2021年4月22日に掲載した元記事がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11574/
(2021年5月22日 修正1 ;追記)
2021年5月16日付で毎日新聞東京版からは、最初に作動した熱感知器は振動で、続いて作動した煙感知器はほこりで作動した可能性が考えられるなど、下記趣旨の記事が熱感知器の構造イメージ図付きでネット配信されていた。
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熱の感知器は「空気の膨張」を利用したもので、火災による温度上昇により感知器内部の空気が膨らむことで反応することになっていた。
しかし、同課が専門家などに確認したところ、この感知器は振動などが加われば、熱として誤検知する場合があることが判明した。
当時、作業員らは天井板を交換するために感知器を取り外すなどしており、同課は作業中に誤って物理的な力を加えてしまった可能性があるとみている。
一方、同設備は熱だけでなく、煙の感知器も同時に反応しなければ作動しない構造だった。
煙の感知器が反応した理由は解明されていないが、この感知器もほこりなどにより誤作動した可能性がある。
また、現場から自力で脱出した30代の男性作業員は、「取り外した感知器を再び取り付けた時に消火設備の警報音が鳴った」と証言。
感知器の取り付け作業が原因で反応した疑いもあり、どのような作業が行われていたのか慎重に調べている。
https://mainichi.jp/articles/20210516/ddm/041/040/082000c
5月15日20時5分に同じ毎日新聞からは、熱感知器は差動式、煙感知器は光電式だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
捜査関係者への取材で、熱の感知器は「空気の膨張」を利用した「差動式スポット型」、煙の感知器は「光の乱反射」を使った「光電式スポット型」と呼ばれものだったことが判明した。
一般社団法人「日本火災報知機工業会」によると、熱に反応する差動式スポット型は、火災による温度上昇で感知器内の空気が膨張すると、熱の発生を知らせる。
感知器内には通気孔があり、わずかな温度上昇では空気が逃げて作動しないが、火災などで急激に温度が上がると反応するという。
ただ、同会の担当者は「振動など下から物理的に力が加わると、誤作動の恐れもある」と指摘する。
一方、煙を検知する光電式スポット型は、内部にある発光ダイオード(LED)の光が受光部に届くと作動する仕組み。
感知器内には遮光板が多数設置されており、通常はわずかな反射光しか受光部に当たらないようになっているが、感知器内に煙の粒子が入って乱反射すると、多くの光が受光部に届いて信号が送られる。
しかし、この感知器も「火災による煙以外に、大量のほこりや粉じんなどでも作動する可能性がある」と担当者は話す。
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https://mainichi.jp/articles/20210515/k00/00m/040/189000c
5月19日11時44分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、警視庁の再現実験結果、外した熱感知器を再び取り付けると信号が送られたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消火装置は、煙と熱の両方の回線に信号が送られると作動する仕組みでした。
捜査関係者によりますと、警視庁が再現実験をしたところ、外した熱の感知器を再び取り付けると信号が送られました。
振動や空気の膨張に反応したとみられます。
また、本来、煙の感知器を取り付ける場所に熱の感知器を取り付けても信号が送られたということです。
実際の現場には、煙の感知器の場所の真下に熱の感知器が落ちていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7cfd85240aa3f33a704b4b906f4a827338e2b3d8
(2021年5月25日 修正2 ;追記)
2021年5月24日12時33分にYAHOOニュース(FNN PRIME)からは、煙感知器の場所に誤って熱感知器を取り付けたことが誤作動原因かもという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警視庁のその後の調べで、事故現場は熱感知器が作動した状態で、さらに、作業員が煙感知器の場所に誤って熱感知器を取り付けたため誤作動が起きた可能性があることがわかった。
専門家によると、両方の感知器設置場所に熱感知器を取り付けると、熱と煙を検知したと誤った信号が送られる可能性があるという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5eecdba44e1c33acb2ca41cc594a2564718f33f
(2022年4月14日 修正3 ;追記)
2022年4月14日付で毎日新聞からは、作業員が手に持ったことで熱がこもり、熱を感知した状態の熱感知器を正規の場所に取付けた後、熱を感知した状態の別の熱感知器を煙感知器を取り付けるべき場所に誤って取り付けたため、熱と煙を同時に感知したとしてCO2放出準備状態になった・・・と読み取ることができる、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都新宿区のマンション地下駐車場で2021年4月、消火設備が突然作動し、放出された二酸化炭素(CO2)を吸った男性作業員4人が亡くなった事故で、現場責任者の男性が警視庁に「起動ボタンを押さなければ消火設備は作動しないと思っていた」と説明していることが捜査関係者への取材で判明した。
実際は、ボタンを押さなくても感知器が熱と煙に反応すれば動く仕組みだった。
同庁捜査1課は、現場責任者らの誤った認識などが事故につながった可能性が高いとみて、業務上過失致死傷容疑で捜査している。
【警視庁、突然作動の経緯捜査】
捜査関係者によると、地下駐車場の天井には消火設備の感知器が12カ所あり、うち8カ所は熱、4カ所は煙に反応する構造だった。
設備は熱と煙の両方を検知すると火災が発生したとして二酸化炭素を放出し、酸素濃度を下げることで延焼を防ぐ仕組みになっていた。
事故では、最初に熱の感知器、約2時間半後に煙の感知器が反応して設備が作動したとみられる。
当時、作業員らは複数の感知器を取り外し、天井板の交換後に再び感知器を付け直す手順で作業をしていた。
捜査関係者によると、熱の感知器を手袋などをした状態で持つと熱がこもり、再び取り付けた際は感知器が熱を検知した状態だった可能性が高いことが分かった。
また、作業員が煙の感知器の設置場所に、誤って熱の感知器を取り付けていたことも判明。
同様に熱を検知した感知器を付け直したことで、煙が出たと判断されたとみられる。
捜査1課は、熱を検知した二つの感知器を熱と煙の感知器があった場所にそれぞれ取り付けたことで、設備が作動した可能性があるとみて、裏付けを進めている。
一方、作業中は二酸化炭素の放出を防ぐ閉止弁は閉められていなかったほか、設備の電源は入ったままだったという。
放水などによる消火と異なり、二酸化炭素の放出で対応する消火設備は、電気系統の機器が鎮火後も使えるという利点がある。
総務省消防庁によると、設置数は21年4月末時点で1万4885件に上る。
同設備を巡る死亡事故は、今回を含めて20年12月~21年4月に3件発生。
同庁は21年5月から有識者会議で議論し、今年3月、工事などのために二酸化炭素が放出されるエリアに入る場合は弁を閉めることや、点検や工事の安全手順を記した文書を備え付けることなどの再発防止策をまとめた。
【作業員妻子、悲しみ深く 事故原因、早期解明訴え】
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https://mainichi.jp/articles/20220414/ddm/012/040/101000c
(ブログ者コメント)
熱感知器の作動原理から考えるに、本当に手に持ったぐらいで作動するのだろうか?
