをあわせて9か所に取り付け、30分ごとに流しています。
また、一日に2回、職員が橋を訪れて、直接、カワウを追い払う作業も続けているということです。
和歌山市の前野水道工務部長は、「多くの市民にご迷惑をおかけしたことを改めておわびします。再びこのようなことがあってはならず、常に疑いの目を持って水道施設の維持管理に努めていきたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20221003/2040012791.html
(2023年1月7日 修正6 ;追記)
2023年1月6日15時51分にNHK和歌山からは、市は反省点などを盛り込んだ点検マニュアルを作成し公開したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おととし(令和3年)10月に大規模な断水を引き起こした送水用の橋が崩落した原因について、和歌山市は、風の振動をふせぐために設置した補強用の部材に鳥のふんが付着し、腐食が進んだことなどから部材の一部が破断したためと結論づけました。
そのうえで、市が行っていた点検では破断を見つけることができなかったとして、独自の点検マニュアルを作成し、ホームページで公開しました。
マニュアルでは、アーチ材や吊材といった25の部材について、半年ごとに現地で目視で確認し、劣化の度合いを把握することや、5年ごとにドローンやロボットカメラなど最新の機器を使った細かな点検を行うとしています。
また、写真や図を用いて、点検のポイントや付着した鳥のふんが及ぼす影響などについてもわかりやすく説明しています。
和歌山市企業局は、「市民に維持管理の方法を知ってもらうとともに、水道施設の老朽化に悩む全国各地の自治体にも教訓として活用してもらいたい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/wakayama/20230106/2040013519.html
2021年11月3日付で毎日新聞から下記趣旨の記事が、空撮写真と転落状況のイメージ図付きでネット配信されていた。
2日午前5時50分ごろ、東京都武蔵野市吉祥寺本町2で、ごみ収集車の男性運転手から「道路が陥没して車がはまった」と110番があった。
警視庁武蔵野署によると、東急百貨店吉祥寺店近くの道路が幅約4メートル、長さ約10メートル、深さ約2~5メートルにわたって陥没し、収集車の後輪が穴に落ちた状態になった。
けが人はいなかったが、同署などが周辺住民に注意を呼び掛けた。
武蔵野市によると、現場は市が管理する道路で、隣接する敷地では商業ビル(地上3階、地下2階)の新築工事が9月から始まっていた。
工事現場と道路の地下部分には、両側を隔てるようにコンクリート壁が設置されていたが、壁の根元部分の一部が工事現場側にずれて傾いていた。
この壁は、従来あった建物が約40年前に建設された際に設置されたものだという。
道路陥没の原因は分かっていない。
同市が2019年度に電磁波を使って現場を検査した時には、空洞などは確認されなかったという。
市の担当者は、「陥没と工事の因果関係も含めて原因を調べる」と話した。
また、工事を担当している市内の建設会社は「詳細は調査中で何も答えられない」としている。
現場近くに住んでいる男性(85)は、「『ダダダ!』という鉄骨が崩れるような音と揺れで目を覚まして外に出ると、ごみ収集車の後輪が穴に沈み込んでいく最中で、運転手らは血の気の引いたような青い顔をしていた。人通りが多い時間帯だったらと思うと怖い」と声を震わせた。
https://mainichi.jp/articles/20211103/ddm/041/040/108000c
11月2日9時56分にNHK首都圏からは、運転手は走行中に違和感を覚え、車を降りたところ陥没していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警視庁によりますと、運転していた男性が走行中に後輪が傾いたような違和感を覚え、車を降りたところ、道路が陥没しているのがわかったということです。
現場は、JR吉祥寺駅から北におよそ300メートルの商業施設などが建ち並ぶ繁華街で、警視庁などが詳しい状況を調べています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20211102/1000072195.html
11月2日18時21分にYAHOOニュース(FNN PRIME)からは、半年ほど前にちょっとした陥没があった、壁を押さえる切梁の力不足?工事現場では水が出ていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
道幅は、およそ5メートル。
ゴミ収集車の関係者:
「廃棄物を回収に来たら、(車の)左側が少しずつ傾いてきて、アスファルトが割れて、ゆっくりゆっくり後輪から落ちた」
一体なぜ、道路が突然陥没したのか。
近隣住民:
「もともとレストランがあったんですけど、それを壊す工事が」
陥没現場の隣で行われていたのは、老舗レストランの跡地に地上3階、地下2階建てのビルを建設する工事。
周辺では異変が起きていたという。
陥没現場近くの飲食店関係者:
「半年くらい前にここを解体している時に、ちょっと陥没した部分があって」
陥没した現場をよく見ると、工事現場と道路の境となる場所で、ビルの地下部分の壁がむき出しになっている。
