2019年5月5日7時20分に福井新聞から、営巣中の写真付きで下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2019年2月から福井県の坂井市と福井市を転々としていた国の特別天然記念物コウノトリのペアが、坂井市内の電柱に“定住先”を決め、本格的に営巣した。
集落の住民が刺激しないよう申し合わせ、電力会社は地元の声に応えて集落の電気系統を迂回させるなど、地域挙げての見守りで、ペアも仲むつまじく安心した様子。
住民は「よくぞ、この場所を選んでくれた。無事にひなが産まれてほしい」と、県内55年ぶりの野外繁殖に期待を寄せている。
ペアは昨年5月、越前市大塩町の人口巣塔で有精卵を産んだ兵庫県豊岡市生まれの4歳の雄と6歳の雌。
卵はカラスに持ち去られ、近くの畑で割れた状態で見つかった。
ペアはいったん福井を離れたものの、今年2月下旬に坂井市内で行動をともにする様子が確認された。
その後、テクノポートの鉄塔(同市)や福井市波寄町の電柱など、さまざまな場所に営巣し始めたが、「コウノトリの感電やけが、停電の恐れがある」として、北陸電力は撤去してきた。
地域住民らの「地元に定着してくれたら」との声を受け、北電は「安全な形で巣を作ってほしい」と、電柱の頂上に枠を組むなど安全対策を実施。
しかし、ペアは対策を講じた場所から移動して別の場所で営巣。
「いたちごっこ」を40回以上繰り返し、4月19日ごろになって、ようやく“安住の地”を定めた。
ペアは高さ14mの電柱の頂上に枝などを集め、3日間ほどで十分な大きさの巣を作り上げた。
「巣を残してほしい」という集落の声を受け、北電は同23日、集落一帯を一時停電にして変圧器を別の電柱に新たに設置するなど、電気系統を変更する作業にあたった。
住民によると、この集落周辺の水田は、化学肥料や農薬の使用を減らす環境配慮型の農業を行っている。
田んぼでは餌となるカエルなど生き物の鳴き声が響いており、2羽は近くの畑や田んぼで餌を食べているもよう。
交尾する姿も度々見られ、最近では巣に伏せる様子も見られるという。
巣の近くに住む女性(67)は、「一時的な停電は大変だったけれど、電気工事までしてくれてうれしい。ひな誕生まで温かく見守りたい」。
集落の区長(69)は、「子どもが減る中、勇気をもらっている。毎朝顔を見られて本当にうれしい。無事に子育てに成功してくれたら」と願った。
県自然環境課は、ペアを刺激しないように150m以上離れた場所から観察することや、巣を見上げないよう呼び掛けている。
住民たちは「事故が起こることのないように、静かに見守ってほしい」としている。
出典
『電柱の巣を守るため集落が停電許可 コウノトリ営巣、子育て成功願う』
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/847748
5月8日19時5分にNHK福井からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
2羽は、ことし3月ごろから福井市や坂井市などで電柱や鉄塔にたびたび巣を作ろうとしていたが、電柱を管理する北陸電力は、コウノトリの感電や停電の恐れがあるなどとして、これまで40回あまりにわたって、巣が作られる前に枝を取り除いていた。
こうした中、今回は、電気を供給するルートが変更しやすい場所に電柱があり、「巣を残して欲しい」という地元の強い要望もあったことから、北陸電力が住民の協力のもと、付近一帯を一時的に停電にして電気の供給ルートを変更したことで、巣作りにつながったという。
8日は、メスとみられる1羽がずっと巣の中にいて、午前10時すぎにはエサを運んできたオスとみられるもう1羽がいったん巣に戻り、一時、2羽で身を寄せる様子が確認された。
その後、正午すぎに県内に飛来している別のコウノトリが巣に近づくと、2羽は威嚇するようなしぐさを見せたあと、オスとみられる方が縄張りの外に追い立てていた。
県自然環境課によると、コウノトリのつがいは、今、産卵期を迎えていて、交尾をする様子も確認されているということで、県内で野外繁殖に成功すれば55年ぶりだという。
県自然環境課は、一連の繁殖行動では不要なストレスを与えないことが大切なので、ヒナの巣立ちが確認されるまでは150m以内に近づかないよう配慮してほしいと呼びかけている。
出典
『坂井 コウノトリ野外繁殖に期待』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20190508/3050002055.html
5月9日19時52分にNHK福井からは、産卵したらしいという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県は9日、このつがいが産卵し、親鳥が卵を抱く行動が本格的に始まったとみられると発表した。
野外でのコウノトリの産卵は県内では5例目で、55年ぶりとなる野外繁殖の成功にいっそう期待が高まっている。
出典
『坂井 コウノトリ電柱の上で産卵』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20190509/3050002061.html
(2019年11月6日 修正1 ;追記)
2019年11月6日付で中日新聞から、産まれた4羽のヒナが巣立ちしたので巣が撤去されたという下記趣旨の記事が、撤去作業の写真付きでネット配信されていた。
県内で五十八年ぶりに野外繁殖した国の特別天然記念物コウノトリのひなが育った坂井市内の巣が五日、撤去された。
親の二羽とひな四羽がいずれも帰還する姿が見られなくなったため。
営巣開始から見守り続けてきた住民らは、寂しさを感じながらも来シーズンの営巣に期待していた。
巣があったのは春江町上小森の電柱の上。
県によると、巣でコウノトリが確認されたのは、十月十一日にひな一羽が目撃されたのが最後。
繁殖期が終わり、巣に戻ることはもうないと県と市が判断した。
営巣場所は、地元住民の日常生活を守り、部外者がコウノトリを刺激しないようにと、県と市が公表を控えていた。
撤去作業は県や市の担当者、北陸電力の作業員ら計十五人が当たった。
約十四メートルの電柱の上にある巣に、高所作業車二台を使って作業員が近づき、ブルーシートで受けて巣が落下しないようにした後、巣を解体しながら袋に詰めて下ろした。
十月に台風などの悪天候が続いて巣の材料が飛ばされたため、夏頃に比べて巣は小さくなっていたものの総重量は三十一キロあった。
解体した巣は病原体が付着している恐れがあることから、市が焼却処分にした。
作業を見守っていた地元住民たちは「ずっと子育てを見ていたからね。寂しいよ」「来年も来てくれるといいね」などと話しながらコウノトリと過ごした半年間を振り返った。
コウノトリのふんで汚れた道路などを毎朝清掃するなど、率先して見守り活動を続けた上小森区の前田区長(男性、69歳)は「ひなすべてが無事に巣立ってくれて本当に良かった」と感慨深げ。
鳥の習性から来年も集落内に営巣する可能性があり「住民との話し合いにもよるが前向きに受け入れたい」と話した。
現場を訪れた川元市教育長は「ひなが無事に巣立てたのは上小森の人たちの献身的な活動のおかげ」と述べ、上小森区に市が感謝状を贈ることを決めたと明かした。
https://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20191106/CK2019110602000010.html
11月5日12時36分にNHK福井からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
コウノトリのつがいが、坂井市春江町の電柱の上に作った巣では、ことし5月下旬以降に4羽のヒナが誕生し、夏には順調に巣立ちを終えて、県内では昭和36年以来、58年ぶりに野外での繁殖が実現しました。
最近では、ヒナが巣に戻ることもなくなったため、坂井市は5日、電力会社などと一緒に巣の撤去作業を行いました。
巣は、高さ40センチ、幅1.8メートルほどの大きさで、電力会社の作業員が、高所作業用の車を使って慎重に巣を取り除き、電柱から下ろしました。
現場では近所の人たちが作業の様子を静かに見守っていました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20191105/3050003340.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の3コマ。
2019年4月24日付でBBC NEWS JAPANから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
アラブ首長国連邦(UAE)の女性が27年ぶりに昏睡状態から目覚め、回復しつつある。
27年間にわたり昏睡状態だったのは、ムニラ・アブドゥラさん。
32歳だった1991年、車で学校に息子を迎えに行った際、バスと衝突し、脳に深刻な損傷を負った。
当時、わずか4歳だった息子のウマルさんは、ムニラさんと一緒に車の後部座席に座っていたが、衝突の直前にムニラさんが抱きかかえたため無傷だった。
車を運転していたのは、ムニラさんの義理の兄弟だった。
