2016年4月5日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
4日午後3時ごろ、東京メトロ半蔵門線九段下駅(東京都千代田区)で、中央林間発押上行きの電車(10両編成)がベビーカーをドアに挟んだまま発車した。
ベビーカーは、100mほどホームを引きずられた後、ホーム端の柵に衝突し、大破。
子供は乗っておらず、けが人はなかった。
東京メトロによると、子供2人を連れた夫婦がベビーカーを1台ずつ押していた。
6両目の車両に母親が子供2人と乗り、続いて父親がもう1台のベビーカーを押して乗せようとしたところ、ドアが閉まった。
ホームで父親はベビーカーから手を離したが、電車はそのまま発車した。
電車は、ドアに15mmほどの物が挟まると、センサーが感知して発車できない仕組みになっているが、挟まったのが左前輪のつなぎ目のパイプ部分で細かったため、感知しなかったという。
また、車内とホームで乗客が非常ベルを押したが、最後尾の車両に乗っていた車掌は気付かなかった。
通常、車掌は目視などで安全確認をした上で、出発する決まりになっている。
出典
『ベビーカー挟み100メートル 車掌気付かず大破 けが人なし 東京・九段下駅』
http://mainichi.jp/articles/20160405/ddm/041/040/142000c
4月5日8時32分にNHK首都圏NEWS WEBからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
今回のトラブルでは、乗客が2度にわたって非常ボタンを押して異常を知らせたものの、車掌は列車を停止させなかった。
最初に、列車が走り始めてからおよそ100m進んだところで、車内にいた乗客が、壁に取り付けられた非常通報装置のボタンを押した。
列車の長さはおよそ200mあり、ちょうど半分ほどがホームを通過中で、前から6両目のドアに挟まれたベビーカーがホームの端の柵に衝突したころとみられる。
この装置は、ボタンを押すと運転席に何両目のボタンが押されたかが表示され、車掌が乗客とインターホンを通じて会話することで、異常の内容を確認することができる。
今回のトラブルで、車掌はボタンが押されたことに気づいたが、窓から顔を出し外の安全を確認していて、すぐに応答できなかったという。
次に、ホームにいた乗客が、駅の非常停止ボタンを押した。
このボタンを押すとホームの両端にある専用の赤いランプが点滅し、ホームには大きな警報音が鳴り響くという。
ボタンが押されたのは、列車が走り始めてからおよそ150m進んだところで、後ろから3両目までがホームを通過中だったとみられる。
最後尾の運転席にいた車掌も、非常停止ボタンが押されたことに気づいたが、決められた手順に従っての緊急停止操作を行わなかった。
車掌は、最初に押された車内の非常ボタンの対応に追われ、「気が動転して緊急停止をためらってしまった」と話しているという。
このため列車は、およそ400m先にある次の神保町駅まで止まらずに走り続けた。
出典
『車掌「動転し停止ためらう」』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160405/6945071.html
4月5日18時3分にNHK首都圏NEWS WEBからは、車掌の意識行動などに関し、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
東京メトロによると、車掌は母親が押した非常ボタンに気づいたが、緊急停止の操作を行わず、列車が次の駅のあたりまで進んでから、ようやく母親のもとに駆け付けたものの、「問題はない」という主旨の発言を受けて、そのまま乗務に戻ったという。
車掌は、九段下駅から7つ先の錦糸町駅まで乗務を続けていて、会社の聞き取りに対し、「乗務後に詰め所に戻って上司から説明されるまで、ベビーカーを挟んだことに気づかなかった」と話しているという。
出典
『車掌「乗務の後まで気づかず」』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20160405/4262411.html
4月5日20時43分に朝日新聞からは、車掌の経験などに関し、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
「次の神保町が400m先と近かったので、そこで確認しようと思った」。車掌はそう話したという。
昨春入社し、今年3月に車掌の研修を終え、単独での乗務は19日目。
営業運行中に非常ブレーキを操作した経験はなく、広報担当者は「電車を止めるのをためらってしまったようだ」と話す。
出典
『ベビーカー挟んだ電車、なぜ止まらなかった その時何が』
http://digital.asahi.com/articles/ASJ453K81J45UTIL01R.html?rm=510
4月6日付で毎日新聞東京版からは、車掌の訓練がどのように行われているか、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京メトロは、5日、全ての車掌を対象に、回送電車を使って非常ブレーキをかける緊急停止訓練を実施すると明らかにした。
非常ボタンが押された場合は必ず非常ブレーキをかけるよう、徹底を図る。
東京メトロによると、入社後、車掌になるために、シミュレーターで非常ブレーキを使った緊急停止などの訓練を重ねる。
その後、指導役と2人で乗務し、1人での乗務に切り替わる。
1人乗務を始めた後は、決まった訓練は実施していない。
出典
『全車掌対象に停止訓練 再発防止策』
http://mainichi.jp/articles/20160406/ddm/041/040/092000c
(2/2に続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。