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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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情報量多大につき、報道されたポイント部分のみ抜粋して趣旨を記す。

 
1.事故の概要
 
29日午後2時35分ごろ、兵庫県姫路市網干区の「日本触媒姫路製造所」で、紙おむつの原料となるアクリル酸の入ったタンクが爆発した。
消防隊員1人が死亡し、従業員や消防隊員、警察官の計30人
(ブログ者注;その後36人)がやけどなどの重軽傷を負った。
爆発したのとは別に、トルエンなどが入ったタンク2基も焼けた。
同製造所では、76年3月にもアクリル酸の貯蔵タンクで爆発事故が起きていた。

 
http://www.asahi.com/national/update/0929/OSK201209290036.html
 
 
2.爆発に至る経緯
 
1時ごろ :アクリル酸の中間貯蔵タンクのベント弁から白煙が出ているのを偶然、従業員が発見。
 ※推定;この数時間前には異常反応が起こり、温度上昇が始まったか?
(時間不明):自衛消防隊がタンクに放水して冷却開始
1時50分頃: 姫路市消防局に「アクリル酸の異常反応の可能性がある」とホットラインで通報
(時間不明):市の消防車が自衛消防隊の消防車近くに停車し放水準備
2時25分頃:タンク下部から黄色い液体がザーッと流れ出て、タンク上部からは噴水のように黄色い液があふれていた。


http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0005414696.shtml
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120930/dst12093021120021-n1.htm
http://www.asahi.com/national/update/1001/OSK201210010076.html
 
 
3.爆発時の状況
 
□横たわる負傷者、やけどをした体をホースの水で冷やす消防隊員−−。爆発の前後に現場に出動した消防団員らが30日、火災現場の壮絶な状況を明らかにした。
消防団員の男性は製造所に着いて間もなく、タンクの爆発に遭遇した。
「けが人がたくさんいるから運んでほしい」。誰かが大声を上げたため、タンク近くに駆け付けた。
消防隊員ら数人が地面に横たわり、接着剤のような黄色いアクリル酸が服に付着していた。服を脱いでホースの水を体にかけ、バケツに手を浸していた。
 別の消防団員の男性は、両手をやけどした消防隊員に「服をめくってくれ」と頼まれた。薬品で所々焦げたシャツを脱がすと、背中がやけどで赤く腫れていた。
周囲では「熱い」「痛い痛い」の声。男性は「薬品は接着剤みたいで、無理に取ろうとすると皮がめくれそうになった。恐怖を感じ、ぼうぜんとするしかなかった」と振り返った。

http://mainichi.jp/select/news/20121001k0000m040079000c.html
 
爆発したタンクから飛び散った高温の化学物質で消防隊員の防火服が溶けていたことがわかり、警察は、タンクの中で化学反応が急激に進んで180℃以上に温度が上昇し爆発に至ったとみて調べている。
防火服は、180℃の温度でも、5分間耐えられるように設計されているという。
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025406261.html?t=1349128386721
 
□焼死した消防隊員の防火服のほとんどが黒く炭化していたことがわかった。この防火服は500℃の熱にも耐えられるパラ系アラミド繊維でできていた。
死亡した隊員らが500℃以上のアクリル酸を全身に浴びたとみて当時の状況を調べる。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/121003/waf12100308590002-n1.htm
 
 
4.中間タンクの安全管理状況
 
タンク内の温度は通常、約60℃に保たれていた。
温度計はタンク横に設置され、巡回して目視で確認することになっていたという。
会社は「
内部のアクリル酸の温度については、タンクに近づけず、白いものが出ているということは、かなり上がっていると推察した」と述べた。
http://www.asahi.com/national/update/1001/OSK201210010076.html

□中間貯蔵タンクについて「爆発の危険性は低い」と判断し、温度を常時監視する態勢にしていなかった。中間貯蔵タンクは数時間ほどアクリル酸を保管するだけで、急激な温度変化や化学反応は想定しにくいと証言する関係者もいる。
http://www.asahi.com/national/update/1002/OSK201210020062.html
□タンクの酸素濃度は7%に管理されていた。
http://mainichi.jp/select/news/20121006k0000m040108000c.html
 (関連情報)
アクリル酸を製造する化学メーカーは「うちは貯蔵タンクでも異常反応が起きないよう、温度や酸素濃度などは管制室で常にモニタリングしている」と説明した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121005/dst12100522070015-n1.htm
 