地盤工学の専門家、日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授は、陥没の要因について、「工事側の壁が動いているのが確認できますので、壁が動いたことによって、道路の下の土が工事現場側に流れた」と推測する。
建設中の地下部分の壁がずれ、道路下の土が工事現場に流入。
それによって空洞が生じ、陥没が起きたのではないかという。
工事関係者を取材すると、この地下部分の壁は、以前あった建物の壁を再利用したもの。
この壁が、道路面の土の圧力に耐えられなかった可能性があるという。
日本大学理工学部・鎌尾准教授:
「この茶色に見えるものが『切梁(きりばり)』といって、壁が動かないように押さえるもの。切梁の力が不足して、土圧によってこの壁が動いたものだろうと推測できる」
さらに、地下水の影響を指摘する声もある。
近隣住民:
「(工事現場で)水が出たっていうのは業者さんから聞きました」
「井の頭公園とか、池があるでしょ。湧き水があるってことは、地下水が出てくると、この地下水なんかで地盤が緩くなっちゃう」
陥没した道路には水道管やガス管が通っていることなどから、ごみ収集車の引き上げ作業のめどは立たない状態。
道路の復旧にも時間がかかる見通し。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7dd16c18b086d5579458d458828e3315135d9130
11月2日12時38分にYAHOOニュース(ENCOUNT)からは、解体中に水脈から水が出た、2ケ月ほど前に収まったので工事を再開していた、ビル建設時にも水脈が見つかっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
陥没があったのは、東急百貨店吉祥寺店の裏手の路地だ。
すぐ横の敷地内では、ビルの基礎工事が行われていた。
陥没現場の目の前の家に住む立岩さん(男性、85歳)は、「陥没発生は5時32分。鉄骨が落ちるような音が3回聞こえた。揺れも震度1くらいはあったかな。家から出ると、穴にハマったごみ収集車の運転手が脱出するところだった。すぐに警察が来て、6時20分頃には『危ないから出てください』と退居を命じられました。しばらく家には入れそうもない」と、疲れた様子で話した。
この場所には50年以上前から住んでいるといい、崩落現場では昨年、建物の解体工事が行われていた。
「昨年の6月から工事が始まって、だいたい6か月で解体されたが、地下を掃除してたら水脈から水が出てきて、2か月くらい前に収まったので(ビルを建てる)工事を再開したという話は聞いていた。以前の建物ができる前にも日本水道協会の検査で水脈が見つかったらしいが、それから何十年も何もなかったからね。この辺りはビルも多く、こういった陥没の話は聞いたことがない」と語った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ed8c4f426aea047a79c0f14472b0fca27ef462f
11月2日8時8分に朝日新聞からは、壁には2~3mの損傷があり、そこから道路側の土が流出したという下記趣旨の記事が、5枚の現場写真付きでネット配信されていた。
陥没のあった道路とその隣の工事現場の地中境界線部分にあったコンクリートには2~3メートルの損傷が確認されており、損傷部分から道路側の土が工事現場側に流れ出していたという。
https://www.asahi.com/articles/ASPC22K0MPC2UTIL001.html
11月3日12時9分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、壁には縦3mの亀裂が入っていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
その後の関係者への取材で、道路と工事現場の地下部分を隔てるコンクリートの壁に縦およそ3メートルの亀裂が入り、道路側から土砂が流入していたことが分かりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0a1e06c434c5355be3faaa347623e12f73bdeec
11月2日11時52分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、車の引き上げは困難、ビルでは土留め作業が行われていたらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場は吉祥寺駅ちかくの繁華街の脇道で、工事現場とマンションに挟まれています。
発生から5時間半あまりがたちますが、クレーンを入れる場所が見つからず、車の引き上げのメドはたっていないということです。
すぐ隣のビル建設工事現場では、地下で「土留め」という土砂の流出を防ぐ作業が行われていたとみられ、警視庁が陥没との関連を調べています。
市の担当者は、再び道が通れる状態になるには、ひと月以上かかる可能性もあると話していて、周辺住民などの生活への影響が懸念されます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b3f4be687fd7cd8303eb7a26ffbd2602b15f0d9
11月2日11時4分に東京新聞からは、地図ならびに複数枚のクリアな現場写真付きの記事がネット配信されていた。(記事本文の転載は省略)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/140464
