2018年8月16日15時28分にNHK栃木から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
火災が起きた際の迅速な消火活動につなげようと、栃木市消防本部は、地域の消防団員に向けて、消火栓などの位置をインターネット上の地図で確認できるシステムを開発し、運用を始めた。
栃木市消防本部が開発したのは、インターネットの「グーグルマップ」に、市内にある消火栓や防火水槽の位置などおよそ5000件のデータを登録したシステムで、ことし6月から県内で初めて運用を始めた。
消防団員が、大規模な火災が起きた際など、担当の地区以外で活動する場合にも、スマートフォンなどを使って、これまでの紙の地図よりも早く、最寄りの水源を検索できるという。
また、現在地から最寄りの水源に到着するまでにかかる時間を調べることができるほか、消火栓の管の大きさ、それに防火水槽の容量なども掲載され、どれくらいの水量が取れるかもわかるという。
このシステムは、市内の消防団員およそ1150人にメールやQRコードで専用のアドレスが周知され、一般には非公開となっている。
栃木市消防本部・消防総務課の長谷川主事は、「これまでは紙の地図で水源を確認していたので、新しいシステムを使うことで、かなり早い活動ができると思う。1分1秒でも早く活動できるように、団員をサポートしていきたい」と話している。
出典
『ネットで消防用水源検索システム』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20180816/1090002620.html
2019年11月13日16時17分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
『床下の消毒は不要? 浸水住宅の衛生対策、専門家に聞く』
吉田真紀子さん(56)=東北大大学院助教(感染症疫学)
浸水住宅の衛生対策と消毒方法について、2016年に「ガイダンス」をまとめ、日本環境感染学会のホームページで公開しています。
http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=19
「基本的に土壌への消毒は不要」と書いており、自治体の方から「床下の消毒はいらないのか」との問い合わせもあります。
汚泥はスコップなどでかき出して水で洗い流し、物理的に取り除くことが重要です。
すぐ消毒したくなりますが、大切なのは乾燥。
コンクリートの基礎は1カ月ほどは乾かないという研究もあり、不十分なままでは細菌やカビが発生し、臭いやアレルギーなどの原因となることもあります。
洗浄と乾燥をしっかりと行うことを基本に考えて下さい。
また、消石灰は一度ぬれて乾燥すると効果はありません。
飛散して目などを傷める恐れもあり、使うならマスク、ゴム手袋、ゴーグルを着けてください。
床上浸水の場合、床やテーブルの脚など気になるところを消毒します。
ハイター(家庭用塩素系漂白剤)などの次亜塩素酸ナトリウムで消毒するときは、0・1%に薄めた液に浸した布でよく拭きます。
色落ちが気になる際は、消毒用アルコールや塩化ベンザルコニウムも使えます。
いずれの場合も、スプレーはしないでください。
吸い込む危険がある上、面全体に行き届かなくなります。
水害の後は、感染症を起こしやすい環境です。
消毒を終えるまで、大げさに思えても、肌を出さずにゴム長靴、ゴム手袋、マスク、ゴーグルを着け、身を守ってください。
https://digital.asahi.com/articles/ASMC65FGZMC6UTIL03X.html?pn=4
(ブログ者コメント)
〇昨年、同じ朝日新聞から同種記事がネット配信されていた。
本ブログでも紹介スミ。
『[西日本豪雨] 2018年7月14日報道 岡山県は日本環境感染学会のガイダンスなどをもとに、水害後の処置として床下部分の消毒は原則不要と通知した』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8601/
〇以下は、感染学会HPの該当記載部分。
●一般的な注意事項
・消毒薬は色々な濃度のものが市販されているので、希釈倍率には注意しましょう。
・消毒薬は布に含ませるか、あるは、薬液に漬ける方法で使用します。噴霧は吸い込んでしまう恐れ があるため、避けます。
・消毒薬の容器等に記載されている使用上の注意をよく読んで使用します。
・消毒薬は使用するときに希釈します。作り置きした消毒薬は効果が十分発揮できません。
・ゴム長靴とゴム手袋を着用します。消毒薬が肌についたらすぐに大量の流水で十分に洗い流しまし ょう。
・基本的に、土壌への消毒は不要です。
2018年7月14日10時0分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「職員に、こういう情報の出し方をできる人がいる、これだけで分かる」・・・
広島県東広島市の、とある取り組みに対し、ネット上で称賛の声が上がっている。
西日本を中心とした豪雨被害で交通網が寸断され、国交省や被害を受けた各市町村が、道路通行止め情報を画像やPDFファイルで公開する中、東広島市は7月9日、Googleマップの「マイマップ」機能を活用した、道路通行止め情報を公開した。
東広島市は今回の豪雨被害を受け、市のWebサイトで、道路の通行止め情報をPDFファイルで公開。
さらに、「東広島市道路情報(グーグルマップ版)」というリンクを設置した。
これを開くと、WebブラウザやアプリでGoogleマップが開き、通行止め、片側通行といった情報が地図に重ねて表示される。
これは、Googleマップ上でオリジナルの地図が作れる「マイマップ」機能を使ったもの。
地図上の好きな場所に任意のアイコンや説明文などを示せる他、経路を作ったり、作った地図の情報が含まれるCSVファイルをURLで簡単に共有できたりするのが特徴だ。
Googleアカウントを持っていれば誰でも作ることができ、見るだけならアカウントは必要ない。
道路通行止め情報の公開にGoogleマップを活用するメリットとして、
▽ユーザーの持つデバイスの画面解像度に自動で合わせて表示できる
▽拡大縮小がしやすい
▽現在地表示やナビ機能と連携できる
▽管理者が情報を更新しやすい
などが挙げられる。
画像ではなく、文字情報が付加された情報を共有することで、「目が見えない人が(デバイス側の)読み上げ機能を使える」と評価する人もいる。
これを見たユーザーは、
▽直感的、分かりやすい。素晴らしい
▽他の自治体でも、ぜひ取り入れてほしい
▽道路情報に限らず、いろんな活用法がありそう
▽職員ブラボー
とコメントしている。
他の自治体にも、このやり方を共有したいという思いから、Googleマップで道路情報の作り方を解説するブログ記事を公開したユーザーも現れた。
この出来事をTwitterで紹介したNyohoo(@NeXTSTEP2OSX)さんは、「こういった外部サービスの活用を避ける傾向にある行政が多い」と指摘する。
東広島市は、なぜ柔軟な対応ができたのか。
東広島市役所の酒井さん(政策企画部情報政策課)は、ITmedia NEWSの取材に対し、きっかけを次のように説明する。
「当初、PDFファイルで情報を公開していましたが、実際の通行止め地点が明確に分からず、『どこを通れるのか分からない』という問い合わせを多くいただきました。
少しでも市民の方々に『使える』と思ってもらえるような情報を提供する手段を考えたとき、簡単に地図の作成や公開ができて、ユーザーにもなじみのあるGoogleマップを使うことにしました」
Googleマップ版を含む道路通行止め情報は、主要道路が復旧するまで更新する予定。
道路通行止め情報の元データを作成しているのは、同市の防災準備班職員(建設部・都市部 主に建設管理課)で、データの加工やGoogleマップへの反映は、広報班職員(情報政策課)が担った。
同市は、普段から市役所の各部署が持つさまざまな地図データを相互利用できる庁内統合型の地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を使っている。