ムニラさんの昏睡状態は、その後27年間続いたが、ドイツの病院で昨年、意識を回復した。
【抱きしめて守ってくれた】
ウマルさんは、22日に掲載されたUAE紙「ナショナル」の記事で、事故の詳細やその後の母ムニラさんの治療の進捗状況について話している。
「私は決して母のことを諦めませんでした。いつの日か目覚めるのではないかと、予感が常にありました」
ムニラさんの事故の話を明かした理由については、「自分の愛する人が助かるという希望を失わないでと、昏睡状態のような状況だからといって死んでしまったとは思わないでと、伝えたかったから」だと述べた。
「母は私と一緒に車の後部座席に座っていました。事故に遭うと分かった瞬間、母は私を抱きしめて事故の衝撃から守ってくれました」
ムニラさんに守られたウマルさんは頭にあざができた程度で済んだが、ムニラさんは事故後数時間、処置が受けられずにいたという。
【長年にわたる治療】
ナショナル紙によると、ムニラさんはやがて病院へ搬送され、後に英ロンドンの病院へ移された。
ロンドンの病院では、ムニラさんは呼びかけには反応しないものの、痛みは感じる植物状態だと宣告されたという。
UAEのオマーン国境の都市、アル・アインに戻ったムニラさんは、保険の適用条件に見合った複数の医療施設を転々とした。
アル・アインに数年留まり、管を通して栄養を取り、生きながらえた。
運動不足によって筋肉が衰えるのを防ぐために理学療法が用いられた。
2017年にはアブダビにある政府機関のクラウン・プリンス裁判所が、ドイツの病院への移送費を助成する決定を下した。
ドイツの病院では、腕と脚の筋肉の深刻な収縮を治すために多くの手術が行なわれた。
また、意識の回復など、状態を改善するために投薬治療も行なわれた。
【病院での騒動】
ドイツの病院に移ってから1年後、ウマルさんはムニラさんの病室で口論していた。
これが、ムニラさんが覚醒するきっかけになったようだ。
「病室で誤解が生じて、母は私が危険にさらされていると感じたのでしょう。それが母への衝撃となりました」
「母が奇妙な音を出していたので、診察して欲しいと医師を呼び続けました。医師はすべて正常だと言っていました」
「ところがその3日後、誰かが僕の名前を呼ぶ声で目が覚めたんです。それは母でした!母が私の名前を読んでいたんです。何年間もこの瞬間を夢見ていました。母が最初に発したのが私の名前でした」
ムニラさんの反応はそれから増え続け、痛みも感じ、会話ができるまでに回復した。
今ではアブダビへ戻り、座る姿勢の改善や、筋肉の収縮を防ぐための理学療法を中心に、リハビリを受けている。
【珍しい事例】
数年間におよぶ昏睡状態の末に意識が戻るケースは少なく、回復には長い時間を要する。
イギリスの国民医療保険制度、国民保健サービス(NHS)によると、意識障害に陥った人の回復可能性を予測するのは不可能だ。
意識を取り戻したとしても、脳の損傷による深刻な障害が残ることが多い。
著しい回復の事例としては、19歳の時に自動車事故に巻き込まれ、ほとんど植物状態のまま19年間を過ごした後に劇的に回復した、米国人男性のテリー・ウォリス氏のケースがある。
ウォリス氏の場合、脳組織が再生したのだろうと思われている。
2013年にはF1の元世界チャンピオンのミハエル・シューマッハさんがフランスでスキー事故に遭い、脳に損傷を負った。
治療のため薬物誘導による昏睡状態に置かれ、半年後に治療継続のためスイスの自宅に移送された。
出典
『昏睡状態のUAE女性、27年ぶりに目覚める』
https://www.bbc.com/japanese/48033282
2019年4月23日13時53分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が訓練風景の写真付きでネット配信されていた。
大阪府茨木市の関西電力配電研修センターで、4月に入社した同社の新入社員たちが、電柱にのぼる「昇柱(しょうちゅう)訓練」に取り組んでいる。
事務系などを含む全部門の322人は、配電の仕組みを知るために、一度はこの訓練を受ける慣例となっている。
新人たちは緊張した表情で、高さ11.7mの電柱に昇ったり降りたりを繰り返していた。
最近は台風などの自然災害も多く、停電を早く正確に復旧させることが求められている。
送電部門に配属される社員は、約10カ月の研修期間中、毎日のように訓練に取り組むという。
同センターの角田・副長(43)は、「初めはぎこちなくても、研修が終わる頃には、20分で5往復できるくらいに上達します」と話している。
出典
『新入社員が電柱の昇り降りに挑戦 関電で研修中』
https://www.asahi.com/articles/ASM4Q4DC9M4QPQIP009.html
2019年4月19日付で毎日新聞東京版夕刊から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
国内外で人気の高い瀬戸内国際芸術祭が今月開幕する香川県・小豆島。
玄関口となるフェリーターミナルのアートトイレのドアについて、総務省四国行政評価支局(高松市)が「識別しづらい」と指摘した。
ドアノブが奇抜な白黒模様と重なり、視覚障害者らには見えにくい状態となっている。
芸術祭の開幕は26日に迫るが、改善は間に合わず、現状のまま来場者を迎えることになりそうだ。
芸術祭は2010年から3年に1度、主に香川県内の島々を会場に開催し、多彩な芸術作品の展示やイベントがある。
今回は11月上旬まで春、夏、秋の会期があり、県などでつくる実行委は、延べ約100万人の来場を見込む。
指摘があったトイレは、小豆島・土庄港フェリーターミナル(同県土庄町)1階にある。
管理する町によると、前回芸術祭が終了した後の16年秋、「ART no SHOW TERMINAL(アートノショーターミナル)」と銘打ち、デザイナーのコシノジュンコさんの事務所が監修して、ターミナルを改装した。
トイレも、元々白いタイル張りだったが、アーティスト・田中秀和さんの絵画作品「緊張と解放の図面」を印刷したシートをドアや壁に貼った。
曲線や丸などの文様がモノトーンで表現されている。
事業費は約90万円。
芸術祭を控え、施策のチェックを行う同支局が昨年8月、来場者が多く見込まれる港施設をバリアフリーの観点から点検。
視覚障害者の女性とトイレを訪れた際、使いづらいとの声が上がった。
金属製のドアノブは改装前から使われているが、細身で緩くカーブしており、背景のデザインと重なって判別しづらかった。
同支局は、周辺歩道の段差、案内表示の小ささなどと併せて、町に指摘した。
町は改善を図る予定で、
▽シートをはがして白い壁に戻す
▽視認性の高いドアノブの形状・色に変える
などの対策を想定。
ただ、作品の撤去やイメージの変更は作家への説明も必要で、時間がかかるという。
町商工観光課の担当者は、「指摘を謙虚に受け止め、不自由のない形にする。障害者団体に相談するなどし、優先順位を付けて直したい」と話している。
出典
『トイレ 用途よりアート? 芸術祭開催の香川・小豆島、奇抜さがアダ 模様重なり視覚障害者「不便」』
https://mainichi.jp/articles/20190419/dde/041/040/015000c
(ブログ者コメント)
本件、安全とは関係ない事例だが、本ブログでは過去、芸術作品が事故につながった事例を2件掲載している。
2016年 新宿区で木製ジャングルジム火災
2014年 青森市でアクリル板で囲まれた自動車の排ガスを吸って死亡
それと軌を一にするところがあるのではないかと感じたので、参考までに紹介する。
2019年4月17日付で河北新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
酒田市が市監査委員による2018年度行政監査で、職員の防災意識が「相当低い」と指摘され、抜本的な改善を求められていたことが16日、分かった。
災害時の初動態勢を過半数が理解していないなどの問題点が判明。
酒田大火から40年以上が経過するなどし、職員の危機感が薄れた現状を厳しく問われた。
3月末に公表された監査結果によると、監査委員は、市地域防災計画の初動態勢の実効性を検証。
職員881人対象の意識調査で、どんな災害が発生したら非常配備などに就くのかという招集基準を把握していない職員の割合は53.1%と、過半数を占めた。
招集時にすぐ持参できる自分用の携行品を準備していない職員も86.9%に上った。
43.8%が担当避難所の運営マニュアルを持っておらず、37.0%は鍵の保管場所を知らなかった。
市や自治会主催の防災訓練に参加したことがない職員は42.8%もいた。
監査委員は職員の現状について、「認識が甘い」、「初動態勢が整わない恐れがある」、「準備不足だ」と厳しく批判。
市に対して、職員の防災意識を向上させるよう、強く求めた。
意識調査の回答率が44.0%にとどまった点についても、監査委員は防災意識低下の表れだとして問題視した。
17年度行政監査で実施した「庶務事務システムの運用状況に関するアンケート」で、関係職員842人の回答率が92.9%だったのとは対照的だった。
監査はこのほか、一部の防災資機材の倉庫が津波や洪水の浸水想定区域内に設置されていることを不適切だと指摘した。