11月8日12時21分にYAHOOニュース(TBS NEWS)からは、収集車は6日ぶりに撤去されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京のJR吉祥寺駅近くで発生した道路の陥没事故で、穴にはまっていたごみ収集車が撤去されました。
現場では、道路の復旧に向けた作業が加速しています。
道路が陥没した現場では、現在は金属製の筒を使ってコンクリートなどを穴の中に流し込み、陥没でできた空洞を埋める作業が進められています。
穴にはごみ収集車がはまっていたのですが、きのう午後11時半すぎから、およそ1時間半かけて、引き上げ作業が行われ、6日ぶりに撤去されました。
この事故で、ごみ収集車に乗っていた作業員2人にけがはなく、これまで水道などの生活インフラに影響は出ていないということです。
こちらの道路のすぐ隣では、今年8月から商業ビルの建設工事が行われていました。
この工事現場の地下にある道路側との境界線となる壁に、縦3メートルほどの亀裂が入り、土砂が流出していたということです。
市は陥没の原因について、工事との因果関係は調査中としていて、今後、道路が開通するのは今週中になる見込みです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9c747a127e447d458a3b923bd2194660d51051b
2021年10月28日5時12分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日午後7時20分ごろ、岐阜県中津川市瀬戸にあるリニア中央新幹線瀬戸トンネルの工事現場で崩落が起きたと119番があった。
県警とJR東海によると、発破作業後の点検で非常口トンネルにいた5人のうち作業員2人が巻き込まれ、福井県美浜町の小板さん(男性、44歳)が死亡、愛知県長久手市の男性(52)が左足を骨折する重傷を負った。
JR東海によると、リニア中央新幹線の工事では過去にも崩落が発生しているが、死者は初めて。
瀬戸トンネルは、本線トンネルが長さ約4.4キロ、本線への資材搬入にも使う非常口トンネルが長さ約0.6キロの計画で、2019年に着工した。
崩落したのは非常口トンネルの地上入り口から約70メートル斜め下に掘り進んだ地点。
岐阜県警が事故の詳しい状況を調べる。
JR東海の工事概要によると、壁に穴を開けて火薬を詰め、発破作業をし、土砂を運び出して鋼鉄のアーチで補強、さらにコンクリートを吹きつける手順になっている。
国土交通省によると、JR東海から27日夜、トンネル掘削の際、表層の土砂などが崩れる「肌落ち」が起きたと報告があった。
同社は、「亡くなられた方とけがをした方にお悔やみとお見舞いを申し上げる。原因を調査し、再発防止に努める」とのコメントを出した。
リニアのトンネル工事を巡っては、19年4月、中津川市の中央アルプストンネルの非常口トンネル入り口付近で崩落が確認され、内部に土砂が流れ込んだ。
弱い地盤に工法が適していなかったことが原因とみられる。
17年12月には長野県中川村の県道脇で発生。
近くの地下で南アルプストンネル関連の工事が行われており、JR東海は当時、発破作業などによる振動が原因とみられると明らかにした。
〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE27CPF0X21C21A0000000/?n_cid=NMAIL007_20211028_A
10月28日12時39分に毎日新聞からは、死傷した2人は協力会社の社員だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トンネル工事は奥村組(大阪市)、浅沼組(同)、TSUCHIYA(岐阜県大垣市)による共同企業体(JV)が請け負っていた。
死傷した2人はJVの協力会社の社員だった。
https://mainichi.jp/articles/20211028/k00/00m/040/049000c
10月28日19時41分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、残薬がないか点検中だった、肌落ちは2回起きたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は28日、状況を説明した。
説明によると、27日午後7時12分にダイナマイトを使った発破作業をした後、作業員5人が残薬がないかを点検するため、掘削面(切羽)に近づいた。
現場で点検をしていると約8分後、掘削面から岩石約0・3立法メートルが崩れ落ちる「肌落ち」が起き、作業員(44)の足が岩の塊に埋まった。
助け出そうと別の作業員(52)が向かうと直後に、近くで地山の一部約1立法メートルが落ちてきて、44歳の作業員が岩の塊の下敷きになり死亡したという。
52歳の作業員も足が岩の塊に埋まり、足の骨を折る2カ月のけがを負った。
事故を受けてJR東海の岡崎中央新幹線岐阜工事事務所長は、「山岳トンネルの掘削工事をいったん取りやめる」と話し、すべての工事現場で安全対策が徹底されているかを確認できるまで工事を中断すると明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d38036a45c3851cf6f0da246f3d53dff21d99e27