そうしたノウハウを蓄積していたことも、今回の柔軟な対応につながった。
担当班が主体となって何ができるかを協議し、道路情報の公開に至ったという。
これまで同市がGoogleマップを活用したのは、Webサイト上で位置情報を示すような利用のみ。
今回のような、コンテンツの主たる手段としての利用は初めてだ。
行政が、こういった外部サービスを利用することについて、酒井さんは「制限するべきでない」と話す。
「利用者が最も求めている形態が、外部サービス利用により実現できるならば、利用を制限すべきではないと考えます。
ただし、取り扱う情報の種類によっては、セキュリティなどについて検討は必要です」(酒井さん)
今回のような災害で、現地調査や国道、県道の通行止め情報をもとに道路情報をオンラインに随時反映する作業は、時間がかかるという。
東広島市の取り組みは、情報公開手段の好例となりそうだ。
出典
『「職員ブラボー」 東広島市が公開した「Googleマップ」道路通行止め情報に称賛の声 担当者に聞いた』
http://www.sankei.com/affairs/news/180714/afr1807140006-n1.html
(ブログ者コメント)
東広島市から提供されている道路情報は下記。
なるほど、自分が行こうとする区域をマップ上で拡大すれば、どの道路が走れないのか、よく分かる。
http://www.city.higashihiroshima.lg.jp/kinkyu/koutujouhou/12207.html
2018年7月14日付で河北新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
青森県弘前市紙漉沢のリンゴ畑で11日夕、近くの農業男性(44)がクマ(体長約1m)に襲われた。
突進してきたため、後ろに転倒したが、とっさに突き出した拳がクマの顔面に当たり、撃退した。
けがはなかった。
警察によると、男性は農作業中、体長約50cmの子2頭を連れたクマが畑に入ってきたのを見つけた。
様子を注視していたが、目が合った瞬間に親グマが向かってきたという。
拳が当たった直後、クマの親子は近くの山に走り去った。
現場から800mの場所には中学校がある。
以前から目撃情報が寄せられていることから、署員が警戒に当たっている。
出典
『とっさに突き出した拳、クマの顔面に命中し撃退 弘前の男性、けがなし』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201807/20180714_23033.html
7月12日付で東奥日報からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
男性はクマが突進してきたため後ずさりして転倒、とっさに突き出した拳がクマの鼻に当たり撃退した。
出典
『パンチ当たりクマ撃退/弘前のリンゴ畑』
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/55173
2018年7月4日16時46分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
企業が不祥事を起こしたときに作る「第三者委員会」の報告書を客観的に検証している弁護士らが、品種偽装問題を起こした「雪印種苗」(札幌市)の報告書に過去最高の評価を与えた。
過去に検証した神戸製鋼や日産の報告書には厳しい評価が下されたが、今回の報告書は何が違うのか。
弁護士らでつくる「第三者委員会報告書格付け委員会」(格付け委)は3日に記者会見し、雪印種苗への評価結果を明らかにした。
評価した9人のうち、1人は5段階で最高の「A」、残り8人は2番目に高い「B」をつけた。
久保利英明委員長は、「第三者委報告書の歴史の中で、まれに見る成果」とたたえた。
雪印種苗は、乳業大手・雪印メグミルクの子会社。
今年4月、牧草種子の品種を偽装して販売していたと発表し、赤石社長が引責辞任した。
偽装問題は内部告発がきっかけ。
同社や独立行政法人・家畜改良センターによる調査で、種子の表示などで違反があったことが判明。
同社が依頼した第三者委員会が、2月から本格的な実態調査に乗り出した。
その調査は徹底していた。
報告書によると、雪印種苗や親会社の雪印メグミルクの役員ら45人に、延べ61回のヒアリングを行い、関係する役員らのパソコンやメールサーバーから、計約61万件に及ぶ過去のメールや添付ファイルを抽出。
削除されていたものは復元させた。
現役の役員や社員計約600人を対象にアンケートも行い、254ページの報告書にまとめた。
一連の調査では、社内では過去にも偽装行為が問題になっていたのに、きちんと事実を解明しようとしてこなかった社の姿勢も浮き彫りにした。
報告書によると、同社では2014年と17年の2度にわたって、偽装行為などに関する社内調査を行い、報告書もつくっていた。
14年の報告書は、「02年1月ころまで不適切な行為が行われていた」と指摘したものの、当時のデータはすでに存在せず、その後については「過去10年分には、不適切な処理の実態や疑わしいものは見当たらなかった」としていた。
しかし、今年に入っての第三者委の調査では、02年以前のデータが見つかったうえに、02年以降も品種偽装が行われていたことが判明。
当時の社内調査の際、事実の隠蔽があった可能性をあぶり出した。
02年は、同社のグループ会社だった「雪印食品」(後に解散)が国のBSE(牛海綿状脳症)対策制度を悪用し、輸入牛肉を「国産」と偽って、助成金を詐取した事件が発覚した年。
それ以降は不祥事は起きていないという「ストーリー」に沿って社内調査の報告書がつくられたと、格付け委員の一人はみる。
14年の報告書作成時に専務(第三者委報告書では「A専務」と記述)だった赤石元社長が、当時、「新聞記者からの取材を受けた場合、腹を決めて事実を正直に言う」というメールを部下に送っていたことも、今回の第三者委の調査で明らかになった。
赤石氏は98年以降、品種の表示を担当する種苗課の課長を務めていた。
今回の第三者委の聴取に対して赤石氏は、品種偽装を部下に指示したり、自ら実行したりしていたことを認めた。
こうした事実を次々と明らかにした今回の報告書に、格付け委では、「ファクトに対する肉薄度。迫力が違う」、「真犯人を見つけたかのようだ」などと評価する声が相次いだ。
それでも、多くの委員の評価が2番目の「B」にとどまったのは、親会社の責任に対する「突っ込み不足」が減点材料になったためだ。
14年の社内調査では、親会社の雪印メグミルクの監査役が調査委員長を務めていた。
しかし、今回の第三者委の報告書では、雪印メグミルクの責任の所在があいまいで、内部統制の機能不全に触れる記述も少なかった。
◇
神戸製鋼や三菱マテリアルなど、名だたる大企業でデータ改ざんなどの不正が相次ぎ、不祥事が明るみに出るたびに、企業は第三者委など外部の調査に事実解明を委ねるパターンが繰り返されてきた。
しかし、多くの調査報告書について、格付け委は「調査があいまい」、「事実の羅列にすぎない」などとして、厳しい評価を下している。
久保利委員長は、「雪印種苗の報告書と比べると、昨年、不祥事があった5社(神鋼、日産、東レ、三菱マテリアル、スバル)の報告書には、『お茶濁し感』がある。これらの企業に『とりあえず第三者委に調査を丸投げすればマスコミは黙る』という発想があっただろうことは否定できない」と批判する。
企業にとって「不都合な真実」を第三者の目で徹底的にあぶり出そうとした雪印種苗のケースは、今後の企業の不祥事対応の一つのモデルになる可能性がある。
出典
『雪印種苗の不祥事報告書 弁護士らが絶賛する理由は?』
https://www.asahi.com/articles/ASL744QMTL74ULFA00X.html
2018年6月27日17時14分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
群馬県渋川市が所有する日帰り温泉施設「小野上温泉センター」(同市村上)で5月に見つかった不審な一万円札1枚について、市は27日までに、真札だったと明らかにした。