 
5.対応上の問題点
 
□消防への通報が遅れた点に関し、会社は会見で「自分たちで(冷却が)できると判断したと思う。結果的に事故が起きてしまい、重大性を読めなかった」と釈明した。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120930/hyg12093021580010-n1.htm
 (関連情報)
爆発の約1時間半前にタンクから上がった白煙が、法令で定める消防に通報すべき「異常現象」だったのか。その判断、認識をめぐり意見が割れている。
同業他社などからは「即座に通報すべき異常事態」とする意見がある一方、自助努力で冷却しようとした姿勢に一定の理解を示す関係者もいる。
ある関係者は「消防を呼ぶと、経緯などの社内説明に膨大な労力がかかる。大ごとにならないよう、自助努力で収めようという潜在意識はある」と打ち明ける。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005423573.shtml

 □市消防車の停止位置がタンクに「近すぎたのでは」と疑問視する声もあるが、消防局は「危険な場所からは距離を開けるべきという考えは当然あるが、10~15mだった自衛消防組織とタンクの距離が目安になったはず」と説明。
その上で、化学物質が燃えるような特殊な事情の場合、「事業所側(の情報)に頼らざるを得ない」と述べ、情報の提供が不十分だったとの、認識を示した。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/121001/waf12100108330001-n1.htm
 (関連情報)
○現場に入った消防士談「所内では、日本触媒幹部から「煙はアクリル酸、炎はトルエンによる」と燃焼物の説明を聞いた」
http://mainichi.jp/select/news/20121001mog00m040039000c.html
 ○別の消防士談「日本触媒との連携については、「私には何をすればいいのかなど具体的な指示はなかった。普通の火事と違って、化学薬品は、どういう状態になれば危険なのかという認識がないので消火が難しかった。」
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025406262.html?t=1349128471656
製造所側は、到着した市消防局の隊員に具体的な危険性に触れず、「最悪の場合は爆発の可能性がある」との説明にとどめたという。
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0005421099.shtml
 
 
6.会社、同工場の概要
 
日本触媒は、紙おむつなどの原料となる高吸水性樹脂で年間47万トンの生産能力を持ち、世界シェアはトップの25%。
このうち同製造所は同32万トンを生産。高吸水性樹脂の原料、アクリル酸についても同製造所で同46万トン生産し、世界シェアは1割に上る。
30日の記者会見では、在庫について「高吸水性樹脂は1カ月弱分、アクリル酸が2週間分」とし、いずれも構内にあるため同命令の解除まで出荷が不可能という。
海外拠点もほぼフル生産で代替生産にも限界があり、供給先への影響は「調査中」とした。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005417539.shtml
 
 
7.その他の情報
 
同製造所が9月中旬から、電気系統のメンテナンスのため、全設備を順次いったん停電させて復旧させる作業を実施していたことが分かった。
最初に爆発したタンクでは事故の6日前に作業が終わり、その翌日にアクリル酸を入れ始めた。
同社は、影響について「考えづらい」としているが、県警は今後、作業の手順などに問題がなかったかも調べる。
火災が起きた29日も、別の設備の復旧作業をしていた。

http://mainichi.jp/area/news/20121001ddf041040014000c.html

□定期検査後、事故の6日前にタンクにアクリル酸を入れ始めたことから、まだ安定稼働には至っておらず、プロピレンの酸化工程で発生した副生成物がタンクに注がれた、という可能性を指摘する専門家もいる。
http://mainichi.jp/select/news/20121006k0000m040108000c.html
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
□原因としては今のところ、①冷却不足②重合防止剤注入量不足③酸素濃度管理不備④異物混入、といったことが考えられる。
 
□いくら中間タンクとはいえ、重合反応が起きる危険性を予測して各種対策をとっていたはず。
一旦重合反応が起きれば、暴走する危険性は少なからずある。
なのに、なぜ、温度を計器室で監視できるようにしなかったのだろうか?
各種対策をとっていることで、重合反応が起きることはないと安心し、現場温度計だけでヨシとしたのだろうか?