10月28日19時59分にNHK岐阜からは、1回目の肌落ちは小規模だった、一般的なトンネル工事と同じ工法で行われていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は28日午後、記者会見を行い、当時の作業や崩落の状況を説明しました。
それによりますと、5人の作業員が不発の爆薬が残っていないか内部を点検していたところ、まず、爆破地点近くの天井付近で小規模な崩落が起きて、小板さんの足が埋まったということです。
別の作業員が救出に向かったところ、その周辺の岩が縦2メートル、横1メートル、厚さ50センチほどにわたって崩落し、小板さんが下敷きになり、救出に向かった作業員の足も埋まったということです。
崩落した岩はあわせて1.3立方メートルほどだということです。
JR東海によりますと、工事は一般的なトンネル工事と同じ、「NATM工法」と呼ばれる方法で行われていました。
9月JR東海が撮影した現場の写真には、高さ7メートル、幅9メートルほどのトンネルの内部で、壁に爆薬を入れるための穴を開ける「ドリルジャンボ」という重機を使って工事を進めている様子が写されています。
掘削が完了したトンネルの内側の壁は、コンクリートで固められているのが確認できます。
この工法は、主に山岳部でのトンネル工事で採用されていて、「瀬戸トンネル」でも掘り進めたい場所に爆薬を設置して爆発させ、重機などで土砂をかき出してから壁をコンクリートやボルトで固める方法で工事が行われていたということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20211028/3080007412.html
10月28日20時17分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、現場の地層は非常に複雑、事前調査で予測できなかった地層が現れた可能性もあるなど、など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中津川市では、2019年4月にも「中央アルプストンネル」の非常口トンネルで崩落が発生。
また、2017年12月には長野県中川村の県道でも、土砂崩れが起きています。
JR東海は、リニア関連の工事による振動で山が緩み、土砂が流入したことが原因とみられると説明していました。
地盤工学に詳しい専門家は、山でのトンネル工事の難しさについて─。
地盤工学に詳しい芝浦工業大学工学部土木工学科・稲積真哉教授:
「今回、事故が起こったエリアは、非常に複雑な地層をしている。万全を期した地盤調査・地質調査でも、予測できなかったような地質が現れていたのではないか」
警察は、業務上過失致死傷の疑いもあるとみて、事故の原因を調べる方針です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a8e91b9363101e8d4fda6eefb130b21001ccc054
10月29日9時13分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、石がパラパラと落ちてくるような「肌落ち」は珍しくないが、今回のように大きな岩が落ちてくるのはレアケースなどど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
トンネル工学を専門とする山口大の林久資助教は、「工事には、どうしても切羽(きりは)(掘削の最先端)に作業員が近づかなければいけない状況もあり、このような事故が発生するリスクは少なからず存在している」と語る。
今回の事故では、作業員が切羽に近づいた際に、掘削面から岩石などが崩れる「肌落ち」が発生したとされる。
林助教は、「石がパラパラと落ちてくるような肌落ち自体は珍しくない。今回のように大きな岩が落ちるのはレアケース(珍しい)」と話す。
厚生労働省によると、2000年からの11年間に、全国では肌落ちで47人が死傷した。
事故の6%で作業員に死亡者が出たほか、36%で1カ月以上休業するけがを負うなど、発生した場合の重篤度が高いとされている。
同省では、この事態を踏まえて16年にガイドラインを策定。
切羽への労働者の立ち入りを原則禁止とし、機械化を積極的に進めるよう事業者に求めている。
林助教は、「岩がかなり突発的に落下したのでは。それを予測できなかった何らかの要因もあったのかもしれない」と推測する。
山岳工区ならではの難しさもある。
富山大の安江健一准教授(地質学)は、「現場付近は苗木花崗(かこう)岩と濃飛流紋岩が分布し、固い岩盤がある」と分析。
しかし、「県内を含めて中部地方は活断層が多く、付近には破砕帯がある。地盤が固くても、もろくて水が出やすい場所もある」と指摘し、「今後も岐阜県内のルートでは、注意深く掘削を進める必要があるだろう」と注意を促した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c0f7bd5b24ab83d0a743f905b31ddbff65244e35
10月29日21時36分にYAHOOニュース(東海テレビ)からは、発破が終わった直後が一番不安定、肌落ちを全て防ぐことは無理など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
27日、リニアの工事で初めて起きた死亡事故で、当時の様子がわかってきました。
事故直後、現場のトンネルを撮影した写真。