酒田市は年間を通して風が強く、1976年に発生し1774戸が焼けた酒田大火など、大規模火災が歴史的に多い。
国内7位の長さの最上川河口に位置し、昨年8月の豪雨で避難指示を出すなど、洪水も繰り返してきた。
市の担当者は、「大災害が起きるという現実感が職員の間で希薄になっていた。年度内に災害発生時のより実践的な行動計画を作るなどして、災害対応の改善を図りたい」と話す。
出典
『酒田市職員の防災意識「相当低い」 市監査委が抜本改善求める』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190417_51014.html
2019年4月13日16時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
燃料を積んだタンクローリーにホースで直結できる移動式の給油機を、兵庫県姫路市の石油販売会社が開発し、販売を始めた。
東日本大震災で多くのガソリンスタンド(GS)が被災し、給油できない状況を目の当たりにした社長が「タンクローリーをGS代わりに」と考えた。
資源エネルギー庁によると、タンクローリーと直結してガソリンも扱える給油機は、全国で同社製が初めて。
災害時だけでなく、GSの廃業が相次ぐ過疎地の給油対策でも活用が期待されるという。
名称は「どこでもスタンドⅡ」。
見た目も操作方法も、広くGSに普及している給油機とほぼ同じ。
転倒を防ぐため約400kg重さがあるが、クレーンでつる金具やフォークリフト用の穴を備え、トラックで運べる。
危険物を扱う資格を持つ運転手がタンクローリーを横付けし、耐油ホースでつなぐと即席のGSができる。
開発したのは「横田瀝青(れきせい)興業」。
同社は、2011年の東日本大震災の発生直後から2カ月余りの間、携帯電話基地局の発電機や緊急車両、重機などの燃料をタンクローリーで連日、宮城県へピストン輸送した。
横田社長(57)は、全国から救援に駆けつけたタンクローリーの多くが、震災で倒壊・水没したGSにガソリンや軽油を下ろせない状況を見た。
タンクローリーと直結できる移動式給油機の開発を思い立ち、GS用の給油機メーカーに改良を依頼。
14年3月に初期型を完成させた。
消防法は、GSなどの施設以外での給油を、原則、認めていない。
しかし、地元消防から10日以内に限って給油できる例外規定を適用してもらえば、タンクローリーに直結する移動式給油機を運用できる。
同社は関西の自治体などに売り込んだが、「前例がない」としてなかなか採用されず、初期型は16年に姫路市が災害時の公用車への給油用に1台を約770万円で購入しただけだった。
改良版の「Ⅱ」は、素材をアルミからステンレスに変更し、重さを約100kg増やして安定性を高めた。
車の衝突防止用ポールを土台の4隅に立てるなどして、安全性も向上させた。
昨年11月、総務省消防庁の外郭団体「危険物保安技術協会」による性能評価で安全性が確認された。
車の燃費性能向上などで全国的にGSの廃業が相次ぐなか、地下タンクなどの建設が必要なく、空き地などに短時間で設置できる同社の移動式給油機に、国も注目している。
資源エネルギー庁は昨年11月~今年1月、浜松市の山間部で実証実験をした。
同庁石油流通課の担当者は、「過疎地などでGSがなくなり車を動かせなくなれば、死活問題になる。日帰り給油販売などに活用できる」と期待する。
総務省消防庁は昨年12月、「(例外規定を認めても)差し支えない」と各都道府県に通達した。
1台の価格は消火器などもセットで1000万円。
問い合わせは同社(079・233・0555)へ。
出典
『タンクローリー、どこでもスタンド 災害時も過疎地でも』
https://www.asahi.com/articles/ASM3G6G3HM3GPIHB01V.html
(ブログ者コメント)
〇以下は、製造元の横田瀝青工業が作成したと思しき、同設備に関する説明資料。
出典は不明だが、urlから推察するに、経産省の会議か何かで使われた資料なのかもしれない。
『タンクローリー直結型緊急時用計量機 「どこでもスタンド」』
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/jisedai_nenryo/pdf/002_03_00.pdf
〇浜松市山間部での実証実験は、本ブログでも昨年11月に紹介スミ。
2019年4月10日18時4分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
九州電力グループのニシム電子工業(福岡市)は、災害時に活用できる電源やくみ取り不要の移動式水洗トイレ「TOWAILET(トワイレ)」を開発した。
微生物による汚物分解などの独自技術によって、洗浄水の無臭化・再利用を実現。
今年7月から自治体や企業向けに販売を始める。
トワイレは、排せつ物を細かく粉砕したうえで、数10種類の微生物がいる処理ユニットで数時間かけて分解。
さらに、最先端のフィルター技術で不純物を取り除いて洗浄水を無臭化し再利用することで、汚物はほとんど発生せず、くみ取りの手間がかからない。
太陽光パネルと蓄電池を搭載し、フルに充電すれば、最低でも3日間の稼働が可能だ。
標準タイプは洋式トイレを備えた男女1部屋ずつで、価格は約1800万円。
普段は公共スペースなどで利用してもらい、災害が発生すれば被災地に運搬することを想定している。
災害時に電気や水道が止まった場合、トイレがあふれるなどして衛生環境が悪化し、感染症が広がるなどの恐れがある。
2011年の東日本大震災の際に、被災地で救護活動に携わった熊本赤十字病院(熊本市)は、平時と災害時ともに役立つトイレを公共施設に設置する案を提唱。
同じく被災地支援に当たった九電と共同開発に着手し、傘下のニシム電子工業がトワイレの開発に成功した。
17年7月の九州北部豪雨や昨年7月の西日本豪雨の際には、被災地の病院などに開発中の移動式トイレを設置。
被災者やボランティアからは、「キレイで使いやすく、ストレスなく使えた」、「清潔感があって助かった」などの感謝の言葉が寄せられた。
ニシム電子工業営業統括本部の稲田副本部長は、「電源も不要の移動式トイレは画期的。大きな災害が国内で増えており、ニーズは高まっている」と話している。
出典
『電源、くみ取り不要「移動式トイレ」開発 平時と災害時ともに役立てる』
https://mainichi.jp/articles/20190410/k00/00m/040/143000c
2019年4月9日付で信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事が計測器の写真付きでネット配信されていた。
測量会社の共栄測量設計社(長野市)は信州大工学部(同)と共同で、地中の水道管の位置を正確に割り出す計測器を開発した。
水道管を補修する際に管の位置を把握するための試掘の手間を省き、作業を効率化できる。
高度経済成長期に整備された上下水道管は全国的に老朽化が進んでおり、自治体などの計測需要は拡大する見通し。
コストを抑えて競争力を高め、受注の取り込みを狙う。
同社によると、水道管の埋設から数10年が経過すると、宅地開発などで地上の環境が大きく変わり、管の正確な位置や地表からの深さが分からなくなる場合がある。
地表から地中に超音波を出す装置を使って管の位置を調べる方法もあるが、深さが2mを超えると正確な検知が難しい。
このため試掘が必要なケースが多く、その分、時間や費用がかかるという。
開発した計測器は長さ約3mで、一定の長さのアルミ材を関節で連結し、各関節に角度センサーを組み込んだ。
内径15〜25cmの管を調べる小型器は10cmおき、同25〜80cmの管を調べる大型器は40cmおきに関節が曲がる。
計測器を管に通し、上下や左右に曲がった角度を解析することで、管の位置や深さが検出できる。
計測する際は、まずワイヤを取り付けた自走式カメラを水道管の中に走らせ、撮影しながら管内にワイヤを張る。
このワイヤを計測器に取り付け、反対側からワイヤを巻き取りながら管の中を通す。
計測器は防水仕様で、管の内径に合わせて常に中心部を通るように、タイヤ付きの特殊な固定具も開発した。
共栄測量設計社は県の相談を受けて、2010年にこの計測技術の開発に着手。
11年から千葉工業大(千葉県習志野市)、16年から信大工学部の高山潤也准教授と共同で研究を進めてきた。
地下を通る農業用水路の管についても、補修に伴う計測の需要があると見込んでいる。
同社の18年6月期の売上高は約2億3000万円。
レーザーやソナー(音波探知機)を使った特殊な測量を得意とし、営業エリアは全国に及ぶ。
山本社長は、「カメラの画像と計測器の位置情報を組み合わせれば、補修が必要な場所がピンポイントで分かる。埋設管の老朽化に直面している自治体や企業に技術をアピールしたい」としている。
出典
『地中の水道管 掘らず位置把握 共栄測量設計社と信大』
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190409/KT190408BSI090002000.php
2019年4月2日2時13分に北國新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