(2013年1月25日 修正1 ;追記)

 

2013年1月18日21時2分にNHK神戸から、同日21時44分にmsn産経ニュースwestから、また19日付で毎日新聞大阪版から、事故原因などに関する中間報告が公表されたという下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

18日、日本触媒が設置した事故調査委員長の田村東大名誉教授らが会見し、中間報告を公表した。


それによると、事故直後の会見で「タンクの横に設置した温度計を従業員が巡回して確認し、温度管理をしていた」と説明していたタンク横の温度計について、池田社長は「設置していなかった」と訂正。「情報が錯綜し間違った情報を伝えた。タンク設置時に申請し当局から許可されていたが、必要ないと考えていた」と訂正した。

 

また、このタンク(70m3)では、貯蔵するアクリル酸の温度が上昇しすぎると、重合反応が急激に進み、爆発につながることから、タンクの下の部分で冷却水が入ったコイルでアクリル酸を冷やし、再びタンクの上に循環させて、全体を冷却する装置が備え付けられていたが、当時、現場にいた作業員は、社内の取り決めどおりに装置を使用していなかったという。

報告によると、同28日、液体を60m3貯蔵した際、上部の液体をポンプで混ぜて温度を下げる操作をしなかった。
25m3以上ためた時には、この操作がマニュアルに定められていた。
その後、タンク内では化学反応が起きて温度が上昇、分子が結合する「重合反応」に至って液体が沸騰するなどし、29日に蒸気爆発した。

 

事故調査委員会は、こうした温度監視の不備が積み重なり事故が起きたとしていて、再発防止策として、遠隔監視などの温度管理の強化、冷却作業の常時実施や教育の徹底を提言。さらに調査を進め、年度内に最終報告書をまとめることにしている。

 

出典URL

http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2024875101.html?t=1358545670785

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130118/waf13011822010034-n1.htm

http://mainichi.jp/area/news/20130119ddn041040018000c.html

 

 

ちなみに同社HPには図解付の中間報告書が掲載されており、報告書中、60m3貯蔵操作については以下のように記されている。

925930分頃 タンクへの液溜め開始

9281400分頃 60m3に到達

9291320分頃 タンクベントからの白煙を確認(最高温度160℃程度と推定)

9291435分頃 タンクに亀裂が発生、タンク内圧力が急降下して蒸気爆発が起きた

 

http://www.shokubai.co.jp/ja/news/update/file2_0101.pdf

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

□中間報告書の内容からすると、平衡破綻型の蒸気爆発が起きたようだ。

 

□「(温度計は)タンク設置時に申請し当局から許可されていたが、必要ないと考えていた」という報道、ちょっとわかりにくい表現だ。

中間報告書や他の報道を調べたが、具体的にどういうことだったか書かれている記事は見つからなかった。

ブログ者思うに、これは『許可申請時に当局に提出したP&Iには温度計の記載があったが、その後の検討で温度計は不要と判断し設置しなかった。しかしP&Iからは削除せず、旧版のP&Iを使い続けた』・・・といった意味ではないのだろうか?

このように考えると、事故直後の会見で会社側が間違った説明をした理由が理解できる。なぜなら、現場が壊滅状態になっている時、温度計があったかどうかはP&Iで確認するのが一番だからだ。

 

□P&Iは装置運転の基本だ。今回の事例がそうだったかどうかは別にして、設備を変更した時は、都度、変更内容をP&Iに反映しておかねばならない。

 

 


(2013年2月15日 修正2 ;追記)

201327193分にNHK神戸から、この事故の損害額は215億円にのぼるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 

この事故の影響について、日本触媒は、ことし3月期の決算で
 
□生産の減少などによる営業利益の減少が130億円
 
□プラントの運転停止などによる損失が85億円
と、あわせて215億円の影響が出る見通しだと発表した。


これを受けて、ことし3月期の最終黒字についても、当初の予想より95%少ない10億円に下方修正した。

出典URL

http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025367011.html?t=1360283031969

 





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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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