2019年1月5日13時16分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年7月の西日本豪雨で被災した広島県で、医療機関の被災状況を共有する厚生労働省の広域災害救急医療情報システム「EMIS」(イーミス)への情報入力が当時の混乱で滞り、断水などの把握が遅れたことが、県などへの取材で分かった。
発生2日後でも各医療機関の入力率は約2割にとどまり、給水支援などが後手に回った。
国は、EMISで必要な情報を十分把握できなかったとして、入力の訓練強化や項目の追加などについて検討を始めた。
広島県によると、入力率は大雨特別警報が出た翌日の7日午前9時時点で、県内の全医療機関(診療所も含む)2015施設のうち19施設(1%未満)のみ。
警報直後に入力要請したが、8日午前9時でも426施設(21%)にとどまった。
12日になっても870施設(43%)で、半数に満たなかった。
各地で同時多発的に土砂崩れなどが発生し、患者搬送などへの対応に追われていたとみられる。
【水不足、最大5施設で透析できない状態に】
このため、関係機関への支援や調整を担う県や災害派遣医療チーム(DMAT)県調整本部では、断水して治療に支障が出ている医療機関や人工透析患者らの受け入れ先などの把握が難航。
主要な100施設以上に職員らが電話をかけ続け状況確認するなど、混乱した。
その間に給水車の手配が遅れ、道路寸断などの事情も加わり、水不足で最大5施設が透析できない状態に陥った。
集団で避難を検討した施設も複数あった。
内閣府の初動対応検証チームは、昨年11月、「水の充足状況の把握に時間を要し、断水地域の病院への適時適切な給水支援を行えなかった」と指摘。
県は、「入力率が低く、被災の全体像が不明で、判断にどうしても時間がかかった」として、災害後に広島市と福山市で入力研修を急遽、実施した。
被災地でも、岡山県では7月7日午後に、システムに登録する全336施設が入力し、8日未明に大雨特別警報が発令された愛媛県では同日午後に、全141施設で完了した。
全医療機関を入力対象とする広島に対し、他2県は対象を絞っているため、入力率の単純比較はできないが、愛媛では2015年から、毎月、141施設で一斉訓練を実施。
医療機関が入力できない場合は、管轄する保健所が代理入力するルールを作り、豪雨時も混乱はなかったという。
兵庫県では年に数回、EMISを使う訓練を実施。
また、台風で広範囲に停電した際、入力率が低い場合は県側が医療機関に事情を聴くなどして、大規模災害に備えている。
EMISに詳しい中山伸一・兵庫県災害医療センター長は、「システムがあっても、いざという時に使えなければ意味がない。南海トラフ巨大地震などに備え、医療機関は高い意識を持って入力訓練に取り組むべきだ」と話している。
【DMAT運用にも課題 「当日に応援要請していれば…」担当者悔やむ】
西日本豪雨の医療支援では、広域災害救急医療情報システム(EMIS)の入力に加え、災害派遣医療チーム(DMAT)の運用にも課題を残した。
広島県は2次災害を恐れ、県外からの応援要請を、大雨特別警報が出た昨年7月6日当日は見送り、2日後に一転、大量派遣を求めた。
広島市の安芸区エリアでDMATを取り仕切った県立広島病院救急科部長の多田医師(45)は、「当日に応援要請していれば、もっと多くの人を助けられたかもしれない」と悔しがる。
6日午後11時過ぎ、多田医師はDMATの活動拠点を置くため安芸消防署(広島県海田町)に到着。
救急要請の電話は鳴りやまず、ホワイトボードには「団地が流れた」などの情報が次々と書き込まれていた。
77人が死亡した2014年の広島土砂災害でも活動した多田医師は、それを上回る規模の災害と感じ、すぐに県庁のDMAT県調整本部に現状を伝え、県外からの派遣を要望。
さらに国のDMAT事務局にも、「負傷者は100人規模に上る見込み」と、直接、SOSのメールを送った。
しかし、県から「応援要請を見送る」との連絡があったのは、翌7日の午前9時前。
国の事務局からも、「県から要望がない」などと、取り合ってもらえなかったという。
その間、県内のチームが出動して、倒壊家屋に挟まった住民の治療にあたったが、ほかにも生き埋めなどの情報は多数寄せられていた。
多田医師は、「医療チームがもっといれば、違う現場にも出せた。安全が担保できないから誰も呼ばないでは、話が進まない」と訴える。
県は8日午前に、ようやく福岡や山口、島根各県に本格派遣を求めたが、到着した9日ごろには、既に負傷者がほとんどおらず、避難所での見回りなどが中心となった。
広島県の担当者は、「各地で道路が寸断するなどし、安全確保が難しいと判断した。今思えば、初めての応援要請で慎重になりすぎた面はあった」と振り返る。
国の要綱では、死者100人以上が見込まれる場合は、隣接する都道府県などに派遣要請するとの目安を示しているが、今回のような複数県にまたがる豪雨災害の想定はなかった。
派遣の調整を行う国の事務局も、「DMATは主に地震を想定しており、広域の豪雨は特殊な応用編だった」と、判断の難しさを認めた。
出典
『被災情報入力滞り、給水車手配遅れる 昨年の西日本豪雨』
https://mainichi.jp/articles/20190105/k00/00m/040/081000c
2018年12月24日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
23日午前2時40分ごろ、名古屋市中区栄4の雑居ビルの関係者から「火が出ている」と119番があった。
消防によると、4階の飲食店など約80m2を焼き、約4時間後に鎮火した。
消防隊員2人と警察官1人の計3人が約45分間、エレベーター内に閉じ込められた。
3人は救出され、飲食店オーナーの男性(67)を含む4人が病院に運ばれた。
4人はいずれも煙を吸い込んだが、命に別条はない。
男性は、検査のため入院した。
消防や警察によると、ビルは飲食店などが入る4階建てで、建物内に階段がある。
隊員ら3人は現場に駆け付け、午前2時50分ごろ、状況を確認しようとエレベーターに乗ったところ、4階で動かなくなり、内部に閉じ込められた。
消防隊がカッターでドアを切断して救助した。
消防によると、消火活動に影響はなかったという。
担当者は、「原則として、エレベーターは使わない。再発防止のため検証したい」とした。
出典
『ビル火災 消防士ら、現場で救助される エレベーターに乗ってしまい 名古屋』
https://mainichi.jp/articles/20181224/ddm/041/040/118000c
12月23日12時8分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、消火活動や状況確認のため4階に早く上がろうと、階段とエレベーターの二手に分かれたという。
出典
『消火活動中、エレベーターに一時閉じ込め 消防隊員ら』
https://www.asahi.com/articles/ASLDR3R84LDROIPE006.html
12月23日11時11分に中日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防は、「消火活動に影響はなかったが、どのような判断でエレベーターを使ったのか検証したい」としている。
警察によると、4階の飲食店の従業員が「油を火にかけたまま帰ってしまった」と話しているといい、火元とみて調べている。
現場は女子大小路と呼ばれる繁華街で、忘年会シーズンでにぎわう一角が、一時、騒然とした。
出典
『消防隊員ら一時エレベーターに閉じ込められる 名古屋・栄でビル火災』
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2018122390111129.html
2018年12月13日17時32分にNHK栃木から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高電圧のバッテリーを積んだハイブリッド車などの交通事故で、救助活動を行う消防隊員が感電する二次災害を防ごうと、下野市で講習会が開かれた。
この講習会は、下野市などを管轄する消防本部が開いたもので、管内や近隣の消防本部からおよそ80人が参加した。
消防隊員たちは、はじめに、講師役の自動車販売会社の技術者から、高電圧のバッテリーを積んだハイブリッド車や燃料電池車について、スライドなどを使って基本的な構造や感電のおそれがある箇所などの説明を受けた。
続いて、実際のハイブリッド車と燃料電池車を用意して、屋外での実地講習が行われた。
そして、車種ごとに異なるバッテリーの場所や、高電圧が流れていることを示すオレンジ色のケーブルの場所を確かめた。
また、事故車両での救助活動を始める前に、計器パネルを見て、電流が流れていることを示すバッテリーのシステムの起動ランプが消えているかを必ず確認することや、起動していた場合には、運転席のスイッチを使うなど複数の方法でシステムを切る方法を学んだ。
27歳の男性隊員は、「詳しくわかりました。今後の活動に生かしたい」と話していた。
主催した石橋地区消防本部警防課の足助課長は、「ハイブリッド車の講習は10数年ぶりです。2次災害を防ぐため、安全対策を徹底してほしい」と話していた。
出典
『ハイブリッド車事故で感電防止を』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/utsunomiya/20181213/1090003419.html
(ブログ者コメント)
〇調べたところ、他の消防でも同様な訓練を行っているところが
あった。
〇また、事故時のハイブリッド車の危険性についても調べたところ、思いのほか多くの記事が見つかった。
それらの記事のいくつかをピックアップして読んでみると、
・ハイブリッド車は安全に設計されている
・過去の事故で二次災害として感電事故が起きたという報道はない
と書かれた記事も目についた。
以下に、ブログ者の目にとまった記事を紹介する。
(2014年4月14日 日本経済新聞)
普及が進むハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)。
通常のガソリン車と異なり、電気モーターと大容量で高電圧のバッテリーを搭載している。
ここで気になるのが、衝突事故など車が壊れる事故が発生したとき、感電など電気が原因の問題が起きないかどうかだ。
そこで、感電保護性能試験や、HVの事故を想定したレスキュー隊による被害者救出訓練の現場に潜入した。
自動車やチャイルドシートなどの安全性能評価試験を行っている独立行政法人の自動車事故対策機構(NASVA)では、HVやEVについて「電気自動車等の衝突時における感電保護性能試験」という、電気についての安全性を評価する実験を手掛けている。
これまで、この評価試験でチェックしてきた範囲は、乗っている人が感電しないという「車室内」だけだったが、平成26年(2014年)度からは、対象が「車室内・外」と変わり、「車外」も含まれるようになった。
事故によりバッテリーの電気が車外に漏れると、救助活動などに支障を来す恐れがあるからだ。
今回、感電保護性能試験の様子や、HVの事故を想定したレスキュー隊による被害者救出訓練を取材した。
・・・・・
今回、初の試みとして、衝突試験に使われて、あとは廃棄するだけになった車両を訓練に有効活用することになった。
・・・・・
EVやHVには、車種ごとにレスキュー時の取り扱いマニュアルが用意されていて、隊員はこれを参考にしてレスキュー作業を行っている。
このマニュアルによると、ボンネット部分などが「高電圧による感電の恐れがある箇所」となっている。レスキュー作業は、まずこうした部分を電気を通さない耐電シートで覆うことから始まった。
レスキューのノウハウ蓄積はまだこれから
レスキュー作業に当たる隊員は、耐電服や耐電仕様のグローブ、長靴を着用している。
さらに、漏電がないかどうかを確認するためのスティックを使って、感電しないようにチェックしながら作業を進めていく。
こうした作業が必要なため、EVやHVでは一般の車に比べて、レスキューにかかる時間が若干長くなるという。
・・・・・
出典
『大敵は「感電」、衝突ハイブリッド車の救出訓練に潜入』
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0203C_S4A400C1000000/
(2016年3月9日15時37分 YAHOOニュース ;自動車評論家の寄稿?)