山積しているのは、掘削に使ったダイナマイトの発破で生じた岩石です。
JR東海によると、男性作業員(44)が発破後に残った火薬がないかトンネル内を確認中、内部の表層が剥がれ落ちる「肌落ち」が発生。
重さ600キロほどの岩石が崩落し、足を挟まれます。
助けようとした別の男性作業員(52)が近寄った際、今度は重さ2トンほどの崩落が発生。
2人は巻き込まれ、1人が死亡、1人が左足骨折の大ケガをしました。
現場の写真を、トンネル工事に詳しい名古屋工業大学大学院の張鋒教授に見てもらいました。
名古屋工業大学大学院工学研究科の張鋒教授:
「岩盤の破砕具合から見ても、かなり良いように思われます。実際、発破が終わった直後が一番不安定なんです。(肌落ち事故を)すべて防げるかというと、現時点では無理だと思います」
張教授によると、死亡事故につながるケースは稀ではあるものの、この工程では予測できない崩落が起きることもあると指摘。
しかし、今の技術では人間が立ち入るしかないと解説します。
「岩盤が非常に複雑なので、ロボットを使ったとしても実際に完全に(崩落のリスクが)分かるかというとやっぱりクエスチョン。経験豊富な作業員・現場技術者が判断して、どうしても人間の経験値が必要になってくる場合が多いんです」
https://news.yahoo.co.jp/articles/14e191af9a8ba571bad7721a827d973abf378c9f
(2021年12月28日 修正1 ;追記)
2021年12月28日8時13分にYAHOOニュース(岐阜新聞)からは、ダイナマイト電線が垂れ下がっているという見慣れない光景ゆえ確認しに行った、当該エリアは立入禁止だが口頭伝達のみだった、監視員は監視していなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海は27日、事故の調査結果を明らかにした。
現場でイレギュラーな事案が発生し、作業主任者が指示を出す前に作業員が立ち入り禁止エリアに入ったことが原因といい、国の事故防止ガイドラインに違反はしていないが「対応が不十分だった」と結論付けた。
JR東海によると、トンネル先端部で掘削のための発破作業を行ったが、ダイナマイトにつながる電線が垂れ下がっているのを発見。
通常は見られない光景のため、不発を疑った作業主任者が点検しようと土石に登って近づいた。
それにつられて作業員4人も近づくと、発破で岩盤が露出した「切羽」から最大で1立方メートルの岩塊が落ちる「肌落ち」が発生。
転がる岩塊の下敷きになるなどして作業員2人が死傷した。
JR東海は事故を受けて、工事を請け負う共同企業体(JV)に当日の状況を確認。
技術的なトンネルの掘削工法などに問題はなかったとし、国のガイドラインで禁止されている切羽部分への立ち入りもしていなかった。
ただ、この現場では発破後の土石が落ちているエリアを立ち入り禁止とし、作業主任者の指示がなければ入れないとしていたが、口頭のみの伝達だった。
さらに、肌落ちの危険がある切羽の監視責任者も、作業員が立ち入り禁止エリアに入った時に監視を行っていなかったことも問題視。
国のガイドラインと照らし合わせると、作業手順書に細かなルールや対応を明記しておく必要があったとし、JVに対して再発防止策を求めたという。
JR東海は「監督業務に落ち度はなかったが、何が悪かったか、どうしたら防げるか、社内でも共有したい」と説明した。
調査結果は、27日までに岐阜県と県内の沿線7市町にも報告したという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f11ab83cbe6bcbea5863b20f7f64f243312269a3
12月27日20時28分に毎日新聞からは、現場レベルで立入禁止と定めていたくず山に登った、手順書には立入禁止区域の明確な記載がなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
調査結果によると、作業員は責任者の指示がない中で、現場レベルで立ち入り禁止区域と定めていた、くず山に登っていたという。
国は事故防止のためのガイドラインで作業手順書の作成を求めているが、工事を請け負った奥村組などのJVの手順書には、立ち入り禁止区域について明確な記載がなかったという。
JR東海の担当者は報道陣に対し、「ガイドラインを守るのはJVの責任。違反はしていないが、対応が不十分だった」と述べ、JR東海の監督業務などに落ち度はなかったと説明。
その上で、「再発防止策として、立ち入り禁止区域を明確に定め、指示があるまで立ち入らせないようにした」と明らかにした。
https://mainichi.jp/articles/20211227/k00/00m/040/317000c
12月27日20時2分にYAHOOニュース(ぎふチャンDIGITAL)からは、やむを得ず禁止区域で作業する時は頭上にネットを張るなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
再発防止策として、詳細な作業手順書を作成するほか、やむを得ず立ち入り禁止範囲で作業する場合は頭上に防護ネットを張ることなどを明確化しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6ac516ce4c7bda44144831e3891653322e3e6f1