富山市の森市長は1日の定例会見で、富山城址公園の新たなカラス対策として、カラスに侵入禁止を呼び掛ける警告看板を設置する考えを示した。
看板を見た人を公園内のカラスに注目させ、人の視線を嫌がる習性があるとされるカラスを追い払う作戦。
7月には餌やりを禁止する「カラス被害防止条例」も施行する予定となっており、あの手この手で厄介者の撃退を狙う。
市によると、岩手県大槌町の東大大気海洋研究所では数年前から「カラス侵入禁止」を呼び掛ける張り紙を掲示したところ、カラスが寄り付かなくなった。
張り紙を見た人がカラスに向けた視線に恐怖を感じたとみられる。
市は、同研究所の成功例を参考に、城址公園内に6カ所程度の看板を年度内に設置する予定だ。
看板には「カラスニ告グ ココデ餌ヲ食ウベカラズ」や「カラス居座り禁止」といった文字を記すことを検討している。
市は、2017年10月から市中心部で檻によるカラスの捕獲対策を強化。
これまでに3000羽超を捕獲したが、カラスとのいたちごっこは続いている。
森市長は、「いくらカラスが利口だからといって、侵入禁止の意味を理解するとは思わないが、人の視線には敏感なようだ。心理作戦に取り組んでみたい」と話した。
出典
『カラスに「侵入禁止」 富山市、城址公園に警告看板』
https://www.hokkoku.co.jp/subpage/T20190402205.htm
(ブログ者コメント)
大槌町の事例は本ブログでも2017年5月に紹介スミ。
2019年3月31日6時0分に琉球新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
不発弾の磁気探査などを手掛ける沖縄設計(沖縄市)は、磁気探査のデジタル化に取り組んでいる。
磁気探査の記録は調査現場で紙に出力するのが通常の方法だが、パソコンへの出力を可能にした。
現場から事務所へのデータ送信が可能になったため、現場で作業を続けながら事務所で報告書作成ができるようになった。
また、記録にかかっていた膨大な紙とペン芯が不要になり、コスト削減となった。
不発弾の検出調査は、調査地点上で磁気への反応を拾うコイルを動かし、その反応を記録計の紙に出力する。
同社の場合、紙とペン芯だけで年間約100万円はかかり、一つの現場で20万~30万円分を消費することもあるという。
これらをすべてパソコン出力に変えた。
データの蓄積に関しては、膨大な量の紙をコピーするには時間と費用がかかるため難しく、調査の発注先へ記録を提出する義務があるため、手元にデータが残らないという問題があった。
パソコンに記録すれば簡単にコピーでき、記録を残せる。
現在は、データの解析のAI化に取り組んでいる。
紙に記録したデータは、人が目盛りを数えるなどして深さや磁気の強さを解析するため、作業員の負担となっていた。
これらをパソコン上で自動解析できる仕組みづくりを目指している。
玉城社長は、「不発弾処理はあと70~80年はかかるといわれているが、30年で終わらせたい。コストや時間を削減した分、人材育成にも充てることができる」と話した。
出典
『不発弾検出 デジタル化 コスト、時間が大幅減に』
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-896603.html
(ブログ者コメント)
沖縄などで工事中に不発弾が見つかったという事例は、本ブログでも何件か紹介スミ。
2019年3月31日4時26分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
突然、意識を失うこともあるてんかんの発作。
フランスなどの研究チームは、発作に伴って生じるわずかなにおいをイヌが嗅ぎ分けることができたと発表し、においの分析を進めることで発作や予兆を感知できる可能性があるとしている。
フランスのレンヌ大学などの研究チームは、糖尿病やがんに特有のにおいがあると言われていることに注目し、てんかんにもにおいがあるかを確かめようと、患者5人から、
▽発作を起こしたとき
▽運動をしたとき
▽落ち着いているとき
の汗などのにおいを採取した。
そして7つの缶にそれぞれのにおいを入れて、特殊な訓練を受けた5頭のイヌに9回ずつ嗅がせた結果、3頭は100%、残る2頭も67%の確率で、発作時のにおいを突き止めたという。
研究チームは、この研究結果をイギリスの科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版で発表し、「イヌがにおいを嗅ぎ分けているのは明らかで、てんかんの発作にともなう特異的なにおいが存在することが示せた」としている。
そのうえで、てんかんの発作が起きた時にどのようなにおいの成分が発生しているのか分析をすすめることで、発作やその予兆を感知できるようになる可能性があるとしている。
出典
『犬は「てんかん」発作のにおいを嗅ぎ分ける?』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190331/k10011867571000.html
(ブログ者コメント)
自動車運転時にてんかんの発作が起き、事故につながったという事例は、しばしば発生している。
報道されていないだけで、産業現場でも起きているかもしれない。
研究の進展が望まれるところだ。
2019年3月30日付で中日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
経済産業省、総務省消防庁、厚生労働省は、石油化学コンビナートなどのプラント設備の点検に小型無人機(ドローン)を活用する場合のガイドラインを取りまとめ、29日に公表した。
保守点検でのドローンの積極的な活用が想定され、石油化学コンビナートが多く立地する四日市市でも導入に向けた動きが進むとみられる。
さまざまな業界でドローンの活用が進む中、化学メーカーの事業者も導入を模索してきた。
しかし、プラントでドローンを飛行させる際の手順などルールが整っておらず、プラント事業者を監督する側の消防は、爆発や火災を防ぐ観点から飛行に慎重姿勢を取らざるを得ない状況だった。
ガイドラインでは、背景や目的、航空法や電波法の適用などの項目のほか、ドローン活用の流れを明示。
通常運転や災害時などのドローン活用の手順、リスク対策の留意事項を整理してある。
使用する機体や操縦者の要件、飛行計画書の作成と提出などについても触れている。
公表に先立ち、四日市市消防本部は28日、消防のドローンを使った飛行実験訓練を実施。
同市の化学メーカーJSR四日市工場内で、稼働中の動力プラント付近からドローンを上空に飛ばし、配管の様子をモニターに映し出した。
近隣の同業者数社の担当者も、訓練やモニターの映像を確認。
「結構、きれいに映る」などの声が上がった。
経産省産業保安グループ高圧ガス保安室の担当者は、「プラントの保安力を向上させていく上で、ドローンは重要なツール」と言う。
ドローンが保守点検に活用できるようになれば、高所点検の容易化や作業費用のコストカットに直結し、目視では見つけることができないサビや補修箇所の発見など、プラントの安全性の向上にもつながる。
JSR四日市工場の橋本保安防災部長は、「ドローンの活用で、より安定して、より安全な操業ができる。点検のほか、敷地内のパトロールへの利用など、さまざまな可能性がある」と力を込めた。
ドローンを活用した写真や映像を蓄積させてデータ化することで、人工知能(AI)で修理が必要な箇所の洗い出しなど、一層効率化が図られる期待もある。
出典
『コンビナートでドローン 四日市消防が飛行実験訓練』
https://www.chunichi.co.jp/article/mie/20190330/CK2019033002000046.html
3月29日付で日本経済新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
経産省は、ドローンの利用に関する規制を緩和する。
電子機器を搭載するドローンは、コンビナート内での使用が発火の恐れから難しかったが、5月から施設の点検など、より広範囲に使えるようにする。
厚労省、消防庁と共同で、29日に「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン」を公表する。
コンビナートで電子機器利用が制限されている区域を見直し、ドローンを持ち込める範囲を広げる。
プラント内でもIT(情報技術)を使い、作業の効率化を進める狙いだ。
コンビナートで作られる石油製品の需要は鈍化が避けられない。
経産省によると、17年度から22年度までに国内のガソリンや軽油などの需要は8.4%減る。
こうした産業の設備は高度成長期に整備を進め、老朽化が進んでいる。
ドローンを使い、より頻繁に設備の状態を確かめられれば、重大な事故につながる不備を見つけやすくなる。
ドローンの関連企業からは、「詳細な点検まで可能になれば、100mの塔で1回1億円程度かかっていた点検コストが数100万円まで下がる可能性がある」との声が聞こえる。
災害時に設備に異常がないかを確かめる際に、作業員を危険にさらすことなく点検できる。
出典
『コンビナート点検、ドローンで可能に 経産省が規制緩和』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43032600Y9A320C1EE8000/