ここにきて、「事故に遭ったハイブリッド車や電気自動車は感電の危険があるから、専門知識を持つ人以外触らないように」という情報が流れている。
これが本当なら、交通事故に遭ったり、他のクルマから火が移ってきたり、水没の可能性あるような時でも、ハイブリッド車から乗員を救出することなど出来ない。
人命に関わることなので、本来なら、自動車メーカーが周知徹底させなければならない。
なぜ、こういった情報になったのか探ってみたら、どうやら『自動車事故対策機構』という国交省の外郭団体で、そういったキャンペーンを行い始めたらしい。
確かに、感電すれば生命の危険があるほど高電圧のバッテリーを搭載するハイブリッド車や電気自動車は、危ない雰囲気を漂わせているように思う。
ハイブリッド車や電気自動車は危険なのだろうか?
ハイブリッド車は、すでに少なからぬ事故例がある。
例えば東日本大地震。この地震で大量のハイブリッド車が流された。
海水に電気を流せば最も危険。
電池が発熱することだって、可能性としてはありうること。
しかし、津波に流されたハイブリッド車は、激しく変形した車両であっても漏電した例は皆無だった。
茨城の水害の際、あるメディアが「水没したハイブリッド車は危険」という記事を出し、広まった。
この時も、少なからぬハイブリッド車が水没したものの、漏電例無し。
すでに世界中で800万台を超えるハイブリッド車が走り、事故を起こしているのに、やはり感電や漏電の類い無し。
こうなると、「なぜ漏電しないのか?」と思うかもしれない。
これは簡単。
自動車メーカーがハイブリッド車や電気自動車を開発する際、普通のガソリン車より過激な条件で衝突テストなど行い、安全を確認しているからだ。
そもそも、電池には敏感かつ確実に稼働するブレーカーが付いており、大きな衝撃を受けたり過剰な電流が流れたのを感知した瞬間に遮断する。
電池本体は、クギを貫通させても発火&漏電しない。
といった意味では、ガソリンより圧倒的に安全だ。
自動車事故対策機構が打ち出した事故時の指針は、
1)専門家の到着まで近づくな。
2)残っている電力を全て抜いてから救助しろ
という荒唐無稽な内容。
これだと、救急車が到着しても助けられない。
ガソリン車で言えば、「爆発するから近づくな。ガソリンを全て抜いてから救助しろ」と全く同じこと。
もう少し、常識的かつ今までの実績を考慮した事故対応方法を考えるべきだ。
そもそも自動車事故対策機構は、過度なくらいの安全基準を定め自動車メーカーに要求した国交省の努力を踏みにじっている。
このままでは、日本の自動車産業を支えているハイブリッド車や電気自動車に安心して乗れなくなってしまう。
出典
『事故を起こしたハイブリッド車は漏電の危険性あるから救助は専門家に任せよ?』
https://news.yahoo.co.jp/byline/kunisawamitsuhiro/20160309-00055213/
2018年12月7日23時3分に京都新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都府内の多くの消防組織で消防車が過積載の状態になっていることが7日、分かった。
京都市消防局での過積載判明を受けて調査したところ、水や資機材などの総重量が、車検証が定める積載量を超えていた。
宇治市消防本部では消防車5台が、車検証で規定されている総重量を超えて積載していた。
水槽付きポンプ車4台、化学消防車1台で、うち水槽付きポンプ車1台は350kg、化学消防車は510kg超過で、車検を再登録し違法状態を解消した。
残る3台は資機材を調整し、総重量を抑えたという。
八幡市消防本部も、消防ポンプ車など計5台で100~500kgの過積載があった。
「出動隊数が少なく、救助資機材の積み込みが増えた」のが要因という。
精華町消防本部も、救助工作車など計3台で最大730kgの過積載があった。
いずれも事故はないという。
現在、資機材や水量で総重量を調整しており、車検証の記載事項変更を進めている。
舞鶴市消防本部では、消防ポンプ車5台で過積載があった。
10月中旬~11月上旬の調査で、それぞれ100kg前後、基準を上回っていたことが判明。
資機材や水を減らし、11月9日までに解消した。
同本部は、「現場の判断で資機材を積み過ぎたのが原因とみられる」としている。
綾部市消防本部では、消防ポンプ車や救急車など計8台が120~900kg超過。
救助資機材を車検証記載時より多く積んでいた。
現在は、使用頻度の少ない機材を下ろして重量超過を無くし、記載の変更も検討している。
宮津与謝消防組合では、水槽付きポンプ車など5台で275~600kgの過積載があった。
資機材を調整するなど対応しているが、現在も過積載の状態が続いている。
京丹後市消防本部は、「確認していない」と話している。
一方、京都市消防局が10月に公表した上京消防署の小型水槽車の事例は、その後の詳しい調査で、過積載でないことが分かったという。
出典
『消防車の荷物積みすぎ相次ぎ判明 「出動隊数少なく」』
https://this.kiji.is/443741064673166433?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
〇いきさつを推察するに、当初は規定どおりの重量だったものが、その後、載せていた装備を別のものに変更したり、あるいは追加で載せたりした際に総重量を確認しなかった、いわば変更管理がうまく機能しなかった事例だったのかもしれない。
〇「確認していない消防本部もある」という報道から考えると、確認は自主的に行われている・・・ということだろうか?
それとも、消防を主管する部署から指示があったが、まだ確認は済んでいない消防本部もある・・・ということだろうか?