市は当初、偽札の可能性もあるとみて、渋川署に届け出たが、県警科学捜査研究所(科捜研)が鑑定した結果、“シロ”と判明した。
市によると、一万円札はセンターの5月8日の売上金の中に含まれていた、汚れのない新札。
北群馬信用金庫子持支店(同市北牧)の紙幣を数える機械で10回以上テストしても、認識されなかった。
北群馬信用金庫では、4月に偽札の可能性がある一万円札1枚が見つかっており、市は同署に届け出るとともに、5月14日の定例会見で「偽札の可能性がある」と発表。
偽札かどうか日銀が鑑定し、結果が出るのに数カ月かかる見通しと説明していた。
しかし、蓋を開けると、日銀に鑑定依頼することもなく、科捜研の鑑定で真札とあっさり判明。
センターの支配人が今月6日、同署で科捜研の鑑定書面で真札と確認し、一万円札を受け取ったという。
なぜ機械に認識されなかったかは不明というが、一万円札1枚とはいえ、センターにとっては貴重な稼ぎ。
「紙切れ」ではなかったのは、幸いだったといえそうだ。
出典
『偽札? 一万円札 実は本物でした 群馬・渋川の日帰り温泉施設で発見、科捜研の鑑定結果は“シロ”』
http://www.sankei.com/affairs/news/180627/afr1806270015-n1.html
6月26日付で上毛新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
1万円札は、市営小野上温泉センター(同市村上)の売上金から見つかった。
紙幣を数える機械で10数回はじかれたため、売上金を預かった金融機関が警察に連絡した。
金融機関職員は、「紙幣を数える機械に不具合はなかったが、まれに機械に通りにくい紙幣がある。今回もそうしたケースだったのかもしれない」と話した。
出典
『偽造疑惑1万円札 鑑定結果は…本物でした 渋川で先月発見』
https://www.jomo-news.co.jp/news/gunma/society/61681
(ブログ者コメント)
精度抜群であるはずの機械でさえも、たまには間違うことがある・・・そんな事例として紹介する。
2018年6月27日19時18分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大雨で川の水が堤防を越えたあと、どのように決壊するのか調べようと、十勝の幕別町で川に設けた水路を使った大規模な実験が行われた。
実験は、国交省の帯広開発建設部が十勝川に設けた国内最大級の実験用水路を使って、平成20年から続けている。
ことしは、堤防の盛り土を砂が多い土から粘土質の土に変えて、堤防が決壊するまでの過程を調べた。
幅30mの水路に水を流すと、およそ1時間後に、高さ3mの堤防の一部を越え始めた。
あふれた水によって堤防の裏側が削られて、次第に大きな穴が開き始め、実験開始からおよそ2時間半後には、堤防の一部が崩れ、決壊した。
3年前の関東地方の豪雨では、茨城県で鬼怒川が増水して水が堤防を越えた後、堤防の裏側が削られて決壊し、大きな被害が出た。
開発建設部や研究者らは、27日の実験結果を分析して、盛り土の種類によって堤防決壊までの速さにどのように違いが出るか、調べることにしている。
帯広開発建設部の米元課長は、「今回の粘土質の堤防は、砂が多い堤防に比べて、水が越えてもなかなか崩れなかったが、崩れ出すと一気に崩れた印象がある。今後、データを詳しく分析して防災に役立てたい」と話していた。
出典
『十勝川の水路で堤防決壊再現実験』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20180627/0001063.html
6月27日付でテレビ北海道からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
北海道開発局は、きょう、大雨で河川が増水した際に堤防がどのように崩れるか調べる実証実験を、十勝の幕別町で行った。
実験は、局地的な大雨で堤防が崩れる被害が近年増えていることを受け、行った。
長さ1.3km、幅30mある十勝川の水路は国内最大級の規模で、堤防に定点カメラやセンサーが設置されている。
実験では、こうした機器やボートに載せた観測機器を使って、堤防が崩れ始めるまでの時間や水量を調べた。
(帯広開発建設部治水課 米元課長)
「堤防の質に合わせてどういった対策が取れるのか、検討していきたい」
開発局は今後も実験をし、災害に強い堤防造りに生かすとしている。
出典
『開発局が十勝川で堤防決壊実験』
http://www.tv-hokkaido.co.jp/news/doshin/post_1914.php
2018年6月12日10時58分にNHK大分から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
下水を浄化した水で育てたホタルの観賞会が11日夜、中津市の下水処理場で開かれ、子どもたちが幻想的に舞うホタルの光を楽しんだ。
中津市の下水処理場では、敷地の一角にホタルの飼育施設を設け、中にある水路に汚水を浄化した水を流してホタルを育てている。
ことしは3月に、近くの保育園の子どもたちがゲンジボタルの幼虫2100匹を放流し、およそ100匹が今月に入って羽化して飛び始めている。
11日夜は、地元の子どもたちが参加して鑑賞会が開かれ、飼育施設の中に植えられた草や木の茂みの中で無数のホタルが淡く光りだすと、子どもたちが歓声を上げていた。
ホタルを見た小学生の男の子は、「とてもきれいでした。山ではなく、こんな近くでホタルを見ることができて、嬉しかったです」と話していた。
このホタル観賞会は、12日も夜8時から中津市の下水処理場で開かれる予定。
出典
『下水処理場でホタルの観賞会』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/oita/20180612/5070000826.html
(ブログ者コメント)
ネットで調べたところ、下水処理水でホタルを育てているところは、岐阜県土岐市、埼玉県久喜市など、多数あった。
http://www.mlit.go.jp/crd/sewerage/kouka/ikiiki/h18/gifu.html
http://www.saitama-swg.or.jp/event.html
2018年6月11日18時9分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
清水建設は11日、大阪市淀川区で施工中の高層ホテル(地上24階、地下1階)建設に、ロボットを導入すると発表した。
同社がロボットを建設現場に本格導入するのは初めて。
職人などの人手不足を補うものとして、今後、全国の現場への拡大を目指していく。
ロボットが導入されるのは、新大阪駅近くで平成31年8月に完成予定のホテルの建設現場。
資材の運搬、鉄骨の柱を溶接する作業、天井ボード貼りの3種類の作業をするロボットを6台導入する。
人工知能(AI)が工程を覚え、自ら状況を判断しながら作業することができる。
現在は研究施設で動作を調整中で、今年9月から順次配備する予定だ。
溶接を自動で行うロボットは、1日あたり3台で3本の柱の接着作業をする。
また、天井ボード貼りロボットは、これまで職人が片手で重さ約15kgのボードを支えながら、もう片方の手でビスを打ち込んでいた作業を、2本のアームで指示通りに行う。
同社の試算では、これらのロボット導入で、必要な労働者を8割弱減らすことが可能。
今回の現場では、6台のロボットが延べ250人分の作業をまかなうという。
同社によると、建設業の技能労働者は減少傾向で、高齢化も進むほか、溶接や仕上げなど作業の複雑化により、職人の確保が課題となっている。
夜間などにも稼働できるロボットを導入することで「建設現場の働き方改革や待遇改善につなげたい」(同社担当者)としている。
出典
『大阪の高層ホテル建設現場にAI搭載ロボット導入 清水建設、6台で250人分の
作業』
http://www.sankei.com/west/news/180611/wst1806110056-n1.html