https://www.kaho.or.jp/pages/jikaho/page-jikaho-0102-01.html
しかも手袋をした手だと、人体の熱は伝わりにくいような気がするのだが・・・。
(2024年11月8日 修正4 ;追記)
2024年11月7日16時11分に産経新聞からは、安全管理を怠ったとして当時の現場責任者が書類送検された、管理会社からは起動ボタンを押さないとガスは出ないと聞いていたと供述、熱感と煙感センサーは見分けがつきにくかった、再現実験によれば着脱時の手の熱で作動した可能性ありなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
現場の安全管理を怠ったとして、警視庁捜査1課は7日、業務上過失致死傷容疑で、K建設の当時の現場責任者の男性(60)を書類送検した。
現場の天井には熱感知と煙感知のセンサーが計12カ所に設置されており、両センサーが感知すれば電気信号が流れ、ガスが噴出する仕組みになっていた。
本来は作業時、
▽センサーの制御盤の電源を落とす
▽消火ガスの弁を閉める
▽噴出を自動ではなく、手動に設定する
などの措置をとる必要があったが、いずれも行われておらず、総務省消防庁が求めている消防設備士の立ち会いもなかった。
男性は作業員へセンサーなどに触れないよう指示していたが、ガスが噴射されると説明していなかった。
事故当時、作業員は工事の妨げになるセンサーを外し、また戻していた。
警視庁は再現実験を行い、着脱時の手の熱によってセンサーが誤作動した可能性が高いことが判明。
熱感知と煙感知のセンサーはいずれも見分けがつきにくく、煙感知系統の配線に熱感知センサーを誤って取り付け直した上、両系統で誤作動が起きたため、ガスが噴出したとみられる。
男性は現場マンションの建設にも携わっていたが、警視庁の聴取に「マンションの管理会社から起動ボタンを押さないとガスは出ないと聞いていた」と供述したという。
https://www.sankei.com/article/20241107-OQQQ4V5YAJJEDDVW5ARGDMZPQY/
11月7日17時14分に毎日新聞からは、誤って取り付けられた感知器にこもっていた熱が煙と判断され消火設備が作動したらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
駐車場の天井には、消火設備の感知器が12カ所あり、うち8カ所は熱、4カ所は煙に反応する仕組みだった。
感知器が熱と煙の両方を検知すると、火災が発生したとして、二酸化炭素を放出し、酸素濃度を下げて延焼を防ぐ構造になっていたという。
当時、死亡した作業員らは感知器を取り外し、天井板を交換後に再び取り付けていた。
その際、作業員の手の熱に感知器が反応。
さらに、煙の感知器の設置場所に、誤って熱の感知器を取り付けたため、こもった熱が煙と判断され、消火設備が作動したとみられる。
https://mainichi.jp/articles/20241107/k00/00m/040/107000c
※今回の情報を機に、もう一度関連情報を調べたところ、高圧ガス保安協会から以下の概要報告が出されていた。
事故の概要
ホテルの機械式立体駐車場内で、作業員 3 人によるシャフト交換作業中に、1 階に いた作業責任者が消火のために設置された不活性ガス消火設備の起動ボタンを誤 って押し、駐車場内に大量の二酸化炭素が噴出した。
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時系列
9 時 45 分頃 高所で作業していた作業員から作業責任者に対して、「火気を 使用するから消火設備を切ってほしい」旨の連絡があった。
(この連絡を受けて、1 階にいた作業責任者は、消火設備を切る 意図で消火設備のふたを開け、起動ボタンを押したと考えられ る。)
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事故原因
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②二酸化炭素消火設備は、自動作動と手動作動の切り替えが可能で、常に手動起動の設定 をしていた。
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④二酸化炭素消火設備は、起動ボタンのカバーを外した時点で退避警告の放送が 流れ、立体駐車場のシャッターが閉まる仕組みになっていた。
起動ボタンを押す と、その 40 秒後に二酸化炭素が噴出される。
起動ボタンを押してから 38 秒以内 に停止ボタンを押すと、起動せずに停止する。
⑤今回事故があった立体駐車場には、二酸化炭素消火設備が起動したことを警告するサイレンが駐車場内に一か所設置されているのみであり、高所で作業してい る人には聞こえづらい。
⑥本作業の請負契約時の仕様書では、作業時に火気を使用する場合はホテル側 に連絡することとしていたが、事故当日は、火気の使用の連絡はなかった。
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https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/hpg/accident/jikogaiyouhoukoku/2020-541.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。