〇上京消防車事例は、過去に本ブログで紹介スミ。
当該記事にも、今回の情報を追記した。
2017年5月21日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7136/
(2018年12月6日 修正1 ;追記)
2018年11月29日10時2分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
国の運輸安全委員会は29日、ヘリの回転翼で発生する下降気流「ダウンウォッシュ」の影響で落石が起き、遭難者に当たった可能性が高いとする報告書を公表した。
事故が起きたのは、昨年5月14日午後1時50分ごろ。
男性は、急斜面にある幅約3mの枯れ沢の中腹で左足首の痛みを訴えて動けなかったが、意識はあった。
ヘリでつり上げて救助しようとしたところ、山側から沢に沿って木の枝や石が落下。
腹に約30cmの石が当たり、男性が死亡した。
救助していた3人も軽いけがをした。
安全委は、救助者の一人がヘルメットにつけていたビデオの映像などから事故原因を分析。
それによると、無風状態の中、ヘリが山の斜面に向かい低速で進んだ際に、強い気流が沢に沿って山側に向かって、いったん吹いた。
その後、現場のほぼ真上に来たあたりで風向きが谷側に逆転し、落石が発生して事故が起きたという。
事故前に別の方向から進入した時や、事故後に真上から現場に降りてきた時には、落石は起こらなかった。
こうしたことから、安全委は、急斜面の溝状の地形に向かってヘリがゆっくり進入したことで、風向が大きく変わり、落石を誘発した可能性があるとした。
一方で、ヘリからは周囲の樹木が邪魔して現場の詳しい地形や男性の位置が見えなかったことや、遭難者の状態からできるだけ早く救助現場に向かおうとした事情があったことも指摘。
再発防止のために、山林でのヘリでの救助は地形の特殊性などを十分考慮して行うよう求めた。
出典
『ヘリの風で?落石、救助中の遭難者死亡 山梨の事故』
11月29日10時22分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会は29日、ヘリのメインローターから吹き下ろす「ダウンウオッシュ」と呼ばれる風の向きが急変して落石が発生し、男性に当たったとの調査報告書を公表した。
報告書によると、男性が取り残されていたのはV字形の深い谷。
ヘリは低速で接近し、男性を引き上げようと上空にとどまる「ホバリング」の状態になった。
接近中は、ダウンウオッシュの影響で、谷から山の方向へ風が流れたが、直後にホバリングの状態になると、風は山から谷へと正反対の向きに変わった。
こうした風向きの急変で、木の枝に引っかかるなどしていた岩が斜面を転がり、男性に当たった。
ヘリは接近し、ホバリングをする同様の飛行を計3回していたが、ほかの2回では、ヘリと山肌との角度の違いなどから、風向の急変は起きなかった。
事故は昨年5月14日に発生。
ヘリは米ベル・ヘリコプター・テキストロン社のベル412EP。
1回目のホバリングで救助隊員を降ろし、2回目では男性と共に救助隊員3人も負傷したため、救助を一時中断。
3回目で引き上げたが、男性は臓器損傷による出血性ショックで死亡した。
(共同)
出典
『山梨 谷で風向き急変、落石直撃 ヘリ救助活動中事故』
https://mainichi.jp/articles/20181129/k00/00e/040/227000c
11月29日10時18分にNHK山梨からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
運輸安全委員会が公表した報告書によると、現場は落石が起きやすい急斜面で、機体が前進しながら接近したため、回転翼から吹き下ろされる風が強くなり、落石を誘発した可能性があるとしている。
当時はほぼ無風で、落石が起きたあと、救助地点の上空の、より高い位置から徐々に高度を下げながら再び接近した際は、落石はなかったという。
出典
『ヘリ吹き下ろす風が強まり落石か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/20181129/1040004949.html
11月29日13時34分に読売新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同委は、山林での救助は地形の特性などを考慮する必要があるとしたが、「機長らが落石を予見するのは難しかった」としている。
出典
『救助ヘリから「ダウンウォッシュ」…落石直撃死』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181129-OYT1T50064.html
2018年11月29日5時30分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫県明石市消防局で男性消防士長が後輩の腕に注射針を刺して点滴の練習をしていた問題で、この消防士長以外にも、同様の練習をしたことがある職員が過去5年間で少なくとも3人いたことが、同局への取材で分かった。
同局は、22日付で全職員に、法令順守を徹底するよう通知した。
「今後は、針などの機材を厳正に管理するなどして、再発防止に努める」としている。
男性士長の問題発覚を受け、同局が10月24日~11月6日に実施した内部調査で判明した。
対象は、救急救命士や消防士ら236人。
「医師の許可なく、針を人体に刺したことがあるか?」
「針を刺す練習を見たことがあるか?」
など全12問の選択方式で、匿名を条件にしたところ、198人が回答した。
「刺したことがある」は3人で、2013~14年、15~16年、17~18年に各1人いた。
うち1人は、2回やったと回答。
刺した相手は、同僚が1人、先輩が3人だった。
「練習しているところを見たことがある」と答えたのは4人だった。
実施時期は、救急救命士養成所に入校前が1回、入校中が1回、養成所を卒業した後が2回だった。
違法性の認識は、29人が「どちらかというと問題がないと思っていた」と答え、「明確にやってはいけない」と答えたのは6割にとどまった。
一方、養成所の教育や病院での研修、トレーニング用の人形での練習については、50人が「十分でない」と答えた。
◆
同局では8月、救命士養成学校への入学を控えた男性消防士長が後輩を点滴の「練習台」にしていたことが発覚。
傷害罪に当たる可能性がある上、救急救命士法は、救命士資格があっても、医師の指示なく点滴などの救命処置はできないと定めており、同局は男性士長を厳重注意にしていた。
神戸新聞社の取材に対し、山本消防局長は、「法令を守るべき公務員の行為として許されない。今後は、同じような行為は許されないという意識を職員に浸透させる」と話した。
【消防庁 「法令順守」たびたび通達】
総務省消防庁によると、医師の指示なく針を人体に刺す行為は、過去、他の消防でもたびたび問題となってきた。
同庁は、その都度、「法令順守」と「資機材の管理徹底」を通達してきた。
だが今回の調査で、こうした行為が繰り返されている実態が明らかになった。
針を刺すという違法性の高い行為を「明確にやってはいけない」と回答した職員は6割にとどまり、同局は「(同様の行為が)実際はもっとあったかもしれない」と認めた。
同局の関係者によると、救命士養成学校に入る前の職員が、「指導の一環として、上司の腕で練習させられた」とも証言しており、半ば慣習的だった可能性もある。
一方で、調査では、「(現状の練習では)十分でない」と考える職員が多いことも分かった。
今回の一件を「たいした問題ではない」と考える人もいるだろう。
だが、繰り返される背景に救急現場のジレンマがあることを見逃してはいけない。
救命救急の高度化で、呼吸を助ける気管挿管や点滴といった医療行為が認められ、責任が増している。
だが、看護師らのように日常的に医療の経験を積むことが難しく、医療行為に不安を抱える職員もいる。
とはいえ、いたずらに研修を増やすだけでは、人繰りに悩む現場をさらに追い込む結果になりかねない。
同局は、「練習の環境を、他の消防本部の状況も調べながら整えていくことも課題」とした。
法令を守りつつ救急の質を高める方策を、広い視野で考える必要がある。
出典
『明石市消防局・点滴練習問題 別の3人の同僚らに注射』
https://www.kobe-np.co.jp/news/akashi/201811/0011859296.shtml
11月29日11時47分にNHK兵庫からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
明石市消防局では、救急救命士の資格を目指していた36歳の消防士長が後輩の職員の右腕に点滴用の針を刺して注射の練習をしていたことがわかり、ことし8月、厳重注意を受けた。
この問題で、明石市消防局が消防職員ら236人を対象に内部調査したところ、注意を受けた消防士長のほかにも、この5年間に3人が「同僚を相手に注射の練習をしたことがある」と答えたという。
調査は匿名のアンケート形式で行われたため、3人の名前や所属部署などは特定されていないという。
出典
『消防職員 別の3人も注射練習か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20181129/2020002466.html
※最初に発覚した時の報道は下記記事参照。
(2018年8月9日11時0分 産経新聞west)
兵庫県明石市消防局の男性消防士長(36)が、「点滴の練習のため」として、後輩の男性消防士(25)の右腕に注射針を2回刺していたことが9日、市消防局への取材で分かった。
医師の許可なく注射をするのは違法行為で、上司が口頭で厳重注意した。
市消防局によると、消防士長は3月17日午後8時ごろ、当直勤務中の仮眠室で、後輩の消防士に「注射の練習をさせてほしい」と依頼し、同意を得た上で注射針を2回刺した。
消防士にけがはなかった。
消防士長が同日、上司に報告して発覚した。
出典
『後輩の腕で注射の練習 明石市消防局、消防士長を厳重注意 兵庫』
https://www.sankei.com/west/news/180809/wst1808090032-n1.html