※以下は経産省HP3月29日付の記事。
経済産業省は、プラント保安分野におけるドローンの安全な活用の促進に向け、平成31年3月13日、消防庁、厚生労働省と連携し、プラント内でドローンを安全に運用するための「ガイドライン」と、国内外企業の先行事例を盛り込んだ「活用事例集」をとりまとめました。
これにより、プラントにおけるドローンの活用が加速し、保安力の更なる向上が期待されます。
・・・・・
『プラント保安分野におけるドローンの安全な活用の促進に向け、「ガイドライン」と「活用事例集」をとりまとめました』
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190329008/20190329008.html
2019年3月13日13時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が解説図付きでネット配信されていた。
大地震に見舞われた後、今いる建物は安全か。
余震には耐えられるのか――。
地震大国の日本で繰り返し問題になる、被災した建物の診断技術の開発が進んでいる。
速やかな判定は、住民の避難の判断や、いち早い復旧に役立つ。
東日本大震災が起きた8年前の3月11日。
東京大学地震研究所の楠(くすのき)浩一教授(建築構造)は、当時勤めていた横浜国立大(横浜市)の研究棟で大きな揺れに見舞われた。
建物は鉄筋鉄骨コンクリート造りの8階建て。
耐震改修済みとはいえ、強い揺れにたまらず、学生らと外に飛び出した。
揺れがおさまると、建物に置いていた「あの装置」の判定記録を確かめた。
「建物は損傷しているが、同じ大きさの余震が起きても倒壊しない」。
記録から、すぐに建物の状態を読み取れた。
落ち着いてから調べると、建物はわずかなひびが入った程度で、装置の判定結果と実際の被害はよく合っていた。
この装置は、大きな地震の後、建物が安全かどうかを瞬時に判定するシステムだ。
楠さんたちのチームが開発した。
仕組みはこうだ。
建物に取り付けた加速度計で、地震の揺れの強さを表す「加速度」を測る。
この情報を、別の「評価装置」にネット回線を通じて送り、建物がどれくらいずれたかを計算ではじき出す。
評価装置には、建築基準法に基づく建物の構造情報のデータを入力してある。
次に同じ強さの余震が来た場合、倒壊する恐れがあるかどうかを瞬時に判定する。
地震直後に、「倒壊する・危険」、「倒壊しない・安全」、「損傷なし」という3段階の評価結果が、指定したアドレスにメールで送られてくる。
建物に置くのは、加速度計とLAN(ラン)回線などでつないだ評価装置だけ。
国の研究機関などが観測に使う加速度計は1台100万円以上するが、楠さんたちの装置はセットで8万円ほど。
数学的手法を採り入れて精度を高めることで、ノイズの影響を受けやすい弱点を克服した。
楠さんは、「将来的には5万円程度を目指し、多くの人が使いやすいようにしたい」と話す。
地震後に停電が起きた場合にも使えるシステム作りも進めている。
現在、システムの導入先は東大地震研を含む国内外の大学や展示場の住宅、長崎市の軍艦島など約40カ所に広がっている。
【自動見極め判定システムに期待】
大きな地震があった直後、建物が安全かどうかは、現状では目視で判定している。
建築士の資格を持つ人らが調べる「応急危険度判定」だ。
判定士が建物を見て回り、「危険」、「要注意」、「調査済」の3色のステッカーを貼って注意を促す。
これを目安に、住民は避難したり、店舗はすぐに営業できるかを決めたりする。
ただ、被災が広範囲に及んだ場合は人手が足りず、調査がなかなか進まない。
1995年の阪神淡路大震災では、家屋の安全確認が遅れ、避難所が住民であふれかえったという。
2016年の熊本地震でも、同様の問題があった。
被災した建物の状態を自動で見極める判定システムは、こうした問題を解決する手段として期待されている。
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)などは、17年度、近い将来起きるとされる首都直下地震に備え、様々なデータを防災や被災後に生かす産官学のプロジェクトを始めた。
テーマの一つに、建物の判定システムの仕組みづくりが採用された。
楠さんもメンバーに加わる。
責任者の一人、早稲田大の西谷章教授(スマート構造技術)は、「加速度計の設置位置や設置個数、地震による建物のずれを測る方法などは、まだ精査が必要」という。
西谷教授らは大手ゼネコンと共同で、加速度計を使わずに判定する技術の開発も進めている。
特に迅速な判断が求められる病院や避難所、被害を受けやすい木造住宅などを対象に、最適なシステム作りを目指すという。
【防災を「錦の御旗」に情報共有】
判定システムには課題もある。
「独自に加速度計を備えている建物はけっこう多い。でも、それを使わせてもらうのが難しい」。
2月末、都内で開かれた成果報告会で、プロジェクトを統括する平田直(なおし)・東京大教授(観測地震学)は指摘した。
判定システムは、最終的には地域での広域利用を目指している。
地震後に個々の建物の被害を一括して共有できれば、地域全体に広がる被害の全体像を効率よく把握できる。
こうした情報は、患者の搬送や避難所の設営、物資の配送など、さまざまな場面で役立つと期待される。
しかし、防災や研究のために大学や研究機関などが設置している加速度計とは異なり、民間企業などが設置した機器のデータは、必ずしも共有できるとは限らない。
官民で集めたデータの活用が、今後の取り組みの目標だ。
平田さんは、「防災を『錦の御旗』にして情報共有を進め、新しい価値を生み出したい」と話した。
◇
〈応急危険度判定〉
地震発生直後に、建物の倒壊などによる二次災害を防ぐため、自治体に登録された判定士が、建物の安全度を判定する。
被災者が公的支援を受ける「罹災(りさい)証明」発行のための調査とは異なり、法的根拠はない。
被災した建物を使い続けられるかどうかを見極める判断材料になる。
◇
〈建築基準法の耐震設計〉
1981年に改正された建築基準法の耐震基準では、建物の耐震設計について、震度6強クラスの揺れにも耐えるよう求めている。
建物の利用中に極めてまれに起きる大地震に対しても倒壊しないことが条件で、建物にひびや亀裂が入っても、中にいる人の命が守れるような設計が義務づけられている。
出典
『大地震、揺れたら建物大丈夫? 倒壊リスクを瞬時に判断』
https://digital.asahi.com/articles/ASM2G5R1ZM2GULBJ015.html?rm=434
2019年3月12日6時30分に西日本新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前9時すぎ、長崎県諫早市や長崎市東部を中心に、「大きな爆発音がした」との通報が警察や消防に相次いだ。
窓ガラスが震えるような風圧や地響きを感じた人も多数いたが、県危機管理課によると、けが人や家屋の被害は確認されていない。
原因は依然として不明のままだという。
警察によると、両市境に近い九州新幹線西九州(長崎)ルート・平間トンネル(968m)の出入り口近くで同時刻、コンクリートの吹き付け作業中にパイプが破裂。
当初は発生源かと思われたが、事業主体の鉄道・運輸機構は、「広範囲に爆発音が広がるような破裂ではない」と関連を否定した。
近隣でも発破作業などは確認されず、警察は調査を打ち切った。
諫早市役所には午前中だけで100件以上の問い合わせがあり、「爆発音の後、飛行機の音が聞こえた」との内容も複数あった。
このため、戦闘機などが音速を超えた際に衝撃波と大音響が生じる「ソニックブーム」の可能性を指摘する声も。
これに対し、長崎空港や九州防衛局は「該当するような情報は把握していない」としている。
出典
『謎の爆発音通報多数 原因分からず 長崎、諫早』
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/493472/
3月11日18時21分にテレビ長崎からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前9時半ごろ、長崎市や諫早市の住民から「ドンという音がした」「家が少し揺れた」などの通報や問い合わせが、警察や消防に相次いだ。
大きな音は、県南部の広い範囲で確認されたとみられるが、発生源はわかっていない。
音を聞いた人;
「トラックが落ちたのかなというくらい大きな音」
「ドカンとダイナマイトの爆発かと思った」
2つの市では、この時間、九州新幹線西九州ルートの建設工事や高速道路の舗装工事などが行われていたが、県やNEXCO西日本によると、大きな音や振動を伴うような工事はなかったという。
午前9時過ぎには、長崎市平間町の新幹線の工事現場でポンプ車の配管が破裂するという事故が発生したが、鉄道・運輸機構によると、「今回の音や振動との関連は無い」という。
警察などが引き続き原因を調べている。
出典
『長崎市・諫早市で爆発音?』
http://www.ktn.co.jp/news/20190311237245/