12月27日19時30分に朝日新聞からは、ガイドラインの解説や識者のコメントなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ガイドラインでは、
▽切羽への立ち入りは原則禁止で、真に必要な場合のみ
▽切羽での作業中に切羽を常時監視する「切羽監視責任者」を置くこと
▽監視や退避方法を含め、肌落ち防止のための計画や手順書を作成すること
などを求めている。
発破のための装薬作業など、切羽に近づいて作業せざるを得ない場合もあるが、そうした作業も遠隔化や機械化を進めるよう求めている。
ガイドラインは、切羽を「掘削の最先端をいい、地山が露出している領域全体」などと定義。
JR東海の「切羽直下には立ち入っていない」という説明に、厚労省は「調査中なのでコメントできない」としている。
ガイドラインには違反した場合の罰則はないが、改善措置や再発防止を講じるよう求めるなど、行政指導の対象となる可能性はある。
【谷本親伯・大阪大名誉教授(トンネル工学)の話】
発破後に作業員が禁止範囲に入るといった、初歩的なミスが原因だ。
トンネル作業の基本を無視しており、作業員全体の熟練度が疑われる。
未熟な作業員を使用せざるをえないことが問われるべきで、発注者と受注者の双方が協議して改善をはからなければならない。
同様の崩落事故が起きているのはゆゆしき事態だ。
一過性の調査ではなく、トンネル事故も国が常設の独立した調査委員会をつくって調査し、事例を蓄積して再発防止につなげるべきだ。
https://www.asahi.com/articles/ASPDW66DSPDWOIPE00S.html
(2022年1月14日 修正2 ;追記)
2022年1月13日15時0分にYAHOOニュース(長野放送)からは、発破後に浮石を取り除く作業が不十分だったことなどが原因として推定されるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
JR東海が13日、長野県庁を訪れ、事故原因と再発防止策を説明しました。
JR東海によりますと、「肌落ち」の原因として、発破の後に浮石を取り除く作業が不十分だったことや、吹付コンクリートにむらがあり部分的に必要な厚さが足りなかったことなどが推定され、作業員による監視も不十分だった可能性が高いということです。
再発防止に向けては、経験豊かな作業員による仕上がり確認の徹底や、監視する人数の増員などを進めるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/705160219146955d15df207f90f25bcc9d1f7949
2021年6月30日11時0分にYAHOOニュース(長崎新聞)から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
長崎市東長崎地区の八郎川河口で、ショベルカー(重機)が水没したままになっているとの情報が長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)に寄せられた。
工事を発注した県長崎港湾漁港事務所によると、ぬかるんだ川底から抜け出せなくなった。
同事務所によると、発注先の建設業者が25日、護岸工事に伴い、作業船を入れる水深にするため、重機を川に入れ、底のしゅんせつを開始。
同日午後3時ごろ、緩い地盤にはまり、動けなくなった。
操縦していた男性は脱出し無事だった。
燃料の流出は確認されていない。
事前に汚濁防止用フェンスを設置し備えていた。
同事務所は地元の自治会や漁協などに状況を報告。
翌26日に重機の燃料を抜く作業をした。
現場の河口は潮の干満差が約0・5~3㍍と大きい。
同事務所は満潮時に作業船で引き揚げる方法を検討しており、7月10日ごろまでに撤去したい考え。
「重大な事故にならないよう全力で取り組んでいる。安全を図りながら、早急に撤去したい」としている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/075fa029d80d78cb8a9ddbc842e5294a4eba4fbe
2021年4月8日19時13分にYAHOOニュース(中国放送)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先月31日、広島・福山市の国道2号で歩道が陥没した事故を受け、8日、専門家が原因究明のための現地調査を行いました。
調査を行ったのは、地盤工学を専門とする広島工業大学の森脇武夫教授です。
先月31日、福山市神島町で国道2号の歩道が深さ最大1.2mほど陥没する事故がありました。
事故のあった現場付近には川が流れていて、去年から排水ポンプ場の整備に関連した浸水対策工事が行われていました。
事故直前には、深さおよそ13メートルの立て坑の工事が行われ、土や地下水が流入するのを防ぐため、薬液を地面から注入する作業が進められていたということですが、8日の調査では、薬液を注入した跡が見られない箇所があったことが確認されました。
このため、陥没した原因は、「地下水位の影響で掘削した穴に横から土砂が流れ込んだ」と推定。
今後も詳しい調査を進めるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e65f66d8f06e29325a19c852145ee13b5086c7b1
4月8日19時22分にYAHOOニュース(広島ホームテレビ)からは、排水管設置工事で縦穴掘削中に土砂が流出したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2021年3月31日に歩道が陥没した福山市の国道2号で、現地調査が行われました。