2018年11月23日1時38分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後3時半すぎ、沖縄県の久米島の北西およそ130kmの海上で、護衛艦「ちくま」が海上警備を終えて、実弾を甲板に並べて数を確認していたところ、甲板に押し寄せた波で、誤って実弾21発を海中に落とした。
落とした実弾は護衛艦20ミリ機関砲に使用されるもので、当時は、作業を監督する幹部自衛官を含め、6人が実弾を取り外す作業などにあたっていた。
作業をしていた自衛官にけがはなかった。
実弾は直径およそ3cm、長さは17cmほどで、強い衝撃を与えても直ちに爆発するおそれはないということだが、海上自衛隊は、実弾を見つけてもむやみに触れないよう注意を呼びかけるとともに、回収について、今後、検討していくとしている。
護衛艦「ちくま」の艦長、久保二等海佐は、「武器、弾薬を海中に落下させたことはまことに遺憾です。管理に関する指導、教育を徹底して、再発防止に万全を期してまいります」とコメントしている。
出典
『護衛艦から実弾が海に落下 海自が注意呼びかけ』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181123/k10011720921000.html
11月23日1時8分に沖縄タイムスからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後3時40分ごろ、沖縄県久米島(久米島町)の約130km沖で、海上自衛隊の護衛艦「ちくま」の甲板上で高性能20ミリ機関砲の弾数を確認していたところ、流入した波の影響で実弾21発が海中に落下した。
海自佐世保地方総監部(長崎県佐世保市)は、強い衝撃で破裂する可能性もあるとして、漁船に注意を促し、網に掛かった場合には、むやみに触れずに連絡するよう呼び掛けている。
同総監部によると、実弾は直径約30mm、長さ約168mm、重さ約250g。
有害物質などは含まれていない。
現場は水深約140mで、既に海底まで沈んだとみられるという。
(共同通信)
出典
『海自艦から実弾海中落下 沖縄沖、破裂の危険性も』
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/348972
2018年11月20日12時30分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
鹿児島県伊佐市で先月23日、民家が全焼した火災で、消防車が水を積まずに出動し、消火開始が遅れたことが分かった。
伊佐湧水消防組合は、消防長ら5人を処分した。
組合によると、消防車が火災に出動し、隊員2人がホースを伸ばしてノズルを民家に向け、別の隊員が消防車の弁を開けたが、水が出なかった。
約300m離れた川の水をくみ上げて放水を開始したのは、約5分後だった。
すでに民家の約3分の2が焼けていたが、約1時間20分で鎮火。
木造平屋建て住宅と倉庫計約270m2が全焼したが、一人暮らしの女性(79)にけがはなかったという。
組合の説明では、先月17日、消防車の走行中にエンジンが故障し、レッカー移動するため、約2トン入っていた水を抜いた。
19日に修理が終わったが、水を入れ忘れたという。
修理後の毎日の点検でも、水の有無の確認を怠っていた。
放水の遅れが被害程度に与えた影響については、「分からない」としている。
組合は監督不行き届きだったとして、今月12~14日付で組合の消防長、同分遣所長ら5人を口頭や文書による訓告処分にした。
組合の赤池次長は、「プロとしてあってはならないミス。点検を徹底し、再発防止に努めたい」と話している。
出典
『消防車出動、ホース伸ばしたら…水積み忘れ、消火に遅れ』
https://www.asahi.com/articles/ASLCN3D9NLCNTLTB001.html
11月19日18時26分にNHK鹿児島からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
タンク車は「水槽付消防ポンプ自動車」と呼ばれるもので、車体に大量の水をためることができる。
消防車と同様に放水も可能で、初期消火に対応するために導入されている。
伊佐湧水消防組合によると、このタンク車は伊佐市菱刈南浦で先月23日の夜に発生した住宅火災で出動したが、現場に到着し、消防士が消火活動を行おうとしたところ、水がないことに気づいた。
ポンプ車には最大2トンの水を積むことが可能で、およそ3分間、放水を続けることができる。
今回の火事では近くの消火栓から水を取り、ほかの7台の消防車両とともに放水作業を行ったという。
伊佐湧水消防組合は、「消火活動の遅れなど影響はなかった」としているが、注意義務を怠ったとして、組合のトップの消防長や大口消防署菱刈分遣所の副所長など、4人を訓告の処分とした。
ポンプ車は修理に出され、火事の数日前に菱刈分遣所に戻されたが、この際、職員が水を積むのを忘れていたという。
伊佐湧水消防組合は、「日ごろの点検を徹底して、再発防止に努めたい」としている。
出典
『消火に入るもタンク車に水なし』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20181119/5050004921.html
2018年11月20日18時15分にNHK徳島から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
相次ぐ豪雨災害に備えて、徳島県は大規模水害に特化した消防部隊を全国で初めて創設する準備を進めているが、20日、この部隊の中心となる水陸両用車が徳島県北島町で公開された。
公開されたのは、全長4.8m、総重量3.3トンの大型車両で、車両後部の2基のスクリューで船のように移動できる一方、キャタピラー走行もできるという、水陸両用の性能を備えている。
豪雨で浸水したり土砂が流れ込んだりしたアクセスの困難な場所でも、孤立した被災者の救助や物資の輸送などにあたることができる。
20日、徳島県北島町の河原でこの車両が初めて公開され、消防隊員などおよそ80人が集まった。
はじめに、メーカーの担当者が、陸上走行モードと水上走行モードをスイッチで切り替えられることなど、車両の性能を説明した。
続いて、消防隊員が車両に乗り込み、河原の砂利道を走行したうえで、そのまま川の中に入り、陸上でも水上でも走行できることを実際に確かめていた。
徳島県は、西日本で唯一、配備される予定のこの車両を中心に、全国で初めての大規模水害に特化した消防部隊を創設することにしていて、車両は今後、回転灯の設置など改良が加えられ、来年3月に正式に配備される予定だ。
試験走行を行った隊員の1人は、「船や車だけでは到達できない被災者のもとにたどりつくことができる。訓練を重ねて、少しでも多くの人を助けられるようにしたい」と話していた。
出典
『豪雨災害に備える水陸両用車公開』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/tokushima/20181120/8020003522.html
11月20日23時55分に朝日新聞からも、写真と動画付きで、同趣旨の記事がネット配信されていた。
津波や大規模水害時に人命救助などにあたる水陸両用の全地形形対応車が、今年度中に千葉県と徳島県に配備される。
愛知県岡崎市に配備されている従来型にはない、スクリューを備えた新型で、水上での安定航行ができるという。
徳島県で20日に試験走行があった。
全地形対応車は、総務省消防庁が導入した。
悪路走行用のベルト状のゴムの駆動装置と水上航行用のスクリューを、運転席のスイッチで切り替えられる。
現場まで車両を運ぶ搬送車や、救助用機材を含む費用は、一式約6500万円になる。
各地で相次ぐ豪雨災害に対応するため、広域での運用を想定して、両県内の消防に無償貸与する。
徳島県は今年度中にも、車両が配備される板野東部消防組合を中心とした風水害対応の部隊をつくる方針だ。
徳島県消防保安課の佐藤課長は、「南海トラフ巨大地震による津波被害も予想される。すぐに出動できる態勢を整えたい」と述べた。
出典
『走って泳げるすごいやつ 津波や水害に備え新型車配備へ』
https://www.asahi.com/articles/ASLCN3W30LCNPUTB005.html
(ブログ者コメント)
岡崎市に配備されている全地形対応の消防車両(レッドサラマンダー)については、昨年、本ブログでも紹介スミ。
香川県のさぬき市と東かがわ市を管轄する大川広域消防本部(同市)が、はしご車のタイヤを17年間にわたって交換せず、走行中に破裂させていたことがわかった。
けが人はなかったが、関係者は、「災害現場に出動中なら、より危険で、活動に支障が出る」と指摘している。
同本部が取材に対し明らかにした。
担当者は、「危険性は承知している」とし、他の車両も調べて、古いタイヤから順に交換していくという。
同本部によると、はしご車は5日、道路や建物の調査でサイレンを鳴らさずに走行中、東かがわ市内の道路上で、8本あるタイヤのうち1本が破裂。
すぐ横のタイヤも変形した。
はしご車は1996年に導入。
破裂したタイヤは2001年12月に交換したが、その後の車検などでは問題がなかったという。
このはしご車は13年にも、業務外での走行中に別のタイヤを破裂させていた。
同本部のはしご車の出動は3階以上の建物が対象で、年に1回ほどにとどまる。
担当者は、「タイヤの劣化は外観的にわからず、見落としがちだった。出動頻度の高い車両のタイヤ交換を優先してしまった」と説明した。
一方、高松市消防局によると、重量があるはしご車はタイヤの摩耗が早いため、4年に1回をめどに交換しているという。
出典
『消防車のタイヤ、17年交換せずパンク「劣化わからず」』
https://www.asahi.com/articles/ASLCD349BLCDPLXB002.html
2018年11月15日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
14日午後1時20分ごろ、滋賀県高島市の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場に隣接する国道303号近くに迫撃砲弾が着弾し、道路脇に停車していた同市の朽木漁協組合長、川村さん(男性、71歳)のワゴン車の窓ガラスが割れるなどした。
