2017年5月30日付で毎日新聞東京版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
全国の体育館で、本来避けるべき水拭きやワックス掛けによる清掃が一般的に行われ、事故の原因になっているとの報告書を、消費者安全調査委員会(消費者事故調)が29日、まとめた。
水拭きなどの水分で木製の床板が変形、木片が剥離して利用者の体に刺さる事故が起きていることから、事故調は文部科学省に対し、各施設に適切な管理方法を改めて周知するよう求めた。
事故調がこれまでに把握した重大な事故は7件。
バレーボールやフットサルをしていた利用者が床に滑り込んだ際、はがれた床板が体に刺さって大けがをした。
長さ30~40cmの木片が肺や胃を貫通する例もあった。
完成から2年の、新しい施設でも起きていた。
事故があった体育館を調べたところ、
▽水拭きやワックス掛けを行っている
▽雨漏りがある
▽湿気がこもりやすい
など、水の影響が確認された。
木は水分を吸収すると膨張し、乾くと収縮する。
この繰り返しにより、床板が反ったり割れたりし、はがれやすくなったと考えられる。
長期使用による老朽化が原因とみられるケースもあった。
木製板の体育館の水拭きやワックス掛けは、日本体育施設協会がガイドラインで禁止している。
一方、事故調が全国の学校と、学校外の公共体育館計2800施設(有効回答数2242施設)を対象にアンケートをしたところ、学校では半数近い46%、公共体育館の42%がワックス掛けをしていた。
定期点検を行っていない学校も20%、公共体育館は49%あった。
【体育館の床板による主な負傷事故】
2006年8月 岐阜市の県立高体育館
バレー部のレシーブ練習中、男子生徒の胸に刺さり、10日間入院
2011年7月 相模原市の中学校体育館
バレー部のレシーブ練習中、女子生徒の胸に刺さり、7日間入院
2013年 東京都内の中学校体育館
レシーブ練習中に生徒の腹部に刺さり、胃や腸を貫通し、27日間入院。手術後に腸閉塞(へいそく)発症
2013年5月 大阪市内の体育館
レシーブ練習中、社会人の男性の腹部に刺さり、4日間入院
2014年4月 宮崎県都城市の体育館
バレーの大会でレシーブをした高3の男子生徒の腹部に刺さり、12日間入院
2015年4月 富山県射水市の大学の体育館
フットサルの練習中、男子学生の背中に刺さり肺を貫通し、24日間入院
※事故調の報告書や過去の報道に基づき作成
出典
『体育館 床はがれ事故 水拭きやワックスがけダメ 内臓貫通も』
https://mainichi.jp/articles/20170530/ddm/012/040/081000c
5月29日20時22分に朝日新聞からも同趣旨の記事が、不具合の生じた床板の写真3枚付きでネット配信されていた。
学校や公共体育館を対象に16年に実施したアンケートでは、学校と公共の体育館それぞれ5%で日常的に水拭きをしていたという。
出典
『体育館、水拭きはしないで はがれた床材が刺さる事故も』
http://www.asahi.com/articles/ASK5Y4HN7K5YUTIL01N.html
(ブログ者コメント)
〇消費者事故調が調査を開始するという記事、ならびに毎日新聞に掲載された最近の事例のうち東京都以外の事例は、本ブログでも過去に紹介している。
〇この問題については、これで一段落した感があるので、今後は特段のものでないかぎり、掲載を割愛する。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。