(ブログ者コメント)
以下は、2017年7月12日付の清水建設ニュースリリース。
写真などを使い、かなり詳しく説明されている。
建築工事現場で最先端技術を搭載したロボットと人がコラボ
~次世代型生産システム「シミズ スマート サイト」~
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2017/2017011.html
2018年6月4日12時18分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都は、需要の増加が見通せず、維持費用がかさむなどして、年間5億円の赤字経営が続く「工業用水道」について、廃止する方針を固めた。
同様に赤字経営に悩む全国各地の自治体での、廃止するかどうかの議論に影響する可能性がある。
東京都の工業用水道は、地盤沈下を防ぐため、工場での地下水のくみ上げを規制する代わりに、昭和30年代から整備され、上下水道とは別の配管を通じて工場などに供給され、鉄鋼の冷却や金属・皮革製品の洗浄などに使われている。
しかし、その後、地盤沈下はほぼ落ち着き、工業用水を使う企業は去年3月末の時点で185件と、ピーク時の3分の1以下に落ち込み、需要の増加が見通せず、年間5億円の赤字が出ているほか、老朽化した施設の維持・更新におよそ2300億円が必要となっていて、関係者によると、有識者委員会が近く、「廃止すべきだ」と提言する報告書をまとめる見通しだという。
こうした状況を踏まえ、都は工業用水道を廃止する方針を固め、今月開かれる都議会で正式に表明することにしている。
地盤沈下対策として行われた工業用水道の事業では、全国の自治体で初めての廃止となり、都の方針を受け、同様に赤字経営に悩む各地の自治体での、廃止するかどうかの議論に影響する可能性がある。
ただ、一部の業界にとっては、工業用水道に比べてコストがかかる上水道の使用は大きな負担となることから、今後は、自治体による業界への支援のあり方も課題となる。
東京都の工業用水道は、昭和30年代に当時深刻だった地盤沈下を抑制するため、工場による地下水のくみ上げを規制する代わりに整備され、現在も、墨田区、江東区、北区など、都内の北東部にある工場などに供給されている。
都によると、工業用水を使う企業は、昭和51年度には664件にのぼったが、その後、工場が都外に移転するなどして減少したのに伴い、需要は年々減少し、去年3月末の時点では185件と、ピーク時の3分の1以下になった。
また、都の工業用水は中小企業の利用者が多く、都の料金収入が1件あたり年間129万円と、全国平均の16分の1にとどまっている上、水道を使う工場などが点在しているため、1件あたりの配水管が長いことなど、大阪府や千葉県、埼玉県など、ほかの大都市と比べて事業の効率性が低いという。
さらに、事業の開始から50年以上が経過し、浄水場の施設や、総延長344kmにのぼる配水管の多くが老朽化し、補修には限界があり、更新が必要な時期を迎えている。
都はこれまでに、最大4か所あった浄水場の一元化や、職員の削減、4回の料金値上げなどコスト削減に向けた取り組みを行ってきたが、工業用水の需要は、今後、さらに減少が見込まれることから、事業の廃止を含めて方向性を検討してきた。
都は、工業用水道を廃止した場合、およそ900億円をかけて浄水施設や配水管などを撤去し、上水道からの供給に切り替える方針だが、これまで工業用水を利用してきた企業の負担が増えることから、水道料金の差額の補てんや切り替え工事にかかる費用の負担など、必要な支援策を検討することにしている。
(以下は音声のみの情報)
業界の存廃にかかわると懸念しているのが、皮革製造業界。
上水道に替わると経済的負担が増し、塩素を含んだ水の使用が製造工程に支障をきたすという。
「カラーによっては、塩素が邪魔することがある」とは業界団体の代表談。
一方、東京・江戸川区にあるメッキ工場では、工業用水道が廃止された場合、年間で数100万円から1000万円近いコスト増加のおそれがあると試算している。
メッキ製品は、加工の工程で材料に付着した酸や油を取り除くため、何回も洗浄する必要があり、この工場では、1日およそ100トンの工業用水を使用している。
東京都鍍金工業組合に加盟するおよそ300の業者のうち、工業用水を利用しているのは現在は10社あまりで、比較的、影響は少ないことから、組合として廃止に強く反対することはないということだが、この工場では、上水道への切り替えにより5倍のコストがかかることから、都に対し、減免期間を設けるなどの措置を望んでいる。
組合の副理事長を務める「朝日鍍金工場」の遠藤社長は、「都もだいぶ赤字だと聞くので、廃止は致し方ないが、コストが上がるのは本当に頭が痛い話だ。中小零細企業には料金を据え置くとか、あるいは段階的に上げるなどの配慮を願いたい」と話している。
出典
『都が「工業用水道」を廃止の方針』
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180604/0012609.html
2018年6月4日4時0分にYAHOOニュース(茨城新聞)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
送電線事業を手掛ける電気工事会社が、つくばみらい市に社員研修用の送電鉄塔を建設し、新入社員が初研修に挑んだ。
架空送電線工事などに携わる技術職社員が、墜落防止や感電防止につながる安全基本動作を学ぶ。
研修用鉄塔を建設したのは、東京電力や東北電力などの東日本エリアを中心に、全国で送電線事業を手掛ける東光電気工事(東京都千代田区、青木宏明社長)。
昨年までは、東京電力総合研修センター(東京都日野市)の鉄塔を使って研修を行っていたが、同社つくばセンター(つくばみらい市)の隣接地に研修用鉄塔3基を新設した。
鉄塔の高さは
(1)28.5m
(2)20.2m
(3)24.0m
の3種類で、自前の研修施設を持つことで、幅広い技術研修が可能となるという。
初研修は5月28日から30日にかけて実施され、新入社員約60人が各日ごとに分かれて挑んだ。
初日は、石井安全担当部長(64)らの指導の下、架空送電線工事に携わる技術職の男女11人が訓練に取り組んだ。
同社では初の女性送電技術職となる長野県出身の山本さん(22)は、「すんなり鉄塔に登れると思ったが、腕も足もきつくて大変だった。もっと体力をつけないといけない」と息を切らした。
その上で、「同期を蹴散らす勢いで頑張りたい」と力を込めた。
出典
『研修用に送電鉄塔 つくばみらいで工事会社 新入社員が訓練』
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180604-00000003-ibaraki-l08
5月25日付で電気新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東光電気工事は、架空送電線の建設技術や保守・点検技術を総合的に研修し、技術・技能の継承を図るための施設「つくば研修センター」を、茨城県つくばみらい市に開設した。
鉄塔3基を建設し、27万5000V、6万6000Vの電線、OPGW(光ファイバー複合架空地線)を含む架空地線を整備した。
同社や協力会社の新入社員研修、中堅社員のスキルアップ研修、新工法や新技術の実証などに活用する。
将来は、全国大の技能競技会を開きたい考えだ。
敷地は、同社の送電線工事資機材を保管するつくば機材センターに隣接する土地を買収して確保。
研修用鉄塔3基の高さは、1号鉄塔が24.0m、2号鉄塔が28.5m、3号鉄塔が20.2m。
出典
『東光電工、自前の鉄塔で技術底上げ/茨城県に研修施設』
https://www.denkishimbun.com/archives/28101
2018年5月29日6時0分に西日本新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鍵穴に鍵を差し込まなくても自動車のドア開閉やエンジン始動が可能な電子キーが反応しないトラブルが、長崎県佐世保市内で相次いでいることが分かった。