砲弾は直撃せず、爆発した弾の破片が当たった可能性がある。
けが人はいなかった。
陸自は同型の迫撃砲の使用を中止し、詳しい原因を調べている。
岩屋防衛相は、防衛省で記者団の取材に「誠に申し訳ない。大きな被害につながった恐れがあり、深刻に受け止めなければいけない。安全の徹底を図りたい」と陳謝した。
防衛省によると、饗庭野演習場では、午前8時ごろから陸自第37普通科連隊(大阪府和泉市)が射撃訓練を始めた。
午後1時15分ごろからは、81ミリ迫撃砲の射撃を約30分間実施。
この際、実弾1発(長さ約40cm、重さ約4kg)が演習場の境界付近に落下した。
迫撃砲は約2.5~3km先の演習場内を狙っていたが、予定の着弾地点とは北に約1kmずれていた。
岩屋氏は、「本来、落ちてはいけないところであり、演習場外だったという認識だ」と話した。
迫撃砲の発射は4人1組で行い、安全管理や着弾地点の監視要員もいたが、すぐに発射ミスに気づかず、滋賀県警から連絡を受けた午後2時半ごろになって国道付近への着弾に初めて気づき、訓練を中止したという。
陸自は、操作ミスか機械的な不具合があったとみて、事故調査委員会を設置して調査している。
81ミリ迫撃砲は、全国の普通科部隊に配備されている。
地上に設置し、角度や方向などを変えながら、放物線を描くように砲弾を発射する。
砲身の長さ128cm、重さ約38kg、最大射程は約5600m。
今回使用した砲弾は、落下時に爆発し金属片を周囲に飛散させるタイプだという。
【運転手「命の危険」 】
「すさまじい炸裂音で、命の危険を感じた」。
国道脇に停車させていたワゴン車の車内にいた川村さんは、あわや大事故という恐怖を振り返った。
川村さんによると、かばんから書類を出そうと車を一時停車させたところ、突然、金属音のような爆発音に続いて、窓ガラスが「バシッ」という音と共に砕け散った。
約40m離れた場所で煙が上がり、ワゴン車には何かの破片が当たったようなくぼみが数カ所できていた。
煙が上がった辺りでは道路の舗装がめくれ、小さな羽根のついた長さ約20cm、直径約3cmの砲弾片らしきものが落ちていた。
警察によると、付近からは砲弾1発が見つかった。
饗庭野演習場を巡っては2015年7月、訓練で発射された12.7ミリ重機関銃の銃弾が、同じ国道沿いの民家の屋根を貫いた事故があった。
当時、2階に男性がいたが、けがはなかった。
市民らによる「あいば野平和運動連絡会」の泉事務局長(男性、74歳)は、「またか、と思った。3年前の事故で、自衛隊は市と安全確保に向けた覚書を交わしたのに」と憤った。
出典
『陸自 砲弾、一般車被害 国道そばに着弾 滋賀の演習場 目標1キロずれ』
https://mainichi.jp/articles/20181115/ddm/041/040/023000c
11月14日17時52分にNHK滋賀からは、発射時の安全対策に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
陸自は、迫撃砲弾の発射訓練の安全対策として、発射に使う筒の方向や角度、それに火薬の量などに誤りがないか、迫撃砲を扱う隊員のほかに、安全確認だけに専念する別の隊員も加わって、二重にチェックするようにしている。
さらに、迫撃砲弾は目標地点に飛ばす際に誤差が生じることがあるため、目標地点を覆う形で広範囲の訓練区域を設定して、仮に砲弾が目標地点から大きくずれても、訓練区域からはみ出さないように対策をとっているという。
隊員の1人は、「通常では考えられない事故で、確認不足など人為的なミスがなかったか調べなくてはならない。あわせて、砲弾に欠陥がなかったかも確認する必要がある」と話している。
・・・・・
出典
『陸自の砲弾が国道付近に 車破損』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20181114/2060001502.html
11月15日17時31分にNHK関西からは、域外に飛び出すまでの経緯などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・・・
陸自によると、当時は訓練を始める際の試験的な発射が行われていて、はじめの2発は想定の飛行コースより北側にずれていたが、目視では確認できず、隊員たちは着弾した音の確認だけで、想定どおりに飛んで目標地点の手前に落下したと判断したという。
そして、3発目は目標地点に近づけようと飛距離を200m伸ばすよう調節して発射したところ、目標地点から北におよそ1kmもずれ、演習場の外にいた車に被害を出したという。
さらに、4発目を発射する際には、飛行コースを調整するための発射機のつまみが想定と違う数値に設定されていることに気づき、修正したものの、演習場の外で被害が出ているとは考えず、訓練を続けたという。
陸自は、砲弾を発射する際の隊員たちの操作にミスがあり、飛行コースが北側にずれていることに気づかないまま発射したとみて、調査を進めている。
陸自トップの山崎陸上幕僚長は15日の記者会見で、事故を謝罪したうえで、事故の原因については、
「81ミリ迫撃砲は射撃精度が高く、設定が適切であれば、目標地点に入るということが前提だ。
通常起こりえない事態で、極めて深刻に受け止めている。
機材の状況など、あらゆる要因を考えているが、人的なミスが有力な要因であるとは考えている」
と述べ、隊員の操作ミスの可能性があるという考えを示した。
また、安全管理体制については、
「砲弾の着弾が見えない場合には発射機の設定を確認することになっているが、そのことが結果的に行われていなかった。
なぜ、そのようなことになったのか、原因を解明しなければならない」
と述べ、当時の体制に問題点がなかったか、詳しく調査する考えを示した。
・・・・・
出典
『砲弾コースずれに気づかず事故か』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20181115/0009739.html
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
11月16日9時2分にNHK関西からは、事故発生から訓練中止まで1時間半もかかっていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
陸自のその後の調べで、訓練を中止したのは、事故の発生から1時間半以上たってからだったことがわかった。
具体的には、午後1時20分ごろに事故が発生し、警察から演習場に隣接する駐屯地に連絡があったのが午後2時半ごろで、訓練が中止されたのは、それからおよそ30分がたった午後2時57分だった。
陸自によると、警察の連絡から訓練中止までのおよそ30分の間にも12発の砲弾が発射されていたという。
また、陸自トップの陸上幕僚長への報告は、事故からおよそ2時間後の午後3時20分ごろだったということで、陸自は、緊急時の連絡態勢など安全管理に問題がなかったか、詳しく調べることにしている。
出典
『陸自 訓練中止まで1時間半以上』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20181116/0009757.html
(ブログ者コメント)
同演習場で2015年に起きた事故は、本ブログでも紹介している。
(2018年12月22日 修正1 ;追記)
2018年12月18日12時52分に朝日新聞から、訓練を一旦中断した後、再開時に分隊長がメモを見ず照準数値を部下に伝えていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
防衛省は18日、射撃分隊長が思い込みで誤った方向を隊員に指示し、責任者の射場指揮官らも点検を怠ったなどとする調査結果を発表した。
陸上幕僚監部によると、射撃分隊は事故当日の11月14日、81ミリ迫撃砲をいったん目標に向けて正しくセットしたが、別部隊による後方からの射撃を避けるため、退避した。
約25分後に戻ってやり直した際、分隊長は、砲身の方向を定める照準の数値を思い込みで誤って伝えた。
正しい数値をメモしていたが、メモを見なかった。
さらに、別の場所に退避した指揮官と安全係は、戻るのが遅れた。
安全係が照準の値を確認しないまま、指揮官は予定時刻が来たとして射撃を指示。
「遅れれば他の訓練に影響すると思った」と話しているという。
訓練では、通常、安全な範囲を示す杭を砲前方の左右に打ち、砲身が杭の範囲に収まっているかを真後ろから確認する。
しかし今回は、安全係が斜め後ろから見たため、方向のずれに気づかなかった。
着弾が目視できなかった場合は、指揮官らが砲の設定を確認する決まりだが、目標区域内にある沢に落ちて土煙などが上がらなかったと思い込み、点検を怠った。
陸自は、砲の照準に左右の限界を表示するなどの再発防止策をまとめ、18日付で全国の部隊に周知した。
陸自トップの山崎陸上幕僚長は18日午前、記者団の取材に応じ、「誰かが安全管理の義務を遂行していれば、事故は起こらなかった。部隊全体の安全意識の不足が一番の原因。非常に重く受けとめている。誠に申し訳ない」と謝罪した。
出典
『砲弾事故「思い込みで方向指示」 陸自が19人処分』
https://www.asahi.com/articles/ASLDK669BLDKUTIL054.html
12月18日10時39分に毎日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
陸自によると、分隊長は11月14日午後1時15分ごろ、81ミリ迫撃砲の射撃訓練を始める際、事前に計算していた照準用の4桁の数字の1つを間違えて隊員に口頭で伝えた。
メモを持っていたが確認せず、砲の向きが右に22.5°ずれたまま砲弾を3発発射し、このうち射程を延ばした3発目が国道近くに落ちた。
射撃訓練では、事前に現場の射撃指揮官や安全係の隊員が照準などを点検する手順になっていた。
だが、直前に別部隊が射撃訓練をする間、退避した際に分隊とはぐれてしまい、分隊がその後、再び照準を合わせたのに点検をきちんと実施しなかった。