福山市神島町の国道2号下り線は、3月31日、歩道が陥没した影響で、10時間半にわたり通行止めとなりました。
現場では、県が西日本豪雨で被害にあった排水管を設置する工事を行っていて、縦穴の掘削中に土砂が流出しその後、歩道が陥没したということです。
調査を行った広島工業大学の森脇教授は、工事の地盤改良が不完全だったため土砂が流れ出たことが原因ではないかとしています。
広島工業大学の森脇武夫教授「2度とこういうことが起こらないように、細心の注意を払って工事を進めていただきたい。」と注文を付けました。
広島県は再発防止の対策と安全性を確認したうえで工事を再開したい考えです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e3de5e7589c7d468d3b65d0f98d31d9a8556a91
2020年11月12日に掲載した第2報がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正4として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11171/
(2021年3月28日 修正4;追記)
2021年3月20日付で毎日新聞東京版から、トンネル上部は人工造成された地盤だった、薬剤注入を繰り返した結果、地盤が緩んだ、騒音苦情で夜間工事を止めなければ問題は起きなかった可能性ありなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東日本高速道路の有識者委員会(委員長、小泉淳・早稲田大名誉教授)が2月に報告書をまとめ、真下の地下47メートルで実施していた東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事と陥没の因果関係を認めた。
報告書によると、トンネル工事は巨大な円筒形の掘削機「シールドマシン」(直径16メートル)で進めていたが、振動の苦情を受けて夜間は工事を中断していた。
すると、翌日には上から土砂が沈み込み、カッターが詰まるトラブルが発生するようになった。
土砂を取り除くため、土を軟らかくする薬剤を注入する「特別な作業」を繰り返した結果、周辺にも薬剤の影響が及んで地盤が緩み、掘削時にトンネル上部の土砂を過剰に取り込むことになった。
夜間の中断がなければ、こうした問題が起きなかった可能性がある。
また、この薬剤は、掘削しやすいように工事中も多量に使われており、地盤の緩みがさらに拡大。
トンネル上部に空洞が生まれ、地表から崩れて陥没につながったとみられる。
地盤の緩みは、トンネル上部の長さ約360メートルの範囲でのみ認められた。
陥没発生後に見つかった別の空洞三つもこの範囲内にあり、陥没も空洞も工事によって生じたと結論づけた。
一方、トンネル上部は人工的に造成された場所で、流動化しやすい砂の層や小石で構成される「特殊な地盤」(小泉委員長)だったことも影響したとしている。
・・・・・
今回の工事は、地下40メートルより深い場所が利用しやすくなる大深度地下利用法に基づいて行われた。
国土交通省によると、同法に基づく工事は外環道やリニア中央新幹線を含めて4件が認可されており、着工したのは2件。
外環道の工事が、地表の陥没が生じた初のケースになる。
【地盤調査の徹底必要】
地下深くでの工事は、2001年の大深度地下利用法の施行前から行われてきた。
東京都営地下鉄大江戸線(最大深度49メートル)や東京メトロ南北線(同43メートル)もその一例だ。
・・・・・
地表への影響はどうか。
神戸市では陥没などは起きなかった。
国も繰り返し安全性を強調。
・・・・・
これに対し、芝浦工業大学の稲積(いなずみ)真哉教授(地盤工学)は、大深度での工事そのものは実績があり、特に危険ではないとした上で、「地表への影響が決してないわけではない」と指摘する。
・・・・・
https://mainichi.jp/articles/20210320/ddm/012/040/090000c
3月19日18時39分にNHK首都圏からは、今後の対応に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
工事を発注している東日本高速道路は19日会見を開いて、再発防止策を発表しました。
トンネルを掘削するシールドマシンと呼ばれる大型機械を動かす際に、機械の中に土砂を取り込みすぎるなどの施工ミスが原因で地盤がゆるんで、空洞や陥没ができたことから、取り込む土砂の量を厳しく管理するとしています。
また、必要に応じて追加のボーリング調査を行い、地盤に適した添加剤を使ってゆるまないようにするとしています。
このほか、地表面の変化を定期的に公表するとともに、掘削を終えた区間の巡回監視を強化していくとしています。
東日本高速道路は、工事の再開について、トンネル工事を行う場所の真上の地域の地盤補修が最優先のため、いつ工事を再開するか現段階では決まっていないとしています。
会見では、これまで周辺の住民から工事による振動や騒音に関する苦情が相次いでいることから、今後工事を再開したら、これまで500メートルおきに行っていた振動や騒音の測定を100メートルおきにして、結果を定期的に公表するとしています。
・・・・・