西日本新聞の調べでは、市内の自動車販売店に24日ごろから、これまでに少なくとも200件以上の報告例があった。
原因は特定されておらず、「強い電波を発する米軍基地が影響しているのでは」といった臆測も出ている。
トラブルは複数のメーカー、車種で発生。
ダイハツ長崎販売大塔店=同市大塔町=には24~28日、苦情や相談が計100件以上あった。
JR佐世保駅近くの市中心部に被害が集中していたという。
市内のトヨタ系列の販売店でも、50件以上の被害を確認。
スタッフの一人は、「電波妨害が原因とみられ、5年ほど前にも同じことがあった。米軍基地に近い地域で被害が多発しており、基地の影響があるのではないか」と話した。
佐世保市基地政策局は、自動車販売店などからの連絡で26日に把握。
同局から報告を受けた九州防衛局は、「米軍に問い合わせるかどうかも含めて検討している」としている。
在日米軍の動向を監視する市民団体「リムピース」の篠崎編集委員は、「米軍ではなく、佐世保にある海上自衛隊の艦船の影響も考えられる」と指摘した。
市内の男性会社員(30)は、市中心部の駐車場で業務用車のエンジンがかからず、レンタカーで急場をしのいだ。
販売店によると、電子キーが使えず緊急措置でエンジンをかける方法もあり、市中心部を離れると「電子キーが使えた」と話す利用者もいたという。
トヨタ自動車広報は、電子キーが正常に作動しないケースとして、「テレビ塔や空港があるなど、強い電波やノイズを発生する場所」などを例示。
販売店側は、トラブル時は相談するよう呼び掛けている。
【ワードBOX】電子キー
携帯していれば、ドアノブに触れるなどの動作で解錠できたり、エンジンを始動できたりする。
ボタン電池が入った鍵が発する電波を車中のセンサーで感知、認識する仕組み。
自動車メーカー各社で呼び方が異なり、「スマートエントリーシステム」などの名称がある。
1990年代から採用され、2000年に入って高級車を中心に普及。
現在は、新型車の多くで採用されている。
出典
『車の電子キー無反応、トラブル相次ぐ 長崎県佐世保市で200件超 「米軍基地が影響か」の声も』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/420166/
5月30日12時50分に長崎新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
佐世保市の佐世保港周辺で24~27日にかけ、自動車の鍵やエンジンをかける電子キーの操作が効かなくなる事案が相次いだことが29日、分かった。
識者は、米海軍佐世保基地や海上自衛隊からの電波が影響を与えた可能性を指摘している。
市内の複数の自動車販売店によると、4日間で100件以上の問い合わせが相次いだ。
発生場所は、米軍や海自の施設に近い佐世保港周辺が中心。
そこから離れると不具合が解消したという報告もあったという。
ある販売店の従業員は、「電波障害があった可能性が高く、米軍施設の電波が影響したのではないか」と推測。
別の販売店の従業員は、「原因は定かでないが、佐世保港周辺では珍しくない現象だ」とする。
米軍の動向を監視するリムピース佐世保の篠崎編集委員は、「原因の特定は難しいが、影響を与えるような電波を発信するのは、軍事施設か艦船しかないのではないか」と指摘する。
販売店から1件の相談があった市基地政策局は、「同様の事案はこれまで把握していない。九州防衛局を通じ、米軍側に事実関係を確認中」。
海自佐世保地方総監部は、「詳細は申し上げられないが、平素とさほど違う運用はしていない」と関連を否定している。
出典
『電子キー異常相次ぐ 佐世保港周辺の自動車 軍事施設影響か』
https://this.kiji.is/374404958797317217?c=174761113988793844
6月1日15時3分にNHK長崎からは、米軍は関与を否定したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
市は、連絡窓口になっている九州防衛局を通じて、アメリカ海軍佐世保基地に問い合わせているが、NHKが佐世保基地に取材したところ、回答が寄せられた。
この中で、アメリカ海軍佐世保基地は「九州防衛局から提供された周波数や日時に基づいて調査した結果、電波を妨害する可能性のあるアメリカ海軍の機器は使われておらず、アメリカ海軍はこの期間に特別な作戦行動もしていない」としている。
そのうえで、「この件に関する追加の詳細が分かり、九州防衛局からさらなる問い合わせがあれば、調査に協力したい」としている。
また、熊本市にある九州総合通信局も、佐世保市内の自動車販売店から相談を受け、電波の状況を調べている。
九州総合通信局の電波管理部は、電波監視システム「DEURAS」を使い、販売店からの情報に基づいて、電子キーの周波数と同じで電子キーの機能を妨害するおそれのある強い電波が発射されていないか、佐世保市で調べているという。
熊本市のコントロールセンターから、佐世保市内に設置したセンサー局を遠隔操作して受信した電波をモニターしているが、これまでのところ異常はみられないという。
九州総合通信局は、「電波をキャッチできれば、方向や強さが分かる。再び電子キーの不具合などが確認されれば、現地に出向いて調査したい」と話している。
出典
『米軍「電波妨害の機器使用せず」』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20180601/5030000816.html
2018年5月26日15時32分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
愛知県大府市は25日、認知症の人が屋外を歩き回る行動を指す際に用いられる「徘徊」という言葉を使わないと宣言した。
「目的もなく、うろうろと歩き回る」というのが本来の意味だが、「認知症の人の外出は危険」といった誤解や偏見につながる恐れがあるという。
近年、いろいろな言葉で言い換える動きが広がっており、記者会見で岡村市長は、「認知症の人の行動や気持ちを正しく理解することが大切だ」と語った。
同市は4月、認知症の予防や認知症に優しいまちづくりに取り組む「認知症に対する不安のないまちづくり推進条例」を全国に先駆けて施行。
これを機に同市の姿勢を公表し、市職員に使わないよう指示した。
さらに、市民や関係機関に見直しを呼びかけている。
市では、法令などに記されている文言を除き、徘徊という表現を原則使わず、伝えたい内容に応じて言い換える。
例えば、「徘徊」は「ひとり歩き」、「徘徊高齢者」は「行方不明となるおそれのある人」、「外出中に道に迷った人」などとする。
また、同市は6月から、認知症の高齢者らを対象とした個人賠償責任保険について、認知症の高齢者らの事前登録と保険加入申し込みを受け付ける。
認知症の高齢者らが第三者にけがを負わせたり、物を壊したりするなどした場合、本人に代わって法律上の賠償責任を補償する。
保険料は1人当たり2000円。
6月22日午後2時から、市役所で保険加入希望者を対象にした説明会を開く。
市のこうした取り組みの契機になったのが、同市のJR東海道線で2007年、認知症の男性(当時91歳)が列車にはねられた死亡事故。
男性の家族がJR東海から約720万円の賠償を求められ、1、2審が家族に賠償を命じたが、最高裁がJR東海の請求を棄却した。
同市在住の男性の長男(67)は、「認知症の人や、その家族を支援しようという動きはうれしい。この動きがもっと広まり、認知症に対する理解が進むことを期待したい」と話した。
出典
『「徘徊」の言葉使わず「ひとり歩き」…市が宣言』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180526-OYT1T50062.html
5月24日9時27分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
「徘徊」という言葉は使いません――。
愛知県大府市は、行政文書や広報で、「徘徊」を「一人歩き」や「一人歩き中に道に迷う」など、状況に応じて言い換えることを決めた。