指揮官らは、「退避前に1度安全点検をしたので大丈夫」と考え、予定時間通りの射撃を許可したという。
出典
『陸自誤射は照準数値を誤伝達 隊員19人処分』
https://mainichi.jp/articles/20181218/k00/00m/040/037000c
2018年9月20日に掲載した第2報がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第3報修正3として掲載します。
第2報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8828/
(2018年11月4日 修正3 ;追記)
2018年10月26日23時18分に毎日新聞から、留置管理の杜撰な状況が、下記趣旨でネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報第2報ともどもタイトルも修正した)
府警によると、樋田被告が弁護士との接見を始めたのは、今年8月12日午後7時半ごろ。
留置担当の巡査部長(41)は、午後5時ごろに弁護士から連絡を受け、ともに留置管理を担当する警部補(50)に伝えた。
しかし、警部補は接見直前に休憩室へ。
府警の内規では、樋田被告を留置場から面会室に移動させる時は2人以上で対応する決まりだが、警部補は休憩室から出てこなかった。
巡査部長も、「(樋田被告は)おとなしくて大丈夫だと思った」と考え、1人で対応した。
・・・・・
署は、面会室のドアの開閉を知らせるセンサーの電池を1年以上前から抜いていたが、署長はセンサーの存在すら知らなかった。
樋田被告の留置場の居室トイレの窓枠樹脂が剥がされ、その隙間に逃走計画を記したメモが詰め込まれていた。
この、樹脂剥がしに使ったとみられるプラスチック片も、逃走後にトイレから見つかった。
安井・総務部長は会見で、「見落としたと言われても仕方がない」と話した。
留置場は月1回以上、署長の指示で一斉点検する決まりだが、署長はこれも認識していなかった。
出典
『富田林逃走 休憩室でスマホ 留置担当者逃走に気付かず』
https://mainichi.jp/articles/20181027/k00/00m/040/131000c
10月26日22時58分に産経新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
事件は、署のトップが更迭される事態となった。
府警が26日に明らかにした検証結果では、留置管理の担当者が内規に反してスマートフォンを操作したり、監査前に面会室の不都合な点を隠蔽するなど、留置管理業務をめぐる問題点が次々と判明。
個人の甘い認識と組織のずさんな態勢が絡み合い、前代未聞の逃走劇を招いた実態が浮かび上がった。
・・・・・
巡査部長は、コップなどの備品を水洗いするなどしていたが、1時間ほどが過ぎたころ、接見が長いと気になった。
だが、「容疑者側の窓からのぞくと、接見妨害になるかもしれない」と懸念し、面会室の前室から弁護士側の扉が閉まっているのを確認。
接見が続いていると思い込んだが、実際には午後8時ごろに接見は終わっていた。
留置場内にいた巡査部長は、午後9時ごろから、内規で持ち込みが禁じられているスマートフォンでニュースを見るなどしていた。
同40分ごろ、休憩を終えた警部補の指示で巡査部長が面会室を確認すると、すでに逃走した後だったという。
同署では、面会室の扉が開閉される際にブザーが鳴る装置の電池が、1年以上前から抜かれていた。
執務スペースの狭さから、署員が面会室の扉を開けたまま中で作業することがあり、この間にブザーが鳴りっぱなしになるのを防ぐというのが理由だった。
ブザーがなくても、面会室の扉の開閉音がかなり大きく、これまで、弁護士が帰ったのに気づかなかったことはなかった。
ほかの同署の留置管理担当者は、「なぜ終わったことに気付かなかったのかが分からない」と、口をそろえているという。
電池を抜いていることは、府警本部による監査で発覚する可能性もあった。
しかし、同署留置副主任の警部補(60)は監査前になると、電池を入れておくよう部下に指示していた。
出典
『逃走招いた富田林署 ずさんな留置管理』
https://www.sankei.com/affairs/news/181026/afr1810260050-n1.html
(2018年12月16日 修正4 ;追記)
2018年12月13日22時15分に読売新聞から、逃走時に留置管理担当の巡査部長がスマホで見ていたのはアダルト動画だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
当時、留置場で勤務していた男性巡査部長(42)が、私物のスマートフォンでアダルト動画を見ていたことがわかった。
府警によると、樋田被告が逃走したのは8月12日午後8時頃で、警察官には立ち会いが認められない、弁護士との接見終了後。
巡査部長は午後9時頃、規定で留置場への持ち込みが禁止されているスマホを持ち込んで約40分間、閲覧し、逃走に気づかなかった。
府警は10月26日、巡査部長や署長ら7人を減給などの懲戒処分とし、経緯などを発表。
この際、「巡査部長は野球のニュースなどを見ていた」と説明していたが、アダルト動画については公表していなかった。
理由について、府警幹部は「スマホの持ち込みが処分の対象行為で、閲覧内容は関係ないとの判断だった。意図的に隠したわけではない」と話している。
出典
『留置場の警官、アダルト動画閲覧で逃走気づかず』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181213-OYT1T50092.html?from=ycont_top_txt
(2019年10月4日 修正5 ;追記)
2019年9月29日20時4分に朝日新聞から、大阪府警面会室の4割で仕切り板が強度不足だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪府警の本部や署にある85カ所の面会室のうち4割近い30室で、容疑者と面会人の間を隔てるプラスチック製の透明な仕切り板の強度が不足していたことが、朝日新聞の情報公開請求と取材でわかった。
昨年8月、富田林署で逃走事件が起きたが、同様の逃走が起きる可能性が否定できない状態だった。
府警は逃走事件後、計約5千万円かけて面会室を改修していた。
・・・・・
被告と面会人の間は、金属製の固定枠に取り付けられたプラスチック製の透明な仕切り板3枚で隔てられていたが、樋田被告は真ん中の1枚(高さ70センチ、横約1メートル、厚さ約1センチ)に強い力を加えるなどして枠からずらし、約10センチの隙間をつくったとされる。
仕切り板を枠に接着していた部分が劣化や損傷で外れやすい状態だったとみられる。
・・・・・
https://www.asahi.com/articles/ASM9X4S3NM9XPTIL00K.html
2018年10月25日10時0分に神戸新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月25日19時19分にNHK兵庫からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
神戸空港で昨年3月、学校法人「H学園」航空事業本部(神戸市中央区)が所有するヘリコプターが訓練中に横転した事故で、国交省運輸安全委員会は25日、訓練中の操縦士から機長に操縦を交代する際に適切な操作が行われなかったことが原因とする報告書を公表した。
報告書によると、事故は油圧系統の故障を想定した訓練直後に発生。
故意に油圧を切って操縦装置を動きにくくした状態で芝生に滑走着陸した後、管制から場所を移動するよう指示され、機長が操縦を代わって再離陸のために油圧を通常に戻す操作を行った。
この操作をする際、エンジンの出力を調整するレバーが固定されていなければならないが、何らかの理由で固定するロックが外れていた。
機長はこれに気付かずレバーから手を離し、操縦士も力を緩めていた。
この結果、油圧が復旧するまで数秒間、レバーが上がり続けて出力が増し、適切な操作をしないまま機首が上がって横転したという。
また、訓練後に別の仕事があった機長が早く駐機場に戻ろうと急ぎ、操縦装置に向ける注意力がおろそかになった可能性がある、とも指摘した。
運輸安全委員会によると、この事故を受けて「H学園」は、操縦を交代する際のマニュアルを新たに作るなどの再発防止策を取ったという。
出典
『ヘリ横転事故 安全委「操縦後退時に不適切操作」』
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201810/0011760493.shtml
『ヘリ横転は交代時の不適切操作か』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20181025/2020002172.html
2018年10月24日付で毎日新聞長野版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
長野市消防局で今年、救急業務中のミスが相次いだが、「家族の同意が得られなかった」として、非公表だった。
同消防局は、説明責任を果たすためとして、消防・救急活動のミスの「公表の考え方」を9月に策定した。
しかし、同意を得られなかったなどの場合は、公表しないこともあるという。
識者は、「同意を理由にしてしまうと公にならず、問題改善につながらない。発表の仕方を工夫し、事実だけは明らかにする姿勢が必要」と指摘する。
長野市消防局の篠ノ井消防署で今年1月、30代女性の搬送先の病院を誤り、予定していた病院への到着が約7分遅れた。
運転手は近い病院、救急隊員はかかりつけ医のいる病院を想定し、両者の意思疎通が不十分だった。
女性は約1週間後に死亡したが、救急隊到着時には心肺停止状態で、市消防局は搬送の遅れが影響した可能性は低いとしている。
5月には、低血糖の糖尿病患者に投与した「ブドウ糖」の使用期限が約3カ月前に切れていた。
健康被害はなかったが、定期点検で漏れていたもので、使用の際の確認も怠った。
2件とも、隊員らが口頭での厳重注意を受けた。