3月11日17時7分に朝日新聞からは、コンクリートポンプ車のパイプ破裂事故などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
11日午前9時半ごろ、長崎県諫早市役所などに「爆発のような大きな音がした」、「家や窓が揺れた」といった通報が相次いだ。
諫早市や地元の消防によると、通報や問い合わせは30件以上あった。
長崎市や長崎県大村市にも、同様の通報が数件ずつ寄せられた。
県や気象台なども、関係する被害や災害は確認していないという。
警察によると、同日朝、長崎市平間町の九州新幹線西九州ルート平間トンネルの工事現場で、コンクリートをまくポンプ車のパイプが破裂する事故があった。
平間トンネル出入り口の壁にコンクリートを吹き付ける作業の最中で、コンクリートを出す圧力が強すぎたことが原因とみられる。
破裂によるけが人はいないという。
工事を手がける鉄道建設・運輸施設整備支援機構九州新幹線建設局(福岡市)が、パイプの破裂の詳細を確認している。
また、パイプの破裂とは別に、現場の作業員からは「大きな音を聞いた」という話も出ているといい、警察が関連を調べている。
出典
『長崎新幹線の工事現場で爆発音 工事車のパイプが破裂か』
https://www.asahi.com/articles/ASM3C435KM3CTOLB00J.html
2019年3月2日19時0分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大学の研究室のドアを開けた先にあったのは、バスケットボールのゴールを取り付けたゴミ箱や、映画「ローマの休日」にも出てくる彫刻「真実の口」を模したライオンの頭。
何の研究か分かりますか――。
(写真)
「経済学部の教授の部屋には見えないですよね」とつぶやく大阪大の松村真宏教授(43)。
ちょっとした工夫をきっかけに、人がある行動を起こす「仕掛(しかけ)学」の第一人者だ。
単なるゴミ箱は、バスケットのゴールを付けただけで、持っているゴミを放り込みたくなる標的に早変わりし、路上ポイ捨てを防ぐことにつながる。
ライオンの真実の口は、映画のオードリー・ヘップバーンのように手を中に差し入れると、消毒液が吹き出る仕組み。
病院で好評だった。
研究対象は、このように「つい、してみたくなる」を引き出すメカニズムだ。
経済学らしく定義すると、
〇誰も不利益を被らない「公平性」
〇行動が誘われる「誘引性」
〇仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる「目的の二重性」
の3つを満たすものとしている。
もともとは、人工知能(AI)の研究者だった。
多くの競争相手が集う分野は「自分がいなくても成長する。誰もやっていない研究を開拓したい」。
そんな考えを巡らせていた2006年、天王寺動物園(大阪市)で見た、ある筒が転機となった。
望遠鏡のような筒を子供が次々にのぞき込む。
そこにあるのは象のフンの模型。
子供が進んでのぞき込む工夫に衝撃を受け、研究対象に決めた。
仕掛学は、先行研究はほとんどなかった。
学会で発表しても、「学問ではない」という厳しい指摘もあった。
それでも研究を続け、集めた仕掛けは600例以上に上る。
16年に一般向けに成果をまとめた解説本が、注目を集めるきっかけとなった。
民間企業から共同研究の依頼が舞い込み、子供にも分かりやすいとあってか、教育分野からも引っ張りだこだ。
仕掛けは、アイデアさえあれば子供でも作れる垣根の低さはあるが、「大学で研究することの意味は、効果を検証すること」と力説する。
仕掛けと効果の関係が見えてくれば、経済学などあらゆる分野に応用することが可能になる。
人は何に突き動かされて行動するのか。
AIだけでは説明できない人の心と行動の関係を解きほぐしていく学問は,緒に就いたばかりだ。
【松村教授をもうならせた仕掛け5選】
実は、私たちの身の回りは「仕掛け」でいっぱい。
松村教授が国内外で集めた600以上の事例の中から、5つピックアップした。(写真はいずれも松村さん提供)
①ファイルの背表紙のライン
(写真)
ファイルボックスの背表紙に斜線を1本引くと、順番通りに並んでいるか一目で分かる。
ラインが乱れていると気になってつい直したくなり、整理整頓が進む。
②駐輪場に引かれた斜めのライン
(写真)
駐輪場にひかれた線が斜めになって、つい、線に沿って自転車を並べてしまう。
垂直に線を引くよりも通路側へのはみ出しが少なくなる工夫だ。
③男性用トイレの的
(写真)
小便器内に的をつけることによって、つい、的を狙いたくなり、便器外への飛び散りを減少させる。
ハエの的を付けたオランダの空港のトイレでは、飛散が80%減少したとの報告もある。
④ピアノ鍵盤模様の階段
(写真)
エスカレーターの横にある階段が、ピアノの鍵盤に見立てて白黒に塗装されている。
センサーやスピーカーが設置されていて、階段を踏むと実際に音が鳴るという。
階段を上ることで、運動不足の解消につながる。
⑤コインスライダーの付いた募金箱
(写真)
手前と奥に見えるスライダーにコインを入れると、斜面を加速しながら滑り落ちて、真ん中の穴から募金箱に入る仕組み。
遊びと募金を、うまくつないでいる仕掛け。
出典
『「してみたくなる」の謎を追う 大阪大の松村真宏教授』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41875790Y9A220C1CC1000/?n_cid=NMAIL007
※少し前、2018年11月20日9時0分に産経新聞からは、松村教授が行っている実証実験などについても、下記趣旨でネット配信されていた。
・・・・・
【試食を増やすには・・・】
松村教授は学生らとともに、さまざまな実証実験に取り組んでいる。
大学近くにあるパン屋は、ある悩みを抱えていた。
「お客さまがなかなか試食してくれない」。
一度試食したら「商品を買わなくてはならない」とのプレッシャーを客が感じてしまうことが原因とみられていた。
これは「返報性の原理」と呼ばれている現象だ。
誰かから何かをしてもらったら、お返しをしないと申し訳ない感情が働く心理という。
そこで松村教授らは、複数の試食用パンを用意し、試食後にどちらがおいしかったかを、つまようじで意思表示できる方法を考案。
心理的なハードルが生まれやすい通常の試食を、アンケートや投票といった形に変えた。
その結果、通常の試食と比べ、意思表示型の方が、客に試食される回数が増えたことが分かったという。
【傘の盗難防止にも仕掛け】
対照的に、特定の行動を「させない」ようにいざなう仕掛けもある。
傘置き場に置いていた傘を誰かに盗まれ、ショックを受けた経験は誰にでもあるだろう。
そこで盗難防止のために考案したのが、傘の盗難に関するアンケート用紙を傘置き場に張る、という仕掛けだ。
質問内容は「これまで傘を盗まれたことがありますか」というもの。
見た人はシールを張って「はい」か「いいえ」に投票する仕組みになっている。
「誰かに見られているんじゃないか」との感覚が人間の行動を律する可能性があるとみており、詳しい結果は現在検証中という。
【社会問題解決目指して】
まだ明らかにできない実験を含め、松村教授は公共交通機関や商業施設、教育機関など、複数の外部機関とコラボレーションし、仕掛学の共同研究を進めている。
工夫された仕掛けが、社会のさまざまな問題を解決に導く可能性があると信じているからだ。
・・・・・
「大切なのは強制をしないこと。そして、自然にその方向にいざなうこと」。
自身の仕掛学の“哲学”を、こう語った松村教授。
子供向けの「仕掛けコンテスト」の開催にも意欲を見せており、「みんなが仕掛けの発想を持つことで、ものごとをネガティブからポジティブへ転換し、社会の問題が減っていくことになればうれしい」と語った。
出典
『体が勝手に反応してしまう「仕掛学」の社会貢献とは』
https://www.sankei.com/premium/news/181120/prm1811200003-n1.html
2019年2月27日22時0分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
セコマと日産自動車、北海道内の日産販売会社7社は27日、災害時の電気自動車(EV)からの電力供給に関する協定を結んだと発表した。
セコマがEV「日産リーフe+」を購入。
災害時には販売会社からリーフを無償で借り、停電時でもEVから給電して、店舗の設備を数日間動かせる体制を整える。
セコマは2018年9月の胆振東部地震の際、自動車から給電して店舗を営業した。
ガソリン車からの給電では、レジや手元を照らす小型ライトなどを作動させた。
災害時の営業体制を強化するため、非常用電源としてEVの導入を検討してきた。
リーフからの給電で店内の照明や冷凍・冷蔵庫を動かせ、クレジットカードの支払いもできるようになる。
セコマは18年度末をめどに、営業車を20台ほどリーフに切り替え、持ち運びできる蓄電器の導入も検討している。
災害時には、日産の販売会社に支援物資を供給する。
セコマの丸谷智保社長は同日の札幌市内の店舗での実演で、「電気があることで提供できる明るさとあたたかさで、災害時により多くの人に安心感を与えられるようにしたい」と語った。