ここ数年、認知症の当事者から、「目的もなく歩き回るという意味の『徘徊』は実態にそぐわない」との声が上がっている。
兵庫県や東京都国立市、福岡県大牟田市なども、「徘徊」の使用を取りやめた。
大府市は昨年12月、「認知症に対する不安のないまちづくり推進条例」を全国で初めて制定し、今春、施行した。
関係者によると、大府市は、当事者の声や他自治体の動きを踏まえ、今後、「徘徊高齢者」を「外出中に道に迷った人」などと言い換える方針だ。
認知症の人の外出は、目的や理由があることが多い。
徘徊と表現することで「外出は危険という誤解や偏見につながる恐れがある」として、市は市民や関係団体にも理解を求める。
大府市では2007年に、認知症の男性(当時91)が列車にはねられて亡くなった。
この事故をめぐり、遺族がJR東海から損害賠償を求められたが、最高裁で賠償責任はないと結論づけられた。
長男(67)は、大府市の対応について、「率直にうれしい」と歓迎する。
長男は、父の死が「徘徊」と報道されるたびに、認知症の人が危険な存在という誤ったイメージが広がっているように感じたという。
「ほかの自治体や報道機関にも、この流れが広がって欲しい」と話す。
◇
朝日新聞は今年3月から、認知症の人の行動を表す際に「徘徊」の言葉を原則として使わず、「外出中に道に迷う」などと表現しています。
今後も、認知症の人の思いや人権について、様々な側面から読者のみなさんと考えていきます。
出典
『「徘徊」言い換え優しい街に 認知症JR事故あった大府』
https://www.asahi.com/articles/ASL5Q4FXCL5QOIPE014.html
2018年5月16日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
重いけがで救急搬送されたO型の患者は、それ以外の血液型の人に比べ、死亡率が2倍以上高いとの研究結果を、東京医科歯科大の高山渉特任助教(外傷外科)らが、救急医学の専門誌に発表した。
O型は他の型に比べて血が固まりにくく、大量出血する人が多い可能性があるという。
高山助教は、「死亡が多くなる仕組みを、さらに詳しく調べる必要がある」と話す。
2013~15年度に、入院が必要となる重いけがで同大など2病院に運ばれた患者901人のデータを分析。
死亡率はO型が28%、O型以外が11%だった。
けがをして血管が破れると、血液中の血小板が集まって傷をふさぐが、O型の人はのりのような働きをするたんぱく質の一種が少ないことが知られている。
これが原因で、他の血液型と死亡率に差が出た可能性がある。
一方で、エコノミークラス症候群のように静脈内に血の塊ができる病気は、O型の方が少ないことが示されている。
出典
『救急搬送 O型、重傷で死亡率2倍 他型より血固まりにくく』
https://mainichi.jp/articles/20180516/ddm/016/040/009000c
2018年5月15日6時30分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
人間のけがや病気が自然に治癒するように、使用している製品や構造物に生じた劣化が、人の手を加えなくても勝手に直ってしまう・・・。
そんな夢の機能を持つ材料が「自己治癒(修復)材」だ。
材料自身に含まれる成分や事前に仕込んでおいた成分などを基にして、ひび割れなどの損傷を修復する性能を持つ。
既に、高分子材料や金属材料など、様々な領域で研究や開発が進められている。
【2030年に30兆円市場】
安倍政権が2013年に掲げた「日本再興戦略」には、「自己修復材料などのインフラ長寿命化に貢献する新材料の研究開発を推進する」と明記された。
自己修復材料などの世界市場が30年に30兆円に達するとのロードマップも掲げている。
追い風を受けて、インフラの主要な建材であるコンクリートの自己治癒能力へ関心が高まっている。
コンクリートは強度に優れ、加工もしやすい半面、ひび割れやすいという弱点を持っているためだ。
コンクリートを自己治癒できれば、長寿命化に貢献するほか、維持管理の合理化につながる。
【休眠バクテリアを活性化】
自己治癒機能をバクテリアで実現するコンクリートの研究開発で最も進んでいるのが、オランダのデルフト工科大学といえる。
同大学のヘンドリック・ヨンカース准教授が率いる研究グループは、バクテリアを利用して、コンクリートのひび割れを自動的に修復する技術を開発した。
同氏は15年、欧州特許庁の欧州発明家賞にノミネートされた。
ヨンカース氏が着目したのはバシラス属のバクテリアだ。
この微生物は乾燥すると胞子状の殻をまとい、休眠状態で200年も生存することができる。
pH(ペーハー)が13程度と強いアルカリ性のコンクリートの中でも、死滅することはない。
乾燥させたバクテリアを、栄養分である乳酸カルシウムと一緒に圧縮・固化。
さらに、生分解性プラスチックの殻で覆って、直径が数mmのカプセル状にする。
このカプセルを、生コンクリートに所定の量で配合する。
【ひび割れを加速度的に修復していく】
ひび割れが生じると、割れ目から浸透した水と酸素が休眠していたバクテリアを活性化する。
バクテリアは、栄養分である乳酸カルシウムを分解し、二酸化炭素を排出。
結果として、セメント原料となる石灰石の主成分である炭酸カルシウムが生成され、ひび割れを埋める物質となる。
炭酸カルシウムが生成される過程で発生する水は、コンクリートの中に残っていたセメント成分と反応して水酸化カルシウムとなる。
これが二酸化炭素と反応して、さらに炭酸カルシウムとなり、ひび割れを加速度的に修復していく。
一連の化学反応が、コンクリートが自己治癒するメカニズムだ。
ヨンカース氏の研究グループは、実験設備の中で、最大1mm幅のひび割れを約2カ月で修復できたことを確認している。
使用しているバクテリアは欧州の安全基準をクリアしており、「人への感染がない添加材」に区分されているものだ。
ひび割れは補修できるが、コンクリートの強度を回復させることは保証していない。
だが、ひび割れを埋めて、さらなる水の浸入を防ぐだけでも、メリットは十分大きい。
鉄筋コンクリートの構造物では、ひび割れから水などが浸透して内部の鉄筋に達すると腐食を招く。
鉄の強度が落ちれば、コンクリート構造物の安全性が下がってしまう。
【日本では18年4月に販売開始】
バクテリアを使った自己治癒コンクリートは、欧州では先行して商品化されている。
ヨンカース氏らは、関連する特許を取得後、14年にバイオベンチャー企業、バジリスク・コントラクティングBVを立ち上げ、製品の販売を開始した。
地元のオランダだけでなく、ドイツやベルギーでも販売実績がある。
日本では、コンクリートの専門業者である會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)がバジリスクと提携。
日本における独占販売権を獲得したと17年4月に発表した。
日本と欧州では、コンクリートに混ぜる材料が異なるため、日本に最適な配合条件を検討している。
まずは塗布型の補修材について、18年4月から、日本で販売を始めた。
価格は当初、通常の生コンの2倍程度となる見込みだ。
バクテリアなどの原材料を欧州から輸入するため割高となるが、将来はバクテリアの増殖も日本国内で実施して、コストダウンを目指すという。
【イースト菌を使った手法も】
微生物を使ってコンクリートを補修する技術は、日本でも研究開発が進んでいる。
愛媛大学大学院理工学研究科の氏家勲教授と同講師の河合慶有氏らは、微生物を含んだグラウト(隙間を埋めるための流動性を持たせた建材)で、コンクリート構造物に生じたひび割れを補修する技術開発に取り組んでいる。
使用する微生物は、イースト菌や納豆菌といった、食品にも含まれるもの。
最大のメリットは、大量に使用して充填材が周囲に漏出しても、環境への負荷がほとんどないことだ。
コンクリート構造物のひび割れ部分に、微生物とひび割れ修復に必要なカルシウム源、その微生物の栄養源を混ぜたグラウトを注入するという、シンプルな手法を用いる。
ひび割れを修復するプロセスは、デルフト工科大学とほぼ同じだ。