長野市消防局は、ミスを「原則公表」としていたが、2件については、火災が発生した際に住所などの個人情報を公表する際のルールの「相手方の意向を尊重する」という部分を参照した。
鎌田警防課長は、「2件とも、了承があれば公表する事案だったが、個人が特定される恐れがあったこともあり、ご家族の強い要望があった」と話す。
毎日新聞が県内全13の消防局・本部に取材したところ、救急業務上のミスを公表する基準を明文化している局・本部はなかった。
うち11は、「これまで公表すべきミスがなかった」とした上で、公表の際には個別に検討するほか、『情報公開条例』、『人事院の懲戒処分の公表指針』、『内部規定』などを参考にするとした。
2014年に飯田広域消防本部が、今年4月には須坂市消防本部が、救急車の遅れがあったと発表している。
いずれも患者は死亡したが、家族の同意を得た上で公表したという。
飯田広域消防本部は、「家族からの了解を得られない場合でも、社会的影響が大きければ、個人情報の一部を除いて公表する場合があると思う」とする。
原則公表とする須坂市消防本部は、「同意が得られない場合は、公表しないこともある」とした。
独協大の右崎正博名誉教授(憲法・情報法)は、「公表しなければ重大なミスかどうか、なぜミスが起こったのかを検証する機会がなくなる。搬送先を誤ったケースでは、なぜ隊員同士の意思疎通が不十分だったのか、今後の対処方針はどうするのか。そこが市民の知りたい情報。内部で解決したと言われても、市民には懸念が残り、公の機関として不適切」と語った。
出典
『長野市消防局 今年、救急業務中ミス2件 「家族不同意」公表せず』
https://mainichi.jp/articles/20181024/ddl/k20/040/013000c
10月24日付で信濃毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
長野市消防局は23日、心肺停止状態の女性の搬送先を救急車が間違えるなど、昨年以来あった業務上のミス3件を報道があるまで公表しなかったことに関連し、ミスの「公表の考え方」をまとめたと発表した。
「市民の生命、身体、財産に関わる市民の信頼を失わせるような事案」を公表対象とする一方、当事者への影響などを考慮して非公表にもできる―との除外規定を盛った。
今回の3件を当てはめた場合、いずれも当事者の意向から、公表対象にならないとの見解を示した。
「考え方」は、消防・救急活動のミスのうち、市民の生命などに関わる事案は「事案の再発防止と市民への説明責任を果たす観点から公表する」と規定。
ただ、「原則として(当事者に)多大な影響が生じる内容については、公表しない取り扱いとできる」としている。
市消防局警防課は、当事者が非公表を望む場合は、この除外規定に該当すると説明している。
同局が積極的に公表しなかったのは
▽救急車が患者の搬送先を誤った
▽患者に使用期限切れの薬剤を投与した
▽行方不明の高齢者の個人情報の一部を隠さず、関係機関にファクスした
の3件。
市消防局は、いずれも「市民の信頼を失わせるような事案」に該当するが、当事者側から非公表の要望があったと説明。
事案の内容や当事者の性別、年齢などが明らかになると「個人が特定される恐れがあり、影響が大きい」とし、除外規定に該当するとしている。
加藤市長は23日の記者会見で、「改めて、市民に対する説明責任を果たしているのかということもあるので、公表すべき事案はルールを定めるべきだと考えた」とした。
出典
『長野市消防局の「ミス公表の考え方」、非公表の除外規定盛る』
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20181024/KT181023FTI090015000.php
2018年10月23日18時33分に北海道新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
上川管内上川町愛山渓で6月、旭川市消防本部の男性隊員(32)が、遭難した女性(56)=死亡=の救助中に滝つぼに滑落し、意識不明の重体になった事故で、同本部は23日、救助活動の指揮者が雪渓に覆われた急斜面の状況を把握しないまま、登山経験のない隊員を救助に向かわせたことが原因とする検証結果を、市議会総務常任委員会に報告した。
事故は6月23日夕に発生。
報告書によると、同本部と道警は愛山渓温泉に現地指揮所を設けたが、同本部上川署長は救助隊員の人選のため、そこから約15km離れた防災ヘリコプター離着陸場で30人余りを指揮。
急斜面の雪渓や女性の容体など、現場の状況を把握しないまま、道防災ヘリで隊員2人を救助に向かわせた。
重体の隊員は、ヘリからロープで降下し現場に向かう途中、雪渓の急斜面で転倒して滑落、7m下の滝つぼに頭から落ちた。
男性は救急救命士の資格を持つが、登山経験はほとんどなく、靴に滑り止めを装着していなかった。
報告書は、「指揮者と指揮所が離れたため、実態把握や道警との情報共有に漏れや遅れが生じた」と指摘。
同本部は、指揮体制の見直しや教育訓練の充実など再発防止策を講じた上で、山地救急救助業務を来年6月にも再開する方針。
隊員は現在も入院治療中。
吉野消防長は、市議会常任委で組織としての責任を認め、「事故を教訓にして、再発防止に全力で取り組む」と述べた。
出典
『愛山渓の消防隊員滑落「指揮者が状況把握せず」 旭川市消防本部が検証結果報告』
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/240846/
※事故当時の報道は下記参照。
(2018年6月23日22時27分 産経新聞)
23日午前11時20分ごろ、北海道上川町愛山渓で「妻が登山中に動けなくなった」と男性から119番があった。
救助に向かった旭川市消防本部の消防隊員の男性(32)が現場近くで滑落し、意識不明で病院に搬送された。
警察などによると、登山中に滑落した助産師、河野さん(女性、56歳)が、搬送先の病院で死亡が確認された。
警察によると、河野さんは夫と2人で登山に来ていた。
消防と警察が同日午後、ヘリコプターなどで現場に到着し、河野さんが滝の近くで倒れているのを発見。
意識不明になった男性隊員はヘリから降下し、斜面で滑落した。
現場周辺は雨や雪で地面が湿っていたという。
『登山客救助の消防隊員滑落、意識不明 北海道上川町の愛山渓、女性登山客は死亡』
https://www.sankei.com/affairs/news/180623/afr1806230014-n1.html
2018年10月23日付で秋田魁新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
秋田市の秋田中央道路トンネル内に13台設置されている非常用電話のうち、少なくとも2台が119番につながらない状態だったことが22日、分かった。
同日、トンネル内で行われた防災訓練で判明した。
原因は分かっていない。
いずれも、道路を管理する県秋田地域振興局の中央監視室(同市東通)にはつながる。
同振興局は、近く、全ての電話を点検する考え。
同振興局によると、電話は200mおきに設置されている。
119番、110番、中央監視室の3カ所に連絡できる仕組みで、それぞれに通じるボタンが付いている。
22日の防災訓練では、1台目で119番したもののつながらず、2台目もつながらなかった。
このため、中央監視室に連絡して訓練を続けた。
電話は、県の委託業者が3カ月に1回点検しているが、中央監視室につながるかどうかのみを確認しており、直近の8月下旬の点検では異常はなかったという。
110番と119番は、警察と消防の業務に支障を来す恐れがあるとして、確認しないことになっていた。
同振興局建設部の佐藤部長(男性、58歳)は、「今後の定期点検では、3つの回線を全て調べたい。関係機関と協力して原因を早期に究明し、今後このようなことが起きないようにする」と話した。
出典
『トンネルの非常用電話、119番つながらず 秋田中央道路』
https://www.sakigake.jp/news/article/20181023AK0002/
(ブログ者コメント)
調べたところ、秋田中央道路は秋田市の中心部を東西に走る道路で、JR秋田駅の下も通っている。
2018年10月22日19時13分にNHK埼玉から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
高齢の患者が自宅などで心肺停止した際、救急隊が駆けつけても、家族が「自宅でみとりたい」などとして蘇生を拒否するケースが相次いでいることから、救急隊員が、こうした場合にどう対応するかを学ぶ訓練が、埼玉県の消防局で行われた。
訓練は、救急搬送で先進的な取り組みを進めている、狭山市などを管轄する埼玉西部消防局で6日間行われ、初日の22日は救急隊員25人が参加した。
この中では、80代の女性患者が自宅で容体が悪くなったものの、家族などから蘇生措置はしないよう求められたという想定で、どういう場合に蘇生を中止できるかを学んだ。
そして、事前に本人の意思と主治医の署名が書かれた文書が用意されている場合や、文書がなくても主治医の指示と家族の同意があれば蘇生を中止できるとして、手順を確認していた。
総務省消防庁によると、高齢の患者が自宅などで容体が悪化した際、救急隊が駆けつけても蘇生を拒否されて搬送するかどうか判断を迫られたケースが、去年、全国で少なくとも2000件あったことが分かっている。
訓練に参加した埼玉西部消防局の救急隊員・渋谷さんは、「救命活動と家族への説明を同時に行わなければならないのが難しい。この研修で学んだことを現場にいかしていきたい」と話していた。
出典
『救急隊員が蘇生拒否の対応訓練』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/saitama/20181022/1100003915.html
10月22日20時24分に日本経済新聞電子版からは、より詳細な解説的記事が下記趣旨でネット配信されていた。
病気で終末期を迎えた際に「住み慣れた自宅で最期を」と願う人が多くなる中、救急隊が患者の家族に心肺蘇生を拒否されるケースが相次いでいる。
総務省消防庁によると、2017年は全国で2000件以上。
一方で、5割超の消防本部が、拒否の意思が示された場合の対応方針を決めていなかった。