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20210319/1000061878.html
(2021年4月29日 修正5 ;追記)
2021年4月28日15時30分に朝日新聞からは、目安では100~200m程度の間隔で事前にボーリングすべきところ、今回はボーリング場所確保の問題で500mほど間隔が開いていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
同様の掘削機を使ったトンネル工事の陥没は昨年6月にも起きている。
横浜市港北区の市道の路面が2度にわたって陥没。
付近の地下ではシールドマシンを使ったトンネル工事が行われており、この陥没の検証委員会の報告書では、「陥没はトンネル掘削時に土砂の取り過ぎが原因」と結論づけている。
この工事に関わった施工業者の幹部は、「事前に想定していない地盤に突き当たることはむしろ多く、こうした事故の連続は工法自体の限界を示している」と話す。
外環道工事は「大深度地下法」に基づく国交省の認可事業だ。
東京、大阪、名古屋圏を対象に、国土交通大臣などが認可する。
大深度地下は一般的に使われることがないため、地権者との権利調整が必要なく、補償も不要との立て付けだ。
今回の外環道トンネルの施工方法などを検討した委員の一人は、朝日新聞の取材に「大深度地下法に基づく工事は民地の下を通せる。これが欠点でもある」と語る。
国交省の大深度地下工事の指針では「シールドトンネルにおいては、100メートル~200メートル程度の間隔でボーリング調査を実施している例が多い」と、一つの目安として例示している。
国交省によると、今回の工事区間では、浅い地点や環境影響評価目的も含め、86本のボーリング調査がされたという。
平均すれば指針の通りで、NEXCO東は「事前調査は十分だった」との認識だ。
だが、陥没地点は、実施場所確保の問題で、約500メートルほど間隔が開いていた。
この委員は、「道路の下を通る工事なら道路管理者の許可を取ればできるが、民地では住民の理解が得られない。(陥没場所の)近くの川では工事による気泡も出ていたし、本来非常に怪しい所は50メートルくらいでやらなきゃいけないが、道路も狭く、事前のボーリングが十分できなかった」と認める。
ネクスコ東は報告書を受け、今後2年程度かけて、緩んだ地盤の補修工事をする方針だ。
ただ、今のところ、対象は地盤の緩みが確認できているトンネル直上の南北約360メートルの範囲に限られる。
今回の場所以外に同じような地盤や緩んだ場所がないのかは、詳細には明らかになっていない。
再発防止策でも、「想定外」の地盤に突き当たった後の対応を示しているだけだ。
大深度トンネルの工事を検討する委員会の委員も務めた小泉淳・検証委員会委員長は、記者会見で「掘削する地盤はすべて把握できず、推定するしかない。工事でリスクはゼロにはできない。工法全般としては何の問題もなく、今回様々な教訓が得られたので、今後の工事の参考になることを願う」と述べた。
◇ ◇
芝浦工業大学の稲積真哉教授(地盤工学)の話
自然を相手にした土木の世界で、リスクをゼロにできないのは当然の話だ。
だからこそ、周辺住民とのリスクコミュニケーションが重要で、十分な事前調査をした上で住民に開示する必要がある。
今回は、それがあまりに不十分だ。
地盤はポイントごとに違い、本来、ボーリング調査は100~200メートルでも足りない。
大深度地下法に基づく工事だからと、おろそかになったのではないか。
不十分な調査の前提で「特殊な地盤だった」と言っても、誰も納得しない。
大深度地下法を見直し、陥没した周辺と今後の工事場所の地盤は、もう一度詳細に調べ直すべきだ。
https://digital.asahi.com/articles/ASP4W4JTGP4WUTIL014.html?pn=6
2021年3月15日12時19分にNHK山梨から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
去年3月、身延町の中部横断自動車道のトンネル工事現場で、男性作業員が天井から落ちてきたモルタルなどに体を挟まれて死亡した事故があり、警察は、安全管理上の注意義務を怠ったなどとして、現場にいた元請けの社員ら4人を業務上過失致死の疑いで書類送検したことが、捜査関係者への取材でわかりました。
書類送検されたのは、工事の元請け会社で、東京に本社がある建設会社「フジタ」横浜支店の40代の男性3人と、下請けに入っていた東京・武蔵野市の「F工業」の50代の男性の、あわせて4人です。
去年3月、身延町下八木沢の中部横断自動車道のトンネル工事現場で、天井付近のモルタルを剥がす作業をしていた札幌市の会社員、三浦さん(男性、当時64歳)が、落ちてきた重さおよそ800キロのモルタルの塊と足場の間に全身を挟まれて死亡しました。
捜査関係者によりますと、作業は、防水シートからモルタルが漏れ出していたことから急きょ行われたもので、当時、現場にいた4人はモルタルが落下する危険があったにもかかわらず、作業を止めさせるなど安全管理上の注意義務を怠ったなどとして、業務上過失致死の疑いが持たれています。
中部横断自動車道の工事をめぐっては、平成26年以降、8人の作業員が工事中の事故で亡くなっています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20210315/1040012552.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。