愛媛大学は、およそ0.2mm幅のひび割れを持つコンクリート供試体を用いて、グラウト注入前後の透水性能を確認する試験を実施している。
現時点では、十分な量の炭酸カルシウムを生成するのに時間がかかり過ぎるという課題がある。
実用化するためには、生成スピードを大幅に速めた微生物の探索やグラウト性状の改善などが必要となる。
それでも、建設現場のニーズは高い。
構造物に散布しておくだけで、ひび割れを補修するような工法が実現できるかもしれないからだ。
バクテリアを使った自己治癒コンクリートは、バクテリアなどの添加材を加える分だけコストは高くなる。
だが、ひび割れが起こるたびに補修を繰り返す場合と比べて、ライフサイクルコストを抑制できる。
出典
『微生物がコンクリートを勝手に修復 いよいよ市場に 驚異の新材料 自己治癒材(上)』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29436240W8A410C1000000/?n_cid=NMAIL007
2018年5月14日18時44分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5月15日付で山陰中央新報からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は14日、対面通行する片側1車線の高速道路の一部区間で、2017年4月以降、中央にワイヤロープの防護柵を試行的に順次設置した結果、1年間で対向車線への飛び出し事故は1件で、死亡事故はゼロだったと公表した。
16年1月からの1年間では45件の事故が発生し、7件の死亡事故が起きていた。
防護柵が高い事故防止効果を発揮した試行結果の報告を受けた同省技術検討委員会は、14日、「技術的に実用化が可能」などとする中間まとめをした。
同省は、他の区間の設置なども検討する。
国交省によると、全国の高速道の約3割にあたる約2600kmの区間が、暫定的に片側1車線になっている。
このうち、同省は17年4月以降、全国12路線計115kmの高速道で、従来の樹脂製のポールの代わりに金属製のワイヤロープを試行的に設置した。
1年間で対向車線への飛び出し事故は、秋田道横手インターチェンジ(IC)~大曲IC間で起きた1件のみで、対向車線に走行車がなく、運転手も無事で、全体の死亡事故はゼロだった。
一方で、防護柵への接触事案は238件(負傷者は4件)発生しており、通行止めになる回数は増加。
東九州道では3件から22件になった。
出典
『中央ロープ柵で死亡事故ゼロ 国交省、高速道で試行』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30463930U8A510C1CR8000/
『ワイヤ柵 本格導入検討 国交省、高速暫定2車線』
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1526349247886/index.html
(2018年6月18日 修正1 ;追記)
2018年6月15日付で毎日新聞東京版(夕刊)から、片側2車線化が決まっていない区間などを中心にワイヤロープが整備されるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
片側1車線の高速道路などで対向車線への飛び出し事故を防ごうと、国交省は15日、車線を区切るワイヤロープを本格的に設置する方針を明らかにした。
技術的に設置が難しい橋上などを除き、約5年かけて整備する。
高速道路など高規格幹線道路は、中央分離帯を備えた両側2車線が基本だが、整備に時間がかかるため、先に完成した2車線を片側1車線ずつに区切り、暫定的に使用している。
中央にガードレールを設置するスペースがなく、区切りとして樹脂製ポールが設置されているが、飛び出しには効果がない。
地方の道路整備に伴い、片側1車線区間が年々増加していることから、国交省は昨春から、ワイヤロープの効果を検証。
秋田自動車道など12路線計115kmに設置したところ、今年3月末までに飛び出し事故は1件にとどまり、死亡事故はなかった。
全国の片側1車線区間は約4300kmで、うち約2600kmは有料区間。
国交省は、片側2車線化が決まっていない区間などを中心に、ワイヤロープを整備する方針だ。
出典
『ワイヤロープ 片側1車線に 国交省、高速に整備へ』
https://mainichi.jp/articles/20180615/dde/041/040/034000c
2018年5月7日7時4分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
平成28年の熊本地震では、全国から届いた水や食料などの救援物資が一部の集積場所に滞り、被災者に行き渡らない問題が起きた。
これを教訓に、神戸市は、救援物資を迅速に避難所の被災者に届けるためのマニュアルを作成した。
具体的には、物資の種類や量などを把握し各避難所への配分を決める専門のチームを市役所内に設置し、民間の物流業者にもメンバーに加わってもらうとしている。
そして、神戸市内の13か所に設ける物資の集積拠点にも物流業者から専門家を派遣してもらい、配送や積み込み作業の調整などにあたってもらうとしている。
神戸市は、こうしたマニュアルに基づいて実際に物資を搬出する訓練を今年秋にも行う予定で、「災害時に被災者が困ることがないよう、マニュアルの実効性を高めていきたい」としている。
出典
『災害時救援物資 物流業者と連携』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180507/4315601.html
2018年5月6日5時14分にNHK関西から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
和歌山県岩出市は、災害が起きた際、飲料水などに使えるよう浄水機能を備えた新しい市民プールを建設することになった。
岩出市には2つの市民プールがあるが、いずれも建設から30年以上が経過し老朽化が進んでいる。
このため今年度、2つのプールを統合し、およそ5億7000万円をかけて岩出市荊本にある市民総合体育館の隣に新たに屋外プールを建設することになった。
プールには浄水施設が併設され、災害が起きた際には、年間を通してプールにはられたおよそ49トンの水を飲料水として利用できるという。
プールが建設される地区では、南海トラフや中央構造線断層帯を震源とする大地震が発生した場合、市民総合体育館と中学校にあわせて1300人あまりが避難すると想定されていて、岩出市では、このプールによって避難者全員の30日分の飲料水と生活用水を確保できるとしている。
岩出市では来月から建設工事を始め、来年夏には営業を始めたいとしている。
出典
『岩出市災害備えたプール整備へ』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180506/4285931.html
(ブログ者コメント)
今回の報道は市民プールだが、小学校のプールでも浄水機能を持たせたところがある。
以下は甲府市の例。
(2017年2月24日 甲府市HP)
甲府市内各小中学校のプールの水は、災害時に備え、常に満水の状態にしてあります。
これは、火災が起きたときの消火用水に使ったり、地震などの災害で付近の住民が避難したときの緊急用の飲料水として確保してあります。
各小中学校には、プールの水を飲料水にする浄水機(甲府市所有)が設置してあり、緊急時に備えています。
この浄水機は、活性炭でろ過し、次亜塩素酸ナトリウムで滅菌して飲料水にします。
出典
『避難場所での飲料水確保』
https://www.water.kofu.yamanashi.jp/general/saigai/20160301200607.html
以下は田辺市の例。
(2013年11月13日0時38分 朝日新聞)
田辺市南新万の市立田辺東部小学校で12日、市が災害で水道が使えなくなった際の給水対策として配備を進めている緊急用浄水処理装置の実演と試飲会があり、同校の5年生65人がプールから引いたホースを装置につないだり、浄水処理された水を実際に飲んだりするなどの体験をした。