日産の星野朝子専務執行役員は、「車は乗り物以上の役割を果たせる。今回をモデルケースに、取り組みを広げていきたい」と話した。
出典
『災害時、EVから給電 セコマと日産が協定』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41823880X20C19A2L41000/
2月27日19時42分にNHK北海道からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
協定では、大規模な災害などで停電が起きた場合、日産の販売店から近くのセイコーマートに電気自動車や大型電池を運び込んで、電源として利用するとしている。
去年9月の地震で道内で大規模停電が起きた際に、セコマは多くの店舗で営業を続けたが、冷凍庫が使えなかったり電子決済ができなかったりした。
協定はこうした災害時の対応を強化するのが狙いで、店舗で冷凍庫やレジ、それに電子決済のシステムなどを使える状態にしても、1日程度の営業を続けることが可能だという。
セコマの丸谷社長は、「被災者の安心感につながる電気を利用できる態勢を日産とともに整えていきたい」と話していた。
また日産自動車の星野専務は、「電気自動車は走るだけでなく、社会にさらなる価値をもたらすと確信している」と話していた。
出典
『停電時の電源セコマと日産が協定』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190227/0008270.html
2月28日に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
災害時の社会貢献を目的に日産が他企業と協定を結ぶのは初めてという。
日産は昨年9月、地震発生の2日後に被害が大きかった安平町などにEV2台を貸し出し、セコマの店舗営業にも貢献した。
両社は27日、協定のモデル店舗としてEVなどが配備された「セイコーマート厚別西2条店」で、停電を想定した実証実験を行った。
EVと給電を行う機器をつなぐと、数秒で店舗に明かりがともった
出典
『災害時EVから電力 セコマ、日産と協定』
https://www.yomiuri.co.jp/local/hokkaido/news/20190227-OYTNT50201/
(ブログ者コメント)
胆振東部地震時のセコマの対応については、本ブログでも紹介スミ。
2019年02月22日19時30分にITmediaから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国交省は2月22日、東京メトロ・霞ヶ関駅で、ボディースキャナー装置を使った旅客スクリーニングの実証実験を行うと発表した。
人の流れを妨げずに危険物の持ち込みを防止する方法を検討する。
期間は3月4日から7日まで。
霞ヶ関駅の日比谷公園方面改札で実施する。
模擬危険物を持ったエキストラが改札機をランダムに通過し、装置で危険物の有無を検査できるかを実験する。
一般旅客も検査の対象となるが、協力は任意で、手荷物検査は行わない。
ボディースキャナー装置および記録用カメラ付近には実験中であることを明記する他、検査を行わない他の改札機を通ることもできる。
実験中に入手した個人情報は3月31日までに破棄するとしている。
実験では、人や物から自然放射される電磁波の一種「テラヘルツ波」を映像化し、服の下に隠し持った物を検出できる「テラヘルツ波パッシブ型ボディースキャナー」を活用。
多くの人が立ち止まらずに通過する状況でも、連続的に検査できる見込み。
装置から対象物に電磁波を照射しないため、人体には無害という。
今回の実証実験は、同省が事前に旅客スクリーニング手法などの企画提案を募集。
その中から提案が採択された綜合警備保障が委託を受けて、実証実験を行う。
出典
『政府、鉄道駅で保安検査 霞ヶ関駅で3月に実験 テロ対策で』
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/22/news123.html
2月22日22時49分に朝日新聞からも同趣旨の記事が、検査画像のイメージ図付きでネット配信されていた。
東京五輪・パラリンピックの開催を2020年に控え、国交省は3月4日~7日、危険物を鉄道内に持ち込ませないための実証実験を、東京メトロ霞ケ関駅の一部の改札でおこなう。
実験は1日約7時間。
人や物から出ている特殊な電磁波「テラヘルツ波」を検知する装置を使う。
人と物で電磁波の大きさが違うため、服の中に隠し持った危険物を見分けることが出来るという。
改札の正面に装置を置き、検知したデータと、同時に撮影したビデオ画像とをパソコン上で重ね合わせて、係員が危険物の有無を判定する。
使う改札機は2台で、ここを通る全員が検査の対象になる。
ほかの改札機を通れば、検査を受けずに鉄道に乗ることもできる。
乗客を止めることはしないが、模擬の危険物を持ったエキストラも通過させるという。
国交省から委託された警備大手「綜合警備保障」がおこない、改札を通る人の流れを止めずに検査ができるかを主にみるという。
東海道新幹線内では、昨年6月、乗客3人が刃物で殺傷される事件があった。
国交省は省令を改め、4月から、梱包されていない刃物の列車への持ち込みを禁止することを決めている。
出典
『改札内への危険物持ち込み検知 国が霞が関駅で実証実験』
https://www.asahi.com/articles/ASM2Q4TZWM2QUTIL01S.html
2019年2月18日19時35分にNHK滋賀から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
滋賀医科大学などの研究グループは、動物が個体どうしで互いに作用し合い、同じ方向を向くなどして群れをつくると予想されていた法則を、体長1mmに満たない「線虫」の群れの実験で初めて裏付けることができたと発表した。
これにより、動物の集団行動の解明のほか、ロボットなどの集団を制御する技術開発に応用できるとしている。
この研究は、大津市にある滋賀医科大学神経難病研究センターの杉拓磨助教らのグループが行った。
リーダーによる指示などがない状態で動物が自然につくる群れは、個体の数や個体どうしの相互作用など、条件によって1つの共通した法則で説明できると予想されてきたが、実験では証明できていなかった。
このためグループでは、「線虫」を大量に飼育した際、個体の数が増えるに従って棒状に集まった群れが徐々に網目状につながっていくことに着目し、実験を行った。
実験では、飼育する湿度を上げて個体どうしの作用を強めるなど、条件を変えると群れの編み目の形が変化し、それが共通の法則で予想された形と一致したという。
これにより、鳥や魚などほかの動物が大規模な群れをつくった際、1つのかたまりとして同じ方向に向かう現象が同じ共通の法則で説明でき、動物の群れのメカニズムの解明につながるとしている。
研究グループの杉助教は、「今回の成果は、渋滞や災害のときの人の集団行動の解析やロボットの集団を制御する技術への応用も大いに期待できる」と話している。
この研究成果は、18日発行されたイギリスの科学雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」の電子版に掲載されている。
出典
『動物の群れの法則 線虫で裏付け』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20190218/2060002063.html
※本件、北陸先端科学技術大学院大学のHPに、より詳しい記事が掲載されていた。
以下は冒頭部分。
滋賀医科大学神経難病研究センターの杉 拓磨助教、西村 正樹教授、九州大学の伊藤 浩史准教授、北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科/生命機能工学領域の永井 健講師は、動物集団が群れをつくる際のメカニズムを解明しました。
これにより将来的に渋滞時や災害時の群衆の効率的な流動制御や、ロボットの群知能制御などへつながることが期待されます。
この研究成果は、平成31年2月18日に英国科学誌「Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)」に掲載されました。
<ポイント>
・生物学でよく使われる線虫という動物がたくさん集まるとネットワーク状に群れることを発見。
・線虫の群れと、人、鳥、魚の群れは共通するメカニズムで形成されることを強く示唆。
<概要>
・半世紀近く世界中で研究されているモデル動物の線虫C. エレガンスが、集団でネットワーク状の群れをつくることを発見。世界で初めてモデル動物の集団行動の実験システムを開発。
・人、鳥、魚の群れ形成メカニズムの理論的研究で用いられてきた数理モデルをもとに数値シミュレーションを行った。
・その結果、
①ぶつかった線虫が移動方向をそろえることと
②線虫1個体が弧を描くように動くことが、
線虫の不思議なネットワークをつくる鍵であることを明らかにした。
・渋滞時や災害時の人の集団行動の解析やロボットの群知能の効率的制御につながることが期待できる。
<内容詳細>
【研究背景と経緯】