本人意思の尊重か、蘇生措置の優先かを巡って、現場が揺れている。
名古屋市の医師、神谷さん(男性、50歳)は16年9月、同居する父親(当時77)が自宅の風呂場で倒れているのを発見した。
既に心肺停止の状態。
間質性肺炎を患っていた父親からは、「もし心肺停止になっても、蘇生措置はしないで、ゆっくり死なせてほしい」と伝えられていたことから、救急車を呼ばずに警察に通報した。
警察には事件性なしと判断してもらいたかったが、駆けつけた警察官は、「身体が温かい。救急車を呼ぶ」。
到着した救急隊にも父親の意思を伝えたが、「死後硬直が起きていない。ルールとして病院に搬送する」と説明された。
結局、父親は病院で死亡が確認され、自宅に戻ったのは約6時間後だったという。
神谷さんは、「2人の娘は、『おじいちゃんに触らないで』と泣き叫んでいた。救急隊を責めるわけにもいかないが、家族と父の希望をかなえられず、悔しい」と話した。
総務省消防庁は、18年9月、17年に蘇生の拒否事例が全国728消防本部のうち403本部であり、少なくとも2015件に上ったとする初の調査結果を公表した。
拒否の意思を示された場合の対応方針を定めていない消防本部は、全体の54%に上った。
消防法は、救急搬送や心肺蘇生などを救急隊の任務と定めるが、蘇生中止に関する規定はない。
ある救急隊員は、「家族の説明だけでは、生前の意思を判断できない。蘇生措置に抗議されても、ルールがないので、任務は遂行しなければならない」と明かす。
対策を講じる動きもある。
救急隊員や医師でつくる日本臨床救急医学会は17年4月、提言を発表。
心肺停止後の蘇生措置を望まないと事前に書面で残している場合も、まずは措置を始め、かかりつけ医に直接連絡を取って、具体的な指示があれば中止するよう求めた。
提言を受け、埼玉県所沢市など5市を管轄する埼玉西部消防局は、同12月に具体的な手順書を作った。
管内では、18年9月末までに17件の該当例があったが、トラブルはないという。
同局救急課は、「手順書作成前は、現場から悩みが報告されていたが、現在は解消された」と効果を語る。
こうした取り組みについて、同学会代表理事の坂本医師(男性、60歳)は、「一部にとどまっており、国が統一したルールを設けてほしい」と要望する。
総務省消防庁の検討部会は、蘇生拒否への対応を含む救急業務のあり方について議論しており、19年1月ごろまでに意見をまとめる方針。
同庁救急企画室は、「意見を踏まえて、今後の対応策を検討したい」としている。
出典
『「蘇生やめて」に救急現場困惑 拒否、17年2000件』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36776770S8A021C1CC1000/?n_cid=NMAIL007
2018年10月18日18時0分にKBS京都から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都市消防局が所有する消防車両が、積載量をオーバーしたまま、およそ1年半運用されていたことが分かった。
積載オーバーしていたのは、去年4月に上京消防署に配備された小型水槽車で、積載オーバーが指摘されているのは、去年4月からことし9月までの、およそ1年半。
消防局によると、ことし9月、来年度へ向け小型水槽車を新たに製造しようと、同型の水槽車を最大車載水量1000ℓで計測したところ、6915kgの車両総重量を、およそ500kgオーバーしていたという。
きょう午後開かれた京都市会の総務消防委員会で、共産党の樋口市議が、「積載オーバーで法律に抵触しているのでは」との質問に対し、消防局の立入総務部長が、水槽の容量と積み込む資機材とで総重量の調整が不十分であったと積載超過を認めたうえで、「現在、水の量を600ℓに減らし運用している。安全を確保できる範囲で車検登録をし直す」と答弁した。
京都市消防局では、ほかの消防車両についても重量の確認を行うとともに、メーカーとの調整を徹底していくとしている。
出典
『車両積載量超過で運用 京都市消防局』
http://www.kbs-kyoto.co.jp/contents/news/2018/10/news_181018180000_084812.htm
10月19日6時30分に京都新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都市消防局上京消防署所有の消防車1台が、車検証で規定されている総重量を上回る積載を行い、道路運送車両法に違反していた疑いのあることが18日、分かった。
同局によると、車両はポンプと水槽を兼ね備えた小型水槽車。
車検上の総重量は6.9トンだったが、救助用の機材などが多く積まれていたため、実際は7.4トンあった。
昨年4月に配備され、出動や訓練で年間100回ほど使われていたとみられるが、これまで事故はなかったという。
先月21日に同局の調査で発覚した。
水を減らし、機材の一部を撤去して、規定の総重量未満に抑えた。
すでに京都府警などに報告している。
18日の市議会総務消防委員会で樋口市議(共産党)の質問に、荒木局長は「確認する機会は常にあり、責任を感じている。詳しい原因を調べたい」と謝罪した。
出典
『消防車を過積載で使用か 京都市消防、水や機材多すぎ』
https://this.kiji.is/425768882001003617?c=39546741839462401
(2018年12月9日 修正1 ;追記)
2018年12月7日23時3分に京都新聞から、過積載ではなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
・・・・・
一方、京都市消防局が10月に公表した上京消防署の小型水槽車の事例は、その後の詳しい調査で過積載でないことが分かったという。
出典
『消防車の荷物積みすぎ相次ぎ判明 「出動隊数少なく」』
https://this.kiji.is/443741064673166433?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
10月の報道で過積載となった理由を納得していたのだが、それがなぜ、過積載ではないとなったのだろう?
調べてみたが、他に報道は見当たらず、消防局のHPにも見当たらなかった。
2018年6月8日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/8429/
(2018年10月25日 修正1)
2018年10月18日17時27分にNHK関西から、再発防止策が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大阪市の吉村市長が18日の定例会見の中で、大阪市消防局としての再発防止策を発表した。
それによると、救急隊員が患者が「明らかに死亡している」かどうかを判断する際に確認が求められている呼吸や脈拍、それに瞳孔などの6つの項目についてチェックリストを作成し、現場で救急隊員2人が二重にチェックすることなどが盛り込まれた。
また、市によると、大阪市内の救急隊の出動件数は年々増加していて、去年は22万9013件と過去最多だったということで、市では救急隊員の勤務体制を改善するために、今後、救急隊の増員も検討していくという。
出典
『救急隊が死亡誤判断で再発防止策』
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20181018/0008803.html
(ブログ者コメント)
10月18日付で発表された報告書を読んだが、臭気や見た目から、患者死亡と判断してもおかしくない状態だった。
(新情報に基づき、タイトルも修正した)
報告書を見るまでは、確認するのに手を抜いたのだろうか?などと考えていたが、そんな話しではなかった。
思えば、これまで数多くの事例を紹介してきたが、事故の報告書を見ることは稀。
事故の再発防止を考えるうえでのポイントとなる情報が埋もれているケースは多々あるのだろうと、改めて感じた次第。
報告書から抜粋した当時の状況を以下に転記するが、「幾度となくこのような現場を経験」することがある消防や警察の方々は本当に大変だ。
ブログ者には、肉体的にも精神的にも、とても勤まらない。
・・・・
p9
オ 室内進入から傷病者接触までの動き
A司令補は、玄関ドアを開けたと同時に腐敗臭を感じ、室内にはハエが飛んでいるのが分かったと供述した。
一 方、C士長は、幾度となくこのような現場を経験しているにもかかわらず、「うわっとなるぐらいのとてつもない腐敗臭を感じた。」と供述している。
・・・
C士長は、この時の状況として、室内には 30 匹ほどのハエが飛んでいるのが見え、部屋の奥に傷病者が右側臥 位の状態で倒れており、臀裂部にハエがたかっていること及び傷病者の右肩から右腰までにかけて床面から高さ 10cmほどの範囲で赤黒い変色が見え たことから、傷病者には死斑があり死亡状態であると確信したと供述している。
・・・・・
p10
傷病者へ近づくと、傷病者には毛布がかかっておらず、便失禁はなかったものの、臀部にハエがたかっているのが見え、顔は床に幾重かに折り重ねられ敷いてある毛布に埋もれており観察ができない状況であった。
カ 傷病者接触時の状況
A司令補は、まず、傷病者の左下肢に左手で触れ、両手で左下肢の硬直を見るため膝の可動性を観察した。
その結果、冷感があり、硬く感じられたことから、下肢には死後硬直が出現していると判断した。
その後、背面側で頭部の位置に移動し、自身の右手で毛布を床面に押さえつけて、顔を覗き込み、自身の左手で総頸動脈を5秒程度確認したが、呼吸は無く、脈も触れなかった。
この時、 A司令補は、床面に接していた右腰の辺りに多数の白っぽい蛆虫がいることを確認したことから、傷病者は死亡状態であり、死亡してから時間が経過しているものと判断した。
なお、A司令補は、死斑と思われる赤黒い変色や褥瘡(じょくそう)までは確認していなかった。
・・・
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/shobo/0000450106.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。