市は今年度、南海トラフ巨大地震などの津波被害に備え、浸水域周辺の避難所に指定されている市内8小中高校に、滋賀県彦根市の水道バルブメーカーが開発した可搬式の浄水処理装置の配備を計画。
今年度は4校に配備した。
装置は、10時間の稼働で15トンの処理能力があり、1人あたり1日3リットルの飲料水が必要と仮定すると、1日約5000人分が確保できるという。
装置を使った実演では、プールの水を濾過や消毒などの処理をして、仮設のタンクから飲料用の水が流れ出すと、子どもたちは次々とコップを手に試飲した。
出典
『学校プールの水で浄水実験、災害時は飲料水に 和歌山』
http://www.asahi.com/edu/articles/OSK201311120095.html?iref=com_footer
小学校のプールの場合は、文科省の「小学校施設整備指針」に従い、設置が推進されているということかもしれない。
以下は当該指針の該当部抜萃。
第8 章 設備設計
第1 基本的事項
3 機能性
(4) 災害時には地域の避難所としての役割も果たすことから, 必要な情報通信,電気,ガス, 給排水等の機能を可能な限り保持できるよう,貯水槽,浄水機能を有するプール,自家発電設備,避難者のための便所など,代替手段も含めた対策を講じることが重要である。
2018年5月4日5時0分に北海道新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌市は、鈴を身に着けた人の気配を野生のヒグマが察知し、逃げる様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。
市によると、こうした生態が映像で確認されるのは珍しく、鈴などの音がクマよけに有効なことがうかがえる。
2014年6月、中央区盤渓の山中で、2カ所に設置した定点カメラで撮影された。
1頭のヒグマが何かに気付いて落ち着かない様子となり、その場から離れた約7分後に、クマよけの鈴を身に着けた男性が現れる。
市環境局は、「早い段階で鈴の音に反応して、人の存在に気付いているようにみえる」と分析した上で、「山中では鈴やラジオなどで音を出しながら歩くことが大事。ただ、フンや足跡を見つけたら人が引き返して」と、注意を呼びかけている。
動画は市の公式チャンネル(https://www.youtube.com/user/SapporoPRD)内で、「人を避けるヒグマ」のタイトルで公開している。
出典
『鈴に反応?ヒグマが人避ける 札幌市が動画公開』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/186480/
(ブログ者コメント)
公開されているユーチューブ画像の冒頭、「すべてのヒグマが人を避けて行動することを保証するものではありません」との注意書きがある。
2018年4月24日6時30分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年12月に起きた新幹線台車亀裂問題は、JR西日本が抱える組織の課題を改めて示した。
JR福知山線脱線事故から25日で13年。
安全という「使命」について考える。
【重圧感じる人いてもおかしくない】
複数の異音があり、焦げた臭いもした。
昨年12月、台車に破断寸前の亀裂が見つかった新幹線のぞみ34号の運行中、それらは計30回にも及んだ。
しかも、明らかな異常を、車掌ら現場の社員は認識していた。
にもかかわらず、なぜ止められなかったのか。
「あれ(台車亀裂)が起きる前までは、自分にもできれば止めたくないという思いがあった」
新幹線総合指令所(東京)の指令員として約10年のキャリアを持つJR西日本の30代の男性社員は、そう語る。
列車を停止させれば遅延が起き、払い戻しなどで莫大な損害が生じる。
「できれば止めたくない」という言葉からは、それらを起こす責任を負いたくないという思いが見える。
のぞみ34号の運行でも、さまざまな異常の報告を受けた車掌は、当初、「正常の範囲内」と判断。
指令員に「運行に支障なし」と伝えた。
その指令員は、岡山駅から乗り込んだ保守点検担当者と電話でやりとりしたが、「新大阪駅で床下点検をしたい」との申し入れを、別の対応で受話器から耳を離し、聞き逃した。
保守点検担当も、提案への回答を確認しなかった。
新幹線は、速度超過しても自動的に停止する自動列車制御装置(ATC)など、高度な安全設備に守られている。
だが、異常があった場合に「(運行の続行を)迷ったら止める」というのは、安全の基本動作だ。
「列車遅延」への懸念が、その基本動作を阻害し、重大な事案を引き起こしたのではないか。
新幹線の車掌として約20年勤務する50代の男性社員は、「今回はそれだけ判断に迷うケースだった」と推測しながら、こう指摘する。
「(遅延すれば)お客さまにすごく言われることもある。自分は仕事だと割り切っているが、重圧を感じる人がいてもおかしくない」
【上意下達に批判】
安全より経営重視。
乗客106人が犠牲になった平成17(2005)年のJR福知山線脱線事故では、JR西のそうした姿勢が問題視され、安全投資の不十分さに加え、自由な議論を許さない「上意下達の雰囲気」が批判された。
そうした教訓を踏まえ、外部機関による安全管理評価制度の導入やヒューマンエラー(人為的ミス)を懲戒処分の対象から外し、申告しやすくするなど、先駆的な安全対策を進めてきた。
だが、今回の問題は、安全対策が次々と打ち出されている一方、それを実行する現場の間には、「列車遅延に伴う影響」に重きを置く姿勢が残っていることを示した。
それは、組織としての問題でもある。
有識者会議の座長を務めた関西大教授の安部誠治(65)は、「JR西が脱線事故前に戻ったとは思わない」とした上で、「対策をとったらそれで終わりで、適正に進んでいるかという検証が不十分だった」と指摘する。
有識者会議は3月、再発防止策とともに、「(JR西は)安全第一の組織風土に変革していない」などとする提言書を公表。
安部は「新幹線で起きた部分的な問題としてとらえず、組織全体にかかわるものとしてとらえなくてはならない」と強調した。
【安全優先 浸透せず】
脱線事故から2年後の19年に開館したJR西の社員研修施設「鉄道安全考動館」(大阪府吹田市)。
館内にある過去に起きた重大な鉄道事故の原因などを学ぶ学習スペースに、今月、「異常がないことを確認できない場合は、躊躇なく列車を止める」という教訓とともに、台車亀裂問題の記述が追加された。
「自ら考え、動く」社員の育成を目的に、考動館では全社員約3万人とグループ会社員約1万人に対し、定期的に講習を実施。
これまでに社員は3巡、グループ会社員も2巡したが、今回の問題は、「安全がすべてに優先する」という理念を現場に浸透させる難しさをあらわにした。
JR西社長の来島(63)は、今月18日の定例会見で、台車亀裂問題についてこう言った。
「謙虚に受け止め、(会社の安全対策を)見直す必要がある。形だけで終わらせることなく、中身を伴うようにすることが大事。現場と一緒に進めていく」
出典
『安全という使命(上) 「自分なら止められたか…」 JR福知山線脱線事故13年 変えられなかったJR西の体質』
http://www.sankei.com/west/news/180424/wst1804240006-n1.html
以下は続編。
(中)(下)ともに文章転載は省略。
(4月25日6時30分)
(中)『加害企業に任せっきりにせず「声上げ続ける」遺族の責務 JR福知山線脱線事故13年』
http://www.sankei.com/west/news/180425/wst1804250004-n1.html
(4月26日6時30分)
(下)『「監視役」の運輸安全委員会、のぞみ台車亀裂問題で存在感示せず』
http://www.sankei.com/west/news/180426/wst1804260004-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。