夕暮れどきに浮かぶ鳥の群れや水族館のイワシの群れなど、大量の動物による組織的な行動は多くの人を魅了します。
また駅などの混雑時や渋滞時の人の群衆を効率的に流動させることは重要な問題です。
これまで、群れ形成について理論研究が盛んに行われ、様々な群れに共通する形成メカニズムの存在が予言される一方、実験的な証明はほとんどありませんでした。
これは、野外の鳥や魚の大規模な群れを実験室に再現することが不可能という、ある意味、当然の理由によるものでした。
土壌に生息する線虫C. エレガンス(図1a)は、モデル動物として半世紀近く研究され、細胞死機構の発見や緑色蛍光タンパク質の動物応用などで数々のノーベル賞の対象となりました。
われわれは、線虫の体長はわずか1 mm弱であるため、仮に一度に大量飼育できれば、コンパクトな群れ形成の解析システムを作れるのではないかと考えました。
さらにモデル動物としての利点である変異体を用いた解析ができることから、過去の理論的研究で提案されたメカニズムを実験的に検証できると考えました。
滋賀医科大学の杉 拓磨助教、西村 正樹教授、九州大学の伊藤 浩史准教授、北陸先端科学技術大学院大学の永井 健講師は、線虫C. エレガンスを大量飼育する方法を確立し、集団によりネットワーク状に群れをつくることを発見しました(図1)。
実験と数理シミュレーションを組み合わせた解析の結果、
①隣接する線虫同士が相互作用し移動方向をそろえることと
②線虫1個体が弧を描くように動くことが
この群れの形成条件であることを明らかにしました(図2)。
このメカニズムは人や鳥、魚の群れ形成の理論的研究から提唱されてきたものと類似していることから、本研究は、群れ形成の根底に共通のメカニズムがあることを実験で強く示唆した初めての例となります。
【研究内容】
・・・・・
出典
『モデル動物が群れをつくるメカニズムを解明』
https://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2019/02/19-1.html
2019年2月16日14時26分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京電力が福島第一原発で働く作業員を対象に実施した2018年度のアンケートで、「東電社員に対して感じること」という質問に対し、前回、113件で最多だった「横柄な態度」という回答は72件に減少したものの、代わりに「業務への姿勢」(95件)、「あいさつ」(81件)で批判的な回答が相次いだ。
アンケートは、東電が労働環境の状況を知るため、原発事故後から実施。
9回目の今回は、第一原発で働く全作業員5347人に昨年9月に配布。
5031人から回答を得た。
「東電社員に対して感じること」(自由記述)は2016年度から質問項目に追加。
3回目の今回は361人の回答があった。
回答が最も多かった「業務への姿勢」では、「縦割りの作業で無駄、無理が多い」。
2番目の「あいさつ」では、「返事がない」「スマホをいじりながらのあいさつは失礼」などだった。
わずかに減少した「横柄な態度」だが、「高圧的な態度で接してくる」、「震災直後の謙虚さがない」などの意見が寄せられた。
そのほか、「みだしなみ」「モラル」など、批判的な回答が304件だった一方、「現場によく来る」「安全な廃炉に向け一体感を感じる」など、評価する回答は57件にとどまった。
東電は、「廃炉事業は、お互いが『パートナー』として認識し合い進めなければ成し遂げられない事業」としており、「今回の意見を真摯に受け止め、姿勢・態度を正すよう、いま一度、社員に周知徹底していきたい」としている。
出典
『東電の「横柄さ」改善? 作業員調査「無理多い」の声も』
https://www.asahi.com/articles/ASM266584M26UGTB023.html
(ブログ者コメント)
過去のアンケートに関する報道がないか調べたところ、5年前の報道が見つかった。
併せて紹介する。
(2014年2月12日 東京新聞)
東京電力が、福島第一原発で働く作業員の待遇面など労働環境改善のために実施しているアンケートを、元請け企業を通じて回収していることが分かった。
作業員たちの話では、下請け企業の中には、作業員の回答を提出前にチェックしたり、回答の内容を指示したりするところもある。
作業員からは、「こんなやり方では実態は分からず、改善につながらない」という声が上がっている。
【作業員から直接回収する「回収箱」を設置せよ】
アンケートは、東電が事故後に福島第一原発で働く作業員を対象に始めた。
作業員の立場は弱いため、回答者が特定されないよう、匿名で、通常は所属会社や元請け、年齢なども記載しなくていい。
東電はアンケートの記載内容に配慮しながら、回収する段階では元請け任せに。
回答用紙は「作業員→所属する下請け→上位下請け→元請け」というように会社を通して回収。
東電へは元請けからまとめて郵送されるという。
作業員が特定される恐れを小さくするためには、作業員が線量計を借りに立ち寄る東電の管理施設に回収箱を置くなどして、直接回収をする方法も考えられる。
ある作業員は、「(上位下請けから)下手なことを書くなというプレッシャーがある。従業員の書いた内容を全部確認してから封筒に入れ、提出させられた」と話す。
線量計の不正使用を目撃しても見なかったと書くよう指示された作業員もいたという。
東電の担当者は、「回答用紙は作業員が記入して封筒の封をする。中身は(元請けなどに)見えないようになっている」と、回収方法は適切だとする。
東電は作業員を安定的に確保するため、昨年12月の契約分から元請けへの支払いを増やし、日当をかさ上げすると発表。
作業員に適切に行き渡っているかどうか、今後、アンケートで確かめるという。
だが作業員からは、「会社にチェックされているかもしれないと思うと、変なことは書けない」との声も上がっている。
【その後…。東電は回収箱を設置】
外部の意見にあまり耳を傾けようとしない東京電力だが、本紙のこの記事には素早く対応した。
多重下請け構造の中で、アンケートは、偽装請負がないか、給料はきちんと支払われているかなど、現場の声を東電が吸い上げようという趣旨で始まった。
そうであるなら、元請けが取りまとめる方式はおかしい。
指摘を受け、東電は回収箱を、作業員らが積算線量計を借りる管理棟内に設置。
作業員が直接書いて投入できる方式に改めた。
東電には、こういう姿勢を貫いていってほしい。
出典
『福島第一作業員「本音書けない」 東電アンケート元請け経由回収』
http://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/429
2019年2月16日13時55分にNHK福井から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
犯罪抑止に協力したいとして、北陸電力は、これまでごく限られた場合にしか認めていなかった電柱への防犯カメラ設置を2月から認めている。
条件を満たせば、住民で作る自治会でも、電柱に防犯カメラを設置できるという。
北陸電力は、北陸3県などの管内全体でおよそ60万本、県内にはおよそ14万本の電柱を設置していて、街路灯や信号機、交通標識などに限って電柱への設置を許可している。
北陸電力は、防犯カメラ設置のニーズが高まっているとして、これまでごく限られた場合にしか認めていなかった電柱への防犯カメラ設置を認める新たな制度をつくり、2月から運用を始めた。
電柱に防犯カメラを設置できるのは、原則、国や地方自治体、それに警察や消防に限るとしているが、北陸電力が審査して公共性などが認められるなど条件を満たせば、住民で作る自治会も電柱に防犯カメラを設置することができるという。
設置にかかる費用は1台あたり年間972円で、カメラが壊れた場合は設置者の負担となるほか、個人情報の取り扱いやプライバシーの保護については、設置者が管理するとしている。
北陸電力は、「電柱への設置が防犯に役立つことを期待している」と話している。
出典
『北電の電柱に防カメ設置可能に』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukui/20190216/3050001514.html
(ブログ者コメント)
他の電力会社についても調べてみたところ、中部電力でも同様なサービスを行っていた。
その他の電力会社については不明。
(2018年12月12日7時0分 産経新聞長野版)
中部電力は、電柱に監視カメラを設置する街頭防犯サービスを県内で始めたと発表した。
愛知、岐阜、三重、静岡の4県では既に開始しており、中部全域で利用できるようになったとしている。
道路など公共空間を撮影し、犯罪抑止を目指す。
自治会や商店街、自治体の利用を想定している。
住宅や工場にある電柱にカメラを付け、敷地内の状況を監視する地権者向けのサービスも、愛知など中部5県で一斉に始めた。
出典
『中部電力が電柱に監視カメラ設置し街頭防犯サービス 長野』
https://www.sankei.com/region/news/181212/rgn1812120001-n1.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。